説明

薄い半導体本体を溶融物質から作成するための方法及び装置

モールドシートに亘って圧力差が適用され、半導体ウエハ(例えばシリコン)がその上に形成される。圧力差の緩和がウエハを取り外すことを可能にする。モールドシートは、メルトよりも冷たい。熱は、形成ウエハの厚み方向のみに拡散される。液固界面はモールドシートにほぼ平行である。凝固体の温度は幅方向に亘ってほぼ均一であり、その結果、低ストレス及び転位密度並びに高品質の結晶性を提供する。モールドシートは、それを通過するガス粒を可能にする必要がある。水平、垂直又はその中間のいずれかのメルト頂部への全領域接触、モールドシートへのメルトの部分領域横断、並びに、モールドのメルトへのディッピングによって、メルトがシートに導入されうる。多くの手段によって粒サイズを制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
米国仮出願番号第61/209,582号のタイトル「溶融物質から薄い半導体シートを作成する方法及び装置」(発明者;Emanuel M.Sachs、Richard L.Wallace、Eerik T.Hantsoo及びAdam M.Lorenz、出願日;2009年3月9日)、米国仮出願番号第61/224,730号のタイトル「直接的なカーフレス(切り口なし)のシリコンウエハプロセス」(発明者;Emanuel M.Sachs、Richard L.Wallace、Eerik T.Hantsoo及びAdam M.Lorenz、出願日;2009年7月10日)、及び、米国仮出願番号第61/237,965号のタイトル「カーフレスシリコンウエハ形成プロセス」(発明者;Emanuel M.Sachs、Richard L.Wallace、Eerik T.Hantsoo及びGeorge David Stephen Hudelson、出願日;2009年8月28日)の優先権を主張するものであり、各々はその内容を本文に援用する。
【0002】
ここに開示される発明は、シリコンのシートを作成する方法に関し、シリコンソーラーセル(太陽電池)を製造するための高品質の基板を作成するように再結晶化されるプレフォームとして後に使用されうる。ここに開示される他の発明は、ソーラーセルの製造のために使用可能であるシリコンの薄シートを再結晶化なしで作成するための方法である。また、ここに開示される方法は、シリコン以外の溶融半導体物質から薄シートを作成することにも使用されうる。
【背景技術】
【0003】
プロセスは、PCT出願PCT/US2008/08030(表題「薄フィルムカプセルにおける半導体ウエハの再結晶化及び関連プロセス」、出願日;2008年6月26日、発明者;Emanuel M.Sachs、James G.Serdy及びEerik T.Hantsoo並びにマサチューセッツ工科大学による、アメリカ合衆国を指定、2007年6月26日出願の米国仮出願第US60/637,129号の優先権を主張する)に開示されている。これら出願に開示された技術は、様々な結晶形態に半導体を再結晶することに使用可能であり、且つ、カプセル(RIC)技術における再結晶としてここに参照される。RICのPCT出願及び米国仮出願は、その内容を本文に援用する。ここに開示された方法は、RIC技術を使用して後に再結晶化される、出発物質の半導体シートプレフォームを作成することに使用可能である。
【0004】
所定のプロセススキーム及びアーキテクチャが、PCT出願PCT/US2008/02058号(表題「テクスチャ表面を有するソーラーセル」、出願日;2008年2月15日、発明者;Emanuel M.Sachs及びJames F.Bredt並びにマサチューセッツ工科大学による、アメリカ合衆国を指定、2007年1月15日出願の米国仮出願第US60/901,511号及び2008年1月23日出願の米国仮出願第US61/011,933号の2つの優先権を主張する)に開示されている。PCT出願及び2つの米国仮出願はその内容を本文に援用する。これら出願に開示された技術は、自己整合セル(Self Aligned Cell,SAC)技術として、ここに総称される。ここに開示された技術は、SACの特許出願に開示された自己整合セルの出発ワークピースとして使用するためのテクスチャされた半導体ウエハを作成することに使用可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
図3A、3B、3C及び3Dに示されてここに開示される方法の一実施形態では、シリコン13のメルト(溶融物質)が保持され、耐熱物質がメルトの頂部15に接触するように、グラファイトのような多孔性耐熱(難溶)物質の冷却シート15がメルト上を通過する。バキューム17が、シートを通して環境雰囲気を吸引するように多孔性耐熱シートの頂部に適用される。メルトに接触すると、2つの事象が本質的に同時に起こる。1)シリコンが多孔性耐熱シートの冷却面に凝固する。2)バキュームがシリコンを耐熱シートに保持する。この結果物が冷却耐熱基板上のシリコンの薄シート19である。シリコンは、バキューム17の解除(緩和)の後に、耐熱シートから解放される。耐熱シートがシリコンメルト13に接触するとき耐熱シートは冷たいので、耐熱シート5への付着はほとんどないか、或いは、全くない。当該方法は、シリコンに加えて他の半導体の薄シートを形成することにも使用可能である。以下の説明は、最初の実施例としてシリコンを使用し、そして、この後に一般化する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明で使用するためのプレナム及び耐熱モールドシートの概略図。
【図2】テクスチャ表面を有する耐熱モールドシートを有するプレナムの概略図。
【図3A】図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、メルト表面に接触する耐熱シートを示す図。
【図3B】図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、モールドシート上に形成された半導体のシートを示す図。
【図3C】図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、メルトから除去されたプレナム及びモールドシートアセンブリを示す図。
【図3D】図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、プレナム内のバキュームの緩和時に、モールドシートから解放された形成半導体シートを示す図。
【図4A】図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な実施形態の方法のステップの概略図であって、るつぼのエッジを超えて延びるメルト表面に接近する耐熱シートを示す図。
【図4B】図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な実施形態の方法のステップの概略図であって、モールドシートがメルト表面を横断して移動するときに、モールドシート上に形成する半導体のシートを示す図。
【図4C】図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な実施形態の方法のステップの概略図であって、それを超えて通過した後にメルトから除去されたプレナム及びモールドシートアセンブリを示す図。
【図4D】図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な実施形態の方法のステップの概略図であって、プレナム内のバキュームの緩和時にモールドシートから解放された形成半導体シートを示す図。
【図5A】図4A〜4Dと同様であるが、モールドシートがメルト表面に対して傾斜するようにプレナムがメルト表面を通過する、図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な別実施形態の方法のステップの概略図であって、メルト表面に接近する耐熱シートを示す図。
【図5B】図4A〜4Dと同様に、モールドシートがメルト表面に対して傾斜するようにプレナムがメルト表面を通過する、図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な別実施形態の方法のステップの概略図であって、モールドシート上に形成する半導体のシートを示す図。
【図5C】図4A〜4Dと同様に、モールドシートがメルト表面に対して傾斜するようにプレナムがメルト表面を通過する、図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な別実施形態の方法のステップの概略図であって、メルトから除去されたプレナム及びモールドシートアセンブリを示す図。
【図5D】図4A〜4Dと同様に、モールドシートがメルト表面に対して傾斜するようにプレナムがメルト表面を通過する、図1のプレナムを使用する本発明の半連続的な別実施形態の方法のステップの概略図であって、モールドシートから解放された形成半導体シートを示す図。
【図6】耐熱シートを強化するバッキング(裏打ち)を有するプレナム及び耐熱モールドシートの概略図。
【図7A】半導体シートに大きいスケールのテクスチャを提供するように非常に大きいスケールのテクスチャを有するモールドシートを有する、図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、テクスチャされた耐熱シートを示す図。
【図7B】半導体シートに大きいスケールのテクスチャを提供するように非常に大きいスケールのテクスチャを有するモールドシートを有する、図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、そこに付着した半導体の適合シェルを有するテクスチャされた耐熱シートを示す図。
【図7C】半導体シートに大きいスケールのテクスチャを提供するように非常に大きいスケールのテクスチャを有するモールドシートを有する、図1のプレナムを使用する本発明の方法のステップの概略図であって、モールドシートから解放された、形成されたテクスチャ半導体シートを示す図。
【図8A】溶融物質のメルトの表面への対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の断面図であって、形成面のエッジに溶融物質を蓄積させるようにモールド表面を回転させる、概略図。
【図8B】溶融物質のメルトの表面への対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の断面図であって、形成面のエッジに溶融物質を蓄積させるようにモールド表面を回転させる、概略図。
【図8C】溶融物質のメルトの表面への対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の断面図であって、形成面のエッジに溶融物質を蓄積させるようにモールド表面を回転させる、概略図。
【図8D】溶融物質のメルトの表面への対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の断面図であって、形成面のエッジに溶融物質を蓄積させるようにモールド表面を回転させる、概略図。
【図8E】溶融物質のメルトの表面への対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の断面図であって、形成面のエッジに溶融物質を蓄積させるようにモールド表面を回転させる、概略図。
【図9A】除々に、ほぼ対向接触を構成するまで、メルト表面に対して形成面を傾斜させることにより、モールド形成面を溶融物質のメルト表面に導入する方法及び装置の3つの段階の概略断面図。
【図9B】除々に、ほぼ対向接触を構成するまで、メルト表面に対して形成面を傾斜させることにより、モールド形成面を溶融物質のメルト表面に導入する方法及び装置の3つの段階の概略断面図。
【図9C】除々に、ほぼ対向接触を構成するまで、メルト表面に対して形成面を傾斜させることにより、モールド形成面を溶融物質のメルト表面に導入する方法及び装置の3つの段階の概略断面図。
【図10A】溶融物質を形成面のエッジで蓄積させつつメルト表面から形成面を傾斜させることにより、溶融物質のメルト表面への略対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の概略断面図。
【図10B】溶融物質が形成面のエッジで蓄積しつつメルト表面から形成面を傾斜させることにより、溶融物質のメルト表面への略対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の概略断面図。
【図10C】溶融物質が形成面のエッジで蓄積しつつメルト表面から形成面を傾斜させることにより、溶融物質のメルト表面への略対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の概略断面図。
【図10D】溶融物質が形成面のエッジで蓄積しつつメルト表面から形成面を傾斜させることにより、溶融物質のメルト表面への略対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の概略断面図。
【図10E】溶融物質が形成面のエッジで蓄積しつつメルト表面から形成面を傾斜させることにより、溶融物質のメルト表面への略対面接触からモールド形成面を後退させる方法及び装置の5つの段階の概略断面図。
【図11】部分的に浸漬したリムを有する、るつぼを示す図。
【図12】波状運動の抑制のための浸漬したバッフルを有する、るつぼを示す図。
【図13A】メルト自由表面の上にあると共に溶融物質によって濡れないメニスカス制御要素で、形成半導体本体から溶融物質のメニスカスを除去する方法及び装置の2つの段階を示す概略断面図。
【図13B】メルト自由表面の上にあると共に溶融物質によって濡れないメニスカス制御要素で、形成半導体本体から溶融物質のメニスカスを除去する方法及び装置の2つの段階を示す概略断面図。
【図14A】溶融物質で濡れない部分的に浸漬したメニスカス制御要素で、形成半導体本体から溶融物質のメニスカスを除去する方法及び装置の2つの段階を示す概略断面図。
【図14B】溶融物質で濡れない部分的に浸漬したメニスカス制御要素で、形成半導体本体から溶融物質のメニスカスを除去する方法及び装置の2つの段階を示す概略断面図。
【図15】局所的に突出する液面をモールド形成面に提供するために、るつぼ内に位置する溶融物質を汲み上げ可能な隆起スロットを有する、るつぼの概略断面図。
【図16】移動モールド面を局所的に突出する液面に提供するために、溶融物質が超えてフロー可能な隆起した移動堰を有する、るつぼの概略断面図。
【図17A】磁気流体力学の理論を用いて、メルト内の隆起バンプを提供するための方法及び装置の2つの段階を示す概略図。
【図17B】磁気流体力学の理論を用いて、メルト内の隆起バンプを提供するための方法及び装置の2つの段階を示す概略図。
【図18】比較的に大きい粒サイズを有する結晶を成長させるためのシード結晶を示す概略図。
【図19】そこに配置された移動する比較的に小さく比較的に強力なバキュームプレナムを有する、比較的に大きく比較的に弱いバキュームプレナムの概略図。
【図20】局所バキュームプロファイルを制御するための、プレナムに対面する止まり孔を有するモールド面を備えるモールドシートの概略断面図。
【図21】局所バキュームプロファイルを制御するための、異なる熱伝達率の領域を有するモールド面を備えるモールドシートの概略断面図。
【図22A】溶融物質のメルトに隣接するモールドを提供し、そして、本体がモールドに対して凝固するように、モールドが移動して垂直にメルト表面を通過する、方法及び装置の2つの段階の概略断面図。
【図22B】溶融物質のメルトに隣接するモールドを提供し、そして、本体がモールドに対して凝固するように、モールドが移動して垂直にメルト表面を通過する、方法及び装置の2つの段階の概略断面図。
【図23A】垂直にモールドを溶融物質のメルト内に導入する方法及び装置の2つの段階の概略断面図。
【図23B】垂直にモールドを溶融物質のメルト内に導入する方法及び装置の2つの段階の概略断面図。
【図24】その上に溶融物質量を有するモールドを提供し、一般にその下でモールドシートの反対面から吸引するバキュームを提供する方法及び装置の概略断面図。
【図25】モールドシートから形成凝固体を取り外すための排出ピンの機構の概略断面図。
【図26】モールドシートから形成凝固体を取り外すための剥離プレートの機構の概略断面図。
【図27】モールドシートをモールドアセンブリに固定し、また、形成ウエハをモールドシートから解放することに利用するためのデュアルプレナムアセンブリの概略断面図。
【図28】モールド表面よりも領域範囲よりも小さい凝固体を生成するように、相対的にバキューム適用領域を超えて広がるモールド表面の概略断面図。
【図29】結果として凝固体がより簡単にモールド表面から取り外せるように、湾曲したエッジを有するモールド表面の概略断面図。
【図30】種々の物質及び種々の厚みの複数の層から構成される多孔性モールドを示す概略図。
【図31A】表面テクスチャを有する多孔性モールドシートの概略断面図。
【図31B】図31Aの多孔性モールドシートを示す図であって、比較的弱いバキュームが適用され、モールドシートと溶融成形物質との間に比較的に少量の接触領域を形成する。
【図31C】図31Aの多孔性モールドシートを示す図であって、比較的強いバキュームが適用され、モールドシートと溶融成形物質との間に比較的に多量の接触領域を形成する。
【図32A】溶融物質表面に機能性物質を提供及び使用するための方法のステップを示す概略図。
【図32B】溶融物質表面に機能性物質を提供及び使用するための方法のステップを示す概略図。
【図32C】溶融物質表面に機能性物質を提供及び使用するための方法のステップを示す概略図。
【図32D】溶融物質表面に機能性物質を提供及び使用するための方法のステップを示す概略図。
【図32E】溶融物質表面に機能性物質を提供及び使用するための方法のステップを示す概略図。
