薄膜蒸着装置
【課題】薄膜蒸着装置を提供する。
【解決手段】 基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、蒸着源ノズル部と対向して配され、第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置である。
【解決手段】 基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、蒸着源ノズル部と対向して配され、第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着装置に係り、さらに詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率が向上した薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いという長所を有しており、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は、アノードとカソードとから注入される正孔と電子とが発光層で再結合して発光する原理で色相を具現できるように、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造である。しかし、このような構造では、高効率発光を得難いため、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層などの中間層を選択的に追加挿入して使用している。
【0004】
しかし、発光層及び中間層のような有機薄膜の微細パターンを形成することが実質的に非常に難しく、前記層によって、赤色、緑色及び青色の発光効率が変わるため、従来の薄膜蒸着装置では、大面積(5G以上のマザーガラス)に対するパターニングが不能であるので、満足すべきレベルの駆動電圧、電流密度、輝度、色純度、発光効率及び寿命を有する大型有機発光ディスプレイ装置を製造できないところ、その改善が至急に求められている。
【0005】
一方、有機発光ディスプレイ装置は、相互対向した第1電極と第2電極との間に、発光層及びそれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層は、多様な方法で形成できるが、そのうち一つの方法が蒸着である。蒸着方法を利用して、有機発光ディスプレイ装置を製作するためには、薄膜が形成される基板面に、形成される薄膜のパターンと同じパターンを有するファインメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を密着させ、かつ薄膜の材料を蒸着して、所定パターンの薄膜を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易な薄膜蒸着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0008】
本発明において、相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されうる。
本発明において、同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように、前記サブスリットが配されうる。
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形でありうる。
【0009】
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状でありうる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成され、前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動自在に形成されうる。
ここで、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動しつつ、前記基板上に前記各薄膜蒸着装置の各蒸着物質が連続して蒸着されうる。
【0010】
ここで、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは、前記基板で前記蒸着物質が蒸着される面と平行した面に沿って、いずれか一側が他側に対して相対的に移動できる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されうる。
本発明において、前記蒸着源ノズルの総数より前記パターニングスリットの総数がさらに多く形成されうる。
【0011】
他の側面による本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しながら蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、一体に形成され、前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0012】
本発明において、相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されうる。
【0013】
本発明において、同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように、前記サブスリットが配されうる。
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形でありうる。
【0014】
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状でありうる。
本発明において、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、連結部材によって結合されて一体に形成されうる。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドできる。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシート間の空間を外部から密閉するように形成されうる。
【0015】
本発明において、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成されうる。
本発明において、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続して蒸着されうる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されうる。
【0016】
本発明において、前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされて形成されうる。
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを備え、前記2列の蒸着源ノズルは、相互対向してチルトされうる。
【0017】
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを備え、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に対向して配され、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に対向して配されうる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図3】図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図4A】従来のFMM方式におけるパターンの形状を示す図面である。
【図4B】基板とパターニングスリットシートとを離隔させ、単一スリットでパターニングスリットを構成する場合のパターンの形状を示す図面である。
【図5A】図1の薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートを示す図面である。
【図5B】図5Aのパターニングスリットシート及びこれによって形成されたパターンの形状を示す図面である。
【図5C】複数のパターンを重畳させて新たなパターンを形成する場合の具体的な実験結果を示すグラフである。
【図6A】本発明の第1実施例の一変形例によるパターニングスリットシートを示す図面である。
【図6B】図6Aのパターニングスリットシート及びこれによって形成されたパターンの形状を示す図面である。
【図7A】本発明の第1実施例の他の変形例によるパターニングスリットシートを示す図面である。
【図7B】本発明の第1実施例の他の変形例によるパターニングスリットシートを示す図面である。
【図8】本発明による薄膜蒸着装置で製造されうる有機発光ディスプレイ装置の断面図である。
【図9】本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図10】図9の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図11】図9の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図12】本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置を示す図面である。
【図13】本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせなかった時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図14】本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して、本発明による望ましい実施例を詳細に説明すれば、次の通りである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図3は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図1、図2及び図3を参照すれば、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を備える。
ここで、図1、図2及び図3には、説明の便宜上、チャンバを図示していないが、図1ないし図3のすべての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0022】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して基板400に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的にチャンバ(図示せず)の内部は、FMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、パターニングスリットシート150の温度が蒸着源110の温度より十分に低くなければならない(約100°C以下)。それは、パターニングスリットシート150の温度が十分に低くなければ、温度によるパターニングスリットシート150の熱膨張問題を最小化できないためである。
【0023】
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は、平板表示装置用基板となりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施例では、基板400が薄膜蒸着装置100に対して相対的に移動しつつ蒸着が進行されることを特徴とする。
【0024】
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMのサイズが基板のサイズと同じく形成されねばならない。したがって、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されねばならず、したがって、FMMの製作が容易でなく、FMMを引っ張って精密なパターンにアラインすることも容易でないという問題点が存在した。
【0025】
