説明

衝撃吸収部材およびその製造方法

【課題】衝撃吸収部材の本体における欠肉の発生を抑制する。
【解決手段】衝撃吸収部材20は、成形型内で発泡成形される発泡体からなる本体22と、この本体22に成形型での発泡成形時に埋め込まれ、ドアトリムへの取付部分となる取付部材24とを有している。取付部材24は、取付孔26aを有する筒体部26と、この筒体部26の端部に設けられ、発泡体の発泡成形時に成形型の型面に当接するフランジ部28と、このフランジ部28における型面への当接面に凹設され、型面との間に隙間を形成する溝部30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両内装部材と車体構成部材との間に設けられる衝撃吸収部材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、乗員室に座った乗員に対する様々な安全対策が施されており、例えばドアの乗員室側を覆うドアトリムには、図6に示すような衝撃吸収部材60が配設されている(例えば、特許文献1参照)。衝撃吸収部材60には、硬質ポリウレタン発泡体からなる本体62にワッシャ64が埋め込まれており、このワッシャ64を介してドアトリム12に取り付けられている(図7参照)。ワッシャ64は、取付孔66aを有する円筒状の筒体部66と、この筒体部66の両端に夫々設けられたフランジ部68,68とから構成される。ワッシャ64は、ドアトリム12に臨む側に位置する一方のフランジ部68が取付孔66aを除いて衝撃吸収部材60における本体62の内部に埋め込まれるのに対し、ドアパネル10に臨む側に位置する他方のフランジ部68が本体62の外部に露出するようになっている(図7参照)。衝撃吸収部材60は、ワッシャ64の取付孔66aにドアトリム12に突設された取付軸14を挿入して、ドアトリム12に取り付けられている。
【0003】
前記衝撃吸収部材60は、成形型70で本体62を発泡成形する際に、ワッシャ64が本体62に埋め込まれる(図8参照)。図8に例示するように、ワッシャ64は、成形型70の下型面72に他方のフランジ部68を載置すると共に、取付孔66aを塞ぐように形成された成形型70の上型面74で一方のフランジ部68が押さえられて、成形型70のキャビティ70aにセットされる。そして、キャビティ70aに供給されたウレタン原料Gが発泡して、キャビティ70aに充填して固化することで、衝撃吸収部材60の本体62が成形されるのと同時に、ワッシャ64を本体62に埋め込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−322507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記衝撃吸収部材60における本体62の発泡成形工程では、ウレタン原料Gの発泡時にキャビティ70aの空気が図示しない空気孔から基本的に排出されるようになっているが、一部の逃げ場を失った空気a(図8参照)が上型面74と一方のフランジ部68との間に溜まり易い。これは、ワッシャ64における一方のフランジ部68の上側にウレタン原料Gが回り込む段階においてウレタン原料Gの粘度が高くなっており、フランジ部68の上側でウレタン原料Gがぶつかる部分で空気の逃げ道がないからである。このため、衝撃吸収部材60には、前記空気に起因して硬質ポリウレタン発泡体が欠落した欠肉部分63が本体62におけるワッシャ64の周りに生じることがある(図9参照)。衝撃吸収部材60は、本体62に欠肉部分63があると、車両走行時の振動等によって該欠肉部分63を起点として割れが発生する可能性がある。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る衝撃吸収部材およびその製造方法に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、欠肉部分の発生を抑えた衝撃吸収部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の衝撃吸収部材は、
成形型内で発泡成形される発泡体からなる本体と、この本体に成形型での発泡成形時に埋め込まれ、車両内装部材への取付部分となる取付部材とを有する衝撃吸収部材において、
前記取付部材は、
前記車両内装部材の取付軸が挿入される取付孔を有する筒形の本体部と、
前記本体部の少なくとも一端に設けられ、前記発泡体の発泡成形時に前記成形型の型面に当接するフランジ部と、
