航法装置、航法装置の姿勢角計算方法および姿勢角計算プログラム

【課題】移動体が変形し、GPSアンテナ間の相対位置に変化が生じた場合でも、GPSアンテナ間の基線ベクトルに基づいて移動体の姿勢角を高精度に推定できるようにすることを目的とする。
【解決手段】移動体の機体には迎角センサ271,動圧センサ272および静圧センサ273が設置される。変形量推算部230は迎角センサ271、動圧センサ272および静圧センサ273から迎角α、動圧qおよび大気圧pを取得し、迎角α、動圧qおよび大気圧pに基づいて機体の変形量dBを計算する。基線ベクトル変化量推算部231は機体の変形量dBに基づいてGPSアンテナ間の基線ベクトルの変化量dbを計算する。基線ベクトル補正部232は変化量dbを加算して既知の基線ベクトルを補正する。そして、姿勢角計算部220は補正により得られた基線ベクトルに基づいて移動体の姿勢角(ロール角φ、ピッチ角θ、ヨー角ψ)を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、航空機に搭載され、複数のGPS(Global Positioning System)アンテナ間の基線ベクトルを高精度に推定することにより、航空機の姿勢角推定を行う航法装置、航法装置の姿勢角計算方法および姿勢角計算プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体に複数のGPSアンテナを搭載し、個々のGPSアンテナにより観測されたGPS搬送波位相情報を用いて干渉測位を行うことで、GPSアンテナ(の位相中心)間のベクトルとして定義される基線ベクトルを高い精度で決定することができる。
そして、移動体上のGPSアンテナの既知の相対位置に基づいて求まる基線ベクトルと上記の干渉測位により求まる基線ベクトルとに基づいて、移動体の姿勢角を決定することができる。
移動体に二つのGPSアンテナを搭載した場合には、一つの基線ベクトルが決定され、GPS基準座標系(以下、航法系という)における移動体の方位角を決定することができる。また、移動体に三つ以上のGPSアンテナを搭載した場合には、平行でない複数の基線ベクトルを決定することにより、GPS基準座標系における移動体の姿勢角(回転角、仰角、方位角)を決定することができる。
【0003】
この種の航法装置においては、高い姿勢角精度を得るために基線ベクトルをミリメートル精度で決定することが必要となる。このため、移動体の捩れ等の構造的要因によるGPSアンテナの物理的な相対位置の変動は基線ベクトルおよび姿勢角の精度に影響を及ぼす。そこで、移動体には、通常、剛なアーム構造が採用されている。
但し、姿勢角精度は基線ベクトルの長さに比例して向上するため、GPSアンテナは、航空機(移動体の一例)の翼端など、基線ベクトル長は長くなるが構造的な変形が発生しやすい部位に設置されることがある。
【非特許文献1】サテライトコンパスSC−110カタログ、古野電気株式会社
【非特許文献2】“P.J.G.Teunissen、Delft Institute for Earth Observation and Space Systems(DEOS)、Delft University of Technology、「THE LAMBDA METHOD FOR THE GNSS COMPASS」、ARTIFICIAL SATELLITES,Vol.41,No.3−2006”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機の翼端などの構造的な変形が発生する構造部位にGPSアンテナが設置された場合、飛行時の空力的荷重の変化等の要因により、翼が構造的に変形し、GPSアンテナ間の物理的な相対位置に変化が生じ、姿勢角の推定精度が劣化するという課題があった。
【0005】
本発明は、例えば、移動体が変形し、GPSアンテナ間の相対位置に変化が生じた場合でも、GPSアンテナ間の基線ベクトルに基づいて移動体の姿勢角を高精度に推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の航法装置は、衛星からGPS(Global Positioning System)の搬送波を受信する複数のGPS受信機と、動圧を計測する動圧センサと大気圧を計測する静圧センサと迎角を計測する迎角センサとの少なくともいずれかのセンサを備える移動体の姿勢角を計算する航法装置であり、前記動圧センサにより計測された動圧と前記静圧センサにより計測された大気圧と前記迎角センサにより計測された迎角との少なくともいずれかに基づいて前記移動体の変形量をCPUを用いて推算する変形量推算部と、前記複数のGPS受信機間のベクトルを基線ベクトルとして基線ベクトルの変化量を前記変形量推算部により推算された前記移動体の変形量に基づいてCPUを用いて推算する基線ベクトル変化量推算部と、前記基線ベクトル変化量推算部により推算された変化量に基づいて前記基線ベクトルをCPUを用いて補正する基線ベクトル補正部と、前記基線ベクトル補正部により補正された基線ベクトルと前記複数のGPS受信機それぞれにより受信された搬送波から得られる情報とに基づいて前記移動体の姿勢角をCPUを用いて計算する姿勢角計算部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、移動体が変形し、GPSアンテナ間の相対位置に変化が生じた場合でも、GPSアンテナ間の基線ベクトルに基づいて移動体の姿勢角を高精度に推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における航空機100の構成図であり、機体を上方から示している。
