説明

船舶推進装置

【課題】本発明の課題は、水入りによるエンジンの破損を防止することができる船舶推進装置を提供することにある。
【解決手段】船舶推進装置は、エンジンと、プロペラと、駆動軸と、排気通路と、水入り検知部と、記録部と、を備える。駆動軸は、エンジンからの駆動力をプロペラに伝達する。排気通路は、エンジンからの排気が通る通路である。水入り検知部は、排気通路を通ってエンジン内へ水が浸入した可能性があることを示す水入り可能性を検知する。記録部は、水入り検知部の検知結果を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船外機などの船舶推進装置では、高速航行中にシフトレバーが後進に切り換えられると、駆動軸とプロペラとは後進のギアによって接続されるが、プロペラは水流によって前進方向に連れ回される。これにより、エンジンが逆回転をする。船舶推進装置では、エンジンからの排気を排気通路を介して水中に排出しているため、エンジンが逆転することにより、排気通路からエンジン内に水を吸い込むという現象が発生する。このようにエンジン内に水が浸入すると、エンジンが破損する可能性がある。
【0003】
特許文献1に開示されている装置は、クランク軸の角度信号をカウントし、カウント値に応じてクランク軸の逆転を検知する。そして、クランク軸の逆転が検知されると、点火及び燃料の供給が停止される。これにより、エンジンが停止することによって、エンジンへの水入りが防止される。
【0004】
また、特許文献2に開示されている装置は、クランク軸の回転角とカム軸の回転角とを検知することによって、クランク軸の逆転が検知される。そして、クランク軸の逆転が検知されたときに、前後進切換用のギアを強制的にニュートラル状態に移行させることによって、エンジン内への水入りが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−120397号公報
【特許文献2】特開2008−274970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の装置では、点火を停止させても、プロペラが水流によって連れ回されることにより、クランク軸の逆転が継続してしまう。このため、エンジン内への水入りを防止する効果は低い。また、特許文献2の装置では、ギアのニュートラル状態への移行が完了するまでの間は、クランク軸が逆転する可能性がある。また、ギアがニュートラル状態へ移行した後もしばらくの間は、慣性力によってクランク軸の逆転が継続してしまう。このため、エンジン内への水入りを防止する効果は限定的である。このように、いずれの装置も、大量の水がエンジン内に入ることを防止することはできるが、水入りを完全に防止することは困難である。すなわち、いずれの装置も、少量の水がエンジン内に入ることを防止できるものではない。少量の水がエンジン内に入った場合、直ちにエンジンが破損に至らなくても、エンジンが錆びて、長時間経過した後に破損することがあり得る。
【0007】
本発明の課題は、水入りによるエンジンの破損を防止することができる船舶推進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る船舶推進装置は、エンジンと、プロペラと、駆動軸と、排気通路と、水入り検知部と、記録部と、を備える。駆動軸は、エンジンからの駆動力をプロペラに伝達する。排気通路は、エンジンからの排気が通る通路である。水入り検知部は、排気通路を通ってエンジン内へ水が浸入した可能性があることを示す水入り可能性を検知する。記録部は、水入り検知部の検知結果を記録する。
【0009】
本発明の他の態様に係る船舶推進装置は、エンジンと、プロペラと、駆動軸と、排気通路と、水入り検知部と、報知部とを備える。駆動軸は、エンジンからの駆動力をプロペラに伝達する。排気通路は、エンジンからの排気が通る通路である。水入り検知部は、排気通路を通って水がエンジン内へ浸入する水入りが発生し易い状態を検知する。報知部は、水入り検知部の検知結果に応じて報知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る船舶推進装置では、水入り検知部によって水入り可能性が検知されると、検知結果が記録部に記録される。従って、メンテナンス時に記録部に残された記録を調べることにより、エンジンを分解せずとも水入りの可能性を知ることができる。このため、エンジンが正常な状態である間に修理点検を行うことができ、それによりエンジンの破損を防止することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る船舶推進装置では、水入り検知部によって水入りが発生し易い状態が検知されると、検知結果が報知部によって報知される。運転者は、報知部の報知によって注意を喚起されることにより、水入りを生じさせるような運転を回避することができる。このため、エンジンへの水入りを防止することができ、エンジンの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る船舶推進装置の側面図。
【図2】船舶推進装置の前後進切換部の構成を示す側面図。
【図3】エンジンの内部の構成を示す上面図。
【図4】カムシャフトの駆動機構の構成を示す上面図。
【図5】エンジンの制御系の構成を示す模式図
【図6】クランク角センサとカム角センサの検出信号を示すタイムチャート。
【図7】水入り可能性を検知するための処理を示すフローチャート。
【図8】水入りが発生し易い状態を検知するための処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)第1の実施形態
