説明

表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法

【課題】光学シートの品質管理を高精度に行うことができると共に、生産性にも優れた、表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法を提供する。
【解決手段】この発明の光学シート2の製造方法は、押出機から熱可塑性樹脂を押し出して樹脂シート1を得る押出工程と、成形面に凹凸形状部30a及び平坦部30bが設けられた成形ロール12を、樹脂シート1の少なくとも片面に圧接せしめることによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シート2を得る表面成形工程とを包含することを特徴とする。得られた光学シート2の平坦面部分を切り取り、該平坦面部分の光学特性を測定し、得られた測定値をフィードバックして製造条件を調整することによって、光学シート2の品質管理を高精度に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断面形状が三角形状等の凹凸形状を表面に有する光学シートの製造方法に関する。
【0002】
なお、この明細書において、表面粗さRaおよび十点平均粗さRzは、いずれも、JIS B0601−1994に準拠して測定された値である。
【背景技術】
【0003】
近年、液晶表示装置用のバックライトに用いられる光学シート(光拡散板、導光板等)としては、輝度や輝度均一性等の光学特性の向上を図るために、該光学シートの表面に断面形状が三角形状等の凹凸形状を付与せしめることが行われている。このような凹凸形状を付与せしめる方法としては、Tダイから押し出された樹脂シートを、成形ロール(転写ロール)と鏡面ロール間で挟圧することによって、樹脂シートの表面に凹凸の微細パターンを形成する技術(従来の製法)が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−11328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記光学シートとしては、輝度や輝度均一性等の光学特性をさらに向上させるために、該光学シートの構成材料自体に光拡散性を持たせた構成を採用することがある。光学シートの構成材料としての樹脂に光拡散性を持たせる手段としては、例えば透光性樹脂に光拡散剤を混合する、プロピレン樹脂等の微結晶化し得る樹脂を採用する等の手段が挙げられる。
【0006】
このような表面の凹凸形状による光屈折・拡散効果及び構成材料自体の光拡散効果を具備せしめた光学シートを上記従来の製法で製造する場合において、得られる光学シートの品質管理を高精度に行うには、構成材料自体の光拡散効果の品質管理と、表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理とをそれぞれ個別に行うことが重要である。しかし、得られた光学シートの表面には凹凸形状が形成されているので、得られた光学シートを用いて、構成材料自体の光拡散効果の評価と、表面の凹凸形状による光拡散効果の評価とをそれぞれ分けて個別に行うことはできない。
【0007】
そこで、従来は、構成材料自体の光拡散効果の品質管理を個別に行うために、上記光学シートの製造ラインとは全く切り離して、別工程で別途、この光学シートの製造に用いている樹脂を一対の鏡面ロール間で挟圧して表面に凹凸形状を有しない(表面が平坦面である)光学特性測定用の試験片シート(即ち表面の凹凸形状による光拡散効果の影響を排除できる試験片シート)を作成して、この試験片シートのヘイズや全光線透過率を測定し、この測定データにより、製品としての光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を行っていた。
【0008】
しかしながら、試験片シート作成の熱履歴(加熱温度、加熱時間、温度ムラ)等の製造条件は、上記製品の製造ラインでの熱履歴(加熱温度、加熱時間、温度ムラ)等の製造条件と十分に一致するものではないから、前記試験片シートの測定データは、光学シートの構成材料自体の光拡散性能を精度高く反映したものにはなっておらず、従って光学シートの品質管理を高精度に行うことができないという問題があった。
【0009】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、光学シートの品質管理を高精度に行うことができると共に、生産性にも優れた、表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられた成形型を用いて合成樹脂の成形を行うことによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シートを得る表面成形工程を含むことを特徴とする表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0012】
[2]押出機から熱可塑性樹脂を押し出して樹脂シートを得る押出工程と、
成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられた成形ロールを、前記樹脂シートの少なくとも片面に圧接せしめることによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シートを得る表面成形工程とを包含することを特徴とする表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0013】
[3]前記成形面の縁部の少なくとも一部に前記平坦部が設けられている前項1または2に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0014】
