説明

表示器および表示装置

【課題】光源からの光の利用効率を向上し得る表示器を提供する。
【解決手段】光路変更パネル12、回折格子パネル13および拡散板14を備えた表示器2であって、表示器2と対向し、かつ表示器2の左右方向で相違する各視点位置から互いに相違する画像を視認可能に複数の画像を表示可能に構成され、回折格子パネル13は、各表示画素毎に回折格子30が形成されて各回折格子30毎に光路変更パネル12からの光L2を予め規定された方向にそれぞれ回折し、光路変更パネル12は、各表示画素に対応してプリズム20が設けられて光源11および回折格子パネル13の間に配設されると共に、光源11から出射された光L1の進行方向をプリズム20によって表示器2の縦方向に変更して各回折格子30における回折格子面F3に対して光L2を斜めに入射させ、拡散板14は、回折格子パネル13によって回折された光L3を表示器2の縦方向に拡散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光の進行方向を変更する光路変更部と、光路変更部からの光を予め規定された方向に回折する光回折部と、光回折部によって回折された光を拡散させる光拡散部とを備えて、視点位置毎に相違する画像を視認可能に複数の画像を表示する表示器、およびその表示器を備えて構成された表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の表示器を備えて構成された表示装置として、特開平9−304738号公報に立体像表示装置が開示されている。この立体像表示装置は、CRT等で構成された表示装置(以下、「立体像表示装置」との区別を明確にするために「CRT」という)と、投影レンズと、回折格子(複数の格子セル内に回折格子パターンによって回折格子がそれぞれ形成された板体:以下、各格子セル単位の回折格子との区別を明確にするために「回折格子パネル」という)とを備えて構成されている。この立体像表示装置では、観察者の視点位置に対応して規定された複数の視差領域毎に、その視差領域に対応する視差画像がそれぞれ視認されるように被対象物の画像(各視差画像を合成した合成画像)を表示させることで立体像(立体視画像)として視認させる構成が採用されている。
【0003】
この場合、上記のCRTは、各視差画像における各表示画素毎の光をそれぞれ出射する光源として機能する。また、上記の投影レンズは、CRTから出射された各光(立体像を構成する各表示画素に対応する光)を回折格子パネルの予め規定された格子セルにそれぞれ導光する(予め規定された格子セルにそれぞれ入射させる)導光部品として機能する。さらに、上記の回折格子パネルには、投影レンズによって導光された各光を回折して予め規定された視差領域に向けて出射可能に各格子セル毎に相違する回折格子パターンで回折格子がそれぞれ形成されている。
【0004】
この立体像表示装置による立体像の表示に際しては、まず、立体像として視認させる被対象物の画像(合成画像)を生成する。具体的には、まず、被対象物を撮影して各視差領域毎の視差画像(一例として、左外側、左内側、右内側および右外側の4つの視差領域毎の4つの視差画像)をそれそれ生成する。次いで、画像合成装置によって各視差画像を合成して合成画像を生成する。この際には、左外側用の視差画像の画素、左内側用の視差画像の画素、右内側用の視差画像の画素、および右外側用の視差画像の画素が予め規定された配列パターンで周期的に並ぶように画像処理することによって上記の合成画像を生成する。これにより、立体像を表示するための前処理が完了する。
【0005】
次いで、生成した合成画像をCRTに表示させる。この際には、CRTから出射された各光が投影レンズによって、回折格子パネルの予め規定された格子セルに導光される。また、回折格子パネル(格子セル)に入射した各光は、各格子セル毎の回折格子(格子パターン)によって回折されて、予め規定された視差領域に向かってそれぞれ出射される。これにより、各視差領域毎に互いに相違する視差画像が視認される。この場合、観察者の左目および右目が互いに相違する視差領域に位置している状態では、左目によって視認される視差画像と、右目によって視認される視差画像とが視差領域の位置に応じて相違しているため、表示されている画像が立体像として視認される。また、観察者が他の視差領域に移動したときには、視差領域の位置に応じて相違する視差画像が順次視認されるため、表示されている画像が運動視差によって立体像として視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−304738号公報(第3−4頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の立体像表示装置には、以下の問題点がある。すなわち、従来の立体像表示装置では、CRTから出射された各光を投影レンズによって導光して回折格子パネルの所望の格子セル(回折格子)に入射させる構成が採用されている。また、従来の立体像表示装置における回折格子パネルは、そのパネル面に規定された各格子セル毎に、平行な直線群で構成された互いに相違する回折格子パターンによって回折格子が形成されている。したがって、従来の立体像表示装置における回折格子パネルでは、回折した光を出射すべき視差領域の位置(光を回折すべき方向)に応じて、各格子セル毎の回折格子パターン(直線群で構成された回折格子)のパネル面内における角度(パネル面内における直線群の傾き)が相違するものの、すべての回折格子パターンがパネル面と平行な同一平面内に形成されている。
【0008】
この場合、図43に示すように、従来の立体像表示装置1x(以下の説明において、従来の立体像表示装置に関連する要素については符号の末尾に「x」を付して説明する)では、回折格子パネル13xの中央部に規定された格子セル(回折格子)に対して、投影レンズによって導光された光L2xが垂直に入射する。このような状態においては、光L2xの回折光として、0次回折光L3ax、1次回折光L3bxおよび−1次回折光L3cxが回折格子パネル13xから出射される。この際に、光L2xが格子セル(回折格子)に対して垂直に入射している状態においては、上記の1次回折光L3bxの光量と、−1次回折光L3cxの光量とが同量となる(1次回折光L3bxの強度と、−1次回折光L3cxの強度とが同程度となる)。
【0009】
したがって、従来の立体像表示装置1xでは、立体像の表示のために上記の1次回折光L3bxおよび−1次回折光L3cxのいずれを利用する構成を採用したとしても、回折格子パネル13xの中央部においては、投影レンズによって導光された光L2xのうちの半分以上(1次回折光L3bxおよび−1次回折光L3cxのうちの立体像の表示には使用しない一方と、0次回折光L3axとの和)が立体像の表示に寄与しないこととなり、CRT(光源)から出射された光の利用効率が悪化しているという問題点がある。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、光源からの光の利用効率を向上し得る表示器および表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、本発明に係る表示器は、光路変更部、光回折部および光拡散部を備えた表示器であって、当該表示器と対向し、かつ当該表示器の左右方向で相違する各視点位置から互いに相違する画像を視認可能に複数の画像を表示可能に構成され、前記光回折部は、各表示画素毎に回折格子が形成されて当該各回折格子毎に前記光路変更部からの光を予め規定された方向にそれぞれ回折し、前記光路変更部は、前記各表示画素に対応して光路変更素子が設けられて光源および前記光回折部の間に配設されると共に、当該光源から出射された光の進行方向を当該光路変更素子によって当該表示器の縦方向に変更して前記各回折格子における回折格子面に対して当該光を斜めに入射させ、前記光拡散部は、前記光回折部によって回折された光を当該表示器の縦方向に拡散させる。
【0012】
なお、上記の「光源」は、単に発光体を意味するものではなく、光路変更部に向けて光を出射するための光学的要素を意味する。したがって、例えば、発光体と光路変更部との間に他の光学部品(光変調素子や偏光パネル等)を配設することなく、発光体から出射された光を光路変更部に直接入射させてその進行方向を変更する構成においては、発光体そのものが「光源」に相当する。また、発光体から出射した光を、光変調素子や偏光パネル等の各種光学部品を透過させた後に光路変更部に入射させてその進行方向を変更する構成においては、発光体および光学部品が相俟って「光源」に相当する。
【0013】
また、本発明に係る表示器は、前記光路変更部は、前記光路変更素子がプリズムで構成されている。
【0014】
また、本発明に係る表示器は、前記光路変更部は、前記光路変更素子が、電気光学効果によって光の進行方向を変更する素子で構成されている。
【0015】
さらに、本発明に係る表示器は、波長が相違する複数種類の色光によって1つの前記表示画素を表示可能に構成され、前記光路変更部は、1つの前記表示画素を表示するための前記各色光に対応して前記光路変更素子が設けられると共に、当該1つの表示画素を表示するための当該各色光に対応する当該光路変更素子が、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成され、前記光回折部は、1つの前記表示画素を表示するための前記各色光毎に前記回折格子が形成され、前記1つの表示画素を表示するための前記各色光毎の前記回折格子は、波長が短い当該色光を回折する当該回折格子のペリスト回転角の大きさよりも、波長が長い当該色光を回折する当該回折格子のペリスト回転角の大きさの方が小さくなるように形成されている。なお、上記の[ペリスト回転角]とは、光が入射する側の面から回折格子面を見たときに、回折格子における各格子の格子ラインが水平の状態を0度とし、各格子の格子ラインが左下がりとなる回転角をプラスとし、各格子の格子ラインが右下がりとなる回転角をマイナスとする角度を意味する。
【0016】
さらに、本発明に係る表示器は、前記光路変更部および前記光回折部は、−1次回折光および+1次回折光のいずれかが当該光回折部から出射しないように形成されている。この場合、「−1次回折光および+1次回折光のいずれかが光回折部から出射しない」との状態は、「−1次回折光および+1次回折光のいずれかが光回折部から光拡散部の側に出射されない」との状態を意味する。
【0017】
また、本発明に係る表示装置は、上記のいずれかの表示器と、前記光源と、当該光源の点灯を制御して前記表示器に前記画像を表示させる制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る表示器によれば、光源から出射された光の進行方向を光路変更部の光路変更素子によって表示器の縦方向に変更して光回折部の各回折格子における回折格子面に対して光を斜めに入射させると共に、光路変更部からの光を光回折部の各回折格子によって予め規定された左右方向にそれぞれ回折し、かつ、光回折部によって回折された光を光拡散部によって表示器の縦方向に拡散させる構成を採用したことにより、表示器の左右方向で相違する各視点位置から互いに相違する画像を視認させるために光を左右方向に振り分けるための光回折部における各回折格子のうちの、主として表示器の縦方向に光を回折する回折格子(ペリスト回転角が0°の回折格子や、ペリスト回転角の絶対値が小さい回折格子)についても、その回折格子から出射される−1次回折光(または、1次回折光)の光量を十分に減少させる(−1次回折光(または、1次回折光)の強度を十分に低下させる)か、または、−1次回折光(または、1次回折光)の出射をなくして、1次回折光(または、−1次回折光)の光量を十分に増加させる(1次回折光(または、−1次回折光)の強度を十分に強める)ことができる。したがって、この表示器によれば、光源からの光の利用効率を十分に向上させることができると共に、光回折部からの光の出射方向を左右方向に十分に拡げることが可能となり、かつ、表示器の前方において、表示器に表示される画像を視認することができる範囲を縦方向に十分に拡げることができる。
【0019】
また、本発明に係る表示器によれば、光路変更部の光路変更素子をプリズムで構成したことにより、樹脂材料やガラス等によって光路変更部を容易に製造することができるため、表示器の製造コストを十分に低減することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る表示器によれば、光路変更部の光路変更素子を電気光学効果によって光の進行方向を変更する素子で構成したことにより、一対の電極間に印加する電圧を変更するだけで、光源からの光の進行方向の角度の大きさを任意の大きさに変更することができるため、光路変更部を容易に設計・製造することができる。
【0021】
