説明

表示装置、端末装置及び表示パネル

【課題】視野角度範囲を切替可能な表示装置において、散乱を制御するための透明・散乱切替素子の駆動電源を小型化、低コスト化可能な表示装置、この表示装置を搭載した端末装置、及び前記端末装置に組み込まれる表示パネルを提供する。
【解決手段】表示装置2は光源装置1と透過型液晶表示パネル7とから構成され、光源装置1には、入射した光を透過する状態と散乱する状態とに切替可能の透明・散乱切替素子122が設けられている。透過型液晶表示パネル2には表示のための画素がマトリクス状に配置されており、この画素を駆動するための電源と信号とを用いて、透明・散乱切替素子122を駆動させることで、透明・散乱切替素子用の信号及び電源を新たに設ける必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角を切り替えることができる表示装置、この表示装置を搭載した端末装置、及び前記表示装置に組み込まれる表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、薄型、軽量、小型、低消費電力等の利点から、液晶を使用した表示装置は、モニタ及びテレビジョン(TV:Television)等の大型の端末装置から、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ及び自動販売機等の中型の端末装置、またパーソナルTV、PDA(Personal Digital Assistant:個人用情報端末)、携帯電話及び携帯ゲーム機等の小型の端末装置にまで広く搭載され、使用されている。これらの液晶表示装置は、使用する光源の種類に応じて、透過型、反射型、透過光と反射光とを併用する半透過型に大別できる。反射型は、表示に外光を利用できるため低消費電力化が可能であるが、透過型と比較するとコントラスト等の表示性能が劣るため、現在では透過型及び半透過型が液晶表示装置の主流となっている。透過型及び半透過型の液晶表示装置では、液晶パネルの背面に光源装置を設置し、その光源装置が発する光を利用して表示を実現している。即ち、現在主流の液晶表示装置では、液晶パネルの他に光源装置が必須となっている。
【0003】
液晶表示装置の主要構成部品である液晶パネルは、液晶分子の配向状態を電界により制御して情報を表示するが、液晶分子の種類、初期配向状態及び電界の方向等の組み合わせにより多数のモードが提案されている。これらのモードのうち、従来の端末装置に最も良く使用されるモードには、単純マトリクス構造によるSTN(Super Twisted Nematic)モード及びアクティブマトリクス構造によるTN(Twisted Nematic)モードがあるが、これらのモードの液晶パネルは階調を正しく視認できる角度範囲が狭く、最適な観察位置から外れると階調反転が発生してしまう。
【0004】
この階調反転の問題は、表示内容が電話番号等の文字主体の内容であった頃の携帯電話等の端末装置では大きな問題とならなかった。しかし、近年の技術進展により、端末装置が文字情報だけでなく画像情報も多く表示するようになったため、階調反転によって画像の視認性が著しく低下する点が問題になっている。このため、階調反転が発生せず階調を正しく視認できる視野角度範囲が広いモードの液晶パネルが、徐々に端末装置へ搭載されつつある。このようなモードの液晶パネルは、一般に広視野角液晶パネルと総称され、IPS(イン・プレイン・スイッチング)方式等の横電界モード及びマルチドメイン垂直配向モード等が実用化されている。これらの広視野角液晶パネルの使用により広い視野角度範囲で正しい階調が視認できるため、中小型の端末装置は基本的にパーソナルツールでありながらも、複数人で同時に鑑賞し他人と情報を共有するアプリケーションが開発され、徐々に搭載されつつある。
【0005】
一方で、中小型の端末装置はその性格上、秘密保持が厳重になされた密室の中だけではなく公共の場でも使用される。このとき、プライバシー情報及び秘密情報の表示に対しては、第三者の眼に触れない秘密保持が必要となる。特に近時、端末装置の進展に伴い、プライバシー情報及び秘密情報を表示する機会が増加し、覗き見防止技術への要望が強まっている。そこで、表示を視認できる角度範囲、即ち、視野角度範囲を狭くすることにより、使用者のみが視認でき、覗き見を防止できる技術の実現が望まれている。
【0006】
上述の如く、視認角度範囲が広く複数人で同時に鑑賞できる表示と、視認角度範囲が狭く使用者のみが視認できる表示の実現が夫々望まれており、一つの端末装置がこれらの二種類の表示を切り替えて実現できることが望ましい。そこで、このような要求を満たすために、液晶表示装置に必須である光源装置に工夫を施し、視認角度範囲を変更可能にした表示装置が提案されている。
【0007】
図44は、特許文献1に記載されている従来の第1の視野角制御型液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図44に示すように、従来の第1の視野角制御型液晶表示装置1001は、散乱を制御できる液晶素子1170と、旋光性及び複屈折性を制御できる液晶素子1180とから構成されている。散乱を制御できる液晶素子1170は、可視域で光学的に透明な基板1110及び1111と、透明電極1120及び1121と、散乱モードの液晶1130と、電圧供給源1100と、スイッチ1190とから構成されている。旋光性及び複屈折性を制御できる液晶素子1180は、可視域で光学的に透明な基板1111及び1112と、透明電極1122及び1123と、偏光子1140及び1141と、配向膜1150及び1151と、旋光性及び複屈折性を持つ液晶層1160と、電圧供給源1101と、スイッチ1191とから構成されている。散乱モードの液晶1130としてはポリマー分散液晶を、また旋光性、複屈折性を制御できる液晶素子1180としてはTN液晶を夫々使用している。偏光子1140及び1141は直交ニコルで配置されている。
【0008】
このように構成された特許文献1に記載の従来の第1の視野角制御型液晶表示装置においては、透明電極1122と透明電極1123との間に電圧を印加することにより、液晶層1160の旋光性、複屈折性を変化させ、この変化を利用して光の透過率を制御することができる。このような旋光性、複屈折性を利用した表示モードにおいては、視角方向により実質的に入射光が受ける旋光性及び複屈折性が異なるために、視角に依存して輝度、色相が低減又は反転する現象が起こる。
【0009】
そこで、このような視角依存性のある液晶素子1180の上部に散乱を制御できる液晶素子1170を配置し、視角依存性を低減する。即ち、散乱を制御できる液晶素子1170の液晶1130に電界を印加しない場合には、液晶分子がランダムに配列しているために、全視角にわたってほぼ等方的に散乱され、視角依存性が少ない表示を得ることができる。一方、液晶1130に電界を印加としたときには、印加電界により液晶分子は電界にほぼ平行に配列するために、液晶素子1180からの出射光は、液晶分子により散乱されることなく、そのまま出射される。この場合には、視角特性が良くなることはなく、従来のTN液晶の視角特性に近い特性であるが、画面の正面に位置する使用者のみは画像を正しく視認することができる。従って、画面の正面に位置する使用者一人のみが正しく視認できればよいときには、液晶1130に電界を印加しないことにより、他人に覗き見されることを防止できる。
【0010】
図45は、特許文献2に記載されている従来の第2の視野角制御型液晶表示装置を模式的に示す断面図であり、図46は、視野角制御型液晶表示装置に使用される照明装置を模式的に示す斜視図である。図45に示すように、従来の第2の視野角制御型液晶表示装置2101は、液晶表示素子2102と、散乱性制御素子(散乱性制御手段)2103と、照明装置(バックライト)2104とから構成されている。散乱性制御素子2103は、液晶表示素子2102と照明装置2104との間に配置されている。図46に示すように、照明装置2104は、散乱性制御素子2103の下方に配置され、遮光スリット付シート(透光性シート体)2120、及び照射部2121を備えている。照射部2121には、蛍光管等の光源2122が設けられており、光源2122からの光を出射させて遮光スリット付シート2120に導くための光出射面2123が形成されている。照射部2121における光出射面2123と対向する面には、光源2122から出射した光を反射させるため反射シート2124が設けられている。遮光スリット付シート2120は、透光性を有するシートの一方の面に線状の遮光材が互いに平行に多数配置されている。遮光材が延設される方向は、表示画面の垂直方向に一致している。
【0011】
このように構成された特許文献2に記載の従来の第2の視野角制御型液晶表示装置においては、光源2122から発した光は、照射部2121の光出射面2123から出射され、遮光スリット付シート2120を介して散乱性制御素子2103に照射される。遮光スリット付シート2120は、光出射面2123より出射する光がこの遮光スリット付シート2120を透過するときに、遮光スリット付シート2120の光入射面に対して大きく傾斜した方向から入射する光を遮断する。これにより、この遮光スリット付シート2120の面と垂直な方向に平行度の高い透過光が得られる。照明装置2104から出射した光は、散乱性制御素子2103に入射する。散乱性制御素子2103は、印加電圧の有無に応じて入射した光線の散乱性を制御する。散乱制御素子2103が散乱状態にある場合には、照明装置2104から出射した光は散乱制御素子2103により散乱され、散乱制御素子2103が透明状態にある場合には、照明装置2104からの光は散乱されない。
【0012】
この従来の第2の視野角制御型液晶表示装置2101においては、散乱性制御素子2103が散乱状態であるとき、照明装置2104から出射した平行度が高い光は、散乱性制御素子2103により散乱されて液晶表示素子2102に入射する。この結果、液晶表示素子2102を通過した光は、表示部の全視角方向に抜けて行き、表示部に正対する位置以外の位置からも表示内容の認識が可能となる。これに対して、散乱性制御素子2103が透明状態であるとき、照明装置2104からの平行度の高い光は、散乱性制御素子2103によって散乱されず、平行度の高い光のまま液晶表示素子2102に入射する。この結果、表示部を水平方向の左右より斜めに見る位置からでは、光が透過せず真っ暗になり、表示内容の認識が不可能となる。換言すれば、表示部に正対する使用者だけが表示内容を認識できる。
【0013】
以上のように、従来の第2の視野角制御型液晶表示装置2101は、散乱性制御素子2103によって光の散乱性を制御できるため、表示内容の視野角特性を制御できる。また、照明装置2104によって平行度が高い光を液晶表示素子2102に向けて出射することができるため、散乱性制御素子2103が透明状態におかれるとき、表示画面に正対する使用者だけが表示内容を認識できる視野角特性を確実に得ることができる。従って、表示特性の視野角依存性が少なく、全視角方向にわたって表示特性が均一に保たれる状態と、表示画面に正対する位置からのみ表示内容を認識できる状態とを任意に切り替えることが可能な液晶表示装置を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平5−72529号公報
【特許文献2】特開平9−244018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述の従来の視野角制御型液晶表示装置には、以下に示すような問題点がある。上述の従来の視野角制御型液晶表示装置においては、散乱を制御するための液晶素子を駆動するために、新たな駆動電源が必要になり、小型化、低コスト化が困難になる。特に、散乱を制御するための液晶素子は、直流電源を使用すると焼き付きが発生するため、交流電源を用いて駆動する必要がある。このために、駆動電源が複雑になり、小型化、低コスト化が困難になる。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、視野角度範囲を切替可能な表示装置において、散乱を制御するための透明・散乱切替素子の駆動電源を小型化、低コスト化可能な表示装置、この表示装置を搭載した端末装置、及び前記端末装置に組み込まれる表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る表示装置は、光源と、この光源から入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子と、この透明・散乱切替素子を透過した光を入射して画像を表示する表示パネルと、を有し、この表示パネルは画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域を有し、この表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が、前記透明・散乱切替素子の駆動にも使用されることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、透明・散乱切替素子用の信号及び電源を新たに設ける必要がなく、表示装置の小型化、低コスト化が可能となる。
【0019】
また、少なくとも前記表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が入力され、前記透明・散乱切替素子を駆動する信号を出力する透明・散乱切替素子駆動回路が表示パネル上に形成されていても良い。これにより、透明・散乱切替素子駆動回路を表示パネル以外に設ける必要がなくなるため、小型化が可能となる。
【0020】
更にまた、前記透明・散乱切替素子駆動回路には制御信号が入力され、この制御信号の状態により前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力がオン又はオフされても良い。これにより、1本の制御信号を入力するだけで透明・散乱切替素子の制御が可能になるため、小型化が容易になる。
【0021】
更にまた、前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記表示領域の各画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、このゲート線駆動回路のスタート信号が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されても良い。これにより、表示パネルのフレーム書き換えのタイミングと、透明・散乱切替素子を駆動する電圧の極性反転のタイミングとの同期を容易に取ることができる。
【0022】
更にまた、前記ゲート線駆動回路の電源が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されても良い。これにより、透明・散乱切替素子に大きな電界を印加することができる。電界が不十分な際には、低温時に透明・散乱切替素子が十分駆動されず透明状態にならないため、覗き見を防止することができなくなるが、ゲート線駆動回路の電源を使用することで十分な電圧を印加でき、低温時の特性を良好に保つことができる。
【0023】
更にまた、前記表示パネルは外部と電源、信号を接続するための端子部を有し、この端子部と前記ゲート線駆動回路との間に前記透明・散乱切替素子駆動回路が形成されていても良い。これにより、ゲート線駆動回路のスタート信号と電源の流用が容易になり、また透明・散乱切替素子との接続も最短にすることができる。この結果、表示装置の更なる小型化が可能になる。
【0024】
更にまた、前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力電圧の極性反転が、前記ゲート線駆動回路のスタート信号と同期していても良い。これにより、表示パネルのフレーム書き換えのタイミングと、透明・散乱切替素子を駆動する電圧の極性反転のタイミングとの同期を完全に取ることができ、タイミングがずれた際に発生するフリッカを抑制することができる。
【0025】
更にまた、前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路を有していても良く、更に前記カウンタ回路は1ビットのカウンタ回路であっても良い。これにより、透明・散乱切替素子の駆動に適した矩形波を生成でき、透明・散乱切替素子の焼き付きを防止できる。
【0026】
また、前記カウンタ回路は2ビット以上のカウンタ回路であっても良い。これにより、透明・散乱切替素子の駆動周波数を低減することができる。この結果、透明・散乱切替素子の消費電力を低減することが可能となる。
【0027】
更にまた、前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路の出力に伝送ゲートを有し、この伝送ゲートにより前記カウンタ回路の出力が制御されても良い。
【0028】
更にまた、前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に形成された薄膜トランジスタを用いて構成されても良く、また前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に実装されたICチップに形成されても良い。
【0029】
更にまた、前記光源は発光ダイオードであることが好ましい。発光ダイオードは冷陰極管よりも薄いため、表示装置の薄型化が可能になる。
【0030】
また、前記透過型表示パネルは液晶パネルであってもよい。このとき、前記液晶パネルが、横電界モード、マルチドメイン垂直配向モード又はフィルム補償TNモードの液晶パネルであることが好ましい。これにより、透明・散乱切替素子が散乱状態にあるときに、表示が階調反転することを抑制でき、視認性が向上する。
【0031】
更に、前記表示装置は、前記光源から出射された光の光線方向を規制して前記透明・散乱切替素子に対して出射する光線方向規制素子を有していてもよい。これにより、光源から出射した光の指向性を高めることができる。
【0032】
本発明に係る端末装置は、前記表示装置を有することを特徴とする。また、この端末装置は、携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であってもよい。
【0033】
本発明に係る表示パネルは、画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域と、少なくとも前記表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が入力され、入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子を駆動するための信号を出力する透明・散乱切替素子駆動回路と、を有することを特徴とする。
【0034】
更にまた、前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記画素を行単位で選択するゲート線駆動回路が形成され、このゲート線駆動回路のスタート信号が入力され、このスタート信号に同期してゲート線駆動回路の電源電圧が交互に出力される回路を有することを特徴とする。
【0035】
本発明の表示装置は、光源と、この光源から入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子と、この透明・散乱切替素子を透過した光を入射して画像を表示する表示パネルと、を有し、この表示パネルは画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域を有し、この表示領域の画素を駆動するための電源又は信号の少なくとも一方を用いて、前記透明・散乱切替素子が駆動されることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、透明・散乱切替素子用の信号及び電源を新たに設ける必要がなく、表示装置の小型化、低コスト化が可能となる。
【0037】
