説明

色質の向上した固体照明システム

色質及び/又はカラーコントラストが改善された固体照明システムが、本明細書に開示される。システムは、色温度に応じて変わる指定の値に従って、白熱光源又は黒体光源に比べてカラーコントラストが向上するように所定の色質スケールの15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度値を有する全光を与える。本明細書にて提供される照明システムは、1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を備えてもよく又は、複数の無機発光ダイオードを備えてもよく、その場合、2以上の無機発光ダイオードが異なる色放射帯域を有する。色質及び/又はカラーコントラストが改善された照明システムの製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体照明システムに関し、より具体的には、色質の向上した固体照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
白熱照明システム及び蛍光照明システムは、一般用途に広く用いられている照明システムである。照明システム下での物体の色の質は、光源の価値の重要な側面である。特に白熱照明システムの場合、消費者は、General Electric社からREVEAL(登録商標)として販売されている白熱電球が非常に魅力的であり、少なからずはREVEAL(登録商標)ランプの向上したカラーコントラストのため、標準的な白熱電球の非常に望ましい色よりも魅力的ですらあると感じている。
【0003】
一般に、物体の色の質は、指定された条件に対してある光源によって照明された物体の心理物理色が基準光の心理物理色に一致する度合いの測度である演色で表して説明されている。ここで使用される演色とは、物体色を、基準光源下における同じ物体の色に対して正確に表すことを指す。
【0004】
近年のエネルギー効率が良いタイプの照明システムの1つは、発光ダイオードなどの固体発光素子を用いている。REVEAL(登録商標)白熱電球の魅力に鑑みて、REVEAL(登録商標)の照明特性を備えた固体発光ランプが実現可能であるとすれば、消費者にとって魅力的な色質を備えたエネルギー効率の良い光源となるであろう。しかし、固体照明システムに適用できるような形でREVEAL(登録商標)白熱電球の魅力を特徴付けるための、一般に適用可能なモードは存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】W. DAVIS, Y. OHNO: "Toward an improved color rendering metric" SPIE, PO Box 10 BELLINGHAM WA 98227-0010 USA, vol. 5941, no. 59411, 2005, pages 1-8, XP040209336
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カラーコントラストが魅力的に向上した光源を作成する方法を定量化するモードがあれば望ましいであろう。また、カラーコントラストが魅力的に向上した固体照明システムがあれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、通電時に約2000K〜約20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を示し、白熱光源又は黒体光源に比べカラーコントラストが向上した有機エレクトロルミネセンスに基づく照明システムに関する。このシステムは、1以上の有機エレクトロルミネセンス素子と、適宜1以上のフィルタと、適宜1以上の光輝性材料と、適宜1以上の無機発光ダイオードとを備える。このシステムは、通電時に白色に見える全光を与えるように構成され、複合光は、指定の値に従ってカラーコントラストが向上するように所定のCQS(Color Quality Scale)の15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度値を有する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、通電時に約2000K〜約20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を示し、白熱光源又は黒体光源に比べてカラーコントラストが向上した無機発光ダイオードに基づく照明システムに関する。このシステムは、2以上の無機発光ダイオードが異なる色の発光帯を有する複数の無機発光ダイオードと、適宜1以上のフィルタと、適宜1以上の光輝性材料と、適宜1以上の有機エレクトロルミネセンス素子とを備える。このシステムは、通電時に白色に見える複合光を与えるように構成され、複合光は、指定の値に従ってカラーコントラストが向上するように所定のCQSの15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度値を有する。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態は、所望の色の魅力を備えた全白色光を有する、1以上の固体発光素子を備える照明システムの製造方法に関する。この方法は、(a)所与のCCT値及び所与の色ポイントを有する全光をもつ照明システムを用意するステップと、(b)色質システムの複数のマンセル色見本について全光の彩度値を測定するステップと、(c)色質システムの測定されたマンセル色見本それぞれについてデルタ彩度値を計算するステップと、(d)測定されたマンセル色見本それぞれについて、計算されたデルタ彩度値を一連の基準デルタ彩度値と比較するステップとを含む。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明からさらに十分に認識されるであろう。
【0011】
本発明の利点及び特徴は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することで明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の実施形態による照明システムの製造方法のブロック図である。
【図2】本開示の実施形態による複数の発光ダイオードを用いる照明システムの概略図である。
【図3】本開示の実施形態によるパターン状に配列された発光ダイオードの構成を示す図である。
【図4】本開示の実施形態による有機エレクトロルミネセンス素子の配列の概略側面図である。
【図5】例示的な照明システムの全光放射のスペクトルを示す図である。
【図6】例示的な照明システムのデルタ彩度値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の通り、本発明の一実施形態は、通電時に約2000K〜約20000Kの範囲にあり改善された色質スケールを有する相関色温度を呈する照明システムに関する。一実施形態では、システムは1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を備え、別の実施形態では、システムは複数の無機発光ダイオードを備え、それら無機発光ダイオードのうち少なくとも2つは異なる色発光帯を有する。システムは、通電時に白色に見える全光を与えるように構成される。本明細書で使用するとき、用語「照明システム」及び「ランプ」は、1以上の固体発光素子によって生成することができる可視光線の任意の光源を指すため、実質的に互換可能に使用される。本明細書で使用するとき、用語「固体発光素子」は、一般に、無機発光ダイオード(例えば、LED)、有機エレクトロルミネセンス素子(例えば、OLED)、無機エレクトロルミネセンス装置、レーザーダイオード及びそれらの組合せなどを含む。用語「全光」は、全体として、任意のフィルタ及び/又は光学機構(以下に定義する)によって修正されるような、かつ固体発光素子によって賦活されるリン光発光性材料によって修正されるような、システム内のすべての固体発光素子の放射を結合した総スペクトルを指す。一般には、汎用照明に使用される照明システムの全光である。
【0014】
通常、LEDなど、多くの固体発光素子では、従来の白熱電球、蛍光灯及び他の放電ランプの場合のように金属又はガスからではなく、固体、多くの場合半導体から光が放射される。従来の照明とは異なり、固体発光素子から構成されるランプは、熱損失及びエネルギー散逸がより少ない可視光を作り出すことができる可能性がある。それに加えて、その固体の性質上、衝撃、振動及び摩耗に対する耐性が高くなり、それによって寿命が大幅に増加する。
【0015】
発光ダイオード(LED)は一般に知られている。LEDは、通常、電気エネルギーを直接光に変換する固体半導体装置として定義される。概略的には、LEDは、電流が順方向で供給されると、p−n接合から光学的放射を出す半導体装置である。出力は、装置の物理的構造、使用される材料及び励起電流に比例して変わる。出力は、スペクトルの紫外域、可視域又は赤外域にあってもよい。放射光の波長は、p−n接合の材料のバンドギャップによって決まり、通常、放射が最大となるピーク(又は主)波長λp及び全体にわたって放射が十分であるピーク波長を包含する波長分布を有するものとして特徴付けられる。波長分布は、一般に、次式によって与えられるガウス確率密度関数によって特徴付けられる。
【0016】
【数1】

