薄膜パターン形成装置及び薄膜パターン形成方法

【課題】 ソルダーレジスト等の液状材料によってノズル詰まり等の不良が発生すると、装置の稼働率が低下する。
【解決手段】 基板に液状材料を吐出させる複数のノズルが設けられたノズルユニットが、基板に対向している。移動機構が、ノズルユニットに対し、基板を面内方向に移動させる。撮像装置が、基板に塗布された液状材料により形成されたパターンを検出する。制御装置が、ノズルユニットに対して基板を移動させながら、基板にノズルユニットから液状材料を吐出させ、基板に付着した液状材料によって検査パターンを形成する。撮像装置で撮像された検査パターンの画像データを取得する。この画像データを解析することによって、ノズルヘッドのノズルの良否を判定する。不良と判定されたノズルからは液状材料を吐出させない制御を行い、良と判定されたノズルから液状材料を吐出させることにより、基板に薄膜パターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから基板に向けて液状材料を吐出させることにより薄膜パターンを形成する装置、及び薄膜パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板にソルダーレジストのパターンを形成する従来の方法について説明する。まず、表面に回路パターンが形成されたプリント配線板の全面に、感光性のソルダーレジストを塗布する。所定のマスクパターンを用いて、ソルダーレジスト膜を露光し、その後現像することにより、ソルダーレジストのパターンが形成される。
【0003】
ソルダーレジストを液滴化して、プリント配線板の所望の領域にのみ液滴を付着させ、硬化させることにより、ソルダーレジストのパターンを形成する技術が注目されている。ソルダーレジストの液滴は、複数のノズルからプリント配線板に向けて吐出される。プリント配線板の表面に付着した液滴に紫外線を照射することにより、液滴を硬化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−104104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソルダーレジスト等の液状材料によってノズル詰まり等の不良が発生すると、稼働中の装置を停止してノズルヘッドを交換しなければならない。装置の可動停止時間を削減する技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
基板を保持する保持機構と、
前記基板に対向し、前記基板に液状材料を吐出させる複数のノズルが設けられたノズルユニットと、
前記ノズルユニットに対し、前記基板を、該基板の面内方向に移動させる移動機構と、
前記基板に塗布された液状材料により形成されたパターンを検出する撮像装置と、
制御装置と
を有し、
前記制御装置は、
前記基板に前記ノズルユニットから液状材料を吐出させ、前記基板に付着した液状材料によって検査パターンを形成し、
前記撮像装置で撮像された前記検査パターンの画像データを取得し、
取得した画像データを解析することによって、前記ノズルユニットのノズルの良否を判定し、
不良と判定されたノズルからは液状材料を吐出させない制御を行い、良と判定されたノズルから液状材料を吐出させることにより、前記基板に薄膜パターンを形成する薄膜パターン形成装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によると、
複数のノズルを有するノズルユニットから液状材料を吐出させて、基板に、液状材料からなる検査パターンを形成する工程と、
前記検査パターンを観察することによって前記ノズルの良否を判定する工程と、
不良と判定された前記ノズルからの液状材料の吐出を停止させた状態で、正常な前記ノズルから液状材料を吐出させることにより、基板に目的とする薄膜パターンを形成する工程と
を有する薄膜パターンの形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
不良と判定されたノズルからは液状材料を吐出させない制御を行うことにより、不良ノズルに起因する薄膜パターン不良の発生を防止することができる。また、不良ノズルが発生している状態でも、薄膜パターンの形成を行うことにより、装置の稼働率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例による描画装置の概略図である。
