説明

薄膜式ラミネート装置及び薄膜式ラミネート積層方法

【課題】印刷回路基板の表面に凹凸があっても均一な圧力を加えることができ、かつ、積層加工時間が短く、生産性の高い薄膜式ラミネート装置を提供。
【解決手段】常温域において上下弾性膜で印刷回路基板を挟み込んだ積層モジュールの外部を真空にし拡がった前記積層モジュールの内部から気体を吸引した後で前記積層モジュールの外部を常圧に戻す真空処理工程、前記積層モジュールを内部の真空を維持したまま常温域から加温域に移動させる移送工程、及び加温域において前記積層モジュールの外部に上下加圧用流体を注入して前記印刷回路基板に均一な圧力を掛ける積層工程からなることを特徴とする薄膜式ラミネート装置による積層方法の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板の積層処理において、適度な弾力を有する樹脂製の弾性膜を介して、印刷回路基板の表面に流体で圧力を加える薄膜式ラミネート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板の製造においては、銅箔等で導体パターンを形成した後、表面に絶縁保護用カバーレイとしてフィルム等を積層したり、複数の印刷回路基板を一体化するために積層する際に、積層処理設備が必要である。従来の印刷回路基板の積層処理設備としては、多段式ラミネートプレス、快速ラミネートプレス、オートクレーブなどがある。
【0003】
まず、多段式ラミネートプレス及び快速ラミネートプレスの場合、積層圧着に必要な圧力は、油圧シリンダー等の力を、平坦な熱板を介して、印刷回路基板に加える。尚、基板の表面が平坦であれば、積層圧力を均一に加えることができる。
【0004】
図20は、従来のラミネート装置の断面図である。従来のラミネート装置21では、導体21dとベースフィルム21eの間に接着剤21gを付け、導体21dとカバーフィルム21fの間に接着剤21gを付けて、上熱板21aと下熱板21bの間に挟む。
【0005】
上熱板21a及び下熱板21bにより、熱を加えることで接着剤21gを融かし、圧力を掛けることで導体21dとベースフィルム21e及びカバーフィルム21fとを接着し、印刷回路基板21cを積層する。
【0006】
印刷回路基板21cには、導体21dでパターンが形成されるため、表面に凹凸が生じる。平坦な熱板を使用した場合、導体21dのある凸部21hには過大な圧力が加わり、導体21dのない凹部21iには十分な圧力が加わらない。
【0007】
圧力が不足すると、積層用樹脂の埋め込み不足や気泡残存などの問題が発生する。気泡が存在すると、はんだ処理で250℃前後の高温環境になるため、気泡が急激に膨張し、基板に損傷を与える。
【0008】
圧力を均一にするため、耐熱性ゴムシートなどの各種クッション材を用いる場合もある。しかし、上下からの圧力を受けた印刷回路基板21cは、圧力の掛からない側面方向へ押し出され、変形を生じる。積層時に変形又は変位が生じると、各層間の位置合わせが困難となる。
【0009】
印刷回路基板21cの変形量を軽減するために圧力を低くすると、導体21dパターン間で積層用樹脂の埋め込み不足や気泡残存が発生し、気泡が残存しないように積層圧力を高くすると、印刷回路基板21cの変形が大きくなる。
【0010】
特許文献1に記載されているように、ポリエチレンシートと、このポリエチレンシートの拡散を抑制するポリエチレン拡散防止シートとを含む緩衝材を介してカバーレイフィルムを加熱、加圧する発明も公開されている。
【特許文献1】特開平08−032213号公報
【0011】
また、カバーフィルム21fの接続用等の開口部21jにおいては、加熱状態で積層圧力が加わると、カバーフィルム21fに塗布された接着剤21gが、圧力の低い開口部21jへ流れ出し、印刷回路基板21cの接続信頼性が損なわれてしまう。
【0012】
次に、オートクレーブの場合、大型圧力容器を使用し、積層対象の印刷回路基板21c全体を支持板に載せ、プラスチックフィルムで覆って架台に置き、容器内に引き込んで密閉する。プラスチックフィルム内部を真空にし、容器内に加圧媒体である気体を充填して積層圧力を加える。
【0013】
積層圧力は、プラスチックフィルムと、印刷回路基板21cを載せた支持板との間に加わる。印刷回路基板21cの上面は、プラスチックフィルムを介して、気体で加圧するので、平坦でなくても、積層圧力が均一に加わる。また、側面にも圧力が加わるので、横方向への変形も生じにくい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、オートクレーブは、装置が大型で、積層加工時間が長く、生産性が低い。生産性の低さを補うために、架台上に複数の印刷回路基板21cを重層形式で加圧処理すると、最上部の印刷回路基板21cには表面に凹凸があっても均一な圧力が加わるが、下部の印刷回路基板21cには均一な圧力は加わらない。
【0015】