このような問題点を解決するために、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、薄膜蒸着装置100と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されることを特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着装置100と対向して配された基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して蒸着される。すなわち、基板400が図1の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着されることである。ここで、図面には、基板400がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着されると示されているが、本発明の思想は、これに制限されず、基板400は、固定されており、薄膜蒸着装置100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着されることも可能である。
【0026】
したがって、本発明の薄膜蒸着装置100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート150を作りうる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置100の場合、基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して、すなわち、スキャニング方式で蒸着するため、パターニングスリットシート150のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板400の長さよりはるかに短く形成されうる。このように、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート150を作りうるため、本発明のパターニングスリットシート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、それ以後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのすべての工程で、小さなサイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて、有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほどさらに有利になる。
【0027】
このように、薄膜蒸着装置100と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されるためには、薄膜蒸着装置100と基板400とが一定程度離隔されることが望ましい。これについては、後述する。
【0028】
一方、チャンバ内で前記基板400と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化されるにつれて、基板400に蒸着がなされる。
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填される坩堝111と、坩堝111を加熱させて坩堝111の内部に充填された蒸着物質115を坩堝111の一側、詳細には、蒸着源ノズル部120側に蒸発させるためのヒータ112と、を備える。
【0029】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110で基板400に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120を通過して、被蒸着体である基板400側に向かう。
【0030】
一方、蒸着源110と基板400との間には、パターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備えられる。フレーム155は、大概窓枠のような形態に形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成される。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して、被蒸着体である基板400側に向かう。この時、前記パターニングスリットシート150は、従来のファインメタルマスク(FMM)、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット151の総数がさらに多く形成されうる。
【0031】
ここで、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成することを特徴とする。このように、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンが相互重畳されるように、サブスリット151a,151bを配することによって、所望のパターン形状を形成することが可能になる。これについては、後述する。
一方、前述した蒸着源110(及び、これと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリットシート150とは、相互一定程度離隔されて形成され、蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリットシート150とは、連結部材135によって相互連結されうる。
【0032】
前述したように、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着装置100が基板400に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は、基板400から一定程度離隔されて形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板400とを離隔させる場合、陰影が発生してパターンの形状が所望の形態に形成されないという問題が発生する。このような問題点を解決するために、本発明の一実施例による薄膜蒸着装置100は、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンの重畳を利用して、所望のパターン形状を形成することを特徴とする。
【0033】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進行した。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化されるにつれて、マスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成することが容易でないという問題点が存在した。
【0034】
このような問題点を解決するために、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100では、パターニングスリットシート150を被蒸着体である基板400と所定間隔離隔させる。これは、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンの重畳を利用して所望のパターン形状を形成することによって実現可能になる。
【0035】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着できることで、マスク製作が容易になる効果が得られる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上するという効果が得られる。
以下では、従来のFMM方式でのパターンの形状と、基板とパターニングスリットシートとを離隔させ、単一スリットでパターニングスリットを構成する場合と、基板とパターニングスリットシートとを離隔させ、複数のサブスリットでパターニングスリットを構成する場合のパターンの形状と、を詳細に比較する。
【0036】
図4Aに示したように、従来のFMM方式では、マスク150'と基板400とが密着結合された。したがって、基板400に陰影が発生せず、所望の形状のパターンPS1が形成された。しかし、このような従来のFMM方式の場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならないという問題点が存在した。
【0037】
一方、図4Bに示したように、パターニングスリットが単一スリットで構成された場合、マスク150''を基板400より小さく形成した後、マスク150''を基板400に対して移動させつつ蒸着できることで、マスク製作が容易になり、基板とマスクとの接触による不良が防止された。しかし、この場合、マスク150''と基板400とが一定程度離隔されるため、必然的に陰影が発生し、したがって、パターンPS2が所望の形状に形成されないという問題点が存在する。
【0038】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施例による薄膜蒸着装置100は、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンの重畳を利用して、所望のパターン形状を形成することを特徴とする。
すなわち、図5Aに示したように、一つのパターニングスリット151は、二つのサブスリット151a,151bで構成される。言い換えれば、相互隣接したパターニングスリット151間の間隔は、一つのパターニングスリット151に属する相互隣接したサブスリット151a,151b間の間隔よりさらに広く構成される。
【0039】
このようなパターニングスリットシート150によって形成されたパターンの形状が、図5Bに示されている。すなわち、第1サブスリット151aを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンと、第2サブスリット151bを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンとは、少なくとも一部が相互重畳されて形成される。このように重畳されたパターンは、蒸発粒子の広がり現象によって上端部が平坦になりつつ、結果的に、所定形状の単一パターンPS3を形成し、これは、従来のFMM方式によって形成されたパターンPS1の形状とほぼ類似した形態を有する。
【0040】
図5Cは、複数のパターンを重畳させて新たなパターンを形成する場合の具体的な実験結果を示すグラフである。図5Cに示したように、相互隣接したサブスリットを通じて形成された二つのパターンB,Cが合成されて新たな形態のパターンDが形成されうる。
【0041】
一方、図5A及び図5Bには、一つのパターニングスリット151が二つのサブスリット151a,151bで形成されていると示されているが、本発明の思想は、これに制限されず、パターニングスリットは、二つ以上の複数のサブスリットで構成され、サブスリットの数、サブスリット間の間隔及び各パターニングスリット間の間隔は、所望のパターン形状によって自由に選択可能である。
【0042】
例えば、図6Aに示したように、一つのパターニングスリット151が五つのサブスリット151a,151b,151c,151d,151eで形成されることもある。すなわち、各サブスリットを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンは、それと隣接したサブスリットを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンと少なくとも一部が相互重畳されて形成される。このように重畳されたパターンは、蒸発粒子の広がり現象によって上端部が平坦になりつつ、結果的に、所定形状の単一パターンPS4を形成し、これは、従来のFMM方式によって形成されたパターンPS1の形状とほぼ類似した形態を有する。
【0043】
または、図7A及び図7Bに示されているように、パターニングスリットが多重のホール形状のサブスリットを含んで備えられることによって、四角形または所望の形状のパターンを形成することもある。
このような本発明によって、基板とマスクとが相互一定程度離隔されても、所望の形態のパターン形状を具現できることによって、マスク製作が容易になり、基板とマスクとの接触による不良が防止され、製造速度が向上する効果が得られる。
