説明

表面に取り付け可能な発光ダイオード光源および発光ダイオード光源を製造する方法

【課題】必要スペースの少ない、表面に取り付け可能な発光ダイオード光源を提供する。また、少ない数の製造工程で製造でき、使用する温度安定性に関して改良された特性を有する、半導体LEDを基礎とする光源の製造方法を提供する。
【解決手段】表面に取り付け可能な発光ダイオード光源が、それぞれのリードフレーム接続部分の透明なプラスチック成形体の内部にチップ取り付け領域から発光ダイオード光源の取り付け面に向かってS型の湾曲部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載される表面に取り付け可能な発光ダイオード光源に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は更に請求項9の上位概念に記載される半導体発光ダイオード(以下に半導体LEDと記載する)、特に表面に取り付け可能な半導体LEDを基礎とする光源の製造方法に関する。本発明は、特に半導体LED混合光源、特に白色光源に関する。本発明の方法において特に紫外線または青のスペクトル領域の放射スペクトルを有する半導体LEDを使用し、半導体LEDはその光の放出面に変換物質を含有する成形材料により包囲され、該変換物質により半導体LEDから放出される光スペクトルは少なくとも部分的に他の波長の光に変換され、従って白色光源の光学的印象を生じ、すなわち光源は全体として白い光を放射する。
【0003】
ケーシングから突出するろう接接続部品を有する、表面に取り付け可能なLED構造素子は国際公開98/12757号に記載される。この場合にリードフレームのろう接接続スリーブはチップ取り付け面から出発して取り付け面の平面にまっすぐにプラスチックケーシングから突出し、プラスチックケーシングの外部に構造素子取り付け面に向かってS型に湾曲し、S型の湾曲に続いてろう接接続面が形成される。導体板上の構造素子にろう接接続面を取り付けることができる。
【0004】
国際公開98/12757号には更に発光物質、特に燐の群からの発光物質顔料を有する無機発光物質顔料粉末が添加されている、透明なエポキシ樹脂を基礎とする、紫外線、青または緑の光を放出する成形体を有するエレクトロルミネセンス構造素子用の波長を変換する成形材料が記載されている。有利な構成として、放射最大420−460nmを有する、GaAlNを基礎とする放射線を放出する半導体LEDを、半導体成形体から放出される青の放射線を補色の波長領域、特に青および黄に、または付加的な三重色、例えば青、緑および赤に変換するように選択される発光物質と一緒に使用する白色光源が記載されている。この場合に黄色、緑および赤の光を発光物質から製造する。その際この方法で製造した白い光の色相(CIE表色系の色位置)は混合および濃度に関する発光物質の適当な選択により変動することができる。
【0005】
同様に国際公開98/54929号には、UVLED/青色LEDを有する可視光線を放出する半導体構造素子が記載され、前記LEDが支持成形体の凹所に配置され、その表面が光を反射する層を有し、光放出面でLEDを包囲する透明な材料が充填されている。光の捕捉を改良するために、透明な材料は、LEDの光活性領域の屈折率より低い屈折率を有する。
【0006】
特開平5−037008号には表面に取り付け可能なLED構造素子が記載される。ろう接接続スリーブがプラスチック注型成形体の裏側にプラスチック成形体から突出している。ろう接接続スリーブは、放出位置で、プラスチック成形体から、その端部がプラスチック成形体の裏側に、まっすぐに水平方向に外部に向かって示されるように湾曲している。
【0007】
独国特許第19604492号にはLED構造素子のいわゆる放射状構造形が記載されている、この種の構造形は表面の取り付けに適さず、専ら導体板上の差込み取り付けに適している。実質的に放射状の構造形を決定するプラスチックケーシング注型材料はポリカーボネートからなる。
【0008】
特開平10−093146号には放射線の強さおよび明度を改良するために、プラスチックケーシング注型材料に、半導体LEDチップの放射線により励起し、大きな波長で放出する発光物質が埋め込まれている、放射状LED構造素子が記載されている。
【0009】
放射状LED構造形は米国特許第5777433号にも記載されている。この場合に、例えばエポキシ樹脂または他の適当な透明な有機注型材料からなる放射状プラスチック注型材料に、プラスチック材料の屈折率を高めるために、透明な注型材料より大きい屈折率を有するナノ粒子が埋め込まれている。
【0010】
