表示方法
【課題】 発光素子の長寿命化を図り、焼き付きを防止し、高品質な表示が可能な表示方法および表示装置を提供する。
【解決手段】 タコメータの数字95および指針96を有機ELパネル2に画像表示する第1のデザインと、タコメータの数字95および指針96とバックモニタの自然画22を有機ELパネル2内に同時に表示する第2のデザインの二つのデザインとを備える。また、第2のデザインでは、タコメータの数字95および指針96の画像のうち高い輝度で表示されていた領域以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。
【解決手段】 タコメータの数字95および指針96を有機ELパネル2に画像表示する第1のデザインと、タコメータの数字95および指針96とバックモニタの自然画22を有機ELパネル2内に同時に表示する第2のデザインの二つのデザインとを備える。また、第2のデザインでは、タコメータの数字95および指針96の画像のうち高い輝度で表示されていた領域以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両、航空機、船舶、電車等の移動体に搭載され、移動体の速度、エンジン回転数等を表示する表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという。)素子を用いた有機ELパネルが、低消費比電力、高視野角、高コントラスト比で他の装置より優れているとして注目されている。こうした有機ELパネルを用いた有機EL表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載される車両用情報表示装置として、液晶ディスプレイ装置によって構成される一つの画面(マルチディスプレイ装置)内に、複数の表示をさせるようにしたものが知られている(特許文献2参照)。このような車両用情報表示装置では、液晶パネル内に、速度を表示するスピードメータとしての第1の表示部と、エンジン回転数を表示するタコメータとしての第2の表示部と、カーナビゲーション装置の地図情報等を表示する第3の表示部とにより、3種類の表示を行うようになっている。
【特許文献1】特開2004−127924号公報
【特許文献2】特開2004−291731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されているような従来の有機EL表示装置を自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、その表示パネルで常時はスピードメータやタコメータ等のメータを画像表示し、同じ表示パネルに、そのメータに加えてバックモニタやテレビ電話等の自然画を表示させることが考えられる。
【0005】
例えば、表示パネルにより、数字を白で表示するタコメータ等のメータのデザインがあった場合、メータの中にバックモニタやテレビ電話(TV電話)等の自然画を表示する。エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)はまだまだ寿命の問題があり、同じ所に高い輝度(文字を白)で表示すると、白はRGB全部を使うので劣化の点で厳しい色なので、その部分の劣化が早い。
【0006】
数字を白で表示する白の表示部を有するデザインのメータの中に自然画を表示するのに、その自然画をメータの白の表示部を含む表示エリア全体に表示させると、その自然画のうち、メータの白の表示部であった部分の劣化が加速され、その部分の輝度が落ちてしまい、高品質な表示が得られない。
【0007】
つまり、数字を白で表示する白の表示部と回りの黒の部分とでは劣化の速度(度合)が違うので、そのメータが表示される全面に自然画を表示させると、その自然画のうち、メータの白の表示部であった部分の劣化が加速され、その部分の輝度が落ちてしまい、高品質な表示が得られない。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、部分的に焼き付きが加速するのを抑制し、高品質な表示が可能な表示方法および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における表示装置は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示方法において、複数のデザインを前記表示パネルに切り替えて画像表示する際に、前記各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、前記複数のデザインの各々を画像表示するようにした。
【0010】
これによれば、複数のデザインを表示パネルに切り替えて画像表示する際に、各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するようにしている。これにより、複数のデザインの各々において、部分的に焼き付きが加速されるのを抑制でき、高品質な表示を得ることができる。
【0011】
この表示方法において、第1の画像を表示する第1のデザインと、前記第1の画像と前記第1の画像とは別の第2の画像を前記表示パネル内に同時に表示する第2のデザインとを含む複数のデザインを前記第1の画像と第2の画像を前記表示パネルに切り替えて画像表示し、前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、前記最大輝度の範囲内で、前記第1の画像の一部の輝度と前記第2の画像の輝度とを配分してもよい。
【0012】
これによれば、第2のデザインで、第1の画像の一部と第2の画像とが重なる領域では、最大輝度に制限を設けて、その範囲内で、第1の画像の一部の輝度と第2の画像の輝度を配分する。つまり、複数の画像が重なる部分の画素では、各画素の輝度の和が最大輝度の範囲内を超えないようにする。これにより、第1の画像の一部と第2の画像とが重なる領域で部分的に焼き付きが加速されるのを抑制でき、高品質な表示を得ることができる。
【0013】
この表示方法において、前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の一方の輝度を落とすとともに、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の他方の輝度を、前記一方の輝度を落とすことで前記最大輝度の範囲内で余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示してもよい。
【0014】
これによれば、第2のデザインで、第1の画像の一部と第2の画像とが重なる領域では、第1の画像の一部と前記第2の画像の一方の輝度を落とすことで、第1の画像の一部と前記第2の画像の他方の輝度に最大輝度の範囲内で余裕ができ、その他方の画像を、その余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示させることができる。
【0015】
この表示方法において、前記第1のデザインでは、前記第1の画像としてメータ或いは計器類を画像表示させ、前記第2のデザインでは、メータ或いは計器類と、自然画とを同時に画像表示させるようにしてもよい。
【0016】
これによれば、第2のデザインで、長寿命化と焼き付きの防止を図りつつ、メータ或いは計器類の画像と自然画とを、同じ表示パネルに同時に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る表示装置全体の電気的構成を示している。図2は同表示装置で用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示し、図3は同パネルアッセンブリの表示パネルを示している。また、図4は同表示パネルの一つの画素を示し、図5(a)は同表示
パネルの一つの画素回路を示している。
【0018】
第1実施形態に係る表示方法を説明する前に、この表示方法を実施するための第1実施形態に係る表示装置について説明する。
第1実施形態に係る表示装置は、移動体の一例として自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載される。
【0019】
この表示装置の特徴は、次の点にある。
・複数のデザインを表示パネルに切り替えて画像表示する際に、各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、複数のデザインの各々を画像表示する。すなわち、複数のデザインを表示パネルに切り替えて画像表示する際に、ある一つの画素に着目した場合、その画素の全てのデザインの輝度の和がある一定値以下になるように、複数のデザインの各々を画像表示する。
【0020】
本実施形態に係る表示装置は、第1の画像としてタコメータを画像表示する第1のデザイン(図7参照)と、タコメータと第2の画像としてのバックモニタの自然画を表示パネル内に同時に画像表示する第2のデザイン(図8参照)の二つのデザインを、表示パネルに切り替えて画像表示するようになっている。
【0021】
また、第2のデザインでは、タコメータの画像のうち高い輝度で表示されていた領域以外の領域にバックモニタの自然画を表示する(図8参照)。
この表示装置1は、図1および図2に示すように、表示パネルとしての有機ELパネル2を有するパネルアッセンブリAと、画像制御ユニットCUとを備える有機EL表示装置である。この画像制御ユニットCUは、車情報データとしてのエンジン回転数を表わす信号に基づいてタコメータの表示用画像データを作成し、この画像データを出力する。また、画像制御ユニットCUには、車情報データとしてシフトレバー(図示省略)がRレンジ(後退位置)に操作されて車両のECUから送られるシフトレバー位置検出信号が入力される。この信号が入力されると、画像制御ユニットCUは、車両の後部に装着されたバックモニタ(図示省略)から送られる画像データに基づいてバックモニタの自然画の表示用画像データを作成し、この画像データを出力するようになっている。
【0022】
表示装置1は、画像制御ユニットCUの出力ポートにパネルアッセンブリAが電気的に接続され、有機ELパネル2に、出力ポートから出力されるタコメータの表示用画像データに基づきタコメータを画像表示させる(第1のデザイン)。また、表示装置1は、画像制御ユニットCUの出力ポートから出力されるタコメータの表示用画像データとバックモニタの自然画の表示用画像データとに基づき、タコメータとバックモニタの自然画とを同時に有機ELパネル2に画像表示させる(第2のデザイン)ようになっている。
【0023】
パネルアッセンブリAは、図1および図2に示すように、車情報データおよび画像データに基づいて作成される上記2種類の表示用画像データを使って有機ELパネル2に表示をさせるパネル制御回路100が設けられたパネル制御基板101をそれぞれ備える。本例では、一例として、車情報データを画像処理する画像処理回路や電源回路が画像制御ユニットCU側に設けられているので、パネル制御回路100は画像制御ユニットCUから送られる表示用画像データを使って有機ELパネル2にタコメータの画像を表示させる。
【0024】
パネル制御回路100は、有機ELパネル2の輝度を設定するための輝度設定データが格納された記憶手段としてのEEPROM102を備える。また、パネル制御回路100は、画像制御ユニットCUから送られる上記2種類の表示用画像を使って有機ELパネル2に上記第1のデザインと第2のデザインのいずれかのデザインで画像を表示させるための信号として、制御信号O、ドライブデータP、パネル電源Qをそれぞれ出力する複数の
出力端子を有する。これら複数の出力端子(図示省略)は、有機ELパネル2を駆動するドライバIC103が実装されたフレキシブル配線基板104上の複数の配線を介して有機ELパネル2の複数のデータ線、複数の電源線、複数の制御信号線と電気的に接続されるようになっている。
【0025】
ドライバIC103は、有機ELパネル2の後述する複数のデータ線を駆動するデータ線駆動回路として構成されている。制御信号Oは、後述する走査線駆動回路やドライバIC(データ線駆動回路)を制御する信号である。また、ドライブデータPは、後述する各画素(赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含む)の画像データ、例えば8ビットのデジタル階調データである。
【0026】
フレキシブル配線基板104は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)で構成されている。フレキシブル配線基板104上には、パネル制御回路100の複数の出力端子とドライバIC103の複数の入力側端子とを接続する複数の入力側配線(図示省略)と、ドライバIC103の複数の出力端子と有機ELパネル2の複数のデータ線および走査線を接続する出力側配線とが形成されている。また、フレキシブル配線基板104上には、パネル電源Qを有機ELパネル2の複数の電源線に供給する電源供給線が形成されている。
【0027】
有機ELパネル2は、電流引き込み型の電流駆動方式(電流プログラム方式)を採用している。この有機EL表示装置は、有機ELパネル2、このパネル上に形成された左右2つの走査線駆動回路106L,106Rと、データ線駆動回路としてのドライバIC103と、パネル制御回路100とを備えている。
【0028】
有機ELパネル2は、図2および図3に示すように、自発光型の発光素子としてエレクトロルミネッセンス素子である有機EL素子221をそれぞれ有する複数の画素210Aがマトリクス状に配置された発光素子基板11と、複数の画素210Aを密封するように発光素子基板11に接合された封止基板(図示省略)とを備える。有機ELパネル2は、各画素210Aの画像データに基づいて各画素210Aの有機EL素子221が駆動される。図1で符号14は、複数の画素210Aがマトリクス状に配置された図12に示すような実線で示される数字95、指針96及び指針中心部97の画像からなるタコメータの画像であり、この表示エリア14の外側はいわゆる額縁(非表示エリア)である。
【0029】
発光素子基板11には、図3では図示を省略してあるが、陽極として機能する矩形状の画素電極がマトリクス状に形成されており、各画素電極上に、例えば、正孔注入/輸送層と発光層とが順次積層形成され、発光層が形成された基板のほぼ全面に渡って陰極が形成されている。また、各画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)等が電気的に接続されており、各画素電極、その上に形成された正孔注入/輸送層、発光層、および陰極により、各画素210Aの有機EL素子221が構成されている。なお、図2では複数の画素210Aのうちの一つのみを示してある。
【0030】
