説明

薄膜のためのフラッシュ光アニーリング

結晶膜を作製する方法は、選択された結晶表面配向のシード粒を含む膜を基板上に設けるステップと、混合液/固相が得られる条件下で、前記膜のパルス溶融が得られるように、パルス光源を用いて前記膜を照射するステップと、前記選択された表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で、前記混合固/液相を凝固させるステップとを含む。1つ以上の照射処理が用いられ得る。前記膜は、太陽電池内での使用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同時係属中の共同所有出願(2008年11月5日に出願されたシリアル番号第61/111、518号および2008年2月29日に出願されたシリアル番号第61/032、781号)に関連し、本出願の全体を参考のため援用する。
【0002】
開示される内容は、主に薄膜の結晶化に関し、特に、このような結晶化におけるパルスフラッドライト源の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの太陽電池では、キャリアを伝導させるために結晶化シリコン膜が用いられている。太陽電池では少数キャリアが用いられ、合理的な効率を得るために、欠陥密度の低い膜が必要とされる。結晶化シリコン膜中の欠陥を挙げると、粒界(すなわち、結晶粒間の境界)および粒子内欠陥(すなわち、双晶境界および積層欠陥などの結晶粒内の欠陥)がある。太陽電池の効率を向上させるためには、粒境界の密度を低減すること(すなわち、これらの粒のサイズを増大させることおよび粒子内欠陥の密度を低減すること)が望ましい。
【0004】
現在、太陽電池の最も一般的な作製方法では、単結晶シリコン(c−Si)基板が用いられている。これらのウェーハの場合、高品質の基板が得られるものの、利用可能なシリコン原料が限られているため、高価である。多結晶シリコン(poly−Si)基板(例えば、インゴットからのもの)も利用可能であるが、コストは若干しか下がらない。現在のトレンドは、c−Siおよびpoly−Siウェーハベースの太陽電池の厚さを低減すること(例えば、200μm以下)であるが、その場合、このようなウェーハの機械的特性(例えば、処理時のハンドリング)に関して問題が発生する。
【0005】
薄膜アモルファスおよび/またはナノ結晶シリコン太陽電池の場合、シリコンの使用量はずっと少量であるため、コスト面において有利である可能性があり、また、大面積の基板(例えば、ガラス、金属箔、またはさらにはプラスチック)上に堆積することも可能である。しかしながら、アモルファスシリコンは、結晶性シリコンよりも安定性および効率が低い。結晶性シリコンの使用を通じて高い安定性および効率性を提供しつつ、シリコンの使用量の制限による低コスト化が可能になれば、薄膜多結晶太陽電池において魅力的な妥協案が得られる可能性がある。
【0006】
薄膜多結晶膜を形成するには、例えば熱アニーリング技術を用いて、結晶化を誘発するようにアモルファスシリコン(a−Si)層を処理すればよい。しかしながら、このような固相結晶化方法の場合、膜の粒子内欠陥密度が高くなることが分かっており、また、長時間および高温も必要とするため、ガラスなどの熱的に敏感な基板にはあまり適していない。
【0007】
Poly−Si膜は、シード層アプローチを用いて作製されている。このアプローチは、低コストの大型基板から開始し、前記基板上に肉薄のシード結晶性層を生成する。結晶性シード層を得るための従来の方法を挙げると、アルミニウム誘導結晶化がある。この方法の場合、粒成長は大きくなるが、多数の粒子内欠陥が発生するため、特定の粒径(例えば数μm)を超過すると、当該膜の特性が前記粒子内欠陥により占有される。そのため、前記層は小さな粒状材料のように機能する。加えて、前記プロセスによって達成されたテクスチャは比較的貧弱であり、例えば表面積のうちわずか75%のみが{100}極のうち20度内である。後続ステップにおいて、エピタキシャル成長方法(例えば、プラズマ化学気相成長法)を用いて前記シード層から肉厚の結晶性層を成長させる。低温化学気相成長法(例えば、ホットワイヤ化学気相成長法(CVD))については、ガラス適合性の可能性が得られるため魅力的ではあるが、これらの方法の場合、低温時において、定性的なエピタキシャル成長のために高品質{100}の配向表面が必要となる。
【0008】
Si膜のゾーンメルティング再結晶化(ZMR)の場合、結晶の優先的な{100}表面配向を有する大型粒状多結晶Si膜を形成することができる。これらの膜は、低欠陥密度であり(すなわち、粒径が大きく)かつ粒子内欠陥が少ないため、シード層として適している。さらに、(100)表面テクスチャを有するシリコン膜も作製することができる。このようなテクスチャは、低温で行われるほとんどのエピタキシャル成長プロセスに好適である。しかしながら、これらの長尺(100)テクスチャ粒の安定した成長は典型的には走査速度が極めて低いときにしか観察されず、このような極めて低い走査速度は、ガラスなどの好適な低コスト基板と適合しない。
【0009】
アモルファスシリコン膜の結晶化のために、フラッシュランプアニーリング(FLA)が用いられている。これらのランプは低コストかつ高出力である。FLAにおいて、フラッシュ放電ランプは、前記シリコン層の溶融および再結晶化に利用することが可能な強い光の短時間パルスを生成する。現在まで用いられているFLA技術の場合、得られた結晶化シリコン膜の欠陥密度が高くなる。その結果、これらの膜は、太陽電池内で使用するには最適ではない。そのため、実際的技術は、未だに高品質結晶膜を成長させるためのFLA方法の使用に欠けている。
【発明の概要】
【0010】
本出願は、粒が大きくかつ粒子内欠陥密度が低い膜を結晶化させるためにフラッシュランプアニーリング(FLA)および他の低コストの発散光源を用いる方法およびシステムについて記載する。
【0011】
一実施形態において、結晶膜を作製する方法は、実質的に一様の結晶表面配向のシード粒を含む膜を基板上に設けるステップと、前記膜のパルス溶融前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の固体部分および液体部分を提供する条件下で、パルス光源を用いて前記膜を照射して前記膜のパルス溶融を提供し、前記シード粒のうち1つ以上を含む混合液/固相を生成するステップと、前記シード粒の前記結晶表面配向を有するテクスチャ多結晶層を提供するように、前記混合固/液相を前記シード粒から凝固させるステップとを含む。前記方法はまた、膜を設けるステップも含み得る。前記膜は、アモルファス膜を設けるステップと、前記実質的に一様の結晶表面配向のシード粒を含む膜が得られるように、前記アモルファス膜を多結晶シリコンへと放射誘導型変換した後に混合液/固相を生成するステップとを含む。
【0012】
1つ以上の実施形態において、前記混合液/固相は、臨界固体−液体共存長さ(λls)に近づく周期性を有する。
【0013】
1つ以上の実施形態において、前記選択された表面配向は{100}面である。
【0014】
1つ以上の実施形態において、前記得られたテクスチャ多結晶層は、前記{100}極の約15°内の{100}表面配向を有する前記膜の表面積の約90%を含むか、または、前記得られたテクスチャ多結晶層は、前記{100}極の約10°内の{100}表面配向を有する前記膜の表面積の約90%を含むか、または、前記得られたテクスチャ多結晶層は、前記{100}極の約5°内の{100}表面配向を有する前記膜の表面積の約90%を含む。
【0015】
1つ以上の実施形態において、前記照射条件は、λlsに近づく前記液体−固相の周期性が得られるような入射光の強度を得るように選択される。
【0016】
1つ以上の実施形態において、前記パルス発散光源は、フラッシュランプまたはレーザーダイオードを含む。
【0017】
1つ以上の実施形態において、前記膜はシリコンを含む。
【0018】
1つ以上の実施形態において、前記混合固/液相の液体量は、約50vol%〜約99vol%または約80vol%〜約99vol%である。
【0019】
1つ以上の実施形態において、前記照射条件は、シード間距離がλlsを越えるときに前記混合固/液相の液体量が80vol%よりも高くなるように選択され、または、前記発散光源パルスの強度は、混合固/液相が得られるように選択される。
【0020】
1つ以上の実施形態において、前記膜厚さは、約50nm〜約1μmの範囲または約150nm〜約500nmの範囲である。
【0021】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記テクスチャ層上に肉厚のシリコン層をエピタキシャルに成長させるステップをさらに含む。
【0022】
1つ以上の実施形態において、前記層は、単一のフラッシュランプパルスに晒され、前記光源パルスは、少なくとも約90vol%の液体を有する液体/固体混合物を提供する。
【0023】
1つ以上の実施形態において、前記層は、複数の光パルス(例えば、2〜10の光パルスまたは2〜4の光パルス)に晒される。
【0024】
1つ以上の実施形態において、前記光源パルスは、少なくとも約50vol%の液体を有する液体/固体混合物を提供する。
【0025】
1つ以上の実施形態において、前記入射光のエネルギー強度は約2〜150J/cm2である。
【0026】
1つ以上の実施形態において、前記混合液/固相は、前記膜に入射する前記光のエネルギー密度、パルス形状、ドウェル時間および波長の選択により、達成される。
【0027】
1つ以上の実施形態において、フラッシュランプ照射の前に前記基板を事前加熱するステップをさらに含む。
【0028】
1つ以上の実施形態において、前記光源の波長は400〜900nmの範囲であり、または、前記光源は白色光を含み、または、前記光源は、前記膜による吸収が得られるような波長の光を含み、または、前記光源は、1つ以上の下層の熱吸収層による吸収が得られるような波長の光を含む。
【0029】
