説明

蛍光体含有複合シート

【課題】LEDの発光の一部又は全部を波長変換して、白色又はその他の可視光を発する発光装置に安定した発光特性を提供する、蛍光体材料を含有する複合シート、該シートが貼着された発光装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】波長350〜480nmの光の一部又は全部を吸収して励起され、前記波長よりも長波長域の可視光を発光する蛍光体材料を含んでなる波長変換層と、該波長変換層の片面、両面又は周囲に設けてなる接着層とを有することを特徴とする、複合シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体含有複合シートに関する。さらに詳しくは、発光ダイオード(LED)、なかでも青色LED又は近紫外LEDを有する発光装置であって、該LEDの発光の一部又は全部を波長変換して、白色又はその他の可視光を発する発光装置に好適に用いることができる、蛍光体材料を含有する複合シート、該シートが貼着された発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用あるいは照明用の可視光線源の一つに、青色LED又は近紫外LEDを用いた発光装置がある。これらの装置においては、該LEDの発光によって励起されて発光する蛍光体を分散させた封止樹脂が用いられる。
【0003】
例えば、リフレクター部(凹部)の底部に青色LED又は近紫外LEDが実装された装置においては、蛍光体粉末を分散させた封止樹脂を凹部に注入後、熱硬化させて封止を行う。この封止の際に、前記蛍光体は、封止樹脂中で均一に分散された状態を維持するか、あるいは、沈降して光変換層を形成する等して、封止樹脂が硬化する。
【0004】
しかしながら、蛍光体を分散又は沈降させる過程において、分布の不均一性が問題となり、均一な発光を得ることが困難になる。これに対して、凹部に透光性樹脂を注入して硬化後、その上面全体を覆うように蛍光材料を含有する封止樹脂を封入して硬化した装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−156528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置は、LEDの封止樹脂層を一旦硬化後に、蛍光体含有樹脂層を注入して硬化するため、樹脂層での蛍光体分布が発光の均一性に影響を与えることは少なくなるが、封止樹脂層や蛍光体含有樹脂層の硬化の際に、均一な厚みの樹脂層を得ることは困難であり、均一な発光を得るには未だ十分ではない。
【0007】
また、発光装置としては、LEDの封止樹脂表面に、さらに光学部材を配置した装置もある。かかる装置は、例えば、LEDの封止樹脂が硬化した後に、光硬化型の接着剤等を該樹脂表面に塗布し、そこに別途成型した光学部材を配置し、前記接着剤を硬化させて光学部材を固定化して製造する。従って、このような装置を製造する場合には、工程数も増加して作業が煩雑になるため、発光装置の作成に時間を要するという課題もある。
【0008】
本発明の課題は、発光装置に安定した発光特性を提供する複合シート、該シートが貼着された発光装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
〔1〕 波長350〜480nmの光の一部又は全部を吸収して励起され、前記波長よりも長波長域の可視光を発光する蛍光体材料を含んでなる波長変換層と、該波長変換層の片面、両面又は周囲に設けてなる接着層とを有することを特徴とする、複合シート、
〔2〕 青色LED又は近紫外LEDを含有してなる発光装置において、前記LEDが封止樹脂により封止され、該封止樹脂表面に前記〔1〕記載の複合シートが積層されてなる、発光装置、
〔3〕 工程1−1:青色LED又は近紫外LEDを封止樹脂で封止した後、該封止樹脂表面に前記〔1〕記載の複合シートを貼着する工程
工程1−2:光学部材を複合シートの上に貼着する工程、及び
工程1−3:複合シートの接着層を硬化処理する工程
を含む、発光装置の製造方法、ならびに
〔4〕 工程2−1:青色LED又は近紫外LEDを封止樹脂で封止した後、該封止樹脂表面に、光学部材の平坦面に前記〔1〕記載の複合シートを貼着した光学部材を、該複合シートを介して貼着する工程、及び
工程2−2:複合シートの接着層を硬化処理する工程
を含む、発光装置の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合シートは、青色LED又は近紫外LEDを有する発光装置であって、該LEDの発光の一部又は全部を波長変換して、白色又はその他の可視光を発する発光装置に好適に用いることができ、安定した発光特性を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の複合シートにおける蛍光体プレートの製造プロトコールを示す図である。
【図2】図2は、全光線透過率を測定する際に用いる積分球を示す図である。
【図3】図3は、蛍光体プレートの屈折率と接着層との屈折率差に起因する全反射による光の閉じ込め現象を示す図である。
【図4】図4は、表面に光学設計を行った蛍光体プレートの一例を示す図である。
【図5】図5は、蛍光体プレートを1枚有する本発明の複合シートの一例を示す図である。
【図6】図6は、蛍光体プレートを複数有する本発明の複合シートの一例を示す図である。
【図7】図7は、間隔をあけて蛍光体プレートが配置された本発明の複合シートの一例を示す図である。
【図8】図8は、従来のLED発光装置の一例を示す図である。(a)はLEDが底部に配置された凹部を示す図、(b)は凹部に蛍光体含有封止樹脂が注入された図、(c)は蛍光体が沈降後、封止樹脂が硬化した図、(d)は接着剤が積層された図、(e)は光学部材が接着剤の上に設置された図、(f)は接着剤が硬化した図を示す。
【図9】図9は、本発明の発光装置であって、光学部材を複合シートの積層後に載せて作製された装置の一例を示す図である。(a)はLEDが底部に配置された凹部を示す図、(b)は凹部に封止樹脂が注入された後、硬化した図、(c)は本発明の複合シートが積層された図、(d)は光学部材が設置された図、(e)は複合シートの接着層が硬化した図を示す。
【図10】図10は、本発明の発光装置であって、光学部材が予め貼着された複合シートを用いて作製された装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の複合シートは、波長350〜480nmの光の一部又は全部を吸収して励起され、前記波長よりも長波長域の可視光を発光する蛍光体材料を含む波長変換層と、該波長変換層の片面、両面又は周囲に設けた接着層とを有することを特徴とする。
【0013】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明における波長変換層とは、波長350〜480nmの光の一部又は全部を吸収して励起されることにより、前記波長よりも長波長域、例えば、500〜800nmの可視光を発光する蛍光体材料を構成成分とするものである。また、製造されるLEDパッケージ間、さらには製品間での発光特性のバラツキを最小限に抑制する観点から、前記波長変換層は、容易にその厚みを制御でき、かつ、LEDからの励起光吸収、及び該波長変換層の発光特性を一定に制御できるものであることが好ましい。従って、上記観点より、波長変換層の好適態様としては、蛍光体材料からなる蛍光体プレート(態様A)、及び、バインダー樹脂中に蛍光体材料を分散させた蛍光体シート(態様B)が挙げられる。なお、本発明においては、予め調製した蛍光体プレート上に、バインダー樹脂中に蛍光体材料を分散させた溶液を塗工して蛍光体シートを調製したものを波長変換層として用いてもよく、態様Aと態様Bを組み合わせたものも本発明に含まれる。