有機ELパネル2は、図2および図3に示すように、発光素子基板11上にそれぞれ形成され、行方向に延びるn本の第1走査線Y1〜Yn(nは整数)と列方向に延びるm本のデータ線X1〜Xm(mは整数)との交差に対応してn行m列に配列された複数の画素210Aを有している。また、有機ELパネル2は、行方向に延びるn本の第2走査線Y11〜Yn1を有している。複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、列方向にR,G,Bの順に配置された赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子の3種類の有機EL素子221により一つの画素が構成されている。つまり、複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、赤用画素、緑用画素および青用画素の3種類の画素(サブピクセ
ル)により一つの画素が構成されている。
【0031】
また、発光素子基板11上には、図3および図4に示すように、各画素210Aの画素回路220に電源を供給する複数の(m本の)画素電源線50が形成されている。本例では、列方向に縦に並ぶn個の画素210Aが縦に延びる1本の画素電源線50に接続されている。各画素電源線50には、列方向にR,G,Bの順にn個ずつ配置された赤用画素、緑用画素および青用画素が個別に接続されている。つまり、n個の赤用画素が接続された赤用の画素電源線50と、n個の緑用画素が接続された緑用の画素電源線50と、n個の青用画素が接続された青用の画素電源線50とが、列方向にR,G,Bの順に形成されている。
【0032】
図3において、符号16は、複数の画素電源線50の各端子と、複数のデータ線X1〜Xmの各端子とが接続された接続端子部である。この接続端子部16には、フレキシブル配線基板104の接続端子部が電気的に接続されている。また、図3において、符号17は、複数の赤用の画素電源線50と、複数の緑用の画素電源線50と、複数の青用の画素電源線50とが接続された1本のパネル電源線である。このパネル電源線17は、発光素子基板11上の、表示エリア14の外側の額縁(非表示エリア)に形成されている。そして、符号18は、各画素210Aの上記陰極に接続されたパネルグランド線である。
【0033】
走査線駆動回路106Lは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルのプログラム期間選択信号Vprg(図5(a),(b)参照)を順に生成して出力することで、第1走査線Y1〜Ynを線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。図5(b)では、第1走査線Y1〜Ynのうち、第1行目の第1走査線Y1にプログラム期間選択信号Vprgが出力されるプログラム期間(t1時点からt2時点までの期間)のみを示してある。
【0034】
走査線駆動回路106Rは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルの発光期間選択信号Vrep(図5(b)参照)を順に生成して出力することで、第2走査線Y11〜Yn1を線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。なお、図5(b)では、第2走査線Y11〜Yn1のうち、第1行目の第2走査線Y11にHレベルの発光期間選択信号Vrepが出力される発光期間(t2時点からt3時点までの期間)のみを示してある。
【0035】
そして、ドライバIC103は、上記プログラム期間に、選択された1本の第1走査線に接続された各画素回路220に、データ線X1〜Xmをそれぞれ介してプログラム信号電流Isig(図5(b)参照)を一斉に供給するようになっている。
【0036】
各プログラム信号電流Isigは、階調表示のためのnビットのデジタル階調データである赤用,緑用および青用の各画素の画像データをドライバIC103内でD−A変換した電流信号である。本例では、各画素210Aの画像データは、各画素の明るさを、8ビットの2進数で表わすデジタル階調データであり、0〜255の256段階の階調値をとる。
【0037】
ドライバIC103は、図4に示すように、プログラム信号電流Isigをデータ線X1〜Xmを介して各画素回路220に書き込むためのデータ書き込み回路(サンプリング回路)、データ書き込み回路の動作タイミングをコントロールするシフトレジスタ、ラッチ回路、およびデジタル/アナログ変換器等を備える。ラッチ回路は、各画素の画像データを各画素ごとに設けたデータメモリに格納して1行分の画像データを保持し、上記プログラム期間に、各データメモリに格納した画像データが一斉に読み出されてドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器(図示省略)へ出力されるようになっている。
【0038】
このように、有機ELパネル2では、R,G,B3種類の有機EL素子221(赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子)により一つの画素210Aが構成され、このような画素が複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置されている。
【0039】
複数の画素210Aはそれぞれ、有機半導体材料で構成された発光層から赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用有機EL素子、緑用有機EL素子および青用有機EL素子を有する赤用、緑用、および青用の3種類の画素回路をそれぞれ有している(図5(a)参照)。一つの画素210Aを構成する3種類の画素回路220は、各々の有機EL素子221から放射される光の色が異なる以外は、同じ回路構成である。
【0040】
画素回路220の構成を図5(a)に基づいて説明する。
画素回路220は、駆動トランジスタTdr、プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsig、発光時選択トランジスタTrepおよび保持容量Cstgを有している。駆動トランジスタTdrはPチャネルTFTで構成されている。プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsigおよび発光時選択トランジスタTrepは、NチャネルTFTでそれぞれ構成されている。
【0041】
駆動トランジスタTdrのドレインは発光時選択トランジスタTrepを介して有機EL素子221の陽極に接続され、有機EL素子221の陰極は接地されている。また、駆動トランジスタTdrのドレインはプログラム時選択トランジスタTsigを介して1つのデータ線(図5(a)ではデータ線X1)に接続されている。また、駆動トランジスタTdrのソースは高電位電源Vddに接続されている。さらに、駆動トランジスタTdrのゲートは保持容量Cstgの第1の電極に接続され、その保持容量Cstgの第2の電極は高電位電源Vddに接続されている。プログラム用トランジスタTprgは、駆動トランジスタTdrのゲート・ドレイン間に接続されている。
【0042】
プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgの各ゲートは、第1走査線の1つ(図5(a)では第1走査線Y1)に接続されている。そして、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgは、第1走査線Y1からのHレベルのプログラム期間選択信号Vprgに応答してオン状態となり、LレベルのVprgに応答してオフ状態となる。そして、本実施形態では、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgがオン状態となると、データ線X1に上記プログラム信号電流Isigが供給されるようになっている。
【0043】
発光時選択トランジスタTrepのゲートは、第2走査線の1つ(図5(a)ではY11)に接続されている。また、発光時選択トランジスタTrepは、第2走査線Y11からのHレベルの発光期間選択信号Vrepに応答してオン状態となり、LレベルのVrepに応答してオフ状態となる。そして、発光時選択トランジスタTrepがオン状態になると、駆動トランジスタTdrのオン状態に基づく駆動トランジスタ供給電流IdrをOLED供給電流Ioledとして有機EL素子221に供給するようになっている。
【0044】
次に、各画素回路220の動作を、図5(b)に基づいて簡単に説明する。
1.プログラム期間
いま、第1走査線Y1からHレベルのプログラム期間選択信号Vprgが供給されると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigはオン状態に設定される。このとき、第2走査線Y11からLレベルの発光期間選択信号Vrepが供給されていて、発光時選択トランジスタTrepはオフ状態に設定されている。
このとき、データ線X1にプログラム信号電流Isigが供給される。そして、プログラム用トランジスタTprgがオン状態になることによって駆動トランジスタTdrはダイオード接続となる。その結果、そのプログラム信号電流Isigが、駆動トランジスタTdr→プログラム時選択トランジスタTsig→データ線X1という経路で流れる。このとき、駆動トランジスタTdrのゲートの電位に対応した電荷が保持容量Cstgに蓄積される。
【0045】
2.発光期間
この状態から、プログラム期間選択信号VprgがLレベルとなり、発光期間選択信号VrepがHレベルとなると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigがオフ状態に設定され、発光時選択トランジスタTrepはオン状態に設定される。このとき、保持容量Cstgの電荷の蓄積状態は変化しないので、駆動トランジスタTdrのゲート電位は、プログラム信号電流Isigが流れたときの電圧に保持されている。従って、駆動トランジスタTdrのソース・ドレイン間には、そのゲート電圧に応じた大きさの駆動トランジスタ供給電流Idr(OLED供給電流Ioled)が流れる。詳しくは、OLED供給電流Ioledは、駆動トランジスタTdr→発光時選択トランジスタTrep→有機EL素子221という経路で流れる。これによって、有機EL素子221は、OLED供給電流Ioled(プログラム信号電流Isig)に応じた輝度で発光する。
【0046】
このような動作が、第1走査線Y2〜Ynにそれぞれ接続された各画素回路220において順に行われて1フレーム分の表示がなされる。
また、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100は、上記EEPROM102と、基準電圧生成回路107とを備える。EEPROM102には、有機ELパネル2の輝度を補正するための輝度補正データが格納されている。また、EEPROM102には、ドライバIC103の初期化のためのパラメータ、例えば有機ELパネル2でのフレーム周波数を設定するためのデータも格納されている。
【0047】
本例では、有機ELパネル2の輝度を、ドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をEEPROM102(図2参照)に格納された輝度補正データによってR,G,Bごとに補正できるようになっている。そのために、基準電圧生成回路107は、電源投入時デジタル/アナログ変換器の基準電圧を輝度補正データによって補正したR,G,Bごとの基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力するようになっている。
【0048】
表示装置1は、図6に示すように、自動車等の車両のインストルメントパネル21に搭載される。この表示装置1は、一例として図6および図7に示すように、上記第1のデザインでは、有機ELパネル2により、車両20のエンジン回転数をアナログ表示するタコメータの数字95および指針96を画像表示する。また、表示装置1は、図8に示すように、上記第2のデザインでは、有機ELパネル2により、タコメータの数字95および指針96とバックモニタの自然画22とを同時に画像表示する。
【0049】
(画像制御ユニットの電気的構成)
次に、上記画像制御ユニットCUの電気的構成を図1に基づいてより詳しく説明する。
画像制御ユニットCUは、入力される車情報データおよび画像データに基づいてタコメータの数字95および指針96を表示するための上記2種類の表示用画像データを作成し、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100へ出力する画像処理回路110が設けられた画像制御基板111を備える。
【0050】
また、画像制御ユニットCUは、複数の出力ポートから有機ELパネル2へ電源を供給
する電源回路112と、車情報データおよび画像データがそれぞれ入力される複数の入力回路(インターフェースI/F1,I/F2)113,114とを備える。さらに、画像制御ユニットCUは、画像処理回路110、電源回路112、入力回路113,114を統括制御するCPU115と、各種の制御プログラム等が格納されたROM116と、画像処理に用いる各種の画像データが格納されたROM117と画像処理用のRAM118とを備える。
【0051】
ROM117には、タコメータの数字95を表示させるための背景データが格納されている。また、ROM117には、タコメータの数字95に重ねて表示される指針96の画像を作成するための画像データ等が格納されている。指針96を数字95を表示させるための背景データに重ねて表示する方法として、例えば次の2通りがあり、いずれの方法でも良い。
【0052】
・所定角度ずつ位置が異なる多数の指針データ(指針96用の指針データ)をROM117に格納しておき、エンジン回転数に応じた指針データを読み出し、読み出した指針データと上記背景データの足し算をしてタコメータの表示用画像データを作成する。
【0053】
・エンジン回転数に応じた角度位置の指針96の画像データをそれぞれ作成し、作成した指針96の画像データと、上記背景データの足し算をしてタコメータの表示用画像データを作成する。
【0054】
入力回路113には、有機ELパネル2によりタコメータを画像表示させるためのエンジン回転数データと、シフトレバーがRレンジ(後退位置)に操作されて車両のECUから送られるシフトレバー位置検出信号とが入力される。エンジン回転数センサで検出されたエンジン回転数データと、シフト位置検出センサで検出されたシフトレバー位置検出信号とは、車両内のECU(電子制御ユニット)から車載ネットワークを通じて逐次送られる。車載ネットワーク・プロトコルとして、例えば、CAN(Controller Area Network
)、Flex Ray等が利用可能である。入力回路114には、バックモニタのカメラから送られる画像データが入力される。
