説明

薬物溶出性皮膜を有する医療デバイス

内部人工器官等の医療デバイス及びデバイスの作製方法が述べられる。一実施形態において、内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、バンド及びコネクタの内部管腔側壁表面及び側部壁表面は細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成する医療デバイスが述べられる。管状構造の1つ又は複数の壁表面は、選択された領域が少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する。皮膜は、更に、少なくとも1つの生物学的活性物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、全体の内容が参照として組込まれる2006年9月14日に出願された米国特許出願第60/844,471号の優先権を米国特許法35USC§119(e)の下で主張する。本発明は、内部人工器官(例えば、ステント)等の医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
身体は、動脈、他の血管等の種々の通路、及び他の身体管腔を含む。これらの通路は、閉塞したり、もろくなったりすることがある。例えば、これらの通路は、腫瘍によって閉塞されたり、プラークにより制限されたり、又は動脈瘤によってもろくなったりすることがある。このような事態が生じると、医療用内部人工器官によって、通路が再開通されるか、強化されるか、交換されることすらある。内部人工器官は、通常は、身体の管腔内に配置される管状部材からなる。内部人工器官の例として、ステント、カバー付ステント、及びステント移植材等が挙げられる。
【0003】
内部人工器官を所望の部位に移送する場合、内部人工器官は、圧縮されるか、又は小サイズ化された形態で、内部人工器官を支持するカテーテルによって体内へと送達される。その部位に達すると、内部人工器官は、例えば、管腔壁と接触するように拡張することが可能となる。
【0004】
内部人工器官は、活性医薬品を含む生体適合性材料及び/又は生物学的活性物質によりコーティングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第60/844,471号
【特許文献2】米国特許第5,674,242号
【特許文献3】米国出願第09/895,415号
【特許文献4】米国出願第10/232,265号
【特許文献5】米国特許出願第60/818,101号
【特許文献6】米国特許出願第11/763,770号
【特許文献7】米国特許第5,195,969号
【特許文献8】米国特許第5,270,086号
【特許文献9】米国特許第6,726,712号
【特許文献10】米国特許第6,861,088号
【特許文献11】米国公開特許出願第2003−0018380号
【特許文献12】米国公開特許出願第2002−0144757号
【特許文献13】米国公開特許出願第2003−0077200号
【特許文献14】米国特許出願第10/672,891号
【特許文献15】米国特許出願第11/035,316号
【特許文献16】米国特許出願第10/346,487号
【特許文献17】米国特許第5,366,504号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Carp等, Prog. Solid State Chem. 32:33-177, 2004
【非特許文献2】Bekesi等, Appl. Phys. A76:355-57, 2003
【非特許文献3】Chen等, Surf. Coat. Tech. 186:270-76, 2004
【非特許文献4】Cernigoj等, Thin Solid Films 495:327-332, 2006
【非特許文献5】Zheng等, J. Sol-Gel Science and Tech. 24:81-88, 2002
【非特許文献6】Maehara等, Thin Solid Films 438-39:65-69, 2003
【非特許文献7】Kim等, Thin Solid Films 499:83-89, 2003
【非特許文献8】Bu等, J. Europ. Cer. Soc. 25:673-79, 2005
【非特許文献9】Schetsky, L. McDonald著「Shape Memory Alloys」Encyclopedia of Chemical Technology(3rd ed), John Wiley & Sons, 1982, vol.20. pp.726-736
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、医療デバイス(例えば、ステント)の表面内に画定された窪みに生物学的活性物質(例えば、薬物)を塗布することが体内へのデバイスの送達中に物質を保護するとの発見に基づくものである。例えば、カテーテルによる送達中に、こうした窪み内に位置する生物学的活性物質は、通常は、乱されず、かつ所定場所に留まり、一方、現在入手可能な医療デバイスのほぼ平坦な表面上に位置する物質は、露出するため、表面から物質を剥ぎ取るせん断力を受ける。1つ又は複数の窪みは、初期付着及びその後の生物学的活性物質の溶出を促進する成分によりコーティングされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、開示は、内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスを特徴とし、バンド及びコネクタの内部管腔側壁表面及び側部壁表面は、細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成し、管状構造の1つ又は複数の壁表面は、選択された領域が少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する。
【0009】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでもよい。
少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する表面は、管外側壁表面、管腔側壁表面、側部壁表面、又はそれらの組合せからなる。
【0010】
皮膜は、少なくとも1つの生物学的活性物質、ポリマー、例えば、生分解性ポリマー、結合層、例えば、生分解性結合層、又はそれらの組合せを含むことができる。例えば、皮膜は、第1生物学的活性物質の層、並びにポリマー層及び第2生物学的活性物質の層を含むことができる(第1及び第2物質は同じか異なる)。ポリマーは、生分解性であってもよく、侵食によって第1物質を露出させる。ポリマー、例えば、多孔質ポリマーは、第1物質が、ポリマーを通し、かつポリマーから拡散させることができる。また、皮膜は、セラミック層、例えば、シリカを含むことができる。セラミック層は、例えば、チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、二酸化チタンを含むことができる。皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、二酸化チタンを含むことができる。皮膜は、親水性及び/又は疎水性チタン(+y)酸化物(−x)の領域を含むことができる。例えば、窪みを画定する皮膜の領域は、疎水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、疎水性二酸化チタンの皮膜を担持することができ、一方、窪みを画定しない皮膜の領域は、親水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、親水性二酸化チタン、例えば、超親水性二酸化チタンの皮膜を担持することができる。別の実施形態では、窪みを画定する皮膜の領域は、親水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、親水性二酸化チタン、例えば、超親水性二酸化チタンの皮膜を担持することができ、一方、窪みを画定しない皮膜の領域は、疎水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、疎水性二酸化チタンの皮膜を担持することができる。また、皮膜は、全体が1つの状態(親水性か、疎水性)のチタン(+y)酸化物(−x)を含むことができる。皮膜は、皮膜が画定する窪みと同じ厚さであってもよい。皮膜は、皮膜が画定する窪みの深さより薄くてもよい。
