説明

表示装置、バリア装置、およびバリア装置の製造方法

【課題】製造工程をシンプルにすることができる表示装置を得る。
【解決手段】映像を表示する表示部と、開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリア(開閉部11,12)を有するバリア部(液晶バリア部10)とを備える。上記バリア部は、液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分330を有する複数のサブ電極を含むバリア電極(透明電極110,120)と、複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられた共通電極(透明電極層322)と、バリア電極と共通電極との間に設けられた液晶層300とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体視表示が可能なパララックスバリア方式の表示装置、およびそのような表示装置に用いられるバリア装置、ならびにバリア装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体視表示を実現できる表示装置が注目を集めている。立体視表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼映像と右眼映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと、不要なものとに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。例えば、特許文献1には、バリアとして液晶素子を用いた、パララックスバリア方式の表示装置が開示されている。
【0004】
ところで、液晶素子を用いる場合には、液晶分子を所望の方向に配向しやすくすることが望ましい。例えば、特許文献2,3には、画素電極に開口または突起を設けることにより、液晶分子を配向しやすくする液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−119889号公報
【特許文献2】特開2011−22491号公報
【特許文献3】特開2008−216423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、電子機器は、製造コストなどの観点から、製造工程の工程数の削減が望まれており、表示装置の分野においても、製造工程をシンプルにすることが期待されている。
【0007】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、製造工程をシンプルにすることができる表示装置、バリア装置、バリア装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の表示装置は、表示部と、バリア部とを備えている。表示部は、映像を表示するものである。バリア部は、開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリアを有するものである。上記バリア部は、液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分を有する複数のサブ電極を含むバリア電極と、複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられた共通電極と、バリア電極と共通電極との間に設けられた液晶層とを含むものである。
【0009】
本開示のバリア装置は、バリア電極と、共通電極と、液晶層とを備えている。バリア電極は、開状態と閉状態とを切り換え可能な液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分を有する複数のサブ電極を含むものである。共通電極は、複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられたものである。液晶層は、バリア電極と共通電極との間に設けられたものである。
【0010】
本開示のバリア装置の製造方法は、駆動基板製造工程と、対向基板製造工程と、液晶層封止工程とを含んでいる。駆動基板製造工程は、複数のサブ電極を含むバリア電極を形成するものである。液晶層封止工程は、駆動基板と対向基板との間に液晶層を封止するものである。上記駆動基板製造工程は、支持基板に複数の信号配線を形成する信号配線形成工程と、絶縁層を選択的に形成する絶縁層形成工程と、信号配線が形成された層とは異なる層に、バリア電極、および信号配線からバリア電極への引込配線を形成する電極形成工程とを含んでいる。上記絶縁層形成工程では、信号配線と引込配線との交差部分、および各サブ電極に対応する領域の一部に、絶縁層を形成するものである。
【0011】
本開示の表示装置、バリア装置、およびバリア装置の製造方法では、液晶バリアを透過状態にすることにより、表示部に表示された映像が観察者に視認される。この液晶バリアでは、液晶分子を配向しやすくするための突起部分が、各サブ電極に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本開示の表示装置、バリア装置、およびバリア装置の製造方法によれば、各サブ電極に突起部分を設けるようにしたので、製造方法をシンプルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図3】図1に示した表示駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図4】図1に示した表示部の一構成例を表す説明図である。
【図5】図1に示した液晶バリア部の一構成例を表す説明図である。
【図6】図1に示した液晶バリア部の一構成例を表す断面図である。
【図7】図6に示した駆動基板の一構成例を表す平面図である。
【図8】図5に示した開閉部のグループ構成例を表す説明図である。
【図9】図5に示した開閉部への信号配線の一構成例を表す平面図である。
【図10】図9に示した信号配線の一構成例を表す断面図である。
【図11】図1に示した表示部および液晶バリア部の関係を表す模式図である。
【図12】図1に示した表示部および液晶バリア部の一動作例を表す模式図である。
【図13】図1に示した液晶バリア部における液晶分子の振る舞いを表す模式図である。
【図14】図1に示した液晶バリア部の製造工程を表すフローチャートである。
【図15】比較例に係る液晶バリア部の一構成例を表す平面図である。
【図16】比較例に係る液晶バリア部の一構成例を表す断面図である。
【図17】比較例に係る液晶バリア部における液晶分子の振る舞いを表す模式図である。
【図18】比較例に係る液晶バリア部の製造工程を表すフローチャートである。
【図19】変形例に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図20】図19に示した表示部および液晶バリア部の一動作例を表す模式図である。
【図21】他の変形例に係る表示部および液晶バリア部の関係を表す模式図である。
