説明

蛍光画像検出方法、蛍光画像検出基板、蛍光画像検出器、プログラムおよび記録媒体

【課題】本発明は、効率的に、かつ高精度に行なうことができる遺伝子チップを使用した蛍光画像検出方法、蛍光画像検出基板、装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【解決手段】蛍光画像検出基板上に固定されている複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを蛍光画像検出基板上で反応させ、反応後の反応生成物の蛍光の蛍光画像を測定することにより、プローブ物質とターゲット物質との反応を検出する蛍光画像検出方法において、各プローブ物質は、幾何パターン状に蛍光画像検出基板に固定されており、反応後に各プローブ物質に対して幾何パターンと蛍光強度の相関を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的に、かつ、高精度に行なうことができる蛍光画像検出基板(遺伝子チップ等)を使用した蛍光画像検出方法、蛍光画像検出基板を使用する蛍光画像検出器、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子構造解析の進歩はめざましいものがあり、ヒトの遺伝子構造をはじめとして、多数の遺伝子構造が明らかにされてきている。このような遺伝子構造の解析には、蛍光の性質を利用したDNAチップ法や蛍光抗体法等がよく用いられている。
【0003】
DNAチップ法とは、スライドガラス等の蛍光画像検出基板上に予め配列の分かっているDNA断片等のプローブ物質を蛍光画像検出基板にアレイ状に複数並べておき、未知のDNA断片等のターゲット物質とハイブリダイゼーションさせることによって得られるハイブリダイゼーションシグナルを解析することによりDNAの塩基配列を解析・決定する方法である。DNAチップ法は、簡便かつ迅速に塩基配列の解析をすることができ、遺伝子発現のモニタリングや、既知塩基配列における変位の同定を行なうことができることから、医療分野への応用等急速に開発・応用化が進んでおり、例えば、特許文献1には、DNAチップ法を応用した動脈硬化の検出・診断方法を提案している。
【0004】
DNAチップ法にてDNA構造解析を行なうには、プローブ物質を調整し、プローブ物質を蛍光画像検出基板上にスポットし固定する工程と、その後ターゲット物質を調整してハイブリダイゼーションを行ない、ハイブリダイゼーションシグナルを検出する工程とからなる。
【0005】
ハイブリダイゼーションシグナルの検出には蛍光物質が利用され、主として解析ソフトを使用して画像を解析・算出する。この際、プローブ物質のスライドガラス上への固定においては、各プローブ物質を順にアレイ状に蛍光画像検出基板上に配置し、蛍光強度が最大のスポットに対応するDNAを検出する方法が一般的に利用されている。
【0006】
蛍光抗体法とは、DNAチップ法と同様に、蛍光物質を利用して、細胞にある抗原または抗体の所在を調べ、ウイルス感染の有無を検査する方法である。蛍光抗体法は、簡便かつ迅速に検査を行なうことができ、抗核抗体、抗DNA抗体(クリシディア法)、抗胃壁細胞抗体、抗平滑筋抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗好中球細胞質抗体等の自己免疫性疾患検査や、EBウィルス、風疹ウィルス抗体、ヘルペスウィルス抗体(抗原)、サイトメガロウィルス抗体、クラジミアトラコマティス抗体(抗原)、クラジミアシッタシ抗体(抗原)、エンドトキシン、トキソプラズマ抗体、FTA−ABS等の感染症検査や、癌の組織診断等に用いられており、例えば、特許文献2では、蛍光抗体法を利用したクモ膜下出血の検出、検査方法を提案している。
【0007】
蛍光抗体法は、直接蛍光抗体法と間接蛍光抗体法に分類され、直接蛍光抗体法は、被験者の細胞、組織等(プローブ物質)を蛍光画像検出基板上に固定する工程と、蛍光物質で標識化された抗体を反応させ、反応後の蛍光を観測する工程とからなる。間接蛍光抗体法は、被験者の細胞、組織等(プローブ物質)を蛍光画像検出基板上に固定する工程と、蛍光物質で標識化されていない抗体を反応させる工程と、蛍光物質で標識化されていない抗体を反応させた後、蛍光物質で標識化されている抗体とさらに反応させ、反応後の蛍光を観測する工程とからなる。
【特許文献1】特開2005−168498号公報
【特許文献2】特開2005−151854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、DNAチップ法および蛍光抗体法において、サンプル中のハイブリダイゼーションまたは反応(以下、ハイブリダイゼーションと抗原、抗体による反応等を総称して「反応」という)していないDNA、抗原、抗体等からの蛍光がノイズの原因となる場合がある。そのため、通常、蛍光画像検出基板を洗浄してから反応していないDNA、抗原、抗体等を洗浄して取り除く作業を必要とし、作業効率の低下が問題となっていた。また、上述したDNAチップ法および蛍光抗体法において、サンプル濃度が薄い場合、観測される蛍光強度は微弱である。そのため、蛍光強度がバックグラウンドのノイズに埋もれてしまい、誤検出が発生するという問題もあった。さらに、プローブ同士が重なってしまった場合、蛍光画像の識別をすることが困難であるため、プローブ同士が重なったチップは、不良品として扱われ、歩留りの低下も問題となっていた。さらに、プローブの数が増大すると基板の面積が大きくなり、反応の均一性の確保が困難となったり、必要なサンプル量が増加するという問題もあった。
【0009】
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、DNAチップ法および蛍光抗体法を改良し、より効率的かつ高精度に行なう方法、その方法に使用する基板、装置、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サンプル濃度が薄くても誤検出等を防止できる蛍光画像検出方法であって、本発明の目的は、蛍光画像検出基板上に固定されている複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを蛍光画像検出基板上で反応させ、反応後の反応生成物の蛍光の蛍光画像を測定することにより、プローブ物質とターゲット物質との反応を検出する蛍光画像検出方法において、前記複数のプローブ物質からなる少なくとも一つのプローブパッドが幾何パターン状となるように前記蛍光画像検出基板に固定し、前記蛍光画像を測定することによって、効果的に達成される。
【0011】
また、本発明の上述した目的は、プローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドをアレイ状に蛍光画像検出基板に固定することによって、或はプローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドを重ねて蛍光画像検出基板に固定することによってより効果的に達成される。
【0012】
さらに、本発明の上記目的は、反応後に各プローブ物質に対して蛍光分布と幾何パターン分布を相関検出することによって、或は幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンであることによって、或は幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンであることによって、或は幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンであることによって、或は擬似ランダム符号、直交コード、2次元コードおよび縞状パターンにおいて、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所とを有することによって、或は幾何パターンが縞状パターンである場合、相関検出のかわりにフーリエ変換を行なうことによって、或はプローブ物質が、プローブDNAであって、かつ、ターゲット物質がターゲットDNAである場合、反応とは、ハイブリダイゼーションであることによって、より効果的に達成される。
【0013】
本発明は、プローブ物質が重なっても蛍光画像の識別を行なうことができる蛍光画像検出基板を提供することを目的とし、本発明の目的は、少なくとも一面にプローブ物質が複数固定されている蛍光画像検出基板であって、複数のプローブ物質は、少なくとも一つのプローブパッドを構成するように幾何パターン状に固定されていることによって効果的に達成される。