【0011】
窪みは、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸にほぼ沿って延びる、例えば、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ平行な向きに延びるよう構成される。窪みは、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ横断する向きに、例えば、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ垂直な向きに延びるよう構成される。皮膜は、複数の窪みを画定することができる。窪みの幅は、窪みが画定されるバンド又はコネクタの幅の最大約80%を構成することができる。窪みの深さは、平均して、窪みが画定されるバンド、又はコネクタの厚さの最大約50%を構成する。しかしながら、局所的に付加される窪みは、バンド又はコネクタの厚さの最大約90%を構成する。
【0012】
別の態様では、開示は、医療デバイスを製造する方法であって、(a)内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、バンド及びコネクタの内部管腔側壁表面及び側部壁表面は細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成し、1つ又は複数の壁表面は少なくとも1つの窪みを画定する医療デバイスを生成するステップと、(b)医療デバイスの1つ又は複数の表面上に皮膜を塗布するステップとを含む方法を特徴とする。
【0013】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでもよい。
少なくとも1つの窪みを画定する表面は、管外側壁表面、管腔側壁表面、側部壁表面、又はそれらの組合せからなる。
【0014】
窪みは、レーザによって、例えば、レーザアブレーションプロセス及び/又はレーザアシスト式化学エッチングによって生成される。窪みは、化学エッチングによって生成される。窪みは、バンドとコネクタとの相互連結されたものが形成される前に、医療デバイス、例えば、管の未処理材料内に機械加工される、又は、形成される。窪みは、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸にほぼ沿って延びる、例えば、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ平行な向きに延びるよう構成される。窪みは、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ横断する向きに、例えば、窪みが画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ垂直な向きに延びるよう構成される。表面は、複数の窪みを画定することができる。窪みの幅は、窪みが画定されるバンド又はコネクタの幅の最大約80%を構成する。窪みの深さは、平均して、窪みが画定されるバンド又はコネクタの厚さの最大約50%を構成する。しかしながら、局所的に付加される窪みは、バンド又はコネクタの厚さの最大約90%を構成する。
【0015】
ステップ(b)の皮膜は、管外側表面、管腔側表面、側部表面、又はそれらの組合せの窪みに塗布される。ステップ(b)の皮膜は、複数の層により塗布される。
ステップ(b)の皮膜の塗布は、ディップコーティング、ロールコーティング、マイクロペン(登録商標)アプリケーション、エレクトロスプレー、ガスアシスト式スプレー、エレクトロスピニング、又はそれらの組合せによって実行される。ステップ(b)の皮膜の塗布は、生物学的活性物質を含むポリマー管の表面上で医療デバイスを回転させて、ポリマー及び生物学的活性物質を医療デバイスの窪み内に誘導することによって実行される。ステップ(b)の皮膜の塗布は、生物学的活性物質及びポリマーの混合物を、加熱ノズルを通して強制的に窪みに入れることによって実行される。
【0016】
ステップ(b)は、例えば、プラズマ処理、紫外光活性化、デバイスの所望の領域の帯電化、及びテクスチャーリングによって窪みの表面を活性化することをさらに含むことができる。
【0017】
ステップ(b)にて塗布される皮膜は、少なくとも1つの生物学的活性物質、ポリマー、例えば、生分解性ポリマー、結合層、例えば、生分解性結合層、又はそれらの組合せを含むことができる。例えば、第1生物学的活性物質を含む第1皮膜層が塗布され、それに続いて、ポリマー及び第2生物学的活性物質を含む第2皮膜層が塗布される(第1及び第2物質は同じか異なる)。ポリマーは、生分解性であってもよく、侵食によって第1物質を露出させる。ポリマー、例えば、多孔質ポリマーは、ポリマーを通じて同ポリマーから、第1物質を拡散させることができる。ステップ(b)にて塗布される皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、二酸化チタンを含むことができ、ステップ(b)は、チタン(+y)酸化物(−x)を担持する表面の所望の領域を疎水性又は親水性にするのに十分な状態に医療デバイスを暴露させることをさらに含むことができる。所望の領域は、窪みを画定する表面、例えば、管外側、管腔側、及び/又は側部壁表面であってもよい。所望の領域は、窪みを画定しない表面、例えば、管外側、管腔側、及び/又は側部壁表面であってもよい。皮膜は、皮膜が塗布される窪みの深さにほぼ等しい、例えば、窪みを画定するバンド又はコネクタの厚さの約50%〜約90%の厚さに塗布される。皮膜は、皮膜が塗布される窪みの深さより小さい厚さに塗布される。
【0018】
ステップ(b)に続いて、皮膜は、デバイスの所望の領域から、例えば、窪みの外部の表面から除去される。除去プロセスは、皮膜を削り取ることを含むことができる。除去プロセスは、皮膜を洗い流すことを含むことができる。
【0019】
別の態様では、開示は、医療デバイスを製造する方法であって、(a)内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、バンド及びコネクタの内部管腔側壁表面及び側部壁表面は細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成し、1つ又は複数の壁表面は少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する医療デバイスを生成するステップと、(b)さらに、少なくとも1つの所望の物質をデバイスに塗布するステップとを含む方法を特徴とする。
【0020】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでもよい。
皮膜を担持する表面は、管外側壁表面、管腔側壁表面、側部壁表面、又はそれらの組合せからなる。
【0021】
ステップ(a)の皮膜は、ゾルゲルプロセスによって塗布される。プロセスは、非界面活性剤系テンプレート、例えば、グルコース又は尿素の使用を含むことができる。皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、二酸化チタンを含むことができる。ステップ(a)と(b)との間で、デバイスは、チタン(+y)酸化物(−x)皮膜を疎水性及び/又は親水性にするために選択された状態に暴露させられ、例えば、UV光に対する暴露(皮膜を超親水性にさせる)及び/又は暗闇に対する長期暴露(皮膜を超疎水性にさせる)が行われる。皮膜は、複数の窪み画定することができる。物質は、ステップ(b)にて、優先的に窪みに塗布される。ステップ(b)にて塗布される物質は、生物学的活性物質であってもよい。ステップ(b)にて塗布される物質は、ポリマー、例えば、生分解性ポリマーであってもよい。