[4]前記成形ロールの成形面の少なくとも一方の縁部の全周にわたって前記平坦部が設けられている前項2に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0015】
[5]前記成形面の平坦部の幅が5〜500mmである前項1〜4のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0016】
[6]前記成形面の平坦部の幅が20〜500mmである前項1〜4のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0017】
[7]前記成形面の平坦部は、表面粗さRaが0.3μm以下であり、Rzが1.0μm以下である前項1〜6のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0018】
[8]前記成形面の凹凸形状部の凹凸深さを「D」とし、前記凹凸形状部のピッチ間隔を「W」としたとき、次式(1)及び次式(2)が成立することを特徴とする前項1〜7のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
D/W≧0.2 …式(1)
D≧10μm …式(2)
【0019】
[9]前記光学シートの内部ヘイズが3%以上である前項1〜8のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0020】
[10]前記光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、前記光学シートが光拡散剤を含有することによって発現したものである前項1〜9のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0021】
[11]前記光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、前記光学シートを構成する樹脂の微結晶化により発現したものである前項1〜10のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0022】
[12]前記表面成形工程の後に、前記光学シートにおける前記平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、
前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて製造条件を調整するフィードバック調整工程を備えることを特徴とする前項1〜11のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0023】
[13]前記押出工程において、熱可塑性樹脂として、スチレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート及び環状ポリオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂及び光拡散剤を含有してなるマスターバッチ樹脂と、該マスターバッチ樹脂を構成する樹脂と同一の樹脂からなるベース樹脂とを含有してなる混合物を用い、
前記表面成形工程の後に、前記光学シートにおける前記平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、
前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて、前記押出機内におけるマスターバッチ樹脂とベース樹脂との混合割合を調整するフィードバック調整工程を備えることを特徴とする前項2〜11のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0024】
[14]前記押出工程において熱可塑性樹脂としてプロピレン樹脂を用い、
前記表面成形工程の後に、前記光学シートにおける前記平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、
前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて、押出機のダイの押出口温度、成形ロールの温度及び押出速度からなる群より選ばれる1種または2種以上の製造条件を調整するフィードバック調整工程を備えることを特徴とする前項2〜11のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0025】
[15]前記測定工程において測定する光学特性が、全光線透過率又は/及びヘイズである前項12〜14のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0026】
[16]前記切り取り工程において、前記光学シートにおける平坦面の少なくとも一部をレーザー光照射で切り取る前項12〜15のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【0027】
[17]成形ロールの外周の成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられてなることを特徴とする表面に凹凸形状を有する光学シート製造用成形ロール。
【0028】
[18]前記成形面の少なくとも一方の縁部の全周にわたって前記平坦部が設けられている前項17に記載の表面に凹凸形状を有する光学シート製造用成形ロール。
【0029】
