説明

薬剤供給装置

【課題】 供給用モータ等の装置の損傷を抑制し得る薬剤供給装置の提供。
【解決手段】 供給用モータのモータ軸側に連結された係止回転爪、係止回転爪と係止することで係止回転爪に連動するよう回転して薬剤の供給部を操作する被係止回転爪を備え、係止回転爪と被係止回転爪と移動装置を介して相対的に接触・離間させて係止回転爪からの駆動力を被係止回転爪に対して繋断するよう構成され、係止回転爪および被係止回転爪は互いに相対形状の凹凸部を有して凹凸部どうしを嵌合させ、係止回転爪の回転により被係止回転爪に動力を伝達して、薬剤を所定の場所に向けて供給するように構成され、係止回転爪および被係止回転爪の凹凸部どうしの嵌合方向に係止回転爪および被係止回転爪を相対的に移動させて係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが当接した場合に、凸部どうしに働く押圧力を弾性的に吸収する弾性吸収機構が移動装置側に設けられている薬剤供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水薬供給装置などの薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院や薬局等の医療機関では、水薬供給ボトルに充填された水薬を、該水薬供給ボトルから患者に供する水薬ボトルに供給するようにした水薬供給装置が使用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
この種の水薬供給装置は、水薬供給ボトルに充填された水薬を供給管に吸引するための供給ポンプと、供給ポンプを駆動させるためのポンプ駆動部とを有する。ポンプ駆動部は供給用モータを有し、供給用モータのモータ軸に、供給ポンプに付設された被係止回転爪に係止する係止回転爪が固定されている。
そして、水薬供給ボトルに供給管の一端部を挿入し、水薬供給管の途中部分を供給ポンプに取付けるようにし、係止回転爪を被係止回転爪に係止するよう供給用モータを移動させて係止回転爪と被係止回転爪とを係止させ、ポンプ駆動部の駆動によって供給ポンプを動作させて、水薬を水薬ボトルに供給するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−325639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記水薬供給装置では、係止回転爪と被係止回転爪とを係止させることで供給ポンプを駆動させる構成であるが、係止回転爪と被係止回転爪とが常に円滑に係止するとは限らない。例えば、係止回転爪および被係止回転爪がキーとキー溝から構成されてそれらの嵌合により供給用モータから供給ポンプに駆動力が伝達される場合ではキーどうしが当たると回転が伝達されず、係止回転爪および被係止回転爪が菊座であればギヤの山どうしが当たると回転が伝達されない。そして、キーどうしやギヤの山どうしが当たった状態でなお供給用モータにはこれを移動させる方向に力が働くから、供給用モータやこれを移動させるための装置に負荷がかかり過ぎて、これらが損傷してしまうことが懸念される。
このような問題は、水薬供給装置に限るものではなく、供給用モータを移動させて係止回転爪および被係止回転爪どうしを係止させることで薬剤の供給部分を回転させるようにした薬剤供給装置について、共通であった。
【0006】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、供給用モータ等の装置の損傷を抑制し得る薬剤供給装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、供給用モータのモータ軸側に連結された係止回転爪と、該係止回転爪と係止することで係止回転爪に連動するよう回転して薬剤の供給部を操作する被係止回転爪とを備え、係止回転爪と被係止回転爪とを移動装置によって相対的に接近・離間させて係止回転爪からの駆動力を被係止回転爪に対して繋断するよう構成され、前記係止回転爪および被係止回転爪は互いに相対形状の凹凸部を有して該凹凸部どうしを嵌合させ、係止回転爪の回転により被係止回転爪に駆動力を伝達して、薬剤を所定の場所に向けて供給するようにした薬剤供給装置であって、係止回転爪および被係止回転爪の凹凸部どうしの嵌合方向に係止回転爪および被係止回転爪を相対的に移動させて係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが当接した場合に、該凸部どうしに働く押圧力を弾性的に吸収する弾性吸収機構が、前記移動装置側に設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記構成において、移動装置の駆動によって係止回転爪および被係止回転爪が相対的に接近してその凸部どうしが当接した場合には、弾性吸収機構によって、係止回転爪および被係止回転爪が相対的に接近する状態に対応した凸部どうしの押圧力が吸収されるから、その分だけ供給用モータや移動装置に働く負荷が吸収される。
【0009】
本発明の薬剤供給装置では、弾性吸収機構は、移動装置の駆動によって凸部どうしに働く押圧力を、該移動装置の構成部材を弾性的に支持しつつ移動させることで吸収させる構成とされていることを特徴としている。
【0010】
