説明

臭素化ポリマーおよびそれらを含む難燃製品

本発明は、ポリマー、ポリマーの水性懸濁液、それらを得る方法、およびポリマーと酸化アンチモンを含む難燃性製品を提供する。本発明のポリマーは(i)少なくとも1種の非臭素化モノマーおよび(ii)構造A−B−Cを有する少なくとも1種の臭素化モノマー(式中、Aは3〜5個の臭素原子により置換されたフェニルであり、BはC1からC4アルキルであり、任意に1から8個の臭素原子で置換され、Cはアクリルまたはメタクリル基である)とから得られる。適切な臭素化モノマーの例はペンタブロモメチルアクリレートである。好ましいポリマーは少なくとも20%(w/w)の臭素を有する。好ましい水性懸濁液は少なくとも40%の固形分含有量を有する。本発明による耐燃性生成物は、少なくとも1種の臭素含有モノマーおよび少なくとも1種の非臭素化モノマーから得られるポリマーを含む。好ましい耐燃性生成物は本発明によるポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、臭素化ポリマー、その分散液およびそのようなポリマーおよび分散液の使用に関する。
【0002】
発明の背景
製品を難燃性にするために織物、コーティングおよび接着剤のような製品の中に臭素含有添加物を含ませることが当該技術では公知である。そのような添加物が分子量が小さいならば、そしてマトリックスに化学的に結合していないならば、添加剤は製品から拡散し(特に製品が織物の場合のように頻繁に洗濯される場合)、難燃性は減少する。さらに、そのような製品の製造者と使用者の排水は臭素化された添加物を含むことがあり、このことは環境問題を引き起こすかもしれない。
【0003】
本発明の1つの目的は、製品を難燃性にするための添加物として用いることができる新規な臭素化された物質を提供することである。他の目的は、以下の記載と特許請求の範囲から読者に明らかになるであろう。
【0004】
関連技術
以下の刊行物は、発明の背景を理解する上で役に立つかもしれない。しかしながら、この表題のもとで刊行物を掲載することは、刊行物が本発明の特許性に関連することを適用しているものとして解釈すべきではない。
【0005】
1.PBBMAの分散液とターポリマーを記載する米国特許出願公開公報第2002/24042号、
2.PBBMAおよび関連化合物の製造方法を記載する米国特許第5,072,028号、
3.臭素化スチレン−マレエートコポリマーを記載する米国特許第4,782,463号、
4.ブロモスチレンおよび別のモノマー、好ましくはアクリロニトリルの耐火性コポリマーを記載する米国特許第4,412,051号、
5.環がハロゲン化されている芳香族モノマー単位、アルキルアクリレート/メタクリレートモノマー単位、および任意に別のモノマー単位のコポリマーを含む耐燃性ラテックスコーティングを記載する米国特許第5,290,636号、および
6.ベースポリマーが臭素化モノビニル芳香族モノマー、メタクリル酸エステルおよび任意にエチレン性不飽和ニトリルを共重合させることにより調製される安定なインターポリマーと混合されるポリマー組成物を記載する米国特許第5,276,091号。
【0006】
発明の概要
本発明は、少なくとも1種の臭素含有モノマーおよび少なくとも1種の他のモノマーから得られたコポリマーを提供する。本発明のコポリマーに含まれる臭素含有モノマーは、式A−B−Cのものであり、Aは3〜5個の臭素原子で置換されたフェニルであり、BはC1からC4アルキルであり、任意に1から8個の臭素原子で置換され、Cはアクリルまたはメタクリル基である。本発明のコポリマーは、少なくとも20%の臭素含有量を有することを特徴とする。本明細書において%で表現されるすべての濃度は、他に示していない限り、w/wパーセントのことをいう。
【0007】
上記で定義した基Aは3、4または5個の臭素原子で置換されていてもよく、5個が最も好ましい。独立に、基Bは1、2、3または4個の炭素原子を有していてもよい低級アルキルであり、その各々は独立にゼロ、1または2個の臭素置換基を有していてもよい。
【0008】
本発明による臭素化されたモノマーのいくつかの例は、トリ、テトラおよびペンタブロモベンジルアクリレート、トリ、テトラ、およびベンタブロモベンジルメタクリレート、トリ、テトラおよびペンタブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、トリ、テトラおよびペンタブロモフェニルモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−ブロモエチル(メタ)アクリレート、トリ、テトラ、およびペンタブロモフェニルモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−ブロモプロピル(メタ)アクリレート、およびトリ−、テトラ−またはペンタ−ブロモフェニルモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、セプタ−またはオクタ−ブロモブチル(メタ)アクリレートである。以下、本明細書ではペンタブロモベンジルアクリレートをPBBMAという。
【0009】
本発明のポリマーは少なくとも2種の異なる構造のモノマーを含み、それゆえ、コポリマーということもできる。したがって、本明細書ではポリマーおよびコポリマーという用語は交換可能に用いられる。
【0010】
1つの実施形態によれば、本発明のポリマーは60〜70%の臭素含有量を有し、別の実施形態によれば、臭素含有量は25ないし50%であり、別の実施形態によれば20〜35%である。異なる臭素パーセンテージのポリマーは、異なる用途および対応する耐燃性(FR)規格に有用であろう。
【0011】
臭素含有モノマーに加えて、本発明によるポリマーは少なくとも1種の臭素化されていないモノマーを有し、これはスペシャルティモノマー(機能性モノマー)でも、ノンスペシャルティモノマー(非機能性モノマー)でもよい。
【0012】
スペシャルティモノマーに帰するであろう機能の非限定的な例は、架橋性、界面活性または接着促進性を含む。一部の場合、単一のスペシャルティモノマーは2以上の機能をもっていてもよく、例えば、N−メチロールアクリルアミドは界面活性剤としても接着促進剤としても機能し、これは織物へのポリマーの接着を向上させる。本発明により用いられるスペシャルティモノマーの非限定的な例は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩、ベータ−カルボキシメチルアクリレート、アリルオキシポリエトキシ(10)スルホン酸アンモニウム、ラウレトキシ(23)メタクリレート、ラウレトキシ(25)メタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、α−スルホ−ω−[1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ]−ω−ヒドロ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩、α−[1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ]−ω−ヒドロ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートである。このようなスペシャルティモノマーは、AMPS2405(ルブリゾールにより製造される)、ベータC、DVP−010、レム23、レム25(すべてバイマックス社による)、HEMA(ラポルテによる)、アケダ・リーソープSR−10、アケダ・リーソープSR−20、アケダ・リーソープSR−30(すべて旭電化による)、およびSR355、SR454、SR351(すべてクレー・バレーによる)のような商品名の下で販売されている。
【0013】
本発明で用いられるノンスペシャルティモノマーの非限定的な例は、アクリルモノマー、酢酸ビニル、スチレンおよびα−アルキルスチレン、特にα−メチルスチレンのようなスチレン誘導体である。
【0014】
好ましいアクリルモノマーは、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルメタクリレートである。
【0015】
本発明によるポリマーは、典型的には2ないし6の異なるモノマーから得られる。きわめて高い臭素含有量が望ましいときは、非臭素化モノマーは典型的にはスペシャルティモノマーである。
