薬物として使用するための特別な組成物
本発明は、薬物として使用するための、少なくとも1種のポリフェノール、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物、ならびに少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含有する組成物に関する。本発明による組成物は、また、食品サプリメントまたは機能性食品として使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野:
本発明は、医薬品として適用するための、少なくとも1種のポリフェノール、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物、ならびに少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含有する組成物に関する。
【0002】
先行技術:
疎水性分子であるポリフェノールは、種子植物に分類される植物、特にブドウ中に自然に存在する化合物である。そのような化合物、例えばレスベラトロールは、ブドウおよびワイン中から見出される。
【0003】
ポリフェノールの中に、ヒドロキシスチルベンがある。先行技術においてヒドロキシスチルベンは、とりわけ色素脱失剤として(JP87-192040)、血管拡張剤として(EP96-830517)、抗血栓剤として(JP05016413)、様々な心血管障害の処置に(CA2187990)、突然変異誘発および発ガンの阻害剤として(JP06024967)使用され、または抗酸化剤としても記載されている。
【0004】
レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン)は、ポリフェノール性フィトアレキシンである。この化合物は、植物によって合成され、感染(Botrytis cinerea)に対して抗真菌物質として作用する。レスベラトロールは、針葉樹、ピーナッツ、赤ブドウの果皮、ある種のマメ科植物およびPolygonum cuspidatumなどの様々な植物中に存在する。
【0005】
レスベラトロールは、中国および日本の伝統医学で長い間知られてきた治療有益性を有する。レスベラトロールは、「フレンチパラドックス」と呼ばれる、心血管リスク減少の原因として関係づけられている。実際に、高レベルのレスベラトロールを含有する赤ワインの消費と冠動脈疾患の減少の間に相関が確立されている。レスベラトロールがアリール炭化水素およびダイオキシンのレセプター(AhR)のアンタゴニストであることが数多くの科学的研究で実証されている(Casper, R. F. et al., Mol. Pharmacol. 1999, 56, 784-790)。
【0006】
レスベラトロールは、また、抗酸化、抗炎症、および骨保護活性を有し、ある種のガンに予防効果を有する可能性がある。
【0007】
レスベラトロールの吸収を研究するためにin vivoモデルが使用されている。ラットでは赤ワインの吸収後の異なる時点で動態研究が行われた。結果は、摂取の60分後に吸収ピークが検出されることを示している。短時間後に、レスベラトロールは肝臓および腎臓で検出される(吸収1時間後にマイクロモル濃度のピーク)。優先的排出器官としての腎臓による排出は非常に迅速である。他の研究は、15分後に血清レスベラトロールが出現し、30分後に非常に迅速に減少することを示している。マウスにおいて類似の研究が行われた。レスベラトロールの最大の吸収は十二指腸で起こると思われ、レスベラトロールの排出は非常に迅速であって、吸収のピークは30分である。
【0008】
これらの研究から、レスベラトロールが非常に迅速に吸収され、腸肝循環の間に代謝され、排泄されることが分かる。
【0009】
ex vivoおよびin vitroの数多くの研究が、レスベラトロール投与後の様々な器官におけるその局在および産生された代謝物を同定するために、レスベラトロールの吸収および代謝に焦点を当てている。
【0010】
ex vivoモデルは、ラット小腸の潅流によって代表される。この種の研究は、レスベラトロールが小腸から46%のレベルで抽出され、21%が血管に、わずか2%が腸に局在することを示している。このレスベラトロールは、40%が遊離型で、一方11%がグルクロノ抱合型であり、3%が硫酸化型である。グルクロノシド型は、循環系に存在する形態であり、一方で硫酸化型は腸内腔に分泌される形態である。この同じ種類の研究が、潅流された回腸および結腸のモデルで実施されている。
【0011】
その結果は、ごくわずかな比率のレスベラトロールだけが代謝されないことを示している。ヒト肝臓または腸の類似モデルを用いた研究もまた、レスベラトロールが非常に迅速に代謝されることを示している。したがって、レスベラトロールは、腸で吸収および代謝される。レスベラトロールが循環中を通過する場合、血清タンパク質によって大部分が担持される。
【0012】
細胞系(腸細胞系CaCo−2)を用いたin vitro研究は、潅流された腸モデルで得られた結果を確認するものであった。
【0013】
最終的に、2003年以来代謝およびバイオアベイラビリティーの研究がヒトで行われてきた。主要なデータは、レスベラトロールが30分後に血清濃度のピークに達することを示している。30分を超えると、非荷電で代謝されていないレスベラトロールが見出されることはまれである。最大の場合で、2%のレスベラトロールが血漿中に非荷電で見出される。
【0014】
全てのこれらのデータは、治療薬としてのレスベラトロールの活性が、その腸吸収およびその代謝の迅速性に起因するそのバイオアベイラビリティーに密接に結びついていることを示唆している。
【0015】
このように、レスベラトロールを用いて得られた結果が治療用医薬品としては不十分であるのは、本質的にそのバイオアベイラビリティーが不十分であることが原因である。
【0016】
したがって、本発明者らは、上皮細胞を経由したレスベラトロールの吸収を増大させ、その結果そのバイオアベイラビリティーを増大させることのできる薬学的形態を使用した。
【0017】
この特別な薬学的形態のレスベラトロールのおかげで、代謝性疾患または心血管疾患などの様々な障害において驚くべき目覚ましい結果を得ることが可能になった。
【0018】
発明の概要
したがって、本発明は、少なくとも1種のポリフェノール、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物、ならびに少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含む医薬品として適用するための組成物に関する。
【0019】
本発明による組成物は、好ましくは、代謝性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、心血管疾患を処置するために、およびプレバイオティック(prebiotic)として使用される。
【0020】
発明の詳細な説明
組成物および治療的使用
本発明は、第一に、
a.少なくとも1種のポリフェノール;
b.少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物;ならびに
c.少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物
を含む、医薬品として適用するための組成物に関する。
【0021】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、代謝性疾患を処置するために有用である。
【0022】
「代謝性疾患」という用語は、正常な代謝を妨害する任意の種類の栄養疾患または症候群を意味する。好ましくは、本発明による代謝性疾患は、エネルギー代謝障害である。
【0023】
「エネルギー代謝障害」という用語は、エネルギーを供給する栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)の代謝が妨害される栄養疾患または症候群を意味する。これらの随伴性栄養疾患および症候群は、例えば糖尿病、任意の高血糖症候群、肥満、体重過多、栄養不良、栄養失調、悪液質である。
【0024】
なおより好ましい一態様では、本発明による組成物は、少なくとも1種の他の活性主薬を含有することがある。
【0025】
この活性主薬は、メトホルミン、スルホニル尿素、グリコシダーゼ阻害剤、グリプチンなどのDPP4阻害剤、チアゾリジンジオンまたはスルファミドなどの経口抗糖尿病薬のことがある。
【0026】
好ましい一態様では、DPP4阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、またはGLP−1分解の直接もしくは間接阻害に関与する他の分子である。
【0027】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、炎症性疾患を処置するために有用である。
【0028】
「炎症性疾患」という用語は、例えば関節リウマチ、脊椎症、クローン病、関節疾患、変形性膝関節症などの関節症を意味する。本発明による組成物は、また、例えばプロテーゼ装着後の、術後炎症に有用なことがある。
【0029】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、神経変性疾患を処置するために有用である。
【0030】
「神経変性疾患」という用語は、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、白質希薄化、進行性核上性麻痺、多発性硬化症または筋萎縮性側索硬化症を意味する。
【0031】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、記憶障害および認知障害を処置するために有用である。この組成物は、記憶および認知機能を喪失するリスクを予防するために高齢者に使用することができる。