実施の形態1における航空機100の構成について、図1に基づいて以下に説明する。
実施の形態1で説明する航空機100は、姿勢角の推定対象とする移動体の一例である。姿勢角の推定対象とする移動体は、航空機100に限らず、車両や船などでも構わない。
【0009】
航空機100は、主翼120の左右の翼端と水平尾翼130との3か所にGPSアンテナ(141、142、143)が固定して設置されている。
各GPSアンテナは、GPS衛星から発信されるRF信号(搬送波ともいう)を観測する。RF信号には、航法メッセージが含まれる。観測とは、GPSアンテナに到達したRF信号を検出(入力、受信)することをいうものとする。GPSアンテナにより観測されたRF信号は、GPSアンテナからRFケーブル144を介して航法装置200に出力され、航法装置200により受信される。GPSアンテナ141と航法装置200(後述するGPS受信モジュール210)とはGPS受信機を構成する。
【0010】
以下、水平尾翼130に設置されているGPSアンテナ143から主翼120の(上方から見て)左端に設置されているGPSアンテナ141へのベクトルを「基線ベクトルb」とし、水平尾翼130に設置されているGPSアンテナ143から主翼120の(上方から見て)右端に設置されているGPSアンテナ142へのベクトルを「基線ベクトルb」とする。
【0011】
実施の形態1では、GPSアンテナ(141、142)を主翼120の翼端に設置することにより、長い基線ベクトル長を確保し、基線ベクトルに基づいて推定される機体の姿勢角の精度を高めている。
【0012】
図2は、飛行時の航空機100の主翼120の変形を示す図であり、機体を後方から示している。図2では、変形前の主翼120を点線で示し、変形後の主翼120を実線で示している。
航空機100の主翼120は飛行時(例えば、機体旋回時)に受ける空気力の影響により図2に示すように変形が生じやすく、変形による翼端部の変動量は大きい。このため、GPSアンテナを主翼120の翼端に設置することにより基線ベクトルの変化量は大きくなり、基線ベクトルの変化量を考慮しない場合、航空機100の姿勢角の精度が低下する。
【0013】
図1において、航空機100には、迎角、動圧、静圧を計測する各種のセンサ270が設置されている。
また、航空機100は、機体の姿勢角を推定する航法装置200を備える。航法装置200により推定された機体の姿勢角は、各計器への出力や自動操舵制御に利用される。
【0014】
航法装置200は、センサ270の計測値に基づいて主翼120の変形量を推算し、推算した主翼120の変形量に基づいて基線ベクトルの変化量を推算し、推算した変化量で基線ベクトルを補正する。そして、航法装置200は、GPSアンテナから受信したRF信号の位相(以下、搬送波位相という)と補正により得られた基線ベクトルとに基づいて機体の姿勢角を推定する。
航法装置200は、主翼120の変形量を推算して基線ベクトルを補正することにより、主翼120が変形した場合でも姿勢角を高精度に推定することができる。
【0015】
GPSアンテナ(141〜143)、センサ270および航法装置200は、航空機100の姿勢角を推定する航法システム190を構成する。
【0016】
図3は、実施の形態1における航法システム190の構成図である。
実施の形態1における航法システム190の構成について図3に基づいて、以下に説明する。
【0017】
航法システム190は、GPSアンテナ(141〜143)、センサ270および航法装置200を備える。
また、航法システム190は、センサ270として、迎角センサ271、動圧センサ272および静圧センサ273を備える。
【0018】
迎角センサ271は、機体の迎角αを計測するセンサであり、計測した迎角αを航法装置200の変形量推算部230に出力する。迎角αは、機体のx軸(進行方向)に対して気流が流入する方向として定義される。
動圧センサ272は、ピトー管を備えて動圧qを計測するセンサであり、計測した動圧qを航法装置200の変形量推算部230に出力する。動圧qは、気流の総圧として定義される。
静圧センサ273は、大気圧pを算出するセンサであり、算出した大気圧pを航法装置200の変形量推算部230に出力する。
【0019】
航法装置200は、GPS受信モジュール210、姿勢角計算部220、変形量推算部230、基線ベクトル変化量推算部231および基線ベクトル補正部232を備える。
【0020】
GPS受信モジュール210は、GPSアンテナ(141、142、143)毎に備わり、GPSアンテナからRFケーブル144を介してRF信号281を受信する。
GPS受信モジュール210は、受信したRF信号281を復調し、RF信号281に含まれる航法メッセージ282を取得する。航法メッセージ282には、各GPS衛星の軌道位置を示す軌道パラメータが含まれる。
また、GPS受信モジュール210は、受信したRF信号281の搬送波位相fを検出し、RF信号281を送信したGPS衛星との距離を疑似距離rとして算出する。
GPS受信モジュール210は、疑似距離r、搬送波位相fおよび航法メッセージ282を姿勢角計算部220に出力する。
疑似距離r、搬送波位相fおよび航法メッセージ282は、RF信号281から得られる情報の一例である。
【0021】