【図22】他の変形例に係る駆動基板の一構成例を表す平面図である。
【図23】他の変形例に係る駆動基板の一構成例を表す平面図である。
【図24】他の変形例に係る液晶バリア部の一構成例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、実施の形態に係る立体表示装置1の一構成例を表すものである。立体表示装置1は、液晶バリアを用いた、パララックスバリア方式の表示装置である。なお、本開示の実施の形態に係るバリア装置、バリア装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。立体表示装置1は、制御部41と、バックライト駆動部42と、バックライト30と、表示駆動部50と、表示部20と、バリア駆動部43と、液晶バリア部10とを備えている。
【0016】
制御部41は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、バックライト駆動部42、表示駆動部50、およびバリア駆動部43に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部41は、バックライト駆動部42に対してバックライト制御信号CBLを供給し、表示駆動部50に対して映像信号Sdispに基づく映像信号Sを供給し、バリア駆動部43に対してバリア制御信号CBRを供給するようになっている。ここで、映像信号Sは、立体表示装置1が立体視表示を行う場合に、後述するように、それぞれが複数(この例では6つ)の視点映像を含む映像信号SA,SBから構成されるものである。
【0017】
バックライト駆動部42は、制御部41から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対して面発光した光を射出する機能を有している。バックライト30は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)などを用いて構成されるものである。
【0018】
表示駆動部50は、制御部41から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、この例では液晶表示部であり、液晶表示素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0019】
バリア駆動部43は、制御部41から供給されるバリア制御信号CBRに基づいて、バリア駆動信号DRV(後述するバリア駆動信号DRV11,DRV12A,DRV12B)を生成し、液晶バリア部10に供給するものである。液晶バリア部10は、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過(開動作)または遮断(閉動作)するものであり、液晶を用いて構成された複数の開閉部11,12(後述)を有している。
【0020】
図2は、立体表示装置1の要部の一構成例を表すものであり、(A)は立体表示装置1の分解斜視構成を示し、(B)は立体表示装置1の側面図を示す。図2に示したように、立体表示装置1では、これらの各部品は、バックライト30、表示部20、および液晶バリア部10の順に配置されている。つまり、バックライト30から射出した光は、表示部20および液晶バリア部10を介して、観察者に届くようになっている。
【0021】
(表示駆動部50および表示部20)
図3は、表示駆動部50のブロック図の一例を表すものである。表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部41から供給された映像信号Sを映像信号S1としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、表示部20内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S1に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0022】
図4は、表示部20の一構成例を表すものであり、(A)は画素Pixを構成するサブ画素SPixの回路図の一例を示し、(B)は表示部20の断面構成を示す。
【0023】
画素Pixは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)にそれぞれ対応する3つのサブ画素SPixを有している。各サブ画素SPixは、図4(A)に示したように、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Capとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線GCLに接続され、ソースがデータ線SGLに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Capの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Capは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線Csに接続されている。ゲート線GCLはゲートドライバ52に接続され、データ線SGLはデータドライバ53に接続されている。
【0024】
表示部20は、図4(B)に示したように、駆動基板201と対向基板205との間に、液晶層203を封止したものである。駆動基板201は、上記TFT素子Trを含む画素駆動回路(図示せず)が形成されたものであり、この駆動基板201上には、サブ画素SPix毎に画素電極202が配設されている。対向基板205には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応するカラーフィルタ(図示せず)が形成されており、更に液晶層203側の面には、対向電極204が各サブ画素SPixに共通の電極として配設されている。表示部20の光入射側(ここでは、バックライト30側)および光出射側(ここでは、液晶バリア部10側)には、偏光板206a,206bが、互いにクロスニコルまたはパラレルニコルとなるように貼り合わせられている。
【0025】
(液晶バリア部10およびバリア駆動部43)
図5は、液晶バリア部10の一構成例を表すものである。液晶バリア部10は、いわゆるパララックスバリアであり、光を透過または遮断する、交互に配置された複数の開閉部(液晶バリア)11,12を有している。これらの開閉部11,12は、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行うものである。具体的には、開閉部11は、後述するように、通常表示の際には開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、閉状態(遮断状態)となるものである。また、開閉部12は、後述するように、通常表示の際には開状態(透過状態)、立体視表示の際には、時分割的に開閉動作を行うものである。なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものである。つまり、液晶バリア部10は、駆動されていない状態では光を遮断するものである。