【0022】
別の態様では、開示は、医療デバイスを製造する方法であって、(a)内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、バンド及びコネクタの内部管腔側壁表面及び側部壁表面は細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成する医療デバイスを生成するステップと、(b)生物学的活性物質を含む第1皮膜を医療デバイスの1つ又は複数の表面上に塗布するステップと、(c)少なくとも1つの窪みを画定するための第2皮膜を医療デバイスの1つ又は複数の表面上に塗布するステップとを含む方法を特徴とする。
【0023】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでもよい。
ステップ(b)の第1皮膜は、管外側壁表面、管腔側壁表面、側部壁表面、又はそれらの組合せに塗布される。第1皮膜は、ディップコーティング、ロールコーティング、マイクロペン(登録商標)アプリケーション、エレクトロスプレー、ガスアシスト式スプレー、エレクトロスピニング、又はそれらの組合せによって塗布される。第1皮膜は、少なくとも1つの生物学的活性物質、ポリマー、例えば生分解性ポリマー、結合層、例えば、生分解性結合層、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0024】
ステップ(c)の第2皮膜は、ゾルゲル法によって塗布される。方法は、非界面活性剤系テンプレート、例えば、グルコース又は尿素の使用を含むことができる。第2皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、二酸化チタンを含むことができる。チタン(+y)酸化物(−x)を含む第2皮膜の塗布に続いて、デバイスは、チタン(+y)酸化物(−x)皮膜を疎水性及び/又は親水性にするために選択された状態に暴露させられ、例えば、UV光に対する暴露(皮膜を超親水性にさせる)及び/又は暗闇に対する長期暴露(皮膜を超疎水性にさせる)が行われる。第2皮膜は、第1皮膜が塗布された領域(複数可)と異なる医療デバイスの領域(複数可)上に塗布される。第2皮膜は、第1皮膜上に塗布され、第2皮膜は、第2皮膜を通した第1皮膜の生物学的活性物質の拡散を可能にするよう構成される。
【0025】
ステップ(a)と(b)との間で、医療デバイスの所望の表面(複数可)は、例えば、プラズマ処理、紫外光活性化、デバイスの所望の領域の帯電化、及びテクスチャーリングによって活性化される。活性化した表面(複数可)は、管外側壁表面、管腔側壁表面、側部壁表面、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0026】
別の態様では、開示は、ステントを備える医療デバイスであって、細長い管状構造の形態を有し、細長い管状構造は、中心管腔又は流路を画定する外部壁表面、側部壁表面、及び内部壁表面、並びに、生体の流体流路内に送達するために使用中に位置決めされる、ある物質を含むステントの1つ又は複数の表面によって画定される1つ又は複数の窪みを有する医療デバイスを特徴とする。
【0027】
本明細書で使用される「生物学的活性物質(biologically active substance)」という用語は、化合物、治療薬、薬物、製薬用合成物、及び生物学的作用を及ぼす類似の物質を指す。
【0028】
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術の専門家によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で述べるものと同様の又は等価な方法及び材料が、本開示の実施又は試験において使用されるが、適した方法及び材料が以下で述べられる。本明細書で述べられる全ての出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組込まれる。競合する場合、定義を含む本仕様が支配することになる。さらに、材料、方法、及び例は、例示に過ぎず、制限することを意図しない。本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】ステントの斜視図。
【図1B】ステントバンドのセクションの一実施形態の平面図。
【図1C】ステントバンドの一実施形態の断面図。
【図1D】ステントバンドのセクションの一実施形態の平面図。
【図1E】ステントバンドの一実施形態の断面図。
【図1F】ステントバンドのセクションの一実施形態の平面図。
【図1G】ステントバンドの一実施形態の断面図。
【図2A】ステントの斜視図。
【図2B】ステントバンドのセクションの一実施形態の平面図。
【図2C】ステントバンドの一実施形態の断面図。
【図2D】ステントバンドの一実施形態の断面図。
【図2E】ステントバンドの一実施形態の断面図。
【図3】ステントを作製する方法の一実施形態のフローチャート。
【図4】ステントを作製する方法の一実施形態のフローチャート。
【図5】ステントを作製する方法の一実施形態のフローチャート。
【図6】ステントを作製する方法の一実施形態のフローチャート。
【図7】ステントを作製する方法の一実施形態のフローチャート。
【図8】スチールの上部の中空セラミック球の走査型電子顕微鏡画像。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各図中、同じ部材番号は同じ要素を示す。
内部人工器官又はステント等の医療デバイスは、しばしば、生物学的活性物質、例えば薬物と共に、生体の脈管内に送達される必要があり、生物学的活性物質は、その後、デバイスから溶出する。医療デバイスは、一般に、その外部又は管外側表面上を、こうした物質によりコーティングされる。物質は、例えば、軟質で生分解性のポリマーマトリクス皮膜内に埋め込まれる。しかし、例えば、カテーテルによる送達中に、皮膜は、せん断力によって剥がれる可能性がある。皮膜は、ステントがカテーテルから放出されるときに剥がれ落ちる虞がある。例えば、管が引込められる間にステントが外に押し出され、ステントが拡張可能になるため、自己拡張型ステントと囲んでいる送達管との間のせん断力は、ステントの皮膜に損傷をもたらす虞がある。バルーン拡張可能型ステントの皮膜もまた、石灰化病変部を通る又はステント手技で使用される他のデバイスを通る、デバイスの通過中に損傷を受ける虞がある。自己拡張型及びバルーン拡張可能型ステントは、また、ステントが拡張し、例えば、標的脈管の壁に接触するときに生成されるせん断力による損傷を受け易い。例えば、石灰化病変部内でのバルーン拡張可能型ステントの拡張は、ステント皮膜に損傷を及ぼす虞がある。デバイスの送達中に保護される生物学的活性物質によってコーティングされる医療デバイスを開発することは有利である。本開示は、こうした医療デバイス及びこうしたデバイスを作製する方法を特徴とする。
【0031】