【0055】
図1に示す画像制御ユニットCUにおいて、符号aは車情報データ制御信号、符号bは画像データ制御信号、符号cは画像処理回路制御信号、符号dは電源回路制御信号、符号eはパネルアッセンブリ制御信号、符号fは車情報データ、符号gは画像データである。また、符号hはパネルアッセンブリAへの電源信号、符号kはパネルアッセンブリAへの画像データである。また、符号nは、RAM118の制御信号である。
【0056】
CPU115は、車情報データ制御信号aにより入力回路113に逐次入力される車情報データf(エンジン回転数データ)を画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、画像データ制御信号gにより入力回路114に入力される画像データを画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、画像処理回路制御信号cにより、画像処理回路110からパネルアッセンブリAへ画像データkを出力する制御を行う。そして、CPU115は、パネルアッセンブリ制御信号eをパネルアッセンブリAへ出力する制御を行うようになっている。この画像データkは、上記第1のデザインの場合にはタコメータの表示用画像データであり、上記第2のデザインの場合には、タコメータの表示用画像とバックモニタの自然画22の表示用画像データとが含まれる。
【0057】
以上の構成を有する表示装置1は、車両が後進するときを除き、入力回路113に入力されるエンジン回転数データに応じてタコメータの数字95および指針96を有機ELパネル2に画像表示させる(図7に示す第1のデザイン)。また、表示装置1は、入力回路113にエンジン回転数データの他にシフトレバー位置検出信号が入力されると、タコメ
ータの数字95および指針96と、バックモニタの自然画22とを同時に有機ELパネル2に画像表示させる(図8に示す第2のデザイン)。
【0058】
次に、上記構成の表示装置1を用いて実行される第1実施形態に係る表示方法を説明する。
この表示方法は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリア14を有する有機ELパネル2を備え、各画素210Aの有機EL素子221を画像データに基づいて駆動し表示エリア14に画像を表示する。
【0059】
この表示方法の特徴は、次の点にある。
・二つのデザインを有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示する。すなわち、二つのデザインを有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、ある一つの画素に着目した場合、その画素の全てのデザインの輝度の和がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示する。
【0060】
本実施形態に係る表示方法は、第1の画像としてタコメータを画像表示する第1のデザイン(図7参照)と、タコメータと第2の画像としてのバックモニタの自然画22を有機ELパネル2内に同時に画像表示する第2のデザイン(図8参照)の二つのデザインを、有機ELパネル2に切り替えて画像表示する。具体的には、図7に示す第1のデザインでは、タコメータの数字95、指針96および円形の指針中心部97を画像表示する。また、図8に示す第2のデザインでは、タコメータの数字95および指針96とバックモニタの自然画22を有機ELパネル2内に同時に画像表示する。
【0061】
また、本実施形態に係る表示方法は、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するための一態様として、図8に示す第2のデザインでは、図7に示すタコメータの画像のうち高い輝度で表示されていた領域以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。つまり、図8に示す第2のデザインでは、図7に示すタコメータの画像のうち数字95が白で表示されていた領域(白の表示部)以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。
【0062】
本実施形態に係る表示方法では、一例として、図7に示す第1のデザインでは、タコメータの数字95を白の200カンデラ(dc/m2)で画像表示する。数字95を白の200カンデラで表示する複数の画素をそれぞれ構成する赤用画素、緑用画素および青用画素の3つの画素の輝度の配分(RGBの輝度の配分)は図9のグラフで示すようになる。つまり、赤用画素の輝度をR、緑用画素の輝度をG、そして青用画素の輝度をBとすると、これら3つの画素の輝度の和(R+G+B)が200カンデラ(dc/m2)になる。なお、図8では、車両が停止状態にあって実線で示す指針96がエンジン回転数の数字「0」を示す状態と、車両が走行中で二点鎖線で示す指針96´がエンジン回転数を表わす数字「4000」付近を示す状態とを示している。
【0063】
このようにタコメータの数字95を200カンデラの白で(高い輝度で)表示すると、白はRGB全部を使うので劣化の点で厳しい色なので、数字95を白で表示している領域(白の表示部)にある複数の画素をそれぞれ構成する3つの画素の各有機EL素子(赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子)の劣化が早い。
【0064】
また、本実施形態では、図7に示す第1のデザインでは、指針96は赤で(劣化の小さい有機EL素子である赤色の有機EL素子を有する赤用画素で)表示し、指針中心部97は橙色(アンバー系)で表示する。橙色は、赤色の有機EL素子を有する赤用画素と緑色の有機EL素子を有する緑用画素とで表現する。
【0065】
このような第1のデザインで表示されているタコメータの画像と同時にバックモニタの自然画22を表示するのに、自然画22を、200カンデラの白で数字95が表示されていた領域(白の表示部)を含む表示エリア14(図3参照)全体に表示させたとする。実際には、このような表示の仕方はタコメータの画像表示が見えなくなるため無いが、ここでは「焼き付き」を説明する為にそのような表示をさせたと仮定する。このような表示をさせると、自然画22のうち、200カンデラの白で数字95が表示されていた部分の焼き付き加速され、その部分の輝度が落ちてしまい、高品質な表示が得られなくなる。
【0066】
ここで、「焼き付き」について説明する。
例えば、図7に示すようなデザインのタコメータでは、数字95を200カンデラの白で表示していた部分と周りの黒表示されていた部分とでは劣化の度合が違うので、タコメータが画像表示されている表示エリア14の全面に自然画22を表示させると、白で表示していた部分の輝度が黒表示されていた部分よりも落ちてしまう。つまり、数字95が常に高い輝度(例えば、200カンデラの白)で表示されているタコメータの表示領域全体に重ねて自然画22を表示させると、劣化の大きい高い輝度で表示されていた数字95の部分は、焼き付きにより周囲の部分に対して輝度の差が出てしまい、その部分の輝度が落ちてしまう。この場合、自然画22を消しても、劣化の大きい高い輝度で表示されていた部分(数字95の部分)が焼き付きとして残ってしまう。
【0067】
劣化の大きい部分と劣化の小さい部分との輝度の差分が目に見える輝度であれば、その差分が焼き付きとして認識される。例えば、周りは黒で、数字「1」を白で表示していた後に、表示エリア14の全面に白の画像を表示すると、白で表示していた数字「1」の部分の劣化が早いので、その部分が白の画像内で暗く見える。これが焼き付きである。そのため、数字95が常に高い輝度(200カンデラの白)で表示されているタコメータの表示領域全体に重ねて自然画22を表示すると、白で表示していた数字95の部分が常に焼き付きとして見えてしまう。
【0068】
そこで、第1実施形態に係る表示方法では、そのような焼き付きが部分的に加速される
のを抑制するために、二つのデザインを有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するようにしている。
【0069】
そのために、本実施形態に係る表示方法では、図8に示す第2のデザインでは、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97の画像のうち高い輝度で表示されていた領域(白の表示部)以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。つまり、劣化の度合の大きい高輝度(200カンデラの白)で表示していた数字95の部分を避けて、それ以外の領域(焼き付きとして見える部分以外の領域)に自然画22を表示するようにしている。
【0070】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○二つのデザイン(図7に示す第1のデザインと図8に示す第2のデザイン)を有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するようにしている。これにより、図8に示す第2のデザインにおいて、自然画22のうち、200カンデラの白で数字95が表示されていた部分で焼き付きが加速されるのを抑制でき、高品質な表示を得ることができる。
【0071】
○図8に示す第2のデザインでは、各画素を構成する3つの画素の各有機EL素子221の長寿命化と焼き付きの防止を図りつつ、タコメータの画像と自然画22とを、同じ有
機ELパネル2に同時に表示させることができる。
【0072】
○図8に示す第2のデザインでは、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97の周囲(背景)は全て輝度の最も低い黒で表示されているので、タコメータが画像表示されている領域以外の領域における各画素の有機EL素子221の劣化を抑制できる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る表示方法を説明する。
第2実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0074】
この表示方法の特徴は、図8に示す第2のデザインで、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97の画像の一部に自然画22が重なる場合、タコメータの画像を表示している複数の画素のうち、劣化の大きな色(例えば青色)の有機EL素子221を発光させている画素のある領域以外の領域に自然画22を表示させる点にある。
【0075】
上記第1実施形態のように、高輝度(200カンデラの白)で表示していた部分(数字95)以外の領域に自然画22を表示する場合、ある画素でタコメータの画像の一部(例えば、指針96の一部や指針中心部97の一部)と自然画22が重なる場合がある。例えば有機ELパネル2のサイズが大きいために、タコメータの画像の一部と自然画22が重ならない場合には、上記第1実施形態で説明した表示方法で全く問題ない。
【0076】
タコメータの画像の一部と自然画22が重なる場合には、劣化の大きい色の有機EL素子(例えば、青色の有機EL素子)221を発光させている画素のある領域以外の部分に自然画22を重ねる。つまり、劣化の大きい青色の有機EL素子221を発光させていない部分に自然画22を重ねる。青色の有機EL素子の材料は、赤色の有機EL素子や緑色の有機EL素子よりも劣化の度合が大きいので、なるべく青色の有機EL素子を発光させている領域には自然画22を重ねない方が望ましい。
【0077】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○図8に示す第2のデザインで、タコメータの画像の一部に自然画22が重なる場合、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97を表示している複数の画素のうち、劣化の大きな色(例えば青色)の有機EL素子221を発光させている画素のある領域以外の領域に自然画22を重ねる。このため、その自然画22が表示される領域で焼き付きが目立たなくなり、高品質な表示が得られる。
【0078】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る表示方法を説明する。
第3実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0079】
第3実施形態に係る表示方法の特徴は、図8に示す上記第2のデザインで、タコメータの画像の一部(例えば、指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、最大輝度の範囲内で、指針96の一部および指針中心部97の一部と、自然画22の輝度とを配分する点にある。例えば、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域では、最大輝度を白の200カンデラ(図9参照)に制限する。
【0080】
さらに、この表示方法では、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域では
、自然画22(第1の画像の一部と第2の画像の一方)の輝度を落とす。そして、タコメータの画像の一部(第1の画像の一部と第2の画像の他方)を、自然画22の輝度を落とすことで最大輝度の範囲内で余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示する。
【0081】
本実施形態では、同じところ(ある画素)でタコメータの画像の一部(指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22が重なる場合には、自然画22の輝度を、図10のグラフの実線で示すRGBの輝度の配分を持つ100カンデラの白に落とす。そして、タコメータの画像の一部の輝度を、自然画22の輝度を100カンデラの白に落とすことで余裕ができた輝度の範囲に納まるようにして表示をする。図10のグラフの破線で示すR´,G´,B´で示す輝度の範囲は、自然画22の輝度を100カンデラの白に落とすことで余裕ができた輝度の範囲を示す。100カンデラの白は、200カンデラの白に対して、RGBの各輝度が半分になる(図9および図10参照)。
【0082】
このように、自然画22の輝度を100カンデラの白に落とすことで、タコメータの画像の一部と自然画22が重なる領域にある複数の画素では、図9のグラフの破線で示す領域R´,G´,B´のように、最大輝度(白の200カンデラ)を超えない範囲でRGBの各輝度を設定できる余裕ができる。このように余裕ができたRGBの各輝度の範囲内に収まるように、タコメータの画像の一部(指針96の一部および指針中心部97の一部)のRGBの各輝度を設定することができる。