【図2】図2Aは、ノズルユニットの斜視図であり、図2Bは、ノズルユニットの底面図である。
【図3】図3は、ノズルと、ノズルの像との位置関係を示す図である。
【図4】図4は、薄膜パターンを形成する基板の平面図である。
【図5】図5Aは、ノズルユニットとノズルユニット支持機構との底面図であり、図5Bは、基板表面の走査順序を示す図である。
【図6】図6Aは、1つのノズルユニットを取り外した状態のノズルユニットとノズルユニット支持機構との底面図であり、図5Bは、1つのノズルユニットを取り外した状態での基板表面の走査順序を示す図である。
【図7A】図7Aは、実施例による薄膜パターン形成方法のフローチャートである。
【図7B】図7Bは、図7AのステップS4の詳細なフローチャートである。
【図7C】図7Cは、図7AのステップS8の詳細なフローチャートである。
【図8】図8Aは、設計上の検査パターンを示す図であり、図8Bは、実際に形成された検査パターンの一例を示す図である。
【図9】図9Aは、正常な薄膜パターンの一部の平面図であり、図9Bは、不良が発生している薄膜パターンの一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、実施例による描画装置の概略図を示す。定盤20の上に、移動機構21により保持機構25が保持されている。移動機構21は、Xステージ22、Yステージ23、及びθステージ24を含む。水平面をXY面とし、鉛直方向をZ軸とするXYZ直交座標系を定義する。Xステージ22は、Yステージ23をX軸方向に移動させる。Yステージ23は、θステージ24をY方向に移動させる。θステージ24は、Z軸に平行な軸を回転中心として、保持機構25の回転方向の姿勢を変化させる。保持機構25は、描画対象である基板(例えば、プリント配線板)50を保持する。保持機構25には、例えば真空チャックが用いられる。
【0011】
定盤20の上方に、支柱30によって梁31が支えられている。梁31に、ノズルユニット支持機構65及び撮像装置32が取り付けられている。ノズルユニット支持機構65に、複数のノズルユニット40が支持されている。ノズルユニット40の構成及び配置の詳細については、後に説明する。撮像装置32及びノズルユニット40は、保持機構25に保持された基板50に対向する。撮像装置32は、基板50の表面に形成されている配線パターン、アライメントマーク、基板50に形成された薄膜パターン等を撮像する。撮像されて得られた画像データが、制御装置33に入力される。ノズルユニット40の各々は、複数のノズルから基板50に向けて、紫外線硬化型樹脂、例えばソルダーレジスト等の液状材料を液滴にして吐出する。吐出された液状材料が、基板50の表面に付着する。
【0012】
リペア装置37が、ノズルユニット40の下方に移動し、ノズルユニット40の一時的な故障、例えば、ノズル詰まり等を修理する。ノズル詰まりの修理方法として、例えばパージ、吸引、ワイプ等が挙げられる。パージとは、ノズル内の液状材料が収容される空間に正圧を印加する処理である。吸引とは、ノズルの外側の空間に負圧を印加する処理である。ワイプとは、ノズルユニット40のノズルが開口している表面をワイパーで拭きとる処理である。基板50に薄膜を形成する時には、リペア装置37はノズルユニット40と基板50との間の空間から退避される。
【0013】
制御装置33が、Xステージ22、Yステージ23、θステージ24、保持機構25、ノズルユニット40、及びリペア装置37を制御する。制御装置33は、記憶装置34を含む。記憶装置34に、描画すべき薄膜パターンのイメージデータ等が記憶されている。
【0014】
オペレータが、入力装置35を通して制御装置33に、種々の指令(コマンド)や、制御に必要な数値データを入力する。入力装置35には、例えばキーボード、タッチパネル等が用いられる。制御装置33は、出力装置36からオペレータに対して警報等の各種情報を出力する。出力装置36には、液晶ディスプレイ、発音装置等が用いられる。
【0015】
