説明

表示装置及び標識を認知させる方法

【課題】 ガラスに結像手段等を取り付けることなく、かつ伝達情報量を多くする表示装置の開発が望まれている。
【解決手段】 標識を認識させるべき認識者の視線で見て、ガラスに映る位置にスクリーンが配置されている。投影装置が、このスクリーンに、標識の像を投影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスに画像を映すことにより表示を行う表示装置、及び標識を認知させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントガラスに取り付けられたホログラムに、情報表示源から光を投射することにより、運転者が視線を動かすことなく情報を読み取れるようにしたヘッドアップディスプレイが提案されている(特許文献1)。ホログラムは、投射された光を運転者の方向に回折させる。これにより、前方のある位置に像が現れ、この像が運転者によって視認される。
【0003】
透過型液晶表示素子を通して、フロントガラスに設けられた結像手段としてのコンバイナに光を投射することにより、運転者の前方に像を結ばせるディスプレイ装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−191325号公報
【特許文献2】特開平10−97805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の表示装置では、結像手段としてのコンバイナ、例えばホログラム等をフロントガラスに取り付けなければならない。コンバイナは、運転者の視界を遮ることはないが、コンバイナが取り付けられた領域において、他の領域のフロントガラスと全く同一の透明度が得られるわけではない。また、フロントガラスにコンバイナを取り付ける作業が必要になる。
【0006】
フロントガラスにコンバイナ等の結像手段を取り付けることなく、フロントガラスを単なる反射鏡として利用するディスプレイが実用化されている。この装置では、運転者の視線で見てフロントガラスに映りこむ位置にLED光源が配置される。LED光源から放射された光がフロントガラスで反射し、運転者に視認される。この装置では、光源の点滅等による単純な情報しか伝達することができない。
【0007】
フロントガラスに結像手段等を取り付けることなく、かつ伝達情報量を多くする表示装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によると、
標識を認識させるべき認識者の視線で見て、ガラスに映る位置に配置されたスクリーンと、
前記スクリーンに、標識の像を投影する投影装置と
を有する表示装置が提供される。
【0009】
本発明の他の観点によると、
散乱型液晶素子を含み、散乱状態と非散乱状態とを取り得るスクリーンを、ガラスに映りこむ位置に配置し、該スクリーンを散乱状態にする工程と、
前記スクリーンが散乱状態になっている期間に、該スクリーンに像を投影することにより、前記ガラスに映りこんだ像を認識者に認知させる工程と
を有する標識を認知させる方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
ガラスに種々の光学素子を取り付けることなく、ガラスを反射鏡として利用し、標識をガラスに映すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(1A)は、実施例1による車両用表示装置の概略図であり、(1B)は、その変形例を示す概略図である。
【図2】(2A)は、実施例1による車両用表示装置で用いられる投影装置の概略図であり、(2B)は、マスクの平面図であり、(2C)は、スクリーンに映し出された像の平面図である。
【図3】(3A)は、スクリーンとして用いられる散乱型液晶素子の散乱状態の断面図であり、(3B)その非散乱状態の断面図である。
【図4】散乱型液晶素子の液晶層のポリマ重合領域を模式的に示す図である。
【図5】(5A)及び(5B)は、実施例2による車両用表示装置に用いられるスクリーンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1Aに、実施例1による車両用表示装置の概略断面図を示す。運転者の視線20で見て、フロントガラス10に映る位置にスクリーン11が配置されている。一例として、スクリーン11は、ダッシュボード13の先端と、フロントガラス10の下側の縁との間に配置される。ダッシュボード13の運転者側の面に、インスツルメントパネル14が装着されている。ダッシュボード13の上に、投影装置12が取り付けられている。投影装置12は、種々の標識の像をスクリーン11に投影する。フロントガラス10が部分反射鏡として作用し、運転者は、スクリーン11に投影された像を視認することができる。フロントガラス10は、単なる部分反射鏡として作用し、結像作用や回折作用等を生じさせない。制御装置15が、スクリーン11及び投影装置12を制御する。
