説明

表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子、その製造方法および該多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料

【課題】 本発明は、表面平滑性に優れた多孔質シリカ系粒子並びにその製造方法、および該多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料に関するものである。
【解決手段】 平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子であって、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子、その製造方法および該多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面平滑性に優れた多孔質シリカ系粒子並びにその製造方法、および該多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔質シリカ系粒子を製造する方法としては、数多くの方法が知られており、その代表的なものとしては、(1)スプレイドライヤーを用いてシリカゾルなどを噴霧乾燥する方法や(2)エマルジョン法を用いてシリカ系粒子を調製する方法などがある。
例えば、特許文献1には、平均粒子径250nm以下の一次粒子(シリカ系微粒子)を含むコロイド液を、スプレイドライヤーを用いて噴霧乾燥することにより平均粒子径1〜20μmの多孔質シリカ系粒子を調製する噴霧乾燥法が開示されている。
さらに、例えば、特許文献2には、ソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤を含む有機溶媒中に水ガラス(珪酸ナトリウム)を加えて乳化し、これを中和することにより平均粒子径0.1〜5000μmの多孔質シリカ系粒子を調製するエマルジョン法が開示されている。
しかし、これらの特許文献中には、本発明でいうような表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子を製造する方法については、何ら記載されていないばかりか、示唆すらもされていない。
【0003】
また、化粧料に感触改良材として球状の多孔質シリカ系粒子などを配合することも、一般的に知られている。
例えば、特許文献3には、化粧料に多孔質シリカ系粒子を配合することによって、すべりがよく、かつ滑らかな使用感を有する粉末固形化粧料を得る方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、屈折率が1.3〜1.8の範囲にある球状の多孔質シリカ系粒子などを化粧料に配合すると、使用時の伸び広がりと化粧膜の均一性が向上することなどが開示されている。
しかし、これらの特許文献中には、本発明でいうような表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料については、何ら記載されていないばかりか、示唆すらもされていない。
【0004】
一方、非特許文献1には、市販のシリカ系粒子の表面に付着しているナノサイズ粒子などの異物を、超音波洗浄法を用いて取り除くことにより、該粒子の表面平滑性を向上させることが開示されている。さらに、このようにして得られたシリカ系粒子は、ファンデーションなどの化粧料の用途に適していることが記載されている。
しかしながら、この超音波洗浄による手法を用いてもなお、前記シリカ系粒子の表面からナノサイズ粒子などの異物を完全に取り除くことができず、また多孔質シリカ系粒子においては、超音波による衝撃により、シリカ粒子自体が崩壊し易いため、真球率の高い粒子を得ることができないという欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−270201号
【特許文献2】特開昭62−2306097号
【特許文献3】特開2005−60283号
【特許文献4】特開2006−248971号
【非特許文献1】Toshiyuki KANI, Tokyo University of Agriculture and Technology 2007, Page 45-64
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記のような問題を解決することを目的として鋭意研究を重ねた結果、上記の噴霧乾燥法やエマルジョン法などから得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、一定条件下で撹拌処理すれば、該粒子の表面からナノサイズ粒子などの異物をほゞ完全に取り除くことができ、さらにこれを湿式分級操作にかければ、所望の平均粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子およびその製造方法を提供することを目的とするものである。さらに、本発明は、このような特性を備えた多孔質シリカ系粒子を感触改良材として配合してなる化粧料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子であって、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えたものであることを特徴としている。
前記多孔質シリカ系粒子は、その断面を100000倍の透過型電子顕微鏡で撮った写真(TEM写真)より、該粒子の粒界における外接円と内接円との差を測定し、その値を表面粗さ値としたとき、該粒子の表面粗さ値が20nm以下であることが好ましい。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子の非真球率は、5%以下であることが好ましい。
【0009】
前記多孔質シリカ系粒子の吸油量は、20〜300ml/100gの範囲にあることが好ましい。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子の細孔容積は、0.05〜3.0ml/gの範囲にあることが好ましい。
また、前記多孔質シリカ系粒子の粒子変動係数(CV値)は、5〜50%の範囲にあることが好ましい。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子のシリカ純度(SiO2含有量)は、96重量%以上であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る多孔質シリカ系粒子の製造方法は、粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の製造方法であって、
(a)シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することにより、主として0.1〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、該水中に含まれる前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が−15mV〜−70mVの範囲となるようなpH条件下で撹拌処理することにより、粒子表面に付着した異物を取り除いた多孔質シリカ系粒子の分散液を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去することにより、主として0.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液または沈殿物を分離・除去することにより、主として0.5〜30μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた分散液を濾過して固形分を分離することにより、多孔質シリカ系粒子のケーキ状物質を得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られたケーキ状物質を乾燥して解砕することにより、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程