【0016】
本発明による有用なモノマーの特定の群は、アクリル構造、すなわち、式R1CH=CR2C(O)A
(式中、AはOR3、NR34およびCNからなる群より選択され、
1、R2は、各々独立にHまたはアルキルから選択され、前記アルキルは直鎖または分枝鎖であり、R3およびR4の各々は独立にH、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ポリアルコキシ、アルカノール、またはエーテルであり、それらの各々は置換または非置換の直鎖または分枝鎖である。以下の例から明らかなように、炭素含有R基(すなわち、炭素を含むR1、R2、R3およびR4の基)は通常1ないし15個の炭素を有するが、それらのいくつかは時により多くの炭素原子を含んでいてもよい。アルキルR基は典型的には1〜4個の炭素原子のものである。
【0017】
上記アクリルモノマーの中ではアルキル以外にR3またはR4を有するものが典型的にはスペシャルティモノマーである。
【0018】
本発明の別の態様によれば、臭素含有ポリマーのポリマー水性分散液が提供され、前記分散液の中の固形分含有量は、少なくとも40%、典型的には40〜65%、最も典型的には40〜55%である。
【0019】
本明細書で用いられる分散液という用語は、液体媒体中に分散された固体粒子を称する。分散液中では、少なくとも実用的興味のある時間スケールでは粒子は凝集せず、これは通常、適切な界面活性剤を中に含むことにより達成される。本発明によれば、2以上の界面活性剤が通常要求される。
【0020】
表面活性剤、界面活性剤、乳化剤および分散剤はすべて本明細書において交換可能に用いられる用語である。
【0021】
プレエマルジョンまたはプレ分散液を安定化させることにより臭素化モノマーの分散液を安定化させることで出発し、異なるモノマーの間の効率的な重合反応をさせ、最終的に得られるポリマー水性分散液を安定化させて終結する重合操作のすべての段階において有用なこのような界面活性剤を用いることは好ましいことに注意されたい。この複雑なタスクは、通常、2以上の界面活性剤により本発明に従って達成される。本発明者により発見された、本発明による最も適切な界面活性剤は、ノニオン性および/またはアニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤の中では、アルキルフェノール系界面活性剤が特に有用である。一部の国はアルキルフェノールの使用を制限する傾向があることに注意されたい。というのは、それらの化合物は環境と人体の健康に対して良好ではないと考えられているからである。それゆえ、アルキルフェノールに対する代替品が開発され、そのような代替品は本発明でもきわめて有用であると考えられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤のうち、最も興味のあるのは、アルキルアリールスルホン酸またはアルキルアリールスルホネートのようなアルキルアリール系のものである。
【0023】
本発明に従って臭素化コポリマーが分散される液体媒体についての非限定的な例は、水、グリコールおよびこれらの混合物である。
【0024】
好ましくは、本発明の分散液に分散される臭素含有ポリマーは、少なくとも20%(w/w)の臭素含有量を有し、上記のように本発明の第1の態様によるものである。
【0025】
典型的には、水性ポリマー分散液は、1.2g/cc、通常1.2ないし1.7g/ccの高密度(市販のアクリルポリマーと比較して)を有し、このことは水性分散液を安定化することを困難にする。分散液は界面活性剤、通常2以上の界面活性剤の組み合わせにより安定化され、その各々は反応性(すなわちポリマー鎖の一部となる)および/または非反応性(すなわち分散液中で独立した物質のままである)である。
【0026】
本発明による好ましい水性ポリマー分散液は、2000nm以下、好ましくは50ないし1000nm、より好ましくは80ないし400nmの粒子サイズを有する。典型的には、本発明によるポリマーの分子量は、500,000以上、好ましくは1,000,000を超える。
【0027】
本発明によるポリマー水性分散液は、直射日光なしで5〜35℃において少なくとも6ヶ月間安定であることがわかっている。プロピレングリコールのような通常の添加物は、この温度範囲を約−7℃〜+35℃に拡張することができる。
【0028】
別の態様によれば、本発明は、酸化アンチモン(以下、AO)とともに臭素含有ポリマーを含む耐燃性生成物を提供する。AOは、通常、それ自体当該技術において公知の方法で水性ポリマー分散液に添加される、すなわち、市販の分散液のように安定化後に最終分散液に添加される。にもかかわらず、本発明は、他の仕方で添加されたAOを含む生成物および分散液も含む。そのような製品に関する1つの非限定的な例は、以下の例12に示すように、AOを重合段階の間に添加した分散液である。好ましくは、本発明の製品を耐燃性にする分散液中に分散される臭素含有ポリマーは、少なくとも20%(w/w)の臭素含有量を有し、それ自体本発明の第1の態様によるものである。
【0029】
本出願および特許請求の範囲の文脈において、生成物は、織物のための規格CFR16/1615、塗料のための規格ASTM D3806および建材のための規格ASTM D2859、BS476−7、DIN4102−1、ISO1182のような国際規格に合致するならば耐燃性とみなされる。
【0030】
本発明による製品の非限定的な例は、織物、不織布、塗料、コーティングおよび接着剤である。
【0031】
本発明による織物の場合には、本発明のポリマーは、主として、本発明による分散液の局所塗布または処理された織物へのそのような分散液の含浸により織物に適用できる。局所塗布のための方法には、例えば、スプレー、パッディングまたは印刷が含まれる。これらの方法(含浸を含む)は、織物産業で通常用いられるので、本発明は織物を耐燃性にするための織物の処理専用のいかなる特有の製造ラインも必要としない。
【0032】
本発明による織物の使用に関連するであろう別の利点は、製造設備の排水ならびに使用者の排水が遊離の臭素化合物を含まないということである。
【0033】
多くの織物は、その色彩強度を保持し、汚れないようにし、製品を通しての水分の浸透をなくすために疎水性になるようにデザインされている。本発明は、特に非臭素化疎水性モノマーを有するポリマーを用いた場合、そのような用途に適切である。本発明による疎水性耐燃性織物を得るために用いられるモノマーの非限定的な例は、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびスチレンである。
【0034】
典型的には、本発明によるポリマーは−20℃ないし70℃のTgを有する。本発明によれば、0℃未満のTgを有するポリマーを得ることもできることを特筆することは興味深いことである。このことは典型的には0℃未満の低いTgを有する非臭素化モノマーを有するポリマーを用いることにより達成でき、これは当該技術のほとんどの方法ではかなわない柔軟な風合いの耐燃性織物をもたらす。0℃未満のTgを有するモノマーの非限定的な例は、ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0035】
本発明により耐燃性になる織物に関連するであろう別の利点は、それらが織物の最終的な色彩に影響することなく透明なままであるということである。しかしながら、そのような透明性は、典型的には、約100ないし約350nmの粒子サイズを有する本発明による分散物で処理されたような織物でのみ得られる。
【0036】
同様の利点は、不織布に対して本発明の分散液またはポリマーを適用することによっても得ることができる。さらに、不織布材料の場合には、それらは化学結合法により作ることができ、本発明によるポリマーは不織布の化学結合繊維に用いられ、同時にその繊維を難燃性にすることができる。
【0037】
当然、不織布は、例えば、印刷、スプレーなどまたは含浸により本発明による分散液をそれらに局所的に適用することにより耐燃性にすることもできる。
【0038】
不織布製品は、柔軟で脆弱でない構造によりしばしば役立つことができる。このことは、本発明のポリマーにより得ることができ、その場合、非臭素化モノマーは、好ましくは0℃未満の低いTgのものである。そのようなモノマーの非限定的な例は、ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0039】