【図33A】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33B】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33C】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33D】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33E】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33F】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33G】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図33H】犠牲ウエハを成長させるため、犠牲ウエハ上に機能性物質を成長させるため、犠牲ウエハを融解させて除去するため、メルト表面上のウエハから機能性物質を取り出すため、機能性物質でメルトにモールド形成面を接触させるため、及び、形成面で形成ウエハを凝固させてモールド面から形成ウエハを取り外すための方法のステップを示す概略図。
【図34】円錐型通孔を有する、典型的にシリコンである基板の概略断面図。
【図35】レーザー穿設されたパウダーで満たされた孔を有するモールド面を備えるモールドシートとして使用するための、典型的にシリコンである基板の概略断面図。
【図36】部分的に酸化された多孔性シリコン内部、及び、(複数の)多孔性SiO2外層を有するモールド面を備えるモールドシートとして使用するための、典型的にシリコンである基板の概略断面図。
【図37】金属シード層の無電解適用及びレーザー増強を使用する微孔性シリコン基板を作成するための、本発明の方法のステップを形成するフローチャート。
【図38】酸化多孔性シリコンプラグによって貫通されたバルクシリコン内部、及び、(複数の)バルクSiO2外層を有するモールド面を備えるモールドシートとして使用するための、典型的にシリコンである基板の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここに開示される本発明の一般的な実施例が最初に説明される。一般的な実施例に続いて、詳細な変形例が説明される。
【0008】
本発明の実施例は、図3A〜3Bに示されるとおり、1つの半導体シートが1回で形成されるバッチ処理において最初に説明される。この場合、半導体メルト(溶融液)13は、グラファイト、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及び、溶融シリコンを含有することで知られた他の物資から形成される、まったく従来式のるつぼ11内に含有されうる。図1に詳細に示すとおり、例えば、キャビティ(空洞)3をグラファイトのブロックに機械加工することによって、バキューム(吸引、真空)プレナム1が形成される。グラファイトの薄シート5は、プレナム1の底部に固定される。このシートは、好ましくは、かなりの程度の気体透過性(高空隙率有し、及び/又は相対的に薄い)を有する。好ましくは、プレナムは、少なくとも利用可能な多孔性グラファイトである。また、プレナムは、非多孔性セラミックから形成可能である。薄シートはモールドシート(成形板)としてここに示される。バキュームセクションはポート7で適用される。プレナム1及びモールドシート5のアセンブリ(組立体)8は、構造部材(図示せず)によって上から支持される。バキュームポート7の拡張部が、この構造部材として働くか、あるいは、別の構造部材が提供されうる。図3Aを参照すると、アセンブリ8は、図3Aに見られるように、メルト13の表面15に接触するように運ばれうる。アセンブリは、指定された時間(おそらく約1秒)の間、メルトと接触状態で維持可能である。アセンブリとメルトとの間の接触時間(量)は、これに限定されないが、メルト温度、モールドシート温度、モールドシート厚、及び、製造されるべきシリコンシートの目標厚を含む因子に依存して変動する。図3Bに示すとおり、モールドシート5がシリコンの凝固点よりも冷たいので、シリコンシートはモールドシート上に凝固される。すなわち、プロセスは、融点まで冷却されたシリコンメルト13及び抽出された融解熱を生成する過渡熱伝達である。この結果、モールドシート上に固体シリコンのビルドアップ(集積体)19を生成する。一般的には、モールドシートが溶融物質の凝固点よりも低く保たれるべきである。さらに一般的には、モールドシートが溶融物質に接触する時の少なくとも一時において、モールドシートの少なくとも一部が凝固点以下の温度であるべきである。シリコンの例を挙げると、凝固/融点は1412℃である。モールドシートを維持するための有用な範囲は、室温から1300℃とすることができ、900℃〜1200℃の範囲が適しているが、全体環境に応じて、前記凝固/溶融点以下の任意の温度とすることができる。
【0009】
バキュームの主目的は、シリコンシート19をモールドシート5に対して一時的に保持させることにある。シリコンシートを形成した後に、シリコンシート19をモールドシート5から簡単に取り外せることは便利である。シリコンシートが単純に離れ落ちる場合は非常に便利である。しかしながら、シリコンシートが形成されるとき、それがモールドシート5に付着することが非常に重要である。バキューム17がこの目的を達成する。バキュームなしでは、適切な時間の長さに亘る溶融シリコン13への接触後にシートが取り外されるとき、凝固シリコン19がメルト頂部15の後部に残り易く、そして、再溶融するであろう。溶融シリコンの表面張力がシリコンシート19を押し下げるので、実際、メルト13、15から凝固したシリコンシート19を取り外すには、かなりの付着性が必要である。
【0010】
図3Cに示すとおり、指定時間の経過後、アセンブリ8はメルト13から持ち上げられ、それに付着したシリコンシート19を運搬する。最後に、図3Dにおいて、バキューム17が解除され、形成されたシリコンシート19をモールドシート5から分離可能である。バキューム17の解除時に、シリコンシート19が単純に離れ落ちる。しかしながら、少量の残留付着物がシートを離れ落ちないままである。1つのアプローチは、シート19を吹き飛ばすように、アセンブリ8のプレナムに、正のガス圧を加えることである。別(のアプローチ)は、穏やかな機械的な取り外しを提供することである。このための技術を以下に詳細に説明する。
【0011】
グラファイトモールドシートは、シリコンシート19への付着の目標を達成するのに十分な吸引を可能にするように、十分な多孔性を有する必要がある。非常に広い多孔率の範囲に亘って非常に多様なグラファイトのグレードが存在する。したがって、多く適切な選択肢が存在する。このような適切な選択肢の2つは、グレードUT5及びグレード2191であり、これらは米国のカーボン部門のミシガン州のベイシティの”Ultra Carbon Corporation”からのものである。モールドシート26を薄く形成して十分なガス流をそれ(モールドシート)を通して可能にすることにより、より低い多孔率のグラファイトをもまた使用可能である。図6に示すとおり、モールドシート26がバキュームの下でその全幅に亘ってそれ自体を支持するには薄すぎる場合、バックアップ構造29がプレナム内に提供されうる。この構造は、リブ又はポスト(柱)の形状でプレナム内に機械加工されうる。あるいは、非常に多孔率が高いグラファイト又は他の多孔性物質の断片をバックアップの支持を提供するようにプレナム内に配置可能である。例えば、当該技術分野で公知のセラミックフィルター体を使用して、非常に高い多孔率を得ることができる。
【0012】
モールドシート5の多孔率は、(シリコンシート19の解放を困難又は不可能にするように)溶融シリコン13が孔に進入することを許容するほど大きくする必要はない。シリコンが細孔内に進入することを防止するように、2つの独立因子が組み合わされる。第1に、溶融シリコンの表面張力は、それを(非湿潤物質の)細孔に浸透させるには高いことである。第2に、シリコンはモールドシートに接触すると迅速に凝固し始め、この凝固は、細孔によって提供される高い表面積と体積比率の状況下では特に速い。この第2因子は、湿潤物質を考慮しても存在する。
【0013】
モールドシートのより低い多孔率のグラファイトの利点は、当該物質の粒サイズがより小さいことであり、すなわち、該物質は、形成されたシリコンシートにおいて細かい仕上がりを可能にする。これら仕上がりは、ほぼ鏡面状とすることができ、非常に滑らかなシリコンシートを提供する。あるいは、図2に示すとおり、グラファイトシート35は、形成シリコンシートにテクスチャを転写する目的で、意図的にモールドシート5に機械加工されたテクスチャ9を有しうる。そして、このテクスチャは、光をトラッピングするように作用し、また、上述のSAC特許出願で説明されたメタライゼーション(金属化)のための溝、導電フィンガー、及び、バス・バー(母線)のような、セル製造作業を達成することに必要な溝を提供するように作用しうる。バキュームの利用により、溝、チャネルなどのような関連するテクスチャ要素を埋めるようにシリコンメルトを引きつける。バキューム吸引は、テクスチャ要素を埋めるように溶融シリコンの表面張力を乗り越えることが必要である。テクスチャ要素を半球として具現化可能である。すなわち、埋められる最小の半球テクスチャ要素を、以下のようにラプラス方程式を適用することにより評価可能である。

圧力=1atm=2γ/r

ここで、γは溶融シリコンの表面張力であり、rは半球テクスチャの直径である。シリコンでは、γ=0.72N/m、r〜7ミクロンである。特には、当該テクスチャをエッチングしたテクスチャよりも大きくすることができるので(シリコンをエッチング/消費する必要がないので)、これは良好な光トラッピングを可能にするには十分に小さい。メタライゼーション溝の形状サイズは、光トラッピング形状のものよりも大きい。そして、つまり、メタライゼーション溝を溶融物質で満たすことがより簡単である。実際に、光トラッピングテクスチャは非常に大きいスケール(寸法)でなされうる。上面のトポグラフィは、ウエハ自体の厚さよりもさらに深くすることが可能なスケール特性を有しうる。上述の説明は、適切な雰囲気圧でメルト表面を使用することに関する。以下に、雰囲気圧よりも高い圧力でメルト表面を使用する変形例を説明する。これは、上述したものよりも小さい半球テクスチャ要素を実現可能にする。
【0014】
図7A、7B及び7Cは、非常に大きいスケールのテクスチャを有するモールドシート31を示す。このテクスチャのスケールは、形成されるシリコンシートの意図される厚さよりも大きい。図7Bは、所定位置に凝固した半導体シート32を有するモールドシート及びプレナムアセンブリを示す。図7Cは、モールドシートから離脱した後のシリコン半導体シート32を示す。示されるとおり、形成されたシート32の波形の大きさは、シート32自体の厚みの少なくとも3倍である。
【0015】
1つの重要な事項は、凝固層がメルトから持ち上げられるとき、液体が底部にくっついて、ある程度、底部の塊(凹凸)を形成するように凝固することである。これを最小化する一の方法は、モールドシートを1のエッジ又はコーナーで最初に持ち上げ、これによって、溶融物質をウエハの底部から流出させ、メルトをバルク内に戻すことを可能にする。
【0016】
液体バルクから凝固する半導体シートの迅速な離脱は、メルトに接触した後、直ちにモールドシートを数ミリメートル持ち上げること(約10mmまで、メニスカス分離なしに可能である)により、補助可能である。これが液体のメニスカスを構成し、凝固の終わりに、モールドシートが持ち上げられたときにより迅速に落下する。余分な液体付着を最小化するように形成された半導体シートを傾斜させるステップを、以下にさらに詳細に説明する。
【0017】
半導体シートの下側部から、後退時に形成した全ての残留液体を除去する別のアプローチは、モールドシート及び取り付けられた半導体シートを高速で回転させて側部に残留メルトを排除することである。これは、矩形状のモールドシートで実行可能である。しかしながら、左右対称の円形モールドシートを使用することができ、結果として、ディスク形状の半導体シートウエハの成型となる。このウエハを所望の形状及びサイズにレーザートリミングすることができ、切り落とされた断片は再溶融される。モールドシート及びウエハの回転は、モールドシートの持ち上げによって影響されるメニスカスの分離時に直ちに開始可能である。あるいは、回転の開始は、メニスカス分離が影響される手段でありうる。回転によって横方向に排出された液体は、収容るつぼの側壁にぶつかってメルト内に滴下する。あるいは、少量の液体が排出される場合、メルトからそれらを除去するように、るつぼのエッジを越えて飛ばせることも望ましい。これら液滴は、冷たい表面にぶつかり、それに凝固し、計画されたメンテナンスの間の後に除去される。この少量の液体は、凝固中の不純物の偏析(分離)によって濃縮された不純物をその中に有する。すなわち、この液体を除去することは、システムから不純物を除去することである。形成半導体シートを回転させるステップを、以下により詳細に説明する。
【0018】
さらにシリコンとモールドシートとの間でいずれの付着も避ける一方で、モールドシートの温度を、例えば1200℃まで、あるいは、それが可能な限り上昇させることも望ましい。より高温のモールドシートは、凝固半導体シートにおいて、より遅い熱伝達、及び、より大きい粒サイズを構成する。さらに、現在議論している1つのウエハのバッチモードにおいて、プロセスに亘ってより簡単な制御を提供するように、凝固に5秒間かけることが望ましい。さらに、凝固をモールドシート上の1点又は側部から他方へと進行させて、より大きい粒子を生成するように、モールドシートに亘って温度プロファイルを制御することが望ましい。例えば、円形モールドシートで、粒成長の所望の方向に応じて、外周よりも高温の中心を有するか、あるいは、中心よりも高温な外周を有することが望ましい。外周での初期核生成が起こることは、これらの小さい粒子がトリミング作業中に削除されるので、より有利である。
【0019】
モールドシートに亘って効果的に温度制御する1つの手段は、熱を得ることができ、そしてモールドシートを通してアルゴンを(後でバキュームを適用するのに使用されるポートを介して)流出させることができるように、メルト上に1〜2cmの位置でそれを保持して、冷却を提供すると共にシートの温度を制御することである。モールドシート厚が、その範囲に亘って変動した場合、それを通る流量も変動する。モールドシートがより厚い場合、冷却ガス流はより小さく、モールドシートはより高温になる。それがメルト表面上の配置されるときに、アルゴンをモールドシートから流出させる別の利点は、酸化ケイ素などの蒸気がモールドシートに堆積することを防ぐことである。
【0020】
凝固形成された半導体シートは、バキューム解除(緩和)により、簡単にモールドシートから離脱されうる。さらに、形成半導体シートの分離を助けるように、外方のガス流を与えることができる。さらに、外方のガス流を引き起こすようにプレナム内の圧力の付加をも、モールドシートを僅かに且つ制御可能に後退させることに利用可能である。これによって、形成シリコン半導体シートを分離させることを補助する。取り外しを補助するためのこれらの方法及び追加の方法を以下に詳細に説明する。
【0021】
別の好適な実施形態では、モールドシートがメルトプール(融液槽)表面上を横方向に連続的に移動する。モールドシートをベルトとし且つプロセスを連続的とすることが可能であるが、例えば、約0.5〜2メートル長の個別の長さのモールドシートで実施することも可能である。ここでは、このモードは半連続モードとして示される。
【0022】
動作の連続及び半連続モードの分化した要求は、るつぼよりも大きいモールドシートは、るつぼ壁に干渉されずにメルトに接触することができないため、るつぼの壁の内及び下の溶解含有物が、他のものがなければ、連続又は半連続モードに十分でないことである。1つの解決策は、波状はんだ付け(wave soldering)と同様にメルトにバンプ(隆起)を形成することである。スロットを通してメルトをくみ上げて、メルトでスロットをあふれさせ、メルトのメインプール内にメルトを落下させて戻すことにより、これは実施可能である。溶融シリコンは、遠心力ポンプでくみ上げ可能であり、メルト内に浸される。あるいは、メルトの下に配置されたコイルから形成される振動磁場が電磁斥力によってメルトを持ち上げることが可能である。メルト内の横方向に電流を通過させて垂直方向の磁場を印加することによってメルト表面にバンプを形成して、メルトに上方の物体力を発生させるように、磁気流体力学を使用可能である。これらの各方法をより詳細に以下に図を参照して説明する。
【0023】
連続又は半連続モードのいずれかにおいてモールドシートをメルト表面に接触させる別の方法は、図4A、4B、4C及び4Dに示される。メルト23は、狭いトラフ(谷部)21内に提供され、トラフの頂部を越えてメルト表面が延び出ている。この延出の程度は約1から4mmと小さくすることができる。メルトは、キャピラリ(毛細管)作用によって所定位置に維持され、トラフをあふれ出ることはない。図4Aは、メルト23への到達前のアセンブリ8におけるモールドシートを示す。図4Bは、メルト上の横断のほぼ中間にあるモールドシート5を示し、メルトとの接触から生成したモールドシート5の一部に凝固したシリコン19の厚みを有する。モールドシートの中心部がメルトとまだ接触しており、ここで、シリコンがモールドシートへの凝固プロセルにある。結果として、液体と固体との間の境界を定める界面21は、モールドシート5の底面に対して角度α傾斜する(角度∝を境界する上方直線の拡張により示される)。図4Cは、その横断を完了した後のモールドシート5及びバキュームアセンブリ8を示し、バキューム17によってシリコンシート19がまだ付着している。図4Dでは、バキューム17が解除され、シリコンシート19が取り外されている。
【0024】
メルトを通過するモールドシートの横断速度をかなり速くすることができる。メルトとの接触時間は、0.001から1秒の間又はそれ以上(例えば2秒)に変動可能である。接触幅が2cmである場合、対応する横断速度は20m/s及び2cm/sであり、約5〜20cm/sの範囲の速度が最も好ましい。
【0025】