以下、本発明の実施形態に係る船舶推進装置について図面を参照して説明する。本実施形態において、船舶推進装置は船外機であるが、本発明は、船内外機などの別種の船舶推進装置に対しても適用することができる。図1は、本発明の第1の実施形態に係る船舶推進装置1を示す側面図である。船舶推進装置1は、上部ケーシング2、下部ケーシング3、エキゾーストガイド部4、エンジン5を有する。上部ケーシング2、下部ケーシング3、エンジン5はエキゾーストガイド部4に固定されている。
【0014】
エンジン5は、上部ケーシング2内に配置される。エンジン5は、クランク軸12を有する。下部ケーシング3内には、駆動軸11が配置される。駆動軸11は、下部ケーシング3内において上下方向に沿って配置される。駆動軸11は、エンジン5のクランク軸12に連結されている。下部ケーシング3の下部には、プロペラ13が配置される。プロペラ13は、エンジン5の下方に配置されている。プロペラ13にはプロペラシャフト14が連結されている。プロペラシャフト14は、前後方向に沿って配置されている。プロペラシャフト14は、前後進切換部15を介して駆動軸11の下部に連結される。
【0015】
図2に示すように、前後進切換部15は、ピニオンギア16と前進用ギア17と後進用ギア18とドッグクラッチ19とを有する。ピニオンギア16は、駆動軸11に連結されている。ピニオンギア16は、前進用ギア17及び後進用ギア18と噛み合っている。前進用ギア17と後進用ギア18とは、プロペラシャフト14に対して相対回転可能に設けられている。ドッグクラッチ19は、プロペラシャフト14に対して相対回転不能に取り付けられている。また、ドッグクラッチ19は、プロペラシャフト14の軸線方向に沿って、前進位置と後進位置と中立位置とに移動可能に設けられている。ドッグクラッチ19は、後述するシフトアクチュエータ54によって、前進位置と後進位置と中立位置とに移動する。ドッグクラッチ19は、図2(a)に示す前進位置において、前進用ギア17とプロペラシャフト14とを相対回転不能に固定する。この場合、駆動軸11の回転は、前進用ギア17を介してプロペラシャフト14に伝達される。すなわち、前後進切換部15は、プロペラ13が前進方向に回転するように駆動軸11の回転をプロペラ13に伝達する前進状態となる。これにより、船体を前進させる方向にプロペラ13が回転する。また、ドッグクラッチ19は、図2(b)に示す後進位置において、後進用ギア18とプロペラシャフト14とを相対回転不能に固定する。この場合、駆動軸11の回転が後進用ギア18を介してプロペラシャフト14に伝達される。すなわち、前後進切換部15は、プロペラ13が後進方向に回転するように駆動軸11の回転をプロペラ13に伝達する後進状態となる。これにより、船体を後進させる方向にプロペラ13が回転する。ドッグクラッチ19が前進位置と後進位置との間の中立位置に位置する場合には、前進用ギア17と後進用ギア18とは、それぞれプロペラシャフト14に対して相対回転可能となる。すなわち、駆動軸11からの回転は、プロペラシャフト14には伝達されず、プロペラシャフト14は空転可能となる。
【0016】
船舶推進装置1では、エンジン5により発生される駆動力が、駆動軸11およびプロペラシャフト14を介してプロペラ13に伝達される。それにより、プロペラ13が前進方向又は後進方向に回転する。その結果、船舶推進装置1が取り付けられた船体を前進または後進させる推進力が発生する。
【0017】
また、図1に示すように、船舶推進装置1の内部には、排気通路20が形成されている。排気通路20は、エンジン5から下方に延びている。排気通路20はエンジン5の排気ポートに接続されており、プロペラ13のプロペラボス13aの内部空間に連通している。エンジン5からの排気は、排気通路20を通り、プロペラボス13aの内部空間を通って、水中へ排出される。
【0018】
図3は、エンジン5の内部の構成を示す模式的上面図である。本実施形態におけるエンジン5は、クランクケース22と複数のシリンダ21とを有するが、シリンダ21の数や配置はどのようなものであってもよい。以下、図3に基づいて、エンジン5の1つのシリンダ21の構成について説明するが、エンジン5の複数のシリンダ21は全て、図3に示すシリンダ21と同様の構成を有する。シリンダ21は、シリンダヘッド23とシリンダブロック24とを有する。シリンダヘッド23は、シリンダブロック24に取り付けられている。シリンダブロック24の内部には、シリンダ室25が形成されている。シリンダ室25内には、ピストン26が、シリンダ室25の軸線方向に移動可能に配置されている。ピストン26には、コンロッド27の一端が連結されている。コンロッド27の他端は、クランク軸12に連結されている。
【0019】
シリンダヘッド23は、吸気ポート31と排気ポート32と燃焼室33とを有する。吸気ポート31と排気ポート32とは、それぞれ燃焼室33に連通している。吸気ポート31は、吸気弁34によって開閉される。排気ポート32は、排気弁35によって開閉される。吸気ポート31には、吸気管36が接続されている。吸気管36には、燃料噴射装置37が取り付けられている。燃料噴射装置37は、燃焼室33に供給する燃料を噴射する。また、吸気管36には、スロットル弁38が配置されている。スロットル弁38の開度が変更されることにより、燃焼室33へ送られる混合気の量が調整される。排気ポート32には、排気管40が接続されている。また、シリンダヘッド23には、点火装置39が取り付けられている。点火装置39は、燃焼室33内に挿入されており、燃料に点火する。
【0020】
吸気弁34は、図示しないコイルスプリングなどの付勢部材により、吸気ポート31を閉じる方向に付勢されている。吸気弁34は、吸気用カムシャフト41が回転駆動されることによって、開閉される。排気弁34は、図示しないコイルスプリングなどの付勢部材により、排気ポート32を閉じる方向に付勢されている。排気弁35は、排気用カムシャフト42が回転駆動されることによって、開閉される。
