説明

表示装置

【課題】コストアップを避けながら利用者の違和感を解消することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示手段1と、この表示手段1に所定の表示情報を表示させると共に所定の表示更新周期(タイミング)にて前記表示情報を更新する制御手段3と、表示手段1を照明する照明手段2と、この照明手段2の明るさを変更する調光手段4とを備えた表示装置において、制御手段3は調光手段4からの入力情報に基づいて照明手段2の明るさを選定し、前記表示情報を更新する表示更新周期に合わせて照明手段2の明るさを変更してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種車両に適用される表示装置に関し、特に表示手段の明るさを変更可能な表示装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。
この表示装置は、液晶パネルからなる表示手段と、この表示手段に所定の表示情報を表示させると共に表示情報を所定のタイミングにて更新するマイクロコンピュータからなる制御手段と、表示手段を照明するバックライトからなる照明手段と、この照明手段の明るさを変更する調光手段とを備えており、制御手段は、調光手段からの入力情報に基づいて照明手段の明るさを変更してなるものである。
【特許文献1】特開2001−277905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、表示手段に対して、所定の表示情報を表示させるための描画処理にはある程度の処理時間がかかり、この結果、表示情報の更新周期(タイミング)として例えば100msを要する場合があり、このように更新周期が遅い表示装置において、周囲の明るさに応じて調光手段を操作すると、明るさの変化が先行してしまい、利用者が違和感を感じてしまうという問題があった。またこの問題を解決する手法として、性能の高いマイクロコンピュータを使用することが考えられるが、コストアップを避けられないという問題がある。
【0004】
本発明は、この点に鑑みてなされたもので、コストアップを避けながら利用者の違和感を解消することが可能な表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するため、表示手段と、この表示手段に所定の表示情報を表示させると共に所定のタイミングにて前記表示情報を更新する制御手段と、前記表示手段またはその周囲に配置される他の表示手段を照明する照明手段と、この照明手段の明るさを変更する調光手段とを備えた表示装置において、前記制御手段は前記調光手段からの入力情報に基づいて前記照明手段の明るさを選定し、前記表示情報を更新する前記タイミングに合わせて前記照明手段の明るさを変更してなることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記制御手段が、前記調光手段による調光レベルを決定する第1の処理と、この第1の処理によって決定した前記調光レベルに基づいて前記照明手段の明るさを制御するための出力を前記第1の処理から所定時間経過後の前記タイミングに一致させる第2の処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、コストアップを避けながら利用者の違和感を解消することが可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1及び図2は、本発明の一実施形態を示すもので、図1は本発明による表示装置のシステム構成を示すブロック図、図2は同実施形態の動作を説明するタイミング図である。
【0009】
図1において、本実施形態による表示装置は、例えば自動車に搭載される計器装置に組み込まれ、走行距離、車速、ナビゲーション、交通情報等の走行情報や車両各部の状態を警報もしくは報知する車両情報を表示するもので、表示手段1と、照明手段2と、制御手段3と、調光手段4とを備えている。
【0010】
表示手段1は、例えばドットマトリックス型の液晶パネルからなるフラットディスプレイパネルを適用できる。
【0011】
照明手段2は、例えば複数個の発光ダイオードからなる光源と、この光源からの光を表示手段1に導くライドガイドとで構成される面光源装置を適用できる。
【0012】