図1では、ノズルユニット40を定盤20に対して固定し、保持機構25を移動させるように、移動機構21を配置したが、その逆に、保持機構25を定盤20に固定し、ノズルユニット40を保持機構25に対して移動させてもよい。または、ノズルユニット40をX方向に移動させ、保持機構25をY方向に移動させるような構成としてもよい。いずれの場合でも、ノズルユニット40及び保持機構25の一方を他方に対して相対的に移動させればよい。
【0016】
図2Aに、ノズルユニット40の各々の斜視図を示す。支持部材41の底面に、4個のノズルヘッド42A〜42Dが取り付けられている。ノズルヘッド42A〜42Dは、X軸の負の向きに向かってこの順番に配列している。ノズルヘッド42A〜42Dの各々に、複数のノズル45が形成されている。ノズルヘッド42Aよりも外側、及びノズルヘッド42Dよりも外側に、それぞれ光源43が配置されている。光源43は、基板50(図1)に紫外線を照射する。
【0017】
図2Bに、ノズルヘッド42A〜42D、及び光源43の底面図を示す。ノズルヘッド42Aの底面(基板50に対向する表面)に、2列のノズル列46a、46bが形成されている。ノズル列46a及びノズル列46bの各々は、Y軸方向にピッチ(周期)8Pで並ぶ複数のノズル45で構成される。ノズル列46bは、ノズル列46aに対して、X軸の負の方向にずれており、さらに、Y軸の負の方向にピッチ4Pだけずれている。すなわち、ノズルヘッド42Aのノズル45は、Y方向に関しては、ピッチ4Pで等間隔に分布している。ピッチ4Pは、例えば300dpiの解像度に相当するピッチ、すなわち約84.67μmである。
【0018】
ノズルヘッド42B〜42Dの構造は、ノズルヘッド42Aの構造と同一である。ノズルヘッド42B、42C、42Dは、それぞれノズルヘッド42Aに対して、Y軸の負の方向に2P、P、3Pだけずれるように機械的に位置決めされて、支持部材41(図2A)に取り付けられている。ノズルヘッド42Aよりも外側、及びノズルヘッド42Dよりも外側に、それぞれ光源43が配置されている。
【0019】
図3に示すように、ノズルヘッド42A〜42Dのノズル45を、X軸に垂直な仮想平面56に垂直投影した像55A〜55Dは、Y方向に、1200dpiの解像度に相当するピッチP、すなわち約21.17μのピッチで等間隔に配列する。このため、4個のノズルヘッド42A〜42Dから液状材料を吐出することにより、Y軸方向に関して1200dpiの解像度で、薄膜パターンを形成することができる。
【0020】
図4に、基板50の表面に形成すべき薄膜パターン(ソルダーレジストパターン)の一例を示す。同一形状の複数の薄膜パターン53がX方向及びY方向に行列状に配置されている。薄膜パターン53の各々は、電子部品をはんだ付けするための開口を有する。開口内には、銅や銅合金等の導電膜が露出している。
【0021】
基板50の縁の近傍には、薄膜パターン53が配置されない環状の未使用領域52が画定されている。未使用領域52に囲まれた目的パターン領域51内に薄膜パターン53が形成される。
【0022】
図5Aに、ノズルユニット40及びノズルユニット支持機構65の底面図を示す。ノズルユニット支持機構65に4個のノズルユニット40が、着脱可能に取り付けられている。各ノズルユニット40は、ノズルヘッド42A〜42D及び支持部材41を含む。4つのノズルユニットのノズルをX軸に垂直な仮想平面に垂直投影したノズル像が、Y軸方向に等間隔で並ぶように、ノズルユニット40の相対位置が調節されている。
【0023】
制御装置33がドライバ67に、液状材料の吐出指令を送出する。ドライバ67は、受信した吐出指令に基づいて、適当なタイミングで所定のノズルに対して、吐出信号を送出する。記憶装置34(図1)に記憶されているイメージデータに基づいて、基板50をX方向に移動させながら、適当なタイミングで所定のノズルから液状材料を吐出させることにより、基板50の表面に薄膜パターン53(図4)を形成することができる。
【0024】
基板50をX軸の正の向きに移動させると、基板50に対してノズルユニット40がX軸の負の向きに移動する。基板50をX軸方向に移動させることは、基板50に対してノズルユニット40をX軸の逆方向に移動させることと等価である。本明細書において、基板50をX方向に移動させることを、ノズルユニット40で基板50を走査するという場合がある。
