説明

表示装置

【課題】タッチをリリースした位置に基づいてボタンに定義された処理が実行される場合に、誤ってタッチしたボタンのリリースエリアから外れた位置でタッチをリリースしても、タッチしたボタンの処理が実行される車載用表示装置を提供する。
【解決手段】アルファベット「Y」の文字入力を意図し、「Y」ボタン21aのリリースエリア23aをタッチした。しかし、タッチをリリースするとき、誤って矢印31方向に指を滑らせ、「Z」ボタン21bのリリースエリア23bでタッチをリリースした。タッチ位置が「Y」ボタン21aのリリースエリア23aから外れてから所定時間(たとえば200ms)以内であれば、タッチをしたリリースエリア23aに係る「Y」ボタン21aに定義された処理が実行される。したがって、誤ってタッチをリリースする位置をずらしてしまっても、「Y」ボタン21aに定義された処理を実行させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを使用して操作することができる車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に表示されたボタンをタッチ操作すると、タッチ操作されたボタンに定義された処理が実行されるタッチパネル装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−344086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来のタッチパネル装置において、タッチをリリースした位置に基づいて表示画面に表示されている複数のボタンの中からユーザが選択したボタンを判定することもできる。こうすれば、間違えて別のボタンをタッチしても、所望のボタンのリリースエリアまでタッチをずらし、タッチをリリースすることによって所望のボタンの処理を実行させることができる。ここでリリースエリアとは、タッチをリリースするとそのリリースエリアに係るボタンに定義された処理が実行される領域をいう。この場合、所望のボタンのリリースエリアをタッチしても、タッチをリリースするときにリリースエリアから外れてしまい、所望のボタンの処理が実行されない場合がある。とくに、ボタンの表示範囲の端の部分をタッチした場合によく起こる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明の車載用表示装置は、タッチパネルを設けた表示モニタと、表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、タッチパネル上において、ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、リリースエリアでタッチがリリースされたときに、ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段とを備え、処理制御手段は、リリースエリアがタッチされた後、リリースエリアからタッチ位置が外れた時刻から所定時間が経過するまでの間にタッチがリリースされた場合は、リリースエリアがタッチされたボタンに定義された処理を実行することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の車載用表示装置において、リリースエリアがタッチされると、リリースエリアのボタンの表示態様を変更する表示態様変更手段を備え、表示態様変更手段は、リリースエリアがタッチされた後、リリースエリアからタッチ位置が外れた時刻から所定時間が経過するまでは、ボタンの表示態様をリリースエリアがタッチされる前の表示態様に戻さないことを特徴とする。
(3)請求項3の発明の車載用表示装置は、タッチパネルを設けた表示モニタと、表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、タッチパネル上において、ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、リリースエリアでタッチがリリースされたときに、ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段とを備え、処理制御手段は、リリースエリアがタッチされた後、タッチパネルがタッチされた時刻から所定時間が経過するまでの間にタッチがリリースされた場合は、リリースエリアがタッチされたボタンに定義された処理を実行することを特徴とする。
(4)請求項4の発明の車載用表示装置は、タッチパネルを設けた表示モニタと、表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、タッチパネル上において、ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、リリースエリアでタッチがリリースされたときに、ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段と、リリースエリアでタッチされたとき、リリースエリアからタッチ位置が外れた時刻から所定時間が経過するまで、タッチされたリリースエリアを拡大するリリースエリア拡大制御手段とを備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明の車載用表示装置は、タッチパネルを設けた表示モニタと、表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、タッチパネル上において、ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、リリースエリアでタッチがリリースされたときに、ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段と、リリースエリアでタッチされたとき、タッチパネルがタッチされた時刻から所定時間が経過するまで、タッチされたリリースエリアを拡大するリリースエリア拡大制御手段とを備えることを特徴とする。