前記フランジ部における型面への当接面に凹設され、該フランジ部における前記取付孔を画成する内縁および外縁に亘って延在して前記型面との間に隙間を形成する溝部とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、衝撃吸収部材における本体の発泡成形時に、取付部材の溝部から空気を逃して取付部材の周りまで原料を適切に充填することができるので、本体における欠肉部分の発生を抑制することができる。また、本体に埋設されたフランジ部の溝部に該本体が入り込むことで、本体に対して取付部材が強固に取り付けれる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記取付部材は、前記本体部の両端に前記フランジ部を有し、該フランジ部の夫々に前記溝部が設けられ、
前記取付孔に挿入して前記取付部材のフランジ部から突出した前記取付軸の先端に設けた取着部で該フランジ部を押えて、前記本体は前記車両内装部材に取り付けられることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、溝部が設けられたフランジ部を取付軸の取着部で押さえる構成であるので、取着部とフランジ部とがずれ難く、衝撃吸収部材を車両内装部材に対して強固に取り付けることができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記取着部は、前記取付孔に挿入して前記取付部材のフランジ部から突出した前記取付軸の先端を溶融により拡大して形成されることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、取付部材の取付孔から突出した取付軸を溶融して取着部を形成した際に、溝部に取着部が入り込むので、車両内装部材へより強固に取り付けることができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記フランジ部には、前記取付孔を囲んで複数の溝部が放射状に配置されることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、複数の溝部をフランジ部の端面に放射状に配置することで、フランジ部周りの何れの方向からも空気を逃すことができる。
【0011】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項5に係る発明の衝撃吸収部材の製造方法は、
成形型内で発泡成形される発泡体からなる本体と、この本体に埋め込まれ、車両内装部材への取付部分となる取付部材とを有する衝撃吸収部材の製造方法において、
前記取付部材の端部に設けられたフランジ部を、該取付部材における筒形の本体部に設けられた取付孔を囲むように成形型の型面に当接した状態で、取付部材を成形型にセットし、
前記フランジ部における型面との当接面に凹設された溝部を介して成形型のキャビティと前記取付孔とを連通したもとで、該キャビティに供給した原料を発泡・成形するようにしたことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、衝撃吸収部材における本体の発泡成形時に、取付部材の溝部から空気を逃して取付部材の周りまで原料を適切に充填することができるので、本体における欠肉部分の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記取付部材は、前記本体部の両端に前記フランジ部を有し、該フランジ部の夫々に前記溝部が設けられることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、取付部材における本体部の両端にフランジ部が設けられているので、取付部材の成形型へのセットに際して何れのフランジ部を上下にしてもよく、取付部材のセット作業を容易に行うことができる。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記フランジ部には、前記取付孔を囲んで複数の溝部が放射状に配置されることを要旨とする。
請求項7に係る発明によれば、複数の溝部をフランジ部の端面に放射状に配置することで、フランジ部周りの何れの方向からも空気を逃すことができる。
【0014】
請求項8に係る発明では、前記取付部材は、前記成形型の型面に設けられた孔部に前記取付孔が整合するように該成形型にセットされることを要旨とする。
請求項8に係る発明によれば、取付部材の取付孔に整合する成形型の孔部へ溝部および取付孔を介してキャビティの空気を逃がすことができるので、キャビティにおける空気溜まりの発生をより好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る衝撃吸収部材によれば、本体における欠肉部分の発生を抑えることができる。また本発明に係る衝撃吸収部材の製造方法によれば、本体における欠肉部分の発生を抑えた衝撃吸収部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好適な実施例に係る衝撃吸収部材を示す概略斜視図である。
【図2】実施例の衝撃吸収部材のドアトリムへの配設構造を示す側断面図である。
【図3】実施例の取付部材を示す概略斜視図である。
