説明

蛍光ランプ及び照明器具

【課題】蛍光ランプの発光光束を向上させる。
【解決手段】本発明に係る蛍光ランプ111は、発光層107と、前記発光層107の外側に設けられた保護膜層102と、前記保護膜層102の外側に設けられたガラス層101と、を有する。発光層107は、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、青色発光蛍光体と、を含有する。青色発光蛍光体の形状は球状である。青色発光蛍光体は、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)である。青色発光蛍光体のユーロピウム濃度は、8〜10wt%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、赤色、緑色、青色の蛍光体を所定の割合で混合した3波長発光形蛍光ランプが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、青色発光蛍光体としてユーロピウム・マンガン共付活バリウム・マグネシウム・ストロンチウム・アルミン酸塩蛍光体を用い、それを所定の比率割合で混合する蛍光ランプが開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、ガラス管バルブ表面温度が所定温度となる最冷部を形成するとともに、青色発光蛍光体として(Ba,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al1017を使用し、その発光スペクトルのピーク波長の強度比を所定範囲内とする蛍光ランプが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−127633号公報
【特許文献2】特開2005−209502号公報
【0006】
しかし、上述の蛍光ランプでは、発光効率の向上は未だ十分であるとはいえない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、点灯時間が経過したとしても発光光束の低下の程度が緩やかである蛍光ランプを提供することを目的とする。また、発光効率の高い蛍光ランプを提供することを目的とする。さらには、そのような蛍光ランプを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明の蛍光ランプは、
赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、球状の青色発光蛍光体と、を含有する発光層と、
前記発光層の外側に設けられた保護膜層と、
前記保護膜層の外側に設けられたガラス層と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記青色発光蛍光体は、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)又はユーロピウム付活クロロ隣酸ストロンチウム、カルシウム、バリウム蛍光体((Sr,Ba,Ca)10(POCl:Eu)の少なくともいずれか一つを含有する、ことも可能である。
【0010】
また、前記青色発光蛍光体のユーロピウム濃度は、8〜10wt%である、ことも可能である。
【0011】
また、前記赤色発光蛍光体は、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)である、ことも可能である。
【0012】
また、前記緑色発光蛍光体は、テルビウム、セリウム付活燐酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)である、ことも可能である。
【0013】
また、前記青色発光蛍光体の平均粒径は、6〜7μmである、ことも可能である。
【0014】
また、前記赤色発光蛍光体の平均粒径は、4〜6μmである、ことも可能である。
【0015】
また、前記緑色発光蛍光体の平均粒径は、4〜6μmである、ことも可能である。
【0016】
また、前記発光層は、前記青色発光蛍光体を15wt%以上35wt%以下含有し、前記赤色発光蛍光体を25wt%以上45wt%以下含有し、前記緑色発光蛍光体を30wt%以上55wt%以下含有する、ことも可能である。
【0017】
また、前記発光層と前記保護膜層との間に、蓄光層を有する、ことも可能である。
【0018】
また、前記蓄光層は、ユーロピウム付活アルミン酸ストロンチウムディスプロシウムを含有する、ことも可能である。
【0019】
上記目的を達成するため、この発明の照明器具は、
器具本体と、
前記器具本体に配設された請求項1乃至11の何れか1項記載の蛍光ランプと、
