説明

蛍光ジスルフィド染料を含む還元剤の存在下におけるケラチン質の染色および明色化方法

【課題】ケラチン質、特にヒトのケラチン繊維、殊に毛髪を、明色効果をもって染色するための、既存の漂白方法の欠点をもたない新しい系を提供すること。
【解決手段】本発明は、蛍光ジスルフィド染料を含む染色組成物、および、前記組成物を用いる、ケラチン繊維の染色+明色化方法に関する。本発明はまた、新しい蛍光ジスルフィド染料、およびケラチン質の明色化におけるそれらの使用に関する。前記組成物は、特に長続きする明色効果を得ることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は還元剤の存在下におけるケラチン質の着色および明色化(lightening)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直接染色によるケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色は知られている。直接染色に通常用いられる方法は、直接染料をケラチン繊維に付着させる段階(前記染料は繊維に対する親和性を有する有色の着色性分子である)、前記染料を拡散させる段階、および、次いで、繊維をすすぎ洗いする段階を含む。
【0003】
通常用いられる直接染料は、例えば、ニトロベンゼン染料、アントラキノン染料、ニトロピリジン染料、あるいは、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジンまたはトリアリールメタン染料である。
【0004】
直接染料をケラチン繊維に結び付ける相互作用の特質、および繊維の表面および/またはコアからのそれらの脱離が、それらの弱い染色力、および洗浄または発汗に対するそれらの乏しい堅牢性の原因であるため、直接染料の使用により得られる染色は、一時的または半永続的染色である。
【0005】
さらに、従来の直接染料に基づくケラチン繊維の染色は、ケラチン繊維をそれほど明色化するわけではない。
【0006】
適切である場合、ケラチン繊維の色合い(shade)を変更することによる、ケラチン繊維(より詳細には暗色のケラチン繊維)の色の、より明るい色合いへの明色化が、主に求められている。
【0007】
従来、より明るい染色を得るために、化学的漂白法が用いられる。この方法は、ケラチン繊維(より詳細には毛髪)のようなケラチン質を、典型的にはアルカリ性媒体中の、過酸塩と組み合わされたかまたは組み合わされていない、通常は過酸化水素からなる強い酸化系により処理することを含む。
【0008】
この漂白系は、繊維を劣化させ、繊維の美容上の性質を損ねるという欠点を有する。具体的には、繊維は、きめが粗く、もつれがより解き難く、より脆くなる傾向がある。最終的に、酸化剤に基づく、ケラチン繊維の明色化または漂白は、特にストレートトリートメントにおける、該繊維の形状を修正するためのトリートメントと両立しない。
【0009】
別の明色化技法は、蛍光直接染料を暗色の毛髪に付着させることを含む。この技法は、より詳細に文献FR 2830189に記載され、トリートメントの経過の中でケラチン繊維の質が守られるようにする。しかし、用いられる蛍光染料は、シャンプーで洗うことに、満足のいくようには耐性がない。
【0010】
直接染色の持続性を向上させるために、共有結合による毛髪への直接染料の固定が知られている。例えば、反応基を含む染料を、ケラチン繊維に非常にたくさんあるシスチンまたはシステイン残基と反応させることが知られている。このゆえに、ブンテ塩(Bunte salt)およびイソチウロニウム(isothiuronium)官能基または他のチオール保護基を有する特定の染料が記載されている。しかし、前記染料の反応形を得るには、一般に、強塩基性媒体の使用が必要とされる。さらに、チオール官能基は一般に過剰に生成するので、染色の後に続く中和ステップを必要とする。
【0011】
ケラチン繊維を染色することが知られている他のジスルフィド染料は、アミノチオフェノール誘導体のジスルフィド誘導体である。このような染料は、例えば、特許FR 1156407に記載されている。これらの染料は、僅かに還元性の媒体の存在下で、または毛髪への還元性予備トリートメントの後で、比較的穏やかな条件下に使用され得る。しかし、これらの染料は、付着させると、望まれていない色の変化を生じ得る。
【0012】
最後に、文献WO 2005/097051は、ケラチン繊維の直接染色のためのアザイミダゾリウムジスルフィド染料を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】FR 2830189
【特許文献2】FR 1156407
【特許文献3】WO 2005/097051
【特許文献4】EP 1133975
【特許文献5】WO 03/029359
【特許文献6】EP 860636
【特許文献7】WO 95/01772
【特許文献8】WO 95/15144
【特許文献9】EP 714954
【特許文献10】FR2 586 913
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「Science des traitements capillaires」、Charles ZVIAK、Masson、1988年、215および278頁
【非特許文献2】専門辞典「The chemistry of synthetic dyes」、K. VENKATARAMAN、1952年、Academic Press、1から7巻
【非特許文献3】専門辞典「Kirk Othmer」 Chemical technology、「Dyes and dye intermediates」の章、1993年、Wiley and Sons
【非特許文献4】専門辞典「ULLMANN's ENCYCLOPEDIA of Industrial Chemistry」第7版、Wiley and Sonsの様々な章
【非特許文献5】「The Handbook - A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies」、第10版、Molecular Probes/lnvitrogen-Oregon 2005(インターネットで配信されているか、または以前の印刷版のもの)
【非特許文献6】Colour Index
【非特許文献7】「Advanced Organic Chemistry」、March、第4版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ケラチン質、特にヒトのケラチン繊維、殊に毛髪を、明色効果をもって染色するための、既存の漂白方法の欠点をもたない新しい系を提供することである。より詳細には、本発明の1つの目的は、より詳細には自然にまたは人工的に暗い色のケラチン繊維で明色効果が得られることを可能にする直接着色のための系を提供することであり、ここで、これらの効果は、ケラチン繊維を傷つけず、それらの美容上の性質を損ねることなく、引き続くシャンプー洗いを受けても持続する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は本発明により達成され、本発明は暗色のケラチン質を着色する方法を提供し、この方法は、例えば、下の式(I)および(II)の染料、
A-(X)p-Csat-S-S-C'sat-(X')p'-A' (I)
A-(X)p-Csat-S-S-C'sat-(X')p'-D (II)
それらの有機または無機酸塩、光学異性体、幾何異性体、および水和物のような溶媒和化合物から選択される蛍光ジスルフィド染料の少なくとも1種を、適切な化粧品用媒体中に含む染色組成物を、ケラチン質に付着させる段階を含み、
式中、
・ AおよびA'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、少なくとも1つの陽イオン性または非陽イオン性の蛍光発色団を含む基を表し;
・ XおよびX'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、飽和または不飽和で線状または分岐状のC1〜C30炭化水素鎖を表し、この鎖は、
- -N(R)-、-N+(R)(R)-、-O-、-S-、-CO-、-SO2-(ここで、RおよびR'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素またはC1〜C4アルキル、ヒドロキシアルキルもしくはアミノアルキル基から選択される);
- 飽和または不飽和、縮合または非縮合、芳香族または非芳香族の(ヘテロ)環式基(1個または複数の同じかまたは同じでないヘテロ原子を任意選択で含み、任意選択で置換されている);
から選択される1つまたは複数の2価の基あるいはこれらの組合せが、任意選択で介在している、ならびに/あるいは、その末端の1つまたは2つに任意選択で存在しており;
・ 添字pおよびp'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、0または1に等しい整数を表し;
・ CsatおよびC'satは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、任意選択で環状で、任意選択で置換されている、線状または分岐状のC1〜C18アルキレン鎖を表し;
・ Dは、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシレート、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基から選択される基に一致し;
この付着段階は、還元剤の存在下で実施される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この還元剤は、チオール、例えば、システイン、ホモシステイン、チオ乳酸、これらのチオールの塩、ホスフィン、ビサルファイト(bisulphite)、サルファイト、チオグリコール酸、ならびにそのエステル、特にグリセロールモノチオグリコラート、およびチオグリセロールから選択され得る。
【0018】
この還元剤はまた、ボロハイドライド類およびそれらの誘導体、例えば、ボロハイドライド、シアノボロハイドライド、トリアセトキシボロハイドライドおよびトリメトキシボロハイドライドの塩:ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、第4級アンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn-ブチルアンモニウムおよびベンジルトリエチルアンモニウム)塩;ならびに、カテコールボランからも選択され得る。
【0019】
本発明の方法により、暗色ケラチン質の明色化が達成される。特に、本発明の方法により、シャンプー洗い、一般的な過酷な作用(日光、発汗)、および別のヘアートリートメントを受けても非常に持続性があり、ケラチン繊維を劣化させることのない仕方で、毛髪のようなケラチン繊維が明色化される。
【0020】
本発明の目的では、暗色のケラチン質は、45以下、好ましくは40以下の、C.I.E L*a*b*系における明度L*を示すものであり、この系では、0のL*は黒に、100のL*は白に対応する。
【0021】
本発明の目的では、自然にまたは人工的に暗色である毛髪は、色調(tone)レベルが6(暗色ブロンド)以下、好ましくは4(茶色)以下の毛髪である。
【0022】
毛髪の明るさは、「色調レベル」により評価され、これは、明るさの度合いまたはレベルを特徴付ける。「色調」の概念は、自然の色合いの分類に基づいており、1つの色調が、その直前または直後のものからそれぞれの色合いを区分する。この定義、および自然の色合いの分類は、ヘアケアの専門家によく知られており、著作、「Science des traitements capillaires」、Charles ZVIAK、Masson、1988年、215および278頁に公表されている。
【0023】
色調レベルには、1(黒)から10(明るい明るいブロンド)の範囲があり、1単位が1つの色調に対応し、数が大きいほど、明るい色合いになる。
【0024】
人工的に着色された毛髪は、染色トリートメント、例えば、直接染料または酸化染料による染色により、その色が変更された毛髪である。
【0025】
好ましくは、毛髪、例えば茶色の毛髪への付着の後、本発明の組成物は下の結果に導かなければならない。
- 関心のあるパラメータは、400から700ナノメートルの波長範囲の可視光線により照射された時の毛髪の反射性能である。
- この場合、波長の関数としての反射率曲線が、本発明の組成物により処理された毛髪と無処理の毛髪について比較される。
- 処理された毛髪に対応する曲線は、450から700ナノメートルの波長範囲において、無処理毛髪に対応する曲線を超える反射率を示すことが求められる。
- これは、450から700ナノメートルの波長範囲において、処理毛髪に対応する反射率曲線が無処理毛髪に対応する反射率曲線より上にある領域が、少なくとも1つ存在することを意味する。「より上にある」により、少なくとも0.05%、好ましくは少なくとも0.1%の反射率の違いを意味する。これは、450から700ナノメートルの波長範囲内において、処理毛髪に対応する反射率曲線が、無処理毛髪に対応する反射率曲線に重なり合うか、またはより下にあるかのいずれかの領域が、少なくとも1つ存在する可能性を排除しようとするものではない。
【0026】
処理毛髪の反射率曲線と無処理毛髪のそれとの間の差が最大である波長は、450から650ナノメートルの波長範囲、好ましくは450から620ナノメートルの波長範囲内に、好ましくは、位置している。
【0027】
本発明の目的では、特に断らなければ、
- 蛍光ジスルフィド染料は、本明細書において後に定義される蛍光発色団の少なくとも1つを含み、化合物の(複数の)蛍光発色団に直接または間接的に連結した2個の炭素原子の間に1つまたは複数のS-Sジスルフィド結合を含む蛍光化合物である;好ましくは、その結合は化粧品に許容される媒体中で還元可能である;
- 「アリール」または「ヘテロアリール」基、あるいは基のアリールまたはヘテロアリール部分は、以下から選択される少なくとも1つの置換基(炭素原子に有される)によって置換されていてもよい:
・ C1〜C16、好ましくはC1〜C8のアルキル基[これは、次の基から選択される1つまたは複数の基により任意選択で置換されている:ヒドロキシル、C1〜C2アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アシルアミノ、同じであるかもしくは異なる2つのC1〜C4アルキル基(これらは、少なくとも1つのヒドロキシルを任意選択で有する)により置換されたアミノ(この2つの基は、それらが結合している窒素原子と共に、5員から7員、好ましくは5員または6員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、飽和または不飽和であり、任意選択で置換されており、窒素と同じであるかもしくは異なる別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む)];
・ ハロゲン原子、例えば、塩素、フッ素または臭素;
・ ヒドロキシル基;
・ C1〜C2アルコキシ基;C2〜C4(ポリ)-ヒドロキシアルコキシ基;
・ アミノ基;
・ 5員または6員のヘテロシクロアルキル基;
・ 5員または6員のヘテロアリール基(これは、任意選択で陽イオン、好ましくはイミダゾリウムであり、(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチルにより任意選択で置換されている);
・ 同じであるかまたは異なる1つまたは2つのC1〜C6アルキル基により置換されたアミノ基[このアルキル基は少なくとも以下を任意選択で有する:
i)ヒドロキシル基、