(6)請求項6の発明の車載用表示装置は、タッチパネルを設けた表示モニタと、表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、タッチパネル上において、ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、リリースエリアでタッチがリリースされたときに、ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段とを備え、処理制御手段は、リリースエリアがタッチされた後、リリースエリアから外れてタッチがリリースされた場合、タッチをリリースされた位置がリリースエリアから所定距離以内の場合は、リリースエリアがタッチされたボタンに定義された処理を実行することを特徴とする。(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の車載用表示装置において、リリースエリアがタッチされると、リリースエリアのボタンの表示態様を変更する表示態様変更手段を備え、表示態様変更手段は、リリースエリアがタッチされた後、タッチ位置がリリースエリアから外れても、タッチ位置がリリースエリアから所定距離内にあるときは、ボタンの表示態様をリリースエリアがタッチされる前の表示態様に戻さないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1〜3,6,7の発明によれば、ユーザが所望のボタンのリリースエリアをタッチした後、誤って所望のボタンのリリースエリアから外れてタッチをリリースしても、所望のボタンの処理が実行される。請求項4,5の発明によれば、ユーザが所望のボタンのリリースエリアをタッチした後、誤ってタッチ位置をずらしてタッチをリリースしても、所望のボタンのリリースエリアから外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)はアルファベット入力画面を説明するための図であり、図2(b)はアルファベット入力画面に設定されたリリースエリアを説明するための図である。
【図3】所望のボタンのリリースエリアを外してタッチをリリースしたタッチ操作を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態によるナビゲーション装置のボタン実行処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態によるナビゲーション装置のボタン実行処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6(a)はタッチパネルをタッチしてから所定時間が経過するまでのアルファベット入力画面に設定されたリリースエリアを説明するための図であり、図6(b)はタッチパネルをタッチしてから所定時間が経過した後のアルファベット入力画面に設定されたリリースエリアを説明するための図である。
【図7】本発明の変形例のボタン実行処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の変形例のボタン実行処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】表示画面全体に拡大したリリースエリアを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1では、表示モニタ16に表示されたボタンをタッチ操作することによってナビゲーション装置1を操作することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記憶されたDVD−ROM112が装填されている。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。また、制御回路11はタイマ11aを有しており、経過時間を測定することができる。
【0010】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは、車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは、車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0012】
ディスクドライブ111は、DVD−ROM112から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0013】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドを設定するための入力スイッチを有し、操作パネル上のボタンスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示に従って入力装置18を手動で操作することにより、目的地を選択して目的地を設定する。
【0014】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル19を通して表示される。タッチパネル19は、タッチパネル19上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出する。タッチパネルコントロール部110はその信号に基づいてタッチパネル19のタッチ位置を算出する。
【0015】