なお、前記「内部ヘイズ」の語は、次のようにして測定されたヘイズを意味するものである。即ち、光学シートを5cm×5cmの大きさに切り出して測定試験片を準備し、該試験片を光路長5mmのガラスセルに入れ、さらに試験片とほぼ同一の屈折率(屈折率差が0以上0.01以下であるのが望ましい)を有する無色透明の液体(例えば試験片がPMMA製である場合にはリン酸トリクレジル/リン酸トリnブチルの等質量混合液)でガラスセルを満たした後、該ガラスセルをヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製「HR−100」)にセットし、JIS K7136−2000に準拠して、全光線透過率、拡散光線透過率を測定し、これらの比よりヘイズ値を求める。この値が内部ヘイズである。
【発明の効果】
【0030】
[1]の発明では、成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられた成形型を用いて合成樹脂の成形を行うことによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シートを得るものであり、該光学シートにおける凹凸形状面と平坦面とでは、熱履歴(加熱温度、加熱時間、温度ムラ)等の製造条件は同一であるから、この光学シートの平坦面部分を切り取り、該平坦面部分の光学特性(ヘイズ又は/及び全光線透過率等)を測定することにより、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。即ち、構成材料自体の光拡散効果の品質管理と、表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理とをそれぞれ個別に高精度に行うことができる。また、成形型の成形面に凹凸形状部及び平坦部の両方が設けられており、光学シートの製造時に、光学特性測定のための平坦面部分(測定用試験片)も同時に同じ工程で製造できるので、生産性に優れている。
【0031】
[2]の発明では、成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられた成形ロールを、樹脂シートの少なくとも片面に圧接せしめることによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シートを得るものであり、該光学シートにおける凹凸形状面と平坦面とでは、熱履歴(加熱温度、加熱時間、温度ムラ)等の製造条件は同一であるから、この光学シートの平坦面部分を切り取り、該平坦面部分の光学特性(ヘイズ又は/及び全光線透過率等)を測定することにより、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。即ち、構成材料自体の光拡散効果の品質管理と、表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理とをそれぞれ個別に高精度に行うことができる。また、成形ロールの成形面に凹凸形状部及び平坦部の両方が設けられており、光学シートの製造時に、光学特性測定のための平坦面部分(測定用試験片)も同時に同じ工程で製造できるので、生産性に優れている。
【0032】
[3]の発明では、成形面の縁部の少なくとも一部に平坦部が設けられているから、縁部の少なくとも一部に平坦面が形成された光学シートが得られ、従って光学特性測定のための平坦面部分(測定用試験片)の切り取り操作が容易である。
【0033】
[4]の発明では、成形ロールの成形面の少なくとも一方の縁部の全周にわたって平坦部が設けられているから、押出ラインの連続した流れの中で光学シート縁部の平坦面(測定用試験片)の切り取り操作を行うことができる利点がある。
【0034】
[5]の発明では、成形面の平坦部の幅が5〜500mmであるから、光学シートの製品部分の幅を十分に確保することができて経済的である。
【0035】
[6]の発明では、成形面の平坦部の幅が20〜500mmであるから、光学シートの製品部分の幅を十分に確保できると共に、光学特性測定のための平坦面部分の幅(試験片の幅)も十分に確保できて光学特性の測定が容易化される。
【0036】
[7]の発明では、成形面の平坦部は、表面粗さRaが0.3μm以下であり、Rzが1.0μm以下であるから、即ち鏡面に近い状態であるから、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の評価を行うに際し、表面の凹凸形状による光拡散の影響を十分に排除することができるので、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理をより高精度に行うことができる。
【0037】
[8]の発明では、成形面の凹凸形状部の凹凸深さを「D」とし、凹凸形状部のピッチ間隔を「W」としたとき、D/W≧0.2の関係式及びD≧10μmの関係式が成立する構成であるから、得られる光学シートの光拡散性能は、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の寄与分だけではなく、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の寄与分も(無視できない程度に)大きく、従って光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を行うに際し、本願発明の製造方法を適用する技術的意義が極めて大きいものとなる。即ち、[8]の発明は、D/W≧0.2の関係式及びD≧10μmの関係式が成立する構成であるにもかかわらず、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。
【0038】