1つ以上の実施形態において、前記膜のための金属下層を設けるステップをさらに含み、前記光源の前記熱は、前記金属層によって少なくとも部分的に吸収される。
【0030】
1つ以上の実施形態において、前記膜と前記金属層との相互作用を低減するように、前記膜と前記金属層との間にバリア層が設けられる。
【0031】
1つ以上の実施形態において、前記金属層は、選択された領域における熱吸収が得られるようにパターニングされる。
【0032】
1つ以上の実施形態において、前記膜は、選択された配向のシード粒が得られるように事前処理され、前記シード粒は、固相アニール、パルスレーザー結晶化および溶融媒介爆発成長からなる群から選択される方法によって提供される。
【0033】
1つ以上の実施形態において、前記パルスレーザ源は発散光源である。
【0034】
1つ以上の実施形態において、混合液/固相は前記パルス光源によって照射される。
【0035】
1つ以上の実施形態において、前記膜は、1つ以上の隔離部分に分割され、前記隔離部分のうち1つ以上に隣接する1つ以上のトレンチを含み得る。
【0036】
1つ以上の実施形態において、結晶膜を作製する方法は、実質的に一様の結晶表面配向のシード粒を含む膜を基板上に設けるステップと、前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の液体部分および固体部分が得られる条件下で、前記膜のパルス溶融が得られるようにパルス光源を用いて前記膜を照射し、周期性が前記固体−液体共存長(λls)よりも短くかつ前記シード粒のうち1つ以上を含む混合液/固相を生成するステップと、前記選択された表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で前記混合固/液相を前記シード粒から凝固させるステップと、前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の固体部分および液体部分が得られる条件下で前記膜のパルス溶融を得るように、第2のパルス光源を用いて前記膜を照射し、周期性が前記第1のパルス内に形成される周期性よりも長い混合液/固相を生成するステップと、前記選択された表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で前記混合固/液相を凝固させるステップであって、前記表面テクスチャ、粒径および欠陥率のうち少なくとも1つが前記第2のパルス照射において向上するステップとを含む。
【0037】
1つ以上の実施形態において、前記選択された表面配向と異なる前記第1のパルス照射後に少なくとも1つの粒が前記膜内に残留し、前記異なる粒の数は、前記第2の照射パルス後に前記膜内で低減する。
【0038】
1つ以上の実施形態において、前記第1のパルス光源および前記第2のパルス光源は発散光源である。
【0039】
本発明の別の局面において、太陽電池を形成する方法が提供される。前記方法は、(a)テクスチャシード層を設けるステップであって、{100}表面配向のシード粒を含むシリコン膜を基板上に設けるステップと、前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の固体部分および液体部分が得られる条件下で、前記膜のパルス溶融を得るようにパルス発散光源を用いて前記膜を照射し、臨界固体−液体共存長(λls)を有する混合液/固相を生成するステップと、前記選択された表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で、前記混合固/液相を凝固させるステップとにより行われる、ステップと、(b)テクスチャ膜を形成するように、前記テクスチャシード層上に多結晶シリコン層をエピタキシャルに成長させるステップとを含む。
【0040】
本発明の別の局面において、テクスチャ多結晶膜が提供される。前記テクスチャ多結晶膜は、前記{100}極の約15°内まで配向された前記膜の表面積の少なくとも90%を有する。
【0041】
開示の技術は、例えば、前記膜内の任意の位置に発生する加熱サイクルを制御することができる。記載の方法およびシステムは、太陽電池を作製するためのエピタキシャル成長プロセスにおいてシード層を生成するために用いることができる。これらの方法およびシステムにより、太陽電池用の結晶膜の大規模製造のために、FLAおよび他の低コストの発散光源(例えば、ダイオードレーザー)を用いることが可能になる。前記プロセスは、3D−ICにおいて用いられる(100)テクスチャ膜を生成するためにもさらに用いられ得る。
【0042】
開示の内容について、以下の図面を参照しながら説明する。これらの図面はひとえに例示目的のために提示するものであり、本明細書中開示される内容を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】開示の内容のいくつかの実施形態に従って用いられ得るフラッシュランプ装置の模式図である。
【図2】開示の内容のいくつかの実施形態による、(A)均一結晶形態を有する膜の溶融プロファイルおよび対応する温度プロファイルと、(B)得られた凝固膜との断面図である。
【図2C】開示の内容のいくつかの実施形態による混合固/液相膜の臨界固体−液体共存長(λls)のグラフ表示である。
【図3】開示の内容のいくつかの実施形態による、(A)不均一結晶形態を有する膜と、(B)前記不均一膜の溶融プロファイルおよび対応する温度プロファイルとの断面図である。
【図4】開示の内容のいくつかの実施形態による、(A)不均一結晶形態を有する膜と、(B)いくつかの(hkl)粒が生存するようにλlsと整合する周期性が(100)粒間の間隔よりも小さくなっている溶融プロファイルおよび対応する温度プロファイルと、(C)得られた凝固膜との断面図である。
【図5】開示の内容のいくつかの実施形態による、複数回の露出による粒径への影響を示す粒径対露出回数のプロットである。
【図6】開示の内容のいくつかの実施形態による、%(100)テクスチャ対露出回数のプロットであり、複数回の露出によるテクスチャサイズへの影響を示す。
【図7A】開示の内容のいくつかの実施形態による、部分溶融処理および連続波完全溶融をそれぞれ用いて結晶化されたSi薄膜の顕微鏡写真である。
【図7B】開示の内容のいくつかの実施形態による、部分溶融処理および連続波完全溶融をそれぞれ用いて結晶化されたSi薄膜の顕微鏡写真である。
【図8A】開示の内容のいくつかの実施形態による、熱流量分離を実施する薄膜結晶化システムの模式図である。
【図8B】開示の内容のいくつかの実施形態による、熱流量分離を実施する薄膜結晶化システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本出願は、太陽電池における用途に適した高効率かつ低コストのシリコン薄膜を製造するための方法およびシステムを提供する。本出願では、混合液/固相が得られる条件下でシリコン膜のパルス溶融を得るように、フラッシュランプ技術または他の低コストのパルスフラッドライト源(例えば、ダイオードレーザー)を用いる。前記固相から、前記液相からのシリコンの結晶成長のためのシーディング部が得られる。適切な条件下において、高度テクスチャpoly−Si層が得られる。1つ以上の実施形態において、強い(100)テクスチャを備えたpoly−Si層が得られる。本出願では、太陽電池を作製するためのエピタキシャル成長プロセスにおいてシード層を生成するために、フラッシュランプアニーリングも用いる。以下の記載から、前記方法はシリコン薄膜結晶化に限定されず、溶融時に反射率増加を示す任意の薄膜においても実施可能であることが明らかである。以下の説明の目的のために、他に明記無き限り、前記方法は任意のこのような材料に使用可能である。以下の記載から、パルス発散光源またはパルスフラッドライトと、前記混合相部分溶融プロセスの所望の制御とが可能であれば、他のパルス光源が使用可能であることも明らかである。他に明記無き限り、フラッシュランプアニーリングまたは「FLA」という用語は、ダイオードレーザーおよび「フラッシュランプ」として用いられる他の発散パルス光源も含む。FLAにおいてはガラス適合性についての問題が多い場合があるため、本プロセスにおいて他の基板の使用を検討してもよい。
【0045】
好ましい条件下で(100)テクスチャを有する結晶膜が得られるように、部分溶融ゾーン溶融再結晶化を用いることができる。従来のZMRプロセスにおいて、長尺(100)テクスチャ粒の成長は、前記膜の未溶融領域と完全溶融領域との間の「遷移領域」内に形成される粒から開始する。これは、部分溶融の形態であり、前記膜の厚さ全体を通じて固体または液体のいずれかである領域が共存し、溶融時のSiの反射率の大幅の増加(半導体−金属遷移)に起因して、放射加熱されたSi膜中のみに存在する。この部分溶融形態において、{100}表面配向粒がSiO2−Si界面エネルギーにおける結晶異方性に関連することもある現象を占有していることが分かった。溶融増大からの前記膜への熱結合の低減に起因するネガティブフィードバックの結果、前記部分溶融形態そのものが安定化し、完全溶融に必要なビーム強度よりも低いビーム強度での放射により、前記膜全体内において誘発させることができる。これは、連続波レーザー走査を用いた部分溶融ZMRプロセスにおいて実証されている(例えば、van der Wiltらの「Mixed−Phase Zone−Melting Recrystallizaiton of Thin Si Films Via CW−Laser Scanning」(Materials Science and Engineering、コロンビア大学、2008年3月)(同文献を参考のため援用する)を参照)。
【0046】