また、本発明に係る表示器によれば、1つの表示画素を表示するための各色光に対応して光路変更素子を設けると共に、1つの表示画素を表示するための各色光に対応する光路変更素子を、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成して光路変更部を構成し、1つの表示画素を表示するための各色光毎の回折格子を、波長が短い色光を回折する回折格子のペリスト回転角の大きさよりも、波長が長い色光を回折する回折格子のペリスト回転角の大きさの方が小さくなるように形成して光回折部を構成したことにより、1つの表示画素を、波長が相違する複数の色光によって表示する場合に、光回折部から出射される各色光の左右方向における出射角度を同一角度に揃えることができる。したがって、この表示器によれば、表示したカラー画像に左右方向における色滲みが生じたり、左右方向で相違する各視点位置のうちの1つにおいて視認されるべきカラー画像を構成する単色画像に対して他の視点位置において視認されるべきカラー画像の単色画像が重なって視認されたりする事態を回避して、鮮明なカラー画像として視認させることができる。また、光路変更部の設計および製造を容易に行うことができる結果、表示器の製造コストを十分に低減することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る表示器によれば、−1次回折光および+1次回折光のいずれかが光回折部から出射しないように光路変更部および光回折部を形成したことにより、光回折部から出射された−1次回折光(または、1次回折光)の存在に起因して、いわゆるゴースト像が表示される事態を招くことなく、鮮明な画像を表示させることができる。
【0023】
また、本発明に係る表示装置によれば、上記のいずれかの表示器と、光源と、光源の点灯を制御して表示器に画像を表示させる制御部とを備えて表示装置を構成したことにより、光源からの光の利用効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】表示装置1,1A(表示器2,2A)の構成を示す構成図である。
【図2】表示装置1,1A(1C,1AC)の表示器2,2A(2C,2AC)と、画像の表示に際して出射される光L4との関係について説明するための平面図である。
【図3】表示器2における光源11、光路変更パネル12、回折格子パネル13および拡散板14の配置関係について説明するための断面図である。
【図4】光源11の正面図である。
【図5】光路変更パネル12の正面図である。
【図6】光源11(11c)、光路変更パネル12(12c)および回折格子パネル13(13c)を側方から見た断面図である。
【図7】回折格子パネル13の正面図である。
【図8】回折格子パネル13を斜め上方から見た斜視図である。
【図9】回折格子パネル13および拡散板14を側方から見た断面図である。
【図10】回折入射角θについて説明するための説明図である。
【図11】他の実施の形態に係る回折格子パネル13aの断面図である。
【図12】さらに他の実施の形態に係る回折格子パネル13bの断面図である。
【図13】光路変更パネル12,12Aからの光L2と、回折格子パネル13による0次回折光L3aおよび1次回折光L3bとの関係について説明するための説明図である。
【図14】表示器2A(2AC)における光源11(11c)、光路変更パネル12A(12Ac)、回折格子パネル13(13c)および拡散板14の配置関係について説明するための断面図である。
【図15】光路変更パネル12Aの正面図である。
【図16】光路変更パネル12A(12Ac)を側方から見た断面図である。
【図17】拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と、回折格子パネル13における回折格子面F3に対する光L2の入射方向との関係について説明するための説明図である。
【図18】拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と回折格子パネル13における回折格子面F3に対する光L2の入射方向との関係、および法線L14と回折格子面F3からの光L3の出射方向との関係について説明するための説明図であって、回折格子面F3、パネル面F4および光L2,L3等を図17における矢印Mの向きで見た図である。
【図19】拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と回折格子パネル13における回折格子面F3に対する光L2の入射方向との関係、および法線L14と回折格子面F3からの光L3の出射方向との関係について説明するための他の説明図であって、回折格子面F3、パネル面F4および光L2,L3等を図17における矢印Nの向きで見た図である。
【図20】拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と、回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13との関係について説明するための説明図であって、回折格子面F3、パネル面F4および法線L13,L14を図17における矢印Mの向きで見た図である。
【図21】拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と、回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13との関係について説明するための他の説明図であって、回折格子面F3、パネル面F4および法線L13,L14を図17における矢印Nの向きで見た図である。
【図22】回折格子パネル13における各回折格子30の格子ラインについて説明するための説明図である。
【図23】回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13と、回折格子面F3に対する光L2の入射方向との関係について説明するための説明図である。
【図24】回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13と回折格子面F3に対する光L2の入射方向との関係、および法線L13と回折格子面F3からの光L3の出射方向との関係について説明するための説明図であって、回折格子面F3、パネル面F4および光L2,L3等を図23における矢印Mの向きで見た図である。
【図25】回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13と回折格子面F3に対する光L2の入射方向との関係、および法線L13と回折格子面F3からの光L3の出射方向との関係について説明するための他の説明図であって、回折格子面F3、パネル面F4および光L2,L3等を図23における矢印Nの向きで見た図である。
【図26】回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13と各凸部31の延在方向(実線La)との関係、および各凸部31の形成ピッチについて説明するための説明図である。
【図27】回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13と各凸部31の延在方向(実線La)との関係について説明するための他の説明図であって、回折格子面F3および各凸部31の延在方向を示す実線Laを図23に示す矢印Nの向きで見た図である。
【図28】回折格子パネル13における回折格子面F3の法線L13と回折格子面F3からの光L3の出射方向との関係について説明するための説明図である。
【図29】拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と回折格子面F3からの光L3の出射方向との関係について説明するための説明図である。
【図30】他の実施の形態に係る表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)の構成を示す構成図である。
【図31】光源11cの正面図である。
【図32】光路変更パネル12cの正面図である。
【図33】光路変更パネル12Acの正面図である。
【図34】回折格子パネル13cの正面図である。
【図35】回折格子パネル13cにおける回折格子30R,30G,30Bと、光路変更パネル12cにおける各プリズム20との位置関係について説明するための説明図である。
【図36】表示装置1Cにおける表示器2Cについて説明するための説明図である。
【図37】表示装置1ACにおける表示器2ACについて説明するための説明図である。
【図38】他の実施形態に係る回折格子パネル13dの正面図である。
【図39】回折格子パネル13dにおける各回折格子30のうちの1つを拡大した正面図である。
【図40】さらに他の実施形態に係る回折格子パネル13e,13hの断面図である。
【図41】さらに他の実施形態に係る回折格子パネル13f,13iの断面図である。
【図42】さらに他の実施形態に係る回折格子パネル13g,13jの断面図である。
【図43】従来の立体像表示装置1xにおける回折格子パネル13xに対する光L2xと、0次回折光L3ax、1次回折光L3bxおよび−1次回折光L3cxとの関係について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る表示器および表示装置の実施の形態について説明する。
【0026】
図1,2に示す表示装置1は、視差による立体視画像を表示可能に構成された3D表示装置(「各視点位置から互いに相違する画像を視認可能に複数の画像を表示可能に構成され」との構成の一例)であって、表示器2および制御部3を備えて構成されている。表示器2は、図3に示すように、その背面側(同図における左側)から前面側(画像を視認する者が存在する側:同図における右側)に向かって、光源11、光路変更パネル12、回折格子パネル13および拡散板14がこの順で配置されて構成されている。なお、実際の表示装置1では、一例として、表示装置1の前面側における左右81方向の各視点位置に対応して規定された81箇所の視差領域毎に、互いに相違する81種類の「横×縦=1920×1080画素」のRGBカラー画像を視認させることができるよう構成されているが、「表示器」および「表示装置」の構成に関する理解を容易とするために、以下、左右81方向の各視点位置毎の各視差領域から、互いに相違する81種類の「横×縦=1920×1080画素」の単色画像において、互いに対応する81個の画素(表示画素)を視認させるための構成(81種類の単色画像からなる単色画像群における1つの表示画素群を表示するための構成)について説明する。
【0027】
光源11は、一例として、表示する立体視画像の各表示画素に対応して、平板状の基板の表面に複数の光出射部(LEDなど)が配列されて、全体として平板状に形成されている。この場合、光源11において、上記単色画像群のうちの1つの表示画素群(互いに対応する81個の表示画素の集合体)を表示させるための部位には、図4に示すように、「横×縦=9×9=81箇所」の光出射部10A1〜10I9(以下、区別しないときには「光出射部10」ともいう)が設けられている。すなわち、単色画像を表示させる構成の表示器2におけるこの光源11では、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つにつき1つの光出射部10が設けられている。この光源11は、制御部3からの制御信号Sに従い、図3に示すように、一例として、そのパネル面F1(上記の基板の基板面と平行な面)に対して垂直で互いに平行な光L1を各光出射部10毎にそれぞれ出射する。また、同図および図2に示すように、この表示器2では、一例として、上記のパネル面F1が、後述する光路変更パネル12のパネル面F2、回折格子パネル13の各回折格子面F3、および拡散板14のパネル面F4に対して平行になるように光源11が配置されている。
【0028】
光路変更パネル12は、「光路変更部」に相当し、表示する立体視画像の各表示画素に対応して「光路変更素子」の一例である「プリズム」が設けられて、図2に示すように、全体として平板状に形成されると共に、光源11および回折格子パネル13の間に配設されている。この場合、図5に示すように、光路変更パネル12には、「横×縦=9×9=81箇所」のプリズム20A1〜20I9(以下、区別しないときには「プリズム20」ともいう)が並んで設けられている。すなわち、単色画像を表示させる構成の表示器2におけるこの光路変更パネル12では、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つにつき1つのプリズム20が設けられている。本明細書において、「1つの光路変更素子」は、入射した光の光路を変更可能に構成された光学的要素(入射した光を屈折させる光学的要素)のうちの「1つの光出射部」に対応して規定された部位を意味する。
【0029】
なお、本例の光路変更パネル12では、横方向で並ぶ9つのプリズム20の間に物理的な境界がなく、この9つのプリズム20が1つのプリズムのように一体的に連続して形成されている。以下、複数のプリズム20が一体的に連続して形成されたプリズムを「プリズム200」ともいう。すなわち、この光路変更パネル12では、横方向に長い9つのプリズム200−1〜200−9が縦方向で並んでいるように形成されている。この場合、「光路変更素子がプリズムで構成されている」との構成を採用する場合において、一体的に連続して形成する「光路変更素子」の数は、「横方向に並ぶ9つ」に限定されず、1つの「光路変更素子」につき1つのプリズム20を独立して形成することもできるし、縦方向で並ぶ複数の「光路変更素子」を1つのプリズム200で構成することもできるし、横方向で並ぶ複数の「光路変更素子」、および縦方向で並ぶ複数の「光路変更素子」を1つのプリズム200で構成することもできる。
【0030】