図8は、本発明の蒸着装置を利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ装置の断面を示した図面である。
【0044】
図8に示したように、ガラス材またはプラスチック材の基板50上にバッファ層51が形成されており、この上に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)と、有機電界発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)が形成される。
【0045】
基板50のバッファ層51上に所定パターンの活性層52が備えられる。活性層52の上部には、ゲート絶縁膜53が備えられ、ゲート絶縁膜53の上部の所定領域には、ゲート電極54が形成される。ゲート電極54は、薄膜トランジスタのオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。ゲート電極54の上部には、層間絶縁膜55が形成され、コンタクトホールを通じてソース/ドレイン電極56,57がそれぞれ活性層52のソース/ドレイン領域52b,52cに接して形成される。ソース/ドレイン電極56,57の上部には、SiO2、SiNXで形成されたパッシベーション膜58が形成され、パッシベーション膜58の上部には、アクリル、ポリイミド、BCB(BenzoCycloButene)などの有機物質で平坦化膜59が形成されている。平坦化膜59の上部にOLEDのアノード電極となる画素電極61が形成され、これを覆うように、有機物で画素定義膜60が形成される。画素定義膜60に所定の開口を形成した後、画素定義膜60の上部及び開口が形成されて外部に露出された画素電極61の上部に有機膜62を形成する。有機膜62は、発光層を備える。本発明は、必ずしもこのような構造に限定されるものではなく、多様な有機発光ディスプレイ装置の構造がそのまま適用されうる。
【0046】
OLEDは、電流の流れによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、薄膜トランジスタのドレイン電極56に連結されて、これからプラス(+)電源を供給される画素電極61と、全体画素を覆うように備えられて、マイナス(−)電源を供給する対向電極63と、これらの画素電極61と対向電極63との間に配されて発光する有機膜62と、で構成される。
【0047】
画素電極61と対向電極63とは、有機膜62によって互いに絶縁されており、有機膜62に相異なる極性の電圧を加えて有機膜62から発光させる。
有機膜62は、低分子または高分子有機膜が使われうるが、低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)が単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)をはじめとして多様に適用可能である。これらの低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成される。
【0048】
高分子有機膜の場合には、大概HTL及びEMLで備えられた構造を有し、この時、HTLとしてPEDOT(Poly(3,4−Ethylene Dioxythiophene))を使用し、発光層としてPPV(Poly−Phenylene Vinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法で形成できる。
【0049】
このような有機膜は、必ずしもこれに限定されず、多様な実施例が適用されうる。
画素電極61は、アノード電極の機能を行い、対向電極63は、カソード電極の機能を行うが、もちろん、これらの画素電極61と対向電極63との極性は、逆になっても構わない。
画素電極61は、透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3を形成できる。
【0050】
一方、対向電極63も透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、対向電極63がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さい金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を有機膜62の方向に蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記のLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を前面蒸着して形成する。
【0051】
このような有機発光ディスプレイ装置において、発光層を備える有機膜62は、前述した薄膜蒸着装置100(図1を参照)によって形成されうる。本発明は、これ以外にも、有機TFTの有機膜または無期膜の蒸着にも使用でき、その他、多様な素材の成膜工程に適用可能である。
【実施例2】
【0052】
図9は、本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図であり、図10は、図9の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図11は、図9の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図9、図10及び図11を参照すれば、本発明の第2実施例に関する薄膜蒸着装置900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。
【0053】
ここで、図9、図10及び図11には、説明の便宜上、チャンバを示していないが、図9ないし図11のすべての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0054】
詳細には、蒸着源910から放出された蒸着物質915を蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して基板400に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的に、チャンバ(図示せず)の内部は、FMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、パターニングスリットシート950の温度が蒸着源910の温度より十分に低くなければ(約100°C以下)ならない。それは、パターニングスリットシート950の温度が十分に低くなければ、温度によるパターニングスリットシート950の熱膨張問題を最小化できないためである。
【0055】
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は、平板表示装置用基板となりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施例では、基板400が薄膜蒸着装置900に対して相対的に移動しつつ蒸着が進行されることを一特徴とする。
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同じく形成されなければならない。したがって、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されなければならず、これにより、FMMの製作が容易でなく、FMMを引張して精密なパターンにアラインすることも容易でないという問題点が存在した。
【0056】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施例に関する薄膜蒸着装置900は、薄膜蒸着装置900と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着装置900と対向して配された基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して蒸着する。すなわち、基板400が図9の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着される。ここで、図面には、基板400がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着されると示されているが、本発明の思想は、これに制限されず、基板400は、固定されており、薄膜蒸着装置900自体がY軸方向に移動しつつ蒸着することも可能である。
【0057】
したがって、本発明の薄膜蒸着装置900では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート950を作りうる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置900の場合、基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して、すなわち、スキャニング方式で蒸着するため、パターニングスリットシート950のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板400の長さよりはるかに短く形成されうる。このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート950を作りうるため、本発明のパターニングスリットシート950は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート950のエッチング作業や、その以後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのすべての工程で、小さなサイズのパターニングスリットシート950がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほどさらに有利になる。
【0058】
このように、薄膜蒸着装置900と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されるためには、薄膜蒸着装置900と基板400とが一定程度離隔されることが望ましい。これについては、後で詳細に記述する。
【0059】
一方、チャンバ内で前記基板400と対向する側には、蒸着物質915が収納及び加熱される蒸着源910が配される。前記蒸着源910内に収納されている蒸着物質915の気化によって、基板400に蒸着される。
詳細には、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填される坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に充填された蒸着物質915を坩堝911の一側、詳細には、蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912と、を備える。
【0060】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910から基板400に向かう側には、蒸着源ノズル部920が配される。そして、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向、すなわち、基板400のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル921は、等間隔で形成されうる。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、このような蒸着源ノズル部920を通過して被蒸着体である基板400方向に向かう。このように、蒸着源ノズル部920上にY軸方向、すなわち、基板400のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される場合、パターニングスリットシート950のそれぞれのパターニングスリット951を通過する蒸着物質によって形成されるパターンのサイズは、一つの蒸着源ノズル921のサイズにのみ影響を受けるので(すなわち、X軸方向には、蒸着源ノズル921が一つだけ存在するので)、陰影が発生しなくなる。また、複数の蒸着源ノズル921がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間フラックス(flux)差が発生しても、その差が相殺されて蒸着均一度が一定に維持される効果が得られる。
