説明

表示装置

【課題】映像信号線と導電層とが重複することにより生じる画質の劣化を抑えつつ、額縁領域を狭くする表示装置を提供する。
【解決手段】画像を表示する表示領域と、表示領域の外側において、表示領域の外周に沿った方向に敷設され、かつ、互いに並んで配置される配線部分DL1〜DL4を有し、表示領域まで延在する複数の映像信号線と、各配線部分を覆う絶縁層ISと、絶縁層IS上に配置される導電層CD1と、を有する表示装置であって、導電層CD1は、配線部分DL1〜DL4に沿う方向に沿って線状に絶縁層ISと接する部分Cpを有し、複数の映像信号線の配線部分DL1〜DL4のうち、互いに隣接し、かつ、導電部分を挟んで配置される2つの配線部分DL2,DL3は、接触部分Cpとの重複を避けるように、複数の映像信号線における他の配線部分よりも間隔を置いて配置される、ことを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示領域の外側から表示領域へと至るように映像信号線が敷設される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置をはじめとする表示装置では、表示領域に複数の映像信号線が敷設されて、各映像信号線は、表示領域において配列された各画素に映像信号を供給する。また各映像信号線は、表示領域の外側の額縁領域を経て表示領域へと至るようにレイアウトされる。
【0003】
なお、特許文献1には、高集積化に適する半導体記憶装置を提供する旨が記載されており、信号線間にGND線が挿入された半導体記憶装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−183396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、表示領域の外側では、映像信号線と絶縁層を介して重複する所定の導電層が配置されることがある。導電層と映像信号線とが重複する場合には、これらの間で大きな寄生容量が発生し、表示領域で表示される画像に影響を及ぼす場合がある。
【0006】
表示される画像に影響を及ぼすような導電層の一例としては、有機EL表示装置におけるポリイミド層の端部を覆う導電層がある。このポリイミド層は、表示領域を平坦化するための層であり、有機EL層が形成される封止領域内を防湿する観点から、シール材との重複を避けて封止領域の内側のみに形成される。またポリイミド層の端部を覆う導電層は、ポリイミド層の剥がれを防止するために形成される。
【0007】
図9は、従来の有機EL表示装置において、映像信号線DLがレイアウトされた額縁領域に、導電層CD1、CD2が配置される例を示す図である。同図で示すように、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1が形成されて、表示領域DPの外側にレイアウトされた映像信号線DLと重複する。
【0008】
また、図10は、図9の有機EL表示装置において、互いに並んで敷設された複数の映像信号線の1つである映像信号線DLcと、導電層CD1とが重複する様子を示す模式断面図である。導電層CD1と重複することにより、映像信号線DLcの寄生容量は他の映像信号線DLa等よりも大きくなる。このため、表示領域DPで表示される画像には、映像信号線DLcに対応した縦筋が発生しやすくなる。
【0009】
一方、導電層CD1と映像信号線DLとが重複しないようにする場合には、例えば、映像信号線DLが配置された領域のさらに外側に、導電層CD1が配置されるようにすればよい。しかし、この場合には、額縁領域を狭くするのが困難となるため望ましくない。
【0010】
本発明は、映像信号線と導電層とが重複することにより生じる画質の劣化を抑えつつ、比較的額縁領域の狭い表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示装置は、上記目的に鑑みて、画像を表示する表示領域と、前記表示領域の外側において、前記表示領域の外周に沿った方向に敷設され、かつ、互いに並んで配置される配線部分を有し、前記表示領域まで延在する複数の映像信号線と、前記各配線部分を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に配置される導電層と、を有する表示装置であって、前記導電層は、前記方向に沿って線状に前記絶縁層と接する部分を有し、前記複数の映像信号線の前記配線部分のうち、互いに隣接し、かつ、前記導電層の前記部分を挟んで配置される2つの前記配線部分は、前記導電層の前記部分との重複を避けるように、前記複数の映像信号線における他の前記配線部分よりも間隔を置いて配置される、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る表示装置の一態様では、前記2つの配線部分の間には、少なくとも1つの導電線が、前記絶縁層と接する前記導電層の前記部分と線状に重複して配置されて、前記導電線は、前記配線部分のそれぞれと並んで配置されて前記絶縁層に覆われる、ことを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明に係る表示装置の一態様では、前記導電線には、前記2つの配線部分に入力される信号に応じて、電位が印加される、ことを特徴としてもよい。