また、図6に示すように、この表示器2では、光路変更パネル12における光源11との対向面(パネル面F2)が光源11のパネル面F1と平行に形成される(配置される)と共に、光路変更パネル12における回折格子パネル13との対向面に、下側ほど回折格子パネル13側に向かって徐々に突出する向きの斜面が形成されて各プリズム20(200)が構成されている(各プリズム20(200)における光源11との対向面(パネル面F2)に対して光L1が垂直に入射するように構成されている(配置されている))。なお、本例では、光路変更パネル12の前面(画像を視認する者が存在する側)に斜面を形成して「プリズム」として機能させる構成を採用しているが、光路変更パネル12の背面側(光源11との対向面側)に斜面を形成して「プリズム」として機能させる構成を採用することもできる(図示せず)。
【0031】
この場合、この光路変更パネル12では、上記の81個のプリズム20のすべて(すなわち、縦方向で並ぶ9つのプリズム200)が、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成されている。具体的には、この光路変更パネル12では、各プリズム20(200)が同一種類の「光透過性を有する樹脂材料(一例として、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、PET樹脂など)」で、そのプリズムの頂角の角度(図6に示す角度θp)がそれぞれ40°となるように形成されている。この光路変更パネル12は、光源11の各光出射部10から出射された光L1の進行方向を各プリズム20によって表示器2の縦方向(上下方向)に変更して、後述する回折格子パネル13の各回折格子面F3に対して光L2を斜めに入射させるように構成されている。
【0032】
回折格子パネル13は、「光回折部」の一例であって、図3に示すように、光源11から出射されて光路変更パネル12によって光路を変更された光L2を回折して光L3を出射する。この場合、回折格子パネル13において、上記単色画像群のうちの1つの表示画素群を表示させるための部位には、図7に示すように、表示すべき立体視画像の表示画素に対応して、「横×縦=9×9=81個」の回折格子30A1〜30I9(以下、区別しないときには「回折格子30」ともいう)が形成されている(各表示画素毎に1つの回折格子が形成された構成の例)。
【0033】
なお、本明細書において、「1つの回折格子」は、入射した光を回折可能に構成された光学的要素のうちの「1つの光出射部」に対応して規定された部位を意味する。この場合、単色画像を表示させる構成の表示器2におけるこの回折格子パネル13では、上記の光源11における1つの光出射部10に対応して1つの回折格子30が規定されて、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つにつき1つの回折格子30が規定されている。なお、図7では、各回折格子30毎の格子の格子ラインを実際の格子の形成ピッチよりも広いピッチで図示している。この回折格子パネル13は、図8に示すように、各回折格子30毎に、光路変更パネル12からの光L2を予め規定された81方向にそれぞれ回折して光L3を出射するように構成されている。なお、図8では、回折した光L3の出射方向をそれぞれ矢印で図示している。
【0034】
この場合、この回折格子パネル13は、図3に示すように、一例として、光路変更パネル12と対向する面(すなわち、回折格子パネル13の背面)に規定された各回折格子30の形成領域毎に平面視直線状の互いに平行な複数の凸部31、および平面視直線状の互いに平行な複数の凹部32が所定の形成ピッチで形成された凹凸パターン(格子パターン)が形成され、この凹凸パターンが回折格子30として機能して、光路変更パネル12からの光L2を予め規定された方向に回折するように構成されている。なお、本例では、回折格子パネル13の背面に形成した凹凸パターンを回折格子30として機能させる構成を採用しているが、回折格子パネル13の前面側(画像を視認する者が存在する側)に凹凸パターンを形成して回折格子として機能させる構成を採用することもできる(図示せず)。また、図6に示すように、この回折格子パネル13は、光路変更パネル12に対して距離Gだけ離間するように配置されている。
【0035】
なお、本明細書では、回折格子パネル13における回折格子30を構成する各凸部31の突端面における幅方向(図3における上下方向)の各中心線を含む面(図3における各中心31oを含む面)を「回折格子面」の一例である回折格子面F3とする。また、図11に示す回折格子パネル13aや、図12に示す回折格子パネル13bのように、凸部31の断面形状が上記の回折格子パネル13とは相違する場合においても、回折格子30を構成する各凸部31の突端面における幅方向の各中心線を含む面(同図における各中心31oを含む面)を「回折格子面」の一例である回折格子面F3とする。さらに、以下の説明において、上記の中心線、または上記の中心線と平行な線分(図22等において実線Lbで示す線)を格子ラインともいう。
【0036】
この場合、図6に示すように、回折格子パネル13との対向面に、下側ほど回折格子パネル13側に向かって徐々に突出する向きの斜面が形成されて各プリズム20が構成された光路変更パネル12を有するこの表示器2では、光源11からの光L1が下向きに屈折させられて光L2として回折格子パネル13(各回折格子30の回折格子面F3)に入射させられる。したがって、この表示器2では、光路変更パネル12から出射された光L2の回折格子パネル13に対する入射位置が、光路変更パネル12に対する光L1の入射位置や、光路変更パネル12からの光L2の出射位置よりも距離Dだけ下側に位置ずれする。このため、この表示器2では、光源11の各光出射部10や、光路変更パネル12の各プリズム20に対して回折格子パネル13の各回折格子30を距離Dだけ下方に位置ずれさせるように配置する構成が採用されている。なお、本例とは相違するが、上記の距離Gが「0」または「ほぼ0」となるように光路変更パネル12および回折格子パネル13を配置した場合には、上記の距離Dを「0」または「ほぼ0」とすることができる。
【0037】
拡散板14は、「光拡散部」に相当し、一例として、光透過性を有する樹脂材料で平板状に形成されたレンチキュラレンズで構成されている。この拡散板14は、図9に示すように、一例として、回折格子パネル13における回折格子30の1つ当りに複数の凸レンズが位置するように(この例では、回折格子30の1つ当りに3つの凸レンズが位置するように)、横方向に長い複数の凸レンズが、その前面側(画像を視認する者が存在する側)に形成されている。これにより、この拡散板14では、回折格子パネル13によって回折された(回折格子パネル13から出射された)光L3が、拡散板14を透過して各凸レンズによって縦方向(上下方向)に拡散されて光L4として出射される。なお、図9では、回折格子パネル13における凹凸パターンの図示を省略している。
【0038】
この場合、本明細書では、拡散板14において回折格子パネル13と対向する面(すなわち、拡散板14の背面)をパネル面F4とする。なお、「光拡散部」としての「拡散板」については、凸レンズに代えて、凹レンズを形成して構成することもできる(図示せず)。また、その背面側(回折格子パネル13と対向する面の側)に複数の凸レンズ、または、複数の凹レンズを形成して構成することもできる(図示せず)。なお、背面側に凸レンズまたは凹レンズを形成する構成を採用した場合においては、その拡散板における前面をパネル面とする。
【0039】
この表示器2では、後述するように、光路変更パネル12のパネル面F2の法線、回折格子パネル13の各回折格子面F3の法線、および拡散板14のパネル面F4の法線と平行な向きに光源11の各光出射部10から光L1が出射されるように構成されている。また、この表示器2では、光源11から出射された光L1が、光路変更パネル12の各プリズム20によって縦方向(本例では下向き)に屈折されて光路変更パネル12から光L2として出射されて、図10に示すように、回折格子30の回折格子面F3に斜めに入射するように構成されている。さらに、本例では、図13に示すように、1次回折光L3bおよび−1次回折光L3cのいずれか一方が回折格子パネル13から出射しないように光路変更パネル12および回折格子パネル13が構成されている。
【0040】
一方、制御部3は、表示器2に表示させるべき立体視画像の画像データに応じて光源11に制御信号Sを出力することにより、光源11における各光出射部10を、立体視画像の各表示画素の明るさに応じて点灯させる。なお、実際の表示装置1には、外部装置から出力された画像データや画像信号を処理する画像処理部等を備え、制御部3は、画像処理部によって処理されたデータや信号に基づいて表示器2に立体視画像を表示させるが、「表示器」および「表示装置」についての理解を容易とするために、表示器2および制御部3以外の構成要素に関する説明および図示を省略する。
【0041】
この表示装置1(表示器2)では、光源11から出射されて光路変更パネル12によって屈折させられた光L2を各回折格子30によって回折して左右81方向に振り分けると共に、各回折格子30によって左右方向に振り分けられた光L3を拡散板14によって縦方向(上下方向)に拡散させることで、左右81方向の各視差領域毎に縦方向(上下方向)における視域を拡げる構成(左右方向においては、互いに相違する視差画像が視認され、縦方向においては、同一の視差画像が視認されるように表示させる構成)が採用されている。具体的には、この表示装置1による立体視画像の表示に際しては、制御部3が表示器2の光源11に制御信号Sを出力することにより、各光出射部10を、表示すべき立体視画像の各表示画素の明度に応じた明るさで点灯させる。
【0042】
この際には、図3に示すように、光源11の各光出射部10から回折格子パネル13における各回折格子30の回折格子面F3の法線と平行な向きに出射された各光L1が、光路変更パネル12の各プリズム20を透過する際に屈折させられる結果、この光L2が回折格子パネル13の回折格子面F3に対して斜めに入射する。また、回折格子パネル13(回折格子面F3)に入射した光L2は、各回折格子30によってそれぞれ回折されて、光L3(回折光)としてそれぞれ出射される。この際に、この表示装置1では、回折格子パネル13における各回折格子30が、各光L3を出射すべき方向に応じて、格子ラインの傾きや、凸部31の形成ピッチ等が規定されて形成されている。これにより、図8に示すように、各回折格子30からの光L3は、所定の間隔で左右81方向に放射状に拡がるように回折格子パネル13からそれぞれ出射される。
【0043】
また、この表示器2では、前述したように、光源11からの光L1が光路変更パネル12における各プリズム20によって屈折させられて、この光L2が回折格子パネル13の各回折格子30における回折格子面F3に対して斜めに入射するように、光路変更パネル12の光学的特性(材質や形状(プリズムの角度))や、光路変更パネル12と回折格子パネル13との相互間の位置関係が規定されて構成されている。したがって、この表示器2では、光路変更パネル12からの光L2が回折格子パネル13の回折格子30において回折されたときに、1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)の強度が十分に強くなる。このため、光源11からの光L1の利用効率が十分に向上すると共に、その光量が十分に多い1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)を、立体視画像を視認させるための光として使用することで、その1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)に対応する表示画素が十分に明るく視認される。
【0044】
一方、表示器2から出射された1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)および0次回折光L3a(以下、これらを総称して「光L3」ともいう)は、図3,9に示すように、拡散板14を構成するレンチキュラレンズによって縦方向に拡散されて、両図および図2に示すように、表示器2(表示装置1)の前方に向かって光L4として出射される。なお、この表示器2では、前述したように、1次回折光L3bおよび−1次回折光L3cのいずれか一方が回折格子パネル13から出射しないように構成されている。したがって、図13に示すように、この例では、1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)と、少量の0次回折光L3aだけが拡散板14に入射することとなる。この際に、上記の各光L4は、回折格子パネル13の各回折格子30による回折によって光源11からの光L1が所定の間隔で左右81方向に放射状に拡けられると共に、回折格子パネル13からの光L3が拡散板14によってそれぞれ縦方向に拡散された光として出射される。これにより、表示装置1の前方における左右81方向の各位置毎に、縦方向の所定の高さ範囲内において、各視点位置に対応する画像(各光L4を表示画素とする画像)が視認される。
【0045】
したがって、画像を視認する者の左目および右目が互いに相違する視差領域(視点位置)に位置している状態では、左目によって視認される視差画像と、右目によって視認される視差画像とが視差領域の位置に応じて相違しているため、表示されている画像が立体視画像として認識される(両眼視差によって立体視画像として認識される)。また、画像を視認する者が表示装置1(表示器2)に表示されている画像を視認しながら、図2に示す矢印A1,A2の向き(左右方向)で各視差領域(各視点位置)に順次移動することにより、表示装置1(表示器2)に表示されている画像が、運動視差によって立体視画像として認識される。