【0013】
スクリーン11の表面をxy面とし、法線方向をz軸とするxyz直交座標系を定義する。x軸方向及びy軸方向は、それぞれ運転者から見て縦方向及び横方向に対応する。すなわち、x軸は、フロントガラス10の法線及びz軸の両方に平行な仮想平面(図1Aの紙面)に対して平行である。y軸は、この仮想平面に対して垂直である。
【0014】
図1Bに示すように、投影装置12をダッシュボード13の内部に格納してもよい。
【0015】
図2Aに、投影装置12の断面図を示す。円筒状のライトガイド21の一方の端部(入射端)に発光ダイオード20が取り付けられている。発光ダイオード20のオンオフが、制御装置15(図1A)により制御される。発光ダイオード20から放射された光が、ライトガイド21の内面で反射しながら内部空洞21A内を伝搬し、他方の端部(出射端)まで到達する。ライトガイド21の出射端に、マスク22が取り付けられている。
【0016】
図2Bに、マスク22の平面図(図2Aの一点鎖線2B−2Bの位置から見た図)を示す。マスク22は、透光領域22Aと遮光領域22Bとを有する。ライトガイド21の出射端側の開口面の一部が、遮光領域22Bで遮光されている。出射端側の開口面と、透光領域22Aとが重なっている領域から光が外部に放射される。
【0017】
図2Aに戻って説明を続ける。投影レンズ23が、ライトガイド21の出射端、すなわちマスク22を、スクリーン11に結像させる。
【0018】
図2Cに、スクリーン11に投影された像25の平面図(図2Aの一点鎖線2C−2Cの位置から見た図)を示す。像25の形状は、ライトガイド21の出射端側の開口面と、透光領域22Aとが重なった領域と相似である。なお、投影レンズ23の光軸がスクリーン11に対して傾いている場合には、像25の形状は、ライトガイド21の出射端側の開口面と、透光領域22Aとが重なった領域の形状を一方向に引き伸ばした形状と相似である。
【0019】
複数の投影装置12を配置することにより、種々の形状を持つ像をスクリーン11上に投影することができる。
【0020】
図3Aに、スクリーン11の断面図を示す。スクリーン11は、散乱型液晶素子、例えば電圧無印加時に散乱状態を示す液晶素子で構成される。
【0021】
一対のガラス基板31、32が、間隙を隔てて相互に対向している。ガラス基板31、32の対向面に、それぞれ透明電極膜33、34が形成されている。透明電極膜33、34には、例えばインジウム錫酸化物(ITO)が用いられる。透明電極膜33、34の表面に、配向膜(図示せず)が形成されている。配向膜には、配向方向がアンチパラレルになるように配向処理が施されている。なお、配向膜の配向処理は行わなくてもよいし、配向膜を形成しなくてもよい。ガラス基板31と32との間に、液晶材料を含む液晶層35が配置されている。
【0022】
ガラス基板32の外側の表面に、可視光を透過させる反射防止フィルム37が配置されている。もう一方のガラス基板31の外側の表面に、黒色の反射防止板36が配置されている。図1Aにおいて、スクリーン11は、投影装置12からの光が反射防止フィルム37に入射する姿勢で、ダッシュボード13とフロントガラス10との間に配置されている。駆動電源40が、スイッチ41を介して、透明電極33と34とに交流の駆動電圧を印加する。図3Aは、スイッチ41が開放されている状態を示している。
【0023】
スイッチ41が開放されているときには、スクリーン11の液晶層35が散乱状態になる。このため、投影装置12(図1A)からの光が液晶層35で散乱される。これにより、スクリーン11上に、投影装置12から投影された像が現れる。この状態を、散乱状態ということとする。
【0024】
図3Bに、スイッチ41が閉じられたときの状態を示す。スクリーン11の液晶層35は透過状態になる。投影装置12(図1A)からの光は、液晶層35を透過して反射防止板36まで到達する。反射防止板36は投影装置12からの光を吸収するため、像を視認することはできず、スクリーン11は黒色に見える。この状態を、黒色状態ということとする。
【0025】
次に、スクリーン11に用いられている散乱型液晶素子の製造方法について説明する。
【0026】
ガラス基板31及び32の一方の表面に、それぞれ透明電極膜33、34を形成する。ガラス基板31、32には、例えば厚さ0.7mmの青板ガラスが用いられる。透明電極膜33、34には、例えば厚さ200nmのITO膜が用いられる。透明電極膜33、34はパターニングされておらず、べた膜(無地の膜)である。透明電極膜33、34の表面に配向膜を形成し、この配向膜にラビング処理を施す。
