説明

蛍光基板及び発光装置

【課題】蛍光量子効率を向上して光の変換効率を向上させることのできる蛍光基板と、これを備えた発光装置を提供する。
【解決手段】蛍光基板において、6H型SiC結晶からなり、ドナー不純物として濃度が4×1019cm−3以下の窒素を含み、アクセプタ不純物として濃度が7×1018cm−3以上のホウ素を含み、窒素の濃度が、ホウ素の濃度に対して2×1018cm−3以上高く、ホウ素の濃度の2倍に対して8×1018cm−3以上低いようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6H型SiC結晶からなる蛍光基板及びこれを用いた発光装置に関するものである。特に、表示分野、照明分野等への応用が期待されている半導体材料およびこれを用いた発光装置に関する。
【0002】
化合物半導体pn接合による発光素子として、発光ダイオードが広く実用化され、主に光伝送、表示や特殊照明用途に用いられている。近年、窒化物半導体と蛍光体を用いた白色発光ダイオードも実用化され、今後は一般照明用途への展開が大いに期待されている。しかし、特に白色発光ダイオードにおいては、エネルギー変換効率が既存の蛍光灯と比較して不十分であるため、一般照明用途に対しては大幅な効率改善が必要である。さらに、高い演色性、低コストかつ大光束の発光ダイオードを実現するためには、多くの課題が残されている。
【0003】
現在市販されている白色発光ダイオードとして、図9に示すような構成が用いられている。図9に示すように、この白色発光ダイオードは、青色LEDチップ301をリードフレーム302に実装し、例えばYAG:Ceにより構成される黄色蛍光体層303を被せた後に、エポキシ樹脂等からなるモールドレンズ304で覆われることにより構成される。青色LEDチップ301からは青色光が放出され、黄色蛍光体層303を通り抜ける際にその一部が吸収され黄色光に変換される。青色と黄色は互いに補色の関係にあることから、両者が混じり合うと白色光となる。
【0004】
しかしながら、青色LEDチップ301の大型化や駆動電流の増加によって、発光効率が大きく低下するために、単一のLEDチップを用いて高効率且つ大光束とすることは実現されていない。小型チップを低電流で発光させたときにのみ高効率動作が可能であり、照明などに使用するためには、数百個単位の多くのチップを搭載しなければならず、高コストとなることが大きな課題となっている。
【0005】
一方、従来とは全く別の構成の白色発光ダイオードが、本願発明者らによって提案されている(例えば、特許文献1参照)。この白色発光ダイオードは、6H型の不純物添加SiC基板401上に、としてホウ素および窒素を添加した第1の不純物添加SiC層402、アルミニウムおよび窒素を添加した第2の不純物添加SiC層403が形成されている。さらに、不純物添加SiC基板401上には、AlGaNバッファ層404、n−GaN第1コンタクト層405、n−AlGaN第1クラッド層406、GaInN/GaN多重量子井戸活性層407、p−AlGaN電子ブロック層408、p−AlGaN第2クラッド層409、p−GaN第2コンタクト層410がこの順で連続的に積層されている。この白色発光ダイオードでは、p電極411とn電極412との間に電圧を印加して電流を流すことで、例えば390nmの近紫外光が放出され、この近紫外光は第1の不純物添加SiC層402および第2の不純物添加SiC層403にて吸収された後、可視光に変換される。第1の不純物添加SiC層402からは緑色から赤色、第2の不純物添加SiC層403からは青色から緑色の光が生じ、両者を合わせて優れた演色性の白色光が得られるというものである。この白色発光ダイオードによれば、LEDチップ単独で白色光の生成が可能であり、後工程による蛍光体の付加は不要となる。さらに、白色光を生み出す第1の不純物添加SiC層402および第2の不純物添加SiC層403は、近紫外光によって励起可能なため、SiC基板が放熱特性に優れた材料であることと相俟って、大型チップによる大出力動作に適したものとなっている。
【特許文献1】特開2005−187791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の不純物添加SiC層では、白色光生成のためにドナー・アクセプタ・ペアの再結合機構を用いており、これらは状態密度の小さい不純物準位のため、強励起下では発光再結合が飽和を起こす場合がある。これにより、相対的に非発光再結合が増大して蛍光量子効率が低下するため、単一チップからの高効率動作と大光束放出を得る点については改善の余地が残されている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蛍光量子効率を向上して光の変換効率を向上させることのできる蛍光基板と、これを備えた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