【0032】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、心血管疾患を処置するために有用である。
【0033】
「心血管疾患」という用語は、例えば高血圧、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心不全または動脈瘤を意味する。
【0034】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、心血管代謝リスク因子の管理に有用である。
【0035】
「心血管代謝リスク」という用語は、健康被験者の標準値に対する全形態の脂質、すなわちLDL、HDL、トリグリセリド、遊離脂肪酸、脂質粒子形態のもの、グルコース、炎症分子、酸化促進分子、血小板凝集、一酸化窒素および誘導体の循環濃度における変化を意味する。
【0036】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、プレバイオティックとして有用である。
【0037】
「プレバイオティック」という用語は、健康に有益効果を発揮するように腸内微生物叢を改変する分子を意味する。プレバイオティックは、特に代謝性疾患および心血管疾患、結腸ガンのリスク、ビタミン欠乏症、骨脱灰に作用する。腸内微生物叢の変化は、特にプレバイオティックに応答したBifidobacterium属およびLactobacterium属の菌数の増加によって特徴づけられる。
【0038】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、代謝性疾患および心血管疾患などの疾患の予防に使用することができる。
【0039】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、神経筋疾患を処置するために有用である。
【0040】
「神経筋疾患」という用語は、例えば筋障害および筋萎縮を意味する。
【0041】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、食品サプリメントまたは機能性食品として使用することができる。
【0042】
「食品サプリメント」という用語は、栄養または生理学的効果を有し、硬および軟カプセル、トローチ剤、錠剤、アンプル、輸液または経口液剤の形態で販売される、日常のヒトの食物を補充することを目的とする食料品を意味する。
【0043】
「機能性食品」という用語は、基本的な栄養学的特徴とは独立して、健康上の有益性(健康と同様に疾患リスクの減少)を提供する生理活性食物成分を有する製品を意味する。
【0044】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、天然ポリフェノールまたは合成ポリフェノールでありうる少なくとも1種のポリフェノールを含有する。
【0045】
「合成ポリフェノール」という用語は、より具体的には、生物学的材料(植物)からの抽出ではなく化学合成によって得られた任意のポリフェノール、および天然構造に対する原子の置換または付加によって改変された、天然ポリフェノールの任意の誘導体を意味する。好都合には、これらの置換は、ハロゲン(Cl−、CF3−)または一般構造R−O−の基である[式中、Rは脂肪族鎖または芳香環またはニトロ化された基である]。
【0046】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、式(I)
【0047】
【化1】
[式中、nは0以上4以下の整数であり、mは0以上5以下の整数である]で示されるヒドロキシスチルベンである少なくとも1種のポリフェノールを含有する。これらの化合物は、cisまたはtrans形態でありうる。本発明によれば、ヒドロキシスチルベンという用語は、式Iで示される化合物と、それらのヒドロキシアルキル化誘導体との両方を包含する。
【0048】
ヒドロキシスチルベンの中で、本発明者らは、モノヒドロキシスチルベン、ジヒドロキシスチルベン、トリヒドロキシスチルベン、テトラヒドロキシスチルベン、ペンタヒドロキシスチルベン、ヘキサヒドロキシスチルベン、ヘプタヒドロキシスチルベン、オクタヒドロキシスチルベン、およびノナヒドロキシスチルベン、またはそれらのヒドロキシアルキル化誘導体、例えば4’−ヒドロキシスチルベン、2’,4’−ジヒドロキシスチルベン、3’,4’−ジヒドロキシスチルベン、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2’,4’,4−トリヒドロキシスチルベン、3’,4’,4−トリヒドロキシスチルベン、2,4,4’−トリヒドロキシスチルベン、3,4,4’−トリヒドロキシスチルベン、3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン、2’,3,4−トリヒドロキシスチルベン、2,3’,4−トリヒドロキシスチルベン、2’,2,4’−トリヒドロキシスチルベン、2,4,4’,5−テトラヒドロキシスチルベン、2’,3,4’,5−テトラヒドロキシスチルベン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシスチルベン、3,3’,4’,5−テトラヒドロキシスチルベン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシスチルベン、3,3’,4,4’−テトラヒドロキシスチルベン、3,3’,4’,5、5’−ペンタヒドロキシスチルベン、2,2’,4,4’,6−ペンタヒドロキシスチルベン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシスチルベン、2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサヒドロキシスチルベンなどを挙げることができる。
【0049】
好ましくは、本発明による組成物は、3,4’,5−トリヒドロキシスチルベンまたはレスベラトロールを含有する。
【0050】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物を含有する。
【0051】
本発明によれば、「機能的等価物」という用語は、ポリフェノール化合物と混合された場合に、後者に対してポリエチレングリコールおよび/またはグリコールエーテルと同じ効果を発揮する化合物を意味する。
【0052】
したがって本発明によれば、ポリエチレングリコールの機能的等価物としてポリソルベートを含む製剤を使用することが可能である。
【0053】
「ポリエチレングリコール」という用語は、式H(OCH2CH2)nOH[式中、nは3よりも大きい]に対応する任意のポリマーを意味する。これに関して本発明者らは、一例として平均分子量が約100から20000の間、好ましくは平均分子量が約400から約10000の間、非常に好ましくは平均分子量が約400から約600の間のポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0054】
本発明によれば、所与の分子量のポリエチレングリコールは、単独で、または1種もしくは複数種の異なる分子量の他のポリエチレングリコールもしくは他の機能的等価物とあらゆる比率で混合して使用することができる。
【0055】
本発明に関連して使用されるポリエチレングリコールは、その分子量に応じて室温で液体形態または半固体形態のいずれかのことがある。結果として、これらのポリマーは、本発明によるポリフェノールの吸収を改善することを目的とする製剤が液体形態であるべきか、または逆に半固体形態であるべきかに応じて適切に選択される。
【0056】
本発明による組成物は、ポリエチレングリコールおよび/またはその機能的等価物、例えばポリソルベートをその組成物の合計重量に対して20から97wt%の間、好ましくは40から97wt%の間の比率で含むことができる。
【0057】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含有する。
【0058】
本発明によれば、グリセロールまたはポリグリセリル−3−ジオレエート(脂肪酸のポリグリセリルエステルまたはその等価物)は、グリコールエーテルの機能的等価物として使用することができる。
【0059】
本発明によれば、グリコールエーテルは、例えばジエチレングリコールアルキルエーテルなどのジエチレングリコールエーテル、特にジエチレングリコールのメチルエーテル、ジエチレングリコールのエチルエーテル、ジエチレングリコールのプロピルエーテルまたはジエチレングリコールのブチルエーテルより選択されるジエチレングリコールの(C1−C4)アルキルエーテル、さらに詳細にはジエチレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル、ジエチレングリコールのモノプロピルエーテルまたはジエチレングリコールのモノブチルエーテルより選択されるジエチレングリコールのモノ−(C1−C4)アルキルエーテルより選択することができる。
【0060】
ジエチレングリコールアルキルエーテルの中で、メチルエーテルおよびエチルエーテル、特にジエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
【0061】
本発明によれば、グリコールエーテルは、単独で、または1種もしくは複数種の他のグリコールエーテルもしくは他の機能的等価物とあらゆる比率で組み合わせて使用することができる。
【0062】
本発明による組成物は、グリコールエーテル、および/またはその機能的等価物、例えばグリセロールもしくはポリグリセリル−3−ジオレエート(脂肪酸のポリグリセロールエステルもしくはその等価物)を、その組成物の合計重量に対して2から79wt%の間、好ましくは2から59wt%の間の比率で含むことができる。
【0063】