に処することを特徴としている。
【0011】
前記工程(b)において前記多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を含むスラリーのpHは、5〜10の範囲にあることが好ましい。
また、前記工程(b)において前記水中に含まれる多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が、−20mV〜−60mVの範囲にあることが好ましい。
さらに、前記工程(b)における撹拌操作を、10〜5000rpmの撹拌速度で3分間以上行うことが好ましい。
【0012】
前記工程(c)にて使用される湿式分級装置は、遠心分離機、液体サイクロンまたは水簸(自然沈降装置)であることが好ましい。
さらに、前記工程(d)にて使用される湿式分級装置は、遠心分離機、液体サイクロンまたは水簸(自然沈降装置)であることが好ましい。
また、前記工程(f)における乾燥操作は、室温〜200℃の温度で1〜24時間、行うことが好ましい。
また、前記工程(f)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体は、さらに200〜800℃の温度で1〜24時間、焼成することが好ましい。
【0013】
本発明に係る化粧料は、上記の表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子を配合してなることを特徴としている。
また、前記化粧料は、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料またはサンスクーン化粧料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、多孔質でありながら、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた、平均粒子径0.5〜30μmの球状シリカ系粒子である。さらに、この多孔質シリカ系粒子の主な特性を述べれば、以下の通りである。
(1)本発明で定義する粒子の表面粗さ値が20nm以下である。
(2)粒子の非真球率が5%以下である。(すなわち、粒子の真球率が95%を超えている。)
(3)粒子の吸油量が20〜300ml/100gの範囲にある。
(4)粒子の細孔容積が0.05〜3.0ml/gの範囲にある。
(5)粒子の粒子変動係数(CV値)が5〜50%の範囲にある。
(6)粒子のシリカ純度(SiO2含有量)が96重量%以上である。
【0015】
また、本発明に係る多孔質シリカ系粒子の製造方法によれば、上記のような特性を備えた多孔質シリカ系粒子を特別な設備(例えば、超音波洗浄装置)を必要とすることなく、簡単かつ容易に製造することができる。
【0016】
さらに、前記多孔質シリカ系粒子は、上記の如く真球率が高く、しかも粒度分布もシャープであることから、粒子同士の摩擦抵抗が格段に低くなっているので、化粧料に配合して好適に使用することができる。すなわち、化粧料の感触改良材に求められる代表的な感触特性としての、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性などを兼ね備えているので、従来のシリカ系粒子には見られないバランスのとれた効果を化粧料に付与することできる。
また、本発明に係る前記シリカ系粒子は、多孔質であるため、皮膚の脂取り効果なども十分に期待できる。さらに、シリカ系粒子独特のシャリシャリ感も低減されているので、化粧料の感触改良材としての適用範囲が大幅に広がることが予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る多孔質シリカ系粒子およびその製造方法について具体的に説明する。
[多孔質シリカ系粒子]
本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、平均粒子径が0.5〜30μm、好ましくは2〜10μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子であって、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えたものである。
ここで、前記粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、粒子粉体に触ったときの感触において、球状粉体としての転がり感が感じられないばかりでなく、延び広がり感の悪さを感じるようになり、また30μmを超えると、粒子粉体に触ったときの感触において、ざらつき感やシャリシャリ感を感じるようになるので、好ましくない。
【0018】
また、本発明において「粒子表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性」とは、図4に示すように、前記多孔質シリカ系粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない状態にあることをいう。この場合、粒子表面に極小微粒子(図4においては、白色の点として観測される。)などが一部、付着した多孔質シリカ粒子であっても、SEM写真で捉えた平面1μm2当たりに存在する該極小微粒子が5個以下であれば、この範囲に含まれるものとする。
さらに、図11に示すように、前記多孔質シリカ系粒子の断面を100000倍の透過型電子顕微鏡で撮った写真(TEM写真)より、該粒子の粒界における外接円と内接円との差を測定し、その値を表面粗さ値としたとき、該粒子の表面粗さ値が20nm以下のものをいうこともある。
なお、前記表面粗さ値は、以下に示す方法で測定された平均値で、20nm以下、好ましくは15nm以下、さらに好ましくは10nm以下であることが望ましい。ここで、前記表面粗さ値が20nmを超えると、粒子が転がる際の粒子同士の摩擦抵抗が大きくなるので、好ましくない。
【0019】
また、本発明に係わる多孔質シリカ系粒子は、SEM写真を用いて、任意の100個以上の粒子中に含まれる「異物が観測される粒子(すなわち、前記極小微粒子が6個/μm2以上観測される粒子)」の個数を目視で数えて、これに該当する個数から次式を用いて算出される表面平滑性度が、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。
表面平滑度(%)=(総粒子数−異物が観察される粒子数)/総粒子数x100
ここで、表面平滑度が70%未満であると、粒子が転がる際の粒子同士の摩擦抵抗が大きくなるので、化粧料の感触改良材に求められる代表的な感触特性としての、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性の良さがいずれも低下し、特にシリカ系粒子独特のシャリシャリ感が強調される結果となるので、好ましくない。
【0020】