[9]の発明では、光学シートの内部ヘイズが3%以上であるから、得られる光学シートの光拡散性能は、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の寄与分だけではなく、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の寄与分も(無視できない程度に)大きく、従って光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を行うに際し、本願発明の製造方法を適用する技術的意義が極めて大きいものとなる。即ち、[9]の発明は、光学シートの内部ヘイズが3%以上である構成であるにもかかわらず、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。
【0039】
[10]の発明では、光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、前記光学シートが光拡散剤を含有することによって発現したものであるから、得られる光学シートの光拡散性能は、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の寄与分だけではなく、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の寄与分も(無視できない程度に)大きく、従って光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を行うに際し、本願発明の製造方法を適用する技術的意義が極めて大きいものとなる。即ち、[10]の発明は、光学シートの内部ヘイズが、光学シートが光拡散剤を含有することによって発現したものである構成であるにもかかわらず、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。
【0040】
[11]の発明では、光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、前記光学シートを構成する樹脂の微結晶化により発現したものであるから、得られる光学シートの光拡散性能は、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の寄与分だけではなく、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の寄与分も(無視できない程度に)大きく、従って光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を行うに際し、本願発明の製造方法を適用する技術的意義が極めて大きいものとなる。即ち、[11]の発明は、光学シートの内部ヘイズが、光学シートを構成する樹脂の微結晶化により発現したものである構成であるにもかかわらず、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。
【0041】
[12]の発明では、表面成形工程の後に、光学シートにおける平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて製造条件を調整するフィードバック調整工程を備えているから、高精度に品質管理された、表面に凹凸形状を有する光学シートを製造できる。
【0042】
[13]の発明では、表面成形工程の後に、光学シートにおける平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて、前記押出機内におけるマスターバッチ樹脂とベース樹脂との混合割合を調整するフィードバック調整工程を備えているから、高精度に品質管理された、表面に凹凸形状を有するスチレン樹脂系光学シートを製造できる。
【0043】
[14]の発明では、押出工程において熱可塑性樹脂としてプロピレン樹脂を用い、表面成形工程の後に、光学シートにおける平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて、押出機のダイの押出口温度、成形ロールの温度及び押出速度からなる群より選ばれる1種または2種以上の製造条件を調整するフィードバック調整工程を備えているから、高精度に品質管理された、表面に凹凸形状を有するプロピレン樹脂系光学シートを製造できる。
【0044】
[15]の発明では、測定工程で測定する光学特性が、全光線透過率又は/及びヘイズであるから、光学シートの構成材料自体の光拡散効果をより精度高く評価できる。
【0045】
[16]の発明では、光学シートにおける平坦面の少なくとも一部をレーザー光照射で切り取るので、成形面において平坦部がどのような位置に配置されていても、即ち得られる光学シートにおいて平坦面がどのような位置にあっても何ら支障なく平坦面部分を切り出すことができる。
【0046】
[17]の発明(成形ロール)では、ロール外周の成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられているから、この成形ロールを用いて光学シートを製造すれば、該光学シートにおける凹凸形状面と平坦面とでは、熱履歴(加熱温度、加熱時間、温度ムラ)等の製造条件は同一であるから、この光学シートの平坦面部分を切り取り、該平坦面部分の光学特性(ヘイズ又は/及び全光線透過率等)を測定することにより、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を高精度に行うことができる。即ち、構成材料自体の光拡散効果の品質管理と、表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理とをそれぞれ個別に高精度に行うことができる。
【0047】
[18]の発明では、成形面の少なくとも一方の縁部の全周にわたって平坦部が設けられているから、押出ラインの連続した流れの中で光学シート縁部の平坦面(測定用試験片)の切り取り操作を行うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明に係る光学シートの製造方法の概略を示す側面図である。