また、前記表示装置は、少なくとも前記表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が入力され、前記透明・散乱切替素子を駆動する信号を出力する透明・散乱切替素子駆動回路を有し、この透明・散乱切替素子駆動回路は前記表示パネル上に形成されていてもよい。これにより、透明・散乱切替素子駆動回路を表示パネル以外に設ける必要がなくなるため、小型化が可能となる。
【0038】
また、前記透明・散乱切替素子駆動回路には制御信号が入力され、この制御信号の状態により前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力がオン又はオフされていてもよい。これにより、1本の制御信号を入力するだけで透明・散乱切替素子の制御が可能になるため、小型化が容易になる。
【0039】
また、前記透明・散乱切替素子駆動回路は、前記透明・散乱切替素子の駆動電圧の極性を反転する回路を有し、前記表示パネルの画素を駆動するための信号を用いて、この反転動作が実現されていてもよい。これにより、表示パネルのフレーム書き換えのタイミングと、透明・散乱切替素子を駆動する電圧の極性反転のタイミングとを最適な状態に設定することができ、表示品質の向上が可能となる。
【0040】
また、前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記表示領域の各画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、このゲート線駆動回路のスタート信号が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されていてもよい。これにより、ゲート線駆動回路のスタート信号を用いて透明・散乱切替素子を駆動することができるため、反転動作における表示パネルとのタイミングを的確に設定することが可能となり、表示品質の大幅な向上が可能となる。
【0041】
また、前記ゲート線駆動回路は複数系統が搭載され、この複数系統のゲート線駆動回路のスタート信号を用いて、前記透明・散乱切替素子の極性反転動作が実現されていてもよい。これにより、前記透明・散乱切替素子の極性反転の周波数を上げることができ、高画質化が可能となる。
【0042】
また、前記透明・散乱切替素子の極性反転動作の周波数は、周波数変調されていてもよい。これにより、前記透明・散乱切替素子の消費電力を低減しつつ、高画質化が可能となる。
【0043】
また、前記ゲート線駆動回路の電源が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されていてもよい。これにより、透明・散乱切替素子に大きな電界を印加することができる。電界が不十分な際には、低温時に透明・散乱切替素子が十分駆動されず透明状態にならないため、覗き見を防止することができなくなるが、ゲート線駆動回路の電源を使用することで十分な電圧を印加でき、低温時の特性を良好に保つことができる。
【0044】
また、前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路、シフトレジスタ回路、分周回路、遅延回路の少なくとも一つを有することが好ましい。これにより、特にカウンタ回路を使用した場合には、前記透明・散乱切替素子のオン又はオフ動作や極性反転動作を簡素な構成で実現することができ、低コスト化、信頼性向上が可能となる。また、極性反転動作の周波数向上にも適用でき、表示品質の向上が可能となる。また、分周回路を使用した場合にも、極性反転の周波数向上に適用できる。遅延回路を使用した場合には、反転動作のタイミングを最適化することができ、高画質化が可能となる。また、オン又はオフ動作
のタイミング最適化も可能となる。また、シフトレジスタ回路を用いて遅延回路を好適に構成することもできる。
【0045】
また、前記透明・散乱切替素子は電気的に独立した複数の領域に分割されていてもよい。これにより、同一画面上における透明領域と散乱領域の混在表示が可能となり、重要な情報のみ秘密保持することが可能となる。また、反転動作を領域毎に実行することで高画質化が可能となる。更には隣接するブロックで反転極性が異なるように駆動することで、更なる高画質化が可能となる。
【0046】
また、前記表示パネル上には温度検出部材が形成され、前記透明・散乱切替素子駆動手段がこの温度検出部材の結果を用いて前記透明・散乱切替素子を駆動してもよい。これにより、前記透明・散乱切替素子の駆動条件を周囲の温度状況に合わせて最適化することができ、表示性能の向上や低電力化が可能となる。
【0047】
また、前記透明・散乱切替素子駆動手段が、前記光源を制御する回路を有し、この回路によって光源が制御されてもよい。これにより、前記透明・散乱切替素子と光源との制御が容易になり、切替タイミングの最適化が可能となる。この結果、切替時に異常な閃光が発生する現象を抑制して高画質化を実現したり、切替時の表示の輝度を低下させて狭視野角表示状態と広視野角表示状態の切替を明示することができる。
【0048】
また、前記表示パネルは外部と電源、信号を接続するための端子部を有し、この端子部と前記ゲート線駆動回路との間に前記透明・散乱切替素子駆動回路が形成されていてもよい。これにより、ゲート線駆動回路のスタート信号と電源の流用が容易になり、また透明・散乱切替素子との接続も最短にすることができる。この結果、表示装置の更なる小型化が可能になる。
【0049】
また、前記表示パネルと外部を接続するための配線と、前記透明・散乱切替素子と前記表示パネルとを接続するための配線が一体形成されていてもよい。これにより、配線の個数を削減でき、また前記表示パネルに配線を取り付ける回数を低減できるため、低コスト化が可能となる。
【0050】
また、前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に形成された薄膜トランジスタを用いて構成されていてもよく、また前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に実装されたICチップに形成されていてもよい。
【0051】
また、前記光源から出射された光の光線方向を規制して前記透明・散乱切替素子に対して出射する光線方向規制素子を有していてもよい。これにより、光源から出射した光の指向性を高めることができる。
【0052】
本発明に係る端末装置は、前記表示装置を有することを特徴とする。また、この端末装置は、携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であってもよい。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、視野角度範囲を切替可能な表示装置において、散乱を制御するための透明・散乱切替素子の駆動電源を小型化、低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図2】その構成要素である光源と導光板、光学フィルムを示す断面図である。
【図3】その構成要素である透明・散乱切替素子を示す断面図である。
【図4】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図5】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図6】本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【図7】(a)乃至(f)は、横軸に共通して時間をとり、(a)は縦軸にゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(b)は縦軸に1ビットカウンタ回路の一方の出力Qの電圧をとり、(c)は縦軸に1ビットカウンタ回路のもう一方の出力QBの電圧をとり、(d)は縦軸に出力端子VOUT1の電圧をとり、(e)は縦軸に出力端子VOUT2の電圧をとり、(f)は縦軸に制御信号VPDLCの電圧をとって、本実施形態に係る表示装置における透明・散乱切替素子駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図9】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図10】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図11】(a)乃至(f)は、横軸に共通して時間をとり、(a)は縦軸にゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(b)は縦軸に2ビットカウンタ回路の一方の出力Qの電圧をとり、(c)は縦軸に2ビットカウンタ回路のもう一方の出力QBの電圧をとり、(d)は縦軸に出力端子VOUT1の電圧をとり、(e)は縦軸に出力端子VOUT2の電圧をとり、(f)は縦軸に制御信号VPDLCの電圧をとって、本実施形態に係る表示装置における透明・散乱切替素子駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図13】その構成要素であるルーバを示す斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図15】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図16】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図17】本発明の第5の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図18】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図19】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図21】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図22】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図23】本発明の第7の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図24】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図25】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図26】本発明の第8の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図27】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図28】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図29】(a)乃至(f)は、横軸に共通して時間をとり、(a)は縦軸に左側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(b)は縦軸に右側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(c)は縦軸に1ビットカウンタ回路の入力の電圧をとり、(d)は縦軸に1ビットカウンタ回路の一方の出力Qの電圧をとり、(e)は縦軸に1ビットカウンタ回路のもう一方の出力QBの電圧をとり、(f)は縦軸に透明・散乱切替素子に印加される電圧をとって、本実施形態に係る表示装置における透明・散乱切替素子駆動回路の狭視野角状態における動作を示すタイミングチャートである。
【図30】本発明の第9の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図31】本発明の第10の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図32】その構成要素である透明・散乱切替素子の構成を示す上面図である。
【図33】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図34】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図35】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図であり、別のバリエーションを示す回路図である。
【図36】本発明の第11の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図37】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図38】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図39】本発明の第12の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図40】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図41】本発明の第12の実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【図42】その構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【図43】透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【図44】特許文献1に記載されている従来の第1の視野角制御型液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
【図45】特許文献2に記載されている従来の第2の視野角制御型液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
【図46】特許文献2に記載の従来の視野角制御型液晶表示装置に使用される照明装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置、端末装置、及び表示パネルについて添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態に係る表示装置、端末装置及び表示パネルについて説明する。図1は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図2は表示装置の構成要素である光源と導光板、光学フィルムを示す断面図であり、図3は表示装置の構成要素である透明・散乱切替素子を示す断面図であり、図4は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図5は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図であり、図6は本実施形態に係る端末装置を示す斜視図である。
【0056】
図1に示すように、本第1実施形態に係る表示装置2は、光源装置1と透過型液晶表示パネル7とより構成されている。光源装置1においては、透明材料からなる導光板3が設けられている。導光板3の形状は矩形の板状である。そして、この導光板3の1つの側面(光入射面3a)に対向する位置に、光源が配置されている。光源は、例えば、白色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)51である。この白色LED51は、導光板3の光入射面3aに沿って複数個配置されており、その個数の一例は5個である。導光板3は、光入射面3aから入射された光を、その主面(光出射面3b)から均一に出射するものである。
【0057】
導光板3の光出射面3b側には、光学フィルム4が配置されている。光学フィルム4は、導光板3から出射した光を導光板3の光出射面法線方向に偏向するためのものである。また、光学フィルム4の光出射面側に、透明・散乱切替素子122が設けられている。透明・散乱切替素子122は、光学フィルム4から入射した光をその反対側に出射する際に、この光を散乱させる状態と、散乱させずにそのまま透過させる状態とを切り替えるものである。前述の透過型液晶表示パネル7は、透明・散乱切替素子122の光出射面側に配置され、光を透過させることによりこの光に画像を付加するものである。更に、透過型液晶表示パネル7を制御するための制御回路201が設けられている。
【0058】
なお、本明細書においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。白色LED51から導光板3内に向かう方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。また、導光板3の光出射面3bに平行な方向のうち、X軸方向に直交する方向をY軸方向とする。更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、導光板3内から光出射面3bに向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、即ち、使用者に向かう方向である。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。即ち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
【0059】
上述の如く、XYZ直交座標系を設定すると、導光板3の光出射面3bはXY平面となり、白色LED51は導光板3から見て−X方向に配置され、光学フィルム4は+Z方向に配置されることになる。また、透明・散乱切替素子122は光学フィルム4から見て+Z方向に配置されることになる。
【0060】
図2は、図1に示すX軸に沿った導光板3と光学フィルム4の断面図である。なお、図2には光線の軌跡の一例が示されているが、これについては後述する。図1及び図2に示すように、光入射面3aには、LEDの配置場所に起因する光出射面3bでの面内輝度ムラを低減するため、拡散パターンが形成されている。また図2に示すように、導光板3の光拡散面3cには斜面3dが形成されている。斜面3dは、光源である白色LED51から出射され、導光板3の内部を+X方向に透過してきた光が照射される方向に傾斜している。斜面3dのX軸方向に対する傾斜角は例えば6度である。斜面3dはX軸方向に複数配列され、夫々の斜面はY軸方向に沿って導光板3の全長に亘って延びている。導光板の光出射面3bには、XY平面内で異方性を有するホログラムパターン(図示せず)が形成されている。導光板3内を伝搬し、光出射面3bより出射する光は、このホログラムパターンによりY軸方向の指向性が高められる。
【0061】
また、光学フィルム4は、平板部4aと、この平板部4aの導光板3に対向する面上に形成された複数の一次元プリズム体4bから構成されている。一次元プリズム体4bは、その稜線がY軸方向に延び、−Z方向に突出したプリズム体であり、この一次元プリズム体4bがX軸方向に沿って複数個配列されている。一次元プリズム体4bの頂角は、例えば70度に設定されている。また、一次元プリズム体4bの突出方向、即ち、一次元プリズム体4bの側面を2等分する面に平行で且つY軸方向に直交する方向は、Z軸方向と一致する。一次元プリズム体4bが形成された光学フィルム4は、導光板3から出射された光をXZ平面内で+Z方向に偏向させ、指向性高く+Z方向に出射するものである。
【0062】
前述のように、導光板の光出射面3bに形成されたホログラムパターンは、Y軸方向の指向性を高める働きがあるため、光学フィルム4から出射される光は、X軸方向及びY軸方向の双方に関して、+Z方向に指向性の高められた光となる。導光板3と光学フィルム4の材料には、加工性の容易さから透明樹脂が好適に使用されるが、本実施形態においては、屈折率が1.5であるポリメチルメタクリレート(PMMA:polymethyl-methacrylate)が使用されている。