【0014】
態様A及び態様Bにおける蛍光体材料としては、本発明では、波長350〜480nmの近紫外LED又は青色LEDと組み合わせて用いられるため、少なくとも前記波長範囲にて励起されて、可視光を発光するものが選ばれる。具体的には、Y3Al5O12:Ce、(Y、Gd)3Al5O12:Ce、Tb3Al3O12:Ce、Ca3Sc2Si3O12:Ce、Lu2CaMg2(Si、Ge)3O12:Ce等のガーネット型結晶構造を有する蛍光体;(Sr、Ba)2SiO4:Eu、Ca3SiO4Cl2:Eu、Sr3SiO5:Eu、Li2SrSiO4:Eu、CaSi2O7:Eu等のシリケート蛍光体;CaAl12O19:Mn、SrAl2O4:Eu等のアルミネート蛍光体の酸化物蛍光体;ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa2S4:Eu、SrGa2S4:Eu等の硫化物蛍光体;CaSi2O2N2:Eu、SrSi2O2N2:Eu、BaSi2O2N2:Eu、Ca-α-SiAlON等の酸窒化物蛍光体;CaAlSiN3:Eu、CaSi5N8:Eu等の窒化物蛍光体等の蛍光体材料が挙げられるが、特に限定されない。これらのなかでも、例えば、硫化物蛍光体は、耐湿性が不十分なため表面にバリア層を形成するなどして用いることもできるが、その処理が難しいためにLED用蛍光体としての利用が難しいといわれている。しかしながら、蛍光体プレートにすることで、実質的な表面積が粉体である場合と比較して著しく低下するため耐久性の低下が大幅に抑制され、また、蛍光体プレートの周囲にバリア層を形成することで容易に耐久性を向上することが可能となる。従って、本発明においては、従来、発光特性の観点からはLED用蛍光体として好適であっても、耐久性の観点から利用できなかった蛍光体材料を、好適に用いることができる。
【0015】
前記蛍光体材料は、特に限定はなく、公知の方法に従って製造されたものや市販品を好適に用いることができる。例えば、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)のYAG:Ceを例にとると、Y2O3、Al2O3、CeO2等の構成元素を含む原料粉末を用い、該粉末を混合して固相反応させたもの、共沈法やゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法や火炎熱分解法等の気相法により得られるYAG粒子等を用いることができる。
【0016】
態様Aの蛍光体プレートは、前記の蛍光体材料を所望の形状に成型後、加熱焼結することにより得られるものであり、その製法から多結晶性焼結体ともいう。
【0017】
多結晶性焼結体としては、例えば、特開平11−147757号公報、特開2001−158660号公報に記載されるような透光性セラミックスが報告されている。透光性セラミックスは、固体レーザー用材料や、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等の高耐久性ハウジング材等に既に実用化されており、セラミックス中に残存するボイド、不純物等の光散乱源を除去することによって透光性が高められる。また、YAGに代表されるような等方性結晶材料においては、結晶方位による屈折率差がないため、多結晶性セラミックスであっても、単結晶同様、完全に透明かつ無散乱な透光性セラミックスを得ることが可能である。従って、態様Aの蛍光体プレートとしては、LEDからの励起光、もしくは蛍光体からの発光光が、光散乱の後方散乱によってロスすることを最小限に抑える観点から、透光性セラミックスからなることが好ましい。
【0018】
次に、透光性セラミックスからなる蛍光体プレートの具体的な製造方法を説明する(図1参照)。
【0019】
先ず、所望の蛍光体粒子もしくは蛍光体材料の原料となる原料粒子(まとめて、蛍光体材料の粒子ともいう)に、バインダー樹脂、分散剤、焼結助剤等の添加剤を添加し、溶媒の存在下で湿式混合して、スラリー溶液を得る。なお、蛍光体材料の粒子は、前記蛍光体粒子や蛍光体材料の原料となる原料粒子を特に限定なく用いることができるが、成形性を付与するバインダー樹脂の添加量は蛍光体材料の粒子の比表面積に伴って増減するため、好ましくは50nm以上の平均粒子径を有するものがよい。50nm以上であると、比表面積の増大によってスラリー溶液の流動性が損なわれることもなく、かつ成型後の形状維持に必要なバインダー樹脂量、分散剤量、溶媒量を増加する必要もなく、成型体の固形成分の割合を高める困難を伴わない。結果として、焼結後の密度を高くすることが可能となり、焼結過程での寸法変化が小さく蛍光体プレートの反りを抑制し、また、焼結過程での蛍光体粒子もしくは原料粒子の流動性の低下に伴ってセラミックスの焼結性が低下するが、密度が高いほど、緻密な焼結体を得るための高温での焼成を必要としないばかりか、焼結後のボイド発生も低減しやすくなる。よって、焼結性の観点からは、好ましくは10μm以下、より好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下の平均粒子径を有するものがよい。また、蛍光体材料の粒子は、焼成時の結晶構造変化に伴う体積変化や残存有機物などの揮発成分を含む場合は、緻密な焼結体を得る観点から、必要に応じて、仮焼成を行ってあらかじめ所望の結晶相に相転移させたものや、密度や純度を高めたものを用いてもよい。またさらに、平均粒子径より著しく大きなサイズの粗大粒子がたとえ微量であっても含まれると、それが起点となりボイドの発生源となるため、粗大粒子の有無を電子顕微鏡等により観察し、必要であれば、分級処理等を適宜行って粗大粒子を除去してもよい。なお、本明細書において、蛍光体材料の粒子の平均粒子径は、比表面積測定法として知られるBET(Brunauer-Emmett-Teller)法、レーザー回折法、電子顕微鏡による直接観察等により測定することが出来る。
【0020】
バインダー樹脂、分散剤、及び焼結助剤等の添加剤としては、後の加熱焼結により分解除去されるものであれば、当該分野で公知のものを特に限定なく用いることができる。
【0021】
湿式混合に用いる装置としては、各種ミキサー、ボールミル、ビーズミル等の分散装置が挙げられる。
【0022】
得られたスラリー溶液は、必要により粘度を調整後、ドクターブレードによるテープキャスティング、押出し成型等によって、セラミックグリーンシートに成型することができる。また、前記スラリー溶液をスプレードライ等により、バインダー樹脂を含有した乾燥粒子を調製後、該粒子を金型を用いたプレス法により、ディスク状に成型することができる。
【0023】