上記構成のように、弾性吸収機構を、移動装置の構成部材を弾性的に支持しつつ移動させて吸収させるようにしているから、移動装置と弾性吸収機構の位置を兼用した構成とすることが可能となり、その分だけ装置全体の構成が簡素化される。
【0011】
本発明の薬剤供給装置では、移動装置は、供給用モータを固定した移動台と、該移動台を水平方向に往復動自在に支持する支持台と、該支持台側に設けられた移動用モータと、該移動用モータの駆動に伴ってそのモータ軸回りに水平面内で公転動作する押圧体と、該押圧体の公転動作により押圧される被押圧体とを備え、該被押圧体を弾性的に支持しつつ移動させることで凸部どうしに働く押圧力を吸収させる弾性体が、被押圧体と移動台との間に介装されていることを特徴としている。
【0012】
上記構成において、移動装置の移動用モータを駆動すると、押圧体が移動用モータの回転に伴ってモータ軸回りに水平面内で公転動作して被押圧体を押圧・解除し、係止回転爪を被係止回転爪に近付けさせるように支持台に対して移動台が往復移動する。
【0013】
本発明の薬剤供給装置では、供給部は、被係止回転爪の回転に伴って供給管が操作されることで、薬剤としての水薬を、水薬供給ボトルから患者に供給される水薬ボトルに供給する供給ポンプであり、該供給ポンプは上下方向の軸心回りの同一円周上に複数並べて配置され、供給用モータは供給ポンプの径方向内方に配置され、被係止回転爪と係止回転爪とは、移動装置により供給用モータを、供給ポンプ間の径方向内外に向けて移動させることで繋断可能とされ、前記供給用モータと供給ポンプとは前記上下方向の軸心回りに相対的に回転自在に設けられていることを特徴としている。
【0014】
上記構成において、供給用モータを供給ポンプ間の径方向内外に向けて移動させることで、被係止回転爪に係止回転爪が嵌合して回転すると供給ポンプが駆動して水薬供給ボトルに充填されている水薬が供給管内に吸上げられて水薬ボトルに供給される。複数の供給ポンプの何れかを選択して、該選択に応じて供給用モータと供給ポンプとを上下方向の軸心回りに相対的に回転させて、順次係止回転爪と被係止回転爪とを繋断させる。
【0015】
本発明の薬剤供給装置では、係止回転爪および被係止回転爪は、それぞれ供給用モータのモータ軸を中心として、対向面に放射状に形成された断面三角形状の凹凸歯から形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、係止回転爪と被係止回転爪とはこれらを相対的に軸心方向へ移動させると、凹凸歯どうしが対向面で噛合するようになるから、凹凸歯どうしが円滑に噛合した場合には係止回転爪から被係止回転爪に供給用モータの駆動力が確実に伝達される。
【0016】
本発明の薬剤供給装置では、移動装置の駆動により係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが当接したことを検出する非連結検出部が設けられ、該非連結検出部からの検出信号により係止回転爪および被係止回転爪を相対的に離間させるための離間手段が設けられ、該離間手段の駆動により係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが所定距離だけ離間したことを検出する離間検出部が設けられ、該離間検出部からの検出信号により凸部どうしが位置ずれするように供給用モータを駆動させる位置調整手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
上記構成において、係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが当接するとこれを非連結検出部が検出し、非連結検出部からの検出信号により離間手段が駆動して、係止回転爪および被係止回転爪が相対的に離間し、係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが所定距離だけ離間したことを離間検出部が検出すると、離間検出部からの検出信号により凸部どうしが位置ずれするように位置調整手段が供給用モータを駆動させる。したがって、再び移動装置を駆動することで係止回転爪および被係止回転爪を接近させた際に、それらの凸部どうしが当接するという状態が回避され、凹凸どうしが円滑に繋がる(連結される)。
【発明の効果】
【0018】
本発明の薬剤供給装置によれば、移動装置の駆動によって係止回転爪および被係止回転爪が相対的に接近してその凸部どうしが当接した場合には、弾性吸収機構によって、係止回転爪および被係止回転爪が相対的に接近する状態に対応した凸部どうしの当接力が吸収されるよう構成しているから、その分だけ供給用モータや移動装置に働く負荷が吸収されることになり、供給用モータや移動装置の損傷を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明の薬剤供給装置を、水薬供給装置を例示して図面に基づいて説明する。図1ないし図3は、水薬供給装置1の全体構成図であり、図1は正面図、図2は図1におけるA−A線断面図(側面断面図)、図3は図1におけるB―B線断面図(平面断面図)である。
これらの図に示すように、水薬供給装置1は、患者に対して処方される水薬2を、処方箋に応じるべく水薬供給ボトル(以下単に「供給ボトル」という)3から水薬供給管(以下単に「供給管」という)29によって導出して、水薬供給ノズル(以下単に「供給ノズル」という)22を介して水薬ボトル4に吐出・供給するよう構成されている。