【0026】
これらの開閉部11,12は、XY平面における一方向(ここでは、例えば垂直方向Yから所定の角度θをなす方向)に延在して設けられている。角度θは、例えば18度に設定可能である。このように、開閉部11,12を斜め方向に延伸するように形成することにより、立体表示装置1のモアレを低減することができる。開閉部11の幅E1と、開閉部12の幅E2とは、この例では互いに異なっており、ここでは例えばE1>E2となっている。但し、開閉部11,12の幅の大小関係はこれに限定されず、E1<E2であってもよく、また、E1=E2であってもよい。このような開閉部11,12は、液晶層(後述する液晶層300)を含んで構成されており、この液晶層300への駆動電圧によって、開状態(透過状態)と閉状態(遮断状態)との間で切り替わるようになっている。
【0027】
図6は、液晶バリア部10の断面構成を表すものである。図7は、液晶バリア部10の一構成例を表すものである。ここで、図6は、図7に示した液晶バリア部10のVI−VI矢視方向の断面構成を表すものである。
【0028】
図6に示したように、液晶バリア部10は、駆動基板310と、対向基板320との間に液晶層300を備えている。
【0029】
駆動基板310は、透明基板311と、絶縁層313と、透明電極層314と、λ/4板315と、偏光板316とを備えている。透明基板311は、例えばガラス等から構成されるものである。透明基板311には、後述するように、例えば液晶バリア部10の外周部などに、信号配線層312(後述)が形成される。そして、その後に、例えばSiNにより構成される絶縁層313が選択的に形成され、さらにその後に透明電極層314が形成されている。透明電極層314は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜により構成されている。この透明電極層314の上には、図示しない配向膜が形成されている。透明基板311の、透明電極層314などが形成された面とは反対の面には、λ/4板315および偏光板316がこの順に貼り付けられている。
【0030】
対向基板320は、透明基板321と、透明電極層322と、λ/4板323と、偏光板324とを備えている。透明基板321は、透明基板311と同様に、例えばガラス等から構成されるものである。この透明基板321の上には、透明電極層322が形成されている。この透明電極層322は、全面にわたって一様に形成された、いわゆる共通電極であり、透明電極層314と同様に、例えばITO等の透明導電膜により構成されている。この共通電極には、共通電圧Vcom(例えば0V)が印加されている。そして、透明電極層322の上には、図示しない配向膜が形成されている。透明基板321の、透明電極層322などが形成された面とは反対の面には、λ/4板323および偏光板324がこの順で貼り付けられている。
【0031】
偏光板316,324は、入力光から透過軸方向の直線偏光成分を抽出するものである。偏光板316と偏光板324とは、互いにクロスニコルになるように貼り合わせられている。具体的には、例えば、偏光板316の透過軸は水平方向Xに配置され、偏光板326の透過軸は垂直方向Yに配置されている。また、λ/4板315,323は、光を円偏光と直線偏光との間で変換するものである。λ/4板315とλ/4板323とは、遅相軸が互いに90度ずれるように配置されている。
【0032】
液晶層300は、配向方向により光の透過率Tを変化させることができるものであり、例えば、負の誘電率異方性を有する液晶分子を含むものである。この液晶分子は、配向膜により、垂直配向されるものである。
【0033】
透明電極層314は、突起部分330(後述)が形成された複数の透明電極110,120を有している。そして、透明電極層314の透明電極110、液晶層300および透明電極層322におけるその透明電極110に対応する部分は、開閉部11を構成している。同様に、透明電極層314の透明電極120、液晶層300および透明電極層312におけるその透明電極120に対応する部分は、開閉部12を構成している。このような構成により、液晶バリア部10では、透明電極層322に共通電圧Vcomを印加するとともに、透明電極110または透明電極120に電圧を選択的に印加することにより、液晶層300がその電圧に応じた液晶配向になり、開閉部11,12毎の開閉動作を行うことができるようになっている。
【0034】
透明電極層314の複数の透明電極110,120には、それぞれ、図7に示したように、開閉部11,12の延伸方向と同じ方向(垂直方向Yから所定の角度θをなす方向)に沿ってサブ電極領域170が並設されて、各サブ電極領域170の中心付近において、突起部分330が形成されている。この突起部分330は、図6に示したように、透明電極層314が、各サブ電極領域170の中心付近に形成された絶縁層313(突起パターン)を覆うように形成されることにより、突起形状を成したものである。また、透明電極110,120には、開閉部11,12の延伸方向に互いに隣接するサブ電極領域170の境界部分において、水平方向Xから所定の角度αをなす方向に延伸するスリット160が形成されている。このように、液晶バリア部10では、透明電極110,120に突起部分330を設けるようにしたので、後述するように、液晶分子が所望の方向に配向しやすくなっている。
【0035】
なお、図7では、角度αは、開閉部11,12の延伸方向と垂直方向Yとの間の角度θとほぼ等しくなっているが、これに限定されるものではない。すなわち、角度αは、角度θと同じでもよいし、角度θと異なっていてもよい。
【0036】
液晶バリア部10では、開閉部12は複数のグループにグループ分けされ、立体視表示を行う際、同じグループに属する複数の開閉部12が、同じタイミングで開動作および閉動作を行うようになっている。以下に、開閉部12のグループについて説明する。
【0037】
図8は、開閉部12のグループ構成例を表すものである。開閉部12は、この例では2つのグループにグループ分けされている。具体的には、グループAを構成する開閉部12と、グループBを構成する開閉部12とが、交互に配置されている。なお、以下では、グループAに属する開閉部12の総称として開閉部12Aを適宜用い、同様に、グループBに属する開閉部12の総称として開閉部12Bを適宜用いるものとする。
【0038】
図9は、開閉部11,12に対してバリア駆動信号DRVを供給する信号配線の一構成例を表すものであり、図10は、図9に示した駆動基板310のX−X矢視方向の断面構成を表すものである。
【0039】