ii)アミノ基(これは、任意選択で置換されたC1〜C3アルキル基の1つまたは2つにより任意選択で置換されており、これらのアルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、飽和または不飽和であり、任意選択で置換されており、窒素と異なるかもしくは同じである少なくとも1個の別のヘテロ原子を任意選択で含む)、
iii)第4級アンモニウム基-N+R'R"R"',M-(R'、R"、およびR"'は同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し;M-は、対応するハロゲン化物または有機もしくは無機の酸の対イオンを表す)、
iv)あるいは、5員または6員のヘテロアリール基(これは、任意選択で陽イオン、好ましくはイミダゾリウムであり、(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチルにより任意選択で置換されている);
・ アシルアミノ基(-NR-COR')(ここで、基Rは水素原子またはC1〜C4アルキル基(これは、少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)であり、基R'は、C1〜C2アルキル基である);カルバモイル基((R)2N-CO-)(ここで、基Rは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)を表す);アルキルスルホニルアミノ基(R'SO2-NR-)(ここで、基Rは、水素原子またはC1〜C4アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)を表し、基R'は、C1〜C4アルキル基またはフェニル基を表す);アミノスルホニル基((R)2N-SO2-)(ここで、基Rは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基(これは、少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)を表す);
・ 酸の形または塩の形(好ましくは、アルカリ金属、または置換もしくは無置換アンモニウムとの)のカルボキシル基;
・ シアノ基(CN);
・ ポリハロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル(CF3);
- 非芳香族基の環式または複素環式部分は、以下の基から選択される少なくとも1つの置換基(炭素原子に有される)によって置換されていてもよい:
・ ヒドロキシル;
・ C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ;
・ アルキルカルボニルアミノ(RCO-NR'-)[ここで、基R'は水素原子またはC1〜C4アルキル基(これは、少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)であり、基Rは、C1〜C2アルキル基、アミノであり、このアミノは、同じであるかまたは異なる2つのC1〜C4アルキル基(これは、少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)により置換されており、該アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、飽和または不飽和であり、任意選択で置換されており、窒素と異なるかまたは同じ少なくとも1個の別のヘテロ原子を任意選択で含む];
・ アルキルカルボニルオキシ(RCO-O-)[ここで、基Rは、C1〜C4アルキル基、アミノであり、このアミノは、同じであるかまたは異なる2つのC1〜C4アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)により置換されており、該アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、飽和または不飽和であり、任意選択で置換されており、窒素と異なるかまたは同じ少なくとも1個の別のヘテロ原子を任意選択で含む];
・ アルコキシカルボニル(RO-CO-)[ここで、基Rは、C1〜C4アルキル基、アミノであり、このアミノは、同じであるかまたは異なる2つのC1〜C4アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で有する)により置換されており、該アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、飽和または不飽和であり、任意選択で置換されており、窒素と異なるかまたは同じ少なくとも1個の別のヘテロ原子を任意選択で含む];
- 環式または複素環式基、あるいはアリールまたはヘテロアリール基の非芳香族部分は、また、1つまたは複数のオキソ基により置換されていてもよい;
- 炭化水素鎖は、それが、1つもしくは複数の2重結合、および/または、1つもしくは複数の3重結合を含む場合には、不飽和である;
- 「アリール」基は、縮合または非縮合、単環または多環で、6から22個の炭素原子を含み、少なくとも1つの芳香環を含む基を表す;好ましくは、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニルまたはテトエラヒドロナフチルである;
- 「ヘテロアリール基」は、任意選択で陽イオンで、縮合または非縮合の単環または多環で、5員から22員、1から6個のヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄およびセレンの原子から選択される)を含み、少なくとも1つの芳香族環を含む基を表す;好ましくは、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリジニル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチリルおよびそのアンモニウム塩から選択される;
- 「環式基」は、縮合または非縮合、単環または多環で、5から22個の炭素原子を含み、1つ乃至複数の不飽和を含み得る非芳香族シクロアルキル基である;
- 「複素環式基」は、縮合または非縮合、単環または多環で、5員から22員を含み、1から6個のヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄及びセレンの原子から選択される)を含む非芳香族基である;
- 「アルキル基」は、線状または分岐状で、C1からC16、好ましくはC1〜C8の炭化水素基である;
- アルキル基に関して「任意選択で置換された」という表現は、該アルキル基が次の基から選択される1つまたは複数の基により置換されていてもよいことを意味する:i)ヒドロキシル、ii)C1〜C4アルコキシ、iii)アシルアミノ、iv)同じであるかまたは異なる1つまたは2つのC1〜C4アルキル基により任意選択で置換されたアミノ(該アルキル基は、それらを有する窒素原子と共に、5員から7員を含み、窒素と異なるかまたは同じ1個の別のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成していることが可能である); v)あるいは、第4級アンモニウム基-N+R'R"R"',M-[R'、R"、およびR"'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表すか、または、-N+R'R"R"'がイミダゾリウムのようなヘテロアリール(これは、C1〜C4アルキル基により任意選択で置換されている)を形成しており、M-は、対応するハロゲン化物または有機もしくは無機の酸の対イオンを表す];
- 「アルコキシ基」は、アルキル-オキシ基であり、この場合、該アルキル基は、線状または分岐状で、C1〜C16、好ましくはC1〜C8の炭化水素基であり;アルコキシ基が任意選択で置換されている場合、これは、上で定義されたように、そのアルキル基が任意選択で置換されていることを意味する。
【0028】
さらに、特に断らなければ、数値の範囲の広さを限定する上端および下端の数値は、該数値範囲内に含まれる。
【0029】
本発明によれば、「蛍光発色団」は、蛍光化合物から得られる基である。蛍光化合物は、250と800nmの間の波長λabsでUVまたは可視光線を吸収でき、400と800nmの間の発光波長λemで可視領域に再発光できる化合物である。
【0030】
蛍光化合物は、好ましくは、可視の400と800nmの間のλabsを吸収でき、可視の400と800nmの間のλemを再発光できる染料である。より好ましくは、蛍光染料は、420nmと550nmの間のλabsで吸収でき、470と600nmの間のλemで可視に再発光できる染料である。
【0031】
I. 式(I)および(II)の染料
式(I)および(II)の基AおよびA'は、1つまたは複数の同じかまたは異なる蛍光発色団を含み得る。
【0032】
I.1. 発色団
本発明の目的では、発色団は、それらが化学構造において違う場合に異なると言われる。このような発色団は、異なるクラスから得られる発色団、または1つのクラスから得られるが異なる化学構造を有する発色団であり得る。例えば、発色団は、(ポリ)メチン染料のクラスから選択され得るが、それらを構成する基の化学構造に、またはこれらの基の個々の位置に違いがあり得る。
【0033】
本発明において有用な蛍光発色団には、アクリジン、アクリドン、ベンゾアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾロン、ベンゾインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ボロン(BODIPY(登録商標))、ジピリノン(dipyrrinone)、ジケトピロロピロール、フルオリンジン(fluorindine)、(ポリ)メチン(特に、シアニンおよびスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(例えば、ダンシル類)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクワラン、スチルベンおよびキサンテン染料から得られる基が含まれる。
【0034】
文献EP 1133975、WO 03/029359、EP 860636、WO 95/01772、WO 95/15144およびEP 714954に記載の蛍光染料、ならびに、専門辞典「The chemistry of synthetic dyes」、K. VENKATARAMAN、1952年、Academic Press、1から7巻、専門辞典「Kirk Othmer」 Chemical technology、「Dyes and dye intermediates」の章、1993年、Wiley and Sons、専門辞典「ULLMANN's ENCYCLOPEDIA of Industrial Chemistry」第7版、Wiley and Sonsの様々な章、「The Handbook - A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies」、第10版、Molecular Probes/lnvitrogen-Oregon 2005(インターネットで配信されているか、または以前の印刷版のもの)に列挙されているものもまた挙げることができる。
【0035】
好ましくは、発色団は、クマリン、(ポリ)メチン(より詳細には、シアニンおよびスチリル/ヘミシアニン)およびナフタルイミド型の染料から得られるものから選択される。
【0036】
一変形形態において、式(I)または(II)の基AおよびA'は、少なくとも1つの発色団により有される、またはそれに含まれる少なくとも1つの陽イオン基を含む。
【0037】
好ましくは、前記陽イオン基は第4級アンモニウムである。
【0038】
これらの陽イオン基は、例えば、アルキルアンモニウム、アクリジニウム、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピラダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビステトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウムまたはキサンチリウム基である。
【0039】
I.2. CsatおよびC'sat
すでに示したように、式(I)または(II)において、CsatおよびC'satは、互いに独立に、任意選択で環状で、任意選択で置換された、線状または分岐状のC1〜C18アルキレン鎖を表す。置換基には、アミノ、(C1〜C4)アルキルアミノまたは(C1〜C4)ジアルキルアミノ基、あるいは、基Ra-Za-C(Zb)-(ここで、ZaおよびZbは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、酸素または硫黄の原子あるいは基NRa'を表し、Raは、アルカリ金属、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、Ra'は水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す)が含まれ、これらは、好ましくは、硫黄原子に対してβまたはγ位の炭素上に存在する。
【0040】
好ましくは、式(I)または(II)の場合に、CsatおよびC'satは、鎖-(CH2)k-を表し、kは1と8の間(両端の数を含む)の整数である。
【0041】
I.3. XおよびX'
本発明の特定の一実施形態によれば、上の式(I)または(II)において、pが1である場合、XおよびX'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、次の連鎖を表し、
-(T)t-(Z)z-(T')t'-
この連鎖は、式(I)または(II)において、次の様に対称に連結されている。
-Csat(またはC'sat)-(T)t-(Z)z-(AまたはA');式中、
TおよびT'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、次の基:-SO2-、-O-、-S-、-N(R)-、-N+(R)(Ro)-、-CO-(ここで、RおよびRoは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル、C1〜C4ヒドロキシアルキルまたは、アリール(C1〜C4)アルキル基を表す);および、好ましくは単環で、陽イオンまたは非陽イオンで、好ましくは2個のヘテロ原子(より好ましくは2個の窒素原子)を含み、好ましくは5員から7員を含むヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基、より好ましくはイミダゾリウム;から選択される1つまたは複数の基あるいはそれらの組合せを表し;
添字tおよびt'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ0または1であり;
Zは、
- -(CH2)m-(ここで、mは1と8の間の整数である);
- -(CH2CH2O)q-、または、-(OCH2CH2)q-(ここで、qは、1と15の間の整数である);
- アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基(ここで、アルキル基はC1〜C4であり、アリール基は好ましくはC6であり、この基は、少なくとも1つの基SO3Mにより任意選択で置換されており、Mは、水素原子、アルカリ金属、あるいは、同じかもしくは異なる、線状または分岐状のC1〜C18アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシルを任意選択で有する)の1つまたは複数により置換されたアンモニウム基を表す);
を表し;
zは0または1を表す。
【0042】
さらに、本発明の特定の一実施形態によれば、Zは、以下を表す。
【0043】
【化1】