シリコンの融解熱は、0.7J/gKの比熱に対して、1787J/gである。100°Kの加熱でさえ、その顕熱は凝固に必要なエネルギーのたった4%を占めるだけであるため、この加熱したメルトを凝固させるのに必要なエネルギーは、融解熱によって圧倒的に支配される。プロセス及びその結果であるフィルム厚が熱伝達で制御されるので、プロセスは溶融温度における変動に非常に耐性がある。200ミクロン厚フィルムを凝固させるには、(融解熱にのみ基づく)単位面積当たり必要なエネルギーは90J/cmである。高い熱伝達性基板では、熱除去は、モールドシートと半導体(例えばシリコン)との間の熱伝達率(係数)によって支配される。一例として、迅速な凝固プロセスのための典型的な熱伝達率は、1×10から1×10W/mKであり、水冷銅及びステンレス鋼ホイール上のシリコンの実験値はUnoによって、4.7×10W/mKとして決定する。単位体積当たりの熱流速は、Q/A=h(Tmelt−Tsubstrate)として定義される。
【0026】
1000Kの温度勾配では、470W/cmの熱流速は、結果として、厚さ200μm厚では〜200msの凝固時間となる。基板熱伝達が熱流速を制限しないことを確認する基準(チェック)として、グラファイトの熱拡散性が約0.1cm/sであり、結果として、0.2秒で1.4mmの熱拡散長である。凝固エネルギーが2J/gKの比熱で1mm厚のグラファイト表面層に取り込まれると推測すると、成形の間、グラファイトにおける200Kの温度上昇を引き起こす。
【0027】
多くの実施形態では、モールドシートの横断の間、トラフ内で利用可能なメルト量を大体一定に維持することが重要であり、すなわち、メルトをトラフに収容することが必要である。このメルトは、トラフに接続されたるつぼに含有された溶融シリコンの大きい容器からもたらされる。容器を大きくすると、横断中のトラフのメルトの高さの変動が小さくなる。さらに、メルトの制御は、例えば、グラファイトなどの排出ピストンを使用して達成可能であり、横断中に引き取られたシリコンを補償し、ピストンは下方に移動される。
【0028】
メルトプールに接触する間にモールドシートに凝固するシリコンシートの厚さを過渡熱伝達が決定するが、いくらかの液体シリコンは、凝固したシリコンの下側に除去されうる。これを防止するために、図5A、5B、5C及び5Dで図示されるように、溶融シートを水平に対して傾斜させメルトプール上を横断させる。これは小さい液圧ヘッドを提供し、凝固シリコン19底部に付着したいずれの液体シリコンをも流し出し、メルトプール内に戻す。図5A、5B、5C及び5Dは、図4A、4B、4C及び4Dに関して説明したものと、プロセスの順番において、それぞれ同じ時点を示す。図5A及び5Bのるつぼ25が傾斜した外壁を有していることに着目せよ。液体がるつぼのエッジから除去されるときに、特に図5Bの状態の間、この傾斜は、シリコンがるつぼの側壁を濡らすことに対して防護のマージンを提供する。
【0029】
これら方法の別の重要な利点は、メルト内への不純物を排除すると共に、成長するシリコンシート内にそれらを包含させることを回避することである。最も電気的に有害な金属不純物は、液体よりも固体中により溶解し難く、それ故、凝固界面で排出される傾向にある。液体/固体界面が制御された方向に移動する結晶成長プロセスでは、(これらプロセスと同様に、)原料物質を精製する機会を提供する。不純物をメルトのバルク内に戻すことを可能にするために、液体/固体界面の進行速度が高すぎてはならず、そうでなければ、不純物が凝固した物質内に凝固する。シートの形成速度がここに開示された発明において高い場合、モールドシートの底面にも平行である矢印Pで示される牽引方向に対して、液固界面の傾斜角度αのおかげで、凝固界面の進行速度が十分に小さい。例えば、溶融シリコンを含有するトラフの幅が2cmであり、接触に必要な時間が0.2秒である場合を考えてみよう。そのとき、牽引速度は10cm/秒である。製造されるシートが200ミクロン厚(典型的な厚さ)である場合、凝固界面の進行速度は0.2秒に200ミクロンすなわち1mm/秒である。この進行速度は速いが、いまだ偏析及び付随的純化を可能にする。
【0030】
この偏析は、また、いくらかの意図したドーパントに影響を与え、通常の結晶成長法において、そのようなドーパントを使用することを困難にする。例えば、ガリウムは、シリコンにおける望ましいp型ドーパントであるが、通常使用することは困難である。なぜなら、偏析の結果、インゴット成長又は成形プロセスにおいて成長が続くと、成長結晶の抵抗性が減少するからである。これはリンのn型ドーパントについても同様である。しかしながら、現発明の方法で、ドーパントがメルト内で増大し、メルトの適切な補充で維持可能な定常状態に到達する。このように、各ウエハが同レベルのドーピングを有するメルトから形成され、すなわち、それ自体、同レベルのドーピングを有する。また、メルトからの直接的なウエハ形成は、バルクの抵抗性の緊密で迅速なプロセスのモニタリングを可能にする。溶融ドーパント濃度の必要な変更をSi原料の追加とともに迅速に達成可能である。
【0031】
結晶成長界面の傾斜角は、ほとんどの熱が凝固シート厚に亘ってシリコンから(横断/牽引方向と垂直方向に)除去されるという事実によるものである。結果として、凝固シートにおける温度勾配を非常に低くすることができる。これは、凝固シート内の低いストレス、及び、それ故、低い転位密度につながる。転位密度が光起電のためのシリコンシートの電子性能を劣化させる重要な因子であるので、これは非常に有利である。
【0032】
モールドシート5はグラファイトから形成されるが、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、熱分解性窒化ホウ素、及び、酸窒化ケイ素を含むこれらの合金を含む他の材料の範囲からも形成される。モールドシートが冷却状態で維持されているので、酸化アルミニウムのような材料(別の面では、加熱時にメルトに接触する場合に、アルミニウムでメルト汚染につながる)を検討することも可能である。シリコン単体のような他の材料を以下に説明する。全ての場合、バキューム吸引を可能にするのに必要な多孔率は、パウダーからモールドシートを製造することにより形成可能であり、パウダーを多孔体に焼結すること、あるいは、パウダーを多孔体に纏めて接着することのいずれかで形成可能である。非多孔性の物質のモールドシートを形成すること、及び、バキュームを可能にするのに十分な密度で多数の小さい孔を提供することもまた可能である。一般に、モールドシートは吸引を可能にする十分な透過性を示さなければならないが、シリコンを吸入するほど十分であってはならない。それは遷移金属又は遷移金属不純物を含有すべきではない。それは平坦な又はテクスチャを有する薄シートで製造されるべきである。それは、ある程度の熱ストレス/衝撃に耐えなければならない。
【0033】
モールドシート形成面(場合によっては、形成モールドとも呼ばれる)が、半導体物質の溶融点より低い温度にあることは、一般に前述した。形成面の領域の一部、形成面がメルトに接触する時間の一部で、そうである必要があるが、時間全体及び形成面全体領域に亘ってそうである必要はない。同様に、バキューム(又は、他には差圧と呼ばれる)が、形成モールドの非形成面である後背部と溶融物質との間に差圧が存在するように適用されて、溶融物質が成形モールドに対して引きつけられ又は押し付けられる。しかしながら、形成モールドの全表面領域、又は、溶融物質と接触する全ての部分に亘って、あるいは、形成モールドが溶融物質に接触する全時間において、この差圧又はバキュームを適用する必要はない。
【0034】
ここに説明したプロセスは、メルトに曝されるモールドシート5(図1)の面(形成面、又は、形成表面6とも呼ばれる)と、モールドシートの反対面(後背面4)との間に適用される差圧によるものである。実質的に、メルト表面15、そして、モールドシート5の形成面6で環境圧力ガスを使用するが、この差圧を適用する簡便な手段には、モールドシートの後背面4に低圧を発生させるようにバキュームポンプが採用される。この実施形態の利点は、炉筺体が密封されて気密性を有する必要がなく、パージガスの閉じ込めに必要な圧力を越える正圧を維持可能である必要もないことである。しかしながら、別の実施形態では、局所的な気圧よりも実質的に高い圧力でモールドシートの形成面に雰囲気を維持するが、モールドシートの面間の差圧が、雰囲気へ直接的にモールドシート5の後背面4をベント(排気)することによって生成される。この実施形態の利点は、バキュームポンプが必要ではないことである。この実施形態のさらなる利点は、局所的な気圧よりも高いトランスモールド(移送成形)シートの差圧を達成可能である。これは、例えば、細かい表面テクスチャ形成においてプロセス的利点を提供しうる。溶融物質表面にモールドシートが接触する前又は後に差圧が適用される。
【0035】
本明細書及び請求の範囲が「バキューム」とう用語を使用するとき、それは、モールドシート5の形成面6又は後背面4のいずれかでの絶対圧に拘わらず、モールドシート5の形成面6と後背面4との間に差圧を構成する全ての手段に対応する。実験的に、モールドシート5の厚さに亘る1キロパスカル(kPa)から100kPaの範囲の差圧は、プロセスの実行可能性を明示する。また、本明細書及び請求の範囲が「バキューム」という用語を使用するときはいつでも、任意の程度の部分的なバキュームから完全なバキュームまでも意味することが理解されることに注目すべきである。
【0036】
(多孔性)
前述及び後述により、多孔性であるモールドシート及び形成モールド本体を説明する。「多孔性」によって、一表面から反対面へ多孔体を通ってガスが流れることが可能であるような開セル(組織)多孔性が示される。このような多孔体は、閉セル多孔領域をも含みうる。それを通ってガス透過が可能であるように、このように本体全体が多孔性であることが必要である。つまり、「多孔性」という用語は、それらが閉セル部に含まれたとしても、それを通ってガス透過が可能である、このような多孔体を示すことに、ここでは使用される。
【0037】
形成半導体ウエハの成長は、連続的、半連続的、あるいは、非連続的な形態で進行する。連続的な成長では、モールドシートは、メルト含有るつぼのリム(周縁)又はへりの上に前進(フィード)され、所定の距離に亘ってメルトに接触し、そして、るつぼのリム又はへりを通り越す必要がある。平坦なモールドシートでは、メルトのある部分が、るつぼのへりの上に存在することが必要である。これは、上述及び後述の機械的隆起又は磁気流体力学(MHD)による力でメルト内に積み上がった又は盛り上がったバンプ形成によって達成される。あるいは、液体メニスカスが、るつぼの上端縁で固定された場合、溶融物質は、るつぼのリム又はへり上で存在することができる。図4A〜4D及び図5A〜5Dを参照して示されるように、該るつぼは、線形のトラフの形状をとりうる。このようなトラフは、独立して立つことができ、あるいは、より大きいるつぼのような別の物の中又は上に配置可能である。この配置は、トラフるつぼのエッジを越えて損失したいずれのメルトをも保持するという利点を有する。下方のより大きいるつぼからメルトをトラフ内に戻す移送手段は、無駄を最小限にすることに有用である。
【0038】
図8A〜8Eを参照して示される、非連続又は半連続の成長での1つの課題は、形成後のウエハのメルト側の面に残る溶融物質の堆積である。バキュームプレナムアセンブリ808から吊り下げられる微孔性のモールドシート805は、メルト813内に浸されて、モールドシート805の形成面がメルト自由面815と略平行であると共に矢印Wの方向に引かれる。モールドシート805は、ペンダントドロップ(吊り下がった液滴)889を形成する傾向にある(図8D)。このドロップは、連続するウエハ処理を妨げ、一般に望ましくない。この余分な液体を除去するための上述し、且つ、ここに説明する一方法は、メルト813から後退するときに、高速でモールドシート805を矢印Sで示されるように回転させることであり、これによって、余分な液体をへりに振り飛ばし、又は、形成ウエハ819の外周888にそれを分離する(図8E)。この方法は、円形又は多角形のモールドシート805でも使用可能である。余分なメルトをるつぼに戻すことが可能であり、あるいは、不純物除去の手段としてシステムから除去することも可能である。回転平基板のリム又はコーナーに局所的に集められた余分なメルトを、トリミングするか、あるいは、るつぼに戻すことが可能である。余分な液体と同様に、この物質の一部又は全部を、不純物除去の手段として隔離可能である。この余分なメルトは、最後に凝固すると、排除された不純物が高くなり易い。図8Eに示すとおり、モールドシート805の回転軸は形成ウエハ819の平面に略垂直である。これは、この場合に限定されない。さらに、回転軸は、重力場に対して垂直であるように示されている。これもまた、この場合に限定されない。
【0039】
溶融物質の絶えざる液滴に対処するための別の方法は、図9A〜9C及び図10A〜10Eを参照して説明されるが、ドロップ1088を形成ウエハ19の中心よりもエッジ上に形成させることである。このように、ドロップを収容する目的でウエハの犠牲領域を使用可能であり、これを形成ウエハから切り取り、メルト内に戻すことが可能である。これを達成する1つの方法は、メルト表面に対して所定角度で、バキュームプレナム全体及び付着する形成面を傾けることである。このアプローチは、傾斜動作を可能とし、ウエハの最終品質を落としうる汚染物の流出なしに、液体シリコン温度での動作が可能なバキューム接続の使用を必要とする。
【0040】
この方法の実施には2つの段階がある。第1段階は、メルト表面15への接触が形成面の下方のエッジ985でなされるまで、矢印Lで示すように形成面6が下に傾いて移動する、接地(lay−in)である。形成面6に亘って溶融物質をスイープ(一掃)するように、付着する形成面を有するバキュームプレナム全体は、メルト表面15に接触する形成面6のエッジ985に平行な軸を中心に回転される。メルト表面に接触する形成面のエッジ985は、この事象の間に垂直に移動しうる。この溶融物質のスイープを形成面6に導入する結果として、形成面上のシリコンウエハの横方向の(形成面に平行な)成長を促進して、比較的大きい粒で細長い粒構造を形成するが、これは望ましい。この大きい粒子の結晶テンプレートに続く凝固は、形成面6の表面に垂直に起こりうる。(トラフに係る場合に示されるが、図4Bに示されるのと同様に、)ウエハ平面に対して所定角にある液固界面がスイープの導入及び横方向の成長に関連する。
【0041】
形成面の全ての部分が同時にメルトに接触するように、メルト表面に平行に形成面を案内することに、同じ装置を使用可能であることに注目すべきである。このような場合、固体と液体シリコンの界面は、形成シート及びウエハ平面と略平行である。形成シートがメルトに対して平行に下方に運ばれる場合、形成シートとメルトとの間の少量の炉周囲のガスをトラッピングする可能性を有する。しかしながら、これら少量の空気は、バキュームによって除去され、形成面を通して引かれる。
【0042】
図10Aから10Eに示すとおり、モールドシート5がメルト表面15から外されるときに形成面6が傾斜する場合、液体メニスカス1087を制御された方法で流し落とす(脱落させる)ことが可能である。また、残留メルト1088が形成ウエハ19のエッジ1089に残る(図10E)。これは、ウエハ表面に亘って直線的にメニスカスをスイープすることの利点を有し、溶融物質の非常に薄いフィルムだけを残す。回転構成と同様に、余分な分離された物質は、トリミングされてメルトに戻されうる。トリミングされた材料のいくつかは、メルト及びるつぼから不純物を除去するために隔離される。
【0043】
平坦化及び平滑化を含むシリコンウエハの表面仕上げは、ウエハ成長後の液体メニスカスの脱落で大部分決定される。良好な表面仕上げは、他のプロセスもまた表面仕上げをさらに改善させることができるが、上述した傾斜動作によって得ることができる。以下に説明するとおり、液体メニスカスの分離における1つの重要な因子は、例えば、形成ウエハを傾斜させること、或いは、回転させることによる、ウエハ表面から液体が脱落する間のメルトの動きである。制御された、ゆっくりとした、滑らかな、液体からのウエハの後退は、滑らかなウエハ表面を導く。例えば、メルト内の波によって引き起こされる脱落の間の液体メニスカスの不安定性は、ウエハ表面上のリップル(うねり)及びバンプ(凹凸)のような不都合な表面アーチファクト(加工物)につながる。
【0044】
ウエハの表面仕上げを改善する一方法は、メルトのいずれの波状運動の強度を減少させ、発生したいずれの波をも迅速に抑えることである。波の振幅を減少させる方法は、底の浅いメルト13(図3A)を使用することにある。例えば、5mm以下のメルトの深さが便利であり、るつぼ底部の局所的な微粒子不純物が0.5mm以下である場合、3mm又は1mmであってさえよい。非湿潤るつぼ11の材質(水晶など)の達成可能なメルトの最小深さは、液体シリコンの表面張力、及び、液体シリコンとるつぼの材質との間の接触角によって影響される。結果として、このような物質において非常に浅いメルト深さを得るように、湿潤物質のリム(縁)が、るつぼの完全な領域的な被覆を確実にするようにさらに含まれうる。例えば、図11に示されるとおり、るつぼ11の内径に適合する外径と、メルト13の所望の深さと同じ高さとを有する、グラファイトの薄い(例えば5mm厚の)リング1112を使用可能である。
【0045】
図12に示されるメルト内の波を軽減させる別の方法は、メルト13の表面15の下に沈んだ物理的なバッフル1214を使用することである。これらバッフルは、液体の横方向の流れを妨げて、メルト内に存する全波状運動を素早く抑える。
【0046】
形成ウエハ表面からメルトを除去する速度(レート)を制御する別の手段は、メニスカス制御要素である。これは、形成面に対して移動した分離帯からなり、その位置が新しい形成ウエハ表面からのメニスカスの脱落位置を制御する。
【0047】
このトピックは、垂直な自由メルト面から引き上げられるがこれに平行な形成面に付着するメニスカスの安定性を説明する。固体表面上の液体の平衡濡れ角は、メルト及び表面の表面エネルギーで決定される。この角度は、再現性があり、且つ、液体、固体及び環境ガスの所定のシステムにとって一定であると見なされる。不活性ガス内の固体シリコン上の液体シリコンの付着の平衡角度は11度である。濡れ角が11度より小さくなるように乱されてメニスカス付着が尖ったような物理的状況の存在は、平衡が再構築されて付着角度が11度になるまで変化する傾向にある。液体メニスカスが(自由メルト表面に平衡に保持された)水平形成面へ付着する場合は、液体−気体又は液体−液体界面に亘る圧力差、該表面の曲率半径、及び、該界面の表面エネルギーに関係するラプラス方程式で分析可能である。界面に亘る圧力は、静水圧として表される。