前記多孔質シリカ系粒子の非真球率は、5%以下、好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下であることが望ましい。ここで、前記非真球率が5%を超えると、化粧料の感触改良材に求められる代表的な感触特性としての、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性の良さがいずれも著しく低下し、さらに、シリカ系粒子独特のシャリシャリ感が強調される結果となるので、好ましくない。
なお、本発明において「非真球率」とは、真球またはそれに近い形状でない粒子の割合をいい、さらに付言すれば、粒子同士が結合したり、あるいは何らかの理由で粒子が崩壊したものなどの割合をいう。
【0021】
前記多孔質シリカ系粒子の吸油量は、20〜300ml/100g、好ましくは60〜230ml/100gの範囲にあることが望ましい。ここで、前記吸油量が20ml/100g未満であると、皮膚の脂取り効果が得られなくなるため、化粧料への配合材としては必ずしも実用的でなくなり、また前記吸油量が300ml/100gを超えると、皮膚の脂取り効果が高すぎて、肌をヒリヒリさせたり、あるいは粒子自体の多孔性が高いことから粒子強度が低いため、肌上に塗布した際に粒子が崩壊し易くなり、結果として転がり感の持続性が著しく低下してしまうので、好ましくない。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子の細孔容積は、0.05〜3.0ml/g、好ましくは0.3〜1.9ml/gの範囲にあることが望ましい。ここで、前記細孔容積が0.05ml/g未満であると、粒子自体の多孔性が低いことから、粒子内部の細孔での吸油性が低下することとなり、また粒子自体が比較的重いことから、粒子粉体に触ったときの感触として、さらさら感、転がり感、均一な延び広がり性、転がり感の持続性が低下する結果となり、また前記細孔容積が3.0ml/gを超えると、粒子自体の多孔性が高いことから粒子強度が低いため、肌上に塗布した際に粒子が崩壊し易くなり、結果として転がり感の持続性が著しく低下してしまうので、好ましくない。
【0022】
また、前記多孔質シリカ系粒子の粒子変動係数(CV値)は、5〜50%、好ましくは10〜30%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記粒子変動係数が50%を超えると、必然的に粒子同士がランダムな転がりを起こすようになり、結果として化粧料の感触改良材に求められる上記の感触特性を満足させることができなくなるので、好ましくない。なお、本発明においては、前記粒子変動係数が5%未満のものも使用可能であるが、このような多孔質シリカ系粒子を調製するためには多くの費用がかかり、これに見合う格別の効果も期待できないので、該変動係数の下限値を5%とする。
【0023】
さらに、前記多孔質シリカ系粒子の純度(SiO2含有量)は、96重量%以上、好ましくは99%重量以上であることが望ましい。ここで、前記純度が96重量%未満であると、化粧品原料基準において無水ケイ酸に要求される純度を満たさなくなるため、これを化粧品材料として使用することは難しくなる。なお、以下に示す噴霧乾燥法から得られる多孔質シリカ系粒子の場合は、有機成分を有する原料などを使用する必要がないので、該粒子中に前記有機成分に由来する炭素などが含まれることもない。たとえ、有機成分を有する原料(例えば、有機溶媒)を使用する場合でも、前記多孔質シリカ系粒子の炭素含有量(C含有量)は、1000重量ppm未満、好ましくは100重量ppm未満であることが望ましい。ここで、前記炭素含有量が1000重量ppm以上であると、前記有機成分の変質に由来すると考えられる着色や、異臭を生じることがあるため、これを化粧品材料として使用することは難しくなる。
【0024】
[多孔質シリカ系粒子の製造方法]
次に、本発明に係わる多孔質シリカ系粒子の製造方法について具体的に説明する。しかし、本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、これらの製造方法から得られるシリカ系粒子に限定されるものではない。
【0025】
本発明に係る多孔質シリカ系粒子の製造方法は、粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の製造方法であって、
(a)シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することにより、主として0.1〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、該水中に含まれる前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が−15mV〜−70mVの範囲となるようなpH条件下で撹拌処理することにより、粒子表面に付着した異物を取り除いた多孔質シリカ系粒子の分散液を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去することにより、主として0.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液を分離・除去することにより、主として0.5〜30μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた分散液を濾過して固形分を分離することにより、多孔質シリカ系粒子のケーキ状物質を得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られたケーキ状物質を乾燥して解砕することにより、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程
に処するものである。
次に、前記の各工程ごとに説明すれば、以下の通りである。
【0026】
工程(a
この工程では、先にも述べたように、シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することにより、0.1〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を調製する。
前記シリカ系微粒子分散液としては、従来公知の方法で製造された市販品を利用することができる。しかし、本発明においては、平均粒子径が0.005〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.1μmの球状シリカ系微粒子または非球状シリカ系微粒子を水中に分散させてなるシリカゾルなどを使用することが望ましい。
なお、本発明では、前記平均粒子径が0.005μm未満のシリカ系微粒子を含むものであっても十分に使用可能であるが、以下に記載する測定方法では、0.005μm未満の平均粒子径を測定することが困難であるので、ここでは前記平均粒子径の下限値を0.005μmと規定する。また、前記平均粒子径が0.5μmを超えると、粒子同士のバインダー力が低下することによって、得られるシリカ系粒子の粒子強度が低下してしまうので、好ましくない。
【0027】
このようなシリカ系微粒子分散液としては、例えば、平均粒子径が約0.005μmのシリカ系微粒子を含むシリカゾル(触媒化成工業(株)製、Cataloid SI-550)、平均粒子径が約0.015μmのシリカ系微粒子を含むシリカゾル(触媒化成工業(株)製、Cataloid S-20L)、平均粒子径が約0.012μmのヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、AEROSIL 200)を含む分散液などが挙げられる。なお、前記分散液は、水分散液であることが望ましいが、場合によっては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類を含んでいてもよい。