【0025】
ノズルユニット支持機構65に、ノズルユニット40に対応してセンサ66が取り付けられている。センサ66は、ノズルユニット40の着脱状態を検出する。センサ66の検出結果が制御装置33に入力される。センサ66には、機械的にノズルユニットの有無を検知するセンサ、光学的にノズルユニットの有無を検知するセンサ等を用いることができる。センサ66でノズルユニット40の着脱状態を検出する代わりに、ノズルユニット40が取り外されている状態であることを、オペレータが入力装置35から入力するようにしてもよい。
【0026】
図5Bに、ノズルユニット40による基板50の表面の走査順序(走査シーケンス)の一例を示す。1つのノズルユニット40が1回の走査で液状材料を付着させることができる領域を、ユニット走査領域70ということとする。1回の走査によりY方向に関して1200dpiの解像度で薄膜パターンが形成される。なお、Y方向にノズルの半ピッチ分ずらして往復走査を行うと、2400dpiの解像度で薄膜パターンを形成することができる。この場合には、1往復の走査を、「1回の走査」という。
【0027】
4個のノズルユニット40により1回目の走査で、Y方向に並ぶ4つのユニット走査領域70aに、液状材料を塗布することができる。基板40をY方向にずらして2回目の走査を行うことにより、1回目の走査で液状材料を塗布した4つのユニット走査領域70aに隣接する4つのユニット走査領域70bに、液状材料を塗布することができる。1回の走査で液状材料を塗布することができる複数のユニット走査領域で画定される領域を「パス領域71」ということとする。片方向走査を行う場合には、図5Bに矢印で示したように、相互に隣り合うパス領域71を走査するときのノズルユニット40の走査方向が相互に逆向きになる。
【0028】
基板50の目的パターン領域51(図4)を、8つのユニット走査領域70で覆うことができる場合、2回の走査によって目的パターン領域51の全域に薄膜パターンを形成することができる。
【0029】
図6Bに、4つのノズルユニット40のうち1つのノズルユニットが取り外された状態の、ノズルユニット支持機構65及びノズルユニット40の底面図を示す。取り外されているノズルユニット40を破線で示す。図6Bでは、Y方向に関して端に位置するノズルユニット40が取り外された状態を示している。取り外されたノズルユニット40に対応するセンサ66から制御装置33に、「取外し状態」であることが通知される。
【0030】
図6Bに、1つのノズルユニット40が取り外されているときの走査順序の一例を示す。制御装置33は、センサ66からの通知により、少なくとも1つのノズルユニット40が取り外されていることを検知すると、取り外されているノズルユニット40を使用しないで、薄膜パターンを形成する走査順序を算出する。図6Aに示した状態では、3つのノズルユニット40しか使用できないため、1つのパス領域71が3つのユニット走査領域70で構成される。図5Bに示した例では、2回の走査で目的パターン領域51の全域を走査することができたが、図6Bに示した例では、全域を走査するために、3回の走査を行わなければならない。
【0031】
1回目の走査で液状材料が塗布される3つのユニット走査領域70a、2回目の走査で液状材料が塗布される3つのユニット走査領域70b、及び3回目の走査で液状材料が塗布される2つのユニット走査領域70cが、目的パターン領域51(図4)の全域を覆う。
【0032】
図7Aに、制御装置33(図1)による制御手順のフローチャートを示す。
【0033】
ステップS1において、検査パターンを形成する。図8Aに、検査パターン60の一例を示す。検査パターン60は、個々のノズル45から吐出された液状材料が基板50の表面で相互に連続しないように設定される。一例として、複数のノズル列46a、46bの各々から吐出された液状材料によるパターンが、基板50上においてX方向に関して異なる位置に形成される。また、ノズル45の各々によって形成される液状材料のパターンは、X方向に長い直線パターンである。検査パターン60は基板50の未使用領域52(図4)に形成される。
【0034】