P=ρgH
(液体密度×重力×自由表面からの高さ)
環境ガス圧は、この計算では定数として見なされ、自由メルト表面で液体の圧力と等しいものと見なされる。
【0048】
付着の線形エッジを考慮する場合、たった1つの曲率半径が存在し、ラプラス方程式は、
P=2γ/r
となる。
付着角の想定及び湾曲角度の非常に小さいステップでの表面に沿った増加により、曲率における関連圧力の降下及び変化を、数学的に解決することが可能である。自由メルト表面上の形成面の最大安定高さが約0.01077mであることが反復を通して発見された。2530kg/mの密度及び0.72N/mの表面張力を推測した。
【0049】
自由メルト表面からゆっくりと持ち上がった形成面の場合には、以下のことを予測可能である。形成面へのメニスカスの付着角が11度よりも大きい限り、システムが安定であると共に、液体813が形成面のエッジに付着された状態を維持する。さらなる高さの増加が形成面の平坦表面に11度未満の付着角を要求する高さに、形成面が持ち上げられると、平衡が再構成されるまで、あるいは、形成面の他のエッジからの移動メニスカスが接触するまで、メニスカス887は横方向に移動する。この場合、メルトと形成面との間の接触がなくなり、且つ、大きい残留ドロップレット(液滴)889が形成面に残される(図8D)。メルトの高さにおける非常に小さい摂動が、メニスカスの脱落速度を変えることができ、あるいは、一時的に反転させることさえできる。これら摂動は、メルト内の波によって引き起こされ、これは、バキュームプレナム及び形成面の動作による揺れにさらされる液体の容器(るつぼ)内で避けることが難しい。
【0050】
メニスカス脱落の速度の制御が望ましい。この技術で形成したSiシートの表面仕上げは、シート表面からメニスカスの相対的な後退速度に高く依存する。新しく形成したSiシートの表面からのメニスカスの後退速度をより良好に制御する技術は、Siシートの表面仕上げを制御することに良く適している。
【0051】
メニスカス付着の安定性の上述の説明は、Siシートからのメニスカスの脱落速度の制御に関係する。形成ウエハ表面からのメルトの除去速度を制御する一手段は、メニスカス制御要素である。これは、形成面に対して移動した分離帯からなり、その位置が新しい形成ウエハ表面からのメニスカスの脱落位置を制御する。
【0052】
メニスカスの脱落機構の一構成は、メルトにより濡れない物質を使用する。物質は、環境雰囲気の存在下で溶融物質に対して約60度よりも大きい濡れ角を有すべきである。図13A及び13Bは、このような機構の1つの可能な実施例を示す。この例では、ウエハ19は、モールドシート5をメルト1313内に浸すことにより形成される。ウエハの成長後、モールドシート5は、メルト1313の自由表面1315上の液体メニスカス1387を形成ウエハ19のメルト側の部分にまだ付着させるような高さ(例えば、上述の例では0.01077mよりも低い)に後退する。例えば、小さい径(例えば5mm)の水平シリンダ1391からなるメニスカス制御要素は、形成ウエハ19とメルト1313との間で矢印Mにより示される方向に移動されて、固体シリコンウエハ19から液体メニスカス1387の脱落を強制する。付着位置が動かないままである場合、付着角が11度よりも小さくなるように、これはメニスカス表面の変形によって起こる。制御要素1391をウエハ19の全長に亘って移動させた後、ウエハのメルト側の面1318には、液体シリコン1387がほとんど存在しない。
【0053】
図14A及び14Bに示すとおり、メニスカス制御要素の別の構成は、メルト1413の自由メルト表面1415の下に部分的に沈んでいる非濡れ性材料の本体1491である。14で始まる参照番号を有する図14A及び14Bに示された他の要素は、13で始まる図13におけるこれらセットと同じであると共に、最下位桁の同じ番号を有し、これら自身で類似している。
【0054】
メニスカス要素は、プレナム及びモールドシートの垂直又は傾斜動作に組み合わせ可能であるか、あるいは、メニスカス脱落体の垂直及び横方向の両方の動きを含むことができる。
【0055】
(トラフ)
ウエハ表面仕上げの品質は、新しい形成ウエハ表面からのメニスカスの後退速度によって影響されうる。この速度を綿密に制御する手段が望まれている。また、溶融物質のモールドシート表面への段階的な導入は、制御されたスイープ除去において、形成ウエハの最終的な結晶性において利点を有する。特には、モールドシート形成面への溶融物質の横方向の導入は、全て又は一部の形成ウエハの横方向への成長を促進し、結果として、より大きく細長い粒構造を生成する。横方向の導入は、形成面と溶融物質の自由表面との間で提供される相対移動を意味し、当該相対移動は自由表面又は湾曲したメルト自由表面の場合における接線平面に平行である。メルトから細長い粒構造の結晶学的テンプレートへのSi半導体材料の続く冷却は、所望のウエハ厚に到達するように起こりうる。モールドシート表面へのメルトの制御された導入、及び、ウエハ表面からのメルトの制御された分離の両方を達成する手段は、図4A〜4D及び図5A〜5Dに関連して、上述のトラフの使用によるものであり、メルトのバンプ又は隆起部を提供する。このようなバンプを提供する手段を以下に説明する。これら方法では、(溶融物質で満たされた)トラフ21は、メルトがモールドシート5の1エッジへの接触を形成するように配置される。その後に、トラフ21のモールドシート5への横方向の相対移動が、モールドシート5の形成面に亘って溶融物質23をスイープするように達成される。このような移動は、モールドシート5の先端に組み合わされて、述べたとおり、ウエハ表面からメルトの除去を助ける。ウエハ表面から余分なメルトを除くことにガスジェットをさらに使用可能である。エッジに亘る可能性のある漏出と同様にメルトが形成されるウエハに消費されると、このようなトラフは、充填又は補充する手段を必要とする。成長の非連続又は半連続形態では、より大きいるつぼ内のメルト表面下に沈下させることにより、トラフを再充填可能である。
【0056】
(汲み上げ式に隆起したメルト)
場合によっては、波状はんだと同様のバンプとしてここに参照される、メルト内の比較的隆起した領域を形成する連続的なプロセスを提供するように、一般的に、1技術を上で簡潔に説明した。これを達成するための装置を図15に示す。スロット1582を通してメルト1513を汲み上げて、メルトをスロットから溢れさせると共にメルト1513のメインプール内に落とし戻すことにより、これを実行可能である。溶融シリコンは、メルトの自由表面1515上にそれを流すように溶融シリコン1514を連続的に又は非連続的に加圧する手段1582でくみ上げられ、溶融シリコンの付着のための場所を、メルト1513に浸されるモールドシート5の形成面6に提供する。汲み上げ手段は、ギヤポンプ、インペラーポンプ、又は他の適切な手段でありうる。関連する実施形態では、スロット1582と流体連結するシリコン充填レセプタクル(容器)と結合するシリンジ式ディスプレーサ(注射式排除具)を使用して、溶融シリコンの汲み上げを非連続的に実行可能である。この実施形態は、ディスプレーサの位置を変更することにより、メルトのメニスカス1518の高さに亘って、直接的なリアルタイムの制御を可能にするという利点を有する。類似の実施形態は、ディスプレーサとしてガスを使用して、溶融シリコンを非連続的にスロットに供給する。非連続的に汲み上げられるスロットに関して、これら両方の実施形態の利点は、軽減された摩耗、軽減されたハードウェアの複雑さ、及び、ウエハごと(の方式)でメニスカスの高さを変化させることを可能にすることである。
【0057】
汲み上げられた又は動力学的に引き起こされたバンプに依る代わりに、図16に示すとおり、液体シリコン表面1615より下のモールドシートの長手方向に沿った矢印Wの方向に堰(ダム)1681を通過させることで、移動するモールドシート5に、局所的な高い液体表面1615を与えることができる。モールドシートは、矢印Wに平行な要素を有すると共に、矢印W方向に堰の速度を超える速度を有する矢印Mの方向にそれ自体が動かされる。このような堰は、当該移動堰1681の前方の液体シリコン自由表面高さ1685を一時的に隆起させる。溶融シリコンが移動堰の上を流れると、モールドシートが、堰の頂部上を一般的に矢印M方向と同方向に独立して移動し、上記流れる溶融シリコンに当接する。堰がるつぼ1611を横断し、且つ、モールドシートの全長が液体表面のエッジの上を通過すると、完全に凝固したウエハ1619が除去され、堰がその始動位置に戻され、そして、このサイクルが再度始動されうる。また、移動堰及び相関する隆起メルトがモールドシートに接触を提供するように、自由表面の僅か上で水平に、モールドシートを固定してもよい。ウエハを両方向に形成可能であるように、堰を左右対称とすることができる。
【0058】
メルト表面セクションを垂直に上げる又は下げる別の方法を図17A及び17Bに示す。メルト1713の一部は、電気的に絶縁するトラフ1711内に分離される。水晶をトラフ材料として使用可能である。トラフ1713は、より大きい液体容器内にあり、且つ、液体容器と流体連結しており(図示せず)、メルト1713がその中に流れる。電気接触が2つのコンタクト1791a及び1791bを通して両端で電気的に分離された領域に対してなされる場合、矢印I方向に沿った電流路が、るつぼ1711の内部寸法及びメルトの深さによって定められる液体体積1713に局在しうる。
【0059】
この電流が、矢印Bによって示される方向に沿った横磁場において適用される場合、物体力Fがメルトの閉込め領域内に発生する。この物体力の方向は、電流I及び磁場Bの符号に依存する、上方又は下方のいずれかである。トラフ1711の一端(図17Aの左手側の開口で示される)が、トラフ外のより大きい体積のメルト供給部と連通することが許容される場合(図示せず)、トラフ内の液体1715の頂部の垂直位置の変動を、電流の大きさ及び符号で誘起することが可能であり、図17A及びBの液体の頂部の高さを比較することによって示される。一方、電流路及び関連する物体力をトラフ内の2つの電極間のメルトに閉じ込める。
【0060】
上述した、モールドシートのメルト表面への横(水平)導入は、形成シリコンウエハ内の沿面(横方向の)粒成長を助け、強化された電気的特性を表す長い粒をもたらすことを意図している。粒径をさらに増加させる1つの方法は、公知の配向のシード結晶(種晶)で形成ウエハをシーディングすることによる。これは、上述の水平導入のいずれかと合わせて実行可能である。
【0061】
成長したウエハをシーディングするための1方法を図18に示す。モールドシート5の前方エッジ(先縁)で単結晶シリコンのピース1829を(バキュームで又は機械的に)付着することによって達成される。(モールドシート5は(モールドシートの第1エッジがメルト表面に接触するように)矢印A方向にメルトに対して移動する。)これは、トラフ導入における図18に明示される。メルト15がシード結晶に導入された後に、ウエハ1819が、シード結晶と同じ配向の単一結晶粒の沿面成長で形成される。ウエハ成形が完了した後に、シード結晶を切り落として次の成形処理に再使用することができる。あるいは、成形処理ごとに新しいシード結晶を使用してもよい。
【0062】
形成Siシートの最終的な結晶性に影響する可能性があり、公知の結晶的配向を有しうる。これらシードは、機能層のメルト側に配置され、バキュームによって形成面に保持可能である。(後述する)核生成を抑制する機能層を別個の結晶性シードに組み合わせた結果、所定の配向の大きい粒を有する最終的なSiシートが生成される。これらシードは、形成面のエッジに配置されたSiウエハの切片から構成可能であり、沿面成長がこのシードから起こり形成面に亘って広がる。このようなシード切片は、〈111〉配向のSiウエハの薄いスライス(薄片)から構成可能である。形成面に亘って広がる均一に分散した粒のセットとすることも別に可能であり、結果物のSiシートは、初期シードの間隔に応じた均一な大きさの粒のアレイ(配列)からなる。
【0063】
形成ウエハの長さ方向に沿って凝固前線が横方向へ伝播することは、大きい粒を成長させ、ハードウェア製造の設計を簡易化することにおいて有利である。上述の方法及び装置が固体−メルト界面の横方向への伝播及び固体−メルト界面に亘る直接的な制御を可能にするが、固体−メルト界面で表面液体効果から自由である横(面内)方向の成長を提供する方法及び装置もまた有利である。本発明の全実施形態では、ウエハ成長は、メルトとモールドシートとの間の熱接触を必要とし、モールドシートを通るバキュームを適用することにより達成される。図19に示すとおり、モールドシート1905の後背部1904(メルト表面1915から離れて面する側の面)上の空間的なバキューム環境を変化させることにより、強力バキューム源1923に強力バキュームポート1909を通って供給された小さく強力なバキューム領域1921において、メルト1915とモールドシート1905との間で熱接触が強制される。この強力バキューム領域1921の位置を変更することにより、例えば、矢印Mによって示される方向の形成ウエハ1919長手方向に強力なバキュームのラインをスイープすることにより、動的に安定なモールドシート及びメルト界面を必要とすることなく、沿面成長を達成可能である。このような実施形態は、メルト表面1915に連続接触状態で保持されるモールドシート1905の背後に移動バキュームプレナム1921を設けることにより実現可能である。ウエハ1919は、移動プレナム1921の場所で又はその近傍で凝固する。ウエハ1919が形成されると、プレナム1903の残りにおけるバキュームの弱いバックグラウンドレベルは、ウエハ1919がモールドシート1905に一時的に付着したまま維持されることを許容する。ここに使用された、強力バキュームは約30〜80kPaにあると考えられ、他方、弱いバキュームは、約1〜30kPaの間にある。
【0064】
動的に安定したメニスカスの必要なしに固液界面の面内横方向伝播を達成する別の方法は、モールドシートの特性及び形状を変化させることで、モールドシートへの熱伝達率を空間的に変動させることである。断面図である図20に示される一実施形態では、モールドシート2005の領域に亘る局所バキュームが、モールドシート2005の背面2004内の一群の止まり孔2016において物質を除去することで空間的に変動する。止まり孔(ブラインドホール)を有するモールドシートの領域は、メルト側2006により強力にバキューム2017を案内し、強化された熱伝達による局所的な核生成をもたらす。止まり孔2016の的確な間隔で、これらの局所的に核生成した粒は、止まり孔がないモールドシートの領域に亘って横方向に伝播し、最大限に大きい粒を形成する。
【0065】
図21に示す別の実施形態では、可変の熱拡散性を有する物質の埋設物2116は、モールドシート2105の至る所の異なる位置で埋設されている。(注記されていない限りは、21で始まる参照番号で表される部材は、図20に示される20で始まる部材と同じである。)比較的短時間で相対的に熱を伝達可能であるモールドシートの領域は、新しい粒を核とする傾向がある。これら粒は、低熱容量の領域に亘って伝播し、粒が隣接する粒に接触するときに大きい粒を形成する。一実施形態では、高熱拡散性グラファイトの埋設物2116が、低熱拡散性の炭化ケイ素のモールドシート2105内に一定間隔で埋め込まれている。粒が高温熱拡散埋設物2116の直下の位置2118で核になり、その位置から外側に拡張する傾向がある。
【0066】
図22A及び22Bに示す別の実施形態では、上述の実施形態で示されるとおり、垂直方向というよりもむしろ水平方向からシリコンメルト2213に曝されて、モールドシート2205が垂直に引き上げられる。この方法では、メルト2213は、他方の壁2229bよりも低い一方の壁2229aを有するるつぼ2211内に含有されており、メルト2213の表面2215レベルが上がったときに、それは低いエッジ2229aを越えて溢れる。メルトレベルは、示されるようにディスプレーサ2221によって増加可能であるか、あるいは、適切な手段によって増加可能である。メルトシート2205は、低壁2229aで密着するように配置されて、壁2220aの上方エッジを越えて溢れるよりもむしろ、モールドシート2205の後側2206からポート2207を通して吸引するバキューム2217で、溶融シリコン2213がモールドシート2205に接触する。固体半導体シート2219がモールドシート2205に対して形成される。モールドシートは、矢印M方向に沿って上方に引き上げられる。上述したモールドシート5の下からのメルト曝露の場合と同様に、バキューム2217がモールドシート2205内に付着及び熱伝達を促進する。シリコンシートの解放が必要になるまでモールドシートに対して保持するように、追加の比較的弱いバキュームをさらに上部でモールドシートに適用することが可能である(図示せず)。液体シリコンの表面張力によって、るつぼ外壁とモールドシートとの間の小さい間隙が溢れたメルトで満たされないように、るつぼ壁2229a、2229bを溶融物質に対して非濡れ性とすることができる。非濡れ性のるつぼの材質の例は、水晶である。
【0067】
この垂直の方法の利点は、形成ウエハ2219からの液体の脱落が重力によって補助されることである。モールドシート2205の動きMの方向は、図22Aに示すとおり、垂直とすることができる。あるいは、方向を傾斜させてもよい。モールドシート2205がメルト2213から離れて傾斜する場合、形成固体シリコンシート2219は、モールドシート2205の上部への重力によって支持される。形成固体シリコンシートがメルト上にあるようにモールドシートがメルトに向かって傾いている場合、解放が求められるまでモールドシートに対してシリコンシートを保持するようにモールドシートの上部に弱いバキュームを適用することが可能である。最適な液体の脱落は、重力が表面張力の反対に直接作用するときに起こり、固体シリコンに対する液体シリコンは約11度である。
【0068】