式中、Δλ12は分布関数のガウス半値幅である。そのため、各LEDは、一般に、その知覚色、例えば紫、青、シアン、緑、アンバー、橙、赤橙、赤などによって特徴付けられる。知覚色は主にそのピーク波長λpによって決まり、分布は単色ではないものの、むしろΔλ12の数倍という波長の有限の広がりを有する色帯域を示す。ここで、Δλ12は一般に約5〜50nmの範囲である。LEDが知覚可能な光を放射する全波長範囲は可視光の全範囲(約390〜750nm)よりも大幅に狭いので、各LEDは非白色であると知覚される。それに加えて、同じピーク波長を有すると名目上は格付けされる個々のLEDは、一般に、製造時のばらつきに起因するピーク波長範囲を示す。LEDは、意図されるピーク波長を包含する許容ピーク波長の範囲にピーク波長を限定するカラービン(color bin)に分類してもよい。有色LEDに対するカラービンの限定を規定する、ピーク波長の一般的な範囲は約5〜50nmである。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「発光ダイオード」又は「LED」は、レーザーダイオード、共振空洞LED、高輝度発光LED、フリップチップLED、垂直共振器表面発光レーザー、高輝度LED又は当業者には理解されるような他のダイオード照明装置を含んでもよい。適切な発光ダイオードは、無機窒化物、炭化物又はリン化物の1つもしくは複数を含んでもよい。当業者であれば、多彩な市販のLED並びにそれらの組成及び構造が十分に理解されていることを熟知している。特に、本明細書で用いる用語「無機発光ダイオード」は、全体として、p−n接合が主に無機材料から構築されるような発光ダイオードを指す。用語「無機発光ダイオード」は、非無機材料が装置のどこかに存在することを除外するものではない。
【0018】
一般に理解されているように、OLED装置は、一般に、透光性基板である場合が多い基板上に形成された電極、例えばカソード及び透光性アノードの間に配置される、1以上の有機発光層を含む。発光層は、アノード及びカソードを通して電流を印加すると光を放射する。電流を印加すると、電子をカソードから有機層に注入することができ、正孔をアノードから有機層に注入することができる。電子及び正孔は、一般に、有機層を通過してから発光中心で、一般には有機分子又は高分子で再結合し、その再結合プロセスによって、通常はスペクトルの紫外又は可視域であり得る光子が放射される。本明細書で用いる用語「有機エレクトロルミネセンス素子」は、一般に、エレクトロルミネセンス特性を示す有機材料(分子もしくは高分子)を有する活性層を含むデバイス(例えば、電極及び活性層を含む)を指す。有機エレクトロルミネセンス素子を組み込んだデバイスは、無機材料の存在を除外しない。2以上の「有機エレクトロルミネセンス素子」が存在するものと指定された場合、有機材料は同一であってもよく(例えば、同じ材料の複数層が配列される)又は異なってもよい(例えば、異なる材料の複数層が配列される)。さらに、異なる種類の有機エレクトロルミネセンス材料が同じ層において存在する(例えば、混合される)ことができる。
【0019】
当業者には認識されるように、有機エレクトロルミネセンス素子は、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、光吸収層又はそれらの任意の組合せなど、追加の層を含んでもよい。本開示による有機エレクトロルミネセンス素子は、また、基板層、耐摩耗層、接着層、耐薬品層、発光層、放射線吸収層、放射線反射層、バリア層、平坦化層、光拡散層及びそれらの組合せの1以上などであるが、それらに限定されない他の層を含んでもよい。
【0020】
有機エレクトロルミネセンス材料の化学組成によって、発光中心から放射される光の「バンドギャップ」及びそれに対応する波長分布が決まる。LEDの知覚色を特徴付ける色帯域と同様に、有機エレクトロルミネセンス層から放射される波長の分布も色帯域を生成する。しかし、LED色帯域の一般的なガウス形状の分布の場合とは異なり、有機エレクトロルミネセンス素子の色帯域は、複数のピーク波長及び場合によってはより広いスペクトル幅を有することがあり、それでもなお、有機エレクトロルミネセンス層内の各発光中心は知覚色によって特徴付けられてもよく、可視光の全範囲よりも狭い有限の波長分布を有する知覚色は色帯域と呼ばれることがある。各有機発光層内に1以上の異なる組成の発光中心があることがあるので、各発光層は1以上の色帯域の光を放射することがある。
【0021】
上述の通り、本発明のいくつかの実施形態によれば、照明システムは1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を含んでもよい。当業者は、一般に、有機エレクトロルミネセンス素子及びそれらの構造に精通している。本発明のいくつかの実施形態は、複数の固体発光素子が積み重ねた又は重ね合わせた構造で配列された複数の有機エレクトロルミネセンス素子を備える照明システムを含む。当業者には理解されるように、照明システムが複数の有機エレクトロルミネセンス素子を備える際に色混合を達成するため、積み重ねた構造で組み立てられた異なる基板上に作製された複数の有機エレクトロルミネセンス層を含んでもよい。それらは適宜互いに重ね合わされてもよい。一実施形態では、複数の有機エレクトロルミネセンス層を互いに積み重ねるのに透明(例えば、接着)層が使用される。一実施形態では、そのような積み重ねられた有機エレクトロルミネセンス層は、白色発光有機エレクトロルミネセンス層も含んでもよい。本開示の別の実施形態では、照明システムは、例えば、赤、緑及び青の有機エレクトロルミネセンス発光素子のスペクトルの組合せによって白色光放射を形成することができる、単一の電源によって駆動されてもよいタンデムOLEDタイプのランプであることができる。
【0022】
本発明の他のいくつかの実施形態は、また、1以上の固体発光素子からの光を異なる波長に変換する、1以上の光輝性材料(一般には、リン光体、量子ドット及びそれらの組合せから選択されるが、それらに限定されない)を備える照明システムを含む。本発明の別の実施形態は、照明システムの全光を修正する1以上のフィルタを備える照明システムを含む。適切なフィルタは、場合によっては、ネオジム含有ガラスフィルタなど、照明システムの全光のスペクトルのうち特定の領域を低下させる材料を含んでもよい。最後に、1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を有する照明システムの実施形態では、1以上の無機発光ダイオードをシステムに組み込んでもよい。同様に、複数の無機発光ダイオードを有する(その場合、2以上の無機発光ダイオードは異なる色放射帯域を有する)照明システムの実施形態では、1以上の有機エレクトロルミネセンス素子をシステムに組み込んでもよい。
【0023】
本開示の実施形態では、照明システムは、向上もしくは改善されたカラーコントラスト又は従来の白熱光源もしくは黒体光源よりも全体的に魅力的な見え方を示す。照明システムの顕色は、それ自体が(かかる照明システムによって照明される物体とは対照的に)その色度座標又は色座標によって説明されるが、かかる座標は、当業者には理解されるように、標準的な方法に従ってその分光分布から計算することができる。これは、CIE, Method of measuring and specifying color rendering properties of light sources (2nd ed.), Publ. CIE No. 13.2 (TC-3, 2), Bureau Central de la CIE, Paris, 1974(CIEは、国際照明委員会(Commission Internationale d'Eclairage)の略である。)に従って特定される。CIE標準色度図は、x及びy座標を有する二次元グラフである。この標準図は、様々な温度における黒体放射体の色ポイントを含む。xy図上での黒体色度の軌跡はプランク軌跡として知られている。この軌跡上のポイントによって表されるあらゆる放射源は、ケルビン単位の色温度によって特定されてもよい。このプランク軌跡付近にあり、ただし軌跡上にはないポイントは、相関色温度(CCT)によって特徴付けることができるが、これは、そのようなポイントからこの色温度でのプランク軌跡と交差する線を描くことにより、すべてのポイントが正常な人間の眼にはほぼ同じ色を有するように見えるためである。照明システムは、少なくとも部分的に、色座標及びCCTの観点で特徴付けることができる。本開示の実施形態によれば、カラーコントラストもしくは彩度が向上した又は見え方が向上した白色に見える全光を与える照明システムが提供される。これらの照明システムは、物体がより魅力的に又はより鮮やかに見えるように、物体を照明するのに有用な光を与える。
【0024】
本発明の実施形態によれば、照明システムは、通電時に白色に見える全光を与えるように構成され、この複合光は、相関色温度に対して所定のCQSの15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度(Δ彩度)値を有する。CQSについては以下にさらに記載する。本明細書で用いる「彩度」値はCIE LAB空間で測定される。彩度値は、例えばCIE LAB色空間で、従来技術によって計算することができる。例えば、CIE 1976のa、b彩度値は、当業者には良く知られているように、かつlluminating Engineering Society of North America Lighting Handbook(ISBN−10:0−87995−150−8)のような当技術分野の標準的なハンドブックに見出すことができるように、C*ab=[(a*)2+(b*)212として計算される。
【0025】