【0020】
水薬供給装置1は、外枠を構成する本体6を有し、本体6は、天板(天壁)7と、天板7の下方に配置した吊持板51と、底板8と、中心部を大きく開放した左右の両側板11,11と、背板12と、中心部を大きく開放した前板部材13とを有する。
【0021】
水薬供給装置1は、本体6の吊持板51側に回転駆動部17を有し、吊持板51側に回転駆動部17を介してノズル取付け板53が本体6内に吊持されている。このノズル取付け板53は、上下方向軸線16回りに間欠的に回転可能に構成されている。
このノズル取付け板53は、その外周部同一円周上に複数の供給ノズル22を取付け可能であり、平面視環状の平板に形成されている。また、ノズル取付け板53には、その上面に複数の供給ポンプ18が設置されている。供給ポンプ18は、ノズル取付け板53上に周方向に所定間隔置きに配置される。この実施形態では、十個の供給ポンプ18がノズル取付け板53上に周方向等間隔で配置されている。
なお供給ノズル22は、上下方向軸線16に対して所定の傾斜角度をもって、且つ取付手段23を介してノズル取付け板53に取付けられている。
【0022】
回転駆動部17は吊持板51の上面に載置された回転用モータ28と、天板7の下面に上下方向軸線16回りに回転自在に支持されて内周面の上下方向中心に水平に形成された環状の突条30を有する回転環体31と、回転環体31の下面に固着された環状薄板状の歯車板32と、前記回転用モータ28の駆動軸に取付けられて歯車板32の外周辺に形成された歯33に噛合する駆動歯車(図示せず)と、天板7の下面にそれぞれ単独の上下方向軸線回りにその場回転自在に取付けられて外周面に前記突条30に嵌合する凹条34を有する複数の支持ローラ35とを有する。各供給ポンプ18は、回転駆動部17(回転用モータ28)の間欠駆動に連動して供給ポンプ18毎に駆動するよう構成されている。
【0023】
ノズル取付け板53の下方に、複数の供給ボトル3を載置するための載置体5が配置されている。載置体5は、平面視環状の平板に形成されて、ノズル取付け板53の回転動作に伴って上下方向軸線16回りに間欠的に回転可能に構成されている。供給ボトル3は外周部同一円周上に等間隔で配置可能とされており、この実施形態の場合では、供給ボトル3は供給ポンプ18と同数の十個が設置可能に構成されている。
ノズル取付け板53および載置体5は互いに並行であり、水平面内で上下方向軸線16回りに間欠的に回動可能に構成されている。
さらにまた、供給管29は供給ボトル3毎に設けられ、供給管29の一端側は供給ボトル3に挿入され、供給管29の途中部分は供給ポンプ18に挿通され、供給管29の他端側は供給ノズル22に取付けられている。
【0024】
本体6の前板部材13間に水薬ボトル4を載置する載置台24が配置され、載置台24を昇降させるための昇降装置25が設けられている。
昇降装置25は、昇降用モータ82と、昇降用モータ82の駆動によって駆動するベルト機構とを有する。昇降用モータ82は本体6の前板部材13の裏面に、駆動軸が前方に突出するよう取付けられている。駆動軸には、駆動プーリ85が本体6の前板部材13下部から水平方向前方に突出するように取付けられている。
【0025】
昇降装置25の駆動は、不図示の駆動スイッチを操作することで行うよう構成されており、該駆動スイッチを操作することにより昇降装置25が駆動して、ノズル取付け板53に取付けられた供給ノズル22から供給ボトル3に水薬2が供給可能な高さに至るまで、載置台24が上昇する。
【0026】
前記各供給ポンプ18の本体部37は、ノズル取付け板53の上面にネジ止め等により取付け枠体36を介して着脱自在に取付けられている。供給ポンプ18は後述の駆動歯車47に噛合してその駆動に連動する従動歯車41(被係止回転爪に相当する)を備えている。
【0027】
供給ポンプ18を単独的・選択的に駆動するためのポンプ駆動部20が設けられている。このポンプ駆動部20は、取付け枠体36で囲まれる領域の径方向内方に配置されている。ポンプ駆動部20は、水平に保持された供給用モータ54(ステッピングモータが用いられる)と、その駆動軸の先端に設けられた前記駆動歯車47(係止回転爪に相当する)とを備えている。
【0028】
供給ポンプ18は、供給管29の途中部分を押圧してその押圧部分を供給ボトル3側から水薬ボトル4側へ移動させることで、供給ボトル3内の水薬2を水薬ボトル4側に移動させるよう構成されているものである。供給ポンプ18には、相対的に接近・離間自在な対の部材からなる挟持手段が設けられ、挟持手段は部材どうしを接近させることで供給管29の途中部分を押圧して変形させ、離間させることで部材間に供給管29を挿通可能となるよう構成されている。換言すれば、供給ポンプ18は挟持手段によって、供給管29をその弾性に抗して変形させることで、供給管29内の負圧状態を供給ボトル3側から供給ノズル22側へ移動させて供給管29内に水薬2を吸引し、また吸引した水薬2を供給ボトル3側から供給ノズル22側へ移動させるように構成されている。
【0029】
すなわち供給ポンプ18は、ノズル取付け板53側に固定される前記本体部37と、本体部37に対して不図示のレバーの操作で上下動してその位置を保持可能な、図6および図7で示す上下動部材100と、本体部37側に設けられた回転挟持部材102とを有している。前記挟持手段は、上下動部材100と回転挟持部材102とで構成されている。