独国公開第3804293号から半導体LEDを基礎とする白色光源が公知である。これにはエレクトロルミネセンスダイオードまたはレーザーダイオードを有する装置が記載され、この場合にダイオードから放出される放射線スペクトルを、燐光を発し、光を変化する有機着色材を加えたプラスチックからなる素子を用いて大きな波長に移動する。この装置から放出される光は、これにより発光ダイオードから放出される光とは別の色を有する。プラスチックに添加される着色材の種類に依存して、同一の発光ダイオードタイプを使用して異なる色で発光する発光ダイオード装置を製造することができる。
【0011】
例えば自動車計器分野の表示素子、飛行機および自動車の照明、フルカラー使用可能のLEDディスプレイおよびディスプレイ素子または背後を照らす部品を有する携帯可能な装置(例えば携帯電話)の場合のような、発光ダイオードの多くの可能な使用分野において、特に場所を節約した発光ダイオード装置に対する要求が高まっている。混合色の光、特に白色光を生じることができる相当するLED構造素子が特に必要である。
【0012】
前記の予め知られた表面に取り付け可能な構造形においては、予め製造したリードフレームに適当なプラスチック材料を注入し、該材料が部品のケーシングを形成することによりまず予め包囲した部品を製造する。この部品は表面に凹所を有し、この凹所に2つの向かい合う面からリードフレーム接続部品が導入され、接続部品上に半導体LEDを貼り付け、導電性に接触する。この凹所に引き続き発光物質を添加した注型材料、一般に透明なエポキシ樹脂を充填する。
【0013】
この公知の表面に取り付け可能な構造形の利点は、プラスチックケーシングにより形成される側壁を傾斜して配置された反射鏡として形成することにより、きわめて方向付けられた放射を達成できることにある。しかしこの種の方向付けられた放射が無条件に必要でないかまたはほかの方法で達成できる適用の場合は、製造方法はかなり費用がかかり、多工程であり、それはケーシングのプラスチックと注型材料が2つの異なる材料から形成され、別々の処理工程で形成しなければならないからである。更に注型材料とケーシングのプラスチックの十分なかつ熱に安定な付着の問題を常に解決しなければならない。実際にこれは特に高い光出力を使用する場合に常に再び問題を生じる。更に2つの部品から形成されるケーシングにより微細化が制限される。
【0014】
前記の放射状構造形の微細化は必要な差し込み取り付けのために同様に強く制限される。更に差し込み取り付けは今日一般に表面取り付けで製造される回路において、別の、表面取り付けに比べて技術的に異なる形式の取り付け工程である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開98/12757号
【特許文献2】国際公開98/54929号
【特許文献3】独国特許第19604492号
【特許文献4】特開平10−093146号
【特許文献5】米国特許第5777433号
【特許文献6】独国公開第3804293号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、特に場所の必要が少ない、表面に取り付け可能な発光ダイオード光源を提供することである。更に少ない数の製造工程で十分であり、使用する温度安定性に関して公知の装置に比べて改良された特性を有する、半導体LEDを基礎とする光源、特に表面に取り付け可能な光源を製造する方法が提示されるべきである。更に特に混合色LED光源、特に白色光源の製造を提示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、リードフレーム上にLEDチップが取り付けられ、リードフレームは一体の透明なプラスチック成形体で取り囲むように形成され、該成形体の少なくとも2個の側面からそれぞれ1つのリードフレーム接続部分が突出している、表面に取り付け可能な発光ダイオード光源において、それぞれのリードフレーム接続部分の透明なプラスチック成形体の内部にチップ取り付け領域から発光ダイオード光源の取り付け面に向かってS型の湾曲部を有することを特徴とする表面に取り付け可能な発光ダイオード光源により解決される。
【0018】
この課題は、また、LEDチップを、チップ取り付け領域内に、リードフレーム上に取り付け、リードフレーム接続部分と導電性に接続し、リードフレーム接続部分半導体LEを取り付ける前または後にS型の湾曲部を備え、半導体LEDを、リードフレームのS型の湾曲部を含めて透明なプラスチック成形材料で取り囲むように形成することを特徴とする発光ダイオード光源の製造方法により解決される。
【0019】
この課題は、さらに、半導体LEDをリードフレーム上に取り付け、透明なプラスチック成形材料を変換物質および場合により他の充填剤と混合し、成形材料を形成し、LEDが光の放射側で成形材料から包囲されるようにリードフレームを成形材料で取り囲むように形成することにより、紫外線領域または青のスペクトル領域で光の放射線が放射することを特徴とする半導体LEDを基礎とする白色光源を製造する方法により解決される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明により製造される白色光源の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