制御状態で進行的に横方向にメルトをモールドシート表面に付着させ、形成ウエハ表面からメルトを分離させることを達成する別の手段は、メルトの自由表面に直角にモールド体の形成面表面で、垂直にメルト内に沈み込むように、形成面を配置することである。これは図23A及び23Bに示され、中空の微小孔性モールド体2308が矢印P方向に沿ってメルト2313内に沈み込み、2つのモールドシート2305a及び2305bを有するモールド体2308の2つの形成面2306a及び2306b上のそれぞれに、ウエハ2319a及び2319bを形成する。互いに略平行且つ反対を向く2つの形成面2306a及び2306bが示されている。モールド体は、多くの異なる形状のうちの1つであり、2、3、4、又はそれ以上のモールド形成面を有してもよい。形成面2306a及び2306bの各々をバックアップ(裏打ち)する構造2305a及び2305bの各々は、ここに使用される用語としてモールドシートと見なされうる。図23Bは、矢印W方向に沿ってメルト2313からほぼ後退が終わる頃のモールド体2308を示す。これは、形成プロセスごとに2つのウエハの形成を可能にするが、比較的深いるつぼを必要とする。プレナム2303を通して差圧が提供される。例えば、バキューム2317でコンジット(導管)2307を通して吸引する。
【0069】
本発明の垂直浸漬に係る実施形態の直前の説明の前の説明は、溶融物質がその最終形状及び表面テクスチャに成形される要素を示すことに用語「モールドシート」を使用している。モールドシートは、1又は複数の層の一般的にシート状の要素として説明されている。このセクションは、互いに対してある幾何学的な関係で配置された2以上のモールドシートから構成される、一般的に3次元の非シート状の要素に係る用語「モールド体」を使用する。各モールドシートは形成表面(ここでは形成面とも呼ばれる)を有する。モールド体の別個のモールド要素をシート状にする必要はない。例えば、バキュームがそこを通って吸引されることを許容する、多孔性の内部を有し、モールド体の周囲に互いに離れるように外側に向く異なる形成面を有するように、モールド体を完全に立体にすることもできる。ここに使用したとおり、請求の範囲では、用語「モールド」は、モールドシート又はモールド、あるいは、モールド体の別個のモールドシート、あるいは、モールド体の外周部であり、形成ウエハ上に成形される形状及び/又は表面テクスチャを具現化する。
【0070】
図24に示す別の実施形態では、冷却モールドシート2405が、モールドシート2405の上に存するシリコンメルト2413に曝された状態で、矢印M方向に沿って水平に牽引される。溶融物質2413は、液体シリコンの高い表面張力によって、シリコンメルト2413が漏れることを防止する、壁2429a、2429bの底部に沿った小さい間隙に亘って非濡れ性材料を使用する、るつぼ2411内に含有される。固体シート2419の抽出を可能にするように一方の壁2429aが持ち上げられる。固体シート2419は、モールドシート2405内の付着及び熱伝達を促進するようにバキュームキャビティ2403を通して、バキュームプレナム2401によって反対側から吸引するバキュームでモールドシート2405に対して形成される。
【0071】
上述した他の場合と同様に、図24は、モールドシートが(重力場とは垂直な)水平方向に牽引されているが、これは必須ではない。溶融物質が重力的にその上に位置する状態で、水平要素を有するラインに沿ってモールドシートを牽引することも可能である。
【0072】
全ての場合では、バキュームの使用は、バキュームを使用しない場合と比較して、モールドシート温度及び物質のためのより広いプロセスウィンドウを可能にする。特には、バキュームは、別では非濡れ性である材料の必要な付着を促進することができる。非濡れ性材料は典型的には低い核生成を示すと共により大きい過冷却を支援するので、これは、凝固したシリコンシートの結果物である粒サイズを制御することに非常に有利である。
【0073】
図25に示すとおり、モールドシート2502から形成ウエハ2519を解放することを、1以上の小さいピン2593によって補助可能であり、これはモールドシート内の窮屈な孔を通して強行される。これらピンは、バキュームプレナム空(孔)隙領域2503又はその外に存在しうる。これらは、好ましくは、新しく形成されたウエハ2519に接触し、ウエハが形成された後に形成面2506の表面からそれを押して取り外すことを助ける。
【0074】
このような解放を達成する別の装置を図26に示す。フレーム2693は、形成面2606の外周の周りにアニュラス(環帯)を形成する。ウエハ2619が形成された後に、形成面2606の面を通って突出するようにフレーム2693が押され、形成面2606からウエハ2619を押して取り外す。フレームは、形成面の全外周、又は、その所定部分だけの周りに延在しうる。
【0075】
別の発明は、モールドシート5の表面4の内部の削減した領域のみにバキュームを適用することである。ウエハはバキュームが適用される場所に形成される傾向があるので、より小さい内部領域にバキュームを適用することにより、結果として、ウエハ19による形成面6の非完全な被覆が生じる。図27に示すとおり、削減したバキューム領域は、より小さいバキュームプレナム2701aによって、又は、バキュームが不要な領域のモールドシート2705の背面上の非透過性のコーティング2712によって、達成可能である。このようなコーティングの例には、CVD SiN(窒化ケイ素)又は熱分解性グラファイトがある。そして、形成ウエハ2719は、形成面2706の鋭いエッジまで延びることはなく、純粋な平面から取り外し可能である。これは、ウエハの解放特性、及び、形成処理の間にウエハが経る塑性変形量に影響する。鋭いエッジは、形成ウエハ2719の強化された付着の場とみなされ、ウエハ2719と形成面2706との間に強力な機械的結合を提供する。ウエハがエッジからエッジへと機械的に連続することを防止することは、ウエハと形成面との間の相対的な滑性を助長し、塑性変形量、ならびに、これに関連した転移及び他の結晶欠陥の形成及び増殖を軽減させる。このような転移及び欠陥は、形成面及び凝固ウエハの熱膨張率の不一致から生じる。
【0076】
あるいは、図28に示す同様のより簡易な実施形態では、形成面2806がバキュームプレナムの領域2803を越えた拡張部2893を有してもよい。溶融物質がそのエッジ近傍でモールドシートに吸引されず、こうして、エッジ付近で発生する強力な付着効果を最小限にし、形成ウエハ2819をより簡単に解放することができる。
【0077】
図29に示すとおり、形成面2906は、エッジ2993領域で非平面であってもよく、形成面の表面2906へのメルトの緩やかな導入を助け、さらに、形成面2906に形成ウエハ2919が機械的に付着する機会を減少させる。
【0078】
削減した領域のバキュームプレナム、ガス不浸透層、排出ピン、抜き取り板、非平面エッジ領域などのような、形成面への形成ウエハの付着度を軽減するための、任意の1又は複数のこれら技術を、同様の目的で開発した前述又は後述の任意の別構造に組み合わせることができる。
【0079】
モールドシート5をプレナムアセンブリ8に固定することが必要である。これは、従来のピン又は他の機械的な付着機構を使用することで可能である。あるいは、図27に示すとおり、モールドシート2705を、バキュームによってプレナムアセンブリ2708に固定可能である。この場合、ガス非透過コーティング2712がモールドシート2705のエッジの周りに提供される。第1プレナム2701aが、凝固した半導体ウエハ2719の解放のために加圧されるので、第2バキュームプレナム2701bが、プレナムアセンブリ2708へのモールドシートの機械的付着の手段として、モールドシート2705の非浸透領域に適用される。より薄いクロスハッチ(斜交平行)領域2712は、熱分解性グラファイトのようなガス非透過コーティングであり、ガスが流れることを許容せず、2つの目的を果たす。第1に、エッジ近傍のモールドシート2705の外側部にバキュームが適用させることを防止し、そして、凝固したウエハ2719がキャビティ2703aに隣接する、バキュームが適用される非コーティング領域が画定される。これは、ウエハ2719のエッジをモールドシート2705のエッジから遠ざけると共に、ウエハ2719の解放を補助する。ウエハ2719を解放する間、内側プレナム2701aがバキュームを適用しないとき、バキュームアセンブリ2708にモールドシートを機械的に付着させるように、このコーティング領域2712に、外側バキュームプレナム2701bを適用することもまた可能である。機械的な付着の手段としてバキュームを使用することの1つの利点は、ウエハ厚に影響を与えうる、モールドシート2705の熱質量に影響しないことである。もう1つの利点は、1分につき1度から2、3時間ごとに1度までの範囲の速度で、製造日に亘って何回も付着及び離脱を通して繰り返される、モールドシート2705の自動化されたロード(搭載)及びアンロード(除荷)のより簡易な手段を提供可能なことであって、適度な各ウエハの形成時間、及び、モールドシートの耐久性を提供する。
【0080】
形成シリコンシートのターゲット厚の制御及び厚み均一性の制御は、ソーラーセルの製造におけるシリコンシートの使用に重要である。なぜなら、これらが成型シリコンシートウエハから形成されたウエハの強度及び熱質量に影響しうるからである。この方法は、別個の半導体ウエハを製造することに、あるいは、例えば、ソーラーセルの使用のための(複数の)ウエハが得られるより長いシートに使用可能である。本説明は、より一般的であるが、用語「シート」を使用する。しかし、この厚さの説明はウエハとして形成される立体にも関連することが理解されよう。ウエハがメタライゼーション焼結(metallization firing)のような迅速な熱サイクルを経るときに、厚さ及び続く熱質量は重要である。シリコンシートの薄い領域は、結果として、局所的な脆弱性、ハンドリング時のウエハ破損、及び、セル処理のける歩留まりの減少を引き起こす。
【0081】
ここに開示した発明により形成したシリコンシート厚は、上述したとおり、成形処理の間にメルト13からの熱拡散を制御することによって主に決定される。メルトからの面積当たりの熱流束は、適用されたバキューム圧と、メルト13及びモールドシート5の両方の温度と同様に、モールドシート5の材料、厚み及び表面テクスチャに影響される。
【0082】
接触時、メルト13及びモールドシート5との間の密接な熱接触が結果として固体シリコンシート19を生成する。固体シリコンシート19の厚さは、融解熱及び熱流束に基づいて成長する

V=h×(Tmelt−Tmold)/H

ここで、Vは、凝固前線(solidification front)速度、hは熱伝達率、Tは温度、及び、Hは容積融解熱(シリコンでは4.2×10J/m)である。このシンプルな式はメルト過熱の比熱を無視し、これは上述したHの5%よりも小さい。モールドシートの形成面6に平行な凝固前線を有する平面の事例は、モールドシートがメルト表面15に沿って移動し、凝固前線が略平行であるが、モールドシートから浅い角度である連続的なプロセスに一般的に利用可能である。文献及び実験値から、hの実例値は〜5000W/mKであり、結果として、ΔTが100℃及び800℃でそれぞれ凝固前線速度は0.1mm/s及び1.0mm/sとなる。接触後の初期の間、モールドシートがメルトに接触する時間でシリコンシート厚を制御可能である。
【0083】
メルトから熱が除去されると、モールドシート5は、それ自体の熱質量及び熱伝達に基づいて過熱される。ΔT=100℃の場合には、伝達率k=50W/mKを有するモールドシートを通る熱流束=5×10W/mは、モールドシートにおける温度勾配10℃/mmの結果をもたらす。薄いモールドシートが、絶縁(断熱)された背部で使用される場合、モールドシートのバルク温度は、Tmold≒Tmeltとなるときにそれが飽和するまで、上昇する。比熱C=3.5×10J/mK及び当初ΔT=100℃を有する2mm厚のモールドシートでは、それは、シリコンシート厚167μmに対応する、最大熱容量7×10J/mを有する。これは、滞留時間に依存しない厚さ制御の安定化機構を提供する。
【0084】
同様に、所望のシリコンシート厚及び滞留時間における変化に対してロバスト(堅牢)である改善した均一性を達成するように、積層した断熱層を含む、様々な材料の厚さを変えてモールドシートを構成することができる。図30に示すモールドシートの一例のように、シリコンシートの所望の厚さが形成されると層3008が熱的に飽和するように選択された厚み及び初期温度で、高い熱伝達性を有するモールドシート3005の層3008を使用可能である。熱飽和によって、追加の半導体材料が凝固されず、メルトと層3008との間の熱勾配が与えられることを意味する。この初期飽和点の後に凝固速度が実質的にさらに遅くなるように、より一層断熱する内部層3007が、続く熱流束を妨げる。層3008がほぼ飽和して、凝固速度が元の凝固速度の10%よりも小さくなるまで遅くなる。これは、厚さを制御するさらにロバストな手段を提供する。なぜなら、これは滞留時間への感度を減少するからである。
【0085】
モールドシートを通して熱を除去し、代わりに表面温度を上昇させるのに拡散性が十分でない場合、モールドシート材料の熱拡散性は、熱除去にさらなる制限を与える。モールドシート表面温度の増加が凝固前線速度を減少させると共に、滞留時間への厚みの感度を減少させるので、より低い熱拡散はシート厚均一性の改善に有利に機能する。
【0086】
モールドシートとメルトとの間の初期接触時に、メルト表面は、部分的にモールドシートに適合するように形成されうる。これは、前述した光トラッピングテクスチャを押し付け、さらに熱伝達に影響を与えうる。モールドシート5の後背面4(図1)に適用されるバキューム圧は、溶融シリコンの表面張力を平衡化させると共に、モールドシートの接触表面積及び続く熱伝達率を決定するように使用可能である。図31Aは、断面視において、形成面3106にテクスチャした表面を有するモールドシート3105の一部の例を示す。溝3110の深さは、研磨面にとって1ミクロン未満とすることができる。あるいは、意図的に設計されたテクスチャ上に20〜50ミクロンとすることもできる。図31Aに示した弱いバキューム圧の下では、メルト表面3115を変形させる駆動力が小さく、テクスチャの頂点だけが、熱除去のために、メルトに密着する。メルトとモールド表面との間の空隙の残存ポケットはあ、相対的に断熱すると共に、熱伝達率全体を減少させる効果を有する。固体の連続層が形成されると、さらなる変形は起こらない。より強力なバキューム圧(与圧メルトチャンバ内で1atm以上)の下では、メルトは、固体形成する前に、溝内により深く引っ張られ、図31cに示すように、接触面積を効果的に増加させることができる。
【0087】
モールドシートがメルト表面に接触すると、初期に環境圧力であるが、当該圧力は、モールドシートの背後に適用されたバキューム圧に適合するように、以下の等式の応答の時定数で変動する。

【0088】
ここで、M、μ、ρ、及びTは、分子量、動粘性、密度、ガスの温度であり、Rは、一般気体定数であり、ε、κ及びtは、ボイド率(空隙比)、透過率及びモールドシート厚である。例えば、1273°Kのアルゴンの特性、及び、1×10−15の透過率、5%のボイド率を有する1mm厚のモールドシートを使用すると、τ=15msである。モールドシート材料は、厚み選択と組み合わせて、3桁に及ぶ透過率値で利用可能であり、この時定数を数秒から約1ミリ秒未満の間に調整可能である。
【0089】
連続層を凝固する前に、液体が変形するための持ち時間は、メルト過熱、比熱、核生成前の過冷却及び熱流束によって決定される。凝固前の持ち時間が圧力減少及びメルト表面変形のための時定数よりも長くなるように、モールドシート及びメルト状態を選択可能である。凝固前のこのような時間は、液体をモールドシート表面により良好に適合させる(図31cと同様に)と共に、接触面積及び続く熱伝達率を増加させることを可能にする。
【0090】
粒サイズを増加させる1つの手段は、ウエハの形成中に、モールドシートとメルトとの間に機能層を使用することによる。種々の種類の機能層が存在し、これは、種々の技術によって提供可能であり、且つ、種々の形態で機能可能である。さらに、これら機能層は、多くの様々な材料から形成可能である。
【0091】
ある機能層は、メルトからの熱除去及び液体の副冷却(sub−cooling)を可能にする非核生成界面を提供し、新しい粒の核生成なしに固体結晶粒の沿面成長を導き、その結果、より大きい粒サイズを得る。別の機能層は、形成半導体ウエハ内へのモールドシートの物質から不純物の汚染拡散に対する化学バリアを提供する。さらに別の機能層は、所定の場所(シード)における粒の核生成を促進しうる。このような層が提供可能なさらに別の機能は、形成体のモールドシートへの付着を防止することにある。
【0092】
1つの効果的な非核生成機能層は、酸化ケイ素の薄フィルムであり、例えば、500nm厚の二酸化ケイ素のフィルムである。示差走査熱量計(DSC)の実験が示すには、150℃を超えた副冷却を液体シリコンと二酸化ケイ素層との間で維持可能である。
【0093】
機能性物質は、モールドシート形成面又はメルトあるいはその両方に提供可能である。機能性物質をメルト上に提供することは、最初に説明した。これに続いて、モールドシート上に機能性物質を提供することに関して説明する。
【0094】
図32A〜32Eに示されるとおり、酸化ケイ素機能層を生成する1つのアプローチは、シリコンメルト13の自由表面15上に機能層を形成することである。メルト表面に浮かぶ酸化ケイ素の薄層を形成するように、メルト表面15上に存在するシリコンに反応する酸化ガス種を導入することによって、酸化ケイ素の薄層3216を直接的にメルト上に成長させることにより、これは達成される(図32B)。そして、モールドシート5は、メルト内に浸漬され(図32C)、モールドシート5の形成面6上にウエハ3219を形成する。モールドアセンブリ3208は、バキュームが適用された状態でメルト表面15から後退し、メルトから形成ウエハ3219を引き上げる。除去されたウエハ3219は、機能性物質の被覆(コーティング)層3216を含む(図32E)。このアプローチでは、機能層は、各ウエハ成形処理の間に再成長する。
【0095】