塗料、コーティングおよび接着剤に関しては、それらは典型的には水性アクリルであるので、本発明の分散液は、そのような製品と容易に相容性にすることができ、保管寿命を短くすることがなく、それらの有効性に悪く影響することもない。
【0040】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも第1のモノマーおよび第2のモノマーを含むコポリマーの水性分散液を得る方法を提供し、この方法では、前記第2のモノマーは前記第1のモノマーの中に少なくとも部分的に溶解しており、水溶性界面活性剤の存在下でそれと反応して重合し、第1のモノマーは臭素化された芳香族化合物であることを特徴とする。
【0041】
本発明のこの態様による第1のモノマーに関して好ましいものは、本発明の他の態様による臭素化モノマーの場合と同じである。
【0042】
第2のモノマーは、好ましくは、スチレンまたはα−アルキルスチレンのようなその誘導体である。
【0043】
1つの実施形態によれば、本発明の方法は、
(i)前記第1のモノマーを第1の液体に溶解して溶液を得る工程と(前記第1の液体は、前記第2のモノマーおよび任意に界面活性剤を含む)、
(ii)前記溶液を水および任意に界面活性剤と混合し、水と、界面活性剤と、前記第1のモノマーとを含む安定なエマルジョンを得る工程と、
(iii)前記安定なエマルジョンを開始剤と反応させ、少なくとも前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとを含むコポリマーの水性分散液を得る工程と
を有する。
【0044】
1つの実施形態によれば、第1の液体は界面活性剤を含まず、これらは(ii)においてのみ添加される。好ましくは、本発明のこの方法は、本発明による水性ポリマー分散液(すなわち、少なくとも40%の固形分含量など)を得るのに利用され、その中に分散されているポリマーもまた本発明によるものである(少なくとも20%臭素含有量など)。
【0045】
特に興味のある1つの実施形態は、界面活性剤の少なくとも1種が反応性であり、得られるポリマーがポリマー鎖中に界面活性剤を含む場合である。
【0046】
特に興味のある別の実施形態は、本明細書に記載されているような方法であり、第1および第2のモノマーが少なくとも1種の他のモノマーと反応し、この方法により得られるポリマーが第1のモノマー、第2のモノマーおよびこの少なくとも1種の他のモノマーのコポリマーであるようなものである。本発明の他の態様に関連して言及したすべての非臭素化モノマーは、本実施形態において有用であろう。
【0047】
第2のモノマーの中に溶解した第1のモノマーの溶液は必ずしも透明である必要はなく、第1のモノマーの溶解していない粒子を含んでいてもよい。しかしながら、通常は、溶液は、肉眼では透明に見えるように調製される。
【0048】
本発明の別の態様によれば、第2のサイズの粒子を有するモノマーの分散液を反応させることによって、第1のサイズのポリマー粒子を有する水性ポリマー分散液を得る方法(前記第2のサイズが前記第1のサイズより大きい)であって、前記分散液を前記他のモノマーを含む混合物と反応させ、反応混合物を約200〜300rpmで攪拌し、約70〜90℃の温度に維持しながら毎分1ないし10mlの速度で反応性物質を混合物に加えることを含む方法が提供される。
【0049】
発明の詳細な説明
本発明を理解し、実際にどのように実施されるのかがわかるように、単に非限定的な例として、いくつかの典型的な実施形態を説明する。これらの例のすべてにおいて、さまざまな成分を加える順序は非常に重要であろう。
【0050】
特に、ここで提示しているのは、以下の例に従って本発明を実施するために本発明者により用いられた物質のリストである。本発明は本明細書に列挙した物質に限定されないが、これらは以下の例を実施するのには十分であろう。
【0051】
この点で、以下に列挙した界面活性剤のいくつかは、それらが水希釈である場合、市販品であることに注意されたい。他の場合には、使用者は、使用前にそれらを水に希釈すべきである。本発明者が、本発明に従って界面活性剤を使用するために以下のリストの界面活性剤を希釈した場合、用いた希釈液をリスト中で言及している。以下の例において言及している量は常に希釈した界面活性剤のものである。
【0052】
有用な物質のリスト
一般
PBBMA− ペンタブロモベンジルアクリレート。(FR−1025M。デッド・シー・ブロマイン・グループ)
APS− アンモニウムペルスルフェート(デグサ、カルディッヒ(Caldig)、スタンケム)
フォルモサル− ナトリウムホルムアルデヒドソルホキシレート二水和物(スタン、トランスペックサイロックス)
TBHP− tert−ブチルヒドロペルオキシド70%(ペルオキシドケミー、ウィトコ)
ナイアコール1550− 五酸化アンチモン分散液(ナイアコールノノ)
ナイアコール1540N− 五酸化アンチモン分散液(ナイアコールノノ)
ナイアコール1550PH7− 五酸化アンチモン分散液(ナイアコールノノ)
表面活性剤:
エアロゾルOT75− エタノール/水に溶解したジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(サイテック)
NP6− ノニルフェノール+6エチレンオキシド(サゾール)
NP9− ノニルフェノール+9エチレンオキシド(サゾール)
シンペロニックNP10− ノニルフェノール+10単位のエチレンオキシド(ユニケマ)
シンペロニックNP12− ノニルフェノール+12単位のエチレンオキシド(ユニケマ)
シンペロニックNP10− ノニルフェノール+10単位のエチレンオキシド(ユニケマ)
シンペロニックNP17− ノニルフェノール+17単位のエチレンオキシド(ユニケマ)
NP20− ノニルフェノール+20単位のエチレンオキシド(サゾール)
NP30− ノニルフェノール+30単位のエチレンオキシド(サゾール)
シンペロニックNP40− ノニルフェノール+40単位のエチレンオキシド(ユニケマ)
オティックス40− オクチルフェノールエトキシレート(コンディー)
エマルガーテンCO55− アルキルポリグリコールエーテル(コンディー)
エマルガンテAS25− アルキルポリグリコールエーテル(コンディー)
ビック190− アニオン性/ノニオン性を有する多官能性ポリマーの溶液(ビックケミア)
ビック380− ジプロピレングリコメチルエーテル(ビックケミア)
ビック154− アクリル酸アンモニウムコポリマー(ビックケミア)
ゾロポールSLS− ラウリル硫酸ナトリウム(ゾハールデタージェントファクトリー)
ゾロポールAN− ノノキシノール9硫酸アンモニウム(ゾハールデタージェントファクトリー)
ラブズ60− アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ゾハールデタージェントファクトリー)
ラブズ100− ドデシルベンゼンスルホン酸(ゾハールデタージェントファクトリー)
ゾルスパース44000− (アベシア)
エチランCo−55− セチル−オレイルアルコールエトキシレート(アククロス)
インベンチンU60− 分枝オキソアルコールC11+6エチレンオキシド(Dr.コルブ)
ルテンゾールAT80− エトキシル化脂肪アルコール(BASF)
消泡剤:
アンチフォーム− 炭化水素とノニオンの混合物(ストックハウゼン)
フォーマスター3082− 炭化水素アルキレート中の脂肪酸エステルおよび塩(ニムコ)
ダルポ2162− (エレメンティス)
ムーセックス3029HL− (シントロン)
フォーマスター50− (コグニス)
スペシャルモノマー:
N−メチロールアクリルアミド− N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(本発明者の合成生成物)
グリシジルメタクリレート− (ダウ)
AMPS2405− 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(ルブリゾール)
ベータC− ベータ−カルボキシエチルアクリレート(ビマックス)
DVP−010− アリルオキシポリエトキシ(10)硫酸アンモニウム(バイマックスinc.)