冒頭に記載された形式の表面に取り付け可能な発光ダイオード光源の場合に、本発明によりそれぞれのリードフレーム接続部分は透明なプラスチック成形体の内部にS型の湾曲部を有し、この湾曲部により接続部分はチップ取り付け領域から発光ダイオード光源の取り付け面に案内される。
【0022】
この構造素子においてリードフレーム接続部分はすでにその取り付け面でプラスチックケーシングまたはプラスチック成形体から突出している。従ってリードフレーム接続部分の裏面はすでにプラスチック成形体の裏側の面でプラスチック成形体から突出しており、一方では場所の必要を高め、他方では曲げ処理の間にプラスチック成形体の機械的負荷を生じる湾曲部を外部にもはや有してなくてよい。後者はプラスチック成形体とリードフレームの剥離の不安を有し、これは一般に湿分安定性の低下を生じる。
【0023】
表面に取り付け可能な発光ダイオード光源の有利な構成は請求項2−8の対象である。
【0024】
混合光源、特に白色光源を製造する方法の更なる構成は請求項11−26の対象である。
【0025】
この方法は、特に有利には紫外線または青のスペクトル領域の光の放射線を放射する半導体LEDを基礎とする白色光源の製造に使用され、この方法においてはLEDをリードフレーム上に取り付け、導電性に接触し、透明なプラスチック成形材料を変換物質と混合し、リードフレームを、有利には射出成形法で、成形材料を使用して、LEDが光の放出面で成形材料により包囲されるように形成する。
【0026】
従って本発明の方法は、凹所の形成および2つの異なる材料の使用を省き、その代わりに唯一の透明なプラスチック成形材料の使用を用意し、成形材料をまず変換物質と混合し、引き続きリードフレームを取り囲むように形成、有利には注入する。従って硬化した成形材料を構造素子ケーシングとして、同時に透明な変換物質マトリックスとして用いる。これにより一方では製造方法がかなり簡略化され、それというのも唯一の成形工程、特に射出成形工程で、ケーシングが形成され、変換物質が供給されるからである。更に改良された安定特性を有する構造素子が製造され、それというのも更に異なる熱膨張率を有する2つの材料の付着の問題がもはや生じないからである。
【0027】
貯蔵および加工の際の変換物質の沈積が、特に急速な硬化工程により十分に排除されることにより、狭い範囲の色位置の再現可能な、意図的な調節が達成される。変換物質の品質は、樹脂の供給、混合および配量の際の簡単な配量可能性および摩耗の最小化を有する簡単な処理工程により向上する。
【0028】
ルミネセンス変換素子のための成形材料処理による発光物質と透明な固体樹脂との加工により、製造、貯蔵および変換物質樹脂の加工の際の無機発光物質の沈積挙動が改良される。これにより白色光源のx,yの色位置はわずかに変動し、ルミネセンスダイオードの光の像が改良される。凝集物のない変換物質注型樹脂のためのおよび注型樹脂の貯蔵の際の安定な粘度の調節のための発光物質の手間のかかる分散は注入の形の費用のかかる包装と同様に行われない。本発明の場合は、透明な成形材料を、例えば錠剤としてまたは顆粒として、発光物質と一緒に粉砕し、および場合により濾過することにより互いに混合する。製造および貯蔵の際の発光物質の沈積はこれにより十分に阻止することができる。
【0029】
ケーシングの形および変換物質マトリックスのためになお唯一の成形材料成形体を使用することにより、引き続く微細化の余地が生じる。この付加的な微細化の可能性は移動する電子製品系へのこの白色光源の使用に利用することができる。広い形状の自由度または純粋な側面光の捕捉可能性を有する特別の取り付け状況での側面放射線の強化された利用による高められた光収率は機能性を拡大する。
【0030】
プラスチック成形材料は出発材料として市販されている成形材料であってもよく、例えば主に無水物硬化剤系またはフェノール硬化剤系を有するエポキシクレゾールノボラックまたはエポキシ樹脂系からなる。
【0031】
変換物質は、一般式A12:Mを有する燐の群からの発光物質顔料を有する無機発光物質顔料粉末であってもよく、この顔料はプラスチック成形材料に分散している。特に発光物質顔料としてセリウムをドープしたガーネットの群からの粒子を使用することができ、この場合に特にセリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAl12:Ce)が挙げられる。他の考えられる変換物質は、短波領域で励起可能な相当する金属中心を有する硫化物を基礎とするおよびオキシ硫化物を基礎とするホスト格子、アルミン酸塩、ホウ酸塩等のホスト格子である。有機金属発光物質系も考慮される。
