説明

衛星測位システム(SPS)信号の測定処理用の方法および装置

【課題】多様な種類の入手可能なデータを活用し、最適場所解を得る。
【解決手段】対応する複数のSPS衛星からのSPS信号が、SPS受信機で受信される。SPS受信機の場所に対応する信号環境が特徴付けられ、信号環境データが生成される。例えば、GPS受信機の近似場所を考慮して、セルラーネットワークベースのデータベース等の情報源が探索され、信号環境データを検索する。この近似場所は、GPS受信機と同じ場所に配置されるセルラー通信装置とセルラー無線通信しているセルサイトの場所によって指定されてよい。衛星信号の信号特徴に関連するパラメータが定義され、パラメータの閾値は信号環境データを用いて求められる。複数の衛星からの衛星信号の到着時刻に対応するコードフェーズが測定される。測定されたデータが、GPS受信機の場所修正が計算される到着時刻の集合を生じさせるためにパラメータの閾値を使用して調べられる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、1998年7月2日に提出された同時係属出願連続番号第09,109,112号の一部継続である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、グローバル測位システム(GPS)受信機などの衛星測位システム(SPS)の分野に関し、さらに特定するとSPS信号の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
グローバル測位システム(GPS)受信機は、通常、同時に非常に多数のGPS(またはNAVSTAR)衛星から送信される信号の到着時刻を計算することによってその位置を突き止める。これらの衛星は、そのメッセージの一部として、クロックタイミングに関するデータ、いわゆる「天体暦」データだけではなく衛星測位データの両方も送信する。GPS信号を探索し、獲得し、非常に多数の衛星の天体暦データを読み取り、このデータから受信機の場所を計算するプロセスは、時間がかかり、多くの場合、数分を要する。多くの場合、この冗長な処理時間は受け入れ難く、さらに、縮小型携帯用途での電池耐用期間を大幅に制限する。
【0004】
GPS受信システムには2つの主要な機能がある。第1は、多様なGPS衛星までの疑似範囲の計算であり、第2はこれらの疑似範囲および衛星タイミングおよび天体暦データを使用して受信機の位置を計算することである。疑似範囲は、ローカルクロックにより測定される衛星信号の到着時刻にすぎない。この疑似範囲の定義はコードフェーズと呼ばれることもある。衛星天体暦およびタイミングデータは、いったんそれが獲得、追跡調査されると、GPS信号から抽出される。前述されるように、この情報の収集は、通常、相対的に長い時間(30秒から数分まで)を要し、低誤り率を達成するためには優れた受信信号で成し遂げられなければならない。
【0005】
大部分のGPS受信機は、疑似範囲を計算するために相関方法を活用する。これらの相関方法は、実時間で、多くの場合、ハードウェア相関器を用いて実行される。GPS信号は、疑似範囲(PN)シーケンスと呼ばれる高い率の反復信号を含む。民間用途に利用可能なコードは、C/A(粗/獲得)コードと呼ばれ、バイナリ相反転率、つまり1.023MHzという「チッピング(chipping)」率、および1ミリ秒というコード期間に1023チップという反復率を有する。コードシーケンスはゴールドコードと呼ばれているファミリに属し、各GPS衛星は固有のゴールドコードで信号を一斉送信する。
【0006】
ベースバンドへのダウンコンバートプロセスに続く、任意のGPS衛星から受信される信号の場合、相関受信器が、そのローカルメモリ内に記憶されている適切なゴールドコードの記憶されたレプリカで受信信号を乗算してから、信号の存在の表示を得るために積を積分する、つまり低域フィルタにかける。このプロセスは「相関」動作と呼ばれる。この記憶されたレプリカの受信信号を基準にした相対時間を連続して調整し、相関出力を観察することによって、受信機は受信信号およびローカルクロック間の時間遅延を求めることができる。このような出力の存在の初期判断が「獲得」と呼ばれる。いったん獲得が発生すると、プロセスは、高相関出力を維持するために、局所基準のタイミングが少量で調整される「追跡調査」フェーズに入る。追跡調査フェーズ中の相関出力は、疑似ランダムコードが取り除かれた、つまり一般的な専門用語では「逆拡散」GPS信号として見なされてよい。この信号は狭帯域であり、帯域幅は、GPS波形に重畳される毎秒当たり50ビットのバイナリ位相偏移変調(BPSK)データ信号と比例する。
【0007】
相関獲得プロセスは、特に受信信号が弱い場合には、非常に時間を要する。獲得時間を改善するために、大部分のGPS受信機は、相関ピークの並列探索を可能にする非常に多数(典型的には、最高36)の相関器を活用する。
【0008】
衛星信号は見通し線であり、また金属材料およびその他の材料によって遮られるため、従来のGPS受信装置は、典型的には、開かれた空間でGPS信号を受信するように設計されている。改善されたGPS受信機は、GPS衛星信号を、室内で、あるいは純粋な反射である弱い1つまたは複数の多重路信号がある場合に、GPS衛星信号の追跡調査を可能にする信号感度を提供する。しかしながら、このような弱いGPS信号を獲得する能力は、典型的には、その他の問題を引き起こす。例えば、強い信号と弱い信号の同時追跡調査により、受信機は、真の信号ではない相互相関信号を追尾することがある。弱い真のピークを見つける代わりに、さらに強力な相互相関ピークがされることがある。弱い衛星信号の追跡調査は、それが直接信号であることを保証しない。この弱い信号は、反射信号、または直接信号と間接信号の組み合わせであってよい。組み合わされた信号は、多重路信号と呼ばれる。反射された信号の経路は、典型的には、直接信号の経路より長い。この経路長の差異が、反射信号の到着時刻測定を遅延させる、あるいは対応するコードフェーズ測定に正のバイアスを含ませる。一般的には、バイアスの大きさは、反射経路と直接経路間の相対的な遅延に比例する。おそらく直接信号成分が不在であることから、(狭相関器またはストローブ相関器などの)既存の多重路削減技術は陳腐になる。
【0009】
したがって、多様な種類の入手可能なデータを最適に活用し、最適場所解を達成する測定処理アルゴリズムを提供することが望ましい。
【発明の開示】
【0010】
SPS信号の測定処理用の方法および装置が開示される。本発明の1つの実施態様では、対応する複数のGPS衛星からの複数のGPS信号が、1台のGPS受信機で受信される。GPS受信機が位置する場所に対応する信号環境は、信号環境データを生成するために特徴付けられる。1つの例示的な実施形態においては、セルラーネットワークベースのデータベースなどの情報源が、GPS受信機の近似位置を考慮して、信号環境データを検索するために探索される。この近似場所は、GPS受信機と同じ場所に配置されるセルラー通信装置とセルラー無線通信しているセルサイトの場所によって指定されてよい。衛星信号の信号特徴に関係する1つまたは複数のパラメータが定められる。パラメータの閾値は、信号環境データを使用して求められる。複数の衛星からのそれぞれの衛星信号の到着時刻に対応するコードフェーズが測定される。測定された到着時刻を表すデータが、GPS受信機の場所の解が計算される到着時刻の集合を生成するために、パラメータの閾値を使用して調べられる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、GPS受信機が位置する場所に対応する信号環境は、信号環境データを生成するために特徴付けられる。この信号環境データは、SPS信号が場所の中で伝搬される方法を反映する。信号環境データは、その結果、GPS受信機によって受信されるSPS信号を表すデータを処理するために使用される、少なくとも1つの処理値を求めるために使用される。
【0012】
本発明の1つの特定の実施形態では、セルベース情報源(例えば、セルラー電話網ベースのデータベース)は、SPS信号が、SPS受信機が位置する場所で伝搬される方法を表す信号環境データを決定するために使用され、この場所でのSPS受信機によるSPS信号は、信号環境データによって指定される方法で処理される。
【0013】
本発明の別の実施形態では、SPS信号を処理する方法が、第1SPS衛星からのSPS信号の同じ集合から2つ(または3つ以上の)相関ピークの存在を突き止める。SPS信号の集合の到着時刻を表す測定値は、2つ(または3つ以上の)相関ピークから引き出される。典型的には、より早期の相関ピークは、反射経路よりむしろ、SPS信号の集合の直接経路を表し、より早期の相関ピークがSPS信号の集合の到着時刻を表す測定を引き出すために使用される。
【0014】
本発明のそれ以外の特徴および実施形態は、以下に続く添付図面から、および詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
衛星測位システム(SPS)信号を測定処理するための方法および装置が説明される。
【0016】
以下の説明では、本発明の実施形態が、SPSシステムの一例である米国グローバル測位システム(GPS)システムでの適用を参照して説明されるだろう。しかしながら、これらの方法が、ロシアのグロナス(Glonass)システムなどの他の衛星測位システムにも等しく適用できることは明らかであるはずである。このようにして、ここに使用されている用語「GPS」は、ロシアのグロナスシステムを含むこのような代替衛星測位システムを含む。同様に、用語「GPS信号」は、代替衛星測位システムからの信号を含む。
【0017】
さらに、本発明の実施形態は、GPS衛星に関して説明されるが、教示が、擬似衛星(psuedolites)または衛星と擬似衛星の組み合わせを活用する測位システムに等しく適用可能であることが理解されるだろう。擬似衛星とは、一般的にはGPS時間と同期されるLバンド(またはその他の周波数)搬送波信号で変調される(GPS信号に類似する)PNコードを一斉送信する地上ベースの送信機である。各送信機には、遠隔受信機による識別を可能とするために固有のPNコードが割り当てられてよい。擬似衛星は、軌道に乗っている衛星からのGPS信号が、トンネル、炭坑、建物、都市の深い峡谷またはその他の封じ込められた区域で利用できない状況で有効である。用語「衛星」は、ここで使用されているように、擬似衛星または擬似衛星の同等物を含むことが意図され、用語GPS信号は、ここで使用されているように、擬似衛星または擬似衛星などからのGPS状の信号を含むことが意図される。
【0018】
GPS受信システム
図1は、本発明の方法を実現するために使用できるGPS受信システムのブロック図である。図1のGPS受信システムは、GPS処理段階または通信段階を含む移動または遠隔GPS受信機装置20を含む。このようにして、GPS受信機装置20は、通信リンクを通して送受される通信信号を処理するために必要とされる機能だけではなく、GPS信号を処理するために必要とされる機能も実行するための回路構成要素を含む。データリンク16などの通信リンクは、典型的には、通信アンテナ14を有する基地局10などの別の通信構成要素への無線周波数通信リンク(例えば、セルラー電話通信リンク)である。
【0019】
従来のGPS方法に従って、GPS受信機20は、軌道に乗っているGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、受信されたPNコード信号シーケンスと内部で生成されるPN信号シーケンス間の時間シフトを比較することによって、固有の疑似ランダム雑音(PN)コードの到着時刻を決定する。GPS信号はGPSアンテナ40を通して受信され、多様な受信衛星のためにPNコードを獲得する獲得回路に入力される。獲得回路によって作られるナビゲーションデータ(例えば、疑似範囲データ)は、データ通信リンク16での送信のためのプロセッサによって処理される。
【0020】
GPS受信機20は、データリンク16上での通信用のモデム22として図示されている通信トランシーバセクションも含む。モデム22は、通信アンテナ24に接続される。モデム24は、GPS受信機20によって処理されるナビゲーションデータを、通信信号(典型的には無線周波数信号)を通して、基地局などの遠隔基地局へ送信する。ナビゲーションデータは、GPS受信機の実際の緯度、経度、および高度であってよいし、あるいは未処理のデータまたは部分的に処理されたデータであってもよい。受信された通信信号は、モデム22に入力され、処理、および音声スピーカを通して出力するために、プロセッサに送られる。