前記レーザーベースのZMRプロセスにおける1つの制約として、レーザーからの光にコヒーレンスが発生するため、良好に均一化されたビームを生成するのが困難になる点が挙げられる。出力に変動が有る場合、混合相中の固体/液体比の変動および当該プロセスの有効性の変動に繋がる。回折光学素子(DOE)を用いて生成されたラインビームの不均一性は±15%にもなり得る。溶融ゾーンは極めて狭いことが多いため、前記膜を通じて熱が横方向に拡散し、そのため、熱損失を補償するためにより高い光強度が必要になる。しかしながら、その結果、粒子もより小さくなる。前記技術の別の制約として、レーザー技術に関連するコストが挙げられる。ほとんどの用途では、単一のレーザーヘッドだけ(例えば18Wまで)では出力が不十分であり、複数のヘッドを一体形成して、十分に大きくかつ十分な出力のビームを生成する必要がある。その結果、システムの複雑度およびコストがさらに増す。最後に、ほとんどのレーザーの場合、単色であることの多い光源の生成のために大部分の出力が用いられるため、光源としては不十分であることも知られている。
【0047】
さらに、ラインビーム形状パルスレーザー源およびパルスフラッドライト源を用いた(すなわち、FLA)を用いた照射の場合、当該薄膜中に異なる表面形態が発生する。通常、(例えば、SLSを用いた場合の)横方向成長では、前記横方向成長の前部が衝突し、突起が形成される。このような突起は、少なくとも特定の用途において問題であるとみなされ得る。このような突起は、FLAを用いても形成することができる。走査混合相凝固(MPS)を用いた場合、以下に説明するように、これらの突起は概して形成されず、その代わり、得られた膜上には、1つ以上の液滴が形成される。これらの液滴は膜厚さの数倍(例えば、4倍以上)であり得、突起は典型的には膜厚さの数分の一(例えば、4分の一以下)であり得る。これらの液滴が形成されるのは、走査によって形成された過剰な液体が2つの成長前部間にトラップされずに、成長している結晶間に存在する液体チャンネルを通じて走査ビームと共に輸送されることに起因する。パルスMPS膜は完全には平滑ではないものの、パルスMPSの場合、走査されたMPS膜の液滴形成は発生しない。
【0048】
フラッシュレーザーアニーリングでは、広範囲の波長範囲(例えば、400〜800nm)にわたって白色光を生成するためにフラッシュランプが用いられる。フラッシュランプはガス入り放電ランプであり、強いインコヒーレントなフルスペクトル白色光を極めて短時間で生成する。フラッシュランプアニーリング装置は、表面照射のために白色光エネルギーを用い、この光を例えば楕円反射器を用いて集束させて、図1に示すように光エネルギーを基板上に方向付ける。図1は、本発明の一実施形態による、反射装置110を備えたフラッシュランプリアクタ100を示す簡単な側面図である。このフラッシュランプリアクタは、支持部130の上方に配置されたフラッシュランプ120のアレイを含み得、標的領域150がこれら2つの間に配置されている。反射装置110は、前記フラッシュランプからの異なる量の放射160を前記標的領域の対向側の異なる部位に向けて再度反射させるように、前記フラッシュランプの上方に配置され得る。前記標的領域は、基板(ウェーハ)を受け入れるように適合され得る。
【0049】
ランプ出力は、良好に画定されたフラッシュパルスのマイクロ秒〜ミリ秒のスケールでの形成を可能にする一連のコンデンサおよびインダクタ(図示せず)により、供給される。典型的なフラッシュランプにおいて、3〜5J/cm2の範囲の光エネルギー密度(50μs放電の場合)または1〜20ms放電の場合の50〜60J/cm2を得ることができる。例示的な実施形態において、光エネルギー密度は約2〜150J/cm2であり得る。フラッシュランプアニーリングを用いると、数十マイクロ秒と数十ミリ秒との間(例えば、10μs〜100ms)の単一の光フラッシュにより、固体表面の高速加熱が可能になる。薄膜結晶化の質に影響を与えるフラッシュランプの変数を挙げると、入射光のエネルギー強度と、パルス持続時間および光の形状(よって特定のドウェル時間(すなわち、溶融持続時間))とがある。
【0050】
フラッシュランプ照射はフラッド照射プロセスであるため、フラッシュランプは、基板表面の大規模領域を単一のパルスで照射することができる。基板上の膜全体(例えば、ガラスパネル)を同時に処理することが可能である。そのため、大きな基板領域(例えば、レーザベースの再結晶化において用いられるもの)を被覆するための走査型のマルチパルス動作は不要である。しかしながら、フラッシュランプ照射は基板全体の照射に限定されず、前記膜の選択された領域を照射するように、フラッシュランプを限定的領域(例えば、ラインビーム)として形状することもできる。1つ以上の実施形態において、基板およびフラッシュランプ装置は、膜の表面を走査し、この膜を前記フラッシュランプ装置からの光エネルギーに連続的に露出するように、必要に応じて配置構成され得る。膜の完璧な結晶化を保証するように、露出を重複させることができる。また、露走査時に単位領域毎に複数の放射が得られるように、露出をさらに大きく重複させてもよい。
【0051】
特定の照射条件下において、液相および固相をシリコン膜中に共存させることができ、この溶融形態に基づいた凝固プロセスを「混合相凝固」または「MPS」と呼ぶ。1つ以上の実施形態において、フラッシュランプ、発散モードのダイオードレーザーまたは他のパルスフラッドまたは発散光源を用いた照射を、混合固相および液相が得られる条件下で実施する。これらの領域は膜厚さ全体を通じて固体または液体であるが、照射表面全体は固体領域および液体領域を含む。前記液相は、前記固相よりも高い体積分率を占有し得る。前記固相は、凝固時の結晶性ドメインの形成のためのシーディング部として機能し、大型の<100>テクスチャ粒の一般的成長が観察される。前記MPSプロセスにおいて、動的に共存する固体と液相との間に平衡近傍が確立される。固体と液相との間のバランスを用いて、凝固後に生成された結晶性粒の異なる特性を制御する。これらの特性を挙げると、特に前記{100}表面方向における粒径および粒配向と、欠陥密度とがある。
【0052】
MPSにおいて、他の配向を犠牲にして{100}表面配向粒成長を優先させるような様態で、前記膜を部分的に溶融させる。これらの他の配向は、溶融時に消失し得るか、または、混合相溶融時に消失しない場合、冷却および凝固時に前記<100>粒よりも成長が遅くなり得る。このような溶融および成長における配向依存型異方性は、近平衡条件下で発生する。混合相溶融は、主に可視スペクトの波長に対する固体と液体Siとの間の反射率Rの差に起因して発生する。液体Siは、固体Siよりもより高い反射率を有し、入射光を反射する傾向を持つ。前記未反射光が十分に吸収されると、前記反射差に起因して、液体領域よりも固体領域が多く加熱される。この負ΔQ(Qは、膜中に生成された熱、ΔQ=Q(液体)−Q(固体))に起因して、液体は過冷却状態でありおよび固体は過加熱状態であり、液体および固体が動的バランスを保っている材料が発生する。
【0053】
1つ以上の実施形態において、前記混合相材料中の液体量が約50vol%の液体よりも高くなるように、フラッシュランプアニーリング条件を制御する。前記液相は100vol%に近づけることができるが、膜全体を完全溶融させるのは回避すべきである。1つ以上の実施形態において、前記液相は、フラッシュランプ照射時において、前記混合液/固相の約50vol%〜約100vol%未満または約80vol%〜約100vol%未満である。
【0054】
膜の混合相溶融の確立前に{100}表面配向シードが存在する場合、<100>テクスチャ膜をMPSを通じて得る。本明細書中用いられる「{100}表面配向粒または{100}シード」とは、実質的な{100}表面配向(例えば、前記{100}極の5、10、15または20度内)を有する粒/シードを指す。そのため、1つ以上の実施形態において、{100}表面配向粒または{100}シードが得られるように、膜を事前処理する。シードは、前駆体膜が多結晶である場合は堆積時に生成することができ、あるいは、前駆体がアモルファスで有る場合は、堆積後処理(例えば、パルスレーザー結晶化または固相結晶化)時にまたはMPS誘発のための結晶化プロセスの早期段階において(すなわち、混合相の確立前に)、例えば固相結晶化を介してまたは溶融媒介爆発結晶化を介して生成することができる。前記前駆体膜の{100}シードの内容物は、溶融度と、強い<100>テクスチャ膜を達成するために必要なドウェル時間とに影響を与える。ランダムテクスチャ膜の場合、強いテクスチャを達成するために、高い溶融度および/またはより長いドウェル時間が必要となる。{100}表面テクスチャ前駆体膜(例えば、特定のCVDプロセスを介して利用可能なもの)の場合、より低い溶融範囲で十分な場合がある(例えば、U.S.S.N.10/994205、「Systems and Methods for Creating Crystallographic−Orientation Controlled Poly−Silicon Films」(ここに、同文献全体を参考のため援用する)を参照)。
【0055】
粒径および粒テクスチャにおける向上を達成するために、少なくとも数回の膜溶融を発生させる必要がある。フラッシュランプ照射のエネルギー密度が低すぎる場合、(特定のドウェル時間)において溶融は発生せず、得られた膜の粒径は値策、テクスチャにおける向上もほとんど見られない。50vol%未満の液相が達成された場合、混合相は固相シーディング部を豊富に含むが、非{100}表面配向粒を全て除去するかまたは結晶成長を大幅に増加させるための溶融が不十分となる。液相の体積百分率が増加するにつれ、より多くの粒が完全溶融し、それに応じて再結晶化粒の粒径も増加する。しかしながら、照射領域内の溶融が完了した(例えば、100%の)場合、大型のpoly−Si粒が、前記照射領域の縁部またはその近隣に配置された未溶融固体から横方向に成長する粒として形成される。加えて、前記液体が大幅に過冷却されると(すなわち、横方向に成長する粒が無いと)高欠陥粒が発生し得、この液体は、固体の核生成を通じて凝固する。完全溶融から大型の多結晶粒を形成することができるが、横方向に成長した領域は一般的に高欠陥であり、粒配向も貧弱かまたは皆無であることが多い。全ての場合に見受けられることはないものの、混合液/固相から形成された再結晶化膜に含まれる多結晶粒は、完全溶融再結晶化から形成されたものと比較して、よりサイズが小さいが、欠陥密度がより低く、テクスチャはより良好であることが多い。1つ以上の実施形態において、得られた膜は、{100}極の約15°内において{100}表面配向を有する膜の表面積を約90%より多く含む。他の実施形態において、前記表面配向は、前記{100}極の約10°または約5°内である。