レム23− ラウリルエトキシ(23)メタクリレート(バイマックス)
レム25− ラウリルエトキシ(25)メタクリレート(バイマックス)
アリルメタクリレート− (シンワ貿易(Shinwa trading))
HEMA− ヒドロキシエチルメタクリレート(ラポルテ)
ADEKAリーソープSR−10− (旭電化)
ADEKAリーソープER20− (旭電化)
ADEKAリーソープER30− (旭電化)
モノおよびジおよびトリおよび多官能のモノマーおよびオリゴマーアクリレート(クレーバリー)
マーロンAS− アルキルベンゼンスルホン酸(コンディー)
マーロンA− アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(コンディー)
ディスポニルFES32− 脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルホン酸ナトリウム塩
ディスポニルAES72− アルキルアリールポリグリコールエーテル硫酸ナトリウム塩
殺生物剤:
アクチサイドSPX− 5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン+メチル−2H−イソチアゾール−3−オン(THOR)
アクチサイドGR− 2,2’,2”−(ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリイル)トリエタノール(THOR)(トロイ社のマーガルKM200でもよい)
アクチサイドMBS −1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン+2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン(THOR)の組み合わせ
アクチサイドFS −メチルイソチアゾロンおよびホルムアルデヒド供与体(THOR)
ニパサイドOPG −N−オクチルイソチアゾリノン(ニパ・ラボラトリーズ)
レオロジー改良剤:
カーボポール846− (BFグッドリッチ)
プロックスAM162− アクリルコポリマーの水性エマルジョン(シントロン)
市販のモノマー:
アクリルアミド− (サイテックス、スタンケム)
アクリル酸− (アトケム)
アクリロニトリル− (DSM)
ブチルアクリレート− (ローム&ハース、BASF、アトケム)
エチルアクリレート− (ローム&ハース、BASF、アトケム)
2−エチルヘキシルアクリレート− (ヘキスト、ニッポン、BASF)
メチルメタクリレート− (デグサ、BASF、アトケム)
スチレン− (ガドット)

AOの添加を記載していないすべての以下の例においては、AOを最終的な分散液に短時間の混合で添加しているであろう。
【0053】
例1:
この例は、どのようにPBBMA、アクリル酸、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、ブチルアクリレートおよびメチルメタクリレートのコポリマーを得るかを示している。この例によって得たこのようなコポリマーは、32%(w/w)臭素を含むことがわかった。この例に従って得た水溶液は45%の固形物含有量を有し、475nmの典型的な粒子サイズと3580cpsの粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル3、12rpm)であった。
【0054】
この例において、水性ポリマー分散液はPBBMA分散液および他のモノマーのエマルジョンから得た。モノマーおよび重合試薬を同時に供給した。
【0055】
PBBMA分散液の調製:メカニカルスターラーを備えた2リットル丸底フラスコに、450グラムの水および約150〜200グラムの希釈分散剤を入れる。分散剤は1:1の重量比のアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の組み合わせがよい。ノニオン性界面活性剤は、約7〜11の低いHLBを有するアルキルフェノール系分散剤である。
【0056】
短時間の混合の後、エマルジョンを得る。エマルジョンに、400グラムの市販のPBBMA粉末(FR1025M、5〜8ミクロンの平均粒子サイズ)および1グラムの殺生物剤を(この順序で)ゆっくり添加する。その後、得られた分散液をさらに10分間混合する。
【0057】
粒子サイズが約600〜1500nmになるまで分散液をかきまぜる。これはIKAウルトラタラックスT−50のようなハイ・シアー・ホモジェナイザーを用いて行われ、約20分間操作した後、ダイノ・ミルのようなパールミルを用いてさらに3サイクルのかきまぜプロセスを行い、要求されるサイズを得る。すべてのかきまぜは30℃を超えないように温度を観察しながら実施する。かきまぜ後、pHを7〜8に調節する。
【0058】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、約70グラムの水および3〜8グラムのアニオン性界面活性剤を入れる。約250rpmで5〜10分間攪拌した後、連続攪拌しながら、一成分ずつ、以下の成分をゆっくりと添加する:2〜6グラムのアクリル酸、15〜40グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、15〜30グラムのアクリロニトリル、80〜110グラムのブチルアクリレート、40〜70グラムのメチルメタクリレートおよび約15グラムの水。得られたプレエマルジョンをさらに15分間混合する。
【0059】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、約120グラムの水、0.5グラムの重炭酸ナトリウムおよび0.5グラムの炭酸ナトリウムを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。連続攪拌(200〜300rpm)を加える。液体の表面下に窒素を約10分間導入する。次いで、0.5グラムのAPSを5グラムの水に溶解することにより作った第1の開始剤溶液を添加し、5分後に、10〜20グラムの上記プレエマルジョンを添加する。数分後、温度変化が観察されない場合に、プレエマルジョンの残りを1つの滴下漏斗を通してゆっくり添加する(これは約3.5時間かける)。次いで、500グラムの上記PBBMA分散液を、第2の滴下漏斗を通して滴下して添加する。これは約1.5時間かける。1.8〜3グラムのAPSと1グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、プレエマルジョンと分散液の両方の添加中に、別の滴下漏斗を通して添加する。全操作の間、温度を80〜82℃に維持する。重合開始から約4時間に、温度を85℃に上げ、得られた分散液をさらに45〜55分間攪拌する。温度を65℃に下げ、1.4グラムのTBHPを4グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.9グラムのフォルモサルを8グラムの水に溶解した溶液を添加し、分散液を室温に冷却し、一定に攪拌しながら2グラムのアンモニア、10〜20グラムの分散剤および約3グラムの殺生物剤を添加する。分散剤は、約13のHLB値を有するアルキルフェノールタイプのものである。
【0060】
例2:
この例では、PBBMA、アクリル酸、N−メチロールアクリルアミドおよびブチルアクリレートのコポリマーを得る。この例に従って得た水性分散液は、約46〜47%固形分含有量を有し、固形分は32%臭素である。2回の繰り返しで、粒子のサイズは134nmから154nmに変化し、それとともに粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル3、12rpm)が1580から3060cpsに変化した。
【0061】
25.8%充填(pick up)までこの分散液(五酸化アンチモン分散液の添加後)で含浸した織物は、上記規格によれば耐燃性であることがわかった。五酸化アンチモンを分散液の形態(ナイアコールA1550という商品名で販売されている)で、ポリマー分散液100グラムあたり18.5グラムの濃度で添加した。
【0062】
ここで、他のモノマーを含むPBBMAのプレ分散液をまず上記PBBMAから調製し、他のモノマーおよび適切な界面活性剤と混合し、次いでこのプレ分散液を重合した。
【0063】
プレ分散液:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、500グラムの既述したPBBMA分散液を、3〜8グラムの2種の界面活性剤からなる界面活性剤の組み合わせとともに入れる。界面活性剤の1つはアニオン性であり、他方は約14〜18の高いHLBを有しノニオン性である。アニオン性およびノニオン性界面活性剤の間の重量比は、2:1である。また、1〜5グラムのアクリル酸、15〜40グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、165〜200グラムのブチルアクリレートおよび15グラムの水を、この順序で、連続攪拌しながらゆっくり分散液に添加する。これは安定なプレ分散液の生成をもたらし、これをさらに15分間攪拌する。
【0064】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、220グラムの水、上記組み合わせで用いられる0.05〜0.5グラムのノニオン性界面活性剤および0.5グラムアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。連続攪拌(200〜300rpm)を加える。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを5グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加し、5分後、プレエマルジョンを4時間かけて滴下漏斗を通して滴下して添加する。また、1〜3グラムのAPSおよび0.5グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、プレ分散液と同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。4時間後、温度を85℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間攪拌する。その後、温度を65℃に下げ、0.5グラムのTBHBを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.3〜2グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。分散液を室温に冷却し、攪拌しながら0.5グラムの消泡剤および2グラムの殺生物剤を添加する。
【0065】
例3:
この例は、例2と同じモノマーのコポリマーをどのように得るかを示すが、この例では、得られた分散液は41%のいくぶん低い固形分含有量およびわずかに62cpsという著しく低い粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル1、60rpm)を有する。粒子サイズを測定すると116nmであり、臭素含有量は30.6%であった。
【0066】
この例は、上記の例1で説明したPBBMA分散液および他のモノマーを含むプレエマルジョンを用いる。分散液、プレエマルジョンおよびメイン開始剤をすべて同時に添加した。