上下動部材100はその下面に逆U字形の凹部101を有しており、本体部37側に設けられた回転挟持部材102と上下動部材100の凹部101との間で供給管29の途中部分を挟持可能な構成となっている。凹部101の壁面は、上部の円弧面103と円弧面103の左右両側から垂下する垂下面104とを有する。
【0030】
この上下動部材100は、本体部37の前側寄りの上部に配置され、回転挟持部材102は上下動部材100の凹部101に下方で対向する位置に配置されて、回転挟持部材102の上下方向位置は調節できないようになっており、このように構成されることで、上下動部材100と回転挟持部材102どうしが相対的に上下方向に接近・離間自在に構成されている。
【0031】
回転挟持部材102はさらに、供給用モータ54の駆動に伴って回転する駆動軸105と、駆動軸105の先端側外周部に、駆動軸105と一体回転するよう設けられた前後の回転円板106と、供給管29に接触することで自転し回転円板106の回転とともに駆動軸105回りを公転する複数(この場合、三個)のローラ状の回転押圧体107とを有する。
回転押圧体107は、前後方向の支軸108回りに回転自在に支持されており、支軸108は回転円板106間に駆動軸105と平行に支持されており、回転押圧体107の外周面は回転円板106の外周部からさらに外方へ突出するよう設定されている。
【0032】
このような構成を有する供給ポンプ18では、前記レバーを操作して上下動部材100を上動させることで、上下動部材100と回転挟持部材102との間に供給管29を前方から後方へ向けて容易に挿入することができ、挿入した後は再びレバーを操作して上下動部材100を下げる。
このようにすることにより、回転挟持部材102、特にその回転押圧体107と凹部101の円弧面103との間に供給管29が挟持・押圧されて供給管29は径方向に潰されるように変形される。そして回転挟持部材102を駆動軸105回りに回転(例えば図5において時計方向)させることにより、供給管29の変形部分が水薬ボトル4側へ移動し供給管29内に負圧・正圧領域が発生して供給ボトル3内の水薬2が供給管29内に吸い上げられ、順次水薬ボトル4側へ移動する。
【0033】
上記のように、水薬2を水薬ボトル4へ供給するためには、駆動軸105の軸心回りの回転動作が必要になる。そして、駆動軸105は従動歯車41の軸心回りの回転により伴に回転するものである。このために後述の移動装置52を駆動することで駆動歯車47を水平方向に移動させて、上下方向軸線16からの距離が不動な従動歯車41に駆動歯車47を噛合(嵌合)させる。
【0034】
ここで前記移動装置52の構成を説明する。図4,図5,図8〜図14は、移動装置52を主として描いた説明図である。移動装置52は、前記ポンプ駆動部20を水平面内で径方向内外に往復移動させるべく、従動歯車41と駆動歯車47とを相対的に接近離間させるよう構成されている。この場合は、従動歯車41に対して駆動歯車47を接近・離間させて、従動歯車41に駆動歯車47を嵌合・離脱(繋断)させる構成である。
移動装置52は、供給用モータ54を固定した移動台55と、移動台55を、ガイド機構56を介して水平方向に往復動自在に支持する支持台57と、支持台57側に設けられた移動用モータ58と、移動用モータ58の駆動に伴ってそのモータ軸60回りに水平面内で公転動作する押圧体としての押圧ローラ73と、押圧ローラ73のモータ軸60回りの公転動作により押圧される被押圧体としての一対の被押圧杆状体74,75とを備えている。
そして、被押圧杆状体74,75のうちの一方を弾性的に支持しつつ移動させることで前記移動台55の所定位置からの移動を吸収させるための弾性体としてのバネ体76が、被押圧杆状体74,75の一方と移動台55との間に介装されている。
供給用モータ54のモータ軸61の軸心方向は水平方向であり、且つ前後方向であって移動台55が前方に移動する動作に伴って供給用モータ54が前方に移動することで、従動歯車41に駆動歯車47を嵌合させる。
【0035】
支持台57は、前記吊持板51に平面視矩形の固定板77を介して固定される。固定板77はその一辺を吊持板51に形成されている中心穴78の径よりも長く形成されて、固定板77の端部は吊持板51における中心穴78の縁部に載置するようにしてネジ止めにより、該縁部に着脱自在に設けられている。支持台57は四本の上下方向の支持柱80を介して固定板77に対して垂下するように設けられて、水平面内に配置される。
支持台57には、その中心に矩形の開口90が形成されており、開口90の上側で支持台57に、支持柱80に比べて短い脚部材93を介して移動用モータ58の支持板94が、支持台57に平行に配置されている。
支持板94は脚部材93の上面に載せられて、支持板94の板面の上方から下方にネジ止めされることで脚部材93に着脱自在に設けられている。
【0036】
移動用モータ58は、そのモータ軸60が上下方向になるようにして、支持板94の対角線中心に配置されている。この移動用モータ58の、取付け枠体36で囲まれる領域の径方向内方位置は、該領域の中心でもよいが、移動台55の前後方向のストロークをできるだけ小さくすることが好ましい点を考慮すると、できるだけ前方に配置させることが好ましい。したがって、この構成は、少なくとも支持台57をできるだけ前方に配置することによって実現する。
【0037】