図7AのステップS2において、形成された検査パターンを撮像装置32(図1)で撮像する。得られた画像データは、制御装置33に入力される。図8Bに、形成された検査パターン61の一例を示す。直線パターンが形成されるべき位置61aに直線パターンが形成されていない。また、直線パターン61bが、本来の長さよりも短くなっている。直線パターンとノズルとが1対1に対応するため、形成された検査パターン61の画像解析を行うことにより、不良ノズルを検知することができる。制御装置33は、不良ノズルを検知すると、不良ノズルを識別するためのノズル識別番号を記憶装置34(図1)に記憶させる。
【0035】
次に、図7Aに示したステップS3において、使用に適さないノズルユニットの有無を判定する。ノズルユニット40ごとに不良ノズルの個数を集計し、不良ノズルの個数が許容値を超えたら、そのノズルユニット40を使用に適さないノズルユニット(故障ノズルユニット)と判定する。この許容値は。記憶装置34(図1)に記憶されている。許容値は、入力装置35(図1)からオペレータが入力する。許容値が入力されると、制御装置33は、記憶装置34に記憶されている許容値を書き換える。
【0036】
一部のノズルユニットが取り外されている場合には、そのノズルユニットに対応する検査パターンが形成されない。このため、取り外されているノズルユニットに関しては、使用に適するか否かの判定は行わない。
【0037】
使用に適さないノズルユニット40が検認されなかった場合には、ステップS4において、薄膜パターンを形成する。
【0038】
図7Bに、ステップS4の詳細なフローチャートを示す。ステップSA1において、少なくとも1つのノズルユニットが取り外されているか否かの判定を行う。すべてのノズルユニット40が取り付けられている場合には、ステップSA2において、通常時の走査シーケンス(図5B)で薄膜パターンを形成する。ここで、「通常時の走査シーケンス」は、不良と判定されたノズルが無い場合の走査シーケンスを意味する。
【0039】
薄膜パターン形成前に、制御装置33は、記憶装置34から不良ノズルのノズル識別番号を読み出す。不良ノズルには、液状材料の吐出信号が送出されず、正常なノズルのみに吐出信号が送出されるように、制御装置33がドライバ67に指令を送信する。これにより、薄膜パターンの形成時に、不良ノズルからは液状材料が吐出されない。不良ノズルに対応する位置には、液状材料が着弾しないが、その周囲に着弾した液状材料が面内方向に広がることにより、塗布漏れは回避される。
【0040】
例えば、目的とする薄膜パターンが、1つのノズルによって形成される細い直線状のパターンを含む場合には、1つの不良ノズルによって、薄膜パターンに致命的な欠陥が発生する。このような場合には、ステップS3(図7A)において、不良ノズルの個数の許容値を0に設定しておけばよい。
【0041】
薄膜パターンを形成した後、図7AのステップS5に戻る。
【0042】
ステップSA1において、少なくとも1つのノズルユニットが取り外されていると検認された場合には、ステップSA3において、取り付けられているノズルユニット40のみで目的とする薄膜パターンを形成するための走査シーケンス(例えば、図6B)を作成する。なお、使用可能なノズルユニット40のすべての組み合わせについて、予め走査シーケンスを作成しておき、記憶装置34(図1)に記憶させておいてもよい。
【0043】
ステップSA4において、ステップSA3で得られた故障時の走査シーケンスで、薄膜パターンを形成する。薄膜パターンを形成した後、図7AのステップS5に戻る。
【0044】
図7AのステップS5において、一時停止要求の有無を判定する。一時停止要求は、オペレータが入力装置35(図1)を介して、制御装置33に入力する。記憶装置34に、一時停止要求フラグが準備されており、ノズルユニット取り付け要求が入力されているときは、このフラグが「要求有り」の状態になっている。オペレータは、例えばノズルユニット40が取り外されていた箇所に、新しいノズルユニット40を取り付けたい場合に、一時停止要求を入力する。
【0045】
一時停止要求が無い場合には、ステップS6において、運転終了か否かを判定する。他の基板50に薄膜パターンを形成する場合には、ステップS1に戻って、新たに薄膜パターンを形成すべき基板50の未使用領域52(図4)に検査パターンを形成する。すべての基板50の処理が完了したら、運転を終了する。
【0046】