変形量推算部230は、迎角センサ271から迎角α、動圧センサ272から動圧qおよび静圧センサ273から大気圧pを入力する。
そして、変形量推算部230は、入力した迎角α、動圧qおよび大気圧pに基づいて航空機100の主翼120の変形量dBをCPU(Central Processing Unit)を用いて推算し、推算した主翼120の変形量dBを基線ベクトル変化量推算部231に出力する。
【0022】
基線ベクトル変化量推算部231は、変形量推算部230から主翼120の変形量dBを入力し、入力した主翼120の変形量dBに基づいて基線ベクトル(b、b)の変化量(db、db)をCPUを用いて推算する。
基線ベクトル変化量推算部231は、推算した基線ベクトルの変化量dbを基線ベクトル補正部232に出力する。
基線ベクトルの変化量dbの推算方法の詳細については、後述する。
【0023】
基線ベクトル補正部232は、変形量推算部230から基線ベクトルの変化量(db、db)を入力し、入力した変化量(db、db)に基づいて基線ベクトル(b、b)をCPUを用いて補正する。
基線ベクトル補正部232は、補正により得られた基線ベクトル(b、b)を姿勢角計算部220に出力する。
基線ベクトル基線ベクトル(b、b)の補正方法の詳細については、後述する。
【0024】
姿勢角計算部220は、GPS受信モジュール210から疑似距離r、搬送波位相fおよび航法メッセージ282を入力し、基線ベクトル補正部232から基線ベクトル(b、b)を入力する。
姿勢角計算部220は、入力した疑似距離r、搬送波位相f、航法メッセージ282および基線ベクトル(b、b)に基づいて、機体の姿勢角(ロール角φ、ピッチ角θ、ヨー角ψ)をCPUを用いて算出する。
機体の姿勢角の算出方法の詳細については、後述する。
【0025】
図4は、実施の形態1における航法装置200のハードウェア資源の一例を示す図である。
図4において、航法装置200は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりにその他の記憶装置(例えば、RAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリ)を用いてもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶機器、記憶装置あるいは記憶部の一例である。また、入力データが記憶されている記憶機器は入力機器、入力装置あるいは入力部の一例であり、出力データが記憶される記憶機器は出力機器、出力装置あるいは出力部の一例である。
通信ボード915は、入出力機器、入出力装置あるいは入出力部の一例である。
【0026】
通信ボード915は、有線または無線で、距離LAN(Local Area Network)、インターネット、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)、電話回線などの通信網に接続されている。
【0027】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、OS921により実行される。
【0028】
上記プログラム群923には、実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0029】
ファイル群924には、実施の形態において、「〜部」の機能を実行した際の「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」などの結果データ、「〜部」の機能を実行するプログラム間で受け渡しするデータ、その他の情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。機体の姿勢角(ロール角φ、ピッチ角θ、ヨー角ψ)、主翼120の変形量dB、基線ベクトルの変化量dbなどはファイル群924に含まれるものの一例である。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、実施の形態において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他の記録媒体に記録される。また、データや信号値は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0030】
また、実施の形態において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスクやその他の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0031】
図5は、実施の形態1における姿勢角計算方法を示すフローチャートである。
実施の形態1において、航法装置200が航空機100の姿勢角を計算する姿勢角計算方法について、図5に基づいて以下に説明する。
航法装置200の各部は、以下に説明する処理をCPUを用いて実行する。
【0032】
<S110:搬送波情報取得処理>
GPSアンテナ(141、142、143)は、GPS衛星から発信されたRF信号(搬送波)を観測し、観測したRF信号をRFケーブル144を介して航法装置200のGPS受信モジュール210に出力する。
GPS受信モジュール210は、GPSアンテナ(141、142、143)からRFケーブル144を介してRF信号281を受信する。
次に、GPS受信モジュール210は、受信したRF信号281を復調し、RF信号281に含まれる航法メッセージ282を取得する。航法メッセージ282には、各GPS衛星の軌道位置を示す軌道パラメータが含まれる。