特に好ましい本発明による組成物は、50から93%の間のポリエチレングリコールおよび/またはその機能的等価物、例えばポリソルベート、3から46%の間のグリコールエーテルおよび/またはその機能的等価物、例えばグリセロールまたはポリグリセリル−3−ジオレエート(脂肪酸のポリグリセロールエステルまたはその等価物)、ならびに100%に達するように十分な量の水を含む。
【0064】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、さらに、少なくとも1種の乳化剤を含むことができる。好都合には本発明によれば、乳化剤は、ポリソルベート、なおより好都合にはポリソルベート20(Tween 20またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(Tween 40またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(Tween 60またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、またはポリソルベート80(Tween 80またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)より選択されるポリソルベートであってよい。
【0065】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、経口経路、経鼻経路または直腸経路による投与に適する。
【0066】
したがって、本発明による組成物は、糖衣丸剤、硬もしくは軟カプセル剤、ゲル剤、乳剤、錠剤の形態、または経口投与用の何か他の薬学的形態でありうる。本発明による組成物は、また、点鼻スプレーまたは坐剤の形態であってもよい。これらの形態は、当業者に公知の通常の方法によって製造される。
【0067】
本発明の特定の一形態によれば、本発明による組成物は、有効期間を顕著に改善するように、封入された形態で製剤化することができる。
【0068】
本発明の他の特徴および利点は、例示および非限定の目的で示された以下の実施例から、よりはっきりと理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】糖耐性に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図2A】GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図2Aは、結腸中の活性GLP−1のmRNAの分析に対応する。
【図2B】GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図2Bは、結腸中の活性GLP−1タンパク質の分析に対応する。
【図2C】GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図2Cは、肝門脈中の活性GLP−1のモル濃度の分析に対応する。
【図3】活性GLP−1レセプターについてのノックアウトマウスにおける糖耐性に及ぼす本発明のレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図4】循環インスリン濃度に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図5A】IL10の分泌に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVまたはRSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図5Aは、結腸中IL10のmRNAの分析に対応する。
【図5B】IL10の分泌に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVまたはRSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図5Bは、結腸中IL10のタンパク質の分析に対応する。
【図5C】IL10の分泌に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVまたはRSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図5Cは、肝臓中のIL10のmRNAの分析に対応する。
【図6】視床下部中のPAI−1に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図7】視床下部中のIL10に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図8】Y字型迷路での試験を示す図である。YMは、若齢マウス(4ヶ月)に対応し、EMは高齢マウス(22ヶ月)に対応する。記号+は、本発明によるレスベラトロール含有組成物を投与されたマウスに対応する。記号−は、本発明によるレスベラトロール含有組成物を投与されなかったマウスに対応する。
【図9】心血管および代謝リスクに関連する脂質リスク因子のパラメーターに及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図10A】本発明によるレスベラトロール含有組成物のプレバイオティック効果を示す図である。図10Aにおいて、NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない標準的な実験室食をこれらのマウスに給餌した。HFDは、炎症性糖尿病誘発食のみを給餌されたマウスに対応する。
【図10B】本発明によるレスベラトロール含有組成物のプレバイオティック効果を示す図である。図10Bにおいて、HFDは、対照に対応する。これらのマウスに本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食を給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を含む炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図11A】高脂肪食でマウスに誘導された糖尿病モデルにおいて糖耐性を改善させる、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるシタグリプチンとBioA−RSV(最適化された薬学的形態のレスベラトロール)との同時投与を示す図である。A)BioA−RSV(四角)またはシタグリプチンと組み合わせたBioA−RSV(三角)で5週間処置された糖尿病マウスの血糖プロファイル(mg/dL)。データは、1群あたり8匹のマウスでの平均値+SEMとして表現する。*および***は、Studentのt検定を適用後にそれぞれp<0.05およびp<0.001で群間で有意差があることを示す。
【図11B】高脂肪食でマウスに誘導された糖尿病モデルにおいて糖耐性を改善させる、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるシタグリプチンとBioA−RSV(最適化された薬学的形態のレスベラトロール)との同時投与を示す図である。B)門脈血中の活性GLP−1濃度(pM)。データは、1群あたり8匹のマウスでの平均値+SEMとして表現する。*および***は、Studentのt検定を適用後にそれぞれp<0.05およびp<0.001で群間で有意差があることを示す。
【図11C】高脂肪食でマウスに誘導された糖尿病モデルにおいて糖耐性を改善させる、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるシタグリプチンとBioA−RSV(最適化された薬学的形態のレスベラトロール)との同時投与を示す図である。C)BioA−RSV(黒棒線)およびシタグリプチンと組み合わせたBioA−RSV(水玉棒線)で5週間処置された糖尿病マウスにおけるmRNAの相対発現レベル(REL)。データは、1群あたり8匹のマウスでの平均値+SEMとして表現する。*および***は、Studentのt検定を適用後にそれぞれp<0.05およびp<0.001で群間で有意差があることを示す。
【0070】
実施例:
実施例1:代謝性疾患への本発明による組成物の適用
A 糖耐性に及ぼす効果:
材料および方法
マウスに炎症性糖尿病誘発食を5週間供し、2型糖尿病を誘導する。次に、レスベラトロールを補充されたまたは補充されていない本発明による組成物でそれらのマウスを処置し、糖尿病状態の指標である糖耐性を試験するために経口経路でマウスにグルコースを注入する。
【0071】
結果
図1に、レスベラトロールを補充された本発明による組成物により血糖が大きく減少することを示す。
【0072】
B GLP−1合成に及ぼす効果:
材料および方法
マウスに炎症性糖尿病誘発食を5週間供し、2型糖尿病を誘導する。次に、レスベラトロール補充されたまたは補充されていない本発明による組成物でそれらのマウスを処置する。
【0073】
結果
図2に、GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。GLP−1は、食事中に分泌される腸管ホルモンであり、インスリンの分泌を増加させ、高血糖を低下させる。mRNAおよびGLP1タンパク質は、結腸中で大きく増加し(図2Aおよび2B)、活性GLP1のモル濃度もまた、肝門脈中で増加する(図2C)。
【0074】
図3に、活性GLP−1に特異的なレセプターが遺伝子操作によって遺伝的に除去されたマウスでは、本発明によるレスベラトロール含有組成物の治療効果が得られないことを示す。したがって、RSVの抗糖尿病誘発効果は、GLP−1がそのレセプターに及ぼす作用を必要とする。
【0075】
図4に、本発明によるレスベラトロール含有組成物がインスリンの分泌を増加させることを示す。この効果はGLP−1を必要とする。
【0076】
実施例2:炎症性疾患への本発明による組成物の適用