非核生成機能層を形成する別のアプローチが図33A〜33Hに示される。このアプローチは、このような機能層を固体シリコン表面上に成長させることであり、続いて、酸化ケイ素だけを残して溶けて戻る。酸化成長及び酸化物特性の反応速度論(kinetics)が液体及び固体シリコン間で異なるため、シリコンメルトの自由表面よりもむしろ固体シリコン表面上に機能層を成長させられることが有益であることが分かっている。このアプローチでは、モールドシート5の形成面6は、第1に、メルト表面15に接触させられ、上述したとおり、小さい粒であるが、犠牲ウエハ3318を形成する。犠牲ウエハ3318は、モールドシート5から解放され、メルト13の表面15上に浮かぶ。そして、酸化環境3317が犠牲ウエハの表面に導入されて、酸化物層3316を成長させる。酸化物層の成長と同時に又はこれに続いて、犠牲シリコンウエハ3318が、メルト13の高温によって下方から溶かされる。しかし、しばらくの間、酸化物は残る。最終的に、モールドシート5は、浮かぶ酸化物機能層3316に接触させられ、製品ウエハ3319が形成される。
【0096】
機能層が発揮可能な別の機能は、例えば、形成半導体ウエハにモールドシートから不純物が拡散することを防ぐための化学バリアに関する。機能層が発揮可能な別の機能は、モールドシートと固体シリコンシートとの間の付着を防止することであり、これにより離脱を容易にする。機能層は、形成体において制御されない粒の核生成をも抑えることができる。シリカがこれらの目的の各々に役立つ。異なる機能性物質は、もしそれが空間的に適合された場合に、所望の位置で粒の核生成を促進させることもできる。
【0097】
メルト表面とモールドシートとの間の機能層を形成する別のアプローチは、モールドシート自体の表面上にこのような機能層を形成することにより、例えば、二酸化ケイ素又は窒化ケイ素の機能層をグラファイトのモールドシート上に堆積させることによる。図30は、このようなモールドシート3005上の機能層30014を示す。このような機能層を形成する一アプローチは、例えば、化学気相堆積法(CVD)又は物理気相堆積法(PVD)によって、最終形態において機能層を直接的に堆積することである。水素リッチ窒化ケイ素の層が、プラズマ化学気相堆積法(PECVD)によって非反射コーティングとして使用するために、シリコンソーラーセル上に規則的に堆積される。これら窒化ケイ素層及びSiO2の堆積電子ビームの両方が、核生成を抑制するバッファ(緩衝)層をモールドシート上に形成することに効果的であることが分かっている。
【0098】
別のアプローチは、前駆体(precursor)物質層を堆積することであり、これは続いて最終機能層3014に変わる。例えば、シリコン薄層を電子ビーム蒸着でモールドシート上に堆積可能であり、続いて、酸化ガス存在下の熱アニールによって二酸化ケイ素に変えることができる。
【0099】
形成面上の機能層の別の実施は、粉体(パウダー)層の使用である。この粉体層は、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素又は二酸化ケイ素のセラミック粉体からなる。粉体層は、異なる構成要素及び/又は粒径分布の粉体で、単一又は複数の要素である。この粉体層をスプレーで適用すること可能であり、それに続いてスラリーを乾燥させる。
【0100】
上で説明した実施例の各々では、形成された機能層は、機能層を更新又は再堆積することなく、複数のウエハの成形中、持続可能である。しかしながら、最適な機能性を得るように、各成形処理の間で機能層を更新又は再堆積することが必要であってもよい。堆積、変換、又は更新された機能層の多孔性は、バキューム又は差圧付加機構が動作可能であるように、機能層平面を通るガス流路を許容するのに十分である必要がある。
【0101】
すなわち、酸化ケイ素、二酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化物ケイ素、オキシ炭化物ケイ素、窒化ボロン及び(シードとして)シリコン単体を含む群から機能性物質を選択可能であるが、これに限定されるものではない。
【0102】
グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、オキシ窒化物ケイ素、オキシ炭化物ケイ素、炭化ボロン、窒化ボロン及びこれらオキシ窒化物ケイ素及びある状況下では、酸化アルミニウムをも含むものの合金のような、様々な材料から構成されたモールドシートを使用することを、上で説明した。
【0103】
シリコン自体は、その非常に高い純度の可用性、よく理解されている熱特性、及び、上述した機能層として使用するための二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素のような化合物に基づいてシリコンを成長又は堆積させることの容易さによって、シリコンウエハをその上に成長させるのに優れた物質である。さらに特には、二酸化ケイ素は、優れた非核生成及び化学バリア特性を有していると共に、シリコン上に成長可能であることが分かっている。したがって、所定の理由より、シリコンから製造されたモールドシート5を使用することが望ましい。重要な問題は、シリコンが透過性を有していないため、バキューム又は差圧をメルトに伝達することができないことである。しかしながら、シリコンを透過性にするいくつかの方法が開発されており、以下に説明する。
【0104】
図34に断面図を示すとおり、レーザー通孔3432は、薄いバルクシリコン3434(100〜300μm厚)の基板3405内に、3μm未満の通孔径で、少なくともシリコン基板の一面上に切り込み(穿設)可能である。(ここに使用されるように、用語「モールドシート」は、仕上げのモールド要素を指し、成形面及び表面を有する。溶融物質は、モールドシートの形成面に対して存在する。同様に、モールド体が使用され、これは互いに対して配置された複数のモールドシートを有する。用語「基板」は、モールドシートになるために処理される材料を指すようにここに使用される。)通孔3432の径及び間隔は、厚さ及び微細構造のようなウエハ特性を制御するように変更可能である。穿孔によって多孔性を形成した後に、酸化、又は、シリコンの酸化物、窒化物及び炭化物でのコーティングによって、基板3405をさらに処理することが可能であり、所望の外部機能層3431を形成する。他の反応性イオンエッチングのような処理方法をも、通孔を形成することに使用可能である。
【0105】
図35に示すとおり、より厚い基板3505が必要である場合、3μm未満の径を有する通孔をレーザー穿設することは実行不可能である。代替的なアプローチは、基板3505の一方面3531に100から1000μmの径を有すると共に、基板3505の反対面3533で10から100μmの径を有する、大きい円錐状の通孔を穿設することである。基板3505の本体3534はバルクシリコンである。そして、これら通孔を、シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、あるいは、これらシリコンベースの化合物の全て又は一部の粉体で埋める(満たす)ことが可能である。例えば、通孔の寸法及び基板の所望の透過性に適合する複数の粒径を有する所望の粉体スラリーを大きい径の孔を有する基板面に適用することにより、通孔を埋めることが可能である。より具体的には、混合粉体が孔にしっかりと押し込められることを許容するように、小さい孔の径に近い粒子が含有されるべきであり、且つ、非常に小さい径を有する粒子が、透過性を形成するように使用されるべきである。そして、粉体粒子を通孔内に充填するように、バキュームを小さい孔を有する基板の面3533から適用することが可能である。基板は、不活性又は反応性雰囲気中で熱処理可能であり、混合粉体を酸化、窒化、炭化、反応性結合又は焼結させて、通孔内の粉体を結合させると共に高密度化させる。
【0106】
これまで説明したレーザー穿設通孔を使用する両方法によって、巨視的に非均一な透過性を有する透過シリコンを生成する。これは、核生成制御に望ましい。均一な透過性が必要な場合、バルクシリコンが、ナノスケールの細孔で透過可能に形成されることが必要である。銀、金、銅のような金属触媒層でHF:Hにエッチングすることによる、多孔性シリコン薄層を形成するためのプロセスが文献(例えば、C.Chartier等著の“Electrochimica Acta 53”(2008年)5509〜5516頁)に説明されている。
【0107】
銀(Ag)触媒HF:Hエッチングを使用して、シリコンメルトからシリコンウエハの成長のための、いくつかの新規な種類の基板を製造可能である。図36は、酸化多孔性シリコン3631を表面上に有する厚い多孔性シリコン基板3605(100〜1000μm厚)を示す。エッチングプロセスの間、2種類の多孔性シリコンが生成される。シリコン内に投入された銀粒子が、数百のナノメートル(nm)径を有する非常に巨視的な細孔を残す。ナノ多孔性シリコンが、サンプル表面で孔壁上に生成される。このナノ多孔性シリコンは、NaOH又はKOHのようなアルカリエッチングで除去可能である。ナノ多孔性シリコンは、巨視的な多孔性シリコンよりも非常に反応的であり、例えば、厚いSiO層が必要な場合でも、所定位置に残されうる。シリコンエッチングの後に、サンプルから全ての銀残渣物を除去するようにHNOにおけるクリーニングステップが推奨される。SiO層を形成するように、900℃から1300℃までの間の熱酸化を酸素含有環境中で実行可能である。透過度は、堆積したAg量、エッチング時間、HF:H比率及び槽温度によって調整可能である。図36は、中心3634における部分的な酸化多孔性シリコン及び表面3631上の多孔性SiO層を有する、この方法で形成された基板3605の例を示す。
【0108】
この文献で説明した方法の1つの欠点は、隣接領域に滑らかな仕上げを維持する一方で、多孔性シリコンの局所的領域を形成するのが簡単でないということである。銀層がHF:Hにおけるエッチングの前にマスキングされたとしても、厚い基板を通して完全にエッチングすることに必要な時間に亘って、銀の一部がエッチング液に溶解すると共にエッチングが基板表面全体に亘って触媒作用を及ぼす。この問題は、当該発明者によって開発された技術によって解決可能である。図37は、多孔シリコン領域を有する基板を作成するための好ましいプロセスフローを示す。
【0109】
シリコン基板は清浄化されて(3761)、そして、硝酸銀溶液からメッキされる(3762)。銀シート層の堆積(3762)の後に、例えば、低パワー設定のレーザーを使用して下層のシリコンと銀を合金化すること(3765)によって、銀シリコン合金の領域をサンプル表面に形成することができる。それから、銀シリコン合金の領域に隣接するシリコンを清浄化する濃縮硝酸内で、全ての合金化されていない銀が除去可能である(3772)。なぜなら、Ag−Si合金は硝酸によってエッチングされないからである。Ag−Si合金は、触媒として働くが、エッチング槽を汚染することない。こうして、HF:H溶液内で準備した基板をエッチングすること(3766)によって、多孔性シリコンプラグ(栓)を有するバルクシリコン基板を製造可能である。図38は、このような酸化(3774)後の基板を示す。酸化多孔性シリコンプラグ3832は、バルクシリコン3834を貫通する。バルクシリコン領域は、完全な高密度のSiO3831でコーティングされている。多孔性SiOの厚い層がバルクシリコン上に必要である場合、合金化領域が完全に3766を通してエッチングされる前又はエッチングされた後に、基板は、Agドープエッチング液(約100ppmwのAgで十分である)内に浸漬されうる(3767)。この結果、サンプル表面でナノ多孔性シリコンの厚い層が生成され、そして、酸化後に厚い多孔性SiO層が生成される(このケースでは、3834はバルクSiOの代わりに多孔性SiOである)。最終的なシリコンエッチング3766、3767の後、サンプルは、DIウォーター内でリンス(洗浄)される(3768)ことにより、清浄化されるべきである。多孔性シリコンが必要でない場合、サンプルを、例えば、1%のNaOHのような弱苛性溶液内でエッチング可能である。全ての場合では、基板は、Agメタル残渣を除去するように、硝酸内で清浄化されるべきである。この方法で、バルクシリコン及び多孔性シリコンの3次元構造を形成可能である。なぜなら、多孔性シリコンはバルクシリコンよりも反応性が高いので、バルクシリコン、及び、例えばSiO又は窒化ケイ素のようなシリコンの反応生成物の3次元構造を作成可能である。SiO層で核生成を抑制することに加えて、バキュームの制御及び熱伝達の制御の両方が、これら基板上に成長したウエハの微細構造のさらなる制御を可能にする。
【0110】
上記のように、熱成長した二酸化ケイ素は、シリコンを成長したときに核生成抑制層としてよく機能する。比較的大きい粒(ウエハ厚の3から5倍の粒径)を有するシリコンウエハは、レーザー通孔又は金属補助エッチングにより生成された多孔性を有するシリコン基板上で成長される。微細構造は、レーザー通孔の密度及び大きさにより制御される。粒の核生成は、通孔のサイトで強化されると共に他の場所では抑制されて、高度な核生成制御を示す。ほぼ単結晶のシリコンが、成長ウエハのためのシードとして機能する基板で、酸化した(複数の)多孔性シリコン基板上に成長する。
【0111】
すなわち、説明したとおり、モールドシートは、多孔性シリコンから形成可能であり、且つ、モールドシートは、上で説明したような多孔性シリコンの組み合わせに加えて、上記のように、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、オキシ窒化物ケイ素、オキシ炭化物ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせ、から構成可能である。
【0112】
前述の説明の多くは、テクスチャ形成表面を有するモールドシートに関係する。しかしながら、ここに開示された発明は、また、非テクスチャのほぼ平滑な実質的に研磨されたモールド面を有するモールドシートにも有用である。
【0113】
ここに開示された発明のいくつかの主要な実施例は、モールドシートに亘る圧力差を利用して、凝固及び典型的にはシリコンである半導体の付着を制御するように、その上(表面)にウエハを形成する。そして、後の圧力差緩和によって、形成ウエハの解放を可能にする。この実施例は、基板上のシートを凝固させるのに利用可能なパラメータ及び材料の範囲を著しく増やし、尚且つ、コストをも削減する。モールドシートは、(その必要はないが)より冷やされて、すなわち、メルトよりも実質的に冷やされる。なぜなら、付着が圧力差によって生成され、湿潤に依存しないからである。また、より低いモールドシート温度の使用は、利用可能なシート材料の性質を広げる。圧力差の減少又は反転による解放は、コーティング及びそれらの最適用の機能に依存することのない、迅速、経済的、且つ、製造性のある解放の方法を提供する。
【0114】
熱は(その長さ方向に沿わないで)ほとんど形成ウエハの厚み方向にのみ拡散される。したがって、液体及び固体間の界面は、実質的に、モールドシート形成面に平行であるか、あるいは、それに対して比較的小さい鋭角で傾斜する。すなわち、凝固半導体本体の温度は実質的にその幅に亘って均一であり、その結果、低ストレス及び低転位となり、これにより、より良好な結晶学的性質を得られる。界面からメルトのバルクへの不純物の偏析(分離)が起こり、その結果、成長の間、材料の浄化が行われる。(シリコン中のガリウムのような)低偏析係数を有するドーパントを使用可能であって、各ウエハは同じドーパント濃度でメルトから成長可能であり、これにより、同じドーパント濃度を有する。
【0115】
モールドシートは、それを通るガス流が圧力差を形成し且つ維持することを可能にする必要がある。そして、シート全領域に亘る多孔性によって、あるいは、シートに亘って分配された集中した多孔性によって、これを達成可能である。モールドシートは、実質的に、1つのウエハの大きさ又は複数のウエハの大きさを有し、例えば、ストリップ(薄片)形状からなる。メルトのモールドシートへの導入は、広く様々な形態において実施可能である。そして、この形態は、メルト物質の頂部への全領域接触、水平、垂直又はその中間に拘わらずモールドシートへメルトが接触する部分領域を横切ること、メルト内へのモールドシートのディッピングによること、を含む。凝固層の厚みは、モールドシート温度、モールドシート厚、メルト温度、及び、モールドシートとメルトと間の接触時間を変化させることにより制御可能である。粒サイズは、モールドシートの初期温度により、方向付け(指向)手段においてモールドシートをメルトに導入することで制御可能である。この方向付け手段により、モールドシート全体を一度に全て溶融物質に接触させるというよりむしろ、進行的に、最初にモールドシートの一部を溶融物質に接触させ、それから、さらなる部分を溶融物質に接触させる。粒サイズは、モールドシートとメルト表面との間の界面での物質の特性によって制御可能であり、特には、核生成の傾向を減少させる機能性材料の使用によって制御可能である。形成ウエハのメルトからの除去は、その他の点ではキャピラリ作用で維持されることによる余分な非凝固メルトを取り除くような機構を提供することで補助される。モールドシートからのウエハの取り外しは、圧力差の解除もしくは反転又は補助機構によって可能である。メルトの導入、凝固の制御、余分なメルトの除去、及び、ウエハの取り外しの種々の方法を、任意の適切な手段で組み合わせることが可能である。凝固シートの除去による物質の損失を埋め合わせるために、物質をメルトに追加する必要がある。固体片を加えるか、あるいは、物質が別の容器内で溶解した溶融物質を加えることによって、これを実行可能である。補充は、各ウエハの形成の間、ウエハ群の形成の間、又は、継続的に行われうる。また、加えられる物質は典型的には凝固ウエハ内の所望の濃度とほぼ同じ濃度のドーパントをも含む必要がある。しかしながら、凝固ウエハのドーピングに亘ってより綿密な制御を維持するように、意図的なドーピングのレベルは変更されうる。
【0116】
本発明の方法の有用な実施形態は、以下の特徴を有する。大きい粒を促進するように、例えば、図9a及び図9Bで説明したように、傾斜形態の方法を使用することにより、メルトがモールドシートに漸次的に導入される。粒の核生成を軽減する機能材料もまた、モールドシート上又はメルト表面上のいずれかに使用される。メニスカスがメニスカス制御要素の補助で分離される。モールドシートが形成されるウエハよりも大きく、且つ、バキュームが離脱を助けるようにモールドシートの一部だけを限定する。
【0117】
