説明

苦い化合物、フレグランス、ステビア(Stevia)の抽出物及び塩を含む化粧用組成物

【課題】化粧用又は皮膚科用組成物中の苦い化合物の苦味をマスキングするための方法及び組成物の提供。
【解決手段】塩とステビアの抽出物とを含む組成物及びその使用。甘味料と第2の呈味剤とからなるこの混合物により、組成物のフレグランスの性質又は色を変えることなく化合物の苦味を持続的にマスキングすることが可能となる。この組成物は、顔用ケアクリーム、化粧水、フェイスセラム又は美容液、ファンデーション、乳液、化粧落としローション及び顔用日焼け防止製品からなる群から選択される製品の形態である化粧用又は皮膚科用組成物に配合される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、苦味を有する少なくとも1種の化粧用成分と、水性相と、フレグランスと、少なくとも1種のステビオールグルコシドと、少なくとも1種の塩とを含む、顔面皮膚に塗布することを意図した化粧用又は皮膚科用組成物に関する。
【0002】
[先行技術及び発明の目的]
ケアクリーム、リキッドファンデーション又は日焼け止めクリームを顔に塗布するために、ユーザーは、一般に、顔面皮膚に広げるのに十分な量のクリームを手に取って、マッサージによりその浸透を促進する。化粧用製品を多めに塗布することにより、上記製品が唇の上に偶発的に広がる可能性がある。
【0003】
しかし、これらの顔用のケア又はメイクアップ製品の一部は、顔全体への塗布の間に唇の周囲の領域と接触すると非常に苦い味を生じることが観察されており、米国特許出願公開第2011/0085994号においては、特定のポリオキシアルキレン化ポリエステルを化粧用製品に組み込むことによりUVA及びUVB日焼け止めの苦味をマスキングすることが提案されている。これらの製品は、フレグランスを含有していない。
【0004】
偶然にも、本発明者らは、顔用の化粧用組成物中で苦い生物活性成分の苦味をマスキングするために使用される特定の製品が、i)苦味を持続的にマスキングするのに効果がないこと、ii)又は、特に上記組成物がフレグランスを含有する場合に上記組成物の臭気を変えることを証明した。
【0005】
したがって、本発明の主要な目的は、苦い化合物を含有する、顔面皮膚に塗布することを意図した、芳香付けされた化粧用又は皮膚科用組成物の提供からなる技術的課題を解決することであり、その苦味は、ユーザーによる上記製品の塗布の間の上記組成物と唇との予想外の接触の瞬間にマスキングされる。苦い化合物の苦味のマスキングは、長期間持続し、化粧用又は皮膚科用組成物の嗅覚的特性を変えない。
【0006】
本出願人は、全く予想外なことに、ステビオールグルコシドと塩との組合せを十分な量で組み込むことにより、フレグランスを含む組成物中の化合物の苦味を、上記組成物のフレグランスの知覚を変えることなく効果的にマスキングすることが可能であることを見出した。
【0007】
[発明の説明]
したがって、本発明の主題は、苦味を有する少なくとも1種の有機成分と、水性相と、フレグランスと、第1の呈味剤としての少なくとも1種のステビオールグルコシドと、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化亜鉛、並びにそれらの混合物から選択される第2の呈味剤としての少なくとも1種の塩化物塩とを含む、顔用ケアクリーム、化粧水、フェイスセラム若しくは美容液(face fluid)、ファンデーション、乳液、化粧落としローション、又は顔用日焼け防止製品の形態である化粧用又は皮膚科用組成物である。
【0008】
苦味を有する有機成分が、UVA又はUVB線を遮断する日焼け止めである場合、上記組成物は、非常に少ない含量の、脂肪酸のエステル及び米国特許第7473707号に記載のポリオキシアルキレン化ポリオールのエステルを含有することが好ましい。このエステルは、グリセリルアルコキシレート、グリコールアルコキシレート又はソルビトールアルコキシレートと、7〜21個の炭素原子を有する脂肪酸とを反応させることにより得られる。ポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させることにより事前に得ることができ、一般に、1〜5個のオキシアルキレン単位を有する。上記エステルは、ソルベス−2ヘキサオレエートであることができる。日焼け止めと上記エステルの重量比は、好ましくは0.6未満である。上記組成物は、エステル塩を含有しないことが有益である。
【0009】