材料および方法
マウスに、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充されたまたは補充されていない脂肪食(0.04%W/W)を供する。5週間後にマウスを屠殺し、結腸および肝臓中での主要な抗炎症性サイトカインIL10に対応するmRNAおよびタンパク質を測定し、視床下部中のマーカーPAI−1のmRNAを測定する。
【0077】
結果
インターロイキン10は、ある種の血液細胞(単球など)によって分泌される抗炎症分子である。図5Aおよび5Bに、結腸中のIL10のmRNAおよびタンパク質の増加を示す。図5Cに、肝臓中のIL10のmRNAの増加を示す。これらの結果は、本発明によるレスベラトロール含有組成物の抗炎症効果を実証している。
【0078】
図6に、視床下部中のPAI1に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。PAI−1は、代謝性疾患(糖尿病、肥満など)における炎症についての最良のマーカーである。PAI−1は、炎症促進性マーカーと見なされている。したがって、本発明によるレスベラトロール含有組成物は、視床下部中のPAI−1のmRNAを減少させることを可能にする。
【0079】
実施例3:神経変性疾患への本発明による組成物の適用
A IL10の合成に及ぼす効果:
材料および方法
炎症状態および糖尿病を誘導し、神経変性を促進する効果を有する炎症誘導性糖尿病誘発食を8週齢のマウスに5週間供する。代謝炎症反応の対照として視床下部を用いて、抗炎症性IL10をコードするmRNAを測定した。
【0080】
結果
図7に、視床下部でのIL10のmRNAの増加を示す。したがって、これらの結果は、本発明によるレスベラトロール含有組成物の抗炎症効果を実証している。
【0081】
B Y字型迷路での試験:
材料および方法
神経変性を発症しやすい高齢マウスをこのために使用する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充されたまたは補充されていない標準食をこれらのマウスに給餌する。
【0082】
図8に、Y字型迷路での試験に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。高齢マウスへのこの組成物の投与によって、進入率に統計的に有意な増加が生じ(p<0.05)、これは、記憶および認知の改善を示唆している。
【0083】
実施例4:心血管疾患および心血管代謝リスク因子の予防への本発明による組成物の適用
材料および方法
糖尿病および炎症を誘導する脂肪食をマウスに5週間供する。トリグリセリドおよびLDLコレステロールのレベルならびに血糖を測定する。
【0084】
結果
図9に、本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。心血管リスクに関連する様々なパラメーター(血糖、トリグリセリドおよびLDLコレステロール)は、かなり減少する。このように、心血管疾患を発症するリスクは大きく低下する。血糖、すなわち糖尿病になるリスクは減少する。
【0085】
実施例5:プレバイオティックとしての本発明による組成物の適用
材料および方法
本発明によるレスベラトロール含有組成物を含むまたは含まない、糖尿病および炎症を誘導する脂肪食をマウスに供するかまたは供さない。
【0086】
5週間後にマウスを屠殺し、結腸の細菌DNA16Sを抽出する。PCRおよび変性勾配ゲルを使用して、腸内に存在する異なる細菌種の多様性を実証する。Pearsonのツリー解析により、多様な種に対応するクラスターを形成させ、それらのメタゲノム類似性(細菌ゲノム)の近接度に関して個体を位置付けることが可能になる。
【0087】
腸内微生物叢の多様性の観点から最も類似している個体が、Pearsonのツリー上で最も接近している。
【0088】
結果
図10Aに、2群のマウスが形成されることを示す。Pearsonのツリー解析によってクラスターが形成するときに、標準的な実験室食を給餌された全ての対照マウスが結合した。したがって、脂肪食を給餌されたマウスに同じことが当てはまる。したがって、脂肪食は、各群の腸内微生物叢の特徴の変化を誘導することから、このPCR分析によって同定可能である。
【0089】
図10Bに、2群のマウスが形成されることを示す。Pearsonのツリー解析によってクラスターが形成するときに、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充されていない脂肪食を給餌された全ての対照マウスが結合した。したがって、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された脂肪食を給餌されたマウスに同じことが当てはまる。したがって、補充は確かに腸内微生物叢の変化を誘導する。したがって、腸内微生物叢が変化することから、明らかにプレバイオティック効果があり、これは健康に有益である。
【0090】
実施例6:ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤と組み合わせた本発明による組成物の適用
材料および方法
8週齢の雄性C57BL/6Jマウス(Charles River, L’Arbresle, France)を、厳密な衛生状態(無菌)で明暗サイクル(12/12)(点灯10PM/消灯10AM)を与えて飼育した。マウスに水および食物を自由摂取させる。マウスに5週間正常食または高脂肪食を供する。この高脂肪食は、肥満の前に糖尿病を誘導する。シタグリプチン(飼料中に1日5mg)を混合してまたは混合せずに活性薬学的形態のレスベラトロール(BioA−RSV)を1群のマウスに供した。全ての動物実験は、ToulouseのRangueil CHU(University Hospital Centre)の地域倫理委員会によって承認されたものである。
【0091】
結果
本発明者らの結果から、グルコースの経口投与の30分後にレスベラトロール単独を投与するよりも、レスベラトロールおよびシタグリプチンの組み合わせを投与する方が血糖を効果的に減少させることが可能であることが示される(図11A)。GLP−1の門脈濃度(図11B)およびGLP−1のプログルカゴン前駆体の腸内濃度(図11C)に関して同じことが当てはまる。
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野:
本発明は、医薬品として適用するための、少なくとも1種のポリフェノール、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物、ならびに少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含有する組成物に関する。
【0002】
先行技術:
疎水性分子であるポリフェノールは、種子植物に分類される植物、特にブドウ中に自然に存在する化合物である。そのような化合物、例えばレスベラトロールは、ブドウおよびワイン中から見出される。
【0003】
ポリフェノールの中に、ヒドロキシスチルベンがある。先行技術においてヒドロキシスチルベンは、とりわけ色素脱失剤として(JP87-192040)、血管拡張剤として(EP96-830517)、抗血栓剤として(JP05016413)、様々な心血管障害の処置に(CA2187990)、突然変異誘発および発ガンの阻害剤として(JP06024967)使用され、または抗酸化剤としても記載されている。
【0004】
レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン)は、ポリフェノール性フィトアレキシンである。この化合物は、植物によって合成され、感染(Botrytis cinerea)に対して抗真菌物質として作用する。レスベラトロールは、針葉樹、ピーナッツ、赤ブドウの果皮、ある種のマメ科植物およびPolygonum cuspidatumなどの様々な植物中に存在する。
【0005】
レスベラトロールは、中国および日本の伝統医学で長い間知られてきた治療有益性を有する。レスベラトロールは、「フレンチパラドックス」と呼ばれる、心血管リスク減少の原因として関係づけられている。実際に、高レベルのレスベラトロールを含有する赤ワインの消費と冠動脈疾患の減少の間に相関が確立されている。レスベラトロールがアリール炭化水素およびダイオキシンのレセプター(AhR)のアンタゴニストであることが数多くの科学的研究で実証されている(Casper, R. F. et al., Mol. Pharmacol. 1999, 56, 784-790)。
【0006】
レスベラトロールは、また、抗酸化、抗炎症、および骨保護活性を有し、ある種のガンに予防効果を有する可能性がある。
【0007】
レスベラトロールの吸収を研究するためにin vivoモデルが使用されている。ラットでは赤ワインの吸収後の異なる時点で動態研究が行われた。結果は、摂取の60分後に吸収ピークが検出されることを示している。短時間後に、レスベラトロールは肝臓および腎臓で検出される(吸収1時間後にマイクロモル濃度のピーク)。優先的排出器官としての腎臓による排出は非常に迅速である。他の研究は、15分後に血清レスベラトロールが出現し、30分後に非常に迅速に減少することを示している。マウスにおいて類似の研究が行われた。レスベラトロールの最大の吸収は十二指腸で起こると思われ、レスベラトロールの排出は非常に迅速であって、吸収のピークは30分である。
【0008】
これらの研究から、レスベラトロールが非常に迅速に吸収され、腸肝循環の間に代謝され、排泄されることが分かる。
【0009】
ex vivoおよびin vitroの数多くの研究が、レスベラトロール投与後の様々な器官におけるその局在および産生された代謝物を同定するために、レスベラトロールの吸収および代謝に焦点を当てている。
【0010】