【0027】
一方のガラス基板31の対向面の外周に沿う領域にシール剤を塗布することにより、メインシールを形成する。後の工程で液晶材料等を注入するための注入口となる部分には、メインシールが形成されていない。三井化学株式会社製のシール剤ES−7500に、ギャップコントロール剤を2〜5wt%添加してシール剤とした。シール剤の塗布には、スクリーン印刷法、またはディスペンサ塗布法が用いられる。実施例では、ギャップコントロール剤として、直径5μmのグラスファイバを用いた。
【0028】
もう一方のガラス基板32の対向面に、ギャップコントロール剤を散布する。このギャップコントロール剤には、直径5μmのプラスチックボールを用いた。
【0029】
2枚のガラス基板31と32とを重ね合わせ、プレス機で均一な圧力を加えた状態で熱処理を行うことにより、シール剤を硬化させる。例えば、130℃で3時間の熱処理を行うことにより、シール剤を硬化させることができる。ここまでの工程で、厚さ5μmのセル厚を有する空セルが得られる。
【0030】
ホスト液晶材料に、アクリレート系モノマーと光重合反応開始剤とを添加して前駆体を作製した。ホスト液晶材料に対するモノマーの添加量は、2〜40wt%である。モノマーに対する光重合反応開始剤の添加量は、0.1〜0.5wt%である。ホスト液晶として、例えば誘電率異方性が正、屈折率異方性が0.23のものを用いることができる。光重合反応開始剤として、例えばチバケミカル社製のイルガキュアを用いることができる。この前駆体を空セル内に真空注入する。真空注入後、注入口にエンドシール剤を塗布して封止する。
【0031】
前駆体が注入された空セルに、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより、モノマーを重合させる。フォトマスクは、縞状の遮光領域を持つ。紫外線の光源として、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ等を用いることができる。350nmの波長域の紫外線の放射照度は、例えば83mW/cm(波長350nm)であり、照射時間は30秒である。すなわち、露光量は、約2.5W・s/cmになる。液晶層35のうち、紫外線で露光された領域で重合反応が生じ、ポリマーが形成される。
【0032】
図4に液晶層35に形成された重合領域の平面図を示す。ポリマーが形成されている重合領域35Aと、モノマーが残っている未重合領域35Bとが交互に配置されて縞状パターン(ラインアンドスペースパターン)が形成されている。重合領域35Aと未重合領域35Bの各々の幅は20μmである。重合領域35Aと未重合領域35Bとは、図1Aに示したy軸方向に延在する。なお、重合領域35Aと未重合領域35Bとが、図1Aのx軸方向に平行な方向に延在するようにしてもよい。
【0033】
重合領域35Aの幅の好適値は、セル厚に依存する。セル厚が5μmの場合、重合領域35Aの幅が30μmよりも広いと、高い散乱性が得られない。高い散乱性を得るために、重合領域35Aの各々の幅を30μm以下にすることが好ましい。
【0034】
紫外線の露光量が少なすぎると、高い散乱性が得られなくなる。また、露光量を2.5W・s/cm以上にしても散乱性はほとんど変わらないことが確認された。
【0035】
また、重合領域35Aの平面形状は、縞状パターンに限定されず、格子状パターン、同心円状パターン、ランダムパターン等の種々のパターンとしてもよい。
【0036】
電圧無印加時に散乱状態になる散乱型液晶素子に、ポリマーネットワーク液晶を用いてもよい。
【0037】
スクリーン11に、電圧無印加時に散乱状態になる液晶素子に代えて、電圧印加時に散乱状態になる散乱型液晶素子を用いてもよい。この場合には、液晶層35の前駆体として、ホスト液晶、カイラル剤、液晶性モノマー、及び光重合反応開始剤を混合したものを用いる。例えば、ホスト液晶として、誘電率異方性が正、屈折率異方性が0.298、相転移温度Tniが128℃のものを用いる。カイラル剤としてメルク社製のS−811を用いる。カイラル剤の添加量は、ホスト液晶に対して0.1〜3wt%、典型的には0.376wt%である。カイラルピッチは28μmである。カイラル剤は電圧印加時における散乱性を高める機能を有する。カイラル剤の添加量が少なくなると、散乱性が低下し、逆に多くなると、電圧−透過率特性にヒステリシスが生じたり、電圧無印加時における透明性が低下する。液晶性モノマーとして、例えばDIC株式会社製のUCL−001を用いることができる。
【0038】