【0014】
また、本発明の上記目的は、プローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドをアレイ状に固定することによって、或はプローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドを重ねて固定することによって、或は幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンであることによって、或は幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンであることによって、或は幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンであることによって、或は擬似ランダム符号、直交コード、2次元コードおよび縞状パターンにおいて、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所とを有することによって、より効果的に達成される。
【0015】
本発明は、サンプル濃度が薄くても誤検出をすることなく蛍光画像を検出することができる蛍光画像検出器を提供することを目的とし、本発明の目的は、励起光を照射する光源と、蛍光画像検出基板上に幾何パターン状に固定されている少なくとも一つのプローブパッド中の複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを反応させ、反応後に反応生成物に励起光を照射し、蛍光物質の励起した蛍光強度の分布を観測し、観測した蛍光強度の分布を電気信号に変換し、電気信号を増幅する光検出部と、光検出部により増幅された電気信号を相関検出する相関検出部と、相関検出部により相関検出した電気信号を入出力するデータ入出力部と、を備えた蛍光画像検出器であって、データ入出力部は、外部情報を入力・記憶し、入力・記憶した外部情報を相関検出部に転送し、相関検出部は、転送された外部情報をもとに幾何パターン分布を構成し、電気信号と幾何パターン分布との相関を検出することによって効果的に達成される。
【0016】
また、本発明の上記目的は、プローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドをアレイ状に蛍光画像検出基板に固定することによって、或はプローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドを重ねて蛍光画像検出基板に固定することによって、或は幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンであることによって、或は幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンであることによって、或は幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンであることによって、或は擬似ランダム符号、直交コード、2次元コードおよび縞状パターンにおいて、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所とを有することによって、或は幾何パターンが縞状パターンである場合、相関検出のかわりにフーリエ変換をすることによって、或はプローブ物質が、プローブDNAであって、かつ、ターゲット物質がターゲットDNAである場合、反応とは、ハイブリダイゼーションであることによって、より効果的に達成される。
【0017】
さらに、本発明の上記目的とは、外部情報とは、蛍光画像検出基板の大きさ、プローブパッドの大きさ、各プローブ物質の幾何パターンの大きさ、適用した幾何パターンであることによって、或は擬似ランダム符号、直交コードまたは2次元コードを適用してプローブ物質を蛍光画像検出基板に固定している場合、外部情報として、さらに、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所の総数、各プローブ物質の大きさを入力することによって、或は縞状パターンを適用してプローブ物質を蛍光画像検出基板に固定している場合、外部情報として、さらに、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所の総数、ピッチ幅を入力することによって、より効果的に達成される。
【0018】
本発明は、蛍光画像検出方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供させることを目的とし、本発明の目的は、蛍光画像検出基板上に幾何パターン状に固定されている少なくとも一つのプローブパッド中の複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを反応させ、反応後に反応物に励起光を照射し、蛍光物質の励起した蛍光強度の分布を観測し、観測した蛍光強度の分布を電気信号に変換し、電気信号を増幅するステップと、ステップにより増幅された電気信号を、予め入力した外部情報を読み取るステップと、ステップにて入力した外部情報をもとに幾何パターン分布を構成するステップと、電気信号と外部情報との相関を検出するステップと、ステップにより得られた相関度を出力・表示するステップと、を備えた蛍光画像検出方法をコンピュータに実行させることによって、効果的に達成される。
【0019】
また、本発明の上記目的は、プローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドをアレイ状に蛍光画像検出基板に固定することによって、或はプローブパッドが二つ以上ある場合、プローブパッドを重ねて蛍光画像検出基板に固定することによって、或は幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンであることによって、或は幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンであることによって、或は幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンであることによって、或は擬似ランダム符号、直交コード、2次元コードおよび縞状パターンにおいて、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所とを有することによって、或は幾何パターンが縞状パターンである場合、相関検出のかわりにフーリエ変換をすることによって、或はプローブ物質が、プローブDNAであって、かつ、ターゲット物質がターゲットDNAである場合、反応とは、ハイブリダイゼーションであることによって、より効果的に達成される。
【0020】
さらに、本発明の上記目的とは、外部情報とは、蛍光画像検出基板の大きさ、プローブパッドの大きさ、各プローブ物質の幾何パターンの大きさ、適用した幾何パターンであることによって、或は擬似ランダム符号、直交コードまたは2次元コードを適用してプローブ物質を蛍光画像検出基板に固定している場合、外部情報として、さらに、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所の総数、各プローブ物質の大きさを入力することによって、或は縞状パターンを適用してプローブ物質を蛍光画像検出基板に固定している場合、外部情報として、さらに、プローブ物質が固定されている箇所とプローブ物質が固定されていない箇所の総数、ピッチ幅を入力することによって、より効果的に達成される。
【0021】
上述したプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することによっても、本発明の目的が達成される。
【0022】
プローブ物質は、プローブDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質であるであることによって、或はターゲット物質は、ターゲットDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質であることによって、本発明の上記目的はより効果的に達成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の蛍光画像検出方法によれば、プローブ物質を蛍光画像検出基板上に幾何パターン化して固定し、反応後の各プローブ物質の蛍光強度と幾何パターン分布を相関検出することにより、サンプル濃度が低濃度であっても、バックグラウンドのノイズと蛍光信号のS/N比を向上させることができるので、誤検出を防止することができるようになった。また、相関検出を行なうことにより、蛍光強度が微弱であっても検出することができ、低コントラストの蛍光画像であっても検出することができるので、反応後の洗浄工程を省略もしくは簡便化することができるようになり、DNAチップ法および蛍光抗体法等の作業効率を向上させることができ、より迅速に、無駄のない測定ができるようになった。