【0061】
一方、蒸着源910と基板400との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられる。フレーム955は、大体窓枠組のような形態で形成され、その内側にパターニングスリットシート950が結合される。そして、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して、被蒸着体である基板400方向に向かう。この時、前記パターニングスリットシート950は、従来のFMM、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法のエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル921の総数よりパターニングスリット951の総数がさらに多く形成されうる。
【0062】
一方、前述した蒸着源910、これと結合された蒸着源ノズル部920、及びパターニングスリットシート950は、互いに一定程度離隔されて形成され、蒸着源910、これと結合された蒸着源ノズル部920、及びパターニングスリットシート950は、連結部材935によって相互連結されうる。すなわち、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950が連結部材935によって連結されて相互一体に形成されうる。ここで、連結部材935は、蒸着源ノズル921を通じて排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材935が蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950の左右方向に形成されて蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると示されているが、これは、図示の便宜のためのものであり、本発明の思想は、これに制限されず、連結部材935がボックス状の密閉型に形成されて、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向の移動を同時にガイドすることもある。
【0063】
前述したように、本発明の一実施例に関する薄膜蒸着装置900は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着し、このように、薄膜蒸着装置900が基板400に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート950は、基板400から一定程度離隔されて形成される。
【0064】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を発生させないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進行した。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置の大型化によって、マスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成することが容易でないという問題点が存在した。
【0065】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施例に関する薄膜蒸着装置900では、パターニングスリットシート950を被蒸着体である基板400と所定間隔離隔して配させる。
このような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着することによって、マスク製作が容易になる効果が得られる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果が得られる。
【0066】
ここで、本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置900は、複数のサブスリット951a,951bで一つのパターニングスリット951を構成することを一特徴とする。このように、複数のサブスリット951a,951bで一つのパターニングスリット951を構成し、前記複数のサブスリット951a,951bを通じて形成されたパターンが相互重畳されるようにサブスリット951a,951bを配することによって、所望のパターン形状を形成することが可能になる。これについては、第1実施例で詳細に説明したので、本実施例では、その詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0067】
図12は、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填される坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に充填された蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912と、を備える。一方、蒸着源910の一側には、蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板400との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源910、蒸着源ノズル部920、及びパターニングスリットシート950は、連結部材935によって結合される。
本実施例では、蒸着源ノズル部920に形成された複数の蒸着源ノズル921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述した第2実施例と区別される。詳細には、蒸着源ノズル921は、二列の蒸着源ノズル921a,921bで形成され、前記二列の蒸着源ノズル921a,921bは、交互して配される。この時、蒸着源ノズル921a,921bは、XZ平面上で所定角度に傾斜するようにチルトされて形成されうる。
【0068】
すなわち、本実施例では、蒸着源ノズル921a,921bを所定角度チルトして配させる。ここで、第1列の蒸着源ノズル921aは、第2列の蒸着源ノズル921bに対向してチルトされ、第2列の蒸着源ノズル921bは、第1列の蒸着源ノズル921aに対向してチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル921aは、パターニングスリットシート950の右側端部に対向して配され、右側列に配された蒸着源ノズル921bは、パターニングスリットシート950の左側端部に対向して配されうる。
【0069】
図13は、本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせなかった時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、図14は、本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。図13と図14とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増加して、蒸着膜の均一度が上昇することが分かる。
【0070】
このような構成によって、基板の中央及び終端部における成膜の厚さ差が減少して全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が上昇する効果が得られる。
ここで、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置900は、基板400と共に移動し、基板400の非成膜領域401,402を分類して配される遮断部材961,962をさらに備え、基板400の非成膜領域401,402に有機物が蒸着される現象を防止することを一特徴とする。これについては、第1実施例で詳細に説明したので、本実施例では、その詳細な説明は省略する。
【0071】
本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、薄膜蒸着装置関連の技術分野に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
100 薄膜蒸着装置
110 蒸着源
120 蒸着源ノズル部
150 パターニングスリットシート
151 パターニングスリット
155 フレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着装置に係り、さらに詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率が向上した薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いという長所を有しており、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は、アノードとカソードとから注入される正孔と電子とが発光層で再結合して発光する原理で色相を具現できるように、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造である。しかし、このような構造では、高効率発光を得難いため、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層などの中間層を選択的に追加挿入して使用している。
【0004】
しかし、発光層及び中間層のような有機薄膜の微細パターンを形成することが実質的に非常に難しく、前記層によって、赤色、緑色及び青色の発光効率が変わるため、従来の薄膜蒸着装置では、大面積(5G以上のマザーガラス)に対するパターニングが不能であるので、満足すべきレベルの駆動電圧、電流密度、輝度、色純度、発光効率及び寿命を有する大型有機発光ディスプレイ装置を製造できないところ、その改善が至急に求められている。
【0005】
一方、有機発光ディスプレイ装置は、相互対向した第1電極と第2電極との間に、発光層及びそれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層は、多様な方法で形成できるが、そのうち一つの方法が蒸着である。蒸着方法を利用して、有機発光ディスプレイ装置を製作するためには、薄膜が形成される基板面に、形成される薄膜のパターンと同じパターンを有するファインメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を密着させ、かつ薄膜の材料を蒸着して、所定パターンの薄膜を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易な薄膜蒸着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0008】
本発明において、相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されうる。
本発明において、同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように、前記サブスリットが配されうる。
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形でありうる。
【0009】
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状でありうる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成され、前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動自在に形成されうる。
ここで、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動しつつ、前記基板上に前記各薄膜蒸着装置の各蒸着物質が連続して蒸着されうる。