また、GPS受信モジュール210は、受信したRF信号281の搬送波位相fを検出すると共に、RF信号281を送信したGPS衛星との距離を疑似距離rとして算出する。
そして、GPS受信モジュール210は疑似距離r、搬送波位相fおよび航法メッセージ282を姿勢角計算部220に出力し、姿勢角計算部220はGPS受信モジュール210から疑似距離r、搬送波位相fおよび航法メッセージ282を入力する。
【0033】
<S120:センサ値取得処理>
迎角センサ271、動圧センサ272、静圧センサ273はそれぞれ、迎角α、動圧q、大気圧pを計測し、計測値を航法装置200の変形量推算部230に出力する。
変形量推算部230は、迎角センサ271、動圧センサ272および静圧センサ273から迎角α、動圧qおよび大気圧pを入力する。
【0034】
<S130:変形量推算処理>
変形量推算部230は、迎角センサ271、動圧センサ272および静圧センサ273から入力した迎角α、動圧qおよび大気圧pに基づいて、航空機100の主翼120の変形量dBを推算する。
変形量推算部230は、推算した主翼120の変形量dBを基線ベクトル変化量推算部231に出力し、基線ベクトル変化量推算部231は変形量推算部230から主翼120の変形量dBを入力する。
【0035】
<S140:基線ベクトル変化量推算処理>
基線ベクトル変化量推算部231は、変形量推算部230から入力した変形量dBに基づいて、基線ベクトルbの変化量dbおよび基線ベクトルbの変化量dbを推算する。
基線ベクトル変化量推算部231は推算した基線ベクトルの変化量(db、db)を基線ベクトル補正部232に出力し、基線ベクトル補正部232は基線ベクトル変化量推算部231から基線ベクトルの変化量(db、db)を入力する。
【0036】
図6は、実施の形態1における航空機100の主翼120にかかる力を示す図であり、航空機100を後方から示している。
図6において、変形量推算部230は、GPSアンテナ141が設置されている主翼120の部位にかかる力FおよびモーメントMを以下に示す式1〜式4により計算し、以下の式5に示すように力FおよびモーメントMに基づいて主翼120の変形量dBを計算する(S120)。
基線ベクトル変化量推算部231は、以下の式6に示すように主翼120の変形量dBに基づいて基線ベクトルの変化量(db、db)を計算する。
「距離L」は翼胴取付部111からGPSアンテナ141が設置されている部位までの距離を示し、「距離c」は翼胴取付部111から主翼120の端までの距離を示す。翼胴取付部111とは、航空機100の胴体110と主翼120との接合部分のことである。
【0037】
【数1】

【0038】
上記式2において、「C」は、翼胴取付部111からの距離xおよび迎角αを入力変数とし、揚力無次元空力微係数を出力値とする所定の関数を示す。
関数Cは、主翼120の構造に基づいて定められる。関数Cは、距離x、迎角αおよび揚力無次元空力微係数が対応付けられた表形式のテーブルとして表わされ、記憶機器に予め記憶されていてもよい。
「S」は、Cに対応して定まる所定値であり、例えば、主翼120の面積が用いられる。
【0039】
上記式5において、「G」は、MおよびFを入力変数とし、主翼120の変形量dBを出力値とする所定の関数を示す。
関数Gは、主翼120の構造に基づいて定められる。関数Gは、M、Fおよび変形量dBが対応付けられた表形式のテーブルとして表わされ、記憶機器に予め記憶されていてもよい。
【0040】
上記式6において、「B」は、主翼120の変形量dBを入力変数とし、基線ベクトルbの変化量dbを出力値とする所定の関数を示す。
関数Bは、GPSアンテナの設置位置に基づいて定められる。関数Bは、変形量dBおよび基線ベクトルbの変化量dbが対応付けられた表形式のテーブルとして表わされ、記憶機器に予め記憶されていてもよい。
【0041】
上記式2の関数Cは、大気圧pおよび動圧qに基づいて算出される対気速度vを入力変数とする関数として表わされる場合もある。対気速度vは、以下の式7〜式9により算出される。
【0042】
【数2】

【0043】
図5に戻り、姿勢角計算方法の説明を続ける。
【0044】
<S150:基線ベクトル補正処理>
基線ベクトル補正部232は、基線ベクトル変化量推算部231から入力した基線ベクトルbの変化量dbに基づいて、基線ベクトルbを補正する。
基線ベクトル補正部232は補正により得られた基線ベクトルbを姿勢角計算部220に出力し、姿勢角計算部220は基線ベクトル補正部232から基線ベクトルbを入力する。
【0045】
ここで、水平尾翼130のGPSアンテナ143から主翼120(左翼)のGPSアンテナ141へのベクトルを示す「基線ベクトルb」と、水平尾翼130のGPSアンテナ143から主翼120(右翼)のGPSアンテナ142へのベクトルを示す「基線ベクトルb」とは、航空機100の非飛行時に予め計測され、航法装置200の記憶機器に記憶されているものとする。
例えば、基線ベクトルbおよび基線ベクトルbは、レーザレーダを用いたレーザ測量により予め計測され、記憶機器に記憶される。
【0046】
以下、予め計測されている基線ベクトルbを「基線ベクトルb1b」と記し、予め計測されている基線ベクトルbを「基線ベクトルb2b」と記す。
【0047】