駆動基板310には、開閉部11,12を取り囲む外周部において、これらの開閉部11,12に対してバリア駆動信号DRVを供給するための信号配線L11,L12A,L12B(信号配線層312)が形成されている。これらの信号配線L11,L12A,L12Bは、例えばアルミニウム、モリブデン、チタンなどの金属により形成される。そして、これらの信号配線L11,L12A,L12B上には、図10に示したように、絶縁層313が形成される。すなわち、この絶縁層313は、サブ電極領域170の中央付近に形成される絶縁層313(図6)と同じ製造工程において形成されるものである。そして、信号配線L11,L12A,L12Bは、それぞれ、コンタクトContおよび引込配線部Linを介して、開閉部11の透明電極110、開閉部12Aの透明電極120、開閉部12Bの透明電極120と接続されている。すなわち、信号配線L11,L12A,L12Bの上部に形成された絶縁層313は、信号配線L11,L12A,L12Bと引込配線Linとを電気的に分離しつつ交差させるためのものである。また、この例では、コンタクトContおよび引込配線部Linは、ITOにより構成され、透明電極110,120と一体として形成されている。この構成により、バリア駆動部43は、生成したバリア駆動信号DRV11を、信号配線L11を介して複数の開閉部11に同時に供給し、生成したバリア駆動信号DRV12Aを、信号配線L12Aを介して複数の開閉部12Aに同時に供給し、生成したバリア駆動信号DRV12Bを、信号配線L12Bを介して複数の開閉部12Bに同時に供給するようになっている。
【0040】
バリア駆動部43は、立体視表示を行う際、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで開閉動作を行うように駆動する。具体的には、バリア駆動部43は、後述するように、グループAに属する複数の開閉部12Aと、グループBに属する複数の開閉部12Bとを、時分割的に交互に開閉動作するように駆動する。
【0041】
図11は、立体視表示および通常表示(2次元表示)を行う場合の液晶バリア部10の状態を、断面構造を用いて模式的に表すものであり、(A)は立体視表示を行う一状態を示し、(B)は立体視表示を行う他の状態を示し、(C)は通常表示を行う状態を示す。液晶バリア部10には、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)が交互に配置されている。この例では、開閉部12Aは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。同様に、開閉部12Bは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。図11では、液晶バリア部10の開閉部11,12A,12Bのうち、光が遮断される開閉部を斜線で示している。
【0042】
立体視表示を行う場合には、表示駆動部50に映像信号SA,SBが交互に供給され、表示部20はそれらに基づいて表示を行う。そして、液晶バリア部10では、開閉部11が閉状態(遮断状態)を維持するとともに、開閉部12(開閉部12A,12B)が時分割的に開閉動作を行う。具体的には、映像信号SAが供給された場合には、図11(A)に示したように、開閉部12Aが開状態になるとともに、開閉部12Bが閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Aに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SAに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。同様に、映像信号SBが供給された場合には、図11(B)に示したように、開閉部12Bが開状態になるとともに、開閉部12Aが閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Bに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SBに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。立体表示装置1では、このように、開閉部12Aと開閉部12Bを交互に開放して映像を表示することにより、後述するように、表示装置の解像度を高めることができるようになっている。
【0043】
また、通常表示(2次元表示)を行う場合には、液晶バリア部10では、図11(C)に示したように、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)がともに開状態(透過状態)を維持するようになっている。これにより、観察者は、映像信号Sに基づいて表示部20に表示された通常の2次元映像をそのまま見ることができる。
【0044】
ここで、液晶バリア部10は、本開示における「バリア部」の一具体例に対応する。開閉部11,12は、本開示における「液晶バリア」の一具体例に対応する。開閉部12は、本開示における「第1系列の液晶バリア」の一具体例に対応し、開閉部11は、本開示における「第2系列の液晶バリア」の一具体例に対応する。透明電極110,120は、本開示における「バリア電極」の一具体例に対応する。サブ電極領域170の透明電極110,120は、本開示における「サブ電極」の一具体例に対応する。透明電極層322の電極は、本開示における「共通電極」の一具体例に対応する。λ/4板315,323は、本開示における「位相板」の一具体例に対応する。
【0045】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の立体表示装置1の動作および作用について説明する。
【0046】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、立体表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部41は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、バックライト駆動部42、表示駆動部50、バリア駆動部43に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。バックライト駆動部42は、バックライト30を駆動する。バックライト30は、面発光した光を表示部20に対して射出する。表示駆動部50は、制御部41から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動する。表示部20は、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行う。バリア駆動部43は、バリア駆動信号DRVを用いて液晶バリア部10を駆動する。液晶バリア部10の開閉部11,12(12A,12B)は、バリア駆動信号DRVに基づいてそれぞれ開閉動作を行い、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過または遮断する。
【0047】
(詳細動作)
図12は、表示部20および液晶バリア部10の立体視表示の際の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。
【0048】