さらに、前記酸性珪酸水溶液としては、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリ(Naイオンの除去等)したものを使用することができる。ここで、前記珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。
【0028】
この中でも、pHが2〜6、好ましくは2〜3の範囲にあり、珪素成分の含有量がSiO2換算基準で0.5〜10重量%、好ましくは3〜4重量%の範囲にある珪酸液の水溶液を使用することが好ましい。ここで、前記pHが2未満であると、陽イオン交換に要する処理時間が必要以上に長くなって経済的でなくなり、また前記pHが6を超えると、脱アルカリの度合いが低いため、得られる珪酸液の安定性が悪くなるので、好ましくない。さらに、前記含有量が0.5重量%未満であると、経済的に前記無機酸化物微粒子を得ることが難しくなり、また前記含有量が10重量%を超えると、珪酸液の安定性が悪くなるので、好ましくない。
このような性状を有する珪酸液の水溶液としては、水ガラス(珪酸ナトリウム)を水で希釈した後、陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリしたものを使用することが好ましい。
【0029】
さらに、本発明においては、前記シリカ系微粒子分散液と前記酸性珪酸水溶液との混合水溶液を使用することができる。
このように、本発明においては、前記シリカ系微粒子分散液、前記酸性珪酸水溶液、あるいはこれらの混合物から選択して使用することができるが、多くの細孔または空隙を含む多孔質シリカ系粒子を調製するためには、前記シリカ系微粒子分散液のみ、あるいは少なくとも前記シリカ系微粒子分散液を含むものを使用することが望ましい。しかし、前記酸性珪酸水溶液は、前記シリカ系微粒子の粒子間のバインダー成分としても機能するので、圧縮強度に優れた多孔質シリカ系粒子を製造する必要がある場合には、この酸性珪酸水溶液を前記シリカ系微粒子分散液に適量、混合して使用することが望ましい。一方、前記酸性珪酸水溶液のみを使用すると、得られるシリカ系粒子の多孔性が低くなってしまうので、これのみを使用することは好ましくない。
【0030】
また、この工程における噴霧乾燥は、市販のスプレイドライヤー(ディスク回転式やノズル式等がある。)を用いた従来公知の方法で行うことができる。
すなわち、この噴霧乾燥は、前記シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液からなるシリカ成分含有分散液(以下、単に「分散液」という)を、例えば、熱風気流中に1〜3リットル/分の速度で噴霧することによって行われる。この際、前記熱風の温度は、入り口温度が70〜400℃、好ましくは100〜300℃の範囲にあることが望ましく、出口温度が40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、前記入口温度が70℃未満であると、前記分散液中に含まれる固形分の乾燥が不充分となり、また400℃を超えると、噴霧乾燥時に粒子の形状が歪んでしまうので、好ましくない。また、前記出口温度が40℃未満であると、前記固形分の乾燥度合いが悪くて装置内に付着するので、好ましくない。
【0031】
また、前記分散液は、前記固形分濃度が1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%となるように予め調整した後、これをスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することが好ましい。ここで、前記固形分濃度が1重量%未満であると経済的でなくなり、また前記固形分濃度が50重量%を超えると、スラリー粘度が上昇して、噴霧乾燥品の形状が歪んでしまうので、好ましくない。
なお、前記酸性珪酸水溶液を含む前記分散液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥する場合には、該酸性珪酸水溶液中に含まれる珪素化合物は脱水・縮重合されて、シリカ成分となる。よって、得られる多孔質シリカ系粒子中においては、前記酸性珪酸水溶液中に含まれる珪素化合物の脱水・縮重合物として存在する。
【0032】
このようにして得られる前記多孔質シリカ系粒子は、概ね0.1〜50μmの粒子径のものとして得られる。
また、このように噴霧乾燥して得られる前記多孔質シリカ系粒子は、概ね球状またはほゞ球状からなる形状を有しているが、該粒子の噴霧乾燥工程で発生した、ナノサイズ粒子などの小粒子その他が、最終製品となる多孔質シリカ系粒子の表面に付着した状態にある。すなわち、前記小粒子などは、該多孔質シリカ系粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、図2に示すように、その表面に付着した異物として観察される。また、このように、小粒子などが多孔質シリカ系粒子の表面に付着しているのは、粒子間同士に働く静電気力であると考えられる。
【0033】
工程(b
この工程では、前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、該水中に含まれる前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が−15mV〜−70mVの範囲となるようなpH条件下で撹拌処理することにより、粒子表面に付着した異物を取り除いた多孔質シリカ系粒子の分散液を調製する。
前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に撹拌下で分散させると、該粒子とその粒子表面に付着した小粒子間に働く静電気力が消失し、その代わりに該粒子の表面に存在するシラノール基が解離して粒子表面に電気二重層が形成されるため、粒子同士の電気的な反発力によって、前記小粒子は、前記多孔質シリカ系粒子の粒子表面から離脱することが考えられる。
【0034】
しかし、前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が高いと、電気二重層による反発力が十分に働かないことから、該粒子のゼーター電位は−15mV〜−70mV、好ましくは−20〜−60mV、さらに好ましくは−25〜−55mVとすることが望まれる。
なお、前記ゼーター電位が−15mVを超えていても、機械的な撹拌操作によって前記小粒子が前記多孔質シリカ系粒子の表面から一時的に離脱する場合もあるが、この粒子自体が不安的であることから時間と共に、前記多孔質シリカ系粒子の表面に前記小粒子が再付着してしまうことになるので、好ましくない。なお、このように再付着した小粒子は、後段の湿式分級工程に供しても、多孔質シリカ系粒子の表面から取り除くことは難しい。また、前記ゼーター電位が−70mV未満のものをアルカリの添加量を増して得ようとしても、他の金属成分などを含ませない限り、これ以下のものを得ることは難しい。
【0035】
このようなゼーター電位を前記多孔質シリカ系粒子に付与させるためには、前記水中のpHを5〜10、好ましくは7〜9にすることが望ましい。ここで、前記pHが5未満であると、前記粒子の表面から解離するシラノール基の量が少ないことから、十分なゼーター電位を保つことができなくなり、また前記pHが10を超えると、前記多孔質シリカ系粒子の表面が溶解し始めたり、あるいは該粒子の表面に存在するシラノール基と前記小粒子の表面に存在するシラノール基が縮重合反応を起こして、粒子同士が固着してしまうことがあるので、好ましくない。また、所望のシリカ純度(SiO2含有量)を保持できなくなることもある。