図1Aは、細長い管状構造を形成するバンド12とコネクタ11との相互連結体を有するステント10を示す。図1Bに示す1つのバンド12のセクション13の平面図は、窪み14がバンドの軸にほぼ沿って延びることを示す。ラインB1−B1に沿って切取ったセクション13の断面は図1Cに示される。バンドは、管外側(外部)壁表面15、側部壁表面16、及び管腔側(内部)壁表面17を有する。管外側壁表面15は、窪み14を画定する皮膜18を担持する。皮膜18は、ポリマー、例えば、生分解性ポリマーを含むことができる。また、皮膜は、生物学的活性物質19を含む。また、窪み14は、コネクタ11のいずれもの軸にほぼ沿って延びることができる(図示せず)。窪み14は、バンド12又はコネクタ11のいずれもの軸にほぼ平行に延びることができる(図示せず)。図1D及び図1Eは、複数の窪み14が、皮膜18によって画定され、バンドの軸にほぼ沿って延びることができることを示す。複数の窪み14は、また、図1Fに示すように、バンドの軸に対してほぼ横断的に、例えばほぼ垂直に延びることができる。窪み14の形状は、図1C及び図1Eに示す形状から変わる可能性がある。例えば、形状は、図1BのラインB1−B1に沿って切取ったバンド12の断面である図1Gに示すように、90℃以外の角度を含むことができる。図1Gの実施形態に示す窪みの側面をアンダーカットすることは、ステントに塗布される皮膜の機械的保持をさらに容易にすることができる。
【0032】
窪み14は、窪みが画定されるバンド又はコネクタの幅の最大約80%を構成する。窪み14の深さは、平均して、窪みが画定されるバンド又はコネクタの厚さの最大約50%を構成する。しかしながら、局所的な窪み(ポットホールに類似する)は、バンド又はコネクタの厚さの最大約90%を構成する。
【0033】
図2A〜図2Eは、ステントの種々の領域が窪み及び種々のタイプの皮膜を担持できることを示す。図2Aは、細長い管状構造を形成するバンド12とコネクタ11との相互連結体を有するステント10を示す。図2Bに示す一実施形態では、窪み14はバンド12の軸にほぼ沿って延びている。図2C(図1BのラインB1−B1に沿って切取ったバンド12の断面である)は、一実施形態において、管外側表面15の皮膜18が、窪み14を画定する領域20及び窪みを画定しない領域21を含むことができることを示す。これら2つの領域内の皮膜の特性は、変わる可能性があり、例えば、領域20は、親水性皮膜、例えば、親水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、親水性二酸化チタン、例えば、超親水性二酸化チタンを含むことができ、一方、領域21は、疎水性皮膜、例えば、疎水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、疎水性二酸化チタンを含むことができる(又はその逆である)。こうした特性は、これらの領域が、異なる特徴を有する生物学的活性物質をさらに含み、例えば、領域20内に親水性物質22を、また、領域21内に疎水性物質23を含むことを可能にする。
【0034】
図2Dを参照すれば、別の実施形態では、管外側壁表面15は、窪み18を画定する皮膜18を含み、一方、管腔側及び側部壁表面17及び16は、それぞれ、窪みを画定しない皮膜18を含む。依然として、管外側表面並びに管腔側及び側部表面の皮膜の特性は変わる可能性がある。例えば、管外側表面の皮膜は、親水性であり、例えば、親水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば、親水性二酸化チタン、例えば、超親水性二酸化チタンであることができ、一方、管腔側及び側部表面の皮膜は、疎水性であり、例えば、疎水性チタン(+y)酸化物(−x)、例えば疎水性二酸化チタンであってもよい(又はその逆である)。これらの特性は、管外側表面の皮膜が、管腔側及び側部表面の皮膜の生物学的活性物質、例えば、疎水性物質23と異なる特性を有する、生物学的活性物質、例えば、親水性物質22を含むことを可能にする。
【0035】
図2Eを参照すれば、別の実施形態では、管外側壁表面15と管腔側表面17の両方の皮膜が窪みを画定する。別の実施形態では、側部壁表面16の皮膜が窪みを画定することができる(図示せず)。窪みを画定する皮膜の領域の組合せは数多く存在する。皮膜の種々の領域の特性の組合せも数多く存在する。
【0036】
先に説明したように、皮膜18は、米国特許第5,674,242号、2001年7月2日に出願された米国出願第09/895,415号、及び2002年8月30日に出願された米国出願第10/232,265号に記載される少なくとも1つの放出可能な生物学的活性物質、例えば、治療薬、薬物、又は医薬品由来化合物を含むことができる。治療薬、薬物、又は医薬品由来化合物は、例えば、抗増殖薬、抗血栓薬、抗酸化薬、抗炎症薬、免疫抑制化合物、麻酔薬、抗凝固薬、及び抗生物質を含むことができる。こうした生物分子の特定の例は、パクリタクセル、シロリスム、エベロリムス、ゾタロリムス、ピクロリムス、及びデクサメタゾーンを含む。皮膜は、また、分解するにつれて生物学的活性物質を放出するポリマー、例えば、生分解性ポリマーを含むことができる。皮膜18は、また、下にあるステント10に対する付着を促進する結合層を含むことができる。結合層は、生分解性又は非生分解性であってもよい。皮膜18は、生物学的活性物質(複数可)、結合層(複数可)、及び/又はポリマーの組合せであってもよい。例えば、皮膜は、第1生物学的活性物質の層、並びにポリマー及び第2生物学的活性物質の層を含むことができる(第1及び第2物質は同じか又は異なる)。ポリマーは、生分解性であり、侵食によって第1物質を露出させる。ポリマー、例えば、多孔質ポリマーは、ポリマーを通じて同ポリマーから第1物質を拡散させることができる。
【0037】
説明したように、皮膜18は、チタン(+y)酸化物(−x)(TiO)、例えば、二酸化チタン(TiO)を含むことができる。チタン(IV)酸化物又はチタニアとしても知られる二酸化チタンは、チタンの自然に生じる酸化物(化学式TiO)である。TiOは、いくつかの形態、すなわち、ルチル、アナターゼ、ブルカイト、二酸化チタン(B)(単斜晶)、二酸化チタン(II)、及び二酸化チタン(H)で生じる。Carp等, Prog. Solid State Chem. 32:33-177, 2004。TiO、例えば、TiOの1つの興味深い特性として、疎水性、又は、親水性、例えば、超親水性であることが挙げられる。TiOでコーティングされたステント及びステントをTiOでコーティングする方法は、2006年6月29日に出願された米国特許出願第60/818,101号及び2007年6月15日に出願された米国特許出願第11/763,770号に記載されている。それらの特許出願で述べるように、ステント10を疎水性及び/又は親水性Tiの種々の組合せによりコーティングすることは、種々の生物学的活性物質をステント10の選択された領域上に載せることを可能にする。その出願で使用される「生物分子(biomolecule)」との用語は、本明細書で使用される「生物学的活性物質(biologically active substance)」との用語と同じ意味である。
【0038】
ステント10は、カテーテル送達システムを用いて使用され、例えば、送達される。カテーテルシステムは、例えば、Wangの米国特許第5,195,969号、Hamlinの米国特許第5,270,086号、及びRaeder-Devensの米国特許第6,726,712号に記載される。ステント及びステント送達は、また、Boston Scientific Scimed(ミネソタ州メープルグローブ(Maple Grove, MN))から入手可能なRadius(登録商標)又はSymbiot(登録商標)システムによって例示される。
【0039】
使用時、少なくとも1つのタイプの生物学的活性物質を担持するステント10は、物質を、例えば、血管に送達することができる。生物学的活性物質は、血管の種々の細胞、例えば、内皮細胞又は平滑筋細胞を標的とすることができる。説明したように、現在入手可能なステントは、直接露出される生物学的活性物質、例えば薬物を送達カテーテル及び/又は標的脈管に送達する。カテーテルからのステントの放出中に、生物学的活性物質及び生物学的活性物質を担持するポリマーの一部は剥がれるため、標的に送達される前に失われる虞がある。例えば、管が引込められる間にステントが外に押し出され、ステントを拡張させることができるため、自己拡張型ステントと囲んでいる送達管との間のせん断力は、ステントの皮膜に損傷をもたらす虞がある。バルーン拡張可能型ステントの皮膜もまた、石灰化病変部を通り、又は、ステント手法に用いられる他のデバイスを通り、デバイスの通過中に損傷を受ける虞がある。また、自己拡張型及びバルーン拡張可能型ステントは、ステントが拡張し、例えば、標的脈管の壁に接触するときに生成されるせん断力による損傷を受け易い。例えば、石灰化病変部内でのバルーン拡張可能型ステントの拡張は、ステント皮膜に損傷を及ぼす虞がある。