【0010】
ここで、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは、前記基板で前記蒸着物質が蒸着される面と平行した面に沿って、いずれか一側が他側に対して相対的に移動できる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されうる。
本発明において、前記蒸着源ノズルの総数より前記パターニングスリットの総数がさらに多く形成されうる。
【0011】
他の側面による本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って、複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しながら蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、一体に形成され、前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0012】
本発明において、相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されうる。
【0013】
本発明において、同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように、前記サブスリットが配されうる。
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形でありうる。
【0014】
本発明において、前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状でありうる。
本発明において、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、連結部材によって結合されて一体に形成されうる。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドできる。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシート間の空間を外部から密閉するように形成されうる。
【0015】
本発明において、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成されうる。
本発明において、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続して蒸着されうる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されうる。
【0016】
本発明において、前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされて形成されうる。
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを備え、前記2列の蒸着源ノズルは、相互対向してチルトされうる。
【0017】
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを備え、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に対向して配され、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に対向して配されうる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図3】図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図4A】従来のFMM方式におけるパターンの形状を示す図面である。
【図4B】基板とパターニングスリットシートとを離隔させ、単一スリットでパターニングスリットを構成する場合のパターンの形状を示す図面である。
【図5A】図1の薄膜蒸着装置のパターニングスリットシートを示す図面である。
【図5B】図5Aのパターニングスリットシート及びこれによって形成されたパターンの形状を示す図面である。
【図5C】複数のパターンを重畳させて新たなパターンを形成する場合の具体的な実験結果を示すグラフである。
【図6A】本発明の第1実施例の一変形例によるパターニングスリットシートを示す図面である。
【図6B】図6Aのパターニングスリットシート及びこれによって形成されたパターンの形状を示す図面である。
【図7A】本発明の第1実施例の他の変形例によるパターニングスリットシートを示す図面である。
【図7B】本発明の第1実施例の他の変形例によるパターニングスリットシートを示す図面である。
【図8】本発明による薄膜蒸着装置で製造されうる有機発光ディスプレイ装置の断面図である。
【図9】本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図10】図9の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図11】図9の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図12】本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置を示す図面である。
【図13】本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせなかった時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図14】本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して、本発明による望ましい実施例を詳細に説明すれば、次の通りである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図3は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図1、図2及び図3を参照すれば、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を備える。
ここで、図1、図2及び図3には、説明の便宜上、チャンバを図示していないが、図1ないし図3のすべての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0022】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して基板400に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的にチャンバ(図示せず)の内部は、FMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、パターニングスリットシート150の温度が蒸着源110の温度より十分に低くなければならない(約100°C以下)。それは、パターニングスリットシート150の温度が十分に低くなければ、温度によるパターニングスリットシート150の熱膨張問題を最小化できないためである。
【0023】
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は、平板表示装置用基板となりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施例では、基板400が薄膜蒸着装置100に対して相対的に移動しつつ蒸着が進行されることを特徴とする。
【0024】
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMのサイズが基板のサイズと同じく形成されねばならない。したがって、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されねばならず、したがって、FMMの製作が容易でなく、FMMを引っ張って精密なパターンにアラインすることも容易でないという問題点が存在した。
【0025】
このような問題点を解決するために、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、薄膜蒸着装置100と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されることを特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着装置100と対向して配された基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して蒸着される。すなわち、基板400が図1の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着されることである。ここで、図面には、基板400がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着されると示されているが、本発明の思想は、これに制限されず、基板400は、固定されており、薄膜蒸着装置100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着されることも可能である。
【0026】
したがって、本発明の薄膜蒸着装置100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート150を作りうる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置100の場合、基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して、すなわち、スキャニング方式で蒸着するため、パターニングスリットシート150のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板400の長さよりはるかに短く形成されうる。このように、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート150を作りうるため、本発明のパターニングスリットシート150は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、それ以後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのすべての工程で、小さなサイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて、有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほどさらに有利になる。
【0027】
このように、薄膜蒸着装置100と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されるためには、薄膜蒸着装置100と基板400とが一定程度離隔されることが望ましい。これについては、後述する。
【0028】
一方、チャンバ内で前記基板400と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化されるにつれて、基板400に蒸着がなされる。
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填される坩堝111と、坩堝111を加熱させて坩堝111の内部に充填された蒸着物質115を坩堝111の一側、詳細には、蒸着源ノズル部120側に蒸発させるためのヒータ112と、を備える。
【0029】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110で基板400に向かう側には、蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120を通過して、被蒸着体である基板400側に向かう。
【0030】