【0046】
次に、「表示器」および「表示装置」の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、前述した表示器2および表示装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
前述した表示器2は、「光路変更素子」としてのプリズム20を備えて構成された光路変更パネル12を「光路変更部」として備えているが、図14に示す表示器2Aでは、この光路変更パネル12に代えて、「光路変更素子」としての「電気光学効果(EO効果)によって光の進行方向を変更する素子:以下、「EO効果素子」ともいう」を備えて構成された光路変更パネル12Aを「光路変更部」として備えている。なお、前述した表示装置1や表示器2の構成と区別するために、以下、「EO効果素子」を備えて構成された光路変更パネル12Aを有する表示器2、およびその表示器2を有する表示装置1については、表示器2Aおよび表示装置1Aという。
【0048】
この場合、表示器2Aにおける光路変更パネル12Aは、表示する立体視画像の各表示画素に対応して「光路変更素子」の他の一例である「EO効果素子」が設けられて、図2に示すように、全体として平板状に形成されると共に、光源11および回折格子パネル13の間に配設されている。この場合、図15に示すように、光路変更パネル12Aには、「横×縦=9×9=81箇所」のEO効果素子20AA1〜20AI9(以下、区別しないときには「EO効果素子20A」ともいう)が並んで設けられている。すなわち、単色画像を表示させる構成の表示器2Aにおけるこの光路変更パネル12Aでは、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つにつき1つのEO効果素子20Aが設けられている。
【0049】
なお、本例の光路変更パネル12Aでは、横方向で並ぶ9つのEO効果素子20Aの間に物理的な境界がなく、この9つのEO効果素子20Aが1つのEO効果素子のように一体的に連続して形成されている。以下、複数のEO効果素子20Aが一体的に連続して形成されたEO効果素子を「EO効果素子200A」ともいう。すなわち、この光路変更パネル12Aでは、横方向に長い9つのEO効果素子200A−1〜200A−9が縦方向で並んでいるように形成されている。この場合、「光路変更素子が電気光学効果によって光の進行方向を変更する素子で構成されている」との構成を採用する場合において、一体的に連続して形成する「光路変更素子」の数は、「横方向に並ぶ9つ」に限定されず、1つの「光路変更素子」につき1つのEO効果素子20Aを独立して形成することもできるし、縦方向で並ぶ複数の「光路変更素子」を1つのEO効果素子200Aで構成することもできるし、横方向で並ぶ複数の「光路変更素子」、および縦方向で並ぶ複数の「光路変更素子」を1つのEO効果素子200Aで構成することもできる。
【0050】
また、図14に示すように、この表示器2Aでは、光路変更パネル12Aにおける光源11との対向面(パネル面F2)および回折格子パネル13との対向面の双方が光源11のパネル面F1と平行に形成されている。この場合、この光路変更パネル12Aでは、上記の81個のEO効果素子20A(すなわち、縦方向で並ぶ9つのEO効果素子200A)が、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成されている。具体的には、この光路変更パネル12Aでは、各EO効果素子20A(200A)が、KTN結晶体21(タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb)の結晶体)と、このKTN結晶体21の上面に配設された電極22a(陽極)と、KTN結晶体21の下面に配設された電極22b(陰極)とで構成されると共に、KTN結晶体21の厚み(図16における長さT)や長さ(図16における長さL)が互いに等しくなるように各EO効果素子20Aが形成されている。なお、本例では、一例として、上記の「x」が「0.35」である組成のKTNの結晶体をKTN結晶体21として採用して形成されている。
【0051】
この場合、KTN結晶体21は、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ酸化物であって、端面間に電圧を印加することにより、その屈折率が変化する「電気光学効果(EO効果)」を有していることが知られている。したがって、この光路変更パネル12Aでは、制御部3が、光路変更パネル12Aにおける各EO効果素子20Aの各電極22a,22bの間に互いに等しい電圧(一例として、50V)を印加することにより、各EO効果素子20Aを、前述した表示器2の光路変更パネル12における各プリズム20と同様に機能させて、光源11から出射された光L1の進行方向を各EO効果素子20A(KTN結晶体21)によって表示器2Aの縦方向(上下方向)に変更して、回折格子パネル13の各回折格子30における回折格子面F3に対して光L2を斜めに入射させることが可能となっている。
【0052】
したがって、この表示器2Aでは、前述した表示器2と同様にして、光路変更パネル12Aからの光L2が回折格子パネル13の回折格子30において回折されたときに、1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)の強度が十分に強くなる。このため、光源11からの光L1の利用効率が十分に向上すると共に、その光量が十分に多い1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)を立体視画像を視認させるための光として使用することで、その1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)に対応する表示画素が十分に明るく視認される。なお、光源11の制御、および各EO効果素子20A(200A)における各電極22a,22b間への電圧の印加の両処理を実行する「制御部」については、この表示装置1Aのように、同一の「制御部」が実行する構成を採用することもできるし、光源11の制御、および各電極22a,22b間への電圧の印加を別個独立した「制御部」がそれぞれ実行する構成を採用することもできる。
【0053】
次に、上記の表示器2(2A)における回折格子パネル13の回折格子面F3および拡散板14のパネル面F4と、光路変更パネル12(12A)からの光L2および回折格子パネル13によって回折された光L3との関係について、図17〜29を参照しつつ、具体的に説明する。
【0054】
上記の表示器2(2A)では、拡散板14におけるパネル面F4の法線L14と、回折格子パネル13における各回折格子30の回折格子面F3に入射する光L2の入射方向とのなす角度におけるX成分(拡散板14における左右方向に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、光L2の入射方向がパネル面F4に対して斜め右向きに交差する状態の角度をプラスとし、光L2の入射方向がパネル面F4に対して斜め左向きに交差する状態の角度をマイナスとする角度)を「αX(図17,18参照)」とし、
拡散板14におけるパネル面F4の法線L14(光透過パネルにおける光透過パネル面の法線)と、回折格子パネル13における各回折格子30の回折格子面F3に入射する光L2の入射方向とのなす角度におけるY成分(拡散板14における上下方向に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、光L2の入射方向がパネル面F4に対して斜め下向きに交差する状態の角度をプラスとし、光L2の入射方向がパネル面F4に対して斜め上向きに交差する状態の角度をマイナスとする角度)を「αY(図17,19参照)」とし、
パネル面F4の法線L14に対する回折格子面F3の法線L13の傾き角におけるX成分(拡散板14における左右方向に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3の法線L13がパネル面F4に対して斜め左向きに交差する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3の法線L13がパネル面F4に対して斜め右向きに交差する状態の角度をマイナスとする角度)を「γX(図20参照)」とし、
パネル面F4の法線L14に対する回折格子面F3の法線L13の傾き角におけるY成分(拡散板14における上下方向に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3の法線L13がパネル面F4に対して斜め上向きに交差する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3の法線L13がパネル面F4に対して斜め下向きに交差する状態の角度をマイナスとする角度)を「γY(図21参照)」とし、
回折格子30における各格子の回折格子面F3内におけるペリスト回転角(光L2が入射する側の面から見たときに、各格子の格子ライン(図22において実線Lbで示すライン)が水平の状態(図22において実線Lcで示すラインと平行な状態)を0度とし、各格子の格子ラインが左下がりとなる回転角をプラスとし、各格子の格子ラインが右下がりとなる回転角をマイナスとする角度)を「ε(図22参照)」としたときに、
回折格子面F3の法線L13と、回折格子面F3に入射する光L2の入射方向とのなす角度におけるx成分(回折格子30における各格子の格子ラインの延在方向(ペリスト回転角が0度の回折格子30が形成された回折格子面F3においては、左右方向)に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3に対して光L2が斜め右向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に入射する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3に対して光L2が斜め左向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に入射する状態の角度をマイナスとする角度)である「αx(図23,24参照)」、および、回折格子面F3の法線L13と、回折格子面F3に入射する光L2の入射方向とのなす角度におけるy成分(回折格子30における各格子の格子ラインに対して回折格子面F3内において直交する方向(ペリスト回転角が0度の回折格子30が形成された回折格子面F3においては、下方向)に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3に対して光L2が斜め下向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に入射する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3に対して光L2が斜め上向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に入射する状態の角度をマイナスとする角度)である「αy(図23,25参照)」は、次の2つの式で表される。
【0055】
αx=tan−1(tan(αX+γX)・cosε)+tan−1(tan(αY+γY)・sin(−ε))
αy=tan−1(tan(αX+γX)・sinε)+tan−1(tan(αY+γY)・cosε)
【0056】
また、光L1の波長を「λ」とし、回折格子30の格子間隔(回折格子30における格子の形成ピッチ:この例では、凸部31の形成ピッチ)を「d(図10,26参照)」とし、
回折格子面F3の法線L13に対する各凸部31の延在方向(図10,26において実線Laで示す方向)の傾き角におけるy成分(回折格子30における各格子の格子ラインに対して回折格子面F3内において直交する方向(ペリスト回転角が0度の回折格子30が形成された回折格子面F3においては、上下方向)に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3に対して凸部31の延在方向が斜め上向きで交差する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3に対して凸部31の延在方向が斜め下向きで交差する状態の角度をマイナスとする角度)を「δy(図26,27参照)」としたときに、