【0032】
発光物質は同様に可溶性および難溶性の有機着色材および発光物質混合物により形成することができる。
【0033】
更に変換物質の付着能力をプラスチック成形材料で改良するために、有利に予め乾燥した変換物質に付着助剤を、有利には液体の形で混合することができる。特に無機発光物質顔料を使用する場合は、付着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランまたはトリアルコキシシランを基礎とする他の誘導体を使用することができる。
【0034】
発光物質の表面を変性するために、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、エーテル基およびアルコール基を有する一官能性および多官能性の極性試薬、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテルを使用することができる。これにより高エネルギー発光物質表面の湿潤能力が改良し、成形材料と加工する際の相容性および分散性が改良する。
【0035】
更にプラスチック成形材料に、変換物質と混合する前に、離型剤または分離剤を混合することができる。この種の離型剤は成形型からの硬化した成形材料の取り出しを容易にする。この種の離型剤としてワックスを基礎とする固体の離型剤または長鎖カルボン酸を有する金属石鹸、特にステアリン酸塩を使用することができる。
【0036】
他の充填剤として、例えば無機充填剤を混合することができ、この充填剤により成形材料の屈折率を高めることができ、これにより白色光源の光収率を高めることができる。この種の充填剤として、例えばTiO,ZrO,α−Al等を使用することができる。
【0037】
有利には変換物質および場合により他の充填剤を、まず大まかに混合し、引き続き混合物をミル内で粉砕することにより混合し、これによりきわめて細かい均一の粉末が得られる。
【0038】
従って混合した成形材料は、以下の成分を含有することができる(表示は質量%):
a)プラスチック成形材料60%以上、
b)変換物質0%より多く、40%以下、
c)付着助剤0%以上で3%以下、
d)離型剤0%以上で2%以下、
e)表面変性剤0%以上で5%以下、
f)酸化安定剤(例えば亜燐酸塩または立体障害フェノールを基礎とする)0%以上で5%以下、
g)紫外線安定剤0%以上で2%以下。
【0039】
有利な構成において、本発明の方法は、表面に取り付け可能な構造素子が製造されるように実施することができる。
【実施例】
【0040】
図面には本発明により製造される白色光源の実施例がリードフレームの縦軸に沿って横断面図で示されている。
【0041】
最初は一体の、連続するリードフレーム10内に2つのリードフレーム接続部分11および12が形成され、該接続部分は公知方法で最初になお狭い結合橋によりつながっているが、一般に多工程のプラスチック注入の経過中に結合橋の分離により互いに離れる。リードフレーム接続部分12上に、その内側の端部上に、完成した半導体LED1が銀導体等のような導電性結合剤で貼り付けられ、半導体LED1のn側またはp側がリードフレーム接続部分12と接続している。向かい合うn導電性またはp導電性の接触面は他のリードフレーム接続部分11の端部とボンディングワイヤ2により接続している。
【0042】
LEDチップ1がチップ取り付け領域16内で取り付けられているリードフレーム10は、透明なプラスチック成形材料3で包囲するように形成され、該成形材料の2つの向かい合う側面からそれぞれ1つのリードフレーム接続部分11,12が突出している。透明なプラスチック成形材料3の内部に、それぞれのリードフレーム接続部分11,12はチップ取り付け領域16から発光ダイオード光源の取り付け面13に向かってS型の湾曲部14,15を有する。有利には、例えば樹脂を基礎とするプラスチック成形材料3が使用され、主に予め反応したエポキシ樹脂、特にエポキシノボラックまたはエポキシクレゾールノボラックからなる。エポキシ樹脂は特にフェノール硬化剤および/または無水物硬化剤と予め反応している。有利にはプラスチック成形材料に離型剤または分離剤が混合されている。離型剤は、例えばワックスを基礎とする固体の離型剤または長鎖カルボン酸を有する金属石鹸、特にステアリン酸塩である。
【0043】
プラスチック成形材料は、屈折率を高めるために、TiO,ZrOまたはα−AlOのような少なくとも1種の無機充填剤が混合されていてもよい。
【0044】