【0024】
さらに、本発明の蛍光画像検出方法によれば、プローブ物質をスポット状に固定するのではなく幾何パターン状に固定するので、反応後の蛍光画像の幾何パターンからプローブ物質を識別することができるようになった。これにより、プローブ物質同士が重なっても蛍光を測定することができるようになり、歩留りを向上させることができるようになった。
【0025】
本発明の蛍光画像検出方法に使用する蛍光画像検出基板によれば、蛍光画像検出基板の少なくとも一面に幾何パターン化したプローブパッドを重ねて固定することにより、高密度で小面積のDNAチップ法および蛍光抗体法等で使用する蛍光画像検出基板を提供することができるようになった。
【0026】
本発明の蛍光画像検出器によれば、反応生成物の蛍光物質の励起した蛍光強度の分布を電気信号に変換してから増幅し、相関検出を行なうことによって、蛍光強度が微弱であっても検出することができるようになった。また、相関検出を行なう際、データ入出力部に予めプローブ物質の幾何パターン等の外部情報を入力・記憶させておくことにより、誤検出を防止することができ、また、プローブ物質を重ねて測定すること等ができるようになった。
【0027】
本発明のプログラムによれば、上述した蛍光画像検出方法を効率的に、かつ、高精度に行なうことができるようになった。
【0028】
さらに、本発明の記憶媒体によれば、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み取らせて実行することによって、上述した蛍光画像検出方法と同様な効果を得ることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、蛍光画像検出基板上にプローブ物質をスポットして固定するのではなく、幾何パターン状に蛍光画像検出基板に固定してターゲット物質と反応させ、反応後、必要に応じて相関検出することを特徴とする。
【0030】
また、プローブ物質がプローブDNAの場合、蛍光画像検出基板上にプローブDNAをスポットして固定するのではなく、幾何パターン状に蛍光画像検出基板に固定してターゲットDNAをハイブリダイゼーションし、ハイブリダイゼーション後、必要に応じて相関検出することを特徴とする。これにより、プローブ物質またはプローブDNA同士が重なっても蛍光を測定することができるようになり、蛍光強度が微弱であっても検出することができるようになる。
【0031】
本発明において、プローブDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質等をプローブ物質として適用することができる。
【0032】
また、ターゲットDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質等をターゲット物質として適用することができる。
【0033】
以下、本発明の蛍光画像検出方法、蛍光画像検出基板、蛍光画像検出器、プログラムおよび記憶媒体について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
本発明の蛍光画像検出方法について図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の蛍光画像検出方法の第1実施形態の手順の例を示すフローチャートである。
【0036】
通常の蛍光画像検出方法では、プローブ物質をスライドガラス等の蛍光画像検出基板上にアレイ状にスポットして固定するが、本発明では、スポットをせずに固定位置を幾何パターン状にする(ステップ12)。図2は、プローブ物質を幾何パターン状に固定した一例を示した図である。本発明では、プローブ物質の固定を従来のようなスポット状にするのではなく、図2の(A)〜(I)に示したように、擬似ランダム符号、直交コード、縞状パターン等を適用したパターンに幾何パターン化する。図2中の黒い部分にプローブ物質を固定し、白い部分には、プローブ物質を固定せず、全体として縞状パターンの配置、擬似ランダム符号および直交コードのパターン(形状)となるようにプローブ物質を固定する。すなわち、バーコード状にプローブ物質を蛍光画像検出基板に固定する。なお、プローブ物質を固定した図2中の黒い部分とプローブ物質を固定していない白い部分全体のパターンをプローブパッドという。
【0037】
縞状のパターン、擬似ランダム符号および直交コードは、擬似ランダム系列であり自己相関が強く、自然界に存在する可能性が低い信号パターンであり、バックグラウンド成分と相互相関が弱い符号系列である。そのため、バックグラウンドのノイズが問題となる携帯電話等の情報通信分野でデジタル拡散通信にて広く利用されている。
【0038】
本発明で適用する擬似ランダム符号および直交コードは、公知の種々の擬似ランダム符号及び直交コードを適用することができ、例えば、M系列(Maximum length sequence)、Golden系列符号等があげられる。
【0039】
蛍光物質で標識化されたターゲット物質は、反応後均一にプローブ物質と結合するので蛍光画像検出基板は一様に発光する。このとき、バックグラウンド光があると、測定した発光がバックグラウンド光か、反応生成物により発せられた蛍光か否か区別することができない。本発明では、プローブ物質を予め幾何パターン化して蛍光画像検出基板上に固定することにより、蛍光強度の分布を観測したときにそのパターン化して固定したパターンと同様の形態の発光が観測されたならば、その発光はバックグラウンド光やその他のノイズによるものではなく、反応生成物により発せられた蛍光であることを区別することができる。さらに、異なるプローブ物質に対してそれぞれ異なる幾何パターンを適用すれば、異なるプローブ物質が重なっても観測された蛍光がどのプローブ物質に対応するか区別することができるようになる。
【0040】
なお、本発明のプローブ物質の幾何パターン状による固定について、上述した1次元コードの他に、図2(I)のような2次元コードを適用することもできる。本発明では、適用することができる2次元コードは、例えば、2DQRコード、スタック型2次元コード、マトリックス型2次元コード等公知の種々の2次元コードを適用することができる。さらにコードの中に誤り訂正符号を含めることもできる。
【0041】
縞状パターン、擬似ランダム符号、直交コードおよび2次元コードのいずれかを適用して蛍光画像検出基板上にプローブ物質を固定するかは、使用目的、使用方法に応じて適宜変更することができる。また、図2に示した以外の幾何パターンを取るようにしてもよく、直交コード等バックグラウンド光やノイズとの相関が低い幾何的配置であれば特に限定されない。
【0042】
また、プローブパッドを幾何パターン状に固定することにより、バーコードや2DQRコード等の技術を利用して、プローブ物質のIDを埋めこむことができる。これにより、検出時に予め埋めこんだ情報をデコードし、反応後の蛍光を発しているプローブ物質がどのプローブに該当するか容易に識別することができる。
【0043】
図3は、擬似ランダム符号のM系列を適用してプローブ物質をパターン化した一例を示した図である。例えば、2進法において「0」で表現される箇所は、プローブ物質が固定されていない箇所であり(図3の白い部分)、「1」で表現される箇所は、プローブ物質が固定されている箇所を示している(図3の黒い部分)。このような箇所(単位パターン)をひとまとまりにしたものがプローブパッドであり、プローブ物質の固定方法(プローブパッドの固定方法)は、マイクロリソグラフィー技術を利用したもの、インクジェットプリンターを利用したもの等公知の種々の方法で固定することができる。
【0044】
M系列およびGolden系列直交コードのプローブ物質が固定されていない箇所(白い部分の幅)とプローブ物質を固定されている箇所の配列・設定は、プローブ物質を同じ領域に重ねて固定しない場合(第1実施形態)、バックグラウンドのノイズ成分と相関が低いものであれば特に限定されない。
【0045】