回折格子面F3の法線L13と、回折格子面F3から出射する光L3の出射方向とのなす角度におけるx成分(回折格子30における各格子の格子ラインの延在方向(ペリスト回転角が0度の回折格子30が形成された回折格子面F3においては、左右方向)に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3から斜め左向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に光L3が出射する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3から斜め右向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に光L3が出射する状態の角度をマイナスとする角度)である「βx(図28,24参照)」、および、回折格子面F3の法線L13と、回折格子面F3から出射する光L3の出射方向とのなす角度におけるy成分(回折格子30における各格子の格子ラインに対して回折格子面F3内において直交する方向(ペリスト回転角が0度の回折格子30が形成された回折格子面F3においては、上下方向)に対応する成分であって、光L2が入射する側の面から見たときに、回折格子面F3から斜め上向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に光L3が出射する状態の角度をプラスとし、回折格子面F3から斜め下向き(ペリスト回転角が0度の回折格子30の場合の方向)に光L3が出射する状態の角度をマイナスとする角度)である「βy(図28,25参照)」は、次の2つの式で表される。
【0057】
βx=−αx
βy=sin−1{(nλ−d・sin(αy+δy))/d}+δy
【0058】
また、パネル面F4の法線L14と、回折格子面F3から出射する光L3の出射方向とのなす角度におけるX成分(拡散板14における左右方向に対応する成分であって、光L3が拡散板14に入射する側の面から見たときに、光L3の出射方向が拡散板14に対して斜め左向きに交差する状態の角度をプラスとし、光L3の出射方向が拡散板14に対して斜め右向きに交差する状態の角度をマイナスとする角度)である「βX(図29,18参照)」、および、パネル面F4の法線L14と、回折格子面F3から出射する光L3の出射方向とのなす角度におけるY成分(拡散板14における上下方向に対応する成分であって、光L3が拡散板14に入射する側の面から見たときに、光L3の出射方向が拡散板14に対して斜め上向きに交差する状態の角度をプラスとし、光L3の出射方向が拡散板14に対して斜め下向きに交差する状態の角度をマイナスとする角度)である「βY(図29,19参照)」は、次の2つの式で表される。
【0059】
βX=tan−1(tanβx・cosε)+tan−1(tanβy・sinε)+γX
βY=tan−1(tanβx・sin(−ε))+tan−1(tanβy・cosε)+γY
【0060】
したがって、表示器2(2A)の設計に際しては、上記の「βX」および「βY」が所望の角度となるように、上記の6つの式に基づき、光路変更パネル12(12A)によって屈折させた光L2(回折格子パネル13に入射させる光L2)の「λ」に応じて、「αX」、「αY」、「ε」、「d」、「γX」、「γY」、「δy」を適宜調整すればよい。この場合、後述する回折入射角θ(αy+δy)の絶対値が0°よりも大きくなるほど、−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)が減少し、後述する条件を満たすと出射しなくなる。また、−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)の減少に伴って1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)が増加する。
【0061】
なお、本明細書においては、「凸部31の延在方向(図10,26に示す実線Laの向き)と入射光(図10,26における光L2)の入射方向とのなす角度における各回折格子30の格子ラインに対して回折格子面F3内において直交する向きの成分(上記の「αy」+「δy」)」を「回折入射角θ」という。また、図17〜19,23〜25,28,29では、上記の各説明事項における「X成分」、「Y成分」、「x成分」および「y成分」等について理解を容易とするために、回折格子面F3に対する光L2の入射方向と、回折格子面F3からの光L3の出射方向やパネル面F4に対する光L3の入射方向との関係を、表示器2(2A)内における実際の光の進路とは相違する状態で図示している。また、図17〜19,23〜25,28,29では、一例として「ペリスト回転角ε≠0°」で、かつ「パネル面F4の法線L14に対する回折格子面F3の法線L13の傾き角が0°(γX=0°、γY=0°)」の例を図示している。
【0062】
続いて、表示装置1,1Aによってカラー画像を表示するための構成について、図面を参照して説明する。なお、上記の単色画像を表示するための表示装置1,1A(表示器2,2A)の構成と区別するために、カラー画像を表示可能な表示装置1,1A(表示器2,2A)については、表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)という。また、カラー画像表示用の表示器2C,2ACにおける光源11、光路変更パネル12,12Aおよび回折格子パネル13については、前述した単色画像表示用の表示器2,2Aにおける光源11、光路変更パネル12,12Aおよび回折格子パネル13と区別するために、光源11c、光路変更パネル12c,12Acおよび回折格子パネル13cともいう。さらに、その他の構成要素において単色画像表示用の表示装置1,1A(表示器2,2A)と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0063】
この種の表示装置によってカラー画像を表示させる場合、カラー画像を構成する各表示画素毎に、複数の色光(一例として、R=Red =赤色、G=Green =緑色、B=Blue=青色の3色の色光:以下、単に「R,G,B」ともいう)を合成することによって各表示画素の色を任意の色として視認させる。この場合、1つの表示画素を表示するためのR,G,Bの各色光を同一のプリズム、または、同一のEO効果素子に対して同一の方向で入射させたときには、光屈折現象の波長依存性に起因して、波長λが相違する各色光毎のプリズムやEO効果素子からの出射角度(図6,16に示す出射角度θo)が相違する状態となる。また、1つの表示画素を表示するためのR,G,Bの各色光を同一の回折格子における回折格子面に対して同一の方向で入射させたときには、回折現象の波長依存性に起因して、波長λが相違する各色光の回折角度が相違する状態(すなわち、回折格子面からの回折光の出射角度が相違する状態)となる。
【0064】
このため、1つの表示画素として視認されるべきR,G,B各色の1次回折光(または、−1次回折光)が互いに相違する向きに出射される結果、そのような表示画像で構成される画像を見たときに、色滲みが生じた状態に視認されるおそれがある。また、表示装置から遠く離れた位置においては、1つの表示画素として視認されるべきR,G,B各色の1次回折光(または、−1次回折光)のうちのいずれか一色分だけしか視認できない状態となり、このような状態においては、カラー画像を表示させているにも拘わらず、赤色の単色画像、緑色の単色画像、または青色の単色画像として視認される事態を招くおそれもある。
【0065】
この場合、「光回折部からの各色光」を「光拡散部」によって縦方向に拡散させる構成の「表示器(表示装置)」では、「光回折部」から出射される各色光の出射角度が縦方向(上下方向)においてある程度相違したとしても、表示画像の視認に与える影響は殆どないが、「光回折部」から出射される各色光の出射角度が横方向(左右方向)で相違する場合には、上記したような問題が生じるおそれがある。このため、カラー画像の表示に際しては、各表示画素を構成する各色光が左右方向において実質的に同一方向に向けて出射されるように表示器を構成する必要がある。
【0066】
一方、図30に示す表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)は、回折格子パネル13cにおける各回折格子30毎の凸部31の形成ピッチや、回折格子パネル13cにおける各回折格子30毎のペリスト回転角を、回折すべき色光の波長に応じて互いに相違させることにより、上記の光屈折現象や回折現象の波長依存性に関する問題点を克服している。なお、実際の表示装置1C,1ACにおける表示器2C,2ACでは、一例として、表示装置1C,1ACの前面側における左右81方向の各視点位置毎の各視差領域から、各方向に応じて互いに相違する81種類の「横×縦=1920×1080画素」のRGBカラー画像を視認させることができるよう構成されているが、表示装置1C,1ACおよびその表示器2C,2ACの構成についての理解を容易とするために、左右81方向の各視点位置毎の各視差領域用のRGBカラー画像のうちの1つの表示画素を視認させるための構成について説明する。
【0067】
この場合、光源11cは、一例として、図31に示すように、光L1R(赤色の色光)を出射する光出射部10(光出射部10A1R〜10I9R:赤色のサブピクセル:以下、これらを区別しないときには「光出射部10R」ともいう)、光L1G(緑色の色光)を出射する光出射部10(光出射部10A1G〜10I9G:緑色のサブピクセル:以下、これらを区別しないときには「光出射部10G」ともいう)、および光L1B(青色の色光)を出射する光出射部10(光出射部10A1B〜10I9B:青色のサブピクセル:以下、これらを区別しないときには「光出射部10B」ともいう)がこの順で左右方向に並んで設けられ、1つの光出射部10R、1つの光出射部10Gおよび1つの光出射部10Bによって、カラー画像を構成する1つの表示画素(以下、「カラー表示画素」ともいう)を視認させるための各色光を出射するように構成されている。すなわち、カラー画像を表示させる構成の表示器2C(2AC)におけるこの光源11cでは、1つのカラー画像を構成する各表示画素のうちの1つを構成する各色の副画素(サブピクセル)毎に1つの光出射部10(光出射部10R,10G,10Bのいずれか)が設けられている。
【0068】
なお、同図、および後に参照する図34〜37では、赤色(R)に関連する要素については「R」の符号を付し、緑色(G)に関連する要素については「G」の符号を付し、青色(B)に関連する要素については「B」の符号を付して図示している。また、以下の説明において、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)を区別して説明する必要があるときには、符号の末尾に「R」「G」「B」を付して説明する。なお、上記の光源11cでは、1つの表示画素を視認させるための各色光を出射する光出射部10R,10G,10Bが左右方向に隣接するように配置されているが、後述する回折格子パネル13cにおける各光L1R,L1G,L1B用の各回折格子30を、各光出射部10R,10G,10Bの位置に合わせて配置することで、1つの表示画素を視認させるための各色光を出射する光出射部10R,10G,10Bを任意の位置に配置することもできる(図示せず)。
【0069】
また、表示器2Cにおける光路変更パネル12cは、図32に示すように、一例として、光源11cにおける各光出射部10Rから出射された光L1Rの進行方向を変更して(屈折させて)光L2Rとして出射するプリズム20(プリズム20A1R〜20I9R:以下、これらを区別しないときには「プリズム20R」ともいう)、各光出射部10Gから出射された光L1Gの進行方向を変更して(屈折させて)光L2Gとして出射するプリズム20(プリズム20A1G〜20I9G:以下、これらを区別しないときには「プリズム20G」ともいう)、および各光出射部10Bから出射された光L1Bの進行方向を変更して(屈折させて)光L2Bとして出射するプリズム20(プリズム20A1B〜20I9B:以下、これらを区別しないときには「プリズム20B」ともいう)がこの順で左右方向に並んで設けられ、1つのプリズム20R、1つのプリズム20Gおよび1つのプリズム20Bによって、1つのカラー表示画素を視認させるための各色光の進行方向をそれぞれ変更するように構成されている(1つの表示画素を表示するための各色光毎に1つの光路変更素子としてのプリズムが形成された構成の例)。
【0070】
すなわち、カラー画像を表示させる構成の表示器2Cにおけるこの光路変更パネル12cでは、一例として、1つのカラー画像を構成する各表示画素をそれぞれ構成する各色の副画素(9×9×3=243個の副画素)の1つにつき1つのプリズム20が設けられている。なお、本例の光路変更パネル12cでは、横方向に並ぶ9×3=27個のプリズム20の間に物理的な境界がなく、この27個のプリズム20が1つのプリズムのように一体的に連続して形成されている。このため、この光路変更パネル12cでは、前述した光路変更パネル12と同様にして、横方向に長い9つのプリズム200−1〜200−9(プリズム200)が縦方向で並んでいるように形成されている。また、この光路変更パネル12cでは、243個のプリズム20のすべて(すなわち、縦方向で並ぶ9つのプリズム200)が、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成されている。
【0071】
この場合、前述したように、波長λが相違する各色光を同一のプリズムに同一の方向で入射させたときには、光屈折現象の波長依存性に起因して、波長λが相違する各色光毎のプリズムからの出射角度θoが相違する状態となる。具体的には、一例として、この光路変更パネル12cの各プリズム20は、「波長λ=633nm」の光L1Rの屈折率が「1.514」で、「波長λ=532nm」の光L1Gの屈折率が「1.519」で、「波長λ=472nm」の光L1Bの屈折率が「1.523」であり、これにより、光L2Rの出射角度θoが「36.70°」で、光L2Gの出射角度θoが「37.53°」で、光L2Bの出射角度θoが「38.23°」となっている。この光路変更パネル12cは、光源11cから出射された光L1R,L1G,L1Bの進行方向を各プリズム20によって表示器2Cの縦方向(上下方向)に変更して、後述する回折格子パネル13cの各回折格子における回折格子面F3に対して光L2R,L2G,L2Bを斜めに入射させる。