また、前記多孔質シリカ系粒子に分散させる水としては、イオン交換水や蒸留水などの純水をそのまま使用することができるが、前記のゼーター電位を高めるためには、アンモニアやアンモニア水などを該純水に適量、添加したものを使用することが好ましい。なお、前記多孔質シリカ系粒子を純水中に入れて分散させた時のpHは、該粒子の性状によっても異なるが、概ね3〜8の範囲となることが多い。この場合、酸性珪酸水溶液を含有するシリカ系微粒子分散液を用いて調製された多孔質シリカ系粒子を含む分散液は、pHが酸性になる傾向にある。
【0036】
また、前記の攪拌処理は、10〜5000rpm、好ましくは100〜1000rpmの撹拌速度で3分間以上、好ましくは0.5〜24時間、行うことが望ましい。
ここで、前記撹拌速度が10rpm未満であると、前記小粒子やその他の付着物を前記多孔質シリカ粒子の表面から取り除くことが困難となり、また前記撹拌速度が5000rpmを超えると、粒子同士が衝突して一部の粒子が崩壊することもあるので、好ましくない。また、前記撹拌時間が3分間未満であると、前記小粒子やその他の付着物を前記多孔質シリカ粒子の表面から取り除くことが困難となるので、好ましくない。しかし、この撹拌を24時間程度行えば、殆どの付着物は取り除くことができるので、これ以上の時間をかけて撹拌することは得策でない。
【0037】
工程(c
この工程では、前記工程(b)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去することにより、主として0.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を調製する。
前記湿式分級装置としては、市販の一般的な装置を使用することができ、例えば、遠心分離機、液体サイクロン、水簸(自然沈降装置)などが挙げられる。この中でも、工業的な用途に用いるためは、遠心分離機または液体サイクロンから選択して使用することが好ましい。
【0038】
なお、前記湿式分級装置の操作は、最終製品として取得すべき多孔質シリカ系粒子において所望する平均粒子径などによっても異なるが、1〜10000G、好ましくは10〜1000Gの遠心力で、1〜200分間、好ましくは2〜30分間、行うことが望ましい。
また、この工程で、0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去する理由は、取得すべき多孔質シリカ系粒子の平均粒子径を0.5μm以上とすることにある。これは、該多孔質シリカ系粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、粒子粉体に触ったときの感触において、球状粉体としての転がり感が感じられないばかりでなく、延び広がり感の悪さを感じるようになるためである。
【0039】
工程(d
この工程では、前記工程(c)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液を分離・除去することにより、主として0.5〜30μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を調製する。
前記湿式分級装置としては、前記工程(c)の場合と同様に、遠心分離機、液体サイクロン、水簸(自然沈降装置)が挙げられるが、この中でも遠心分離機または液体サイクロンを使用することが好ましい。
【0040】
なお、前記湿式分級装置の操作は、最終製品として取得すべき多孔質シリカ系粒子において所望する平均粒子径などによっても異なるが、1〜100G、好ましくは2〜50Gの遠心力で、0.1〜100分間、好ましくは0.4〜30分間、行うことが望ましい。
また、この工程で、30μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液を分離・除去する理由は、取得すべき多孔質シリカ系粒子の平均粒子径を30μm以下とすることにある。これは、該多孔質シリカ系粒子の平均粒子径が30μmを超えると、粒子粉体に触ったときの感触として、ざらつき感やシャリシャリ感を感じるようになるためである。
【0041】
以上、多孔質シリカ系粒子の湿式分級法について説明してきたが、本発明においては、これらの操作順序を逆転させて、多孔質シリカ系粒子を湿式分級してもよいことは勿論である。すなわち、本発明においては、まず前記工程(d)において、30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を分離・除去した後、前記工程(c)において、0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を分離・除去してもよい。
【0042】
工程(e
この工程では、前記工程(d)で得られた分散液を濾過して固形分を分離することにより、多孔質シリカ系粒子のケーキ状物質を調製する。
前記濾過装置としては、例えば、ブフーナ漏斗、フィルタープレス、水平ベルトフィルター、シンクロフィルター、プリコートフィルター、ドラムフィルター、ベルトフィルター、トレイフィルター、遠心分離機などの市販の装置を用いて従来公知の方法で行うことができる。
さらに、前記ケーキ状物質は、後段の工程に供する前に、イオン交換水や蒸留水などの純水を用いて、十分に洗浄しておくことが好ましい。
【0043】
工程(f
この工程では、前記工程(e)で得られたケーキ状物質を乾燥して解砕することにより、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を調製する。
前記ケーキ状物質の乾燥操作は、常圧または減圧にて、室温〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度で1〜24時間、好ましくは2〜12時間、行うことが好ましい。ここで、前記乾燥温度が室温未満であると、前記ケーキ状物質を十分に乾燥することができず、また前記乾燥温度が200℃以下でも十分に乾燥効果が得られるので、該粒子の乾燥粉体を得るためには、経済的な観点からこの温度を超える必要はない。また、前記乾燥時間が1時間未満であると、前記ケーキ状物質を十分に乾燥することができない場合があり、また前記乾燥時間が24時間以下でも十分に乾燥することができるので、該粒子の乾燥粉体を得るためには、経済的な観点からこの時間を超える必要はない。
【0044】
前記工程(f)から得られる多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体は、圧縮強度が0.1〜50kgf/mm2の範囲にある。
従って、高い圧縮強度が要求される用途に、この多孔質シリカ系粒子を使用する場合には、前記多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を焼成する必要がある。すなわち、前記工程(f)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を、200〜800℃の温度で、1〜24時間、焼成することが望まれる。ここで、前記焼成温度が200℃未満では、多孔質シリカ系粒子を構成する一次粒子同士のシロキサン結合が十分でないため、圧縮強度の向上が期待できず、また前記焼成温度が800℃を超えると、粒子の焼結により粒子内の細孔が消失して、所望の多孔性を保持できなくなり、さらには結晶性のシリカ(クオーツ等)が生成することがあるので、好ましくない。また、前記焼成時間が1時間未満では、多孔質シリカ系粒子を構成する一次粒子同士のシロキサン結合が十分でないため、圧縮強度の向上が期待できず、また前記焼成時間が24時間を超えても、格別の効果が得られないので、経済的であるとは云えない。