【0021】
本発明の1つの実施形態に従って、GPS受信機20によって生成された疑似範囲データは、データリンク16上で基地局1に送信される。次に、基地局10は、結合された受信機からの疑似範囲データ、疑似範囲が測定された時刻、および専用のGPS受信機(例えば、GPSアンテナを通した)からの天体暦データ、あるいはGPS基準受信機のネットワークなどのデータのそれ以外のソースに基づき、GPS受信機20の場所を決定する。次に、場所データは、GPS受信機20へ、あるいは他の遠隔場所へ送信して戻される。GPS受信機20と基地局10間のデータリンクは、直接リンクまたはセルラー電話リンク、あるいはそれ以外の種類の無線リンクを含む、数多くの多様な実施形態で実現してもよい。
【0022】
本発明の1つの実施形態においては、基地局10は、GPS受信機20に、データリンク16上で送信されるメッセージを通して場所測定を実行するように命令する。このメッセージの中で、基地局10は、視界内の衛星のドップラー関連情報(またはドップラーがその中から引き出されてよい衛星暦などのその他の情報)も送信する。ドップラー関連情報は、ドップラー変更率、ドップラー加速またはドップラー関連情報のそれ以外の数学表記も含んでよい。ドップラー情報とは、衛星の位置と速度に関係する衛星データ情報の形式であり、典型的には周波数情報の形を取る。メッセージは、典型的には、視界内の特定の衛星の識別、あるいはそれ以外の初期化データも指定する。メッセージはモデム22によって受信され、マイクロプロセッサ26と接続されるメモリ30内に記憶される。マイクロプロセッサ26は、遠隔装置処理要素32から48とモデム22間でのデータ情報転送を取り扱う。
【0023】
このような、必要なドップラー情報の精度は高くないため、メッセージに含まれているドップラー情報は、典型的には、長さが非常に短い。例えば、10Hzの精度が必要とされ、最大ドップラーが約±7kHzである場合には、視野内の各衛星には11ビットのワードで十分だろう。必要に応じて、ドップラー変化率情報を送信するために付加ビットを要する。8つの衛星が視野内にある場合には、88ビットがすべてのこのようなドップラーを指定するために必要とされるだろう。この情報の使用は、遠隔20がこのようなドップラーを探索する必要性を排除し、それにより10の係数を超える分、その処理時間を短縮する。ドップラー情報を使用することにより、GPS受信機20は、デジタルメモリに記憶されているデジタル化されたGPS信号の集合体などのGPS信号のサンプルをさらに迅速に処理できるようになる。
【0024】
GPS受信機20が、ドップラー情報を含むメッセージを通してGPS信号を処理するための(例えば、基地局10からの)コマンドを受信すると、マイクロプロセッサ26が、電池および電力調整器、ならびに電力切替え回路36(および制御されている電力線21a、21b、21cおよび21d)を介して、RF/IF変換器42、アナログ/デジタル(A/D)変換器44、およびデジタルスナップショットメモリ46を起動し、それによってこれらの構成部品に完全な電力を提供する。これにより、アンテナ40を介して受信されるGPS衛星からの信号を、無線周波数(RF)から中間周波数(IF)にダウンコンバートし、その後、この信号はA/D変換器44内でデジタル化される。それから、典型的には、100ミリ秒から1秒(またはなおさらに長い)期間に対応するこのようなデータの隣接する集合が、スナップショットメモリ46内に記憶される。このデータを記憶するためのこのメモリ46のアドレス処理は、利用者書込み可能ゲートアレイ(FPGA)集積回路48によって制御される。GPS信号のダウンコンバートは、以下にさらに詳説されるように、変換器42にローカル発振器信号39を提供する周波数合成器38を使用して達成される。
【0025】
スナップショットメモリ46が、視野内の衛星からのデジタル化されたGPS信号で満たされている時間期間中、DSPマイクロプロセッサ32は、低電力状態で保たれてよい。RFからIF変換器42およびA/D変換器44は、典型的には、疑似範囲計算に必要とされるデータを収集、記憶するのに十分な短い期間の間だけオンに切り替えられる。データ収集が完了した後、これらの変換器回路はオフにされ、(メモリ46には完全な電力がを供給され続けるが)電力は、それ以外の場合、制御されている電力回線21bおよび21cを介して削減され、このようにして実際の疑似範囲計算中の余分な電力消費に寄与しない。次に、疑似範囲計算は、本発明の1つの実施形態内で、汎用プログラム可能デジタル信号プロセッサ(DSP)IC32を使用して実行される。DSP32は、このような計算を実行する前に、制御されている電力線21eを介して、マイクロプロセッサ26および回路36によってアクティブ電力状態にされる。
【0026】
1つの実施形態では、DSP32は、他のGPS装置で使用されるように、特殊化されたカスタムデジタル信号プロセッサとは対照的に汎用プログラム可能プロセッサである。DSP32がいったん視野衛星ごとに疑似範囲の計算を完了した後、DSP32が、データリンクを介して供給されるか、あるいは標準復調技術を通して収集される衛星天体暦データを使用してその最終位置を計算するようにしてもよい。または、最終位置計算を提供する基地局(例えば、基地局10)に疑似範囲を送信してもよい。図12は、この場合にSPSサーバとして参照される基地局の例を示す。SPSサーバは、セルラー電話網を通してSPS受信機/セル電話および公衆加入電話網(PSTN)に通信できるようにリンクされる。
【0027】
発明の1つの実施形態では、DSP32は、この位置情報を相互接続バス33を介してマイクロプロセッサ26に送信する。この時点で、マイクロプロセッサ26は、適切な制御信号を電池および電力調整器回路36に送信することによって、DSP32およびメモリ46を再び低電力状態に入らせる。マイクロプロセッサ26は、それからモデム22を使用し、最終位置計算のため、または表示装置(図示されていない)での出力のために、データリンク16上で基地局10へ疑似範囲データまたは位置データを送信する。
【0028】
DSP32での位置計算は、デジタルスナップショットメモリ46内に記憶されているデータ量およびDSPの速度に応じて、典型的には数秒未満の時間を要するだろうと予想される。
【0029】
前記に示されたように、デジタルスナップショップメモリ46は、相対的に長い時間期間に相当するレコードを捕捉する。高速畳み込み方法を使用するデータのこの大きなブロックの効率的な処理は、信号を低い受信レベル(例えば、受信が建物、木などの部分的な妨害物のために不充分であるときに)で処理する本発明の能力に貢献する。このような方法の例は、米国特許第5,663,734号に説明されている。可視GPS衛星のすべての疑似範囲は、この同じバッファ化されたデータを使用して計算される。これは、信号振幅が急速に変化している(都市妨害物状態などの)状況でGPS受信機を連続追跡調査することに関する性能の改善を実現する。
【0030】
さまざまなGPS受信機アーキテクチャを、本発明と使用することができる。前記説明はデジタルメモリおよびデジタル信号プロセッサ付きのGPS受信機に焦点を当ててきたが、他のGPS受信機アーキテクチャが本発明の方法のすべてまたは一部を実行してよく、本発明の装置のすべてまたは部分を形成してよい。例えば、従来のハードウェア相関器様式のGPS受信機は、本発明とともに使用されてよい。また、PCT出願PCT/US98/07471号またはPCT/US98/11375号またはPCT/US97/06946号(公開第97/40398号)に説明されるGPS受信機を、本発明と使用することができる。それぞれの場合では、SPS衛星(例えば、図3)ごとの相関器が、本発明の測定処理技術で使用するために保存される。
【0031】
それぞれの場合では、受信機自体が、これらの測定処理技術の1つの処理全体を実行してもよいし、あるいは技術の処理の一部を実行し、中間処理結果を図12に図示されるようにSPSサーバなどの「サーバ」システムに転送してもよい。このサーバシステムにより処理が完了する。GPS受信機(例えば、移動装置20)がこれらの技術の1つのために処理のすべてを実行する場合は、GPS受信機はセルラー電話システムなどのその通信リンクを通して外部ソースから補助データを受信してもよい。信号環境(および関連するパラメータ値)の特徴付けなどのこの補助データは、移動装置20に送信されてもよい。GPS受信機が処理のいくらかを実行する場合は、GPS受信機は、典型的には、(図3に図示されているデータなどの)SPS衛星ごとに相関器出力のサンプルを記憶し、これらの相関器出力は、本発明の測定処理技術を実行するサーバシステムに送信される。
【0032】
測定処理
本発明の1つの実施形態においては、改善されたGPS受信機が、視野内の衛星ごとのいくつかの異なる形式のデータを処理する。これらのデータ形式は、(到着時刻を測定する)メインピークとも呼ばれる最大相関ピーク値に対応するコードフェーズ、(例えば、1/8、1/4、1/2、1 C/Aコードチップで、または何らかの他の任意の間隔で計算される)最大相関ピーク値周辺のコードフェーズの組、(例えば、ピークより3dB低いなどのなんらかの選択された信号レベルで計算される)相関ピーク幅、(コードフェーズ変化率を側定数)ドップラー、信号対混信率(SIR)、積分期間、および複数のピーク、およびメインピークを基準にしたその場所(複数の場合がある)の存在を示すフラグを含む。
【0033】
発明の典型的な実施形態においては、信号環境は、SPS信号(例えば、SPS信号のSNR)に関して測定されるこれらのデータ型式を使用することにより特徴付けられ、これが、SPS信号がSPS受信機の場所で局所的に(例えば、電離圏内においてではなく)伝搬される方法を表す。典型的な例では、局所的に伝搬されたSPS信号とは、SPS受信機の場所の約100メートル以内で伝搬されるSPS信号のことである。すなわち、場所の約1000メートル以内で伝搬されるSPS信号が、局所的に伝搬されるSPS信号であると見なされてよい。つまり、この距離は、SPS受信機から約0.1メートルから、SPS受信機から約1000(おそらく2000)メートルの範囲と見なされてよい。別の実施形態においては、信号環境は、セルラー通信信号(例えば、受信されたセルラー電話通信信号のSNR)に関して測定されるこれらのデータ型を使用して特徴付けられてよい。例えば、これらのデータ型の1つまたは複数は、受信されるセルラー通信信号に関して決定されてよいし、あるいはこれらのデータ型の1つまたは複数は、セルラー電話内のセルラー送信機の電力レベル(つまり、高い方の電力レベルが低い方のSNRを示唆する)から引き出されてよい。セルラー通信信号の測定によって特徴付けられる信号環境は、典型的には、SPS信号がSPS受信機の場所で局所的に伝搬される方法も表すだろう。また、セルラー通信信号の処理が、信号環境の特徴付けを活用してよいことも注記される。
【0034】
図2は、本発明の実施形態で使用できる、7つの異なる視野内の衛星の例示的な値が指定されるデータ要素のいくつかの例を示す表である。衛星は、2、4、7、9、5、26および27のようなその対応するPRNコードに従って番号が付けられる。衛星ごとのデータは、信号対雑音比、信号対混信比、ピーク幅、方位角、仰角、コードフェーズおよびドップラー情報を含む。
【0035】
図3は、時間に正確なチャネルの近傍で1/2チップの遅延と測定された15の相関器出力の拡大縮小された振幅の例である。図3の波形は、図2の表に示されている衛星番号27のデータ値に対応する。図3は、2つの強い信号の存在によって証明される「ツインピーク」の例を示す。図3は、一方は3半チップ相対遅延に相当する時刻で、他方は11半チップ相対遅延でのさらに2つの弱い信号の存在も証明する。これらの信号の両方とも、直接信号の到着時刻に関して試験されてよい。SPS受信機が、同じSPS衛星信号から反射信号と直接信号の両方を受信すると、同じ衛星信号からのツインピーク動作の典型的なケースが発生し、両方の信号とも相対的に強く、信号検出レベルを超えている。通常、直接信号は、早期相関ピーク(例えば、図3に図示されているように、時間≒約6、y≒約6500)を生じさせ、反射信号は後期相関ピーク(例えば、図3に図示されているように、時間≒約8.5、y≒約6000)を生じさせる。一定の環境(例えば、水平線に沿って低いSPS衛星)では、反射信号は、直接信号より強いことがある。図3がこの例を示す。