プローブ物質が固定されていない箇所(図3の白い部分)のピッチ幅をp(μm)とすると、空間周波数が1/p以外のノイズを相関検出で除去することができる。したがって、蛍光画像検出基板の大きさおよび蛍光画像測定の解像度を考慮して、ピッチ幅は可能な限り小さくすることが好ましい。また、プローブ物質が固定されている箇所(図3の黒い部分)の単位パターン数(総数)をnとすると、S/N比はプローブ物質が固定されている箇所の単位パターン数に比例してn倍となり、蛍光強度は(√n)倍となる。蛍光画像検出基板の大きさをLとし、プローブ物質の固定可能な解像度をdとすると、L/dの単位パターン数のプローブ物質を蛍光画像検出基板上に固定することができる。
【0046】
縞状パターンにより固定する場合、ピッチ幅(白い部分の幅)が等間隔の縞状のパターンを適用する。ピッチ幅をp(μm)とした場合、空間周波数が1/p以外のノイズを相関検出で除去することができる。したがって、ピッチ幅pは蛍光画像検出基板の大きさLを考慮して、可能な限り小さくすることが好ましい。縞状パターンの単位パターン数(図2中の黒い部分の総数)をnとすると、S/N比は縞状パターンの単位パターン数に比例してn倍となり、蛍光強度は(√n)倍となる。プローブ物質の固定可能な解像度をdとすると、L/2dの単位パターン数をとることができる。なお、蛍光画像検出基板の大きさLの関係上、単位パターン数を増加させることができない場合であっても、蛍光強度の分布の観測のスキャン数を複数回繰り返せば、S/N比を向上させることができる。また、例えば2DQRコードのような2次元の配置は、(L/d)の単位パターン数のプローブ物質を蛍光画像検出基板上に固定することができる。
【0047】
図4は、DNAチップ法等の蛍光画像検出方法において、本発明の蛍光画像検出基板の概念図を示したものである。蛍光画像検出基板1の少なくとも一面に各プローブ物質が幾何パターン状に固定されている。プローブパッド2は、プローブ物質が固定されている箇所(図4では、黒い部分)と、プローブ物質が固定されていない箇所(図4では、白い部分)とからなり、A〜Xの24個をアレイ状に配置し、スポット状ではなく幾何パターン状になるように固定する。本発明において、プローブパッド2は、プローブ物質が固定されている箇所と固定されていない箇所(各個所を単位パターン3という)からなる。なお、図4では、A〜Xまで同様の幾何パターン状に蛍光画像検出基板1に固定している場合を示しているが、それぞれ異なる幾何パターン状に固定するようにしてもよい。また、必要に応じてプローブパッド2の個数を変更できることはいうまでもなく、プローブパッド2が少なくとも一つあればよい。また、例えば、図4中のA〜Hを擬似ランダム符号、I〜Pを直交コード、そしてQ〜Xを縞状パターン等、それぞれ異なる幾何パターンを構成するように各プローブパッド2を固定することもできる。
【0048】
また、単位パターン3のプローブ物質が固定されている箇所と固定されていない箇所の組合せは、使用目的、使用方法等に応じて適宜任意に変更することができる。
【0049】
本発明の蛍光画像検出基板1の材質は、スライドガラス、硬質ガラス等公知の種々の材質を使用することができ、形状等は特に限定されず、試験管の内壁等に適用する等使用目的等に応じて適宜変更することができる。
【0050】
また、詳細は後述するが、プローブパッド2同士を重ねて固定するようにしてもよい。なお、「プローブパッド2同士を重ねて固定する」とは、プローブ物質の上にプローブ物質を固定するのではなく、マクロ的なスケールで同じ領域に重ねて固定されていることを意味し、分子的なスケールではそれぞれのプローブ物質は蛍光画像検出基板1に固定されていることを意味する。
【0051】
次に、図4に示した蛍光画像検出基板1上全体でターゲット物質と反応させる(ステップ13)。なお、プローブ物質がプローブDNAであり、かつ、ターゲット物質がターゲットDNAである場合、蛍光画像検出基板1上全体でハイブリダイゼーションさせる。
【0052】
反応後、反応生成物により発せられた蛍光強度の分布を観測する(ステップ14)。反応生成物により発せられた蛍光が微弱である場合、蛍光強度の分布を相関検出する(ステップ15)。なお、蛍光強度の分布を相関検出する際、後述する幾何パターン分布p(x)も相関検出する。
【0053】
通常、反応後に蛍光画像検出基板1を洗浄するが、後述する相関検出を行いノイズ成分を除去できるので、本発明においては蛍光画像検出基板1を洗浄し、浮遊したターゲット物質を取り除く工程を省略するかもしくは簡便化することができる。なお、サンプル濃度が高濃度の場合等、必要に応じて相関検出を省略することができる。
【0054】
図5は、プローブ物質とターゲット物質との反応後に検出される蛍光強度の空間分布を示した図である。なお、説明の便宜上、プローブ物質がM系列で1次元に固定されている場合を説明する。
【0055】
図5(a)のように、パターン方向にx軸をとり、図5(b)のように、プローブ物質が固定されている部分は1をとり、プローブ物質が固定されていない部分では−1をとる関数(パターン信号)をp(x)とする(以下、p(x)を幾何パターン分布という)。反応後に検出される蛍光強度の空間分布を図5(c)のように測定信号をs(x)とし、p(x)とs(x)との相関Iを(数1)で計算する。
【0056】
【数1】

最後に相関Iが大きい値を示したプローブパッドのプローブに結合する相補的な物質が検出されたと判断する。
【0057】
相関法を有効に機能させるためには、バックグラウンドのノイズの分布とp(x)との相関が小さくなるようなp(x)を選択する。反応後のターゲット物質からの蛍光強度空間分布とp(x)の相関は高いので、バックグラウンドの影響を除去することができる。なお、2次元にパターン化した場合にも、(数4)によって、2次元分布p(x、y)を計算することができる。これらにより、蛍光強度が弱くてもノイズと区別することができるので、ターゲット物質を検出することができるようになる。
【0058】
【数2】

縞状パターンでは、特定の空間周波数をもつため、相関検出のかわりにフーリエ変換を行なうことにより、検出感度を向上させることもできる。すなわち、s(x)をフーリエ変換し、予め設定した縞状パターン固有の空間周波数の強度を相関Iの代わりに利用することもできる。
【0059】
ターゲット物質に複数のターゲット物質が含まれている場合、蛍光画像検出基板1上の点iにおけるプローブ物質jの面積あたりの濃度をc(ij)とする。ターゲット物質中に含まれるターゲット物質のうちで、ターゲット物質jと相補的なプローブ物質の濃度をd(j)とする。この場合得ることができる蛍光強度分布I(i)は、
【0060】
【数3】

のようになる。ここで、αは比例定数である。
【0061】
また、(数3)をマトリックス形式で表記すると、
【0062】
【数4】

となる。{I}はI(i)をi番目成分とするベクトル、{d}はd(j)をj番目成分とするベクトル、[C]はc(ij)を(ij)成分とするマトリックスである。
【0063】
また、蛍光強度分布が得られた場合、[C]は蛍光画像検出基板1作成時に既知であるので、ターゲット物質の無次元濃度α{d}は(数5)のように求めることができる。
【0064】
【数5】

この場合、マトリックスCが正方でない場合や正則でない場合は適宜最小二乗法、一般逆行列等を利用して解を導出する。また、{d}に関する制約や予め得られる情報を制約条件として最適化問題として定式化して、解を求めることもできる。例えば、濃度は正の値であり、上限値が予め得られている場合等これらの情報を制約として{d}を決定する。
【0065】
相関検出手段(ステップ15)の終了後、測定を終了する(ステップ16)。
【0066】
図6は本発明に係る蛍光画像検出方法の第2実施形態の手順の例を示すフローチャートである。なお、上述した第1実施形態と重複する箇所の説明は省略する。
【0067】
第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、幾何パターン状のプローブパッド2を重ねて蛍光画像検出基板1上に固定する(ステップ22)。
【0068】
図7は、プローブパッド2を重ねて固定した様子を示した概念図である。従来では、異なるプローブ物質に対してもプローブパッド2は正方形や円形等のそれぞれ同じ形状であったため、プローブパッド2が重なるとどのスポットの反応生成物が発光しているのか区別することができなかったが、本発明では、プローブ物質を幾何パターン状に固定しているため、プローブパッド2を重ねて固定しても、どの反応生成物から発光しているのか容易に区別することができるようになる。