【0067】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、130グラムの水および1〜5グラムの界面活性剤の組み合わせを入れる。この組み合わせは例2で用いたものと同様であるが、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の間の重量比は、例2で用いた2:1ではなく4:1である。250rpmで5〜10分間攪拌した後、連続攪拌しながら、以下の順序で、ゆっくりと、1〜5グラムのアクリル酸、15〜40グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、140〜170グラムのブチルアクリレートおよび15グラムの水を添加する。こうして得られた安定なプレエマルジョンをさらに15分間攪拌する。
【0068】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた加熱/冷却2重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、168グラムの水および0.5グラムのアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。連続攪拌(200〜300rpm)を加える。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、1つの滴下漏斗を通してプレエマルジョンを添加し、第2の滴下漏斗を通して440グラムの上記PBBMAを添加する。4時間かけて、分散液とプレエマルジョンを同時に滴下して添加する。1〜3グラムのAPSおよび0.5グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによってメインの開始剤溶液を調製し、これらを同様に、分散液とプレエマルジョンの両方と同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持すべきである。4時間後、温度を85℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間攪拌する。その後、温度を65℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.3〜2グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。こうして得た分散液を室温まで冷却し、攪拌しながら2グラムのアンモニアと2グラムの殺生物剤を加える。
【0069】
例4:
PBBMA、ブチルアクリレートおよびアクリル酸のコポリマーの調製。この例は約40%の固形物含有量および約52%の臭素含有量を有するポリマー水性分散液を得ることを可能にし、またこの分散液は87nmという例外的に小さな粒子サイズと12cpsという例外的に低い粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル1、60rpm)を特徴とする。
【0070】
PBBMA分散液:メカニカルスターラーを備えた2リットル丸底フラスコに450グラムの水と50〜80グラムの分散剤の組み合わせを入れる。この組み合わせはアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の1:1の組み合わせである。短時間の混合の後、約480グラムの市販のPBBMA粉末(FR1025M、5〜8ミクロンの平均粒子サイズ)をゆっくり添加し、その後、1グラムの殺生物剤を添加する。得られた分散液をさらに10分間混合する。温度を最高30℃に維持しながら、20分間IKAウルトラタラックスT−50のようなハイ・シアー・ホモジナイザーを用いて分散液をかきまぜる。分散液を移し、ダイノ・ミルのようなパールミルを用いてさらに3サイクルのかきまぜを行い、600〜1500nmの粒子サイズをもつようにする。pHを7〜8に調節する。
【0071】
溶液:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、一成分ずつ、示した順序で、50〜100グラムのブチルアクリレート、1〜5グラムのアクリル酸および1〜5グラムのアルキルアリールスルホン酸をゆっくり入れる。
【0072】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却2重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、140グラムの水、1グラムのノニオン性高HLBアルキルフェノール系界面活性剤および0.6グラムのアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃に加熱する。200〜300rpmの連続攪拌を加える。液体の表面下に窒素を10分間導入した後、0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を加える。5分後、その溶液を1つの滴下漏斗を通し5時間かけて滴下して添加し、同時に、700グラムの上記PBBMA分散液と15〜40グラムのN−メチロールアクリルアミドの混合物を第2の滴下漏斗を通して添加する。さらに、1.5グラムのAPS、1〜3グラムのノニオン性高HLBアルキルフェノール系界面活性剤および0.5グラムのアンモニアを30グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。5時間後、温度を85℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間混合する。次いで、温度を65℃に下げ、0.5グラムのTBHPを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.35グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を加える。次いで、分散液を室温に冷却し、0.5グラムの消泡剤および2グラムの殺生物剤を攪拌しながら加える。
【0073】
例5:
PBBMA、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸のコポリマーの調製。この例は、約46%の固形分含有量および20%の臭素含有量を有するポリマー水性分散液を得ることを可能にし、またこの分散液は−12℃という低いTg値(計算値)、186nmの粒子サイズおよび860cpsの粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル3、12rpm)を特徴とする。
【0074】
PBBMA分散液:メカニカルスターラーを備えた2リットル丸底フラスコに、360グラムの水と、40〜55グラムの低HLBアルキルフェノール系ノニオン性分散剤およびアニオン性界面活性剤の1:1の組み合わせを入れる。短時間の攪拌の後、490グラムの市販のPBBMA粉末(FR1025M、5〜8ミクロンの平均粒子サイズ)および8グラムの消泡剤をゆっくり添加した後、1グラムの殺生物剤を添加する。得られた分散液をさらに10分間攪拌する。温度を最高30℃に維持しながら、20分間IKAウルトラタラックスT−50のようなハイ・シアー・ホモジナイザーを用いて分散液をかきまぜる。分散液を移し、パールミル(ダイノ・ミル)を用いてさらに3サイクルのかきまぜを行い、600〜1500nmの粒子サイズが得られるようにする。pHを7〜8に調節する。
【0075】
プレ分散液:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、2種のアルキルフェノール系界面活性剤からなる3〜8グラムの界面活性剤の組み合わせを入れる。界面活性剤の一つはアニオン性であり、他方は約14〜18の高いHLBを有しノニオン性である。アニオン性およびノニオン性界面活性剤の間の重量比は2:1である。また、連続攪拌しながら、1〜5グラムのアクリル酸、15〜40グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、140〜200グラムのブチルアクリレート、140〜200グラムの2−エチルヘキシルアクリレートおよび15グラムの水を、この順序で、ゆっくり分散液に加える。これは安定なプレ分散液の生成をもたらし、これをさらに15分間攪拌する。
【0076】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、202グラムの水、0.05〜2グラムのノニオン性高HLBアルキルフェノール系界面活性剤および0.5グラムのアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃に加熱する。200〜300rpmの連続攪拌を加える。液体の表面下に窒素を10分間導入し、次いで、0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を加える。5分後、第1の滴下漏斗を通してプレ分散液を5時間かけて滴下して添加し、同時に第2の滴下漏斗を通して265グラムの上記PBBMA分散液を添加する。さらに、1〜3グラムのAPSおよび0.5グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。5時間後、温度を85℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間混合する。次いで、温度を65℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.3〜2グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を加える。次いで、分散液を室温に冷却し、攪拌しながら0.5グラムの消泡剤および2グラムの殺生物剤を加える。
【0077】
例6:
68%の臭素、20cpsの粘度、41.5%の固形物含有量および100nmの粒子サイズを有するPBBMAアルキルメタクリレートコポリマー。
【0078】
PBBMA分散液:前の例のように調製する。
【0079】
溶液の調製。2〜8グラムの低HLBノニオン性分散剤、同じ重量のアニオン性界面活性剤および1〜4グラムの増粘剤を100グラムの水に溶解することによる。
【0080】
中間PBBMA分散液の調製。上記分散液と溶液を9:1w/wの比で混合することによる。
【0081】
最終分散液:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、800グラムの上記中間PBBMA分散液および0.05〜3グラムのアリルメタクリレートを連続攪拌しながらゆっくり入れる。
【0082】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、滴下漏斗および窒素注入口を備えた加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、130グラムの水、1〜4グラムの高HLBノニオン性界面活性剤および0.6グラムのアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、200〜300rpmで連続攪拌しながら、溶液を80〜82℃まで加熱する。液体の表面下に窒素を10分間導入する。5分後、0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。さらに5分後、最終分散液を、滴下漏斗を通して4.5時間かけて滴下して添加する。1〜3グラムのAPS、0.1〜2グラムの高HLBノニオン性界面活性剤および0.5グラムのアンモニアを30グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を添加し、同時に分散液とプレエマルジョンの両方を加える。捜査中、温度を80〜82℃に維持する。4.5時間後、温度を85℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間混合する。温度を65℃に冷却し、1〜3グラムのTBHBを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.3〜2グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を加える。分散液を室温に冷却し、攪拌しながら0.5グラムの消泡剤と2グラムの殺生物剤を添加する。