【0036】
強いSPS衛星信号が弱い方の信号の処理と干渉するときに、相互相関と呼ばれる別の型の干渉が、存在し、発生することもある。この干渉を削減する方法の例は、1998年7月2日に提出された同時係属中の米国特許出願番号第09/109,112号に説明されている。
【0037】
図4は、本発明の実施形態の測定処理方法に従って位置情報を作成するために受信された衛星信号を処理する際に、GPS受信機20によって実行される主要な動作を概略するフローチャートである。図4に図解されている測定処理方法は、7つの主要なプロセスを含む。動作101では、GPS受信機場所の信号環境が特徴付けられる。経験的なデータにより、信号強度、疑似範囲および多重路誤差の多様な基準などの信号特徴がある環境(例えば、都市の峡谷)から別の環境(屋内)で大幅に異なることが示される。これは、おもに、異なる都市環境における建物の材料、高さおよび空間配分が、衛生信号がGPS受信機アンテナへの途中で通過する経路に影響を及ぼすという事実のためである。信号環境データは、SPS信号が、特定の場所にあるSPSアンテナへ伝搬される方法を表す。
【0038】
その信号環境という点でGPS受信機20が通信しているセルラーサイトを特徴付けることは、測定処理のアルゴリズムの選択に役立つことがある。この情報は、セルオブジェクト情報の一部として使用できることがある。セル信号分類に加え、セルオブジェクト情報は、セルサービス領域、セルサイト識別、セルサイト場所および概算高度も含んでよい。信号環境のクラスは「開けた空(open sky)」、「地方」、「都市」、「都市の峡谷」等として定義することができる。「都市の峡谷」は、さらに正確に環境を定義するために、「東京の都市の峡谷」または「サンフランシスコの都市の峡谷」などの実際の都市または首都圏区域によって下位分類してよい。例えば、「ミネアポリスの都市の峡谷」は平らな地域を暗示するが、「サンフランシスコの都市の峡谷」は高度が大きく変化する可能性がある丘陵性の地域を示す。
【0039】
本発明の典型的な実施形態においては、信号環境の特徴付けは、SPS受信機が、同じ場所の信号環境の事前分析に関係なくある場所で動作するたびに実行される。しかしながら、場所の信号環境の事前分析を使用することは可能であり、この事前分析はセットアップ工程と見なされてよい。セルサイトの場所またはセルサイトによってサービスを提供されているセル領域内のセルラー電話の典型的な場所などの場所の信号環境は、場所(あるいはセルサイトによってカバーされる領域内の複数の「代表的な」場所)で複数の測定を行うことによって(事前分析として)セットアップ工程で特徴付けられてよい。衛星は動き回るため、経験的なデータは特定の時刻にだけ有効であってよい。前記測定は、一日の異なる時刻に、またはピーク使用時間のあたりで反復することができる。これらの測定は、典型的な信号強度および典型的なピーク幅(例えば、図2に図示されているように、SNRアウトおよび/またはSIRアウト、および/またはピーク幅)、干渉パターンおよび多重路誤差の存在を求めるために実験的に解析される。単一の場所(または複数の代表的な場所)が、セットアップ特徴付けを実行するときに既知であるため、衛星信号からの相関出力は、信号環境における予想される相関出力に比較されてよく、この比較が反射(例えば、反射信号)の大きさ、およびツインピークの存在を示すだろう。別の例では、相関出力と名目値の(自乗平均された)RMS差異は、多重路誤差に関して分析されてよい。また、セル差異とのカバレージの大部分またはすべては都市または地方であるという実際の知識が、信号環境データに含まれてよい。いったん特徴付けが完了すると、信号環境を特徴付けるデータは、場所(例えば、セルサイト識別子またはセルの場所の他の識別子)が信号環境を特徴付けるこのデータを含むデータベース内で関連付けられるデータベース(例えば、セルベースのデータベース)に記憶されてよい。図12は、SPSサーバで維持されてよい、このようなデータベースの例を示す。本発明の1つの実施形態の動作においては、移動セル電話/GPS受信機(例えば、受信機01b)は、セルサイト(例えば、セルサイト901a)に送信される(測定処理のために使用される)疑似範囲および相関出力を提供する。それから、セルサイトは、その結果として(例えば、セルラー無線通信でセルサイトの識別子を受信し、セルサイトの場所に関連付けられた信号環境データをデータベース(例えば、データベース912a)の中で探すことによって)信号環境を決定するこのデータをSPSサーバ(例えば、サーバ912)に送信する。それから、信号環境を表すデータは、本発明の多様な実施形態に従って、移動セルラー電話/GPS受信機(例えば、受信機901b)から受信される疑似範囲および相関出力を処理するために使用される。信号環境のためのこのデータは、これらのセットアップ特徴付けの後に、システムの実際の使用で行われる動的に得られる信号環境測定値によって補足されてよい。しかしながら、セットアップ特徴付けは、補助情報を提供してよい。例えば、セルラー電話網の一定のセルの中では、セルの大部分は都市または地方となり、この情報は移動SPS受信機に送信され、信号環境分類の一部として移動SPS受信機で使用されてよい。
【0040】
本発明のある実施形態においては、動作101で得られる環境分類が、動作103のアルゴリズム制御パラメータを補助するために使用される。動作103内の制御パラメータセットアップは、典型的には信号対雑音比、信号対混信比、ピーク幅、HDOP、衛星仰角、およびその他のこのようなパラメータのマスクを含む。これらの制御パラメータは、測定選択および計算プロセス動作105で使用される。パラメータマスク値に基づき、測定選択が実行される。動作105の一部として、何らかの測定計算も実行される。例えば、入力信号対雑音比は、測定された(出力)信号対雑音比、(検出前積分および検出語積分の数という点で定義される)測定積分期間、およびドップラーエラーから概算される。
【0041】
動作103のパラメータ選択に基づき、いくつかの測定値は、潜在的な相互相関として識別されてよい。動作105では、受信機によって生成されるコードフェーズ測定が、真の信号よりむしろ相互相関ピークであるかどうかを判断するために、試験が実行される。
【0042】
次に、動作105を無事に合格する測定は、動作107の障害検出分離(FDI)プロセスによって使用される。障害検出分離プロセスは、あらゆる軌道から逸れた衛星を、それらが補正、あるいは解から除去できるように、分離する(つまり特定する)ために役立つ。障害検出および分離の先行条件は、測定値の数が未知数の数を上回る重複決定される解である。
【0043】
疑似範囲の測定に誤差(偏向)がある場合、偏向調整プロセス動作109が実行される。ある実施形態においては、偏向調整プロセスは、最初に偏向概算を実行してから、偏向調整を実行する。この工程が、偏向概算による疑似範囲測定の補正を含むこともある。
【0044】
動作111では、連続測定最適化(SMO)プロセスが、選択された誤差統計を改善するために使用される。使用される誤差統計は、動作101の信号環境特徴付けによって影響を及ぼされてよい。連続測定最適化プロセスは、解の部分集合を、一度に1測定ずつ分析し、最良の誤差統計を有する解を選択する。例えば、n個の測定値と1つの誤差だけがある場合、連続測定最適化プロセスは、当初の集合から、一度に1つの衛星を省略することによって得られるn個の部分集合解を考えてよい。衛星の除去の代わりに、本発明の代替実施形態では、衛星測定値は、動作109で計算される誤差概算で調整される。このようにして、連続測定最適化プロセスは、最良の解を達成するためにすべての考えられる部分集合を分析する。まだ別の実施形態においては、偏向調整は、連続測定最適化プロセスの一部として実行されてよい。
【0045】
位置および速度は、動作113で計算される。さらに、単位分散、概算水平誤差、重みづけされたHDOP、誤差楕円およびその向きなどの誤差統計も、計算される。
【0046】
図4のメインプロセスのそれぞれの内の個々の動作の詳細な説明が、以下の項で提供されるだろう。
【0047】
信号環境特徴付け
図5は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作101として図解されている信号環境特徴付けプロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。GPS受信機の信号環境を特定すること、あるいは達成することは、さまざまな用途に最大の柔軟性を達成し、多様な性能レベルを支持するために重要である。
【0048】
動作201において、信号環境は「屋内」または「屋外」と分類される。本発明のある実施形態においては、この情報は、ユーザ入力を通してGPS受信機に供給される。代替実施形態において、この情報は、使用可能なGPSベースの測定値から引き出されてよい。例えば、信号対雑音比および/または信号減衰、および衛星見通し線情報(方位角および仰角)の分散は、屋外環境とは対照的に、屋内環境を示している。信号減衰は、測定入力信号レベルと予想入力信号レベル間の差異として計算される。予想信号レベルとは、仰角および方位角の任意の組み合わせに対し、遮られていない直接衛星信号のために受信される信号レベルである。予想入力信号レベルは、ドップラーエラーと総積分期間の関数として求められる。GPS受信機のアンテナ利得パターンを、予想信号レベルを調整するために使用することができる。
【0049】
例えば、信号環境は、視野内にあるすべての衛星の信号が指定閾値レベルまでに減衰する場合に、「屋内」と特定されてよい。衛星のすべてまたは大多数での短い多重路誤差(<30m)の存在も、屋内環境を示す。空中での仰角が高い衛星の信号の少なくとも1つが、仰角がより低い衛星からの信号よりも高い減衰レベルを示す別の例では、信号環境はやはり「屋内」と特定されてよい。通常は、すべてまたは大多数の衛星における、一般により広いピークという形態であるピーク幅偏差の存在も、屋内環境を示す。位相はずれ信号の組合せなどの一定の信号状態の元では、結果として生じるピーク幅は、多重路信号存在の結果として、狭められてよい。
【0050】
本発明の代替実施形態においては、例えば、基地局からハンドセットへのようなセルラー外向き送信からの信号レベルは、信号環境の決定を助けるために使用される。GPS衛星信号に関して前述された方法に類似した方法では、セルラー信号または無線信号の信号減衰基準は、GPS受信機20などの接続されたGPS受信機が、内部で使用されているのか、あるいは外部で使用されているのかの判断を助けるために使用されてよい。
【0051】
動作202では、信号環境が「屋外」であるか否かが判断される。信号が屋内であると判断されると、処理は動作207に進み、それにより動作203から205を省略する。要すれば、屋内環境は動的な特徴を有しているであろうため(それが実際に有していても、これは、屋内としての特徴付けが誤っている可能性があり、信号環境が「屋外」として特徴付けし直されなければならない可能性があることを示唆する)、処理は動作203から209を省略してよい。環境が屋外である場合、環境はさらに動作203で「開けた空」、「地方」、「都市」または「都市の峡谷」のどれかとして下位分類される。本発明のある実施形態においては、これらの下位分類は、さらに、GPS信号の信号減衰および疑似範囲誤差特徴を分析することによって決定される。例えば、GPSセンサが視野内にあるすべての衛星からの信号を獲得し、追跡調査することができ、また、これらの信号がほとんど多重路またはまったく多重路がない状態で直接信号動作を示す場合には、環境は「開けた空」信号環境であるとされる。
【0052】
動作203の場合、信号減衰/信号妨害情報の組み合わせは、「都市」環境の種類を決定するために使用される。例えば、建物が20メートル離れていると想定される都市環境において、30°の衛星可視性マスクは6メートルの高さの建物で取り囲まれているのに同等である。衛星可視性マスク情報は、総信号妨害または指定されたレベルの信号減衰のどちらかから引き出される。例えば、直接信号が60°の仰角マスクを排他的に超えて受信される信号環境は、「都市の峡谷」信号環境であるとされてよい。典型的な都市信号環境とは、衛星が1つの方向では建物によって隠されるが、垂直方向ではさらに優れた可視性がある場合である。多重路誤差が大きい(>100m)疑似範囲測定値も、都市の峡谷環境を示してよい。多くの場合、複数のピークまたはピーク形状での偏差の存在も、都市の峡谷環境を示す。
【0053】