National Institute of Standards and Technology(NIST)によって開発されたCQSは、より一般に知られている演色評価数(CRI)によって行われるのと同様に、15個のマンセル色見本を使用して、光源によって照明された物体の色の外見を評価する。なお、以前のCRIシステムは、14個の標準色見本(R1〜R14又は全体的にRiで示される)を利用して演色性を評価する。一般に、CRIによる演色スコアが報告されるときは、すべて低から中程度の色調飽和度である最初の8個の見本のみに対するRi値の平均である「平均演色評価数」(Raと呼ばれる)である。しかし、物体色を測定するCRIシステムには、例えば、色空間の赤色領域が不均一であり、Raを計算するのに使用される8個の色見本の飽和度が高くないといった不利な点がある。Ra値が高くても、飽和色の演色は非常に乏しい場合がある。換言すれば、非常に高いRa値に従ってランプのスペクトルを(原理的に)最適化することができるが、実際の演色ははるかに乏しいことがある。8個の色見本は単にRa値を得るために平均化されるので、ランプは、1つ又は2つの色の表現が非常に乏しいとしても高いスコアを得る場合がある。この問題は、Raを計算するのに使用される見本のうち、高い色調飽和度をもつものがほとんどないために起こる。
【0026】
CQSは、CRIシステムのこれらの不利な点を克服し、したがって、本開示の実施形態によれば、物体色の外見を評価するシステムとして使用される。CQSシステムは、多くの場合、合計15個の色見本の顕色を組み込んだ全体のQa値を使用し、それらの色見本はすべて、比較的高い色調飽和度を有し、色空間内でほぼ均一に分布する。Qa値は、一般に、15個の色見本それぞれに対する個々のCQS値の平均に相当する。Qa値の計算は、W. Davis and Y. Ohno, ”Toward an improved color rendering metric,” Proc. SPIE Fifth International Conference on Solid State Lighting, 5941, 2005にさらに十分に記載されており、その記載内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。。
【0027】
NISTによって設定されるように、CQSは、表1に示す色相値及び彩度を有する標準的な一連の15個の飽和したマンセル色見本(色「票」と呼ばれることがある)を利用する。
【0028】
【表1】

これらの値(色相値/彩度)はそれぞれ、VS1〜VS15として名付けられたCQSの15個のマンセル色見本に対応する。換言すれば、VS1は第1の標準マンセル色見本に対応し、VS2は第2のマンセル色見本に対応し、以下同様である。色相ラベルは次の種類を有する。「P」は紫、「PB」は青紫、「B」は青、「BG」は青緑、「G」は緑、「GY」は黄緑、「Y」は黄、「YR」は黄赤、「R」は赤、「RP」は赤紫である。
【0029】
CRI及びCQSなど、現在の業界の測定基準は、所望の値からの偏差の方向(すなわち符号)が省略される形で使用されてきた。例えば、CRIシステムでRaの値を計算するとき、デルタE(顕色の差)の計算は偏差の方向性を無視する。照明システムの設計者が従来の方式でCRI又はCQSを使用した場合、演色の飽和度に関する情報が失われる。本開示によれば、出願人らは彩度値の演算上の差を判断し、したがって、そのような方向性又は符号が保存される。さらに、CRI又はCQSシステムを使用する通常の方法は輝度(L)部分を含む。しかし、出願人らは、(基準及び試験見本のLa*b*の差を計算することによって)、L部分を含んでも最小限の寄与しかないことを見出している。したがって、出願人らは一般に彩度値を使用することを好む。
【0030】
本発明の実施形態によれば、CQSは以下のやり方で使用される。照明システムは、複合光に対する所与の相関色温度(CCT)で、かつ所与の色ポイント(又は色度座標)で、各色票に対して彩度値を有する全光を生成する。次に、これらの彩度値は、基準光源を使用して生成された各色票に対する一連の基準彩度値と比較される。その基準光源は、調査中の照明システムと同じ色温度及び同じ色ポイント(色度座標)を有するプランク黒体放射線である。調査中の照明システムによって照明されている各色票に対するデルタ彩度(Δ彩度)値は、調査中の照明システムの全光の彩度値と基準光源の彩度値との演算上の差である。
【0031】
したがって、本開示はまた、所望の顕色をもつ全白色光を有する1以上の固体発光素子を備える照明システムの製造方法を提供する。
【0032】
次に図1を参照すると、本発明の実施形態による方法を概略的に説明するフローチャートが示される。全体として、方法は、(a)所与のCCT値及び所与の色ポイントを有する全光をもつ照明システムを用意するステップ(ブロック1)と、(b)色質システムの複数のマンセル色見本について全光の彩度値を測定するステップ(ブロック2)と、(c)色質システムの測定されたマンセル色見本のそれぞれについてデルタ彩度値を計算するステップ(ブロック3)と、(d)前記測定されたマンセル色見本それぞれについて、計算されたデルタ彩度値を一連の基準デルタ彩度値と比較するステップ(ブロック4)とを含む。一般に、一連の基準デルタ彩度値は黒体放射線からの彩度値の測定から導き出される。場合によっては、方法は、(e)照明システムのスペクトル成分を調節して、前記所与のCCT値及び所与の色ポイントで調節された全光をもつ照明システムを用意するステップ(ブロック5)と、(f)色質システムの複数のマンセル色見本について、調節された全光の彩度値を測定するステップ(ブロック6)とをさらに必要とするか、或いはそれらステップをさらに含む。多くの例では、ステップ(b)は、色質システムの15個のマンセル色見本すべてについて複合光の彩度値を測定するステップを含む。最後に、方法は、調節ステップ(e)及び測定ステップ(f)の1回を超える繰り返しをさらに含んでもよい。また、この照明システムの製造方法は、別の観点から、改善された照明システムの設計方法と見なしてもよい。照明システムは、所望の基準彩度値内にある全光を有する固体発光素子を組み立てた後に製造されたものと見なされる。
【0033】
実施形態によれば、本発明の照明システムによって放射される全光について、望ましいデルタ彩度(Δ彩度)値がある。デルタ彩度値は、本明細書に記載される照明システムの色知覚を特定し、向上したカラーコントラストを評価するのに有用である。デルタ彩度値は、本開示の実施形態による照明システムを選択し、作成し、かつ/又は評価するのに使用することができる。
【0034】
照明システムからの全光が、前記相関色温度に対して「所定の」CQSの15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度(Δ彩度)値を有するか否かを判断するため、一般に、照明システムのCCTに応じて、後述するガイドラインに従ってもよい。従来の規定の理想的な光源(例えば、標準的な白熱電球)に対する目標デルタ彩度値は、15個のマンセル色票すべてについてほぼゼロのVS値を有することに留意されたい。しかし、本開示における向上したカラーコントラスト及び視覚的魅力を提供する光源の目標デルタ彩度値は、CCTに応じたやり方で、VS=0という目標から大幅に外れる場合がある。偏差は、2000〜4500KのCCT値において、VS6、VS7、VS8、VS13、VS14、VS15について明示されてもよく、4500〜20000KのCCT値において、VS6、VS7、VS8、VS13、VS14について明示されてもよい。
【0035】
したがって、相関色温度(CCT)が約2000K〜約3000Kの範囲の場合、デルタ彩度値は一般に以下のように選択される。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−2〜7(特に0〜5)のVS1、−3〜7(特に−1〜5)のVS2、−7〜7(特に−5〜5)のVS3のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−2〜8(特に0〜7)のVS4、−2〜15(特に0〜14)のVS5のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、1〜25(特に3〜20)のVS6、4〜26(特に5〜25)のVS7、−1〜15(特に2〜10)のVS8のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−6〜7(特に−2.5〜5)のVS9、−4〜6(特に−2.5〜5)のVS10、−2〜8(特に0〜5)のVS11のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−1〜8(特に0〜6)のVS12、−1〜13(特に2〜10)VS13ののパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−7〜13(特に2〜10)のVS14、−9〜12(特に2〜10)のVS15のパラメータ内にある。本開示によれば、デルタ彩度値はすべてCIE LAB空間で測定される。
【0036】