【0083】
例7:
この例では、コポリマーおよびそれを含む水性分散液のための別の方法を示す。この例に従って本発明者によって得られたポリマーは50.6%の固形分を含み、16200cpsの粘度(ブルックフィールド、LTV、スピンドル4、12rpm)を有していた。ポリマー粒子サイズを測定したところ134nmであり、臭素含有量は26.8%であった。
【0084】
このポリマー分散液を、綿およびポリエステルを含むさまざまな織物に適用した。処理した織物を、試験CFR16/1615にしたがって試験した。結果は良好で、処理した織物は前記試験によれば十分に耐燃性であるとみなすことができる。
【0085】
PBBMA分散液:例1と同じ。
【0086】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに90グラムの水と5〜9グラムのアニオン性界面活性剤を入れる。250rpmで5〜10分間混合した後、一成分ずつ、攪拌しながら、以下の成分をゆっくり添加する:1〜3グラムのアクリル酸、25〜40グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、220〜290グラムのブチルアクリレートおよび15グラムの水。こうして得られた安定なプレエマルジョンをさらに15分間攪拌する。
【0087】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに90グラムの水、0.5〜3グラムのアニオン性界面活性剤および0.5グラムのアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。200から300rpmで連続攪拌を加える。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、8〜25グラムの上記プレエマルジョンを添加する。数分後、温度の変化が観察されない場合に、プレエマルジョンの残りを第1の滴下漏斗を通して添加し、第2の滴下漏斗を通して472グラムの例1のPBBMAを4時間かけて滴下して添加する。1〜3グラムのAPSおよび0.5グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、分散液およびプレエマルジョンと同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。4時間後、温度を85℃に上げ、得られた分散液をさらに55分間混合する。温度を65℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを5グラムの水に溶解した溶液を加える。5分間攪拌した後、0.3〜2グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。得られた分散液を室温に冷却し、攪拌しながら2グラムのアンモニアおよび2グラムの殺生物剤を添加する。
【0088】
例8:
これは、本発明に従って得られる、異常に粘性のない分散液に関する別の例である。このポリマー分散液を綿およびポリエステルのようなさまざまな種類の織物に適用し、試験CFR16/1615に従って試験した。結果は良好であり、処理した織物は十分に難燃性であるとみなすことができた。
【0089】
この例に従って本発明者によって調製された水性分散液は、40.1%の固形分含有量および10cps程度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル1、60rpm)の低い粘度を有していた。ポリマーの粒子サイズを測定したところ137nmであり、ポリマーの臭素含有量は43%であった。
【0090】
PBBMA分散液:例4と同じ。
【0091】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに90グラムの水、5〜8グラムのアニオン性界面活性剤とノニオン性高HLB界面活性剤の2:1混合物を入れる。250rpmで5〜10分間混合した後、一定に攪拌しながら以下の順序に従って、1〜4グラムのアクリル酸、15〜30グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、110〜150グラムのブチルアクリレートおよび15グラムの水をゆっくりと添加する。こうして得られた安定なプレエマルジョンをさらに15分間攪拌する。
【0092】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、177グラムの水および0.55グラムのアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。200〜300rpmで連続攪拌を加える。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、プレエマルジョンを滴下漏斗の一方を通し、例4の492グラムのPBBMAを他方の滴下漏斗を通して、5時間かけて滴下して添加する。1〜3グラムのAPSおよび0.5グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、分散液とプレエマルジョンの両方と同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。5時間後、温度を85℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間攪拌する。温度を65℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.3〜2グラムのフォルモサル溶液を5グラムの水に溶解した溶液を添加する。得られた分散液を室温に冷却し、攪拌しながら2グラムの消泡剤および2グラムの殺生物剤を添加する。
【0093】
例9:
ここではPBBMA、ブチルアクリレート、アクリル酸およびN−メチロールアクリルアミドのコポリマーを調製する。本発明者はこの例に従って、49.3%の固形物含有量と530cpsの粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル2、30rpm)を有する水性ポリマー分散液を得た。このポリマーを測定したところ、176nmの粒子サイズおよび47.2%の臭素含有量を有していた。このポリマー水性分散液を、綿、ポリエステルなどのようなさまざまな種類の織物に適用し、試験CFR16/1615に従って試験した。結果は良好で、処理した織物は十分に耐燃性であるとみなすことができた。
【0094】
PBBMA分散液:例4と同じ。
【0095】
溶液:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、一定にミキシングしながら、示した順序で、60グラムのブチルアクリレート、1〜3グラムのアクリル酸および0.5〜1.5グラムのアニオン性アルキルアリールスルホン酸系界面活性剤をゆっくり入れる。
【0096】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、2つの滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、134グラムの水、1〜4グラムのノニオン性高HLB界面活性剤および0.6グラムアンモニアを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。200〜300rpmで連続攪拌する。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを3グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、得られた溶液を一方の滴下漏斗を通して添加し、同時に、他方の滴下漏斗を通して、660グラムの例4に記載した最終的なPBBMA分散液および25〜40グラムのN−メチロールアクリルアミドの混合物を5時間かけて滴下して添加する。1〜3グラムのAPS、0.5〜2グラムのノニオン性高HLB界面活性剤および0.5グラムのアンモニアを30グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、分散液とプレエマルジョンの両方と同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。5時間後、温度を85℃まで上げ、得られたものをさらに45〜55分間攪拌する。温度を65℃まで下げ、1〜3グラムのTBHPを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.3〜2グラムのフォルモサルを5グラムの水に溶解した溶液を添加する。分散液を室温まで冷却し、攪拌しながら0.5グラムの消泡剤および2グラムの殺生物剤を添加する。
【0097】
例10:
この例および以下の2つの例は本発明の別の態様を示し、この態様によれば臭素化ポリマーの溶液(分散液またはエマルジョンよりもむしろ)を最初に調製する。
【0098】
この例によれば、48%の固形分含有量および15cpsの粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル1、60rpm)を有する水性分散液が調製された。その中に含まれるポリマーはPBBMA、アクリル酸およびN−メチロールアクリルアミドからなり、24.3%の臭素含有量を有し、ポリマー粒子のサイズは950nmであった。得られたポリマーは115℃の計算値Tgを示した。
【0099】
PBBMA溶液:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、320〜350グラムのスチレンを入れ、45〜50℃まで加熱する。130〜180のPBBMA粉末(スチレン:PBBMA重量比1.8:1)を添加し、得られた溶液が透明に見えるまで攪拌する。この溶液を室温まで冷却する。
【0100】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、204グラムの水、1〜4グラムの直鎖アニオン性界面活性剤、3〜6グラムの15〜18のHLB値を有するノニオン性アルコールエトキシル化界面活性剤、3〜6グラムのアクリル酸、15〜30グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、上記PBBMA溶液および15グラムの水を入れる。これらの成分を、連続攪拌しながら、示した順序でゆっくりと添加する。このようにして得られた安定なプレエマルジョンをさらに15分間攪拌する。
【0101】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、204グラムの水、0.5グラムの炭酸ナトリウムおよび0.5グラムの重炭酸ナトリウムを入れる。熱湯をジャケットに通過し、溶液を80〜82℃まで加熱する。200〜300rpmで連続攪拌する。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを5グラムの水に溶解することにより作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、このようにして得られたプレエマルジョンを、滴下漏斗を通して、4時間かけて滴下して添加する。1〜3グラムのAPSおよび1グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、プレエマルジョンを添加すると同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。4時間後、温度を86℃に上げ、得られた分散液をさらに45〜55分間攪拌する。温度を70℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを4グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.5〜2グラムのフォルモサルを8グラムの水に溶解した溶液を添加する。得られた分散液を室温に冷却し、攪拌しながら2グラムのアンモニアおよび2グラムの殺生物剤を添加する。