【0056】
得られるシード層の最適化については、複数の要素が考えられる。フラッシュランプ照射時の液体および固体の動的バランスは、ランプ特性およびビーム特性および/または照射条件の制御により、維持することができる。光強度(エネルギー密度)、光露出(パルス形状およびドウェル時間)の時間プロファイル、および光波長範囲を制御することができる。フラッシュランプ照射時において、所望の溶融および凝固条件が得られるように、処理条件(例えば、ランプの配置構成(例えば、集束))、装置および照射実施の条件、走査条件、走査回数、露出回数、基板加熱、膜事前加熱、同時照射および可変強度露出を制御することができる。
【0057】
図2Aは、液体210および固体220相の断面図である。液体210および固体220相は、均一な結晶化度の膜200中でまたは安定した照射条件下で生成することができる。均一な結晶化度とは、液体領域および固体領域から発生する結晶が膜200内において一様の配向(例えば(100))を有し、ほとんど欠陥を含まないことを意味する。液体210および固体220領域は、極めて均等に間隔を空けて配置され、固体領域220は(液体領域210と同様に)極めて一様のサイズを有する。図2Bに示すように、前記液体領域が結晶化すると、膜200は、{100}表面配向を有する粒250をより高い比率で含む。前記液相の寸法は、臨界固体−液体共存長さ(λls)に近づけることができる。臨界固体−液体共存長(λls)は、混合相が不安定になる前までに2つの相が共存することが可能な範囲である。
【0058】
しかしながら、臨界固体−液体共存長(λls)は固定長ではなく、照射詳細およびサンプル構成(すなわち、熱除去に影響を与える膜厚さ、膜および基板の熱伝導率)および前記膜中の液体の留分に依存する。λls260のグラフ表示を図2Cに示す。図2Cのx軸は、液体の留分(すなわち、前記膜中に残留する液体量の)を示す。y軸は、固体−液体共存長(λls)を示す。曲線260の上方の領域は、不安定領域270である。すなわち、前記混合固/液相は、これらの共存長および液体留分値において存在することができない。曲線260の下方の領域は、安定液体固体共存領域280である。共存長および安定液体固体共存領域280内の液体留分の値により、安定混合固/液相が得られる。そのため、共存長および液体留分の値を臨界固体−液体共存長(λls)に近づけるかまたは等しくすることはできるが、前記混合固/液相の不安定化無しに臨界固体−液体共存長(λls)を越えるべきではない。好適には、前記混合固/液相は、臨界固体−液体共存長(λls)と同じかまたはその近隣にすべきである。
【0059】
さらに、前記固体−液体共存長の値は、薄膜の粒径に基づいて変更することができる。例えば、図2Aに示すように、大型粒の膜は、概して長い固体−液体共存長を有する。しかしながら、図3Aに示すように、小型粒の膜は概して短い固体−液体共存長を有する。
【0060】
特定の実施形態において、前駆体膜の微細構造により、液体/固体周期性は、この限界寸法に整合する値に到達することができる。この限界寸法を越えることは不可能であるが、λlsに近づくかまたは到達するプロセスを選択することは可能である。約50%を越える液体を含む混合相系の場合、前記混合相系の液体留分がさらに増加し、その結果以下により詳細に説明するようにλlsも長くなる。前記混合相が不安定になった場合(すなわち、固体内の過加熱および/または液体内の過冷却が持続できなくなった場合)、この状況は典型的には、過加熱または過冷却が持続不可能となった領域それぞれの内部の液体領域または固体領域が得られるように溶融または成長を通じて修正され、これにより平衡近傍条件を取り戻す。この場合、固体の成長は、過冷却度が不十分であるため、核生成を通じて発生しない。このような配置構成は、定常状態照射内の材料(すなわち、液体および固体が動的バランスをとり、液体が過冷却状態であり固体が過加熱状態である材料)中においても発生し得る。
【0061】
図3Aは、複数の粒境界330ならびに異なる配向の粒310および320を含む不均一膜300の断面図である。これらの粒は、異なる欠陥レベルも持ち得る。このような不均一膜の溶融は、粒の結晶配向および欠陥率に応じて、粒境界の好適な溶融と、前記粒の溶融挙動の差とによって影響を受ける。前記膜は、図3Bに示すように、相互に間隔が異なりかつサイズも異なる液体340および固体350の領域を形成する。加えて、混合相が確立された後、特定の粒の完全溶融状態または温度は、当該粒の熱拡散長内の固体の留分全体と、より高い溶融温度の原因となる曲率効果(ギブス−トムソン効果)とによって影響を受ける。そのため、前記不均一膜内の異なる粒は、欠陥率密度および配向の関数である異なる局所的溶融温度(Tm)を有する。一様の照射下において、前記膜は、一定範囲のTm(Tmas〜Tmin)を有し、図3Bに示すように、前記液体領域および前記固体領域の温度は若干ではあるが大幅に変動する。{100}表面配向粒は最も高い耐溶融性を有するが、他の配向(特に、近隣に{100}粒の無いもの)も生存し得ることが分かる。先ず不均一膜を加熱および溶融すると、前記液体領域および前記固体領域の周期性およびサイズ一様性に妥協が発生し得、寸法が小さくなり、前記前駆体膜の性質に関連する。そのため、大型液体ドメインを容易に形成する能力は、前記膜の質に部分的に依存する。固体−液体周期性は、少なくとも初期には、均一膜のものよりも低くなり得る。不均一膜は、λlsに相関する寸法を有する混合相に到達するために、より長いドウェル時間および/または複数回の露出を必要とし得る。
【0062】
図4Aは、低レベルの粒410の安定{100}表面配向およびよって高レベルの粒の異なる配向(例えば、表面配向{hkl}粒420)を有する不均一膜400からの混合相領域の形成に対する効果を示す。図4Aは、複数の粒境界430ならびに異なる配向の粒410および粒420を含む不均一膜の断面図である。この場合、(100)配向粒間の間隔は、臨界固体−液体共存長(λls)よりも長い。照射時において、前記膜は、液体440ならびに固体450および460の領域を形成する。これらの液体440ならびに固体450および460の領域は、図4Bに示すように、互いに間隔が異なり、サイズも異なる。加えて、固体領域450および固体領域460は異なる結晶配向を持ち得る。前記臨界固体−液体共存長は、(100)シードを跨る液体領域を形成するには不十分であり、そのため、図4Cに示すように前記{hkl}粒は生存することができる。
【0063】
λlsが短い場合、望ましくない配向を有するシード結晶420を除去するのは極めて困難である場合がある。そのため、不均一膜を用いる場合、臨界固体−液体共存長に整合する固体液体周期性が達成できた場合でも、{100}配向粒間の間隔が前記臨界固体−液体共存長よりも大きい(または、換言すれば、前記臨界固体−液体共存長が短すぎる)ために、高度テクスチャ膜を確実に得ることが保証できない場合がある。
【0064】
1つ以上の実施形態において、前記膜に対して、複数のFLA露出を行う。いくつかの実施形態において、膜表面の露出を2回または複数回から約100回以上または数十回まで(より典型的には、約2〜10回または2〜4回)行う。結晶テクスチャは複数回の露出を介して達成されるため、液体量のより低い混合相組成が得られるように、アニーリング条件を選択することができる。そのため、前記フラッシュランプをより低い強度および/またはより短いドウェル時間で動作させることができる。このような条件は、熱的に敏感なガラス基板と適合することができる。複数回の露出を行った場合、より大型の粒およびより強いテクスチャ膜が得られるという利点を得ることができる。走査回数の増加による平均粒径の向上を図4Cおよび図5中に図式的に示す。同様に、(100)テクスチャのレベル(%{100}で示す)の予測される増加を図6に示す。そのため、多露出プロセスにより、より高品質の膜が生成される傾向となる。
【0065】
第1の露出では、前記固体液体周期性は、λlsによって示す値に到達することができない。これは、欠陥粒または領域(粒境界またはさらには特定の配向のものを含む)が、低欠陥密度の粒または領域および/または{100}表面配向粒よりも優先して溶融し得るという、前駆体膜の不均一性に起因し得る。図4A〜図4Cを参照されたい。そのため、単一の照射プロセスにおいて粒配向および欠陥率において或る程度の向上は見られるものの、開始膜固有の不均一性から、大型の周期的液体領域および固体領域は得られない。前記の辛うじて向上したサンプルに対して後続照射を行うと、{100}表面配向が増大しかつ欠陥率が低減した膜が得られる。前記前駆体膜の初期微細構造がλlsよりもずっと小さなスケールである場合、前記固体/液体周期性は、やはりλlsによって示される値に到達できない。このような状況において、混合相の発達には時間がかかることが多いため、混合相は前記微細構造と同一スケールの周期性で生成される。これは、(例えば、基板適合性のために)短いドウェル時間が好適である場合に特に当てはまり、これらの場合において、膜の粒径およびテクスチャを連続的に増加させるように、複数のパルスプロセスを用いることができる。得られた膜は、高レベルの(100)粒を有し、その粒径は、単一の露出によって達成されたものよりも概して大きい。
【0066】
用途に応じて、単一露出を用いた技術では不十分な場合がある。単一露出を用いた技術の場合、完全溶融条件への接近が必要となり、前記多露出技術の場合、より多くの自由が得られ、また、より広い動作範囲内において要素を調節することもできる。実際、単一パルスまたは複数パルスプロセスにおいて望まれる溶融度の差はそれほど大きくない。複数回の露出を用いた方法の場合、より低い溶融度(例えば、99%またはほぼ100%の代わりに90〜95%)が可能であるが、複数回の露出から得られる実際の利得は、非(100)粒の漸進的低減および液体/固体周期性の増大である。また、後続放射は同一エネルギー密度で行わなくてもよく、例えば、(例えば、相変化または欠陥密度の変化に起因する)膜の光学的特性の変化に対応するようにあるいは粒径およびテクスチャの連続的増加を最適化するように、異なるエネルギー密度を用いることができる。