【0044】
I.4. 蛍光ジスルフィド染料
本発明の好ましい一変形形態において、ジスルフィド染料は、少なくとも1つの第4級アンモニウム基を含む陽イオン蛍光染料であり、式(I)において、pは1であり、以下の様である:
AおよびA'は、同じであるかまたは異なり、より好ましくは同じであり、それぞれ、W-C(Rc)= C(Rd)-Ar-、または、-W-C(Rc)=C(Rd)-Arを表し、Wは、第4級アンモニウムを含む、複素環またはヘテロアリールを表し;Arは、フェニルまたはピリジニウム型の5員または6員の(ヘテロ)アリール基、あるいはナフチル、ベンゾピリジニウム、インドリニルまたはベンゾインドリニル型の(ヘテロ)芳香族2環系を表し、これらは、1つまたは複数のハロゲン原子(好ましくは、塩素、フッ素)により、1つまたは複数のアルキル基(好ましくはC1〜C4アルキル基)により、1つまたは複数のヒドロキシル基により、1つまたは複数のアルコキシ基により、1つまたは複数のヒドロキシアルキル基により、1つまたは複数のアミノまたは(ジ)アルキルアミノ基(好ましくは、このアルキル部分はC1〜C4である)により、1つまたは複数のアシルアミノ基により、1つまたは複数の5員または6員のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基(好ましくは、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびイミダゾリニルから選択される)により、任意選択で置換されており;RcおよびRdは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す。
【0045】
好ましい一変形形態において、p,p'=1;z=0;t'=0およびt=1であり、Tは、Arでオレフィン官能基-C(Rc)=C(Rd)-に対して好ましくはパラ位の、-N(R)-を表す。
【0046】
別の好ましい一変形形態において、p,p'=1;z=0;t,t'=1であり、Tは、Arでオレフィン官能基-C(Rc)=C(Rd)-に対して好ましくはパラ位の、-N(R)-を表し、T'は、基-N(R)-、-N+(R)(Ro)-、またはイミダゾリウムを表す。
【0047】
好ましくは、Wは、イミダゾリウム、ピリジニウム、ベンゾピリジニウム、ベンゾイミダゾリウム、キノリニウムおよびピラゾリウムであり、これらは、1つまたは複数の同じかまたは異なるC1〜C4アルキル基により任意選択で置換されている。
【0048】
別の好ましい一変形形態において、ジスルフィド染料は、少なくとも1つの第4級アンモニウム基を含む陽イオン蛍光染料であり、式(I)において、pは1であり、以下の様である:
Aが、次の式のナフタルイミジル基:
【0049】
【化2】

【0050】
を表し、ここで、
【0051】
【化3】

【0052】
は、基XまたはX'、CsatまたはC'satとの結合を表し、
式中、Re、Rf、RgおよびRhは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、または任意選で置換されたC1〜C6アルキル基を表す。
【0053】
より好ましくは、ジスルフィド染料は以下から選択される蛍光染料である。
【0054】
【化4A】