そこで、本発明は、印刷回路基板の表面に凹凸があっても均一な圧力を加えることができ、かつ、積層加工時間が短く、生産性の高い薄膜式ラミネート装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するために、積層した印刷回路基板12を薄い弾力性のある上弾性膜7aと下弾性膜8aの間に挟み込んだ積層モジュール2を、常温域で上密閉容器5と下密閉容器6とで挟み込み、前記積層モジュール2と上密閉容器5の間及び前記積層モジュール2と下密閉容器6の間を真空にした上で、残存大気との差圧により拡がった前記積層モジュール2内の気体を吸引した後、前記積層モジュール2の外側を常圧に戻し、前記積層モジュール2を内部の真空を保持したまま加温域に移送して上処理容器14と下処理容器15とで挟み込み、前記積層モジュール2と上処理容器14との間に上加圧用流体16aを注入し、且つ前記積層モジュール2と下処理容器15との間に下加圧用流体17aを注入することにより、上弾性膜7aと下弾性膜8aの間に挟まれた印刷回路基板12に均一な圧力を加えて積層することを特徴とする薄膜式ラミネート装置1の構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、加温及び加圧する前に真空処理を施して予め気体を除去しておくことにより、積層された印刷回路基板内に気泡が残存しないようになり、ラミネート品質を向上させることができる。
【0018】
第2に、印刷回路基板を2枚の弾性膜に挟み、弾性膜の外側から流体で圧力を加えることにより、印刷回路基板の表面に凹凸が在っても積層圧力が均等に加わり、従来の方法による局部の圧力不足による積層用樹脂の埋め込み不足や、局部の過大な圧力による接着剤の横方向への流れ出しを押さえることができる。
【0019】
第3に、真空処理を印刷回路基板単体で行うため、真空処理の効果が大きく、積層に必要な圧力も大幅に減らすことが可能となり、印刷回路基板の損傷も大幅に低減され、総合的な生産性が非常に高くなる。
【0020】
第4に、弾性膜を介して流体により圧力を掛けるので、印刷回路基板に対して全方向から均等な圧力が加わるので、印刷回路基板の寸法変化が極小になる。また、積層に必要な圧力も低くて済む。
【0021】
第5に、積層時の熱負荷は、熱容量の小さな弾性膜と印刷回路基板のみであるので小さくて済み、加熱用エネルギーの大幅削減が可能となる。加熱時間もわずかとなり、環境負荷の軽減に非常に大きな効果がある。
【0022】
第6に、印刷回路基板を複数でなく単体で処理するので、加熱量及び加熱時間の調整が容易で、品質も安定する。緩衝材等もないため熱伝導率も良く、軽量化される上に、他の印刷回路基板等から圧力の影響を受けることもなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、印刷回路基板の積層処理において、印刷回路基板の表面に凹凸があっても均一な圧力を加えるという目的を、適度な弾力を有する樹脂製の弾性膜を介して、積層した印刷回路基板に流体で圧力を加えることで実現した。
【実施例1】
【0024】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である薄膜式ラミネート装置について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明である薄膜式ラミネート装置の全体を示す斜視図である。薄膜式ラミネート装置1は、積層モジュール2、真空処理機構3及び積層処理機構4などを備える。
【0026】
薄膜式ラミネート装置1は、印刷回路基板12を収納した積層モジュール2に対し、真空処理機構3及び積層処理機構4による処理を施して、導体パターン形成後の印刷回路基板12にカバーレイ加工等を行う装置である。
【0027】
積層モジュール2は、処理対象の印刷回路基板12を薄い弾性膜7a、8aで挟み込む器具である。尚、印刷回路基板12は、パターンを形成した導体12aに接着剤12dを塗布し、フィルム12b、12cを被せた状態である。
【0028】
真空処理機構3は、印刷回路基板12の導体12aとフィルム12b、12cの間に気泡が入らないように、積層モジュール2内を真空ポンプ3aなどを利用して真空にしておく装置である。
【0029】
積層処理機構4は、積層された印刷回路基板12を製造する装置である。積層モジュール2に熱と圧力を加えて、印刷回路基板12の導体12aとフィルム12b、12cを貼り合わせる。尚、圧力は加圧用タンク3eから流体を送り出して加える。
【0030】
図2は、本発明である薄膜式ラミネート装置の積層モジュールを開いて印刷回路基板をセットした状態を示す斜視図である。
【0031】
積層モジュール2は、上板7と下板8の奥側の端同士を蝶番7gで接続した開閉式の器具であり、上板7の手前側に設けた把持部7fを持ち上げることにより、上板7を回動させることができる。
【0032】
上板7は、枠状の上フレーム7bの内側に薄い弾力性のある上弾性膜7aを張った板状の部材である。上フレーム7bの下面には、上弾性膜7aの周りを囲むように密封用の上シール7dが設けられる。
【0033】
上フレーム7bには厚みがあり、上弾性膜7aは上板7の下面寄りに張られるため、上弾性膜7aの上側には上凹部7cが存在する。上フレーム7bの上面は上凹部7cにより陥没するので、上側を塞ぐことで中空の空間が生じる。
【0034】
下板8は、枠状の下フレーム8bの内側に薄い弾力性のある下弾性膜8aを張った板状の部材である。下フレーム8bの上面には、下弾性膜8aの周りを囲むように密封用の下シール8dが設けられる。
【0035】
下フレーム8bには厚みがあり、下弾性膜8aは下板8の上面寄りに張られるため、下弾性膜8aの下側には下凹部8cが存在する。下フレーム8bの下面は下凹部8cにより陥没するので、下側を塞ぐことで中空の空間が生じる。
【0036】
上板7を開き、下弾性膜8aの上に印刷回路基板12を載せ、上板7を閉じる。印刷回路基板12は、上弾性膜7aと下弾性膜8aの間に挟まれ、上シール7dと下シール8dにより密閉される。