基線ベクトルb1bおよび基線ベクトルb2bは、機体の特定の地点を原点とする座標系(以下、機体系という)で表わされるものとする。また、基線ベクトルの変化量dbも機体系の値で計算されるものとする。
例えば、機体系は、機体の中心を原点とし、機体の前方方向(進行方向、胴体110の伸張方向)をX軸、前方に向かって機体の右方向(主翼120の伸張方向)をY軸、機体の下方向をZ軸とする。
以下、基線ベクトルbibを「機体系の基線ベクトル」という。
【0048】
基線ベクトル補正部232は、予め計測された基線ベクトルb1bに基線ベクトルの変化量dbを加算して基線ベクトルb1bを補正し、飛行中(主翼120の変形後)の正確な基線ベクトルb1bを得る。同様に、姿勢角計算部220は、基線ベクトルの変化量dbを加算して基線ベクトルb2bを補正し、飛行中の正確な基線ベクトルb2bを得る。
【0049】
<S160:姿勢角計算処理>
姿勢角計算部220は、基線ベクトル補正部232から入力した機体系の基線ベクトル(b1b、b2b)とGPS受信モジュール210から入力した疑似距離r,搬送波位相fおよび航法メッセージ282に基づいて、機体の姿勢角(ロール角φ、ピッチ角θ、ヨー角ψ)を算出する。
具体的には、まず、姿勢角計算部220は、疑似距離r、搬送波位相fおよび航法メッセージ282に基づいて、つまり、RF信号281から得られる情報に基づいて、航法系で表わされる基線ベクトル(航法系の基線ベクトルbin)を算出する。
そして、姿勢角計算部220は、機体系の基線ベクトルbibと航法系の基線ベクトルbinとに基づいて機体の姿勢角を算出する。
【0050】
航法系とは、GPS測位で用いられる座標系である。
例えば、航法系は、北(N)方向をX軸、東(E)方向をY軸、重力方向をZ軸とする。航法系のX軸、Y軸およびZ軸は右手系をなす。
【0051】
姿勢角計算部220は、補正により得られた機体系の基線ベクトルbibを用いることにより、機体の姿勢角を高い精度で推定することができる。
【0052】
以下に、姿勢角計算処理(S160)の詳細について説明する。
【0053】
2つのGPSアンテナ間の基線ベクトルbinは、GPS受信モジュール210で受信された搬送波位相fを用いて干渉測位により求めることができる。良好な受信状態においては基線ベクトルを1cm以下の精度で求めることが可能である。
干渉測位においては、2つのGPSアンテナで観測されるRF信号281に共通する大気遅延などの誤差および各GPS受信モジュール210のクロック誤差を除去するために、搬送波位相fを直接用いず、搬送波位相fの二重差yを用いる。
【0054】
搬送波位相fの二重差yとは、第1のGPS衛星から到達したRF信号281の搬送波位相fの一重差と第2のGPS衛星から到達したRF信号281の搬送波位相fの一重差との差のことである。
また、搬送波位相fの一重差とは、ある一つのGPS衛星からRF信号281が発信された場合において、第1のGPSアンテナに到達したRF信号281の搬送波位相fと第2のGPSアンテナに到達したRF信号281の搬送波位相fとの差のことである。
【0055】
干渉測位においては、搬送波位相fから求められる搬送波位相の二重差y(以下、搬送波位相の二重差yの観測値という)と、疑似距離rおよび航法メッセージ282を用いた計算により推定される搬送波位相の二重差y(以下、搬送波位相の二重差yの推定値という)とに基づいて、航法系の基線ベクトルbinを決定することができる。
【0056】
そして、機体系の基線ベクトルbibが航法系の基線ベクトルbinに対して成す相対角度が機体の姿勢角として算出される。
【0057】
まず、姿勢角計算部220は、以下の式10を用いて、GPSアンテナ141とGPSアンテナ143との搬送波位相fの二重差について観測値yij,mと推定値yij,cを計算すると共に、GPSアンテナ142とGPSアンテナ143との搬送波位相fの二重差について観測値yij,mと推定値yij,cを計算する。
【0058】
例えば、姿勢角計算部220は、以下の式10において、GPSアンテナ141に到達したGPS衛星nからのRF信号281の位相を「搬送波位相fni」とし、GPSアンテナ143に到達したGPS衛星nからのRF信号281の位相「搬送波位相fnj」として、GPSアンテナ141とGPSアンテナ143との搬送波位相fの二重差の観測値yij,mを計算する。
同様に、姿勢角計算部220は、以下の式10において、GPSアンテナ142に到達したGPS衛星nからのRF信号281の位相を「搬送波位相fni」とし、GPSアンテナ143に到達したGPS衛星nからのRF信号281の位相「搬送波位相fnj」として、GPSアンテナ142とGPSアンテナ143との搬送波位相fの二重差の観測値yij,mを計算する。
【0059】
さらに、姿勢角計算部220は、GPS衛星nからのRF信号281から得られた疑似距離rをRF信号281の波長λで除算したときの余りに基づいて搬送波位相fを推定し、推定した搬送波位相fを用いて式10により、GPSアンテナ141とGPSアンテナ143との搬送波位相fの二重差の推定値yij,cおよびGPSアンテナ142とGPSアンテナ143との搬送波位相fの二重差の推定値yij,cを計算する。
【0060】
【数3】

【0061】
次に、姿勢角計算部220は、以下の式11において、「yij,m−yij,c」が最小となるように観測方程式(Hb+λN+n)の解(b、N)を最小二乗法により求めて、航法系の基線ベクトルbinを決定する。