【0063】
図3は、光学フィルム4の光出射面側に設けられている透明・散乱切替素子122の断面図である。透明・散乱切替素子122においては、相互に平行に配置された1対の透明基板109が設けられており、1対の透明基板109の対向面上には、夫々電極110が透明基板109の表面を覆うようにして設けられている。そして、1対の透明基板109間、即ち、電極110間には、PDLC(Polymer Dispersed Liquid-Crystal:高分子分散型液晶)層111が挟持されている。PDLC層111においては、高分子マトリクス111a中に液晶分子111bが分散している。PDLC層111は、例えば光硬化性樹脂と液晶材料の混合物を露光して硬化させることにより形成されたものである。
【0064】
そして、透明・散乱切替素子122においては、1対の電極110によりPDLC層111に電圧を印加することにより、PDLC層111中の液晶分子111bの配向状態が変化する。例えば、PDLC層に電界が印加されていないときは、高分子マトリクスと液晶分子の見かけの屈折率が異なるために、入射した光が散乱して出射される散乱状態となる。一方、PDLC層に電界が印加されているときは、高分子マトリクスと液晶分子の見かけの屈折率がほぼ一致して、入射した光が散乱されずに出射される透明状態となる。このようにして、透明・散乱切替素子122は、入射した光を散乱又は透過して透過型液晶表示パネル7に出射する。なお、透明・散乱切替素子には、焼き付きを防止するため、矩形波等の交流電圧が印加される必要がある。
【0065】
図4は、透過型液晶表示パネル7の構成を示すための上面図である。透過型液晶表示パネル7は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルであり、表示のために使用する画素領域7aと、この画素領域7aに存在する画素を駆動するためのゲート線駆動回路7b及びデータ線駆動回路7cと、前記透明・散乱切替素子122を駆動するための透明・散乱切替素子駆動回路7dと、透過型液晶表示パネル7とこの透過型液晶表示パネル7を制御するための制御回路201を接続するための端子部7eと、が設けられている。アクティブマトリクス型の液晶表示パネルは、画素にスイッチングのための薄膜トランジスタが設けられており、ゲート線駆動回路7bはこの薄膜トランジスタのゲートをスイッチングするための回路である。更に、ゲート線駆動回路7bはシフトレジスタより構成され、ゲート走査を実行するためのクロック信号VCLKと、スタート信号VGST、及びシフトレジスタ回路を構成するトランジスタの電源VDD及びVSSが接続されている。なお、本実施形態では、ゲート線駆動回路7bは前述の薄膜トランジスタを使用して形成されている。また、透明・散乱切替素子駆動回路7dはゲート線駆動回路7bと端子部7eとの間に配置されている。
【0066】
図5は、透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路7dの回路図である。前述のように、透明・散乱切替素子駆動回路7dは、ゲート線駆動回路7bと端子部7eとの間に配置されている。また、この透明・散乱切替素子駆動回路7dは、ゲート線駆動回路7bと同様に、薄膜トランジスタを用いて回路が形成されており、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構成となっている。更に、回路の電源としてゲート線駆動回路7bの電源VDD及びVSSが接続され、信号としてスタート信号VGSTが入力されており、更にこの回路の状態を制御するための制御信号VPDLCが入力されている。また、透明・散乱切替素子駆動回路7dには2本の出力VOUT1及びVOUT2が備えられており、この2本の出力は端子部7eを経由して、透明・散乱切替素子122の1対の電極110に接続されている。更に、透明・散乱切替素子駆動回路7dは、その構成要素として1ビットカウンタ回路7fと伝送ゲート回路7gとを有しており、1ビットカウンタ回路7fには電源VDD及びVSSと、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTが接続されており、伝送ゲート回路7gには1ビットカウンタ回路7fの一方の出力と制御信号VPDLCとが接続されている。1ビットカウンタ回路7fの出力のうち、伝送ゲート回路7gに接続されていない方の出力をQとし、接続されている方の出力をQBとすると、出力Qが出力端子VOUT1に接続されており、もう一方の出力QBが伝送ゲート回路7gを経由して出力端子VOUT2に接続されている。なお、1ビットカウンタ回路7fの一例は、トグルフリップフロップ回路であり、QBはQの反転出力である。伝送ゲート回路7gは、VOUT2への出力を制御するための回路であり、制御信号VPDLCがハイレベルの場合にはQBをそのままVOUT2に出力する。また、制御信号VPDLCがロ−レベルの場合には出力端子VOUT2を開放にする。
【0067】
図6に示すように、この表示装置2は、例えば、携帯電話9の表示部に搭載される。即ち、本実施形態に係る端末装置としての携帯電話9は、上述の表示装置2を備えている。
【0068】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。図7(a)乃至(f)は、横軸に共通して時間をとり、(a)は縦軸にゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(b)は縦軸に1ビットカウンタ回路の一方の出力Qの電圧をとり、(c)は縦軸に1ビットカウンタ回路のもう一方の出力QBの電圧をとり、(d)は縦軸に出力端子VOUT1の電圧をとり、(e)は縦軸に出力端子VOUT2の電圧をとり、(f)は縦軸に制御信号VPDLCの電圧をとって、本実施形態に係る表示装置における透明・散乱切替素子駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0069】
先ず、狭視野角表示時の動作について説明する。狭視野角表示の際には、光源となる白色LED51が発光し、透明・散乱切替素子122が透明状態になるように駆動する。白色LED51が点灯し、白色LED51から発した光は、導光板3の光入射面3aから導光板中に入射する。前述のように、光入射面3aには拡散パターンが設けられているために、導光板中に入射した光は導光板中でY軸方向にも拡散される。
【0070】
以下、この導光板3に入射した光のうち、X−Z平面内を伝搬する光に着目して、この光の光路を説明する。図2に示すように、空気と導光板3を形成する樹脂材料との屈折率の違いにより、導光板3に入射した後の光の進行方向と+X方向とがZ軸方向になす角度は、スネルの法則に基づき、41.8度より小さくなる。そこで、+X方向に対して+Z方向に41.8度傾斜した光線L1について考えることにする。
【0071】
この光線は、導光板3の光出射面3bに到達するが、Z軸方向に対する角度が48.2度であり、臨界角41.8度より大きいため、導光板3から出射せずに全反射する。同様に、光拡散面3cにおいても、斜面3d以外の領域に入射した場合には同じ角度で全反射するので、光出射面3bと光拡散面3cとの間で全反射を繰り返しつつ、白色LED51から離れる方向に伝搬することになる。この伝搬中に、光L1が、X軸方向に対する傾斜角が6度である斜面3dに入射すると、斜面3dの法線からの角度が42.2度となるが、この値は臨界角41.8度より大きいので、斜面3dから導光板3外に光は出射せず全反射する。しかし、全反射後の光L1のZ軸方向に対する角度は36.2度となり、臨界角より小さいため、光出射面3bに到達した光は導光板3から外部に出射し、出射後の角度はZ軸方向に対して62.4度となる。
【0072】
前述の如く、導光板3に入射した光は、必ず入射後のX軸方向に対する角度が41.8度以下となる。このため、この入射光が導光板3の光出射面3b又は光拡散面3cに到達したときのZ軸方向に対する角度は48.2度以上となり、全反射する。そして、この光が光出射面3b及び光拡散面3cにおいて全反射して導光板3中を伝搬する過程で、傾斜角が6度の斜面3dで全反射する度に、Z軸方向に対する光の進行方向の角度が臨界角に近づくことになり、この角度が臨界角より小さくなった時点で、光出射面3b又は光拡散面3cの平坦面から出射する。この結果、導光板3から出射した光は、XZ平面内においては、Z軸方向から約60度傾斜した方向に強い指向性を有することになる。
【0073】
導光板3からZ軸方向に対して62.4度傾斜して出射した光L1は、光学フィルム4に入射するが、一次元プリズム体4bの頂角は70度であるため、一次元プリズム体4bに入射する角度は7.4度であり、一次元プリズム体4bの内部に入射した光線の進行方向と円錐体入射面の法線との間の角度は4.9度となる。その後、光L1は一次元プリズム体4bの反対側の側面に到達するが、この側面に対する角度は面法線から65.1度となるため全反射し、Z軸から11.1度の方向に進行する。その後、光学フィルム4から出射する光L1の角度は、スネルの法則により、Z軸から16.8度の方向となる。即ち、光学フィルム4から出射した光は、XZ平面内においては、ほぼZ軸方向に強い指向性を有することになる。
【0074】
次に、Y軸方向の指向性について説明する。前述のように、白色LED51から発した光は、導光板3に入射後、少なくともXY平面内に拡散する。このY軸方向に拡散した成分の光は、前述のように光出射面に形成されたホログラムパターンにより集光されて指向性が高められる。即ち、光学フィルム4から出射される光の照射範囲としては狭い角度範囲に限定されることになる。
【0075】
そして、光学フィルム4から出射した光は、透明・散乱切替素子122に入射する。前述のように、透明・散乱切替素子122には電圧が印加され透明状態にあるため、高指向性の光は透明・散乱切替素子122により散乱されることなく、そのまま透過する。即ち、高指向性を維持した状態で透明・散乱切替素子122から出射される。この指向性が高い分布の光が、透過型液晶パネル7に入射し、画像が付加され、高指向性のまま出射する。このようにして、狭視野角で画像が表示される。
【0076】
次に、狭視野角動作時の透明・散乱切替素子駆動回路7dの動作について説明する。透明・散乱切替素子駆動回路7dを構成する1ビットカウンタ回路7fには、前述のようにゲート線駆動回路のスタート信号VGSTと電源VDD及びVSSが接続されており、図7(a)乃至(c)に示すように、この1ビットカウンタ回路7fの出力Q及びその反転出力QBはスタート信号VGSTがハイレベルになる度に、VDDとVSSの出力を交互に繰り返す。即ち、時刻t1にVGSTがハイレベルになると、出力Qはハイレベルになり、出力QBはローレベルになる。VGSTは時刻t2でローレベルに移行する。次に、時刻t3でVGSTがハイレベルになると、出力Qはローレベルになり、出力QBはハイレベルになる。VGSTは時刻t4でローレベルに移行する。時刻t5以降も同様である。このように、VGSTがハイレベルになる度に、出力Qはハイレベルとローレベルを繰り返し、出力QBはその反転信号を出力する。なお、本実施形態におけるハイレベルの電圧はVDD、ローレベルの電圧はVSSである。
【0077】
図5に示すように、1ビットカウンタ回路7fの出力Qは、そのまま出力端子VOUT1に接続されているため、図7(d)に示すように、VOUT1の波形は出力Qと同じになっている。更に、出力QBは伝送ゲート回路7gに接続されているが、前述のようにこの伝送ゲート回路7gは、制御信号VPDLCがハイレベルの際には、出力QBをそのままVOUT2に出力する。図7(e)及び(f)に示すように、時刻t5までは制御信号VPDLCがハイレベルであるため、この間のQBの信号はそのままVOUT2に出力されている。
【0078】
以上により、制御信号VPDLCがハイレベルにある間は、VGSTがハイレベルになる度に、VOUT1がハイレベルとローレベルを繰り返し、VOUT2はこの反転出力となる。前述のように、VOUT1及びVOUT2は、透明・散乱切替素子122の1対の電極110に接続されているため、PDLC層にはVDD−VSSの電圧が印加され、その極性がVGSTのハイレベルになる度に反転することになる。即ち、透明・散乱切替素子122には矩形波の電圧が印加され、この結果透明・散乱切替素子122は透明状態になる。
【0079】
次に、広視野角表示時の動作について説明する。広視野角表示の際には、光源となる白色LED51が発光し、透明・散乱切替素子122が散乱状態になるように駆動する。白色LED51から発した光は導光板3中を伝搬して、狭視野角表示時と同様に光学フィルム4から狭い角度範囲に出射される。この光は、次に透明・散乱切替素子122に入射される。透明・散乱切替素子122は電圧が印加されず散乱状態にあるため、高指向性の光は透明・散乱切替素子122により均一に散乱され、広い角度範囲に分散される。即ち、透明・散乱切替素子122によって散乱されて指向性が低下し、広角の光となる。この広範囲に広がった分布の光は、透過型液晶パネル7に入射し、画像が付加され、広角の光のまま出射する。このようにして、広視野角で画像が表示される。
【0080】
次に、広視野角動作時の透明・散乱切替素子駆動回路7dの動作について説明するが、広視野角表示時には制御信号VPDLCがローレベルに設定され、この結果図7(e)及び(f)に示すように、出力端子VOUT2には電圧は出力されない状況となる。これにより、透明・散乱切替素子122には電圧が印加されないことにより、透明・散乱切替素子122は散乱状態のままとなる。
【0081】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態に係る表示装置によれば、透明・散乱切替素子を駆動するために、透過型液晶表示素子のゲート線駆動回路の信号と電源を流用できるため、透明・散乱切替素子用の信号及び電源を新たに設ける必要がなく、表示装置の小型化、低コスト化が可能となる。更に、カウンタ回路を使用することで透明・散乱切替素子の駆動に適した矩形波を生成でき、透明・散乱切替素子の焼き付きを防止できる。また、透明・散乱切替素子を駆動する電圧の極性を、ゲート線駆動回路のスタート信号と同期して反転することができる。即ち、透過型液晶表示パネルの液晶層の極性反転のタイミングと、透明・散乱切替素子のPDLC層の極性反転のタイミングの同期を完全に取ることができるため、タイミングがずれた際に発生するフリッカを抑制することができる。更にまた、透明・散乱切替素子駆動回路の電源としてゲート線駆動回路の電源を使用することにより、PDLC層に大きな電界を印加することができる。電界が不十分な際には、低温時にPDLC層が十分駆動されず透明状態にならないため、覗き見を防止することができなくなるが、ゲート線駆動回路の電源を使用することで十分な電圧を印加でき、低温時の特性を良好に保つことができる。更にまた、透明・散乱切替素子駆動回路をゲート線駆動回路と端子部との間に配置することにより、ゲート線駆動回路のスタート信号と電源の流用が容易になり、また透明・散乱切替素子との接続も最短にすることができる。この結果、表示装置の更なる小型化が可能になる。
【0082】
本実施形態においては、透明・散乱切替素子駆動回路はCMOSトランジスタにより構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、NチャネルMOSトランジスタのみで構成されていても良いし、PチャネルMOSトランジスタのみで構成されていても良い。これにより、トランジスタを製造するプロセス数を削減できるため、低コスト化が可能となる。なお、PチャネルMOSトランジスタのみで構成した場合には、オン及びオフに対応する電圧レベルが上記説明とは逆転することになるため、この点を考慮して動作させる必要がある。
【0083】
また、透明・散乱切替素子駆動回路は透過型液晶表示パネル上に薄膜トランジスタを使用して形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、透過型液晶表示パネル上に実装されたICに内蔵されていても良い。
【0084】
更にまた、透明・散乱切替素子駆動回路の電源は、ゲート線駆動回路の電源を使用するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、他の電源を使用することも可能である。このような電源の例としては、データ線駆動回路の電源を挙げることができる。
【0085】
画素に設けられた薄膜トランジスタのゲート電極は、映像信号が入出力されるソース電極及びドレイン電極よりも大きな電圧で制御する必要がある。このため、ゲート電極を制御するためのゲート線駆動回路の出力電圧は、映像信号を出力するデータ線駆動回路よりも高電圧が必要になる。これは、ゲート線駆動回路に要求される電源電圧よりも、データ線駆動回路に要求される電源電圧の方が低いことを意味する。即ち、ゲート線駆動回路の電源を流用する代わりに、データ線駆動回路の電源を流用することで、より低い電圧で対応することができ、この結果電力の削減が可能になるため、携帯型の端末装置において大きな利点となる。このような携帯型の端末装置においては、主な使用状況は透明・散乱切替素子が透明状態である狭視野角表示となる。そこで、透明・散乱切替素子として、電圧を印加しない場合に透明状態をとるタイプの透明・散乱切替素子を使用し、データ線駆動回路の電源を流用して低電圧化した場合、低温状態において十分な散乱が得られなくなる。しかし、上述のように低温時に広視野角表示が必要とされる状況は殆どないので、大きな問題とならないず、省電力化が可能となる。このように、電圧を印加しない場合に透明状態となる透明・散乱切替素子に低電圧の電源を流用することにより、使用環境から要求される性能を満たした上で、低電力化の恩恵を享受することができる。
【0086】
電源には一般的に正極側と負極側の2通りが存在するが、正極側はゲート線駆動回路の電源を流用し、負極側はデータ線駆動回路の電源を流用するなど、正負で流用する電源を組合せることも可能である。これにより、透明・散乱切替素子を駆動するためにより適した電圧を選択することができる。また、温度状況など外部環境に応じて電源の組合せを可変とすることにより、使用環境に最適な駆動を実現することができ、表示品質と電力との最適化が可能となる。一例では、電圧を印加しない場合に散乱状態を取る透明・散乱切替素子を使用する場合、低温時に十分な透明性を得るためには高い電圧で駆動する必要があるが、ゲート線駆動回路の正負電源を流用して駆動することで高電圧駆動が可能となり、透明性を確保することができる。そして、通常の使用温度においては、駆動電圧の低減が可能となるため、データ線駆動回路の正負電源を流用して駆動することにより、低電力化が可能となる。
【0087】
更にまた、光源は白色LEDを使用するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、それ以外のLEDを使用することもできるし、冷陰極管などのLED以外の光源を使用することもできる。
【0088】
更にまた、透明・散乱切替素子はPDLC層を備えたものに限定されず、透明状態と散乱状態をスイッチングできる素子であればよい。例えば、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)を使用した素子、又はダイナミック・スキャッタリング(DS)を使用した素子であってもよい。また、本実施形態においては、PDLC層として、電圧を印加していないときは散乱状態であり、電圧印加時には透明状態であるものを使用している。これにより、透明・散乱切替素子は、散乱状態のときに電力を消費しなくなり、その分の電力を光源に割り当てることができるため、バッテリーの能力を増大させることなく、散乱状態時に光源の光量を増加できる。なお、電圧を印加していないときは透明状態であり、電圧印加時には散乱状態であるPDLC層を使用してもよい。このようなPDLC層は、高分子マトリクスを電圧を印加しながら露光して硬化させることにより作製することができる。これにより、携帯情報端末で使用頻度が高い狭視野角表示において、PDLC層に電圧を印加する必要がなくなり、電力消費を抑制することができる。また、PDLC層に使用する液晶分子としてコレステリック液晶又は強誘電性液晶等を用いてもよい。これらの液晶は、印加電圧をオフにしても電圧を印加していたときの配向状態のままであり、メモリー性がある。このようなPDLC層を使用することにより、消費電力を低減することが可能となる。