【0037】
尚、上フレーム7bの側面には、上弾性膜7aと下弾性膜8aに挟まれた薄膜内空間11aと外部とを繋ぐ薄膜内吸気孔7eが空けられ、気体を吸引するための薄膜内吸気ノズル11が接続される。尚、薄膜内吸気ノズル11は、真空ポンプ3aと連結される。
【0038】
積層モジュール2では、積層加工する印刷回路基板12を適度な弾性及び耐熱性を有する樹脂製の弾性膜7a、8aで挟み、弾性膜7a、8aを介して印刷回路基板12に必要な圧力を加える。
【0039】
一定形状の熱板ではなく、不定形の流体で圧力を加える。加圧流体はどの部分でも等圧であることから、印刷回路基板12の表面の凹凸に拘わらず、柔軟な弾性膜7a、8aにより均一な圧力を加えることが可能となる。
【0040】
これにより、局部の圧力不均一による印刷回路基板12の変形を極小にすることができ、導体12aパターン間への接着剤12dの埋め込み不足や気泡残存の問題なども極小化することができる。
【実施例2】
【0041】
図3は、本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構へ積層モジュールを導入した場面を示す正面斜視図である。図4は、本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構において真空処理をしている場面を示す斜視図である。
【0042】
積層する印刷回路基板12の気泡残存問題を改善し、品質を向上させるために積層モジュール2に対し真空処理を行う。真空処理は、真空ポンプ3aで気体を吸引することにより行う。
【0043】
印刷回路基板12の積層においては、接着剤12dをガラス転移点以上の温度に加熱し軟化させた後、粘性の出た接着剤12dに圧力を加えることで、接着剤12dが印刷回路基板12上の導体12aにより形成された回路間の空間などに流れ込み、接着効果が生じる。
【0044】
従来において、接着に必要な温度は、接着剤12dとして使用する樹脂などにより異なるが、通常150℃以上である。積層後は、高温状態から冷却し、印刷回路基板12を常温状態に戻す必要がある。
【0045】
従来の多段式ラミネートプレスでは、積層圧力として1平方センチメートル当たり40〜50キログラム重を加える必要があり、厚さ30ミリメートル以上の鋼鉄製の熱板を使用している。積層処理に必要な温度は、熱容量の大きな鋼鉄製熱板を加温している。このため、昇温時間及び冷却時間共に約30分必要であり、1回当たりの所要時間は1時間半以上となってしまい、時間当たりの生産性は低い。
【0046】
そのため、一組の熱板間に複数の印刷回路基板12を積み重ね、印刷回路基板12間の干渉を防止するため各印刷回路基板12間にステンレスなどの金属板を挿入する。しかし、下部に位置する印刷回路基板12には重量が加わるため、真空処理を行ったとしても、部分的な空気溜まりが生じる可能性が高い。
【0047】
また、熱板の間に多数の印刷回路基板12等が存在すると、熱板に近い部分と遠い部分で、熱が伝達する量や時間にばらつきがあり、同じ品質の印刷回路基板12を製造するのが困難である。
【0048】
快速ラミネートプレスのように、冷却サイクルを持たず、一枚ずつ高温短時間で処理する場合、熱容量の小さな印刷回路基板12は短時間で高温状態となる。接着剤12dは急速に軟化し粘着性を生じるので、導体12a回路間や、導体12aと接着剤12dの間などに気泡を閉じ込めてしまう場合がある。この状態で真空処理を行っても残存気体の除去は困難である。
【0049】
オートクレーブについても、装置が大型で、熱容量も大きく、積層に必要な時間は最低でも約2時間であり、時間当たりの生産性が低い。印刷回路基板12を重ねてセットするので、下部に位置する印刷回路基板12の真空効果が阻害される可能性がある。また、真空ポンプ3aも容量の大きなものが必要となる。
【0050】
本発明の真空処理機構3は、上密閉容器5及び下密閉容器6などからなり、上密閉容器5を開閉させて、上密閉容器5と下密閉容器6の間に積層モジュール2を挟み込み、積層モジュール2に対し真空処理を行う。
【0051】
上密閉容器5は、上面に開閉板3bが接続され、開閉板3bの動作に連動して開閉する。下面の中央部には、上凸部5aが突出しており、積層モジュール2の上凹部7cと嵌合させることができる。
【0052】
尚、開閉板3bは、奥側が回動可能に固定され、手前側を持ち上げるために、両端下側にアーム3cが垂設される。アーム3cは、シリンダ内でピストンを上下させることで伸縮する。
【0053】
上密閉容器5と積層モジュール2を密着させても、上凸部5aと上弾性膜7aの間には上圧力空間9aが存在し、上密閉容器5の前面には、上圧力空間9aと外部とを繋ぐ上圧力空間用吸気孔5bが空けられ、上圧力空間用吸気ノズル9が接続される。尚、上圧力空間用吸気ノズル9は、真空ポンプ3aと連結される。
【0054】
下密閉容器6は、水平に保持される。上面の中央部には、下凸部6aが突出しており、積層モジュール2の下凹部8cと嵌合させることができる。積層モジュール2はレール3d上をスライドして真空処理機構3と積層処理機構4の間を移動するが、真空処理機構3においては、下密閉容器6の上に載せられる。
【0055】
下密閉容器6と積層モジュール2を密着させても、下凸部6aと下弾性膜8aの間には下圧力空間10aが存在し、下密閉容器6の前面には、下圧力空間10aと外部とを繋ぐ下圧力空間用吸気孔6bが空けられ、下圧力空間用吸気ノズル10が接続される。尚、下圧力空間用吸気ノズル10は、真空ポンプ3aと連結される。