本発明によれば、苦い化合物を唇に塗布した瞬間に苦い化合物により生じる苦味の感覚がマスキングされる。本発明の呈味剤の組合せにより、唇への上記組成物の偶発的な塗布後、上記化合物の苦味のマスキングの持続を少なくとも10分間、又はさらに少なくとも15分間得ることが可能である。驚くべきことに、2種の呈味剤の組合せにより、苦い成分の苦味の持続的なマスキング、又はさらには苦い成分の苦味の完全なマスキングが可能となる。
【0010】
本発明の組成物において、上記組成物を唇又は唇の周囲の領域に塗布すると、ステビオールグルコシド及び塩化物塩は、有益なことに、苦味を有する有機成分の苦味をマスキングするのに十分な量で上記組成物中に存在する。
【0011】
本発明の組成物は、上記組成物を唇に塗布すると苦味の感覚をもたらす有機成分を含有する。上記成分は、好ましくは化粧用又は皮膚科用成分であり、より好ましくは生物活性を有する成分である。
【0012】
苦味は、舌の裏及び口蓋の裏で感知される特徴である。苦味は、ユーザーのパネル(各ユーザーの評価に再現性があり、このパネルにより測定される製品の苦味の平均測定値が信頼できるものとなるように、組成物の苦味のレベルの認識及び定量評価に関して前もって訓練されている)により評価することができる。
【0013】
本発明の目的のために、「化粧用又は皮膚科用成分」という表現は、化粧用又は皮膚科用成分を含有する化粧用又は皮膚科用製品が製造又は販売される国において施行されている規制に従った使用が認可された成分を意味することを意図したものである。
【0014】
上記成分の苦味は、0.1重量%と5重量%の上記成分を含有する0.2gの水溶液をパネルのメンバーの唇の周囲の領域又は唇に配置することにより評価することができる。成分の水溶液は、パネルにより評価された苦味の平均が、8μmol/lのキニンの水溶液0.2gの苦味の平均と少なくとも等しい場合、苦いと見なされる。
【0015】
上記成分の水溶液の苦味は、ユーザーのパネルにより評価することもできる。パネルの各メンバーは、苦味に対する感受性が同じではないが、メンバーは再現性がなければならない。十分な数の再現性のあるメンバーにより、有意な平均評価、及び苦味の客観的な定量化を実現するように個人間の差異を平均化することが可能となる。メンバーの再現性を判断するために、上記メンバーは複数の試料を目隠し状態で提供される。これらの試料の中に、同じ組成の試料を2つ導入している。これらの2つの試料の評価は、同一又は実質的に同一でなければならない。例えば、1〜5の等級付けスケールで、1等級の違いは許容される。
【0016】
苦い有機成分は、親水性であることが好ましい。本発明の目的のために、「親水性化合物」という用語は、組成物の水性相に溶解することができる、又は組成物の水性相にコロイド形態若しくはミセル形態で分散することができる有機化合物を意味することを意図したものである。
【0017】
この苦い化粧用成分は、様々な化粧機能、例えばUV遮断剤又は活性剤としての機能を有することができる。
【0018】
親水性の苦い有機化合物は、その構造内に少なくとも2つの環を含むことが好ましく、その2つの環うちの少なくとも1つは芳香族である。それは、スルホン酸基、ニトロ基、ケトン官能基及びヒドロキシル基から選択される少なくとも1種の官能基で置換されていることが好ましい。
【0019】
1つの実施形態において、苦い有機成分は、少なくとも2つの芳香族環を含む。
【0020】
苦味を有する有機成分は、特に、
− スルホン酸官能基を含む化合物、
− 1つの芳香族環を含有する少なくとも2つの環、及びヒドロキシル基を含む化合物、
− −N−C=S又は−N−C=O官能基を含む化合物、並びに
− それらの混合物
からなる群から選択される非ポリマー化合物である。
【0021】
苦味を有する有機成分は、例えば、カフェインなどのキサンチン、ポリフェノール、L−フェニルアラニン、尿素、オクタ酢酸スクロース、ヘスペリジン、アルファ−グルコシルヘスペリジン及び親水性有機UV遮断剤からなる群から選択される。
【0022】
苦味を有する有機成分は、例えば、フラバノン、イソフラボン、又はフラバノールなどのフラボノイドである。
【0023】
苦味を有する有機成分は、例えば、本発明の組成物の総重量に対して0.05〜10重量%の範囲、上記組成物の総重量に対して好ましくは0.1〜8重量%の範囲、より良好にはさらに0.1〜5重量%の比率で上記組成物中に存在する。
【0024】
親水性有機UV遮断剤は、ユーザーが上記組成物を唇又は唇の周囲の領域に偶発的に塗布したときにユーザーが経験する苦味に関与している可能性がある。
【0025】
「親水性有機UV遮断剤」という表現は、280nm〜400nmの波長範囲の紫外(UV)放射線を吸収し、組成物の水性相に溶解することができる、又は組成物の水性相にコロイド形態若しくはミセル形態で分散することができる任意の有機化合物を意味することを意図する。
【0026】