【0040】
本明細書で述べる医療デバイス、例えば、ステントは、ステントの皮膜によって画定される窪み内に位置する生物学的活性物質を保護する。これらの保護される物質は、その標的に送達され、例えば、皮膜のポリマー部分が生物分解するにつれて、ステントから徐々に溶出することが許容される。本明細書で述べるデバイスは、生物学的活性物質の損失を最小にすることができる。このため、比較的少ない量の物質をステント皮膜内に設ける必要があり、皮膜自体は現在使用される皮膜よりも薄くなる。例えば、現在使用される一部の皮膜は、約10μm厚であり、約8.8重量%のパクリタクセルを装填される。こうした皮膜は、利用可能なパクリタクセルを約10%だけ放出する。本明細書で述べるステントは、今や送達中に皮膜が保護されるため、生分解性ポリマーを含有し、かつ、生物学的活性物質の最大100%放出レートを有する、3μmほどの薄さの皮膜を含むことができる。
【0041】
ステント10は、種々の方法によって、例えば、レーザアブレーションプロセス、レーザアシスト式化学エッチング、又は化学エッチングによって作製される。一方法の例は、図3で概説される。方法30では、医療デバイス、例えば、細長い管状構造を形成するバンド12とコネクタ11との相互連結体を有するステント10が生成される(ステップ31)。ステントは、以前に、例えば図1Cで述べたように、内部管腔側壁表面17、側部壁表面16、及び外部管外側壁表面15を有する。少なくとも1つの窪み14が、ステントの表面の1つ又は複数内に生成される(ステップ32)。窪みは、レーザ、例えば、超短パルスレーザ、例えば、紫外範囲(約248nm)のフェムト秒パルスを送出するレーザシステム、例えば、248nmの約500fsパルスを送出する短パルス色素エキシマハイブリッドレーザによって生成される。Bekesi等, Appl. Phys. A76:355-57, 2003。窪みは、また、ナノ秒範囲のパルス長を有するUVレーザ、例えば、248nm又は193nmレーザによって生成される。窪みは、種々の波長、例えば、可視、赤外、又は近赤外で動作し、サブピコ、フェムト、又はさらにアト秒長のパルス長を有する超短パルスレーザによって生成される。窪みは、例えば、レーザアブレーションプロセス、レーザアシスト式化学エッチング、又は化学エッチングによって生成される。例えば、特徴付けられたステント及び方法に関して使用されるフェムト秒レーザは、Del Mar Photonicsから入手可能である。例えば、http://www.femtosecondsystems.com/products/category.php/1/を参照されたい。
【0042】
一実施形態では、複数のバンド14は、ステント10のいずれものバンド又はコネクタ内で生成される。1つ又は複数の窪みは、窪み(複数可)が画定されるいずれものバンド又はコネクタの軸にほぼ沿って、例えば、軸にほぼ平行な向きに延びるよう構成される。1つ又は複数の窪みは、また、窪み(複数可)が画定されるバンド又はコネクタの軸に対してほぼ横断する向きに、例えばほぼ垂直に延びるよう構成される。窪みは、さらに、アンダーカットされるか、又は、エッチングされ、図1Gに示すように、90℃以外の角度を生成することができる。こうした構成で窪みをアンダーカットすることは、窪みに塗布される皮膜の機械的保持を容易にすることができる。窪み(複数可)は、窪み(複数可)が画定されるバンド又はコネクタの幅の最大約80%を構成することができる。窪み(複数可)の深さは、平均して、窪み(複数可)が画定されるバンド又はコネクタの厚さの最大約50%を構成する。しかしながら、局所的な窪み(ポットホールに類似する)は、バンド又はコネクタの厚さの最大約90%を構成する。
【0043】
さらに図3を参照すれば、少なくとも1つの窪みを生成した後、一部の実施形態では、窪みの表面が活性化される(ステップ33)。表面は、例えば、プラズマ処理、テクスチャーリング、及び/又は、デバイスの所望の領域の帯電化によって活性化される。少なくとも1つの所望の物質を含む皮膜は、その後、ステントに塗布される(ステップ34)。ステップ33における表面の活性化は、ステップ34における皮膜の付着を高めることができる。皮膜を塗布することは、ディップコーティング、ロールコーティング、マイクロペン(登録商標)アプリケーション、エレクトロスプレー、ガスアシスト式スプレー、エレクトロスピニング、又はそれらの組合せによって実行される。エレクトロスプレーによって皮膜をステントに塗布する例は、例えば、Weber他の米国特許第6,861,088号に記載される。皮膜を塗布することは、また、生物学的活性物質を含むポリマー管の表面上でステントを回転させることによって実行される。こうした回転によって、ポリマー及び物質がステントの窪み(複数可)に誘導される、又は、押し込まれる。皮膜は、また、加熱ノズルと共に送達デバイス内に挿入されるポリマー及び生物学的活性物質、例えば、薬物のロッドを生成することによって塗布される。加熱ノズルは、窪み上で誘導され、また、ポリマー/薬物混合物を窪み内に放出し堆積させるときに混合物を溶解させることができる。
【0044】
皮膜は、ステップ34にて塗布された後、窪み(複数可)の内部の表面及び窪み(複数可)の外部の表面に局在化されてもよい。一実施形態では、窪みの外部の表面から皮膜を除去し、主に、窪みの内部に皮膜を残すことが望ましい場合がある(ステップ35)。所望の領域からの皮膜の除去は、所望の表面から皮膜を削り取ること、又は、所望の表面から皮膜を洗い流すことによって達成される。
【0045】
ステップ34にて塗布される皮膜は、Ti、例えば、TiOを含むことができる。Ti皮膜の塗布に続いて、医療デバイス、例えば、ステントは、Ti皮膜を担持するデバイスの所望の領域を親水性又は疎水性にするのに十分な状態に暴露される。例えば、2006年6月29日に出願された米国特許出願第60/818,101号及び2007年6月15日に出願された米国特許出願第11/763,770号を参照されたい。所望の領域は、窪みを画定する表面、例えば、窪みを画定する管外側、管腔側、及び/又は側部壁表面を含むことができる。所望の領域は、窪みを画定しない表面、例えば、窪みを画定しない管外側、管腔側、及び/又は側部壁表面を含むことができる。
【0046】
ステップ34にて塗布される皮膜は、少なくとも1つの生物学的活性物質及び/又はポリマーを含むことができる。生物学的活性物質は、疎水性又は親水性であり、また、優先的に、疎水性又は親水性皮膜、例えば先に述べたTi皮膜に結合することができる。皮膜は、また、下にあるステント表面に皮膜を結合するための結合層を含むことができる。皮膜は、生物学的活性物質(複数可)、ポリマー、及び/又は結合層(複数可)の組合せを含むことができる。例えば、第1生物学的活性物質の皮膜が塗布され、それに続いて、ポリマー及び第2生物学的活性物質を含む別の皮膜層が塗布される(第1及び第2物質は同じか異なる)。ポリマーは、生分解性であってもよく、侵食によって第1物質を露出させる。ポリマー、例えば、多孔質ポリマーは、ポリマーを通じて同ポリマーから第1物質を拡散させることができる。
【0047】
医療デバイスを生成する別の例は図4に提示される。方法40において、医療デバイス用の未処理材料が形成される(ステップ41)。未処理材料は、例えば、管であってもよい。ステップ42にて、少なくとも1つの窪み14が、未処理材料の所望の領域(複数可)内に機械加工されるか、或いは形成される。ステップ43にて、ステントが、例えば、未処理材料内にバンド及びコネクタのパターンを形成することによって生成される。バンド及びコネクタは少なくとも1つの窪み14を画定する。ステップ44〜46は、先に述べた図3のステップ33〜35と同様である。簡潔に言えば、ステップ44にて、窪み(複数可)の表面は、必要に応じて活性化される。ステントは、少なくとも1つの所望の物質によりコーティングされる(ステップ45)。皮膜は、必要に応じてステントの所望の領域(複数可)から除去される(ステップ46)。