制御手段3は、例えば、マイクロコンピュータを適用でき、CAN(Controller Area Network)通信ケーブルや図示しない配線によって車両の各種機器などと接続され、前記走行情報や前記車両情報(以下、まとめて表示情報という)に関する入力信号を受信し、これら入力信号に応じて表示手段1に前記表示情報を表示させると共に所定のタイミング(更新周期)にて前記表示情報を更新する。さらに制御手段3は、調光手段からの調光情報に係わる調光信号を受信し、照明手段2の明るさを制御する。
【0013】
また、制御手段3は、各種情報に基づいて演算処理するためのCPUと、このCPUにおける演算処理結果等を一時的に格納する読出し及び書換え可能なRAMや、制御プログラムや制御データを格納したROMから構成される記憶部と、前記各種情報や制御信号、クロック信号やラッチ信号などをやり取りするためにバス接続された入出力インターフェイスと、を備えている。
【0014】
調光手段4は、例えばロータリエンコーダやポテンショメータを適用でき、利用者が図示しないノブを回転操作することにより、前記ノブの回転操作に応じた調光信号(パルス信号)を前記調光情報として制御手段3に出力し、制御手段3は、入力した前記調光信号に基づいて照明手段2の明るさを変更する。
【0015】
次に図2に基づいて本実施形態のよる表示装置の動作の一例を説明する。
図2において、横軸は時間経過であり、時刻t1,t2,t3・・・は、制御手段3によって制御される前記表示情報の表示更新周期を示し、制御手段3は、前記入力信号を受信して演算処理し、時刻t1,t2,t3・・・の表示更新周期にて、表示手段1に表示される前記表示情報(表示内容)を更新すると共に前記調光信号を受信して演算処理してそのときの調光レベルを判定し、時刻t1,t2,t3・・・の表示更新周期に合わせて照明手段2の明るさを調整する。なお表示更新周期の一周期は例えば100msに設定されている。
【0016】
具体的には、時刻t1において、調光手段4の輝度(明るさ)設定は、調光レベル「1〜10」(数字は明るさを示す)中、調光レベル「7」に設定されている。
【0017】
制御手段3は、時刻t1における前記調光信号及び前記入力信号に基づいて、調光レベルとしては「7」、前記表示情報としては時刻t1時の表示データなる輝度判定・表示用データ(第1の中間データ)を取得して保存する(第1の処理)。このように取得保存された前記輝度判定・表示用データは、表示出力用データ(第2の中間データ)として、次の時刻t2における表示出力処理に用いられる。従って時刻t1における前記表示出力用データは、時刻t1より一周期前の時刻t0における前記輝度判定・表示用データとなる。
【0018】
また制御手段3は、時刻t1において取得した前記輝度判定・表示用データに基づいて時刻t1における前記表示情報の描画処理(画面編集処理)を実行し、この描画処理中、表示手段1は画面編集状態となり、表示手段1の表示画面には、時刻t1における前記表示出力用データ(時刻t1より一周期前の時刻における前記輝度判定・表示用データ)に基づく前記表示情報が表示される。
【0019】
また制御手段3は、時刻t1における前記表示出力用データに基づいて、調光レベル「7」に相当するPWM信号を出力し、これにより照明手段2の明るさが前記調光レベル「7」相当に調整される。
【0020】
次に時刻t2において、調光手段4の輝度(明るさ)設定は、時刻t1における調光レベル「7」から3ステップ大きい調光レベル「10」に設定されている。
【0021】
制御手段3は、時刻t2における前記調光信号及び前記入力信号に基づいて、調光レベルとしては「10」、前記表示情報としては時刻t2時の表示データなる輝度判定・表示用データ(第1の中間データ)を取得して保存する(第1の処理)。このように取得保存された前記輝度判定・表示用データは、表示出力用データ(第2の中間データ)として、次の時刻t3における表示出力処理(画面編集の結果を表示手段1に出力する処理)に用いられる。従って時刻t2における前記表示出力用データは、時刻t1における前記輝度判定・表示用データとなる。
【0022】
また制御手段3は、時刻t2において取得した前記輝度判定・表示用データに基づいて時刻t2における前記表示情報の描画処理(画面編集処理)を実行し、この描画処理中、表示手段1の表示画面には、時刻t2における前記表示出力用データ(時刻t1における前記輝度判定・表示用データ)に基づく前記表示情報が表示される。