映像信号SAが供給された場合には、図12(A)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SAに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12A付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SAが供給された場合には、液晶バリア部10では、開閉部12Aが開状態(透過状態)になるとともに、開閉部12Bが閉状態になるように制御される。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Aによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0049】
映像信号SBが供給された場合には、図12(B)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SBに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12B付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SBが供給された場合には、液晶バリア部10では、開閉部12Bが開状態(透過状態)になるとともに、開閉部12Aが閉状態になるように制御される。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Bによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0050】
このように、観察者は、左眼と右眼とで、画素情報P1〜P6のうちの異なる画素情報を見ることとなり、観察者は立体的な映像として感じることができる。また、開閉部12Aと開閉部12Bを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、観察者は、互いにずれた位置に表示される映像を平均化して見ることとなる。よって、立体表示装置1は、開閉部12Aのみをもつ場合に比べ、2倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、立体表示装置1の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/3(=1/6×2)で済むこととなる。
【0051】
立体表示装置1では、液晶バリア部10の透明電極110,120に突起部分330が形成されている。これにより、液晶分子が所望の方向に配向しやすくなる。以下に、その詳細を説明する。
【0052】
図13は、開閉部12における液晶分子の振る舞いを模式的に表すものであり、(A)は開閉部12が閉状態(遮断状態)の場合を示し、(B)は開閉部12が開状態(透過状態)の場合を示す。この図13は、負の誘電率異方性を有する液晶分子を、垂直配向させた場合を示している。なお、この例では開閉部12について説明するが、開閉部11についても全く同様である。
【0053】
透明電極120に0Vの電圧が印加された場合には、図13(A)に示したように、共通電極(透明電極層322)の電圧との間の電位差が0Vになるため、液晶層300における液晶分子Mの長軸は、基板面に垂直な方向に配向する。このとき、液晶層300の光の透過率Tが低下し、開閉部12は閉状態(遮断状態)となる。
【0054】
一方、透明電極120に電圧Vが印加された場合には、図13(B)に示したように、共通電極(透明電極層322)の電圧との間の電位差に基づいて、等電位面SCVが生成される。そして、液晶分子Mの長軸は、その等電位面SCVに沿う方向に配向する。すなわち、液晶層300では、透明電極120に印加される電圧が0V(図13(A))から電圧V(図13(B))に変化すると、液晶分子Mが倒れ、図13(B)のように配向する。その際、透明電極120に突起部分330があるため、等電位面SCVは基板面と平行にはならず、突起部分330に対応する部分でゆがんだものとなる。言い換えれば、液晶層300における電場は、突起部分330に対応する部分において、基板面に平行な方向の成分を持つ。これにより、液晶分子Mは、透明電極120に印加された電圧に応じて、図13(B)に示したように容易に倒れて配向することができる。
【0055】
(液晶バリア部10の製造工程)
次に、液晶バリア部10の製造工程について説明する。
【0056】
図14は、液晶バリア部10の製造工程を表すものである。液晶バリア部10の製造工程では、まず、駆動基板310と対向基板320を製造し、これらの基板の間に液晶層300を封止する。以下に、その詳細を説明する。
【0057】
まず、駆動基板310の製造工程P1において、透明基板311の表面に、信号配線層312を例えば蒸着法やスパッタ法により成膜した後、フォトリソグラフィ法もしくはドライエッチング法によりパターニングし、信号配線L11,L12A,L12Bを形成する(ステップS11)。次に、絶縁層313を、例えばプラズマCVD法により、所望の厚みとなるように成膜した後、信号配線L11,L12A,L12Bの上部や、サブ電極領域170に対応する領域の中央付近(突起部分330に対応する部分)などにパターンが形成されるように、フォトリソグラフィ法によりパターニングする(ステップS12)。次いで、透明電極層314を例えば蒸着法やスパッタ法により成膜した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングし、引込配線Linおよび透明電極110,120を形成する(ステップS13)。その際、絶縁層313にはコンタクトホールを設け、このコンタクトホールを介して信号配線L11,L12A,L12Bと引込配線Linとをそれぞれに電気的に接続する。そして、透明電極層314が形成された面の表面を覆うように、例えばスピンコート法により垂直配向剤を塗布し、ベークすることにより、配向膜を形成する(ステップS14)。
【0058】
次に、対向基板320の製造工程P2において、透明基板321の表面に、透明電極層322を例えば蒸着法やスパッタ法により一様に成膜する(ステップS21)。そして、この透明電極層322の表面に、例えばスピンコート法により垂直配向剤を塗布し、ベークすることにより、配向膜を形成する(ステップS22)。
【0059】
次に、液晶層形成および封止を行う(ステップS31)。具体的には、まず、ステップS11〜S14において製造した基板の周縁領域に、例えばUV硬化性や熱硬化性のシール部を印刷する。そして、このシール部に囲まれた領域内に液晶を滴下注入することにより液晶層300を形成する。この後、この基板の上に、ステップS21,S22において製造した基板を、例えば感光性のアクリル樹脂よりなるスペーサを介して重ね合わせ、シール部を硬化させる。このようにして液晶層300が封止される。
【0060】
次に、偏光板を貼り合わせる(ステップS32)。具体的には、透明基板311のうち液晶層300を封止している面とは反対の面にλ/4板315および偏光板316をこの順に貼り合わせ、透明基板321のうち液晶層300を封止している面とは反対の面にλ/4板323および偏光板324をこの順に貼り合わせる。