【0048】
医療デバイスを生成するなお別の例は図5に提示される。方法50において、医療デバイス、例えば、ステントが生成される(ステップ51)。次に、高分子電解質皮膜テンプレート内でのin situゾルゲルプロセスが使用され、ステントの所望の領域(複数可)上に皮膜を生成する(ステップ52)。皮膜は、少なくとも1つの窪み、好ましくは、複数の窪みを担持するセラミック皮膜からなる。皮膜は、デバイスの管外側、管腔側、及び/又は側部壁表面上に生成される。最初のレイヤーバイレイヤー(LBL)自己組織化高分子電解質皮膜は、レイヤーバイレイヤー法で堆積された、種々の有機高分子電解質材料、例えば、ポリアクリル酸(PAA)、多環芳香族炭化水素(PAH)、及びポリエチレンイミド(PEI)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)を利用することができる。一実施形態では、PEIが第1層として使用され、それに続いて、PAA/PAH又はPSS/PAH層が使用される。マクロサイズの高分子電解質材料、例えば、ポリスチレンは、丸いボールに類似の構造内に堆積され、又は、このLBL構造内でファイバとして堆積される。LBL皮膜がステント表面上に(又は、ちょうど窪み内に)堆積した後、in situゾルゲル反応が実施される。プロセスにおける無機前駆体は、チタンベース、例えば、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタート)ジヒドロキシド(TALH)又はチタン(IV)ブトキシド(Ti(OBu))であってもよい。チタン酸化物ベースの表面は、内皮細胞付着を促進し、内皮細胞付着は、次に、血管に送達されるステントのトロンボゲン形成を防止することができる。Chen等, Surf. Coat. Tech. 186:270-76, 2004。in−situゾルゲル反応内で、前駆体が、有機溶媒、すなわちエタノールと混合される。従って、ゾルゲル前駆体は、前のステップからの取込まれた水分子の存在によって、高分子電解質層内において加水分解されるだけである。in−situゾルゲル反応後に、有機テンプレート(高分子電解質材料)は、高温でのか焼によって除去される。有機テンプレートの除去により、有機テンプレートが存在した全体的な構造内に窪み又は孔が残存する。一般に、ゾルゲル誘導セラミック多孔質層は、テンプレートとして界面活性剤(ポリマー)を使用することによって生成され、界面活性剤は、高温で除去される必要がある。例えば、Cernigoj等, Thin Solid Films 495:327-332, 2006を参照されたい。高温の使用を回避するために、方法50において、非界面活性剤、例えば、グルコース又は尿素が使用されて、セラミック層を生成することができる。Zheng等, J. Sol-Gel Science and Tech. 24:81-88, 2002。グルコース又は尿素は、室温の水を使用することによって除去され、純粋な多孔質層、例えば、ナノ多孔質チタニア層を後に残すことができる。テンプレート内容物を変更することによって、異なる孔サイズを有する材料を生成することができ、そのため、必要な薬物放出プロファイルの生成を可能にする。例えば、尿素は、グルコースより大きな孔を残す。多くの非界面活性剤は生体適合性があるため、ステントの送達後に、体内で生体侵食されるまでゾルゲル層内に留まることを許容される。
【0049】
ゾルゲルプロセスの例は、例えば、Maehara等, Thin Solid Films 438-39:65-69, 2003、Kim等, Thin Solid Films 499:83-89, 2003、及びBu等, J. Europ. Cer. Soc. 25:673-79, 2005に示される。選択的な皮膜、例えば管外側表面だけの皮膜を得るために、溶液内でのレイヤーバイレイヤープロセスの代わりに、カチオン分子及びアニオン分子の交互層が、ステントの所望の表面上に微細接触印刷される。窪みを有するセラミック皮膜を堆積させる一実施形態は、以下の例で述べられる。
【0050】
図5をさらに参照すれば、デバイスは、次に、少なくとも1つの所望の物質によりコーティングされる(ステップ53)。物質は、ゾルゲルプロセスによって生成された窪みに付着し、例えば、カテーテルによるデバイスの送達中に保護される。物質は生物学的活性物質であり、必要に応じて、ポリマーを含む。物質は、窪みの表面に付着することができる。
【0051】
医療デバイスを生成する別の例は図6に示される。方法60において、ステントが生成される(ステップ61)。ステントの所望の表面(複数可)は、先に述べたように、必要に応じて活性化される(ステップ62)。ステントの所望の表面(複数可)は、その後、先に述べたように、所望の物質、例えば、薬物及び/又はポリマーでコーティングされる(ステップ63)。硬質壁が、コーティング領域(複数可)の少なくとも1つの面上に堆積され、それにより、窪みが生成される(ステップ64)。壁は、例えば、ゾルゲルプロセスによって、例えば、所望の表面(複数可)上にラインを引き、アニーリングし、熱処理することにより堆積されて、硬質壁を作製することができる。ステップ63及び64は、1つのステップで同時に実行される。或いは、窪みは、ステップ64にて、ゾルゲル誘導多孔質セラミック層、例えば、ナノ多孔質チタニア又はシリカチタニア層の上部層を、ステップ63の皮膜上に塗布することによって生成される。先に説明したように、ゾルゲル誘導セラミック多孔質層は、界面活性剤(ポリマー)を使用することによって生成されることが多く、界面活性剤は、高温で除去される必要がある。例えば、Cernigoj等を参照されたい。下にある生物学的活性物質に損傷を与えることを回避するために、方法60において、非界面活性剤、例えばグルコース又は尿素が使用されて、セラミック層を生成することができる。Zheng等。グルコース又は尿素は、室温の水を使用することによって除去され、純粋な多孔質層、例えば、ナノ多孔質チタニア層を後に残すことができる。下にある生物学的活性物質は、その後、上部セラミック層を通して拡散することができる。セラミック層内の孔サイズが(テンプレート内容物を変更することによって)調整されて、必要とされる薬物放出プロファイルを生成することができる。例えば、尿素はグルコースより大きな孔を残す。さらに、多くの非界面活性剤は、生体適合性があるため、ステントの送達後に、体内で生体侵食されるまでゾルゲル層内に留まることを許容される。
【0052】
ステント10は、ステンレス鋼(例えば、316L、BioDur(登録商標)108(UNS S29108)、及び304Lステンレス鋼、並びに、ステンレス鋼と、米国公開特許出願第2003−0018380号、米国公開特許出願第2002−0144757号、及び、米国公開特許出願第2003−0077200号に記載される1つ又は複数のX線不透過性元素(例えば、Pt、Ir、Au、W)(PERSS(登録商標))の5〜60重量%とを含む合金)、ニチノール(ニッケル−チタン合金)、エルジロイ等のコバルト合金、L605合金、MP35N、チタン、チタン合金(例えば、Ti−6Al−4V、Ti−50Ta、Ti−10Ir)、プラチナ、プラチナ合金、ニオブ、ニオブ合金(例えば、Nb−1Zr)、Co−28Cr−6Mo、タンタル、及びタンタル合金等の金属材料を含む(例えば、それから製造される)ことができる。材料の他の例は、本発明の譲受人に譲渡された、2003年9月26日に出願された米国特許出願第10/672,891号及び2005年1月3日に出願された米国特許出願第11/035,316号に記載される。他の材料は、例えば、Schetsky, L. McDonald著「Shape Memory Alloys」Encyclopedia of Chemical Technology(3rd ed.), John Wiley & Sons, 1982, vol.20. pp.726-736及び本発明の譲受人に譲渡された、2003年1月17日に出願された米国特許出願第10/346,487号に記載される超弾性又は擬似弾性金属合金等の弾性の生体適合性金属を含む。
