説明

表示装置の表示調整方法

【課題】表示装置を数台並べて大画面化するマルチディスプレイ装置の表示の色合い、明るさを自動調整する。
【解決手段】マイクロコンピュータを内蔵した複数の表示装置と、表示装置の色度、輝度を計測する色彩計を使用し、複数の表示装置を組み合わせて、マルチディスプレイ装置とし、色彩計を使用して、各表示装置の色度、輝度を調整する表示装置の表示調整方法であって、複数の表示装置をマルチディスプレイ化した後で、マルチディスプレイを構成する各表示装置画面を表示調整用パターン表示とし、色彩計をマルチディスプレイを構成している表示装置と接続し、色彩計を表示装置の中心部にあて、表示装置の色度、輝度を測定し、表示装置に内蔵されているマイクロコンピュータが、色彩計から、計測した色度、輝度の実測値を読み込み、表示装置に内蔵されているマイクロコンピュータにより、事前に設定されている色度、輝度に調整する表示装置の表示調整方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を数台並べて大画面化するマルチディスプレイ装置の表示の色合い、明るさを自動調整する表示調整方法および表示調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年パソコンから出力されるビデオ信号は、多チャンネル画面出力のグラフィックボードが出現しており、表示装置側も数台並べて大画面にするマルチディスプレイ化の要求がある。一方大画面の表示装置も普及しているが、最も普及している17型や19型の液晶パネルを数台使用して、縦に並べたり、横に並べたり、レイアウトを自由に変えられることから、マルチディスプレイ化の要求も増加している。
マルチディスプレイ化した場合、各表示装置にビデオ信号を入力し個別に表示するが、代表的ビデオ信号であるアナログRGB信号の場合、多画面出力グラフィックカードから出力するアナログRGB信号の振幅に差があったり、また、各表示装置のバックライトの明るさのばらつきもあるため、厳密に見ると隣の表示装置の色合いや明るさの違いが見えてしまっていた。工場出荷の際、一定の色合い、コントラスト調整を実施しているが、上記ばらつきを解消するには、出荷時点での調整では不可能であった。最終の微調整をするには、設置現場にて各表示装置からケーブルで引き出されている操作スイッチを操作し、目視で色合いや明るさを変更して隣同士の差がないように調整していた。また、何年か稼働しているうちに、バックライトの寿命にもばらつきがあるため、明るさに差が出てきてしまうことがあり、輝度調光が最大に設定されている場合、それ以上明るくすることはできないため、暗く感じる表示装置のランプ交換作業を実施しなければならなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平08−009406号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の調整方法では、マルチディスプレイ装置として組立後、各表示装置に対し微調整をしなければならず調整作業には熟練を要した。また、各表示装置からケーブルで引き出されている操作スイッチで調整するため、表示装置の数が多くなればなるほど、遠くの表示装置との視野角に差が発生し、操作者の判断では調整できなかった。調整が困難なため、色合い、明るさが少々違っていても微調整せずにそのまま使用していた。そのため、現場で簡単に短時間で調整できる調整方法および自動調整機能を持った表示装置が必要であった。また、バックライトが暗く感じるようになった場合、通常であればランプを交換する作業を実施するが、作業は簡単ではなく表示装置を外しランプを交換しなければならず、少しでも寿命を長くする手段が必要とされた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マイクロコンピュータを内蔵した複数の表示装置と、該表示装置の色度、輝度を計測する色彩計を使用し、前記複数の表示装置を組み合わせて、マルチディスプレイ装置とし、前記色彩計を使用して、各表示装置の色度、輝度を調整する表示装置の表示調整方法であって、複数の表示装置をマルチディスプレイ化した後で、マルチディスプレイを構成する各表示装置画面を表示調整用パターン表示とし、色彩計をマルチディスプレイを構成している表示装置と接続し、色彩計を表示装置の表面に接触させ、表示装置の色度、輝度を測定し、前記表示装置に内蔵されているマイクロコンピュータが、前記色彩計から、前記計測した色度、輝度の実測値を読み込み、表示装置に内蔵されているマイクロコンピュータにより、事前に設定されている色度、輝度に調整する表示装置の表示調整方法を提案するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現場での人の手による煩わしいマニュアル調整をせずに、短時間で目標の色度、輝度数値に調整することができるため、各表示装置間での色合いや明るさに差がない大画面表示が実現できる。