移動用モータ58のモータ軸60は、その先端部が支持板94を挿通して、支持板94の下方に支持板94と平行に配置された被検出円板95の回転中心に貫通され、しかも被検出円板95を一体的に回転可能としている。被検出円板95においてモータ軸60の先端部の径方向外方に、モータ軸60から所定距離だけ径方向に離間(偏心)させた前記押圧ローラ73が配設され、押圧ローラ73の中心軸73aはモータ軸60の軸心に平行である。そして、この押圧ローラ73は、被押圧杆状体74,75の間に挿入されている。
図8において仮想線Kは移動用モータ58のモータ軸60を一回転させた際の、押圧ローラ73の中心軸73aの軌跡である。
【0038】
前記ガイド機構56は、支持台57の下面に縦軸回りに回転自在に支持された複数の案内ローラ96を有する。これら案内ローラ96は左右前後に対で計四個設けられている。各案内ローラ96はその外周面に環状の溝が形成されている。
ガイド機構56は、案内ローラ96の縦軸回りの回転によって案内ローラ96の溝に嵌合しつつ前後方向に案内される直線状の被案内レール97を有する。各被案内レール97は前後方向に配置され、移動台55の上面に左右離間して一対で設けられている。
移動台55の下面前部には、鉛直方向に垂下する垂下壁98が設けられており、供給用モータ54の上面は、移動台55の下面に取付けられ、供給用モータ54の前面は垂下壁98の後面に取付けられ、供給用モータ54のモータ軸61が回転自在に挿通されている。
【0039】
前記一対の被押圧杆状体74,75は、移動台55の上面に互いに前後に離間して設けられている。後方に配置された一方の被押圧杆状体74(以下、第一被押圧体74という)は、前後方向に対して直交する左右方向に配置されており、第一被押圧体74は左右方向に長い平面視長方形形状の角柱体状に形成されて、その左右両端部は、ピン74bを介して移動台55の上面に着脱自在に固定されている。
前方に配置された他方の被押圧杆状体75(以下、第二被押圧体75という)は、第一被押圧体74に比べて左右方向に長く形成され、左端部は、上下方向のピン110を介して移動台55の上面に水平面内で回動自在に止められている。
【0040】
第一被押圧体74と第二被押圧体75との対向面74a,75aどうしの前後の離間距離L1は、図8で示すように、第一被押圧体74および第二被押圧体75が平行な状態において、押圧ローラ73の径に比べて大きく設定されている。すなわち、図8で示すように、押圧ローラ73の外周面が第一被押圧体74の対向面74aに当接している場合では押圧ローラ73は第二被押圧体75の対向面75aには非接触であり、図9および図10で示すように、押圧ローラ73の外周面が第二被押圧体75の対向面75a当接している場合では押圧ローラ73は第一被押圧体74の対向面74aには非接触である。図8は第一センサ部112が被検出部95bを検出している状態であり、これは押圧ローラ73の外周面が第一被押圧体74の対向面74aに当接している場合であって、駆動歯車47が最も後方(径方向中心側)にあって従動歯車41から最も離間した位置にある。
そして、移動用モータ58が駆動してモータ軸60が回転することにより押圧ローラ73がモータ軸60回りに公転してモータ軸60と押圧ローラ73との偏心距離に応じた距離だけ移動台55が前後に移動する。
【0041】
前記バネ体76は引張コイルバネであり、一方のフック端部76aが移動台55の上面に支持され、他方のフック端部76bが第二被押圧体75の右端部75c側の上面に係止されている。なお、他方のフック端部76bが係止する側、すなわち第二被押圧体75の右端部75cの上面は、上下方向の面75dによって左側部分の上面に比べて低く設定されている。
【0042】
このような構成において、まだ移動用モータ58を駆動していないタイミングでは、押圧ローラ73は第一被押圧体74の対向面の左右方向中心位置に当接していて、移動台55の前方への移動を防止している。したがって、移動用モータ58が駆動して、押圧ローラ73がモータ軸60回りに公転することで押圧ローラ73が第二被押圧体75の対向面75aに当接してこれの押圧を開始することにより、移動台55はバネ体76の弾性により後方へ付勢された状態となる。
【0043】
前記被検出円板95は、周長の略半分で異径となるよう形成されており、異径部が被検出部95a,95bとされて、支持板94の裏面側に被検出部95a,95bを検出するための、非連結検出部としての第一センサ部112が設けられている。
この第一センサ部112は、上下方向に離間した発光素子と受光素子とで構成されて、両素子が被検出円板95回転により外周部の被検出部95a,95bの存在の有無を検出できるように構成されている。
換言すれば、第一センサ部112は、駆動歯車47が従動歯車41に噛合するだけ前後方向に移動した否かを移動用モータ58のモータ軸60の回転量によって検出するよう構成されている。
【0044】
図4,図5、図13,図14に示すように、駆動歯車47と従動歯車41とが動力を伝達できるように噛合したか否かを支持台57に対する移動台55の前後方向位置で検出するための、非連結検出部としての第二センサ部113が、支持台57と移動台55とに分離して設けられている。
第二センサ部113は、支持台57側に設けられた検出部113aと、移動台55側に設けられた被検出部113bとから構成されている。検出部113aは、発光素子を備える発光片と受光素子を備える受光片とが左右方向に離間して設けられており、被検出部113bは発光片と受光片との間に介入することで検出部での発光・受光を遮光するものである。