相関色温度が約3000K〜約4500Kの範囲の場合、デルタ彩度値は一般に以下のように選択される。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−5〜7(特に0〜5)のVS1、−3〜7(特に−1〜5)のVS2、−7〜7(特に−5〜5)のVS3のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−3〜8(特に0〜7)のVS4、−2〜15(特に0〜14)のVS5のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、0〜22(特に3〜20)のVS6、3〜26(特に5〜25)のVS7、−1〜15(特に2〜11)のVS8のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−6〜7(特に−2.5〜5)のVS9、−4〜6(特に−2.5〜5)のVS10、−4〜6(特に0〜5)のVS11のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−1〜8(特に0〜6)のVS12、−1〜13(特に2〜10)VS13ののパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−7〜15(特に2〜12)のVS14、−7〜12(特に2〜11)のVS15のパラメータ内にある。
【0037】
相関色温度が約4500K〜約7500Kの範囲の場合、デルタ彩度値は一般に以下のように選択される。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−5〜7(特に0〜5)のVS1、−3〜7(特に−1〜5)のVS2、−5〜7(特に−3〜5)のVS3のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−3〜7(特に−1〜5)のVS4、−2〜15(特に0〜10)のVS5のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、0〜22(特に3〜15)のVS6、1〜26(特に5〜18)のVS7、−1〜15(特に2〜12)のVS8のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−6〜7(特に−2.5〜5)のVS9、−5〜6(特に−2.5〜5)のVS10、−4〜6(特に−2〜5)のVS11のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−2〜8(特に0〜6)のVS12、−1〜16(特に2〜10)のVS13のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−5〜22(特に2〜12)のVS14、−6〜15(特に0〜11)のVS15のパラメータ内にある。
【0038】
相関色温度が約7500K〜約20000Kの範囲の場合、デルタ彩度値は一般に以下のように選択される。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−3〜7(特に0〜5)のVS1、−3〜7(特に−1〜5)のVS2、−5〜8(特に−2〜7)のVS3のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−3〜6(特に−1〜4)のVS4、−3〜15(特に0〜10)のVS5のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、0〜22(特に3〜15)のVS6、0〜25(特に5〜16)のVS7、−1〜15(特に2〜12)のVS8のパラメータ内にある。CQSの次の3つの色見本のうち少なくとも2つは、−5〜7(特に0〜5)のVS9、−5〜6(特に−2〜5)のVS10、−4〜6(特に−3〜5)のVS11のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−3〜8(特に0〜6)のVS12、−1〜16(特に1〜10)のVS13のパラメータ内にある。CQSの次の2つの色見本のうち少なくとも1つは、−3〜24(特に2〜11)のVS14、−4〜15(特に0〜11)VS15のパラメータ内にある。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、照明システムの複数の固体発光素子は、グリッド状、最密構造又は他の規則的なパターンもしくは構造で配列される。そのような規則的パターンの非限定例としては、例えば、六角形、菱形、長方形、正方形、もしくは平行四辺形構造のグリッド又は円形、正方形、もしくは他の多面的幾何学形状の外辺もしくは内面の周りの規則的間隔が挙げられる。最適化された色混合では、場合によっては同じ色の隣接の発生を低く保つのが望ましいことがある。しかし、同じ色の隣接を回避することが常に可能であるとは限らない。
【0040】
本発明の特定の実施形態によれば、複数のLEDを使用するとき、それらはそれぞれ、LEDの発光スペクトルが最大となる波長(ピーク波長)によって特徴付けられる色を有し、ガウス分布関数によって近似的に表される近接波長における発光強度の分布を有する。一般に、特徴的な幅は約5〜50nmである。いくつかの実施形態は、1以上の固体発光素子が(通電時に)約432nm〜約467nmの範囲のピーク波長を有する光を放射するように構成される照明システムであって、システムの1以上の固体発光素子が、通電時に約518nm〜約542nmの範囲のピーク波長を有する光を放射するように構成され、システムの1以上の固体発光素子が、通電時に約578nm〜約602nmの範囲のピーク波長を有する光を放射するように構成され、システムの1以上の固体発光素子が、通電時に約615nm〜約639nmの範囲のピーク波長を有する光を放射するように構成される、照明システムに関する。
【0041】
個々の固体発光素子に対するこれらの変動する色は(組み合わされると)所望の色質を達成するのに有効であるが、2以上の追加の固体発光素子を含め(特に現在は市販のLEDを選択することを考慮すれば)、それらの追加の固体発光素子のうち少なくとも1つが、通電時に約458nm〜約482nmの範囲のピーク波長を有する光を放射するように構成され、かつそれらの追加の固体発光素子のうち少なくとも1つが、通電時に約605nm〜約629nmの範囲のピーク波長を有する光を放射するように構成されることによって向上をもたらすことができる。
【0042】
上述した固体発光素子の数は、素子の強度並びにそれらのピーク波長及び波長分布に応じて変わることが認識されるであろう。したがって、本発明は、所望の複合光スペクトルを構築するのに使用することができる固体発光素子のタイプの数で限定されない。したがって、本発明は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又はさらに多数の異なる色帯域を有する固体発光素子を使用することを含んでもよい。紫、青、シアン、緑、アンバー、黄、橙、赤橙及び/もしくは赤又は他の中間の色帯域もしくは色帯域の混合を放射する固体発光素子が含まれてもよい。他のいくつかの実施形態では、4つ以上の色の固体発光素子が白色光を発生させることができ、いくつかの非限定例は、RGBA(赤、緑、青、アンバー)、RGBC(赤、緑、青、シアン)などである。
【0043】
本開示の実施形態による照明システムは、複数の固体発光素子を支持する基板をさらに備える。一般に、そのような基板は、前記システムからの熱を散逸させることができる放熱要素を備えてもよい。そのような基板の一般的な目的としては、複数の固体発光素子に対して、機械的支持及び/又は熱管理及び/又は電気的管理及び/又は光学的管理を提供することが挙げられる。基板は、任意の適切な材料で作ることができ、金属、半導体、ガラス、プラスチック及びセラミック又は他の適切な材料のうち1つもしくは複数を含むことができる。プリント回路基板は基板の1つの特定例である。他の適切な基板としては、様々なハイブリッドセラミックス基板及びほうろう金属基板が挙げられる。さらに、例えば、白色のマスキングを基板上に適用することによって、基板を光反射性にすることができる。場合によっては、基板はベースに取り付けることができる。適切なベースの一例としては周知のエジソンベースが挙げられる。
【0044】
本発明の実施形態では、照明システムは、複数の固体発光素子の少なくとも1つに電流を供給するリード線をさらに含む。リード線は電気回路の一部分を含んでもよい。一般に知られているように、複数の固体発光素子(異なる色のLEDなど)を有する照明デバイスは、電流を適切に印加することによって強度及び色の両方が制御されてもよい。したがって、当業者であれば、固体発光素子に電力を供給するのに必要な電気回路類について広く理解するであろう。本発明は、特定の回路に限定されるのではなく、むしろ照明システムの全光の特性によって限定されるものとする。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、照明システムは、1以上のコントローラ及び1以上のプロセッサをさらに備えてもよい。通常、そのようなプロセッサは、コントローラから信号を受け取って、固体発光素子の1以上の強度を制御するように構成される。プロセッサとしては、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサ、集積回路、コンピュータソフトウェア、コンピュータハードウェア、電気回路、プログラマブル論理デバイス、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理などのうち1以上を挙げることができる。場合によっては、そのようなコントローラは、固体発光素子の全光放射(すなわち、照明システムの全光)又は温度の一方もしくは両方を受け取ることができるセンサと連通している。センサは、例えば、フォトダイオード又は熱電対であることができる。プロセッサは、次いで、固体発光素子への電流を(直接又は間接的に)制御してもよい。別の実施形態では、システムは、全光放射又は放射光のスペクトル成分の調節を容易にする、コントローラに連結されるユーザインターフェースをさらに含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、照明システムは、複数の固体発光素子を少なくとも部分的に取り囲む外囲器を備えることができる。一般に、そのような外囲器は、意図される光出力の方向においてほぼ透明又は半透明である。そのような外囲器を構築する材料は、プラスチック、セラミック、金属、複合材料、透光性コーティング、ガラス又は石英の1つもしくは複数を含んでもよい。そのような外囲器は、例えば、電球形、ドーム形、半球状、球状、円筒状、放物線状、楕円形、扁平状、螺旋状など、任意の形状を有することができる。