【0069】
図7(a)は、従来の方法により、プローブ物質を重ねてスポットして固定した場合を示した図であり、図7(b)は、その方法によりターゲット物質と反応させた後の蛍光強度の分布の観測を行なった場合の様子を示した図である。図7(c)は、プローブパッド2を異なる幾何パターンを用いて重ねて固定した場合を示した図であり、図7(d)は、その方法によりターゲット物質と反応させた後の蛍光強度の分布の観測を行なった場合の様子を示した図である。
【0070】
図7(a)のように、A〜Zまでの26種類のプローブパッド2を重ねて固定した場合、図7(b)のように検出され、例えば、Cのプローブ物質と反応した反応生成物が蛍光を発していても、従来の方法ではスポットの位置で識別を行なっているため、どのプローブ物質に対して反応した反応生成物が蛍光を発しているのか区別することができない。
【0071】
一方、図7(c)のように、プローブパッド2を異なるプローブに対して異なる幾何パターン状に重ねて固定化した場合、プローブパッド2の幾何パターンからA〜Zを識別することができるため、プローブパッド2が重なっていても、どのプローブ物質に対して反応した反応生成物が蛍光を発しているのか区別することができる。また、プローブパッドを重ねて固定することにより基板の面積を小さくすることができるので、反応の均一性の確保や必要サンプル量が少なくなる等の効果が挙げられる。
【0072】
プローブパッド2を重ねて蛍光画像検出基板1上に固定する方法としては、例えば、図8に示すようにプローブ物質を含有する溶液を順次重ねてスポットする方法、予め同じ箇所に固定すべきプローブ物質を含有する溶液を混合させてスポットする方法等公知の種々の方法があげられる。
【0073】
例えば、表1の試料A〜試料Gのようにそれぞれ異なるプローブ物質を3桁の2進数で表したID番号を割り振ってパターン化する。すなわち、単位パターン数が3であるプローブパッドとなる。なお、表1中、2進法の「1」は、プローブ物質が固定されている箇所を示し、2進法の「0」は、プローブ物質が固定されていない箇所を示す。
【0074】
【表1】

蛍光画像検出基板1上に、表1中の3桁目が「1」であるプローブ物質(試料A、試料B、試料C、試料D)を重ねて固定する(以下、「プローブ物質3」という)。また、プローブ物質3を固定した蛍光画像検出基板1上に、プローブ物質3と重ならないように、表1中の2桁目が「1」であるプローブ物質(試料A、試料B、試料E、試料F)を重ねて固定する(以下、「プローブ物質2」という)。さらに、プローブ物質2およびプローブ物質3を固定した蛍光画像検出基板1上に、プローブ物質2およびプローブ物質3と重ならないように、表1中の1桁目が「1」であるプローブ物質(試料A、試料C、試料E、試料G)を重ねて固定する(以下、「プローブ物質1」という)。
【0075】
図9に示したように、プローブ物質1、プローブ物質2およびプローブ物質3を全て同一蛍光画像検出基板1上に固定した後、蛍光画像検出基板1上にターゲット物質と反応させる(ステップ23)。
【0076】
反応後、反応生成物により発せられた蛍光強度の分布を観測する(ステップ24)。例えば、試料Cのプローブ物質とターゲット物質が反応したと仮定すると、反応生成物により発せられた蛍光は、試料Cが含まれているプローブ物質1とプローブ物質3とから蛍光を発することとなるので、表1から試料Cが反応したと判定することができる。蛍光強度の分布の観測(ステップ24)後、必要に応じて蛍光強度の分布を相関検出(ステップ25)する。
【0077】
上記では試料A〜試料Gの7種類のプローブ物質がある場合の例について説明したが、例えば1000種類のプローブ物質の場合、210が1024となるので2進数のID番号を適用してパターン化するには、この場合、単位パターンが10桁からなるプローブパッドを用いることができる。これにより、従来法では1000個のアレイをもつ基板が必要であったが、本発明では、10個の単位パターンからなる基板に高密度化できる。
【0078】
次に、本発明の蛍光画像検出器について図面を参照にしながら詳細に説明する。なお、上述した内容と重複する箇所については説明を省略する。
【0079】
図14は、本発明に蛍光画像検出器の概略図である。本発明の蛍光画像検出器本体4の内部には、励起光を照射する光源5と、励起フィルター7と、蛍光を入射方向に対して垂直になるように反射させて光路を変更させるダイクロックミラー8と、XYスキャナー(ガルバノスキャナー)9を介し、励起光を集光するための対物レンズ10が収められている。
【0080】
また、XYスキャナー9のダイクロックミラー8を介して反対側に蛍光フィルター11が設置されており、蛍光フィルター11を透過した蛍光強度の分布を観測し、観測した蛍光強度の分布を電気信号に変換して増幅する光検出部13と、測定データを相関検出する相関検出部14が本体4内に収められている。
【0081】
本体4内の光源5から励起光が照射され、コリメーターレンズ6を透過し、励起フィルター7により励起に適した波長の光が透過される。励起光は、ダイクロックミラー8により、励起光の入射方向に対して垂直に反射し、XYスキャナー9を透過する。XYスキャナー9を透過した励起光は対物レンズ10で集光し、蛍光画像検出基板1に励起光を照射する。
【0082】
プローブ物質と蛍光物質で標識化されたターゲット物質との反応による反応生成物に励起光が照射されると、蛍光物質が励起し蛍光を発する。この反応生成物により発せられた蛍光は、再度対物レンズ10、XYスキャナー9およびダイクロックミラー8を透過する。XYスキャナー9のダイクロックミラー8を介して反対側に設置してある蛍光フィルター11を反応生成物により発せられた蛍光が透過し、集光レンズ12により集光され、光検出部13に入射する。
【0083】
光検出部13により、反応生成物により発せられた蛍光強度の分布が観測され、観測した蛍光強度の分布を電気信号に変換する。この電気信号は光検出部13で増幅され、相関検出部14により相関検出を行なう。相関検出部14には、データ入出力部(図示せず)を有しており、予め蛍光画像検出基板1のプローブパッドの大きさ、幾何パターンの形状等の外部情報をデータ入出力部に入力・記憶させ、データ入出力部が記憶した外部情報を相関検出部14に転送する。相関検出部14では、転送された外部情報をもとに幾何パターン分布を構成し、電気信号と共に相関検出を行なう。相関検出された電気信号は、データ入出力部により出力される。
【0084】
光源5は、励起光を照射するものであれば特に限定されず、例えば、レーザー、タングステンランプ、LED等公知の種々の光源を使用することができる。
【0085】
コリメーターレンズ6は、主に、光源5から出射された光をそれぞれ平行光束にするためのものであり、本発明では、公知の種々のコリメーターレンズを使用することができる。
【0086】
励起フィルター7は、光源5から照射された励起光から、励起に適した波長の光を通過させる。励起フィルター7に励起光を透過させる前にコリンメーターレンズ6に透過させてから励起フィルター7に励起光を透過させるようにしてもよく、コリンメーターレンズ6を透過させずに励起フィルター7に直接透過させるようにしてもよい。
【0087】
ダイクロックミラー8は、励起光の入射方向に対して垂直に反射するように設置されている。なお、図14において、励起フィルター7、ダイクロックミラー8およびXYスキャナー(ガルバノスキャナー)9の光学系は、共焦点スキャナーの例を示しているが、非共焦点光学系等を適用することもできる。また、ダイクロックミラー8の代わりに通常のハーフミラー等を使用してもよく、XYスキャナー9の代わりにプリズム等を使用してもよい。
【0088】
ダイクロックミラー8およびXYスキャナー9を透過した励起光は、対物レンズ10により集光され、蛍光画像検出基板1上に励起光を照射する。
【0089】
蛍光フィルター11は、特定の波長を有する蛍光のみを透過させる。蛍光フィルター11は、反応生成物の発する蛍光波長によってLPフィルター、SPフィルターおよびBPフィルター等適宜変更することができる。
【0090】
集光レンズ12は、反応生成物により発せられた蛍光を集光し、集光された蛍光は光検出部13へ入射する。本発明で使用する集光レンズ12は、公知の種々の集光レンズを使用することができる。
【0091】