【0053】
一部の実施形態では、ステント10を製造するための材料は、MRIによる可視性を高める1つ又は複数の材料を含む。MRI材料の例は、非鉄金属(例えば、銅、銀、プラチナ、チタン、ニオブ、又は金)、及びテルビウムジスプロシウム、ジスプロシウム、及びガドリニウム等の超常磁性元素(例えば、ジスプロシウム又はガドリニウム)を含有する非鉄金属合金を含む。別法として、又は、付加的に、ステント10は、撮像中に、例えば、ステントに隣接するかつ/又はステントを囲む組織の撮像に干渉する虞のある磁化率アーチファクトを低減するために、低い磁化率を有する1つ又は複数の材料を含むことができる。低磁化率材料としては、先に述べたタンタル、プラチナ、チタン、ニオブ、銅、及びこれらの元素を含む合金等が挙げられる。
【0054】
ステント10は、所望の形状及びサイズ(例えば、冠動脈ステント、大動脈ステント、周辺血管ステント、胃腸ステント、泌尿器ステント、気管/気管支ステント、及び神経ステント)であってもよい。用途に応じて、ステント10は、例えば、約1mmと約46mmとの間の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、冠動脈ステントは、約2mm〜約6mmの拡張した直径を有することができる。一部の実施形態では、周辺血管ステントは、約4mm〜約24mmの拡張した直径を有することができる。いくつかの実施形態では、胃腸及び/又は泌尿器ステントは、約6mm〜約30mmの拡張した直径を有することができる。一部の実施形態では、神経ステントは、約1mm〜約12mmの拡張した直径を有することができる。腹部大動脈瘤(AAA)ステント及び胸部大動脈瘤(TAA)ステントは、約20mm〜約46mmの直径を有することができる。ステント10は、バルーン拡張可能型、自己拡張可能型、又は両者の組合せ(例えば、米国特許第5,366,504号)であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態が先に述べられたが、本発明は、これらに限定されない。
例えば、図7は、医療デバイスを生成するのに利用される別の方法を示す。方法70において、ステントが生成される(ステップ71)。次に、硬質壁が、ステントの所望の表面(複数可)上に形成され、それにより、窪みが生成される(ステップ72)。硬質壁は、例えばゾルゲルプロセスによって、例えば、所望の表面(複数可)上にラインを引き、アニーリングし、熱処理することによって形成されて、硬質壁を作製することができる。ステントの所望の表面(複数可)は、任意選択で、先に述べたように活性化される(ステップ73)。ステントの所望の領域(複数可)、例えば、生成された壁の間の領域は、その後、先に述べたように、所望の物質(複数可)、例えば、薬物及び/又はポリマーでコーティングされる。任意選択で、皮膜は、ステントの所望の領域(複数可)から除去される(ステップ74)。
【0056】
さらに、コーティング技法の種々の組合せが使用されて、その表面が少なくとも1つの窪みを画定する医療デバイスを生成することができる。一実施形態では、ステント10は、最初に、物質、例えば、Ti、例えばTiOの所望の非導電性セラミック層でコーティングされる。コーティングは、ゾルゲルプロセス又は従来のプラズマイオン注入プロセスによって実行される。少なくとも1つの窪みは、その後、ステントの所望の領域で、焼灼用レーザ、例えばフェムト秒レーザによって作られることができ、下にある金属ステントを露出させる。この実施形態では、ステントの金属領域は少なくとも1つの窪みを画定する。得られる金属領域は、その後、帯電させられ、所望の物質で電気噴霧される。例えば、Weber他の米国特許第6,861,088号を参照されたい。
実施例.ステンレス鋼上での中空セラミックカプセルの生成
図8が示すように、中空セラミック(シリカ)カプセルがステンレス鋼上で生成される。ポリスチレンスルホン酸(PSS)及びポリエチレンイミド(PEI)のアニオン及びカチオン層は、それぞれ、1000ナノメートルポリスチレンボール(Microparticles/Forschungs- und Entwicklungslaboratorium, Volmerstr. 9A, UTZ, Geb.3.5.1, D-12489 Berlinから得られる)と共に、レイヤーバイレイヤープロセスを使用して堆積された。次に、ゾルゲル溶液のin situ反応が、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)の層において15%水を有する純粋なエタノール内で実行された。高分子電解質層は、そのイオンの電荷のために水を引き寄せ、水含有量が、15%を越えて増加し、そのため、ゾルゲル反応が始動される。この方法は、著しく制御され、層が飽和し、電荷密度が減少すると自動的に停止する。高分子電解質層の量と最終的なゾルゲル層の深さとの間に直接の相関が存在する。ゾルゲル層が生成された後、ゾルゲル及びポリスチレン構築物は、600℃で、か焼された。得られる50nm直径の中空セラミック(シリカ)カプセルは図8に示される。
【0057】
いくつかの実施形態が述べられた。それでも、本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよいことが理解されるであろう。そのため、他の実施形態は添付特許請求項の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、
前記バンド及びコネクタの前記内部管腔側表面及び側部壁表面は、前記細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成し、前記管状構造の1つ又は複数の壁表面は、選択された領域が少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する医療デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記管外側壁表面は、少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する医療デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記皮膜は、少なくとも1つの生物学的活性物質を含む医療デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の医療デバイスにおいて、
前記皮膜は、ポリマーをさらに含む医療デバイス。
【請求項5】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記皮膜は、結合層を含む医療デバイス。
【請求項6】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記皮膜は、セラミック層を含む医療デバイス。
【請求項7】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)を含む医療デバイス。
【請求項8】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記窪みは、前記窪みが画定される前記バンド又はコネクタの軸にほぼ沿って延びるように構成される医療デバイス。
【請求項9】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記窪みは、前記窪みが画定される前記バンド又はコネクタの軸に対してほぼ横断する向きに延びるように構成される医療デバイス。