前記蛍光ランプへランプ電力を供給する点灯回路と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る蛍光ランプは、発光効率が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態1)
実施形態1に係る蛍光ランプ111は、図1に示すように、ガラス層101と、保護膜層102と、発光層107と、を有する。発光層107は、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、青色発光蛍光体と、を含有する。また、蛍光ランプ111内には電極105が設けられている。青色発光蛍光体は球状である。蛍光ランプ111は、内側に発光層107を有し、その外側に保護膜層102を有し、その外側にガラス層101を有する。
【0022】
(実施形態2)
蛍光ランプ111は、熱陰極蛍光ランプである。蛍光ランプ111内には、図2(a)に示すように、放電ガス140が含有されている。
【0023】
発光層107を形成する蛍光体は、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、球状の青色発光蛍光体と、を含有する3波長発光域蛍光体である。青色発光蛍光体は15wt%以上35wt%以下含有し、赤色発光蛍光体は25wt%以上45wt%以下含有し、緑色発光蛍光体は30wt%以上55wt%以下含有するとすることが可能であり、実施形態2に係る蛍光ランプ111では、赤色発光蛍光体は35wt%で、緑色発光蛍光体は41wt%で、青色発光蛍光体は24wt%である。
【0024】
3波長発光域蛍光体は、1cmあたり4mg以上8mg以下含有させることができる。発光層107の色温度は2600K以上8000K以下とすることが可能であり、本実施形態に係る蛍光ランプ111の発光層107の色温度は7500Kである。
【0025】
発光層107に含まれる青色発光蛍光体は、450nm付近に発光ピーク波長を有するユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)である。ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体を用いることにより演色性を向上させることが可能である。青色発光蛍光体のユーロピウムはEu2+である。青色発光蛍光体のユーロピウム濃度は8〜10wt%とすることが好ましい。8wt%よりも少ないと、青色発光蛍光体の発光強度が小さくなる可能性があるからである。また、10wt%よりも多いと青色発光蛍光体の製造工程において歩留まりが悪くなる等の不利益が生じる可能性があるからである。
【0026】
青色発光蛍光体の平均粒径は、6〜7μmとすることが好ましい。平均粒径が6μmよりも小さいと、青色発光蛍光体の発光強度が小さくなる可能性があるからである。また、7μmよりも大きいと、蛍光体層107の厚みが増加することにより透過率が下がる可能性があるからである。
【0027】
発光層107に含まれる緑色発光蛍光体は、540nm付近に発光ピーク波長を有するテルビウム、セリウム付活燐酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)である。緑色発光蛍光体の付活剤濃度は30wt%である。テルビウムはセリウムの1.2倍である。
【0028】
緑色発光蛍光体の平均粒径は、4〜6μmとすることが好ましい。緑色発光蛍光体の平均粒径が4μmよりも小さいと、蛍光体の発光強度が小さくなる可能性があるからである。また、6μmよりも大きいと、蛍光体層107の厚みが増加することにより透過率が下がる可能性があるからである。
【0029】
発光層107に含まれる赤色発光蛍光体は、610nm付近に発光ピーク波長を有するユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)である。赤色発光蛍光体のユーロピウムはEu2+である。赤色発光蛍光体のユーロピウム濃度は10wt%である。赤色発光蛍光体の平均粒径は、4〜6μmとすることが好ましい。赤色発光蛍光体の平均粒径が4μmよりも小さいと、蛍光体の発光強度が小さくなる可能性があるからである。また、6μmよりも大きいと、蛍光体層107の厚みが増加することにより透過率が下がる可能性があるからである。
【0030】
保護膜層102には微粒子酸化物が含有されている。微粒子酸化物は、例えばアルミナ(Al)やイットリア(Y)等の酸化物を使用できる。微粒子酸化物は、1cmあたり0.01mg以上0.05mg以下含有させることができる。保護膜層102の厚みは1.0μm〜3.0μmである。
【0031】
蛍光ランプ111は、図2(a)に示すように直管形であり、例えば全長は225mmである。また、例えば、ガラス層101の管径は10mm以上38mm以下とすることができる。図2(a)のA−A断面である図2(b)に示すように、ガラス管バルブ101の断面は円形である。