【0056】
上密閉容器5を閉じて上板7に被せることにより、積層モジュール2を上密閉容器5と下密閉容器6とで挟み込んだ状態にし、真空ポンプ3aで気体を吸引することにより、積層モジュール2内を真空にする。
【0057】
図5は、本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構の断面図である。図6は、本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構を分解した断面図である。
【0058】
印刷回路基板12が収められた上下弾性膜7a、8aに挟まれた薄膜内空間11a内の気体を排気するには、排気用管路を上板7又は下板8に設ける必要があり、本発明では、上板7に薄膜内吸気孔7eを設けている。
【0059】
しかし、薄膜内空間11aから直接気体を吸引すると、薄膜内吸気孔7eに近い部分が先に負圧になり、上下弾性膜7a、8aが大気圧13bで押されて密着してしまうので、薄膜内空間11aの中央部の気体の排出が阻害されてしまう。
【0060】
尚、薄膜内吸気孔7eから中央部に掛けて、紙や布など繊維状のものを置いて気体の吸引を行うと、繊維の隙間を通して排気が行われるので、薄膜内空間11a内を真空にすることは可能である。
【0061】
本発明では、常温環境において、上下弾性膜7a、8aの外側に大気圧13bが直接作用しないように、上弾性膜7aと上密閉容器5との間に上圧力空間9a、下弾性膜8aと下密閉容器6との間に下圧力空間10aを設ける。
【0062】
上圧力空間9aは、上板7の上凹部7cと上密閉容器5の上凸部5aを嵌め合わせることで密閉され、上圧力空間用吸気ノズル9が接続された上密閉容器5の上圧力空間用吸気孔5bからのみ外部との通気が可能である。
【0063】
下圧力空間10aは、下板8の下凹部8cと下密閉容器6の下凸部6aを嵌め合わせることで密閉され、下圧力空間用吸気ノズル10が接続された下密閉容器6の下圧力空間用吸気孔6bからのみ外部との通気が可能である。
【0064】
図7は、本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構の圧力空間に対し一次排気を開始した状況を示す断面図である。
【0065】
一次排気13として、真空ポンプ3aで上圧力空間用吸気孔5bから上圧力空間9aの気体を吸引し、同様に下圧力空間用吸気孔6bから下圧力空間10aの気体を吸引して、上圧力空間9a及び下圧力空間10aを真空化する。
【0066】
一次排気13すると、上下圧力空間9a、10aは真空で、薄膜内空間11aには大気が存在しているので、差圧により上弾性膜7aは上方へ引かれ、下弾性膜8aは下方に引かれて、薄膜内空間11aの寸法が拡大する。これにより、印刷回路基板12には重力以外何らの応力も加わらない自由空間が形成される。
【0067】
図8は、本発明である薄膜式ラミネート装置の一次排気に加え積層モジュール内の薄膜内空間に対し二次排気を開始した状況を示す断面図である。
【0068】
一次排気13により上下圧力空間9a、10aと薄膜内空間11aに差圧が生じたら、一次排気13を継続しつつ二次排気13aを開始する。上下密閉容器5、6内は、大気圧による干渉が無い自由空間となっているため、上下弾性膜7a、8aが密着してしまうことはなく、完全に気体を排気することが可能である。
【0069】
二次排気13aでは、真空ポンプ3aで薄膜内吸気孔7eから薄膜内空間11aの気体を吸引し、薄膜内空間11aを真空化する。上下圧力空間9a、10aと薄膜内空間11aは、共に真空化されて差圧がなくなるので、薄膜内空間11aの拡張は無くなり、上下弾性膜7a、8aの位置も元に戻る。
【0070】
図9は、本発明である薄膜式ラミネート装置の一次排気を停止し二次排気のみを行っている状況を示す断面図である。
【0071】
薄膜内空間11aが完全に真空化したら、一次排気13を停止し、上下圧力空間9a、10aの負圧を解除する。真空状態の薄膜内空間11aと、大気圧13bに戻った上下圧力空間9a、10aとの差圧により、上下弾性膜7a、8aが内側に押し付けられ、印刷回路基板12が収まった薄膜内空間11aの真空状態を継続維持することができる。
【0072】
本発明では、従来の多段式ラミネートプレス等のように、排気が必要な空間に油圧シリンダーや熱板などが存在せず、排気が必要な空間を最小限にすることができるので、真空ポンプ3aも小型で十分対応できる。また、自由空間となるため、印刷回路基板12に局部的に排気不十分な箇所が生じることもない。
【0073】
さらに、常温環境下で真空処理を行うので、接着剤12dが軟化して粘性が生じることもない。完全に真空化しているので、積層圧力を低くしても印刷回路基板12に気泡が残存せず、十分な品質の印刷回路基板12を作成することが可能となる。
【実施例3】
【0074】
図10は、本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構から積層処理機構への移送を示す斜視図である。図11は、本発明である薄膜式ラミネート装置の移送時における積層モジュールの状態を示す断面図である。
【0075】
生産性及び熱エネルギー節減の観点から、常温域である真空処理機構3と加温域である積層処理機構4とを分離し、常温域で真空処理を行い、真空状態を維持したまま加温域で加熱及び加圧処理を行う。
【0076】