【図4】実施例の衝撃吸収部材の製造時を示す説明図である。
【図5】衝撃吸収部材の配設構造の変更例を示す側断面図である。
【図6】従来の衝撃吸収部材を示す概略斜視図である。
【図7】従来の衝撃吸収部材のドアトリムへの配設状況を示す側断面図である。
【図8】従来の衝撃吸収部材の製造時を示す説明図である。
【図9】従来の衝撃吸収部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る衝撃吸収部材およびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0018】
図1または図2に示すように、実施例に係る衝撃吸収部材20は、ドアトリム(車両内装部材)12の外面に取り付けられて、ドアトリム12とこのドアトリム12の外側に配置されたドアパネル(車体構成部材)10との間に配置されている。衝撃吸収部材20は、発泡体からなるブロック状の本体22と、この本体22に埋め込まれ、ドアトリム12に取り付けるための取付部材24とから基本的に構成され、本体22の発泡成形と同時に取付部材24が埋め込まれる。衝撃吸収部材20は、取付部材24を複数有し、実施例の衝撃吸収部材20は、本体22における上側の両角部と本体22における下側の中央部の合計3つの取付部材24が配設されている(図1参照)。本体22を構成する発泡体としては、ポリウレタンやオレフィン系等の発泡体を用いることができ、実施例では硬質ポリウレタンが採用されている。また、衝撃吸収部材20は、本体22におけるドアトリム12に対向する面(内面)がほぼ平らに形成される一方、本体22における取付部材24の埋め込み部分がドアパネル10に対向する側から凹むように形成されている。本体22には、ドアパネル10に対向する面(外面)に金属製の薄い板部材(図示せず)が取り付けられ、衝撃吸収部材20に加わった荷重を板部材を介して本体22で全体として受容するようになっている。
【0019】
前記取付部材24は、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる合成樹脂部品であって、取付孔26aを有する円筒状の筒体部(本体部)26と、この筒体部26の両端の夫々に設けられたフランジ部28,28と、このフランジ部28に設けられた溝部30とから構成される(図3参照)。各フランジ部28は、筒体部26の端部全周面に亘って取付孔26aの貫通方向と直交する方向(筒体部26の半径方向)に向けて延出形成され、実施例のフランジ部28は、中央に開口する取付孔26aを囲む円盤状に形成されている。各フランジ部28の端面には、該フランジ部28における取付孔26aを画成する内縁および外縁に亘って延在する溝部30が複数凹設され、実施例のフランジ部では、取付孔26aを囲んで複数の溝部30が放射状に配置されている。なお、実施例の取付部材24では、8つの溝部30が一定間隔をあけてフランジ部28に形成されている。また、実施例の取付部材24は、フランジ部28および溝部30が筒体部26を挟んで対称な関係で形成されている。
【0020】
前記取付部材24は、本体22の発泡成形の際に、成形型40の上下の型面42a,44aに2つのフランジ部28,28が保持されてセットされる(図4参照)。すなわち、取付部材24は、成形型40にセットした際に、溝部30によって成形型40の型面42a,44aとの間に、フランジ部28の外縁から取付孔26aに連通する隙間30aを形成するようになっている。溝部30は、成形型40のキャビティ40aの空気を逃す観点とウレタン原料(原料)Gの無駄な流出を抑制する観点とのバランスから、型面42a,44aへの当接面となるフランジ部28の端面からの深さを、0.1mm〜0.5mmの範囲に設定すると共に、幅を0.1mm〜1.5mmの範囲に設定するのが好ましい。すなわち、溝部30は、前記範囲より小さいと空気を十分逃がすことができず、前記範囲より大きいと、キャビティ40aに充填したウレタン原料Gの漏出量が無視できないほど多くなる不都合がある。なお、実施例の取付部材24は、筒体部26の長さが10mm、外径が10mmで、取付孔26aの直径が8mmに設定され、フランジ部28の外径が20mmで、フランジ部28の厚みが1.5mmに設定されている。
【0021】