【0021】
図4は、吸気用カムシャフト41と排気用カムシャフト42とを回転駆動する駆動機構を示す上面図である。この駆動機構は、例えばエンジン5の上面に配置されている。図4に示すように、吸気用カムプーリ43が吸気用カムシャフト41の端部に固定されている。排気用カムプーリ44が、排気用カムシャフト42の端部に固定されている。また、クランクプーリ45がクランク軸12に固定されている。そして、吸気用カムプーリ43と、排気用カムプーリ44と、クランクプーリ45と、複数の中間プーリ46a,46b,46cの間にカムベルト47が掛け渡されている。クランク軸12の駆動力が、カムベルト47を介して、吸気用カムシャフト41と排気用カムシャフト42とに伝達される。なお、クランク軸12の端部には、フライホイール48が固定されている。
【0022】
図5は、エンジン5の制御系の構成を示す模式図である。エンジン5は、ECU51(Engine Control Unit)によって制御される。ECU51には、エンジン5の状態に関する情報を検出する各種のセンサ61−69と、操作装置52と、表示装置53とが接続される。具体的には、クランク角センサ61、カム角センサ62、スロットル開度センサ63、エンジン温センサ64、吸気温センサ65、排気温センサ66、吸気圧センサ67、排気圧センサ68、シフト位置センサ69等のセンサがECU51に接続されている。クランク角センサ61は、クランク軸12の回転角を検出する。カム角センサ62は、排気用カムシャフト42の回転角を検出する。スロットル開度センサ63は、スロットル弁38の開度を検出する。エンジン温センサ64は、エンジン5の温度を検出する。吸気温センサ65は、吸気管36内の温度を検出する。排気温センサ66は、排気管40内の温度を検出する。吸気圧センサ67は、吸気管36内の圧力を検出する。排気圧センサ68は、排気管40内の圧力を検出する。シフト位置センサ69は、前後進切換部15が前進状態と後進状態と中立状態とのいずれのシフト状態であるのかを検出する。シフト位置センサ69は、例えば上述したドッグクラッチ19の位置を検出することにより、前後進切換部15のシフト状態を検出する。これらのセンサは、それぞれ検出信号をECU51に入力する。
【0023】
操作装置52は、スロットル操作装置55と、シフト操作装置56と、エンジン5の始動停止操作装置57とを有する。スロットル操作装置55は、例えば、スロットルレバーなどのスロットル操作部材55aを有する。スロットル操作装置55は、スロットル操作部材55aの操作に応じて、エンジン5の出力を制御するための操作信号をECU51に入力する。シフト操作装置56は、例えば、シフトレバーなどのシフト操作部材56aを有する。シフト操作装置56は、シフト操作部材56aの操作に応じて、船体の前進と後進とを切り換えるための操作信号をECU51に入力する。具体的には、シフト操作部材56aは、前進位置と後進位置と中立位置とのいずれかのシフト位置に操作可能であり、各位置に対応した操作信号がECU51に入力される。エンジン5の始動停止操作装置57は、例えば、キースイッチであり、エンジン5を始動または停止するための操作信号をECU51に入力する。
【0024】
ECU51は、記録部71と演算部72と外部出力部73とを有する。記録部71は、電子データの書き込み及び読出しが可能な記録装置である。記録部71は、予め定められた運転状態に対応した制御プログラムを記憶している。演算部72は、各種のセンサ61−69及び操作装置52から入力された信号に基づいて、現在の運転状態を判別し、制御プログラムにしたがって点火装置39と、燃料噴射装置37と、スロットル弁38との動作を制御する。また、ECU51は、シフト操作装置56からの操作信号に基づいて、シフトアクチュエータ54を制御する。シフトアクチュエータ54は、例えば、モータなどの駆動手段を有している。シフトアクチュエータ54は、ECU51によって制御されることにより、上述したドッグクラッチ19を、前進位置、後進位置、中立位置のいずれかに移動させる。
【0025】
表示装置53は、各種のセンサ61−69によって検出された船体に関する各種の情報を表示する。例えば、表示装置53は、エンジン回転数やエンジン温などのエンジン5の状態に関する情報を表示する。また、表示装置53は、ECU51によって演算された船体の予測速度を表示する。例えば、記録部71は、エンジン回転数と吸気圧と船体の速度との関係を示すマップを記憶しており、予測速度は、このマップに基づいて演算される。
【0026】
上記の各種のセンサ61−69及び操作装置52から入力された検出信号及び操作信号は、運転データとして記録部71に記憶される。外部出力部73は、外部の装置との間で電子データの通信を行うためのインターフェースである。外部出力部73は、記録部71に記憶された運転データを外部の装置に出力する。例えば、図5に示すように、パーソナルコンピュータなどの端末装置80が有線或いは無線などの通信手段を介して外部出力部73に接続される。端末装置80は、記録部71に格納された前述の運転データを読み出す。端末装置80にはメンテナンス用のプログラムが組込まれており、このプログラムにしたがって運転データが読み出されてモニタ画面に表示される。サービススタッフは、端末装置80のモニタ画面に表示された運転データを参照することにより、エンジン5の状態の的確な判断が可能になる。
【0027】