【0083】
図11は、タコメータの画像の一部(橙色の指針中心部97の一部)と自然画22が重なる領域の一部(図7の符号98で示す領域)にある一つの画素における、指針中心部97の一部と自然画22のRGBの輝度の配分をそれぞれ示している。図11において、符号300は自然画22を表示する赤用画素の輝度を、符号301は自然画22を表示する緑用画素の輝度を、そして、符号302は自然画22を表示する青用画素の輝度をそれぞれ示している。ここでは、自然画22を表示する複数の画素のRGBの輝度の配分は、100カンデラの白にしてある。
【0084】
一方、図11において、符号400は図7の符号98で示す領域にあり、赤色と緑色で表現される橙色の指針中心部97の一部を表示する一つの画素における赤用画素の輝度を、符号401はその一つの画素における緑用画素の輝度をそれぞれ示している。なお、図11では、R閾値、G閾値およびB閾値はそれぞれ、有機ELパネル2の表示エリア14の全面を200カンデラで光らせた際の、R(赤色)の輝度値、G(緑色)の輝度値およびB(青色)の輝度値に設定してある。
【0085】
以上のように構成された第3実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○図8に示す第2のデザインで、タコメータの画像の一部(例えば、指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、最大輝度の範囲内で、指針96の一部および指針中心部97の一部と、自然画22の輝度とを配分する。つまり、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域にある複数の画像では、各画素のR(赤色)の輝度とG(緑色)の輝度とB(青色)の輝度の和が最大輝度(白の200カンデラ)の範囲(RGBの輝度配分)を超えないようにする。これにより、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域にある複数の画素をそれぞれ構成するRBG3つの画素の各有機EL素子の劣化を抑制でき、焼き付きが目立たなくなり、高品質な表示が得られる。
【0086】
○タコメータの画像の一部(指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22とが重なる領域では、自然画22の輝度を落とすことで、最大輝度(白の200カンデラ)の範囲内で余裕ができ、タコメータの一部(指針96の一部および指針中心部97の
一部)を、その余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示させることができる。
【0087】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る表示方法を説明する。
第4実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0088】
この第4実施形態では、同一の有機ELパネル2の表示エリア14に、第1のデザインである、図12中実線で示される第1の画像としてのタコメータの画像G1と、図13に示されるスピードメータの画像G2とが、必要に応じて適宜切り替わって画像表示されるようになっている。
【0089】
そして、図14に示すように、図12に示すタコメータの画像G1を表示した際の、任意の位置にある一つの画素210A(図3参照)の発光輝度を符号「LA」で、また、表示が切り替わって図13に示すスピードメータの画像G2を表示した際の、前記した任意の位置にある一つの画素210の発光輝度を符号「LB」で示す。本実施形態では、ある任意の画素210の焼き付きが加速されるのが抑制されるための最大輝度Lmaxを予め画
像制御ユニットCUのROM117(図1参照)に設定しておく。そして、表示エリア14に、第1の画像としてのタコメータの画像G1とスピードメータの画像G2とが、切り替わって画像表示される場合、その輝度の和(=LA+LB)が最大輝度Lmaxよりも低
くなるように、タコメータの画像G1を表示していた最も高い発光輝度で表示していた数字95の部分を避けて、スピードメータの画像G2の数字99を画像表示するようにしている。
【0090】
詳しくは、図12に示すように、実線で示されるタコメータの画像G1の数字95である「0」と「1000」との間に図12中破線で示されるスピードメータの画像G2の数字99である「0」が、また、タコメータの画像の数字95である「1000」と「2000」との間にスピードメータの画像G2の数字99である「20」が、…、タコメータの画像G1の数字95である「5000」と「6000」との間にスピードメータの画像G1の数字99である「100」が、…、それぞれ位置するように表示する。
【0091】
以上のように構成された第4実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○表示エリア14には、タコメータの画像G1及びスピードメータの画像G2が切り替わって表示されるようにした場合、各画素210の発光輝度の和(=LA+LB)が最大輝度Lmaxよりも低くなるように、タコメータの画像の数字95と、スピードの画像の数
字99とが重ならないように表示される。このため、焼き付きが目立たなくなるので、高品質な表示が得られる。
【0092】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る表示方法を説明する。
第5実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0093】
この第5実施形態では、同一の有機ELパネル2の表示エリア14に、図15に示される第1の画像としてのスピードメータの画像G11の表示デザインと、図16に示されるバックモニタ(図示略)によって撮影されたバックモニタの画像G12に図17に示される自動車を後方移動させる際の案内基準線KSの画像G13が重なり合って表示される画像(第2のデザイン)が表示されるようになっている。
【0094】
そして、表示エリア14には、自動車が前進している場合は、図15に示すようなスピードメータの画像G11を画像表示し、また、同自動車を後方に移動させて所定の駐車位置に駐車させる場合等は、図16に示すバックモニタの画像G12に図17に示す案内基準線KSの画像が重ね合わされた画像が表示されるようになっている。
【0095】
そして、図18に示すように、図15に示すスピードメータの画像を表示した際の、任意の位置にある一つの画素210(図3参照)の発光輝度を符号「LA」で、図16に示すバックモニタの画像を表示した際の、前記した任意の位置にある一つの画素210の発光輝度を符号「LB」で示す。さらに、図17に示す案内基準線KSの画像を表示した際の、前記した任意の位置にある一つの画素210の発光輝度を符号「LC」で示す。
【0096】
本実施形態では、仮に、各画像G11〜G13を重ね合わせて表示したとしたら、その時の発光輝度が最大輝度Lmax以下になるように、各画像G11〜G13の発光輝度を調整した。つまり、スピードメータの画像G11と、バックモニタの画像G12と案内基準線の画像G13の重ね合わせた画像がそれぞれ予め設定された発光輝度Lp以下で発光して表示されるようにそれぞれ発光輝度LA,LB,LCを配分調整して設定した。
【0097】
そして、図19に示すように、スピードメータの画像G11が表示される時は、発光輝度Lp以下にその配分調整された発光輝度LAで表示される。また、バックモニタの画像G12と案内基準線の画像G13の重ね合わせた画像が表示される時は、画像G12は配分調整された発光輝度LBと画像G13は配分調整された発光輝度LCとの和が発光輝度Lp以下で表示される。これによって、本実施形態によれば、画素の各有機EL素子の劣化を抑制でき、焼き付きが目立たなくなり、高品質な表示が得られる。
【0098】
以上のように構成された第5実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○表示エリア14に、スピードメータの画像とバックモニタの画像に案内基準線KSの画像が重ね合わされた画像とを切り替えて表示させるようにした場合、各スピードメータの画像、バックモニタの画像及び案内基準線KSの画像を表示する際の画素210の発光輝度の和(=LA+LB+LC)が最大輝度Lmaxよりも低くなるように、各画素210
を発光させるようにした。このため、焼き付きが目立たなくなるので、高品質な表示が得られる。
【0099】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記各実施形態では、第1のデザインで、タコメータを画像表示する表示装置および表示方法を一例として説明したが、タコメータ以外のスピードメータや、各種の計器類(インジケータやワーニング)等を表示する表示方法および表示装置にも本発明は適用可能である。
【0100】
・上記各実施形態では、第2のデザインで、バックモニタの自然画22をタコメータの画像と同時に表示する表示装置および表示方法を一例として説明したが、本発明はこのような表示装置および表示方法に限定されない。本発明は、自然画22に代えてテレビ電話の自然画やカーナビゲーション装置の地図情報等の画像を、タコメータやスピードメータ等のメータの画像と同時に表示する表示方法および表示装置にも適用される。
【0101】
・上記各実施形態では、第1のデザインと第2のデザインの二つのデザインのいずれかで有機ELパネル2に画像を表示させる構成を一例として説明したが、「3」以上の複数のデザインのいずれか一つのデザインで表示可能にした表示方法および表示装置にも本発明は適用可能である。
【0102】
・本発明は、車両のインストルメントパネルのような限られた狭いスペースに取り付けることが要求される小型の表示装置で、常時はタコメータ等のメータを画像表示させる第1のデザインと、そのメータと同時に別の画像を表示する第2のデザインとを含む複数のデザインで表示可能な構成に広く適用可能である。
【0103】
・上記各実施形態では、発光素子として有機EL素子を駆動して表示エリアにメータ等の画像を表示する構成を一例として説明したが、有機EL素子以外の発光素子を駆動して表示エリアにメータ等の画像を表示する表示方法および表示装置にも本発明は適用可能である。
【0104】
・上記各実施形態では、データ線駆動回路として構成されたドライバIC103がフレキシブル配線基板104に実装されているが、データ線駆動回路を有機ELパネル2の発光素子基板11上に形成した構成にも本発明は適用される。
【0105】
・上記各実施形態では、表示パネルとして有機EL素子を用いた有機ELパネルを用いているが、表示パネルとして無機EL素子を用いた無機ELパネルを用いた構成にも本発明は適用可能である。
【0106】
・上記第3実施形態では、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域では、自然画22の輝度を落とすようにしているが、タコメータの画像の一部の輝度を落とす表示方法にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1実施形態に係る表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同表示モジュールで用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示すブロック図。
【図3】同表示モジュールの有機ELパネルを示す平面図。
【図4】画素の上面図。
【図5】(a)は画素回路を示す回路図、(b)は動作を示すタイミングチャート。
【図6】表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルを示す斜視図。
【図7】同表示装置による第1のデザインでの表示状態を示す平面図。
【図8】同表示装置による第2のデザインでの表示状態を示す平面図。
【図9】第1〜第3実施形態に係る表示方法の説明に用いるグラフで、白の200カンデラで表示する一つの画素におけるRGBの輝度の配分を示すグラフ。
【図10】第3実施形態に係る表示方法の説明に用いるグラフ。
【図11】第3実施形態に係る表示方法の説明に用いるグラフ。
【図12】第4実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図13】同じく、第4実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図14】同じく、第4実施形態に係る表示方法の説明するためのグラフ。
【図15】第5実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図16】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図17】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図18】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するためのグラフ。
【図19】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するためのグラフ。
【符号の説明】
【0108】
k…画像データ、X1〜Xm…データ線、1…表示装置、2…表示パネルとしての有機ELパネル、210A…画素、221…発光素子としての有機EL素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両、航空機、船舶、電車等の移動体に搭載され、移動体の速度、エンジン回転数等を表示する表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという。)素子を用いた有機ELパネルが、低消費比電力、高視野角、高コントラスト比で他の装置より優れているとして注目されている。こうした有機ELパネルを用いた有機EL表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載される車両用情報表示装置として、液晶ディスプレイ装置によって構成される一つの画面(マルチディスプレイ装置)内に、複数の表示をさせるようにしたものが知られている(特許文献2参照)。このような車両用情報表示装置では、液晶パネル内に、速度を表示するスピードメータとしての第1の表示部と、エンジン回転数を表示するタコメータとしての第2の表示部と、カーナビゲーション装置の地図情報等を表示する第3の表示部とにより、3種類の表示を行うようになっている。
【特許文献1】特開2004−127924号公報