このようにして、前記多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体に焼成処理を施すと、圧縮強度が0.5〜100kgf/mm2の範囲にある多孔質シリカ系粒子が得られる。
よって、その用途に応じ、上記の多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体および焼成粉体から適宜、選択して使用することができる。
【0045】
従来、前記工程(a)から得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体やこれを焼成した焼成粉体は、サイクロン方式やセパレーター方式などの乾式分級装置に供して処理することが多かった。しかし、この乾式分級法を用いると、粒度分布が整った所望のCV値を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体や焼成粉体を得ることができるが、該粒子の表面に付着している小粒子などを完全に取り除くことができないばかりでなく、乾式分級操作中に粒子同士が衝突、あるいは乾式分級装置の側壁に衝突して崩壊(特に、乾燥粉体の場合は顕著である。)したり、さらには摩擦により粒子表面が磨耗したりして、該粒子の表面平滑性が大幅に悪化してしまうことがあった。
【0046】
本発明者らは、これらの乾式分級品を、本発明に係る前記工程(b)で処理し、さらに前記工程(c)および(d)で処理してみたが、図5(倍率3000倍)および図6(倍率10000倍)の電子顕微鏡写真(SEM写真)に示すように、粒子の表面に生じた凹凸(付着物と表面摩耗などによって生じたもの)は修復できないことが分かった。よって、表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子を製造するためには、乾式分級装置を用いてはならないことを知った。
また、前記乾式分級装置で処理したものでなくても、200℃以上の温度で加熱処理した焼成品については、該粒子の表面に付着している小粒子などの異物を取り除くことが困難であることが分かった。
【0047】
以上、本発明の明細書においては、スプレイドライヤーを用いて噴霧乾燥して得られた多孔質シリカ系粒子の処理方法について説明を行ったが、エマルジョン法から得られた多孔質シリカ系粒子を、本発明に係る前記工程(b)〜(f)(さらに必要ならば、焼成工程を含む。)で処理してもよいことは勿論である。すなわち、このような方法から得られた、平均粒子径0.5〜30μmの表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子も、本発明の範囲に含むものである。
なお、上記で得られた多孔質シリカ系粒子については、さらに必要に応じて該粒子に摩耗や崩壊などのダメージを与えない範囲で超音波処理を施してもよいが、その必要性は殆どないものと考えられる。
【0048】
[化粧料]
以下に、本発明に係る化粧料について具体的に説明するが、これらの化粧料に必ずしも限定されるものではない。
本発明に係る化粧料は、前記多孔質シリカ系粒子と、以下に述べる各種化粧料成分とを配合して得られるものである。
【0049】
本発明化粧料への前記多孔質シリカ系粒子の配合量は、調製すべき化粧料の種類や配合すべき化粧料成分等によっても異なるが、前記化粧料に対し0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、前記配合量が1重量%未満では、感触改良効果が得られ難いため実用的でなくなり、また前記配合量が30重量%を超えると、化粧持ちが悪くなるので、好ましくない。
【0050】
前記の各種化粧料成分としては、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン、合成及び植物性スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコン油等のシリコーン油、シリコーン系およびまたは他の有機化合物にて架橋させたシリコーンゲル、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系をはじめとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性又は未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエン等の溶剤、各種粒子径、粒子径分布および形状を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、およびそれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などが挙げられる。
ここで、前記の酸化チタンや酸化亜鉛等の無機化合物は、その表面に予めシリコン処理、フッ素処理、金属石鹸処理などを施したものを用いてもよい。
【0051】
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
さらに、美白効果を有する有効成分として、アルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ−パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸などを含ませることができる。
【0052】
また、肌荒れ改善効果を有する有効成分として、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N−アセチルグルコサミン、α−ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール及びその誘導体、ε−アミノ化プロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類などを含ませることができる。
さらに、本発明においては、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Eleventh Edition 2006)等に収載されている化粧料成分を特に制限なく使用することができる。
【0053】
本発明による化粧料は、従来公知の一般的な方法で製造することができる。
このような方法で製造された化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、クリーム状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用され、さらに具体的に述べれば、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用、ボディパウダー等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ−ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。
【0054】
[測定方法]
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)多孔質シリカ系粒子の平均粒子径