動作204では、屋外信号環境が、開放または地方の代わりに、都市または都市の峡谷であるかどうかが判断される。動作205では、屋外信号が「都市」または「都市の峡谷」環境として分類される場合、環境は、さらに、それをその首都圏領域または都市名で特定することにより分類される。例えば、都市の峡谷環境は、「シカゴの都市の峡谷」または「サンフランシスコの都市の峡谷」のどちらかとして指定されてよい。前述したように、実際の都市の環境が、都市の地形学またはGPS受信機を取り囲む建物の性質および種別に応じてGPS信号の受信に大きな影響を及ぼすことがある。
【0054】
本発明のある実施形態においては、この情報はセルオブジェクト情報から引き出される。別の実施形態においては、この情報はユーザ入力によって提供される。または、それは初期GPS位置の解から引き出されてもよい。特定の都市の峡谷情報によって補助されていない初期位置は、典型的には都市の峡谷の特定のためのデータベースルックアップとして役立つほど正確である。代替実施形態においては、初期位置情報は、無線信号を距離測定値として使用する地上電波測位法などの、その他の測位方法とともに引き出されてよい。衛星見通し線内、および信号強度予想のためのコンピュータモデルを使用してもよいし、および/または特殊な都市の峡谷環境用に開発されてもよい。モデル化されたパラメータは、建物の高さ、通りの幅、通りの交差、取り囲む建物のための衛星可視性およびマスキング、考えられる反射および対応する多重路誤差を含んでよい。モデルは、あらゆる場所の確定値とともに使用可能にされたデータを組み込むために、人口知能を使用するなど自己学習的であってよい。分析を容易にするために、標準的なモデルが最初に利用されてよい。このようなモデルの例は、5マイルの半径内で、すべての建物の60%が20階の建物であり、平均の通り幅が約60フィートである都市モデルであってよい。中心から5マイルと20マイルの間の区域内では、すべての建物の20%が8階建ての建物であり、平均通り幅は80フィートである。中心から20マイルと40マイルの間の区域では、すべての建物の35%は1階建ての建物であり、平均通り幅は約100フィートである。都市モデルは、対応するGPSベースの情報を用いて更新され、改良されることによりあらゆる確定位置で改善されてよい。
【0055】
動作270では、GPS受信機の使用者の動作状態(ユーザダイナミック)が特定される。図1に示された結合されたGPS受信機などの典型的な可搬GPS受信機は、移動(動的)用途または静止(静的)用途で使用されてよい。本発明のある実施形態においては、ユーザダイナミックの特定は、ユーザによって提供される入力によって達成される。別の実施形態においては、この情報は、初期のGPSベースの速度の解から引き出されてよい。また別の実施形態においては、ユーザダイナミックは、代替電波測位法によって引き出されてよい。代わりに、ユーザダイナミック情報は、過去の解の情報に依存することによって、あるいは都市の峡谷のモデルおよび予想レベルを設定するための特定の用途を使用することによって求められる。例えば、自動車測位用途では、標準的な都市モデルは、半径5マイル内での20mph、半径20マイル内での35mph、および半径40マイル内での50mphなどの予想される平均車両速度を含んでよい。このモデルは、あらゆる速度の解で更新されてよい。それは、また、ある特定の都市のある特定の通りの最大許容速度のデータベースで補助されてもよい。
【0056】
動作209では、「動的」環境は、さらに「低い」、「中くらい」または「高い」動的環境のどれかとして下位分類される。動的環境の下位分類により、GPS受信機への移動情報の送信が速くなる。本発明のある実施形態では、動作207の動的下位分類情報が、GPS受信機へのユーザ入力によって提供される。代替実施形態においては、この情報は、(速度および加速などの)過去の解の情報に関して、または都市の峡谷モデルおよび予想レベルを設定するための特定の用途を使用することによって求められる。車両追跡調査用途においては、例えば、(速度計およびジャイロスコープなどの)付加センサ入力を利用して、GPSデータとの追加の統合のために、初期の速度概算または速度および/または方向情報を提供するようにしてもよい。
【0057】
アルゴリズム制御パラメータのセットアップ
図6は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作103として示されているアルゴリズム制御パラメータセットアッププロセスの動作103として示されているアルゴリズム制御パラメータセットアッププロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。信号閾値の初期選択は、動作301で実行される。ある実施形態においては、この初期選択は、図5のフローチャートに図解されているように、動作101の信号環境決定に基づく。動作301で選択される信号閾値は、最小信号対雑音(SNR)比および信号対混信(SIR)比を含む。例えば、サンフランシスコの都市の峡谷が例示的な信号環境として使用される場合、最小の信号対雑音比および信号対干渉比は、それぞれ15.5dBと14.5dBに設定される。これらの閾値は、動作105の衛星測定選択で使用される。
【0058】
動作303では、ピーク幅パラメータが設定される。これらのパラメータは、衛星を選択する際、および動作105の測定選択計算プロセスの間に実行される相互相関チェックの際に使用される。本発明のある実施形態においては、すべての衛星のピーク幅が、選択された信号対雑音比または信号対混信比のレベルで計算される。例えば、ピーク幅は、時間に正確な相関器の信号レベルの3dB以下である信号レベルで計算されてよい。図3に図解される相関器関数は、8半チップという相関時間遅延のあるサンプルに位置する、時間に正確な相関器出力を示す。この特定の相関器ピークのピーク幅は、1.02半チップまで計算される。一般的に、ピーク幅、ピーク幅偏差、および相関器関数の形状は、信号内に存在する多重路を示す。例えば、ピークが幅広いほど、多重路誤差は大きくなる。したがって、ピーク幅マスクは、動作105の衛星測定選択で使用されてよい。さらに、相関器関数の形状は、複数の信号の存在を示してよい。例えば、図3の相関器関数は、2つの早期信号の存在を示す。また、相対時間遅延が5半チップのサンプルでの傾斜点は、もう1つの信号の存在を示すことがある。大部分の場合には、相互相関された信号はより幅広いピークを示す。これにより、測定選択および計算プロセス(図4の動作105)の間の潜在的な相互相関信号の識別でピーク幅測定を使用できる。
【0059】
動作305では、「強力な」衛星が定義される。「強力な」衛星は、多重路誤差によって最も影響を及ぼされないであろう衛星測定を特徴とする。本発明のある実施形態においては、「強力な」衛星識別で使用されるパラメータは、衛星仰角、ピーク幅偏差、信号対雑音比、信号対混信比、信号減衰および入力信号強度である。サンフランシスコの都市の峡谷の例の場合、仰角マスクは20°に設定され、信号入力強度は−135dBに設定されてよい。代わりに、サンノゼの都市の峡谷のような異なる都市環境の場合、信号入力強度は−130dBに設定されてよい。
【0060】
「強力な」衛星定義に関係付けられていない衛星仰角マスクも、動作305で設定される。このマスクは、測定選択および計算プロセスの衛星選択工程で使用されてよい。「開けた空」信号環境においては、小さい多重路誤差だけが予想されるため、この仰角マスクは、5°などの低い値に設定されてよい。しかしながら、「都市の峡谷」環境においては、仰角マスクは、潜在的に大きな多重路誤差の影響を受けている衛星を処理するのを回避するために最大15°まで引き上げられてよい。
【0061】
障害検出および隔離(FDI)、偏向調整(BA)、および連続測定最適化(SMO)のアルゴリズムを実行する状態機械のフローは、動作307で設定されるパラメータによって制御されてよい。例えば、信号環境強度、および見失われた相互相関検出の確率に応じて、障害検出と隔離、偏向調整、および連続測定最適化計算が発生する順序は修正されてよい。例えば、見失われた相互相関の確率が低い「広々とした空」環境においては、偏向調整は、まったく実行されなくてよい、あるいは障害検出および分離の前に実行されてよい。別の例では、高度補助測定は、障害検出および分離、偏向調整、および連続測定最適化のアルゴリズムに含まれるか、あるいは除外されてよい。高度補助測定に関連付けられる誤差概算は、動作101の信号環境特徴付けに基づいて設定されてよい。例えば、「屋内」環境の場合、ある実施形態では、高度補助を実施しないことができ、また、は、高度補助を(50mのような)大きな値に設定されてよい。これにより、地形仰角データベース等の高度情報の情報源の信頼性が欠如していることを示す。別の例では、制御パラメータによって定義されるような「強力な」衛星は、FDI、偏向調整、およびSMOのアルゴリズム間で異なってよい。
【0062】
測定選択および計算
図7は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作105として図解される測定選択および計算プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。測定選択および計算プロセスは、確定位置測定値を事前にフィルタリングし、本発明の測定処理方法を使用する追加のGPS信号処理に必要とされるパラメータを計算するために役立つ。
【0063】
動作401では、低仰角衛星はさらなる測定処理から除去される。仰角マスクは、図5に示されている信号環境特徴付けプロセス、および図6に示されている制御パラメータセットアップに従って設定されてよい。動作403では、概算入力信号強度は、測定された出力信号対雑音比、測定統合期間およびドップラーエラーに基づいて計算される。次に、この入力信号強度は、ピーク幅偏差および信号減衰を計算するために使用される。ピーク幅偏差は、指定された入力信号強度での衛星信号の測定されたピーク幅と予想ピーク幅の間の差異として計算される。信号環境特徴付けに応じて、信号対雑音比マスクまたは信号対混信比マスクまたは概算信号入力強度または3つのマスクの生み合わせは、さらなる測定処理から弱い信号を除去するために動作405で使用される。ある実施形態では、信号閾値は、図6のアルゴリズム制御パラメータセットアッププロセスにおける動作301に関して説明したように設定される。
【0064】
相互相関信号は、動作407で検出、除去される。相互相関信号は、通常、より幅広いピークおよび高い雑音対混信比(NIR)を示す。相互相関は、強力な衛星信号が弱い衛星信号と相互相関するときに、高い動的信号環境で発生する。一般的には、「屋内」環境と「都市の峡谷」環境の両方とも、かなりの数の相互相関信号を生成する傾向がある。強力な衛星と弱い衛星の対のSNR、SIRおよび概算された入力信号強度は、大きな信号分離のために調べられ(典型的には調べられ)てよい。サンフランシスコの都市の峡谷の状況を含むある例示的な実施形態においては、18dBの差異が探索される。それから、相互相関は、強力な衛星と弱い衛星の対の相対コードフェーズおよびドップラーを調べることによって検証される。
【0065】
一定の受信条件下では、相関ピーク波形は、2つの支配的なピークのあるツインピーク信号を示す。図3の波形は、このようなツインピーク信号を示す。ツインピーク信号は、GPSアンテナで同時に入射する複数の信号の組み合わせの結果である複数のピーク信号の特殊な場合である。動作409では、図3の波形などの相関ピーク関数は、ツインピークの存在がないか分析される。例えば、図3の最大相関ピークに対応する信号は、早期信号より約1マイクロ秒遅れて受信された。反射信号はつねに直接信号より長い経路を移動するため、名ピークは、反射信号に対応し、早期ピークは直接信号に対応する。この例では、多重路信号の存在を説明するために、補正が疑似範囲(コードフェーズ)測定に適用されてよい。典型的には、この補正は、SPS衛星からのこの信号の正しい補正出力として早期ピークを選択する。移動SPS受信機が本発明のいくつかの測定処理技術(例えば、ツインピークの存在の識別)を実行し、SPSサーバがその他の測定処理技術(例えば、FDI)を実行する場合、移動受信機は、ツインピークが特定の衛星に存在するというしるしを送信してよい。別の例では、それは、プロンプト相関器(例えば、図3のサンプル8)に関して相関ピーク関数のすべての特定されたピークの相対的な場所も送信してよい。まだ別の例では、移動受信機は、相関ピーク関数のサンプルの集合を送信してよい。このデータは、動作601,703で説明したように、疑似測定を補正する目的で潜在的な到着時刻候補を処理するために、偏向調整アルゴリズムおよび/またはSMOアルゴリズムによって使用されてよい。動作411では、幅広いピークが検出され、それがツインピークに属さない場合、この信号は補正されるか、あるいは、さらなる測定処理から除去されるかのどちらかである。