一方、蒸着源110と基板400との間には、パターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備えられる。フレーム155は、大概窓枠のような形態に形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成される。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して、被蒸着体である基板400側に向かう。この時、前記パターニングスリットシート150は、従来のファインメタルマスク(FMM)、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット151の総数がさらに多く形成されうる。
【0031】
ここで、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成することを特徴とする。このように、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンが相互重畳されるように、サブスリット151a,151bを配することによって、所望のパターン形状を形成することが可能になる。これについては、後述する。
一方、前述した蒸着源110(及び、これと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリットシート150とは、相互一定程度離隔されて形成され、蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリットシート150とは、連結部材135によって相互連結されうる。
【0032】
前述したように、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着装置100が基板400に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は、基板400から一定程度離隔されて形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板400とを離隔させる場合、陰影が発生してパターンの形状が所望の形態に形成されないという問題が発生する。このような問題点を解決するために、本発明の一実施例による薄膜蒸着装置100は、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンの重畳を利用して、所望のパターン形状を形成することを特徴とする。
【0033】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進行した。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化されるにつれて、マスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成することが容易でないという問題点が存在した。
【0034】
このような問題点を解決するために、本発明の第1実施例による薄膜蒸着装置100では、パターニングスリットシート150を被蒸着体である基板400と所定間隔離隔させる。これは、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンの重畳を利用して所望のパターン形状を形成することによって実現可能になる。
【0035】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着できることで、マスク製作が容易になる効果が得られる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上するという効果が得られる。
以下では、従来のFMM方式でのパターンの形状と、基板とパターニングスリットシートとを離隔させ、単一スリットでパターニングスリットを構成する場合と、基板とパターニングスリットシートとを離隔させ、複数のサブスリットでパターニングスリットを構成する場合のパターンの形状と、を詳細に比較する。
【0036】
図4Aに示したように、従来のFMM方式では、マスク150'と基板400とが密着結合された。したがって、基板400に陰影が発生せず、所望の形状のパターンPS1が形成された。しかし、このような従来のFMM方式の場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならないという問題点が存在した。
【0037】
一方、図4Bに示したように、パターニングスリットが単一スリットで構成された場合、マスク150''を基板400より小さく形成した後、マスク150''を基板400に対して移動させつつ蒸着できることで、マスク製作が容易になり、基板とマスクとの接触による不良が防止された。しかし、この場合、マスク150''と基板400とが一定程度離隔されるため、必然的に陰影が発生し、したがって、パターンPS2が所望の形状に形成されないという問題点が存在する。
【0038】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施例による薄膜蒸着装置100は、複数のサブスリット151a,151bで一つのパターニングスリット151を構成し、前記複数のサブスリット151a,151bを通じて形成されたパターンの重畳を利用して、所望のパターン形状を形成することを特徴とする。
すなわち、図5Aに示したように、一つのパターニングスリット151は、二つのサブスリット151a,151bで構成される。言い換えれば、相互隣接したパターニングスリット151間の間隔は、一つのパターニングスリット151に属する相互隣接したサブスリット151a,151b間の間隔よりさらに広く構成される。
【0039】
このようなパターニングスリットシート150によって形成されたパターンの形状が、図5Bに示されている。すなわち、第1サブスリット151aを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンと、第2サブスリット151bを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンとは、少なくとも一部が相互重畳されて形成される。このように重畳されたパターンは、蒸発粒子の広がり現象によって上端部が平坦になりつつ、結果的に、所定形状の単一パターンPS3を形成し、これは、従来のFMM方式によって形成されたパターンPS1の形状とほぼ類似した形態を有する。
【0040】
図5Cは、複数のパターンを重畳させて新たなパターンを形成する場合の具体的な実験結果を示すグラフである。図5Cに示したように、相互隣接したサブスリットを通じて形成された二つのパターンB,Cが合成されて新たな形態のパターンDが形成されうる。
【0041】
一方、図5A及び図5Bには、一つのパターニングスリット151が二つのサブスリット151a,151bで形成されていると示されているが、本発明の思想は、これに制限されず、パターニングスリットは、二つ以上の複数のサブスリットで構成され、サブスリットの数、サブスリット間の間隔及び各パターニングスリット間の間隔は、所望のパターン形状によって自由に選択可能である。
【0042】
例えば、図6Aに示したように、一つのパターニングスリット151が五つのサブスリット151a,151b,151c,151d,151eで形成されることもある。すなわち、各サブスリットを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンは、それと隣接したサブスリットを通過して基板400上に蒸着された蒸着物質が形成するパターンと少なくとも一部が相互重畳されて形成される。このように重畳されたパターンは、蒸発粒子の広がり現象によって上端部が平坦になりつつ、結果的に、所定形状の単一パターンPS4を形成し、これは、従来のFMM方式によって形成されたパターンPS1の形状とほぼ類似した形態を有する。
【0043】
または、図7A及び図7Bに示されているように、パターニングスリットが多重のホール形状のサブスリットを含んで備えられることによって、四角形または所望の形状のパターンを形成することもある。
このような本発明によって、基板とマスクとが相互一定程度離隔されても、所望の形態のパターン形状を具現できることによって、マスク製作が容易になり、基板とマスクとの接触による不良が防止され、製造速度が向上する効果が得られる。
図8は、本発明の蒸着装置を利用して製造されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ装置の断面を示した図面である。
【0044】
図8に示したように、ガラス材またはプラスチック材の基板50上にバッファ層51が形成されており、この上に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)と、有機電界発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)が形成される。
【0045】
基板50のバッファ層51上に所定パターンの活性層52が備えられる。活性層52の上部には、ゲート絶縁膜53が備えられ、ゲート絶縁膜53の上部の所定領域には、ゲート電極54が形成される。ゲート電極54は、薄膜トランジスタのオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。ゲート電極54の上部には、層間絶縁膜55が形成され、コンタクトホールを通じてソース/ドレイン電極56,57がそれぞれ活性層52のソース/ドレイン領域52b,52cに接して形成される。ソース/ドレイン電極56,57の上部には、SiO2、SiNXで形成されたパッシベーション膜58が形成され、パッシベーション膜58の上部には、アクリル、ポリイミド、BCB(BenzoCycloButene)などの有機物質で平坦化膜59が形成されている。平坦化膜59の上部にOLEDのアノード電極となる画素電極61が形成され、これを覆うように、有機物で画素定義膜60が形成される。画素定義膜60に所定の開口を形成した後、画素定義膜60の上部及び開口が形成されて外部に露出された画素電極61の上部に有機膜62を形成する。有機膜62は、発光層を備える。本発明は、必ずしもこのような構造に限定されるものではなく、多様な有機発光ディスプレイ装置の構造がそのまま適用されうる。
【0046】
OLEDは、電流の流れによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、薄膜トランジスタのドレイン電極56に連結されて、これからプラス(+)電源を供給される画素電極61と、全体画素を覆うように備えられて、マイナス(−)電源を供給する対向電極63と、これらの画素電極61と対向電極63との間に配されて発光する有機膜62と、で構成される。
【0047】
画素電極61と対向電極63とは、有機膜62によって互いに絶縁されており、有機膜62に相異なる極性の電圧を加えて有機膜62から発光させる。
有機膜62は、低分子または高分子有機膜が使われうるが、低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)が単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)をはじめとして多様に適用可能である。これらの低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成される。
【0048】
高分子有機膜の場合には、大概HTL及びEMLで備えられた構造を有し、この時、HTLとしてPEDOT(Poly(3,4−Ethylene Dioxythiophene))を使用し、発光層としてPPV(Poly−Phenylene Vinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法で形成できる。
【0049】
このような有機膜は、必ずしもこれに限定されず、多様な実施例が適用されうる。
画素電極61は、アノード電極の機能を行い、対向電極63は、カソード電極の機能を行うが、もちろん、これらの画素電極61と対向電極63との極性は、逆になっても構わない。
画素電極61は、透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3を形成できる。