また、ECU51の演算部72は、水入り可能性を検知する本発明の水入り検知部として機能する。水入り可能性は、図1に示す排気通路20を通ってエンジン5内へ水が浸入した可能性があることを示す。演算部72は、排気通路20を通って、エンジン5内へ水が浸入した可能性があることを示す所定条件が満たされているかを判断することにより、水入り可能性を検知する。所定条件は、クランク軸12の逆転が検知されたことを含む。クランク軸12の逆転は、例えば、特開2008−274970号公報に開示されているような公知の方法によって検知される。具体的には、クランク軸12の逆転は、上述したクランク角センサ61とカム角センサ62とからの検出信号によって検知される。すなわち、クランク角センサ61とカム角センサ62とは、クランク軸12の逆転を検知する本発明の逆転検知部に相当する。以下、クランク軸12の逆転を検出するための演算部72の処理について説明する。
【0028】
クランク角センサ61は、磁気センサであり、図5に示すようにクランク軸12の複数の突起部120の通過を検出する。なお、図5では、複数の突起部120のうちの一部にのみ符号120を付している。クランク軸12の表面には、複数の突起部120が規則的に配列されている。ただし、クランク軸12の表面は、欠落部121を含む。欠落部121は、突起部120が形成されておらず、隣り合う突起部120の間隔が他の突起部120の間隔と異なる部分である。
【0029】
カム角センサ62は、磁気センサであり、排気用カムシャフト42に形成された複数の突起部420の通過を検出する。なお、図5では、複数の突起部420のうちの一部にのみ符号420を付している。排気用カムシャフト42の表面には、複数の突起部420が規則的に配列されている。ただし、排気用カムシャフト42の表面は、欠落部421を含む。欠落部421は、突起部420が形成されておらず、隣り合う突起部420の間隔が他の突起部420の間隔と異なる部分である。エンジン5が始動すると、クランク軸12と、吸気用カムシャフト41と、排気用カムシャフト42とが駆動される。これにより、クランク角センサ61は、クランク軸12の突起部120の通過を検出する。また、カム角センサ62は、排気用カムシャフト42の突起部420の通過を検知する。クランク角センサ61とカム角センサ62とは、検出信号をECU51に送る。
【0030】
図6は、クランク角センサ61、及び、カム角センサ62によって生成された検出信号を示すタイムチャートである。図6に示すように、クランク角センサ61に対向する位置を突起部120が通過したときは磁界が強くなるので、検出信号には周期的な起伏が形成される。一方、クランク角センサ61に対向する位置を欠落部121が通過したときには、検出信号に起伏は形成されず、同じ信号強度が持続する。このため、クランク角センサ61の検出信号には、第1領域A1と第2領域A2とが交互に表れる。第1領域A1は、突起部120の通過により周期的に起伏した信号が連続する領域である。第2領域A2は、欠落部121の通過により平坦な信号が持続する領域である。第1領域A1と第2領域A2とが検出されることにより、クランク軸12の回転数と回転角とが検知される。同様に、カム角センサ62の検出信号は、第3領域A3と第4領域A4とが交互に表れる。第3領域A3は、突起部420の通過により周期的に起伏した信号が連続する領域である。第4領域A4は、欠落部421の通過により平坦な信号が持続する領域である。第3領域A3と第4領域A4とが検出されることにより、排気用カムシャフト42の回転数と回転角とが検知される。
【0031】
上述したように、クランク軸12と排気用カムシャフト42とは連動して回転しているので、クランク軸12が正転しているのであれば(即ち正常な回転方向に回転していれば)第1領域A1と第3領域A3とは連動して同じタイミングで出現する。図6のタイムチャートを例にとると、2つの第1領域A1が検出される間に、1つの第3領域A3が検出されている。クランク軸12が正転していれば、2つの第1領域A1が検出される間に1つの第3領域A3が検出されるという周期が繰り返されることになる。
【0032】
一方、クランク軸12の回転が逆転した場合(即ち正常な回転方向と反対方向に回転した場合)には、第3領域A3が検出されるタイミングは、正転時とは異なるものになる。このため、第1領域A1と第3領域A3との検出の周期が、上述した正転時の周期とは異なるものとなる。演算部72は、正転時の周期とは異なる周期で第1領域A1と第3領域A3とが検出されたときに、クランク軸12の逆転が発生したと判断する。
【0033】
クランク軸12の逆転が検知されたときに、演算部72は、図7に示すステップS1−S3に示す水入り可能性の他の所定条件が満たされているか否かを判断する。例えば、水入り可能性は、クランク軸12が逆転したか否かの条件と、S1−S3のいずれか一又は二以上の条件を組み合わせて判断することができる。
【0034】
ステップS1では、エンジン5の始動から、時間t1以上が経過しているか否かが判断される。すなわち、クランク軸12の逆転の検知時が、エンジン5の始動失敗時ではないかどうかが判断される。なお、エンジン5の始動は、スタータリレーの信号、或いは、スタータ駆動時のバッテリ電圧の変動によって判断されてもよい。或いは、エンジン5の始動は、エンジン始動キーを回したときに出力されるエンジン始動信号によって判断されてもよい。或いは、エンジン5の始動は、エンジン回転数が所定の閾値を越えたか否かによって判断されてもよい。エンジン5の始動から時間t1以上が経過している場合には、ステップS2に進む。すなわち、クランク軸12の逆転の検知時が、エンジン5の始動失敗時ではない場合には、ステップS2に進む。
【0035】
ステップS2では、エンジン5の停止指令の発生から時間t2以上が経過しているか否かが判断される。すなわち、クランク軸12の逆転の検知時が、エンジン5の停止時ではないかどうかが判断される。具体的には、エンジン5の始動停止操作装置57からエンジン5を停止させるための操作信号がECU51に入力されてから、時間t2以上が経過しているか否かが判断される。エンジン5の停止指令の発生から時間t2以上が経過している場合には、ステップS3に進む。すなわち、クランク軸12の逆転の検知時が、エンジン5の停止時ではない場合には、ステップS3に進む。