【0066】
信号環境に基づき、重みづけ方式が動作413で選択される。重みは、疑似範囲測定値の先験的な誤差不確実性を表す。例えば、0.1という重みは10メートルという誤差概算に相当する。重みは、信号対雑音比、信号対混信比、雑音対混信比、入力信号強度、信号減衰、仰角、測定積分期間、ピーク幅、ピーク幅偏差等を含む多岐に渡るパラメータから引き出されてよい。ある特定の衛星測定の重みは、ツインピークがその衛星信号に関して検出された場合に調整されてよい。重みは、測定が微分的に補正されない場合、あるいは補正が旧すぎて(例えば、30秒を超える補正年齢)、選択可能性に誤差が存在することを示せない場合にも調整されてよい。誤差概算は、動作101の信号環境特徴付けの一部として実行可能なシステムセットアップ特徴付けを介することによって使用可能となる信号環境測定値を組み込むことにより改善されてよい。重みづけは、追加情報が入手可能な場合にも改善されてよい。例えば「都市の峡谷」環境において、誤差概算は、取り囲む建物の相対場所などの、絶えず更新される都市コンピュータモデルから入手可能な外部の反射情報のソースによって改善されてよい。
【0067】
別の屋外信号環境においては、高度補助は、動作415の測定処理アルゴリズムの精度を改善するために使用されてよい。高度補助は、解の幾何学形状を改善し、過少決定された(under-determined)場合に必要な、余分な測定値を提供する。概算高度が入手できる(例えば、セルサイトの平均高度)場合、これを高度補助パラメータとして使用してよい。また、高度補助は、垂直地形モデルが改善するに従って、向上するだろう。障害検出分離、偏向調整および連続測定最適化のアルゴリズムも、正確な高度補助から利益を得ることがある。
【0068】
屋内信号環境では、高度補助は、未確定位置状態と対照的に確定位置を生じさせることが必要とされる場合に、適用されてよい。この場合は、重みづけは高度測定が不確実であることを反映する。重みは、測定誤差概算の逆数として定義される。高度不確実性は、都市コンピュータモデルから引き出されてよい。例えば、屋内環境が20メートルの建物である場合、0.1という重みが使用されてよい。高度補助は、大きな高度不確実性のある、あるいは高度補助がまったくない初期確定位置が、建物高さ情報および対応する高度不確実性を引き出すために都市コンピュータモデルでルックアップとして使用されてよい場合に反復して適用されてよい。代わりに、外部ソースは、地形仰角データベースから引き出される高度を補正するために使用されてよい情報(つまり、10階)を提供してよい。動作417では、クロック補助が適用されてよい。クロック不確実性は、GPS受信機で使用される内蔵発振器の品質、またはGPS受信機で時刻を設定するために使用されるCDMAネットワークでの信号などの外部タイミング信号の品質に基づいて、クロックモデルから引き出されてよい。クロックモデルは、GPS疑似範囲およびドップラー測定から引き出されるクロック偏向およびクロックドリフトの概算によってリアルタイムで更新されてよい。ネットワークによって提供されるタイミング情報が非常に正確である場合(例えば、約1マイクロ秒以内まで正確)、余分な自由度を提供することによって、このような情報も、本発明の測定処理方法に役立つ可能性がある。
【0069】
障害検出および分離アルゴリズム
図8は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作107に示される障害検出および分離(FDI)に含まれる動作を概略するフローチャートである。
【0070】
本発明のある実施形態では、障害検出および分離プロセスは、GPS受信機内の受信機自律完全性監視(RAIM)関数の一部として実行される。本発明の別の例では、障害検出および分離プロセスは、GPS受信機から受信される位置情報を使用してSPSサーバで実行される。多岐に渡るRAIM方式が提案され、すべてが入手可能な測定値の間での何らかの種類の自己一貫性チェックに基づいている。さらによく知られている誤差検出方法のいくつかは、とりわけ範囲比較、最小自乗剰余、およびパリティである(R. Grover Brownの「グローバル測位システム:論理および応用」(Global Positioning System:Theory and Applications)、第II巻、第5章を参照すること)。本発明のある実施形態においては、障害検出および分離プロセスは障害検出問題を延長したものである。これは、完全性システムが軌道を逸れた衛星の測定値を分離して、測定値をナビゲーション解から除去可能としたものである。
【0071】
動作501では、障害検出および分離が行われる。本発明のある実施形態では、パリティ方法が使用される(Mark Strutzaの「冗長測定を使用するナビゲーションシステム完全性監視(Navigation System Integrity Monitoring Using Redundant Measurement)」、ナビゲーションを参照すること)。障害検出および分離の一部として、F試験が、分離の信頼性を確かめるために実行される。信号環境および分離の信頼性に応じて、軌道を逸れた衛星として「強力な」衛星を分離する場合、追加の障害検出および分離の処理なしに、制御は偏向調整アルゴリズムおよび連続測定処理アルゴリズムに移行してよい。また、障害検出および分離プロセスが、再び、高度補助パラメータに基づいて高度補助される場合、および高度測定が分離される場合、制御は、障害検出分離プロセスによる追加処理なしに、偏向調整アルゴリズムおよび連続測定処理アルゴリズムに移行してよい。例えば、解計算が良好な高度概算を用いて「開けた空」状態下で行われ、また、高度測定が軌道から逸れた測定として分離される場合、さらなる障害検出および分離処理は停止され、制御は、偏向調整および連続測定処理のアルゴリズムに移行してよい。
【0072】
それ以外の場合、動作503では、分離された測定の偏向概算が実行される。本発明のある実施形態では、最小自乗法解の先験的な剰余と後天的な剰余の間の周知の数学的な関係性を使用して、分離された測定値だけが、未知量の偏向によって影響され、残りの測定値は完全であるという仮定が立てられる。それから、偏向が最小自乗様式で解かれる。本発明のある実施形態においては、偏向規模が事前に選択された閾値を上回る場合に、分離された測定値が、見失われた相互相関であるとされ、適宜、重みづけが除かれる。
【0073】
信号環境および自由度の数に基づき、分離された測定値は、偏向調整または省略されてよい。自由度の数は、測定値の総数と解かれている未知のパラメータ数の間の差異として定義される。重みづけ係数に応じて、重みづけを除くことは、解から測定値を除去することと同等に見なすことができる。動作505では、測定は偏向調整される。このようにして、測定値は動作503で概算される偏向分補正される。本発明のある実施形態では、測定値は、偏向が正である場合にだけ偏向調整される。
【0074】
動作507では、調整された測定値の新しい重みが計算される。新しい重みは信号環境、分離信頼性、偏向規模、衛星測定での複数ピークの存在、およびその他のこのような要因に基づいて行うことができる。
【0075】
新しい解および対応する誤差概算値は、動作509で計算される。動作511では、区切り禁止条件の事前定義された集合のどれかがトリガされるかどうかが判断される。本発明のある実施形態では、区切り禁止条件は、HDOPマスクを超えるHDOP、事前選択閾値を超える概算水平誤差、事前に選択された閾値を下回る、あるいは第2事前選択閾値を超える単位分散、事前に選択された閾値以下である、あるいは第2の事前に選択された閾値を超える分離の前後での解の偏向、信頼性試験に不合格となった障害分離、事前に選択された閾値を下回る自由度数、およびその他のこのような係数を含む。動作511で、区切り禁止条件のどれもトリガされないと判断されると、障害検出分離プロセス全体が動作501から再び反復される。判断されない場合、障害検出分離プロセスは終了する。
【0076】
偏向調整アルゴリズム
図9は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作109として示される偏向調整プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【0077】
本発明のある実施形態では、図9に示されている偏向調整アルゴリズムは、図8の動作503に関して説明される偏向概算プロセスに類似する。しかしながら、図9の偏向調整プロセスにおいては、偏向概算は、検出され、分離された軌道から外れた測定に関してだけではなく、現在受信された信号の任意の1つまたは任意の部分集合に関して実行される。一定の例では、選択された部分集合は、測定値の全体的な集合であってよい。本発明のある実施形態においては、集合は、相互相関される信号を除外してよく、「強力な」衛星を除外してよく、「ツインピーク」測定も除外してよい。なお、偏向調整プロセスにおける「強力な」衛星の定義が、障害検出分離プロセスという文脈で使用される「強力な」衛星の定義とは異なっている。別の実施形態においては、集合は、図4の動作105の測定選択および計算の一部として事前にフィルタリングされたあらゆるまたはすべての測定を除外してよい。
【0078】
動作601では、偏向誤差は、衛星の選択された集合に関して概算される。信号環境および高度補助パラメータに応じて、偏向概算は、高度測定を含んでよい、あるいは除外してよい。動作603では、最大の正の偏向概算が選択される。本発明のある実施形態においては、高度補助が使用される場合の高度測定の偏向は、この選択から除外されてよい。本発明の別の実施形態では、補正関数の複数のピークのどれかが偏向概算として選択されてよい。ある実施形態においては、最も早期の特定可能なピークが選択される。別の例では、相関関数の傾斜点のどれかが、偏向概算として選択されてよい。選択された測定値は、それから偏向概算によって補正される、動作605。
【0079】
動作607では、補正された測定値の重みが偏向補正を説明するために調整される。新しい重みは、信号環境、偏差規模、補正済み疑似範囲剰余の規模、アルゴリズム制御パラメータ、SNR、SIR、偏向概算に対応する相関関数サンプルでの信号入力強度等に基づいてよい。新しい解および対応する誤差概算が、動作609で計算される。
【0080】
動作611では、事前に定められた区切り禁止条件の集合のどれかがトリガされるかどうかが判断される。本発明のある実施形態においては、区切り禁止条件は、事前に選択された閾値を超える単位分散拡大縮小済み概算水平誤差、事前に選択された閾値を下回る、または第2の事前に選択された閾値を上回る単位分散、偏向調整が事前に選択された閾値を下回るまたは第2の事前に選択された閾値を超える前後の解の変化、事前に選択された閾値を下回る自由度の数、およびその他のこのような係数を含む。動作611において、区切り禁止条件のどれもトリガされないことが判断されると、偏向調整プロセスが動作601から反復され、それ以外の場合は偏向調整プロセスが終了する。
【0081】
連続測定最適化アルゴリズム
図10は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作111として示される連続測定最適化(SMO)プロセスで含まれる動作を概略するフローチャートである。
【0082】
本発明のある実施形態においては、連続測定最適化プロセスは、「始動条件」と呼ばれる一定の条件が満たされる場合にだけ実行される。動作701では、連続測定最適化プロセスの始動条件がチェックされる。始動条件は、障害検出および分離信頼性試験の不合格、または「強力な」衛星または高度測定の障害検出および分離アルゴリズムによる分離を含む。連続測定最適化プロセスは、概算水平誤差などの誤差統計が、選択された閾値を超えた場合にも始動されてよく、その場合選択された閾値は信号環境特徴付けに基づいてよい。初期条件は、障害検出および分離および/または変更調整の区切り条件のどれかも含んでよい。
【0083】