得られた成型体は、バインダー樹脂や分散剤等の有機成分を熱分解除去するために、電気炉を用いて、空気中、400〜800℃で脱バインダー処理後、さらに本焼成することにより、蛍光体プレートを得ることができる。本焼成の温度、時間、及び焼成雰囲気は、用いる蛍光体材料によって異なり、例えば、YAG:Ceであれば、真空中、Ar等の不活性ガス雰囲気中、又は還元ガスである水素もしくは水素/窒素混合ガス中において、1500〜1800℃で0.5〜24hr本焼成すればよい。昇温温度は0.5〜20℃/分が好ましい。昇温温度が0.5℃/分以上であると、焼成に時間を要することもないので生産性の観点から好ましい。逆に、昇温温度が20℃/分以下であると、結晶粒(グレイン)成長が急激に起こることがないため、ボイド等が埋め合わされる前にグレイン成長が進展してボイドが発生することがない。また、さらに緻密で透光性の高い焼結体が必要な場合は、熱間等方加圧式焼結法(HIP法)により加圧下で焼結することができる。なお、成型時に上記方法によりブロック状のものを得た場合には、本焼成後に、適度な大きさ、及び厚みに切り出すことで、蛍光体プレートとしてもよい。
【0024】
蛍光体プレートの厚みは、硬度は高いが脆く割れやすいというセラミックス材料の特性から、蛍光体プレートの製造及びそのハンドリングが難しくなるために、100μm以上であることが好ましい。また、ダイシング等の後加工のし易さや経済的な観点から、1000μm以下が好ましい。従って、蛍光体プレートの厚みは、100〜1000μmが好ましい。
【0025】
得られた蛍光体プレートの焼結密度は、焼結体中の光散乱源を少なくする観点から、理論密度の好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.90%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。なお、理論密度とは、構成成分が有する密度によって算出される密度であり、焼結密度とは、アルキメデス法などにより測定される密度であって、小片の試料であっても正確に測定される。例えば、理論密度の99.0%以上の焼結密度を有するプレートは、残りの1.0%未満をボイドが占めるが、プレート中の光散乱中心(光散乱源)が少ないために光散乱が抑制されたものとなる。また、一般的に空気の屈折率(約1.0)と焼結体との屈折率差は大きいために、ボイドが空孔であると光散乱がより大きくなるが、前記密度の範囲内であれば、ボイドが空孔であっても光散乱が抑制されている。
【0026】
また、蛍光体プレートは、光散乱ロスを低減するために、透光性を有することが好ましい。この透光性は、蛍光体プレート中に存在するボイド、不純物等の光散乱中心や、構成する蛍光体材料の結晶異方性、さらには蛍光体プレート自身の厚みなどにより変化する。本発明では、この透光性を示す尺度として、全光線透過率を用いる。全光線透過率とは、拡散透過率とも表現することができ、図2に示すような積分球を用いて、蛍光体プレートを透過した光の透過率を測定する。但し、蛍光体材料は、特定波長に光吸収を有するので、これらの波長以外、即ち、蛍光体材料が実質的に吸収を示さない励起波長以外の可視光波長域(例えば、YAG:Ceであれば、550〜800nm)での光透過率を測定する。このように測定される蛍光体プレートの全光線透過率は、40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。40%以上の全光線透過率を有するプレートは、LEDからの励起光、又は蛍光体プレート自身の発光光が後方散乱によってロスする割合が少なく、発光装置の大きな輝度低下には繋がらない。全光線透過率が高くなるに従い、励起光、発光光の蛍光体プレートの透過がよくなり、それに応じて発光装置の発光光率の向上が得られる。
【0027】
また、発光装置が、例えば、青色LEDからの発光(青色発光)と、YAG:Ce等の黄色蛍光体による発光(黄色発光)との混合により得られる白色光を発光する装置である場合、波長変換層の青色発光の吸収割合によって、白色光の色調を制御することができる。具体的には、例えば、蛍光体材料の励起光吸収率が一定である場合、波長変換層の厚みが薄くなるにつれ、波長変換層を透過する青色発光が増加して、青色が強い白色光が得られる。逆に、波長変換層の厚みが厚くなるにつれ、波長変換層を透過する青色発光が減少して、黄色が強い白色光が得られる。従って、色調を調整する場合には、前記範囲内においてプレートの厚みを調整すればよい。
【0028】
なお、蛍光体材料の励起光吸収率は、通常、蛍光体材料に賦活剤として添加される希土類元素のドープ量により調整することができる。賦活剤と吸収率の関係は、蛍光体材料の構成元素種類や焼結体製造工程での熱処理温度等によって異なり、例えば、YAG:Ceであれば、Ceの添加量は、置換されるイットリウム原子あたり、0.01〜0.5原子%が好ましい。よって、前記プレートの厚みと、蛍光体材料の励起光吸収率を調整することで、所望の色調の発光光が得られる。
【0029】
また、蛍光体材料として等方性結晶材料を用い、ボイドや不純物が完全に除去された焼結体を得た場合には、得られる蛍光体プレートは、実質的に光散乱のない、完全に透明なものとなる。この場合の全光線透過率は、プレート両表面でのフレネル反射による透過率低下を除いた最大透過率(理論透過率)となる。例えば、屈折率が1.83(n1)であるYAG:Ce蛍光体であれば、その表面での反射は、空気の屈折率を1として垂直入射の場合を過程すると、約8.6%〔反射係数={(n1-1)/(n1+1)}2の計算式より0.086〕となる。よって、YAG:Ce表面における透過係数(Ta)は0.914となり、プレート両表面での反射損失を考慮すると、理論透過率(T)は約84.2%〔T=Ta/(2-Ta)の計算式より0.842〕となる。但し、蛍光体プレートがこのように完全な透明体となると、図3に示すように、蛍光体プレートの屈折率と接着層との屈折率差に起因する全反射による光の閉じ込め効果が問題になる場合がある。即ち、蛍光体プレートと接着層との屈折率差により決まる臨界角以上の光が、蛍光体プレート内にトラップされ、LEDの発光光率が低下する場合もあり得る。これを避けるために、例えば、図4に示すように、蛍光体プレートの表面に凹凸構造やマイクロレンズ構造を形成して、蛍光体プレートと接着層との界面での全反射を抑制するような光学設計を行ってもよい。これにより、光散乱ロス、及び全反射による閉じ込め光が実質的にゼロとなり、より高い発光光率の発光装置を得ることができる。
【0030】
またさらに、全反射による光の閉じ込めを、蛍光体プレート内部の拡散性を制御することにより低減することもできる。即ち、後方散乱ロスが十分に低減され、かつ、高い全光線透過率を有する蛍光体プレートに、前記特性を維持しながら拡散性を付与する。具体的な方法としては、例えば、セラミックスの焼結性、即ち、焼結密度を低下させ、ボイドを導入することによって拡散性を付与することができる。しかしながら、通常、空孔であるボイドは屈折率が約1.0と低く、蛍光体材料との屈折率差が大きく、ボイドの密度、サイズ、その分布等を制御して、高い全光線透過率を維持しながら拡散性を付与するのは困難である。よって、代替法として、蛍光体材料とは異なる第2相が拡散性を制御する方法が挙げられる。具体的には、例えば、YAG:Ce蛍光体であれば、原料の(イットリウムとセリウムの合計)/(アルミニウム)の組成比をアルミニウムリッチにすることで、YAG:Ce結晶グレインとアルミナ結晶グレインが混在した蛍光体プレートとすることができる。YAG:Ceとアルミナは屈折率が異なるために、光散乱が生じるが、ボイドのように大きな屈折率差とはならないために、後方散乱ロスを低減することができる。このように、蛍光体プレートを調製する際に用いる材料組成比と焼結条件を制御することにより、拡散性を制御することができる。