【0061】
以上により、液晶バリア部10が完成する。
【0062】
このように、液晶バリア部10では、ステップS12において、信号配線L11,L12A,L12Bと引込配線Linを交差させるための絶縁層313と、サブ電極領域170の中央付近の絶縁層313とを同時に形成するようにしたので、製造工程をシンプルにすることができる。
【0063】
(比較例)
次に、比較例に係る立体表示装置1Rと対比して、本実施の形態の作用を説明する。本比較例に係る立体表示装置1Rの液晶バリア部10Rは、透明電極層314に突起部分330を設ける代わりに、共通電極(透明電極層322)にホールを設けたものである。その他の構成は、本実施の形態(図1)と同様である。
【0064】
図15は、本比較例に係る液晶バリア部10Rにおける透明電極層314,322の一構成例を表すものである。図16は、図15に示した液晶バリア部10RのXVI−XVI矢視方向の断面構成を表すものである。
【0065】
図15に示したように、透明電極層314は、透明電極110R,120Rを有している。透明電極110R,120Rには、本実施の形態に係る液晶バリア部10の場合と同様に、それぞれ、開閉部11,12の延伸方向と同じ方向に沿ってサブ電極領域170が並設されている。また、透明電極層322は、図15,16に示したように、各サブ電極領域170の中心付近に対応する位置に、ホール330Rを有している。すなわち、本実施の形態に係る液晶バリア部10(図6,7)では、透明電極層314に突起部分330を設けたが、本比較例に係る液晶バリア部10R(図15,16)では、その突起部分330の代わりに、透明電極層322にホール330Rを設けている。
【0066】
図17は、液晶バリア部10Rにおける液晶分子の振る舞いを模式的に表すものであり、図13は、開閉部12における液晶分子の振る舞いを模式的に表すものであり、(A)は開閉部12が閉状態(遮断状態)の場合を示し、(B)は開閉部12が開状態(透過状態)の場合を示す。本比較例に係る液晶バリア部10Rでも、透明電極120に電圧Vが印加された場合には、図17(B)に示したように、本実施の形態に係る液晶バリア部10の場合と同様に、等電位面SCVがホール330Rに対応する領域においてややゆがんだものになる。これにより、透明電極120に印加される電圧が0V(図17(A))から電圧V(図17(B))に変化すると、液晶分子Mは、図17(B)に示したように容易に倒れて配向することができる。すなわち、本比較例に係るホール330Rは、本実施の形態に係る突起部分330と同様の効果を有するものである。
【0067】
図18は、液晶バリア部10Rの製造工程を表すものである。液晶バリア部10Rの製造工程は、本実施の形態の場合(図14)において、絶縁層313の形成工程(ステップS12)を絶縁層313の形成工程(ステップS12R)に変更するとともに、透明電極層322の形成工程(ステップS21)の後において、ホール330Rを形成する工程(ステップS21R)を追加したものである。
【0068】
絶縁層313の形成工程(ステップS12R)では、絶縁層313を、例えばプラズマCVD法により、所望の厚みとなるように成膜した後、信号配線L11,L12A,L12Bの上部などにパターンが形成されるように、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。すなわち、本実施の形態に係るステップS12では、サブ電極領域170に対応する領域の中央付近にもパターンが形成されるようにパターニングしたが、本比較例に係るステップS12Rでは、この部分にはパターンを形成しない。
【0069】
また、ホール330Rの形成工程(ステップS21R)では、前の工程(ステップS21)において一様に成膜した透明電極層322を、フォトリソグラフィ法によりパターニングし、ホール330Rを形成する。
【0070】
このように、本比較例に係る液晶バリア部10Rでは、ホール330Rを、専用の製造工程(ステップS21R)によって形成している。一方、本実施の形態に係る液晶バリア部10では、このホール330Rと同様の効果を有する突起部分330を、信号配線L11,L12A,L12Bと引込配線Linを交差させるための絶縁層313を形成する工程(ステップS12)を利用して形成している。これにより、本実施の形態に係る立体表示装置1では、製造工程をシンプルにすることができる。
【0071】
[効果]
以上のように本実施の形態では、突起部分を設けたので、液晶分子を配向しやすくすることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、突起部分を、もともと設けられている、信号配線と引込配線Linとを交差させるための絶縁層を製造する工程を利用して形成するようにしたので、製造工程をシンプルにすることができる。
【0073】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、立体表示装置1のバックライト30、表示部20、液晶バリア部10は、この順に配置したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、図19に示したように、バックライト30、液晶バリア部10、表示部20の順に配置してもよい。
【0075】
図20は、本変形例に係る表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。本変形例では、バックライト30から射出した光は、まず液晶バリア部10に入射する。そして、その光のうち、開閉部12A,12Bを透過した光が表示部20において変調されるとともに、6つの視点映像を出力するようになっている。
【0076】
また、例えば、上記実施の形態等では、開閉部12は2つのグループを構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば3つ以上のグループを構成するようにしてもよい。これにより、表示の分解能をさらに改善することができる。以下に、その詳細を説明する。
【0077】
図21は、開閉部12が3つのグループA,B,Cを構成する場合の例を表すものである。上記実施の形態と同様に、開閉部12AはグループAに属する開閉部12を示し、開閉部12BはグループBに属する開閉部12を示し、開閉部12CはグループCに属する開閉部12を示す。
【0078】
このように、開閉部12A,12B,12Cを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、この変形例に係る立体表示装置は、開口部12Aのみをもつ場合に比べ、3倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、この立体表示装置の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/2(=1/6×3)で済むこととなる。
【0079】
また、例えば、上記実施の形態では、角度αと角度θはほぼ等しいとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、図22に示したように、角度αと角度θとが互いに異なるようにしてもよい。