親水性UV遮断剤の中で、以下でそれらのINCI名又はそれらの化学名で示している以下の遮断剤を使用することができる:
− Chimexにより、Mexoryl(登録商標)SXという商品名で販売されている、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(INCI名:テレフタリリデンジカンファースルホン酸)、
− 欧州特許第669323号及び米国特許第2463264号に記載のビス−ベンゾアゾリル誘導体、より具体的には、Haarmann and Reimerにより、Neo Heliopan(登録商標)APという商品名で販売されている、化合物フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、
− p−アミノ安息香酸(INCI名:PABA)及びその誘導体、例えば、1−(4−アミノベンゾエート)−1,2,3−プロパントリオール(INCI名:グリセリルPABA)、及び、BASFにより、Uvinul(登録商標)P25という商品名で販売されている、PEG−25 PABAなど、
− 特に、Merckにより、Eusolex(登録商標)232という商品名で販売されている、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸(INCI名:フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸)、
− サリチル酸トリエタノールアミン、
− Chimexにより、Mexoryl(登録商標)SLという商品名で販売されている、3−(4’−スルホベンジリデン)カンファー(INCI名:ベンジリデンカンファースルホン酸)、
− Fairmount Chemicalにより、Tinosorb(登録商標)M、又はMIXXIM(登録商標)BB/100という参照名で販売されている、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(USAN名:ビスオクトリゾール)、
− Chimexにより、「Mexoryl SO」という名称で販売されている、3−(4’−トリメチルアンモニウムベンジリデン)−1−ボルナン−2−オンメチルスルフェート(INCI名:カンファーメト硫酸ベンザルコニウム)、
− BASFにより、「Uvinul MS40」という商品名で販売されている、ベンゾフェノン−4、並びに、ベンゾフェノン−5、及びベンゾフェノン−9。
【0027】
親水性有機UV遮断剤として、本来は親油性の有機UV遮断分子(非水液体に溶解又は分散している)を使用することも可能であり、これは、小さい粒径の親水性担体、例えばポリマー粒子に吸着されることにより親水性とされたものである。例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の粒子に吸着された親油性UV遮断剤であるビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを挙げることができる。親水性有機UV遮断剤は、したがって、有機ポリマーなどのUVを遮断することができない親水性担体に吸着又は吸収される親油性有機UV遮断分子であることができる。
【0028】
本発明の組成物は、甘味料として少なくとも1種のステビオールグルコシドを含む。
【0029】
甘味料は、苦味を有する有機成分の苦味をマスキングするのに十分であるが、しかし、上記組成物を不安定化すること、又はこってりする過剰に甘い味を付与することはない量で組み込むことが有益である。したがって、甘味料の量は、上記組成物の重量に対して1重量%未満であることが好ましい。
【0030】
第1の甘味呈味剤は、上記組成物の重量の好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%、優先的には0.2〜0.6重量%、より優先的には0.4〜0.5重量%を占める。
【0031】
甘味料は、ステビオールグルコシド及びステビオールグルコシドを含有する植物抽出物から選択される。甘味料は、例えば、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシドA、B、C、D及びE、ズルコシドA及びB、並びにそれらの混合物から選択される。甘味料は、レバウジオシドA(ステビオシドと呼ばれることもある)又はレバウジオシドAを含有する植物抽出物であることが好ましい。
【0032】
レバウジオシドAは、ステビオールと呼ばれるそのアグリコン部分が、2つのオシド基(すなわち、1つのグルコース単位及び1つのグルコーストリホロシド)に結合しているヘテロシド(IUPAC名:19−O−ベータ−グルコピラノシル−13−O−(ベータ−グルコピラノシル(1−2)−ベータ−グルコピラノシル(1−3))−ベータ−グルコピラノシル−13−ヒドロキシ−カウラ−16−エン−19−酸及びCAS番号58543−16−1)である。その甘味の強さは、スクロースより250〜450倍強い。