【0014】
また、本発明に係る表示装置の一態様では、前記2つの配線部分の間には、2つの前記導電線が配置されて、前記2つの導電線のうちの一方には、前記2つの導電線のうちの他方と隣接する前記配線部分に入力される信号に応じて、電位が印加され、前記他方には、前記一方と隣接する前記配線部分に入力される信号に応じて、電位が印加される、ことを特徴としてもよい。
【0015】
また、本発明に係る表示装置の一態様では前記導電線は、フローティングされる、ことを特徴としてもよい。
【0016】
また、本発明に係る表示装置の一態様では前記導電線には、基準電位が印加される、ことを特徴としてもよい。
【0017】
また、本発明に係る表示装置の一態様では前記複数の映像信号線における配線部分は、前記2つの配線部分の間の間隔以外は、所定の間隔を置いて互いに配置され、前記2つの配線部分の間の間隔は、前記所定の間隔よりも広い、ことを特徴としてもよい。
【0018】
また、本発明に係る表示装置の一態様では前記導電層は、フローティングされる、ことを特徴としてもよい。
【0019】
また、本発明に係る表示装置の一態様では前記絶縁層に接してポリイミド層が配置され、前記ポリイミド層の端部は、前記2つの配線部分の間において線状に形成され、前記導電層は、前記ポリイミド層の端部を覆いつつ前記ポリイミド層と前記絶縁層に跨って配置されて、前記2つの配線部分の間で前記絶縁層に線状に接する、ことを特徴としてもよい。
【0020】
また、本発明に係る表示装置の一態様では前記絶縁層は、前記ポリイミド層の膜厚よりも薄い厚みで形成される、ことを特徴としてもよい。
【0021】
また、本発明に係る表示装置の一態様では、前記表示領域の外側に配置されて、前記複数の映像信号線に信号を出力する映像信号線駆動回路をさらに有し、前記複数の映像信号線は、前記表示領域において互いに隣接して上下方向に延在するように敷設され、前記映像信号線駆動回路は、前記表示領域に対して横方向となる側に配置され、前記複数の映像信号線は、前記映像信号線駆動回路から開始して前記表示領域に対して上方向の側及び下方向の側に分かれて敷設され、前記上方向の側に分かれて敷設された前記映像信号線は、前記表示領域内を前記上方向の側から前記下方向の側へ向かうように延在し、前記下方向の側にわかれて敷設された前記映像信号線は、前記表示領域内を前記下方向の側から前記上方向の側へ向かうように延在する、ことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、映像信号線と導電層とが重複することにより生じる画質の劣化を防ぎつつ、比較的額縁領域の狭い表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置のTFT基板上の様子を示す図である。
【図2】図1のTFT基板における一部の領域の拡大平面図を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示装置において、表示領域の外周に沿う方向に導電層と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る表示装置において、表示領域の外周に沿う方向に導電層と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図を示す図である。
【図5】第2の実施形態の変形例に係る表示装置において、表示領域の外周に沿う方向に導電層と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る表示装置において、表示領域の外周に沿う方向に導電層と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図を示す図である。
【図7】第4の実施形態に係る表示装置において、表示領域の外周に沿う方向に導電層と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る表示装置において、表示領域の外周に沿う方向に導電層と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図を示す図である。
【図9】従来の表示装置において、映像信号線が敷設された額縁領域に導電層が配置される例を示す図である。