【0032】
放電ガス140は、所定量の水銀蒸気と希ガスから構成される。希ガスは蛍光ランプ111の内部の圧力を所定の減圧雰囲気に調整するためのものであり、アルゴンとネオンとの混合ガスである。アルゴンとネオンの比率は、例えば、Arが5重量%、Neが95重量%である。水銀蒸気は、蛍光体層107を励起する紫外線を得るためのものである。
【0033】
蛍光体層107の厚みは、3μm以上50μm以下、好ましくは5μm以上30μm以下とするのが望ましい。蛍光体層107の厚みが50μmよりも厚い場合には蛍光体層107の膜剥がれの問題が起こりやすくなるからであり、一方、蛍光体層107の厚みが3μmよりも薄い場合には、蛍光体層107が透けてしまい、十分な発光を得ることが困難となるからである。
【0034】
電極105は、蛍光ランプ111の両端部に配置されている。各電極105の先端にはフィラメント106が設けられている。電極105はフィラメント106に通電する。フィラメント106には、BaO、SrO、CaO等からなる電子放射性物質が塗布されており、通電により発熱し、蛍光ランプ111内に放電を発生させるための熱電子を放出する。
【0035】
電極105に電圧が印加されると、蛍光ランプ111内に封入された放電ガス140を介して両電極105間に放電が生じる。そしてその放電に伴って、放電ガス140内の水銀が、励起放射により、紫外線(主波長254nm)を放射する。発生した紫外線は、周囲の蛍光体層107に照射され、蛍光体層107内の蛍光体粒子が励起され、可視光(波長400nm程度以上)が発生する。この可視光が外部に放射されることにより、蛍光ランプ111の美しい発光光束となる。
【0036】
本実施形態に係る蛍光ランプ111では、発光層107に含有される青色発光蛍光体の形状は球状である。そのため、温度が高温になったとしても熱の影響を受けにくく、管壁負荷が0.09W/cm以上0.12W/cm以下となり、蛍光ランプ111の発光効率を高く保つとともに、発光光束も上昇させることができる。
【0037】
(実施形態3)
実施形態3に係る蛍光ランプ111は、上述の実施形態と異なり、図3(a)に示すように、蓄光層103を有する。
蓄光層103は、樹脂と蓄光剤とから形成される。蓄光剤としては、例えば、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、亜鉛、カドミウム等の金属硫化物や、蛍光染料を縮合性合成樹脂の初期縮合物とともに溶解し、縮合を進めて樹脂中に色素を固定させる等して得られる顔料や、一般式MAlxxで表されるアルミン酸塩化合物を母結晶にした化合物、または、このアルミン酸塩化合物にマグネシウムを添加した化合物を母結晶にしたマグネシウム添加酸化物系化合物を用いることができる。
ここで、一般式MAlxxにおいて、Mはカルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのうち少なくともいずれか一つを含有するアルカリ土類金属である。また、これらのアルミン酸塩化合物若しくはマグネシウム添加酸化物系化合物に対して、付活剤として、ユウロピウム(Eu)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ジスプロニウム(Dy)、ネオジウム(Nd)等のランタン系金属元素を添加した賦活蛍光体化合物等を用いても良い。
本実施形態3では、蓄光層103は、ユーロピウム付活アルミン酸ストロンチウムディスプロシウム(SrAl1425:Eu,Dy)である。これは、青緑色に発光する。
【0038】
図3(a)のB−B断面である図3(b)に示すように、蓄光層103は、発光層107と保護膜層102との間に設けられる。
【0039】
実施形態3に係る蛍光ランプ111では、蛍光ランプ111の放電が停止した状態でも、蓄光層103が残光を放出する。そのため、蛍光ランプ111の電源を停止した後でも室内を照らすことが可能である。
【0040】
なお、Sr、Al、Oの組成割合は、SrAl1425:Eu,Dyなる組成割合に限定されるものではなく、適宜変更することが可能であり、Sr、Al、Oの組成割合を変更することにより、蓄光層103の残光特性を変化させることが可能である。
【0041】
(実施形態4)
図4に示すように、実施形態に係る照明器具204は、器具本体260と、蛍光ランプ111と、点灯回路250と、を有する。器具本体260は、本体部211と、照明器具支持部241と、フード244と、ランプ支持部243と、を有する。
【0042】
