説明

表示駆動装置及び表示装置

【課題】階調度調整に代表されるような表示データに対する調整係数の演算処理に伴う電力消費を低減し、ディスプレイパネルの高解像度化にも容易に対応できる表示装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイパネル(101)に駆動信号を出力する複数の駆動部(117〜120)を並列配置し、前記複数の駆動部の並列方向に沿って複数の第1演算部(107〜110)及び複数の表示RAM(111〜114)を配置しておき、外部から供給された表示データを複数の表示RAMに分配し、夫々の表示RAMから表示データを第2演算部(106)が並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて前記調整係数を演算する。演算された調整計数を夫々の第1演算部に返し、第1演算部は対応する表示RAMから読み出した表示データに調整計数を用いた演算を行ってディスプレイパネルの駆動データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルの駆動制御を行う表示駆動装置、及びディスプレイパネルと表示駆動装置を備えた表示装置に関し、例えばモバイル機器の液晶ディスプレイの駆動制御に用いるディスプレイドライバに適用して有効な技術の関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表されるモバイル機器や大型TVに搭載されるディスプレイにおいては、高画質化への要求が高くなっており、それに対応する高画質化対応信号処理技術が制御プロセッサやディスプレイ用駆動回路に搭載されている。
【0003】
一方で、低環境負荷への対応が必須であるため、モバイル機器、大型TV、さらにはそれらに搭載するディスプレイとディスプレイを駆動する為、あるいは表示制御する為の周辺回路に対する低消費電力への要求が高い。
【0004】
特許文献1には液晶画面の透過率をできるだけ上げるように画像データを調整し、その分バックライトの発光光量を下げる制御を行うことで低消費電力に寄与する画像表示装置について記載される。
【0005】
特許文献2には液晶パネルをエリア分割し、分割エリア毎にドライバを設け、その前段で、画面全体の輝度平均と分割エリア毎の輝度平均を算出して、輝度調整のための調整データを演算し、その演算結果を分割エリア毎にドライバに与えることで、表示品質を向上させる表示システムについて記載される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−65531号公報
【特許文献2】特開2004−45865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の画像表示装置は、制御プロセッサから入力される表示データを解析し、その結果に応じて画像データを調整する為、ディスプレイパネルの高解像度化、例えばモバイル機器向けであればWVGA化に伴って、調整の対象とする画像データ量はQVGA比で4倍以上に増大する。その結果、表示データの解析、及び調整する信号処理部の動作周波数を増加させて対処すれば、消費電力は4倍以上に増加し、さらに演算処理回路も高速動作に対応させることが必要になる。特許文献2に記載の分割エリア毎に輝度調整データを出力する場合にも画面全体の輝度平均などを算出しなければならないからその事情は同じである。
【0008】
本発明の目的は、輝度(階調度)調整に代表されるような表示データに対する調整のための調整係数の演算処理に伴う電力消費を低減することができるとともに、ディスプレイパネルの高解像度化に対する対応も容易な表示駆動装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、輝度(階調度)調整に代表されるような表示データに対する調整のための調整係数の演算処理に伴う電力消費を低減することができるとともに、ディスプレイパネルの高解像度化に対する対応も容易な表示装置を提供することにある。
【0010】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0012】
すなわち、ディスプレイパネルに駆動信号を出力する複数の駆動部を並列配置すると共に、前記複数の駆動部の並列方向に沿って複数の第1演算部及び複数の表示RAMを配置しておき、外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配し、夫々の表示RAMから表示データを第2演算部が並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算する。演算された調整計数を夫々の第1演算部に返し、第1演算部は対応する表示RAMから読み出した表示データに調整計数を用いた演算を行ってディスプレイパネルの駆動データを生成する。
【0013】
上記によれば、第2演算部の夫々はディスプレイパネルのエリア毎に分割配置された表示RAMから出力される表示データを並列に受け取って調整係数の演算を行うからディスプレイパネルが高解像度化されても、その並列演算能力を増大させれば、第2演算部の動作周波数を増加させることなく容易に対応することができる。調整係数を用いた演算の対象とされる表示データもディスプレイパネルのエリア毎に分割配置された表示RAMから対応する第1演算部に読み出せばよいから、表示RAMから対応する第1演算部へのデータパスと第1演算部から対応する駆動部への駆動データのデータパスを共に短くすることができ、ディスプレイパネルの長辺に沿って表示駆動装置を配置するという要求に答えるのに好適である。第1演算部と表示RAMがペアで並列配置されているから、調整係数の演算が行われる場合であっても、表示RAMから対応する第1演算部へのデータパスは短いままにすることができ、それによるデータ転送に伴うバスの駆動電力の低減効果を阻害することはない。一方、第1演算部から対応する駆動部への駆動データは正規のビット数に有意の論理値を持つことが必要であるが、各表示RAMから第2演算部に伝送されるデータはヒストグラムの生成と調整係数の演算に必要なビット数だけ有意であればよく、例えば下位側の数ビットの論理値を固定することも可能である。そうすれば、各表示RAMから第2演算部へのデータ転送に関しても低消費電力を実現することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0015】
すなわち、輝度(階調度)調整に代表されるような表示データに対する調整のための調整係数の演算処理に伴う電力消費を低減することができるとともに、ディスプレイパネルの高解像度化に対する対応も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0017】
〔1〕本発明に係る表示駆動装置(102)は、駆動データに応じた階調でディスプレイパネル(101)のエリア毎に駆動信号を出力する複数の駆動部(117〜120)が並列される。この表示駆動装置は、前記複数の駆動部の並列方向に沿って配置された複数の第1演算部(107〜110)及び複数の表示RAM(111〜114)と、外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配する表示RAM制御部(115)と、表示RAMに格納された表示データを並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算して前記夫々の第1演算部に供給する第2演算部(106)と、を有する。前記第1演算部は、対応する表示RAMから読み出した表示データを前記第2演算部に供給する制御を行うと共に、前記第2演算部から供給された調整係数及び対応する表示RAMからリードした表示データを用いた演算を行って前記駆動データを対応する前記駆動部に供給する。