上下弾性膜7a、8aに挟まれた印刷回路基板12を常温域で真空化し、薄膜内空間11aからの排気を継続すれば、弾性膜7a、8aは外部の大気圧13bにより印刷回路基板12に密着した状態のまま保持される。
【0077】
真空状態を維持したまま、積層モジュール2をレール3d上に沿って積層処理機構4へ移動させる。移動中であっても弾性膜7a、8aは大気圧13bにより印刷回路基板12に密着しているので、積層モジュール2内の印刷回路基板12の品質に影響を与えずに移送することができる。
【0078】
尚、積層処理時の加熱及び冷却の対象は、印刷回路基板12、上弾性膜7a及び下弾性膜8aだけである。熱容量が非常に小さいので、積層時に必要な熱エネルギーを極小化することが可能となる。即ち、省エネルギー効果を最大限に引き出すことが可能になり、エネルギーコストの大幅削減となる。
【0079】
加温域から常温域への移動も同様に行うが、加熱され高温状態にある印刷回路基板12を移送する場合であっても、接着剤12dの状態如何に関わらず、何ら変形を生じることなく、移送が可能である。
【実施例4】
【0080】
図12は、本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構へ積層モジュールを導入した場面を示す背面斜視図である。図13は、本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構の断面図である。
【0081】
積層処理機構4は、上処理容器14、下処理容器15、上熱源14a及び下熱源15a等からなる。積層処理機構4へ移送された積層モジュール2は、上側から上処理容器14を当て、下側から下処理容器15を当てて挟み込む。
【0082】
上処理容器14は、上密閉容器5と同様に積層モジュール2の上面に嵌合する。上処理容器14と上弾性膜7aとの間には上処理空間16が存在し、上処理空間16から外部に通じる上注入孔14bも上処理容器14に空けられる。
【0083】
上熱源14aは、外部から上処理容器14を介して上処理空間16内に熱を供給する装置である。上処理容器14には複数の上熱源14aを接続することができ、熱量を調整することも可能である。
【0084】
下処理容器15は、下密閉容器6と同様に積層モジュール2の下面に嵌合する。下処理容器15と下弾性膜8aとの間には下処理空間17が存在し、下処理空間17から外部に通じる下注入孔15bも下処理容器15に空けられる。
【0085】
下熱源15aは、外部から下処理容器15を介して下処理空間17内に熱を供給する装置である。下処理容器15には複数の下熱源15aを接続することができ、熱量を調整することも可能である。
【0086】
図14は、本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構の処理空間に対し加圧用流体を注入している状況を示す断面図である。図15は、本発明である薄膜式ラミネート装置の印刷回路基板に対し積層加工を施している状況を示す拡大断面図である。
【0087】
上下弾性膜7a、8aに圧力を加えるために、流体注入18を行う。流体注入18では、加圧用タンク3eと連結した上注入孔14bから上処理空間16内に上加圧用流体16aを注入し、加圧用タンク3eと連結した下注入孔15bから下処理空間17内に下加圧用流体17aを注入する。
【0088】
上加圧用流体16a及び下加圧用流体17aは、気体でも液体でも構わない。加えた圧力はどの部分においても等しく伝わるため、印刷回路基板12の凹凸があっても、柔軟な上下弾性膜7a、8aが凹凸に沿って密着する。
【0089】
上処理容器14の上熱源14aと下処理容器15の下熱源15aにより加熱18aも行われる。加熱18aにより、印刷回路基板12の接着剤12dは溶融し、導体12aの隙間などに流れ込む。
【0090】
導体12aがなく接着剤12dが流れ込んだ部分は凹むため、表面に凹凸が生じるが、上下加圧用流体16a、17aが上下弾性膜7a、8aを介して均等に圧力を加えるため、カバーフィルム12cも凹凸に沿って貼り付く。
【0091】
導体12aの露出部でカバーフィルム12cに開口部12eを設けた箇所については、周辺部の接着剤12dが流れ込んで導体12aを覆ってしまわないように、上弾性膜7aが開口部12eに沿って密着し、接着剤12dの流出を防ぐ。
【0092】
予め常温環境下で真空化されているため、接着剤12dの流れ込む際に気泡を閉じ込めてしまうことはなく、上下加圧用流体16a、17aにより均等に加圧12fされ、カバーフィルム12cと導体12aとが粘着性を増した接着剤12dにより貼付される。
【0093】
印刷回路基板12は、一枚ずつ単体で処理されるため、過度な圧力による導体12aの亀裂、断線などの損傷が生じる可能性は低い。また、圧力が全体的に均一に掛かるため、上下からの圧力で横方向へ伸びてしまうこともなく、寸法変化が極小化する。
【0094】
上処理空間16と下処理空間17は、それぞれ独立しているので、上処理空間16に加える圧力と下処理空間17に加える圧力を個別に設定することが可能である。表面と裏面の状態が異なっていても、適切な圧力に調整することができる。
【0095】
また、上処理空間16に注入する上加圧用流体16aと、下処理空間17に注入する下加圧用流体17aを、異なる種類の物質にしたり、上弾性膜7aと下弾性膜8aも異なる種類の素材にすることにより、調整することも可能である。
【0096】
例えば、ベースフィルム12bと導体12aとが予め接着されており、下側の接着剤12dも固化している場合は、カバーフィルム12c側に大きな圧力が掛かるように調整しても良い。