6H型SiC結晶からなり、
ドナー不純物として濃度が4×1019cm−3以下の窒素を含み、
アクセプタ不純物として濃度が7×1018cm−3以上のホウ素を含み、
前記窒素の濃度が、前記ホウ素の濃度に対して2×1018cm−3以上高く、前記ホウ素の濃度の2倍に対して8×1018cm−3以上低い蛍光基板が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
上記蛍光基板と、
前記蛍光基板上に形成され、複数の窒化物半導体層により構成され、ピーク波長が370nmから420nmである発光部と、を備えた発光装置が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
上記蛍光基板と、
前記蛍光基板上に形成され、窒素とアルミニウムが添加された6H型SiC層と、
前記蛍光基板上に形成され、複数の窒化物半導体層により構成され、ピーク波長が370nmから420nmである発光部と、を備えた発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の蛍光基板によれば、蛍光量子効率を向上して光の変換効率を向上させることができる。
また、本発明の発光装置によれば、発光効率及び最大光束を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態を示す白色発光ダイオードの概略模式断面図である。
【0013】
図1に示すように、白色発光ダイオード100は、ホウ素及び窒素が添加されたSiC基板110と、このSiC基板110上に形成され複数の窒化物半導体層により構成された発光部と、を備えている。発光部からSiC基板110にへ光が入射すると、SiC基板110にて入射光が吸収されて不純物準位による蛍光が生じるようになっている。
【0014】
SiC基板110は、厚さが例えば350μmであり、6層ごとに周期的な構造をとる6H型のSiC結晶によって形成され、ドナー不純物として窒素(N)を含むとともに、アクセプタ不純物としてホウ素(B)を含んでいる。SiC基板110の製造方法は任意であるが、例えば昇華法、化学気相成長法によってSiC結晶を成長させて製造することができる。このとき、結晶成長中の雰囲気における窒素ガス(N)の分圧を適度に調整することにより、SiC基板110における窒素濃度を任意に設定することができる。一方、ホウ素は、ホウ素単体またはホウ素化合物を原料に対して適量混合させることにより、SiC基板110におけるホウ素濃度を任意に設定することができる。
【0015】
発光部は、AIGaNで構成されたバツファ層121と、n―GaNで構成された第1コンタクト層122と、n−AIGaNで構成された第1クラツド層123と、GalnN/GaNで構成された多重量子井戸活性層124と、p―AIGaNで構成された電子ブロック層125と、p−AIGaNで構成された第2クラツド層126と、p―GaNで構成された第2コンタクト層127と、をSiC基板110側からこの順で連続的に有している。発光部は、SiC基板110上に、例えば有機金属化合物気相成長法によって積層される。また、第2コンタクト層127の表面には、Ni/Auからなるp電極131が形成される。また、第2コンタクト層127から第1コンタクト層122の所定位置まで厚さ方向にエッチングすることにより第1コンタクト層122を露出させ、この露出部分にTi/Alからなるn電極132が形成される。
【0016】
以上のように構成された白色発光ダイオード100のp電極131とn電極132に順方向の電圧を印加すると、発光部に電流が注入され、多重量子井戸活性層124において近紫外領域にピーク波長を有する光が放出される。放出された近紫外光は、アクセプタ不純物とドナー不純物がドープされたSiC基板110へ入射してほぼ全てが吸収される。SiC基板110では、近紫外光を励起光としてドナー電子とアクセプタ正孔が再結合することにより蛍光が生じ、黄色から赤色にかけての発光する。これにより、白色発光ダイオード100は、暖白色に発光し、照明に適した光が外部へ放出される。