【0018】
上記によれば、第2演算部の夫々はディスプレイパネルのエリア毎に分割配置された表示RAMから出力される表示データを並列に受け取って調整係数の演算を行うからディスプレイパネルが高解像度化されても、その並列演算能力を増大させれば、第2演算部の動作周波数を増加させることなく容易に対応することができる。調整係数を用いた演算の対象とされる表示データもディスプレイパネルのエリア毎に分割配置された表示RAMから対応する第1演算部に読み出せばよいから、表示RAMから対応する第1演算部へのデータパスと第1演算部から対応する駆動部への駆動データのデータパスを共に短くすることができ、ディスプレイパネルの長辺に沿って表示駆動装置を配置するという要求に答えるのに好適である。第1演算部と表示RAMがペアで並列配置されているから、調整係数の演算が行われる場合であっても、表示RAMから対応する第演算部へのデータパスは短いままにすることができ、それによるデータ転送に伴うバスの駆動電力の低減効果は阻害されない。
【0019】
〔2〕項1の表示駆動装置において、前記表示RAM制御部は、外部から与えられる転送先アドレスに基づいて、外部から供給される表示データを前記表示RAMに格納する制御を行う。静止画などにおいては、外部からフレーム間の差分データだけを受取ればよくなる。
【0020】
〔3〕項1の表示駆動装置において、前記第1演算部は、前記第2演算部に供給する表示データの下位側所定ビット数の論理値を1または0に固定する制御を行う。
【0021】
第1演算部から対応する駆動部への駆動データは正規のビット数に有意の論理値を持つことが必要であるが、各表示RAMから第2演算部に伝送されるデータはヒストグラムの生成と調整係数の演算に必要なビット数だけ有意であればよく、下位側の数ビットの論理値を固定することにより、各表示RAMから第2演算部へのデータ転送に関しても低消費電力を実現することが可能になる。
【0022】
〔4〕項3の表示駆動装置において、前記下位側所定ビット数の値が外部からプログラマブルに設定可能にされるレジスタを有する。必要な表示精度に応じて調整係数を使い分けることが可能になる。
【0023】
〔5〕項3の表示駆動装置において、前記第2演算部は、前記第1演算部から供給された表示データの論理値が固定された下位側所定ビット数に乱数を与え、乱数が与えられた表示データに対して調整係数の演算を行う。下位側を固定値のままにして調整係数を求メル場合に比べて調整係数の偏りを抑制することができる。
【0024】
〔6〕項5の表示駆動装置において、前記調整係数の演算は、前記階調分布のヒストグラムにおいて高輝度側からの階調分布度数が所定の割合になる階調番号を求め、求めた階調番号に対する最大階調番号の割合を調整係数とする。
【0025】
〔7〕項6の表示駆動装置において、前記第1演算部は、前記表示RAMから読み出した表示データに前記調整係数を乗算し、最大階調番号を超えた乗算結果を除外した乗算結果を駆動データとして出力する。
【0026】
〔8〕項7の表示駆動装置は、前記ディスプレイパネルのバックライトに供給する駆動電圧を生成するバックライト駆動部(305,306)を更に有する。前記第2演算部は、前記調整係数の逆数に相当する減光率を前記バックライト駆動部に指示する。画像データの階調を高輝度側にずらし、その分だけバックライトの発光光量を減らすことができ、この点においても、低消費電力に資することができる。
【0027】
〔9〕本発明に係る表示装置(図5)は、ディスプレイパネル(501)と、前記ディスプレイパネルに対して領域分割して配置された複数個のバックライトユニット(506〜508)と、前記バックライトユニットに一対一対応で配置された複数の表示駆動部(503〜505)と、前記複数の表示駆動部を制御する制御部(502)と、前記バックライトユニットを駆動するバックライト駆動部(509,510)と、を有する。前記表示駆動部は、ディスプレイパネルに対して前記領域分割された領域に、駆動データに応じた階調で駆動信号を出力する信号線駆動部(519〜521)と、前記信号線駆動部に対応して配置された第1演算部(513〜515)及び表示RAM(516〜518)と、を有する。前記制御部は、外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配する制御を行うと共に、表示RAMに格納された表示データを並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算する。前記第1演算部は、対応する表示RAMから読み出した表示データを前記制御部に供給する制御を行うと共に、前記制御部から供給された調整係数及び対応する表示RAMからリードした表示データを用いた演算を行って前記駆動データを対応する前記信号線駆動部に供給する。
【0028】
上記によれば、エリア分割された液晶パネルのエリア毎にバックライトユニットが配置された表示装置においても上記同様の低消費電力を実現することができ、また、ディスプレイパネルの長辺に沿って表示駆動装置を配置するという要求に答えるのにも好適である。
【0029】
〔10〕項9の表示装置において、前記第1演算部は、前記制御部に供給する表示データの下位側所定ビット数の論理値を1または0に固定する制御を行う。
【0030】
〔11〕項10の表示装置において、前記下位側所定ビット数の値が外部からプログラマブルに設定可能にされるレジスタを有する。
【0031】
〔12〕項10の表示装置において、前記制御部は、前記第1演算部から供給された表示データの論理値が固定された下位側所定ビット数に乱数を与え、乱数が与えられた表示データに対して調整係数の演算を行う。
【0032】
〔13〕項12の表示装置において、前記調整係数の演算は、前記階調分布のヒストグラムにおいて高輝度側からの階調分布度数が所定の割合になる階調番号を求め、求めた階調番号に対する最大階調番号の割合を調整係数とする。
【0033】
〔14〕項13の表示装置において、前記第1演算部は、前記表示RAMから読み出した表示データに前記調整係数を乗算し、最大階調番号を超えた乗算結果を除外した乗算結果を駆動データとして出力する。
【0034】
〔15〕項14の表示装置において、前記制御部は、前記調整係数の逆数に相当する減光率を前記バックライト駆動部に指示する。
【0035】
〔16〕本発明の別の観点による表示装置(図6)は、ディスプレイパネル(501)と、前記ディスプレイパネルに対して領域分割して配置された複数個のバックライトユニット(506〜508)と、前記バックライトユニットに一対一対応で配置された複数の表示駆動部(601〜602)と、を有する。前記表示駆動部の一つ(601)は、前記複数の表示駆動部を制御する制御部(105,603,604)と、前記バックライトユニットを駆動するバックライト駆動部(305,306)とを有する。前記表示駆動部は、ディスプレイパネルに対して前記領域分割された領域に、駆動データに応じた階調で駆動信号を出力する信号線駆動部(519〜521)と、前記信号線駆動部に対応して配置された第1演算部(513〜515)及び表示RAM(516〜518)と、を有する。前記制御部は、外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配する制御を行うと共に、表示RAMに格納された表示データを並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算する。前記第1演算部は、対応する表示RAMから読み出した表示データを前記制御部に供給する制御を行うと共に、前記制御部から供給された調整係数及び対応する表示RAMからリードした表示データを用いた演算を行って前記駆動データを対応する前記信号線駆動部に供給する。