【0072】
一方、表示器2ACにおける光路変更パネル12Acは、図33に示すように、一例として、光源11cにおける各光出射部10Rから出射された光L1Rの進行方向を変更して(屈折させて)光L2Rとして出射するEO効果素子20A(EO効果素子20AA1R〜20AI9R:以下、これらを区別しないときには「EO効果素子20AR」ともいう)、各光出射部10Gから出射された光L1Gの進行方向を変更して(屈折させて)光L2Gとして出射するEO効果素子20A(EO効果素子20AA1G〜20AI9G:以下、これらを区別しないときには「EO効果素子20AG」ともいう)、および各光出射部10Bから出射された光L1Bの進行方向を変更して(屈折させて)光L2Bとして出射するEO効果素子20A(EO効果素子20AA1B〜20AI9B:以下、これらを区別しないときには「EO効果素子20AB」ともいう)がこの順で左右方向に並んで設けられ、1つのEO効果素子20AR、1つのEO効果素子20AGおよび1つのEO効果素子20ABによって、1つのカラー表示画素を視認させるための各色光の進行方向をそれぞれ変更するように構成されている(1つの表示画素を表示するための各色光毎に1つの光路変更素子としてのEO効果素子が形成された構成の例)。
【0073】
すなわち、カラー画像を表示させる構成の表示器2ACにおけるこの光路変更パネル12Acでは、一例として、1つのカラー画像を構成する各表示画素をそれぞれ構成する各色の副画素(9×9×3=243個の副画素)の1つにつき1つのEO効果素子20Aが設けられている。なお、本例の光路変更パネル12Acでは、横方向に並ぶ9×3=27個のEO効果素子20Aの間に物理的な境界がなく、この27個のEO効果素子20Aが1つのEO効果素子のように一体的に連続して形成されている。このため、この光路変更パネル12Acでは、前述した光路変更パネル12Aと同様にして、横方向に長い9つのEO効果素子200A−1〜200A−9(EO効果素子200A)が縦方向で並んでいるように形成されている。また、この光路変更パネル12Acでは、3×9×9=243個のEO効果素子20Aのすべて(すなわち、縦方向で並ぶ9つのEO効果素子200A)が、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成されている。
【0074】
この場合、各EO効果素子20Aを構成するKTN結晶体21は、電極22a,22b間に電圧を印加しない状態において、前述したプリズム20と同様にして、光屈折現象の波長依存性を有している。具体的には、この光路変更パネル12Acの各EO効果素子20Aは、電極22a,22b間に電圧を印加しない状態において、「波長λ=633nm」の光L1Rの屈折率が「2.226」で、「波長λ=532nm」の光L1Gの屈折率が「2.283」で、「波長λ=472nm」の光L1Bの屈折率が「2.292」となっている。
【0075】
なお、「電圧を印加しない状態におけるKTN結晶体21の屈折率」を「n」とし、「真空の誘電率」を「ε=8.85418782×10−12F/m」とし、「比誘電率」を「ε(この例では、30000)」とし、「電極22a,22b間に印加する電圧」を「V」とし、「KTN結晶体21における電極22a,22bと平行な方向の長さ」を「L(一例として、1000μm)」とし、「KTN結晶体21における電極22a,22b間の長さ」を「T(一例として、100μm)」としたときに、各EO効果素子20Aからの光の出射角度θoは「−0.153nεεL/T」との式によって算出することができる。具体的には、この光路変更パネル12Acでは、電極22a,22b間に50Vの電圧を印加した状態において、各EO効果素子20Aからの光L2Rの出射角度θoが「17.1°」で、各EO効果素子20Aからの光L2Gの出射角度θoが「18.4°」で、各EO効果素子20Aからの光L2Bの出射角度θoが「18.6°」となる。この光路変更パネル12acは、光源11cから出射された光L1R,L1G,L1Bの進行方向を各EO効果素子20Aによって表示器2ACの縦方向(上下方向)に変更して、後述する回折格子パネル13cの各回折格子における回折格子面F3に対して光L2R,L2G,L2Bを斜めに入射させる。
【0076】
また、回折格子パネル13cは、図34に示すように、光路変更パネル12c,12Acによって屈折させられた光L2Rを回折するための回折格子30(回折格子30A1R〜30I9R:以下、これらを区別しないときには「回折格子30R」ともいう)、光路変更パネル12c,12Acによって屈折させられた光L2Gを回折するための回折格子30(回折格子30A1G〜30I9G:以下、これらを区別しないときには「回折格子30G」ともいう)、および光路変更パネル12c,12Acによって屈折させられた光L2Bを回折するための回折格子30(回折格子30A1B〜30I9B:以下、これらを区別しないときには「回折格子30B」ともいう)がこの順で左右方向に並んで設けられ、1つの回折格子30R、1つの回折格子30Gおよび1つの回折格子30Bによって、1つのカラー表示画素を視認させるための各色光をそれぞれ回折するように構成されている(1つの表示画素を表示するための各色光毎に1つの回折格子が形成された構成の例)。
【0077】
なお、前述したように、本明細書において、「1つの回折格子」とは、入射した光を回折可能に構成された光学的要素のうちの「1つの光出射部」に対応して規定された部位を意味する。この場合、カラー画像を表示させる構成の表示器2Cにおけるこの回折格子パネル13cでは、上記の光源11cにおける1つの光出射部10(光出射部10R,10G,10Bのいずれか)に対応して1つの回折格子30(回折格子30R,30G,30Bのいずれか)が規定されて、1つのカラー画像を構成する各表示画素のうちの1つを構成する各色の副画素毎に1つの回折格子30(回折格子30R,30G,30Bのいずれか)が規定されている。
【0078】
また、本例の表示器2C,2ACでは、1つのカラー表示画素を視認させるための各色光を拡散板14から左右方向において同じ向きに出射するために、拡散板14のパネル面F4に対する回折格子面F3の傾きを互いに等しくした状態(この例では、各回折格子面F3をパネル面F4に対して平行にした状態)において、1つのカラー表示画素を表示するための各色光(光L2)をそれぞれ回折する回折格子30R,30G,30Bについて、波長λが短い光L2を回折する回折格子30における格子の形成ピッチd(凸部31の形成ピッチd)よりも、波長λが長い光L2を回折する回折格子30における格子の形成ピッチd(凸部31の形成ピッチd)の方が大きく、かつ、波長λが短い光L2を回折する回折格子30のペリスト回転角εの大きさ(絶対値)よりも、波長λが長い光L2を回折する回折格子30のペリスト回転角εの大きさ(絶対値)の方が小さくなるように回折格子パネル13cが形成されている。
【0079】
具体的には、格子の形成ピッチd(凸部31の形成ピッチd)については、光L2Bよりも波長λが長い光L2Gを回折する回折格子30Gの方が回折格子30Bよりも大きくなり、かつ、光L2Gよりも波長λが長い光L2Rを回折する回折格子30Rの方が回折格子30Gよりも大きくなるように回折格子30R,30G,30Bを形成する。より具体的には、この回折格子パネル13cでは、「波長λ=633nm」の光L2Rを回折する回折格子30Rにおける格子が「形成ピッチd=633nm」で、「波長λ=532nm」の光L2Gを回折する回折格子30Gにおける格子が「形成ピッチd=532nm」で、「波長λ=472nm」の光L2Bを回折する回折格子30Bにおける格子が「形成ピッチd=472nm」となっている(「各回折格子における格子の形成ピッチが、回折すべき光の波長λと等しい構成」の例)。このような構成を採用することにより、回折格子パネル13cを容易に設計することができる。
【0080】
また、回折格子30のペリスト回転角εの大きさについては、光L2Rよりも波長λが短い光L2Gを回折する回折格子30Gの方が回折格子30Rよりも小さくなり、かつ、光L2Gよりも波長λが短い光L2Bを回折する回折格子30Bの方が回折格子30Gよりも小さくなるように回折格子30R,30G,30Bを形成する。この場合、「光回折部からの各色光」を「光拡散部」によって縦方向に拡散させる構成の「表示器(表示装置)」では、前述した「ε」の絶対値が小さい(「βX」の絶対値が小さい)表示画素において、「光回折部からの各色光」が相違する方向に出射されても、各色光毎の出射方向のずれは、前述した「βY」の方向に生じるだけであるため、拡散板14によって光L3が縦方向に拡散されることで、視認される画像に対する影響が十分に小さくなる。したがって、この表示器2C,2ACの回折格子パネル13cでは、「ε」の絶対値が小さい(「βX」の絶対値が小さい)表示画素に対応する回折格子30R,30G,30Bについては、そのペリスト回転角εの大きさが互いにほぼ等しい角度となっている。「ε=0°」(「βX=0°」)である表示画素E5に対応する回折格子30R,30G,30Bについては、そのペリスト回転角εが互いに等しい角度となっている。
【0081】
この場合、図6に示すように、回折格子パネル13cとの対向面に、下側ほど回折格子パネル13c側に向かって徐々に突出する向きの斜面が形成されて各プリズム20が構成された光路変更パネル12cを有する表示器2Cでは、光源11cからの光L1(光L1R,L1G,L1B)が下向きに屈折させられて光L2(光L2R,L2G,L2B)として回折格子パネル13c(回折格子30R,30G,30Bの各回折格子面F3)に入射させられる。したがって、この表示器2Cでは、光路変更パネル12cから出射された光L2の回折格子パネル13cに対する入射位置が、光路変更パネル12cに対する光L1の入射位置や、光路変更パネル12cからの光L2の出射位置よりも距離Dだけ下側に位置ずれすることとなる。このため、この表示器2Cでは、光路変更パネル12cにおける各プリズム20の屈折率特性、および回折格子パネル13cに対する光路変更パネル12cの離間距離Gに応じて、光源11cの各光出射部10や、光路変更パネル12cの各プリズム20に対して回折格子パネル13cの各回折格子30を距離Dだけ下方に位置ずれさせるように配置する構成が採用されている。
【0082】
具体的には、この表示器2Cでは、一例として、1つの副画素の大きさを、縦:100μm、横:33μmとしたときに、光路変更パネル12cにおける各プリズム20の大きさは、縦幅(図6における長さT):100μm、横幅:33μmで、各プリズム200の大きさは、縦幅:100μm、横幅:891μmとなる。この場合、各プリズム20の頂角の角度(図6における角度θp)が40°であることから、各プリズム20の突出長(図6における長さH)は、83.9μmとなる。また、各プリズム20の各色光毎の屈折率や各色光の出射角度θoについては、上記した値となっている。ここで、光路変更パネル12cにおける各プリズム20の先端部と回折格子パネル13cにおける各回折格子30の回折格子面F3との間の回折格子面F3の法線と平行な向きの距離Gが10μmとなるように光路変更パネル12cおよび回折格子パネル13cを配置したときに、プリズム20からの光L2の出射位置の縦方向中心(図6における位置P12)から、回折格子パネル13cにおける回折格子30の回折格子面F3までの隙間は、「H/2+G=51.95μmとなる。
【0083】
また、上記したように、プリズム20における光屈折現象の波長依存性に起因して、光L2R,L2G,L2Bが互いに相違する向きに出射されるため、光源11cからの光L1R,L1G,L1Bが、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成されたプリズム20R,20G,20Bに対してそれぞれ同一の方向で入射する構成の表示器2Cでは、位置P12から出射した各光L2R,L2G,L2Bの回折格子パネル13cに対する入射位置(図6における位置P13)がその波長λに応じて相違することとなる。このため、各プリズム20からの光L2の出射位置の縦方向中心(図6における位置P12)と、位置P12から出射した各光L2R,L2G,L2Bの回折格子パネル13cに対する入射位置(図6における位置P13)とのずれ量(図6に示す距離D)が光L2R,L2G,L2B毎に相違することとなる。具体的には、光L2Rのずれ量(距離D)が38.72μmで、光L2Gのずれ量(距離D)が39.90μmで、光L2Bのずれ量(距離D)が40.92μmとなる。
【0084】
したがって、図35に示すように、表示器2Cでは、光路変更パネル12cにおけるプリズム20Rに対して、光L2Rを回折する回折格子30Rが距離DR(この例では、38.72μm)だけ下方に位置し、プリズム20Gに対して、光L2Gを回折する回折格子30Gが上記の距離DRよりも長い距離DG(この例では、39.90μm)だけ下方に位置し、プリズム20Bに対して、光L2Bを回折する回折格子30Bが上記の距離DGよりも長い距離DB(この例では、40.92μm)だけ下方に位置するように、各回折格子30R,30G,30Bが縦方向で位置ずれして形成されている。なお、本例とは相違するが、上記の距離Gが「0」または「ほぼ0」となるように光路変更パネル12cおよび回折格子パネル13cを配置した場合には、上記の距離DR,DG,DBを「0」または「ほぼ0」とすることができる。