本発明の代替実施形態においては、アルゴリズム制御パラメータセットアッププロセスの制御パラメータ集合の1つは、連続測定最適化アルゴリズムに、始動条件の発生時だけに実行する代わりに、つねに強制的に実行させるように構成されてよい。
【0084】
動作703では、偏向は選択された衛星のそれぞれに概算される。ある実施形態では、衛星測定値の選択された集合は、測定選択計算プロセス、障害検出および分離プロセス、または偏向調整プロセスなどの事前の測定処理工程によって解からすでに削除された衛星を除外してよい。集合は、「強力な」衛星も除外してよい。再び、連続測定最適化という文脈での「強力な」衛星の定義は、障害検出分離または偏向調整における「強力な」衛星の定義とは異なってよい。代替実施形態においては、集合はすべての衛星を含んでよい。
【0085】
選択された衛星測定値は、選択された方法に従って動作705で処理される。選択された方法は、偏向調整技術、重み調整技術、時間調整技術、多重路削減技術、または何らかのその他の測定最適化技術であってよい。偏向調整技術は、選択された測定を補正するために動作703で計算された偏向概算を使用し、補正を説明するために重みを対応して調整してよい。重み調整技術は、衛星測定値をde−weightし、全体的な解に対する測定値の影響を削減してよい。時間調整技術は、解を改善するために(到着時刻を遅延する、または進める)どちらかの方向で衛星測定地を調整してよい。代替実施形態において、到着時刻を進める(例えば、到着時刻を減分する)ことだけが、時間調整技術の一部として実行されてよい。多重路削減技術は、ある特定の場所での多重路誤差を概算するために信号コンピュータモデルを使用し、衛星測定値を加重する際にこの情報を使用してよい。代替実施形態においては、相関波形(相関関数)は、理想的なピーク形状からの逸脱を意味する変曲点に関して分析され、複数の信号が結合される点を表してよい。まだ別の実施形態においては、相関波形は、考えられる到着時刻として複数のピークに関して分析される。
【0086】
動作707では、新しい解および対応する誤差統計が計算し直される。動作709では、誤差統計を最適化する測定値が特定される。一定の状況においては、最適化は、誤差統計を最小限に抑えることに相当してよい。例えば、選ばれた誤差統計は、加重されたルート和二乗された後天的な剰余であってよい。誤差統計選択は、信号環境特徴付け、または「都市の峡谷」コンピュータモデル、つまり特定の信号環境におけるある特定のアプローチの成功を基準にした事前の情報に基づいてよい。使用可能な他の誤差統計は、とりわけ、重みが付けられていないルート和二乗された後天的な剰余、加重されたルート和二乗された先験的な譲与、概算水平誤差、単位分散、HDOPによって拡大縮小される単位分散である。
【0087】
動作711では、追加の連続測定最適化に使用できる自由度があるかどうかが判断される。依然として使用可能な自由度がある場合には、連続測定最適化は動作601から反復され、それ以外の場合、連続測定最適化プロセスは終了する。本発明のある実施形態においては、連続測定最適化プロセスは、その結果として生じるHDOPが事前に選択されるHDOPマスクを超える場合、あるいは結果として生じる加重されたHDOPが事前に選択された加重されたHDOPマスクを超える場合、選択された誤差統計が事前に選択された閾値レベルを下回る場合、あるいは現在の連続測定最適化反復が、選択された誤差統計の改善を生じさせなかった場合に停止されてよい。FDIおよび/または偏向調整プロセスの区切り禁止条件のどれかは、SMOプロセスを停止するために使用されてよい。
【0088】
最終的な解および誤差概算計算
図11は、本発明のある実施形態に従って、図4の動作113として示されている最終的な計算および誤差概算プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【0089】
動作801では、最終的な解および誤差概算が計算される。本発明のある実施形態においては、解は、位置、速度およびタイミング情報の少なくとも1つを含んでよい。試験は、解を確証するためにも実行されてよい。ある実施形態においては、試験は、「都市の峡谷」都市モデルなどの環境種類に基づく。代替実施形態においては、車両追跡調査用途で、解は、解の位置をデジタルマップまたはその他のGIS(地理情報システム)リソースでのその位置に比較することによって、街路上の場所に関してチェックされる。試験は、選択された誤差統計が事前に選択された閾値を超えるかどうかチェックする。試験は、この解を過去の解または一連の過去の解に比較してもよい。
【0090】
動作803では、誤差楕円が計算される。半長径および半短径の規模および誤差楕円の向きは、環境種別に関して分析されてよい。例えば、厳しい多重路条件下の「都市の峡谷」環境においては、誤差楕円の向きは、通常、通りの方向に垂直でなければならない。言い替えると、半短径が通りの方向に一致しなければならない。
【0091】
動作805では、信号環境コンピュータモデルは、場所解情報で更新される。また、地形仰角データベースは、屋外信号環境の高度解で更新されてよい。
【0092】
本発明の多様な方法は、部分的には移動SPS受信機によって、残り部分では、遠隔に位置するSPSサーバによって実行されてよい。このようにして動作するシステムの例は、図12に示され、SPSサーバの例は図13に示される。
【0093】
図12のシステム900は、説明の目的のためだけに、セルラー基地局によってそれぞれサービスを受ける、これ以降、セルサイト901a、902a、903a、および904aと呼ばれる4つのセル901、902、903、および904を含む。それぞれのセルサイトは、ニ方向セルラー無線通信に、セルラー電話通信の周知の方法で、セルサイトの近傍にあるセル電話を提供する。典型的なセル電話は、受信機901bなどの移動SPS受信機も含んでよい。図1は、統合された移動SPS受信機およびセル電話901bを実現するために構築されてよい移動装置20の特殊な例を示す。移動装置901bのセルラー電話は、セルサイトへのおよびセルサイトからの無線通信を提供する。無線通信は、前記に説明されたように、SPS補助データまたはSPS位置情報出力ではなく音声データも含んでよい。例えば、信号環境データを、本発明の測定処理技術を実行するために、SPS受信機によって使用可能なセル電話に提供してもよい。このデータを、SPSサーバ912によって維持されるデータベース912aなどのセルベースのデータベースから得てもよく、この信号環境データを、SPS受信機内の本発明の測定処理技術を実行するために、装置901b内のSPS受信機によって使用してもよい。典型的には、SPS受信機は、SPS信号を受信し、これらの信号から衛星ごとの相関出力を決定する。次に、本発明の測定処理技術のいくつかは、SPS受信機内で実行されてよく、残りはサーバ914または912などのSPSサーバによって実行されてよい。各移動装置は、セルサイトおよびその結果として図12に図示されているように公衆加入電話網908を通してサーバに通信する移動交換機センタ906と907などの移動交換機センタを通してサーバと通信中である。このようにして、疑似範囲および相関出力、ならびに移動SPSシステム901bで生じるその他の測定処理出力は、セルサイト901aおよび移動交換センタ907およびPSTN(公衆加入電話網)908を通して、SPSサーバ912などの特定のサーバに転送されてよい。それから、このSPSサーバは、視野内の多様な衛星に最終疑似範囲を決定するために、本発明に従って測定処理技術の残りを実行する。位置計算も、広域基準ネットワーク(WARN)915から受信される衛星天体暦データを使用して実行される。次に、SPSサーバによる最終位置の決定は、サーバが、ある実施形態においては公衆安全応答点(PSAP)であってよいアプリケーションシステム910などの別のシステムにこの最終位置情報を提供できるようにする。本発明とともに活用されてよいシステムの追加例は、出願番号第09/067,406号として、1998年4月28日に提出された発明者Norman F.Krasner, Mark MoegleinおよびDavid Colemanによる「分散衛星位置システム処理およびアプリケーションネットワーク(Distributed Satellite Position System Processing and Application Network)」と題される同時係属米国特許出願に説明される。広域基準ネットワークの例は、出願番号第09/067,407号として1998年4月28日に提出された、発明者Mark Moeglein, Leonid SheynblatおよびNorman F.Krasnerによって「衛星測位基準システムおよび方法(Satellite Positioning Reference System and Method)」と題される同時係属米国特許出願に説明される。セルベースデータベース912aまたは914aに記憶されてよい信号環境データに加えて、これらのデータベースは、平均的な高度を記憶し、多様なセルサイトに関して衛星のために概算されたドップラーなどの衛生関連情報を記憶してもよい。この種のセルベースのデータベースの例は、出願番号第08/842,559号としてNorman F.Krasnerによって1997年4月15日に提出された「通信リンクを活用する改善されたGPS受信機(An Improved GPS Receiver Utilizing A Communication Link)」と題される同時係属米国出願に説明される。
【0094】
セルラーベース通信システムが、そのそれぞれが、時間の任意の瞬間に事前定義された異なる地理学上の領域にサービスを提供する複数の送信機を有する通信システムであることが注記される必要がある。典型的には、各送信機は、カバーされている領域が特定のセルラーシステムに依存するけれども、20マイル未満の地理学上の半径を有するセルにサービスを提供する無線送信機(例えば、セルサイト)である。セルラー電話、PCS(パーソナル移動通信システム)、SMR(特殊無線電話)、片方向および双方向ページャーシステム、RAM、ARDIS、および無線パケットデータシステムなどの多数の種類のセルラー通信システムがある。典型的には、事前に定義されたコアとなる地理学上の領域がセルと呼ばれ、数多くのセルがセルラーサービス領域の中にともに分類され、これらの多くのセルが地上ベースの電話システムおよび/またはネットワークに接続を提供する1つまたは複数のセルラー交換機センタに結合される。サービスエリアは、多くの場合、料金請求書作成発行目的で使用される。したがって、複数のサービスエリア内のセルが1つの交換機センタに接続される。代わりに、特に密集した人口の地域で、1つのサービスエリア内のセルが異なる交換機センタに接続されることがある。一般的には、サービスエリアは、互いに地理学的に密接に近接したせるの集合体と定義される。前記記述に適合する別のセルラーシステムのクラスが、衛星ベースであり、そこではセルラー基地局は、典型的に地球を周回する衛星である。これらのシステムにおいては、セルセクタおよびサービスエリアは時間の関数として移動する。このようなシステムの例は、イリジウムシステム、グローバルスター(Globalstar)システム、Orbcommシステム、オデッセイ(Odyssey)システムを含む。
【0095】
図13は、本発明のある実施形態に従ったSPSサーバの例を示す。このサーバは、モデムまたは他のインタフェース953に結合され、モデムまたは他のインタフェース952に結合され、別のモデムまたはインタフェース954にも結合されるデータ処理装置を含む。加えて、大量記憶装置95がデータ処理装置951に結合される。オプションのGPS受信機は、データ処理装置951に結合されてもよい。大量記憶装置955は、本発明の処理動作を実行するために実行可能なコンピュータプログラムを含み、ここに説明されるようにある特定の信号環境データにセルサイト内の場所を関連付けるセルベースのデータベース912aなどのセルベースの情報源のための記憶装置も含む。それぞれのモデムまたはそれ以外のインタフェースは、図12に図示されるように、データ処理装置951とシステム900の多様な構成要素の間のインタフェースを提供する。例えば、モデムまたはその他のインタフェース953は、移動交換機センタ907、およびSPSサーバが直接的に移動交換機センタに結合されている場合には装置951などのセルラー交換機センタからの接続を提供する。図12に図示されるように、移動交換機センタ間のリンクは公衆加入電話網を通してであり、このようにしてインタフェース953はサーバ912と914を公衆加入電話網に結合する。依然として別の実施形態では、各セルサイトは、サーバシステムを含んでよく、このようにしてインタフェース953は、セルサイト901aなどのセルサイトに直接的にデータ処理装置951を結合する。インタフェース952は、図12に示されているアプリケーションシステム910などの装置951をその他のシステムに結合する。インタフェース954は、図12に図示されているWARN915などのGPS信号ソースに装置951を結合する。