【0036】
上記によれば、エリア分割された液晶パネルのエリア毎にバックライトユニットが配置された表示装置においても上記同様の低消費電力を実現することができ、また、ディスプレイパネルの長辺に沿って表示駆動装置を配置するという要求に答えるのにも好適である。
【0037】
〔17〕項16の表示装置において、前記第1演算部は、前記駆動部に供給する表示データの下位側所定ビット数の論理値を1または0に固定する制御を行う。
【0038】
〔18〕項17の表示装置において、前記下位側所定ビット数の値が外部からプログラマブルに設定可能にされるレジスタを有する。
【0039】
〔19〕項17の表示装置において、前記制御部は、前記第1演算部から供給された表示データの論理値が固定された下位側所定ビット数に乱数を与え、乱数が与えられた表示データに対して調整係数の演算を行う。
【0040】
〔20〕項19の表示装置において、前記調整係数の演算は、前記階調分布のヒストグラムにおいて高輝度側からの階調分布度数が所定の割合になる階調番号を求め、求めた階調番号に対する最大階調番号の割合を調整係数とする。
【0041】
〔21〕項20の表示装置において、前記第1演算部は、前記表示RAMから読み出した表示データに前記調整係数を乗算し、最大階調番号を超えた乗算結果を除外した乗算結果を駆動データとして出力する。
【0042】
〔22〕項21の表示装置において、前記制御部は、前記調整係数の逆数に相当する減光率を前記バックライト駆動部に指示する。
【0043】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0044】
図1には本発明の表示駆動装置の一例に係るディスプレイドライバが例示される。図1のディスプレイドライバ102は図示を省略するCPU(中央処理装置)などから表示コマンドのようなインストラクション及び表示データを受け取ってディスプレイパネル101に対する表示駆動制御を行う。ディスプレイドライバ102において、103はシステムインタフェース、104はタイミングコントローラ、105は制御レジスタ、106はマスタ演算部、107〜110はデータ演算部、111〜114は表示RAM、115は表示RAM制御部、116は階調電圧生成部、117〜120は信号線駆動部、121は走査線駆動回路である。
【0045】
ディスプレイパネル101は、例えば、ディスプレイドライバ102から印加される電圧値でその表示輝度が制御されるものであり、信号線と走査線がマトリクス状に配線されるパネルとする。特に制限されないが、ディスプレイパネル101の表示階調は例えば階調番号#0から階調番号番#255までの256階調とされる。
【0046】
ディスプレイドライバ102は、ディスプレイパネル101内の走査線に線順次で選択状態にする走査パルスを走査線駆動回路121によって印加し、それに同期して、信号線を介してマトリクス状に配置された画素電極に表示階調を制御する為の階調電圧を信号線駆動部117〜120によって印加する。なお、画素電極に印加された階調電圧により、画素における1フレーム期間の実効値が変化し、表示輝度が制御されるものとする。
【0047】
システムインタフェース103は、CPUから転送される表示データやインストラクションを受け、制御レジスタ105へ出力する。ここで、インストラクションとは、ディスプレイドライバ102の内部動作を決定する為の情報であり、フレーム周波数と駆動ライン数、色数、転送データの詳細を後述する固定値ビット数などの各種パラメータを含む。
【0048】
制御レジスタ105は、システムインタフェース103から受信する転送データの前記固定値ビット数の情報を保持する固定値ビット数設定レジスタ(FBSREG)105A、表示RAM111〜114への転送先アドレス(転送開始の水平方向アドレス及び垂直方向アドレスと転送終了の水平方向アドレス及び垂直方向アドレス)を指定する転送先アドレスレジスタ(TAREG)105B、インストラクションレジスタ(INSTREG)105Cなどの制御レジスタを有し、インストラクションレジスタ105Cにロードされたインストラクションに従って内部制御信号を生成し、レジスタ105Aの設定値はマスタ演算部106に、レジスタ105Bの設定値は表示RAM制御部115に与えられ、それらに従って各部の動作が制御される。
【0049】
表示データは表示RAM制御部115に供給され、表示RAM制御部115はレジスタ105Bに設定されたアドレスに従って表示データを表示RAM111〜114に内部転送する。具体的には、ディスプレイパネル101に向かって、左上から水平方向に順番に転送される表示データを、4個の表示RAM111、112、113、114に分配して格納する。さらに、CPUから転送される表示データは、前後するフレーム間の変化分のみ転送される為、表示データを表示RAM111〜114内の対応するアドレス領域に格納する制御を実施する。フレーム間の変化分のアドレスは転送先アドレスレジスタ(TAREG)105Bに予め設定されて表示RAM制御部115に供給される。
【0050】
タイミングコントローラ104は、ドットカウンタを有しており、ディスプレイドライバ102の外部から供給される図示を省略するドットクロックをカウントすることでラインクロック(水平同期クロック)を生成する。このラインクロックに基づいて、後述するデータ演算部107〜110からマスタ演算部106へのデータ転送タイミングが規定される。
【0051】
表示RAM111〜114は、トータルで1フレーム分の記憶容量を有し、表示RAM制御部115から転送される表示データが蓄積される。これにより、静止画を表示する場合には、データ演算部107〜110が随時表示RAM111〜114から表示データを読み出せば、ディスプレイドライバ102は表示制御が可能である為、表示タイミングに同期して常に表示データをCPUから受取ることを必要とせず、CPUからディスプレイドライバ102間のデータ転送を一時的に停止することが可能である。また、動画を表示する場合には、上述のように、前後するフレーム間の変化分のみをCPUからデータ転送すれば良い為、データ転送電力を削減することが可能である。ここでは、表示RAM111〜114は4個設置することを前提とし、1個ずつの表示RAM111、112、113,114は、1/4フレーム分の表示データを格納するものとする。
【0052】
データ演算部107(108、109、110)は、表示RAM111(112、113、114)から表示データを読み出し、表示データを制御レジスタ105から転送される固定値ビット数nに応じて、下位nビットを固定値とするデータに置換して、マスタ演算部106に転送する。マスタ演算部106は供給されたデータを用いて後述のデータ調整係数を算出して、データ演算部107(108,109,110)に返す。データ演算部107(108,109,110)は再び表示RAM111(112、113、114)から表示データを読み出し、読み出した表示データを、マスタ演算部106から転送されたデータ調整係数に基づいて調整し、後述する信号線駆動部117(118、119、120)に転送する。