【0067】
例えば、実験的観察によれば、複数のパルスプロセスにおいてアモルファスまたは高欠陥前駆体から開始して第2のパルスおよび後続パルスを行うと、第1の照射パルスのエネルギー密度よりも2倍も高いエネルギー密度を実際に得ることができる。これは、アモルファスと結晶性との間の透明性のシフトがより大きくなる、より長い波長光の使用に関連する。そのため、第2のパルスおよび/または後続パルスは、より大幅に高いエネルギー(例えば、2倍)または第1のパルスよりも少なくとも20%よりも多くのエネルギーを必要とし得る。この差は、数パーセントのオーダーであり、かつ20%以下であるシフトを用いた前回ワークオン走査モードMPS時に観察された差よりもずっと大きい。
【0068】
1つ以上の実施形態において、λlsと整合する粒径に到達するだけでなく、前記材料を除去し、かつ非(100)粒を除去するように、肉薄のシード層薄膜をパルスフラッドまたは発散照射プロセスにおける露出に複数回晒す。本明細書中に説明するように、単一回の露出を行うと、小型の非(100)粒が粒境界またはその近隣に発生し得る。図4A〜図4Cを参照されたい。いくつかの用途/状況ではこれは受容可能であるものの、最適ではない。これらの粒は極めて硬質であるため、複数回の露出無しに除去することは極めて困難である。これは、小型粒径および(100)シードと非(100)シードとの間の大型間隔に基づいて固体/液体比が確立することが可能な不均一の前駆体を用いたことに起因し得、これが生存し得る唯一の理由は、λlsに整合する周期性を確立するための時間が可能であっても、λlsに整合する周期性(長いドウェル時間)を確立するための時間があっても、前記(100)シード間の距離がλlsを越えるからである。
【0069】
別の実施形態において、時間ドメインにおいて、第2のFLAパルスを第1のFLAパルスに十分近づけて間隔を空けて配置することができる。前記時間ドメインにおいて、当該膜は第1の放射からの高温を未だ受けているが、第2の放射を受けると実質的に凝固し得る。そのため、残留温度に起因して第2のパルスに対するエネルギー要求が低減し、その結果λlsがより大きくなり得る。この実施形態において、パルスを相互に緊密に追随させるためには、2つの(アレイの)フラッシュランプが必要となり得る。
【0070】
FLAにおいて、放電ランプから光エネルギーを放電電流パルスとして得ることができ、前記パルスの半値全幅(FWHM)は、数十マイクロ秒未満〜数十ミリ秒を越える長さの範囲であり得る。複数回の照射の場合、前記パルスの周波数も制御することができ、典型的には、数百ヘルツの範囲内で変化させることができる。ドウェル時間とは、溶融開始から完全凝固までの時間である。連続波形(CW)技術において、前記ドウェル時間は、レーザビームの空間プロファイルにより大きく影響を受け、走査レーザーから離れた熱拡散によりさらに影響を受け得る。FLA技術または他のフラッドまたは発散照射技術において、前記ドウェル時間は、フラッシュランプの時間プロファイルにより最も大きく影響を受ける。また、ドウェル時間は、多様な事前加熱手段によっても影響を受け得る。
【0071】
前記ドウェル時間が長くなるのにつれ、テクスチャリングプロセスがより顕著になり得るが、前記基板は、ここでもより長時間光エネルギーに晒される。熱拡散係数により、熱は膜厚さを通じて輸送される。ドウェル時間が長くなると、シード層の粒径およびテクスチャの質は向上するものの、熱が発生して基板内に熱が移動してしまい得、これは、熱に弱い基板の場合に問題となる。
【0072】
フラッシュランプのさらなる特徴として、入射光の光エネルギー密度がある。入射光の光エネルギー密度は、当該フラッシュランプの入力エネルギーに依存し、当該フラッシュランプの電圧およびキャパシタンスを変化させることにより制御することができる。光エネルギー密度は、用いられる特定のフラッシュランプ装置(例えば、パルス持続時間および事前加熱)によって異なるが、典型的には約2J/cm2未満〜150J/cm2以上の範囲で変化し得る。このエネルギー強度は望ましくは、溶融および混合相再結晶化を発生させるために、閾レベルI1を越えるとよい。エネルギー閾I1を下回ると、長いドウェル時間においても、前記膜は任意の液相を形成せず、粒径およびテクスチャに対する向上は貧弱になる。光強度も、望ましくは膜が完全に溶融する上側強度I2を下回るとよい。高エネルギー強度I2において、露出領域が完全に溶融し、混合相再結晶化の恩恵はみられない。
【0073】
ビームの質を制御するための別の要素は、入射白色光の波長範囲に関連する。上述したように、混合相溶融は、主に可視スペクト内にある波長に対する固体と液体との間の反射の差に起因して、確立される。前記液相は、より高い反射率を示す。未反射光が十分に吸収される場合、前記反射の差に起因して、液体領域よりも固体領域がより多く加熱される。これは、混合相溶融および凝固を発生させるための必要条件である。
【0074】
異なる光源は、膜によって吸収されるその固有の波長範囲を有する。Si膜結晶化中の一般的に用いられる光源は、短波長(例えば、エキシマレーザーからのUV光(例えば、XeCIの場合308nm)または中波長(例えば、周波数倍増型ダイオード励起ソリッドステートレーザー(例えば、Nd:YVO4において532nm))において放射する。これらの波長は、Si中のウェルを完全に(UVの場合)または十分に(緑色の場合532nm)吸収する。波長がより長くなると、ウェルを十分に吸収できなくなり得、肉薄のSi膜の結晶化には不十分となる(Si中の吸収についての光学データについては、例えばthe CRC Handbook of Chemistry and Physics(第88版、(2007〜2008年)、第12章、p12〜138(ここで同文献を参考のため援用する))を参照されたい)。フラッシュランプからの光は、より長い波長を含み得る(Xeガス放電ランプからは、400〜800nmの範囲の白色光が生成される)。ダイオードレーザーの光は、長い波長(例えば、〜808nmまで)から主になり得る。適切な混合相は、例えば532nmの光を用いて達成することができる。そうであっても、この波長において、前記Si膜は(膜厚さおよび干渉効果に応じて)既に部分的に透明になっている場合があり、MPSを誘発するためには、他の厚さよりも特定の厚さがより適している。
【0075】
これらの伝送損失(これらは、金属液体Siの場合よりも半導体固体Siの場合により高いことが期待される)に起因して、波長がより長くなるにつれて、反射率ΔRの変化が未だに正(ΔR=R(液体)−R(固体))であっても、MPSを誘発するための十分に負のΔQを得るのがますます困難になる。1つ以上の実施形態において、金属層を前記Si層の下側において熱吸収層として用いる。前記Si層によって吸収されなかった入射光の熱は、前記下層の金属層によって代わりに吸収され、前記Si層内に再度熱拡散する。前記金属層は、適切な熱吸収を有する任意の金属でよい。例示目的のため、前記金属層は、Si堆積の前に堆積されるモリブデン膜(その間にバリアがあってもよい)を含み得、または、前記金属層は、金属基板(例えば、可撓性の大面積電子機器(例えば、太陽電池またはAM−OLED)を作製するための可撓性のステンレス鋼基板)でもよい。1つ以上の実施形態において、例えば前記層を配置することにより、前記金属は前記Si層と負的に相互作用しない。他の実施形態において、前記金属層と前記Si基板との間にバリア層を配置する。1つ以上の実施形態において、他の領域における光吸収がより低い状態となりこれにより加熱も低減するように、選択された領域内にMPSを誘発することができるように、(例えば、リソグラフィックプロセスを用いて)前記選択された領域のみに金属膜を配置する。
【0076】
1つ以上の実施形態において、他の効率的なパルス光源を前記MPSプロセスに用いることができる。このようなパルス光源の例としてダイオードレーザーがあり、ダイオードレーザーは、例えば〜800nmまでのパルスレーザ発振が可能であり、かつ、ダイオードレーザー熱アニーリングと呼ばれるプロセスにおいて溶融を誘発するために以前から用いられている。例えば、Araiらの「41.2:Micro Silicon Technology for Active Matrix OLED Display」(SID 07 Digest、p.1370〜1373(2007))およびMorosawaらの「Stacked Source and Drain Structure for Micro Silicon TFT for Large Size OLED Display」(IDW、pp.71〜74(2007))を参照のこと。本明細書中、これらの文献全体を参考のため援用する。高出力ダイオードレーザは出力効率がよく、かつ高発散が可能であるため、ほとんどの他のレーザーよりもよりランプに近い形態で用いることができる。高出力ダイオードレーザーは、その発散により、膜の一様の2−D加熱を確立するためにアレイ構成で配置される他のレーザーよりも、より適している。ダイオードレーザーはまた、達成可能なパルス状および短パルス持続時間にしてもよく、これは、低コストの基板(例えば、ガラス)との適合性を得るために有用であり得る。前記シリコン膜の下層の金属層は、より長い波長の光に起因するダイオードレーザーの光を十分に吸収し、混合相溶融および凝固の確立を成功させるために、必要となり得る。1つ以上の実施形態において、金属層は、所望の加熱効果を達成するために、ウェルを吸収する光波長とも用いることが可能である。前記金属層は、例えば光のコヒーレンスに起因し得るようなダイオードレーザーからの一様でない放射を全て除去する際にさらに有用であり得る。前記金属層は、極めて導電性が高く、混合相を確立するのに必要な時間よりも短いかまたはこの時間に匹敵する時間スケールで、ホットスポットからの熱を近隣のより低温の領域に再分配することができる。前記金属層は、所望の領域のみにおいてMPSを誘発するようにパターニングしてもよい。