【図10】図9の表示装置において、互いに並んで敷設された複数の映像信号線の1つと、導電層とが重複する様子を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、各実施形態で同一の構成要素には同一符号を付し、同一構成要素の繰り返しの説明については省略する。本発明は、その技術的思想を逸脱しない範囲内において適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0025】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る表示装置は、ガラス基板上に複数の有機EL素子が配列されたTFT基板と、当該TFT基板にシール材によって貼り合わされる封止基板とを含んで構成される有機EL表示装置である。この封止基板は、TFT基板上に配列された有機EL素子を水分から保護するために備え付けられる。
【0026】
図1は、本実施形態に係る表示装置のTFT基板上の様子を示す図である。同図では、特に、TFT基板に貼り合わされる封止基板とのシール領域と端子領域の様子を示している。また、TFT基板上には、複数の画素が行列状に配列された表示領域DPが配置され、表示領域DPの外側の領域には、本実施形態に係る表示装置の額縁領域FRが配置されて、額縁領域FRの一部分にはシール材SEが配置されて封止基板と貼り合される。また、額縁領域FRには、映像信号線駆動回路DDRを含む端子領域TEが配置され、さらに複数の映像信号線DLが映像信号線駆動回路DDRから表示領域DPへと敷設される。また、図1において不図示となるポリイミド層が、表示領域DPよりも広い領域となるように配置されて、当該ポリイミド層の端部を覆うように導電層CD1が形成される。同様に、端子領域TEに引き回される配線を保護するためのポリイミド層(図1において不図示)が配置されて、当該ポリイミド層の端部を覆うように導電層CD2が配置される。
【0027】
本実施形態における表示領域DPでは、複数の映像信号線DLが互いに等間隔を置いて図中垂直方向に敷設されて、映像信号線DLに対して略垂直となる方向に、複数の走査信号線(図1において不図示)が互いに等間隔を置いて敷設される。複数の映像信号線DLと複数の走査信号線とは、互いに交差して配置され、これらによって画定される領域のそれぞれが、本実施形態に係る表示装置の表示領域DPに配列される画素に対応する。また、TFT基板上には、表示領域DPに配列される複数の画素のそれぞれに対して、有機EL素子と、蓄積容量と、当該画素の表示制御を行うためのMIS構造(Metal-Insulator-Semiconductor)の薄膜トランジスタと、が配置される。有機EL素子は、下部電極と、上部電極と、これらの間に積層される有機材料とを含んで構成され、有機材料は、両電極間に生じる電位差により電子及び正孔が供給されることで発光する。
【0028】
各映像信号線DLには、額縁領域FRに実装された映像信号線駆動回路DDRから信号が出力されて、各走査信号線には走査線駆動回路から信号が出力される。本実施形態に係る表示装置では、走査線駆動回路及び映像信号線駆動回路DDRによって、所定タイミングごとに映像信号線DL及び走査信号線に選択的に信号が入力される。これによって、表示制御の対象となる画素に対応する有機EL素子の発光が制御される。
【0029】
また、本実施形態に係る表示装置は、表示領域DPの全体にわたって平坦化をするために形成されるポリイミド層と、端子領域TEを保護するために形成されるポリイミド層とを含み、2つのポリイミド層の端部をそれぞれ覆うように導電層CD1,CD2が形成される。このため、図1で示すように、特に導電層CD1は、表示領域DPの外側において、表示領域DPの外周に沿って枠状に形成される。また、導電層CD2も、表示領域DPの外周に沿った方向に形成される部分を有している。なお、本実施形態では、表示領域DPを平坦化する平坦化層および、端子領域TEを保護する保護層としてポリイミドを用いているが、ポリイミド以外の他の材料を用いても良い。なお、本実施形態では、導電層CD1,CD2は、表示領域DPの電極構造の一部と同時に形成されるため、ITO(インジウム錫酸化物:Indium Tin Oxide)などの透明導電膜が用いられるが、他の有色の金属が用いられてもよい。
【0030】
本実施形態に係る表示装置の映像信号線駆動回路DDRは、図1で示すように、表示領域DPの横方向となる側に配置される。そして、複数の映像信号線DLは、映像信号線駆動回路DDRから開始して表示領域DPの横方向の側から上方向の側および下方向の側へと引き回されて、さらに、表示領域DPの内側へと上下方向に延在するように敷設される。本実施形態では、額縁領域FRを狭くするように複数の映像信号線DLが引き回されるため、複数の映像信号線DLは、表示領域DPからなるべく近い位置で互いに密集して、表示領域DPの外周に沿うように配線される。したがって、複数の映像信号線DLは、互いに並んで配置されて、かつ、表示領域DPの外周に沿った方向に敷設される配線部分をそれぞれ有している。
【0031】