第二センサ部113は駆動歯車47と従動歯車41とが噛合しているかいないかを検出するものである。この第二センサ部113によって、第一センサ部112が、駆動歯車47および従動歯車41の噛合状態を検出していたとしても、前記噛合状態となるまで移動台55が支持台57に対して移動しておらず、実際には噛合していない状態を検出することが可能である。
【0045】
駆動歯車47および従動歯車41はともに円板状に形成されて対向する側と反対側に突出する支軸62,63が形成されている。駆動歯車47および従動歯車41の対向面は、それぞれ当接面および被当接面とされている。当接面および被当接面の形状は、実質的に全く同一の形状に形成されているから、ここでは駆動歯車47の当接面についてその形状を詳細に説明して、被当接面の説明に代える。
【0046】
当接面は、支軸62の中心である軸線66を中心として径方向外方へ向かうほど互いに周方向の離間距離が大きくなる放射状でしかも周方向断面において、底角の何れもが直角でない二等辺三角形状で、且つ周方向に連続する歯溝68,69から形成されている。なお、駆動歯車47において、歯68が凸に相当し、溝69が凹に相当する。
【0047】
各歯68の高さ、すなわち頂部(被当接面に対向する先端である頂角側の筋)の高さ位置は、溝69の頂部を基準として同一に設定されている。しかも各歯68は、その頂部の高さが軸心へ向かって低くなるよう傾斜しており、各溝69はその頂部の高さが軸心へ向かって高くなるよう傾斜しており、両頂部は駆動歯車47の中心である軸線66においてその高さが一致するよう形成されている。具体的に、両頂部の駆動歯車47の軸線66位置での高さは、径方向外端での歯溝68,69の高さの中間に位置するよう設定されているものである。
上記のように当接面および被当接面を形成することにより、従動歯車41および駆動歯車47の軸線66,67どうしを同一線上として両者の当接面および被当接面が対向するよう当接させると、両者の歯溝68,69、すなわち歯68,68の斜面である側面どうしが周方向に、且つ軸線方向に隙間なく当接して噛合することになる。
【0048】
供給用モータ54のモータ軸61が、水薬2の量を必要なだけ水薬ボトル4に供給しただけ回転したかどうかを検出する第三センサ部114が設けられている。第三センサ部114は、モータ軸61とともにモータ軸61回りに回転する被検出体115と、被検出体115の回転数を検出する発光片および受光片とを備えたセンサ116とから構成されており、発光片は発光素子を備え受光片は受光素子を備え、発光片と受光片は前後方向に離間して配置されている。
被検出体115は薄型の円盤状に形成されており、その外周に径方向の凹凸が形成されており、被検出体115の回転による該凹凸の検出により、被検出体115の回転数(回転量)を知るよう構成されている。
【0049】
次に、上記構成の水薬供給装置1の動作説明を、水薬供給装置1の動作制御を行う制御装置の機能に基づいて、図15を参照しつつ説明する。使用する供給ボトル3を単独的に選択するよう、水薬供給装置1に敷設した不図示の操作部分を操作すると、制御装置は回転駆動部17を駆動させて、使用しようとする供給ボトル3を作業者の正面側に対向するよう位置させるよう、ノズル取付け板53および載置体5を上下方向軸線16回りに必要に応じて所定角度だけ回動させる。
続いて制御装置は、移動装置52を駆動することで駆動歯車47を水平方向に移動させて、従動歯車41に駆動歯車47を噛合(嵌合)させる。すなわち、図8で示すように、押圧ローラ73が第一被押圧体74の対向面74aに当接していて第一被押圧体74と第二被押圧体75の対向面74a,75aどうしが平行な状態から、移動用モータ58を駆動してそのモータ軸60を軸心回りに回転(例えば図8において時計方向)させる[ステップ1]。
そうすると、押圧ローラ73が第一被押圧体74の対向面74aから離間して第二被押圧体75の対向面75aに向かって移動し、押圧ローラ73の外周面が第二被押圧体75の対向面75aにバネ体76側で当って対向面75aを前方側に押圧し、第二被押圧体75がピン110回りに回動するような前方への押圧力を受け、ガイド機構56に案内されつつ移動台55が支持台57に対して前方へ移動する。バネ体76の弾性は、供給用モータ54、移動台55、駆動歯車47等の重さ、ガイド機構56での摩擦力等を考慮して、押圧ローラ73が第一被押圧体74の対向面74aを押圧した際に、移動台55が移動することなく第二被押圧体75のみがピン110回りに回動することがないように予め設定しておく必要がある。
【0050】
モータ軸60の回動とともに被検出円板95がモータ軸60とともに回動して、図9に示すように被検出部95bに代わって被検出部95aが第一センサ部112によって検出されると[ステップ2]、制御装置は、移動用モータ58の駆動を停止する[ステップ3]。
移動用モータ58の駆動を停止するとモータ軸60の回転および被検出円板95の回転も停止するが、このとき第二センサ部113が移動台55の所定位置である駆動歯車47と従動歯車41とが噛合する位置まで移動しているかどうかを検出する[ステップ4]。
仮に第二センサ部113が移動台55の所定位置である駆動歯車47と従動歯車41とが噛合する位置まで移動していれば、検出部113aが被検出部113bを検出するからその信号によって制御装置は供給用モータ54に駆動信号を出力して、そのモータ軸61を、必要な量の水薬2が水薬ボトル4に供給されるだけ回転させる[ステップ5]。