【0085】
一方、光源11cからの光L1R,L1G,L1Bの進行方向を光路変更パネル12Acによって変更する表示器2ACでは、電極22a,22b間に電圧を印加した状態における各EO効果素子20Aからの光L2R,L2G,L2Bの出射角度θoが、前述した光路変更パネル12cの各プリズム20からの光L2R,L2G,L2Bの出射角度θoとは相違するため、前述した回折格子30R,30G,30Bのずれ量(図35に示す距離DR,DG,DB)が、表示器2Cの回折格子パネル13cにおける回折格子30R,30G,30Bのずれ量(図35に示す距離DR,DG,DB)とは相違している。具体的には、この表示器2ACの回折格子パネル13cでは、一例として、各EO効果素子20Aと回折格子パネル13cにおける各回折格子30の回折格子面F3との間の回折格子面F3の法線と平行な向きの距離Gが10μmとなるように光路変更パネル12Acを配置したときに、光路変更パネル12AcにおけるEO効果素子20Aに対して、光L2Rを回折する回折格子30Rが距離DR=122.5μmだけ下方に位置し、光L2Gを回折する回折格子30Gが距離DG=132.1μmだけ下方に位置し、光L2Bを回折する回折格子30Bが距離DB=133.7μmだけ下方に位置するように、各回折格子30R,30G,30Bが縦方向で位置ずれして形成されている。
【0086】
この表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)では、光源11cから出射されて光路変更パネル12c,12Acによって屈折させられた光L2を各回折格子30によって回折して左右81方向に振り分けると共に、各回折格子30によって左右方向に振り分けられた光L3を拡散板14によって縦方向(上下方向)に拡散させることで、左右81方向の各視差領域毎に縦方向(上下方向)における視域を拡げる構成(左右方向においては、互いに相違する視差画像が視認され、縦方向においては、同一の視差画像が視認されるように表示させる構成)が採用されている。
【0087】
具体的には、この表示装置1C,1ACによる立体視画像の表示に際しては、制御部3が、光源11cを制御して、各光出射部10を、表示すべき立体視画像の各表示画素の明度に応じた明るさで点灯させる。この際に、表示装置1ACの表示器2ACでは、制御部3が、光源11cの制御と並行して、光路変更パネル12Acの各電極22a,22bの間に互いに等しい電圧(一例として、50V)を印加する。より具体的な例を図36,37に示す。なお、図36,37では、81個のカラー表示画素A1〜I9のうちのカラー表示画素A1,C3,E5,G7,I9の5つのみに関する各種パラメータを図示している。
【0088】
この表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)では、両図に示すように、1つのカラー表示画素を視認させるために回折格子パネル13c(各回折格子面F3)から出射される光L3(光L3R,L3G,L3B:図30参照)の出射角度における表示器2C,2ACの左右方向の角度成分(前述したβX)が互いに等しくなっている。したがって、この表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)では、これらの光L3R,L3G,L3Bが拡散板14によって縦方向に拡散されつつ、光L4R,L4G,L4Bとして表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)の前方に向かって左右方向において同じ向きに出射されることとなる。
【0089】
なお、図36,37に示すように、上記の表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)における回折格子パネル13cでは、「|(−λ−d・sin(αy+δy))/d|≧1」との条件が満たされている。このような条件を満たす回折格子パネル13cでは、−1次回折光L3cが回折格子パネル13cから出射しないため、−1次回折光L3cの回折格子パネル13cからの出射(拡散板14への入射)に起因して、立体視画像(カラー画像)像がぼやける事態が生じるのが回避されている。また、1次回折光L3bを回折格子パネル13cから出射させないようにするには、「|(λ−d・sin(αy+δy))/d|≧1」との条件を満たすように構成すればよい。このような条件を満たすように構成することで、1次回折光L3bの回折格子パネル13cからの出射(拡散板14への入射)に起因して、立体視画像(カラー画像)像がぼやける事態が生じるのが回避される。
【0090】
この場合、上記の表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)では、回折格子パネル13cにおける各回折格子30R,30G,30Bによって光路変更パネル12c,12Acからの光L2を回折することで左右方向の各視差領域に向けて回折格子パネル13cから光L3を出射し(左右方向の各視差領域からの画像の視認を可能とし)、この光L3を拡散板14によって縦方向に拡散させることで、各視差領域毎の縦方向における視域を拡げる(縦方向の所定の視域内における画像の視認を可能とする)構成が採用されている。言い換えれば、上記の表示装置1C,1AC(表示器2C,2AC)では、拡散板14によって光L3を拡散させない「左右方向」については、回折格子パネル13cにおける各回折格子30R,30G,30B毎のペリスト回転角εを、ε=0°を含む範囲で適宜規定することで、光L3を左右方向の任意の方向に出射させる構成が採用されている。
【0091】
このような構成の表示装置1C(表示器2C)では、光源11cと回折格子パネル13cとの間に、プリズム20を有する光路変更パネル12cを配設することにより、光源11cからの各L1R,L1G、L1Bの進行方向を各プリズム20によって表示器2Cの縦方向(拡散板14が光を拡散させる方向)に変更してαY≠0°とすることで、αy≠0°としている。また、このような構成の表示装置1AC(表示器2AC)では、光源11cと回折格子パネル13cとの間に、EO効果素子20Aを有する光路変更パネル12Acを配設することにより、光源11cからの各L1R,L1G、L1Bの進行方向を各EO効果素子20Aによって表示器2ACの縦方向(拡散板14が光を拡散させる方向)に変更してαY≠0°とすることで、αy≠0°としている。
【0092】
これにより、画像を視認できる範囲を左右方向に拡げるための回折格子パネル13cにおいて、ペリスト回転角ε=0°や、ペリスト回転角εの絶対値が小さい各種ペリスト回転角εの回折格子30R,30G,30Bであっても、各回折格子30R,30G,30Bにおいて−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)を十分に減少させつつ、回折格子パネル13cからの光L3の出射方向を左右方向に十分に拡げることが可能となっている。
【0093】
なお、単色画像表示用の表示器2(表示装置1)においても、光源11と回折格子パネル13との間に、プリズム20を有する光路変更パネル12を配設し、単色画像表示用の表示器2A(表示装置1A)においても、光源11と回折格子パネル13との間に、EO効果素子20Aを有する光路変更パネル12Aを配設して、光源11からの各L1の進行方向を各プリズム20または各EO効果素子20Aによって表示器2または表示器2Aの縦方向(拡散板14が光を拡散させる方向)に変更してαY≠0°とすることで、αy≠0°とすることにより、回折格子パネル13において、ペリスト回転角ε=0°や、ペリスト回転角εの絶対値が小さい各種ペリスト回転角εの回折格子30であっても、各回折格子30において−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)を十分に減少させつつ、回折格子パネル13からの光L3の出射方向を左右方向に十分に拡げることが可能となっている。
【0094】
このように、この表示器2,2A(2C,2AC)によれば、光源11(11c)から出射された光L1(L1R,L1G,L1B)の進行方向を光路変更パネル12(12c)のプリズム20、または、光路変更パネル12A(12Ac)のEO効果素子20Aによって表示器2,2A(2C,2AC)の縦方向に変更して回折格子パネル13(13c)の各回折格子30における回折格子面F3に対して光2(L2R,L2G,L2B)を斜めに入射させると共に、光変更パネル12(12c)、または光変更パネル12A(12Ac)からの光L2(L2R,22G,L2B)を回折格子パネル13(13c)の各回折格子30によって予め規定された左右方向にそれぞれ回折し、かつ、回折格子パネル13(13c)によって回折された光L3(L3R,L3G,L3B)を拡散板14によって表示器2,2A(2C,2AC)の縦方向に拡散させる構成を採用したことにより、表示器2,2Aの左右方向で相違する各視点位置から互いに相違する画像を視認させるために光を左右方向に振り分けるための回折格子パネル13(13c)における各回折格子30のうちの、主として表示器2,2Aの縦方向に光を回折する回折格子30(ペリスト回転角が0°の回折格子30や、ペリスト回転角の絶対値が小さい回折格子30)についても、その回折格子30から出射される−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)の光量を十分に減少させる(−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)の強度を十分に低下させる)か、または、−1次回折光L3c(または、1次回折光L3b)の出射をなくして、1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)の光量を十分に増加させる(1次回折光L3b(または、−1次回折光L3c)の強度を十分に強める)ことができる。したがって、この表示器2,2A(2C,2AC)によれば、光源11(11c)からの光L1(L1R,L1G,L1B)の利用効率を十分に向上させることができると共に、回折格子パネル13(13c)からの光L3(L3R,L3G,L3B)の出射方向を左右方向に十分に拡げることが可能となり、かつ、表示器2,2A(2C,2AC)の前方において、表示器2,2A(2C,2AC)に表示される画像を視認することができる範囲を縦方向に十分に拡げることができる。
【0095】
また、この表示器2(2C)によれば、「光路変更素子」をプリズム20で構成したことにより、樹脂材料やガラス等によって「光路変更部」を容易に製造することができるため、表示器2(2C)の製造コストを十分に低減することができる。
【0096】
また、この表示器2A(2AC)によれば、「光路変更素子」をEO効果素子20Aで構成したことにより、一対の電極22a,22b間に印加する電圧を変更するだけで、光源11(11c)からの光L1の進行方向の角度の大きさを任意の大きさに変更することができるため、光路変更パネル12A(12AC)を容易に設計・製造することができる。
【0097】
さらに、この表示器2C,2ACによれば、1つの表示画素を表示するための各色光に対応してプリズム20、または、EO効果素子20Aを設けると共に、1つの表示画素を表示するための各色光に対応するプリズム20、または、EO効果素子20Aを、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成して光路変更パネル12c,12Acを構成し、1つの表示画素を表示するための各色光毎の回折格子30を、波長が短い色光を回折する回折格子のペリスト回転角εの大きさよりも、波長が長い色光を回折する回折格子のペリスト回転角εの大きさの方が小さくなるように形成して回折格子パネル13cを構成したことにより、1つの表示画素を、波長が相違する複数の色光(この例では、R,G,Bの3色の色光)によって表示する場合に、回折格子パネル13cから出射される各色光の左右方向における出射角度を同一角度に揃えることができる。したがって、この表示器2C,2ACによれば、表示したカラー画像に左右方向における色滲みが生じたり、左右方向で相違する各視点位置のうちの1つにおいて視認されるべきカラー画像を構成する単色画像に対して他の視点位置において視認されるべきカラー画像の単色画像が重なって視認されたりする事態を回避して、鮮明なカラー画像として視認させることができる。また、光路変更パネル12cの設計および製造を容易に行うことができる結果、表示器2C,2ACの製造コストを十分に低減することができる。
【0098】
また、この表示器2,2A(2C,2AC)によれば、−1次回折光L3cおよび1次回折光L3bのいずれか(この例では、−1次回折光L3c)が回折格子パネル13(13c)から出射しないように光路変更パネル12,12A(12c,12Ac)および回折格子パネル13(13c)を形成したことにより、回折格子パネル13(13c)から出射された−1次回折光L3cの存在に起因して、いわゆるゴースト像が表示される事態を招くことなく、鮮明な画像を表示させることができる。
【0099】