具体的な計算手法として、例えば、“P.J.G.Teunissen、Delft Institute for Earth Observation and Space Systems(DEOS)、Delft University of Technology、「THE LAMBDA METHOD FOR THE GNSS COMPASS」、ARTIFICIAL SATELLITES,Vol.41,No.3−2006”(非特許文献2)に記載の手法が挙げられる。
以下の式11において、GPSアンテナを基準としてGPS衛星方向を表す方向余弦行列「H」は、各GPS衛星との疑似距離rに基づいて測位されるGPSアンテナの座標と航法メッセージ282に示される各GPS衛星の座標とに基づいて特定される。
また、「λ」は決められたRF信号281の波長を示し、「n」は予め定められた所定の値を示す。
【0062】
【数4】

【0063】
姿勢角計算部220は、機体系の基線ベクトルbibおよび航法系の基線ベクトルbinを以下の式12および式13に代入し、式14〜式17を用いて機体の姿勢角(ロール角φ、ピッチ角θ、ヨー角ψ)を算出する。
【0064】
【数5】

【0065】
実施の形態1では、以下のような航法装置について説明した。
航法装置は、航空機や車両等の移動体に搭載され、複数のGPSアンテナにおいて計測されるGPS信号(RF信号)をGPS受信モジュールにより受信し、その出力である搬送波位相を用いて複数のGPSアンテナ間の基線ベクトルを高精度に推定することにより、移動体の姿勢角推定を行う。
航法装置は、迎角を計算する迎角センサと、動圧を計測する動圧センサと、高度を計測する静圧センサとを備える。
さらに、航法装置は、これらの計測値から空気力を推定し、機体構造モデルから当該外力および重力が印加した際に発生する機体変形量に基づいてアンテナ間の基線ベクトルの変化を推算する変形量推算部を備える。
そして、航法装置は、アンテナ間の基線ベクトルの変化を推算・補正することにより、姿勢角精度を向上させる。
【0066】
実施の形態2.
実施の形態2では、x/y軸加速度センサを備えて、機体にかかる重力を精度良く求め、姿勢角の精度をさらに向上させる形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明し、説明を省略する事項については実施の形態1と同様であるものとする。
【0067】
図7は、実施の形態2における航法システム190の構成図である。
実施の形態2における航法システム190の構成について、図7に基づいて以下に説明する。
【0068】
航法システム190は、航空機100に設置されたx/y軸加速度センサ274を備える。
x/y軸加速度センサ274(2軸加速度センサ)は、機体のX軸方向(機体系)の加速度とY軸方向(機体系)の加速度とを計測するセンサである。
【0069】
航法装置200は、重力計算部233を備える。
重力計算部233は、x/y軸加速度センサ274からX軸方向の加速度とY軸方向の加速度とを入力し、入力したX軸方向の加速度とY軸方向の加速度とに基づいて機体にかかる重力fをCPUを用いて算出する。
【0070】
変形量推算部230は、重力計算部233から重力fを入力し、入力した重力fを上記式1に用いて基線ベクトルの変化量dbを推算する。
その他の構成については、実施の形態1と同じである。
【0071】
図8は、実施の形態2における姿勢角計算方法を示すフローチャートである。
実施の形態2において、航法装置200が航空機100の姿勢角を計算する姿勢角計算方法について、図8に基づいて以下に説明する。
【0072】
まず、実施の形態1と同じく、GPS受信モジュール210は各GPSアンテナから受信したRF信号281から疑似距離r,搬送波位相fおよび航法メッセージ282を取得する(S110)。
【0073】
<S120’:センサ値取得処理>
変形量推算部230は、実施の形態1と同じく、迎角センサ271、動圧センサ272および静圧センサ273から迎角α、動圧qおよび大気圧pを取得する。
また、x/y軸加速度センサ274は、機体のx軸方向(機体系)の加速度aと機体のy軸方向(機体系)の加速度aを計測し、計測した加速度aとaを重力計算部233に出力する。
重力計算部233は、x/y軸加速度センサ274から機体の加速度(a、a)を入力する。
【0074】
<S121:重力計算処理>
重力計算部233は、x/y軸加速度センサ274から入力した機体の加速度(a、a)を用いて、以下の式18により、機体にかかる重力fを計算する。
重力計算部233は計算した重力fを変形量推算部230に出力し、変形量推算部230は重力計算部233から重力fを入力する。
【0075】
【数6】

【0076】
<S130’:変形量推算処理>
変形量推算部230は、実施の形態1と同様に、迎角センサ271、動圧センサ272および静圧センサ273から入力した迎角α、動圧qおよび大気圧pに基づいて、航空機100の主翼120の変形量dBを推算する。
但し、変形量推算部230は、上記式1において、「f」に重力計算部233から入力した値を用いる。
【0077】
以下、基線ベクトル変化量推算処理(S140)〜姿勢角計算処理(S160)は、実施の形態1と同じである。
【0078】
実施の形態2では、以下のような航法装置200について説明した。
航法装置200は、x/y軸加速度計により重力方向を推算し、機体の大きな姿勢変化があった場合でも重力を高精度に見積もることで、より精度良く機体の変形量を推算し、姿勢角の推定精度を向上させる。
【0079】
実施の形態3.