【0055】
【化4B】

【0056】
【化4C】

【0057】
式中、
・ GおよびG'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、基-NRcRd、-NR'cR'd、または、任意選択で置換されており、好ましくは置換されていない、C1〜C6アルコキシを表し;好ましくは、GおよびG'は、それぞれ、基-NRcRd、および、-NR'cR'dを表す;
・ RaおよびR'aは、同じであるかまたは異なり、アリール(C1〜C4)アルキル基またはC1〜C6アルキル基[これは、ヒドロキシル、または、アミノ基、C1〜C4アルキルアミノ、もしくはC1〜C4ジアルキルアミノ(これらのアルキル基は、それらを有する窒素原子と共に、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、窒素と異なるかもしくは同じである別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む)により任意選択で置換されている]を表す;好ましくは、RaおよびR'aはC1〜C3アルキル基[これは、ヒドロキシル基、またはベンジル基によって任意選択で置換されている]を表す;
・ RbおよびR'bは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、アリール(C1〜C4)アルキル基またはC1〜C6アルキル基(これは、任意選択で置換されている)を表し;好ましくは、RbおよびR'bはそれぞれ、水素原子またはC1〜C3アルキルまたはベンジル基を表す;
・ Rc、R'c、RdおよびR'dは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、アリール(C1〜C4)アルキル基、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルキル基(これは、任意選択で置換されている)を表し;Rc、R'c、RdおよびR'dは、それぞれ、好ましくは、水素原子、ヒドロキシル、C1〜C3アルコキシ、アミノまたはC1〜C3(ジ)アルキルアミノ基またはC1〜C3アルキル基(これは、i)ヒドロキシル基、ii)アミノ、iii)C1〜C3(ジ)アルキルアミノ、またはiv)第4級アンモニウム(R")(R"')(R"")N+-により任意選択で置換されている)を表す;
あるいは、同一の窒素原子に有される2つの隣接する基、RcおよびRd、またはR'cおよびR'dは、一緒に複素環式またはヘテロアリール基を形成し;好ましくは、この複素環またはヘテロアリールは単環であり、5員と7員の間を含み;より好ましくは、これらの基は、イミダゾリルおよびピロリジニルから選択される;
・ ReおよびR'eは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、線状または分岐状で、任意選択で不飽和の、2価のC1〜C6アルキレニル炭化水素鎖を表す;
・ RfおよびR'fは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、第4級アンモニウム基(R")(R"')(R"")N+-を表し、ここで、R"、R"'およびR""は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表すか、あるいは、(R")(R"')(R"")N+-は、任意選択で置換された陽イオンヘテロアリール基、好ましくはイミダゾリニウム基(これは、C1〜C3アルキル基により任意選択で置換されている)を表す;
・ Rg、R'g、R"g、R"'g、Rh、R'h、R"hおよびR"'hは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチル基、アシルアミノ、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルアミノ基、アシルアミノ、カルバモイルまたはアルキルスルホニルアミノ基、アミノスルホニル基、または、C1〜C16アルキル基(C1〜C12アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノおよびC1〜C4ジアルキルアミノから選択される基により任意選択で置換されている)を表す、あるいは、前記アミノ基の窒素原子に有される2つのアルキル基は、5員から7員を含み、窒素原子と同じであるかまたは異なる別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成しており;好ましくは、Rg、R'g、R"g、R"'g、Rh、R'h、R"hおよびR"'hは、水素原子またはハロゲン原子またはC1〜C3アルキル基を表す;
・ あるいは、2個の隣接する炭素原子に有される、RgおよびR'g;R"gおよびR"'g;RhおよびR'h;または、R"hおよびR"'hは、ベンゾもしくはインデノ環、または縮合ヘテロアリールもしくは縮合ヘテロシクロアルキル基を一緒に形成し、このベンゾ、インデノ、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール環は、ハロゲン原子、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチル基、アシルアミノ、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルアミノ基、アシルアミノ、カルバモイルまたはアルキルスルホニルアミノ基、アミノスルホニル基、またはC1〜C16アルキル基(これは、C1-C12アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノもしくはC1〜C4ジアルキルアミノから選択される基により任意選択で置換されている)により任意選択で置換されている、あるいは、前記アミノ基の窒素原子に有される2つのアルキル基は、5員から7員を含み、窒素原子と同じであるかまたは異なる別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成しており;好ましくは、RgおよびR'g、ならびにR"gおよびR"'gは、ベンゾ基を一緒に形成している;
・ あるいは、Gが-NRcRdを表し、G'が-NR'cR'dを表す場合、2つの基、RcおよびR'g;R'cおよびR"g;RdおよびRg;または、R'dおよびR"'gは、飽和複素環またはヘテロアリールを一緒に形成しており、この飽和複素環またはヘテロアリールは、1つまたは複数のC1〜C6アルキル基により任意選択で置換されており、好ましくは、複素環は、窒素および酸素から選択される1個または2個のヘテロ原子を含み、5員と7員の間を含み;より好ましくは、複素環は、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニル基から選択される;
・ Ri、R'i、R"iおよびR"'iは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す;
・ R1、R2、R3、R4、R'1、R'2、R'3およびR'4は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル、C1〜C12アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノもしくはC1〜C4ジアルキルアミノを表し、該アルキル基は、それらを有する窒素原子と共に、窒素と異なるかまたは同じである別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり;好ましくは、R1、R2、R3、R4、R'1、R'2、R'3およびR'4は、水素原子またはアミノ基であり;より好ましくは、R1、R2、R3、R4、R'1、R'2、R'3およびR'4は、水素原子を表す;
・ TaおよびTbは、同じであるかまたは異なり、i)共有σ結合、ii)-SO2、-O-、-S-、-N(R)-、-N+(R)(Ro)-、-CO-から選択される1つまたは複数の基あるいはそれらの組合せ(RおよびRoは、同じであるかまたは異なり、水素原子またはC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4ヒドロキシアルキル基、またはアリール(C1〜C4)アルキルを表す);[好ましくは、Taは、Tbと同じであり、共有σ結合、または-N(R)-、-C(O)-N(R)-、-N(R)-C(O)-、-O-C(O)-、-C(O)-O-、および、-N+(R)(Ro)-から選択される基を表し、RおよびRoは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し;より好ましくは、TaおよびTbは、σ結合を表す];iii)あるいは、陽イオンまたは非陽イオンヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基(これらは、好ましくは、単環であり、好ましくは同じであり、好ましくは2個のヘテロ原子(より好ましくは2個の窒素原子)を含み、好ましくは5員から7員を含み、例えばイミダゾリウムである);を表す;

【0058】
【化5】

【0059】
これらは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、任意選択で置換された複素環式基を表し;好ましくは、これらの複素環は同じで、単環であり、飽和であり、全部で2個の窒素原子、および5員から8員を含む;

【0060】
【化6】

【0061】
は、フェニル環に縮合している、あるいは、フェニル環はない、アリールまたはヘテロアリール基を表し;環が存在する場合、その環はベンゾである;
・ m、m'、n、およびn'は、同じであるかまたは異なり、0と6の間(両端の数を含む)の整数を表すが、但し、m+nおよびm'+n'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、1と10の間(両端の数を含む)の整数を表し;好ましくは、m+n=m'+n'=2と4の間(両端の数を含む)の整数であり;より好ましくは、m+n=m'+n'=2である;
M'は、対イオンあるいは有機または無機酸塩を表す。
【0062】
蛍光ジスルフィド染料の例には、特に次の化合物が含まれ、ここでM'は陰イオンの対イオンである。
【0063】
【化7A】