【0031】
このようにして得られた蛍光体プレートは、必要に応じて、複数の蛍光体プレートを積層させて用いてもよい。例えば、近紫外LEDを用いる場合、青色、緑色、赤色の各蛍光体材料からなる蛍光体プレートを調製し、これらを積層して組合せることが出来る。また、青色LEDを用いる場合、黄色と赤色の蛍光体プレートの組合せ、緑色と赤色の蛍光体プレートの組合せにより、LEDの演色性を高めることができる。さらに、最終的な蛍光体プレートの厚みを調整したり、高価な蛍光体材料の使用量を抑制、即ち厚みを低減したりする目的で、蛍光発光しない透明な材料、例えば、賦活剤であるCeを添加していないYAGや、アルミナ、イットリア等の無色透明な層を前記蛍光体プレートと合わせて積層させて用いてもよい。積層方法としては、特に限定はなく、例えば、各蛍光体材料からなるセラミックスグリーンシートをホットプレス等によりラミネート後、これらを一度に焼成するなどしてもよい。なお、積層された蛍光体プレートの厚みは、100〜1000μmが好ましく、250〜750μmがより好ましい。
【0032】
また、本発明においては、蛍光体材料の全体的な使用量を低減し、かつ各LEDチップ間の発光色の相互影響を除去する観点から、図7に示すように、前記蛍光体プレートを、例えば、1〜10mm×1〜10mm×0.1〜1mm(高さ)に切断したものを、複合シートに含有させてもよい。この場合、本発明の複合シートは、接着層が、切断された蛍光体プレート(蛍光体プレート片埋め込み型シート、もしくは蛍光体プレート片配置型シートともいう)の周囲を取り囲む構造を有するため、シートにフレキシブル性を付与することが出来る。該複合シートは、蛍光体プレートの特徴である高い透明性、耐久性は維持したまま、折り曲げることができない、割れやすい等の蛍光体プレートの欠点が克服されて、本発明の別の実施態様である蛍光体シート(態様Bの蛍光体シート)のようにハンドリングすることが出来る。
【0033】
態様Bの蛍光体シートは、前記の蛍光体材料をバインダー樹脂中に分散させることにより得られる。具体的には、例えば、セパレーター(例えば、テフロン(登録商標)フィルム)の上に、前記蛍光体材料の粒子を分散させたバインダー樹脂又は該樹脂の有機溶媒溶液を、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの方法により、適当な厚みに塗工し、溶媒の除去が可能な程度の温度で乾燥させる製膜工程を行って、シート状に成形される。製膜した樹脂又は樹脂溶液を乾燥させる温度は、樹脂や溶媒の種類によって異なるため一概には決定できないが、80〜150℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。
【0034】
蛍光体粒子としては、前記蛍光体材料の粒子を特に限定なく用いることができるが、発光効率の観点から、好ましくは100nm以上の平均粒子径を有するものがよい。また、製膜性の観点から、好ましくは50μm以下の平均粒子径を有するものがよい。
【0035】
バインダー樹脂としては、常温では液体状態を呈し、蛍光体材料を分散して、その後硬化するものであれば特に限定はなく、当該分野で公知の、縮合硬化型シリコーン樹脂、付加型硬化型シリコーン樹脂等が用いられる。なかでも、耐熱性、耐光性の観点から、ジメチルシリコーンを主成分とした付加型の熱硬化性シリコーン樹脂が好ましい。
【0036】
蛍光体材料の含有量は、シートの厚みと、目的の色との兼ね合いで調整されるが、例えば、シートの厚みが100μmであって、蛍光体材料として黄色蛍光体を用いて青色LEDとの混色により白色光を発光するのであれば、シート中、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
【0037】
態様Bの蛍光体シートの厚みは、製膜性やパッケージの外観の観点から、50〜2000μmが好ましく、70〜200μmがより好ましい。なお、得られたシートは、複数枚積層して熱プレスすることにより、上記範囲内の厚みを有する1枚のシートとして成形することもできる。
【0038】
また、態様Aの蛍光体プレート上に態様Bの蛍光体シートを積層する場合の蛍光体層の厚みは、それぞれの厚みが前記範囲内に含まれればよく、波長変換層としての全体の厚みは、50〜2000μmが好ましく、70〜200μmがより好ましい。なお、上記範囲内の厚みを有するものであれば、複数枚積層した蛍光体プレート上に、複数枚蛍光体シートを積層してもよい。
【0039】
本発明における接着層は、波長変換層の片面、両面又は周囲に設けられる。なお、本明細書における「接着層」とは、本発明の複合シートの上に配置される光学部材等を接着又は粘着させる機能を有するため、接着層及び/又は粘着層のことを意味する。
【0040】
接着層は、当該分野で公知の熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を含有する。
【0041】
熱硬化性樹脂としては、短時間での硬化完了の観点から、好ましくは100〜180℃、より好ましくは110〜140℃で熱硬化する樹脂が望ましい。なかでも、熱硬化型透明エポキシ樹脂、熱硬化型シリコーン樹脂が好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、シリコーン系樹脂がより好ましい。
【0042】
光硬化性樹脂としては、短時間での硬化完了の観点から、好ましくは200nm以上で可視光波長域までの波長、より好ましくは300〜400nmの波長で光硬化する樹脂が望ましい。なかでも、光硬化型透明エポキシ樹脂、光硬化型シリコーン樹脂が好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、シリコーン系樹脂がより好ましい。
【0043】
シリコーン系樹脂としては、半硬化状態を形成できるシリコーン樹脂であれば特に限定はない。例えば、縮合反応系のシリコーン樹脂、付加反応系のシリコーン樹脂が例示され、これらは全硬化反応を終了させる前に反応を停止すれば、半硬化状態を形成させることができる。また、反応制御の観点からは、2つ以上の反応系がある2段階硬化型シリコーン樹脂が好ましい。具体的には、(1)両末端シラノール型シリコーン樹脂、(2)アルケニル基含有ケイ素化合物、(3)オルガノハイドロジェンシロキサン、(4)縮合触媒、及び(5)ヒドロシリル化触媒を含有する熱硬化性樹脂用組成物を用いることができ、これにより、比較的低温で半硬化状態のシリコーン樹脂からなる接着層が得られる。
【0044】
また、接着層は、接着機能を有する観点から、200℃で1時間加熱後の25℃での貯蔵弾性率が、好ましくは1.0×106Pa以上、より好ましくは1.0×108〜1.0×1011Paであるものが望ましい。なお、本明細書において、樹脂層の貯蔵弾性率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0045】