【0096】
前記では、システムは、GPS受信機などのSPSシステム内でのナビゲーションデータの測定処理に関して説明されてきた。本発明は、特定の例示的な実施形態に関して説明されたが、多様な修正および変更が、クレームに述べられるような本発明の幅広い精神および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に加えられてよいことが明らかとなるだろう。したがって、明細書および図面は、制限的な意味よりむしろ例示的な意味で考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、本発明の実施形態を活用するGPS受信機の1つの例のブロック図であり、基地局と遠隔GPS受信機間に存在する可能性のあるデータリンクを示す。
【図2】図2は、本発明の実施形態で使用されてよい、7つの異なる視界内(in−view)衛星の例示的な値を含むデータ要素の例を示す。
【図3】図3は、図2に示されている衛星の時間に正確なチャネルの近隣で1/2チップ遅延のある15の相関器出力の大きさの図による表記である。
【図4】図4は、本発明のある実施形態の測定処理方法に従って、場所修正を生じさせるために受信衛星信号を処理する際に、GPS受信機20、またはその他の種類のGPS受信機、あるいは移動GPS受信機とサーバコンピュータシステムなどのデータ処理システムの組み合わせによって実行される主要な動作を概略するフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に図解される信号環境特徴付けプロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に示されるパラメータセットアッププロセスを制御するアルゴリズムに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に示される測定選択および計算プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に示される障害検出隔離プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に示されるバイアス調整プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に示される連続測定最適化プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の1つの実施形態に従って、図4に示される計算および誤差概算プロセスに含まれる動作を概略するフローチャートである。
【図12】図12は、セルベースの情報源を含むセルラーネットワークシステムの例である。
【図13】図13は、本発明の1つの実施形態に従ったSPSサーバの例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位システム(SPS)受信機で受信される衛星信号の到着時刻を測定する方法であって、前記方法が、
複数のSPS衛星から複数のSPS信号を受信することと、
前記SPS受信機が位置する場所に対応する信号環境を特徴付け、SPS信号が前記場所に局所的に伝搬される方法を表す環境データを生成することと、
前記複数の衛星の内の2つまたは複数の衛星からそれぞれの衛星信号の到着時刻を測定することと、
前記環境データを使用して前記到着時刻を表すデータを処理し、前記SPS受信機の場所修正を計算するために用いる到着時刻の集合を生成することと、
を備える。
【請求項2】
前記環境データが、前記複数の信号の内の任意の信号の信号対雑音比、信号対混信比、入力信号強度、信号減衰、相関関数波形、およびピーク幅値の少なくとも1つを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
SPS信号が前記場所の約1000メートル以内にあるときに、SPS信号が前記場所に局所的に伝搬される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記特徴付けが、前記信号環境が屋内環境に似ているのか、あるいは屋外環境に似ているのかを判断することを備える請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、
1つまたは複数の軌道を外れたSPS信号を特定することと、
1つまたは複数の軌道を外れたSPS信号を特定した結果、前記SPS受信機によって実行される到着時刻測定を補正することと、
をさらに備える請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記SPS受信機が、組み合わせ受信機および無線通信装置内に含まれ、前記組み合わせ受信機が、前記環境データを使用して前記到着時刻を表す前記データを処理するように構成されるデジタルプロセッサを備える請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記無線通信装置が、セルラー通信信号を処理するセルラー通信システムであり、前記特徴付けが、前記セルラー通信信号の信号パラメータを決定することを備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記到着時刻の集合が、通信リンク上で基地局に送信される請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、
第1SPS衛星からSPS信号の第1集合の第1の考えられる相関ピークを決定することと、
SPS信号の前記第1集合の第2の考えられる相関ピークを決定することと、
SPS信号を前記第1集合を受信した前記SPS受信機から、前記第1のおよび前記第2の考えられる相関ピークが決定されたという識別を送信することと、
をさらに備える請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記到着時刻の集合の到着時刻測定が、前記信号環境に基づいた偏向調整で補正される請求項3に記載の方法。
【請求項11】
衛星測位システム(SPS)受信機の位置を決定する方法であって、前記方法が、
SPS衛星からSPS信号を受信することと、
前記SPS信号の相関出力のピーク幅値の少なくとも選択された1つ、または前記SPS信号の信号対混信比(SIR)を決定することと、
前記ピーク幅値の前記選択された1つ、または前記SIRを使用して、前記SPS受信機の前記位置を決定することと、
を備える。
【請求項12】
前記方法が、
1つまたは複数の軌道を外れたSPS信号を特定することと、
1つまたは複数の軌道を外れたSPS信号を特定した結果として、前記SPS受信機によって実行される到着時測定値を補正することと、
をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記到着時刻測定値が前記ピーク幅値または前記SIRに基づいて偏向調整で補正される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
衛星受信機システム(SPS)受信機で受信される衛星信号の到着時刻を測定する方法であって、前記方法が、
複数のSPS衛星から複数のSPS信号を受信することと、
前記SPS受信機が位置する場所に対応する信号環境を特徴付け、環境データを作成することと、
前記環境データを使用して、前記衛星信号の1つまたは複数の特徴に関係する1つまたは複数のパラメータに閾値を選択することと、
前記複数の衛星の内の2つまたは3つ以上の衛星からそれぞれの衛星信号の到着時刻を測定し、複数の測定済み到着時刻を生じさせることと、
前記閾値を使用して前記到着時を表すデータを試験して、前記SPS受信機の場所修正を計算するために用いる到着時刻の集合を生じさせることと、
を備える。
【請求項15】
前記環境データの1つまたは複数の特徴が、前記複数の信号の内の任意の信号の信号対雑音比、信号対混信比、入力信号強度、信号減衰、相関関数波形、およびピーク幅値の内の少なくとも1つを備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記信号環境を前記特徴付けることが、さらに、前記SPS受信機が建物の内部に位置する間に複数のSPS信号を受信する場合に、前記信号環境を屋内環境として、あるいは前記SPS受信機が建物の内部に位置しない間に前記複数のSPS信号を受信する場合に屋外環境として特徴付けることを備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記SPS受信機が、事前に定義された数の建物のある地域内に位置する間に前記複数のSPS信号を受信する場合に都市環境として、あるいは前記事前に定義された数より少ない建物のある地域内に位置する間に、前記SPS受信機が前記複数のSPS信号を受信する場合に地方環境として前記信号環境を特徴付けることを備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、
1つまたは複数の軌道を逸れたSPS信号を特定することと、
1つまたは複数の軌道を逸れたSPS信号を特定した結果として、前記SPS受信機によって実行される到着時刻測定を補正することと、
をさらに備える請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、
前記複数の測定された到着時刻の内の1つまたは複数の測定された到着時刻の偏向誤差を概算し、概算された偏向値を生成することと、
前記概算偏向値を使用して前記複数の測定到着時刻を補正することと、
をさらに備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、
前記環境データを使用して測定到着時刻ごとに誤差閾値を定義することと、
前記それぞれの測定到着時刻の誤差を前記誤差閾値と比較することと、
前記到着時刻測定値の前記誤差が前記誤差閾値を超える場合に、到着時刻測定値を削除することと、
をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記SPS受信機が、組み合わせ受信機および無線通信装置内に含まれ、前記組み合わせ受信機が、前記衛星信号の前記到着時刻を前記測定することを実行するように構成されるデジタルプロセッサを備える請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記信号環境を特徴付けることが、前記複数のSPS信号の内の少なくとも1つの信号の信号対雑音比、信号対混信比、入力信号強度、信号減衰、相関関数波形、およびピーク幅値の少なくとも1つを求めることを備える請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記無線通信装置が、セルラー電話を備え、前記SPS受信機の前記場所がセルラー電話送信領域内にある請求項21に記載の方法。
【請求項24】
衛星測位システム(SPS)受信機を使用して場所を決定する方法であって、前記方法が、
複数の視野内SPS衛星から複数のSPS信号を受信することと、
前記複数のSPS信号ごとに積分期間を求め、前記積分期間が対応するSPS信号ごとに到着時刻測定を実行するために使用される時間の期間に対応することと、
前記複数のSPS信号の信号ごとに最大相関ピーク値および相関ピーク幅を求めることと、
前記最大相関ピーク値に相当するコードフェーズを求めることと、
前記複数のSPS信号ごとにドップラー値を求めることと、
前記複数のSPS信号のそれぞれと関連付けられた1つまたは複数の信号特徴を決定することと、
を備える。
【請求項25】
前記方法が、
前記複数のSPS信号の前記それぞれの前記最大相関ピーク値周辺のコードフェーズの集合を求めることと、
前記積分期間内に発生する複数のピークが存在する前記複数のSPS信号の信号ごとにフラグをセットすることと、