この明細書の一部は、続いてソーラーセルに処理されるシリコンシートの製造に焦点を当てているが、ここに開示された方法はこの応用に限定されるものではない。形成シリコンの粒サイズ及び構造が、これら方法で作成されたシリコンシート上に直接的にソーラーセルを製造することを可能にするのに十分でない可能性がある。なぜなら、凝固がウエハの厚みに亘って起こるので、メルトのバルク内に不純物を排斥し、上述したように、これによって、プロセス中にシリコンを化学的に純化する潜在力がある。すなわち、直接的に製造されたシートは、最高効率のソーラーセルを支持するには小さい粒を有するが、非常に低コストでリーズナブルな効率のセル(約15%)を得ることを可能にする。
【0118】
また、Siのシートは、本明細書の始めに記載したカプセル(RIC)技術における再結晶化のための原料として使用されうる。
【0119】
さらに、形成される材料はシリコンである必要はない。ゲルマニウムのような元素半導体、及び、ガリウムヒ素のような化合物半導体などの他の半導体材料を使用可能である。
【0120】
本発明の多くの技術及び機構の実施例をここに説明した。当該技術分野の当業者は、これら技術及び機構の実施例を、他の開示された技術で使用可能であることを理解しよう。たとえ、これらが一緒に使用されることを具体的に説明していないとしても。効果的に組み合わせ及び使用可能なここに開示した要素の任意のコンビネーション、サブコンビネーション、サブサブコンビネーションなどが、クレームされているか又はされていないに拘わらず、明白な発明として示されることを意図している。発明である多くの数百の様々なコンビネーションを具体的に説明することは不可能であるが、これらはここに開示した発明に基づいている。
【0121】
すなわち、ここに開示した発明は、方法、もの、及び製造装置を含む。
【0122】
ここに開示した方法の発明は、後の再結晶化のための半導体シートのプレフォーム(母材)を作成する方法を含む。これは、冷却多孔性モールドシートを半導体物質のメルトに接触させ、モールドシートの前面及び背面を通して圧力差を展開させ、これによって、メルトから薄い半導体シートを分離することにより、RICの応用で説明したとおり、形成プレフォームシートを再結晶化し、そして、ソーラーセル基板として半導体シートを使用する。別の方法の発明は、冷却モールドシート及び半導体メルトを使用してソーラーセル基板を作成する方法であって、再結晶化を必要とせず、テクスチャ表面を有していても、有していなくても良い。溶融物質及びモールドシートが接触する複数の手段(浸漬及び傾斜;モールドシート下の隆起メルト;垂直なモールドシートの側部へのメルト(の接触);モールド本体を垂直にメルト内に突入させる)を含む、これら方法の多くの変形例を説明した。別の変形例は、圧力差を適用する方法に関し、これは、全体又は部分的なバキュームを雰囲気圧でメルト表面に使用すること、圧力がかかったメルト炉を使用すること、モールドシート全体に亘って均一な圧力を適用すること、又は、モールドシートの種々の場所で種々の圧力状態を適用すること、を含む。モールドシートから凝固体を除去するための多くの様々な方法及び装置を説明したが、これは、モールドシートに亘る差圧の解除(緩和)、正圧の適用、機械的なピン、付着を防止するモールドシートの成形、モールド解放手段として機能する機能性材料の提供、及び、モールドシートの一部にガス不浸透性コーティングを伴うデュアル(2重)プレナムバキュームを含む。
【0123】
例えば、モールドシートを通してバキュームを引く任意な適切な方法を使用可能である。任意の半導体をシートプレフォームの材料として使用可能である。形成したシートプレフォームの底部に液体が付着することを防止することに様々な技術を使用可能である。種々の機能性材料を種々の目的のために使用可能である。メルトをモールドシートに導入する種々の方法を使用可能である。
【0124】
半導体シートプレフォームを含むここに開示された、ものの発明は、再結晶化で使用される、又は、再結晶化なしで使用されるか、あるいは、テクスチャ表面で使用される、又は、テクスチャ表面なしで使用されるかに拘わらず、上述の方法に従って作成される。さらなる製品の発明は、モールドシートの様々な形態を含み、この形態は、多孔性又は他の物質で埋められた若しくは埋められていない、そこを通る止まり孔(ブラインドホール)を有する形態;異なる厚み及び熱拡散の(複数の)層が重ねられた形態;凝固半導体よりも大きい、及び/又は、曲線状のエッジを有するモールドシート;形成面に機能性物質を有するモールドシート;平坦又はテクスチャ形成面を有するモールドシート;を含む。さらなるものの発明は、多孔性物質で満たされているか又は満たされていない巨視的なそこを通る開口を有する又は有しない多孔性シリコン;例えば、シリカ又は他の物質の外面を有する又は有しない多孔性シリコンから構成されたモールドシートである。
【0125】
製造装置の発明は、上述したとおり、製造の半連続モードのための、トラフ配列、並びに、プレナム及びモールドシートの支持構造を含む。そして、プレナム及びモールドシートアセンブリは、スイープ能力を有するデュアルプレナム;モールドシート及び形成ウエハの脱着のためのデュアルプレナムである。このさらなる装置の発明は、メルトの隆起部を形成する装置を含んでおり、当該装置は、移動堰、ポンプ、そこを通る溶融半導体を汲み上げるための隆起スロット、及び、磁気流体力学的設備を含む。さらなる装置の発明は、冷却モールドシートに溶融物質を供給するための種々の配置を含んでおり、当該配置は、溶融物質がモールドシートの下にある配置、溶融物質が上から(重力で)モールドシートに供給される配置、及び、溶融物質が側方からモールドシートに供給される配置を含む。
【0126】
特定の実施形態が示されて説明されたが、様々な変更及び改変がその広い実施例の開示から外れることなく実施可能であることは、当該技術分野の当業者により理解されうる。明細書及び図面内に包含される全ての事項は、本発明を限定するものではなく説明するものとして解釈されることを意図している。
【0127】
本開示は2つ以上の発明を説明し開示している。本発明は、本開示に基づくすべての特許出願の手続き中に提出および展開された、本明細書の請求項および関連文書に記載されている。発明者らは、後に判定されるように、先行技術によって許可された限定に対して、各種発明のすべてを請求することが意図する。本明細書に記載される特徴は、本明細書に開示される各発明にとって必須ではない。よって、発明者らは、本明細書に開示されているが、本開示に基づく特許の具体的な請求項では請求されていない特徴を、上記請求には組み込まないことを意図する。
【0128】
ハードウェアのアセンブリまたはステップ群は、本明細書では発明と称する。しかしながら、これは、上記アセンブリや群が必然的に、一件の特許出願で審査される発明の数、すなわち、発明の単一性に関する法律や規則により具体的に企図されるような、特許可能な個々の発明であることを認めるものではない。発明の実施形態の略称であると意図される。
【0129】
要約書を本明細書と共に提出する。本要約は、審査官やその他の調査を行う者が技術的開示の主題を急速に確認できるように要約を要求する規則に従い提出されていることを強調しておく。本要約は、特許庁規則で約束されるように、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという認識の下に提出されている。
【0130】
以上の説明は例示的なものと理解すべきであって、いかなる意味においても限定的であるとみなすべきではない。本発明は好適な実施形態を参照して具体的に図示および説明したが、当業者であれば、請求項によって定義される本発明の技術的範囲から逸脱せずに、形式および詳細に様々な変更を加えることができると了解するであろう。
【0131】
下記請求項内のすべての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、動作および等価物は、具体的に請求されるその他の請求項要素と組み合わせて機能を実行する構造、材料または動作を含む。
【0132】
(本発明の実施例)
本発明の以下の実施例がここに記述される。そして、このセクションは、これらが言及されることを確実にする。これらは、実施例として形作られ、請求項と同じように見えるが、請求項ではない。しかしながら、特徴のいくつかのポイントで、出願人は、当該出願及びいずれかの関連する出願の実施例の任意の及び全ての実施例を請求する権利を有する。
【0133】
A(実施例)1.半導体本体を製造する方法であって、
a.表面を有する、溶融半導体物質を提供するステップと、
b.形成面を備える多孔性モールドを提供するステップと、
c.少なくとも前記形成面の一部での圧力が前記溶融物質の表面での圧力よりも低いように、差圧状態を提供するステップと、
d.接触時間の間、前記溶融物質に前記形成面を接触させるステップであって、
少なくとも前記接触時間の一部の間、
i.前記差圧状態が提供され、
ii.前記形成面の少なくとも一部が前記半導体溶融物質の融点よりも低い温度であり、
半導体物質本体が前記形成面上で凝固する、ステップと、
e.前記形成面上の凝固体とともに、前記溶融半導体物質に対して前記形成面を相対運動させるステップと、
f.前記差圧状態の程度を軽減することによって、前記形成面から前記凝固体が外れることを助けるステップと、を含む方法。
【0134】
A2.前記差圧状態を提供するステップは、雰囲気圧を前記溶融物質表面で提供すること、及び、前記雰囲気圧よりも低い圧力を前記形成面で提供することを含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0135】
A3.前記雰囲気圧よりも低い圧力は、部分バキュームであることを特徴とする実施例2の方法。
【0136】
A4.前記差圧状態を提供するステップは、雰囲気圧を超える圧力を溶融物質表面で提供すること、及び、雰囲気圧を形成面で提供することを含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0137】
A5.前記モールドは、前記溶融半導体物質に接触する1つの形成面を備えることを特徴とする実施例1の方法。
【0138】
A6.前記モールドは、互いに対して傾斜した複数の表面を備え、且つ、前記接触させるステップは、前記溶融物質が前記複数の表面に接触するように、前記モールドを溶融物質内に浸漬させることを含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0139】
A7.前記モールドは直交する表面を備えることを特徴とする実施例6の方法。
【0140】
A8.前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの前に、前記形成面の一部だけが前記溶融物質表面に初期接触するように、前記溶融物質表面に対して前記形成面を傾斜させるステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0141】
A9.前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの後に、前記溶融物質が前記形成面から流れ落ちるように、重力場に対して前記形成面を傾斜させるステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0142】
A10.前記溶融半導体物質に対して前記形成面を相対運動させるステップの間又は後に、前記溶融物質が前記形成面から流れ落ちるように、前記形成面に垂直な要素を有する軸を中心として前記形成面を回転させるステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0143】
A11.前記溶融半導体物質に対して前記形成面を相対運動させるステップの後に、前記形成面と前記凝固半導体本体との間の圧力が前記凝固半導体本体の自由面での圧力よりも大きいように圧力状態を提供するステップをさらに含み、前記自由面は前記形成面に対して外方を向いていることを特徴とする実施例1の方法。
【0144】
A12.前記形成面と前記溶融物質との間に機能物質を提供するステップをさらに含み、
前記機能物質は、
a.粒成長の核生成を抑制すること
b.前記モールドから前記凝固半導体本体に不純物が通過することを防止すること、
c.前記形成面からの前記凝固半導体本体の解放を強化すること、
d.前記凝固半導体本体の特定の場所で粒成長の核生成を促進すること、
のグループから選択される機能に貢献するように選択されることを特徴とする実施例1の方法。
【0145】
A13.実施例1の方法であって、
a.前記相対運動させるステップの前に、犠牲凝固体として指定される前記凝固半導体物質上に酸化物を備える機能性物質を提供するステップと、
b.前記凝固した犠牲凝固半導体本体を溶融させることにより、前記溶融物質上に機能体を残す、ステップと、
c.第2の接触時間の間、前記形成面を前記溶融物質上の前記機能体に接触させるステップであって、
少なくとも第2接触時間の一部の間、
i.差圧状態が提供され、
ii.前記形成面の少なくとも一部が、前記半導体物質の融点よりも低い温度であり、
半導体物質の本体が、自由面を有し、前記形成面上に凝固する、ステップと、
をさらに含む方法。
【0146】
A14.前記形成面を前記機能体に接触させるステップの前に、一時的に互いに離隔するように前記機能体に対して前記形成面を相対運動させるステップをさらに含むことを特徴とする実施例13の方法。
【0147】
A15.前記形成面を前記機能体に接触させるステップは、前記犠牲体を溶融させるステップの間、前記形成面と前記機能体との接触状態を維持することを含むことを特徴とする実施例13の方法。
【0148】
A16.前記機能性物質を提供するステップは、前記機能性物質を前記形成面に提供することを含むことを特徴とする実施例12の方法。
【0149】
A17.前記機能性物質を提供するステップは、前記機能性物質を前記溶融物質の表面に提供することを含むこと特徴とする実施例12の方法。
【0150】
A18.前記溶融物質はシリコンを含み、
前記機能性物質を提供するステップは、凝固した機能性物質の本体を前記溶融シリコン表面に提供すること、及び、前記溶融シリコン表面の雰囲気に酸素を混入させることを含み、これによって、前記溶融シリコン表面上にSiO2体を生成させ、
さらに、SiO2体に前記形成面を接触させるステップを含むことを特徴とする実施例17の方法。
【0151】
A19.前記機能性物質は、酸化ケイ素、二酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、オキシ窒化物ケイ素、オキシ炭化物ケイ素及び窒化ホウ素からなる群から選択されることを特徴とする実施例12の方法。
【0152】
A20.前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの前に、前記形成面と前記溶融物質との間の界面に優先核生成エージェント(化学物質)を提供するステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0153】
A21.前記機能性物質は、シリコン及び二酸化ケイ素からなる群から選択されることを特徴とする実施例8の方法。
【0154】
A22.付着する前記溶融材料を前記凝固本体から除去するように、メニスカス制御要素を適用するステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0155】
A23.前記メニスカス制御要素は、前記溶融物質によって実質的に濡れない本体を備え、前記溶融物質及び環境雰囲気に関して約60度よりも大きい濡れ角を有することを特徴とする実施例22の方法。
【0156】
A24.前記メニスカス制御要素はロッドを備えることを特徴とする実施例23の方法。
【0157】
A25.前記形成面は実質的に非テクスチャ表面を備えることを特徴とする実施例1の方法。
【0158】
A26.前記形成面はテクスチャ表面を備えることを特徴とする実施例1の方法。
【0159】
A27.前記テクスチャ表面は、前記凝固半導体物質に形成される光トラッピングテクスチャに対応する形状を備えることを特徴とする実施例26の方法。
【0160】
A28.前記テクスチャ表面は、前記凝固半導体物質に形成される電極位置決めテクスチャに対応する形状を備えることを特徴とする実施例26の方法。
【0161】
A29.前記テクスチャ表面は特性スケールを有し、前記凝固半導体本体は前記特性スケールよりも小さい厚みを有することを特徴とする実施例26の方法。
【0162】
A30.前記多孔性形成体は、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、オキシ窒化物ケイ素、オキシ炭化物ケイ素及び窒化ホウ素からなる群から選択される材料を含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0163】
A31.前記多孔性モールドは焼結パウダー体を含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0164】
A32.前記多孔性モールドはグラファイト体を含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0165】
A33.前記多孔性モールドは、多孔性になるように処理された原初的に固体シリコン体であることを特徴とする実施例1の方法。
【0166】
A34.前記多孔性は、それを通って形成された孔を有する原初的に固体シリコン体であることを特徴とする実施例1の方法。
【0167】
A35.前記孔は円錐孔を含むことを特徴とする実施例34の方法。
【0168】
A36.前記固体を通る前記孔内に多孔性物質をさらに備えることを特徴とする実施例34の方法。
【0169】
A37.前記多孔性モールドは、多孔性シリコン体を含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0170】
A38.シリコン体の表面上に金属シード層を堆積し、そして、前記シードされたシリコン体をエッチングすることによって、前記多孔性シリコンが形成されることを特徴とする実施例37の方法。
【0171】
A39.前記多孔性モールドは、少なくとも1つの酸化ケイ素の外面層をさらに備えることを特徴とする実施例33の方法。
【0172】