【0053】
マスタ演算部106は、データ演算部107〜110から入力されるデータに基づいてヒストグラム解析を実施し、その結果得られる特徴データで表示データの調整量を算出する。そして、算出したデータ調整係数をデータ演算部107〜110に転送する。調整量についてはその具体例を後で説明するが、例えばデータの階調度伸張とバンクライトの輝度低減制御に、又はコントラストの伸張制御などに用いられる。なお、取得したヒストグラムデータは、タイミングコントローラから入力されるVsyncに同期して、リセットされるものとする。要するに、ヒストグラムデータは表示フレーム単位で形成される。
【0054】
階調電圧生成部116は、外部から設定される電源電圧VDHを基準に、抵抗分割等で複数の階調表示を実現する為のアナログの階調電圧レベルを生成し、後述する信号線駆動部117〜120に入力する。
【0055】
信号線駆動部117(118、119、120)は、レベルシフタ、セレクタ回路、ディスプレイパネル101の信号線に階調電圧を印加する為のバッファ回路で構成される。内部動作を詳細に説明すると、レベルシフタは、データ演算部107(108、109、110)から転送されるデジタルの表示データを後段のセレクタ回路の動作電圧に変換し、セレクタ回路は、電圧レベルが変換された表示データを使用して、階調電圧生成部116から入力される複数のアナログ階調電圧から1レベルを選択する。つまり、DAコンバータの役割を果たす。ここで得られたアナログの階調電圧がバッファ回路により、ディスプレイパネル101内の画素電極に印加され、その表示輝度を制御することになる。
【0056】
図2Aにはマスタ演算部106とデータ演算部107(108、109、110)内部の構成が例示される。201は表示RAM読み出し部、202は下位nビット固定部、203は乗算部、204は乱数発生回路、205は計数データ生成部、206はヒストグラム計数部、207は調整計数計算部である。
【0057】
下位nビット固定部202は、前述の制御レジスタ105に含まれる固定値ビット数設定レジスタ(FBSREG)105Aの設定値に応じて、表示RAM読み出し部201によって表示RAM111(112,113,114)から読み出されて転送される表示データの下位nビットを論理値0(Lowレベル)に設定する。図2Bは、設定値別の下位nビット固定部202における入力と出力の関係を例示したものである。まず、設定値が、2’b00の場合、表示RAMの読み出しデータである入力を例えば、8’b11111111とすると、下位ビットに対する論理0の強制的な固定を行わないものとする。そして、設定値が、2’b01の場合、入力に対して、下位1ビットを論理値0(Lowレベル)に固定して出力し、その設定値が大きいほど、論理値0(Lowレベル)に固定する下位ビット幅を増やすものとする。なお、ここでは固定値ビット数設定レジスタ(FBSREG)105Aの設定値を2ビットとしたが、これに限るものではなく、2ビット以外であっても構わない。
【0058】
乱数発生回路204は、前述の制御レジスタ105に含まれる固定値ビット数設定レジスタ(FBSREG)105Aの設定値を受け、そのビット数に応ずるビット数の乱数を発生させ、計数データ生成部205に転送する。この乱数は、例えば線形帰還シフトレジスタ方式を用いた擬似乱数とする。ただし、線形帰還シフトレジスタ方式に限られるものではなく、その他の方式であっても構わない。
【0059】
計数データ生成部205は、下位nビット固定部202から転送される表示データに前述の乱数発生回路204から転送されるnビットの乱数を加算し、欠落したビット幅、すなわち固定値0に強制された下位nビットを上記乱数で補完する役割を果たす。ここでのデータ補完は、欠落分のビット幅が等確率で存在すると近似して実施するものである。
【0060】
ヒストグラム計数部206は、タイミングコントローラ104からフレーム期間を規定する垂直同期信号Vsyncと、計数データ生成部205からの表示データが入力され、表示データを計数してヒストグラムを生成する。例えば階調番号#0から階調何号#255の階調番号毎の画素数の度数分布のデータを生成する。ヒストグラム計数部206は垂直同期信号Vsyncに同期してリセットされる制御とし、これによりフレーム単位でのヒストグラムデータを取得する。そして、取得したヒストグラムデータに基づいて、任意の選択データ値を導出する。この導出の一例を挙げると、選択データ値は、高輝度側から全表示データの10%のデータ量に相当する分布位置の階調番号とする。このようにして取得した選択データ値を調整係数計算部207に転送する。
【0061】
調整係数計算部207は、ヒストグラム計数部206から転送される選択データ値を使用して、例えば表示データがRGBそれぞれ8ビットの場合は、255÷選択データ値の計算を実施し、表示データ調整係数を算出する。例えば選択データ値の階調番号が#250であれば表示データ調整係数は255÷250となる。
【0062】
乗算器203は、表示RAM読み出し部201から転送される表示データと調整係数計算部207から転送される表示データ調整係数の乗算を行う。この例の場合には乗算によって表示データは高輝度側に伸張される。これにより、表示データの輝度が高輝度側にシフトされる。換言すれば、高輝度側にコントラストが増大される。当然、階調番号#255を超える部分のデータは全て階調番号#255のデータとされる。
【0063】
尚、選択データ値は、低輝度側から全表示データの10%のデータ量に相当する分布位置の階調番号としても良い。例えば選択データ値の階調番号が#5であれば、前出の調整係数計算部207は、255/(255−選択データ値)の計算を実施し、表示データ調整係数を算出する。例えば選択データ値の階調番号が#5であれば表示データ調整係数は255/250となる。また、この場合、前出の乗算器203は、255−調整係数×(255−表示データ)の演算を行う。これにより、表示データの輝度が低輝度側にシフトされる。換言すれば、低輝度側にコントラストを増大される。当然、階調番号#5以下のデータは全て階調番号#0のデータとされる。
【0064】
上記ディスプレイドライバ102の構成によれば以下の作用効果を得ることができる。
【0065】
(1)データ演算部107〜110からマスタ演算部106への転送データの下位nビットを固定値に設定することにより、マスタ演算部へのデータ転送に際してバス上での電圧変動を部分的に抑制することができる。これにより、マスタ演算部106とデータ演算部107〜110間のデータバスにおける消費電力を削減することができる。例えば、RGBそれぞれの表示データを8ビットとすると、設定値を2’b10とした場合、データ転送電流を平均で3/4に削減することができる。
【0066】