【0064】
【化7B】

【0065】
【化7C】

【0066】
【化7D】

【0067】
【化7E】

【0068】
【化7F】

【0069】
【化7G】

【0070】
【化7H】

【0071】
【化7I】

【0072】
【化7J】

【0073】
【化7K】

【0074】
【化7L】

【0075】
【化7M】

【0076】
【化7N】

【0077】
【化7O】

【0078】
【化7P】

【0079】
【化7Q】

【0080】
【化7R】

【0081】
I.5. 有機塩および対イオン
「有機または無機酸塩」は、より詳細には、i)塩酸HCl、ii)臭化水素酸HBr、iii)硫酸H2SO4、iv)アルキルスルホン酸:Alk-S(O)2OH、例えば、メチルスルホン酸およびエチルスルホン酸、v)アリールスルホン酸:Ar-S(O)2OH、例えば、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸、vi)クエン酸、vii)コハク酸、viii)酒石酸、ix)乳酸、x)アルコキシスルフィン酸:Alk-O-S(O)OH、例えば、メトキシスルフィン酸およびエトキシスルフィン酸、xi)アリールオキシスルフィン酸、例えば、トルエンオキシスルフィン酸およびフェノキシスルフィン酸、xii)リン酸H3PO4、xiii)酢酸CH3COOH、xiv)トリフルオロメタンスルホン酸CF3SO3H、ならびに、xv)テトラフルオロホウ酸HBF4、に由来する塩から選択される。
【0082】
「陰イオンの対イオン」は、染料の陽イオン電荷と組み合わせられる陰イオンまたは陰イオン基である;より詳細には、陰イオンの対イオンは、i)ハライド、例えば、クロリドおよびブロミド、ii)ニトレート、iii)スルホネート、C1〜C6アルキルスルホネート:Alk-S(O)2O-、例えば、メチルスルホネート(またはメシレート)およびエチルスルホネートが含まれる、iv)アリールスルホネート:Ar-S(O)2O-、例えば、ベンゼンスルホネート、およびトルエンスルホネート(またはトシレート)、v)シトレート、vi)サクシネート、vii)タータレート、viii)ラクテート、ix)アルキルサルファイト:Alk-O-S(O)O-、例えば、メチルサルファイトおよびエチルサルファイト、x)アリールサルファイト:Ar-O-S(O)O-、例えば、ベンゼンサルファイトおよびトルエンサルファイト、xi)アルキルサルフェート:Alk-O-S(O)2O-、例えば、メチルサルフェートおよびエチルサルフェート、xii)アリールサルフェート:Ar-O-S(O)2O-、xiii)ホスフェート、xiv)アセテート、xv)トリフラート、ならびに、xvi)ボレート、例えば、テトラフルオロボレート、から選択される。
【0083】
I.6. 蛍光ジスルフィド染料の調製
蛍光ジスルフィド染料は、当業者に知られている方法によって調製され得る。
【0084】
第1の可能性によれば、2つのアミン官能基(好ましくは第1級または第2級アミン官能基)を含むジスルフィド化合物を、十分な量の「反応性蛍光発色団」またはこのような「反応性蛍光発色団」を含む(別の言い方では、求電子官能基を含む)化合物と反応させることができる。
【0085】
「反応性蛍光発色団」には、より詳細には、ビニルスルホン、スルファトエチルスルホン、モノ-またはジクロロトリアジン、モノ-またはジクロロピリミジン、ジフルオロクロロピリミジン、ジクロロキノキサリンまたはブロモビニルスルホン官能基を含む反応性染料が含まれる。
【0086】
反応性発色団として、やはり適切であるのは、アミン官能基と反応してスルファミド(-SO2-NR-)またはアミド(-CO-NR-)基を生じることができる少なくとも1つの基を含む蛍光発色団化合物である。例えば、-SO3W'および-COOW'(ここで、W'は、水素原子、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アンモニウム基、1つまたは複数の同じかまたは異なる線状または分岐状のC1〜C10アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシルを任意選択で有する)により置換されたアンモニウム基を表す)を挙げることができ、これらは、それぞれ、-SO2Clまたは-COCl基を生成するように、知られている方法により前もって活性化されてもよい。
【0087】
反応性蛍光発色団として、酸性染料であるとして列挙されている、「Colour Index」における酸性染料を用いることもまた考えられる。
【0088】
より詳細には、用いられる操作条件のさらなる詳細について、「Advanced Organic Chemistry」、March、第4版を参照することができる。
【0089】
やはり、この第1の可能性に関連する範囲内で、蛍光発色団に直接または直接でなく結合しており、アミン基により置換され得る反応し易い基(labile group)、例えば、Cl、Br、F、O-アルキル(例えば、O-Me)、O-アリール、O-アルキルアリール(例えば、O-ベンジル)を含む蛍光発色団を用いることが可能である。
【0090】
この可能性との関連において、蛍光ジスルフィド染料はまた、アクリレート官能基(-OCO-C=C-)を有する発色団を用いることによっても得ることができ、この官能基で、付加反応が実施される。
【0091】
別の可能性によれば、蛍光ジスルフィド染料は、ジスルフィド化合物を、通常の方法(例えば、カルボジイミドまたはチオニルクロリドとの反応)によって活性化された2つのカルボン酸官能基を有する化合物と反応させることによって得ることができる。この場合、得られる生成物は、例えば、第1級または第2級アミン型、あるいは脂肪族または芳香族アルコール型(例えば、フェノール)の求電子官能基を有する蛍光発色団と反応させられる。
【0092】
ここで再び、用いられる操作条件のさらなる詳細については、「Advanced Organic Chemistry」、March、第4版を参照することができる。
【0093】
第3の可能性によれば、蛍光ジスルフィド染料は、ジスルフィド基、および2つのヒドロキシル基(これらは、脱離基(例えば、メシレートまたはトシレート)を生成するように、前もって活性化される)を含む化合物と、有利には第1級、第2級もしくは第3級のヘテロ芳香族または非ヘテロ芳香族型(例えばピリジン、イミダゾールまたはベンゾイミダゾール型)の求電子官能基を有する蛍光発色団とを反応させることによって得ることができる。
【0094】
第4の可能性によれば、蛍光ジスルフィド染料は、SH官能基を有する染料の制御された酸化によって得ることができる。
【0095】
第5の可能性によれば、また特に式(II)に対応する化合物の調製では、蛍光ジスルフィド染料は、発色団基を含む試薬のモル量以上のモル量のジスルフィド試薬を用いることによって、前記の可能性1、2または3の変形形態により得ることができる。
【0096】
他方、AおよびA'が同じである式(I)に対応する蛍光ジスルフィド染料の調製は、ジスルフィド試薬の量の好ましくは2倍以上のモル量の、蛍光発色団基を含む試薬の使用によって容易になる。
【0097】
第6の可能性によれば、特に、一方では2つの基AおよびA'、他方ではXおよびX'が異なる式(I)に対応する化合物の調製では、ジスルフィド化合物は、式(II)に対応する蛍光ジスルフィド化合物から得ることができる。
【0098】
II. 染色組成物
II.1. 染料
本発明において用いられる染色組成物は、通常、組成物の全量に対して、0.001%と50%の間の量の蛍光ジスルフィド染料を含む。好ましくは、この量は、組成物の全重量に対して0.005重量%と20重量%の間、より一層好ましくは、0.01重量%と5重量%の間である。
【0099】
染料組成物は付加的な直接染料をさらに含み得る。これらの直接染料は、例えば、中性、酸性または陽イオンのニトロベンゼン直接染料、中性、酸性または陽イオンのアゾ直接染料、テトラアザペンタメチン染料、キノン染料(より詳細には、中性、酸性または陽イオンのアントラキノン染料)、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、インドアミン直接染料および天然直接染料から選択される。
【0100】
天然直接染料には、ラウソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)およびアピゲニジンが含まれる。これらの天然染料を含む抽出物または煎出物、より詳細には、ヘンナ-ベースのパップ剤または抽出物を用いることもまた可能である。
【0101】
染料組成物は、ケラチン繊維の染色に通常用いられる1種または複数の酸化ベースおよび/またはカップラーの1種または複数を含み得る。
【0102】
酸化ベースには、パラ-フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、ビス-パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、複素環式ベース、およびこれらの付加塩が含まれる。
【0103】
これらのカプラーには、より詳細には、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンカプラー、複素環式カプラー、およびこれらの付加塩が含まれ得る。
【0104】
1種または複数のカプラーは、一般的に、それぞれ、染色組成物の全重量の0.001重量%と10重量%、好ましくは、0.005%と6%の間の量で存在する。
【0105】
染色組成物中に存在する1種または複数の酸化ベースは、通常、それぞれ、染色組成物の全重量の0.001重量%と10重量%、好ましくは、0.005重量%と6重量%の間の量で存在する。
【0106】
一般的に、本発明に関連して用いることができる酸化ベースおよびカプラーの付加塩は、より詳細には、酸との付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシレート、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩および酢酸塩、ならびに、塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)、アンモニア水、アミンまたはアルカノールアミンとの付加塩から選択される。
【0107】
染色に適する媒体は、染色ビヒクルとも呼ばれ、通常、水、または水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物からなる化粧品用媒体である。有機溶媒には、例えば、C1〜C4低級アルカノール、例えば、エタノールおよびイソプロパノール;ポリオールおよびポリオールエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびモノメチルエーテル、さらに、芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0108】
溶媒は、存在する場合、染色組成物の全重量に対して、好ましくは、ほぼ、1重量%と40重量%の間、より一層好ましくは、ほぼ、5重量%と30重量%との間の比率で、好ましくは存在する。
【0109】
一変形形態において、本発明は、ジスルフィド結合を還元できる還元剤を含む。この還元剤は上で定義された通りである。
【0110】
II.2. アジュバント
染色組成物はまた、毛髪染色組成物に通常用いられる様々なアジュバント、例えば、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性および双性の界面活性剤またはこれらの混合物、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性および双性のポリマーまたはこれらの混合物、有機または無機の増粘剤、特に、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性および両性の会合性ポリマー増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、緩衝剤、分散剤、コンディショニング剤(例えば、揮発性または非揮発性の変性または無変性シリコーン、例えば、アミノシリコーン)、フィルム形成剤、セラミド、保存剤、不透明化剤および導電性ポリマーを含み得る。
【0111】
アジュバントの量
上のアジュバントは、通常、それらの各々が、組成物の重量に対して、0.01重量%と20重量%の間の量で存在する。
【0112】
当業者は、言うまでもなく、本発明による染色組成物に本来付随する利点のある性質が、想定される1つまたは複数の添加によって悪影響を受けないか、または実質的に受けないように、またはこれらの補助的化合物を選択するのに注意を払うであろう。
【0113】
pH
染色組成物のpHは、通常、ほぼ、3と14の間、好ましくは、ほぼ、5と11の間である。それは、ケラチン繊維の染色に通常用いられる酸性化剤または塩基性化剤により、でなければ、通常の緩衝系により所望の値に調整され得る。
【0114】
酸性化剤には、例えば、有機または無機の酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸(例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸および乳酸)、ならびにスルホン酸が含まれる。
【0115】
塩基性化剤には、例えば、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン(例えば、モノ-、ジ-およびトリエタノールアミンおよびこれらの誘導体)、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、および下の式(a)の化合物が含まれる。
【0116】
【化8】