【図2】この発明に係る光学シートの製造方法の概略を示す斜視図である。
【図3】この発明に係る光学シートの製造方法で用いる成形ロールを示す斜視図である。
【図4】図3におけるY−Y線の断面図である。
【図5】図2におけるX−X線の断面図(光学シートの断面図)である。
【図6】この発明に係る光学シートの製造方法の他の例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
この発明に係る表面に凹凸形状を有する光学シート2の製造方法は、成形面30に凹凸形状部30a及び平坦部30bが設けられた成形型12を用いて合成樹脂の成形を行うことによって、表面に凹凸形状面2a及び平坦面2bが形成された光学シート2を得る表面成形工程を含むことを特徴とする。
【0050】
本製造方法によれば、光学シート2における凹凸形状面2aと平坦面2bとでは、熱履歴(加熱温度、加熱時間、温度ムラ)等の製造条件は同一であるから、この光学シートの平坦面部分を切り取り、該平坦面部分の光学特性(ヘイズ又は/及び全光線透過率等)を測定することにより、光学シート2の構成材料自体の光拡散効果の評価を高精度に行うことができる。また、光学シート2の表面の凹凸形状による光拡散効果は、前記光学シート2としての光拡散効果の評価を行い、これより光学シート2の構成材料自体の光拡散効果の寄与分を差し引くことによって、その評価を行うことができる。従って、本製造方法によれば、構成材料自体の光拡散効果の品質管理と、表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理とをそれぞれ個別に高精度に行うことが可能となる。
【0051】
前記成形型12としては、特に限定されるものではないが、例えば成形ロール、射出成形型、熱プレス成形型、フォトポリマー用金型等が挙げられる。
【0052】
前記合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0053】
前記成形型12として成形ロールを用いる場合の製造方法の好適例について説明する。まず、製造装置の構成について説明する。図1、2に示すように、押出機10の押出方向の前方位置に3つのロール11、12、13が上下に並んで配置されている。成形ロール12の上側に第一圧接ロール11が配置され、前記成形ロール12の下側に第二圧接ロール13が配置されている。前記第一圧接ロール11の外周面は鏡面に形成され、前記第二圧接ロール13の外周面も鏡面に形成されている。
【0054】
前記成形ロール12の成形面(外周面)30には、図3、4に示すように、断面形状が三角形形状の凹凸形状部30a及び表面が平坦な平坦部30bが形成されている。本実施形態では、前記成形ロール12の成形面30の一方の縁部の全周にわたって前記平坦部30bが形成されている。また、前記成形ロール12の成形面30における前記平坦部30bを除く全領域に前記凹凸形状部30aが形成されている。前記凹凸形状部30aは、押出機10から押し出されてきた樹脂シート1の表面に接触してこの接触した表面に断面形状が三角形形状の凹凸形状面2aを形成せしめ、前記平坦部30bは、押出機10から押し出されてきた樹脂シート1の表面に接触してこの接触した表面に平坦面2bを形成せしめる。
【0055】
前記押出機10の押出方向の前方における3つのロール11、12、13のさらに前方位置にレーザー切断装置14が配置されている(図1参照)。このレーザー切断装置14は、前記押出機10から押し出されて前記成形ロール12による成形を経た後の光学シート2における凹凸形状面2aと平坦面2bの境界位置、即ち図2におけるLで示される位置にレーザー光15を照射できるように配置されている。
【0056】
上記製造装置を用いて光学シート2、光学部材(製品)3を次のようにして製造する。
【0057】
[押出工程]
前記押出機10から熱可塑性樹脂を押し出して樹脂シート1を得る(図1参照)。前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン樹脂、プロピレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等が挙げられる。
【0058】
[表面成形工程]
次に、図1、2に示すように、前記押出機10の押出方向の前方位置に配置された成形ロール12と第一圧接ロール11との間に前記樹脂シート1を挿通せしめ、続いて前記成形ロール12とその下方位置に配置された第二圧接ロール13との間に前記樹脂シート1を挿通せしめることによって、前記樹脂シート1の片面に成形ロール12を圧接せしめる。この時、前記成形ロール12の成形面30に平坦部30b及び断面形状が三角形形状の凹凸形状部30aが設けられているから、表面に平坦面2b及び断面形状が三角形形状の凹凸形状面2aが形成された光学シート2が得られる(図5参照)。即ち、一方の縁部に平坦面2bが形成され、前記縁部の平坦面2bを除く領域に前記凹凸形状部30aが形成された光学シート2が得られる(図5参照)。
【0059】
[切り取り工程]
前記表面成形工程を経て得られた光学シート2における平坦面2bの少なくとも一部を切り取る。例えば、前記レーザー切断装置14からのレーザー光15を、前記表面成形工程を経て得られた光学シート2における図2でLで示される位置(凹凸形状面2aと平坦面2bの境界位置)に照射することによって、光学シート2における平坦面部分2bを切り取って切り取り片4を得ると共に、表面に前記凹凸形状面2aを備えた光学部材(製品)3を得る(図1、2参照)。なお、凹凸形状面2aと平坦面2bの境界位置よりもさらに縁側(外方側)の位置で切り取るようにしても良いし、或いは凹凸形状面2aと平坦面2bの境界位置より内方側の位置(中央よりの位置)で切り取るようにしても良い。また、切り取りの手段としては、前記レーザー切断装置に特に限定されるものではなく、切断を行うことができる手段であればどのようなものでも良い。