図9には、移動台55が駆動歯車47と従動歯車41とが噛合する位置まで移動している状態を示している。
【0051】
必要な量の水薬2が水薬ボトル4に供給されると、制御装置は、移動用モータ58に反転信号を出力し[ステップ6]、再び被検出部95bが第一センサ部112によって検出されると[ステップ7]、その信号により制御装置は移動用モータ58を停止させる[ステップ8]。
その後は、ノズル取付け板53および載置体5を上下方向軸線16回りに間欠的に回転させて、必要な供給ボトル3を単独的に選択して上記[ステップ1]〜[ステップ8]を繰返すことで水薬ボトル4に水薬を供給する。
【0052】
[ステップ4]において、第二センサ部113が移動台55の所定位置である駆動歯車47と従動歯車41とが噛合する位置まで移動していれば、検出部が被検出部を検出し、駆動歯車47と従動歯車41とが噛合する位置まで移動していると判断されるが、該検出部が被検出部を検出しない場合では、移動台55が、従動歯車41に駆動歯車47が噛合する位置まで移動していないと判断される。このような状態は、駆動歯車47および従動歯車41の歯68の先端どうしが前後方向で当接している状態と考えられる。
【0053】
図10に上記状態を示しており、移動台55は駆動歯車47と従動歯車41の歯溝68,69どうしが噛合する位置まで移動していないから、図9における、支持台57に対する移動台55の平面突出寸法t1に比べて、図10における支持台57に対する移動台55の平面突出寸法t2は、歯溝68,69の高さt3だけ小さくなっている。
【0054】
しかしながら、移動用モータ58のモータ軸60の回転量は同一であるから、歯溝68,69の高さt3に応じた移動台55の移動量を何れかの構成部分で吸収しなければならない。そこで、高さt3に応じた移動台55の移動量は、押圧ローラ73に第二被押圧体75がバネ体76の弾性に抗して押圧されてピン110回りに大きく回動することで吸収する構成としている。換言すれば、バネ体76が伸びることにより、駆動歯車47および従動歯車41の歯68どうしの前後方向の当接力が、所定の弾性を有したバネ体76が伸長することで吸収される。
したがって、駆動歯車47および従動歯車41の歯68の先端どうしが前後方向で当接した場合にバネ体76がそれまで以上に伸長を開始すれば、移動用モータ58が駆動を継続したとしても過負荷が掛かるのを抑制することができ、移動装置52等の電気機械機器の損傷・故障を効果的に防止して、長寿命化を実現することができる。
【0055】
[ステップ4]で、駆動歯車47および従動歯車41の歯68どうしの当接が判断されると、制御装置は、移動用モータ58に反転信号を出力する[ステップ9]。これは再び被検出部95bが第一センサ部112によって検出されるまで行われ[ステップ10]、移動台55を元の位置に復帰させる。
つまりは、この実施形態では、移動装置52を駆動歯車47と従動歯車41との離間手段として兼用し、第一センサ部112を離間検出部として兼用している。さらに、第一センサ部112および第二センサ部113は、駆動歯車47および従動歯車41の円滑な(駆動伝達可能な)噛合を検出する検出部として用いられるとともに、駆動歯車47および従動歯車41の歯68どうしの当接(駆動伝達不可能)状態であることを検出する非連結検出部として用いられる。
そして、[ステップ1]に戻る前に、制御装置は、供給用モータ54を、駆動歯車47の歯溝68,69が半ピッチ分だけ、もしくは1.5ピッチ、2.5ピッチ等、従動歯車41の歯溝68,69の歯68どうしが当接しないようにモータ軸61を回転させる[ステップ11]。
【0056】
あるいは、図示しないが、[ステップ10]で移動台55を元の位置に戻して後、[ステップ11]に至る間に、移動用モータ58を駆動して、1回または2回だけ移動台55を再び駆動歯車47が従動歯車41に噛合するよう前方に移動させる制御を行ってもよい。
このようにすることにより、場合によっては駆動歯車47が従動歯車41に噛合することもあり得るからである。そうすれば、[ステップ11]に移行する必要はない。また、前述のように、1回または2回だけ移動台55を再び駆動歯車47が従動歯車41に噛合するよう前方に移動させても第二センサ部113が被検出部を検出しない場合は、エラー表示をするよう制御することも可能である。
さらに、移動台55を元の位置に復帰させるために、上記[ステップ6]、[ステップ9]において制御装置は、移動用モータ58に反転信号を出力するよう構成したがこれに限定されるものではなく、再び被検出部95bが第一センサ部112によって検出されるまで、モータ軸60をそれまでと同様の方向に回転させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態を示す水薬供給装置の全体構成を示す正面図
【図2】同じく図1におけるA−A線断面図(側面断面図)
【図3】同じく図1におけるB―B線断面図(平面断面図)
【図4】同じく移動装置を主として描いた一方向からの斜視図
【図5】同じく移動装置を主として描いた他方向からの斜視図
【図6】同じく供給ポンプの非使用状態を示す内部構造を示す正面図
【図7】同じく供給ポンプの使用状態を示す内部構造を示す正面図