本実施形態では、図1で示すように、複数の映像信号線DLのうちの映像信号線駆動回路DDRから遠い側に敷設される半分の映像信号線DLと、近い側に敷設される半分の映像信号線DLは、縦方向で分かれて表示領域DPの外周に沿って引き回される。具体的には、前記遠い側に敷設される半分の映像信号線DLは、映像信号線駆動回路DDRから開始して、表示領域DPの右辺に沿って上方向に進行し、表示領域DPの上辺に沿って映像信号線駆動回路DDRから遠ざかる方向に引き回されたのちに、表示領域DPの上辺から下辺へと横断するようにそれぞれ敷設される。また、前記近い側に敷設される半分の映像信号線DLも、映像信号線駆動回路DDRから開始して、表示領域DPの右辺に沿って下方向に進行し、表示領域DPの下辺に沿ってそれぞれ引き回される。このため、表示領域DPの右方向の側と、上方向の側および下方向の側では、表示領域DPの外周である右辺と、上辺および下辺に沿って、複数の映像信号線DLが互いに並んで敷設される。
【0032】
本実施形態では、額縁領域FRを狭くするため、複数の映像信号線DLが互いにならんで引き回される領域(図1において、斜めのハッチングが付された部分)と重複するように、導電層CD1,CD2が配置される。導電層CD1,CD2は、複数の映像信号線DLとの間に絶縁層ISを介在させて積層されている。そして、互いに近い位置に存在する映像信号線DLと導電層CD1,CD2との間には寄生容量が発生する。発生する寄生容量は、映像信号線DLと導電層CD1,CD2の重複する面積が大きいほど大きくなる。従って、映像信号線DLと導電層CD1,CD2とが交差する場合に発生する寄生容量よりも、所定の長さにわたって線状に重複する場合の寄生容量が大きくなる。発生する寄生容量が大きくなると、映像信号線DLに映像信号が入力される際の負荷が大きくなるため、当該映像信号線DLに接続された各画素への映像信号の入力に遅延や減衰が生じる。また、所定の映像信号線DLにおいて、隣接する映像信号線DLと比べて大きな寄生容量が発生する場合には、当該所定の映像信号線DLに接続された各画素への映像信号の入力の減少が顕著となって表示される画像上で筋が視認されやすくなる。
【0033】
図1における領域OL1〜OL5は、複数の映像信号線DLにおける複数の配線部分が配置される領域であって、当該領域には、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1又は導電層CD2が配置される。図1で示されるように、領域OL1は、表示領域DPの上辺に沿って導電層CD1及び複数の配線部分が横方向に延設される領域であり、領域OL2〜OL3は、表示領域DPの右辺に沿って導電層CD1及び複数の配線部分が上下方向に延設される領域であり、領域OL4〜OL5は、表示領域DPの右辺に沿って導電層CD2及び複数の配線部分が上下方向に延設される領域である。また、図2は、領域OL1の様子を示す拡大平面図であり、複数の配線部分DL1〜DL4が表示領域DPの外周に沿う方向に敷設されて、さらに、導電層CD1が配線部分DL2及びDL3の間で当該方向に延設される様子を示している。また、複数の配線部分が表示領域DPの外周に沿う方向に敷設されて、さらに、導電層CD1が2つの配線部分の間で当該方向に延設されるのは、領域OL2〜OL5でも同様であるため、領域OL2〜OL5についての説明は省略する。
【0034】
ここで図3は、本実施形態に係る表示装置において、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1と複数の配線部分とが配置される領域OL1の模式断面図である。同図で示されるように、まず、複数の映像信号線DLの各配線部分DL1〜DL4が配置される。各映像信号線DLは、アルミニウム等を含む合金あるいはそれらの積層で形成される。また、各配線部分DL1〜DL4を覆うように絶縁層ISが積層される。本実施形態における絶縁層ISは、窒化シリコン(SiN)であって0.2〜0.5μm程度の厚みで積層される。絶縁層ISの厚みを厚くすることにより導電層CD1によって発生する寄生容量は小さくなる。しかし、TFT基板において反りが発生するのを防止するため、窒化シリコンを用いた絶縁層ISは、上述の厚みで形成される。そして特に図3では、配線部分DL2及びDL3との2つの配線部分の間が所定間隔を空けられており、当該2つの配線部分の間に、導電層CD1の一部分となる接触部分(平板容量部分)Cpが配置されるようにする。この接触部分Cpは、導電層CD1の表示領域DPの外周に沿う方向であって、当該2つの配線部分が敷設される方向とほぼ同一となる方向に線状となって絶縁層ISと接する導電層CD1の一部分である。2つの配線部分DL2及びDL3の間が所定間隔を空けられることにより、導電層CD1の接触部分Cpと、各配線部分DL1〜DL4との平面的な重複が避けられる。
【0035】
また、ポリイミド層PLの端部は、配線部分DL2と配線部分DL3の間に線状に存在する。導電層CD1は、絶縁層ISからポリイミド層PLの端部に跨って配置されることにより、ポリイミド層PLの剥がれを防止する。ポリイミド層PLは2μm程度の厚みを有しており、ポリイミド層PLの端部は、テーパ状に形成される。本実施形態では、各配線部分DL1〜DL4と、導電層CD1において絶縁層ISと線状に接する接触部分Cpとは、表示領域DPの外周に沿う方向に、ほぼ平行となるようにそれぞれ配置されるため、接触部分Cpと配線部分DL2,DL3とが線状に重複するのが避けられて寄生容量の増大が抑えられる。