【0089】
なお、図1及び図4に示すように、透明・散乱切替素子122は、透過型液晶表示パネル7と電気的に接続されているが、この接続配線は制御回路201と透過型液晶表示パネル7との接続配線と一体化されていないものを使用することも可能である。このような配線としては、ポリイミド等の耐熱プラスチック薄膜に銅をパターニングすることで配線を形成したフレキシブルケーブルが適用でき、薄型化、軽量化の点から好適である。そして、制御回路201と透過型液晶表示パネル7を接続するフレキシブルケーブルと、透過型液晶表示パネル7と透明・散乱切替素子122を接続するフレキシブルケーブルを特に一体成型するのが好ましい。これにより、フレキシブルケーブルの個数を減らすことができ、また圧着する回数も低減できるため、低コスト化、高歩留化が可能となる。また、一体成型しない場合と比較して、透過型液晶表示パネル上での設置パターンの大きさを小さくすることができるため、小型化が可能となる。これは、一体成型しない場合には、2つのフレキシブルケーブルを圧着する時の位置すれを考慮し、マージンを設ける必要が発生するからである。
【0090】
薄膜トランジスタは、半導体として多結晶シリコンを使用したポリシリコン薄膜トランジスタを使用している。ポリシリコン薄膜トランジスタは一例では、表示パネルを構成するガラス基板上に酸化シリコン層を形成した後でアモルファスシリコン層を形成し、このアモルファスシリコン層を多結晶化してポリシリコン薄膜を形成する。多結晶化する手段としては、熱アニール法やレーザアニール法が用いられるが、特にエキシマレーザ等のレーザを使用したレーザアニール法は、ガラス基板の温度上昇を最小限に留めた上でシリコン層のみを加熱多結晶化することができるため、融点の低い無アルカリガラス等を使用することができる。これにより、低コスト化が可能となるため、低温ポリシリコンとして良く用いられている。なお、このアニール工程を省くことにより、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを実現することもできる。次に、シリコン層の上にゲート絶縁層としての酸化シリコン層を形成し、適宜パターニングする。この過程で、シリコン薄膜の半導体層として使用する部分以外の領域に適宜イオンをドーピングして、P型化若しくはN型化、或いは導体化することができる。パターニングの手法としては、感光性レジストを使用する光パターニングの手法が適用できる。一例では、感光性レジストをスピンコートした後に、ステッパ等の露光機で光を部分照射し、現像工程を経て、パターンを残す部分にのみ感光性レジストの膜を残す。その後、ドライエッチング等により感光性レジストの膜が残存しない領域のシリコン層を除去し、最後に感光性レジストの膜を剥離する。次に、ゲート電極となるアモルファスシリコン層とタングステンシリサイド層を成膜し、ゲート電極等を形成する。このとき、ゲート電極が接続する走査線や、蓄積容量線も同様に形成してもよい。次に、酸化シリコン層と窒化シリコン層を形成し、適宜パターニングした後に、アルミニウム層とチタン層を成膜し、ソース電極及びドレイン電極を形成する。このようにして、本実施形態に適用可能な薄膜トランジスタを得ることができる。なお、画素構造を実現するためには更に、窒化シリコン層を成膜し、適宜パターニングした後にITO等の透明電極を成膜、パターニングすることにより、画素電極を形成する。これにより、薄膜トランジスタを有する画素構造を形成することができる。そして、この薄膜トランジスタを用いて、ゲート線駆動回路やデータ線駆動回路、また本発明の特徴である透明・散乱切替素子駆動回路を同時に形成することができる。
【0091】
なお、1ビットカウンタ回路の一例はトグルフリップフロップ回路として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他のフリップフロップ回路を応用して構成してもよい。
【0092】
また、本実施形態においては、広視野角表示時には制御信号VPDLCがローレベルに設定されるため、伝送ゲート回路7gが開放となって、出力端子VOUT2に電圧が出力されない状況となると説明したが、広視野角表示時には出力端子VOUT1とVOUT2とが短絡されるように構成されていてもよい。これにより、広視野角表示状態に変化した際に、透明・散乱切替素子の電極に残存する電荷を素早く消失させることができるため、応答時間を短縮することが可能となる。
【0093】
更にまた、本発明の面状光源装置と組み合わせて使用する表示パネルは、液晶パネルに限定されず、光源装置を使用する表示パネルであれば使用可能である。また、液晶パネルは透過型に限定されず、各画素に透過領域が設けられたパネルであれば使用可能であり、各画素の一部に反射領域を有する半透過型液晶パネル、微透過型液晶パネル、微反射型液晶パネルでも使用可能である。更に、液晶パネルは、視野角依存性が少ないものが好ましい。これにより、広視野角表示時の階調反転を抑制できる。そのような液晶パネルのモードの例としては、横電界モードではIPS(イン・プレイン・スイッチング)方式、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)方式、AFFS(アドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチング)方式等が挙げられる。また、垂直配向モードではマルチドメイン化され視野角依存性が低減されたMVA(マルチドメイン・ヴァーティカル・アライメント)方式、PVA(パターンド・ヴァーティカル・アライメント)方式、ASV(アドヴァンスト・スーパー・ヴイ)方式等が挙げられる。更に、フィルム補償TNモードの液晶表示パネルも好適に使用することができる。なお、本発明の表示装置の構成は、上述のものに限定されるものではない。例えば、本発明は、表示パネルの上に、透明・散乱切替素子を配置する構成にも適用可能である。
【0094】
更にまた、本実施形態においては、端末装置として携帯電話を示したが、本発明はこれに限定されず、本実施形態に係る表示装置は、携帯電話のみならず、PDA(Personal Digital Assistant:個人用情報端末)、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、及びビデオプレーヤ等の各種の携帯端末装置に好適に適用することができる。また、本実施形態に係る表示装置は、携帯端末装置のみならず、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ、自動販売機等の各種の端末装置に適用することができる。
【0095】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図9は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図10は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0096】
図8に示すように、本第2実施形態に係る表示装置21は、光源装置1と透過型液晶表示パネル71とより構成されている。透過型液晶表示パネル71は、図9及び図10に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路71dが使用されている。更に、透明・散乱切替素子駆動回路7dは1ビットカウンタ回路7fを有するのに対し、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路71dは2ビットカウンタ回路71fを有している点を特徴とする。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0097】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。図11(a)乃至(f)は、横軸に共通して時間をとり、(a)は縦軸にゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(b)は縦軸に2ビットカウンタ回路の一方の出力Qの電圧をとり、(c)は縦軸に2ビットカウンタ回路のもう一方の出力QBの電圧をとり、(d)は縦軸に出力端子VOUT1の電圧をとり、(e)は縦軸に出力端子VOUT2の電圧をとり、(f)は縦軸に制御信号VPDLCの電圧をとって、本実施形態に係る表示装置における透明・散乱切替素子駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0098】
上述のように、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路71dは2ビットカウンタ回路71fを有しているため、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTが2回ハイレベルとなって、次にハイレベルとなった際に初めて出力が反転することになる。即ち、図11(a)乃至(f)に示すように、VGSTが時刻t1〜t2間で1度ハイレベルになり、時刻t2〜t3間でローレベルに変化し、時刻t3〜t4間でハイレベルになり、時刻t4〜t5間でローレベルに変化し、更に時刻t5でハイレベルになった際に、2ビットカウンタ回路71fの出力Q及びその反転出力QBは反転する。
【0099】
本実施形態においては、カウンタ回路のビット数を多くすることにより、透明・散乱切替素子の駆動周波数を低減することができる。この結果、透明・散乱切替素子の消費電力を低減することが可能となる。特に、携帯型の端末装置など、電力低減の要求が大きな場合に好適に適用可能となる。また、ビット数の異なるカウンタ回路を多数準備しておき、端末装置をバッテリ駆動する際などの電源事情に応じて使用するカウンタ回路を切替えてもよい。これにより、省電力化が必要な場合には、よりビット数の多いカウンタ回路を使用することで、透明・散乱切替素子の駆動周波数を低減でき、バッテリ残量を有効に活用することができる。そして、外部電源に接続したり、バッテリ残量が多く省電力化が不要な場合には、よりビット数の少ないカウンタ回路に切り替えて、高画質化を実現することができる。
【0100】
前述の本発明の第1実施形態においても該当することであるが、表示パネルのフレーム周波数をf1、透明・散乱切替素子の駆動周波数をf2としたとき、f1とf2が自然数倍の関係にあることが望まれる。即ち、f1がf2の自然数倍か、f2がf1の自然数倍かのどちらかが成立する必要がある。これは、この条件が満たされないとき、両者の周波数に微妙なずれが発生し、この微妙なずれが低周波のビートとなってフリッカのように観察され、表示品質が低下するからである。本発明は表示パネルにおける駆動信号の一部を透明・散乱切替素子の駆動に流用するのが特徴であるが、このように構成しない場合には、両者の周波数に微妙な差異が発生しないように両者の位相を固定する手段、一例ではPLL回路(Phase-Locked Loop、位相同期回路)が必要になり、回路構成が複雑化してしまう。本発明では表示パネルの駆動信号の一部を利用するため、簡易な構成でフリッカの発生を抑制した高画質化が可能となる。そして、この駆動信号の流用を表示パネル上で実現できるため、小型化、低コスト化が可能となる。なお、前述の第1実施形態は、f1とf2が一致する場合と考えることができる。本第2実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0101】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図12は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図13はその構成要素であり光線方向規制素子であるルーバを示す斜視図である。
【0102】
図12に示すように、本第3の実施形態に係る表示装置22は、前述の第1の実施形態に係る表示装置2と比較して、その構成要素に光線方向規制素子としてのルーバ112を有する点を特徴とする。ルーバ112は、光学フィルム4と透明・散乱切替素子122との間に配置されている。
【0103】
図13に示すように、ルーバ112は、光を透過する透明領域112aと光を吸収する吸収領域112bとが、ルーバ表面に平行な方向に交互に配置されている。透明領域と吸収領域が交互に配置されている方向は、図12に示すY軸方向に設定されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0104】
本実施形態においては、光学フィルム4から出射した光線のうち、+Z方向に対してY軸方向に一定値以上の角度で傾斜した光線は、吸収領域112bに到達して吸収されて除去される。これにより、ルーバ112は、光学フィルム4から出射した光のY軸方向における指向性を高めることができる。この結果、狭視野角表示時における斜め方向への光漏れを抑制でき、覗き見防止効果をより高めることができる。本第3実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0105】
なお、本実施形態においては、ルーバの透明領域及び吸収領域の配列方向がY軸方向である例を示したが、本発明はこれに限定されず、XY平面内において回転配置されていてもよい。これにより、ルーバと表示パネルとの間で発生するモアレを目立ちにくくでき、表示品質を向上させることができる。
【0106】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図14は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図15は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図16は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0107】
図14に示すように、本第4実施形態に係る表示装置23は、光源装置1と透過型液晶表示パネル72とより構成されている。透過型液晶表示パネル72は、図15及び図16に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路72dが使用されている。更に、透明・散乱切替素子駆動回路7dは1ビットカウンタ回路7fを有するのに対し、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路72dは分周回路72fを有している点を特徴とする。
【0108】
分周回路72fはゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの周期を分割する回路であり、一例ではゲート線駆動回路のクロック信号VCLKをカウントするカウンタ回路で構成することができる。即ち、ゲート線駆動回路のクロック信号VCLKが入力され、このクロック信号をカウントすることで、透明・散乱切替素子駆動時の極性反転のタイミングを決定することができる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0109】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。上述のように、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路72dは分周回路72fを有し、この分周回路72fはゲート線駆動回路のクロック信号VCLKをカウントするカウンタ回路を有しているため、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTがハイレベルになった後のゲート線駆動回路のクロック信号VCLKのハイレベルの数をカウントすることができる。一例では、スタート信号VGSTがハイレベルとなるタイミングの間に、クロック信号VCLKのハイレベルが2M個存在するよう表示パネルを駆動している場合について考えると、カウンタ回路はクロック信号VCLKにおけるハイレベルがM個カウントすることができる。このため、スタート信号VGSTがハイレベルになると、カウンタ回路のカウントが開始され、クロック信号VCLKのM個のカウントが完了した時点で、カウンタ回路の出力が変化する。一例では、初期ローレベルであったのが、カウント完了後にはハイレベルになる。そして、透明・散乱切替駆動回路72dは、スタート信号VGSTとカウンタ回路出力のORを取り、どちらかがハイレベルになったときに、透明・散乱切替素子の極性を反転する。これにより、スタート信号VGSTがハイレベルになるタイミングの間でも、透明・散乱切替素子の極性反転動作が実現される。
【0110】
本実施形態においては、透明・散乱切替素子の駆動周波数を表示パネルのフレーム周波数よりも高く設定することができる。一般的に周波数が低い場合には、使用者がフリッカを認識することとなり表示品質が低下するが、本実施形態においては透明・散乱切替素子の周波数を高くすることができるため、高画質化が可能となる。特に低消費電力化の要求が比較的小さい端末装置、例えばキャッシュディスペンサなどに好適に適用できる。また、低電力化のために表示パネルのフレーム周波数を低減した場合でも、透明・散乱切替素子の駆動周波数は低減せずに済むため、表示品質を保つことができる。更に、本実施形態においても、前述の第2実施形態と同様、表示パネルの周波数と透明・散乱切替素子の周波数を一定の自然数の比率に保つことができるため、低周波が発生する現象を簡素な回路構成で実現でき、表示装置の高画質化、小型化、低コスト化が可能となる。
【0111】
本実施形態におけるカウンタ回路のカウント動作は、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTがハイレベルとなるタイミングの間の半分であるM個をカウントするものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一例ではM/2個のカウントに設定することで、スタート信号VGSTがハイレベルとなるタイミングの間に、極性反転を4回実現することができ、表示パネルの周波数に対してより高い周波数で透明・散乱切替素子を駆動することができるため、更なる高画質化が可能となる。
【0112】
また、カウンタ回路のカウント数は、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTがハイレベルとなるタイミングの間の期間に、クロック信号VCLKがハイレベルとなる回数を偶数で除した回数に設定することが好ましい。これにより、極性反転の回数を偶数回に設定することができるため、透明・散乱切替素子に正負の電圧を同期間印加した状態で駆動することができる。正負の電圧の期間が一致しない場合には、時間的に平均するとDCオフセットが印加された状態となるため、透明・散乱切替素子が焼き付きを起こしてしまい、十分な透明状態、散乱状態が実現されなくなってしまう。正負電圧の期間を一致させることで、透明・散乱切替素子の状態を良好に保つことができ、表示品質の劣化を抑制することが可能となる。更に、スタート信号VGSTを用いてカウンタ回路をリセットする機能が付加されていてもよい。これにより、フレーム毎の処理を揃えることができ、フレーム毎に微妙な違いが生じてムラなどが発生する現象を抑制することができる。本第4実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0113】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図17は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図18は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図19は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0114】