【図8】同じく移動装置を主とした図で、駆動歯車と従動歯車とが離間した状態の平面図
【図9】同じく移動装置を主とした図で、駆動歯車と従動歯車とが噛合した状態の平面図
【図10】同じく移動装置を主とした図で、駆動歯車と従動歯車の歯どうしが当接した状態の平面図
【図11】同じく移動装置を供給ポンプ側から見た正面図
【図12】同じく駆動歯車と従動歯車とが離間した状態の側面断面図
【図13】同じく駆動歯車と従動歯車とが噛合した状態の側面断面図
【図14】同じく駆動歯車と従動歯車の歯どうしが当接した状態の側面断面図
【図15】同じく制御フローチャート
【符号の説明】
【0058】
1…水薬供給装置、2…水薬、3…供給ボトル、4…水薬ボトル、5…載置体、16…上下方向軸線、17…回転駆動部、18…供給ポンプ、20…ポンプ駆動部、22…供給ノズル、23…取付手段、24…載置台、25…昇降装置、28…回転用モータ、29…供給管、41…従動歯車、47…駆動歯車、52…移動装置、54…供給用モータ、55…移動台、56…ガイド機構、57…支持台、58…移動用モータ、68…歯、69…溝、73…押圧ローラ、74…第一被押圧体、75…第二被押圧体、76…バネ体、95…被検出円板、95a,95b…被検出部、112…第一センサ部、113…第二センサ部、114…第三センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給用モータのモータ軸側に連結された係止回転爪と、該係止回転爪と係止することで係止回転爪に連動するよう回転して薬剤の供給部を操作する被係止回転爪とを備え、係止回転爪と被係止回転爪とを移動装置によって相対的に接近・離間させて係止回転爪からの駆動力を被係止回転爪に対して繋断するよう構成され、前記係止回転爪および被係止回転爪は互いに相対形状の凹凸部を有して該凹凸部どうしを嵌合させ、係止回転爪の回転により被係止回転爪に駆動力を伝達して、薬剤を所定の場所に向けて供給するようにした薬剤供給装置であって、
係止回転爪および被係止回転爪の凹凸部どうしの嵌合方向に係止回転爪および被係止回転爪を相対的に移動させて係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが当接した場合に、該凸部どうしに働く押圧力を弾性的に吸収する弾性吸収機構が、前記移動装置側に設けられていることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
弾性吸収機構は、移動装置の駆動によって凸部どうしに働く押圧力を、該移動装置の構成部材を弾性的に支持しつつ移動させることで吸収させる構成とされていることを特徴とする請求項1記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
移動装置は、供給用モータを固定した移動台と、該移動台を水平方向に往復動自在に支持する支持台と、該支持台側に設けられた移動用モータと、該移動用モータの駆動に伴ってそのモータ軸回りに水平面内で公転動作する押圧体と、該押圧体の公転動作により押圧される被押圧体とを備え、該被押圧体を弾性的に支持しつつ移動させることで凸部どうしに働く押圧力を吸収させる弾性体が、被押圧体と移動台との間に介装されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
供給部は、被係止回転爪の回転に伴って供給管が操作されることで、薬剤としての水薬を、水薬供給ボトルから患者に供給される水薬ボトルに供給する供給ポンプであり、該供給ポンプは上下方向の軸心回りの同一円周上に複数並べて配置され、供給用モータは供給ポンプの径方向内方に配置され、被係止回転爪と係止回転爪とは、移動装置により供給用モータを、供給ポンプ間の径方向内外に向けて移動させることで繋断可能とされ、前記供給用モータと供給ポンプとは前記上下方向の軸心回りに相対的に回転自在に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
係止回転爪および被係止回転爪は、それぞれ供給用モータのモータ軸を中心として、対向面に放射状に形成された断面三角形状の凹凸歯から形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
移動装置の駆動により係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが当接したことを検出する非連結検出部が設けられ、該非連結検出部からの検出信号により係止回転爪および被係止回転爪を相対的に離間させるための離間手段が設けられ、該離間手段の駆動により係止回転爪および被係止回転爪の凸部どうしが所定距離だけ離間したことを検出する離間検出部が設けられ、該離間検出部からの検出信号により凸部どうしが位置ずれするように供給用モータを駆動させる位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の薬剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−161197(P2009−161197A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339698(P2007−339698)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】