【0097】
尚、中間処理としてフィルム自体に接着性のあるものを貼り付ける場合や、カバーフィルム12cを被せるのではなく、印刷回路基板12を貼り合わせて重ねる場合など、様々な応用例もある。
【実施例5】
【0098】
図16は、本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構において加圧用流体に差圧を設けた場合を示す断面図である。
【0099】
上加圧用流体16aの圧力と下加圧用流体17aの圧力の大きさを変え、差圧18bを設けることにより、印刷回路基板12の入った上下弾性膜7a、8aの位置を変動させることができる。
【0100】
例えば、上加圧用流体16aよりも下加圧用流体17aの圧力を大きくすることで、上下弾性膜7a、8aを上方に移動させ、上処理容器14の上熱源14aに押し当てることにより、印刷回路基板12の上面をより効率的に加熱することができる。
【0101】
上下熱源14a、15aは、電気ヒーターや蒸気などにより、上下処理容器14、15を発熱させて加熱しても良いし、上下処理空間16、17に発熱体を設置して加熱しても良いし、上下加圧用流体16a、17aの温度を上げて加熱しても良い。
【0102】
本発明は、印刷回路基板12の上下には弾性膜7a、8aのみであり、積層時の緩衝としてステンレス板、ガラス布入り耐熱ゴム、クラフト紙など各種副資材を挟む必要はないので、熱伝導率が非常に良い。
【0103】
また、印刷回路基板12も一枚ずつ処理し、複数枚の印刷回路基板12を重ね合わせる訳ではないので、加熱18a及び加圧12fにムラは生じず、品質が安定する。熱効率が良いため、一枚当たりの処理時間も短時間で済む。
【0104】
多段式ラミネートプレスやオートクレーブでは、装置全体の加熱及び冷却に要するエネルギーが大きく、処理に約2時間も掛かるのに対し、本発明では、上下弾性膜7a、8a及び印刷回路基板12のみを加熱及び冷却するので、1回当たり所要時間は、約2、3分である。
【0105】
加熱及び冷却のサイクルも短縮され、複数枚繰り返し処理しても短時間で終わらせることができる。本発明は、熱の伝達効率が大幅に改善され、全体としてエネルギーの損失も極小化されているので、従来に比べ生産性も格段に向上する。
【0106】
図17は、本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構に加圧用流体の差圧をエアシリンダーで調整する仕組みを設けた場合を示す断面図である。
【0107】
差圧18bを設ける際に、加圧用流体16a、17aとして気体を用いると、圧力による気体の体積変化が起こり、上処理空間16又は下処理空間17の圧力を上げる際に若干の時間を必要とする。また、上処理空間16又は下処理空間17の圧力を急激に下げると、体積膨張による破裂音が生じるので、徐々に圧力を下げる必要がある。
【0108】
差圧18bを設けるのに時間が掛かると、全体的な効率の低下を招く可能性がある。本発明では、エアシリンダー18cを設置して、上処理空間16と下処理空間17の圧力の調整を短時間で行う。
【0109】
エアシリンダー18cの一方を上処理空間16に接続し、他方を下処理空間17に接続することにより、上下の圧力を連動させることにより短時間で差圧18bを設けることができるようになる。
【0110】
上処理空間16の圧力を上がれば、下処理空間17の圧力が下がり、上下弾性膜7a、8aを下方へ変位させることができる。逆に、上処理空間16の圧力を下げれば、下処理空間17の圧力が上がり、上下弾性膜7a、8aは上方へ変位する。
【実施例6】
【0111】
図18は、本発明である薄膜式ラミネート装置による積層方法を示す工程図である。薄膜式ラミネート装置による積層方法20は、真空処理工程20a、移送工程20b及び積層処理工程20cからなる。
【0112】
真空処理工程20aは、常温域において、一次排気13と二次排気13aにより、積層モジュール2内を真空化する工程である。即ち、上下弾性膜7a、8aに挟まれた印刷回路基板12から気泡発生要因となる大気を除去する。
【0113】
一次排気13は、積層モジュール2の外側を真空化することにより、積層モジュール2に大気圧13bの影響が及ばないようにする。
【0114】
二次排気13aは、一次排気13の効果を持続させたまま、積層モジュール2内の気体を吸引して真空化する。完全に真空化したら、二次排気13aはそのまま継続し、一次排気13を解除する。
【0115】
内部が真空化のままの積層モジュール2は、外側から大気圧13bの影響を受けるようになり、上下弾性膜7a、8aが印刷回路基板12に密着した状態となる。即ち、積層モジュール2内に気体が入らないように密封される。
【0116】
移送工程20bは、積層モジュール2内の真空を保持したまま、常温域から加温域に移動させる工程である。常温域で真空化してから、加温域で加熱及び加圧することで、気泡残存の可能性を無くしている。
【0117】
積層処理工程20cは、加温域において、流体注入18と加熱18aにより、積層モジュール2内の印刷回路基板12を積層加工する工程である。尚、印刷回路基板12は一枚単位で処理する。
【0118】
流体注入18は、積層モジュール2の外側に流体を充填し、上下弾性膜7a、8aを介して印刷回路基板12に均等な圧力を掛ける。印刷回路基板12の形状を維持したフィルム12b、12cの貼付けが可能となる。
【0119】