本体部211はプラスチック等の絶縁性樹脂から構成され、円柱形状に成型されている。照明器具204は、ローゼット202により、天井板203に取り付けられる。本体部211にはドーナツ型の円盤形状である照明器具支持部241が設けられる。本体部211の内部に点灯回路250が設けられている。点灯回路250は本体部211の内部に設けられているので、図4では点線で示されている。点灯回路250は、インバータを備えた高周波点灯回路や、スタータ回路及び鉄心安定器を備えた商用周波数点灯回路等を用いることができる。
【0043】
ランプ支持部243は、蛍光ランプ111を支持し、電力を供給するための部材である。このランプ支持部243を通して点灯回路250の点灯動作を蛍光ランプ111に伝達する。照明器具支持部241には、蛍光ランプ111にほこりがつくことを防止するためのフード244が設けられている。フード244は、透明若しくは半透明の樹脂から形成される。本体部211の側面には鈎状の掛止部212が設けられている。この掛止部212は照明器具支持部241を支える。
【0044】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、青色発光蛍光体は、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)であった。もっとも青色発光蛍光体はこれに限定されない。青色発光蛍光体はユーロピウム付活クロロ隣酸ストロンチウム、カルシウム、バリウム蛍光体((Sr,Ba,Ca)10(POCl:Eu)を用いることが可能である。また、これらの混合物を青色発光蛍光体として用いることも可能である。
【0045】
また、青色発光蛍光体は、ZnS:Ag、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn及び(Ba,Sr,Ca,Mg)10(POCl:Eu等を用いることができるし、これらの青色発光蛍光体を所望の割合で混合して用いることも可能である。
【0046】
上述の実施形態では、赤色発光蛍光体は、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)であった。もっとも赤色発光蛍光体はこれに限定されない。赤色発光蛍光体は、YS:Eu、SrS:Eu、CaS:Eu、CaAlSiN:Eu及びLaS:Eu等を用いることができるし、これらの赤色発光蛍光体を所望の割合で混合して用いることも可能である。
【0047】
上述の実施形態では、緑色発光蛍光体は、テルビウム、セリウム付活燐酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)であった。もっとも緑色発光蛍光体はこれに限定されない。緑色発光蛍光体には、BaMgAl1017:Eu,Mn、(MgCaSrBa)Si:Eu、BaSiO:Eu、CeMgAl1119:Tb、LaPO:Tb及び(Ce,Gd)MgB10:Tb等を用いることができるし、これらの緑色発光蛍光体を所望の割合で混合して用いることも可能である。
【0048】
上述の実施形態では、蓄光層103の蓄光剤は、ユーロピウム付活アルミン酸ストロンチウムディスプロシウム(SrAl1425:Eu,Dy)であった。もっともこれに限定されない。蓄光剤は、SrAl:Eu,Dy(緑色発光)、CaAl:Eu,Nd(紫色発光)等も使用することができる。また、蓄光剤の発光色を適宜選択若しくは混合することにより、蛍光ランプ111の点灯消灯後に、市場の需要に応じた演色性ある残光を設定することが可能である。
【0049】
上述の実施形態では、蛍光ランプ111は熱陰極蛍光ランプに適用した例を示した。もっともこれに限定されず、冷陰極蛍光ランプや外部電極型蛍光ランプにも適用可能である。
【0050】
上述の実施形態では、蛍光ランプ111は直管形であったが、これに限定されず、円環形、U字形のような屈曲部を有する形状のものも可能である。
【0051】
上述の実施形態では、放電ガス140に含有される希ガスは、アルゴンとネオンとの混合ガスを用いた。もっともこれに限定されない。希ガスとしては、クリプトンを単独で若しくはアルゴン及びネオンに混合させて用いることができる。さらにはその他の不活性ガスを混合して用いることも可能である。
【実施例】
【0052】
(赤色発光蛍光体の蛍光体温度特性)
赤色発光蛍光体として、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)を用い、平均粒径及びユーロピウム(Eu2+)濃度を変化させた赤色発光蛍光体R1、R2、R3、R4を用意し、それぞれの蛍光体温度特性を測定した。
【0053】
赤色発光蛍光体R1は、平均粒径が5.5μmで、ユーロピウム濃度が10wt%である。赤色発光蛍光体R2は、平均粒径が5.5μmで、ユーロピウム濃度が7wt%である。赤色発光蛍光体R3は、平均粒径が5.5μmで、ユーロピウム濃度が5wt%である。赤色発光蛍光体R4は、平均粒径が5.5μmで、ユーロピウム濃度が8wt%である。