また、メンテナンスにおける再表示調整に対しても、上記調整を実施することで作業時間は短縮される。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の詳細を添付図面を参照して説明する。図1は本発明のマルチディスプレイ装置の構成概要図である。
【0008】
1は、1a,1b,1c,1dの表示装置を組み合わせた4面マルチディスプレイの1例である。2は、画像表示制御を担当しビデオ信号を出力するパソコンであり、多画面出力グラフィックカード3が内蔵されている。多画面出力グラフィックカード3には、3a〜3dのビデオ信号出力コネクタが搭載されている。一方表示装置1a〜1dには、ビデオ信号入力コネクタ5a〜5dが取り付いており、それぞれビデオケーブル4a〜4dで接続され、多画面出力グラフィックカード3からの制御によりマルチディスプレイ装置1a〜1dに大画面表示することができる。
【0009】
表示調整を行うにあたり、パソコン2には、あらかじめ表示調整用パターンが出力されるプログラムがインストールされている。表示調整用パターンは画面全体がグレー一定パターン(黒と白の50%中間色)を使用している。グレー一定パターンにする利点は、画面全体が均一データを表示しているため、測定位置が中心からずれても画面の角までずれなければ、測定した実測値には差がでない特徴がある。
【0010】
色度データは、国際照明委員会CIEが1931年策定した国際表示法であり、CIE1931が一般的である。色度データはxy色度座標(x、y)で表現され、グレーパターンの場合、理論的にはR,G,Bは均等であり、各基準電圧レベルが同一であれば、(0.31、0.31)データとなる。目標の色度値を変えることで、任意の色度値にすることができる。実測値が異なればR,G,Bのどの数値を変更するかはxy色度座標から判断できる。
【0011】
色彩計7は、RS−232C I/Fケーブル8で、表示装置1aのRS−232C I/Fコネクタ6aに接続すればよい。表示装置1aの調整が終われば、シリアルI/Fケーブル8をコネクタ6bにつなぎ変えて表示装置1bを調整する。同様に1c、1dを調整する。色彩計7は、表示画面のほぼ中心位置に合わせ、距離は50cm〜1mで測定可能である。
【0012】
次に本発明のマルチディスプレイ装置を自動調整するシステム構成図を図2により説明する。図1で説明した箇所は、説明を省略する。パソコン2から送られてくるアナログRGB信号は、ビデオ信号入力コネクタ5a〜5dに入力されA/D変換器14でデジタルデータ19に変換されスケーラIC12に入力される。スケーラIC12は、マイコン13からのコマンドデータ21を受け取り、表示動作モードを変更することができる。スケーラIC12から液晶パネル10に表示制御データ22を送ることで、液晶パネル10は表示する。一方マイコン13からは、A/D変換器14に、基準電圧レベル調整信号20を送り、A/D変換するR,G,B各基準電圧レベルを調整できるようにしている。また、液晶パネル10のバックライトの明るさを制御するインバータ11には、ON/OFF信号と輝度調光信号23を送り、輝度調光制御をしている。また、色彩計7には、測定開始ボタン18が搭載されており、ボタンを押すと表示装置1の光源を測定開始し、RS−232C I/Fケーブル8を介してさらに、RS−232CドライバIC15を通りマイコン13と通信ができるようになっている。また、手動による調整操作もできるように操作スイッチ17とマイコン13とは、操作スイッチケーブル16で接続されている。また、操作スイッチ17から、目標とする色度、輝度値を入力することができる。
【0013】
次に本発明のマルチディスプレイ装置を自動調整する動作の流れについて、図2、3を使用して説明する。