【0077】
前記混合相溶融および凝固形態において、臨界固体−液体共存長(λls)を認識することができる。この臨界固体−液体共存長(λls)を越えると、固体および液体がそれぞれ持続不可能な高値に到達して過加熱度および過冷却度が発生することに起因して、前記混合相は不安定になる。その結果、前記混合相は、過加熱固体領域と過冷却液体領域とによって交互に構成された適切に周期的な構造へと成長する。図4を参照されたい。この周期性はλlsと関連し、λlsは放射、事前加熱および膜中の熱流量および確立される溶融度の詳細に基づいて、決定される。従来から、簡単な分析について、Jacksonらによる「Instability in Radiatively Melted Silicon Films」(Journal of Crystal Gorwth71、1985年、p.385〜390、同文献の内容全体を参考のため援用する)中に記載がある。固体領域から液体領域へと成長が進むにつれ、粒径は概してλlsに近い値で飽和する傾向となる。λlsは液体留分に依存するため、完全溶融に近い条件においての(例えば、高液体量の条件下での)放射により、より大きな粒を得ることができる。
【0078】
シード層の結晶化度が均一ではない状況(例えば、粒の配向および欠陥率に変動がある場合)において、液体および固体の混合相周期性は一様ではない。加えて、優先的に溶融する粒境界に起因して液相の最適形成が妨害されるため、液体領域がλlsよりもより小さくなり得る。1つ以上の実施形態において、フラッシュランプ照射プロセスは、λlsの増加、粒径の増加および欠陥率の低減が得られるように、選択される。
【0079】
前記共存長をλlsに近づくように増加させるために、多様な技術を用いることができる。1つの技術において、入射光の強度が低減される。基板またはその包囲物に向かう熱の損失率を低減することにより、放射強度を低減することができる。一実施形態において、膜の大型部分のフラッドパルスアニーリングを用いることにより、大幅な横方向温度勾配は無く、より低い放射強度でMPSを確立することができる。さらなる実施形態において、例えば前側または後側からの同時照射を介してまたはホットプレート加熱を介してサンプルを事前加熱することにより、あるいはパルス持続時間を増加することにより、より低い強度の放射を確立することができる。さらに、ライン走査されたMPSとは対照的なパルスMPSを用いることにより、横方向の熱損失が低減し、これによりλlsが増加する。
【0080】
ビームの時間プロファイルも、(100)テクスチャの度を向上させるように制御することができる。光照射技術により固体および液相の共存を達成できた場合でも、所望の質の結晶成長が得られない場合がある。成長が可能な状態としては、平衡から漸次的に除去された状態があり、その場合の成長は、欠陥形成および配向ロールオフに起因して欠陥がより多くなり得る。そのため、膜中の{100}表面配向粒の質を高めるための要素は、パルスを低減する速度の制御である。「ビームオフ」結晶成長において、エネルギー密度は急速に変化(低減)し、暗い状態(例えば、光ビームオフの状態)で冷却および結晶化が発生する。ビームオフ結晶成長は、ファセット化傾向を強く持ち得るが、双晶形成、欠陥成長および/または配向ロールオフを通じた配向損失によっても迅速に得ることができる。そのため、照射時に形成された混合相が{100}表面配向を有する材料を支配し得るが、前記材料の冷却後、その配向は保存されなくなる場合がある。
【0081】
1つ以上の実施形態において、前記{100}表面配向は、「ビームオン」の時間的エネルギープロファイルを用いて得られる。「ビームオン」の結晶成長において、混合相形成後、(強度が低下するのにも関わらず)膜の放射が継続する。平衡近傍状態が凝固時よりも長く維持され、その質は、より高くかつ他の配向よりもより優先的な{100}表面配向シードの成長を有する。ビームオン凝固において、固体シードの成長そのものが前記メカニズムに晒され得、その結果混合相が形成され、その結果、成長前部がファセット化されずに多孔質さらには樹枝状となって、λlsと整合する固体−液体周期性を維持し得る。前記多孔質成長前部の周期性は、液体量の低下と共に進むλlsの低減により、さらに影響を受ける。このような成長モードからは、欠陥材料は必ずしも発生せず、最終的には典型的には少なくとも小角粒境界を有する材料の特性が得られる。ビームオンおよびビームオフ凝固シナリオを考えると、工学的な時間的ビームプロファイルに到達し、このようなビームプロファイルにより、いずれかにおいて経験される極端なシナリオと誘発される最大溶融範囲との間のトレードオフが確立され得る。
【0082】
例示的な適切なビームオン条件は、実験的にまたは結晶化モデリングの使用により、決定することができる。一実施形態において、大きな体積分率の液体(すなわち、完全溶融に近い状態)が得られるように、Si薄膜をピーク出力で照射する。その後、ビームオン放射のために、光出力を完全凝固が発生するまで徐々に低減する。完全凝固時間は、成長速度に依存する。シリコン中の成長速度は、例えばエキシマレーザーを10または100ナノ秒のパルス持続時間で用いた場合のパルスレーザーによって誘発される横方向成長において発生するような、10m/sまで高くすることができる。本方法の場合、より長いパルス持続時間が想定され、速度は1cm/s〜1m/sのオーダーであり得る。その後、成長距離を(固体−液体周期性に応じて)1または5または10μmまで仮定する(これは、1μs〜1msの漸次低減を意味する)。一般的に、実質的な凝固の発生前は、出力をフラッシュランプのピーク出力の40%〜90%または60%〜80%に低減する。HawkinsおよびBiegeleson(Appl.Phys.Lett.、42(4)、1982年2月、p.358〜360(同文献全体を参考のため援用する)において、シリコン温度とレーザー出力との間の関係が記載されており、液体/固体混合相が共存するプラトーが示されている。
【0083】
任意の特定の理論または動作モードに縛られることなく、ビームオン結晶化における成長を行うと欠陥密度が低くなると考えられている1つの理由は、膜内の温度勾配に関連する。パルスレーザー結晶化(例えば、方向的順次横方向結晶化)において、成長界面の後ろ側の領域において典型的には極めて強い温度勾配があることが多い。これらに起因して、温度勾配によって誘発された応力が発生し、これらの応力は、塑性変形を通じた欠陥形成(特に、より大きな角度の粒境界に急速に発展する小角粒境界)の源となると考えられている(Crowderら、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.685E、2001 Materials Research Society、同文献全体を参考のため援用する)。ビームオフ結晶化は、固体が急速に冷却されることで横方向成長前部の後ろ側の領域内に強い温度勾配が発生する点において、これと類似する。一方、ビームオン結晶化においては、固体は常に加熱されるため、横方向温度勾配は少なくなり、固体が液体よりも多くを吸収するため、界面において逆転する。任意の特定の理論または動作モードに縛られることなく、これは、成長前部またはその近隣において欠陥が形成されない理由であり得る。
【0084】
膜のベース温度を上昇させるために事前加熱を用いることができ、これにより、所望のレベルの液体/固体混合物を得る際に、より少ないエネルギーまたはより短いパルス時間で済む。事前加熱メカニズムとしては、加熱された基板(例えば、ホットプレートおよび同時照射)を用い、1つの放射を加熱用に用い、第2の照射を事前加熱用に用いる。例示目的のため、低強度で長いパルス持続時間での露出を加熱用に用い、その後、高強度で短いパルス持続時間での露出をMPS処理用に用いる。同時照射は、同一側または対向側から行うことができる。他の実施形態において、膜の側方対向側からの照射により、当該膜を事前加熱する。
【0085】
別の制御因子として、膜を光に露出する回数がある。いくつかの用途では単一の露出(単位面積)を用い、他の用途では、膜の結晶化のために複数のビーム照射を用いる。太陽電池の場合、単一照射方法および複数の照射方法のどちらを用いてもよい。
【0086】
1つ以上の実施形態において、シリコン膜に対し、単一のFLA露出を行う。単一回の露出で強い結晶テクスチャを達成するために、完全溶融に近い(例えば、80%vol.を越えるかまたは90%vol.を越える液体溶融の)混合相組成が得られるように、アニーリング条件を選択する。例示的なプロセス条件を挙げると、基板を高基板温度(シリコン膜の場合、例えば約400℃〜1200℃または600℃〜900℃)まで事前加熱し、ビーム時間プロファイル(例えば、ゆっくりとした加熱および冷却)を用い、これにより、結晶を完全溶融に近い状態にし、主に{100}表面配向を有する大型結晶を生成する。より高いレベルの液体およびより大きな共存長を達成するために(例えば、λlsへの接近)、フラッシュランプを低出力で(すなわち、より低い強度の光エネルギーを膜表面に送るように)動作させ、これにより、システムをゆっくりと加熱および冷却できる(例えば、より長いドウェル時間およびより低いパルス強度)。材料および条件が異なれば特定の結果も異なってくることを認識すれば、得られたpoly−Si膜は高レベルの(100)粒テクスチャを有するものの、他の粒配向も存在することが一般的に分かる。他の配向はシードからの小型粒として存在し得、混合相溶融のピークにおいて{100}表面配向シードから離隔位置に存在する。そのため、これらの小型粒は、最初は混合相溶融を生存し続けるが、その後凝固時には、平衡近傍条件における成長の異方性に起因してほとんど成長しない。これらの小型でかつ恐らくはより欠陥の多い粒は典型的には、粒境界(すなわち、大型{100}粒に繋がる前記シードから離隔した位置)またはその近隣において観察され、太陽電池用途にはより害が少ないと考えられる(粒境界領域は既にキャリア寿命がより短い領域となっているため)。