【0036】
ステップS3では、前後進切換部15が後進状態に切り換えられてからの経過時間が、時間t3以内であるか否かが判断される。すなわち、クランク軸12の逆転の検知時が、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点から所定時間内であるかどうかが判断される。具体的には、シフト位置センサ69からの検出信号に基づいて、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点が判断される。前後進切換部15が後進状態に切り換えられてからの経過時間が、時間t3以内である場合には、ステップS4に進む。すなわち、クランク軸12の逆転の検知時が、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点から所定時間内である場合には、ステップS4に進む。なお、シフト操作装置56からの操作信号によって、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点が判断されてもよい。すなわち、シフト操作部材56aが後進位置に移動されたときに、前後進切換部15が後進状態に切り換えられたと判断されてもよい。
【0037】
ステップS4では、エンジン5が停止したか否かが判断される。すなわち、クランク軸12の逆転の検知後にエンジン5が停止したかどうかが判断される。例えば、クランク角センサ61からの検出信号が一定時間検出されなかった場合に、エンジン5が停止したと判断される。エンジン5が停止したと判断された場合には、ステップS5に進む。すなわち、クランク軸12の逆転の検知後にエンジン5が停止した場合には、ステップS5に進む。
【0038】
ステップS5では、水入り可能性に関する検知結果が記録部71に記憶される。すなわち、クランク軸12の逆転が検知されたこと、及び、ステップS1からステップS3に示す水入り可能性の所定条件が全て満たされたときに、水入り可能性に関する検知結果が記録部71に記録される。具体的には、水入り可能性に関する検知結果は、クランク軸12が逆転した回転数(以下、「逆転回転数」と呼ぶ)、現在までの水入り可能性検知回数、現在の総運転時間、船速、エンジン状態のロギングを含む。
【0039】
クランク軸12の逆転回転数は、クランク軸12の逆転の検知時からエンジン5の停止までにクランク軸12が逆方向へ何回転したかを示す値である。クランク軸12の逆転回転数は、クランク角センサ61からの検出信号に基づいて演算される。本実施形態では、現在までの水入り可能性検知回数は、現在までにクランク軸12の逆転が検知された合計回数からS1−S3の所定条件に合致しなかった回数を差し引いた回数とする。
【0040】
現在の総運転時間は、エンジン5の使用開始時から水入り可能性が検知された後のエンジン5の停止時までのエンジン5の総運転時間である。船速は、水入り可能性が検知された時点の船速でもよいし、逆転が検知された時点の船速であってもよいし、逆転の原因となる操作がされた時点の船速でもよい。より好ましくは、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点の船速が記録される。具体的には、演算部72によって演算された予測船速が記録される。
【0041】
エンジン状態のロギングは、水入り可能性が検知された時点より所定時間t4前の時点からエンジン5の停止時までのエンジン情報の履歴である。エンジン情報は、エンジン5の状態を示す情報であり、上述したスロットル開度、吸気圧、エンジン回転数、前後進切換部15のシフト状態、シフト操作部材56aのシフト位置などの情報を含む。なお、エンジン情報は、水入り可能性の検知と関係なく、エンジン5の駆動中には、所定時間t5(例えば数十秒)ごとに記録部71に記録されている。記録部71は、過去のエンジン情報を上書きして、所定時間ごとにエンジン情報を最新の情報に更新する。記録部71は、水入り可能性が検知された場合には、上記の期間のエンジン情報を、上書きによって消されないように保存する。例えば、記録部71は、水入り可能性が検知された時点で、現在記録してあるエンジン情報と、水入り可能性が検知された時点からエンジン5の停止時までのエンジン情報とを合わせて、エンジン状態のロギングとして上書きされないように保存する。
【0042】
次に、ステップS6において、表示装置53に警告メッセージが表示される。警告メッセージは、水入り可能性が検知されたことを警告するためのメッセージである。従って、表示装置53は、水入り可能性を検知したことを報知する本発明の報知部に相当する。なお、表示装置53は、クランク軸12の逆転回転数に応じて異なる警告メッセージを表示してもよい。また、表示装置53は、クランク軸12の逆転が検知された回数すなわち頻度に応じて異なる警告メッセージを表示してもよい。
【0043】
なお、ステップS1からステップS3までの水入り可能性の所定条件が満たされない場合には、水入り可能性は検出されない。また、ステップS4において、エンジン5が停止していないと判断された場合には、ステップS7に進む。
【0044】
ステップS7では、クランク軸12の逆転回転数が所定の閾値N回を越えたか否かが判断される。すなわち、クランク軸12の逆転の検知後にクランク軸12の逆転回転数が所定の閾値N回を超えたかどうかが判断される。クランク軸12の逆転の検知後にクランク軸12の逆転回転数が所定の閾値N回を超えた場合には、ステップS8に進む。なお、クランク軸12の逆転回転数が所定の閾値N回を超えていない場合には、ステップS4に戻る。
【0045】