(2)ディスプレイシステムにおいては、CPUから表示データを転送する際の電力が大きく、例えばモバイル向けでは、静止画における転送電力削減を目的に、ディスプレイドライバに表示RAMを搭載する。これにより、CPUは更新される画素の表示データを転送するだけで良くなり、ディスプレイドライバは搭載した表示RAMからデータを読み出すことで表示を更新することができる。上記ディスプレイドライバ102はこの観点に依拠するものであり、表示RAM111〜114を搭載する。特に表示RAMは111〜114のようにディスプレイパネルの長辺に沿って分散配置してある。これは、デザイン性などの観点よりディスプレイモジュールに対してはディスプレイドライバを狭額縁の如く配置する要求が大きく、これに対応する為には、ディスプレイドライバは、チップ短辺は小さくする必要があり、その一方で、出力ピン数はディスプレイパネルの解像度にあわせた数になる為、長辺は長くなる。このため、ディスプレイドライバは極端に長細いチップ形状になるため、表示RAMを複数に分割し、分散配置する必要があるからである。分散配置により、ディスプレイパネルに対する駆動端子の位置に応じて表示RAMから信号線駆動部までの距離が大きく相違して不所望な信号伝播遅延が大きくなることを抑制することができる。これを前提とするとき、表示RAMから表示データを読み出す処理は、ヒストグラムを生成して調整係数を演算するときと、演算された調整係数を表示データに乗算するときに、夫々行わなければならない。そして、フレーム単位でヒストグラムを生成して調整係数を演算するマスタ演算部は分散配置することが望ましくない。このとき、分割した表示RAM111〜114の近傍に夫々対応させて分割したデータ演算部107〜110を配置し、フレーム単位でヒストグラムを生成して調整係数を演算するマスタ演算部にはデータ演算部107〜110からの転送データの下位nビットを固定値に設定して低消費電力を測る。これによって、表示RAMを分散配置する要求を満足させながら、表示データから調整係数を求めて加工する処理を追加するときに低消費電力を実現することができる。
【0067】
(3)また、マスタ演算部106はデータ演算部107〜111から表示データを並列的に受けて並列演算処理を行なえば、ディスプレイパネルの表示解像度が何倍になっても、マスタ演算部106の動作速度を変更する必要はない。ディスプレイパネル101の高解像度化の傾向に対して、容易に対応することが可能になる。
【0068】
なお、データ演算部107〜110を4個に分割設置した例で説明したが、この分割数に限られるものではなく、分割数は2個以上であれば4個以外であっても構わない。さらにデータ演算部107〜110からマスタ演算部106への転送データのうち、値を0(Lowレベル)、または1(Highレベル)に固定するビット幅nはレジスタで設定できるものとして説明したが、ビット幅nは予め決められた値にしても構わない。また、本発明では、走査線駆動回路121はディスプレイドライバ102に内蔵することを前提に説明したが、それぞれは独立したチップであっても構わないし、ディスプレイパネル101に内蔵しても構わない。
【0069】
図3には表示データの調整量に基づいて液晶パネルのバックライト制御を行うことが可能なディスプレイドライバが例示される。個々ではディスプレイパネルとしてバックライトが必須な液晶パネルを用いる。301は液晶パネル、302は液晶ドライバ、303はバックライトモジュール、304はバックライト制御マスタ演算部、305はPWM回路、306はバックライト電源回路である。
【0070】
液晶パネル301は、液晶ドライバ302から印加される電圧レベルでその表示輝度が制御されるものであり、例えば画素毎にTFTが配置され、これに対して信号線と走査線がマトリクス状に配線されるアクティブマトリクス型のパネルとする。
【0071】
液晶ドライバ302は、液晶パネル301内の走査線に線順次でTFTをON状態にする走査パルスを印加し、信号線を介してTFTのソース端子に接続された画素電極に表示階調を制御する為の階調電圧を印加する。なお、画素電極に印加された階調電圧により、液晶分子にかかる実効値が変化し、表示輝度は制御されるものとする。
【0072】
バックライトモジュール303は、バックライトを構成する発光素子に流れる電流量でその光量は決定され、外部から、例えば液晶ドライバ302から入力されるパルス信号でその発光動作はON/OFF制御されるものとする。
【0073】
バックライト制御マスタ演算部304は、基本動作は図1のマスタ演算部106と同様であるが、追加でバックライトモジュール303の発光輝度を調整する為の信号発生器を有する。PWM回路305は、バックライト制御マスタ演算部304から転送されるバックライト設定値をパルス幅に変調する。具体的には、内蔵するカウンタでタイミングコントローラ104から転送されるドットクロックをカウントし、同じく内蔵した比較器でカウンタ値と前述のバックライト設定値を比較する。これにより、バックライト設定値と同数のクロック時間の間、High電圧となるバックライト制御パルスが生成できる。
【0074】
バックライト電源回路306は、内蔵したレベルシフタでPWM回路305から転送される電源電圧(Vcc)−グランド電圧(GND)間のレベルのバックライト制御パルスをバックライトモジュール303の動作電圧に変換する。そして、電圧変換後のバックライト制御パルスがバックライトモジュール303に入力され、その光量は表示データに応じて制御されるものとする。
【0075】
なお、図3において図1と同様の機能を有する回路ブロックにはそれと同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0076】
図4Aにはバックライト制御部のマスタ演算部304とデータ演算部107〜110の詳細が例示される。図4Aにおいて401は信号選択部である。図4Aにおいて図2Aと同様の機能を有する回路ブロックにはそれと同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0077】
信号選択部401は、ヒストグラム計数部206から転送される選択データ値206Aに基づいて、バックライト光量を示す整数値を選択する選択信号を形成する。ここでの選択データ値206Aとは、前述したように、高輝度側から全表示データの例えば10%のデータ量に相当する分布位置の階調番号とする。選択データ値に対応する選択信号は例えば図4Bのテーブルを用いて生成する。選択データ値(特徴データ)206Aに対応する選択信号として発光率が示される。例えば選択データ値が235だった場合のバックライト設定値は92(%)とする。235/255≒92である。ここで選択したバックライト設定値は前述したPWM回路305へ転送され、バックライト制御パルスに変換された後、バックライト電源回路306を介してバックライトモジュール303の光量を制御することになる。
【0078】
図3のディスプレイドライバにおいても図1と同様の効果を得ることができる。更に、画像データの伸張制御に応じて、その伸張係数である調整係数の逆数に応ずる選択信号によってバックライトの減光制御を行うから、バックライトの消費電力も併せて少なくすることができる。
【0079】
なお、バックライトモジュールの光量はバックライト制御パルスで制御するものとして説明したが、同様の制御が可能であればアナログの電圧レベルで制御されるものであっても構わない。また、データ演算部を4個に分割設置した例で説明したが、この分割数に限られるものではなく、分割数は2個以上であれば4個以外であっても構わない。さらにデータ演算部からマスタ演算部へ転送データのうち、値を0(Lowレベル)、または1(Highレベル)に固定するビット幅nはレジスタで設定できるものとして説明したが、ビット幅nは予め決められた値にしても構わない。また、本発明では、走査線駆動回路と電源回路は液晶ドライバに内蔵することを前提に説明したが、それぞれは独立したチップであっても構わないし、液晶パネルに内蔵しても構わない。
【0080】