表示モニタ16の表示画面をタッチするとタッチパネル19がタッチされる。そして、各種ボタン、表示メニューなどの表示位置に設けられたリリースエリアでタッチパネル19から指を離してタッチをリリースすると、以下の処理が行われる。すなわち、タッチがリリースされたリリースエリアに係る各種ボタンや表示メニューに定義された処理が実行されたりする。ここで、タッチ位置ではなく、タッチのリリース位置に基づいて処理が実行されるのは、上述の理由による。つまり、タッチしたボタンを間違えても、タッチパネル19をタッチした状態で指を移動し、正しいボタンのリリースエリアでタッチをリリースすれば、所望のボタンの処理が実行されるからである。
【0016】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路に従って車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0017】
次に、本発明の実施形態における表示画面に表示されたボタンの選択処理について図2および図3を参照して説明する。アルファベットの文字を入力するアルファベット入力画面を例にあげて説明する。
【0018】
図2(a)は、アルファベット入力画面20を説明するための図である。アルファベット入力画面には、アルファベット入力ボタン21および入力表示欄22が表示される。各々のアルファベット入力ボタン21には、アルファベットが表示されている。アルファベット入力ボタン21をタッチ操作すると、アルファベット入力ボタン21に表示されているアルファベットが入力される。入力表示欄22には、アルファベット入力ボタン21より入力されたアルファベットが表示される。図2(b)は、アルファベット入力画面20に設定されたリリースエリア23を説明するための図である。各々のアルファベット入力ボタン21にリリースエリア23が設定される。タッチをリリースするというタッチ操作をリリースエリア23内で行うと、そのリリースエリア23に係るアルファベット入力ボタン21に定義された処理が実行される。つまりアルファベット入力ボタン21に表示されたアルファベットが入力される。
【0019】
ユーザは、アルファベット「Y」の文字を入力しようと思い、以下のようなタッチ操作を行うものとして説明する。図3に示すように、「Y」ボタン21aのリリースエリア23aをタッチする。その後、タッチをリリースするとき、誤って矢印31方向に指を滑らせ、時刻t1で、「Y」ボタン21aのリリースエリア23aから指が外れ、時刻t2で「Z」ボタン21bのリリースエリア23bでタッチをリリースした。本発明の実施形態では、タッチ位置が「Y」ボタン21aのリリースエリア23aから外れた時刻t1から所定時間(たとえば200ms、以下タッチ優先時間と呼ぶ)以内であれば、タッチをしたリリースエリア23aに係る「Y」ボタン21aに定義された処理が実行される。つまり、時刻t2−t1≦200msであれば、アルファベット「Y」の文字が入力される。したがって、誤ってタッチをリリースする位置をずらしてしまっても、ユーザは所望のアルファベット「Y」を入力することができる。
【0020】
一方、タッチ位置が「Y」ボタン21aのリリースエリア23aから外れた時刻t1からタッチ優先時間を経過した後は、タッチをリリースしたリリースエリア23に係るボタン21に定義された処理が実行される。
【0021】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置1のボタン実行処理について図4および図5のフローチャートを参照して説明する。図4および図5の処理は、タッチパネル19がタッチされるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0022】
ステップS401では、タッチパネルコントロール部110が算出したタッチ位置を検出する。タッチ位置の検出は、たとえば以下のように行う。指でタッチパネル19をタッチすると、指によって押圧されている範囲の最も押圧の強い部分(押圧中心)がタッチパネル19の分解能で3〜4ドット分、揺らいでいる。このような押圧中心の揺らぎの影響を少なくするために、20msおきにタッチ位置を5回検出し、5回検出したタッチ位置の平均の位置をタッチ位置として検出する。
【0023】
ステップS402では、検出したタッチ位置をタッチパネル19に設定したリリースエリア23と照合する。ステップS403では、タッチ位置はリリースエリア23内であるかを判定する。タッチ位置がリリースエリア23内であればステップS403が肯定判定され、ステップS404へ進む。タッチ位置がリリースエリア23から外れている場合はステップS403が否定判定され、ステップS401へ戻る。ステップS404では、ステップS402で検出したタッチ位置をRAM13に記憶する。
【0024】
ステップS405では、ステップS403で範囲内であると判定されたリリースエリア23からタッチ位置は外れたかを判定する。外れた場合はステップS405が肯定判定され、ステップS406へ進む。外れていない場合はステップS405が否定判定され、ステップS411へ進む。ステップS406では、タイマ11aをスタートする。ステップS407では、タイマ11aの計測時間がタッチ優先時間を経過したかを判定する。タッチ優先時間を経過している場合はステップS407が肯定判定され、図5のステップS501へ進む。タッチ優先時間を経過していない場合はステップS407が否定判定され、ステップS408へ進む。
【0025】
ステップS408では、タッチパネル19がタッチされているかを判定する。タッチされている場合はステップS408が肯定判定され、ステップS407へ戻る。タッチされていない場合はステップS408が否定判定され、ステップS409へ進む。ステップS409では、RAM13に記憶されているタッチ位置をタッチパネル19に設定したリリースエリア23と照合する。ステップS410では、RAM13に記憶されているタッチ位置が含まれるリリースエリア23に係るボタン21に定義された処理を実行する。