【0050】
一方、対向電極63も透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、対向電極63がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さい金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を有機膜62の方向に蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記のLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を前面蒸着して形成する。
【0051】
このような有機発光ディスプレイ装置において、発光層を備える有機膜62は、前述した薄膜蒸着装置100(図1を参照)によって形成されうる。本発明は、これ以外にも、有機TFTの有機膜または無期膜の蒸着にも使用でき、その他、多様な素材の成膜工程に適用可能である。
【実施例2】
【0052】
図9は、本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図であり、図10は、図9の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図11は、図9の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図9、図10及び図11を参照すれば、本発明の第2実施例に関する薄膜蒸着装置900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。
【0053】
ここで、図9、図10及び図11には、説明の便宜上、チャンバを示していないが、図9ないし図11のすべての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0054】
詳細には、蒸着源910から放出された蒸着物質915を蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して基板400に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的に、チャンバ(図示せず)の内部は、FMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、パターニングスリットシート950の温度が蒸着源910の温度より十分に低くなければ(約100°C以下)ならない。それは、パターニングスリットシート950の温度が十分に低くなければ、温度によるパターニングスリットシート950の熱膨張問題を最小化できないためである。
【0055】
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は、平板表示装置用基板となりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の一実施例では、基板400が薄膜蒸着装置900に対して相対的に移動しつつ蒸着が進行されることを一特徴とする。
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同じく形成されなければならない。したがって、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されなければならず、これにより、FMMの製作が容易でなく、FMMを引張して精密なパターンにアラインすることも容易でないという問題点が存在した。
【0056】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施例に関する薄膜蒸着装置900は、薄膜蒸着装置900と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着装置900と対向して配された基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して蒸着する。すなわち、基板400が図9の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着される。ここで、図面には、基板400がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着されると示されているが、本発明の思想は、これに制限されず、基板400は、固定されており、薄膜蒸着装置900自体がY軸方向に移動しつつ蒸着することも可能である。
【0057】
したがって、本発明の薄膜蒸着装置900では、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート950を作りうる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置900の場合、基板400がY軸方向に沿って移動しつつ連続して、すなわち、スキャニング方式で蒸着するため、パターニングスリットシート950のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板400の長さよりはるかに短く形成されうる。このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さくパターニングスリットシート950を作りうるため、本発明のパターニングスリットシート950は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート950のエッチング作業や、その以後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのすべての工程で、小さなサイズのパターニングスリットシート950がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほどさらに有利になる。
【0058】
このように、薄膜蒸着装置900と基板400とが互いに相対的に移動しつつ蒸着されるためには、薄膜蒸着装置900と基板400とが一定程度離隔されることが望ましい。これについては、後で詳細に記述する。
【0059】
一方、チャンバ内で前記基板400と対向する側には、蒸着物質915が収納及び加熱される蒸着源910が配される。前記蒸着源910内に収納されている蒸着物質915の気化によって、基板400に蒸着される。
詳細には、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填される坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に充填された蒸着物質915を坩堝911の一側、詳細には、蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912と、を備える。
【0060】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910から基板400に向かう側には、蒸着源ノズル部920が配される。そして、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向、すなわち、基板400のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル921は、等間隔で形成されうる。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、このような蒸着源ノズル部920を通過して被蒸着体である基板400方向に向かう。このように、蒸着源ノズル部920上にY軸方向、すなわち、基板400のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される場合、パターニングスリットシート950のそれぞれのパターニングスリット951を通過する蒸着物質によって形成されるパターンのサイズは、一つの蒸着源ノズル921のサイズにのみ影響を受けるので(すなわち、X軸方向には、蒸着源ノズル921が一つだけ存在するので)、陰影が発生しなくなる。また、複数の蒸着源ノズル921がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間フラックス(flux)差が発生しても、その差が相殺されて蒸着均一度が一定に維持される効果が得られる。
【0061】
一方、蒸着源910と基板400との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられる。フレーム955は、大体窓枠組のような形態で形成され、その内側にパターニングスリットシート950が結合される。そして、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して、被蒸着体である基板400方向に向かう。この時、前記パターニングスリットシート950は、従来のFMM、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法のエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル921の総数よりパターニングスリット951の総数がさらに多く形成されうる。
【0062】
一方、前述した蒸着源910、これと結合された蒸着源ノズル部920、及びパターニングスリットシート950は、互いに一定程度離隔されて形成され、蒸着源910、これと結合された蒸着源ノズル部920、及びパターニングスリットシート950は、連結部材935によって相互連結されうる。すなわち、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950が連結部材935によって連結されて相互一体に形成されうる。ここで、連結部材935は、蒸着源ノズル921を通じて排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材935が蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950の左右方向に形成されて蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると示されているが、これは、図示の便宜のためのものであり、本発明の思想は、これに制限されず、連結部材935がボックス状の密閉型に形成されて、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向の移動を同時にガイドすることもある。
【0063】
前述したように、本発明の一実施例に関する薄膜蒸着装置900は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着し、このように、薄膜蒸着装置900が基板400に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート950は、基板400から一定程度離隔されて形成される。
【0064】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を発生させないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進行した。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置の大型化によって、マスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成することが容易でないという問題点が存在した。
【0065】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施例に関する薄膜蒸着装置900では、パターニングスリットシート950を被蒸着体である基板400と所定間隔離隔して配させる。
このような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着することによって、マスク製作が容易になる効果が得られる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果が得られる。