加熱18aは、印刷回路基板12を加熱し、接着剤12dを融かして、積層した導体12aとフィルム12b、12cを、流体による加圧12fを利用して貼り付ける。尚、流体に差圧18bを設けることで、加熱18a具合を調整することもできる。
【0120】
本発明により、低圧力で気泡が残存せず、導体12a露出部への接着剤12dの流出が無く、導体12aへの損傷もなく、印刷回路基板12のサイズ変形も極小で、熱エネルギーの損失も極めて少ない、高品質の印刷回路基板12を短時間で効率的に製造することが可能となる。
【実施例7】
【0121】
図19は、本発明と従来技術の効果を比較した表である。表19に示すように、従来技術である多段式ラミネートプレス、快速ラミネートプレス及びオートクレーブと、本発明である薄膜式ラミネートプレス(薄膜式ラミネート装置1)について、気泡が残存しない印刷回路基板12を製造するのに必要な積層圧力を比較した。
【0122】
真空処理機構を設けない多段式ラミネートプレスでは、1平方センチメートル当たり40〜50キログラム重の圧力が必要であり、真空処理機構を設けた多段式ラミネートプレスでは、1平方センチメートル当たり15〜25キログラム重の圧力が必要である。
【0123】
真空処理機構を設けない快速ラミネートプレスでは、1平方センチメートル当たり40〜50キログラム重の圧力が必要であり、真空処理機構を設けた多段式ラミネートプレスでは、1平方センチメートル当たり約20キログラム重の圧力が必要である。
【0124】
真空処理機構の有るオートクレーブでは、1平方センチメートル当たり15キログラム重の圧力が必要である。
【0125】
それに対し、真空処理機構の有る薄膜式ラミネートプレスでは、1平方センチメートル当たり5〜10キログラム重の圧力で気泡の残存しない印刷回路基板12を製造することができた。
【0126】
本発明では、加熱用エネルギーの大幅削減も期待でき、実験においては、熱板電気容量1.8キロワットを2面で合計3.6キロワットの小さなエネルギーで行ったが、さらに50%以上の熱エネルギーを削減することができる。
【0127】
以上のように、本発明である薄膜式ラミネート装置は、加温及び加圧する前に真空処理を施して予め気体を除去しておくことにより、積層された印刷回路基板内に気泡が残存しないようになり、ラミネート品質を向上させることができる。
【0128】
印刷回路基板を2枚の弾性膜に挟み、弾性膜の外側から流体で圧力を加えることにより、カバーフィルムの開口部にも積層圧力が均等に加わり、接着剤が流れ出すのを押さえることができる。
【0129】
真空処理を印刷回路基板単体で行うため、真空処理の効果が大きく、積層に必要な圧力も大幅に減らすことが可能となり、印刷回路基板の損傷も大幅に低減され、総合的な生産性が非常に高くなる。
【0130】
弾性膜を介して流体により圧力を掛けるので、印刷回路基板に対して全方向から均等な圧力が加わるので、印刷回路基板の寸法変化が極小になる。また、積層に必要な圧力も低くて済む。
【0131】
積層時の熱負荷は、熱容量の小さな弾性膜と印刷回路基板のみであるので小さくて済み、加熱用エネルギーの大幅削減が可能となる。加熱時間もわずかとなり、環境負荷の軽減に非常に大きな効果がある。
【0132】
印刷回路基板を複数でなく単体で処理するので、加熱量及び加熱時間の調整が容易で、品質も安定する。緩衝材等もないため熱伝導率も良く、軽量化される上に、他の印刷回路基板等から圧力の影響を受けることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明である薄膜式ラミネート装置の装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明である薄膜式ラミネート装置の積層モジュールを開いて印刷回路基板をセットした状態を示す斜視図である。
【図3】本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構へ積層モジュールを導入した場面を示す正面斜視図である。
【図4】本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構において真空処理をしている場面を示す斜視図である。
【図5】本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構の断面図である。
【図6】本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構を分解した断面図である。
【図7】本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構の圧力空間に対し一次排気を開始した状況を示す断面図である。
【図8】本発明である薄膜式ラミネート装置の一次排気に加え積層モジュール内の薄膜内空間に対し二次排気を開始した状況を示す断面図である。
【図9】本発明である薄膜式ラミネート装置の一次排気を停止し二次排気のみを行っている状況を示す断面図である。
【図10】本発明である薄膜式ラミネート装置の真空処理機構から積層処理機構への移送を示す斜視図である。
【図11】本発明である薄膜式ラミネート装置の移送時における積層モジュールの状態を示す断面図である。
【図12】本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構へ積層モジュールを導入した場面を示す背面斜視図である。