また、接着層は、波長変換層の構成成分である蛍光体材料とは異なる発光特性を有する蛍光体材料を含有してもよい。かかる蛍光体材料としては、前記の波長変換層で挙げられたのと同様の蛍光体材料が例示され、波長変換層の蛍光体材料による発光光と、接着層の蛍光体材料による発光光とを組合せることで、所望の色に調整することができる。具体的には、例えば、青色LEDと、黄色蛍光体であるYAG:Ceからなる蛍光体プレートとを組み合わせた装置において、CaS:Eu、CaAl12O19:Mn、CaAlSiN3:Eu等の赤色蛍光体を接着層に含有させることができる。
【0046】
またさらに、接着層は、LEDと、蛍光体プレート又は蛍光体シートからの発光光を均一化するために、別途、蛍光特性を示さない、無色透明の拡散粒子を含有することができる。拡散粒子としては、シリカ、硫酸バリウム等が例示される。
【0047】
接着層には、前記樹脂、蛍光体に加えて、硬化剤や硬化促進剤、さらに老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤が原料として配合されていてもよい。
【0048】
接着層は、予めシート状に形成しておいても、複合シートを形成する際に同時に形成してもよい。予めシート状に形成する場合は、蛍光体シートを形成するのと同様の方法を用いることができる。
【0049】
接着層の厚みは、変形防止の観点から、2〜1000μmが好ましく、5〜700μmがより好ましい。なお、接着層は、塗工したのち複数枚積層することにより、上記範囲の厚みを有する1枚の接着層として成形することもできる。
【0050】
本発明の複合シートは、ハンドリング性(操作性)の観点から、接着層の表面に、さらに、剥離ライナーを形成してもよい。
【0051】
剥離ライナーとしては、接着層の表面を被覆保護できるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料等が挙げられ、2軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステル社製、MRX-100、厚み100μm)等が好適な市販品として例示される。
【0052】
本発明の複合シートは、前記接着層を、前記波長変換層の片面、両面又は周囲に配置することにより得られるが、接着層を波長変換層の片面、両面又は周囲に配置する方法としては、例えば、以下の態様が挙げられる。
【0053】
波長変換層として蛍光体プレートを接着層の片面に有する複合シートは、予め剥離ライナーを両面に形成した接着層を形成してから、該接着層の剥離ライナーの一方を剥離後、蛍光体プレートに積層してラミネートする方法により得ることができる。また、蛍光体プレートの片面上に、接着層を構成する樹脂又は樹脂の有機溶媒溶液を、アプリケーター等を用いて塗工して製膜後、さらに、その表面に剥離ライナーを形成する方法によっても得ることができる。蛍光体プレートの両面に接着層を有する複合シートは、前記方法により得られた複合シートの接着層が配置されていない蛍光体プレートの片面に、さらに、前記方法により接着層を形成して調製することができる(図5参照)。
【0054】
蛍光体プレートを複数枚組み合わせる場合には、複数の蛍光体プレート(例えば、蛍光体プレート1、蛍光体プレート2)を積層してラミネートしてから前記と同様にして接着層を形成してもよく、予め蛍光体プレートを積層した接着層を該蛍光体プレート同士が対向するように積層して形成してもよい(図6参照)。
【0055】
また、剥離ライナー上に形成した接着層の表面に、予め所定の大きさに切断した蛍光体プレート小片を、一定又は任意の間隔で配置し、その上から、接着層を構成する樹脂又は樹脂の有機溶媒溶液を塗工して、製膜することにより、蛍光体プレートが一定間隔で埋め込まれた複合シート、即ち、波長変換層の周囲に接着層が配置された複合シートが得られる(図7参照)。
【0056】
波長変換層として蛍光体シートを接着層の片面に有する複合シートは、予め蛍光体シートと、剥離ライナーが両面に形成された接着層を形成後、該接着層の剥離ライナーの一方を剥離後、蛍光体シートに積層してラミネートする方法により得ることができる。また、蛍光体シートを作製後、その片面上に接着層を構成する樹脂又は樹脂の有機溶媒溶液を、アプリケーター等を用いて塗工して製膜後、さらに、その表面に剥離ライナーを形成する方法によっても得ることができる。蛍光体シートの両面に接着層を有する複合シートは、前記方法により得られた複合シートの接着層が配置されていない蛍光体シートの片面に、さらに、前記方法により接着層を形成して調製することができる。
【0057】
また、本発明は、本発明の複合シートを使用した装置として、青色LED又は近紫外LEDを含有する発光装置において、前記LEDが封止樹脂により封止され、該封止樹脂表面に本発明の複合シートが積層された発光装置を提供する。
【0058】
従来の装置は、LEDの封止樹脂中に蛍光体材料を分散させていたため、蛍光体材料が均一に分散又は沈降するまで時間が経過した後に、硬化した封止樹脂の表面に、接着剤、光学部材を順に載せて作製される(図8参照)。しかしながら、本発明の装置は、本発明の複合シートが蛍光体材料が均一な状態である波長変換層を有するため、発光のバラツキが少ないものである。また、本発明の複合シートが封止樹脂層の表面に配置されるため、蛍光体が封止樹脂よりもLED素子から遠い位置に存在することになり、発光輝度の低下が抑制される。さらに、前記のような優れた特性を有する装置が、本発明の複合シートを積層するという簡便な工程を経ることにより得られるため、生産性が高いものである(図9参照)。
【0059】
青色LED又は近紫外LEDを封止する樹脂としては、当該分野で公知の樹脂であって、透明性、耐光性、及び耐熱性に優れるものであれば、特に限定なく用いることができる。また、該封止樹脂には蛍光体材料が含有されていないため、従来装置のように、封止樹脂中の蛍光体材料の分散バラツキや沈降バラツキ、封止樹脂層の厚み変化等によって、装置の発光特性が変化することが抑制される。
【0060】
封止樹脂は、例えば、リフレクター部(凹部)の底部に青色LED又は近紫外LEDが実装された装置においては、凹部に注入後、公知の方法に従って熱硬化される。
【0061】
封止樹脂の硬化後、該樹脂表面に本発明の複合シートが積層されるが、本発明の複合シートが剥離ライナーを含有する場合は剥離ライナーを剥離した状態で、複合シートの接着層が封止樹脂表面に接触して積層される。
【0062】
また、本発明の発光装置は、積層された本発明の複合シートの表面に、さらに、光学部材を配置してもよい。なお、積層された複合シートが表面に剥離ライナーを含有する場合には、剥離ライナーを剥離後、現れた接着層表面に光学部材を配置する。これにより、光学部材は脱落することなく、発光装置に安定して固定化される。
【0063】
光学部材としては、例えば、LEDアレイの集光効果や輝度向上効果を得る観点から、マイクロレンズが好ましい。
【0064】
マイクロレンズは、特に限定はなく、公知の方法に従って合成されたものや市販品を利用することができる。
【0065】