【0033】
レバウジオシドAは、有利には、ステビア(Stevia)から、より正確にはその葉から抽出することができる。ステビア・レバウジアナ(Stevia rebaudiana)種は、例えば、レバウジオシドAを含有している。本発明の文脈において、SEPPIC社により、Rebaten 97% Sweetner(登録商標)という参照名で販売されているものなどの、ステビア・レバウジアナの抽出物を使用することができる。
【0034】
ステビア属の植物は、パラグアイに自生しており、また、南アメリカ及びアジアで栽培されている。上記植物からレバウジオシドAを抽出するために、水抽出及び精製を施す前に上記植物の葉を乾燥させ、粉末状にする。
【0035】
本発明の組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化亜鉛、並びにそれらの混合物から選択される第2の呈味剤を含むことができる。
【0036】
1つの有益な実施形態において、塩化ナトリウムを使用することが好ましい。
【0037】
第2の呈味剤の濃度は、上記組成物の重量に対して、好ましくは0.0005〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.3重量%の範囲である。
【0038】
1つの実施形態において、上記組成物は、上記組成物の重量に対して0.5〜5重量%、例えば1〜2.5重量%のベンゾフェノン−4を含む。別の実施形態において、上記組成物は、上記組成物の重量に対して1〜3重量%の2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸を含む。これらの2つの実施形態において、0.3〜0.6重量%、より好ましくは0.4〜0.5重量%の甘味料を使用することが好ましい。これらの2つの実施形態において、塩化ナトリウムは、上記組成物の重量の0.2〜0.3重量%を占めることが有益である。
【0039】
本発明の組成物は、臭気のある(odorous)成分又は芳香付け(perfuming)植物抽出物、例えば、販売用に提示されている化粧用製品の成分の一覧に載っているそのINCI名が「フレグランス」である成分のコレクションを含むことが好ましい。フレグランスは、周囲温度で揮発性であってその臭気が検出される化合物又は化合物の混合物である。本発明の目的のために、フレグランスは、アロマとは異なる。
【0040】
「フレグランス」という用語は、蒸発する臭気のある物質又は臭気のある物質の混合物を意味することを意図する。各フレグランスは、フレグランスを適用したとき、又はフレグランスを含有する容器を開けたときに最初に拡散する臭気であるトップノートと呼ばれるもの、完全なフレグランスに相当するハートノート又はボディ(トップノートの後に数時間放出)、及び最も持続的な臭気であるベースノート(ハートノートの後に数時間放出)を有する。ベースノートの持続性は、フレグランスの持続性に相当する。
【0041】
「フレグランス」という用語は、皮膚、髪、頭皮、唇又は爪に芳香付けすることができる任意の有機化合物を意味することを意図する。
【0042】
アルコール製品において、フレグランスの量は、上記組成物の総重量に対して、より優先的には3〜50重量%、より良好にはさらに5〜30重量%、さらにより良好にはさらに10〜20重量%となろう。
【0043】
ケア製品において、フレグランスの量は、上記組成物の総重量に対して、優先的には0.05〜1重量%、より良好にはさらに0.3〜0.7重量%となろう。香水原材料、アロマ及びそれらの混合物をフレグランスとして使用することができる。それらは、互いに独立して、天然又は合成由来のものとすることができる。
【0044】
香水原材料及び天然由来のアロマとしては、例えば、花(ラベンダー、バラ、ジャスミン、イランイラン)、茎及び葉(パチョリ、ゼラニウム、プチグレン)、果実(コリアンダー、アニスの実、クミン、ビャクシン)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(アンゼリカ、セロリ、カルダモン、アイリス、トウヤシ)、木材(松材、ビャクダン、ユソウボク)、ハーブ及び草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉及び枝(トウヒ、モミ、マツ)、樹脂及びバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン樹脂、ミルラ、乳香、オポパナックス)の抽出物を挙げることができる。