光検出部13は、反応生成物により発せられた蛍光強度の分布を観測すると、電気信号に変換して増幅する。光検出部13には、例えば、CCD等のアレイ型検出器、光電子倍増管(PMT)、フォトダイオード等公知の種々の増幅器を使用することができる。なお、光検出部13にCCDを使用した場合、XYスキャナー9の設置を省略することができる。
【0092】
なお、プローブパッド2が、蛍光画像検出基板1上に幾何パターン状に重ねて固定されている場合であっても、反応生成物により発せられた蛍光強度の分布を電気信号に変換・増幅する。
【0093】
光検出部13により増幅された電気信号は、相関検出部14により相関検出が行なわれる。
【0094】
相関検出部14は、データ入出力部(図示せず)を有しており、測定前に外部情報を予めデータ入出力部に入力し、記憶させる。データ入出力部が記憶した外部情報を相関検出部14に転送し、これをもとに幾何パターン分布を構成し、幾何パターン分布と電気信号との相関検出を行なう。相関検出された電気信号は、蛍光画像としてデータ入出力部により出力、表示される。
【0095】
予めデータ入出力部に入力する外部情報として、例えば、蛍光画像検出基板1の各プローブパッド2の大きさ、どのような幾何パターン状に固定されているか、図4に示したようなアレイ状でプローブ物質が固定されているのか、プローブパッド2が重ねて固定されているのか等を入力する。
【0096】
また、プローブパッド2が擬似ランダム符号または直交コード等で蛍光画像検出基板1に固定されている場合、符号もしくはコード、プローブパッド2の各単位パターン3の大きさ、単位パターン3の総数等も併せて入力する。
【0097】
さらに、プローブパッド2が縞状パターンで蛍光画像検出基板1に固定されている場合、プローブ物質が固定されている箇所と固定されていない箇所の総数、ピッチ幅等も併せて入力する。なお、これら外部情報は、後述するプログラムや記憶媒体等に保存させることもできる。
【0098】
図15は、相関検出部14の回路構成図であり、蛍光画像検出基板1の幾何パターンが縞状パターンであって、空間角振動数がωの場合に反応生成物より発せられたな蛍光をスキャンした状態を示している。相関検出における積分は、ローパスフィルター(LPF)15により行なう。相関検出は、幾何パターン分布p(x)と相関の高い信号の検出を行なう。測定信号s(x)に含まれる各種信号のうち、幾何パターン分布p(x)と相関の高い成分のみが直流となり、ローパスフィルター15を通過することができる。パターン信号p(x)と相関の低い成分は、周波数が0Hz以外の交流信号に変換されるのでローパスフィルター15により除去される。
【0099】
また、図16のように、幾何パターン分布p(x)と測定信号s(x)間の位相差を0°に調整し、PSD17に幾何パターン分布p(x)を入力する位相回路16を利用することもできる。なお、相関検出は、アナログ回路を用いて行なってもよく、デジタル回路を用いて行なってもよく、コンピュータおよびソフトウェアを用いて数値的に相関解析を行なうこともできる。
【0100】
さらに、プローブ物質の幾何パターンが縞状パターンである場合、相関検出の代わりにフーリエ変換を行ない、予め既知の縞状パターンの空間周波数を抽出するようにしてもよい。
【0101】
次に、本発明のプログラムについて図面を参照にしながら詳細に説明する。なお、上述した内容と重複する箇所については説明を省略する。
【0102】
図16は、本発明のプログラムの処理の流れを示したフローチャートである。ステップ32からステップ36までが本発明のプログラムに相当し、本発明の蛍光画像検出器でjpeg等のデジタル画像データとプローブ物質の幾何パターン等の情報をもとにコンピュータで相関度を解析する。
【0103】
本発明のプログラムの動作は、まず、プローブ物質とターゲット物質との反応生成物により発せられた蛍光強度の分布を観測し、光検出部13により電気信号に変換し、増幅する(ステップ32)。
【0104】
反応生成物により発せられた蛍光強度の分布を観測し、電気信号に変換・増幅した後、予めデータ入出力部により入力、記憶させたプローブ物質の幾何パターンに関する外部情報を読み取る(ステップ33)。具体的には、プローブ物質は、どのような幾何パターンで蛍光画像検出基板1に固定されているか、プローブ物質が重なって蛍光画像検出基板1に固定されているか否かを判断する。プローブ物質を重ねて固定している場合、どの単位パターン3が蛍光を発しているか確認して読み取る。
【0105】
また、プローブ物質が擬似ランダム符号または直交コード等で蛍光画像検出基板1に固定されている場合、プローブパッド2の各単位パターン3の大きさ、単位パターン3の総数等も併せて確認して読み取る。
【0106】
さらに、プローブ物質が縞状パターンで蛍光画像検出基板1に固定されている場合、プローブ物質が固定されている箇所と固定されていない箇所の総数、ピッチ幅等も併せて確認して読み取る。
【0107】
ステップ33の終了後、読み取った外部情報をもとにプローブ物質の幾何パターン分布を構成する(ステップ34)。
【0108】
プローブ物質の幾何パターン分布の構成後、相関検出を行ない(ステップ35)、相関度を出力、表示を行なう(ステップ36)。
【0109】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、またはプログラムをインストールすることで、プログラムの機能を実行することが可能なコンピュータ等に記録媒体等からインストールされるようにすることもできる。
【0110】
また、本発明のプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。記録媒体とは、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、MO、DVD等の可搬媒体や、ROM、RAM、HD等の固定媒体、あるいは、LAN、インターネット等のネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線等のようなプログラムを保持する公知の種々の通信媒体を含む。
【0111】
コンピュータが読み取ったプログラムを実行することにより、上述した一連の処理を実行するだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した一連の処理を実現するようにもできる。
【0112】
さらに、記憶媒体から読み取られたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備えられたメモリーに書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した一連の処理を実行するようにもできる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0114】
蛍光画像検出基板1に蛍光色素(フルオレセイン溶液)を図10(A)のような縞模様のパターンで印刷した。縞模様のピッチ幅pは0.2mmで、単位パターン数を30本とした(以下、実施例1という)。また、図10(B)に示すように、比較例として、実施例1と同じ条件で矩形領域に均一に蛍光色素を印刷した。実施例1と比較例をバックグランド光が強く、かつ、励起光が弱い劣悪な条件で蛍光強度を顕微鏡で測定した。なお、測定の際には、カットオフ波長500nmのフィルターで励起光を遮断した。
【0115】
測定結果を図11に示す。画像の階調は、256階調である。白色が蛍光強度0を示し、黒色が蛍光強度が強いことを示している。
【0116】
蛍光強度の分布を図13に示す。図12にデータスキャン位置を示す。A−A´がパターン上の分布を表す。B−B´は従来法の均一なパッド上の分布を表す。C−C´は蛍光色素が固定していない領域の検出光の分布を表す。
【0117】
表2に、実施例によって得られたシグナルとノイズのパワーとS/N比を比較例とともに示す。
【0118】
【表2】

従来法ではS/N比が0.13程度であるのに対し、本発明では、7.13となり、約55倍S/N比が向上することが確認された。このことにより、本発明は、バックグラウンドのノイズと蛍光信号のS/N比を向上させることができるので、誤検出を防止することができることがわかる。また、相関検出を行なうことにより、蛍光強度が微弱であってもシグナルを誤検出することなく検出することができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態の手順の例を示すフローチャートである。
【図2】プローブ物質をパターン化して配置する一例を示した図である。