【0054】
蛍光体温度特性は、25℃、60℃、90℃、120℃にてそれぞれピーク強度を測定して調べた。赤色発光蛍光体R1、R2、R3、R4は、図5に示すように、管壁の測定温度が上昇するにつれてピーク強度が減少する傾向にあった。
【0055】
(緑色発光蛍光体の蛍光体温度特性)
緑色発光蛍光体として、テルビウム、セリウム付活燐酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)を用い、平均粒径及びユーロピウム濃度を変化させた緑色発光蛍光体G1、G2、G3を用意し、それぞれの蛍光体温度特性を測定した。
【0056】
緑色発光蛍光体G1は、平均粒径が4.2μmで、テルビウム濃度が16wt%である。緑色発光蛍光体G2は、平均粒径が5.3μmで、テルビウム濃度が14wt%である。緑色発光蛍光体G3は、平均粒径が5.4μmで、テルビウム濃度が12wt%である。
【0057】
蛍光体温度特性は、25℃、60℃、90℃、120℃にてそれぞれピーク強度を測定して調べた。緑色発光蛍光体G1、G2、G3は、図6に示すように、管壁の測定温度が上昇するにつれてピーク強度が減少する傾向にあった。
【0058】
(青色発光蛍光体の蛍光体温度特性)
青色発光蛍光体として、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)を用い、形状及びユーロピウム(Eu2+)濃度を変化させた青色発光蛍光体B1、B2、B3、B4、B5、B6を用意し、それぞれの蛍光体温度特性を測定した。
【0059】
青色発光蛍光体B1は、形状が平板形状で、ユーロピウム濃度が8wt%である。青色発光蛍光体B2は、形状が平均粒径6.5μmの球状で、ユーロピウム濃度が10wt%である。青色発光蛍光体B3は、形状が平板形状で、ユーロピウム濃度が7.5wt%である。青色発光蛍光体B4は、形状が平板形状で、ユーロピウム濃度が7.0wt%である。青色発光蛍光体B5は、形状が平板形状で、ユーロピウム濃度が9wt%である。青色発光蛍光体B6は、形状が平板形状で、ユーロピウム濃度が8.5wt%である。
【0060】
蛍光体温度特性は、25℃、60℃、90℃、120℃にてそれぞれピーク強度を測定して調べた。青色発光蛍光体B1、B3、B4、B5、B6は、図7に示すように、管壁の測定温度が上昇するにつれてピーク強度が減少する傾向にあった。
形状球状の青色発光蛍光体であるB2も、管壁の測定温度が上昇するにつれてピーク強度が減少する傾向にある。しかしながら、B2は、管壁の測定温度が60〜120℃になっても、ピーク強度がその他の青色発光蛍光体よりも相対的に大きかった。
【0061】
(光束維持率の測定)
次に、赤色発光蛍光体として、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体を用い、緑色発光蛍光体として、テルビウム、セリウム付活燐酸ランタン蛍光体を用い、青色発光蛍光体として、平均粒径が6.5μmの球状のユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体を用いた3波長発光域蛍光体を用いた蛍光ランプ111の光束維持率を測定した。赤色発光蛍光体は35wt%で、緑色発光蛍光体は41wt%で、青色発光蛍光体は24wt%であった。青色発光蛍光体のユーロピウム濃度は9wt%であった。
【0062】
一方で、青色発光蛍光体として、平板形状のユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体を用い、それ以外は、上述の実施例に係る3波長発光域蛍光体と同様である、比較例に係る3波長発光域蛍光体を用いた蛍光ランプの光束維持率を測定した。
【0063】
図8に示すように、実施例に係る蛍光ランプ111の光束維持率は線1で示し、比較例に係る蛍光ランプの光束維持率は線2で示す。
実施例に係る蛍光ランプ111は、点灯時間の経過とともに光束維持率が低下する。しかしながら、実施例に係る蛍光ランプ111は、比較例に係る蛍光ランプよりも、点灯時間が経過したとしても光束維持率の低下が相対的に低いという効果を示した。特に実施例に係る蛍光ランプ111は、蛍光ランプの点灯時間が10000時間でも86%の高い光束維持率を有した。
【0064】
さらに、実施例に係る蛍光ランプ111は、点灯時間4000時間では発光効率は92%であり、点灯時間が4000時間から10000時間になった場合の発光効率の低下は6%の低下であった。一方、比較例に係る蛍光ランプは、点灯時間が4000時間のときの光束維持率は84%で、点灯時間が10000時間のときの光束維持率は75%だから、点灯時間が4000時間から10000時間になった場合の発光効率の低下は9%の低下であった。このように、実施例に係る蛍光ランプ111は、比較例に係る蛍光ランプよりも、点灯時間が経過したとしても発光効率の低下が相対的に少なかった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態1に係る蛍光ランプを説明する図である。