【0117】
式中、Waは、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルキル基により任意選択で置換されたプロピレン残基であり、Ra1、Ra2、Ra3およびRa4は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す。
【0118】
II.3. 組成物の形態
染色組成物は、様々な形態として、例えば、液体、クリームまたはゲル、あるいは、ケラチン繊維、より詳細には毛髪の染色を実施するのに適する他の任意の形態として提供され得る。
【0119】
III. 着色方法
染色組成物は通常、雰囲気温度で付着される。しかし、それは、20から180℃の範囲の温度で実施され得る。
【0120】
本発明の特定の一着色方法において、蛍光ジスルフィド染料は、還元剤と同時にケラチン質に付着される。還元剤は上で定義された通りである。
【0121】
別の変形形態において、還元剤は、蛍光ジスルフィド染料(I)および(II)を含む染色組成物に、使用時に添加される。
【0122】
別の変形形態によれば、本発明の方法は、組成物がすでに還元剤を含む場合、ポスト-トリートメント酸化剤の存在の下に実施され得る。
【0123】
前記酸化剤は、当技術分野において通常用いられる任意の酸化剤であり得る。したがって、それは、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸塩(例えば、過ホウ素酸塩および過硫酸塩)、さらには、酵素(特に、ペルオキシダーゼ、2-電子酸化還元酵素(例えば、ウリカーゼ)、および4電子オキシゲナーゼ(例えば、ラッカーゼ))から選択され得る。過酸化水素の使用が特に好ましい。
【0124】
この酸化剤は、式(I)および(II)の蛍光ジスルフィド染料を含む組成物の付着の前または後に、繊維に付着され得る。
【0125】
IV. 染色デバイスまたはキット
本発明は、さらに、マルチ-コンパートメントの染色デバイスまたはキットを提供し、ここで、第1コンパートメントは、式(I)または(II)の蛍光ジスルフィド染料の少なくとも1種を含む染色組成物を含み、第2コンパートメントは、染料のジスルフィド結合、および/または、ケラチン質のジスルフィド官能基を還元できる還元剤を含む。
【0126】
これらのコンパートメントの1つは、直接染料または酸化染料タイプの1種または複数の他の染料をさらに含み得る。
【0127】
本発明は、さらに、第1コンパートメントが、式(I)または(II)の蛍光ジスルフィド染料の少なくとも1種を含む染色組成物を含み、第2コンパートメントが染料のジスルフィド結合を還元できる還元剤を含み、第3コンパートメントが酸化剤を含む、マルチ-コンパートメントデバイスに関する。
【0128】
前記デバイスの各々は、例えば、特許FR2 586 913に記載のデバイスのような、所望の混合物を毛髪へ送り届けられる手段を備えていてもよい。
【0129】
以下の実施例は本発明を例示するためのものであるが、限定するという性質のものではない。下の実施例における蛍光ジスルフィド染料は、通常の分光およびスペクトル観察法によって完全に特性評価した。
【実施例】
【0130】
合成実施例
(実施例1)
【0131】
【化9】

【0132】
ステップ1: 1,1'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルピリジニウム)ジブロミド
56gの1-ブロモ-2-[(2-ブロモエチル)ジスルファニル]エタンおよび15mlのN-メチルピロリドン(NMP)の混合物を、35gの2-ピコリンに、80℃で撹拌しながら滴下して導入する。混合物(白色懸濁液)を、撹拌しながら80℃に30分間保ち、100mlのアセトニトリルを加え、撹拌を、80℃で90分間続ける。冷却後、得られた固体を濾別し、100mlのアセトニトリルで洗い、次いで乾燥する。こうして56.2gの茶色の粉末を得る。この粉末の45gを300mlのイソプロパノールに、還流して懸濁させる。温度が40℃に下がったら、固体を濾別し、100mlのイソプロパノールで3回洗い、真空下に乾燥する。薄いベージュ色の生成物、40.56g。分析は予想した構造に合致する。
【0133】
ステップ2: 1,1'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(2-{(E)-2-[4-(ジメチルアミノ)-フェニル]ビニル}ピリジニウム)ジブロミド
150mgのピロリジン、次いで129mgの酢酸を、2mlのメタノール中297mgの4-ジメチルアミノベンズアルデヒドの溶液に加える。雰囲気温度での18時間の撹拌後、混合物に、495mgの1,1'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルピリジニウム)ジブロミドを加え、撹拌を雰囲気温度で7日間続ける。濾過の後、メタノールで洗い、真空下に乾燥し、312mgのオレンジ色の粉末を回収する。分析は予想した構造に合致する。1H NMR (400MHz, MeOH-d4): 3.02 (s, 6H)、3.22 (t, 2H)、5 (t, 2H)、6.72 (m, 2H)、7.19 (d, 1H)、7.63 (m, 3H)、7.76 (d, 1H)、8.3 (m, 2H)、8.59 (m, 1H)。
【0134】
(実施例2)
【0135】
【化10】

【0136】
ステップ1: 4,4'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒド
82.3gのオキシ塩化リンを、0℃で500mlのDMFに加える。0℃で30分間の撹拌後に、47gのN,N'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(N-メチルアニリン)の溶液を滴下して加える。混合物を、0℃で90分間、次いで、10℃で75分間、40℃で105分間撹拌する。次に、それを、2.5Lの氷-水に注ぎ、700mlの5N水酸化ナトリウムを加える。得られた黄色の沈殿をセライトで濾別し、200mlのジクロロメタンに溶かし、得られた溶液を、200mlの塩化ナトリウム飽和水溶液により洗う。硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを蒸発させた後、黄色の残留物(80g)を、シリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製する。乾燥後、薄い黄色の粉末を回収する。分析は、生成物が予想した構造に合致することを示す。
【0137】
ステップ2:2,2'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)-4,1-フェニレン(E)-エタン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ジクロリド
25gの4,4'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒドおよび18.5gのN-メチルピコリニウムクロリドを300mlのメタノールに溶かす。12.7mlのピペリジンを混合物に加える。合わせた系を撹拌しながら55℃で11時間加熱する。メタノールを、真空下に40℃で除去する。固体を300mlのイソプロパノールと混合する。蒸発による新たな乾燥の後、200mlのイソプロパノールを導入する。混合物は固化し、100mlのイソプロパノールの添加により増量し、ガラスフリット上に吸引して濾別する。回収した固体を、イソプロパノールにより、次いでアセトンにより洗い、次に、真空下に乾燥する。乾燥後、36.7gのオレンジ色の粉末を回収する。イソプロパノールからの再結晶により、オレンジ-赤色の27gの高純度粉末を回収する。分析は、この生成物が仕様に合致し、純粋であることを示す。1H NMR (400MHz, MeOH-d4) 2.99 (t, 4H)、3.81 (t, 4H)、4.31 (s, 6H)、6.86 (d, 4H)、7.22 (d, 2H)、7.63 (m, 2H)、7.69 (d, 4H)、7.83 (d, 2H)、8.29 (m, 2H)、8.36 (m, 2H)、8.61 (m, 2H)。
【0138】
(実施例3)
【0139】
【化11】

【0140】
4,4'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)-4,1-フェニレン(E)エテン-2,1-ジイル]ビス(1-メチルピリジニウム)ジメトキシサルフェート
2.62gの4-ピコリンを、25mlのジクロロメタンに希釈し、この溶液に、3mlのジメチルサルフェートを加え、温度を還流(40℃)するまで上げる。40分間の撹拌の後、50mlのイソプロパノールを加え、混合物を、ジクロロメタンの蒸留により濃縮し(混合物を60℃で加熱)、混合物に、1.83gのピロリジン、その後、4.99gの4,4'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒドを導入する。65℃での2時間の撹拌後、反応混合物を雰囲気温度まで冷却し、生成した沈殿を濾別し、100mlのイソプロパノールにより3回洗う。得られた赤色のペーストを200mlのイソプロパノールに分散させ、こうして得た混合物を還流するまで加熱し、次いで冷却する。生成した赤色の沈殿を濾別し、次に、乾燥する。8.94gの赤色の粉末を回収する。分析は、この生成物が仕様に合致し、純粋であることを示す。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) 2.96 (t, 4H)、3.02 (s, 6H)、3.36 (s, 6H)、3.72 (t, 4H)、4.16 (s, 6H)、6.81 (d, 4H)、7.15 (d, 2H)、7.57 (d, 4H)、7.87 (d, 2H)、8.02 (d, 4H)、8.66 (d, 4H)。
【0141】
(実施例4)
【0142】
【化12】

【0143】
2,2'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)-4,1-フェニレン(E)エテン-2,1-ジイル]}ビス(1-エチルピリジニウム)ジクロリド
10gの4,4'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒドおよび8.1gのN-エチルピコリニウムクロリドを100mlのイソプロパノールに溶かす。この混合物に、1.3gのピペリジンを加える。合わせた系を、撹拌しながら5時間加熱還流する。イソプロパノールを、50℃で真空下に除去する。得られたゴムをアセトン中で細かく砕く。18gの固体を回収し、カーボンブラックにより処理する。7.1gの生成物を捕集し、4gを、液体/液体(水/BuOH)クロマトグラフィーによって精製する。乾燥後、1.65gの赤色の粉末を回収する。分析は、生成物が仕様に合致し、純粋であることを示す。1H NMR (400MHz, MeOH-d4) 1.57 (t, 6H)、2.98 (t, 4H)、3.11 (s, 6H)、3.8 (t, 4H)、4.73 (q, 4H)、6.85 (m, 4H)、7.23 (d, 2H)、7.69 (m, 6H)、7.85 (d, 2H)、8.29 (m, 2H)、8.38 (m, 2H)、8.67 (m, 2H)。
【0144】
(実施例5)
【0145】
【化13】