【0023】
また制御手段3は、時刻t2における前記表示出力用データに基づいて、時刻t1と同じ前記調光レベル「7」に相当するPWM信号を出力し、これにより照明手段2の明るさが前記調光レベル「7」に維持される。
【0024】
次に時刻t3において、調光手段4の輝度(明るさ)設定は、時刻t2と同じ調光レベル「10」に設定されている。
【0025】
制御手段3は、時刻t3における前記調光信号及び前記入力信号に基づいて、調光レベルとしては「10」、前記表示情報としては時刻t3時の表示データなる輝度判定・表示用データ(第1の中間データ)を取得して保存する(第1の処理)。このように取得保存された前記輝度判定・表示用データは、表示出力用データ(第2の中間データ)として、次の時刻t4における表示出力処理に用いられる。従って時刻t3における前記表示出力用データは、時刻t2における前記輝度判定・表示用データとなる。
【0026】
また制御手段3は、時刻t3において取得した前記輝度判定・表示用データに基づいて時刻t3における前記表示情報の描画処理(画面編集処理)を実行し、この描画処理中、表示手段1の表示画面には、時刻t3における前記表示出力用データ(時刻t2における前記輝度判定・表示用データ)に基づく前記表示情報が表示される。
【0027】
また制御手段3は、時刻t3における前記表示出力用データに基づいて、調光レベル「10」に相当するPWM信号を出力し、これにより照明手段2の明るさが前記調光レベル「10」相当に調整される。
【0028】
ここで、時刻t1では調光レベル「7」であった調光手段4の輝度設定は、時刻t2にて調光レベル「10」に変更されるが、この設定変更に応じて照明手段2の明るさが実際に変更される(調光手段4の輝度設定が照明手段2に反映される)のは、時刻t2から一周期(所定時間)経過後の時刻t3の更新タイミングとなっている。
【0029】
次に時刻t4において、調光手段4の輝度(明るさ)設定は、時刻t3に対して2ステップ小さい調光レベル「8」に設定されている。
【0030】
制御手段3は、時刻t4における前記調光信号及び前記入力信号に基づいて、調光レベルとしては「8」、前記表示情報としては時刻t4時の表示データなる輝度判定・表示用データ(第1の中間データ)を取得して保存する(第1の処理)。このように取得保存された前記輝度判定・表示用データは、表示出力用データ(第2の中間データ)として、次の時刻t5における表示出力処理に用いられる。従って時刻t4における前記表示出力用データは、時刻t3における前記輝度判定・表示用データとなる。
【0031】
また制御手段3は、時刻t4において取得した前記輝度判定・表示用データに基づいて時刻t4おける前記表示情報の描画処理を実行し、この描画処理中、表示手段1は画面編集状態となり、表示手段1の表示画面には、時刻t4における前記表示出力用データ(時刻t3における前記輝度判定・表示用データ)に基づく前記表示情報が表示される。
【0032】
また制御手段3は、時刻t4における前記表示出力用データに基づいて、調光レベル「10」に相当するPWM信号を出力し、これにより照明手段2の明るさは前記調光レベル「10」相当に維持される。
【0033】
次に時刻t5において、調光手段4の輝度(明るさ)設定は、時刻t4と同じ調光レベル「8」に設定されている。
【0034】
制御手段3は、時刻t5における前記調光信号及び前記入力信号に基づいて、調光レベルとしては「8」、前記表示情報としては時刻t5時の表示データなる輝度判定・表示用データ(第1の中間データ)を取得して保存する(第1の処理)。このように取得保存された前記輝度判定・表示用データは、表示出力用データ(第2の中間データ)として、次の時刻における表示出力処理に用いられる。従って時刻t5における前記表示出力用データは、時刻t4における前記輝度判定・表示用データとなる。
【0035】
また制御手段3は、時刻t5において取得した前記輝度判定・表示用データに基づいて時刻t5おける前記表示情報の描画処理(画面編集処理)を実行し、この描画処理中、表示手段1は画面編集状態となり、表示手段1の表示画面には、時刻t5における前記表示出力用データ(時刻t4における前記輝度判定・表示用データ)に基づく前記表示情報が表示される。
【0036】
また制御手段3は、時刻t5における前記表示出力用データに基づいて、調光レベル「8」に相当するPWM信号を出力し、これにより照明手段2の明るさは前記調光レベル「8」相当に調整される。