【0060】
[測定工程]
前記切り取った平坦面部分2b、即ち前記切り取り片(測定用試験片)4の光学特性を測定する。前記光学特性としては、全光線透過率(Tt)及びヘイズ(Hz)からなる群より選ばれる1種または2種の光学特性を選択するのが好ましく、この場合には光学シート2の構成材料自体の光拡散効果をより精度高く評価できる。前記全光線透過率(Tt)は、JIS K7361−1997に準拠して測定される値である。また、前記ヘイズ(Hz)は、JIS K7136−2000に準拠して測定される値である。
【0061】
[フィードバック調整工程]
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて製造条件を調整する。以下、このフィードバック調整工程について具体例を二例挙げて説明するが、特にこのような構成に限定されるものではない。
【0062】
(第一実施形態)
この第一実施形態は、前記押出工程において、熱可塑性樹脂として、スチレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート及び環状ポリオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂及び光拡散剤を含有してなるマスターバッチ樹脂と、該マスターバッチ樹脂を構成する樹脂と同一の樹脂からなるベース樹脂とを含有してなる混合物を用いる場合の適用例を示すものであり、前記フィードバック調整工程において、前記測定工程で得られた光学特性(例えば全光線透過率又は/及びヘイズ)の測定値に基づいて、前記押出機10内におけるマスターバッチ樹脂とベース樹脂との混合割合を調整する。例えば全光線透過率が所定値より小さい場合又は/及びヘイズが所定値より大きい場合には、マスターバッチ樹脂の混合割合を低減させてフィードバック調整を行う。
【0063】
(第二実施形態)
この第二実施形態は、前記押出工程において熱可塑性樹脂としてプロピレン樹脂を用いる場合の適用例を示すものであり、前記フィードバック調整工程において、前記測定工程で得られた光学特性(例えば全光線透過率又は/及びヘイズ)の測定値に基づいて、押出機のダイの押出口温度、成形ロールの温度及び押出のライン速度からなる群より選ばれる1種または2種以上の製造条件(冷却速度に関係する製造条件)を調整する。前記製造条件は、プロピレン樹脂の微結晶化の程度に影響を及ぼす要因である。例えば全光線透過率が所定値より小さい場合又は/及びヘイズが所定値より大きい場合には、押出機のダイの押出口温度を高くする、成形ロールの温度を低くする、押出のライン速度を速くする、のうちの少なくともいずれか1つの製造条件を調整してフィードバック調整を行う。
【0064】
このようなフィードバック調整工程を実施することにより、高精度に品質管理された高品質の光学シート2、光学部材3を製造できる。
【0065】
この発明において、前記スチレン樹脂としては、その構成単位としてスチレン単位を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有するものであり、スチレン単位を50質量%以上含有する限りその一部がスチレンと共重合可能な単官能の不飽和単量体単位で置き換えられた共重合体であってもよい。
【0066】
前記共重合可能な単官能不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和酸類;α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、この共重合体は、無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいても良い。さらに前述の重合体、共重合体に、ゴム状重合体として、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム等をブレンドしたものを用いても良い。
【0067】
前記プロピレン樹脂としては、プロピレンを単独で重合させて得られるホモポリプロピレンであっても良いし、プロピレン及びこれと共重合し得る共重合成分の共重合体であっても良い。中でも、前記プロピレン樹脂としては、プロピレン単位を50質量%以上含有してなる重合体であるのが好ましい。さらに、十分な剛性が得られる点で、前記プロピレン樹脂中のプロピレン単位の含有量は98質量%以上であるのが特に好ましい。前記共重合成分としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン、1−ブテン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
【0068】
前記光拡散剤としては、前記樹脂に対して非相溶性で、樹脂とは異なる屈折率を示し、光拡散板を透過する透過光を拡散させる機能を有する粒子(粉末を含む)であれば特に限定されない。例えば、ガラス粒子、ガラス繊維、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機粒子であっても良いし、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機粒子であっても良い。
【0069】
この発明において、前記成形型(成形ロール等)12の成形面30における平坦部30bの幅(M)は5〜500mmの範囲であるのが好ましい。5mm以上であることで光学特性測定のための平坦面部分の幅(測定試験片の幅)(M)を十分に確保できるので光学特性の測定が容易なものとなる。また500mm以下であることで光学シート2の製品部分の幅を十分に確保することができる。中でも、前記成形面30における平坦部30bの幅(M)は20〜500mmの範囲であるのが好ましい。