【0146】
ステップ1: 2,2'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(6-クロロ-1H-ベンゾ[de]-イソキノリン-1,3(2H)-ジオン)
9.30gの6-クロロ-1H,3H-ベンゾ[de]イソクロメン-1,3-ジオンおよび4.46gの塩酸塩化したシスタミン塩酸塩を、50mlのN-メチルピロリドン(NMP)に懸濁させる。5.5gのジイソプロピルエチルアミンを加え、混合物を撹拌しながら120℃で加熱する。2時間後に、50mlのNMPを加え、混合物を撹拌しながら、120℃で3時間保つ。冷却後、沈殿した生成物を回収し、濾液を、200mlの水を加えることによって増量し、第2の沈殿を回収する。沈殿を水で洗い、乾燥する。11.46gの白色粉末を回収する。分析は、生成物が予想した生成物に合致することを示す。
【0147】
ステップ2: 2,2'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス[6-{[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-アミノ}-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン]
4gの(6-クロロ-2-(2-{[2-(6-クロロ-1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イル)エチル]-ジスルファニル}エチル)-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオンを、40mlのN,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンに懸濁させる。混合物を、110℃で12時間、加熱撹拌する。冷却後、黄色の沈殿を捕集し、濾液に500mlの1/1エタノール/水の混合物を滴下して加える。得られた黄色のペーストを分離し、200mlのアセトン中で細かく砕く。得られた固体を300mlの水で洗い、乾燥する。4.5gの黄色の粉末を回収する。分析は、生成物が予想した生成物に合致することを示す。
【0148】
ステップ3: 3,3'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイル(1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2,6(3H)-ジイル)イミノ]}ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)サルフェート
4gの6-{[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ}-2-[2-({2-[6-{[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-アミノ}-1,3-ジオキソ-1H-benzo[de]イソキノリン-2(3H)-イル]エチル}ジスルファニル)エチル]-1H-ベンゾ-[de]イソキノリン-1,3(2H)-ジオンを、50mlのジメチルホルムアミドに懸濁させる。4mlのジメチルサルフェートを加え、混合物を、撹拌しながら雰囲気温度で4時間保つ。反応混合物を500mlの酢酸エチルに注ぐ。沈殿を濾別し、100mlの酢酸エチルにより4回洗い、真空下に乾燥する。こうして5.9gの黄色の粉末を得る。分析は、生成物が予想した生成物に合致することを示す。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): 2.13 (m, 4H)、3.06 (m, 4H)、3.09 (s, 18H)、3.46 (m, 4H)、4.36 (m, 4H)、6.85 (d, 2H)、7.71 (m, 2H)、7.82 (t, 2H)、8.28 (d, 2H)、8.29 (dd, 2H)、8.45 (dd, 2H)。
【0149】
(実施例6)
【0150】
【化14】

【0151】
ステップ1: 1,1'-(ジサルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルピリジニウム)ジブロミド
67gの4-ピコリンを100mlのアセトニトリルに希釈し、混合物を80℃に加熱する。60gの1-ブロモ-2-[(2-ブロモエチル)ジスルファニル]エタンおよび15mlのN-メチルピロリドン(NMP)の混合物を、5分間で加える。85℃での4時間の撹拌後に、混合物を冷却する。得られた固体を濾別し、3×200mlのアセトニトリルによりすすぎ洗いし、次いで、800mlのイソプロパノールに溶かす(還流して)。冷却後、1lのエチルエーテルを加える。生成した沈殿を濾別し、3×200mlのエチルエーテルによりすすぎ洗いし、次いで、乾燥する。得られた少し灰色がかった白色の粉末(73.77g)は、予想した生成物を主に(>90%)含み、それを次のステップにそのまま用いる。
【0152】
ステップ2: 1,1'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(4-{(E)-2-[4-(ジメチルアミノ)-フェニル]ビニル}ピリジニウム)ジブロミド
13.2gの4-ジメチルアミノベンズアルデヒドを、100mlのメタノールに懸濁させる。混合物に、6.2gのピロリジン、次いで、5.3gの酢酸(20mlのメタノールに希釈)を加える(最終pH5/6)。前のステップで得た20gの1,1-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルピリジニウム)ジブロミド(80mlのメタノールに溶解)を導入し、次いで、反応混合物を、100mlのメタノールの添加により希釈する。雰囲気温度での21時間の撹拌後、第1の沈殿を回収し、3×100mlのエタノールにより、次いで、3×200mlの酢酸エチルにより洗い、乾燥し(赤色の粉末、7.4g)、次に、濾液に生成した第2の沈殿を、同様に回収し、乾燥する(赤色粉末、11.44g)。分析は、2つのフラクションが予想した構造に合致することを示す。1H NMR(400MHz, MeOH-d4): 3.02 (s, 12H)、3.42 (t, 4H)、4.74 (t, 4H)、6.77 (d, 4H)、7.19 (d, 2H)、7.6 (d, 4H)、7.97 (d, 2H)、8.1 (d, 4H)、8.79 (d, 4H)。
【0153】
(実施例7)
【0154】
【化15】

【0155】
合成スキーム
【0156】
【化16】

【0157】
ステップ1: N,N'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(2-クロロアセトアミド)の合成
40.3gのシスタミン二塩酸塩を100mlの水に溶かし、32mlの35%水酸化ナトリウム溶液を加え(pH9.7)、温度を5℃に下げる。温度を10℃未満に保ち、水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7.9と9.3の間に保って、33.5mlのクロロアセチルクロリドを滴下して導入する。混合物を撹拌しながら雰囲気温度に2時間保つ。沈殿を濾別し、5×150mlの水により洗い、次いで、P2O5の存在下で真空乾燥する。35.3gの白色粉末を回収する。分析は、生成物が合致することを示す。
【0158】
ステップ2: 1,1'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイルイミノ(2-オキソエタン-2,1-ジイル)]}ビス(4-メチルピリジニウム)ジクロリドの合成
6.1gのN,N'-(ジスルファンジイルジエタン-2,1-ジイル)ビス(2-クロロアセトアミド)および4.5gの4-ピコリンを、50mlのNMPに溶かし、この溶液を、80℃で19時間加熱する。混合物を冷却した後、アセトンからの逐次沈殿により9.2gの塩を回収し、真空下に乾燥する。分析は、生成物が合致することを示す。1H NMR (400MHz, D2O): 2.61 (s, 6H)、2.82 (t, 4H)、3.56 (t, 4H)、5.31 (s, 4H)、7.85 (d, 4H)、8.51 (d, 4H)。
【0159】
ステップ3: 1,1'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイルイミノ(2-オキソエタン-2,1-ジイル)]}ビス{4-[(E)-2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ビニル]ピリジニウム}ジクロリド[4]の合成
785mgの3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド、328μlのピロリジン、232μlの酢酸および490mgの1,1'-{ジスルファンジイルビス[エタン-2,1-ジイルイミノ(2-オキソエタン-2,1-ジイル)]}ビス(4-メチルピリジニウム)ジクロリドを、10mlのイソプロパノールに溶かし、この溶液を撹拌しながら、雰囲気温度に3時間30分保つ。混合物を50mlのジクロロメタン/アセトン(1:1)溶液に注ぐ。固体が沈殿する。それを濾別し、20mlのアセトンにより3回洗い、真空下に乾燥する。509mgの黒色の粉末を回収する。分析は、生成物が合致することを示す(LCMS:100%;質量ピークm/z=388、2価の陽イオンに対応)。
【0160】
着色実施例
組成物Aの調製
【0161】
【表1】

【0162】
組成物Bの調製
【0163】
【表2】

【0164】
使用時に、組成物A(9体積)およびB(1体積)を混合し、次いで、得られた混合物を暗色毛髪(色調レベル4)に、雰囲気温度で30分間付着させる。水によるすすぎ洗い、および乾燥の後、こうして処理した毛髪の光学的明るさを観察する。
【0165】
こうして処理した毛髪の房を、房を水により濡らすこと、シャンプーにより洗うこと、水によりすすぎ洗いすること、次いで、乾かすことを1回に含むサイクルとして30回シャンプーで洗う。
【0166】
房は、次のシャンプーを付着させる前に乾燥する。
【0167】
30回の洗いの前後の房の色を、MINOLTA(登録商標)CM 2002分光測色計(D65光源)によってL*a*b*系で評価した。
【0168】
L*a*b*系において、3つのパラメータは、それぞれ、明暗度(L*)、色相(a*)および彩度(b*)を表す。この系において、Lの値が大きいほど、色はより明るい、またはより薄い。逆に、Lの値が小さいほど、色はより暗い、または濃さの度合いが大きい。a*およびb*は、2つの色の軸を示す:a*は緑/赤色の軸を示し、b*は青/黄色の軸を示す。
【0169】
【表3】