図1による発光ダイオード光源を製造する方法においては、LEDチップ1はチップ取り付け領域16内に、リードフレーム10上に取り付けられ、リードフレーム接続部分11,12と導電性に接続されている。リードフレーム接続部分11,12は半導体LEDチップ1を取り付ける前または後にS型の湾曲部14,15を備えている。半導体LEDチップ1はリードフレーム10のS型の湾曲部14,15を含めて、有利にはプレス法により透明なプラスチック成形材料3で取り囲むように形成される。
【0045】
白色光源の場合は、半導体LED1は、紫外線または青のスペクトル領域にある発光スペクトルを有する。有利には半導体LED1はGaNまたはInGaNを基礎として構成されている。しかしこのLEDは選択的にZnS/ZnSeの材料系またはこのスペクトル領域に適した他の材料系からなっていてもよい。
【0046】
半導体LED1を取り付け、接触した後に、適当なトランスファー成形装置で透明なプラスチック成形材料3をリードフレーム接続部分11,12に注入する。このプラスチック成形材料3に、半導体LED1から放射される光の放射線の少なくとも部分的な波長の変換を生じる変換物質からなる発光物質粒子4が組み込まれている。この波長の変換により、白色光源の光学的印象を引き起こす発光スペクトルが生じる。リードフレーム10の予めの製造およびプラスチック成形材料3、場合により発光物質粒子4および場合により他の充填剤からなる成形材料による注入を、リードフレーム部分11および12が水平方向に成形材料から突出し、ろう接接続面11Aおよび12Aが、一般に導体板上の構造素子の載置面である注型材料の裏面13と実質的に同じ平面に存在するように実施する。このためにリードフレーム接続部分11および12は注入する前にすでに最終的な形に湾曲している。該接続部分は、チップ接続領域16から取り付け面(裏面13およびろう接接続面11Aおよび12Aから形成される)に向かって、すでにプラスチック成形材料で取り囲むように形成する前に、S型の湾曲部14,15を有し、プラスチック成形体の製造後に構造素子に曲げ応力をもはや使用しない。これは、特に小さい容積のプラスチックケーシングを有するきわめて微細化された構造素子の場合に特に有利であり、それというのもこの場合に、まさに、例えば曲げ応力により引き起こされる成形材料とリードフレームの間の剥離が生じ、製造した構造素子の気密の封止が達成されないというきわめて大きな不安が存在するからである。
【0047】
製造した構造素子は、有利には導体板(白金)上に、平坦な水平の接続面11Aおよび12Aに、リフロー法でろう接することができる。これによりSMT(Surface Mounting Technology、表面取り付け技術)の取り付けに適した構造素子が製造される。
【0048】
プラスチック成形材料3、発光物質粒子4および場合により他の充填剤により形成される成形材料の製造は、本発明の基本的な要素である。
【0049】
プラスチック成形材料の出発物質として、有利には全部の塩素含量が1500ppm未満である、エポキシクレゾールノボラックおよびフェノール硬化剤からなる、予め反応した、貯蔵安定性かつ放射線安定性の、透明な成形材料を使用する。有利にはこの成形材料は、内部離型剤または分離剤を含有し、これによりトランスファー成形型からの硬化した成形材料の取り出しが容易になる。しかしこの種の内部離型剤の存在は必ずしも必要ではない。従って、例えば以下の市販されているニットーおよびスミトモの成形材料を使用することができる:
ニットーNT600(内部離型剤を有せず)
ニットーNT300H−10000(内部離型剤を有する)
ニットーNT300S−10000(内部離型剤を有する)
ニットーNT360−10000(内部離型剤を有する)
スミトモEME700L(内部離型剤を有せず)。
【0050】
これらの成形材料は、標準的に棒または錠剤の形で供給される。
【0051】
変換物質として、すでに記載した刊行物国際公開97/50132号および国際公開98/12757号に記載されるすべての発光物質を使用することができる。更に相当する短波領域で励起可能な金属中心を有する硫化物およびオキシ硫化物を基礎とするホスト格子およびアルミン酸塩、ホウ酸塩等のホスト格子または有機金属発光物質系を使用することができる。更に変換物質として可溶性および難溶性の有機着色材および発光物質の混合物を使用することができる。特に発光物質として、一般式A12:Mを有する燐の群からの発光物質顔料を有する無機発光物質顔料粉末を使用することができ、この場合に、特にセリウムをドープしたガーネットの群が挙げられる。特に発光物質顔料YAG:Ceからなる粒子が特別の変換効率により優れている。この変換物質はオスラム社の製品番号L175として知られている。この変換物質を使用して成形材料と混合する試験を実施し、その際内部離型剤を有するニットーNT−300H−10000の種類の成形材料を使用した。試験の前処理として変換物質L175を200℃で約8時間予め乾燥した。その後ジエチレングリコールモノメチルエーテルの名称の表面変性剤を、液体の形で、予め乾燥した変換物質に混合した(成形材料の質量に対して0.1質量%)。この混合物をガラス容器中で気密に閉鎖し、夜通し放置した。処理の直前に変換物質を前記の種類の成形材料に混合した。その前に成形材料はミル(例えばボールミル)内で粉末の形に粉砕されていた。混合比は変換物質/DEGME混合物20質量%およびニットーNT300H−10000 80質量%であった。撹拌による混合物の大まかな混合の後に、混合物を新たにミル(例えばボールミル)内で完全に混合し、粉砕し、これによりきわめて細かい粉末が形成された。