【0047】
照明システムは、固体発光素子の1以上によって光が放射されると、光に作用する動作(light-affecting operation)を行う光学機構を含んでもよい。本明細書で用いる用語「光学機構」は、1以上の光に作用する動作を行うように構成することができる、任意の1以上の要素を含む。そのような光に作用する動作は、混合、散乱、減衰、導光、抽出、制御、反射、屈折、回折、偏光及びビーム整形から選択される1以上を含んでもよいが、それらに限定されない。換言すれば、光学機構は、光に作用する種々の要素を十分に含む広い意味を有する。光学機構によって提供されるこれらの光に作用する動作は、固体発光素子それぞれ(複数が用いられる場合)からの光を有効に混合するのに有用であり得るので、全光は白色に見え、好ましくは顕色も均質に見える。混合及び散乱などの動作は、均質な白色光を達成するのに特に有効である。導光、抽出及び制御などの動作は、発光効率を最大限にするために発光素子から光を抽出する、光に作用する動作を指すものとする。これらの動作は他の効果も有してもよい。光に作用する動作について説明する用語同士が重複する可能性がある(例えば、「制御」は「反射」を含むことがある)ことが理解されるが、当業者であれば使用される用語を理解するであろう。
【0048】
場合によっては、照明システムは、2つ以上の固体発光素子からの光を混合する散乱要素又は光ディフューザを含んでもよい。一般には、そのような散乱要素又は光ディフューザは、膜、粒子、ディフューザ、プリズム、混合プレート又は他の色混合光ガイドもしくは光学部品などのうち少なくとも1つから選択される。散乱要素(例えば光ディフューザ)は、異なる色の固体発光素子の個々のRGB(赤、青、緑又は他の色)構造を目立たなくするのを助けることがあるので、表面における光源及び照明の色は、見る者にとってはほぼ空間的に均一な見かけの色に見える。
【0049】
いくつかの実施形態では、光学機構は、レンズ、フィルタ、絞り及びコリメータなどから選択される導光又は整形要素を含むことができる。或いは、光学機構は、光を混合、散乱又は拡散するように構成される、固体発光素子の1つもしくは複数に対する封入剤を含むことができる。別の代替例では、光学機構は、反射器又は他のある種の光抽出要素(例えば、フォトニック結晶もしくは導光路)を含む。
【0050】
上述の通り、本発明のいくつかの実施形態によれば、光を散乱もしくは拡散するため又は単色光を作るため、個々の固体発光素子(例えば、LEDチップ)を封入する材料を用いてもよい。通常、そのような封入材料はほぼ透明又は不透明である。封入媒体は、いくつかの例では、ガラス状の物質又は高分子材料、例えばエポキシ、シリコーン、アクリレートなどで構成されてもよい。そのような封入材料は、一般に、光を散乱又は拡散する粒子も含んでもよく、それらは、異なる固体発光素子からの光を混合するのを助けることができる。当業者には理解されるように、光を散乱又は拡散する粒子は任意の適切なサイズ及び形状であることができ、また、例えば、酸化ケイ素、ケイ素、チタニア、アルミナ、酸化インジウム、酸化スズ又は他の金属酸化物などの無機材料で構成することができる。代替実施形態では、光を拡散する又は単色光を作る他のタイプのディフューザ及びミキサーを用いてもよい。それらは、例えば、様々な高分子材料上のプリズム膜である、LCD業界で使用されるものなどの人工ディフューザ膜であり得る。それに加えて、他の異なる光学部品を使用してLED光を導光/整形して、この光源内での色混合をさらに最適化することも可能である。適切な光学部品としては、例えば、様々なレンズ(凹面、凸面、平面、「バブル」、フレネルなど)及び様々なフィルタ(偏光子、カラーフィルタなど)が挙げられる。
【0051】
次に図2を参照すると、LEDなどの固体発光素子のアレイ11から全白色光18を放射するのに用いられてもよい、照明装置10の具体例の高度な概略図が示される。特に、LEDダイのアレイ11は、一般に、ヒートシンク15と熱的に連通した状態で機械的に支持されてもよい。電流は、電源13からLEDアレイ11に供給され、センサ12と連通しているプロセッサ/ドライバ14によって制御される。アレイ11の個々のダイから放射される光は、一般に、光ミキサー/ディフューザ16によって混合及び/又は結合され、混合/結合された光を光抽出機構17によって抽出して、全白色光18を放射することができる。
【0052】
図3は、個々のLEDダイ19の一般的な位置を示す、LEDアレイ11の具体例の概略図である。例示的実施形態では、ほぼハチの巣状に配列された15個のそのようなダイ19のアレイが示され、Rは赤色LED、Aはアンバー、Gは緑、Bは青を示す。照明装置10(図2を参照)に組み込んだとき、このアレイ11は概して、均質な白色光18を供給することができる。
【0053】
白色に見える全光を供給するため、有機エレクトロルミネセンス素子を配列する多数の方法が可能である。1つのそのようなOLED構成の具体例が図4に示す。連続層の概略断面図では、上部基板21、カソード22、有機エレクトロルミネセンス層23、電荷阻害層(charge−blocking layer)24、アノード25(透明アノードであってもよい)及び下部ガラス基板26で構成される発光システム20が示される。層23は、本質的に赤、緑及び青である色帯域をそれぞれ放射する、3つの異なるタイプの有機エレクトロルミネセンス材料R、G、Bで構成されてもよい。デバイス20の底部から抽出される光(図示なし)を結合して白色光を供給することができる。3つのエレクトロルミネセンス材料は、層23内で横方向に配置されるものとして示されているが、当然ながら、当業者には理解されるように、それらは他の構成(混合など)で配置されてもよい。
【0054】
本発明の理解を深めるため、以下の実施例が提供される。この実施例は限定のためではなく例証として示される。
【実施例】
【0055】
多重LED照明システムを、6つの異なる色を有する15個のLEDチップから構築した。選択されたチップはすべて、商用の供給元から得られるランベルト放射パターン(lambertian radiation pattern)を有する高出力の単色LEDであった。観察された波長ピークはすべて、50nm未満、通常は35nm未満の一般的な半値幅を伴っていた。
【0056】
【表2】

表2に示す15個のLEDチップは、ヒートシンクを備えた共通の制御回路基板上にハチの巣状パターンで配列し、色混合及び光の均質性を促進するため、光混合機構及び拡散要素を上に重ねた。
【0057】
この例示的なシステムから得られたスペクトルを図5に示す。アレイから抽出された複合光/全光は、x=0.440及びy=0.3948の色ポイント(CIE色度系による)、2808のCCT、並びに60.2のCRI(Ra)値を有していた。CQSシステムにおけるその総Qa値は80.2であった。このランプからの光は、CQSシステムの15個の色見本それぞれについて、表3に示すようなデルタ彩度値(ΔC*ab)を示した。異なる色のLEDチップの結合には、見る者が白色であると知覚することができる光を放射するという効果があった。
【0058】
【表3】

上述の表3において表形式で示されるCQS出力は、図6にもグラフ形式で示される。
【0059】
この実施例におけるランプは、通電時に物体をより魅力的又は自然に見せることができる光を発することが見出された。特に、利益をもたらすことができるいくつかのそのような物体としては、木材色、木目色及び肌の色を有するものが挙げられる。それらは、一般に、General Electric社製のREVEAL(登録商標)白熱電球のスペクトルにおける特定の顕著な特徴とほぼ同じであり、さらにはそれを改善する。
【0060】
発光素子としてLEDを利用する一実施例を提示してきたが、当業者であれば、本実施例に従って作られるランプのスペクトルパターンを確定することによって、同じCQS演色特性を有するLED及び/又はOLED及び/又は他の固体発光素子の組合せからランプを構築又は改造することができる。上述の実施例に記載した本発明の組合せに使用されるLEDのスペクトルに一致する発光素子が選択される。驚くべきことに、固体発光素子を適正に選択し、それらの出力を融合させることによって、REVEAL(登録商標)電球と同じ又はさらには改善された照明特性をもつスペクトルが得られる。
【0061】
本明細書で使用するとき、関連する基本的機能を変えることなく変化することができる任意の量的表現を修飾するため、近似的用語が適用されてもよい。したがって、「約」及び「ほぼ」などの用語によって修飾される値は、場合によっては指定された正確な値に限定されなくてもよい。量に関して使用される「約」という修飾語は、提示される値を含み、文脈によって決まる意味を有する(例えば、特定の量の測定と関連する誤差の度合いを含む)。「適宜」は、それに続いて記載される事象もしくは状況が起こっても起こらなくてもよいこと又はそれに続いて特定される材料が存在してもしなくてもよいこと、並びに本明細書が、その事象もしくは状況が起こるか又はその材料が存在する場合と、その事象もしくは状況が起こらないか又はその材料が存在しない場合とを含むことを意味する。単数形で記載したものであっても、文脈から明らかでない限り、複数形も含めて意味する。本明細書に開示される範囲はすべて、標記の上下限を含み、かつ独立して結合可能である。