【0170】
上の表における結果は、着色が、30回シャンプーした後でさえ、非常に僅かしか変わらないことを示す。このように、毛髪への着色および明色化効果は、ほとんど変わらないで残り、したがって、本発明の染料による非常に良好な耐シャンプー性が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の蛍光ジスルフィド染料が還元剤と同時にケラチン質に付着されることを特徴とする、暗色ケラチン質の着色方法。
【請求項2】
適切な化粧品用媒体中に還元剤の存在下で少なくとも1種の蛍光ジスルフィド染料を含む染色組成物が付着されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蛍光ジスルフィド染料が、下に定義される式(I)および(II)の染料:
A-(X)p-Csat-S-S-C'sat-(X')p'-A' (I)
A-(X)p-Csat-S-S-C'sat-(X')p'-D (II)
[式中、
・ AおよびA'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、少なくとも1つの陽イオン性または非陽イオン性の蛍光発色団を含む基を表し;
・ XおよびX'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、飽和または不飽和で線状または分岐状のC1〜C30炭化水素鎖を表し、この鎖は、
- -N(R)-、-N+(R)(R)-、-O-、-S-、-CO-、-SO2-(ここで、基R'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素またはC1〜C4アルキル、ヒドロキシアルキルもしくはアミノアルキル基から選択される);
- 飽和または不飽和、縮合または非縮合、芳香族または非芳香族の(ヘテロ)環式基(1個または複数の同じかまたは同じでないヘテロ原子を任意選択で含み、任意選択で置換されている);
から選択される1つまたは複数の2価の基あるいはこれらの組合せが、任意選択で介在している、ならびに/あるいは、その末端の1つまたは2つに任意選択で存在しており;
・ 添字pおよびp'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、0または1であり;
・ CsatおよびC'satは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、任意選択で環状で、任意選択で置換されている、線状または分岐状のC1〜C18アルキレン鎖を表し;
・ Dは、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシレート、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基から選択される基に一致する]、
それらの有機または無機酸塩、光学異性体、幾何異性体、および、水和物のような溶媒和物から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)または(II)の蛍光ジスルフィド染料が基AまたはA'を含み、これらが、同じであるかまたは異なり、スチリル発色団を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
XおよびX'が、同じであるかまたは異なり、基-N(R)-を表すことを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
AおよびA'が、同じであるかまたは異なり、より好ましくは同じであり、W-C(Rc)=C(Rd)-Ar-、または、-W-C(Rc)=C(Rd)-Ar[ここで、Wは、第4級アンモニウムを含む、複素環またはヘテロアリールを表し;Arは、フェニルまたはピリジニウム型の5員または6員の(ヘテロ)アリール基、あるいはナフチル、ベンゾピリジニウム、インドリニルまたはベンゾインドリニル型の(ヘテロ)芳香族二環基を表し、これらの基は、1つまたは複数のハロゲン原子により、1つまたは複数のアルキル基により、1つまたは複数のヒドロキシル基により、1つまたは複数のアルコキシ基により、1つまたは複数のヒドロキシアルキル基により、1つまたは複数のアミノまたは(ジ)アルキルアミノ基により、1つまたは複数のアシルアミノ基により、1つまたは複数の5員または6員のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基により、任意選択で置換されており;RcおよびRdは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す]を表すことを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Wが、イミダゾリウム、ピリジニウム、ベンゾピリジニウム、ベンゾイミダゾリウム、キノリニウムまたはピラゾリウムであることを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
蛍光ジスルフィド染料が化合物(III)から(XII)から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法:
【化1A】

【化1B】

【化1C】

[式中、
・ GおよびG'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、基-NRcRd、-NR'cR'd、または、任意選択で置換されたC1〜C6アルコキシを表し;好ましくは、GおよびG'はそれぞれ、基-NRcRd、および、-NR'cR'dを表し;
・ RaおよびR'aは、同じであるかまたは異なり、アリール(C1〜C4)アルキル基、またはC1〜C6アルキル基[このアルキル基は、ヒドロキシル、または、アミノ基、C1〜C4アルキルアミノ、もしくはC1〜C4ジアルキルアミノ(これらのアルキル基は、それらを有する窒素原子と共に、5員から7員を含む複素環を形成していることが可能であり、この複素環は、窒素と異なるかもしくは同じである別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む)により任意選択で置換されている]を表し;
・ RbおよびR'bは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、アリール(C1〜C4)アルキル基またはC1〜C6アルキル基(これは、任意選択で置換されている)を表し;
・ Rc、R'c、RdおよびR'dは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、アリール(C1〜C4)アルキル基、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルキル基(これは、任意選択で置換されている)を表し;
あるいは、同一の窒素原子に有される2つの隣接する基、RcおよびRd、またはR'cおよびR'dは、一緒に複素環式またはヘテロアリール基を形成し;
・ ReおよびR'eは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、線状または分岐状で、任意選択で不飽和の、2価のC1〜C6アルキレニル炭化水素鎖を表し;
・ RfおよびR'fは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、第4級アンモニウム基(R")(R"')(R"")N+-を表し、ここで、R"、R"'およびR""は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表すか、あるいは、(R")(R"')(R"")N+-は、任意選択で置換された陽イオンヘテロアリール基、好ましくはイミダゾリニウム基(これは、C1〜C3アルキル基により任意選択で置換されている)を表し;
・ Rg、R'g、R"g、R"'g、Rh、R'h、R"hおよびR"'hは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチル基、アシルアミノ、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルアミノ基、アシルアミノ、カルバモイルまたはアルキルスルホニルアミノ基、アミノスルホニル基、または、C1〜C16アルキル基(C1〜C12アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノおよびC1〜C4ジアルキルアミノから選択される基により任意選択で置換されている)を表し、あるいは、前記アミノ基の窒素原子に有される2つのアルキル基は、5員から7員を含み、窒素原子と同じであるかまたは異なる別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成しており;
あるいは、2個の隣接する炭素原子に有される、2個の基RgおよびR'g;R"gおよびR"'g;RhおよびR'h;または、R"hおよびR"'hは、ベンゾもしくはインデノ環、または縮合ヘテロアリールもしくは縮合ヘテロシクロアルキル基を一緒に形成し、このベンゾ、インデノ、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール環は、ハロゲン原子、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチル基、アシルアミノ、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルアミノ基、アシルアミノ、カルバモイルまたはアルキルスルホニルアミノ基、アミノスルホニル基、またはC1〜C16アルキル基(これは、C1〜C12アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノもしくはC1〜C4ジアルキルアミノから選択される基により任意選択で置換されている)により任意選択で置換されている、あるいは、前記アミノ基の窒素原子に有される2つのアルキル基は、5員から7員を含み、窒素原子と同じであるかまたは異なる別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成しており;
・ あるいは、Gが-NRcRdを表し、G'が-NR'cR'dを表す場合、2つの基、RcおよびR'g;R'cおよびR"g;RdおよびRg;または、R'dおよびR"'gは、飽和複素環またはヘテロアリールを一緒に形成しており、この飽和複素環またはヘテロアリールは、C1〜C6アルキル基により任意選択で置換されており;
・ Ri、R'i、R"iおよびR"'iは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し;
・ R1、R2、R3、R4、R'1、R'2、R'3およびR'4は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC1〜C4アルキル、C1〜C12アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アミノ、C1〜C4アルキルアミノもしくはC1〜C4ジアルキルアミノ基を表し、前記アルキル基は、それらを有する窒素原子と共に、5員から7員を含み、窒素と異なるかまたは同じである別の1個のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成していることが可能であり;
・ TaおよびTbは、同じであるかまたは異なり、i)共有σ結合、ii)-SO2、-O-、-S-、-N(R)-、-N+(R)(Ro)-、-CO-から選択される1つまたは複数の基あるいはそれらの組合せ(RおよびRoは、同じであるかまたは異なり、水素原子またはC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4ヒドロキシアルキル基、またはアリール(C1〜C4)アルキルを表す)、iii)あるいは、陽イオンまたは非陽イオンのヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基を表し;

【化2】


これらは、同じであるかまたは異なり、それぞれ、任意選択で置換された複素環式基を表し;

【化3】

は、フェニル環に縮合している、あるいは、フェニル環はない、アリールまたはヘテロアリール基を表し;
・ m、m'、n、n'は、同じであるかまたは異なり、0と6の間(両端の数を含む)の整数を表すが、但し、m+nおよびm'+n'は、同じであるかまたは異なり、それぞれ、1と10の間(両端の数を含む)の整数を表し;
M'は、対イオンあるいは有機または無機酸塩を表す]。
【請求項9】
蛍光ジスルフィド染料が、以下から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法:
【化4A】

【化4B】

【化4C】

【化4D】

【化4E】

【化4F】

【化4G】

【化4H】

【化4I】

【化4J】

【化4K】

【化4L】

【化4M】

【化4N】

【化4O】

【化4P】

【化4Q】

【化4R】

[ここで、M'は陰イオンの対イオンである]。
【請求項10】
還元剤が、システイン、ホモシステイン、チオ乳酸、これらのチオールの塩、ホスフィン、ビサルファイト、サルファイトおよびチオグリコール酸、ならびにチオグリコール酸のエステルから選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
暗色ケラチン質が、6以下、好ましくは4以下の色調レベルを有するケラチン繊維であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ケラチン繊維に酸化剤を付着させるさらなるステップを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
蛍光ジスルフィド染料が、染料組成物の全重量に対して、0.001重量%と50重量%の間、好ましくは、0.005重量%と20重量%の間、より好ましくは、0.01重量%と5重量%の間の量で存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ヒトのケラチン繊維、特に毛髪の染色のための、請求項1から9に記載の蛍光ジスルフィド染料の使用。
【請求項15】
特に6以下の色調レベル、より特別には4以下の色調レベルを有する暗色ケラチン繊維の明色化のための、請求項14に記載の使用。

【公開番号】特開2013−79252(P2013−79252A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266088(P2012−266088)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2009−500907(P2009−500907)の分割
【原出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】