【特許文献2】特開2004−291731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されているような従来の有機EL表示装置を自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載し、その表示パネルで常時はスピードメータやタコメータ等のメータを画像表示し、同じ表示パネルに、そのメータに加えてバックモニタやテレビ電話等の自然画を表示させることが考えられる。
【0005】
例えば、表示パネルにより、数字を白で表示するタコメータ等のメータのデザインがあった場合、メータの中にバックモニタやテレビ電話(TV電話)等の自然画を表示する。エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)はまだまだ寿命の問題があり、同じ所に高い輝度(文字を白)で表示すると、白はRGB全部を使うので劣化の点で厳しい色なので、その部分の劣化が早い。
【0006】
数字を白で表示する白の表示部を有するデザインのメータの中に自然画を表示するのに、その自然画をメータの白の表示部を含む表示エリア全体に表示させると、その自然画のうち、メータの白の表示部であった部分の劣化が加速され、その部分の輝度が落ちてしまい、高品質な表示が得られない。
【0007】
つまり、数字を白で表示する白の表示部と回りの黒の部分とでは劣化の速度(度合)が違うので、そのメータが表示される全面に自然画を表示させると、その自然画のうち、メータの白の表示部であった部分の劣化が加速され、その部分の輝度が落ちてしまい、高品質な表示が得られない。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、部分的に焼き付きが加速するのを抑制し、高品質な表示が可能な表示方法および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における表示装置は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示方法において、複数のデザインを前記表示パネルに切り替えて画像表示する際に、前記各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、前記複数のデザインの各々を画像表示するようにした。
【0010】
これによれば、複数のデザインを表示パネルに切り替えて画像表示する際に、各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するようにしている。これにより、複数のデザインの各々において、部分的に焼き付きが加速されるのを抑制でき、高品質な表示を得ることができる。
【0011】
この表示方法において、第1の画像を表示する第1のデザインと、前記第1の画像と前記第1の画像とは別の第2の画像を前記表示パネル内に同時に表示する第2のデザインとを含む複数のデザインを前記第1の画像と第2の画像を前記表示パネルに切り替えて画像表示し、前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、前記最大輝度の範囲内で、前記第1の画像の一部の輝度と前記第2の画像の輝度とを配分してもよい。
【0012】
これによれば、第2のデザインで、第1の画像の一部と第2の画像とが重なる領域では、最大輝度に制限を設けて、その範囲内で、第1の画像の一部の輝度と第2の画像の輝度を配分する。つまり、複数の画像が重なる部分の画素では、各画素の輝度の和が最大輝度の範囲内を超えないようにする。これにより、第1の画像の一部と第2の画像とが重なる領域で部分的に焼き付きが加速されるのを抑制でき、高品質な表示を得ることができる。
【0013】
この表示方法において、前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の一方の輝度を落とすとともに、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の他方の輝度を、前記一方の輝度を落とすことで前記最大輝度の範囲内で余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示してもよい。
【0014】
これによれば、第2のデザインで、第1の画像の一部と第2の画像とが重なる領域では、第1の画像の一部と前記第2の画像の一方の輝度を落とすことで、第1の画像の一部と前記第2の画像の他方の輝度に最大輝度の範囲内で余裕ができ、その他方の画像を、その余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示させることができる。
【0015】
この表示方法において、前記第1のデザインでは、前記第1の画像としてメータ或いは計器類を画像表示させ、前記第2のデザインでは、メータ或いは計器類と、自然画とを同時に画像表示させるようにしてもよい。
【0016】
これによれば、第2のデザインで、長寿命化と焼き付きの防止を図りつつ、メータ或いは計器類の画像と自然画とを、同じ表示パネルに同時に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る表示装置全体の電気的構成を示している。図2は同表示装置で用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示し、図3は同パネルアッセンブリの表示パネルを示している。また、図4は同表示パネルの一つの画素を示し、図5(a)は同表示
パネルの一つの画素回路を示している。
【0018】
第1実施形態に係る表示方法を説明する前に、この表示方法を実施するための第1実施形態に係る表示装置について説明する。
第1実施形態に係る表示装置は、移動体の一例として自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載される。
【0019】
この表示装置の特徴は、次の点にある。
・複数のデザインを表示パネルに切り替えて画像表示する際に、各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、複数のデザインの各々を画像表示する。すなわち、複数のデザインを表示パネルに切り替えて画像表示する際に、ある一つの画素に着目した場合、その画素の全てのデザインの輝度の和がある一定値以下になるように、複数のデザインの各々を画像表示する。
【0020】
本実施形態に係る表示装置は、第1の画像としてタコメータを画像表示する第1のデザイン(図7参照)と、タコメータと第2の画像としてのバックモニタの自然画を表示パネル内に同時に画像表示する第2のデザイン(図8参照)の二つのデザインを、表示パネルに切り替えて画像表示するようになっている。
【0021】
また、第2のデザインでは、タコメータの画像のうち高い輝度で表示されていた領域以外の領域にバックモニタの自然画を表示する(図8参照)。
この表示装置1は、図1および図2に示すように、表示パネルとしての有機ELパネル2を有するパネルアッセンブリAと、画像制御ユニットCUとを備える有機EL表示装置である。この画像制御ユニットCUは、車情報データとしてのエンジン回転数を表わす信号に基づいてタコメータの表示用画像データを作成し、この画像データを出力する。また、画像制御ユニットCUには、車情報データとしてシフトレバー(図示省略)がRレンジ(後退位置)に操作されて車両のECUから送られるシフトレバー位置検出信号が入力される。この信号が入力されると、画像制御ユニットCUは、車両の後部に装着されたバックモニタ(図示省略)から送られる画像データに基づいてバックモニタの自然画の表示用画像データを作成し、この画像データを出力するようになっている。
【0022】
表示装置1は、画像制御ユニットCUの出力ポートにパネルアッセンブリAが電気的に接続され、有機ELパネル2に、出力ポートから出力されるタコメータの表示用画像データに基づきタコメータを画像表示させる(第1のデザイン)。また、表示装置1は、画像制御ユニットCUの出力ポートから出力されるタコメータの表示用画像データとバックモニタの自然画の表示用画像データとに基づき、タコメータとバックモニタの自然画とを同時に有機ELパネル2に画像表示させる(第2のデザイン)ようになっている。
【0023】
パネルアッセンブリAは、図1および図2に示すように、車情報データおよび画像データに基づいて作成される上記2種類の表示用画像データを使って有機ELパネル2に表示をさせるパネル制御回路100が設けられたパネル制御基板101をそれぞれ備える。本例では、一例として、車情報データを画像処理する画像処理回路や電源回路が画像制御ユニットCU側に設けられているので、パネル制御回路100は画像制御ユニットCUから送られる表示用画像データを使って有機ELパネル2にタコメータの画像を表示させる。
【0024】
パネル制御回路100は、有機ELパネル2の輝度を設定するための輝度設定データが格納された記憶手段としてのEEPROM102を備える。また、パネル制御回路100は、画像制御ユニットCUから送られる上記2種類の表示用画像を使って有機ELパネル2に上記第1のデザインと第2のデザインのいずれかのデザインで画像を表示させるための信号として、制御信号O、ドライブデータP、パネル電源Qをそれぞれ出力する複数の
出力端子を有する。これら複数の出力端子(図示省略)は、有機ELパネル2を駆動するドライバIC103が実装されたフレキシブル配線基板104上の複数の配線を介して有機ELパネル2の複数のデータ線、複数の電源線、複数の制御信号線と電気的に接続されるようになっている。
【0025】
ドライバIC103は、有機ELパネル2の後述する複数のデータ線を駆動するデータ線駆動回路として構成されている。制御信号Oは、後述する走査線駆動回路やドライバIC(データ線駆動回路)を制御する信号である。また、ドライブデータPは、後述する各画素(赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用発光素子,緑用発光素子および青用発光素子の3種類の発光素子を含む)の画像データ、例えば8ビットのデジタル階調データである。
【0026】
フレキシブル配線基板104は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)で構成されている。フレキシブル配線基板104上には、パネル制御回路100の複数の出力端子とドライバIC103の複数の入力側端子とを接続する複数の入力側配線(図示省略)と、ドライバIC103の複数の出力端子と有機ELパネル2の複数のデータ線および走査線を接続する出力側配線とが形成されている。また、フレキシブル配線基板104上には、パネル電源Qを有機ELパネル2の複数の電源線に供給する電源供給線が形成されている。
【0027】
有機ELパネル2は、電流引き込み型の電流駆動方式(電流プログラム方式)を採用している。この有機EL表示装置は、有機ELパネル2、このパネル上に形成された左右2つの走査線駆動回路106L,106Rと、データ線駆動回路としてのドライバIC103と、パネル制御回路100とを備えている。
【0028】
有機ELパネル2は、図2および図3に示すように、自発光型の発光素子としてエレクトロルミネッセンス素子である有機EL素子221をそれぞれ有する複数の画素210Aがマトリクス状に配置された発光素子基板11と、複数の画素210Aを密封するように発光素子基板11に接合された封止基板(図示省略)とを備える。有機ELパネル2は、各画素210Aの画像データに基づいて各画素210Aの有機EL素子221が駆動される。図1で符号14は、複数の画素210Aがマトリクス状に配置された図12に示すような実線で示される数字95、指針96及び指針中心部97の画像からなるタコメータの画像であり、この表示エリア14の外側はいわゆる額縁(非表示エリア)である。
【0029】
発光素子基板11には、図3では図示を省略してあるが、陽極として機能する矩形状の画素電極がマトリクス状に形成されており、各画素電極上に、例えば、正孔注入/輸送層と発光層とが順次積層形成され、発光層が形成された基板のほぼ全面に渡って陰極が形成されている。また、各画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)等が電気的に接続されており、各画素電極、その上に形成された正孔注入/輸送層、発光層、および陰極により、各画素210Aの有機EL素子221が構成されている。なお、図2では複数の画素210Aのうちの一つのみを示してある。
【0030】
有機ELパネル2は、図2および図3に示すように、発光素子基板11上にそれぞれ形成され、行方向に延びるn本の第1走査線Y1〜Yn(nは整数)と列方向に延びるm本のデータ線X1〜Xm(mは整数)との交差に対応してn行m列に配列された複数の画素210Aを有している。また、有機ELパネル2は、行方向に延びるn本の第2走査線Y11〜Yn1を有している。複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、列方向にR,G,Bの順に配置された赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子の3種類の有機EL素子221により一つの画素が構成されている。つまり、複数の画素210Aはそれぞれ、例えば、赤用画素、緑用画素および青用画素の3種類の画素(サブピクセ
ル)により一つの画素が構成されている。
【0031】
また、発光素子基板11上には、図3および図4に示すように、各画素210Aの画素回路220に電源を供給する複数の(m本の)画素電源線50が形成されている。本例では、列方向に縦に並ぶn個の画素210Aが縦に延びる1本の画素電源線50に接続されている。各画素電源線50には、列方向にR,G,Bの順にn個ずつ配置された赤用画素、緑用画素および青用画素が個別に接続されている。つまり、n個の赤用画素が接続された赤用の画素電源線50と、n個の緑用画素が接続された緑用の画素電源線50と、n個の青用画素が接続された青用の画素電源線50とが、列方向にR,G,Bの順に形成されている。
【0032】
図3において、符号16は、複数の画素電源線50の各端子と、複数のデータ線X1〜Xmの各端子とが接続された接続端子部である。この接続端子部16には、フレキシブル配線基板104の接続端子部が電気的に接続されている。また、図3において、符号17は、複数の赤用の画素電源線50と、複数の緑用の画素電源線50と、複数の青用の画素電源線50とが接続された1本のパネル電源線である。このパネル電源線17は、発光素子基板11上の、表示エリア14の外側の額縁(非表示エリア)に形成されている。そして、符号18は、各画素210Aの上記陰極に接続されたパネルグランド線である。
【0033】