【図2】実施形態2にかかる蛍光ランプを示す図であり、そのうち(a)は長手方向断面図、(b)は、図2(a)のA−A線での断面図である。
【図3】蓄光層を設けた実施形態3に係る蛍光ランプを示す図であり、そのうち(a)は長手方向断面図、(b)は、図3(a)のB−B線での断面図である。
【図4】実施形態に係る照明器具を示す図である。
【図5】赤色発光蛍光体の蛍光体温度特性を示す図である。
【図6】緑色発光蛍光体の蛍光体温度特性を示す図である。
【図7】青色発光蛍光体の蛍光体温度特性を示す図である。
【図8】光束維持率を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
101 ガラス層
102 保護膜層
103 蓄光層
105 電極
107 発光層
106 フィラメント
111 蛍光ランプ
140 放電ガス
202 ローゼット
203 天井板
204 照明器具
211 本体部
212 掛止部
241 照明器具支持部
243 ランプ支持部
244 フード
250 点灯回路
260 器具本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、球状の青色発光蛍光体と、を含有する発光層と、
前記発光層の外側に設けられた保護膜層と、
前記保護膜層の外側に設けられたガラス層と、を有する、
ことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記青色発光蛍光体は、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)又はユーロピウム付活クロロ隣酸ストロンチウム、カルシウム、バリウム蛍光体((Sr,Ba,Ca)10(POCl:Eu)の少なくともいずれか一つを含有する、
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記青色発光蛍光体のユーロピウム濃度は、8〜10wt%である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記赤色発光蛍光体は、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項5】
前記緑色発光蛍光体は、テルビウム、セリウム付活燐酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)である、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項6】
前記青色発光蛍光体の平均粒径は、6〜7μmである、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項7】
前記赤色発光蛍光体の平均粒径は、4〜6μmである、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項8】
前記緑色発光蛍光体の平均粒径は、4〜6μmである、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項9】
前記発光層は、前記青色発光蛍光体を15wt%以上35wt%以下含有し、前記赤色発光蛍光体を25wt%以上45wt%以下含有し、前記緑色発光蛍光体を30wt%以上55wt%以下含有する、
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項10】
前記発光層と前記保護膜層との間に、蓄光層を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の蛍光ランプ。
【請求項11】
前記蓄光層は、ユーロピウム付活アルミン酸ストロンチウムディスプロシウムを含有する、
ことを特徴とする請求項10記載の蛍光ランプ。
【請求項12】
器具本体と、
前記器具本体に配設された請求項1乃至11の何れか1項記載の蛍光ランプと、
前記蛍光ランプへランプ電力を供給する点灯回路と、を有する、
ことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−87627(P2009−87627A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253813(P2007−253813)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】