本発明の発光装置は、本発明の複合シートを積層しているのであれば特に限定なく製造することができるが、本発明の発光装置の好ましい製造方法としては、以下の2つの製造方法が挙げられる。即ち、本発明の複合シートを装置に貼着後、光学部材をさらに貼着する製造方法(態様1)(図9参照)と、予め光学部材に本発明の複合シートを貼着したものを装置に貼着する製造方法(態様2)(図10参照)が挙げられる。
【0066】
具体的には、態様1の製造方法としては、
工程1−1:青色LED又は近紫外LEDを封止樹脂で封止した後、該封止樹脂表面に本発明の複合シートを貼着する工程
工程1−2:光学部材を複合シートの上に貼着する工程、及び
工程1−3:複合シートの接着層を硬化処理する工程
を含む方法が、態様2の製造方法としては、
工程2−1:青色LED又は近紫外LEDを封止樹脂で封止した後、該封止樹脂表面に、光学部材の平坦面に本発明の複合シートを貼着した光学部材を、該複合シートを介して貼着する工程、及び
工程2−2:複合シートの接着層を硬化処理する工程
を含む方法が挙げられる。
【0067】
工程1−1及び工程2−1における青色LED又は近紫外LEDの封止は、公知の方法に従って行うことができる。封止樹脂としては、当該分野で公知の樹脂であって、透明性、耐光性、及び耐熱性に優れるものであれば、特に限定なく用いることができる。
【0068】
次に、本発明の複合シートと光学部材を配置する工程について説明する。
【0069】
態様1の製造方法では、工程1−1において、接着層が封止樹脂表面に接着するよう、複合シートを積層して貼着する。その後、工程1−2において、貼着された複合シートの表面に、光学部材を貼着する。
【0070】
態様2の製造方法では、工程2−1において、光学部材の平坦面に予め本発明の複合シートが貼着されている光学部材を、接着層が封止樹脂表面に接着するよう積層して貼着する。
【0071】
これらの工程において、貼着方法としては、特に限定はなく、光学部材を有さない複合シートを装置に貼着する場合は、例えば、ラミネータによって圧着する方法が挙げられる。また、光学部材を複合シートに貼着する方法、及び、光学部材が貼着された複合シートを装置に貼着する方法としては、例えば、ラミネータによって圧着する方法が挙げられる。
【0072】
なお、複合シートの封止樹脂表面に接する面、及び光学部材に接する面がそれぞれ剥離ライナーを有する場合は、剥離ライナーを剥離して接着層を露出してから、それぞれの面に貼着する。
【0073】
工程1−3及び工程2−2における接着層の硬化処理は、接着層を構成する樹脂の種類に応じて公知の方法に従って行うことができ、例えば、接着層が熱硬化性樹脂で構成される場合には、約120℃のオーブン内で硬化させる方法が挙げられる。
【0074】
かくして、光学部材が装備されたLED発光装置が得られるが、複合シートの接着層を硬化処理する前に、該装置の発光特性を検査してもよい。不具合が検出された場合には、光学部材が貼着している複合シートを装置から剥離して、態様1の製造方法では、工程1−1における複合シートの貼着、及び工程1−2における光学部材の貼着を、態様2の製造方法では、工程2−1における光学部材が貼着した複合シートの貼着を、それぞれ再度行ってもよい。このように複合シートの剥離と貼着を行うのみで、発光特性が良好な装置を高いスループットで製造することができ、ひいては、コスト面での抑制も達成できる。
【実施例】
【0075】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0076】
〔樹脂層の貯蔵弾性率〕
樹脂層を複数枚貼りあわせることで約1mmの厚みのシートを成形し、動的粘弾性測定装置(DMS-200、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)にて、せん断時の粘弾性測定を行い、25℃の貯蔵弾性率を求める。なお、サンプルとしては、200℃で1時間加熱したものを用いる。
【0077】
〔蛍光体材料の粒子の平均粒子径〕
サイズが1μm未満の粒子の平均粒子径は、自動比表面積測定装置(Micrometritics社製、モデル:Gemini 2365)を用いたBET(Brunauer-Emmett-Teller)法により算出する。具体的には、上記測定装置に付属の試験管セルに、約300mgの粒子を採取し、専用の前処理加熱装置にて300℃で1時間加熱処理して水分を完全に除去後、乾燥処理後の粒子重量を測定し、その粒子重量をもとに比表面積測定によって得られた吸着比表面積値(g/m2)と、蛍光体材料の密度(g/cm3)から、理論関係式〔粒子径=6/(吸着比表面積値×密度)〕を用いて、平均粒子径を算出する。一方、サイズが1μm以上の市販の粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた直接観察によって大よそのサイズ確認を行った上で、該粒子のメーカーカタログ値を採用する。
【0078】
〔蛍光体プレートの焼結密度〕
電子天秤(METTLER TOLED社製、品番XP-504)と、これに取り付け可能な比重測定用キット(METTLER TOLED社製、Density determination kit for Excellence XP/XS analytical balances 品番210260)を用い、アルキメデス法により蛍光体プレートの密度を測定する。具体的には、前記比重測定用キットを用い、サンプルの空気中での重さ、蒸留水中に沈めた際の重さをそれぞれ測定し、キットに付属の取り扱いマニュアルに記載の方法に従って密度を算出する。算出の際に必要な蒸留水密度(温度依存性)、空気密度等のデータは、全て、前記比重測定用キットのマニュアルに記載の値を用いる。なお、サンプルサイズは、約10mmφ、厚さ300μm前後である。
【0079】
〔蛍光体プレートの全光線透過率〕
瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、MCPD-7000)と、図2に示す積分球を具備した透過率測定ステージ(大塚電子社製)を、専用の光ファイバーを用いて接続し、波長330nmから1100nmの範囲で全光線透過率を測定する。測定時の入射光のスポットサイズは約2mmφに調整し、サンプルを設置していない状態の透過率を100%として、各サンプルの全光線透過率を測定する。蛍光体の吸収に伴い、全光線透過率は波長依存性を示すが、サンプルの透明性(拡散性)を評価する指標として、例えば、蛍光体プレートがYAGプレートの場合、プレートが吸収を示さない波長700nmの値を採用する。
【0080】
蛍光体プレート用蛍光体原料粒子の合成例1(YAG:Ce蛍光体の合成例)
硝酸イットリウム六水和物0.14985mol(14.349g)、硝酸アルミニウム九水和物0.25mol(23.45g)、硝酸セリウム六水和物0.00015mol(0.016g)を250mLの蒸留水に溶解させ、0.4Mのプレカーサ溶液を調製した。このプレカーサ溶液を、二流体ノズルを用いて、RF誘導プラズマ炎中に10mL/minの速度で噴霧し、熱分解することで無機粉末粒子(原料粒子)を得た。得られた原料粒子はX線回折法により分析したところ、アモルファス相とYAP(YAlO3)結晶の混合相を示した。また、BET(比表面積測定)法により求めた平均粒子径は約75nmであった。次に、得られた原料粒子をアルミナ製のるつぼに入れ、電気炉にて、1200℃、2時間仮焼成を行って、YAG:Ce蛍光体を得た。得られたYAG:Ce蛍光体は、結晶相がYAGの単一相を示し、BET法により求めた平均粒子径は約95nmであった。