図17に示すように、本第5実施形態に係る表示装置24は、光源装置1と透過型液晶表示パネル73とより構成されている。透過型液晶表示パネル73は、図18及び図19に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路73dが使用されている。更に、透明・散乱切替素子駆動回路7dは1ビットカウンタ回路7fを有するのに対し、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路73dは1ビットカウンタ回路7fに加え、遅延回路73fが追加されている点を特徴とする。
【0115】
遅延回路73fは、透明・散乱切替素子の極性を反転するタイミングを遅延する回路である。一例では、ゲート線駆動回路と同様のシフトレジスタで構成することができ、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTを入力とし、ゲート線駆動回路のクロック信号VCLKによりスタート信号VGSTのハイレベルを伝搬することで、スタート信号VGSTがハイレベルになった所定期間後にハイレベルを出力することができる。即ち、図19に示すように、スタート信号VGSTは遅延回路73fを通して、1ビットカウンタ回路7fに接続される。そして、遅延回路73fにはクロック信号として、ゲート線駆動回路のクロック信号VCLKが接続されている。遅延回路73fは、ゲート線駆動回路よりも少ない段数のシフトレジスタで構成されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0116】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。上述のように、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路73dは遅延回路73fを有している。この遅延回路は、ゲート線駆動回路よりも段数の少ないシフトレジスタであるが、一例ではゲート線駆動回路のシフトレジスタの段数の1/4であるものとする。そして、この遅延回路73fのシフトレジスタには、入力信号としてゲート線駆動回路のスタート信号VGSTが入力され、クロック信号としてゲート線駆動回路のクロック信号VCLKが入力されているため、スタート信号VGSTがハイレベルになると、このハイレベルはクロック信号VCLKに同期して、遅延回路73f中のシフトレジスタを伝搬する。そして、フレーム周期の1/4の期間後に、遅延回路73fよりハイレベル信号となって出力される。このハイレベル信号が透明・散乱切替素子の極性反転に利用されるが、これから後の動作は前述の第1実施形態と同様である。
【0117】
本実施形態においては、遅延回路の挿入により、透明・散乱切替素子の極性反転のタイミングを、表示パネルの駆動のタイミングとずらして設定することが可能となる。例えば、透明・散乱切替素子が極性反転動作に時間を必要とする場合、この時間分タイミングをずらして設定することで、更なる高画質化が可能となる。また、遅延回路は複数の遅延時間が選択でき、温度状況など外部環境に応じて遅延時間を可変とすることにより、使用環境に合わせた駆動が実現でき、高画質化が可能となる。このような遅延回路は一例では、シフトレジスタの途中段からも出力信号が取り出せるように配線しておき、状況に応じて使用する出力信号線を選択するスイッチを設けることで容易に実現できる。
【0118】
更に、本実施形態においても、前述の第2実施形態と同様、表示パネルの周波数と透明・散乱切替素子の周波数を同じに保つことができるため、低周波が発生する現象を簡素な回路構成で実現でき、表示装置の高画質化、小型化、低コスト化が可能となる。本第5実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0119】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図20は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図21は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図22は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0120】
図20に示すように、本第6実施形態に係る表示装置25は、光源装置1と透過型液晶表示パネル74とより構成されている。透過型液晶表示パネル74は、図21及び図22に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路74dが使用されている。更に、透明・散乱切替素子駆動回路7dは1ビットカウンタ回路7fを有するのに対し、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路74dはゲート線駆動回路のクロック信号VCLKをカウントするカウンタ回路74fを有している点を特徴とする。
【0121】
カウンタ回路74fは、前述の本発明の第1実施形態における1ビットカウンタ回路7fとは異なり、ゲート線駆動回路のクロック信号VCLKを所定数カウントする回路である。即ち、カウンタ回路74fにはクロック信号VCLKが入力されている。カウンタ回路74fのカウンタ数は、カウンタ回路74fの回路構成により決定されている。本実施形態では、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTがハイレベルとなるタイミングの間の期間において、クロック信号VCLKのハイレベルがM個存在するよう表示パネルを駆動している場合について考えると、この個数Mを除した際に余りが発生する数をカウントできるように構成されている。一例では、個数Mを360としたとき、カウンタ回路74fのカウント数を150となるように回路を構成しておく。カウンタ回路74fの出力は、ゲート線駆動回路のクロック信号VCLKのハイレベルが150個に達する度に、ハイレベルの出力とローレベルの出力を交互に切り替えて出力する。また、カウンタ回路74fはこの出力の反転信号も出力できるように構成されている。そしてこの2つの出力は、図22に示すように、透明・散乱切替素子の駆動に使用される。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0122】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。上述のように、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路74dは、個数Mを割り切れない数がカウント可能なカウンタ回路74fを有しており、入力信号としてゲート線駆動回路のクロック信号VCLKが接続されている。このため、クロック信号VCLKがハイレベルとローレベルを繰り返すと、その数をカウントし、所定数に達した際に、透明・散乱切替素子の極性を反転する。本実施形態においては、この数が個数Mを割り切れない値に設定されているため、フレーム毎に画面上の異なる位置に対応して、透明・散乱切替素子の極性反転が実行されることになる。本実施形態の例においては、表示画面の約1/3枚に極性反転が実効されるが、余りが発生するため、次のフレームでは極性反転の位置は画面上でずれた場所となる。そして、この極性反転の場所は、フレームに応じて異なる場所となる。
【0123】
本実施形態においては、カウンタ回路の使用により、透明・散乱切替素子の極性反転のタイミングを、表示パネルのフレーム描画のタイミングと異なるタイミングに設定でき、完全なランダムではないものの、擬似的にランダムな状況を作り出すことができる。即ち、前述の本発明の第2実施形態においては、表示パネルのフレーム周波数をf1、透明・散乱切替素子の駆動周波数をf2としたとき、f1とf2が自然数倍の関係にあること、即ちf1がf2の自然数倍か、f2がf1の自然数倍かのどちらかが成立するように構成したが、本実施形態においては、f1とf2が正なる非整数の倍数関係となっている点が特徴である。これにより、両者の周波数を意図的に変えることができ、両者の周波数が微妙にずれた場合の影響を緩和することができる。この結果、高画質化が可能となる。
【0124】
なお、本実施形態においては、個数Mよりもカウンタ回路74fのカウント数が少ない場合について説明した。これにより、透明・散乱切替素子の反転周波数を表示パネルのフレーム周波数より高く設定することが可能となる。また、個数Mよりもカウント数が大きくなるように回路構成することも可能であり、この場合には、透明・散乱切替素子の反転周波数を表示パネルのフレーム周波数より低く設定することが可能となる。
【0125】
更に、上述のように透明・散乱切替素子の極性反転の周波数と、表示パネルのフレーム反転の周波数には、非整数の関係が成立するが、この両者の値はあまり近い値とならないように設定する方が好ましい。両者の周波数が近いと低周波のビートが発生し、表示品質を損なうからである。本第6実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0126】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図23は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図24は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図25は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0127】
図23に示すように、本第7実施形態に係る表示装置26は、光源装置1と透過型液晶表示パネル75とより構成されている。透過型液晶表示パネル75は、図24及び図25に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、ゲート線駆動回路が表示領域の両側に設けられている点が異なる。即ち、画素領域7aの左側にゲート線駆動回路75bLが配置され、右側にゲート線駆動回路75bRが配置されている。そして、画素領域7aにおけるゲート線のうち、上から奇数番目のゲート線は左側のゲート線駆動回路75bLに接続され、偶数番目のゲート線は右側のゲート線駆動回路75bRに接続されている。即ち、本実施形態における透過型液晶表示パネル75は、ゲート線が1本毎に駆動される、所謂インタレース駆動のような形態になっている。このような構成を採用する状況としては、表示パネルが非常に高精細であり、従来の片側配置ではゲート線駆動回路の出力線のピッチが対応できない場合などが挙げられる。即ち、ゲート線駆動回路の従来の限界を超えた高精細化が可能となる。また、液晶層に印加される電圧の極性を反転する場合、通常のライン反転では一行毎に画素電極と対向電極の極性を反転する必要があるため、反転の際に各種電極間のカップリングに起因する電力ロスが問題となり、また反転に必要な時間分だけライン数が制限されるという問題が発生する。これに対して、上記の駆動においては、奇数行を全て同極性で描画し、極性反転した後に偶数行を全て同極性で描画することになるため、反転の割合を大幅に低減した上でライン反転と同じ画質を実現できる。この結果、低電力化が可能になり、またライン数を増やすことも可能となる。
【0128】
ゲート線駆動回路75bL及び75bRにおいては、クロック信号VCLKは共通のものが使用される一方で、スタート信号はそれぞれ異なる2系統が準備されている。左側ゲート線駆動回路75bL用のスタート信号はVGSTLであり、右側ゲート線駆動回路75bR用のスタート信号はVGSTRである。この両者のスタート信号は、奇数番目のゲート線と偶数番目のゲート線とを交互に駆動するため、ハイレベルとなるタイミングが交互に出現するように制御されている。
【0129】
更に、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路75dは、本発明の第1実施形態における透明・散乱切替素子駆動回路7dと比較して、1ピットカウンタ回路7fの入力の前段にOR回路75fが付加されている点が異なる。そしてOR回路75fには、左側ゲート線駆動回路75bLのスタート信号VGSTLと、右側ゲート線駆動回路75bRのスタート信号VGSTRが入力されている。即ち、このOR回路は、2つのスタート信号VGSTL又はVGSTRのどちらかがハイレベルの時にハイレベルを出力する役割を担っている。これにより、本実施形態における透明・散乱切替素子駆動回路75dは、スタート信号VGSTL、VGSTRのどちらかがハイレベルとなった時に、透明・散乱切替素子を極性反転する機能を有する。
【0130】
本実施形態における透明・散乱切替素子駆動回路75dは、前述の第1実施形態と同様、ゲート線駆動回路と端子部との間に配置されることが好ましいが、特に本実施形態においては左右2系統のゲート線駆動回路が存在するため、左右どちらかのゲート線駆動回路と端子部との間に配置すればよい。なお、左右に同様に透明・散乱切替素子駆動回路75dを配置して駆動能力を高めたり、どちらか一方が故障した際の予備として動作させることも可能である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0131】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。上述のように、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路75dは、左右2系統のゲート線駆動回路のスタート信号VGSTL、VGSTRの少なくとも一方がハイレベルの時に透明・散乱切替素子を極性反転するように構成されている。このため、左側のゲート線駆動回路75bLのスタート信号VGSTLがハイレベルになると、奇数行のゲート線の走査が開始されると共に、透明・散乱切替素子の極性が反転される。そして次に、右側のゲート線駆動回路75bRのスタート信号VGSTRがハイレベルになると、偶数行のゲート線の走査が開始されると共に、透明・散乱切替素子の極性が反転される。このように、左右のゲート線駆動回路のスタートと同期して、透明・散乱切替素子の極性反転を実行することができる。
【0132】
本実施形態においては、左右2系統のゲート線駆動回路の動作タイミングを流用することにより、透明・散乱切替素子の極性反転の周波数を上げることができ、高画質化が可能となる。また、カウンタ回路やシフトレジスタ回路を利用して極性反転の周波数を上げる方法と比較して、少ないトランジスタ数で実現することができるため、低電力化や信頼性の向上、歩留向上による低コスト化等が可能となる。
【0133】
更に、本実施形態に係る透明・散乱切替素子駆動回路には左右のゲート線駆動回路のスタート信号が入力されるものとして説明したが、それぞれの回路の配置によっては、一方のスタート信号のタイミングがゲート線駆動回路に対してずれる可能性がある。例えば、透明・散乱切替素子駆動回路を左側のゲート線駆動回路と端子部との間に配置した場合、左側のゲート線駆動回路よりも右側のゲート線駆動回路の方が離れて配置されることになる。この結果、左側のゲート線駆動回路からのスタート信号は遅延が少なく所定のタイミングで動作することができるが、右側のゲート線駆動回路からのスタート信号には遅延が発生するため、タイミングがずれてしまう。この遅延が発生した結果、透明・散乱切替素子の極性反転のタイミングが狂い、正極性の時間と負極性の時間がアンバランスになる。この結果、時間的に平均すると望ましくないDCオフセットが印加されることになり、透明・散乱切替素子が焼き付きを起こしてしまい、十分な透明状態、散乱状態が実現されなくなってしまう。正負電圧の期間を一致させることが、透明・散乱切替素子の状態を良好に保つ上で重要であるが、このためには、距離が離れて配置されたゲート線駆動回路からのスタート信号の遅延を小さくするのが一つの手段となる。一例では、ガラス基板上の配線を利用すると抵抗が大きく遅延が大きくなるので、端子部を通してフレキシブルケーブルなどの外部配線上で接続するのが好ましい。また、別の手段として、近距離に配置されたゲート線駆動回路からのスタート信号を遅延させる方法も考えられ、遅延回路を挿入することで実現することができる。更には、回路配置のスペースが確保できる場合には、左右のゲート線駆動回路から略等距離の位置に透明・散乱切替素子駆動回路を配置することで、左右の遅延を同等にすることができる。これらの方法により、透明・散乱切替素子の焼き付きを低減することができるため、表示品質の劣化を抑制することが可能となる。本第7実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0134】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図26は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図27は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図28は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0135】
図26に示すように、本第8実施形態に係る表示装置27は、光源装置1と透過型液晶表示パネル76とより構成されている。透過型液晶表示パネル76は、図27及び図28に示すように、前述の第7実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、ゲート線駆動回路が表示領域の両側に設けられている構成は同じであり、透明・散乱切替素子駆動回路76dが使用されている点が異なる。
【0136】
透明・散乱切替素子駆動回路76dは、主たる構成は前述の透明・散乱切替素子駆動回路75dと同様であるが、OR回路75fの入力として右側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTRが接続されていた部分に、AND回路76fと1ビットカウンタ回路7fが増設されている点が異なる。1ビットカウンタ回路7fにはスタート信号VGSTRが入力され、この1ビットカウンタ回路7fの出力Qとスタート信号VGSTRがAND回路76fの入力となっている。この結果、AND回路76fは、スタート信号VGSTRがハイレベルとなる周期を2倍にすることができる。これにより、透明・散乱切替素子駆動回路76dは、透明・散乱切替素子を周波数変調して駆動することが可能となる。なお、本実施形態においては、2個の1ビットカウンタ回路7fを有する構成となるが、一方は前述の第7実施形態と同様に透明・散乱切替素子に接続されるものであり、もう一方はAND回路76fの入力段に接続されるものである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第7の実施形態と同様である。そのため、図23、図24、及び図25と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0137】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。図29(a)乃至(f)は、横軸に共通して時間をとり、(a)は縦軸に左側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(b)は縦軸に右側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTの電圧をとり、(c)は縦軸に1ビットカウンタ回路の入力の電圧をとり、(d)は縦軸に1ビットカウンタ回路の一方の出力Qの電圧をとり、(e)は縦軸に1ビットカウンタ回路のもう一方の出力QBの電圧をとり、(f)は縦軸に透明・散乱切替素子に印加される電圧をとって、本実施形態に係る表示装置における透明・散乱切替素子駆動回路の狭視野角状態における動作を示すタイミングチャートである。