【図3】M系列を適用して、プローブ物質をパターン化した場合の蛍光画像検出基板の一部を抜き出した図である。
【図4】本発明のDNAチップ蛍光画像検出基板の概念図である。
【図5】(a):幾何的にパターン化したプローブ物質を示した図である。(b):幾何的にパターンしたものを関数とした図である。(c):蛍光強度の空間分布である。
【図6】本発明の第2実施形態の手順の例を示すフローチャートである。
【図7】(a):従来の方法を用いてプローブ物質を重ねて固定した場合を示した図である。(b):(a)の方法により蛍光検出を行なった場合の様子を示した図である。(c):幾何的にパターン化したプローブ物質を重ねて固定した場合を示した図である。(d):(c)の方法により蛍光検出を行なった場合の様子を示した図である。
【図8】プローブ物質を含有する溶液を順次重ねてスポットする方法を示した図である。
【図9】プローブ物質を重ねてハイブリダイゼーションを行なう場合を示した図である。
【図10】(A):実施例で使用した、印刷した縞模様のパターンを示した図である。(B)比較例のパターンを示した図である。
【図11】実施例で得られた蛍光画像を示した図である。
【図12】蛍光強度分布のデータをスキャンしたスキャン位置を示した図である。
【図13】蛍光強度分布を示すグラフである。
【図14】蛍光画像検出器の概略図である。
【図15】相関検出部の蛍光をスキャンした場合の回路構成例を示した図である。
【図16】相関検出部において、パターン信号(x)と測定信号s(x)の位相回路を示した図である。
【図17】本発明のプログラムの処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
1 蛍光画像検出基板
2 プローブパット
3 単位パターン
4 本体
5 光源
6 コリメーターレンズ
7 励起フィルター
8 ダイクロックミラー
9 XYスキャナー(ガルバノスキャナー)
10 対物レンズ
11 蛍光フィルター(吸収フィルター)
12 集光レンズ
13 光検出部
14 相関検出部
15 ローパスフィルター(LPF)
16 位相回路
17 PSD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光画像検出基板上に固定されている複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを前記蛍光画像検出基板上で反応させ、前記反応後の反応生成物の蛍光の蛍光画像を測定することにより、前記プローブ物質と前記ターゲット物質との反応を検出する蛍光画像検出方法において、前記複数のプローブ物質からなる少なくとも一つのプローブパッドが幾何パターン状となるように前記蛍光画像検出基板に固定し、前記蛍光画像を測定することを特徴とする蛍光画像検出方法。
【請求項2】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドをアレイ状に前記蛍光画像検出基板に固定する請求項1に記載の蛍光画像検出方法。
【請求項3】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドを重ねて前記蛍光画像検出基板に固定する請求項1に記載の蛍光画像検出方法。
【請求項4】
前記反応後に前記各プローブ物質に対して蛍光強度の分布と幾何パターン分布を相関検出する請求項1乃至3のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項5】
前記幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンである請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項6】
前記幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンである請求項1乃至5のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項7】
前記幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンである請求項1乃至6のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項8】
前記擬似ランダム符号、前記直交コード、前記2次元コードおよび前記縞状パターンにおいて、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所とを有する請求項1乃至7のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項9】
前記幾何パターンが前記縞状パターンである場合、前記相関検出のかわりにフーリエ変換を行なう請求項1、6または8に記載の蛍光画像検出方法。
【請求項10】
前記プローブ物質は、プローブDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項1乃至9のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項11】
前記ターゲット物質は、ターゲットDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項1乃至10のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項12】
前記プローブ物質が、前記プローブDNAであって、かつ、前記ターゲット物質が前記ターゲットDNAである場合、前記反応とは、ハイブリダイゼーションである請求項1乃至11のいずれかに記載の蛍光画像検出方法。
【請求項13】
少なくとも一面にプローブ物質が複数固定されている蛍光画像検出基板であって、前記複数のプローブ物質からなる少なくとも一つのプローブパッドが幾何パターン状となるように固定することを特徴とする蛍光画像検出基板。
【請求項14】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドをアレイ状に固定する請求項13に記載の蛍光画像検出基板。
【請求項15】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドを重ねて固定する請求項13に記載の蛍光画像検出基板。
【請求項16】
前記幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンである請求項13乃至15のいずれかに記載の蛍光画像検出基板。
【請求項17】
前記幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンである請求項13または16に記載の蛍光画像検出基板。
【請求項18】
前記幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンである請求項13乃至17のいずれかに記載の蛍光画像検出基板。
【請求項19】
前記擬似ランダム符号、前記直交コード、前記2次元コードおよび前記縞状パターンにおいて、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所とを有する請求項13乃至18のいずれかに記載の蛍光画像検出基板。
【請求項20】
前記プローブ物質は、プローブDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項13乃至19のいずれかに記載の蛍光画像検出基板。
【請求項21】
励起光を照射する光源と、蛍光画像検出基板上に幾何パターン状に固定されている少なくとも一つのプローブパッド中の複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを反応させ、前記反応後に反応生成物に前記励起光を照射し、前記蛍光物質の励起した蛍光強度の分布を観測し、観測した前記蛍光強度の分布を電気信号に変換し、前記電気信号を増幅する光検出部と、該光検出部により増幅された前記電気信号を相関検出する相関検出部と、該相関検出部により相関検出した前記電気信号を入出力するデータ入出力部と、を備えた蛍光画像検出器であって、前記データ入出力部は、外部情報を入力・記憶し、入力・記憶した前記外部情報を前記相関検出部に転送し、前記相関検出部は、転送された前記外部情報をもとに幾何パターン分布を構成し、前記電気信号と前記幾何パターン分布との相関を検出することを特徴とする蛍光画像検出器。