【0026】
ステップS411では、タッチパネル19がタッチされているかを判定する。タッチされている場合はステップS411が肯定判定され、ステップS405に戻る。タッチされていない場合はステップS411が否定判定され、ステップS409へ進む。このように、ステップS411が否定されてステップS409へ進むのは、最初にタッチした位置のリリースエリア23内でタッチがリリースされた場合である。
【0027】
図5のステップS501では、タッチパネル19がタッチされているかを判定する。タッチされている場合はステップS501が肯定判定され、ステップS502へ進む。タッチされていない場合はステップS501が否定判定され、図4のステップS409へ戻る。ステップS502では、RAM13に記憶しているタッチ位置を消去する。ステップS503では、図4のステップS401と同様にしてタッチ位置を検出する。ステップS504では、検出したタッチ位置をRAM13に記憶する。そして、ステップS501に戻る。
【0028】
以上の本発明の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)表示画面に表示されたボタン21aのリリースエリア23aをタッチして、そのリリースエリア23aから外れた位置でタッチをリリースしても、リリースした時刻が、リリースエリア23aから外れた時刻からタッチ優先時間以内であれば、タッチされたリリースエリア23aに係るボタン21aに定義された処理が実行される。したがって、ユーザが所望のボタン21aのリリースエリア23aをタッチした後、誤って所望のボタン21aのリリースエリア23aから外れてタッチをリリースしても、所望のボタン21aの処理が実行される。
【0029】
(2)抵抗膜式のタッチパネルの場合、タッチパネルをリリースするとき、2枚の抵抗膜同士の接触が不完全になる。このとき、完全に接触した場合に比べて抵抗膜の抵抗値が大きくなるので、実際のリリース位置(最後にタッチした位置)と異なる位置がリリース位置として検出される場合がある。そうすると、リリースエリア23aでタッチをリリースしたにもかかわらず、所望の処理が実行されないことになる。上述のようにタッチ優先時間以内はタッチされたリリースエリア23aに係るボタン21aに定義された処理を実行することによって、リリース位置が変動しても所望の処理が実行される。
【0030】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)表示画面に表示されたボタン21aのリリースエリア23aをタッチして、そのリリースエリア23aから外れた位置でタッチをリリースしても、そのリリース位置が、リリースエリア23aから所定距離以内であれば、タッチされたリリースエリア23aに係るボタン21aに定義された処理が実行されるようにしてもよい。このようにしても、上述した実施の形態と同様に、ユーザが所望のボタン21aのリリースエリア23aをタッチした後、誤って所望のボタン21aのリリースエリア23aから外れてタッチをリリースしても、所望のボタン21aの処理が実行される。
【0031】
(2)タッチ位置がリリースエリア23aから外れた時刻からタッチ優先時間以内であれば、タッチされたリリースエリア23aに係るボタン21aに定義された処理が実行されるようにしたが、以下のようにしてもよい。つまり、タッチパネル19をタッチしてから所定時間以内であれば、タッチされたリリースエリア23aに係るボタン21aに定義された処理が実行されるようにしてもよい。このようにしても、上述した実施の形態と同様に、ユーザが所望のボタン21aのリリースエリア23aをタッチした後、誤って所望のボタン21aのリリースエリア23aから外れてタッチをリリースしても、所望のボタン21aの処理が実行される。
【0032】
(3)リリースエリア23がタッチされていることを表示するために、タッチされているリリースエリア23に係るボタンの表示態様を、タッチされていないときのボタン21の表示態様から変更するようにしてもよい。リリースエリア23は表示されないので、ユーザはリリースエリア23をタッチしたか否かをわからない場合がある。したがって、リリースエリア23がタッチされることによってボタン21の表示態様が変わると、ユーザはリリースエリア23がタッチされたことを確認することができ、便利である。この場合、リリースエリア23からタッチ位置が外れても、タッチ優先時間が経過するまでは、リリースエリア23がタッチされたときの表示態様でボタン21を表示する。上記(1)の変形例の場合は、リリースエリア23からタッチ位置が外れても、タッチ位置がリリースエリア23aから所定距離以内であれば、リリースエリア23がタッチされたときの表示態様でボタン21を表示する。表示態様を変更する例としては、たとえば、タッチされたリリースエリア23のボタン21の表示色を変更する。
【0033】
(4)タッチパネル19がタッチされてから所定時間、タッチされたリリースエリア23を拡大することによって、ユーザが誤って所望のボタン21aのリリースエリア23aから外れてタッチをリリースしても、所望のボタン21aの処理が実行されるようにしてもよい。
【0034】
図6(a)に示すように、アルファベット入力ボタン21のうちの「Y」ボタン21aをタッチすると、「Y」ボタン21aのリリースエリア23aが拡大する。そして、ほかのアルファベット入力ボタン21に設定されたリリースエリア23は消去される。そうすると、「Y」ボタン21aのリリースエリア23aをタッチして、タッチされる前に設定されていたリリースエリア23aから外れた位置でタッチをリリースしても、アルファベット「Y」を入力することができる。