多孔質シリカ系粒子の粉体を40重量%のグリセリン含有水溶液に分散させてなるスラリー液(固形分濃度0.1〜5質量%)を調製し、これを超音波発生装置(iuch社製、US-2型)にかけて5分間、分散処理を施す。次いで、前記グリセリン水溶液を加えて濃度を調節した分散液より試料を取り、これをガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に入れて、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA−700)を用いて平均粒子径を測定する。
【0055】
(2)シリカ系微粒子の平均粒子径
NaOH滴定法にてシリカ系微粒子の比表面積S(m2/g)を測定し、以下の式にて平均粒子径を算出する。
S=[4π(D/2)2×(10-92]/[(4π×(D/2)3/3×(無定形シリカ真比重)×(10-73)]
より、
D=6000/(S×2.2)
上記の式で、Dは平均粒子径(nm)、Sは比表面積(m2/g)を表す。また、無定形シリカの真比重は2.2g/cm3とする。
【0056】
(3)多孔質シリカ系粒子の表面平滑度
多孔質シリカ系粒子の粉体に、真空蒸着装置(JEOL社製、JFC−1200)を用いて、真空度8Paで40秒間、金蒸着処理を施した試料を作成する。次いで、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、この試料を加速電圧15kVの条件下で、10,000倍のSEM写真を撮影する。さらに、任意の100個以上の粒子について、この粒子表面に付着した極小微粒子等の異物の有無を目視で観察し、粒子表面に異物の付着が認められない粒子、すなわちSEM写真で捉えた平面1μm2当たりに6個以上の極小微粒子などが付着していない表面平滑性を備えた粒子の比率を次式から算出する。
表面平滑度(%)=(総粒子数−異物が観察される粒子数)/総粒子数x100
【0057】
(4)多孔質シリカ系粒子の表面粗さ値
多孔質シリカ系粒子の粉体0.1gをエポキシ樹脂約1g(BUEHLHER製EPO-KWICK)に均一に混合して常温で硬化させた後、FIB加工装置(日立製作所製、FB-2100)を用いてGaイオンのスパッタリングにて、20μmエリアの断面加工を行い、厚み100〜200nmの切片の試料を調製する。次いで、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、HF-2200)を用いて、この試料を加速電圧200kVの条件下で、倍率100000倍のTEM写真を撮影する。さらに、任意の顕微鏡写真10枚について粒子界面の外接円と内接円の差を計測し、その平均値を表面粗さ値とする。
【0058】
(5)多孔質シリカ系粒子の非真球率
前記(3)と同様に、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、倍率1000〜3000倍のSEM写真を撮影する。さらに、任意の100個以上の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、この比率が5%以上である非球状粒子(歪な形状の粒子を含む)の個数、および粒子同士が凝集した凝集粒子の個数を計測し、これより非真球率を算出する。
【0059】
(6)多孔質シリカ系粒子の変動係数(CV値)
前記(3)と同様に、走査型電子顕微鏡(JEOL社製:JSM−5600)を用いて、倍率1000〜3000倍のSEM写真を撮影する。さらに、任意の2000個以上の粒子画像について、画像解析装置(旭化成社製、IP−1000)を用いて、平均粒子径を測定し、粒子径分布に関する変動係数(CV値)を算出する。具体的には、粒子2000個について、それぞれの粒子径を測定し、その値から平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、下記の式から変動係数(CV値)を算出する。
変動係数(CV値)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100
【0060】
(7)多孔質シリカ系粒子の比表面積
多孔質シリカ系粒子の粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m2/g)をBET法にて測定する。
【0061】
(8)多孔質シリカ系粒子の細孔容積
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、105℃の温度で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次いで、よく洗浄したセルに1g試料を取り、窒素吸着装置(触媒化成工業社製)を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出する。
細孔容積(ml/g)=(0.001567×(V−Vc)/w)
上記の式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(ml)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(ml)、Wは試料の重量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比を0.001567とする。
【0062】
(9)多孔質シリカ系粒子の吸油量
多孔質シリカ系粒子の粉体1.5gを薬包紙に採取し、ガラス測定板に移す。次に、煮あまに油(JIS K 5101に規定するもの)をビュレットから1回に4、5滴ずつ試料に滴下し、全体をヘラで練り合わせる。この滴下と練り合わせを繰り返し、螺旋形を巻く状態となったときを終点とし、以下の式にて吸油量を算出する。
吸油量(ml/100g)=(A/W)×100
上記の式で、Aは煮あまに油の滴下量(ml)、Wは試料の採取量(g)を表す。
【0063】
(10)多孔質シリカ系粒子の圧縮強度
多孔質シリカ系粒子の粉体より、平均粒子径±0.5μmの範囲にある粒子1個を試料として取り、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCTM−200)を用いて、この試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、粒子が破壊した時点の加重値を圧縮強度(kgf/mm2)とする。さらに、この操作を4回繰り返し、5個の試料について圧縮強度を測定し、その平均値を粒子圧縮強度とする。
【0064】
(11)多孔質シリカ系粒子分散液のpH
噴霧乾燥して得られた多孔質シリカ系粒子を分散させた分散液またはこれにアンモニアなどを添加してpHを調整した分散液を、25℃の恒温槽中で30分以上攪拌した後、pH4、7および9の標準液で更正が完了したpHメータ(堀場製作所製、F22)のガラス電極を挿入して測定する。
【0065】
(12)多孔質シリカ系粒子の乾燥減量率および強熱減量率
多孔質シリカ系粒子の粉体1gを105℃の温度で2時間、乾燥して、その際、減じられる重量と乾燥前の重量(1g)から乾燥減量率(%)を求める。また、前記多孔質シリカ系粒子の粉体1gを850℃の温度で30分間焼成して、その際、減じられる重量と焼成前の重量(1g)から強熱減量率(%)を求める。
なお、本発明に係る多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体は、前記乾燥減量率が2重量%以上であり、かつ前記強熱減量率が5重量%以上であることが望まれる。すなわち、前記乾燥減量率が2重量%未満であったり、または前記強熱減量率が5重量%未満であったりする場合には、該多孔質シリカ系粒子の表面に付着している小粒子などを取り除くことが難しくなる事実を掴んだので、本発明においては、これらの数値を指標とする。