【0036】
また、各映像信号線DL間は、絶縁層ISによって互いに絶縁されて、各映像信号線DL間においても寄生容量が発生する。本実施形態では、配線部分DL2及びDL3の間隔は、他の2つの配線部分が有する間隔よりも広くなるようにし、配線部分DL2及びDL3の間隔以外は所定の間隔となるように各配線部分が配置される。導電層CD1の接触部分Cpを間に挟む2つの配線部分以外は、互いに等しい線幅およびピッチで配置することにより、各映像信号線DL間に発生する寄生容量をなるべく均一に近づけるようにするのが望ましい。また、接触部分Cpとの間で生じる寄生容量に基づいて、接触部分Cpからの配線部分DL2およびDL3の位置を決定することで、配線部分DL2及びDL3を含めた各映像信号線DL間の寄生容量をさらに均一に近づけるようにしてもよい。
【0037】
なお、導電層CD1は、フローティングにしてもよい。導電層CD1をフローティングにすることで、配線部分DL2と導電層CD1の間の寄生容量と、導電層CD1と配線部分DL3の間の寄生容量とが合成されて、配線部分DL2と配線部分DL3の間に寄生容量が発生し、配線部分DL2と配線部分DL3以外の隣接配線間容量に近くなるので、表示領域DPにおいて表示される画像で筋が発生するのを抑えやすくできる。
【0038】
なお、ポリイミド層PLは、絶縁層IS上に形成されて、さらに絶縁層ISよりも厚く形成されるため、ポリイミド層PL上の導電層CD1と重複することにより生じる寄生容量は、導電層CD1の接触部分Cpと重複することにより生じる寄生容量よりも少なくなりやすい。したがって、ポリイミド層PLの厚みが絶縁層ISの厚みよりも厚い場合には、ポリイミド層PL上の導電層CD1と各配線部分との重複を許容しても画質への影響が小さい場合もある。しかし、図2で示す本実施形態のように、各配線部分は、ポリイミド層PL上の導電層CD1との重複をも避けるようにするのが望ましい。
【0039】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置であって、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図である。第2の実施形態では、導電層CD1の接触部分Cpとの平面的な重複を避けて所定間隔を空けられた2つの配線部分DL2及びDL3の間に、導電線DMが配置される。当該導電線DMは、表示領域DP内の画素には接続されない。第2の実施形態に係る表示装置は、このような導電線DMが配置される点で第1の実施形態に係る表示装置とは異なるが、かかる点以外は第1の実施形態と同様である。そして、第1の実施形態と同様となる部分については、説明を省略する。
【0040】
図4で示すように、配線部分DL2及びDL3の間に導電線DMが介在して、各配線部分と導電線DMとが互いに並んで配置される。そして、導電層CD1の接触部分Cpと導電線DMとが互いに線状に重複して配置される。特に、導電線DMには、配線部分DL2を含む映像信号線DL及び配線部分DL3を含む映像信号線DLに信号が入力されるのに応じて、電位が印加される。具体的には、配線部分DL2及びDL3に映像信号に基づく電位が印加されるタイミングに従って、当該映像信号に応じた電位が、導電線DMに印加される。
【0041】
表示領域DPに画像を表示する際には、所定タイミング毎に各映像信号線DLに映像信号による電位が印加される。配線部分DL2及びDL3に入力される信号に応じて、導電線DMに電位を印加することにより、映像信号の入力の際に配線部分DL2及びDL3で生じる負荷を小さくすることができる。これにより、配線部分DL2及び配線部分DL3を含む2つの映像信号線DLに接続される画素列で生じる筋の発生を抑えることが出来る。なお、上記のように導電線DMに電位を印加することで、当該2つの映像信号線を含む各映像信号線DLにおいて発生する負荷も均一化されるため、画質の劣化が抑えられる。
【0042】
第2の実施形態に係る表示装置の導電線DMは、各映像信号線DLと同様に、映像信号線駆動回路DDRによって電位が印加されるようにしてもよいし、映像信号線駆動回路DDR以外から電位が印加されるようにしてもよい。また、導電線DMに印加される電位としては、配線部分DL2に印加される電位と配線部分DL3に印加される電位の平均となるようにしてもよい。
【0043】
図5は、第2の実施形態に係る表示装置の変形例を示す図であり、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図である。同図で示すように、所定の間隔を置いて配置された配線部分DL2及びDL3の間には、複数の導電線が配置される。本変形例では、導電線DM1とDM2の2つの導電線が配置されて、導電層CD1の接触部分Cpと線状に重複して、他の配線部分と共に並んで配置される。
【0044】