【0081】
蛍光体プレートの作製例1(YAGプレート)
YAG:Ce蛍光体(平均粒子径95nm)4g、バインダー樹脂としてpoly(vinyl butyl-co-vinyl alcohol-co-vinyl alcohol)(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量90000〜120000)0.21g、焼結助剤としてシリカ粉末(Cabot Corporation社製、商品名「CAB-O-SIL HS-5」)0.012g、及びメタノール10mLを乳鉢にて混合してスラリーとし、得られたスラリーをドライヤーにてメタノールを除去して乾燥した粉末を得た。この乾燥粉末を700mgを、20mm×30mmサイズの一軸性プレスモールド型に充填後、油圧プレス機にて約10トンで加圧することで、厚み約350μmの矩形に成型したプレート状グリーン体を得た。得られたグリーン体をアルミナ製管状電気炉にて、空気中、2℃/minの昇温速度で800℃まで加熱し、バインダー樹脂等の有機成分を分解除去した後、引き続き、電気炉内をロータリーポンプにて真空排気して、1600℃で5時間加熱し、厚み約280μmのYAG:Ce蛍光体のセラミックプレート(YAGプレート)を得た。また、得られたYAGプレートのサイズは、焼結による収縮のため、厚みと同様に成型物サイズより約2割収縮したものであり、約16mm×24mmであった。得られたプレートは、アルキメデス法にて測定した密度が、理論密度4.56g/cm3に対して99.7%であった。また、波長700nmにおける全光線透過率は69%であった。
【0082】
実施例1
接着層として、熱硬化型シリコーン樹脂「TSR 1516」(モーメンティブ社製、25℃の粘度15Pa・s)を塗工、乾燥(120℃、2分)して硬化させたものを調製し(厚み10μm)、該接着層の両面を剥離ライナーで被覆したテープを2枚作製した。得られたテープの片面からそれぞれ剥離ライナーを剥離して、露出した接着層が、上記で得られたYAGプレートに接するよう積層して、ゴムローラーを用いてラミネートして、複合シートを得た。なお、接着層の200℃で1時間加熱後の25℃の貯蔵弾性率は2.0×106Paであった。
【0083】
実施例2
接着層として、熱硬化型シリコーン樹脂「TSR 1516」を用いて調製する代わりに、両末端シラノール型シリコーン樹脂「X-21-5842」(信越化学工業社製、平均分子量11500)200g、アルケニル基含有ケイ素化合物「KBM-1003」(信越化学工業社製、平均分子量148)1.55g、及び縮合触媒「水酸化テトラアンモニウムヒドロキシド」(東京化成社製、10%メタノール溶液)0.19mLを加えて、室温(25℃)で1時間攪拌して得られたオイルに、オルガノハイドロジェンシロキサン「KF-9901」(信越化学工業社製)4.4g、及びヒドロシリル化触媒として「白金カルボニル錯体」(GELEST社製、2%キシレン溶液)0.05gを加えて得られた熱硬化性樹脂用組成物を、ポリエステルフィルム上に500μmの厚みに塗工し、135℃で7分加熱することにより得られたシリコーン樹脂シートを用いる以外は、実施例1と同様にして複合シートを得た。なお、得られたシリコーン樹脂シートの25℃の貯蔵弾性率は0.2Paであった。また、200℃で1時間加熱後の25℃の貯蔵弾性率は2.0×106Paであった。
【0084】
実施例3
波長変換層として、YAGプレートを用いる代わりに、市販のYAG蛍光体粉末(Phosphor Tech社製、品番BYW01A、平均粒子径9μm)を15重量%でシリコーンエラストマー「EG6301」(東レダウコーニング社製)に分散させた溶液を、アプリケーターを用いてガラス板上に約150μmの厚みに塗工し、160℃で3時間加熱することにより得られた、蛍光体含有シリコーン樹脂シートを用いる以外は、実施例1と同様にして複合シートを得た。
【0085】
実施例4
波長変換層として、赤色発光蛍光体である、市販のスルホセレニド系蛍光体(Phosphor Tech社製、品番BUVR02、平均粒子径10μm)を10重量%でシリコーンエラストマー「EG6301」(東レダウコーニング社製)に分散させた溶液を、アプリケーターを用いて、上記で調製したYAGプレート(黄色発光蛍光体)上に約80μmの厚みに塗工し、160℃で3時間加熱することにより得られた、赤色蛍光体と黄色蛍光体を含有するシリコーン樹脂シートを用いる以外は、実施例1と同様にして複合シートを得た。
【0086】
実施例5
接着層として、熱硬化型シリコーン樹脂「TSR 1516」を用いて、オレンジ色発光蛍光体である、市販のオルトシリケート系蛍光体(Phosphor Tech社製、品番BUVOR02、平均粒子径15μm)を20重量%で分散させた溶液を、アプリケーターを用いて、ガラス板上に約150μmの厚みに塗工し、160℃で3時間加熱することにより得られた、蛍光体含有シリコーン樹脂シート(貯蔵弾性率(25℃)2MPa)を用いる以外は、実施例1と同様にして複合シートを得た。なお、接着層の200℃で1時間加熱後の25℃の貯蔵弾性率は2.0×106Paであった。
【0087】
実施例6
接着層を実施例1と同様にして1枚調製し(各厚み10μm)、該接着層の両面を剥離ライナーで被覆してテープを作製した。次に、上記で得られたYAGプレートを、ダイヤモンドソーを具備したダイシング装置を用いて、3mm×3mmサイズ(厚さ約280μm)の小片に切り出し、YAGプレートの小片タイルを作製した。得られたテープの片面から剥離ライナーを剥離して、露出した接着層上に、前記YAGプレートの小片タイルを2mm間隔でマトリックス状に縦横それぞれ3枚ずつ計9枚載置した。さらにその上に、前記小片タイルが被覆されるよう、熱硬化型シリコーン樹脂「TSR 1516」をアプリケーターを用いて約400μmの厚みで塗工し、乾燥(120℃、2分)、硬化させて、蛍光体プレートの小片タイルが接着層の樹脂内に埋め込まれた複合シートを得た。
【0088】
発光装置の作製1(実施例1〜6)
リフレクター部(凹部)の底部にLEDチップが実装されたアレイ基板に、シリコーン樹脂「EG6301」(東レダウ社製)を注型し、160℃で3時間加熱することにより硬化させた。そこに、上記で得られた複合シートを剥離ライナーを剥離して貼着し、さらに、予め成型しておいたマイクロレンズを配置して貼着後、150℃で3分加熱して発光装置Aを作製した。
【0089】
発光装置の作製2(実施例1〜6)
リフレクター部(凹部)の底部にLEDチップが実装されたアレイ基板に、シリコーン樹脂「EG6301」(東レダウ社製)を注型し、160℃で3時間加熱することにより硬化させた。そこに、予めマイクロレンズの平坦面に上記で得られた複合シートを剥離ライナーを剥離して貼着したものを作製し、該マイクロレンズを封止樹脂表面に配置して貼着後、150℃で3分加熱して発光装置Bを作製した。
【0090】
発光装置の作製3(比較例1)