ステップS8では、ステップS5で記録される水入り可能性に関する検知結果のうち、クランク軸12の逆転回転数に代えて、逆転回転数が上限を超えたことが記録される。また、現在までの水入り可能性検知回数、現在の総運転時間、船速、エンジン状態のロギングも記録されるが、これらはステップS5で記録された水入り可能性に関する検知結果と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
本実施形態に係る船舶推進装置1は次に特徴を有する。
【0047】
水入り可能性が検知されると、検知結果が記録部71に記録される。そして、記録部71に記録された水入り可能性に関する検知結果は、外部出力部73から外部の装置に出力することができる。例えば、パーソナルコンピュータなどの端末装置80が有線或いは無線などの通信手段を介して外部出力部73に接続される。そして、サービススタッフは、端末装置80のモニタ画面により、水入り可能性に関する検知結果を参照することにより、水入り可能性に関してエンジン状態の的確な判断が可能になる。このため、エンジン5が正常な状態である間に修理点検を行うことができ、それによりエンジン5の破損を防止することができる。
【0048】
水入り可能性の所定条件は、クランク軸12の逆転が検知されたことを含む。このため、水入り可能性が高い状態を精度よく検知することができる。
【0049】
水入り可能性の所定条件は、逆転の検知時が、エンジン5の始動失敗時ではないことを含む。エンジン5の始動失敗時には、クランク軸12の逆転が検知される可能性があるが、この場合、水入りが発生している可能性は低い。従って、逆転の検知時が、エンジン5の始動失敗時である場合には、水入り可能性を検知しないことにより、誤検知を防ぐことができる。
【0050】
水入り可能性の所定条件は、逆転の検知時が、エンジン5の停止時ではないことを含む。エンジン5の停止時には、クランク軸12の逆転が検知される可能性があるが、この場合、水入りが発生している可能性は低い。従って、逆転の検知時が、エンジン5の停止時である場合には、水入り可能性を検知しないことにより、誤検知を防ぐことができる。
【0051】
水入り可能性の所定条件は、逆転の検知時が、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点から所定時間内であることを含む。逆転の検知時が、前後進切換部15が後進状態に切り換えられた時点から所定時間内である場合には、水入りが発生した可能性が高い。このため、水入り可能性を精度よく検知することができる。
【0052】
逆転の検知後にエンジン5が停止したときには、逆転の検知時からエンジン5の停止時までのクランク軸12の逆転回転数が記録される。これにより、エンジン状態の的確な判断が可能になる。
【0053】
逆転の検知後にエンジン5が停止しなくても、クランク軸12の逆転回転数が所定の閾値を超えたときには、クランク軸12の逆転回転数が上限を超えたことが記録される。例えば、複数の船舶推進装置によって船体が前進している場合、或いは、船舶推進装置1が取り付けられた船体が他の船によって曳航されて前進している場合には、前後進切換部15が後進状態であると、クランク軸12が逆転し続ける可能性がある。この場合、逆転の検知後にエンジン5が停止しなくても、水入りが発生している可能性が高い。このため、上記のように、クランク軸12の逆転回転数が上限を超えたことを含む水入り可能性に関する検知結果が記録部71に記録されることにより、エンジン状態の的確な判断が可能になる。
【0054】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の船舶推進装置の構成は、上述した第1の実施形態の船舶推進装置1と同様である。第2の実施形態に係る船舶推進装置では、ECU51の演算部72は、排気通路20を通って水がエンジン5内へ浸入する水入りが発生し易い状態を検知する。図8は、水入りが発生し易い状態を検知するための処理を示すフローチャートである。
【0055】
まず、ステップS11では、船速が所定速度V1以上であるか否かが判断される。ここでは、演算部72によって演算された予想船速が船速として用いられる。演算部72は、船速が所定速度V1以上であるときには、水入りが発生し易い状態であると判断する。そして、ステップS12において、演算部72は、表示装置53に警告メッセージを表示させる。警告メッセージは、水入りが発生する可能性が高くなる操作に関する情報を報知するためのメッセージである。具体的には、警告メッセージは、シフト操作部材56aを後進位置に切り換えないように注意を促すためのメッセージである。ステップS11において、船速が所定速度V1以上ではない場合には、表示装置53には警告メッセージが表示されない。
【0056】
本実施形態に係る船舶推進装置1では、水入りが発生し易い状態が検知されると、警告メッセージが表示装置53に表示される。運転者は、表示装置53の警告メッセージによって注意を喚起されることにより、シフト操作部材56aを後進位置に切り換えることを回避することができる。このため、エンジン5への水入りを防止することができ、エンジン5の破損を防止することができる。
【0057】
(3)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0058】
第1の実施形態では、水入り可能性の所定条件は、クランク軸12の逆転が検知されたこと、及び、上述したステップS1−S3(図7参照)の各条件を含む。或いは、水入り可能性の所定条件は、クランク軸12の逆転が検知されたこと、及び、上述したステップS1−S3(図7参照)の各条件を含む。しかし、水入り可能性の所定条件は、これらの条件の一部を含まなくてもよい。また、水入り可能性の所定条件として、これらの条件以外の条件を含んでもよい。また、水入り検知部として、水分検出センサが排気管40に設けられてもよい。しかし、第1の実施形態のようにクランク軸12の逆転検知とS1−S3の各条件から判断することで、水分検出センサを設けなくても水入り可能性を判断することができる。