【0102】
この例に従って得られたポリマーを、綿およびポリエステルのようなさまざまな種類の織物に適用し、試験CFR16/1615に従って試験した。結果は良好であり、基材は十分に難燃性とみなすことができる。
【0103】
例11:
この例で得られたポリマーは、先の例で得られたものと、モノマー含有量において同様であるが、ブチルアクリレートも含み、これはポリマーをより疎水性にし、そのTg値を低下させる。また、成分をプレエマルジョンに加える順序の違いにも注意されたい。この例に従って得られる水性分散液は50.8%の固形分含有量および31cpsの粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル1、60rpm)を有していた。ポリマーは803nmの粒子サイズおよび20.5%の臭素含有量を有していた。得られたポリマーの計算値Tgは59℃であった。
【0104】
PBBMA溶液:例10に従って調製する。
【0105】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、攪拌しながら、以下の順序で、204グラムの水、1〜4グラムの直鎖アニオン性界面活性剤、3〜6グラムのノニオン性高HLBアルコールエトキシル化界面活性剤、3〜6グラムのアクリル酸、15〜30グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、120〜160グラムのブチルアクリレート、上記PBBMA溶液および15グラムの水をゆっくり入れる。このようにして得られた安定なプレエマルジョンをさらに15分間攪拌する。
【0106】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、滴下漏斗、および窒素注入口を備えた加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、180グラムの水、0.6グラムのアンモニアおよび1グラムの重炭酸ナトリウムを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃に加熱する。200〜300rpmで連続攪拌する。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.5グラムのAPSを5グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、プレエマルジョンを、滴下漏斗を通して、4時間かけて滴下して添加する。また、1.7〜2.7グラムのAPSおよび1グラムのアンモニアを40グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、プレエマルジョンを添加するのと同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。4時間後、温度を86℃に上げ、分散液をさらに45〜55分間攪拌する。温度を70℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを4グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.5〜2グラムのフォルモサルを8グラムの水に溶解した溶液を添加する。分散液を室温に冷却し、攪拌しながら2グラムのアンモニアと2グラムの殺生物剤を添加する。
【0107】
例12:
この例は、重合プロセス中に酸化アンチモンを水性分散液に添加してもよいこと、および重合前にプレエマルジョンに添加してもよいことを示す。
【0108】
本発明に従って調製したポリマーは、51.9%の固形物含有量および2250cpsの粘度(ブルックフィールド、LVT、スピンドル4、12rpm)を有していた。ポリマーは138nmの粒子サイズ、22.5%の臭素含有量を示し、および116℃の計算値Tgを有していた。
【0109】
PBBMA溶液:例10に詳述したように調製する。
【0110】
プレエマルジョン:メカニカルスターラーを備えた1リットル丸底フラスコに、一成分ずつ、示した順序に従って、一定に攪拌しながら、204グラムの水、3〜6グラムのアニオン性界面活性剤、1〜4グラムのアクリル酸、20〜35グラムのN−メチロールアクリルアミド(45%固形分)、75〜90グラムの五酸化アンチモン分散液(ナイアコールA1550PH7)、上記PBBMA溶液および15グラムの水をゆっくりと入れる。こうして得られた安定なプレエマルジョンをさらに15分間攪拌する。
【0111】
重合プロセス:メカニカルスターラー、還流凝縮器、温度計、滴下漏斗および窒素注入口を備えた、加熱/冷却二重ガラス張りジャケットを有する1.7リットル5首丸底フラスコに、122グラムの水、75〜90グラムの五酸化アンチモン分散液(ナイアコールA1550PH7)、0.5〜3グラムのアニオン性界面活性剤および0.5グラムの重炭酸ナトリウムを入れる。熱湯をジャケットに通し、溶液を80〜82℃まで加熱する。200〜300rpmで連続攪拌する。液体の表面下に窒素を10分間導入する。0.4グラムのAPSを5グラムの水に溶解することによって作った第1の開始剤溶液を添加する。5分後、プレエマルジョンを滴下漏斗を通して4時間かけて滴下して添加する。1〜3グラムのAPSおよび1グラムのアンモニアを35グラムの水に溶解することによって調製したメインの開始剤溶液を、プレエマルジョンの添加と同時に添加する。操作中、温度を80〜82℃に維持する。4時間後、温度を86℃まで上げ、分散液をさらに45〜55分間攪拌する。温度を70℃に下げ、1〜3グラムのTBHPを4グラムの水に溶解した溶液を添加する。5分後、0.5〜2グラムのフォルモサルを8グラムの水に溶解した溶液を添加する。得られた分散液を室温まで冷却し、攪拌しながら2グラムのアンモニアおよび2グラムの殺生物剤を添加する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種の非臭素化モノマーと、(ii)構造A−B−Cを有する少なくとも1種の臭素化モノマー(式中、Aは3〜5個の臭素原子で置換されたフェニルであり、BはC1からC4アルキルであり、任意に1から8個の臭素原子で置換され、Cはアクリルまたはメタクリル基である)とから得られたポリマーであって、20%(w/w)以上の臭素含有量を有することを特徴とするポリマー。
【請求項2】
前記フェニルが5個の臭素原子で置換されている請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記アルキルがCH2である請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
前記アクリル基がアクリレートである請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
前記臭素化モノマーがペンタブロモベンジルアクリレート(PBBMA)である請求項1記載のポリマー。
【請求項6】
前記臭素含有量が60〜70%である請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
前記臭素含有量が25〜50%である請求項1記載のポリマー。
【請求項8】
前記臭素含有量が20〜35%である請求項1記載のポリマー。
【請求項9】
スペシャルティモノマーである非臭素化モノマーを有する請求項1ないし8のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項10】
前記スペシャルティモノマーが架橋性、界面活性および/または接着促進性であるモノマーから選択される請求項1ないし9のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項11】
前記スペシャルティモノマーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩、ベータ−カルボキシメチルアクリレート、アリルオキシポリエトキシ(10)硫酸アンモニウム、ラウレトキシ(23)メタクリレート、ラウレトキシ(25)メタクリレート、アリルメタクリレート、およびヒドロキシルエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、α−スルホ−ω−[1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ]−ω−ヒドロ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩、α−[1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ]−ω−ヒドロ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、およびトリメチロールプロパンアクリレートから選択される請求項9記載のポリマー。
【請求項12】
アクリルモノマー、酢酸ビニルおよびスチレンまたはスチレン誘導体からなる群より選択される非臭素化モノマーを有する請求項1ないし8のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項13】
前記アクリルモノマーがアクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルメタクリレートから選択される請求項1ないし12記載のポリマー。
【請求項14】
式R1CH=CR2C(O)Aの非臭素化モノマー
(式中、AはOR3、NR34およびCNからなる群より選択され、R1およびR2は各々独立にHおよびアルキルから選択され、前記アルキルは直鎖または分枝鎖であり、R3およびR4の各々は独立にH、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ポリアルコキシ、アルカノールまたはエーテルであり、それらの各々は置換または非置換の直鎖または分枝鎖である)
を有する請求項1ないし8のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項15】
炭素含有R基が1ないし15個の炭素を有する請求項1ないし14のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項16】
アルキル基が1ないし4個の炭素原子を有する請求項1ないし15のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項17】
0℃未満のTgを有する請求項1ないし16のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項記載のポリマーおよび2種以上の界面活性剤を含む混合物。
【請求項19】
五酸化アンチモンをさらに含む請求項18記載の混合物。
【請求項20】