ex vivoモデルは、ラット小腸の潅流によって代表される。この種の研究は、レスベラトロールが小腸から46%のレベルで抽出され、21%が血管に、わずか2%が腸に局在することを示している。このレスベラトロールは、40%が遊離型で、一方11%がグルクロノ抱合型であり、3%が硫酸化型である。グルクロノシド型は、循環系に存在する形態であり、一方で硫酸化型は腸内腔に分泌される形態である。この同じ種類の研究が、潅流された回腸および結腸のモデルで実施されている。
【0011】
その結果は、ごくわずかな比率のレスベラトロールだけが代謝されないことを示している。ヒト肝臓または腸の類似モデルを用いた研究もまた、レスベラトロールが非常に迅速に代謝されることを示している。したがって、レスベラトロールは、腸で吸収および代謝される。レスベラトロールが循環中を通過する場合、血清タンパク質によって大部分が担持される。
【0012】
細胞系(腸細胞系CaCo−2)を用いたin vitro研究は、潅流された腸モデルで得られた結果を確認するものであった。
【0013】
最終的に、2003年以来代謝およびバイオアベイラビリティーの研究がヒトで行われてきた。主要なデータは、レスベラトロールが30分後に血清濃度のピークに達することを示している。30分を超えると、非荷電で代謝されていないレスベラトロールが見出されることはまれである。最大の場合で、2%のレスベラトロールが血漿中に非荷電で見出される。
【0014】
全てのこれらのデータは、治療薬としてのレスベラトロールの活性が、その腸吸収およびその代謝の迅速性に起因するそのバイオアベイラビリティーに密接に結びついていることを示唆している。
【0015】
このように、レスベラトロールを用いて得られた結果が治療用医薬品としては不十分であるのは、本質的にそのバイオアベイラビリティーが不十分であることが原因である。
【0016】
したがって、本発明者らは、上皮細胞を経由したレスベラトロールの吸収を増大させ、その結果そのバイオアベイラビリティーを増大させることのできる薬学的形態を使用した。
【0017】
この特別な薬学的形態のレスベラトロールのおかげで、代謝性疾患または心血管疾患などの様々な障害において驚くべき目覚ましい結果を得ることが可能になった。
【0018】
発明の概要
したがって、本発明は、少なくとも1種のポリフェノール、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物、ならびに少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含む医薬品として適用するための組成物に関する。
【0019】
本発明による組成物は、好ましくは、代謝性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、心血管疾患を処置するために、およびプレバイオティック(prebiotic)として使用される。
【0020】
発明の詳細な説明
組成物および治療的使用
本発明は、第一に、
a.少なくとも1種のポリフェノール;
b.少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物;ならびに
c.少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物
を含む、医薬品として適用するための組成物に関する。
【0021】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、代謝性疾患を処置するために有用である。
【0022】
「代謝性疾患」という用語は、正常な代謝を妨害する任意の種類の栄養疾患または症候群を意味する。好ましくは、本発明による代謝性疾患は、エネルギー代謝障害である。
【0023】
「エネルギー代謝障害」という用語は、エネルギーを供給する栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)の代謝が妨害される栄養疾患または症候群を意味する。これらの随伴性栄養疾患および症候群は、例えば糖尿病、任意の高血糖症候群、肥満、体重過多、栄養不良、栄養失調、悪液質である。
【0024】
なおより好ましい一態様では、本発明による組成物は、少なくとも1種の他の活性主薬を含有することがある。
【0025】
この活性主薬は、メトホルミン、スルホニル尿素、グリコシダーゼ阻害剤、グリプチンなどのDPP4阻害剤、チアゾリジンジオンまたはスルファミドなどの経口抗糖尿病薬のことがある。
【0026】
好ましい一態様では、DPP4阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、またはGLP−1分解の直接もしくは間接阻害に関与する他の分子である。
【0027】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、炎症性疾患を処置するために有用である。
【0028】
「炎症性疾患」という用語は、例えば関節リウマチ、脊椎症、クローン病、関節疾患、変形性膝関節症などの関節症を意味する。本発明による組成物は、また、例えばプロテーゼ装着後の、術後炎症に有用なことがある。
【0029】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、神経変性疾患を処置するために有用である。
【0030】
「神経変性疾患」という用語は、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、白質希薄化、進行性核上性麻痺、多発性硬化症または筋萎縮性側索硬化症を意味する。
【0031】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、記憶障害および認知障害を処置するために有用である。この組成物は、記憶および認知機能を喪失するリスクを予防するために高齢者に使用することができる。
【0032】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、心血管疾患を処置するために有用である。
【0033】
「心血管疾患」という用語は、例えば高血圧、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心不全または動脈瘤を意味する。
【0034】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、心血管代謝リスク因子の管理に有用である。
【0035】
「心血管代謝リスク」という用語は、健康被験者の標準値に対する全形態の脂質、すなわちLDL、HDL、トリグリセリド、遊離脂肪酸、脂質粒子形態のもの、グルコース、炎症分子、酸化促進分子、血小板凝集、一酸化窒素および誘導体の循環濃度における変化を意味する。
【0036】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、プレバイオティックとして有用である。
【0037】
「プレバイオティック」という用語は、健康に有益効果を発揮するように腸内微生物叢を改変する分子を意味する。プレバイオティックは、特に代謝性疾患および心血管疾患、結腸ガンのリスク、ビタミン欠乏症、骨脱灰に作用する。腸内微生物叢の変化は、特にプレバイオティックに応答したBifidobacterium属およびLactobacterium属の菌数の増加によって特徴づけられる。
【0038】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、代謝性疾患および心血管疾患などの疾患の予防に使用することができる。
【0039】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、神経筋疾患を処置するために有用である。
【0040】
「神経筋疾患」という用語は、例えば筋障害および筋萎縮を意味する。
【0041】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、食品サプリメントまたは機能性食品として使用することができる。
【0042】
「食品サプリメント」という用語は、栄養または生理学的効果を有し、硬および軟カプセル、トローチ剤、錠剤、アンプル、輸液または経口液剤の形態で販売される、日常のヒトの食物を補充することを目的とする食料品を意味する。
【0043】
「機能性食品」という用語は、基本的な栄養学的特徴とは独立して、健康上の有益性(健康と同様に疾患リスクの減少)を提供する生理活性食物成分を有する製品を意味する。
【0044】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、天然ポリフェノールまたは合成ポリフェノールでありうる少なくとも1種のポリフェノールを含有する。
【0045】
「合成ポリフェノール」という用語は、より具体的には、生物学的材料(植物)からの抽出ではなく化学合成によって得られた任意のポリフェノール、および天然構造に対する原子の置換または付加によって改変された、天然ポリフェノールの任意の誘導体を意味する。好都合には、これらの置換は、ハロゲン(Cl−、CF3−)または一般構造R−O−の基である[式中、Rは脂肪族鎖または芳香環またはニトロ化された基である]。
【0046】
好ましい一態様では、本発明による組成物は、式(I)
【0047】
【化1】
[式中、nは0以上4以下の整数であり、mは0以上5以下の整数である]で示されるヒドロキシスチルベンである少なくとも1種のポリフェノールを含有する。これらの化合物は、cisまたはtrans形態でありうる。本発明によれば、ヒドロキシスチルベンという用語は、式Iで示される化合物と、それらのヒドロキシアルキル化誘導体との両方を包含する。
【0048】