【0087】
ドウェル時間がより長いため、大幅な基板加熱が可能となり、このような方法は、熱的に安定した基板(例えば、特定の金属基板およびセラミック基板)に適している。このような基板は全ての用途に利用可能なわけではない(例えば、基板の透明性が望まれるディスプレイTFTなど)が、太陽電池用途の場合、このような制約は存在しない。1つ以上の実施形態において、基板の過加熱を回避するための手段をとる。基板の過加熱の原因としては、より長いパルスドウェル時間にわたる熱拡散(例えば、加熱領域の限定(例えば、パターン型金属吸収層による局所的加熱)または上部のパターン型反射金属層))あるいは熱伝導が極めて低いと思われる肉厚のバッファ層(例えば、多孔質層)があり得る。
【0088】
フラッシュランプをフラッド露出と共に用いる技術において、露出を繰り返すためには、前記フラッシュランプを2回以上フラッシュするだけでよい。新規フラッシュ毎に、結晶粒の一部が破壊され、隣接シードから再凝固する。関連する熱力学的因子を挙げると、欠陥粒とより弱い配向の粒との間およびより低欠陥の粒とより強い配向の粒との間の相互作用がある。
【0089】
図7Aおよび図7Bはそれぞれ、部分溶融処理およびCW完全溶融を用いて結晶化されているSi薄膜のin−situ顕微鏡写真である。この膜に対し、部分溶融処理への関与が低い極めて低走査速度のCW走査においてCWを行うが、これは、液体留分の低下と共に発生することの例示である。図7B中の画像は、完全溶融を示す。矢印700で示す左側に、多孔質方向の成長が明確にみられる。完全溶融領域に近い箇所において、矢印710において、固体液体間隔は、凝固領域に近い箇所の2倍である。図7Aに示すような部分溶融が行われた膜についても、同様である。矢印720から分かるように、これらの粒は、λlsと整合する周期性を満たすように、離隔方向に層状形状に成長する。λlsは、液体量の低減と共に低下する。
【0090】
従来のアルミニウム誘導結晶化技術の場合、多数の粒子内欠陥を有する大型粒が発生する。そのため、得られた結晶性光吸収層は、粒径がずっと小さな材料のような挙動を示す。得られた粒は、従来の方法によって製造されたものよりも小型である場合があるが、これらの粒はより低密度の欠陥も有利に有するため、太陽電池により適している。シード層はシリコン層を含み、このシリコン層の厚さは、約50nm〜1μm(またはさらにはこれよりも肉厚の)または厚さ150nm〜500nmで低欠陥密度および高レベルの(100)テクスチャ粒を有する。例示目的のため、太陽電池における使用に適したシード層は、前記{100}極の15°内の配向を有するサンプルの表面の90%または95%を越えるかまたはさらには98%を有する。前記シード層は、上述したように作製される。
【0091】
後続ステップである、より肉厚ののシリコン層のエピタキシャル成長は、従来では600℃を越える高温で行われる。最近の低温技術では、ホットワイヤCVD堆積層を用い、約600℃において行うことができる。これらの低温技術は、より低コストの基板と適合するため、高温技術に好適である。それと同時に、これらの低温技術は、高温技術の場合よりも、適切なエピタキシャル成長を得るための(100)テクスチャシード材料を必要とする。前記エピタキシャル堆積された層の例示的な厚さは、1.5μm〜20μmまたは2μm〜6μmである。
【0092】
前記シード層アプローチは、太陽電池のpn接合またはドーパント勾配を成長させる点においても、有利である。吸収層を前記シード層と異なるドーピング種および/または異なる濃度で成長させることができ、さらに、蒸着ガス混合物中の相対的なドーピング濃度を変更することにより、ドーピング濃度に勾配をつけることができる。このようにして、太陽電池のpn接合を得ることができる。エピタキシャルに成長した層は、全体においてシード層と同一のドーピング種を持ち得、その後、後続堆積ステップにおいてpn接合が形成されて、恐らくはアモルファス相となるエミッタ層が生成される。前記吸収層は、バック接点における少数キャリア再結合を低減するための裏面電界が得られるように、異なるレベルのドーパント濃度またはさらにはドーパント濃度勾配を持つことができる。前記シード層は、太陽電池のバック接点としても同時に機能するように、高ドープすることができる。
【0093】
1つ以上の実施形態において、前記エピタキシャル成長相は、エピタキシャル爆発結晶化を用いて作製することができる。エピタキシャル爆発成長は、アモルファスおよび結晶性シリコンの相対的な熱力学的安定性を利用して、前記シリコン層の厚さ全体においてエピタキシャル結晶性相を開始および伝播させるものである。前記方法のさらなる詳細については、「Methods and Systems for Backside Laser Induced Epitaxial Growth of Thick Film」という名称の同時係属中の出願番号第61/012,229号に記載がある。ここに、同文献全体を参考のため援用する。上記提案の技術の1つの利点として、iシード材料が(100)配向においてほとんど完全にテクスチャ化される点があり、これは、エピタキシャル爆発成長技術の利用において有利である。
【0094】
太陽電池は、ガラス基板および非ガラス基板を用いることができる。MPS方法の場合、非ガラス基板には利用することができるものの、ガラス基板の制約を満たすように最適化することが必要である。一方、これらの方法はステンレス鋼基板またはセラミック基板には適している。FLA技術は、ガラスおよび非ガラス(例えば、ステンレス鋼基板またはセラミック基板)のどちらにも用いることが可能である。
【0095】
本出願では、SLS技術の使用は不要である。それでもなお、上記した技術をSLS方法と組み合わせたハイブリッドメカニズムも想定することができる。MPSの使用により、一様の粒径の材料が得られ得る。これは、最適な太陽電池において所望される。SLSをさらに用いて、より一様の粒径の膜の生成および前記粒径のさらなる増大化を行うことができる。均衡とは程遠い横方向成長も、典型的には(双晶形成、積層欠陥、またはさらには高欠陥材料へのエピタキシャル成長の完全崩壊を通じて)欠陥成長が得られる点において知られているが、(100)表面テクスチャ化材料については、少なくとも大幅な横方向成長長において、実質的に欠陥フリーの材料を達成することができる点が知られている。
【0096】
また、前記技術は、3D−ICにおいて用いられる(100)テクスチャ膜を生成するためにもさらに用いることができ、例えば、ハイブリッドSLSプロセスまたは上記開示のプロセス(または任意の派生物)を用いて、位置制御された単結晶アイランド(例えば、Songらによる「Single−crystal Si islands on SiO2 obtained via excimer−laser irradiation of a patterned Si film」(Appl.Phys.Lett.68(22)、1996年5月、p.3165〜3167(ここで、同文献全体を参考のため援用する)に記載のもの)を生成することができる。
【0097】
さらに、FLAでは、薄膜内に不要な横方向結晶化が発生する場合がある。これは、横方向成長または爆発結晶化が照射領域を越えて延びた場合に発生し得る。そのため、FLAにより膜を照射する際には、当該膜が照射領域に対応する高品質の結晶化部と、前記不要な横方向成長に対応する低品質部とを持つことができるようにする。また、これらの不要な横方向成長領域は、適切に結晶化された領域とは異なる光学的特性も有し、後続照射プロセスの複雑化の原因となり得る。そのため、例えば図8Aおよび図8Bに示すいくつかの実施形態において、基板805上の薄膜800の照射領域の縁部における横方向熱流量に対するバリアを設けることにより、前記不要な横方向結晶化を低減することができる。このような膜のバリアまたは分離は、薄膜800のエッチングまたはさらには下層の層(例えば、(図8Aに示すような)バッファ層810)のエッチングにより、得ることができる。前記薄膜のエッチングにより、第1の部801、第2の部802および第3の部803の間の照射熱伝達が低減した。しかしながら、一部の熱は、前記基板を通じて伝達され得る。そのため、図8Bに示すように、基板805に1つ以上のトレンチ815を設けることができる。これらのトレンチ815により、第1の部801、第2の部802および第3の部803の間の熱流量をさらに低減することができ、これにより、不要な横方向結晶化がさらに限定される。このようなトレンチ815は、従来のエッチング技術またはさらにはレーザースクライビング技術を用いて作製することができる。
【0098】
この実施形態により、鋭敏ではない/汚れた結晶化ドメインを回避することができる。他の実施形態において、長い熱拡散長に起因して、一様ではない様態で結晶化した広い縁部を形成することができ、その結果、緊密タイリングを回避することができる。例えば、爆発結晶化を介して領域を結晶化させた後は、混合相凝固を誘発させる最適なエネルギーはシフトしてしまうため、次の放射において、これらの爆発結晶化領域内にMPSが行われる場合がある。このプロセスにより、より鋭敏に画定された結晶化領域が得られる。
【0099】
当業者であれば、本発明の記載および実施形態を鑑みれば、本発明の実施において本発明の本質から逸脱することなく改変および均等的代替例を行うことが可能であることを理解する。よって、本発明は、上記にて明示的に示した実施形態によって限定されることを意図しておらず、以下の特許請求の範囲のみによって限定される。
【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶膜を作製する方法であって、
実質的に一様の結晶表面配向のシード粒を含む膜を基板上に設けるステップと、
前記膜のパルス溶融前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の固体部分および液体部分を提供する条件下で、パルス光源を用いて前記膜を照射して前記膜のパルス溶融を提供し、前記シード粒のうち1つ以上を含む混合液/固相を生成するステップと、