構造A−B−Cを有する臭素含有モノマー(式中、Aは3〜5個の臭素原子で置換されたフェニルであり、BはC1からC4アルキルであり、任意に1から8個の臭素原子で置換され、Cはアクリルまたはメタクリル基である)と、少なくとも1種の非臭素化モノマーから得られたポリマーを含む水性分散液であって、少なくとも40%の固形物含有量を有することを特徴とする水性分散液。
【請求項21】
前記フェニルが5個の臭素原子で置換されている請求項20記載の水性分散液。
【請求項22】
前記アルキルがCH2である請求項20または21記載の水性分散液。
【請求項23】
前記臭素化モノマーがPBBMAである請求項20記載の水性分散液。
【請求項24】
前記ポリマーが請求項1ないし17のいずれか1項記載のものである請求項20記載の水性分散液。
【請求項25】
少なくとも2種の異なる界面活性剤をさらに含む請求項20ないし24のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項26】
前記界面活性剤の1以上がアルキルアリールである請求項1ないし25のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項27】
酸化アンチモンをさらに含む請求項20ないし26のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項28】
本質的に水溶液中の固体粒子からなり、固体粒子のサイズが2000nm未満である請求項20ないし27のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項29】
前記サイズが50ないし1000nmである請求項20ないし28のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項30】
前記サイズが80ないし400nmである請求項20ないし29のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項31】
前記ポリマーが1.2g/cc以上の密度を有する請求項20ないし30のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項32】
前記ポリマーが500,000以上の分子量を有する請求項19ないし30のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項33】
前記ポリマーが1,000,000以上の分子量を有する請求項20ないし32のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項34】
直射日光なしで−7〜35℃において少なくとも6ヶ月間安定である請求項20ないし33のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項35】
直射日光なしで5から35℃において少なくとも6ヶ月間安定である請求項20ないし33のいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項36】
酸化アンチモンと、少なくとも1種の臭素含有モノマーおよび少なくとも1種の非臭素化モノマーから得られたポリマーを含み、耐燃性である製品。
【請求項37】
前記ポリマーが請求項1ないし17のいずれか1項記載のものである請求項36記載の製品。
【請求項38】
織物を含み、織物は請求項27ないし35のいずれか1項記載の水性分散液で印刷され、スプレーされ、または含浸されている請求項36または37記載の製品。
【請求項39】
前記非臭素化モノマーが疎水性である請求項38記載の製品。
【請求項40】
前記疎水性モノマーがブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、スチレン、およびスチレン誘導体からなる群より選択される請求項39記載の製品。
【請求項41】
請求項20ないし35のいずれか1項記載の水性分散液で織物に印刷し、スプレーし、または含浸することを含む難燃性織物を製造する方法。
【請求項42】
請求項20ないし35のいずれか1項記載の水性分散液で織物に印刷し、スプレーし、または含浸することを含む織物の疎水性を改善する方法。
【請求項43】
前記分散液に分散されたポリマーが疎水性非臭素化モノマーを含む請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
前記疎水性非臭素化モノマーがブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、およびスチレンからなる群より選択される請求項41記載の方法。
【請求項45】
少なくとも第1のモノマーと第2のモノマーを含むコポリマーの水性分散液を得る方法であって、前記第2のモノマーは少なくとも部分的に前記第1のモノマーに溶解し、水と界面活性剤の存在下で反応してそれと重合し、前記第1のモノマーが臭素化芳香族化合物であることを特徴とする方法。
【請求項46】
前記臭素化芳香族化合物が構造A−B−C(式中、Aは3〜5個の臭素原子で置換されたフェニルであり、BはC1からC4アルキルであり、任意に1から8個の臭素原子で置換され、Cはアクリルまたはメタクリル基である)を有する請求項41ないし45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記第1のモノマーのフェニル基が5個の臭素原子で置換されている請求項45または46記載の方法。
【請求項48】
前記第1のモノマーのアルキル基がCH2である請求項45または46記載の方法。
【請求項49】
前記第1のモノマーがPBBMAである請求項41ないし48のいずれか1項記載の方法。
【請求項50】
前記第1のモノマーがブロモスチレンまたはその誘導体である請求項45記載の方法。
【請求項51】
前記第2のモノマーがスチレンまたはスチレン誘導体である請求項45ないし50のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
前記水の量が、得られる分散液が少なくとも40%の固形分含有量を有するようなものである請求項45ないし51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
前記第1のモノマーと非臭素化モノマーとの比が、得られるポリマーが少なくとも20%(w/w)の臭素含有量を有するようなものである請求項45ないし52のいずれか1項記載の方法。
【請求項54】
前記界面活性剤の少なくとも1種が反応性であり、得られるポリマーが前記第1のモノマーと、前記第2のモノマーと、前記反応性界面活性剤とを含む請求項45ないし53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
前記第1および第2のモノマーを少なくとも1種の他のモノマーと反応させ、その方法によって得られるポリマーが、前記第1のモノマーと、前記第2のモノマーと、前記少なくとも1種の他のモノマーを含むものであるようにする請求項45ないし54のいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1種の他のモノマーがスペシャルティモノマーである請求項41ないし55のいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
前記スペシャルティモノマーが架橋性、界面活性、および接着促進的であるモノマーから選択される請求項41ないし56のいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
前記スペシャルティモノマーがN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩、ベータ−カルボキシメチルアクリレート、アリルオキシポリエトキシ(10)硫酸アンモニウム、ラウレトキシ(23)メタクリレート、ラウレトキシ(25)メタクリレート、アリルメタクリレート、およびヒドロキシルエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、α−スルホ−ω−[1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ]−ω−ヒドロ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩、α−[1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ]−ω−ヒドロ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩からなる群より選択される請求項56または57記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1種の他のモノマーがアクリルモノマーおよび酢酸ビニルからなる群より選択される請求項55記載の方法。
【請求項60】
前記アクリルモノマーがアクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルメタクリレートから選択される請求項41ないし59のいずれか1項記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1種の他のモノマーが式R1CH=CR2C(O)A(式中、AはOR3、NR3R4およびCNからなる群より選択され、R1およびR2は各々独立にHおよびアルキルから選択され、前記アルキルは直鎖または分枝鎖であり、R3およびR4の各々は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ポリアルコキシ、アルカノールまたはエーテルであり、それらの各々は置換または非置換の直鎖または分枝鎖である)のものである請求項55記載の方法。
【請求項62】
炭素含有R基は1ないし15個の炭素原子を有する請求項41ないし61記載の方法。
【請求項63】
アルキル基は1ないし4個の炭素原子を有する請求項41ないし62のいずれか1項記載の方法。
【請求項64】
(i)前記第1のモノマーを第1の液体に溶解して溶液を得る工程と(前記第1の液体は、前記第2のモノマーおよび任意に界面活性剤を含む)、
(ii)前記溶液を水および任意に界面活性剤と混合し、水と、界面活性剤と、前記第1のモノマーとを含む安定なエマルジョンを得る工程と、
(iii)前記安定なエマルジョンを開始剤と反応させ、少なくとも前記第1のモノマーと前記第2のモノマーとを含むコポリマーの水性分散液を得る工程と
を有する請求項45ないし63のいずれか1項記載の方法。
【請求項65】
前記第1の液体は界面活性剤を含まず、(ii)において前記溶液を水および界面活性剤と混合する請求項41ないし65のいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−522281(P2007−522281A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550488(P2006−550488)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000088
【国際公開番号】WO2005/070980
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506255625)ビー.ジー.・ポリマーズ・エー.・シー.・エー.・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】B.G.POLYMERS A.C.A. LTD
【出願人】(506255614)ブロミネ・コムパウンズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】