ステップS3において、使用に適さないノズルユニットが有ると判定された場合には、ステップS7において、使用に適さないノズルユニットが一時的な故障なのか、固定的な故障なのかを判定する。例えば、所定回数、例えば5回のリペア処理を行なっても、故障が回復しない場合に、固定的な故障と判定する。リペア処理の回数が4回以下の場合には、一時的な故障と判定する。
【0047】
一時的な故障と判定された場合には、ステップS9において、リペア処理を行う。このリペア処理は、リペア装置37(図1)を用いて行われる。リペア装置37は、例えば、ゴム製のワイパーでノズル面を払拭するか、または、ノズルに詰まった樹脂を吸引する。リペア処理が終了すると、ステップS1に戻る。
【0048】
ステップS7において固定的な故障と判定された場合には、ステップS10において出力装置36から故障警報を発出する。故障警報発出後、ステップS11において、再スタート待ちの状態になる。また、ステップS5において、一時停止要求があると判定された場合にも、ステップS11において、再スタート待ちの状態になる。再スタート待ちになると、記憶装置34の一時停止要求フラグを「要求無し」の状態にする。
【0049】
図7Cに、ステップS11の手順のフローチャートを示す。なお、この手順は、制御装置33(図1)で実行されるのではなく、オペレータが介在して実行される。ステップSB1において、固定的な故障と判定されたノズルユニット40を取り外すか、または、ノズルユニット40が取り外されている箇所に、新しいノズルユニット40を取り付ける。新しいノズルユニット40は、一旦固定的な故障と判定されたノズルユニット40を修理したものでもよいし、未使用のノズルユニット40であってもよい。
【0050】
固定的な故障と判定されたノズルユニット40の取り外し、または、新しいノズルユニット40の取り付けが完了すると、ステップSB2において、オペレータは、入力装置35(図1)から制御装置33に再スタートを指示する。なお、固定的な故障と判定されたノズルユニット40の取り外しと、新しいノズルユニット40の取り付けとの両方を行なってもよい。
【0051】
再スタートが指示されると、図7Aに示したステップS1に戻って、検査パターンの形成を開始する。なお、基板50の未使用領域52の一部の領域に既に検査パターンが形成されている場合には、まだ検査パターンが形成されていない領域に新たに検査パターンを形成する。
【0052】
次に、実施例の変形例について説明する。上記実施例では、ステップS10(図7A)で故障警報を発出した後、再スタート待ちになった。再スタート待ちになると、オペレータの介入が必要である。変形例においては、故障警報を発出した後、固定的な故障と判定されたノズルユニット40を使用不可能状態とし、ステップS1に戻る。使用不可能状態とされたノズルユニット40には、ステップS1の検査パターンの形成時、及びステップS4の薄膜形成時において、吐出信号を送信しない。すなわち、オペレータが介入することなく、薄膜の形成処理が継続して行われる。オペレータは、固定故障と判定されたノズルユニット40を取り外す際に、入力装置35から一時停止要求を入力すればよい。
【0053】
次に、上記実施例の効果について説明する。
【0054】
図9Aに、形成すべき薄膜パターンの一部分を示す。液状材料が塗布される領域75内に、開口76が配置されている。開口76内には、銅等の導電膜が露出している。この導電膜に電子部品がはんだ付けされる。
【0055】
図9Bに、不良ノズルがある状態で、不良ノズルにも吐出信号を送信して形成された薄膜パターンの一例を示す。開口76内に、サテライト77と呼ばれる絶縁膜が付着している。サテライト77は、不良ノズルから、異常なタイミングで吐出されてしまった液状材料や、正常な方向とは異なる方向に向かって吐出されてしまった液状材料が付着したことにより形成される。サテライト77が形成されている開口76には、はんだが馴染みにくいため、はんだ付け不良が発生しやすくなる。
【0056】
実施例では、不良ノズルに吐出信号を送信しないため、サテライト77の発生を防止することができる。不良ノズルが存在する場合にも、液状材料の塗布を継続して行うため、装置の稼働率の低下を抑制することができる。
【0057】