本変形例では、導電線DM1には、導電線DM2と隣接する配線部分DL3に入力される信号に応じた電位が印加され、導電線DM2には、導電線DM1と隣接する配線部分DL2に入力される信号に応じた電位が印加されるようにする。このようにすることで、導電層CD1等が存在することによって配線部分DL2及びDL3の間で生じる負荷を、各映像信号線DLにおいて発生する負荷と同様にでき、各映像信号線DLで発生する負荷を均一化できる。なお、導電線DM1及びDM2は、導電層CD1の接触部分Cpと線状に重複するため、大きな寄生容量を発生させる。このため、導電線DM1、DM2に印加される電圧振幅は、配線部分DL2、DL3を含む映像信号線DLに映像信号として入力される電圧振幅よりも大きくしても良い。
【0045】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置であって、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図である。第3の実施形態では、導電層CD1の接触部分Cpとの平面的な重複を避けて所定間隔を空けられた2つの配線部分DL2及びDL3の間に、フローティング導電線FGが配置される。第3の実施形態に係る表示装置は、このようなフローティング導電線FGが配置される点で第1の実施形態に係る表示装置とは異なるが、この点以外は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様となる部分については、説明を省略する。
【0046】
図6で示すように、配線部分DL2及びDL3の間にフローティング導電線FGが介在し、各配線部分とフローティング導電線FGとが互いに並んで配置されて、導電層CD1の接触部分Cpとフローティング導電線FGとが互いに線状に重複して配置される。配線部分DL2及びDL3の間にフローティング導電線FGが介在することで、配線部分DL2とフローティング導電線FGとの間の寄生容量と、配線部分DL3とフローティング導電線FGとの間の寄生容量とが合成されて、表示領域DPに表示される画像の筋の発生を抑えやすく出来る。
【0047】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係る表示装置であって、表示領域DPの外周に沿って導電層CD1と複数の配線部分とが配置される領域の模式断面図である。第4の実施形態では、導電層CD1の接触部分Cpとの平面的な重複を避けて所定間隔を空けられた2つの配線部分DL2及びDL3の間に、1MΩ程度の高抵抗を介して基準電位と電気的に接続したグランド導電線GNが配置される。第4の実施形態に係る表示装置は、このようなグランド導電線GNが配置される点で第1の実施形態に係る表示装置とは異なるが、この点以外は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様となる部分については、説明を省略する。
【0048】
図7で示すように、配線部分DL2及びDL3の間にグランド導電線GNが介在し、各配線部分とグランド導電線GNとが互いに並んで配置されて、導電層CD1の接触部分Cpとグランド導電線GNとが互いに線状に重複して配置される。配線部分DL2及びDL3の間にグランド導電線GNが介在することで、表示領域DPに表示される画像の筋の発生を抑えやすく出来る。
【0049】
なお、上記の各実施形態では、図3〜図7で示すように、配線部分DL1及びDL2を上側から覆うようにポリイミド層PLが存在し、配線部分DL2及びDL3の間にポリイミド層PLの端部が存在して、当該端部を覆う導電層CD1が存在している。しかし、図8で示すように、ポリイミド層PLが存在しない絶縁層IS上に導電層CD1が存在するようにしても良い。また、図8では、導電層CD1と平面的かつ線状に重複して導電線DMが配置されているが、この導電線DMが配置されなくてもよいし、フローティング導電線FGやグランド導電線GNが配置されるようにしてもよい。また、図3〜図8においては導電層CD1の場合を説明しているが、導電層CD1の代わりに導電層CD2となる場合であっても同様となることについてはいうまでもない。
【0050】
なお、第3〜4の各実施形態では、配線部分DL2及びDL3の間に、それぞれ1つの導電線が配置されているが、複数の導電線が配置されてよい。間に配置される複数の導電線は、フローティング導電線FGであってもよいし、グランド導電線GNであってもよく、これらの組み合わせからなる複数の導電線であってもよい。また、当該複数の導電線のうちの1つには、配線部分DL2又はDL3の一方に入力される信号に応じた電位が印加されても良い。
【0051】
なお、第2〜第4の各実施形態では、各映像信号線DLの配線部分DL1〜DL4と、導電線DM等とが、互いに等しいピッチ及び線幅で配置されるようにしてもよい。このようにすることで、各映像信号線DL間で生じる寄生容量を均一にしやすくなる。
【0052】
なお、上記の各実施形態に係る表示装置では、表示装置を有機EL表示装置としているが、液晶表示装置等の他の表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