【0066】
ここで、本発明の第2実施例による薄膜蒸着装置900は、複数のサブスリット951a,951bで一つのパターニングスリット951を構成することを一特徴とする。このように、複数のサブスリット951a,951bで一つのパターニングスリット951を構成し、前記複数のサブスリット951a,951bを通じて形成されたパターンが相互重畳されるようにサブスリット951a,951bを配することによって、所望のパターン形状を形成することが可能になる。これについては、第1実施例で詳細に説明したので、本実施例では、その詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0067】
図12は、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填される坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に充填された蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912と、を備える。一方、蒸着源910の一側には、蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板400との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源910、蒸着源ノズル部920、及びパターニングスリットシート950は、連結部材935によって結合される。
本実施例では、蒸着源ノズル部920に形成された複数の蒸着源ノズル921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述した第2実施例と区別される。詳細には、蒸着源ノズル921は、二列の蒸着源ノズル921a,921bで形成され、前記二列の蒸着源ノズル921a,921bは、交互して配される。この時、蒸着源ノズル921a,921bは、XZ平面上で所定角度に傾斜するようにチルトされて形成されうる。
【0068】
すなわち、本実施例では、蒸着源ノズル921a,921bを所定角度チルトして配させる。ここで、第1列の蒸着源ノズル921aは、第2列の蒸着源ノズル921bに対向してチルトされ、第2列の蒸着源ノズル921bは、第1列の蒸着源ノズル921aに対向してチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル921aは、パターニングスリットシート950の右側端部に対向して配され、右側列に配された蒸着源ノズル921bは、パターニングスリットシート950の左側端部に対向して配されうる。
【0069】
図13は、本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせなかった時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、図14は、本発明による薄膜蒸着装置で蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。図13と図14とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増加して、蒸着膜の均一度が上昇することが分かる。
【0070】
このような構成によって、基板の中央及び終端部における成膜の厚さ差が減少して全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が上昇する効果が得られる。
ここで、本発明の第3実施例による薄膜蒸着装置900は、基板400と共に移動し、基板400の非成膜領域401,402を分類して配される遮断部材961,962をさらに備え、基板400の非成膜領域401,402に有機物が蒸着される現象を防止することを一特徴とする。これについては、第1実施例で詳細に説明したので、本実施例では、その詳細な説明は省略する。
【0071】
本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、薄膜蒸着装置関連の技術分野に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
100 薄膜蒸着装置
110 蒸着源
120 蒸着源ノズル部
150 パターニングスリットシート
151 パターニングスリット
155 フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項2】
相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように、前記サブスリットが配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成され、
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動自在に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動しつつ、前記基板上に前記各薄膜蒸着装置の各蒸着物質が連続して蒸着されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは、前記基板で前記蒸着物質が蒸着される面と平行した面に沿っていずれか一側が他側に対して相対的に移動することを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記蒸着源ノズルの総数より前記パターニングスリットの総数がさらに大きいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、一体に形成され、
前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項12】
相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように前記サブスリットが配されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形であることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状であることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部、及び前記パターニングスリットシートは、連結部材によって結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部、及び前記パターニングスリットシート間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続して蒸着されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、相互対向してチルトされていることを特徴とする請求項22に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、
前記二列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に対向して配され、
前記二列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に対向して配されることを特徴とする請求項22に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項2】
相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように、前記サブスリットが配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成され、
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動自在に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して相対的に移動しつつ、前記基板上に前記各薄膜蒸着装置の各蒸着物質が連続して蒸着されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは、前記基板で前記蒸着物質が蒸着される面と平行した面に沿っていずれか一側が他側に対して相対的に移動することを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記蒸着源ノズルの総数より前記パターニングスリットの総数がさらに大きいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直である第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは、一体に形成され、
前記パターニングスリットは、それぞれ複数のサブスリットを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項12】
相互隣接した前記パターニングスリット間の間隔は、同じパターニングスリットに属する相互隣接した前記サブスリット間の間隔よりさらに大きく形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
同じパターニングスリットに属するいずれか一つのサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部と、前記いずれか一つのサブスリットと隣接したサブスリットを通過して前記基板上に蒸着された前記蒸着物質が形成するパターンの少なくとも一部とが相互重畳されるように前記サブスリットが配されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された直方形であることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記複数のサブスリットは、それぞれ相互平行に形成された複数列のホール形状であることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部、及び前記パターニングスリットシートは、連結部材によって結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記連結部材は、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部、及び前記パターニングスリットシート間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定距離離隔されて形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記基板は、前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続して蒸着されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、相互対向してチルトされていることを特徴とする請求項22に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、
前記二列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に対向して配され、
前記二列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に対向して配されることを特徴とする請求項22に記載の薄膜蒸着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−84807(P2011−84807A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145075(P2010−145075)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】
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