【0017】
ここで、SiC基板110における蛍光作用について、図2を参照して説明する。図2は、SiC基板へ入射した光が蛍光に変換される様子を模式的に示した説明図である。
SiC基板110は主にSiC結晶で構成されているため、6H型SiC結晶のバンドギャップエネルギーEが形成されている。SiC基板110に光を入射させると、SiC蛍光体110が励起し、ドナー不純物としての窒素から自由電子aが生じ、アクセプタ不純物としてのホウ素から自由正孔bが生じる。このとき、自由電子aのエネルギーは伝導帯E1にあり、自由正孔bのエネルギーは荷電子帯E2にある。
【0018】
しかし、数nsから数μsの短時間のうちに、自由電子aは束縛エネルギーEに抗してドナー準位Nへ緩和し、ドナー電子a’となる。同様に、自由正孔bは束縛エネルギーEに抗してアクセプタ準位Nへと緩和し、アクセプタ正孔b’となる。さらに、エネルギーギャップが緩和されたドナー電子a’とアクセプタ正孔b’が再結合し、その遷移エネルギー(E−E−E)に相当するエネルギーを有する光子cがSiC基板110の外部へ放出させる。SiC基板110の外部へ放出された光子cの波長は、遷移エネルギー(E−E−E)に依存する。
【0019】
図3は、不純物濃度と蛍光量子効率との関係を示すグラフである。同図において、縦軸は蛍光量子効率を示しており、横軸はホウ素濃度[1017cm−3]を示している。なお、蛍光量子効率はArレーザから蛍光へのエネルギー変換効率を意味し、単位時間当たりに入射したArレーザのフォトン数に対する放出された蛍光のフォトン数の割合を意味しており、損失がない場合には100%となる。具体的に、励起フォトン密度に対する蛍光フォトン密度の比を測定し、弱励起側でこの比率が一定になった値を量子効率100%として、励起パワー密度3W/cmにおける量子効率を導出している。そして、窒素濃度が3×1018cm−3で一定であり様々なホウ素濃度を有するSiC蛍光体10を複数作成し、室温において各SiC基板110に対してArレーザ光を入射させることにより、蛍光量子効率のホウ素濃度依存性を調査した。
【0020】
蛍光量子効率は、ホウ素濃度に強く依存し、70%以上の蛍光量子効率を得るためには5×1017cm−3以上のホウ素濃度が必要であることがわかる。一方、ホウ素濃度が窒素濃度と同じ3×1018cm−3を超えると蛍光量子効率は急激に減少している。従って、窒素濃度よりもホウ素濃度を少なく設定しておくことが望ましい。いいかえれば、ホウ素濃度よりも窒素濃度を多めに設定しておくことが望ましい。
【0021】
窒素のイオン化エネルギーはホウ素よりも小さいため、室温において、ある程度の窒素がイオン化する。すると、励起されたドナー電子a’が再度伝導帯E1に遷移することとなり、アクセプタ正孔b’と対になるドナー電子a’が不足することとなる。対となるドナー電子a’がないアクセプタ正孔b’は、蛍光発光に寄与することができず、そのアクセプタ正孔b’を励起するためのエネルギーが無駄に消費されたこととなる。すなわち、ドナー電子a’とアクセプタ正孔b’が過不足なく再結合できるように予めイオン化する窒素量を見越してホウ素濃度よりも窒素濃度を多めに設定しておくことにより、高い蛍光量子効率を実現することができる。
【0022】
また、SiC単結晶においては窒素濃度が1019cm−3を超えると結晶品質が急激に低下することが知られている。結晶品質が低下すると励起時における非発光再結合率が大幅に増大するため、窒素濃度の上限は1019cm−3と設定することが望ましい。上述したとおりホウ素濃度は窒索濃度よりも少ないことが望ましいため、必然的にホウ素濃度も1019cm−3を上回らない程度に設定される。以上説明したホウ素(アクセプタ)濃度と窒素(ドナー)濃度の最適条件をまとめると下記式のようになる。
5×1017cm−3≦(アクセプタ濃度)≦(ドナー濃度)≦1×1019cm−3
【0023】
図4は、蛍光基板の温度と蛍光量子効率との関係を示すグラフである。同図において、縦軸は蛍光量子効率を示しており、横軸は温度[K]を示している。
ホウ素濃度を2×1018cm−3とし窒素濃度を3×1018cm−3としたSiC基板110にArレーザを入射して、各温度における蛍光量子効率を調査した結果をプロットしている。蛍光量子効率は、低温では低いものの200Kを超えてから急激に上昇し、室温の約300Kでは、96%の蛍光量子効率が得られている。温度が高いほど自由電子aと自由正孔bの運動エネルギーが大きくなるため、これらがドナー準位Nとアクセプタ準位Nへ緩和しやすくなるからである。このように、SiC基板110におけるホウ素濃度を2×1018cm−3とし窒素濃度を3×1018cm−3とすることにより、SiC基板110の蛍光量子効率が室温において十分に確保できることが確認されている。