【図13】本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構の断面図である。
【図14】本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構の処理空間に対し加圧用流体を注入している状況を示す断面図である。
【図15】本発明である薄膜式ラミネート装置の印刷回路基板に対し積層加工を施している状況を示す拡大断面図である。
【図16】本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構において加圧用流体に差圧を設けた場合を示す断面図である。
【図17】本発明である薄膜式ラミネート装置の積層処理機構に加圧用流体の差圧をエアシリンダーで調整する仕組みを設けた場合を示す断面図である。
【図18】本発明である薄膜式ラミネート装置による積層方法を示す工程図である。
【図19】本発明と従来技術の効果を比較した表である。
【図20】従来のラミネート装置の断面図である。
【符号の説明】
【0134】
1 薄膜式ラミネート装置
2 積層モジュール
3 真空処理機構
3a 真空ポンプ
3b 開閉板
3c アーム
3d レール
3e 加圧用タンク
4 積層処理機構
5 上密閉容器
5a 上凸部
5b 上圧力空間用吸気孔
6 下密閉容器
6a 下凸部
6b 下圧力空間用吸気孔
7 上板
7a 上弾性膜
7b 上フレーム
7c 上凹部
7d 上シール
7e 薄膜内吸気孔
7f 把持部
7g 蝶番
8 下板
8a 下弾性膜
8b 下フレーム
8c 下凹部
8d 下シール
9 上圧力空間用吸気ノズル
9a 上圧力空間
10 下圧力空間用吸気ノズル
10a 下圧力空間
11 薄膜内吸気ノズル
11a 薄膜内空間
12 印刷回路基板
12a 導体
12b ベースフィルム
12c カバーフィルム
12d 接着剤
12e 開口部
12f 加圧
13 一次排気
13a 二次排気
13b 大気圧
14 上処理容器
14a 上熱源
14b 上注入孔
15 下処理容器
15a 下熱源
15b 下注入孔
16 上処理空間
16a 上加圧用流体
17 下処理空間
17a 下加圧用流体
18 流体注入
18a 加熱
18b 差圧
18c エアシリンダー
19 表
20 薄膜式ラミネート装置による積層方法
20a 真空処理工程
20b 移送工程
20c 積層処理工程
21 ラミネート装置
21a 上熱板
21b 下熱板
21c 印刷回路基板
21d 導体
21e ベースフィルム
21f カバーフィルム
21g 接着剤
21h 凸部
21i 凹部
21j 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い弾力性のある上弾性膜を張った上板と薄い弾力性のある下弾性膜を張った下板との間に積層した印刷回路基板を挟み込むことにより、前記上下弾性膜を介して外部から前記印刷回路基板に圧力を加えることを特徴とする積層モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の積層モジュールを上処理容器と下処理容器とで挟み込み、前記積層モジュールと上処理容器との間に上加圧用流体を注入し、且つ前記積層モジュールと下処理容器との間に下加圧用流体を注入することにより上弾性膜と下弾性膜の間に挟まれた印刷回路基板に均一な圧力を加えることを特徴とする積層処理機構。
【請求項3】
請求項1に記載の積層モジュールを上密閉容器と下密閉容器とで挟み込み、前記積層モジュールと上密閉容器の間及び前記積層モジュールと下密閉容器の間を真空にした上で、残存大気との差圧により拡がった前記積層モジュール内の気体を吸引した後、前記積層モジュールの外側を常圧に戻すことにより前記積層モジュール内を真空に保つことを特徴とする真空処理機構。
【請求項4】
上加圧用流体と下加圧用流体に差圧を設けることにより上処理容器及び下処理容器に設けた熱源に印刷回路基板を押し当てて加熱することを特徴とする請求項2に記載の積層処理機構。
【請求項5】
請求項3に記載の真空処理機構で内部の気体を除去した積層モジュールを、真空状態を保持したまま請求項2又は請求項4に記載の積層処理機構に移送し、印刷回路基板に加熱及び加圧して積層加工することを特徴とする薄膜式ラミネート装置。
【請求項6】
常温域において上下弾性膜で印刷回路基板を挟み込んだ積層モジュールの外部を真空にし拡がった前記積層モジュールの内部から気体を吸引した後で前記積層モジュールの外部を常圧に戻す真空処理工程、前記積層モジュールを内部の真空を維持したまま常温域から加温域に移動させる移送工程、及び加温域において前記積層モジュールの外部に上下加圧用流体を注入して前記印刷回路基板に均一な圧力を掛ける積層工程からなることを特徴とする薄膜式ラミネート装置による積層方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−238607(P2008−238607A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83194(P2007−83194)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【特許番号】特許第4032316号(P4032316)
【特許公報発行日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(307009746)有限会社タフ (1)
【Fターム(参考)】