をさらに備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のSPS信号のそれぞれに関連付けられた前記1つまたは複数の信号特徴が、信号対雑音比、ピーク幅値、入力信号強度値、信号減衰、相関関数波形、および信号対混信比の少なくとも1つを備える請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、前記SPS受信機が環境データを生じさせるために位置する場所に対応する信号環境を特徴付けることをさらに備える請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記環境データおよび対応する最大相関ピーク値、ドップラー値、コードフェーズ、および前記衛星に決定された信号特徴を使用してSPS信号の到着時刻を測定することをさらに備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、所定の閾値基準を満たさない衛星によって送信されるSPS信号の到着時刻測定値を排除することをさらに備える請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、所定の誤差閾値基準を満たさないSPS信号の到着時刻を排除することをさらに備える請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記所定の誤差閾値基準が、前記複数の衛星の内の1つまたは複数の衛星によって送信される相互相関信号を備える請求項30に記載の方法。
【請求項32】
複数の視野内衛星からSPS信号およびRF周波数を受信するためのアンテナと、
前記アンテナに接続されるダウンコンバータであって、前記受信されたSPS信号のRF周波数を中間周波数(IF)まで削減し、ベースバンド信号を生じさせる、前記ダウンコンバータと、
前記ダウンコンバータに接続されるデジタイザと、
前記デジタイザに接続されるプロセッサであって、
前記SPS受信機が位置している場所に対応する信号環境を決定し、環境データを作成し、
前記環境データを使用して前記衛星信号の1つまたは複数の特徴に関係する1つまたは複数のパラメータの閾値を選択し、
前記複数の視野内衛星の2つまたは3つ以上の衛生からそれぞれの衛星信号の到着時刻を測定し、複数の測定済み到着時刻を生成し、
前記1つまたは複数のパラメータの前記閾値を使用して、前記到着時刻を表すデータを試験し、前記SPS受信機の場所修正を計算するために用いる到着時刻の集合を生じさせるように構成される前記プロセッサと、
を備えるSPS受信機装置。
【請求項33】
前記SPS受信機装置が、通信アンテナおよび前記通信アンテナに、および前記プロセッサに結合される通信受信機をさらに備え、前記通信受信機が、通信リンク上で衛星データ情報を含むデータ信号を受信するために使用できる請求項32に記載のSPS受信機装置。
【請求項34】
前記到着時刻の集合が、前記通信リンク上で基地局に送信される請求項33に記載のSPS受信機装置。
【請求項35】
前記通信リンクが、セルラー電話送信リンクを備える請求項34に記載のSPS受信機装置。
【請求項36】
前記環境データが、前記SPS受信機が屋内に位置しているのか、あるいは屋外に位置しているのか、および前記SPS受信機が都市の場所に位置しているのか、あるいは地方の場所に位置しているのかを指定する請求項35に記載のSPS受信機装置。
【請求項37】
前記環境データが、ユーザによって前記SPS受信機に入力される請求項36に記載のSPS受信機装置。
【請求項38】
前記環境データが、前記通信リンクによって送信されるデータを解析することによって決定される請求項36に記載のSPS受信機装置。
【請求項39】
衛星測位システム(SPS)信号を処理する方法であって、前記方法が、
第1SPS衛星からのSPS信号の第1集合の第1の考えられる相関ピークを求めることと、
SPS信号の前記第1集合の第2の考えられる相関ピークを求めることと、
前記第1の考えられる相関ピークおよび前記第2の考えられる相関ピークからSPS信号の前記第1集合の到着時刻を表す測定値を引き出すことと、
を備える。
【請求項40】
前記第2の考えられる相関ピークが、時間内で前記第1の考えられる相関ピークに従う請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の考えられる相関ピークが反射SPS信号から生じる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記到着時刻を表す前記測定値が、前記第1の考えられる相関ピークから引き出される請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、
SPS信号の前記第1集合を受信したSPS受信機から、前記第1の考えられる相関ピークおよび前記第2の考えられる相関ピークが求められた旨の識別を送信することと、
をさらに備える請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、
広いピーク相関出力を特定し、SPS信号の前記第1集合を受信した、SPS受信機の位置情報を決定するために使用される測定値から前記広いピーク相関出力を廃棄することと、
をさらに備える請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、
遠隔処理システムで、前記到着時刻を表す前記測定値を受信し、前記識別を受信し、前記遠隔処理システムが、セルラー無線周波数ネットワークを通して前記SPS受信機に通信できるように接続されることと、
をさらに備える請求項43に記載の方法。
【請求項46】
衛星測位システム(SPS)信号を処理する方法であって、前記方法が、
SPS信号が、SPS受信機が位置する場所で伝搬される方法を表す信号環境データを決定し、前記信号環境データが、前記場所の近くのSPS信号の多重路状態または干渉状態の少なくとも1つを表すデータを備えることと、
前記SPS受信機によって受信されるSPS信号を表すデータが前記信号環境データに基づいてどのように処理されるのかを決定することと、
を備える。
【請求項47】
前記信号環境データが、電離圏状態とは実質的に無関係である請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記信号環境データが、(a)信号対雑音比、(b)信号対混信比、(c)ピーク幅パラメータ、(d)入力信号強度値、(e)強力な衛星のパラメータ、および(f)信号減衰の内の少なくとも1つを備える請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、
前記SPS受信機でSPS信号の到着時刻を表す測定値を送信することと、
セルラー無線周波数通信リンクを通して、到着時刻を表す前記測定値を遠隔処理システムで受信することと、
前記SPS受信機の位置の解を求めるために到着時刻を表す前記測定値を前記遠隔処理システムで処理することと、
を備える請求項46に記載の方法。
【請求項50】
衛星測位システム(SPS)信号を処理する方法であって、前記方法が、
SPS信号の第1集合の第1の考えられる相関ピークを求めることと、
SPS信号の前記第1集合の第2の考えられる相関ピークを求めることと、前記第1の考えられる相関ピークおよび前記第2の考えられる相関ピークの1つからSPS信号の前記第1集合の到着時刻を表す測定値を引き出すことと、
SPS信号の前記第1集合を受信したSPS受信機から、前記第1の考えられる相関ピークおよび前記第2の考えられる相関ピークが求められた旨の識別を送信することと、
を備える。
【請求項51】
前記第2の考えられる相関ピークが、時間内で前記第1の考えられる相関ピークに従う請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の考えられる相関ピークが反射SPS信号から生じる請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記到着時刻を表す前記測定値が、前記第1の考えられる相関ピークから引き出される請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記方法が、
広いピーク相関出力を特定し、SPS信号の前記第1集合を受信した前記SPS受信機の位置情報を決定するために使用される測定値からの前記広いピーク相関出力を廃棄することと、
をさらに備える請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記方法が、
前記到着時刻を表す前記測定を遠隔処理システムで受信し、前記遠隔処理システムが、セルラー無線周波数ネットワークを通して前記SPS受信機に通信できるように結合されることと、
をさらに備える請求項50に記載の方法。
【請求項56】
衛星測位システム(SPS)信号を処理する方法であって、前記方法が、
セルベースの情報源から、SPS信号が、SPS受信機が位置する場所で伝搬される方法を表す信号環境を決定することと、
前記信号環境に基づいて、前記SPS受信機によって受信されるSPS信号を表すデータがどのように処理されるのかを決定することと、
を備える。
【請求項57】
前記方法が、
SPS信号の到着時刻を表す測定値を決定し、前記測定値が前記信号環境に基づくことと、
前記SPS受信機でSPS信号の到着時刻を表す前記測定値を送信することと、
セルラー無線周波数通信リンクを通して到着時刻を表す前記測定値を前記遠隔処理システムで受信することと、
測定時刻を表す前記測定値を前記遠隔処理システムで処理し、前記SPS受信機の位置の解を求めることと、
をさらに備える請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記求めることが、少なくとも1つのSPS衛星からSPS信号の到着時刻測定を実行するために使用される積分時間を求める請求項46に記載の方法。
【請求項59】
コードフェーズの前記集合が、前記複数のSPS信号のそれぞれのコードフレーム全体を含む請求項24に記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、
所定の誤差閾値基準を満たさないSPS信号の到着時刻測定値を補正することと、
をさらに備える請求項28に記載の方法。
【請求項61】
前記方法が、
前記環境データに少なくとも部分的に基づく位置を計算することと、
をさらに備える請求項27に記載の方法。
【請求項62】
前記所定の誤差閾値基準が、前記複数の衛星の1つまたは複数の衛星によって送信される多重路信号によって引き起こされる複数のピーク値を備える請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記衛星信号の前記特徴が、前記通信リンク上で前記基地局に送信され、前記特徴が、前記環境データを引き出すために使用される請求項34に記載のSPS受信機装置。
【請求項64】
前記方法が、
SPS測定時刻測定値を求めることと、
前記信号環境に基づく偏向調整で前記到着時刻測定値を補正することと、
をさらに備える請求項46に記載の方法。
【請求項65】
前記信号環境を特徴付けることが、信号対雑音比、信号対混信比、信号強度、またはセルラー通信システムによって受信されるセルラー通信信号のピーク幅値の少なくとも1つを求めることを備え、前記SPS受信機および前記セルラー通信システムがともに結合され、結合されたシステムの一部である請求項14に記載の方法。
【請求項66】
前記信号環境データを前記決定することが、信号対雑音比、信号対混信比、信号強度、またはセルラー通信システムによって受信されるセルラー通信信号のピーク幅値の少なくとも1つを求めることを備え、前記SPS受信機および前記セルラー通信システムがともに結合され、結合されたシステムが一部となる請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−31278(P2009−31278A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−181490(P2008−181490)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【分割の表示】特願2000−596391(P2000−596391)の分割
【原出願日】平成12年1月24日(2000.1.24)
【出願人】(500480274)スナップトラック・インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】