【0024】
ところで、照明用途に使用するためには、本実施形態の白色発光ダイオード100に大出力且つ高効率の動作が求められるが、本願発明者らは、6H型のSiC基板110に添加する不純物の濃度によって、SiC基板110の最大許容励起パワーが大きく変わることを実験により見出した。
【0025】
図5は、窒素及びホウ素の濃度と蛍光基板の蛍光量子効率との関係を示す実験データである。実験にあたり、窒素及びホウ素の濃度を変化させた複数のSiC基板110を試料体とし、各試料体における波長390nmの励起パワー密度100W/cm下での蛍光量子効率の実験データを取得した。ここで、励起フォトン密度に対する蛍光フォトン密度の比を測定し、弱励起側でこの比率が一定になった値を量子効率100%としている。励起パワー密度100W/cmという値は、近紫外領域に発光ピークを有する窒化物系半導体ヘテロ構造を用いれば高効率を維持した状態で容易に実現されることから、青色領域に発光ピークを有するLEDより発光部として採用することが好ましい。
【0026】
また、図6は、図5の実験データに基づいて、縦軸及び横軸を窒素及びホウ素の濃度とし、蛍光基板の蛍光量子効率の分布を示した図である。SiC基板110中の窒素濃度がホウ素濃度より高くなければ、ドナー準位のイオン化によって蛍光量子効率は著しく低下するが、窒素濃度が高すぎても蛍光量子効率は低下する。これは、高濃度の窒素による結晶欠陥増加のためである。しかし、ホウ素濃度が高くなるに従い、高い効率を維持できる窒素濃度が高くなり、これと同時に蛍光量子効率も増大する。濃度窒素の添加による多少の欠陥の増大よりも、不純物濃度の増加によるドナーとアクセプタのペア再結合速度の増大の方が支配的となるためである。高濃度窒素の添加による結晶品質の劣化が生じるといっても、窒素の濃度が4×1019cm−3を超えない限り、その上にエピタキシャル成長によって積層される窒化物系半導体層へ悪影響が及ぶレベルとはならない。
【0027】
このような強励起下で50%以上の蛍光量子効率が得られる不純物濃度の範囲は、図6中の斜線を示した範囲であり、ホウ素の濃度が7×1018cm−3以上であり、窒素の濃度が4×1019cm−3以下であり、さらに、窒素の濃度の範囲がホウ素の濃度に対して2×1018cm−3以上であり且つホウ素の濃度の2倍に対して8×1018cm−3以下である領域となる。この領域においては、発光効率が100lm/Wを超える高効率となり、1mm程度の単一LEDチップから300lm以上の最大光束を得ることができる性能の高い暖白色LEDを実現することが可能となる。
【0028】
また、図6中の破線で示すように、ホウ素の濃度が、1×1019cm−3以上且つ2.5×1019cm−3以下で、窒素の濃度の1.1倍に7×1018cm−3を加えた値となると、蛍光量子効率が70%以上となりさらに望ましい。
【0029】
また、本願発明者らは、6H型SiCにおいて、アクセプタのイオン化エネルギーと、DAP(ドナー・アクセプタ・ペア)の発光に適切な不純物濃度の差との関係を見出した。図7は、横軸に6H型SiCにおけるアクセプタのイオン化エネルギーをとり、縦軸にドナーとアクセプタの濃度差をとり、良好なDAP発光を得ることのできる領域を斜線にて示したグラフである。尚、図7は、ドナーとして窒素を用いた場合のグラフである。
【0030】
図7に示すように、アクセプタとしてホウ素を用いた場合、(ドナー濃度C)−(アクセプタ濃度C)が2.0×1018cm−3以上であると、良好なDAP発光を得ることができる。また、アクセプタとしてガリウムを用いた場合、(ドナー濃度C)−(アクセプタ濃度C)が1.4×1017cm−3以上であると、良好なDAP発光を得ることができる。さらに、アクセプタとしてアルミニウムを用いた場合、(ドナー濃度C)−(アクセプタ濃度C)が−0.24×1018cm−3以下であると、良好なDAP発光を得ることができる。ここで、6H型SiCにおけるホウ素のイオン化エネルギーは0.72eVであり、ガリウムのイオン化エネルギーは0.33eVであり、アルミニウムのイオン化エネルギー0.25eVである。
【0031】
そして、図7に示すように、アクセプタのイオン化エネルギーが0.3eV(図中直線B)を超えた領域においては、ドナー濃度をC、アクセプタ濃度をC、アクセプタイオン化エネルギーをEiとすると、