【0059】
第1の実施形態では、記録部71は、演算部72によって演算された予測船速を記録している。しかし、船速を検出する船速センサがECU51に接続される場合には、記録部71は、船速センサよって検出された船速を記録してもよい。或いは、記録部71は、GPSの位置情報から算出された船速を記録してもよい。また、第2の実施形態においても、船速センサよって検出された船速、或いは、GPSの位置情報から算出された船速が、ステップS11の判断での船速として用いられてもよい。
【0060】
第1の実施形態では、記録部71は、水入り可能性が検知された時点より時間t4前の時点からエンジン5の停止時までのエンジン情報を記録している。しかし、記録部71は、クランク軸12の逆転が検知された時点より時間t4前の時点からエンジン5の停止時までのエンジン情報を記録してもよい。或いは、記録部71は、水入り可能性が検知された時点より前の所定時間内のエンジン情報を記録してもよい。或いは、記録部71は、水入り可能性が検知された時点の所定時間前から水入り可能性が検知された時点から所定時間後までの間のエンジン情報を記録してもよい。或いは、記録部71は、クランク軸12の逆転の検知時の所定時間前からクランク軸12の逆転の検知時から所定時間後までの間のエンジン情報を記録してもよい。
【0061】
第1の実施形態では、記録部71は、クランク軸12の逆転回転数を記録している。しかし、記録部71は、クランク軸12の逆転回転数の代わりに、フライホイール48が逆転した回転数を記録してもよい。
【0062】
本発明の水入り可能性が検知された時間として、第1の実施形態では、エンジン5の使用開始時からエンジン5の停止時までのエンジン5の総運転時間が記録されている。しかし、エンジン5の使用開始時からクランク軸12の逆転の検知時までのエンジン5の総運転時間が記録されてもよい。エンジン5の総運転時間は所定時間(例えば数分)単位でカウントされ記録されるが、これに対して、クランク軸12が逆転する時間は短い。このため、エンジン5の総運転時間のカウントの最終時間として、クランク軸12の逆転の検知時とエンジン5の停止時とのいずれが選択されても、水入り可能性が検知された時間として記録されるエンジン5の総運転時間の誤差は小さい。或いは、記録部71は、本発明の水入り可能性が検知された時間として、クランク軸12の逆転が検知された日時を記録してもよい。
【0063】
報知部による報知の手段は、上記の実施形態のように、表示装置53に表示される警告メッセージではなく、警告用のランプ或いはサインなどの他の表示手段であってもよい。また、報知部による報知の手段は、メッセージなどの視覚的に訴える報知ではなく、ブザー或いは音声などの聴覚に訴える報知であってもよい。また、クランク軸12の逆転が検知された回数に応じて、メッセージの表示、ランプの点灯、ブザー、音声などの異なる報知手段によって水入り可能性の検知が報知されてもよい。例えば、クランク軸12の逆転が検出された回数が所定回数N1より少ない場合には、メッセージ或いはランプなどによってエンジン5のチェックを促す報知が行われ、クランク軸12の逆転が検出された回数が所定回数N1以上である場合には、連続的に出力されるブザー或いは音声などによって報知が行われてもよい。
【0064】
同様に、クランク軸12の逆転回転数の合計値に応じて、異なる報知手段によって水入り可能性の検知が報知されてもよい。例えば、クランク軸12の逆転回転数の合計値が所定回転数N2より少ない場合には、メッセージ或いはランプなどによってエンジン5のチェックを促す報知が行われ、クランク軸12の逆転回転数の合計値が所定回数N2以上である場合には、連続的に出力されるブザー或いは音声などによって報知が行われてもよい。
【0065】
外部出力部73は、端末装置80ではなく不揮発性メモリなどの記録媒体へ、上述した水入り可能性の検知結果を含む電子データを出力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、水入りによるエンジンの破損を防止することができる船舶推進装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 船舶推進装置
5 エンジン
11 駆動軸
12 クランク軸
13 プロペラ
15 前後進切換部
20 排気通路
53 表示装置
71 記録部
72 演算部
61 クランク角センサ
62 カム角センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
プロペラと、
前記エンジンからの駆動力を前記プロペラに伝達する駆動軸と、
前記エンジンからの排気が通る排気通路と、
前記排気通路を通って前記エンジン内へ水が浸入した可能性があることを示す水入り可能性を検知する水入り検知部と、
前記水入り検知部の検知結果を記録する記録部と、
を備える船舶推進装置。
【請求項2】
逆転検知部をさらに備え、
前記エンジンはクランク軸を含み、
前記逆転検知部は、前記クランク軸の逆転を検知し、
前記水入り検知部は、前記排気通路を通って前記エンジン内へ水が浸入した可能性があることを示す所定条件が満たされているかを判断することにより、前記水入り可能性を検知し、
前記所定条件は、前記逆転検知部が前記クランク軸の逆転を検知したことを含む、
請求項1に記載の船舶推進装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記逆転検知部による逆転の検知時が、前記エンジンの始動失敗時ではないことをさらに含む、