【0035】
「Y」ボタン21aのリリースエリア23aをタッチしてから所定時間(たとえば、200ms)経過すると、図6(b)に示すように、「Y」ボタン21aのリリースエリア23aは元の大きさに戻る。そして、「Y」ボタン21a以外のアルファベット入力ボタン21についても再びリリースエリア23が設定される。
【0036】
本発明の変形例のボタン実行処理について図7および図8のフローチャートを参照して説明する。図7および図8の処理は、タッチパネル19がタッチされるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。また、タッチパネル19がタッチされると同時にタイマ11aもスタートする。
【0037】
ステップS701では、タッチパネルコントロール部110が算出したタッチ位置を検出する。ステップS702では、検出したタッチ位置をタッチパネル19に設定したリリースエリア23と照合する。ステップS703では、タッチされたリリースエリア23a以外のリリースエリア23の設定を解除する。ステップS704では、タッチされたリリースエリア23aを拡大する。ステップS705では、タッチ位置をRAM13に記憶する。
【0038】
ステップS706では、タッチパネル19がタッチされてから所定時間(たとえば、200ms)を経過したかを判定する。所定時間経過した場合はステップS706が肯定判定され、図8のステップS801へ進む。所定時間を経過していない場合はステップS706が否定判定され、ステップS707へ進む。ステップS707では、タッチパネル19はタッチされているかを判定する。タッチパネル19がタッチされている場合はステップS707が肯定判定され、ステップS711へ進む。タッチパネル19がタッチされていない場合はステップS707が否定判定され、ステップS708へ進む。
【0039】
ステップS708では、RAM13に記憶されているタッチ位置をタッチパネル19に設定したリリースエリア23と照合する。ステップS709では、RAM13に記憶されているタッチ位置は、タッチパネル19に設定されているリリースエリア23に含まれるかを判定する。リリースエリア23に含まれる場合はステップS709が肯定判定され、ステップS710へ進む。リリースエリア23に含まれない場合はステップS709が否定判定され、処理を終了する。ステップS710では、RAM13に記憶されたタッチ位置が含まれるリリースエリア23aに係るボタンに定義された処理を実行する。
【0040】
ステップS711では、RAM13に記憶しているタッチ位置を消去する。
【0041】
ステップS801では、拡大したリリースエリア23aを元の大きさに戻す。ステップS802では、図7のステップS703で設定を解除したリリースエリア23を再び設定する。ステップS803では、タッチ位置を検出する。
【0042】
ステップS804では、タッチパネル19はタッチされているかを判定する。タッチされている場合はステップS805が肯定判定され、ステップS806へ進む。タッチされていない場合はステップS805が否定判定され、図7のステップS708へ進む。ステップS806では、RAM13に記憶しているタッチ位置を消去する。そして、ステップS803に戻る。
【0043】
以上の本発明の変形例によれば、ユーザが誤ってタッチをリリースする位置をずらしても、所望のボタン21aのリリースエリア23aは拡大しているので、所望のボタン21aのリリースエリア23aから外れてタッチをリリースすることはない。したがって、ユーザは誤ってタッチをリリースする位置をずらしても、所望のボタン21aに定義された処理が実行される。
【0044】
タッチパネル19がタッチされてから拡大するリリースエリア23aの大きさは7(a)のリリースエリア23aに限定されない。たとえば、図9に示すように、タッチパネル19がタッチされてから所定時間、タッチされた「Y」ボタン21aのタッチエリア23aが表示画面全体に拡大するようにしてもよい。ユーザが「Y」ボタン21aのリリースエリア23aをタッチした後誤って指を滑らせて、「Y」ボタン21aのタッチ前のリリースエリア23aから大きく外れてタッチをリリースしても、確実に所望のボタン21aに定義された処理が実行される。
【0045】
タッチ位置がリリースエリア23から外れてから所定時間、タッチされたリリースエリア23を拡大することによって、ユーザが誤って所望のボタン21aのリリースエリア23aから外れてタッチをリリースしても、所望のボタン21aの処理が実行されるようにしてもよい。
【0046】
(5)車載用表示装置であれば、ナビゲーション装置1に限定されない。
【0047】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0048】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明のボタン表示手段は制御回路11に対応し、タッチパネル制御手段は制御回路11とタッチパネルコントロール部110に対応する。処理制御手段および表示態様変更手段は制御回路11に対応し、リリースエリア拡大制御手段は制御回路11に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
11a タイマ
16 表示モニタ
19 タッチパネル
20 アルファベット入力画面
21,21a,21b アルファベット入力ボタン
23,23a,23b リリースエリア
110 タッチパネルコントロール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを設けた表示モニタと、