【0070】
前記成形型(成形ロール等)12の成形面30の平坦部30bは、表面粗さRaが0.3μm以下であり、十点平均粗さRzが1.0μm以下であるのが好ましい。平坦部30bがこのような条件を満足する平坦性を備えている場合には、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の評価を行うに際し、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散の影響を十分に排除することができるので、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理をより高精度に行うことができる。
【0071】
前記成形型(成形ロール等)12の凹凸形状部30aの断面形状としては、特に限定されるものではないが、例えば三角形状、半円形状、半楕円形状、台形形状、矩形状、その他の凹凸形状等が挙げられる。
【0072】
前記成形型(成形ロール等)12の成形面30の凹凸形状部30aの凹凸深さを「D」とし、前記凹凸形状部30aのピッチ間隔を「W」としたとき(図4参照)、次式(1)及び次式(2)が成立する構成である場合には、
D/W≧0.2 …式(1)
D≧10μm …式(2)
得られる光学シートの光拡散性能は、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の寄与分だけではなく、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の寄与分も(無視できない程度に)大きいものとなるから、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の品質管理を行うに際し、特に本願発明の製造方法を適用する技術的意義が極めて大きいものとなる。中でも、D/W≧0.5及びD≧10μmが成立する構成である場合には本願発明の製造方法を適用する技術的意義がより一層大きいものとなる。
【0073】
また、下記c)d)e)の構成のうち少なくともいずれか1つの構成が採用されている場合には、得られる光学シートの光拡散性能は、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の寄与分だけではなく、光学シートの構成材料自体の光拡散効果の寄与分も(無視できない程度に)大きいものとなるから、光学シートの表面の凹凸形状による光拡散効果の品質管理を行うに際し、特に本願発明の製造方法を適用する技術的意義が極めて大きいものとなる。
c)光学シートの内部ヘイズが3%以上である
d)光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、光学シートが光拡散剤を含有することによって発現したものである
e)光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、光学シートを構成する樹脂の微結晶化により発現したものである。
【0074】
前記光学シート2の厚さTは0.01〜5mmの範囲に設定されるのが好ましいが、特にこのような厚さに限定されるものではない。
【0075】
なお、上記実施形態では、成形型12の成形面30の縁部に平坦部30bが形成されていたが、平坦部30bの配置位置は特にこのような位置(縁部)に限定されるものではない。例えば、前記成形ロール12の成形面30の幅方向の中央部にその全周にわたって平坦部30bが設けられた構成を採用しても良い。この場合には、前記切り取り工程において、光学シートの中央位置にある平坦面の幅方向の両サイド(即ち左右両側の凹凸形状面との境界位置)にレーザー光を照射して切断すれば、光学部材3を左右両側の2枚取りすることができる。
【0076】
この発明の製造方法で用いる製造装置の他の例を図6に示す。10は押出機であり、この押出機の押出前方位置に三連圧接ロール(鏡面ロール)17、17、17が配置され、これらより下流側に前記成形ロール12(図3、4参照)が配置されている、即ち前記三連圧接ロールより下流側に成形ロール12と外周面が鏡面の圧接ロール18とが対になって配置されている(図6参照)。前記成形ロール12の下流側に前記レーザー切断装置14が配置されている。このような構成の製造装置を用いて本発明の製造方法を実施しても良い。
【0077】
この発明に係る光学シートの製造方法は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
この発明の製造方法で製造された光学シートは、例えばプリズムシート、光拡散板、光偏向構造板、導光板等の光学部材として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。中でも、液晶表示装置等の画像表示装置用の光学部材として特に好適である。
【符号の説明】
【0079】
1…樹脂シート
2…光学シート
2a…凹凸形状面
2b…平坦面
10…押出機
12…成形ロール(成形型)
14…レーザー切断装置
15…レーザー光
30…成形面
30a…凹凸形状部
30b…平坦部
D…凹凸形状部の凹凸深さ
W…凹凸形状部のピッチ間隔
M…平坦部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられた成形型を用いて合成樹脂の成形を行うことによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シートを得る表面成形工程を含むことを特徴とする表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項2】
押出機から熱可塑性樹脂を押し出して樹脂シートを得る押出工程と、