なお、吐出信号が入力されない状態でもノズルから液状材料が垂れるような不良が発生する場合もある。このような不良が発生すると、不良ノズルに吐出信号を送信しなくても、サテライト77が形成されてしまう。このように、液状材料が垂れてしまうような不良は、検査パターンの形状から判定することが可能である。検査パターンの形状に基づいて、吐出信号を送信しなくてもサテライトが形成されてしまうような不良が発生していると判断された場合には、ステップS3(図7A)において、不良ノズルの個数とは無関係に、使用に適さないノズルユニットがあると判定し、ステップS7の処理を実行する。
【0058】
また、実施例では、一部のノズルユニット40を取り外した状態でも、残りのノズルユニット40を用いて液状材料の塗布を継続することができる。このため、薄膜パターン形成装置の稼働率を高めることができる。
【0059】
上記実施例では、薄膜パターンを形成する基板50ごとに検査パターンを形成して、ノズルの良否のチェックを行った。基板50ごとにノズルの良否をチェックする代わりに、基板50のロットごとに検査パターンを形成して、ノズルの良否のチェックを行なってもよい。
【0060】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0061】
20 定盤
21 移動機構
22 Xステージ
23 Yステージ
24 θステージ
25 保持機構
30 支柱
31 梁
32 撮像装置
33 制御装置
34 記憶装置
35 入力装置
36 出力装置
37 リペア装置
40 ノズルユニット
41 支持部材
42A〜42D ノズルヘッド
43 光源
45 ノズル
46a、46b ノズル列
50 基板
51 目的パターン領域
52 未使用領域
53 薄膜パターン
55A〜55D ノズルの像
56 X軸に垂直な仮想平面
60 設計上の検査パターン
61 形成された検査パターン
65 ノズルユニット支持機構
66 センサ
67 ドライバ
70 ユニット走査領域
71 パス領域
75 液状材料が塗布されている領域
76 開口
77 サテライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持機構と、
前記基板に対向し、前記基板に液状材料を吐出させる複数のノズルが設けられたノズルユニットと、
前記ノズルユニットに対し、前記基板を、該基板の面内方向に移動させる移動機構と、
前記基板に塗布された液状材料により形成されたパターンを検出する撮像装置と、
制御装置と
を有し、
前記制御装置は、
前記基板に前記ノズルユニットから液状材料を吐出させ、前記基板に付着した液状材料によって検査パターンを形成し、
前記撮像装置で撮像された前記検査パターンの画像データを取得し、
取得した画像データを解析することによって、前記ノズルユニットのノズルの良否を判定し、
不良と判定されたノズルからは液状材料を吐出させない制御を行い、良と判定されたノズルから液状材料を吐出させることにより、前記基板に薄膜パターンを形成する薄膜パターン形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記基板に薄膜パターンを形成する際に、不良と判定されたノズルが無い場合の走査シーケンスと同一の走査シーケンスになるように、前記基板を移動させる請求項1に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項3】
前記ノズルユニットの他に、少なくとも1つの同一構成の他のノズルユニットと、
前記複数のノズルユニットを、着脱可能に支持するノズルユニット支持機構と
をさらに有し、
前記制御装置は、前記ノズルユニット支持機構に取り付けられているノズルユニットのみを用いて、前記基板に目的とする薄膜パターンを形成するように前記ノズルユニット及び前記移動機構を制御する請求項1または2に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記複数のノズルユニットのいずれの1つでも、前記基板の全域に目的とする薄膜パターンを形成することができるストロークを有する請求項3に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項5】
さらに、不良ノズルの回復処理を行うリペア装置を有し、