自動調整のためのセッティングが完了し、色彩計7の測定開始ボタン18を押すと、表示装置1のマイコン13は色彩計7と通信を開始し(S1)、マイコン13は色彩計7にコマンドを送り、実測した色度データ転送を要求する。色彩計7は、コンピュータと接続しデータ処理ができるように、コマンド体系が整っているため容易に通信できるようになっている。表示装置1のマイコン13は、操作スイッチ17からの入力により、事前に目標とする色度、輝度値をマイコン13内部の不揮発性メモリに記憶しておくことができる(S2,S5)。実測値と比較することで、A/D変換器14の基準電圧レベルを変更するRGB基準電圧レベル調整信号20で、R,G,Bそれぞれを変更する(S2)。R,G,Bを調整後再度実測データを読み(S3)、目標値と一致したか比較をする(S4)。一致しなければ再度R,G,Bレベルを調整し比較する(S2〜S4)。比較結果が一致した場合、輝度実測値を読み、事前に設定した目標輝度値と比較する(S5)。一致していれば、調整した数値を記憶し通常表示モードに戻る(S7)。
【0014】
実測値の方が高ければ輝度をさげれば良いため、バックライトの輝度調光を暗くして一致するようにすれば良い(S9)。実測値の方が低い場合、バックライトの輝度調光が最大でなければ、輝度調光を明るくする(S11)。目標値と一致すれば良いが、最大にしても暗い場合、コントラストのレベルを下げて行き白を強くすることで輝度をある程度上げることができ、バックライトの交換時期を遅らせることが可能になる(S13)。
コントラストの調整方法は、上述したRGB基準電圧レベル調整信号20で調整する。色度調整の場合は、R,G,B各基準電圧レベルを調整したが、コントラスト調整の場合は、R,G,B基準電圧レベルを同数値変更する。コントラスト調整が限界であると判断した場合は、バックライト交換メッセージを出力表示する。
【0015】
また、実施例では、入力するビデオ信号がアナログRGB信号に対する調整方法を説明したが、デジタルDVI信号の場合は、A/D変換器14を介さずに、スケーラIC12内部処理により、RGBデータを変換することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のマルチディスプレイ装置の構成概要図
【図2】本発明のマルチディスプレイ装置を自動調整するシステム構成図
【図3】本発明のマルチディスプレイ装置を自動調整する動作フロー
【符号の説明】
【0017】
1 表示装置
1a〜1d 各表示装置
2 パソコン
3 多画面出力グラフィックカード
3a〜3d ビデオ信号出力コネクタ
4a〜4d ビデオケーブル
5a〜5d ビデオ信号入力コネクタ
6a〜6d RS−232CI/Fコネクタ
7 色彩計
8 RS−232Cケーブル
9 表示装置からの光源
10 液晶パネル
11 インバータ
12 スケーラIC
13 マイコン
14 A/D変換器
15 RS−232CドライバIC
16 操作スイッチケーブル
17 操作スイッチ
18 測定開始ボタン
19 デジタルデータ
20 RGB基準電圧レベル調整信号
21 コマンドデータ
22 表示制御データ
23 輝度調光信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータを内蔵した複数の表示装置と、該表示装置の色度、輝度を計測する色彩計を使用し、前記複数の表示装置を組み合わせて、マルチディスプレイ装置とし、前記色彩計を使用して、各表示装置の色度、輝度を調整する表示装置の表示調整方法であって、複数の表示装置をマルチディスプレイ化した後で、マルチディスプレイを構成する各表示装置画面を表示調整用パターン表示とし、色彩計をマルチディスプレイを構成している表示装置と接続し、色彩計を表示装置の表面に接触させ、表示装置の色度、輝度を測定し、前記表示装置に内蔵されているマイクロコンピュータが、前記色彩計から、前記計測した色度、輝度の実測値を読み込み、表示装置に内蔵されているマイクロコンピュータにより、事前に設定されている色度、輝度に調整することを特徴とする表示装置の表示調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−299066(P2008−299066A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144928(P2007−144928)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】