【0138】
図29(a)乃至(f)に示すように、まず奇数行のゲート線を順次走査するため左側のゲート線駆動回路のスタート信号VGSTLがハイレベルとなると、OR回路75fの出力もハイレベルとなり、透明・散乱切替素子に接続された方の1ビットカウンタ回路7fが出力反転し、透明・散乱切替素子の駆動電圧の極性は反転される。次に、偶数行のゲート線を順次走査するため右側のゲート線駆動回路のスタート信号VGSTRがハイレベルとなるが、前述のようにこの信号はAND回路76fの入力段に接続された1ビットカウンタ回路7fに入力される。すると、この1ビットカウンタ回路7fの出力はハイレベルに反転し、次のAND回路76fではスタート信号VGSTRとのANDが取られ、両方ハイレベルとなって、OR回路75fに入力される。この結果、透明・散乱切替素子の駆動電圧極性は反転される。次に、左側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTLがハイレベルとなった場合は、前述と同様である。そして次に、右側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTRがハイレベルとなると、AND回路76fの入力段に接続された1ビットカウンタ回路7fの出力はローレベルに反転する。すると、AND回路76fの出力はローレベルのままであるため、透明・散乱切替素子の駆動電圧極性は反転されない。即ち、右側ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTRがハイレベルとなったとき、それが偶数番目であれば、極性反転は実行されないことになる。この結果、図29(f)に示すように、透明・散乱切替素子は2つの周期が混合された周波数変調で駆動されることになる。なお、本実施形態における駆動方法では、正負の極性が交互に印加されているため、
時間平均するとDCオフセットは発生していない点も特徴である。広視野角時、即ち透明・散乱切替素子が駆動されない場合の動作は、前述の本発明の第1実施形態と同様であるため、省略する。
【0139】
本実施形態においては、左右2系統のゲート線駆動回路の動作タイミングを流用し、それぞれのスタート信号に異なる前処理を施すことによって、透明・散乱切替素子の極性反転の周期を周波数変調することができる。前述のように、周波数を高くすると高画質化は可能になるものの、電力消費が大きくなり、周波数を低くすると電力消費は低減できるものの、画質が劣化する傾向にある。本実施形態においては、低電力の状態と高画質の状態を周期的に組合せて駆動することにより、低電力性と高画質化を両立することが可能となる。そして、本実施形態においては、周波数変調しているにもかかわらずDCオフセットの発生を抑制することができるため、透明・散乱切替素子の焼き付きを低減でき、表示品質の劣化を抑制することが可能となる。なお、DCオフセットの発生を抑制するには、正負極性で駆動される時間の割合が同等になることが重要である。
【0140】
なお、前述の本発明の第2実施形態においては、2ビットカウンタ回路を使用して周波数を低減したが、本実施形態に示すように1ビットカウンタ回路の前段に前処理用の回路を配置することによって、同様に周波数を低減することも可能である。本第8実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第7実施形態と同様である。
【0141】
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図30は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【0142】
図30に示すように、本第9実施形態に係る表示装置28は、光源装置12と透過型液晶表示パネル73とより構成されている。即ち、前述の本発明の第5実施形態と比較して、透過型液晶表示パネルの構成は同じであり、光源装置の構成が異なっている。そして、光源装置12においては、透明・散乱切替素子122aが使用されている。透明・散乱切替素子122aはポリマー化強誘電性液晶を使用するなどして、数μs以下の高速なスイッチングを可能にしたものである。なお、透明・散乱切替素子駆動回路73dの遅延回路73fは、その遅延時間がゲート線走査時間とほぼ同等となるように設定されている。即ち、この遅延回路73fはシフトレジスタを用いて構成することができるが、本実施形態ではゲート線駆動回路と同じ段数のシフトレジスタが用いられている。そして、ゲート線走査期間後にブランキング期間が設けられており、この両者の期間を合わせて60Hzのフレームレートが実現されている。ブランキング期間は、高速な透明・散乱切替素子122aの光学的なスイッチングが完了する時間分確保されている。なお、ここでの光学的なスイッチングとは、透明・散乱切替素子を極性反転した際に発生する、光学的状態の微妙な変化を指す。本来、透明・散乱切替素子は、双極性であれば電気的な極性が反転しても同じ光学状態を保つ筈であるが、現実にはポリマー中での液晶層の状態やイオンの影響、そして駆動電圧の微妙な変動などで、極性反転の前後で変化が観察され、問題となることがある。一般的に極性反転の周波数が高ければ観察者はこの変化を視認できないが、低電力化のため周波数を低減すると問題になる。また、周波数が高い場合でも、表示パネルのフレーム描画との関係で低周波のビートとなって観察されてしまうことがある。本実施形態は、この極性反転に起因する過渡的な変化を、表示パネルのブランキング期間中に実行することで、高画質化を実現するものである。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第5の実施形態と同様である。そのため、図17と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0143】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。上述のように、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路73dは遅延回路73fを有しており、この遅延回路73fの遅延時間はゲート線の走査時間とほぼ同等となるように構成されている。このため、ゲート線駆動回路のスタート信号VGSTがハイレベルとなると、ゲート線駆動回路によるゲート線の走査が開始され、同時に遅延回路73fのシフトレジスタもハイレベルの伝搬を開始する。そして、ゲート線の走査が完了した段階で、同時に遅延回路73fのシフトレジスタのハイレベル伝搬も完了し、透明・散乱切替素子の反転動作が実行される。前述のように、本実施形態における透明・散乱切替素子は非常に高速な動作が可能であり、またブランキング期間、即ちゲート線の走査が完了してから、次のフレームの走査が開始されるまでの期間も、透明・散乱切替素子の光学的なスイッチングが完了する程度に設定されている。この結果、電気的な反転動作が実行されると、次のフレームのゲート線走査が開始されるまでに、透明・散乱切替素子の光学的なスイッチングを完了することができる。これにより、表示パネルの描画と透明・散乱切替素子の極性反転のタイミングとが重なるのを防ぐことができるため、透明・散乱切替素子の極性反転動作に起因する過渡変化の影響を低減でき、高画質化が可能となる。
【0144】
なお当然のことであるが、遅延回路73fとゲート線駆動回路は同じ回路であるため、共通化することが可能である。即ち、ゲート線駆動回路の最終段の出力を、1ビットカウンタ回路7fの入力に使用するのである。これにより同様に、ゲート線走査の終了後に透明・散乱切替素子の反転動作が可能となる。そして、回路規模を大幅に削減することができるため、低コスト化、高信頼性化、低消費電力化が可能となる。
【0145】
本実施形態においては、ブランキング期間中に透明・散乱切替素子の光学的なスイッチングが完了するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、完全にスイッチングが完了しなくても、スイッチングの主たる部分をブランキング期間に設定することで、効果を発揮することができる。また、極性反転は正から負、負から正の2通り、即ち透明・散乱切替素子を構成する一方の電極を基準に取ると他方の電極の方が正極性か負極性となり、この状態変化に2通りが存在することになるが、両者の光学的なスイッチングに時間的な違いが存在する場合には、少なくとも高速な方に適用することで、効果を発揮することもできる。本第9実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第5実施形態と同様である。
【0146】
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図31は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図32は光源装置の構成要素である透明・散乱切替素子の構成を示す上面図であり、図33は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図34は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図であり、図35は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図であり、図34とは別のバリエーションを示す回路図である。
【0147】
図31に示すように、本第10実施形態に係る表示装置29は、光源装置13と透過型液晶表示パネル77とより構成されている。光源装置13は図31に示すように、前述の第1実施形態に記載の光源装置1と比較して、透明・散乱切替素子122の代わりに、透明・散乱切替素子122bが使用されている点が異なる。図32に示すように、透明・散乱切替素子122bは、透明・散乱状態を切替可能な領域が複数のブロックに分割され、それぞれ独立に制御可能な状態となっている。このような行ブロック単位の分割は、透明・散乱切替素子を構成する透明電極を分割することにより、実現することができる。なお、本実施形態における分割方向は、ゲート線が配列する方向である縦方向に設定され、複数の行ブロック単位に分割されている。分割数であるが、本実施形態においては説明の都合上4分割とし、+X方向からーX方向に向かって、1番目の行ブロック122b1、2番目の行ブロック122b2、3番目の行ブロック122b3、4番目の行ブロック122b4が配列しているものとして説明する。当然のことながら、本発明はこの分割数や分割方法に限定されるものではない。
【0148】
透過型液晶表示パネル77は、図33及び図34に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路77dが使用されている。更に、透明・散乱切替素子駆動回路7dは1ビットカウンタ回路7fを1つ有するのに対し、本実施形態の透明・散乱切替素子駆動回路77dは4つの1ビットカウンタ回路7fとゲート線駆動回路7bを構成するシフトレジスタ回路と同様の構成のシフトレジスタ回路77fを有している点を特徴とする。即ち、両者のシフトレジスタの段数は略同等である。そして、シフトレジスタ回路77fにはゲート線駆動回路7bを構成するシフトレジスタ回路と同様、スタート信号VGSTとクロック信号VCLKが入力されている。シフトレジスタ回路77fは、その段数を4分割したときのそれぞれ初段の出力が、それぞれの1ビットカウンタ回路7fに接続されている。即ち、シフトレジスタ回路77fの段数を360段とすると、1段目、91段目、181段目、271段目の出力が、それぞれ4つの1ビットカウンタ回路7fに接続されている。4つの1ビットカウンタ回路4fは、透明・散乱切替素子122bの4つの行ブロックをそれぞれ駆動するように配線されている。そして、この4つの行ブロックへの配線は、全て同様に構成されている。1行目の行ブロック122b1に接続される端子は、VOUT11とVOUT21である。同様に、2行目の行ブロック122b2にはVOUT12とVOUT22が接続され、3行目の行ブロック122b3にはVOUT13とVOUT23が接続され、4行目の行ブロック122b4にはVOUT14とVOUT24が接続される。なお、この配線は、端子部7eを経由して接続されている。また、透明・散乱駆動素子の駆動をオン・オフする伝送ゲート回路7gは、透明・散乱切替素子のそれぞれの行ブロックに対応して配置され、それぞれの行ブロックを個別にオン・オフ制御可能なように構成されている。制御信号の名称は、VPDLCb1、VPDLCb2、VPDLCb3、VPDLCb4である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0149】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。ゲート線の走査を開始するため、ゲート線駆動回路7bのスタート信号VGSTがハイレベルになると、透明・散乱切替素子駆動回路77dを構成するシフトレジスタ回路77fの入力もハイレベルとなり、ゲート線駆動回路7bと同様に、このハイレベルのデータをシフトレジスタ回路77fは内部に伝送させる。そして、まずシフトレジスタ回路77fの1段目がハイレベルになると、透明・散乱切替素子122bの1番目の行ブロック122b1に接続された1ビットカウンタ回路が動作し、1番目の行ブロック122b1を反転動作させる。同様に、シフトレジスタ回路77fの91段目がハイレベルになると、2番目の行ブロック122b2を反転動作させ、以降同様に、181段目がハイレベルとなることで3番目の行ブロック122b3、271段目がハイレベルとなることで4番目の行ブロック122b4を順次反転動作させる。このようにして、透明・散乱切替素子を面内で走査することができる。更には、それぞれの行ブロックに接続された伝送ゲート回路7gを個別にオフすることで、表示面内に透明状態と散乱状態とを同時に実現することができる。
【0150】
本実施形態においては、特に同一画面上に透明状態と散乱状態とを混在することができるため、特に機密性の高い表示部のみを狭視野角状態とする使用方法が可能となる。更には、透明・散乱切替素子を分割駆動することができるため、面内一様に駆動する場合よりも空間周波数を高めることができ、この結果フリッカ抑制など高画質化が可能となる。
【0151】
なお、本実施形態においては、4つの行ブロックは同様に配線されるものとして説明したが、図35に示すように、VOUT1とVOUT2への配線を入れ替えて接続することにより、極性を入れ替えることが可能となる。そして、隣接する行ブロックに対して極性が反転するように接続することで、表示パネルのライン反転と同様に、反転に伴うフリッカ等の表示品質の劣化を抑制することができるため、更なる高画質化が可能となる。図35においては、1番目と3番目の行ブロックへの配線は図34と同様であり、これに対して2番目と4番目の行ブロックへの配線が入れ替えてある。
【0152】
また、本実施形態においては、透明・散乱切替素子上の4つの行ブロックと透明・散乱切替素子駆動回路との接続は端子部7eを経由して接続されるものとして説明したが、これにより端子部の面積を低減できるため小型化が容易になり好ましい。他の例として、4つの行ブロックへの対応を優先させ、表示領域の横、即ち+Y方向側の額縁領域で接続する方法も考えられるが、前述の方法と比較すると、表示領域の横に新たな端子部が必要となってしまい、小型化の点からは好ましくない。ただし、表示領域の横に端子部を設けることで、透明・散乱切替素子上の配線パターンを簡素化することができるため、コスト低減の上では有利である。表示装置に求められる要求に応じて、適宜最適な方法を選択することができる。
【0153】
更に、シフトレジスタ回路77fの入力段に遅延回路を設けることで、表示パネルの走査と意図的にタイミングをずらして最適化を図ることも可能である。更には、透明・散乱切替素子の行ブロックの走査方向を表示パネルの走査方向と逆方向に設定してもよく、高画質かが可能となる。また、1ビットカウンタ回路の一部を2ビットカウンタ回路に置き換えて、面内で異なる反転周期を混在させることも可能である。例えば、画面の上部や下部など、重要な情報が表示される確率が比較的低い部分の反転周期を大きくすることで、画面全体の画質を実用上大きく損なうことなく、低消費電力化が可能になる。逆に注目度の高い情報が表示される確率の高い領域の反転周期を小さくして、その部分の高画質化を実現することもできる。また、本実施形態はシフトレジスタ回路を用いて構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の回路を使用して同等の効果を発揮させることもできる。一例では、前述の第4実施形態同様に、カウンタ回路を用いて構成してもよい。本第10実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0154】
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図36は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図37は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図38は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0155】
図36に示すように、本第11実施形態に係る表示装置29は、光源装置14と透過型液晶表示パネル78とより構成されている。光源装置14は図36に示すように、前述の第1実施形態に記載の光源装置1と比較して、透明・散乱切替素子122の代わりに、透明・散乱切替素子122cが使用されている点が異なる。透明・散乱切替素子122cはメモリ性を有し、電圧を印加しなくても直前の状態を保持することができる。一例では、正極性の電圧を印加すると透明状態となり、オフした後でもこの透明状態を保つことができる。そして、負極性の電圧を印加すると散乱状態となり、オフした後でも散乱状態を保つことができる。このような機能を有する透明・散乱切替素子は、メモリー性を有する液晶、一例では強誘電性液晶に対し配向性のポリマーを混在させ、偏光板を付加して特定の偏光方向のみを利用するように設定することで、容易に実現可能である。
【0156】
透過型液晶表示パネル78は、図37及び図38に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路78dが使用されている。そして、透明・散乱切替素子駆動回路78dの基本的な構成は前述の透明・散乱切替素子駆動回路7dと同様であるが、1ビットカウンタ回路7fの入力が制御信号VPDLC2となっており、伝送ゲート回路7gの制御信号VPDLC2と同じである点が異なる。制御信号VPDLC2はハイレベルとローレベルをとるが、伝送ゲート回路7gにおいては、ハイレベルの際に入力信号をそのまま出力し、ローレベルの際には入力と出力を切断し、スイッチの役割を果たす。そして本実施形態においては、制御信号VPDLC2は、透明状態と散乱状態とを切り替える際にハイレベルを取り、それ以外の場合にはローレベルとなる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0157】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。制御信号VPDLC2がハイレベルになると、1ビットカウンタ回路7fの入力がハイレベルとなり、1ビットカウンタ回路7fからは所定の電圧が出力される。一例では、Qがハイレベルであり、QBがローレベルである。そして、制御信号VPDLC2がハイレベルである間は伝送ゲート回路7gがオン状態となるため、VOUT1にはハイレベルが出力され、VOUT2にはローレベルが出力される。この結果、透明・散乱切替素子122cは透明状態となる。そして、制御信号VPDLC2がローレベルとなると、透明・散乱切替素子122cの駆動はオフとなるが、前述のメモリ性により透明状態が保たれる。