図5には1つの表示パネルに対して液晶ドライバを複数設置し、液晶パネルの表示制御信号発生用LSIであるタイミングコントローラで表示データの調整を実施する場合に、タイミングコントローラと液晶ドライバ間のデータバスで発生する消費電力を削減する例が示される。特に図1の例は携帯電話などに代表されるモバイル機器の表示制御を想定しているが、ここではテレビ等のような大きな画面への表示制御を想定し、動画表示を主体とする場合について考えている。
【0081】
図5において、501は液晶パネル、502はタイミングコントローラ、503〜505は液晶ドライバ、506〜508はバックライトユニット、509はPWM回路、510バックライト電源回路、511は制御レジスタ、512はマスタ演算部、513〜515はデータ演算部、516〜518はラインメモリ、519〜521は信号線駆動部である。
【0082】
液晶パネル501は、図3と同様にアクティブマトリクス型であるが、画面サイズと解像度は、例えばサイズは5インチ以上、解像度はXGA以上とする。ただし、ここで挙げたサイズ、解像度に限定されるものではなく、前述したように、液晶ドライバ503〜505を複数設置する必要があるサイズ、解像度のパネルとする。
【0083】
タイミングコントローラ502は、前述したように、液晶パネル501の表示制御信号発生用半導体集積回路(LSI)である。ドットカウンタを有しており、ドットクロックをカウントすることでラインクロックを生成する。さらに、表示データに関しては、データ最適化のために、ヒストグラム解析を実施するものとする。
【0084】
液晶ドライバ503〜505は、同一の構成を有するチップをm個設置するものとし、タイミングコントローラ502から入力される水平ライン毎の表示データから、担当する信号線に対応する表示データのみを取り込む。そして、格納された表示データを調整した後、アナログの階調電圧に変換して信号線に印加する。
【0085】
バックライトユニット506〜508は、1個の液晶パネル501に対して、複数に分割されたエリア毎に設置するものとし、それぞれが独立で発光輝度が制御されるものとする。
【0086】
PWM回路509は、基本動作は図3におけるPWM回路と同様であるが、入出力が1系統だけではなく、バックライトユニット506〜508に対応した数の入出力対を有する点が異なる。
【0087】
バックライト電源回路510は、前述のPWM回路509と同様に、基本動作は第2の実施例におけるPWM回路と同様であるが、入出力が1系統だけではなく、バックライトユニット506〜508に対応した数の入出力対を設置する点が異なる。
【0088】
制御レジスタ511は、ラッチ回路を内蔵し、外部から受信する転送データの固定値ビット幅の情報を保持する固定ビット幅設定レジスタを有する。
【0089】
マスタ演算部512は、基本構成は第2の実施例におけるバックライト制御マスタ演算部304と同様であるが、液晶ドライバ503〜505ではなく、タイミングコントローラ502に内蔵する点が異なる。したがって、マスタ演算部512は、各液晶ドライバ503〜505に内蔵したデータ演算部513〜515から転送されるデータに基づいて、ヒストグラムを計数する。ヒストグラムの生成に当たっては。ラインメモリからライン単位で供給される画像データに対して、順次その階調番号毎の画素数をカウントしていき、1フレーム単位でヒストグラムを生成する。
【0090】
データ演算部513〜515は、基本動作は図3の例におけるデータ演算部107〜110と同様であるが、図4Aの例と比較すれば、液晶ドライバ503(504、505)に対して1個ずつデータ演算部を設置する点が異なる。また、前述したように、下位nビットが固定値に置換された転送データは液晶ドライバ503(504、505)と別チップであるタイミングコントローラに転送される。
【0091】
ラインメモリ516〜518は、担当する信号線に対応する表示データを格納するものであり、2水平ラインを液晶ドライバ数mで分割したデータ量に相当する領域を有する。ここでは、テレビ等への表示制御を想定しているから静止画の単なる差分を表示データとして受けることはなく、これに従ってタイミングコントローラ502も図1のように差分表示データを転送先アドレスに応じて振り分ける制御を必要としない。それに従って表示RAMも上述のラインメモリとされる。
【0092】
信号線駆動部519〜521は、基本動作は図1における信号線駆動部117〜120と同様であるが、図5の例であれば、液晶ドライバ503(504、505)に対して1ブロックずつ設置する点が異なる。
【0093】
なお、図5に示したその他の回路ブロックは、図1および図3の例と同様の構成である為、ここではその詳細な説明は省略する。
【0094】
次に、タイミングコントローラ502と液晶ドライバ503〜505における動作について説明する。
【0095】
まず、システムからタイミングコントローラ502に入力されるデータのうち、転送データの固定値ビット幅の情報は、制御レジスタ511に格納され、液晶ドライバ503〜505に転送される。また、システムからシリアルに入力される表示データは、液晶ドライバ503〜505に内蔵されたトータルで2ライン分のラインメモリ516〜518に順次転送される。ここで、データ演算部513〜515は、対応するラインメモリから、担当する1ライン分の表示データを読み出し、制御レジスタ511に格納された固定値ビット幅の情報に基づいて、下位nビットを固定値に置換したデータを作成する。作成されたデータは、マスタ演算部512に転送される。マスタ演算部512における内部動作は、図3の例におけるバックライト制御マスタ演算部304と同様であり、データ演算部513〜515にはデータ伸張係数、PWM回路509にはバックライト設定値を転送する。
【0096】
以上により、図5の構成においても図1の場合と同様に、液晶パネル501の解像度(画素数)が大きくなっても、マスタ演算部512におけるデータ処理能力を対応させることが容易である。また、タイミングコントローラ502と液晶ドライバ503、504、505への転送データの下位nビットは固定値に設定されて電圧変動が抑制される為、タイミングコントローラ502と液晶ドライバ503、504、505間のデータバスにおける消費電力を削減することができる。例えば、RGBそれぞれの表示データを8ビット、設定値を2’b10とした場合、データ転送電流を平均で3/4に削減することができる。
【0097】
なお、本実施例では、液晶ドライバからタイミングコントローラへの転送データのうち、値を0(Lowレベル)、または1(Highレベル)に固定するビット幅nはレジスタで設定できるものとして説明したが、ビット幅nは予め決められた値にしても構わない。また、本発明では、走査線駆動回路と電源回路は液晶ドライバに内蔵することを前提に説明したが、それぞれは独立したチップであっても構わないし、液晶パネルに内蔵しても構わない。
【0098】
図6には図5の変形例が示される。図6の例は、表示パネルのサイズ及び解像度が増加し、液晶ドライバを複数設置する必要がある場合に、一つのドライバにタイミングコントローラ及びマスタ演算部などを集約したものである。図6も図5と同様に、テレビ等のような大きな画面への表示制御を想定し、動画表示を主体とする場合について考えている。
【0099】
図6において、601〜602は液晶ドライバ、603はタイミングコントローラ、604はマスタ演算部である。
【0100】