リフレクター部(凹部)の底部にLEDチップが実装されたアレイ基板に、シリコーン樹脂「KER2500」(信越化学工業社製、粘度(25℃)6000mPa・s)に7重量%の含有量で、市販のYAG蛍光体粒子(Phosphor Tech社製、品番BYW01A、平均粒子径9μm)を配合したシリコーン樹脂溶液を注型し、160℃で3時間加熱することにより硬化させた(LED封止体)。次に、熱硬化型シリコーン樹脂「TSR 1516」を10μmの厚さで剥離ライナー(PETライナー)上に塗工して120℃2分加熱して硬化した接着シートを、上記のLED封止体の上面に剥離ライナーを剥離して貼着し、さらに、予め成型しておいたマイクロレンズを配置して貼着後、150℃で3分加熱して発光装置Aを作製した。
【0091】
発光装置の作製4(比較例1)
リフレクター部(凹部)の底部にLEDチップが実装されたアレイ基板に、シリコーン樹脂「KER2500」(信越化学工業社製、粘度(25℃)6000mPa・s)に7重量%の含有量でYAG蛍光体粒子(Phosphor Tech社製、品番BYW01A、平均粒子径9μm)を配合したシリコーン樹脂溶液を注型し、160℃で3時間加熱することにより硬化させた(LED封止体)。次に、熱硬化型シリコーン樹脂「TSR 1516」を10μmの厚さで剥離ライナー(PETライナー)上に塗工して120℃2分加熱して硬化した接着シートを、剥離ライナー側とは別の面に予め成型しておいたマイクロレンズの平坦面に貼着し、該マイクロレンズをLED封止体表面に剥離ライナーを剥離して配置して貼着後、150℃で3分加熱して発光装置Bを作製した。
【0092】
得られた発光装置について、以下の試験例1に従って、特性を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
試験例1(色度)
得られた発光装置に50mAの電流を投入して発光装置を点灯し、6cmφの積分球にて発光装置からの全光束を検知して、分光光度計(大塚電子社製、MCPD-3000)を用いて発光装置の色度をCIE(x,y)にて評価した。測定した10個のデータから、得られた色度CIE(x,y)のy値の最大値と最小値との差をサンプルの色度精度(y値のバラツキ)とした。色度精度の値が小さいほど、バラツキの少ない装置である。
【0094】
【表1】

【0095】
結果、液体状態から蛍光体層を調製する比較例に比べて、予め一定の厚みを有する蛍光体を用いる実施例の方が、サンプル間の色度バラツキが小さいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の複合シートは、例えば、液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイや広告看板等の半導体装置を製造する際に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0097】
1 LEDからの発光
2−1 透過光
2−2 後方散乱光
2−3 波長変換層と接着層との屈折率差による全反射光
3 遮蔽板
4 検出器
5 積分球
6 蛍光体プレート
6−1 蛍光体プレート1
6−2 蛍光体プレート2
7 接着層
8 剥離ライナー
9 LED素子
10−1 蛍光体材料含有封止樹脂
10−2 蛍光体材料非含有封止樹脂
11 接着剤
12 光学部材
13 複合シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長350〜480nmの光の一部又は全部を吸収して励起され、前記波長よりも長波長域の可視光を発光する蛍光体材料を含んでなる波長変換層と、該波長変換層の片面、両面又は周囲に設けてなる接着層とを有することを特徴とする、複合シート。
【請求項2】
波長変換層が、焼結密度が理論密度の99.0%以上である多結晶性焼結体であり、励起波長域以外の可視光波長域において40%以上の全光線透過率を有し、かつ、厚みが100〜1000μmである、透光性セラミックスからなる蛍光体プレートである、請求項1記載の複合シート。
【請求項3】
波長変換層が、蛍光体粒子がバインダー樹脂中に分散したものであり、かつ、厚みが50〜2000μmである、蛍光体シートである、請求項1記載の複合シート。
【請求項4】
さらに、剥離ライナーが接着層の表面に形成されてなる、請求項1〜3いずれか記載の複合シート。
【請求項5】
接着層が、熱硬化性樹脂を含有してなる、請求項1〜4いずれか記載の複合シート。
【請求項6】
接着層が、以下のa)及び/又はb)を満たしてなる、請求項1〜4いずれか記載の複合シート。
a) (1)両末端シラノール型シリコーン樹脂、(2)アルケニル基含有ケイ素化合物、(3)オルガノハイドロジェンシロキサン、(4)縮合触媒、及び(5)ヒドロシリル化触媒を含有してなる熱硬化性樹脂用組成物からなる樹脂層
b) 主成分がシリコーン樹脂であり、200℃で1時間加熱後の25℃の貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上である樹脂層
【請求項7】
波長変換層が、複数の波長変換層を積層させたものである、請求項1〜6いずれか記載の複合シート。
【請求項8】
接着層が、波長変換層の構成成分である蛍光体材料とは異なる発光特性を有する蛍光体粒子を含有してなる、請求項1〜7いずれか記載の複合シート。
【請求項9】
青色LED又は近紫外LEDを含有してなる発光装置において、前記LEDが封止樹脂により封止され、該封止樹脂表面に請求項1〜8いずれか記載の複合シートが積層されてなる、発光装置。
【請求項10】
さらに、光学部材が複合シートの上に配置されてなる、請求項9記載の発光装置。
【請求項11】
工程1−1:青色LED又は近紫外LEDを封止樹脂で封止した後、該封止樹脂表面に請求項1〜8いずれか記載の複合シートを貼着する工程
工程1−2:光学部材を複合シートの上に貼着する工程、及び
工程1−3:複合シートの接着層を硬化処理する工程
を含む、発光装置の製造方法。
【請求項12】
工程1−3の前に、LEDを点灯して発光特性の検査を行い、発光特性に不具合が検出された場合には、光学部材の貼着した複合シートを装置から剥離して、工程1−1における複合シートの貼着、及び工程1−2における光学部材の貼着を再度行う工程を含む、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
工程2−1:青色LED又は近紫外LEDを封止樹脂で封止した後、該封止樹脂表面に、光学部材の平坦面に請求項1〜8いずれか記載の複合シートを貼着した光学部材を、該複合シートを介して貼着する工程、及び
工程2−2:複合シートの接着層を硬化処理する工程
を含む、発光装置の製造方法。
【請求項14】
工程2−2の前に、LEDを点灯して発光特性の検査を行い、発光特性に不具合が検出された場合には、光学部材の貼着した複合シートを装置から剥離して、工程2−1における光学部材が貼着した複合シートの貼着を再度行う工程を含む、請求項13記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−102004(P2011−102004A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258284(P2009−258284)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】