カイラル剤入り液晶に対する液晶性モノマーの添加量は、2〜15wt%、典型的には5wt%である。モノマーの添加量が少なすぎると、十分なポリマーネットワークが形成されない。モノマー添加量が多すぎると、電圧変化に対する液晶材料の応答性が低下してしまう。モノマーに対する光重合反応開始剤の添加量は、0.1〜0.5wt%である。光重合開始剤として、例えばチバケミカル社製のイルガキュアを用いることができる。
【0039】
その他の工程は、電圧無印加時に散乱状態になる散乱型液晶素子の製造工程と共通である。液晶性モノマーは、液晶分子と揃った配向状態で重合されるため、電圧無印加時に光を散乱させない。この散乱型液晶素子では、電圧無印加時に液晶層が透過状態になり、電圧を印加すると、液晶層が散乱状態になる。
【0040】
電圧無印加時には、配向方向の不揃いに起因すると思われる薄いディスクリネーションラインが観察されるものの、ほぼ均一な配向が得られる。電圧を印加すると、重合領域35A及び未重合領域35Bの縞状パターンの各直線状領域に対応する大きなドメインが観察される。相互に隣り合うドメインの配向状態は、相互に異なる。このドメインは、印加電圧を高めるほど、明瞭に視認される。ドメインの境界及び内部で散乱が生じていると考えられる。
【0041】
特に、カイラル剤を添加している場合には、液晶分子の配列が捩れた状態を示す。電圧の印加により捩れ状態が徐々に解消されるものの、まだ捩れ状態が残っていると考えられる。捩れ状態は、液晶層内部のポリマーネットワークにより乱されるため、重合領域35A内でもポリマーネットワークの影響を受けて、細かな配向状態の相違が生じる。この配向状態の相違によって、重合領域35Aが強い散乱性を示すものと考えられる。
【0042】
上記散乱型液晶素子は、環境温度が85℃でも問題なく動作することが確認された。従って、上記散乱型液晶素子は、車載用の素子として十分な安定性を持っていると考えられる。
【0043】
上記実施例1による車載用表示装置においては、図1Aに示したスクリーン11が散乱状態になっているとき、スクリーン11からの散乱光がフロントガラス10で反射される。これにより、運転者はスクリーン11に投影され、さらにフロントガラス10に映し出された像を視認することができる。スクリーン11が黒色状態になっているときには、スクリーン11はフロントガラス10へ映り難い。
【0044】
制御装置15は、投影装置12からスクリーン11に標識の像が投影されている期間には、スクリーン11を散乱状態にし、投影装置12からスクリーン11に標識の像が投影されていない期間には、スクリーン11を黒色状態にする。これにより、標識の像がスクリーン11に投影されていないときに、運転者の前方の良好な視界を維持することができる。
【0045】
なお、標識がスクリーン11に投影されていないときに、散乱状態のスクリーン11がガラスに映し出されても問題が生じない用途に用いる場合には、スクリーン11に散乱型液晶素子を用いることなく、単なる白色の散乱板を用いてもよい。
【0046】
図2Bに示したマスク22の透光領域22Aの形状を変えることにより、種々の標識を運転者に視認させることができる。警告の内容に応じた標識にすることにより、運転者は、警告の内容を直感的に把握することが可能になる。異なる形状の像を投影する複数の投影装置12を配置することにより、種々の標識を同時にまたは選択的に表示することが可能になる。また、標識の緊急度に応じて、投影装置12の光源の色を異ならせてもよい。例えば、緊急度の高い標識を投影する投影装置12の光源の色を赤色にし、緊急度の低い標識を投影する投影装置12の光源の色を黄色にすることが効果的である。
【0047】
上記実施例1では、フロントガラス10を単なる部分反射鏡として利用している。このため、フロントガラス10に、回折作用、集光作用、結像作用等を持つ光学素子を取り付ける必要がない。
【0048】
次に、図5A及び図5Bを参照して、実施例2による表示装置について説明する。実施例1では、何らパターンが形成されていないスクリーン11に、運転者に認知させるべき標識の像を投影した。実施例2の表示装置においては、スクリーン11に、予め種々のパターンが形成されている。
【0049】
図5Aに、スクリーン11に形成されているパターンの一例を示す。例えば、スクリーン11に、三角形の枠の内側に感嘆符「!」が配置された標識60や、四角形の枠の内側に疑問符「?」が配置された標識61が形成されている。これらの標識は、図3Aに示した透明電極33、34をパターニングすることにより形成される。標識の背景は常に黒色状態になっている。通常は、標識部分も黒色状態になっており、運転者に標識を認知させるときには、標識部分を散乱状態にする。