前記取付部材24は、ドアトリム12に臨む側に位置する一方のフランジ部28が取付孔26aを除いて衝撃吸収部材20における本体22の内部に埋め込まれるのに対し、ドアパネル10に臨む側に位置する他方のフランジ部28が本体22の外部に露出するようになっている(図2参照)。また、衝撃吸収部材20は、本体22におけるドアトリム12側に取付孔26aに連通する取付開口22aが設けられ、本体22の凹部22bにおけるドアパネル10側の面に他方のフランジ部28の端面が臨んでいる。ドアトリム12に突設された取付軸14には、衝撃吸収部材20の本体22の取付開口22aを介して取付部材24の取付孔26aに挿入し、取付部材24のドアパネル10側のフランジ部28から突き出た該取付軸14の先端を溶融して潰すことで、取着部15が形成される。そして、衝撃吸収部材20は、取付孔26aより拡大形成された取着部15でドアパネル10側のフランジ部28が押えられて、ドアトリム12に取り付けられる。ここで、取付部材24は、ドアパネル10側のフランジ部28の端面に溝部30が設けられているので、溶融した取付軸14の先端が溝部30に入り込み、溶融形成された取着部15と溝部30とがかみ合うから、衝撃吸収部材20をドアトリム12に対してがたつきなく、より強固に取り付けることができる。また、衝撃吸収部材20では、ドアトリム12側のフランジ部28が本体22をなす硬質ポリウレタン発泡体に埋設されており、この埋設されたフランジ部28に溝部30を有しているので、本体22と溝部30とが噛み合って取付部材24が筒体部26の周方向に回転し難くなっている。これにより、衝撃吸収部材20では、本体22に対して取付部材24が堅固に保持される。
【0022】
次に、衝撃吸収部材20の製造方法について説明する。先ず、フランジ部28に溝部30を有する前述した取付部材24を用意する。取付部材24をフランジ部28の何れかを成形型40の下型42における下型面42aに載置し、ウレタン原料Gを下型42に供給する。成形型40の上型44を下型42に対して型閉めすることで、上型44の上型面44aが取付部材24の上側に位置するフランジ部28に取付孔26aを囲うように当接し、取付部材24における上下に位置するフランジ部28,28が上下の型面42a,44aに挟持されて保持される(図4参照)。ここで、上型44には、取付部材24のフランジ部28への当接部分内側に、孔部46が形成されており、成形型40に取付部材24をセットした際に、取付部材24の取付孔26aと孔部46とが整合するようになっている。前述の如く取付部材24は、筒体部26を挟んで両端にフランジ部28および溝部30を有する対称な形状であるので、成形型40へのセットに際して、取付部材24の何れのフランジ部28を上下にしてもよく、取付部材24のセット作業を容易に行うことができる。なお、孔部46は、上型面44aから上型44の外部に連通するよう形成しても、上型面44aから凹んで閉塞する構成の何れであってもよい。
【0023】
前記成形型40のキャビティ40aでは、ウレタン原料Gが発泡して下側から上側に向けて膨張し、キャビティ40a内に充填される。取付部材24のフランジ部28には溝部30が形成されているので、下側のフランジ部28に凹設された溝部30と該フランジ部28に当接している下型面42aとの間、上側のフランジ部28に凹設された溝部30と該フランジ部28に当接している上型面44aとの間には、キャビティ40aと取付孔26aを介して孔部46に連通する隙間30aが形成されている(図4参照)。取付部材24の上側に位置するフランジ部28にウレタン原料Gが充填される段階では、ウレタン原料Gの粘度がある程度上昇していて空気の逃げが悪化しているが、上側のフランジ部28の周りに到来したウレタン原料Gに押し退けられた空気を溝部30による隙間30aを介して取付孔26aおよび孔部46に逃すことができる。すなわち、実施例の製造方法によれば、取付部材24におけるフランジ部28の周りまで空気の影響を受けずにウレタン原料Gを確実に充填することができる。また、溝部30は、フランジ部28の端面に放射状に配置されているので、フランジ部28の半径方向の何れからも空気を逃すことができる。
【0024】
発泡したウレタン原料Gを所定時間キュアして固化した後に、本体22が所定形状に賦形された衝撃吸収部材20を成形型40から取り出す。実施例の如く、衝撃吸収部材20をポリプロピレンからなる取付部材24とポリウレタンからなる本体22とから構成することで、ポリウレタンがポリプロピレンに接合し難いので、ドアパネル10に臨む側に位置するフランジ部28の溝部30および、溝部30を介して取付孔26a側に漏出したポリウレタンを後から容易に取り除くことができる。このようにして得られた衝撃吸収部材20は、取付部材24から空気を適切に逃がして取付部材24の周りにウレタン原料Gが確実に充填されるので、本体22における取付部材24の周りにおいて欠肉部分の発生を抑えることができる。すなわち、衝撃吸収部材20は、取付部材24を本体22の発泡成形時に埋め込んでも欠肉部分が生じ難いので、車両走行時の振動によっても欠肉部分に由来する割れ等の欠陥が発生せず、耐久性を向上することができる。
【0025】
(変更例)
本発明は、前述の実施例の構成に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1)取付部材は、筒体部の両端にフランジ部を設けたが何れか一方の端部にだけ設ける構成であってもよい。