【請求項22】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドをアレイ状に前記蛍光画像検出基板に固定する請求項21に記載の蛍光画像検出器。
【請求項23】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドを重ねて前記蛍光画像検出基板に固定する請求項21に記載の蛍光画像検出器。
【請求項24】
前記幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンである請求項21乃至23のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項25】
前記幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンである請求項21乃至24のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項26】
前記幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンである請求項21乃至25のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項27】
前記擬似ランダム符号、前記直交コード、前記2次元コードおよび前記縞状パターンにおいて、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所とを有する請求項21乃至26のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項28】
前記幾何パターンが前記縞状パターンである場合、前記相関検出のかわりにフーリエ変換を行なう請求項21乃至27のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項29】
前記プローブ物質は、プローブDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項21乃至28のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項30】
前記ターゲット物質は、ターゲットDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項21乃至29のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項31】
前記プローブ物質が、前記プローブDNAであって、かつ、前記ターゲット物質が前記ターゲットDNAである場合、前記反応とは、ハイブリダイゼーションである請求項21乃至30のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項32】
前記外部情報とは、前記蛍光画像検出基板の大きさ、前記プローブパッドの大きさ、前記各プローブ物質の前記幾何パターンの大きさ、適用した前記幾何パターンである請求項21乃至31のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項33】
前記擬似ランダム符号、前記直交コードまたは前記2次元コードを適用して前記プローブ物質を前記蛍光画像検出基板に固定している場合、前記外部情報として、さらに、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所の総数、前記各プローブ物質の大きさを入力する請求項21乃至24、26、27、29乃至32のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項34】
前記縞状パターンを適用して前記プローブ物質を蛍光画像検出基板に固定している場合、前記外部情報として、さらに、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所の総数、前記ピッチ幅を入力する請求項21乃至23、25、28乃至32のいずれかに記載の蛍光画像検出器。
【請求項35】
蛍光画像検出基板上に幾何パターン状に固定されている少なくとも一つのプローブパッド中の複数のプローブ物質と、蛍光物質で標識化されたターゲット物質とを反応させ、前記反応後に反応物に前記励起光を照射し、前記蛍光物質の励起した蛍光強度の分布を観測し、観測した前記蛍光強度の分布を電気信号に変換し、前記電気信号を増幅するステップと、該ステップにより増幅された前記電気信号を、予め入力した外部情報を読み取るステップと、該ステップにて入力した前記外部情報をもとに幾何パターン分布を構成するステップと、前記電気信号と前記外部情報との相関を検出するステップと、該ステップにより得られた相関度を出力・表示するステップと、を備えた蛍光画像検出方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項36】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドをアレイ状に前記蛍光画像検出基板に固定する請求項35に記載のプログラム。
【請求項37】
前記プローブパッドが二つ以上ある場合、前記プローブパッドを重ねて前記蛍光画像検出基板に固定する請求項35に記載のプログラム。
【請求項38】
前記幾何パターン状とは、擬似ランダム符号または直交コードを適用したパターンである請求項35乃至37のいずれかに記載のプログラム。
【請求項39】
前記幾何パターン状とは、等間隔のピッチ幅を有する縞状パターンである請求項35乃至38のいずれかに記載のプログラム。
【請求項40】
前記幾何パターン状とは、2次元コードを適用したパターンである請求項35乃至39のいずれかに記載のプログラム。
【請求項41】
前記擬似ランダム符号、前記直交コード、前記2次元コードおよび前記縞状パターンにおいて、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所とを有する請求項35乃至40のいずれかに記載のプログラム。
【請求項42】
前記幾何パターンが前記縞状パターンである場合、前記相関検出のかわりにフーリエ変換を行なう請求項35乃至41のいずれかに記載のプログラム。
【請求項43】
前記プローブ物質は、プローブDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項35乃至42のいずれかに記載のプログラム。
【請求項44】
前記ターゲット物質は、ターゲットDNA、RNA、抗原、抗体もしくはたんぱく質である請求項35乃至43のいずれかに記載のプログラム。
【請求項45】
前記プローブ物質が、前記プローブDNAであって、かつ、前記ターゲット物質が前記ターゲットDNAである場合、前記反応とは、ハイブリダイゼーションである請求項35乃至44のいずれかに記載のプログラム。
【請求項46】
前記外部情報とは、前記蛍光画像検出基板の大きさ、前記プローブパッドの大きさ、前記各プローブ物質の前記幾何パターンの大きさである請求項35乃至45のいずれかに記載のプログラム。
【請求項47】
前記擬似ランダム符号、前記直交コードまたは前記2次元コードを適用して前記プローブ物質を前記蛍光画像検出基板に固定している場合、前記外部情報として、さらに、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所の総数、前記各プローブ物質の大きさを入力する請求項35乃至38、40、41、43乃至44のいずれかに記載のプログラム。
【請求項48】
前記縞状パターンを適用して前記プローブ物質を蛍光画像検出基板に固定している場合、前記外部情報として、さらに、前記プローブ物質が固定されている箇所と前記プローブ物質が固定されていない箇所の総数、前記ピッチ幅を入力する請求項35乃至37、39、42乃至44のいずれかに記載のプログラム。
【請求項49】
請求項35乃至48のいずれかに記載されたプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−46933(P2007−46933A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229250(P2005−229250)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】