【0037】
ここでも、時刻t3では調光レベル「10」であった調光手段4の輝度設定は、時刻t4にて調光レベル「8」に変更されるが、この設定変更に応じて照明手段2の明るさが実際に変更される(調光手段4の輝度設定が照明手段2に反映される)のは、時刻t4から一周期(所定時間)経過後の時刻t5の更新タイミングとなっている。
【0038】
以上の通り、本実施形態では、表示手段1と、この表示手段1に所定の表示情報を表示させると共に所定の表示更新周期(タイミング)にて前記表示情報を更新する制御手段3と、表示手段1を照明する照明手段2と、この照明手段2の明るさを変更する調光手段4とを備えた表示装置において、制御手段3は調光手段4からの入力情報に基づいて照明手段2の明るさを選定し、前記表示情報を更新する表示更新周期に合わせて照明手段2の明るさを変更してなることにより、コストアップを避けながら利用者の違和感を解消することができる。
【0039】
すなわち、前記表示情報を更新する表示更新周期に合わせて照明手段2の明るさを変更することにより、表示更新のタイミングと、照明手段2の明るさ変更のタイミングを合わせる(一致させる)ことができるので、描画処理性能の高い高価な制御手段を採用しなくとも、表示更新のタイミングに対して照明手段2の明るさ変化が先行することで利用者に違和感を与えてしまうといった問題を解消することができる。
【0040】
また本実施形態では、制御手段3が、表示更新周期(表示更新タイミング)に合わせて調光手段4による調光レベルを決定する第1の処理と、この第1の処理によって決定した前記調光レベルに基づいて照明手段2の明るさを制御するためのPWM信号出力を前記第1の処理から一周期経過後(所定時間経過後)のタイミングに一致させる第2の処理を実行することにより、プログラム作成を容易とし、コストダウンを達成することができる。
【0041】
なお本実施形態では、調光手段4としてロータリエンコーダやポテンショメータを適用したが、調光手段4は、照明手段2の明るさを変更するトリガとなるものであれば、任意であり、アップダウンスイッチや前照灯のオンオフに連動させて照明手段2の明るさを変更可能なライトスイッチでもよい。
【0042】
また本実施形態では、照明手段2は表示手段1を照明するものであったが、この表示手段1の周囲に配置される任意の他の表示手段(例えば計器装置)を照明するものであってもよい。この場合、表示手段1の表示更新周期(タイミング)と、他の表示手段の輝度変更タイミングとが一致するため、本実施形態と同様のメリットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係わる表示装置のシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の動作を説明するタイミング図。
【符号の説明】
【0044】
1 表示手段
2 照明手段
3 制御手段
4 調光手段
t1,t2,t3,t4,t5 時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
この表示手段に所定の表示情報を表示させると共に所定のタイミングにて前記表示情報を更新する制御手段と、
前記表示手段またはその周囲に配置される他の表示手段を照明する照明手段と、
この照明手段の明るさを変更する調光手段とを備えた表示装置において、
前記制御手段は前記調光手段からの入力情報に基づいて前記照明手段の明るさを選定し、前記表示情報を更新する前記タイミングに合わせて前記照明手段の明るさを変更してなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記調光手段による調光レベルを決定する第1の処理と、この第1の処理によって決定した前記調光レベルに基づいて前記照明手段の明るさを制御するための出力を前記第1の処理から所定時間経過後の前記タイミングに一致させる第2の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−298926(P2008−298926A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143005(P2007−143005)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】