請求項2に記載の船舶推進装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記逆転検知部による逆転の検知時が、前記エンジンの停止時ではないことをさらに含む、
請求項2又は3に記載の船舶推進装置。
【請求項5】
前記プロペラが前進方向に回転するように前記駆動軸の回転を前記プロペラに伝達する前進状態と、前記プロペラが後進方向に回転するように前記駆動軸の回転を前記プロペラに伝達する後進状態と、に切り換えられる前後進切換部をさらに備え、
前記所定条件は、前記逆転検知部による逆転の検知時が、前記前後進切換部が前記後進状態に切り換えられた時点から所定時間内であることをさらに含む、
請求項2から4のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項6】
前記逆転検知部による逆転の検知後に前記エンジンが停止したときには、前記記録部は、前記逆転検知部による逆転の検知時から前記エンジンの停止時までに前記クランク軸が逆転した回転数を記録する、
請求項2から5のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項7】
前記逆転検知部による逆転の検知後に前記クランク軸が逆転した回数が所定の閾値を超えたときには、前記記録部は、前記クランク軸が逆転した回転数が上限を超えたことを記録する、
請求項2から6のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項8】
前記水入り検知部が前記水入り可能性を検知したことを報知する報知部をさらに備え、
前記報知部は、前記クランク軸が逆転した回転数に応じて報知を異ならせる、
請求項2から7のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項9】
前記水入り検知部が前記水入り可能性が検知されたことを報知する報知部をさらに備える、
請求項1から7のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項10】
前記報知部は、前記水入り可能性が検知された回数に応じて報知を異ならせる、
請求項9に記載の船舶推進装置。
【請求項11】
前記記録部は、前記水入り可能性が検知された回数を記録する、
請求項1から10のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項12】
前記記録部は、前記水入り可能性が検知された時間を記録する、
請求項1から11のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項13】
前記水入り可能性が検知された時間は、前記エンジンの使用開始時からの総運転時間である、
請求項12に記載の船舶推進装置。
【請求項14】
前記記録部は、前記水入り可能性が検知された時点の船速を記録する、
請求項1から13のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項15】
前記記録部は、前記逆転検知部が前記クランク軸の逆転を検知した時点の船速を記録する、
請求項2から8のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項16】
前記プロペラが前進方向に回転するように前記駆動軸の回転を前記プロペラに伝達する前進状態と、前記プロペラが後進方向に回転するように前記駆動軸の回転を前記プロペラに伝達する後進状態と、に切り換えられる前後進切換部をさらに備え、
前記記録部は、前記前後進切換部が前記後進状態に切り換えられた時点の船速を記録する、
請求項1から4のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項17】
前記記録部は、前記水入り可能性が検知された時点より前の所定時間内の前記エンジンの状態を記録する、
請求項1から16のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項18】
前記記録部は、前記水入り可能性が検知された時点より所定時間前の時点から前記エンジンの停止時までの前記エンジンの状態を記録する、
請求項1から16のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項19】
前記記録部は、前記逆転検知部が前記クランク軸の逆転を検知した時点より所定時間前の時点から前記エンジンの停止時までの前記エンジンの状態を記録する、
請求項1から16のいずれかに記載の船舶推進装置。
【請求項20】
エンジンと、
プロペラと、
前記エンジンからの駆動力を前記プロペラに伝達する駆動軸と、
前記エンジンからの排気が通る排気通路と、
前記排気通路を通って水が前記エンジン内へ浸入する水入りが発生し易い状態を検知する水入り検知部と、
前記水入り検知部の検知結果に応じて報知する報知部と、
を備える船舶推進装置。
【請求項21】
前記水入り検知部は、船速が所定速度以上であるときに前記水入りが発生し易い状態であると判断する、
請求項20に記載の船舶推進装置。
【請求項22】
前記報知部は、前記水入りが発生する可能性が高くなる操作に関する情報を報知する、
請求項20又は21に記載の船舶推進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232681(P2012−232681A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103056(P2011−103056)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】