前記シード粒の前記結晶表面配向を有するテクスチャ多結晶層を提供するように、前記混合固/液相を前記シード粒から凝固させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
膜を提供するステップは、
アモルファス膜を設けるステップと、
前記実質的に一様の結晶表面配向のシード粒を含む膜が得られるように、前記アモルファス膜を多結晶シリコンへと放射誘導型変換した後に混合液/固相を生成するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合液/固相は、臨界固体−液体共存長(λls)に近づく周期性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択された表面配向は{100}面である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記得られたテクスチャ多結晶層は、前記{100}極の少なくとも約15°、前記{100}極の約10°および前記{100}極の約5°内の{100}表面配向を有する前記膜の表面積の約90%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記照射条件は、λlsに近づく前記液体−固相の周期性が得られるような入射光の強度を得るように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パルス光源は発散光源である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パルス発散光源は、フラッシュランプおよびレーザーダイオードのうち少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記膜はシリコンを含む。請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合固/液相の液体量は、約50vol%〜100vol%未満および約80vol%〜約99volのうち少なくとも1つの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記発散光源パルスの強度は、混合固/液相が得られるように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記膜厚さは、約50nm〜約1μmおよび約150nm〜約500nmのうち少なくとも1つの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記膜は、単一のフラッシュランプパルスおよび複数の光パルスのうち少なくとも1つに晒される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2のパルスおよび後続パルスは、前記第1の光パルスよりもより高いエネルギーを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2のパルスおよび後続パルスは、前記第1の光パルスと比べて20%よりも高いエネルギー密度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記層は、2〜10個の光パルスおよび2〜4個の光パルスのうち少なくとも1つに晒される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記光源パルスは、少なくとも約50vol%の液体を有する液体/固体混合物を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記入射光のエネルギー強度は約2J/cm2〜約150J/cm2である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記混合液/固相は、前記膜に入射する前記光のエネルギー密度、パルス形状、ドウェル時間および波長の選択により達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
フラッシュランプ照射の前に前記基板を事前加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記光源は、400〜900nmの範囲の波長を少なくとも含む、請求項21に記載の方法。
【請求項22】
前記光源は、下層の熱吸収層および前記膜のうち1つ以上による吸収が得られるように選択された波長の光を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記光源は白色光を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記膜のための金属下層を設けるステップをさらに含み、前記光源の前記熱は、前記金属層によって少なくとも部分的に吸収される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記膜と前記金属層との相互作用を低減するように、前記膜と前記金属層との間にバリア層が設けられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属層は、選択された領域における熱吸収が得られるようにパターニングされる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記混合液/固相を前記パルス光源で照射するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記薄膜は、1つ以上の隔離部分に分割される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記基板は、前記隔離部分のうち1つ以上に隣接する1つ以上のトレンチを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
結晶膜を作製する方法であって、
実質的に一様の結晶表面配向のシード粒を含む膜を基板上に設けるステップと、
前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の液体部分および固体部分が得られる条件下で、前記膜のパルス溶融が得られるようにパルス光源を用いて前記膜を照射し、周期性が前記固体−液体共存長(λls)よりも短くかつ前記シード粒のうち1つ以上を含む混合液/固相を生成するステップと、
前記選択された表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で前記混合固/液相を前記シード粒から凝固させるステップと、
前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の固体部分および液体部分が得られる条件下で前記膜のパルス溶融を得るように、第2のパルス光源を用いて前記膜を照射し、周期性が前記第1のパルス内に形成される周期性よりも長い混合液/固相を生成するステップと、
前記選択された表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で前記混合固/液相を凝固させるステップであって、前記表面テクスチャ、粒径および欠陥率のうち少なくとも1つが前記第2のパルス照射において向上する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記選択された表面配向と異なる前記第1のパルス照射後に少なくとも1つの粒が前記膜内に残留し、前記異なる粒の数は、前記第2の照射パルス後に前記膜内で低減する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のパルス光源および前記第2のパルス光源はそれぞれ、発散光源を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
太陽電池を形成する方法であって、
(a)テクスチャシード層を設けるステップであって、
{100}表面配向のシード粒を含むシリコン膜を基板上に設けるステップと、
前記膜の厚さ全体を通じて延びる複数の固体部分および液体部分が得られる条件下で、前記膜のパルス溶融を得るようにパルス発散光源を用いて前記膜を照射し、臨界固体−液体共存長(λls)の周期性を有する混合液/固相を生成するステップと、
前記{100}表面配向を有するテクスチャ多結晶層が得られる条件下で前記混合固/液相を凝固させるステップと、
により行われるステップと、
(b)テクスチャ膜を形成するように、前記テクスチャシード層上に多結晶シリコン層をエピタキシャルに成長させるステップと、
を含む、方法。
【請求項34】
ガラス基板上に配置されたテクスチャ多結晶膜であって、前記膜は、前記{100}極の約15°内に配向されたガラス基板上の前記膜の表面積の少なくとも90%を有する、多結晶膜。
【請求項35】
請求項1に記載の方法によって製造される結晶膜。
【請求項36】
請求項30に記載の方法によって製造される結晶膜。
【請求項37】
請求項33に記載の方法によって製造される太陽電池。

【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図1】
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【公表番号】特表2011−515833(P2011−515833A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548916(P2010−548916)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/035537
【国際公開番号】WO2009/111326
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(506118526)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】