【0052】
その後この成形材料を使用して、FICO ブリリアント100の種類の装置で注入試験を実施した。すでに相当して予め製造したリードフレーム10を、注入の前に150℃に予熱し、注入の際に以下の混合パラメーターを調節した。
工具温度:150℃
注入時間:22.4秒
注入圧力:73−82バール(特に調節した材料の量に依存する)
硬化時間:120秒
結果として、気泡および空洞のないことにより際立った、きわめて均一の、硬化した成形材料を得ることができた。混合する前のきわめて細かい粉末への成形材料の粉砕が、粗粒の残留材料粉末を使用する場合より、気泡および空洞のないことに関してよりよい結果を生じることが一般に確認された。
【0053】
付加的に、例えばヒュルス(Huels)社の製品番号A−187の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのような付着助剤をなお使用することができる。この付着助剤は乾燥工程の直後に発光物質に3質量%までの濃度で添加することができ、夜通し室温で発光物質と混合することができる。
【0054】
本発明の方法は、SMD(Surface mounted design 表面に取り付けられる構成の)構造形により説明したが、いわゆる放射状ダイオードにおいても同様に実現できる。
【0055】
本発明の方法は、同様に横方向に、すなわち白金平面に対して平行な主要放射方向で放射されるLED構造素子の製造に使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 LEDチップ、 2 ボンディングワイヤ、 3 プラスチック成形材料、 4 変換物質、 10 リードフレーム、 11、12 リードフレーム接続部分、 13 取り付け面、 14、15 湾曲部、 16 チップ取り付け領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレーム(10)上にLEDチップ(1)が取り付けられ、リードフレーム(10)は一体の透明なプラスチック成形体(3)で取り囲むように形成され、該成形体の少なくとも2個の側面からそれぞれ1つのリードフレーム接続部分(11,12)が突出している、
表面に取り付け可能な発光ダイオード光源において、
それぞれのリードフレーム接続部分(11,12)の透明なプラスチック成形体(3)の内部にチップ取り付け領域(16)から発光ダイオード光源の取り付け面(13)に向かってS型の湾曲部(14,15)を有する
ことを特徴とする表面に取り付け可能な発光ダイオード光源。
【請求項2】
LEDチップ(1)を、チップ取り付け領域(16)内に、リードフレーム(10)上に取り付け、リードフレーム接続部分(11,12)と導電性に接続し、リードフレーム接続部分(11,12)に半導体LED(1)を取り付ける前または後にS型の湾曲部(14.15)を備え、半導体LED(1)を、リードフレーム(10)のS型の湾曲部(14,15)を含めて透明なプラスチック成形材料(3)で取り囲むように形成する
ことを特徴とする発光ダイオード光源の製造方法。
【請求項3】
半導体LED(1)をリードフレーム(10)上に取り付け、透明なプラスチック成形材料(3)を変換物質(4)および場合により他の充填剤と混合し、成形材料を形成し、LED(1)が光の放射側で成形材料から包囲されるようにリードフレーム(10)を成形材料で取り囲むように形成することにより、紫外線領域または青のスペクトル領域で光の放射線が放射する
ことを特徴とする半導体LED(1)を基礎とする白色光源を製造する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−9902(P2012−9902A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223818(P2011−223818)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2001−550820(P2001−550820)の分割
【原出願日】平成12年12月28日(2000.12.28)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】