ヒドロキシスチルベンの中で、本発明者らは、モノヒドロキシスチルベン、ジヒドロキシスチルベン、トリヒドロキシスチルベン、テトラヒドロキシスチルベン、ペンタヒドロキシスチルベン、ヘキサヒドロキシスチルベン、ヘプタヒドロキシスチルベン、オクタヒドロキシスチルベン、およびノナヒドロキシスチルベン、またはそれらのヒドロキシアルキル化誘導体、例えば4’−ヒドロキシスチルベン、2’,4’−ジヒドロキシスチルベン、3’,4’−ジヒドロキシスチルベン、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2’,4’,4−トリヒドロキシスチルベン、3’,4’,4−トリヒドロキシスチルベン、2,4,4’−トリヒドロキシスチルベン、3,4,4’−トリヒドロキシスチルベン、3,4’,5−トリヒドロキシスチルベン、2’,3,4−トリヒドロキシスチルベン、2,3’,4−トリヒドロキシスチルベン、2’,2,4’−トリヒドロキシスチルベン、2,4,4’,5−テトラヒドロキシスチルベン、2’,3,4’,5−テトラヒドロキシスチルベン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシスチルベン、3,3’,4’,5−テトラヒドロキシスチルベン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシスチルベン、3,3’,4,4’−テトラヒドロキシスチルベン、3,3’,4’,5、5’−ペンタヒドロキシスチルベン、2,2’,4,4’,6−ペンタヒドロキシスチルベン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシスチルベン、2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサヒドロキシスチルベンなどを挙げることができる。
【0049】
好ましくは、本発明による組成物は、3,4’,5−トリヒドロキシスチルベンまたはレスベラトロールを含有する。
【0050】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物を含有する。
【0051】
本発明によれば、「機能的等価物」という用語は、ポリフェノール化合物と混合された場合に、後者に対してポリエチレングリコールおよび/またはグリコールエーテルと同じ効果を発揮する化合物を意味する。
【0052】
したがって本発明によれば、ポリエチレングリコールの機能的等価物としてポリソルベートを含む製剤を使用することが可能である。
【0053】
「ポリエチレングリコール」という用語は、式H(OCH2CH2)nOH[式中、nは3よりも大きい]に対応する任意のポリマーを意味する。これに関して本発明者らは、一例として平均分子量が約100から20000の間、好ましくは平均分子量が約400から約10000の間、非常に好ましくは平均分子量が約400から約600の間のポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0054】
本発明によれば、所与の分子量のポリエチレングリコールは、単独で、または1種もしくは複数種の異なる分子量の他のポリエチレングリコールもしくは他の機能的等価物とあらゆる比率で混合して使用することができる。
【0055】
本発明に関連して使用されるポリエチレングリコールは、その分子量に応じて室温で液体形態または半固体形態のいずれかのことがある。結果として、これらのポリマーは、本発明によるポリフェノールの吸収を改善することを目的とする製剤が液体形態であるべきか、または逆に半固体形態であるべきかに応じて適切に選択される。
【0056】
本発明による組成物は、ポリエチレングリコールおよび/またはその機能的等価物、例えばポリソルベートをその組成物の合計重量に対して20から97wt%の間、好ましくは40から97wt%の間の比率で含むことができる。
【0057】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物を含有する。
【0058】
本発明によれば、グリセロールまたはポリグリセリル−3−ジオレエート(脂肪酸のポリグリセリルエステルまたはその等価物)は、グリコールエーテルの機能的等価物として使用することができる。
【0059】
本発明によれば、グリコールエーテルは、例えばジエチレングリコールアルキルエーテルなどのジエチレングリコールエーテル、特にジエチレングリコールのメチルエーテル、ジエチレングリコールのエチルエーテル、ジエチレングリコールのプロピルエーテルまたはジエチレングリコールのブチルエーテルより選択されるジエチレングリコールの(C1−C4)アルキルエーテル、さらに詳細にはジエチレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル、ジエチレングリコールのモノプロピルエーテルまたはジエチレングリコールのモノブチルエーテルより選択されるジエチレングリコールのモノ−(C1−C4)アルキルエーテルより選択することができる。
【0060】
ジエチレングリコールアルキルエーテルの中で、メチルエーテルおよびエチルエーテル、特にジエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
【0061】
本発明によれば、グリコールエーテルは、単独で、または1種もしくは複数種の他のグリコールエーテルもしくは他の機能的等価物とあらゆる比率で組み合わせて使用することができる。
【0062】
本発明による組成物は、グリコールエーテル、および/またはその機能的等価物、例えばグリセロールもしくはポリグリセリル−3−ジオレエート(脂肪酸のポリグリセロールエステルもしくはその等価物)を、その組成物の合計重量に対して2から79wt%の間、好ましくは2から59wt%の間の比率で含むことができる。
【0063】
特に好ましい本発明による組成物は、50から93%の間のポリエチレングリコールおよび/またはその機能的等価物、例えばポリソルベート、3から46%の間のグリコールエーテルおよび/またはその機能的等価物、例えばグリセロールまたはポリグリセリル−3−ジオレエート(脂肪酸のポリグリセロールエステルまたはその等価物)、ならびに100%に達するように十分な量の水を含む。
【0064】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、さらに、少なくとも1種の乳化剤を含むことができる。好都合には本発明によれば、乳化剤は、ポリソルベート、なおより好都合にはポリソルベート20(Tween 20またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(Tween 40またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(Tween 60またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、またはポリソルベート80(Tween 80またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)より選択されるポリソルベートであってよい。
【0065】
別の好ましい態様では、本発明による組成物は、経口経路、経鼻経路または直腸経路による投与に適する。
【0066】
したがって、本発明による組成物は、糖衣丸剤、硬もしくは軟カプセル剤、ゲル剤、乳剤、錠剤の形態、または経口投与用の何か他の薬学的形態でありうる。本発明による組成物は、また、点鼻スプレーまたは坐剤の形態であってもよい。これらの形態は、当業者に公知の通常の方法によって製造される。
【0067】
本発明の特定の一形態によれば、本発明による組成物は、有効期間を顕著に改善するように、封入された形態で製剤化することができる。
【0068】
本発明の他の特徴および利点は、例示および非限定の目的で示された以下の実施例から、よりはっきりと理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】糖耐性に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図2A】GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図2Aは、結腸中の活性GLP−1のmRNAの分析に対応する。
【図2B】GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図2Bは、結腸中の活性GLP−1タンパク質の分析に対応する。
【図2C】GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図2Cは、肝門脈中の活性GLP−1のモル濃度の分析に対応する。
【図3】活性GLP−1レセプターについてのノックアウトマウスにおける糖耐性に及ぼす本発明のレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。HFDは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図4】循環インスリン濃度に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図5A】IL10の分泌に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVまたはRSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図5Aは、結腸中IL10のmRNAの分析に対応する。
【図5B】IL10の分泌に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVまたはRSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図5Bは、結腸中IL10のタンパク質の分析に対応する。