【0080】
また、例えば、上記実施の形態では、一例として、開閉部11の幅E1は、開閉部12の幅E2より広い(E2>E1)として図示したが、これに限定されるものではなく、開閉部11の幅E1と開閉部12の幅E2とが互いに等しく(E1=E2)してもよいし、開閉部11の幅E1を、開閉部12の幅E2より狭く(E1<E2)してもよい。図23に、開閉部11の幅E1と開閉部12の幅E2とを等しく(E1=E2)した場合の一例を示す。
【0081】
また、例えば、上記実施の形態では、液晶バリア部10の開閉部11,12は斜め方向に延伸するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図24(A)に示したステップバリア型にしてもよいし、図24(B)に示したようにY軸方向に延伸するようにしてもよい。ステップバリア形式については、例えば、特開2004−264762に記載がある。
【0082】
また、例えば、上記実施の形態では、液晶バリア部10の両面にそれぞれ偏光板316,324を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、表示部20側の偏光板を、表示部20の偏光板206bと共用することにより省いてもよい。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0084】
(1)映像を表示する表示部と、
開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリアを有するバリア部と
を備え、
前記バリア部は、
前記液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分を有する複数のサブ電極を含むバリア電極と、
前記複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられた共通電極と、
前記バリア電極と前記共通電極との間に設けられた液晶層と
を含む
表示装置。
【0085】
(2)前記バリア部は、前記バリア電極と、支持基板上の前記突起部分に対応する部分に形成された突起パターンとを有する駆動基板を含み、
前記バリア電極は、前記支持基板上および前記突起パターン上の、前記液晶バリアに対応する領域に形成されている
上記(1)に記載の表示装置。
【0086】
(3)前記駆動基板は、
前記バリア電極および前記突起パターンのどちらとも異なる層に形成された、駆動信号を伝える複数の信号配線と、
前記バリア電極と同じ層に、前記信号配線のうちの少なくとも一本と交差するように形成された、前記信号配線の前記駆動信号を前記バリア電極に供給する引込配線と、
前記信号配線が形成された層と前記引込配線が形成された層との間の層において、その交差部分に形成された絶縁層と
をさらに有し、
前記突起パターンは、前記絶縁層と同じ材料で形成されている
上記(2)に記載の表示装置。
【0087】
(4)前記突起部分は、各サブ電極の中央に対応する位置に形成されている
上記(1)から(3)のいずれかに記載の表示装置。
【0088】
(5)前記サブ電極は、各液晶バリアに対応する領域内において、隣接するサブ電極と互いに接続され、
その互いに接続されたサブ電極間にはスリットが形成されている
上記(1)から(4)のいずれかに記載の表示装置。
【0089】
(6)前記バリア部は、
前記液晶層を挟んで配置された2枚の位相板を有する
上記(1)から(5)のいずれかに記載の表示装置。
【0090】
(7)前記バリア部は、
前記位相板の前記液晶層が配置された側とは反対側に配置された偏光板を有する
上記(6)に記載の表示装置。
【0091】
(8)前記バリア部は、所定方向に延在する複数の第1系列の液晶バリアと複数の第2系列の液晶バリアを有する
上記(1)から(7)のいずれかに記載の表示装置。
【0092】
(9)3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記3次元映像表示モードでは、前記表示部が複数の異なる視点映像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアが透過状態になるとともに、前記複数の第2系列の液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示し、
前記2次元映像表示モードでは、前記表示部が1つの視点映像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアおよび前記複数の第2系列の液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示する
上記(8)に記載の表示装置。
【0093】
(10)前記複数の第1系列の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされ、
前記3次元映像表示モードでは、前記複数の第1系列の液晶バリアは、バリアグループごとに、時分割的に開状態および閉状態との間で切り換わる
上記(9)に記載の表示装置。
【0094】
(11)バックライトをさらに備え、
前記表示部は液晶表示部であり、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記バリア部との間に配置されている
上記(1)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0095】
(12)バックライトをさらに備え、
前記表示部は液晶表示部であり、
前記バリア部は、前記バックライトと前記液晶表示部との間に配置されている
上記(1)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
【0096】
(13)開状態と閉状態とを切り換え可能な液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分を有する複数のサブ電極を含むバリア電極と、
前記複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられた共通電極と、
前記バリア電極と前記共通電極との間に設けられた液晶層と
を備えた
バリア装置。
【0097】
(14)複数のサブ電極を含むバリア電極を形成する駆動基板製造工程と、
対向基板製造工程と、
前記駆動基板と前記対向基板との間に液晶層を封止する液晶層封止工程と
を含み、
前記駆動基板製造工程は、
支持基板に複数の信号配線を形成する信号配線形成工程と、
絶縁層を選択的に形成する絶縁層形成工程と、
前記信号配線が形成された層とは異なる層に、前記バリア電極、および前記信号配線から前記バリア電極への引込配線を形成する電極形成工程と
を含み、
前記絶縁層形成工程では、前記信号配線と前記引込配線との交差部分、および各サブ電極に対応する領域の一部に、前記絶縁層を形成する
バリア装置の製造方法。
【符号の説明】
【0098】