【0158】
次に制御信号VPDLC2がハイレベルとなるのは、透明・散乱切替素子122cを散乱状態に切り替える場合である。制御信号VPDLC2がハイレベルとなると、1ビットカウンタ回路7fの入力がハイレベルとなるが、1ビットカウンタ回路7fは透明状態を記憶しているため、反転情報を出力することになる。即ち、Qがローレベルとなり、QBがハイレベルとなる。そして、制御信号VPDLC2がハイレベルである間は伝送ゲート回路7gがオン状態となるため、VOUT1にはローレベルが出力され、VOUT2にはハイレベルが出力される。この結果、透明・散乱切替素子122cは散乱状態となる。そして、制御信号VPDLC2がローレベルとなると、透明・散乱切替素子122cの駆動はオフとなるが、前述のメモリ性により散乱状態が保たれる。このように透明・散乱切替素子122cのメモリ性を活用することで、ゲート線駆動回路の電源のみを流用して、駆動することが可能となる。
【0159】
本実施形態においては、表示パネル上の既存の回路に使用されている電源、一例ではゲート線駆動回路に用いられる電源などを流用することにより、透明・散乱切替素子を駆動することができる。また、メモリ性を有する透明・散乱切替素子を好適に駆動することができ、低消費電力化が可能となる。更に、メモリ性を有する透明・散乱切替素子を使用することで、通電の必要な回路規模も小規模に構成でき、また回路動作も切替時のみに留めることができるため、本構成の駆動回路と組み合わせることで、更なる低消費電力化、高歩留化による低コスト化などが可能となる。そして、反転駆動の必要な他の透明・散乱切替素子と比較した場合、透明状態や散乱状態において反転駆動が不要となるため、反転動作に伴う表示品質の劣化を抑制することができ、高画質化が可能となる。
【0160】
なお、本実施形態における透明・散乱切替素子の駆動回路は1ビットカウンタ回路を使用する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、正極性と負極性の電圧を印加した後に電圧を印加しない状態にすることができれば、好適に使用することが可能である。他の例としては、制御線を2本準備しておき、中点オフ付きの3モードトグルスイッチをヒューマンインターフェースとして使用する形態が考えられる。例えば、トグルスイッチを左側に倒すと透明・散乱切替素子には正極性の電圧が印加され、トグルスイッチから手を放すと自動的に中点の開放状態となる。右側に倒せば負極性の電圧が印加され、手を放すことで自動的にオフとなる。この場合、透明・散乱切替素子駆動回路は、2本の制御線が入力され、正負の電圧を選択する単なるスイッチで構成することができ、最も小規模な回路で構成することができる。本第11実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0161】
次に、本発明の第12の実施形態について説明する。図39は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図40は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図である。
【0162】
図39に示すように、本第12実施形態に係る表示装置210は、光源装置1と透過型液晶表示パネル79とより構成されている。透過型液晶表示パネル79は、図40に示すように、前述の第1実施形態に記載の透過型液晶表示パネルと比較して、透明・散乱切替素子駆動回路7dの代わりに透明・散乱切替素子駆動回路78dが使用されている。そして、透過型液晶表示パネル79上には、周期の温度を検出する温度検出回路78fが搭載され、この温度検出回路78fの出力は透明・散乱切替素子駆動回路78dに入力されている。温度検出回路78fは公知の技術(例えば特開2006-71564号公報など)を使用して構成され、薄膜トランジスタが使用されている。透明・散乱切替素子駆動回路78dは、温度検出回路78fからの入力に基づき、透明・散乱切替素子を駆動するための出力電圧を可変できるように構成されている。一例では、低温状態において出力電圧を大きくし、温度が上昇するに連れて出力電圧を低減するように構成されている。即ち、本実施形態においては、周囲の温度を検出する温度検出回路が用いられ、この温度検出回路の結果を利用して透明・散乱切替素子駆動回路が透明・散乱切替素子を駆動する電圧範囲を可変としている点が大きな特徴である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0163】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作及び効果、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法とその効果について説明する。温度検出回路78fが周囲の温度状況を監視し、低温状態であることを検出すると、この情報が透明・散乱切替素子駆動回路78dに入力される。すると、透明・散乱切替素子駆動回路78dは、温度検出回路78fからの入力情報に基づき、透明・散乱切替素子を駆動するための出力電圧を大きくする。一般的に、透明・散乱切替素子は低温状態において応答速度が低下するため、透明状態と散乱状態との切替が遅くなるが、駆動電圧を大きくすることで高速な応答が可能となる。これにより、低温状態にも係わらず狭視野角表示と広視野角表示との高速な切替が可能となる。一方で、温度検出回路78fが温度上昇を検出すると、この情報が透明・散乱切替素子駆動回路78dに入力される。すると、透明・散乱切替素子駆動回路78dは、温度検出回路78fからの入力情報に基づき、透明・散乱切替素子を駆動するための出力電圧を小さくする。温度が上昇した場合、透明・散乱切替素子は低電圧化が可能であり、高電圧で駆動を続けるのは消費電力低減の点で好ましくない。本実施形態のように動作させることで、低電力化が可能となる。このような制御は、外気温が低い場合に、端末装置を始動時する際に非常に有効である。始動時は低温状態であるが、端末装置を暫く使用すると、光源の発熱等で透明・散乱切替素子は温度上昇するので、駆動電圧を低減して低電力化を実現でき、高速な切替と両立することができる。また、図39に示すように、表示パネルは透明・散乱切替素子と近接して配置されているため、温度検出回路を表示パネル上に設けることで、透明・散乱切替素子の状態をより正確に検出することができ、制御の高精度化が可能となる。
【0164】
本実施形態における温度検出部材は、1個が使用されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数個使用することも可能である。これにより、検出の高精度化が可能となる。また、複数個の温度検出回路を光源に対して異なる位置に配置することにより、透明・散乱切替素子の温度むらを検出し、この点を考慮して駆動に反映することが可能となる。一例では、光源に近い端子部のみならず、端子部から最も離れた表示パネル上、図39における表示パネルの+X方向の端に配置するのが好ましい。光源に近い領域は早く温度上昇するが、光源から離れた領域は暖まるのに時間がかかるので、全体の温度が一定になるまでは駆動電圧を低減しないなど、細かな制御が可能になる。一部に低温領域が残存する状態で駆動電圧を低減してしまうと、その領域のみ応答速度が低いので、切替時にむらとなって観察されるという問題が発生するからであり、上記構成によりこの問題を解決することができる。
【0165】
なお、本実施形態においては、温度検出回路からの情報に基づき、透明・散乱切替素子の駆動電圧を調整する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、温度情報を用いて何らかの制御をする場合に好適に適用できる。他の例としては、透明・散乱切替素子を駆動する電圧の極性反転周期を調整する場合などが考えられる。低温状態においては、透明・散乱切替素子の透明・散乱切替層中に含有されるイオン等不純物の移動度も低下するので、極性反転の周期を大きくしてもあまり問題とならない。また、低温状態においては、表示品質よりもバッテリの長時間化の方が望まれる傾向にある。そこで、低温時に反転周波数を低減することで、バッテリの長寿命化が可能となる。そして、前述の電圧制御と組合せることで、切替時の応答速度は保ちつつ、低電力化することも可能となる。本第12実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0166】
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。図41は本実施形態に係る表示装置を示す斜視図であり、図42は表示装置の構成要素である透過型液晶表示パネルの構成を示す上面図であり、図43は透明・散乱切替素子を駆動するために使用する透明・散乱切替素子駆動回路の回路図である。
【0167】
図41に示すように、本第13実施形態に係る表示装置211は、光源装置15と透過型液晶表示パネル70とより構成されている。光源装置15は図41に示すように、前述の第1実施形態に記載の光源装置1と比較して、光源駆動回路5が設けられている点が異なる。そして、光源駆動回路5は、制御線を介して、透過型液晶表示パネル70と接続されている。図42及び図43に示すように、透過型液晶表示パネル70上には、透明・散乱切替素子駆動回路70dが構成されているが、光源駆動回路5を制御するための制御線は、この透明・散乱切替素子駆動回路70dに接続されている。透明・散乱切替素子駆動回路70dの光源駆動回路5に対する出力がハイレベルの場合には、光源駆動回路5は白色LED51を狭視野角表示用に調整し、ローレベルの場合には広視野角用に調整するよう構成されている。即ち、本実施形態における透明・散乱切替素子駆動回路70dは、光源駆動回路5を制御する役割も兼ねている。
【0168】
図43に示すように、透明・散乱切替素子駆動回路70dは、基本的な構成は前述の透明・散乱切替素子7dと同様であるが、透明・散乱切替素子の透明状態と散乱状態とを切り替えるための制御信号VPDLCが伝送ゲート回路7gだけでなく遅延回路73fにも接続されている点が異なる。遅延回路73fは所定段数のシフトレジスタ回路から構成され、その電源はゲート線駆動回路と共通であり、そのクロックはゲート線駆動回路のクロック信号VCLKが接続されている。そして、遅延回路73fの出力はOR回路75fに入力されている。OR回路75fには、制御信号VPDLCも入力されており、OR回路75fはこの制御信号VPDLCと遅延回路73fの出力のOR演算を実行するよう構成されている。そしてOR回路75fの出力はVLED端子に接続され、このVLED端子には光源駆動回路5を制御するための制御線が接続される。遅延回路73fの段数は、透明・散乱切替素子が透明状態から散乱状態に切り替わる際に必要な時間に設定されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。そのため、図1、図4、及び図5と同様の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0169】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示装置の動作、即ち、本実施形態に係る表示装置の駆動方法について説明する。まず、狭視野角表示状態について説明する。制御信号VPDLCがハイレベルの際には、透明・散乱切替素子が駆動され、透明状態となる。そして、極性反転動作が実行されるのは、前述の第1実施形態と同様である。本実施形態においては、遅延回路73fを通して光源駆動回路5を制御する信号もハイレベルであるため、光源駆動回路5は白色LED51を狭視野角表示用に調整する。一方で、制御信号VPDLCがローレベルの際には、透明・散乱切替素子が開放され、散乱状態となる。そして、遅延回路73fを通して光源駆動回路5を制御する信号もローレベルであるため、光源駆動回路5は白色LED51を広視野角表示用に調整する。
【0170】
本実施形態における動作の最大の特徴は、狭視野角表示状態と広視野角表示状態との切替過程にある。一般的に、狭視野角表示状態においては、狭い角度範囲に光を照射すれば良いため、光源の発する光量は少なくて済む。即ち、光源駆動回路5が白色LED51を狭視野角表示用に調整するとは、具体的には光量を減少させることを意味する。一方で、広視野角表示状態においては、広い角度範囲に光を照射する必要があるため、狭視野角表示状態よりも光量を増やす必要がある。即ち、光源駆動回路5が白色LED51を広視野角表示用に調整するとは、具体的には光量を増大させることを意味する。そして、本実施形態においては、遅延回路73fが使用され、その遅延時間は、透明・散乱切替素子が透明状態から散乱状態に切り替わる際に必要な時間に設定されている。したがって、制御信号VPDLCがローレベルからハイレベルとなり、広視野角状態から狭視野角状態に移行すると、透明・散乱切替素子は散乱状態から透明状態への移行を開始する。ここでOR回路75fの入力は、遅延回路73fからの入力がローレベルのままであり、制御信号VPDLCからの入力はハイレベルになっている。従って、OR回路75fの出力は制御信号VPDLCがローレベルからハイレベルに移行するのと同時にハイレベルとなり、光源駆動回路5は白色LED51の光量を低下させる。即ち、散乱状態から透明状態に移行する途中で、光量が低下した状態になっている。一方で、制御信号VPDLCがハイレベルからローレベルとなり、狭視野角状態から広視野角状態に移行すると、透明・散乱切替素子は透明状態から散乱状態への移行を開始する。ここでOR回路75fの入力は、遅延回路73fからの入力がハイレベルのままであり、制御信号VPDLCからの入力はローレベルになっている。従って、OR回路75fの出力はハイレベルのままであり、遅延回路73fからの入力がローレベルになるのと同時にローレベルとなる。即ち、透明状態から散乱状態に移行する間は、LED51は狭視野角表示用の暗い状態であり、散乱状態に移行した後に光量が増大して明るい状態となる。
【0171】
前述のように、透明・散乱切替素子が散乱状態である広視野角表示状態においては、光源はより多くの光量を発する必要があるが、切替時にこの光量が多い状態で透明・散乱切替素子の散乱性能が低下すると、表示の輝度が一瞬以上に上がり、使用者には閃光となって観察され、違和感を与えてしまう。本実施形態においては、透明・散乱切替素子駆動回路が光源駆動回路の制御も兼ね、透明・散乱切替素子が完全な散乱状態にある時のみ光源の光量を広視野角表示用となるよう制御することで、切替時に画面が閃光する現象を防止し、違和感を低減することができる。
【0172】
なお、本実施形態における回路構成は上記の説明に限定されるものではなく、透明・散乱切替素子が完全な散乱状態にある時のみ光源の光量を広視野角表示用となるよう制御可能な構成であれば好適に使用することができる。また、遅延回路は光源の制御側に配置する必要もなく、透明・散乱切替素子の制御側に設け、まず光源の光量を低下させてから透明・散乱切替素子を調整することも可能である。
【0173】
更には、透明・散乱切替素子を切り替える期間、光源を完全に消灯するように制御してもよい。これにより、閃光の発生を完全に抑制できるだけでなく、切替時に画面の輝度を一時的に低下させることができるため、狭視野角表示状態と広視野角表示状態が切り替わったことを使用者に明示的に示すことが可能となる。
【0174】
また、光源で消費する電力に対応可能な場合には、表示パネル上に光源の駆動回路を形成してもよい。本第13実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0175】
なお、上述の各実施形態は夫々単独で実施してもよいが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0176】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限定されない。
【0177】
(付記1)
光源と、この光源から入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子と、この透明・散乱切替素子を透過した光を入射して画像を表示する表示パネルと、を有し、この表示パネルは画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域を有し、この表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が、前記透明・散乱切替素子の駆動にも使用されることを特徴とする表示装置。
【0178】
(付記2)
少なくとも前記表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が入力され、前記透明・散乱切替素子を駆動する信号を出力する透明・散乱切替素子駆動回路を有し、この透明・散乱切替素子駆動回路は前記表示パネル上に形成されていることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0179】
(付記3)
前記透明・散乱切替素子駆動回路には制御信号が入力され、この制御信号の状態により前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力がオン又はオフされることを特徴とする付記2に記載の表示装置。
【0180】
(付記4)
前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記表示領域の各画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、このゲート線駆動回路のスタート信号が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されることを特徴とする付記2又は3に記載の表示装置。
【0181】
(付記5)
前記ゲート線駆動回路の電源が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されることを特徴とする付記2乃至4のいずれか一に記載の表示装置。
【0182】
(付記6)
前記表示パネルは外部と電源、信号を接続するための端子部を有し、この端子部と前記ゲート線駆動回路との間に前記透明・散乱切替素子駆動回路が形成されていることを特徴とする付記4又は5に記載の表示装置。
【0183】
(付記7)
前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力電圧の極性反転が、前記ゲート線駆動回路のスタート信号と同期していることを特徴とする付記4乃至6のいずれか一に記載の表示装置。
【0184】
(付記8)
前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路を有することを特徴とする付記4乃至7のいずれか一に記載の表示装置。
【0185】
(付記9)
前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路の出力に伝送ゲートを有し、この伝送ゲートにより前記カウンタ回路の出力が制御されることを特徴とする付記8に記載の表示装置。
【0186】
(付記10)
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に形成された薄膜トランジスタを用いて構成されることを特徴とする付記2乃至9のいずれか一に記載の表示装置。
【0187】
(付記11)
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に実装されたICチップに形成されることを特徴とする付記2乃至9のいずれか一に記載の表示装置。