【図5C】IL10の分泌に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。HFD RSVまたはRSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。図5Cは、肝臓中のIL10のmRNAの分析に対応する。
【図6】視床下部中のPAI−1に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図7】視床下部中のIL10に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図8】Y字型迷路での試験を示す図である。YMは、若齢マウス(4ヶ月)に対応し、EMは高齢マウス(22ヶ月)に対応する。記号+は、本発明によるレスベラトロール含有組成物を投与されたマウスに対応する。記号−は、本発明によるレスベラトロール含有組成物を投与されなかったマウスに対応する。
【図9】心血管および代謝リスクに関連する脂質リスク因子のパラメーターに及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す図である。NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食をこれらのマウスに給餌した。RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図10A】本発明によるレスベラトロール含有組成物のプレバイオティック効果を示す図である。図10Aにおいて、NCは、対照に対応する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない標準的な実験室食をこれらのマウスに給餌した。HFDは、炎症性糖尿病誘発食のみを給餌されたマウスに対応する。
【図10B】本発明によるレスベラトロール含有組成物のプレバイオティック効果を示す図である。図10Bにおいて、HFDは、対照に対応する。これらのマウスに本発明によるレスベラトロール含有組成物を含まない炎症性糖尿病誘発食を給餌した。HFD RSVは、本発明によるレスベラトロール含有組成物を含む炎症性糖尿病誘発食を給餌されたマウスに対応する。
【図11A】高脂肪食でマウスに誘導された糖尿病モデルにおいて糖耐性を改善させる、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるシタグリプチンとBioA−RSV(最適化された薬学的形態のレスベラトロール)との同時投与を示す図である。A)BioA−RSV(四角)またはシタグリプチンと組み合わせたBioA−RSV(三角)で5週間処置された糖尿病マウスの血糖プロファイル(mg/dL)。データは、1群あたり8匹のマウスでの平均値+SEMとして表現する。*および***は、Studentのt検定を適用後にそれぞれp<0.05およびp<0.001で群間で有意差があることを示す。
【図11B】高脂肪食でマウスに誘導された糖尿病モデルにおいて糖耐性を改善させる、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるシタグリプチンとBioA−RSV(最適化された薬学的形態のレスベラトロール)との同時投与を示す図である。B)門脈血中の活性GLP−1濃度(pM)。データは、1群あたり8匹のマウスでの平均値+SEMとして表現する。*および***は、Studentのt検定を適用後にそれぞれp<0.05およびp<0.001で群間で有意差があることを示す。
【図11C】高脂肪食でマウスに誘導された糖尿病モデルにおいて糖耐性を改善させる、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるシタグリプチンとBioA−RSV(最適化された薬学的形態のレスベラトロール)との同時投与を示す図である。C)BioA−RSV(黒棒線)およびシタグリプチンと組み合わせたBioA−RSV(水玉棒線)で5週間処置された糖尿病マウスにおけるmRNAの相対発現レベル(REL)。データは、1群あたり8匹のマウスでの平均値+SEMとして表現する。*および***は、Studentのt検定を適用後にそれぞれp<0.05およびp<0.001で群間で有意差があることを示す。
【0070】
実施例:
実施例1:代謝性疾患への本発明による組成物の適用
A 糖耐性に及ぼす効果:
材料および方法
マウスに炎症性糖尿病誘発食を5週間供し、2型糖尿病を誘導する。次に、レスベラトロールを補充されたまたは補充されていない本発明による組成物でそれらのマウスを処置し、糖尿病状態の指標である糖耐性を試験するために経口経路でマウスにグルコースを注入する。
【0071】
結果
図1に、レスベラトロールを補充された本発明による組成物により血糖が大きく減少することを示す。
【0072】
B GLP−1合成に及ぼす効果:
材料および方法
マウスに炎症性糖尿病誘発食を5週間供し、2型糖尿病を誘導する。次に、レスベラトロール補充されたまたは補充されていない本発明による組成物でそれらのマウスを処置する。
【0073】
結果
図2に、GLP−1合成に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。GLP−1は、食事中に分泌される腸管ホルモンであり、インスリンの分泌を増加させ、高血糖を低下させる。mRNAおよびGLP1タンパク質は、結腸中で大きく増加し(図2Aおよび2B)、活性GLP1のモル濃度もまた、肝門脈中で増加する(図2C)。
【0074】
図3に、活性GLP−1に特異的なレセプターが遺伝子操作によって遺伝的に除去されたマウスでは、本発明によるレスベラトロール含有組成物の治療効果が得られないことを示す。したがって、RSVの抗糖尿病誘発効果は、GLP−1がそのレセプターに及ぼす作用を必要とする。
【0075】
図4に、本発明によるレスベラトロール含有組成物がインスリンの分泌を増加させることを示す。この効果はGLP−1を必要とする。
【0076】
実施例2:炎症性疾患への本発明による組成物の適用
材料および方法
マウスに、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充されたまたは補充されていない脂肪食(0.04%W/W)を供する。5週間後にマウスを屠殺し、結腸および肝臓中での主要な抗炎症性サイトカインIL10に対応するmRNAおよびタンパク質を測定し、視床下部中のマーカーPAI−1のmRNAを測定する。
【0077】
結果
インターロイキン10は、ある種の血液細胞(単球など)によって分泌される抗炎症分子である。図5Aおよび5Bに、結腸中のIL10のmRNAおよびタンパク質の増加を示す。図5Cに、肝臓中のIL10のmRNAの増加を示す。これらの結果は、本発明によるレスベラトロール含有組成物の抗炎症効果を実証している。
【0078】
図6に、視床下部中のPAI1に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。PAI−1は、代謝性疾患(糖尿病、肥満など)における炎症についての最良のマーカーである。PAI−1は、炎症促進性マーカーと見なされている。したがって、本発明によるレスベラトロール含有組成物は、視床下部中のPAI−1のmRNAを減少させることを可能にする。
【0079】
実施例3:神経変性疾患への本発明による組成物の適用
A IL10の合成に及ぼす効果:
材料および方法
炎症状態および糖尿病を誘導し、神経変性を促進する効果を有する炎症誘導性糖尿病誘発食を8週齢のマウスに5週間供する。代謝炎症反応の対照として視床下部を用いて、抗炎症性IL10をコードするmRNAを測定した。
【0080】
結果
図7に、視床下部でのIL10のmRNAの増加を示す。したがって、これらの結果は、本発明によるレスベラトロール含有組成物の抗炎症効果を実証している。
【0081】
B Y字型迷路での試験:
材料および方法
神経変性を発症しやすい高齢マウスをこのために使用する。本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充されたまたは補充されていない標準食をこれらのマウスに給餌する。
【0082】
図8に、Y字型迷路での試験に及ぼす本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。高齢マウスへのこの組成物の投与によって、進入率に統計的に有意な増加が生じ(p<0.05)、これは、記憶および認知の改善を示唆している。
【0083】
実施例4:心血管疾患および心血管代謝リスク因子の予防への本発明による組成物の適用
材料および方法
糖尿病および炎症を誘導する脂肪食をマウスに5週間供する。トリグリセリドおよびLDLコレステロールのレベルならびに血糖を測定する。
【0084】
結果
図9に、本発明によるレスベラトロール含有組成物の効果を示す。心血管リスクに関連する様々なパラメーター(血糖、トリグリセリドおよびLDLコレステロール)は、かなり減少する。このように、心血管疾患を発症するリスクは大きく低下する。血糖、すなわち糖尿病になるリスクは減少する。
【0085】
実施例5:プレバイオティックとしての本発明による組成物の適用
材料および方法
本発明によるレスベラトロール含有組成物を含むまたは含まない、糖尿病および炎症を誘導する脂肪食をマウスに供するかまたは供さない。
【0086】
5週間後にマウスを屠殺し、結腸の細菌DNA16Sを抽出する。PCRおよび変性勾配ゲルを使用して、腸内に存在する異なる細菌種の多様性を実証する。Pearsonのツリー解析により、多様な種に対応するクラスターを形成させ、それらのメタゲノム類似性(細菌ゲノム)の近接度に関して個体を位置付けることが可能になる。
【0087】
腸内微生物叢の多様性の観点から最も類似している個体が、Pearsonのツリー上で最も接近している。
【0088】
結果