前記制御装置は、
前記ノズルユニットの各々の不良ノズルの個数が許容値を超えると、当該ノズルユニットを一時故障と判定し、
一時故障と判定されたノズルユニットに対して、前記リペア装置を用いた回復処理を行い、
回復処理後の前記ノズルユニットを含むすべての前記ノズルユニットを用いて前記検査パターンを形成する処理を行い、さらに前記画像データを取得する処理及び前記ノズルユニットの良否を判定する処理を行う請求項3または4に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項6】
さらに、オペレータが指令を入力する入力装置を有し、
前記制御装置は、前記許容値を記憶する記憶装置を含み、前記入力装置から入力された許容値を前記記憶装置に書き込む請求項5に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記ノズルユニットごとに、一時故障と判定された回数を記憶しており、一時故障と判定された回数が故障回数上限値を超えたら、前記出力装置から警報を発出する請求項5または6に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項8】
前記基板の表面に、目的の薄膜パターンを形成すべき目的パターン領域と、前記目的パターン領域の周囲に、目的の薄膜パターンが形成されない未使用領域とが画定されており、
前記制御装置は、前記検査パターンを、前記未使用領域に形成する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記検査パターンを形成する際に、前記ノズルユニットに対して前記基板を移動させながら前記検査パターンを形成する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の薄膜パターン形成装置。
【請求項10】
複数のノズルを有するノズルユニットから液状材料を吐出させて、基板に、液状材料からなる検査パターンを形成する工程と、
前記検査パターンを観察することによって前記ノズルの良否を判定する工程と、
不良と判定された前記ノズルからの液状材料の吐出を停止させた状態で、正常な前記ノズルから液状材料を吐出させることにより、基板に目的とする薄膜パターンを形成する工程と
を有する薄膜パターンの形成方法。
【請求項11】
前記薄膜パターンを形成する工程で、不良と判定されたノズルが無い場合の走査シーケンスと同一の走査シーケンスになるように、前記基板を移動させながら前記薄膜パターンを形成する請求項10に記載の薄膜パターン形成装方法。
【請求項12】
前記ノズルの良否を判定する工程において、不良と判定されたノズルの個数が許容値を超えているノズルユニットが検認されると、当該ノズルユニットを一時故障と判定し、
さらに、
一時故障と判定されたノズルユニットの回復処理を行う工程と、
回復処理の後、前記検査パターンを形成する工程に戻って前記検査パターンを形成する請求項10または11に記載の薄膜パターン形成方法。
【請求項13】
前記ノズルユニット、及び少なくとも1つの同一構成の他のノズルユニットが、ノズルユニット支持機構に取り付けられており、
前記ノズルの良否を判定する工程において、前記一時故障と判定された回数が規定値を超えたノズルユニットがあるか否かを判定し、規定値を超えた回数の一時故障が発生しているノズルユニットがある場合、当該ノズルユニットを固定故障ノズルユニットとして、前記ノズルユニット支持機構から取り外す工程と、
前記薄膜パターンを形成する工程において、前記固定故障ノズルユニットを前記ノズルユニット支持機構から取り外した状態で、前記ノズルユニット支持機構に取り付けられているノズルユニットの前記ノズルから液状材料を吐出させて、前記基板に目的とする薄膜パターンを形成する請求項12に記載の薄膜パターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−110236(P2013−110236A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253517(P2011−253517)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】