【0188】
(付記12)
前記光源から出射された光の光線方向を規制して前記透明・散乱切替素子に対して出射する光線方向規制素子を有することを特徴とする付記1乃至11のいずれか一に記載の表示装置。
【0189】
(付記13)
付記1乃至12のいずれか一に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【0190】
(付記14)
携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であることを特徴とする付記13に記載の端末装置。
【0191】
(付記15)
画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域と、少なくとも前記表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が入力され、入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子を駆動するための信号を出力する透明・散乱切替素子駆動回路と、を有することを特徴とする表示パネル。
【0192】
(付記16)
前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、このゲート線駆動回路のスタート信号が入力され、このスタート信号に同期してゲート線駆動回路の電源電圧が交互に出力される回路を有することを特徴とする付記15に記載の表示パネル。
【0193】
(付記17)
光源と、この光源から入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子と、この透明・散乱切替素子を透過した光を入射して画像を表示する表示パネルと、を有し、この表示パネルは画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域を有し、この表示領域の画素を駆動するための電源又は信号の少なくとも一方を用いて、前記透明・散乱切替素子が駆動されることを特徴とする表示装置。
【0194】
(付記18)
少なくとも前記表示領域の画素を駆動するための電源及び信号が入力され、前記透明・散乱切替素子を駆動する信号を出力する透明・散乱切替素子駆動回路を有し、この透明・散乱切替素子駆動回路は前記表示パネル上に形成されていることを特徴とする付記17に記載の表示装置。
【0195】
(付記19)
前記透明・散乱切替素子駆動回路には制御信号が入力され、この制御信号の状態により前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力がオン又はオフされることを特徴とする付記18に記載の表示装置。
【0196】
(付記20)
前記透明・散乱切替素子駆動回路は、前記透明・散乱切替素子の駆動電圧の極性を反転する回路を有し、前記表示パネルの画素を駆動するための信号を用いて、この反転動作が実現されることを特徴とする付記18又は19に記載の表示装置。
【0197】
(付記21)
前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記表示領域の各画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、このゲート線駆動回路のスタート信号が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されることを特徴とする付記19又は20に記載の表示装置。
【0198】
(付記22)
前記ゲート線駆動回路は複数系統が搭載され、この複数系統のゲート線駆動回路のスタート信号を用いて、前記透明・散乱切替素子の極性反転動作が実現されることを特徴とする付記21に記載の表示装置。
【0199】
(付記23)
前記透明・散乱切替素子の極性反転動作の周波数は、周波数変調されていることを特徴とする付記22に記載の表示装置。
【0200】
(付記24)
前記ゲート線駆動回路の電源が前記透明・散乱切替素子駆動回路に入力されることを特徴とする付記21に記載の表示装置。
【0201】
(付記25)
前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路、シフトレジスタ回路、分周回路、遅延回路の少なくとも一つを有することを特徴とする付記18乃至24のいずれか一に記載の表示装置。
【0202】
(付記26)
前記透明・散乱切替素子は電気的に独立した複数の領域に分割されていることを特徴とする付記18乃至25のいずれか一に記載の表示装置。
【0203】
(付記27)
前記表示パネル上には温度検出部材が形成され、前記透明・散乱切替素子駆動回路がこの温度検出部材の結果を用いて前記透明・散乱切替素子を駆動することを特徴とする付記18乃至26のいずれか一に記載の表示装置。
【0204】
(付記28)
前記透明・散乱切替素子駆動回路が、前記光源を制御する回路を有し、この回路によって光源が制御されることを特徴とする付記18乃至27のいずれか一に記載の表示装置。
【0205】
(付記29)
前記表示パネルは外部と電源、信号を接続するための端子部を有し、この端子部と前記ゲート線駆動回路との間に前記透明・散乱切替素子駆動回路が形成されていることを特徴とする付記18乃至28のいずれか一に記載の表示装置。
【0206】
(付記30)
前記表示パネルと外部を接続するための配線と、前記透明・散乱切替素子と前記表示パネルとを接続するための配線が一体形成されていることを特徴とする付記18乃至29のいずれか一に記載の表示装置。
【0207】
(付記31)
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に形成された薄膜トランジスタを用いて構成されることを特徴とする付記18乃至30のいずれか一に記載の表示装置。
【0208】
(付記32)
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に実装された集積回路チップに形成されることを特徴とする付記18乃至30のいずれか一に記載の表示装置。
【0209】
(付記33)
前記光源から出射された光の光線方向を規制して前記透明・散乱切替素子に対して出射する光線方向規制素子を有することを特徴とする付記18乃至32のいずれか一に記載
の表示装置。
【0210】
(付記34)
付記18乃至33のいずれか一に記載の表示装置を有することを特徴とする端末装置。
【0211】
(付記35)
携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であることを特徴とする付記34に記載の端末装置。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明は、例えば、携帯電話、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ及びビデオプレーヤ等の携帯端末装置の表示装置、並びにノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ及び自動販売機等の端末装置の表示装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0213】
1、11、12、13、14、15;光源装置
2、21、22、23、24、25、26、27、28、29、210、211;表示装置
3;導光板
3a;光入射面
3b;光出射面
3c;光拡散面
3d;斜面
4;光学フィルム
4a;平板部
4b;一次元プリズム体
5;光源駆動回路
51;白色LED
7、71、72、73、74、75、76、77、78、79、70;透過型液晶表示パネル
7a;画素領域
7b、75bL、75bR;ゲート線駆動回路
7c;データ線駆動回路
7d、71d、72d、73d、74d、75d、76d、77d、78d、79d、
70d;透明・散乱切替素子駆動回路
7e;端子部
7f;1ビットカウンタ回路
71f;2ビットカウンタ回路
72f;分周回路
73f;遅延回路
74f;カウンタ回路
75f;OR回路
76f;AND回路
77f;シフトレジスタ回路
78f;温度検出回路
7g;伝送ゲート回路
9;携帯電話
109;透明基板
110;電極
111;PDLC層
111a;高分子マトリクス
111b;液晶分子
112;ルーバ
112a;透明領域
112b;吸収領域
122、122a、122b、122c;透明・散乱切替素子
122b1、122b2、122b3、122b4;行ブロック
201;制御回路
1001;視野角制御型液晶表示装置
1100、1101;電圧供給源
1110、1111、1112;基板
1120、1121、1122、1123;透明電極
1130;散乱モードの液晶
1140、1141;偏光子
1150、1151;配向膜
1160;液晶層
1170;液晶素子
1180;液晶素子
1190、1191;スイッチ
2101;視野角制御型液晶表示装置
2102;液晶表示装置
2103;散乱性制御素子
2104;照明装置
2120;遮光スリット付シート
2121;照射部
2122;光源
2123;光出射面
2124;反射シート
L1;光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子と、
画素がマトリクス状に配置された表示領域を備え、前記透明・散乱切替素子を透過した光が入射され、画像を表示する表示パネルと、
前記表示領域の画素を駆動するための電源及び制御信号を供給する制御手段と、
前記制御手段から供給された前記電源及び前記制御信号を用いて、前記表示領域の画素を所定のフレーム周波数で駆動する表示パネル駆動回路と、
前記制御手段から、表示パネル駆動回路と共通して供給される前記電源及び前記制御信号が入力され、前記電源及び前記制御信号から前記透明・散乱切替素子を駆動するための所定の極性反転周波数を有する交流電圧を生成し、前記透明・散乱切替素子に印加する、複数の遅延時間が設定される遅延回路を含む透明・散乱切替素子駆動回路と、を備え、
前記透明・散乱切替素子を駆動する交流電圧の極性反転周波数は、前記フレーム周波数より大きく、前記遅延回路はフレーム毎に遅延時間を変更する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記表示パネル駆動回路は、前記表示領域の各画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、前記制御信号が前記ゲート線駆動回路のスタート信号とクロック信号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電源が前記ゲート線駆動回路の電源である、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルは前記制御手段を接続するための端子部を有し、前記端子部と前記ゲート線駆動回路との間に前記透明・散乱切替素子駆動回路が形成されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路の出力に伝送ゲートを有し、前記伝送ゲートにより前記カウンタ回路の出力が制御される、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は前記表示パネル上に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は前記制御手段からオンオフ制御信号が入力され、前記オンオフ制御信号により前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力がオン又はオフされる、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に形成された薄膜トランジスタを用いて構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に実装されたICチップに形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記光源から出射された光の光線方向を規制して前記透明・散乱切替素子に対して出射する光線方向規制素子を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示装置を有する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項13】
携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機である、
ことを特徴とする請求項12に記載の端末装置。
【請求項14】
画素がマトリクス状に配置された表示領域を備え、
入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子を透過した光が入射され、画像を表示し、
前記表示領域の画素を駆動するための電源及び制御信号を供給する制御手段と、
前記制御手段から供給された前記電源及び前記制御信号を用いて、前記表示領域の画素を所定のフレーム周波数で駆動する表示パネル駆動回路と、
前記制御手段から、表示パネル駆動回路と共通して供給される前記電源及び前記制御信号が入力され、前記電源及び前記制御信号から前記透明・散乱切替素子を駆動するための所定の極性反転周波数を有する交流電圧を生成し、前記透明・散乱切替素子に印加する、複数の遅延時間が設定される遅延回路を含む透明・散乱切替素子駆動回路と、を備え、
前記透明・散乱切替素子を駆動する交流電圧の極性反転周波数は、前記フレーム周波数より大きく、前記遅延回路はフレーム毎に遅延時間を変更する、
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項15】
光源と、
前記光源から入射された光を透過する状態と散乱する状態に切替可能な透明・散乱切替素子と、
画素がマトリクス状に配置された表示領域を備え、前記透明・散乱切替素子を透過した光が入射され、画像を表示する表示パネルと、
前記表示領域の画素を駆動するための制御信号を供給する制御手段と、
前記制御手段から供給された前記制御信号を用いて、前記表示領域の画素を所定のフレーム周波数で駆動する表示パネル駆動回路と、
前記制御手段から、表示パネル駆動回路と共通して供給される前記制御信号が入力され、前記制御信号から前記透明・散乱切替素子を駆動するための所定の極性反転周波数を有する交流電圧を生成し、前記透明・散乱切替素子に印加する、複数の遅延時間が設定される遅延回路を含む透明・散乱切替素子駆動回路と、を備え、
前記透明・散乱切替素子を駆動する交流電圧の極性反転周波数は、前記フレーム周波数より大きく、前記遅延回路はフレーム毎に遅延時間を変更する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルはアクティブマトリクス型の表示パネルであり、前記表示パネル駆動回路は、前記表示領域の各画素を行単位で選択するゲート線駆動回路を有し、前記制御信号が前記ゲート線駆動回路のスタート信号とクロック信号である、
ことを特徴とする請求項15記載の表示装置。
【請求項17】
複数系統のゲート線駆動回路が搭載された、
ことを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記透明・散乱切替素子を駆動する交流電圧の極性反転周波数は、周波数変調されている、
ことを特徴とする請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記透明・散乱切替素子駆動回路はカウンタ回路を有する、
ことを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項20】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は前記表示パネル上に形成されている、
ことを特徴とする請求項15乃至19のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項21】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は前記制御手段からオンオフ制御信号が入力され、前記オンオフ制御信号により前記透明・散乱切替素子駆動回路の出力がオン又はオフされる、
ことを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項22】
前記透明・散乱切替素子は電気的に独立した複数の領域に分割されている、
ことを特徴とする請求項15乃至21のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項23】
前記表示パネル上には温度検出部材が形成され、前記透明・散乱切替素子駆動回路が前記温度検出部材の検出結果を用いて前記透明・散乱切替素子を駆動する、
ことを特徴とする請求項15乃至22のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項24】
前記透明・散乱切替素子駆動回路が、前記光源を制御する光源制御回路を有し、前記光源制御回路によって光源が制御される、
ことを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項25】
前記表示パネルは前記制御手段を接続するための端子部を有し、前記端子部と前記ゲート線駆動回路との間に前記透明・散乱切替素子駆動回路が形成されている、
ことを特徴とする請求項15乃至24のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項26】
前記表示パネルと前記制御手段を接続するための配線と、前記透明・散乱切替素子と前記表示パネルとを接続するための配線が一体形成されている、
ことを特徴とする請求項15乃至25のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項27】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に形成された薄膜トランジスタを用いて構成される、
ことを特徴とする請求項15乃至26のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項28】
前記透明・散乱切替素子駆動回路は表示パネル上に実装された集積回路チップに形成される、
ことを特徴とする請求項15乃至26のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項29】
前記光源から出射された光の光線方向を規制して前記透明・散乱切替素子に対して出射する光線方向規制素子を有する、
ことを特徴とする請求項15乃至28のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項30】
請求項15乃至29のいずれか1項に記載の表示装置を有する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項31】
携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機である、
ことを特徴とする請求項30に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2013−50740(P2013−50740A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−258054(P2012−258054)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2007−20223(P2007−20223)の分割
【原出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】