図10Aに、2群のマウスが形成されることを示す。Pearsonのツリー解析によってクラスターが形成するときに、標準的な実験室食を給餌された全ての対照マウスが結合した。したがって、脂肪食を給餌されたマウスに同じことが当てはまる。したがって、脂肪食は、各群の腸内微生物叢の特徴の変化を誘導することから、このPCR分析によって同定可能である。
【0089】
図10Bに、2群のマウスが形成されることを示す。Pearsonのツリー解析によってクラスターが形成するときに、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充されていない脂肪食を給餌された全ての対照マウスが結合した。したがって、本発明によるレスベラトロール含有組成物を補充された脂肪食を給餌されたマウスに同じことが当てはまる。したがって、補充は確かに腸内微生物叢の変化を誘導する。したがって、腸内微生物叢が変化することから、明らかにプレバイオティック効果があり、これは健康に有益である。
【0090】
実施例6:ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤と組み合わせた本発明による組成物の適用
材料および方法
8週齢の雄性C57BL/6Jマウス(Charles River, L’Arbresle, France)を、厳密な衛生状態(無菌)で明暗サイクル(12/12)(点灯10PM/消灯10AM)を与えて飼育した。マウスに水および食物を自由摂取させる。マウスに5週間正常食または高脂肪食を供する。この高脂肪食は、肥満の前に糖尿病を誘導する。シタグリプチン(飼料中に1日5mg)を混合してまたは混合せずに活性薬学的形態のレスベラトロール(BioA−RSV)を1群のマウスに供した。全ての動物実験は、ToulouseのRangueil CHU(University Hospital Centre)の地域倫理委員会によって承認されたものである。
【0091】
結果
本発明者らの結果から、グルコースの経口投与の30分後にレスベラトロール単独を投与するよりも、レスベラトロールおよびシタグリプチンの組み合わせを投与する方が血糖を効果的に減少させることが可能であることが示される(図11A)。GLP−1の門脈濃度(図11B)およびGLP−1のプログルカゴン前駆体の腸内濃度(図11C)に関して同じことが当てはまる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1種のポリフェノール;
b.少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物;ならびに
c.少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物
を含む、医薬品として適用するための組成物。
【請求項2】
糖尿病などの代謝性疾患の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
メトホルミン、スルホニル尿素、グリコシダーゼ阻害剤、グリプチンなどのDPP4阻害剤、チアゾリジンジオンまたはスルファミドなどの、少なくとも1種の他の活性主薬を含有することを特徴とする、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
DPP4阻害剤が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、またはGLP−1分解の直接もしくは間接阻害に関連づけられている他の分子であることを特徴とする、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
DPP4阻害剤がシタグリプチンであることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
関節リウマチなどの炎症性疾患、脊椎症、クローン病、関節疾患、変形性膝関節症などの関節症の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、白質希薄化、進行性核上性麻痺、多発性硬化症または筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
心血管代謝リスク因子の管理、および高血圧、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心不全または動脈瘤などの心血管疾患の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
プレバイオティックとして使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
ポリフェノールがレスベラトロールであることを特徴とする、請求項1〜7記載の組成物。
【請求項11】
ポリエチレングリコールが、式H(OCH2CH2)nOH[式中、nは3よりも大きい]に対応するポリマーであることを特徴とする、請求項1〜8記載の組成物。
【請求項12】
グリコールエーテルが、ジエチレングリコールエーテル、好ましくはジエチレングリコールアルキルエーテル、特に(C1−C4)ジエチレングリコールアルキルエーテル、さらに詳細にはモノ(C1−C4)ジエチレングリコールアルキルエーテル、好都合にはジエチレングリコールモノエチルエーテルより選択されることを特徴とする、請求項1〜9記載の組成物。
【請求項1】
a.少なくとも1種のポリフェノール;
b.少なくとも1種のポリエチレングリコールおよび/または機能的等価物;ならびに
c.少なくとも1種のグリコールエーテルおよび/または機能的等価物
を含む、医薬品として適用するための組成物。
【請求項2】
糖尿病などの代謝性疾患の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
メトホルミン、スルホニル尿素、グリコシダーゼ阻害剤、グリプチンなどのDPP4阻害剤、チアゾリジンジオンまたはスルファミドなどの、少なくとも1種の他の活性主薬を含有することを特徴とする、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
DPP4阻害剤が、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、またはGLP−1分解の直接もしくは間接阻害に関連づけられている他の分子であることを特徴とする、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
DPP4阻害剤がシタグリプチンであることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
関節リウマチなどの炎症性疾患、脊椎症、クローン病、関節疾患、変形性膝関節症などの関節症の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、白質希薄化、進行性核上性麻痺、多発性硬化症または筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
心血管代謝リスク因子の管理、および高血圧、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、心不全または動脈瘤などの心血管疾患の処置に使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
プレバイオティックとして使用するための、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
ポリフェノールがレスベラトロールであることを特徴とする、請求項1〜7記載の組成物。
【請求項11】
ポリエチレングリコールが、式H(OCH2CH2)nOH[式中、nは3よりも大きい]に対応するポリマーであることを特徴とする、請求項1〜8記載の組成物。
【請求項12】
グリコールエーテルが、ジエチレングリコールエーテル、好ましくはジエチレングリコールアルキルエーテル、特に(C1−C4)ジエチレングリコールアルキルエーテル、さらに詳細にはモノ(C1−C4)ジエチレングリコールアルキルエーテル、好都合にはジエチレングリコールモノエチルエーテルより選択されることを特徴とする、請求項1〜9記載の組成物。
【図8】
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公表番号】特表2013−518034(P2013−518034A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549351(P2012−549351)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050715
【国際公開番号】WO2011/089168
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(503285612)ユニヴェルシテ・ドゥ・ラ・メディテラネ(エクスマルセイユ・ドゥズィエーム) (15)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LA MEDITERRANEE(AIX−MARSEILLE II)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050715
【国際公開番号】WO2011/089168
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(503285612)ユニヴェルシテ・ドゥ・ラ・メディテラネ(エクスマルセイユ・ドゥズィエーム) (15)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LA MEDITERRANEE(AIX−MARSEILLE II)
【Fターム(参考)】
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