【0045】
合成香水原材料としては、例えば、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、イソブチル酸フェノキシエチル、酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸シトロネリル、ギ酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アルキルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジル、ベンジルエチルエーテル、8〜18個の炭素原子を含有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブルゲオナール、アルファ−イソメチルイオノンなどのイオノン、及びメチルセドリルケトン、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、テルピネオール及びテルペンを挙げることができる。これらの化合物は、2種以上のこれらの臭気物質の混合物の形態であることが多い。
【0046】
さらに、アロマの要素である精油、例えば、セージ、カモミール、クローバー、レモン・バーム、ミント、シナモンリーフ、シナノキの花、ビャクシン、ベチベルソウ、乳香、ガルバヌム、ラボラナム及びラバンジンのエッセンスも使用することができる。
【0047】
ベルガモットのエッセンス、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、アルファ−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、アンブロキサン、インドール、へジオン、サンデリス(sandelice)、レモンのエッセンス、マンダリン及びオレンジのエッセンス、アリルアミングリコレート、シクロベルタル(cyclovertal)、ラバンジンのエッセンス、セージのエッセンス、ベータ−ダマスコン、ゼラニウムのエッセンス、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル及びバラ酸化物(rose oxide)を香水原材料として、単独で又は混合物として使用することが好ましい。
【0048】
知られている嗅覚的ノートの中で、例えば、ミカン状果フレグランス、芳香植物、フローラルフレグランス、ムスク、フルーティーフレグランス、香辛料、オリエンタルフレグランス、マリンフレグランス、アクアティックノート、シプレーフレグランス、ウッディフレグランス、グリーンフレグランス及びシダ、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0049】
1つの実施形態において、上記組成物の嗅覚的ノートは、フローラル、例えば、ムスクフローラル又はグリーンフローラルである。該フレグランスのノートは、芳香性ムスクフローラル、又はグリーンローズフローラルであることができる。
【0050】
本発明の組成物は、顔に塗布することを意図したものであり、水中油若しくは油中水エマルジョン又は水性ゲルの形態であることが好ましい。上記組成物は、例えば、顔用ケアクリーム、化粧水、フェイスセラム若しくは美容液、ファンデーション、乳液、化粧落としローション、コントロールカラー、又は顔用日焼け防止製品の形態である。
【0051】
1つの好ましい実施形態において、上記化粧用又は皮膚科用組成物は、飲み込まれることを意図したものではなく、その投与は、局所及び非経口である。本発明の組成物は食品ではない。
【0052】
本発明の主題は、また、苦い化合物、水性相及びフレグランスを含有する、顔面皮膚に塗布することを意図した化粧用組成物において、該組成物の嗅覚的特性を変えることなく、苦い化合物が引き起こす苦味を抑制するために、ステビオールグルコシドから選択される第1の甘味呈味剤と、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化亜鉛、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の第2の呈味剤との組合せを使用することである。
【0053】
フレグランスが変わらないこと(嗅覚的特性の保存と表すこともできる)及び苦い化合物の苦味のマスキング又は抑制は、持続的であることが有益である。
【0054】
その別の態様において、本発明は、先に記載した組成物を顔面の少なくとも一部に塗布するステップを含む化粧プロセスであって、
− 上記製品の塗布の間に、上記製品が唇と接触すること、及び