【0062】
本明細書で用いる「〜するように適合される」、「〜するように構成される」などの語句は、指定の構造を形成するように又は指定の結果を達成するようにサイズ決め、配列、もしくは製造される要素を指す。本発明を、限定された数の実施形態のみに関連して記載してきたが、本発明がそのような開示される実施形態に限定されないことは容易に理解されるはずである。むしろ、本発明を修正して、前述されていないが本発明の趣旨及び範囲に対応する任意の数の変形、代替、置換又は等価の配置を組み込むことができる。それに加えて、本発明の様々な実施形態を記載してきたが、本発明の態様は記載される実施形態の一部のみを含んでもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、上述の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、添付の請求項の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0063】
10 照明装置
11 LEDアレイ
12 センサ
13 電源
14 プロセッサ/ドライバ
15 ヒートシンク
16 光ミキサー/ディフューザ
17 光抽出機構
18 全白色光
19 LEDダイ
20 発光システム
21 上部基板
22 カソード
23 有機エレクトロルミネセンス層
24 電荷阻害層
25 アノード
26 下部ガラス基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電時に約2000K〜約20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を呈する照明システムであって、
1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を備え、
システムが、通電時に白色に見える全光を与えるように構成され、前記全光が、白熱光源又は黒体光源に比べてカラーコントラストが向上するように、以下に従って所定のCQSの15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度値を有する、すなわち、
(A)CCTが約2000K〜約3000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−2〜7のVS1、−3〜7のVS2、−7〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−2〜8のVS4、−2〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、1〜25のVS6、4〜26のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−6〜7のVS9、−4〜6のVS10、−2〜8のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜8のVS12、−1〜13のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−7〜13のVS14、−9〜12のVS15のパラメータ内にあり、
(B)CCTが約3000K〜約4500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−5〜7のVS1、−3〜7のVS2、−7〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜8のVS4、−2〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜22のVS6、3〜26のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−6〜7のVS9、−4〜6のVS10、−4〜6のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜8のVS12、−1〜13のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−7〜15のVS14、−7〜12のVS15のパラメータ内にあり、
(C)CCTが約4500K〜約7500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−5〜7のVS1、−3〜7のVS2、−5〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜7のVS4、−2〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜22のVS6、1〜26のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−6〜7のVS9、−5〜6のVS10、−4〜6のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−2〜8のVS12、−1〜16のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−5〜22のVS14、−6〜15のVS15のパラメータ内にあり、
(D)CCTが約7500K〜約20000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−3〜7のVS1、−3〜7のVS2、−5〜8のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜6のVS4、−3〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜22のVS6、0〜25のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−5〜7のVS9、−5〜6のVS10、−4〜6のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜8のVS12、−1〜16のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜24のVS14、−4〜15のVS15のパラメータ内にあり、
デルタ彩度値がすべてCIE LAB空間で測定される、照明システム。
【請求項2】
前記デルタ彩度値が以下のように予め選択される、請求項1記載の照明システムであって、
(A)CCTが約2000K〜約3000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−5〜5のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜7のVS4、0〜14のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜20のVS6、5〜25のVS7、2〜10のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−2.5〜5のVS9、−2.5〜5のVS10、0〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、2〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜10のVS14、2〜10のVS15のパラメータ内にあり、
(B)CCTが約3000K〜約4500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−5〜5のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜7のVS4、0〜14のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜20のVS6、5〜25のVS7、2〜11のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−2.5〜5のVS9、−2.5〜5のVS10、0〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、2〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜12のVS14、2〜11のVS15のパラメータ内にあり、
(C)CCTが約4500K〜約7500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−3〜5のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜5のVS4、0〜10のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜15のVS6、5〜18のVS7、2〜12のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−2.5〜5のVS9、−2.5〜5のVS10、−2〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、2〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜12のVS14、0〜11のVS15のパラメータ内にあり、