成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられた成形ロールを、前記樹脂シートの少なくとも片面に圧接せしめることによって、表面に凹凸形状面及び平坦面が形成された光学シートを得る表面成形工程とを包含することを特徴とする表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項3】
前記成形面の縁部の少なくとも一部に前記平坦部が設けられている請求項1または2に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項4】
前記成形ロールの成形面の少なくとも一方の縁部の全周にわたって前記平坦部が設けられている請求項2に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項5】
前記成形面の平坦部の幅が5〜500mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項6】
前記成形面の平坦部の幅が20〜500mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項7】
前記成形面の平坦部は、表面粗さRaが0.3μm以下であり、Rzが1.0μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項8】
前記成形面の凹凸形状部の凹凸深さを「D」とし、前記凹凸形状部のピッチ間隔を「W」としたとき、次式(1)及び次式(2)が成立することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
D/W≧0.2 …式(1)
D≧10μm …式(2)
【請求項9】
前記光学シートの内部ヘイズが3%以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項10】
前記光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、前記光学シートが光拡散剤を含有することによって発現したものである請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項11】
前記光学シートは内部ヘイズを有し、該内部ヘイズが、前記光学シートを構成する樹脂の微結晶化により発現したものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項12】
前記表面成形工程の後に、前記光学シートにおける前記平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、
前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて製造条件を調整するフィードバック調整工程を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項13】
前記押出工程において、熱可塑性樹脂として、スチレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート及び環状ポリオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂及び光拡散剤を含有してなるマスターバッチ樹脂と、該マスターバッチ樹脂を構成する樹脂と同一の樹脂からなるベース樹脂とを含有してなる混合物を用い、
前記表面成形工程の後に、前記光学シートにおける前記平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、
前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて、前記押出機内におけるマスターバッチ樹脂とベース樹脂との混合割合を調整するフィードバック調整工程を備えることを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項14】
前記押出工程において熱可塑性樹脂としてプロピレン樹脂を用い、
前記表面成形工程の後に、前記光学シートにおける前記平坦面の少なくとも一部を切り取る工程を備え、
前記切り取った平坦面部分の光学特性を測定する測定工程を備え、
前記測定工程で得られた光学特性の測定値に基づいて、押出機のダイの押出口温度、成形ロールの温度及び押出速度からなる群より選ばれる1種または2種以上の製造条件を調整するフィードバック調整工程を備えることを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項15】
前記測定工程において測定する光学特性が、全光線透過率又は/及びヘイズである請求項12〜14のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項16】
前記切り取り工程において、前記光学シートにおける平坦面の少なくとも一部をレーザー光照射で切り取る請求項12〜15のいずれか1項に記載の表面に凹凸形状を有する光学シートの製造方法。
【請求項17】
成形ロールの外周の成形面に凹凸形状部及び平坦部が設けられてなることを特徴とする表面に凹凸形状を有する光学シート製造用成形ロール。
【請求項18】
前記成形面の少なくとも一方の縁部の全周にわたって前記平坦部が設けられている請求項17に記載の表面に凹凸形状を有する光学シート製造用成形ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−98479(P2011−98479A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253824(P2009−253824)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】