実施の形態3では、迎角センサの代わりにz軸加速度センサ(下方加速度センサ)を備えて、機体の迎角を計算し、機体の姿勢角を推定する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明し、説明を省略する事項については実施の形態1と同様であるものとする。
【0080】
図9は、実施の形態3における航法システム190の構成図である。
実施の形態3における航法システム190の構成について、図9に基づいて以下に説明する。
【0081】
航法システムは、迎角センサ271の代わりに航空機100に設置されたz軸加速度センサ275を備える。
z軸加速度センサ275は、機体のZ軸方向(機体系)の加速度(以下、z軸加速度aという)を計測するセンサである。
【0082】
航法装置200は、迎角計算部234を備える。
迎角計算部234は、z軸加速度センサ275により計測されたz軸加速度aを入力し、入力したz軸加速度aに基づいて迎角αをCPUを用いて計算する。
【0083】
変形量推算部230は、迎角計算部234により計算された迎角αを用いて、基線ベクトルの変化量dbを推算する。
その他の構成については、実施の形態1と同じである。
【0084】
図10は、実施の形態3における姿勢角計算方法を示すフローチャートである。
実施の形態3において、航法装置200が航空機100の姿勢角を計算する姿勢角計算方法について、図10に基づいて以下に説明する。
【0085】
まず、実施の形態1と同じく、GPS受信モジュール210は各GPSアンテナから受信したRF信号281から疑似距離r,搬送波位相fおよび航法メッセージ282を取得する(S110)。
【0086】
<S120’’:センサ値取得処理>
変形量推算部230は、実施の形態1と同じく、動圧センサ272、静圧センサ273から動圧q、大気圧pを入力する。
また、z軸加速度センサ275は機体のZ軸加速度aを計測し、計測したz軸加速度aを航法装置200の迎角計算部234に出力する。
迎角計算部234は、z軸加速度センサ275からz軸加速度aを入力する。
【0087】
<S122:迎角計算処理>
迎角計算部234は、z軸加速度センサ275から入力したz軸加速度aを用いて、以下の式19により、機体の迎角αを計算する。
迎角計算部234は計算した機体の迎角αを変形量推算部230に出力し、変形量推算部230は迎角計算部234から機体の迎角αを入力する。
【0088】
以下の式19において、「CLα」は、主翼120の構造に基づいて定められる値である。
【0089】
【数7】

【0090】
以下、変形量推算処理(S130)〜姿勢角計算処理(S160)は、実施の形態1と同じである。
【0091】
実施の形態3では、以下のような航法装置200について説明した。
航法装置200は、迎角センサの代わりに航空機100に備わるz軸加速度センサの計測値に基づいて迎角αを計算し、計算した迎角αに基づいて機体の姿勢角を推定する。
加速度センサは迎角センサに比べて安価であるため、迎角センサの代わりにz軸加速度センサを用いることにより、システムを安価に構成することができる。
【0092】
実施の形態3において、実施の形態2と同様に、航空機100にx/y軸加速度センサ274を設置し、機体にかかる重力fを計算し、姿勢角の推定精度を向上させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施の形態1における航空機100の構成図。
【図2】飛行時の航空機100の主翼120の変形を示す図。
【図3】実施の形態1における航法システム190の構成図。
【図4】実施の形態1における航法装置200のハードウェア資源の一例を示す図。
【図5】実施の形態1における姿勢角計算方法を示すフローチャート。
【図6】実施の形態1における航空機100の主翼120にかかる力を示す図。
【図7】実施の形態2における航法システム190の構成図。
【図8】実施の形態2における姿勢角計算方法を示すフローチャート。
【図9】実施の形態3における航法システム190の構成図。
【図10】実施の形態3における姿勢角計算方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0094】
100 航空機、110 胴体、111 翼胴取付部、120 主翼、130 水平尾翼、141,142,143 GPSアンテナ、144 RFケーブル、190 航法システム、200 航法装置、210 GPS受信モジュール、220 姿勢角計算部、230 変形量推算部、231 基線ベクトル変化量推算部、232 基線ベクトル補正部、233 重力計算部、234 迎角計算部、270 センサ、271 迎角センサ、272 動圧センサ、273 静圧センサ、274 x/y軸加速度センサ、275 z軸加速度センサ、281 RF信号、282 航法メッセージ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群、b 基線ベクトル、r 疑似距離、f 搬送波位相、α 迎角、q 動圧、p 大気圧、db 変化量、dB 変形量、a z軸加速度、x,L,c 距離、M モーメント、F 力、f 重力、φ ロール角、θ ピッチ角、ψ ヨー角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星からGPS(Global Positioning System)の搬送波を受信する複数のGPS受信機と、動圧を計測する動圧センサと大気圧を計測する静圧センサと迎角を計測する迎角センサとの少なくともいずれかのセンサを備える移動体の姿勢角を計算する航法装置であり、