(D)CCTが約7500K〜約20000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−2〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜4のVS4、0〜10のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜15のVS6、5〜16のVS7、2〜12のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS9、−2〜5のVS10、−3〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、1〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜11のVS14、0〜11のVS15のパラメータ内にある、照明システム。
【請求項3】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を支持する基板をさらに備える、請求項1記載の照明システム。
【請求項4】
前記基板が、前記システム〜の熱を散逸させることができる放熱要素を備える、請求項3記載の照明システム。
【請求項5】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子に電流を供給するリード線をさらに含む、請求項1記載の照明システム。
【請求項6】
1以上のコントローラ及び1以上のプロセッサをさらに含み、前記1以上のプロセッサが、前記コントローラから信号を受け取って、前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子からの放射の強度を制御するように構成される、請求項1記載の照明システム。
【請求項7】
前記1以上のコントローラが、前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子の全光の放射及び温度の1以上を受け取ることができるセンサと連通している、請求項6記載の照明システム。
【請求項8】
前記1以上のプロセッサが前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子に対する電流を制御する、請求項6記載の照明システム。
【請求項9】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子が透明又は半透明の外囲器によって少なくとも部分的に取り囲まれる、請求項1記載の照明システム。
【請求項10】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子から光が放射されると1以上の光に作用する動作を行うように構成された光学機構をさらに備え、前記動作が、混合、散乱、減衰、導光、抽出、制御、反射、屈折、回折、偏光及びビーム整形からなる群から選択される、請求項1記載の照明システム。
【請求項11】
光を混合するため、前記光学機構が散乱要素又は光ディフューザを含む、請求項10記載の照明システム。
【請求項12】
前記散乱要素又は光ディフューザが、膜、粒子、ディフューザ、プリズム及び混合プレートの少なくとも1つから選択される、請求項11記載の照明システム。
【請求項13】
前記光学機構が、レンズ、フィルタ、絞り及びコリメータから選択される導光又は整形要素を含む、請求項10記載の照明システム。
【請求項14】
前記光学機構が、光を散乱又は拡散するように構成された、前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子のための封入剤を含む、請求項10記載の照明システム。
【請求項15】
前記光学機構が、反射器又は屈折性もしくは全反射性光ガイドを含む、請求項10記載の照明システム。
【請求項16】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子がエレクトロルミネセンス有機分子又はエレクトロルミネセンス高分子を含む、請求項1記載の照明システム。
【請求項17】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子が、電極の間に挟まれた活性層を備えるデバイス内に配列される、請求項16記載の照明システム。
【請求項18】
前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子の複数の活性層を備え、前記複数の活性層が、積み重ねた又は重ね合わせた構成で配列される、請求項1記載の照明システム。
【請求項19】
複合光を修正する1以上のフィルタを備える、請求項1記載の照明システム。
【請求項20】
リン光体、量子ドット及びそれらの組合せから選択される、前記1以上の有機エレクトロルミネセンス素子からの光を異なる波長に変換する1以上の光輝性材料を含む、請求項1記載の照明システム。
【請求項21】
1以上の無機発光ダイオードを備える、請求項1記載の照明システム。
【請求項22】
通電時に約2000K〜約20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を呈する照明システムであって、
少なくとも2つが異なる色放射帯域を有する複数の無機発光ダイオードを備え、
システムが、通電時に白色に見える全光を与えるように構成され、前記全光が、白熱光源又は黒体光源に比べてカラーコントラストが向上するように、以下に従って所定のCQSの15個の色見本それぞれに対するデルタ彩度値を有する、すなわち、
(A)CCTが約2000K〜約3000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−2〜7のVS1、−3〜7のVS2、−7〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−2〜8のVS4、−2〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、1〜25のVS6、4〜26のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−6〜7のVS9、−4〜6のVS10、−2〜8のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜8のVS12、−1〜13のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−7〜13のVS14、−9〜12のVS15のパラメータ内にあり、
(B)CCTが約3000K〜約4500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−5〜7のVS1、−3〜7のVS2、−7〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜8のVS4、−2〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜22のVS6、3〜26のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−6〜7のVS9、−4〜6のVS10、−4〜6のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜8のVS12、−1〜13のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−7〜15のVS14、−7〜12のVS15のパラメータ内にあり、
(C)CCTが約4500K〜約7500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−5〜7のVS1、−3〜7のVS2、−5〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜7のVS4、−2〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜22のVS6、1〜26のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−6〜7のVS9、−5〜6のVS10、−4〜6のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−2〜8のVS12、−1〜16のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−5〜22のVS14、−6〜15のVS15のパラメータ内にあり、
(D)CCTが約7500K〜約20000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、−3〜7のVS1、−3〜7のVS2、−5〜8のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜6のVS4、−3〜15のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜22のVS6、0〜25のVS7、−1〜15のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−5〜7のVS9、−5〜6のVS10、−4〜6のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜8のVS12、−1〜16のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−3〜24のVS14、−4〜15のVS15のパラメータ内にあり、