− 上記少なくとも1種のステビオールグルコシドと上記塩化物塩との組合せが、上記組成物の嗅覚的ノートを変えることなく苦い化合物の苦味をマスキングすること
を特徴とする、プロセスに関する。
【0055】
本発明の組成物に関連して先に記載した特徴は、単独で、又は相互に組み合わせて、本発明の使用及び方法に適用可能である。
【実施例】
【0056】
各実施例において、全てのパーセントは別段の指示がない限り重量基準であり、温度は別段の指示がない限り摂氏温度で表し、圧力は別段の指示がない限り大気圧である。
【0057】
実施例1:ケアクリーム
ミントアロマと一緒に甘味料としてスクラロースを含有する以下の比較組成物を調製した。
【0058】
【表1】

【0059】
味覚及び嗅覚試験
苦い親水性有機UV遮断剤及び呈味剤を含有する本発明の組成物の味、臭気及び色を、同じ苦い親水性UV遮断剤は含有するが呈味剤は含有しない基準組成物の味、臭気及び色と比較した。これらの基準試験は、対照1、対照2及び対照3と名付ける。それらの組成は、先の表に記載されている混合物の組成と一致し、ミントアロマもスクラロースも含有していない。対照3組成物は、10重量%のTinosorb(登録商標)M、すなわち、5乾燥重量%のビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを含有する。
【0060】
苦味評価パネルのメイクアップ
苦味を等級付けるために、知覚の質の客観的及び記述的な特性決定の経験を有し、それにより快不快の要素を容易に無視することができるボランティアの参加者を募集した。
【0061】
参加者の再現性を確かめるために、参加者を一様に指導した。そのために、提示された製品の苦味を1〜5に等級付けるように参加者に求めた。
5=ゼロ
4=弱い
3=中程度
2=強い
1=非常に強い
【0062】
各参加者は苦味に対する感受性が同じではないが、このパネルの一員であるためには再現性がなければならない。十分な数の再現性のある参加者により、苦味の有意な平均、及び客観的な定量化を実現するように個人間の差異を平均化することが可能となる。
【0063】
ある参加者の再現性を判断するために、その参加者に複数の試料を目隠し状態で提示した。これらの試料の中に、同じ組成の試料を2つ導入した。各パネリストによるこれらの2つの試料の評価は同一であるはずである。しかし、全く同一の試料について1の違いは「許容」した。
【0064】
苦味の知覚分析の手順
苦味の等級付けの開始前に、各パネリストは、以下の条件を確立した。
−試験前の少なくとも2時間は何も飲食していない
−試験前の少なくとも2時間は喫煙していない
−可能な限り嗅覚的に最も中立な雰囲気の中にいる
−芳香付けされた化粧品を身につけないようにする
−熱すぎて味蕾の感受性を低下させる可能性がある食品を回避した。
【0065】
分析の開始前に、各パネリストは少量の水で口をゆすいだ。
【0066】
各パネリストは、0.2gの製品を取り、唇の周囲の領域に塗布した(パネリストは、唇に広がる顔への多めの塗布をシミュレートした)。パネリストは製品を「味わい」、調査票に記入した。
【0067】
新しい評価に移る前に、パネリストは、水で口をゆすぎ、数分間待った。次いで、パネリストは、口内でのこの製品の苦味の強度を等級付けた。
5=ゼロ
4=弱い
3=中程度
2=強い
1=非常に強い
【0068】
フレグランス評価パネルのメイクアップ
臭気/フレグランスパネルは、嗅覚専門家が判断した。
【0069】
結果
結果を、以下の3つの表に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
組成物1〜3は、化粧品業界において顔への塗布のために使用することができ、唇と偶発的に接触したときに不快感を引き起こさず、親水性有機UV遮断剤の存在に付随する苦味を生じることができる。
【0074】
実施例2:ケアクリーム
以下の組成物を調製した。
【0075】
【表5】

【0076】
知覚分析
ステビア抽出物及び塩化ナトリウムを排除することにより、組成物4に対応する対照組成物(対照4)を調製した。実施例1の手順に従って、知覚分析条件を作成した。結果を、以下の表に示す。
【0077】
【表6】

【0078】
顔に塗布するためのケアクリームは、唇と偶発的に接触したときに不快感を与えず、ベンゾフェノン−4の存在に付随する苦味を生じることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔用ケアクリーム、化粧水、フェイスセラム又は美容液、ファンデーション、乳液、化粧落としローション及び顔用日焼け防止製品からなる群から選択される製品の形態である化粧用又は皮膚科用組成物であって、苦味を有する少なくとも1種の有機成分と、水性相と、フレグランスと、第1の呈味剤としての少なくとも1種のステビオールグルコシドと、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される第2の呈味剤としての少なくとも1種の塩化物塩とを含む組成物。