(2)実施例では、ドアトリムに取り付ける衝撃吸収部材を例に挙げたが、ピラーガーニッシュやインストルメントパネル等の車両内装部材に取り付ける衝撃吸収部材に適用可能である。
(3)実施例では、ドアトリム12の取付軸14の先端を溶融することで衝撃吸収部材20を取り付けたが、図5に示すように、取付軸14の先端部に形成したネジ溝14aに取着部としてのナット16を螺合することで、ナット16で取付部材24のフランジ部28を押えて衝撃吸収部材20を取り付けてもよい。変更例の取付構造は、衝撃吸収部材20を取付軸14に取付孔26aを嵌め合わせた際に、ドアパネル10側のフランジ部28から突出するネジ溝14aにナット16を螺合して、ドアトリム12とナット16との間に挟んで衝撃吸収部材20が取り付けられる。ナット16およびフランジ部28における互いに当接する面は平坦であるが、フランジ部28に溝部30が設けられているので、ネジ溝14aに取着したナット16が弛み難い。また、変更例の取付構造は、ナット16におけるフランジ部28と当接する面に突起16aを設けることで、突起16aを溝部30に係止させて、更に弛み難くすることができる。
【符号の説明】
【0026】
12 ドアトリム(車両内装部材),14 取付軸,15 取着部,
16 ナット(取着部),22 本体,24 取付部材,26 筒体部(本体部),
28 フランジ部,30 溝部,30a 隙間,40 成形型,
42a 下型面(型面),44a 上型面(型面),46 孔部,
G ウレタン原料(原料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型内で発泡成形される発泡体からなる本体と、この本体に成形型での発泡成形時に埋め込まれ、車両内装部材への取付部分となる取付部材とを有する衝撃吸収部材において、
前記取付部材は、
前記車両内装部材の取付軸が挿入される取付孔を有する筒形の本体部と、
前記本体部の少なくとも一端に設けられ、前記発泡体の発泡成形時に前記成形型の型面に当接するフランジ部と、
前記フランジ部における型面への当接面に凹設され、該フランジ部における前記取付孔を画成する内縁および外縁に亘って延在して前記型面との間に隙間を形成する溝部とを備えた
ことを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記取付部材は、前記本体部の両端に前記フランジ部を有し、該フランジ部の夫々に前記溝部が設けられ、
前記取付孔に挿入して前記取付部材のフランジ部から突出した前記取付軸の先端に設けた取着部で該フランジ部を押えて、前記本体は前記車両内装部材に取り付けられる請求項1記載の衝撃吸収部材。
【請求項3】
前記取着部は、前記取付孔に挿入して前記取付部材のフランジ部から突出した前記取付軸の先端を溶融により拡大して形成される請求項2記載の衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記フランジ部には、前記取付孔を囲んで複数の溝部が放射状に配置される請求項1〜3の何れか一項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項5】
成形型内で発泡成形される発泡体からなる本体と、この本体に埋め込まれ、車両内装部材への取付部分となる取付部材とを有する衝撃吸収部材の製造方法において、
前記取付部材の端部に設けられたフランジ部を、該取付部材における筒形の本体部に設けられた取付孔を囲むように成形型の型面に当接した状態で、取付部材を成形型にセットし、
前記フランジ部における型面との当接面に凹設された溝部を介して成形型のキャビティと前記取付孔とを連通したもとで、該キャビティに供給した原料を発泡・成形するようにした
ことを特徴とする衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項6】
前記取付部材は、前記本体部の両端に前記フランジ部を有し、該フランジ部の夫々に前記溝部が設けられる請求項5記載の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項7】
前記フランジ部には、前記取付孔を囲んで複数の溝部が放射状に配置される請求項5または6記載の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項8】
前記取付部材は、前記成形型の型面に設けられた孔部に前記取付孔が整合するように該成形型にセットされる請求項5〜7の何れか一項に記載の衝撃吸収部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−51162(P2011−51162A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200590(P2009−200590)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】