1…立体表示装置、10…液晶バリア部、11,12,12A,12B,12C…開閉部、20…表示部、30…バックライト、41…制御部、42…バックライト駆動部、43…バリア駆動部、50…表示駆動部、51…タイミング制御部、52…ゲートドライバ、53…データドライバ、110,120…透明電極、160…スリット、170…サブ電極領域、201…駆動基板、202…画素電極、203…液晶層、204…対向電極、205…待機押基板、206a,206b…偏光板、300…液晶層、310…駆動基板、311…透明基板、312…信号配線層、313…絶縁層、314…透明電極層、315…λ/4板、316…偏光板、320…対向基板、321…透明基板、322…透明電極層、323…λ/4板、324…偏光板、330…突起部分、C…保持容量素子、CBL…バックライト制御信号、CBR…バリア制御信号、Cont…コンタクト、GCL…ゲート線、LC…液晶素子、Lin…引込配線、L11,L12A,L12B…信号配線、M…液晶分子、Pix…画素、S,S1,Sdisp,SA,SB…映像信号、SCV…等電位面、SGL…データ線、SPix…サブ画素、Tr…TFT素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部と、
開状態と閉状態とを切り換え可能な複数の液晶バリアを有するバリア部と
を備え、
前記バリア部は、
前記液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分を有する複数のサブ電極を含むバリア電極と、
前記複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられた共通電極と、
前記バリア電極と前記共通電極との間に設けられた液晶層と
を含む
表示装置。
【請求項2】
前記バリア部は、前記バリア電極と、支持基板上の前記突起部分に対応する部分に形成された突起パターンとを有する駆動基板を含み、
前記バリア電極は、前記支持基板上および前記突起パターン上の、前記液晶バリアに対応する領域に形成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記駆動基板は、
前記バリア電極および前記突起パターンのどちらとも異なる層に形成された、駆動信号を伝える複数の信号配線と、
前記バリア電極と同じ層に、前記信号配線のうちの少なくとも一本と交差するように形成された、前記信号配線の前記駆動信号を前記バリア電極に供給する引込配線と、
前記信号配線が形成された層と前記引込配線が形成された層との間の層において、その交差部分に形成された絶縁層と
をさらに有し、
前記突起パターンは、前記絶縁層と同じ材料で形成されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記突起部分は、各サブ電極の中央に対応する位置に形成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記サブ電極は、各液晶バリアに対応する領域内において、隣接するサブ電極と互いに接続され、
その互いに接続されたサブ電極間にはスリットが形成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記バリア部は、
前記液晶層を挟んで配置された2枚の位相板を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記バリア部は、
前記位相板の前記液晶層が配置された側とは反対側に配置された偏光板を有する
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記バリア部は、所定方向に延在する複数の第1系列の液晶バリアと複数の第2系列の液晶バリアを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記3次元映像表示モードでは、前記表示部が複数の異なる視点映像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアが透過状態になるとともに、前記複数の第2系列の液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示し、
前記2次元映像表示モードでは、前記表示部が1つの視点映像を表示し、前記複数の第1系列の液晶バリアおよび前記複数の第2系列の液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示する
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の第1系列の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされ、
前記3次元映像表示モードでは、前記複数の第1系列の液晶バリアは、バリアグループごとに、時分割的に開状態および閉状態との間で切り換わる
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
バックライトをさらに備え、
前記表示部は液晶表示部であり、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記バリア部との間に配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
バックライトをさらに備え、
前記表示部は液晶表示部であり、
前記バリア部は、前記バックライトと前記液晶表示部との間に配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
開状態と閉状態とを切り換え可能な液晶バリアに対応する領域に設けられ、それぞれが突起部分を有する複数のサブ電極を含むバリア電極と、
前記複数の液晶バリアに対応する領域の全面に共通に設けられた共通電極と、
前記バリア電極と前記共通電極との間に設けられた液晶層と
を備えた
バリア装置。
【請求項14】
複数のサブ電極を含むバリア電極を形成する駆動基板製造工程と、
対向基板製造工程と、
前記駆動基板と前記対向基板との間に液晶層を封止する液晶層封止工程と
を含み、
前記駆動基板製造工程は、
支持基板に複数の信号配線を形成する信号配線形成工程と、
絶縁層を選択的に形成する絶縁層形成工程と、
前記信号配線が形成された層とは異なる層に、前記バリア電極、および前記信号配線から前記バリア電極への引込配線を形成する電極形成工程と
を含み、
前記絶縁層形成工程では、前記信号配線と前記引込配線との交差部分、および各サブ電極に対応する領域の一部に、前記絶縁層を形成する
バリア装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−252274(P2012−252274A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126563(P2011−126563)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】