液晶ドライバ601〜602はm個設置され、その一つの液晶ドライバ601は、図1と同様にタイミングコントローラ603、制御レジスタ105、PWM回路305、バックライト電源回路306及びマスタ演算部604を内蔵してマスタとされ、それ以外の(m−1)個の液晶ドライバ602はそれらを備えずスレーブとされる。全ての液晶ドライバは、マスタとされる液晶ドライバ601に内蔵したタイミングコントローラ603が出力するタイミング信号に同期して動作するものとする。なお、スレーブとされる液晶ドライバ602にはマスタとされる液晶ドライバ601と同じ回路構成のものを採用してもよいが、その場合、スレーブとされる液晶ドライバ602のタイミングコントローラ、制御レジスタ、PWM回路、バックライト電源回路及びマスタ演算部の動作を抑止するものとする。
【0101】
タイミングコントローラ603は、基本動作は図5におけるタイミングコントローラ502と同様であるが、液晶ドライバ601〜602に内蔵する点が異なる。
【0102】
マスタ演算部604は、基本動作は図3におけるバックライト制御マスタ部304と同様であるが、ヒストグラム計数する対象データは、液晶ドライバ601〜602から入力される点が異なる。
【0103】
なお、図6に示されるその他のブロックは、図5の例と同様のであるからその説明な説明は省略する。
【0104】
次に、液晶ドライバ601〜602の詳細な動作について説明する。まず、システムから液晶ドライバ601に入力されるデータのうち、転送データの固定値ビット幅の情報は、制御レジスタ105に格納され、スレーブ設定の液晶ドライバ602に転送される。また、システムからシリアルに入力される表示データは、タイミングコントローラ603を介して、液晶ドライバ601〜602に内蔵されたトータルで2ライン分のラインメモリ516〜518に順次転送される。ここで、データ演算部513〜515は、対応するラインメモリから、担当する1ライン分の表示データを読み出し、制御レジスタ511に格納された固定値ビット幅の情報に基づいて、下位nビットを固定値に置換したデータを作成し、マスタ演算部604に転送する。マスタ演算部604における内部動作は、図5におけるマスタ演算部512と同様であり、データ演算部513〜515にはデータ伸張係数、PWM回路305にはバックライト設定値を転送する。
【0105】
以上のような回路構成と動作により、液晶パネル501の解像度が大きくなったとしても、マスタ演算部604におけるデータ処理能力を対応させることが容易である。また、スレーブ設定の液晶ドライバ602からマスタ設定の液晶ドライバ601への転送データの下位nビットは固定値に設定されて電圧変動が抑制される為、スレーブ設定の液晶ドライバ602とマスタ設定の液晶ドライバ601間のデータバスにおける消費電力を削減することができる。例えば、RGBそれぞれの表示データを8ビット、設定値を2’b10とした場合、データ転送電流を平均で3/4に削減することができる。
【0106】
なお、本実施例では、スレーブ設定の液晶ドライバからマスタ設定の液晶ドライバへの転送データのうち、値を0(Lowレベル)、または1(Highレベル)に固定するビット幅nはレジスタで設定できるものとして説明したが、ビット幅nは予め決められた値にしても構わない。また、本発明では、走査線駆動回路と電源回路は液晶ドライバに内蔵することを前提に説明したが、それぞれは独立したチップであっても構わないし、液晶パネルに内蔵しても構わない。
【0107】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば表示駆動装置が持つ全ての表示RAMは1フレーム分に対応するものであってもよいし、また、大画面表示制御のような場合には1フレームの複数走査線分のラインメモリであってもよい。
【0108】
本発明は、表示データの分析、例えばヒストグラム解析の結果に基づいた高画質化処理、あるいはバックライト制御が低消費電力で実現でき、利用範囲もモバイル向けから大型TV向けのディスプレイの駆動制御にまで適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は本発明の表示駆動装置の一例に係るディスプレイドライバを例示するブロック図である。
【図2A】図2Aはマスタ演算部とデータ演算部内部の構成を例示するブロック図である。
【図2B】図2Bは設定値別の下位nビット固定部における入力と出力の関係を例示する説明図である。
【図3】図3は表示データの調整量に基づいて液晶パネルのバックライト制御を行うことが可能なディスプレイドライバを例示するブロック図である。
【図4A】図4Aはバックライト制御部のマスタ演算部とデータ演算部の詳細を例示するブロック図である。
【図4B】図4Bは選択データ値とこれに対応する選択信号を例示するテーブルの説明図である。
【図5】図5は1つの表示パネルに対して液晶ドライバを複数設置し、液晶パネルの表示制御信号発生用LSIであるタイミングコントローラで表示データの調整を実施する場合に、タイミングコントローラと液晶ドライバ間のデータバスで発生する消費電力を削減する例を示すブロック図である。
【図6】図6は図5の変形例として表示パネルのサイズ及び解像度が増加し、液晶ドライバを複数設置する必要がある場合に、一つのドライバにタイミングコントローラ及びマスタ演算部の機能を集約した例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0110】
101…ディスプレイパネル
102…ディスプレイドライバ
103…システムインタフェース
104…タイミングコントローラ
105…制御レジスタ
105A…固定値ビット数設定レジスタ(FBSREG)
105B…転送先アドレスレジスタ(TAREG)
105C…インストラクションレジスタ(INSTREG)
106…マスタ演算部
107〜110…データ演算部
111〜114…表示RAM
115…表示RAM制御部
116…階調電圧生成部
117〜120…信号線駆動部
121…走査線駆動回路
201…表示RAM読み出し部
202…下位nビット固定部
203…乗算部
204…乱数発生回路
205…計数データ生成部
206…ヒストグラム計数部
207…調整係数計算部
301…液晶パネル
302…液晶ドライバ
303…バックライトモジュール
304…バックライト制御マスタ演算部
305…PWM回路
306…バックライト電源回路
401…信号選択部
501…液晶パネル
502タイミングコントローラ
503〜505…液晶ドライバ
506〜508…バックライトユニット
509…PWM回路
510…バックライト電源回路
511…制御レジスタ
512…マスタ演算部
513〜515…データ演算部
516〜518…ラインメモリ
519〜521…信号線駆動部
601〜602…液晶ドライバ
603…タイミングコントローラ
604…マスタ演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動データに応じた階調でディスプレイパネルのエリア毎に駆動信号を出力する複数の駆動部が並列された表示駆動装置であって、
前記複数の駆動部の並列方向に沿って配置された複数の第1演算部及び複数の表示RAMと、
外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配する表示RAM制御部と、
表示RAMに格納された表示データを並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算して前記夫々の第1演算部に供給する第2演算部と、を有し、