走査線駆動回路106Lは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルのプログラム期間選択信号Vprg(図5(a),(b)参照)を順に生成して出力することで、第1走査線Y1〜Ynを線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。図5(b)では、第1走査線Y1〜Ynのうち、第1行目の第1走査線Y1にプログラム期間選択信号Vprgが出力されるプログラム期間(t1時点からt2時点までの期間)のみを示してある。
【0034】
走査線駆動回路106Rは、上記制御信号Oとして入力される同期信号、クロック信号に応じたタイミングで、Hレベルの発光期間選択信号Vrep(図5(b)参照)を順に生成して出力することで、第2走査線Y11〜Yn1を線順次走査により一つずつ順に選択するようになっている。なお、図5(b)では、第2走査線Y11〜Yn1のうち、第1行目の第2走査線Y11にHレベルの発光期間選択信号Vrepが出力される発光期間(t2時点からt3時点までの期間)のみを示してある。
【0035】
そして、ドライバIC103は、上記プログラム期間に、選択された1本の第1走査線に接続された各画素回路220に、データ線X1〜Xmをそれぞれ介してプログラム信号電流Isig(図5(b)参照)を一斉に供給するようになっている。
【0036】
各プログラム信号電流Isigは、階調表示のためのnビットのデジタル階調データである赤用,緑用および青用の各画素の画像データをドライバIC103内でD−A変換した電流信号である。本例では、各画素210Aの画像データは、各画素の明るさを、8ビットの2進数で表わすデジタル階調データであり、0〜255の256段階の階調値をとる。
【0037】
ドライバIC103は、図4に示すように、プログラム信号電流Isigをデータ線X1〜Xmを介して各画素回路220に書き込むためのデータ書き込み回路(サンプリング回路)、データ書き込み回路の動作タイミングをコントロールするシフトレジスタ、ラッチ回路、およびデジタル/アナログ変換器等を備える。ラッチ回路は、各画素の画像データを各画素ごとに設けたデータメモリに格納して1行分の画像データを保持し、上記プログラム期間に、各データメモリに格納した画像データが一斉に読み出されてドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器(図示省略)へ出力されるようになっている。
【0038】
このように、有機ELパネル2では、R,G,B3種類の有機EL素子221(赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子)により一つの画素210Aが構成され、このような画素が複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置されている。
【0039】
複数の画素210Aはそれぞれ、有機半導体材料で構成された発光層から赤色,緑色および青色の光をそれぞれ放射する赤用有機EL素子、緑用有機EL素子および青用有機EL素子を有する赤用、緑用、および青用の3種類の画素回路をそれぞれ有している(図5(a)参照)。一つの画素210Aを構成する3種類の画素回路220は、各々の有機EL素子221から放射される光の色が異なる以外は、同じ回路構成である。
【0040】
画素回路220の構成を図5(a)に基づいて説明する。
画素回路220は、駆動トランジスタTdr、プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsig、発光時選択トランジスタTrepおよび保持容量Cstgを有している。駆動トランジスタTdrはPチャネルTFTで構成されている。プログラム用トランジスタTprg、プログラム時選択トランジスタTsigおよび発光時選択トランジスタTrepは、NチャネルTFTでそれぞれ構成されている。
【0041】
駆動トランジスタTdrのドレインは発光時選択トランジスタTrepを介して有機EL素子221の陽極に接続され、有機EL素子221の陰極は接地されている。また、駆動トランジスタTdrのドレインはプログラム時選択トランジスタTsigを介して1つのデータ線(図5(a)ではデータ線X1)に接続されている。また、駆動トランジスタTdrのソースは高電位電源Vddに接続されている。さらに、駆動トランジスタTdrのゲートは保持容量Cstgの第1の電極に接続され、その保持容量Cstgの第2の電極は高電位電源Vddに接続されている。プログラム用トランジスタTprgは、駆動トランジスタTdrのゲート・ドレイン間に接続されている。
【0042】
プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgの各ゲートは、第1走査線の1つ(図5(a)では第1走査線Y1)に接続されている。そして、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgは、第1走査線Y1からのHレベルのプログラム期間選択信号Vprgに応答してオン状態となり、LレベルのVprgに応答してオフ状態となる。そして、本実施形態では、プログラム時選択トランジスタTsigおよびプログラム用トランジスタTprgがオン状態となると、データ線X1に上記プログラム信号電流Isigが供給されるようになっている。
【0043】
発光時選択トランジスタTrepのゲートは、第2走査線の1つ(図5(a)ではY11)に接続されている。また、発光時選択トランジスタTrepは、第2走査線Y11からのHレベルの発光期間選択信号Vrepに応答してオン状態となり、LレベルのVrepに応答してオフ状態となる。そして、発光時選択トランジスタTrepがオン状態になると、駆動トランジスタTdrのオン状態に基づく駆動トランジスタ供給電流IdrをOLED供給電流Ioledとして有機EL素子221に供給するようになっている。
【0044】
次に、各画素回路220の動作を、図5(b)に基づいて簡単に説明する。
1.プログラム期間
いま、第1走査線Y1からHレベルのプログラム期間選択信号Vprgが供給されると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigはオン状態に設定される。このとき、第2走査線Y11からLレベルの発光期間選択信号Vrepが供給されていて、発光時選択トランジスタTrepはオフ状態に設定されている。
このとき、データ線X1にプログラム信号電流Isigが供給される。そして、プログラム用トランジスタTprgがオン状態になることによって駆動トランジスタTdrはダイオード接続となる。その結果、そのプログラム信号電流Isigが、駆動トランジスタTdr→プログラム時選択トランジスタTsig→データ線X1という経路で流れる。このとき、駆動トランジスタTdrのゲートの電位に対応した電荷が保持容量Cstgに蓄積される。
【0045】
2.発光期間
この状態から、プログラム期間選択信号VprgがLレベルとなり、発光期間選択信号VrepがHレベルとなると、プログラム用トランジスタTprgおよびプログラム時選択トランジスタTsigがオフ状態に設定され、発光時選択トランジスタTrepはオン状態に設定される。このとき、保持容量Cstgの電荷の蓄積状態は変化しないので、駆動トランジスタTdrのゲート電位は、プログラム信号電流Isigが流れたときの電圧に保持されている。従って、駆動トランジスタTdrのソース・ドレイン間には、そのゲート電圧に応じた大きさの駆動トランジスタ供給電流Idr(OLED供給電流Ioled)が流れる。詳しくは、OLED供給電流Ioledは、駆動トランジスタTdr→発光時選択トランジスタTrep→有機EL素子221という経路で流れる。これによって、有機EL素子221は、OLED供給電流Ioled(プログラム信号電流Isig)に応じた輝度で発光する。
【0046】
このような動作が、第1走査線Y2〜Ynにそれぞれ接続された各画素回路220において順に行われて1フレーム分の表示がなされる。
また、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100は、上記EEPROM102と、基準電圧生成回路107とを備える。EEPROM102には、有機ELパネル2の輝度を補正するための輝度補正データが格納されている。また、EEPROM102には、ドライバIC103の初期化のためのパラメータ、例えば有機ELパネル2でのフレーム周波数を設定するためのデータも格納されている。
【0047】
本例では、有機ELパネル2の輝度を、ドライバIC103内のデジタル/アナログ変換器の基準電圧をEEPROM102(図2参照)に格納された輝度補正データによってR,G,Bごとに補正できるようになっている。そのために、基準電圧生成回路107は、電源投入時デジタル/アナログ変換器の基準電圧を輝度補正データによって補正したR,G,Bごとの基準電圧VrefR,VrefG,VrefBを生成してドライバIC103へ出力するようになっている。
【0048】
表示装置1は、図6に示すように、自動車等の車両のインストルメントパネル21に搭載される。この表示装置1は、一例として図6および図7に示すように、上記第1のデザインでは、有機ELパネル2により、車両20のエンジン回転数をアナログ表示するタコメータの数字95および指針96を画像表示する。また、表示装置1は、図8に示すように、上記第2のデザインでは、有機ELパネル2により、タコメータの数字95および指針96とバックモニタの自然画22とを同時に画像表示する。
【0049】
(画像制御ユニットの電気的構成)
次に、上記画像制御ユニットCUの電気的構成を図1に基づいてより詳しく説明する。
画像制御ユニットCUは、入力される車情報データおよび画像データに基づいてタコメータの数字95および指針96を表示するための上記2種類の表示用画像データを作成し、パネルアッセンブリAのパネル制御回路100へ出力する画像処理回路110が設けられた画像制御基板111を備える。
【0050】
また、画像制御ユニットCUは、複数の出力ポートから有機ELパネル2へ電源を供給
する電源回路112と、車情報データおよび画像データがそれぞれ入力される複数の入力回路(インターフェースI/F1,I/F2)113,114とを備える。さらに、画像制御ユニットCUは、画像処理回路110、電源回路112、入力回路113,114を統括制御するCPU115と、各種の制御プログラム等が格納されたROM116と、画像処理に用いる各種の画像データが格納されたROM117と画像処理用のRAM118とを備える。
【0051】
ROM117には、タコメータの数字95を表示させるための背景データが格納されている。また、ROM117には、タコメータの数字95に重ねて表示される指針96の画像を作成するための画像データ等が格納されている。指針96を数字95を表示させるための背景データに重ねて表示する方法として、例えば次の2通りがあり、いずれの方法でも良い。
【0052】
・所定角度ずつ位置が異なる多数の指針データ(指針96用の指針データ)をROM117に格納しておき、エンジン回転数に応じた指針データを読み出し、読み出した指針データと上記背景データの足し算をしてタコメータの表示用画像データを作成する。
【0053】
・エンジン回転数に応じた角度位置の指針96の画像データをそれぞれ作成し、作成した指針96の画像データと、上記背景データの足し算をしてタコメータの表示用画像データを作成する。
【0054】
入力回路113には、有機ELパネル2によりタコメータを画像表示させるためのエンジン回転数データと、シフトレバーがRレンジ(後退位置)に操作されて車両のECUから送られるシフトレバー位置検出信号とが入力される。エンジン回転数センサで検出されたエンジン回転数データと、シフト位置検出センサで検出されたシフトレバー位置検出信号とは、車両内のECU(電子制御ユニット)から車載ネットワークを通じて逐次送られる。車載ネットワーク・プロトコルとして、例えば、CAN(Controller Area Network
)、Flex Ray等が利用可能である。入力回路114には、バックモニタのカメラから送られる画像データが入力される。
【0055】
図1に示す画像制御ユニットCUにおいて、符号aは車情報データ制御信号、符号bは画像データ制御信号、符号cは画像処理回路制御信号、符号dは電源回路制御信号、符号eはパネルアッセンブリ制御信号、符号fは車情報データ、符号gは画像データである。また、符号hはパネルアッセンブリAへの電源信号、符号kはパネルアッセンブリAへの画像データである。また、符号nは、RAM118の制御信号である。
【0056】
CPU115は、車情報データ制御信号aにより入力回路113に逐次入力される車情報データf(エンジン回転数データ)を画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、画像データ制御信号gにより入力回路114に入力される画像データを画像処理回路110へ転送する制御を行う。また、CPU115は、画像処理回路制御信号cにより、画像処理回路110からパネルアッセンブリAへ画像データkを出力する制御を行う。そして、CPU115は、パネルアッセンブリ制御信号eをパネルアッセンブリAへ出力する制御を行うようになっている。この画像データkは、上記第1のデザインの場合にはタコメータの表示用画像データであり、上記第2のデザインの場合には、タコメータの表示用画像とバックモニタの自然画22の表示用画像データとが含まれる。
【0057】
以上の構成を有する表示装置1は、車両が後進するときを除き、入力回路113に入力されるエンジン回転数データに応じてタコメータの数字95および指針96を有機ELパネル2に画像表示させる(図7に示す第1のデザイン)。また、表示装置1は、入力回路113にエンジン回転数データの他にシフトレバー位置検出信号が入力されると、タコメ
ータの数字95および指針96と、バックモニタの自然画22とを同時に有機ELパネル2に画像表示させる(図8に示す第2のデザイン)。
【0058】
次に、上記構成の表示装置1を用いて実行される第1実施形態に係る表示方法を説明する。
この表示方法は、複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリア14を有する有機ELパネル2を備え、各画素210Aの有機EL素子221を画像データに基づいて駆動し表示エリア14に画像を表示する。
【0059】
この表示方法の特徴は、次の点にある。
・二つのデザインを有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示する。すなわち、二つのデザインを有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、ある一つの画素に着目した場合、その画素の全てのデザインの輝度の和がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示する。