【請求項2】
前記苦味を有する有機成分が、スルホン酸官能基を含む化合物、1つの芳香族環を含有する少なくとも2つの環、及びヒドロキシル基を含む化合物、−N−C=S又は−N−C=O官能基を含む化合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される非ポリマー化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記苦味を有する有機成分が、キサンチン、ポリフェノール、L−フェニルアラニン、尿素、オクタ酢酸スクロース、ヘスペリジン、アルファ−グルコシルヘスペリジン及び親水性有機UV遮断剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記苦味を有する有機成分が、フラボノイド、例えばフラバノン、イソフラボン又はフラバノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記苦味を有する有機成分が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、ビス−ベンゾアゾリル誘導体、p−アミノ安息香酸及びその誘導体、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4’−スルホベンジリデン)カンファー、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、3−(4’−トリメチルアンモニウムベンジリデン)−1−ボルナン−2−オンメチルスルフェート、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−9、親水性担体に吸着又は吸収される親油性有機UV遮断剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択された親水性有機UV遮断剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の呈味剤が、前記組成物の重量の0.05〜2重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記苦味を有する有機成分が、前記組成物の重量の0.1〜5重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ステビオールグルコシドが、レバウジオシドA及びレバウジオシドAを含有する植物抽出物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ステビオールグルコシドが、ステビアの抽出物、好ましくはステビアの水溶性抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2の呈味剤の濃度が、前記組成物の重量に対して、0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
水中油エマルジョンの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
化粧用組成物の嗅覚的ノートを変えることなく前記化粧用組成物の苦味を抑制するための方法であって、苦い化合物及びフレグランスを既に含有する前記組成物に、少なくとも1種のステビオールグルコシドと、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される1種の塩化物塩との組合せを加えるステップを含む方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種のステビオールグルコシドと前記塩化物塩との組合せが、前記苦い化合物の苦味をマスキングする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物を、顔面の少なくとも一部及び付随的に唇の少なくとも一部に塗布するステップを含む、化粧用ケア又はメイクアップ方法。


【公開番号】特開2013−60440(P2013−60440A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−193530(P2012−193530)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】