デルタ彩度値がすべてCIE LAB空間で測定される、照明システム。
【請求項23】
前記デルタ彩度値が以下のように予め選択される、請求項22記載の照明システムであって、
(A)CCTが約2000K〜約3000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−5〜5のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜7のVS4、0〜14のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜20のVS6、5〜25のVS7、2〜10のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−2.5〜5のVS9、−2.5〜5のVS10、0〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、2〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜10のVS14、2〜10のVS15のパラメータ内にあり、
(B)CCTが約3000K〜約4500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−5〜5のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜7のVS4、0〜14のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜20のVS6、5〜25のVS7、2〜11のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−2.5〜5のVS9、−2.5〜5のVS10、0〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、2〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜12のVS14、2〜11のVS15のパラメータ内にあり、
(C)CCTが約4500K〜約7500Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−3〜5のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜5のVS4、0〜10のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜15のVS6、5〜18のVS7、2〜12のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、−2.5〜5のVS9、−2.5〜5のVS10、−2〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、2〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜12のVS14、0〜11のVS15のパラメータ内にあり、
(D)CCTが約7500K〜約20000Kの範囲にあるシステムでは、前記デルタ彩度値は、次の通り、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS1、−1〜5のVS2、−2〜7のVS3のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、−1〜4のVS4、0〜10のVS5のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、3〜15のVS6、5〜16のVS7、2〜12のVS8のパラメータ内にあり、
前記CQSの2以上の色見本が、0〜5のVS9、−2〜5のVS10、−3〜5のVS11のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、0〜6のVS12、1〜10のVS13のパラメータ内にあり、
前記CQSの1以上の色見本が、2〜11のVS14、0〜11のVS15のパラメータ内にある、照明システム。
【請求項24】
前記複数の無機発光ダイオードが、グリッド、最密構造又は他の規則的パターンで配列される、請求項22記載の照明システム。
【請求項25】
前記複数の無機発光ダイオードを支持する基板をさらに備える、請求項22記載の照明システム。
【請求項26】
前記基板が、前記システムからの熱を散逸させることができる放熱要素を備える、請求項25記載の照明システム。
【請求項27】
前記複数の無機発光ダイオードに電流を供給するリード線をさらに含む、請求項22記載の照明システム。
【請求項28】
1以上のコントローラ及び1以上のプロセッサをさらに含み、前記1以上のプロセッサが、前記コントローラから信号を受け取って、前記複数の無機発光ダイオードの1以上の強度を制御するように構成される、請求項22記載の照明システム。
【請求項29】
前記1以上のコントローラが、前記複数の無機発光ダイオードの全光の放射及び温度の1以上を受け取ることができるセンサと連通している、請求項28記載の照明システム。
【請求項30】
前記1以上のプロセッサが前記複数の無機発光ダイオードの1以上に対する電流を制御する、請求項28記載の照明システム。
【請求項31】
前記複数の無機発光ダイオードが透明又は半透明の外囲器によって少なくとも部分的に取り囲まれる、請求項22記載の照明システム。
【請求項32】
前記複数の無機発光ダイオードの少なくとも1つから光が放射されると1以上の光に作用する動作を行うように構成された光学機構をさらに備え、前記動作が、混合、散乱、減衰、導光、抽出、制御、反射、屈折、回折、偏光及びビーム整形からなる群から選択される、請求項22記載の照明システム。
【請求項33】
光を混合するため、前記光学機構が散乱要素又は光ディフューザを含む、請求項32記載の照明システム。
【請求項34】
前記散乱要素又は光ディフューザが、膜、粒子、ディフューザ、プリズム及び混合プレートの少なくとも1つから選択される、請求項33記載の照明システム。
【請求項35】
前記光学機構が、レンズ、フィルタ、絞り及びコリメータから選択される導光又は整形要素を含む、請求項32記載の照明システム。
【請求項36】
前記光学機構が、光を散乱又は拡散するように構成された、前記複数の無機発光ダイオードの1以上のための封入剤を含む、請求項32記載の照明システム。
【請求項37】
前記光学機構が、反射器又は屈折性もしくは全反射性光ガイドを含む、請求項32記載の照明システム。
【請求項38】
前記複数の無機発光ダイオードの少なくとも1つが無機窒化物、炭化物又はリン化物を含む、請求項22記載の照明システム。
【請求項39】
複合光を修正する1以上のフィルタを備える、請求項22記載の照明システム。
【請求項40】
リン光体、量子ドット及びそれらの組合せから選択される、前記複数の無機発光ダイオードの少なくとも1つからの光を異なる波長に変換する1以上の光輝性材料を含む、請求項22記載の照明システム。
【請求項41】
1以上の有機エレクトロルミネセンス素子を備える、請求項22記載の照明システム。
【請求項42】
所望の顕色の全白色光を有する1以上の固体発光素子を備える照明システムの製造方法であって、
(a)所与のCCT値及び所与の色ポイントを有する全光をもつ前記照明システムを用意するステップと、
(b)色質システムの複数のマンセル色見本について前記全光の彩度値を測定するステップと、
(c)前記色質システムの測定された前記マンセル色見本それぞれについてデルタ彩度値を計算するステップと、
(d)前記測定されたマンセル色見本それぞれについて、計算された前記デルタ彩度値を一連の基準デルタ彩度値と比較するステップとを含む、方法。
【請求項43】
(e)前記照明システムのスペクトル成分を調節して、前記所与のCCT値及び所与の色ポイントで調節された全光をもつ照明システムを用意するステップと、
(f)前記色質システムの前記複数のマンセル色見本について、調節された前記全光の彩度値を測定するステップとをさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記一連の基準デルタ彩度値が黒体放射線からの彩度値の測定から導き出される、請求項42記載の方法。
【請求項45】
ステップ(b)が、前記色質システムの15個のマンセル色見本すべてについて前記全光の彩度値を測定するステップを含む、請求項42記載の方法。
【請求項46】
調節ステップ(e)及び測定ステップ(f)の1回を超える繰り返しをさらに含む、請求項43記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514327(P2012−514327A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543527(P2011−543527)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065615
【国際公開番号】WO2010/077492
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】