【0060】
本実施形態に係る表示方法は、第1の画像としてタコメータを画像表示する第1のデザイン(図7参照)と、タコメータと第2の画像としてのバックモニタの自然画22を有機ELパネル2内に同時に画像表示する第2のデザイン(図8参照)の二つのデザインを、有機ELパネル2に切り替えて画像表示する。具体的には、図7に示す第1のデザインでは、タコメータの数字95、指針96および円形の指針中心部97を画像表示する。また、図8に示す第2のデザインでは、タコメータの数字95および指針96とバックモニタの自然画22を有機ELパネル2内に同時に画像表示する。
【0061】
また、本実施形態に係る表示方法は、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するための一態様として、図8に示す第2のデザインでは、図7に示すタコメータの画像のうち高い輝度で表示されていた領域以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。つまり、図8に示す第2のデザインでは、図7に示すタコメータの画像のうち数字95が白で表示されていた領域(白の表示部)以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。
【0062】
本実施形態に係る表示方法では、一例として、図7に示す第1のデザインでは、タコメータの数字95を白の200カンデラ(dc/m2)で画像表示する。数字95を白の200カンデラで表示する複数の画素をそれぞれ構成する赤用画素、緑用画素および青用画素の3つの画素の輝度の配分(RGBの輝度の配分)は図9のグラフで示すようになる。つまり、赤用画素の輝度をR、緑用画素の輝度をG、そして青用画素の輝度をBとすると、これら3つの画素の輝度の和(R+G+B)が200カンデラ(dc/m2)になる。なお、図8では、車両が停止状態にあって実線で示す指針96がエンジン回転数の数字「0」を示す状態と、車両が走行中で二点鎖線で示す指針96´がエンジン回転数を表わす数字「4000」付近を示す状態とを示している。
【0063】
このようにタコメータの数字95を200カンデラの白で(高い輝度で)表示すると、白はRGB全部を使うので劣化の点で厳しい色なので、数字95を白で表示している領域(白の表示部)にある複数の画素をそれぞれ構成する3つの画素の各有機EL素子(赤用有機EL素子,緑用有機EL素子および青用有機EL素子)の劣化が早い。
【0064】
また、本実施形態では、図7に示す第1のデザインでは、指針96は赤で(劣化の小さい有機EL素子である赤色の有機EL素子を有する赤用画素で)表示し、指針中心部97は橙色(アンバー系)で表示する。橙色は、赤色の有機EL素子を有する赤用画素と緑色の有機EL素子を有する緑用画素とで表現する。
【0065】
このような第1のデザインで表示されているタコメータの画像と同時にバックモニタの自然画22を表示するのに、自然画22を、200カンデラの白で数字95が表示されていた領域(白の表示部)を含む表示エリア14(図3参照)全体に表示させたとする。実際には、このような表示の仕方はタコメータの画像表示が見えなくなるため無いが、ここでは「焼き付き」を説明する為にそのような表示をさせたと仮定する。このような表示をさせると、自然画22のうち、200カンデラの白で数字95が表示されていた部分の焼き付き加速され、その部分の輝度が落ちてしまい、高品質な表示が得られなくなる。
【0066】
ここで、「焼き付き」について説明する。
例えば、図7に示すようなデザインのタコメータでは、数字95を200カンデラの白で表示していた部分と周りの黒表示されていた部分とでは劣化の度合が違うので、タコメータが画像表示されている表示エリア14の全面に自然画22を表示させると、白で表示していた部分の輝度が黒表示されていた部分よりも落ちてしまう。つまり、数字95が常に高い輝度(例えば、200カンデラの白)で表示されているタコメータの表示領域全体に重ねて自然画22を表示させると、劣化の大きい高い輝度で表示されていた数字95の部分は、焼き付きにより周囲の部分に対して輝度の差が出てしまい、その部分の輝度が落ちてしまう。この場合、自然画22を消しても、劣化の大きい高い輝度で表示されていた部分(数字95の部分)が焼き付きとして残ってしまう。
【0067】
劣化の大きい部分と劣化の小さい部分との輝度の差分が目に見える輝度であれば、その差分が焼き付きとして認識される。例えば、周りは黒で、数字「1」を白で表示していた後に、表示エリア14の全面に白の画像を表示すると、白で表示していた数字「1」の部分の劣化が早いので、その部分が白の画像内で暗く見える。これが焼き付きである。そのため、数字95が常に高い輝度(200カンデラの白)で表示されているタコメータの表示領域全体に重ねて自然画22を表示すると、白で表示していた数字95の部分が常に焼き付きとして見えてしまう。
【0068】
そこで、第1実施形態に係る表示方法では、そのような焼き付きが部分的に加速される
のを抑制するために、二つのデザインを有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するようにしている。
【0069】
そのために、本実施形態に係る表示方法では、図8に示す第2のデザインでは、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97の画像のうち高い輝度で表示されていた領域(白の表示部)以外の領域にバックモニタの自然画22を表示する。つまり、劣化の度合の大きい高輝度(200カンデラの白)で表示していた数字95の部分を避けて、それ以外の領域(焼き付きとして見える部分以外の領域)に自然画22を表示するようにしている。
【0070】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○二つのデザイン(図7に示す第1のデザインと図8に示す第2のデザイン)を有機ELパネル2に切り替えて画像表示する際に、各画素210Aの輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、二つのデザインの各々を画像表示するようにしている。これにより、図8に示す第2のデザインにおいて、自然画22のうち、200カンデラの白で数字95が表示されていた部分で焼き付きが加速されるのを抑制でき、高品質な表示を得ることができる。
【0071】
○図8に示す第2のデザインでは、各画素を構成する3つの画素の各有機EL素子221の長寿命化と焼き付きの防止を図りつつ、タコメータの画像と自然画22とを、同じ有
機ELパネル2に同時に表示させることができる。
【0072】
○図8に示す第2のデザインでは、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97の周囲(背景)は全て輝度の最も低い黒で表示されているので、タコメータが画像表示されている領域以外の領域における各画素の有機EL素子221の劣化を抑制できる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る表示方法を説明する。
第2実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0074】
この表示方法の特徴は、図8に示す第2のデザインで、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97の画像の一部に自然画22が重なる場合、タコメータの画像を表示している複数の画素のうち、劣化の大きな色(例えば青色)の有機EL素子221を発光させている画素のある領域以外の領域に自然画22を表示させる点にある。
【0075】
上記第1実施形態のように、高輝度(200カンデラの白)で表示していた部分(数字95)以外の領域に自然画22を表示する場合、ある画素でタコメータの画像の一部(例えば、指針96の一部や指針中心部97の一部)と自然画22が重なる場合がある。例えば有機ELパネル2のサイズが大きいために、タコメータの画像の一部と自然画22が重ならない場合には、上記第1実施形態で説明した表示方法で全く問題ない。
【0076】
タコメータの画像の一部と自然画22が重なる場合には、劣化の大きい色の有機EL素子(例えば、青色の有機EL素子)221を発光させている画素のある領域以外の部分に自然画22を重ねる。つまり、劣化の大きい青色の有機EL素子221を発光させていない部分に自然画22を重ねる。青色の有機EL素子の材料は、赤色の有機EL素子や緑色の有機EL素子よりも劣化の度合が大きいので、なるべく青色の有機EL素子を発光させている領域には自然画22を重ねない方が望ましい。
【0077】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○図8に示す第2のデザインで、タコメータの画像の一部に自然画22が重なる場合、タコメータの数字95、指針96および指針中心部97を表示している複数の画素のうち、劣化の大きな色(例えば青色)の有機EL素子221を発光させている画素のある領域以外の領域に自然画22を重ねる。このため、その自然画22が表示される領域で焼き付きが目立たなくなり、高品質な表示が得られる。
【0078】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る表示方法を説明する。
第3実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0079】
第3実施形態に係る表示方法の特徴は、図8に示す上記第2のデザインで、タコメータの画像の一部(例えば、指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、最大輝度の範囲内で、指針96の一部および指針中心部97の一部と、自然画22の輝度とを配分する点にある。例えば、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域では、最大輝度を白の200カンデラ(図9参照)に制限する。
【0080】
さらに、この表示方法では、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域では
、自然画22(第1の画像の一部と第2の画像の一方)の輝度を落とす。そして、タコメータの画像の一部(第1の画像の一部と第2の画像の他方)を、自然画22の輝度を落とすことで最大輝度の範囲内で余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示する。
【0081】
本実施形態では、同じところ(ある画素)でタコメータの画像の一部(指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22が重なる場合には、自然画22の輝度を、図10のグラフの実線で示すRGBの輝度の配分を持つ100カンデラの白に落とす。そして、タコメータの画像の一部の輝度を、自然画22の輝度を100カンデラの白に落とすことで余裕ができた輝度の範囲に納まるようにして表示をする。図10のグラフの破線で示すR´,G´,B´で示す輝度の範囲は、自然画22の輝度を100カンデラの白に落とすことで余裕ができた輝度の範囲を示す。100カンデラの白は、200カンデラの白に対して、RGBの各輝度が半分になる(図9および図10参照)。
【0082】
このように、自然画22の輝度を100カンデラの白に落とすことで、タコメータの画像の一部と自然画22が重なる領域にある複数の画素では、図9のグラフの破線で示す領域R´,G´,B´のように、最大輝度(白の200カンデラ)を超えない範囲でRGBの各輝度を設定できる余裕ができる。このように余裕ができたRGBの各輝度の範囲内に収まるように、タコメータの画像の一部(指針96の一部および指針中心部97の一部)のRGBの各輝度を設定することができる。
【0083】
図11は、タコメータの画像の一部(橙色の指針中心部97の一部)と自然画22が重なる領域の一部(図7の符号98で示す領域)にある一つの画素における、指針中心部97の一部と自然画22のRGBの輝度の配分をそれぞれ示している。図11において、符号300は自然画22を表示する赤用画素の輝度を、符号301は自然画22を表示する緑用画素の輝度を、そして、符号302は自然画22を表示する青用画素の輝度をそれぞれ示している。ここでは、自然画22を表示する複数の画素のRGBの輝度の配分は、100カンデラの白にしてある。
【0084】
一方、図11において、符号400は図7の符号98で示す領域にあり、赤色と緑色で表現される橙色の指針中心部97の一部を表示する一つの画素における赤用画素の輝度を、符号401はその一つの画素における緑用画素の輝度をそれぞれ示している。なお、図11では、R閾値、G閾値およびB閾値はそれぞれ、有機ELパネル2の表示エリア14の全面を200カンデラで光らせた際の、R(赤色)の輝度値、G(緑色)の輝度値およびB(青色)の輝度値に設定してある。
【0085】
以上のように構成された第3実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○図8に示す第2のデザインで、タコメータの画像の一部(例えば、指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、最大輝度の範囲内で、指針96の一部および指針中心部97の一部と、自然画22の輝度とを配分する。つまり、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域にある複数の画像では、各画素のR(赤色)の輝度とG(緑色)の輝度とB(青色)の輝度の和が最大輝度(白の200カンデラ)の範囲(RGBの輝度配分)を超えないようにする。これにより、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域にある複数の画素をそれぞれ構成するRBG3つの画素の各有機EL素子の劣化を抑制でき、焼き付きが目立たなくなり、高品質な表示が得られる。
【0086】
○タコメータの画像の一部(指針96の一部および指針中心部97の一部)と自然画22とが重なる領域では、自然画22の輝度を落とすことで、最大輝度(白の200カンデラ)の範囲内で余裕ができ、タコメータの一部(指針96の一部および指針中心部97の
一部)を、その余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示させることができる。
【0087】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る表示方法を説明する。
第4実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0088】