前記表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、
前記タッチパネル上において、前記ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、
前記リリースエリアでタッチがリリースされたときに、前記ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段とを備え、
前記処理制御手段は、前記リリースエリアがタッチされた後、前記リリースエリアからタッチ位置が外れた時刻から所定時間が経過するまでの間に当該タッチがリリースされた場合は、前記リリースエリアがタッチされたボタンに定義された処理を実行することを特徴とする車載用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用表示装置において、
前記リリースエリアがタッチされると、前記リリースエリアのボタンの表示態様を変更する表示態様変更手段を備え、
前記表示態様変更手段は、前記リリースエリアがタッチされた後、前記リリースエリアからタッチ位置が外れた時刻から所定時間が経過するまでは、前記ボタンの表示態様を前記リリースエリアがタッチされる前の表示態様に戻さないことを特徴とする車載用表示装置。
【請求項3】
タッチパネルを設けた表示モニタと、
前記表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、
前記タッチパネル上において、前記ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、
前記リリースエリアでタッチがリリースされたときに、前記ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段とを備え、
前記処理制御手段は、前記リリースエリアがタッチされた後、前記タッチパネルがタッチされた時刻から所定時間が経過するまでの間に当該タッチがリリースされた場合は、前記リリースエリアがタッチされたボタンに定義された処理を実行することを特徴とする車載用表示装置。
【請求項4】
タッチパネルを設けた表示モニタと、
前記表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、
前記タッチパネル上において、前記ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、
前記リリースエリアでタッチがリリースされたときに、前記ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段と、
前記リリースエリアでタッチされたとき、前記リリースエリアからタッチ位置が外れた時刻から所定時間が経過するまで、前記タッチされたリリースエリアを拡大するリリースエリア拡大制御手段とを備えることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項5】
タッチパネルを設けた表示モニタと、
前記表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、
前記タッチパネル上において、前記ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、
前記リリースエリアでタッチがリリースされたときに、前記ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段と、
前記リリースエリアでタッチされたとき、前記タッチパネルがタッチされた時刻から所定時間が経過するまで、前記タッチされたリリースエリアを拡大するリリースエリア拡大制御手段とを備えることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項6】
タッチパネルを設けた表示モニタと、
前記表示モニタにボタンを表示するボタン表示手段と、
前記タッチパネル上において、前記ボタンに対応する領域にリリースエリアを設定するタッチパネル制御手段と、
前記リリースエリアでタッチがリリースされたときに、前記ボタンに定義された処理を実行する処理制御手段とを備え、
前記処理制御手段は、前記リリースエリアがタッチされた後、前記リリースエリアから外れてタッチがリリースされた場合、タッチをリリースされた位置が前記リリースエリアから所定距離以内の場合は、前記リリースエリアがタッチされたボタンに定義された処理を実行することを特徴とする車載用表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車載用表示装置において、
前記リリースエリアがタッチされると、前記リリースエリアのボタンの表示態様を変更する表示態様変更手段を備え、
前記表示態様変更手段は、前記リリースエリアがタッチされた後、タッチ位置が前記リリースエリアから外れても、前記タッチ位置が前記リリースエリアから所定距離内にあるときは、前記ボタンの表示態様を前記リリースエリアがタッチされる前の表示態様に戻さないことを特徴とする車載用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−238294(P2011−238294A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179714(P2011−179714)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【分割の表示】特願2006−330416(P2006−330416)の分割
【原出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】