A40.前記形成面の選択した場所で粒成長の核生成を制御するステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0173】
A41.前記核生成を制御するステップは、
a.空間的に変動した厚みを有するモールドを提供すること、
b.前記形成面に対して空間的に変動する圧力差を提供すること、
c.空間的に変動した断熱性を有するモールドを提供すること、
d.空間的に変動したテクスチャを有する形成面を提供すること、
e.空間的に変動した熱拡散性を有するモールドを提供すること、
f.前記形成面で場所別の温度プロファイルを提供すること、及び、
g.前記溶融物質に初期接触する前記形成面上のある場所に結晶シードを提供すること、からなる群から選択されることを特徴とする実施例1の方法。
【0174】
A42.前記形成面の選択した場所で粒成長の指向性を制御するステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0175】
A43.前記粒成長の指向性を制御するステップは、
a.空間的に変動した厚みを有するモールドを提供すること、
b.前記形成面に対して空間的に変動する圧力差を提供すること、
c.空間的に変動した断熱性を有するモールドを提供すること、
d.空間的に変動したテクスチャを有する形成面を提供すること、
e.空間的に変動した熱拡散性を有するモールドを提供すること、
f.前記形成面で場所別の温度プロファイルを提供すること、及び、
g.前記溶融物質に初期接触する前記形成面上のある場所に結晶シードを提供すること、からなる群から選択されることを特徴とする実施例42の方法。
【0176】
A44.前記モールドはプレナムを備えることを特徴とする実施例1の方法。
【0177】
A45.前記モールドはモールドシートを備え、前記プレナムは任意の超過圧力に対して前記モールドシートを強化するように構成された構造を備えることを特徴とする実施例44の方法。
【0178】
A46.前記プレナムは、複合プレナムを備え、少なくとも2つのチャンバを有しており、
前記差圧状態を提供するステップが、前記形成面の少なくとも2つの部位での圧力が、前記溶融物質表面における雰囲気の圧力よりも小さいように、2つの異なる差圧状態を提供することを含み、
前記接触させるステップの間、前記2つの異なる圧力状態の相対位置を変化させるように、他方に対して一方のチャンバを移動させるステップをさらに含むことを特徴とする実施例44の方法。
【0179】
A47.さらに、
a.前記溶融物質を提供するステップは、容器内に溶融物質を提供することを含み、前記容器は少なくとも1つの壁を有し、前記溶融物質のメニスカスが、前記壁上方の最上部を有する前記容器から外方を向く凸曲面で存在し、
b.前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップは、前記凸曲面に対して前記形成面を通過させることを含む、ことを特徴とする実施例1の方法。
【0180】
A48.前記相対運動させるステップは、前記形成面と前記溶融物質との間の略直線的な相対運動を含むことを特徴とする実施例47の方法。
【0181】
A49.前記相対運動させるステップは、局所重力場に対して略垂直である相対運動を含むことを特徴とする実施例48の方法。
【0182】
A50.前記相対運動をさせるステップは、局所重力場と(平行に)整列した要素を有する相対運動を含むことを特徴とする実施例48の方法。
【0183】
A51.前記差圧状態を提供するステップは、
a.前記モールド表面の第1領域に隣接する第1の差圧を提供すること、及び、
b.前記モールド表面の複数の独立した場所で異なる第2の差圧を提供すること、を含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0184】
A52.前記溶融物質表面の振動運動を抑制するステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0185】
A53.前記溶融物質を提供するステップは、前記溶融物質が約5mm(好ましくは約3mm)未満の深さを有するように、溶融物質をベッセル(導管)内に提供することを含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0186】
A54.前記差圧状態の程度を軽減するステップは、前記形成面から離れるよう方向付けられる前記凝固物質に力が適用されるように、前記差圧の方向を反転させることを含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0187】
A55.前記モールドの前記形成面及び前記溶融物質の表面をそれらの空間広がりに亘って均一な初期温度でそれぞれ提供するステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0188】
A56.前記接触させるステップは、前記形成面の各部位が前記溶融物質にほぼ同じ時間接触するように、前記形成面を前記溶融物質表面に接触させることを含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0189】
A57.前記接触させるステップは、前記溶融物質表面に対して前記形成面の前進相対スイープ(sweep)を提供することを特徴とする実施例1の方法。
【0190】
A58.前記形成面の温度が実質的に前記溶融物質の温度に等しくなるまで上昇して、その後に、追加の溶融物質が凝固しないように、前記モールドが限定された熱容量を有することを特徴とする実施例1の方法。
【0191】
A59.初期凝固層とモールドとの間の接触面積を減少させることにより、前記モールドと前記凝固対との間の熱伝達率を減少させるステップをさらに含むことを特徴とする実施例1の方法。
【0192】
A60.前記熱伝達率を制御するステップは、前記差圧状態の強度を調整することを含むことを特徴とする実施例59の方法。
【0193】
A61.前記モールドを提供するステップは、前記熱伝達率のための接触面積を定めるように前記溶融物質の比熱と併せて時間と共に前記差圧状態の強度の変化を制御するように選択されたガス透過性、ボイド(空隙)率、及び、厚みの特徴を有するモールドを提供することを含むことを特徴とする実施例59の方法。
【0194】
A62.前記形成ウエハは、前記溶融物質中の不純物レベルよりも低い不純物レベルを有することを特徴とする実施例1の方法。
【0195】
A63.前記一層低い不純物レベルは偏析作用を通じて達成され、凝固前線の前進が偏析を起こさせるのに十分遅く保たれていることを特徴とする実施例62の方法。
【0196】
A64.低い偏析係数を有するドーパントをさらに備えることを特徴とする実施例1の方法。
【0197】
A65.ガリウム、インジウム、リン、又はヒ素を加えるステップをさらに含み、前記溶融物質はシリコンであることを特徴とする実施例64の方法。
【0198】
A66.前記メルト(溶融物質)を補充するように物質を追加するステップをさらに備え、物質は、最終ウエハ内に所望されるドーパント濃度とほぼ等しいドーパント濃度を有することを特徴とする実施例64の方法。
【0199】
発明はここに開示されており、クレームは添付のとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体本体を製造する方法であって、
a.表面を有する、溶融半導体物質を提供するステップと、
b.形成面を備える多孔性モールドを提供するステップと、
c.少なくとも前記形成面の一部での圧力が前記溶融物質の表面での圧力よりも低いように、差圧状態を提供するステップと、
d.接触時間の間、前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップであって、
少なくとも前記接触時間の一部の間、
i.前記差圧状態が提供され、
ii.前記形成面の少なくとも一部が前記半導体溶融物質の融点よりも低い温度であり、
半導体物質本体が前記形成面上で凝固する、ステップと、
e.前記形成面上の凝固体とともに、前記溶融半導体物質に対して前記形成面を相対運動させるステップと、
f.前記差圧状態の程度を軽減することによって、前記形成面から前記凝固体が外れることを助けるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記差圧状態を提供するステップは、雰囲気圧を前記溶融物質表面で提供すること、及び、前記雰囲気圧よりも低い圧力を前記形成面で提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モールドは、前記溶融半導体物質に接触する1つの形成面を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの前に、前記形成面の一部だけが前記溶融物質表面に初期接触するように、前記溶融物質表面に対して前記形成面を傾斜させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの後に、前記溶融物質が前記形成面から流れ落ちるように、重力場に対して前記形成面を傾斜させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの前に、前記形成面の一部だけが前記溶融物質表面に初期接触するように、前記溶融物質表面に対して前記形成面の方向を変えるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融半導体物質に対して前記形成面を相対運動させるステップの間又は後に、前記溶融物質が前記形成面から流れ落ちるように、前記形成面に垂直な要素を有する軸を中心として前記形成面を回転させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記形成面と前記溶融物質との間に機能物質を提供するステップをさらに含み、
前記機能物質は、
a.粒成長の核生成を抑制すること
b.前記モールドから前記凝固半導体本体に不純物が通過することを防止すること、
c.前記形成面からの前記凝固半導体本体の解放を強化すること、
d.前記凝固半導体本体の特定の場所で粒成長の核生成を促進すること、
のグループから選択される機能に貢献するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
a.前記相対運動させるステップの前に、犠牲凝固体として指定される前記凝固半導体物質上に酸化物を備える機能性物質を提供するステップと、
b.前記凝固した犠牲凝固半導体本体を溶融させることにより、前記溶融物質上に機能体を残す、ステップと、
c.第2の接触時間の間、前記形成面を前記溶融物質上の前記機能体に接触させるステップであって、
少なくとも第2接触時間の一部の間、
i.差圧状態が提供され、
ii.前記形成面の少なくとも一部が、前記半導体物質の融点よりも低い温度であり、
半導体物質の本体が、自由面を有し、前記形成面上に凝固する、ステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記機能性物質を提供するステップは、前記機能性物質を前記形成面に提供することを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記機能性物質を提供するステップは、前記機能性物質を前記溶融物質の表面に提供することを含むこと特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記機能性物質は、酸化ケイ素、二酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、オキシ窒化ケイ素、オキシ炭化ケイ素及び窒化ホウ素からなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップの前に、前記形成面と前記溶融物質との間の界面に優先核生成エージェントを提供するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
付着する前記溶融材料を前記凝固体から除去するように、メニスカス制御要素を適用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記形成面は実質的に非テクスチャ表面を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記形成面はテクスチャ表面を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記多孔性モールドは、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、オキシ窒化ケイ素、オキシ炭化ケイ素及び窒化ホウ素からなる群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記多孔性モールドは焼結パウダー体を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記多孔性モールドはグラファイト体を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記多孔性モールドは、多孔性になるように処理された原初的に固体シリコン体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記多孔性モールドは、少なくとも1つの酸化ケイ素の外面層をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記形成面の選択した場所で粒成長の核生成を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記形成面の選択した場所で粒成長の指向性を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記粒成長の指向性を制御するステップは、
a.空間的に変動した厚みを有するモールドを提供すること、
b.前記形成面に対して空間的に変動する圧力差を提供すること、
c.空間的に変動した断熱性を有するモールドを提供すること、
d.空間的に変動したテクスチャを有する形成面を提供すること、
e.空間的に変動した熱拡散性を有するモールドを提供すること、
f.前記形成面で場所別の温度プロファイルを提供すること、及び、
g.前記溶融物質に初期接触する前記形成面上のある場所に結晶シードを提供すること、からなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記モールドは、少なくとも2つのチャンバを有する複合プレナムを備え、
前記差圧状態を提供するステップが、前記形成面の少なくとも2つの部位での圧力が前記溶融物質表面における雰囲気の圧力よりも小さいように、2つの異なる差圧状態を提供することを含んでおり、且つ、
前記接触させるステップの間、前記2つの異なる圧力状態の相対位置を変化させるように、他方に対して一方のチャンバを移動させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
a.前記溶融物質を提供するステップは、容器内に溶融物質を提供することを含み、前記容器は少なくとも1つの壁を有し、前記溶融物質のメニスカスが、前記壁上方の最上部を有する前記容器から外方を向く凸曲面で存在し、
b.前記形成面を前記溶融物質に接触させるステップは、前記凸曲面に対して前記形成面を通過させることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記差圧状態を提供するステップは、
a.前記モールド表面の第1領域に隣接する第1の差圧を提供すること、及び、
b.前記モールド表面の複数の別個の場所で異なる第2の差圧を提供すること、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記溶融物質表面の振動運動を抑制するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記溶融物質を提供するステップは、前記溶融物質が約5mm未満、好ましくは約3mm未満の深さを有するように、溶融物質をベッセル内に提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記接触させるステップは、前記形成面の各部位が前記溶融物質にほぼ同じ時間接触するように、前記形成面を前記溶融物質表面に接触させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記形成面の温度が実質的に前記溶融物質の温度に等しくなるまで上昇して、その後に、追加の溶融物質が凝固しないように、前記モールドが限定された熱容量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図32D】
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【図32E】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図33E】
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【図33F】
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【図33G】
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【図33H】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2012−519650(P2012−519650A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554116(P2011−554116)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/026639
【国際公開番号】WO2010/104838
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(510276685)1366 テクノロジーズ インク. (5)
【Fターム(参考)】