前記第1演算部は、対応する表示RAMから読み出した表示データを前記第2演算部に供給する制御を行うと共に、前記第2演算部から供給された調整係数及び対応する表示RAMからリードした表示データを用いた演算を行って前記駆動データを対応する前記駆動部に供給する、表示駆動装置。
【請求項2】
前記表示RAM制御部は、外部から与えられる転送先アドレスに基づいて、外部から供給される表示データを前記表示RAMに格納する制御を行う、請求項1記載の表示駆動装置。
【請求項3】
前記第1演算部は、前記第2演算部に供給する表示データの下位側所定ビット数の論理値を1または0に固定する制御を行う、請求項1記載の表示駆動装置。
【請求項4】
前記下位側所定ビット数の値が外部からプログラマブルに設定可能にされるレジスタを有する、請求項3記載の表示駆動措置。
【請求項5】
前記第2演算部は、前記第1演算部から供給された表示データの論理値が固定された下位側所定ビット数に乱数を与え、乱数が与えられた表示データに対して調整係数の演算を行う、請求項3記載の表示駆動装置。
【請求項6】
前記調整係数の演算は、前記階調分布のヒストグラムにおいて高輝度側からの階調分布度数が所定の割合になる階調番号を求め、求めた階調番号に対する最大階調番号の割合を調整係数とする、請求項5記載の表示駆動装置。
【請求項7】
前記第1演算部は、前記表示RAMから読み出した表示データに前記調整係数を乗算し、最大階調番号を超えた乗算結果を除外した乗算結果を駆動データとして出力する、請求項6記載の表示駆動装置。
【請求項8】
前記ディスプレイパネルのバックライトに供給する駆動電圧を生成するバックライト駆動部を更に有し、
前記第2演算部は、前記調整係数の逆数に相当する減光率を前記バックライト駆動部に指示する、請求項7記載の表示駆動装置。
【請求項9】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに対して領域分割して配置された複数個のバックライトユニットと、
前記バックライトユニットに一対一対応で配置された複数の表示駆動部と、
前記複数の表示駆動部を制御する制御部と、
前記バックライトユニットを駆動するバックライト駆動部と、を有する表示装置であって、
前記表示駆動部は、ディスプレイパネルに対して前記領域分割された領域に、駆動データに応じた階調で駆動信号を出力する信号線駆動部と、前記信号線駆動部に対応して配置された第1演算部及び表示RAMと、を有し、
前記制御部は、外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配する制御を行うと共に、表示RAMに格納された表示データを並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算し、
前記第1演算部は、対応する表示RAMから読み出した表示データを前記制御部に供給する制御を行うと共に、前記制御部から供給された調整係数及び対応する表示RAMからリードした表示データを用いた演算を行って前記駆動データを対応する前記信号線駆動部に供給する、表示装置。
【請求項10】
前記第1演算部は、前記制御部に供給する表示データの下位側所定ビット数の論理値を1または0に固定する制御を行う、請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記下位側所定ビット数の値が外部からプログラマブルに設定可能にされるレジスタを有する、請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1演算部から供給された表示データの論理値が固定された下位側所定ビット数に乱数を与え、乱数が与えられた表示データに対して調整係数の演算を行う、請求項10記載の表示装置。
【請求項13】
前記調整係数の演算は、前記階調分布のヒストグラムにおいて高輝度側からの階調分布度数が所定の割合になる階調番号を求め、求めた階調番号に対する最大階調番号の割合を調整係数とする、請求項12記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1演算部は、前記表示RAMから読み出した表示データに前記調整係数を乗算し、最大階調番号を超えた乗算結果を除外した乗算結果を駆動データとして出力する、請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記調整係数の逆数に相当する減光率を前記バックライト駆動部に指示する、請求項14記載の表示装置。
【請求項16】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルに対して領域分割して配置された複数個のバックライトユニットと、
前記バックライトユニットに一対一対応で配置された複数の表示駆動部と、を有する表示装置であって、
前記表示駆動部の一つは、前記複数の表示駆動部を制御する制御部と、前記バックライトユニットを駆動するバックライト駆動部とを有し、
前記表示駆動部は、ディスプレイパネルに対して前記領域分割された領域に、駆動データに応じた階調で駆動信号を出力する信号線駆動部と、前記信号線駆動部に対応して配置された第1演算部及び表示RAMと、を有し、
前記制御部は、外部から供給された表示データを前記複数の表示RAMに分配する制御を行うと共に、表示RAMに格納された表示データを並列に受け取って1画面分の画素データの階調分布のヒストグラムを解析し、解析結果に基づいて表示データを調整するための調整係数を演算し、
前記第1演算部は、対応する表示RAMから読み出した表示データを前記制御部に供給する制御を行うと共に、前記制御部から供給された調整係数及び対応する表示RAMからリードした表示データを用いた演算を行って前記駆動データを対応する前記信号線駆動部に供給する、表示装置。
【請求項17】
前記第1演算部は、前記駆動部に供給する表示データの下位側所定ビット数の論理値を1または0に固定する制御を行う、請求項16記載の表示装置。
【請求項18】
前記下位側所定ビット数の値が外部からプログラマブルに設定可能にされるレジスタを有する、請求項17記載の表示装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記第1演算部から供給された表示データの論理値が固定された下位側所定ビット数に乱数を与え、乱数が与えられた表示データに対して調整係数の演算を行う、請求項17記載の表示装置。
【請求項20】
前記調整係数の演算は、前記階調分布のヒストグラムにおいて高輝度側からの階調分布度数が所定の割合になる階調番号を求め、求めた階調番号に対する最大階調番号の割合を調整係数とする、請求項19記載の表示装置。
【請求項21】
前記第1演算部は、前記表示RAMから読み出した表示データに前記調整係数を乗算し、最大階調番号を超えた乗算結果を除外した乗算結果を駆動データとして出力する、請求項20記載の表示装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記調整係数の逆数に相当する減光率を前記バックライト駆動部に指示する、請求項21記載の表示装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−160373(P2010−160373A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3153(P2009−3153)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】