また、この表示装置1,1A(1C,1AC)によれば、光源11(11c)を有する表示器2,2A(2C,2AC)と、光源11(11c)の点灯を制御して表示器2,2A(2C,2AC)に画像を表示させる制御部3とを備えて表示装置を構成したことにより、光源11(11c)からの光L1(L1R,L1G,L1B)の利用効率を十分に向上させることができる。
【0100】
なお、「表示器」および「表示装置」の構成は、上記の表示器2,2A(2C,2AC)および表示装置1,1A(1C,1AC)の構成に限定されない。例えば、平面視直線状の互いに平行な複数の凸部31、および平面視直線状の互いに平行な複数の凹部32が所定の形成ピッチで形成された凹凸パターン(格子パターン)を回折格子30として機能させる構成の回折格子パネル13(13c)を備えた例について説明したが、「回折格子」は、これに限らず、一例として、図38,39に示す回折格子パネル13dにおける回折格子30aのように、互いに交差することのない平面視曲線状の複数の凸部、および互いに交差することのない平面視曲線状の複数の凹部で構成された凹凸パターン(格子パターン)を形成して「回折格子」として機能させる構成を採用することができる。なお、両図では、一例として、凸部の幅方向の中心を実線(曲線)で図示している。
【0101】
この場合、前述したように、本明細書において、「1つの回折格子」とは、入射した光を回折可能に構成された光学的要素のうちの「1つの光出射部」に対応して規定された部位を意味する。したがって、平面視曲線状の凸部や平面視曲線状の凹部が格子パターンとして形成された回折格子パネルでは、光源における1つの光出射部(前述した光源11における1つの光出射部10、または、前述した光源11cにおける光出射部10R,10G,10Bのうちの1つに対応する要素:つまり、単色画像を表示するための光源においては、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つに対応する光を出射する光学的要素であり、カラー画像を表示するための光源においては、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つにおける各色光に対応する各副画素のうちの1つに対応する光を出射する光学的要素)に対応して1つの回折格子30a(両図において荒い破線で区切った方形状の領域)が規定されている。
【0102】
なお、平面視曲線状の凸部や平面視曲線状の凹部を格子パターンとして形成した回折格子30aでは、図39に示すように、一例として、格子としての凸部が回折格子30aの一端部(例えば、同図における左端部)と交差する交点P1と、凸部が回折格子30aの他端部(この例では、同図における右端部)と交差する交点P2とを結んだ実線Lcを格子ラインとする。このような構成の回折格子パネル13dにおいても、回折格子30a毎に、各凸部の形成ピッチdや、ペリスト回転角(格子ラインの回転角)などを規定することで、前述した回折格子パネル13(13c)と同様にして、光路変更パネル12(12c)からの光L2(L2R,L2G,L2B)を回折して任意の向きに出射することができる。
【0103】
また、例えば、各回折格子30の形成領域毎に複数の凸部31および複数の凹部32が所定の形成ピッチで形成された凹凸パターンが形成され、この凹凸パターンが回折格子30として機能して、光路変更パネル12(12c)からの光L2(L2R,L2G,L2B)を予め規定された方向に回折するように構成された回折格子パネル13(13c)を有する表示器2,2A(2C,2AC)および表示装置1,1A(1C,1AC)を例に挙げて説明したが、回折格子パネル13(13c)に代えて、図40〜42に示す回折格子パネル13e〜13gのいずれかによって光路変更パネル12(12c)からの光L2(L2R,L2G,L2B)を予め規定された方向に回折するように構成することもできる。
【0104】
この場合、回折格子パネル13e〜13gは、前述した回折格子パネル13(13c)における凸部31および凹部32からなる格子パターン(凹凸パターン)に代えて、複数の凸部31aおよび複数の凹部(スリット)32aからなる格子パターンが形成されて、この格子パターンが回折格子30bとして機能して、光路変更パネル12(12c)からの光L2(L2R,L2G,L2B)を予め規定された方向に回折するように構成されている。なお、この回折格子パネル13e〜13gにおいて、前述した回折格子パネル13(13c)の各要素と同様の要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0105】
この場合、図40,41に示すように、回折格子パネル13e,13fの回折格子30bでは、凸部31aの延在方向(同図における実線Laの方向)が、その回折格子面F3に対して垂直に交差する向き(回折格子面F3の法線と平行な向き:δy=0°」となっている。したがって、この回折格子パネル13e,13gの回折格子30bは、δy=0°の回折格子パネル13(13c)の回折格子30と同様に機能する。一方、図42に示すように、回折格子パネル13gの回折格子30bでは、凸部31aの延在方向(同図における実線Laの方向)が、その回折格子面F3に対して斜めに交差する向き(回折格子面F3の法線と非平行な向き:δy≠0°」となっている。したがって、この回折格子パネル13gの回折格子30bは、δy≠0°の回折格子パネル(例えば、図26に示す回折格子パネル13)の回折格子と同様に機能する。
【0106】
また、図40〜42に示す回折格子パネル13h〜13jのいずれかによって光路変更パネル12(12c)からの光L2(L2R,L2G,L2B)を予め規定された方向に回折するように構成することもできる。この場合、回折格子パネル13h〜13jは、前述した回折格子パネル13(13c)における凸部31および凹部32からなる格子パターン(凹凸パターン)に代えて、高屈折率材料で形成された複数の高屈折率部35、および低屈折率材料で形成された複数の低屈折率部36からなる格子パターンが形成されて、この格子パターンが回折格子30cとして機能して、光路変更パネル12(12c)からの光L2(L2R,L2G,L2B)を予め規定された方向に回折するように構成されている。この場合、本明細書では、回折格子パネル13h〜13jの回折格子30cにおける各高屈折率部35を、前述した回折格子30の凸部31や回折格子30bの凸部31aと同様の構成要素とする。すなわち、これら回折格子パネル13h〜13jの回折格子30cにおける「凸部の延在方向」は、高屈折率部35の延在方向(各図における実線Laの方向)を意味する。このような構成を採用した場合においても、前述した回折格子パネル13(13c),13a,13b,13e〜13f等と同様の「光回折部」として機能する。
【0107】
さらに、光源11(11c)を一体的に備えて構成した表示器2,2A(2C,2AC)を例に挙げて説明したが、「表示器」の構成はこれに限定されない。例えば、外部装置としての「光源」から出射された光の進行方向を「光路変更部」によって変更して回折格子パネル(回折格子面)に入射させる構成の表示器(図示せず)においても、その表示器における「光路変更部」や「光屈折部」を、上記の表示器2,2A(2C,2AC)における光路変更パネル12,12A(12c,12Ac)や、回折格子パネル13(13c)等と同様に構成することで、表示器2,2A(2C,2AC)と同様の効果を奏することができる。
【0108】
また、「視差による立体視画像」を表示する利用形態を例に挙げて説明したが、「表示器」および「表示装置」によって表示する「画像」はこれに限定されない。例えば、複数種類の2次元画像(一例として、ニュース番組の画像、教育番組の画像、およびアニメーション番組の画像)を「互いに相違する画像」として「表示器」に表示させる利用形態を採用することができる。このような利用形態においては、一例として、「表示器」に向かって左側から「ニュース番組の画像」を視認させ、「表示器」に向かって正面から「教育番組の画像」を視認させ、「表示器」に向かって右側から「アニメーション番組の画像」を視認させることで、1台の「表示装置」によって、3人の視聴者に対してそれぞれ相違する画像を視認させることができる。
【0109】
さらに、RGBカラー画像を表示可能に構成した表示器2C,2AC(表示装置1C,1AC)を例に挙げて説明したが、RGBカラー画像以外の、各種のカラー画像を表示可能に「表示器」および「表示装置」を構成することもできる。このような構成を採用する場合においては、カラー画像を構成する各色光毎の表示画素毎に、上記のdやεなどを適宜調整すればよい。また、光出射部としてのLEDを備えた光源11(11c)を例に挙げて説明したが、「光源」は、これに限定されず、有機ELや、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよび表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)などの各種光出射装置を備えて構成することができる。この場合、単色画像を表示するための表示装置に上記の各種光出射装置を使用する場合には、光出射装置において、1つの単色画像を構成する各表示画素のうちの1つに対応する光を出射するための光学的要素が「光出射部」に相当し、カラー画像を表示するための表示装置に上記の各種光出射装置を使用する場合には、光出射装置において、1つのカラー画像を構成する各表示画素のうちの1つにおける各色の副画素のうちの1つに対応する光を出射するための光学的要素が「光出射部」に相当する。
【0110】
また、拡散板14を備えて構成した表示器2,2A(2C,2AC)を例に挙げて説明したが、「光拡散部(拡散板14)」に加えて、「光拡散部」等の傷付きや塵埃の付着を防止するための「保護板」や、ノングレア処理が施された「化粧板」などを配設して「表示器」を構成することもできる。
【符号の説明】
【0111】
1,1A,1C,1AC 表示装置
2,2A,2C,2AC 表示器
3 制御部
11,11c 光源
12,12A,12c,12Ac 光路変更パネル
13,13a〜13j 回折格子パネル
14 拡散板
20,20R,20G,20B,200,200−1〜200−9 プリズム
20A,20AR,20AG,20AB,200A,200A−1〜200A−9 EO効果素子
21 KTN結晶体
22a,22b 電極
30,30R,30G,30B,30a〜30c 回折格子
F3 回折格子面
L1,L1R,L1G,L1B,L2,L2R,L2G,L2B,L3,L3R,L3G,L3B,L4,L4R,L4G,L4B 光
L3a 0次回折光
L3b 1次回折光
L3c −1次回折光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路変更部、光回折部および光拡散部を備えた表示器であって、
当該表示器と対向し、かつ当該表示器の左右方向で相違する各視点位置から互いに相違する画像を視認可能に複数の画像を表示可能に構成され、
前記光回折部は、各表示画素毎に回折格子が形成されて当該各回折格子毎に前記光路変更部からの光を予め規定された方向にそれぞれ回折し、
前記光路変更部は、前記各表示画素に対応して光路変更素子が設けられて光源および前記光回折部の間に配設されると共に、当該光源から出射された光の進行方向を当該光路変更素子によって当該表示器の縦方向に変更して前記各回折格子における回折格子面に対して当該光を斜めに入射させ、
前記光拡散部は、前記光回折部によって回折された光を当該表示器の縦方向に拡散させる表示器。
【請求項2】
前記光路変更部は、前記光路変更素子がプリズムで構成されている請求項1記載の表示器。
【請求項3】
前記光路変更部は、前記光路変更素子が、電気光学効果によって光の進行方向を変更する素子で構成されている請求項1記載の表示器。
【請求項4】
波長が相違する複数種類の色光によって1つの前記表示画素を表示可能に構成され、
前記光路変更部は、1つの前記表示画素を表示するための前記各色光に対応して前記光路変更素子が設けられると共に、当該1つの表示画素を表示するための当該各色光に対応する当該光路変更素子が、同一の光学材料で、かつ互いに等しい形状となるように形成され、
前記光回折部は、1つの前記表示画素を表示するための前記各色光毎に前記回折格子が形成され、
前記1つの表示画素を表示するための前記各色光毎の前記回折格子は、波長が短い当該色光を回折する当該回折格子のペリスト回転角の大きさよりも、波長が長い当該色光を回折する当該回折格子のペリスト回転角の大きさの方が小さくなるように形成されている請求項2または3記載の表示器。
【請求項5】
前記光路変更部および前記光回折部は、−1次回折光および+1次回折光のいずれかが当該光回折部から出射しないように形成されている請求項1から5のいずれかに記載の表示器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の表示器と、前記光源と、当該光源の点灯を制御して前記表示器に前記画像を表示させる制御部とを備えている表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2012−93451(P2012−93451A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238988(P2010−238988)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】