この第4実施形態では、同一の有機ELパネル2の表示エリア14に、第1のデザインである、図12中実線で示される第1の画像としてのタコメータの画像G1と、図13に示されるスピードメータの画像G2とが、必要に応じて適宜切り替わって画像表示されるようになっている。
【0089】
そして、図14に示すように、図12に示すタコメータの画像G1を表示した際の、任意の位置にある一つの画素210A(図3参照)の発光輝度を符号「LA」で、また、表示が切り替わって図13に示すスピードメータの画像G2を表示した際の、前記した任意の位置にある一つの画素210の発光輝度を符号「LB」で示す。本実施形態では、ある任意の画素210の焼き付きが加速されるのが抑制されるための最大輝度Lmaxを予め画
像制御ユニットCUのROM117(図1参照)に設定しておく。そして、表示エリア14に、第1の画像としてのタコメータの画像G1とスピードメータの画像G2とが、切り替わって画像表示される場合、その輝度の和(=LA+LB)が最大輝度Lmaxよりも低
くなるように、タコメータの画像G1を表示していた最も高い発光輝度で表示していた数字95の部分を避けて、スピードメータの画像G2の数字99を画像表示するようにしている。
【0090】
詳しくは、図12に示すように、実線で示されるタコメータの画像G1の数字95である「0」と「1000」との間に図12中破線で示されるスピードメータの画像G2の数字99である「0」が、また、タコメータの画像の数字95である「1000」と「2000」との間にスピードメータの画像G2の数字99である「20」が、…、タコメータの画像G1の数字95である「5000」と「6000」との間にスピードメータの画像G1の数字99である「100」が、…、それぞれ位置するように表示する。
【0091】
以上のように構成された第4実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○表示エリア14には、タコメータの画像G1及びスピードメータの画像G2が切り替わって表示されるようにした場合、各画素210の発光輝度の和(=LA+LB)が最大輝度Lmaxよりも低くなるように、タコメータの画像の数字95と、スピードの画像の数
字99とが重ならないように表示される。このため、焼き付きが目立たなくなるので、高品質な表示が得られる。
【0092】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る表示方法を説明する。
第5実施形態に係る表示方法は、上記第1実施形態に係る表示装置1と同様の構成の表示装置を用いて実行される。
【0093】
この第5実施形態では、同一の有機ELパネル2の表示エリア14に、図15に示される第1の画像としてのスピードメータの画像G11の表示デザインと、図16に示されるバックモニタ(図示略)によって撮影されたバックモニタの画像G12に図17に示される自動車を後方移動させる際の案内基準線KSの画像G13が重なり合って表示される画像(第2のデザイン)が表示されるようになっている。
【0094】
そして、表示エリア14には、自動車が前進している場合は、図15に示すようなスピードメータの画像G11を画像表示し、また、同自動車を後方に移動させて所定の駐車位置に駐車させる場合等は、図16に示すバックモニタの画像G12に図17に示す案内基準線KSの画像が重ね合わされた画像が表示されるようになっている。
【0095】
そして、図18に示すように、図15に示すスピードメータの画像を表示した際の、任意の位置にある一つの画素210(図3参照)の発光輝度を符号「LA」で、図16に示すバックモニタの画像を表示した際の、前記した任意の位置にある一つの画素210の発光輝度を符号「LB」で示す。さらに、図17に示す案内基準線KSの画像を表示した際の、前記した任意の位置にある一つの画素210の発光輝度を符号「LC」で示す。
【0096】
本実施形態では、仮に、各画像G11〜G13を重ね合わせて表示したとしたら、その時の発光輝度が最大輝度Lmax以下になるように、各画像G11〜G13の発光輝度を調整した。つまり、スピードメータの画像G11と、バックモニタの画像G12と案内基準線の画像G13の重ね合わせた画像がそれぞれ予め設定された発光輝度Lp以下で発光して表示されるようにそれぞれ発光輝度LA,LB,LCを配分調整して設定した。
【0097】
そして、図19に示すように、スピードメータの画像G11が表示される時は、発光輝度Lp以下にその配分調整された発光輝度LAで表示される。また、バックモニタの画像G12と案内基準線の画像G13の重ね合わせた画像が表示される時は、画像G12は配分調整された発光輝度LBと画像G13は配分調整された発光輝度LCとの和が発光輝度Lp以下で表示される。これによって、本実施形態によれば、画素の各有機EL素子の劣化を抑制でき、焼き付きが目立たなくなり、高品質な表示が得られる。
【0098】
以上のように構成された第5実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
○表示エリア14に、スピードメータの画像とバックモニタの画像に案内基準線KSの画像が重ね合わされた画像とを切り替えて表示させるようにした場合、各スピードメータの画像、バックモニタの画像及び案内基準線KSの画像を表示する際の画素210の発光輝度の和(=LA+LB+LC)が最大輝度Lmaxよりも低くなるように、各画素210
を発光させるようにした。このため、焼き付きが目立たなくなるので、高品質な表示が得られる。
【0099】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記各実施形態では、第1のデザインで、タコメータを画像表示する表示装置および表示方法を一例として説明したが、タコメータ以外のスピードメータや、各種の計器類(インジケータやワーニング)等を表示する表示方法および表示装置にも本発明は適用可能である。
【0100】
・上記各実施形態では、第2のデザインで、バックモニタの自然画22をタコメータの画像と同時に表示する表示装置および表示方法を一例として説明したが、本発明はこのような表示装置および表示方法に限定されない。本発明は、自然画22に代えてテレビ電話の自然画やカーナビゲーション装置の地図情報等の画像を、タコメータやスピードメータ等のメータの画像と同時に表示する表示方法および表示装置にも適用される。
【0101】
・上記各実施形態では、第1のデザインと第2のデザインの二つのデザインのいずれかで有機ELパネル2に画像を表示させる構成を一例として説明したが、「3」以上の複数のデザインのいずれか一つのデザインで表示可能にした表示方法および表示装置にも本発明は適用可能である。
【0102】
・本発明は、車両のインストルメントパネルのような限られた狭いスペースに取り付けることが要求される小型の表示装置で、常時はタコメータ等のメータを画像表示させる第1のデザインと、そのメータと同時に別の画像を表示する第2のデザインとを含む複数のデザインで表示可能な構成に広く適用可能である。
【0103】
・上記各実施形態では、発光素子として有機EL素子を駆動して表示エリアにメータ等の画像を表示する構成を一例として説明したが、有機EL素子以外の発光素子を駆動して表示エリアにメータ等の画像を表示する表示方法および表示装置にも本発明は適用可能である。
【0104】
・上記各実施形態では、データ線駆動回路として構成されたドライバIC103がフレキシブル配線基板104に実装されているが、データ線駆動回路を有機ELパネル2の発光素子基板11上に形成した構成にも本発明は適用される。
【0105】
・上記各実施形態では、表示パネルとして有機EL素子を用いた有機ELパネルを用いているが、表示パネルとして無機EL素子を用いた無機ELパネルを用いた構成にも本発明は適用可能である。
【0106】
・上記第3実施形態では、タコメータの画像の一部と自然画22とが重なる領域では、自然画22の輝度を落とすようにしているが、タコメータの画像の一部の輝度を落とす表示方法にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1実施形態に係る表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同表示モジュールで用いるパネルアッセンブリの電気的構成を示すブロック図。
【図3】同表示モジュールの有機ELパネルを示す平面図。
【図4】画素の上面図。
【図5】(a)は画素回路を示す回路図、(b)は動作を示すタイミングチャート。
【図6】表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルを示す斜視図。
【図7】同表示装置による第1のデザインでの表示状態を示す平面図。
【図8】同表示装置による第2のデザインでの表示状態を示す平面図。
【図9】第1〜第3実施形態に係る表示方法の説明に用いるグラフで、白の200カンデラで表示する一つの画素におけるRGBの輝度の配分を示すグラフ。
【図10】第3実施形態に係る表示方法の説明に用いるグラフ。
【図11】第3実施形態に係る表示方法の説明に用いるグラフ。
【図12】第4実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図13】同じく、第4実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図14】同じく、第4実施形態に係る表示方法の説明するためのグラフ。
【図15】第5実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図16】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図17】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するための図。
【図18】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するためのグラフ。
【図19】同じく、第5実施形態に係る表示方法の説明するためのグラフ。
【符号の説明】
【0108】
k…画像データ、X1〜Xm…データ線、1…表示装置、2…表示パネルとしての有機ELパネル、210A…画素、221…発光素子としての有機EL素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示方法において、
複数のデザインを前記表示パネルに切り替えて画像表示する際に、前記各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、前記複数のデザインの各々を画像表示することを特徴とする表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示方法において、
第1の画像を表示する第1のデザインと、前記第1の画像と前記第1の画像とは別の第2の画像を前記表示パネル内に同時に表示する第2のデザインとを含む複数のデザインを前記第1の画像と第2の画像を前記表示パネルに切り替えて画像表示し、
前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、前記最大輝度の範囲内で、前記第1の画像の一部の輝度と前記第2の画像の輝度とを配分することを特徴とする表示方法。
【請求項3】
請求項2に記載の表示方法において、
前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の一方の輝度を落とすとともに、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の他方の輝度を、前記一方の輝度を落とすことで前記最大輝度の範囲内で余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示することを特徴とする表示方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の表示方法において、
前記第1のデザインでは、前記第1の画像としてメータ或いは計器類を画像表示させ、
前記第2のデザインでは、メータ或いは計器類と、自然画とを同時に画像表示させることを特徴とする表示方法。
【請求項1】
複数の走査線と複数のデータ線の交差に対応して複数の画素がマトリクス状に配置された表示エリアを有する表示パネルを備え、各画素の発光素子を画像データに基づいて駆動し前記表示エリアに画像を表示する表示方法において、
複数のデザインを前記表示パネルに切り替えて画像表示する際に、前記各画素の輝度の時間積分値がある一定値以下になるように、前記複数のデザインの各々を画像表示することを特徴とする表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示方法において、
第1の画像を表示する第1のデザインと、前記第1の画像と前記第1の画像とは別の第2の画像を前記表示パネル内に同時に表示する第2のデザインとを含む複数のデザインを前記第1の画像と第2の画像を前記表示パネルに切り替えて画像表示し、
前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、最大輝度に制限を設け、前記最大輝度の範囲内で、前記第1の画像の一部の輝度と前記第2の画像の輝度とを配分することを特徴とする表示方法。
【請求項3】
請求項2に記載の表示方法において、
前記第2のデザインで、前記第1の画像の一部と前記第2の画像とが重なる領域では、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の一方の輝度を落とすとともに、前記第1の画像の一部と前記第2の画像の他方の輝度を、前記一方の輝度を落とすことで前記最大輝度の範囲内で余裕ができた輝度の範囲内に収まる輝度で表示することを特徴とする表示方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の表示方法において、
前記第1のデザインでは、前記第1の画像としてメータ或いは計器類を画像表示させ、
前記第2のデザインでは、メータ或いは計器類と、自然画とを同時に画像表示させることを特徴とする表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−343452(P2006−343452A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167852(P2005−167852)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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