前記動圧センサにより計測された動圧と前記静圧センサにより計測された大気圧と前記迎角センサにより計測された迎角との少なくともいずれかに基づいて前記移動体の変形量をCPUを用いて推算する変形量推算部と、
前記複数のGPS受信機間のベクトルを基線ベクトルとして基線ベクトルの変化量を前記変形量推算部により推算された前記移動体の変形量に基づいてCPUを用いて推算する基線ベクトル変化量推算部と、
前記基線ベクトル変化量推算部により推算された変化量に基づいて前記基線ベクトルをCPUを用いて補正する基線ベクトル補正部と、
前記基線ベクトル補正部により補正された基線ベクトルと前記複数のGPS受信機それぞれにより受信された搬送波から得られる情報とに基づいて前記移動体の姿勢角をCPUを用いて計算する姿勢角計算部と
を備えたことを特徴とする航法装置。
【請求項2】
前記変形量推算部は、
前記動圧センサにより計測された動圧と前記静圧センサにより計測された大気圧と前記迎角センサにより計測された迎角との少なくともいずれかに基づいて移動体にかかる空気力を計算し、計算した空気力に基づいて前記移動体の変形量を推算する
ことを特徴とする請求項1記載の航法装置。
【請求項3】
前記姿勢角計算部は、
前記搬送波の位相に基づいて搬送波位相の二重差を計算し、計算した搬送波位相の二重差に基づいて前記複数のGPS受信機間のベクトルを航法系の基線ベクトルとして計算し、前記補正により得られた基線ベクトルと前記航法系の基線ベクトルとに基づいて前記移動体の姿勢角を計算する
ことを特徴とする請求項1〜請求項2いずれかに記載の航法装置。
【請求項4】
前記移動体は、さらに、前記移動体の前後方向の加速度と前記移動体の横方向の加速度とを計測する2軸加速度センサを備え、
前記航法装置は、さらに、
前記2軸加速度センサにより計測された各加速度に基づいて移動体にかかる重力をCPUを用いて計算する重力計算部を備え、
前記変形量推算部は、
前記重力計算部により計算された重力と、前記動圧センサにより計測された動圧と前記静圧センサにより計測された大気圧と前記迎角センサにより計測された迎角との少なくともいずれかとに基づいて、前記移動体の変形量を推算する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の航法装置。
【請求項5】
前記移動体は、前記移動体の下方向の加速度を計測する下方加速度センサを前記迎角センサの代わりに備え、
前記航法装置は、さらに、
前記下方加速度センサにより計測された加速度に基づいて前記迎角をCPUを用いて計算する迎角計算部を備え、
前記変形量推算部は、
前記迎角計算部により計算された迎角に基づいて前記移動体の変形量を推算する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載の航法装置。
【請求項6】
衛星からGPS(Global Positioning System)の搬送波を受信する複数のGPS受信機と、動圧を計測する動圧センサと大気圧を計測する静圧センサと迎角を計測する迎角センサとの少なくともいずれかのセンサを備える移動体の姿勢角を計算する航法装置の姿勢角計算方法であり、
変形量推算部が、前記動圧センサにより計測された動圧と前記静圧センサにより計測された大気圧と前記迎角センサにより計測された迎角との少なくともいずれかに基づいて前記移動体の変形量をCPUを用いて推算する変形量推算処理を行い、
基線ベクトル変化量推算部が、前記複数のGPS受信機間のベクトルを基線ベクトルとして基線ベクトルの変化量を前記変形量推算部により推算された前記移動体の変形量に基づいてCPUを用いて推算する基線ベクトル変化量推算処理を行い、
基線ベクトル補正部が、前記基線ベクトル変化量推算部により推算された変化量に基づいて前記基線ベクトルをCPUを用いて補正する基線ベクトル補正処理を行い、
姿勢角計算部が、前記基線ベクトル補正部により補正された基線ベクトルと前記複数のGPS受信機それぞれにより受信された搬送波から得られる情報とに基づいて前記移動体の姿勢角をCPUを用いて計算する姿勢角計算処理を行う
ことを特徴とする航法装置の姿勢角計算方法。
【請求項7】
前記移動体は、さらに、前記移動体の前後方向の加速度と前記移動体の横方向の加速度とを計測する2軸加速度センサを備え、
前記航法装置は、さらに、
重力計算部が、前記2軸加速度センサにより計測された各加速度に基づいて移動体にかかる重力をCPUを用いて計算する重力計算処理を行い、
前記変形量推算部は、
前記重力計算部により計算された重力と、前記動圧センサにより計測された動圧と前記静圧センサにより計測された大気圧と前記迎角センサにより計測された迎角との少なくともいずれかとに基づいて、前記移動体の変形量を推算する
ことを特徴とする請求項6記載の航法装置の姿勢角計算方法。
【請求項8】
前記移動体は、前記移動体の下方向の加速度を計測する下方加速度センサを前記迎角センサの代わりに備え、
前記航法装置は、さらに、
迎角計算部が、前記下方加速度センサにより計測された加速度に基づいて前記迎角をCPUを用いて計算する迎角計算処理を行い、
前記変形量推算部は、
前記迎角計算部により計算された迎角に基づいて前記移動体の変形量を推算する
ことを特徴とする請求項6〜請求項7いずれかに記載の航法装置の姿勢角計算方法。
【請求項9】
請求項6〜請求項8いずれかに記載の姿勢角計算方法をコンピュータに実行させる姿勢角計算プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−294009(P2009−294009A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146464(P2008−146464)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】