【0050】
実施例2では、図1Aに示した投影装置12に代えて、単なる照明装置が用いられる。照明装置は、制御装置15によりオンオフが制御され、オン状態のときに、スクリーン11を照明する。スクリーン11の標識部分を散乱状態にしたときに、照明装置をオン状態にし、その他の期間は、照明装置はオフ状態にされている。
【0051】
図5Bに示すように、スクリーン11にドットマトリクスパターン62を形成しておいてもよい。この場合には、制御装置15が、散乱状態にするドットを選択することにより、シンボルパターンや文字等の種々の標識をスクリーン11上に表示することができる。
【0052】
照明装置として、複数の色の照明光を選択的に照射することができるものを用いてもよい。運転者に認識させるべき標識の緊急度に応じて、照明光の色を変えることにより、運転者に緊急度を直感的に認知させることができる。
【0053】
なお、実施例2において、照明装置を配置せず、外光を利用することも可能である。
【0054】
上記実施例1、2では、車載用の表示装置について説明したが、上述の表示装置は、車載用に限らず、建設機械用の表示装置、鉄道車両用の表示装置、航空機用の表示装置、ヘルメット内の表示装置等、操作者の前方に透明なガラスが配置されている種々の機器に適用することができる。
【0055】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0056】
10 フロントガラス
11 スクリーン
12 投影装置
13 ダッシュボード
14 インスツルメントパネル
15 制御装置
20 発光ダイオード
21 ライトガイド
21A 内部空洞
22 マスク
22A 透光領域
22B 遮光領域
23 投影レンズ
25 像
31、32 ガラス基板
33、34 透明電極
35 液晶層
36 反射防止板
37 反射防止フィルム
40 駆動電源
41 スイッチ
50 遮光パターン
51 透過パターン
60、61 標識
62 ドットマトリクス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識を認識させるべき認識者の視線で見て、ガラスに映る位置に配置されたスクリーンと、
前記スクリーンに、標識の像を投影する投影装置と
を有する表示装置。
【請求項2】
前記スクリーンが、入射する光を散乱させる散乱状態と、入射する光を透過させる透過状態とのいずれかをとる散乱型液晶素子を含む請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記投影装置から前記スクリーンに標識の像が投影されているときには、前記散乱型液晶素子を散乱状態にし、前記スクリーンに標識の像が投影されていないときには、前記散乱型液晶素子を透過状態にする制御装置を、さらに有する請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記散乱型液晶素子は、液晶材料とポリマーとを含む液晶層を有し、重合したポリマーが形成されている領域が、第1の方向に延在する縞模様を形成し、該第1の方向が、前記液晶層の法線方向と、前記ガラスの法線方向とに平行な仮想平面と平行、または垂直である請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
標識を認識させるべき認識者の視線で見て、ガラスに映る位置に配置され、表示面のうち一部分が散乱状態とされて画像が表示された表示状態と、表示面の全域が透過状態とされた非表示状態とのいずれかをとる散乱型液晶素子
を有する表示装置。
【請求項6】
前記表示面に照明光を照射する光源をさらに有する請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
散乱型液晶素子を含み、散乱状態と非散乱状態とを取り得るスクリーンを、ガラスに映りこむ位置に配置し、該スクリーンを散乱状態にする工程と、
前記スクリーンが散乱状態になっている期間に、該スクリーンに像を投影することにより、前記ガラスに映りこんだ像を認識者に認知させる工程と
を有する標識を認知させる方法。
【請求項8】
さらに、前記スクリーンを非散乱状態にし、該スクリーンへの像の投影を停止する工程を含む請求項7に記載の標識を認知させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−162032(P2011−162032A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26255(P2010−26255)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】