【請求項10】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
1つ又は複数の壁表面の皮膜の選択された領域内において画定された複数の窪みを含む医療デバイス。
【請求項11】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記窪みの幅は、前記窪みが画定される前記バンド又はコネクタの幅の最大約80%を構成する医療デバイス。
【請求項12】
請求項1記載の医療デバイスにおいて、
前記窪みの深さは、前記窪みが画定される前記バンド又はコネクタの厚さの最大約50%を構成する医療デバイス。
【請求項13】
医療デバイスを製造する方法であって、
(a)内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、前記バンド及びコネクタの前記内部管腔側壁表面及び側部壁表面は前記細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成し、1つ又は複数の壁表面は少なくとも1つの窪みを画定する医療デバイスを生成するステップと、
(b)前記医療デバイスの1つ又は複数の表面上に皮膜を塗布するステップと
を含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記管外側表面は、少なくとも1つの窪みを画定する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
ステップ(b)にて、前記管外側表面の前記窪みに前記皮膜を塗布するステップを含む方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、
ディップコーティング、ロールコーティング、マイクロペン(登録商標)アプリケーション、エレクトロスプレー、ガスアシスト式スプレー、及びエレクトロスピニング、又はそれらの組合せからなる群より選択されるプロセスによって、ステップ(b)の皮膜を塗布するステップを含む方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、
生物学的活性物質を含むポリマー管の表面上で前記医療デバイスを回転させて、前記ポリマー及び前記生物学的活性物質を前記医療デバイスの前記窪み内に誘導することによって、ステップ(b)の皮膜を塗布するステップを含む方法。
【請求項18】
請求項13記載の方法は、
ステップ(b)は、更に、前記窪みの表面を活性化するステップを含む方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、
前記活性化するプロセスは、プラズマ処理、紫外光活性化、前記デバイスの所望の領域の帯電化及びテクスチャーリング、又は、それらの組合せからなる群より選択される方法。
【請求項20】
請求項13記載の方法において、
ステップ(b)にて塗布される皮膜は、生物学的活性物質を含む方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、
前記皮膜は、ポリマーをさらに含む方法。
【請求項22】
請求項13記載の方法において、
ステップ(b)にて塗布される前記皮膜は、結合層を含む方法。
【請求項23】
請求項13記載の方法において、
ステップ(b)にて塗布される皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)を含む方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、
ステップ(b)は、更に、チタン(+y)酸化物(−x)を担持する前記表面の所望の領域を疎水性にするのに十分な状態に前記医療デバイスを暴露させるステップを含む方法。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、
ステップ(b)は、更に、チタン(+y)酸化物(−x)を担持する前記表面の所望の領域を親水性にするのに十分な状態に前記医療デバイスを暴露させるステップを含む方法。
【請求項26】
請求項13記載の方法において、
ステップ(b)に続いて、前記デバイスの所望の領域から前記皮膜を除去するステップを含む方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
前記所望の領域は、前記窪みの外側の領域である方法。
【請求項28】
請求項13記載の方法において、
ステップ(a)にて、レーザによって前記窪みを生成するステップを含む方法。
【請求項29】
医療デバイスを製造する方法であって、
(a)内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、前記バンド及びコネクタの前記内部管腔側壁表面及び側部壁表面は前記細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成し、1つ又は複数の壁表面は少なくとも1つの窪みを画定する皮膜を担持する医療デバイスを生成するステップと、
(b)さらに、少なくとも1つの物質を前記デバイスに塗布するステップと
を含む方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、
前記管外側壁表面は、前記皮膜を担持する方法。
【請求項31】
請求項29記載の方法において、
ゾルゲルプロセスによって、ステップ(a)の前記皮膜を塗布するステップを含む方法。
【請求項32】
請求項31記載の方法において、
前記皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)を含む方法。
【請求項33】
請求項29記載の方法において、
前記皮膜は、複数の窪みを画定する方法。
【請求項34】
医療デバイスを製造する方法であって、
(a)内部管腔側壁表面、外部管外側壁表面、及び側部壁表面を有し、かつ、中心管腔又は通路を画定する細長い管状構造を形成するバンドとコネクタとの相互連結体を有する医療デバイスであって、前記バンド及びコネクタの前記内側管腔側壁表面及び側部壁表面は前記細長い管状構造を貫通する横断的通路を形成する医療デバイスを生成するステップと、
(b)生物学的活性物質を含む第1皮膜を前記医療デバイスの1つ又は複数の表面上に塗布するステップと、
(c)少なくとも1つの窪みを画定するための第2皮膜を前記医療デバイスの1つ又は複数の表面上に塗布するステップと
を含む方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法において、
ゾルゲル法によって、前記第2皮膜を塗布することを含む方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、
前記第2皮膜は、チタン(+y)酸化物(−x)を含む方法。
【請求項37】
ステントを備える医療デバイスであって、
細長い管状構造の形態を有し、前記細長い管状構造は、中心管腔又は流路を画定する外部壁表面、側部壁表面、及び内部壁表面、並びに、生体の流体流路内に送達するため使用時に位置決めされる物質を含む前記ステントの1つ又は複数の表面によって画定される1つ又は複数の窪みを有する医療デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−503469(P2010−503469A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528399(P2009−528399)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/077711
【国際公開番号】WO2008/033711
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】