の関係を満たす領域において良好なDAP発光を得ることができる。
また、アクセプタのイオン化エネルギーが0.3eVを超えない領域においては、

の関係を満たす領域において良好なDAP発光を得ることができる。図7においては、

の式で表される直線をAとして図示している。
【0032】
尚、前記実施形態においては、SiC基板110が黄色から赤色の領域で発光することにで暖白色を得る発光装置100を例示したが、例えば、図8に示すように、SiC基板110と発光部との間に青色から緑色の領域で発光するSiC層210を設けた白色発光ダイオード200としてもよい。SiC層210に、アルミニウム及び窒素を添加することにより、近紫外光の入射により青色から緑色の領域で発光させることができる。この白色発光ダイオード200によれば、SiC基板110における発光と、SiC層210における発光との組み合わせにより、純白色の発光状態が実現される。
【0033】
また、前記実施形態においては、SiC基板110上に発光部をなす半導体層を積層したものを示したが、SiC基板110を蛍光体単体として使用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態を示す白色発光ダイオードの構造を示す模式図である。
【図2】SiC基板へ入射した光が蛍光に変換される様子を模式的に示した説明図である。
【図3】不純物濃度と蛍光量子効率との関係を示すグラフである。
【図4】蛍光基板の温度と蛍光量子効率との関係を示すグラフである。
【図5】窒素及びホウ素の濃度と蛍光基板の蛍光量子効率との関係を示す実験データである。
【図6】図5の実験データに基づいて、縦軸及び横軸を窒素及びホウ素の濃度とし、蛍光基板の蛍光量子効率の分布を示した図である。
【図7】横軸に6H型SiCにおけるアクセプタのイオン化エネルギーをとり、縦軸にドナーとアクセプタの濃度差をとり、良好なDAP発光を得ることのできる領域を斜線にて示したグラフである。
【図8】変形例を示す白色発光ダイオードの構造を示す模式図である。
【図9】従来の白色発光ダイオードの構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
100 白色発光ダイオード
110 SiC基板
121 バッファ層
122 第1コンタクト層
123 第1クラッド層
124 多重量子井戸活性層
125 電子ブロック層
126 第2クラツド層
127 第2コンタクト層
131 p電極
132 n電極
200 白色発光ダイオード
210 SiC層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6H型SiC結晶からなり、
ドナー不純物として濃度が4×1019cm−3以下の窒素を含み、
アクセプタ不純物として濃度が7×1018cm−3以上のホウ素を含み、
前記窒素の濃度が、前記ホウ素の濃度に対して2×1018cm−3以上高く、前記ホウ素の濃度の2倍に対して8×1018cm−3以上低い蛍光基板。
【請求項2】
6H型SiC結晶からなり、
ドナー不純物として濃度が1×1019cm−3以上で2.5×1019cm−3以下の窒素を含み、
アクセプタ不純物として、前記窒素の濃度の1.1倍に7×1018cm−3を加えた濃度のホウ素を含む蛍光基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光基板と、
前記蛍光基板上に形成され、複数の窒化物半導体層により構成され、ピーク波長が370nmから420nmである発光部と、を備えた発光装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の蛍光基板と、
前記蛍光基板上に形成され、窒素とアルミニウムが添加された6H型SiC層と、
前記蛍光基板上に形成され、複数の窒化物半導体層により構成され、ピーク波長が370nmから420nmである発光部と、を備えた発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−277447(P2008−277447A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117424(P2007−117424)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(507134714)エルシード株式会社 (8)
【Fターム(参考)】