DL 映像信号線、DP 表示領域、FR 額縁領域、SE シール材、OL1〜OL5 領域、DDR 映像信号線駆動回路、TE 端子領域、CD1,CD2 導電層、PL ポリイミド層、IS 絶縁層、DL1〜DL4 配線部分、Cp 接触部分(平板容量部分)、DM 導電線、FG フローティング導電線、GN グランド導電線、DLa〜DLe 映像信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域と、
前記表示領域の外側において、前記表示領域の外周に沿った方向に敷設され、かつ、互いに並んで配置される配線部分を有し、前記表示領域まで延在する複数の映像信号線と、
前記各配線部分を覆う絶縁層と、
前記絶縁層上に配置される導電層と、を有する表示装置であって、
前記導電層は、前記方向に沿って線状に前記絶縁層と接する部分を有し、
前記複数の映像信号線の前記配線部分のうち、互いに隣接し、かつ、前記導電層の前記部分を挟んで配置される2つの前記配線部分は、前記導電層の前記部分との重複を避けるように、前記複数の映像信号線における他の前記配線部分よりも間隔を置いて配置される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置であって、
前記2つの配線部分の間には、少なくとも1つの導電線が、前記絶縁層と接する前記導電層の前記部分と線状に重複して配置されて、
前記導電線は、前記配線部分のそれぞれと並んで配置されて前記絶縁層に覆われる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された表示装置であって、
前記導電線には、前記2つの配線部分に入力される信号に応じて、電位が印加される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載された表示装置であって、
前記2つの配線部分の間には、2つの前記導電線が配置されて、
前記2つの導電線のうちの一方には、前記2つの導電線のうちの他方と隣接する前記配線部分に入力される信号に応じて、電位が印加され、
前記他方には、前記一方と隣接する前記配線部分に入力される信号に応じて、電位が印加される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載された表示装置であって、
前記導電線は、フローティングされる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載された表示装置であって、
前記導電線には、基準電位が印加される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載された表示装置であって、
前記複数の映像信号線における配線部分は、前記2つの配線部分の間の間隔以外は、所定の間隔を置いて互いに配置され、
前記2つの配線部分の間の間隔は、前記所定の間隔よりも広い、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載された表示装置であって、
前記導電層は、フローティングされる、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載された表示装置であって、
前記絶縁層に接してポリイミド層が配置され、
前記ポリイミド層の端部は、前記2つの配線部分の間において線状に形成され、
前記導電層は、前記ポリイミド層の端部を覆いつつ前記ポリイミド層と前記絶縁層に跨って配置されて、前記2つの配線部分の間で前記絶縁層に線状に接する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載された表示装置であって、
前記絶縁層は、前記ポリイミド層の膜厚よりも薄い厚みで形成される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載された表示装置であって、
前記表示領域の外側に配置されて、前記複数の映像信号線に信号を出力する映像信号線駆動回路をさらに有し、
前記複数の映像信号線は、前記表示領域において互いに隣接して上下方向に延在するように敷設され、
前記映像信号線駆動回路は、前記表示領域に対して横方向となる側に配置され、
前記複数の映像信号線は、前記映像信号線駆動回路から開始して前記表示領域に対して上方向の側及び下方向の側に分かれて敷設され、前記上方向の側に分かれて敷設された前記映像信号線は、前記表示領域内を前記上方向の側から前記下方向の側へ向かうように延在し、前記下方向の側にわかれて敷設された前記映像信号線は、前記表示領域内を前記下方向の側から前記上方向の側へ向かうように延在する、
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−186064(P2011−186064A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49402(P2010−49402)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】