【0066】
(13)多孔質シリカ系粒子のシリカ純度
多孔質シリカ系粒子の粉体を850℃で30分間加熱し、その0.8gを精密に量り、塩酸20mlを加えて、砂浴上で蒸発乾固し、さらに残留物を塩酸で潤して蒸発乾固した後、110〜120℃で2時間加熱する。次いで、室温まで冷却した試料に、希塩酸5mlを加えて加熱した後、室温に放冷し、熱湯20〜25mlを加えて速やかにろ過し、洗液が塩化物の反応を呈しなくなるまで温湯で洗浄する。次に、残留物をろ紙と共に白金るつぼに入れて、灰化するまで強熱し、さらに30分間強熱してから、室温まで冷却して、その重量をはかり、シリカ純度(SiO2含有量)を算出する。
【0067】
(14)ゼーター電位の試験方法
噴霧乾燥して得られた多孔質シリカ系粒子を分散させた分散液またはこれにアンモニアなどを添加してpHを調整した分散液を、超音波方式のゼーター電位測定装置(Dispersion Technology Inc.製、DT-1200)に供して、該試料中に分散させた粒子のゼーター電位を計測する。
【0068】
(15)多孔質シリカ系粒子の感触特性
多孔質シリカ系粒子の粉体について、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性、およびシリカ系粒子独特のシャリシャリ感の低さの7つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。次いで、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づき多孔質シリカ系粒子の感触に関する評価を行う。
【0069】
評価点基準(a
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
評価基準(b)
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
【0070】
(16)パウダーファンデーションの使用感
多孔質シリカ系粒子の粉体を配合したパウダーファンデーションについて、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、1)肌への塗布中の均一な延び、しっとり感、滑らかさ、および2)肌に塗布後の化粧膜の均一性、しっとり感、やわらかさの6つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。次いで、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づきファンデーションの使用感に関する評価を行う。
【0071】
評価点基準(a
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
評価基準(b
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
【実施例】
【0072】
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]
工程(a)
平均粒子径15nmのシリカ系微粒子を含むシリカゾル(触媒化成工業(株)製、Cataloid S-20L、SiO2含有量20重量%)をスプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供して、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件下で噴霧乾燥を行い、平均粒子径5μmの多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1Aを得た。
このようにして得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1Aについて、平均粒子径、粒子変動係数、乾燥減量率および強熱減量率を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
さらに、前記多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1Aについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を倍率3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。この時、撮られた電子顕微鏡写真(SEM写真)を、図1(倍率3000倍)および図2(倍率10000倍)に示す。
【0074】
工程(b)
前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1A240gに純水2160ccを加え、さらにこれにアンモニア水を加えてpH8とした後、300rpmの回転速度で2時間攪拌して、固形分濃度10重量%の分散液(1)を調製した。この分散液(1)中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−35mVであった。
【0075】
工程(c)
前記工程(b)で得られた分散液(1)を、700ccの遠心缶4つにそれぞれ600gづつ採取し、遠心分離機(日立工機社製、CF7D2、ローター:RT3S3)を用いて、主として2.5μm以上の粒子径を有する粒子が沈降するように、室温にて500rpmの回転速度(48.6Gの遠心加速度に相当する)で370秒間(6.2分間)、遠心分離操作を行った。次いで、主として2.5μm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、分離・除去した。次に、得られた沈殿物(一部の沈殿液を含む)に、アンモニア水を添加してpH8とした純水を加えて600ccとした後、2時間攪拌した。
さらに、再度、500rpmの回転速度(48.6Gの遠心加速度に相当する)で370秒間(6.2分間)、遠心分離操作を行った。次いで、主として2.5μm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、分離・除去した。次に、沈降液(または沈殿物)に純水を加えて600ccとした後、1時間攪拌して、主として2.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液(2)を得た。
【0076】
工程(d)
前記工程(c)で得られた分散液(2)を、遠心分離機(日立工機社製、CF7D2、ローター:RT3S3)を用いて、主として10μmを超えた粒子径を有する粒子が沈降するように、室温にて300rpmの回転速度(17.5Gの遠心加速度に相当する)で64秒間(1.1分間)、遠心分離操作を行った。次いで、主として2.5〜10μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を静かに抜き取り、主として10〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈殿液(または沈殿物)を分離・除去した。これにより、主として2.5〜10μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液(3)を得た。
【0077】
工程(e)
前記工程(d)で得られた分散液(3)を、ブフナー漏斗(関谷理化硝子器械(株)製3.2L)を用いて定量濾紙(アドバンテック東洋(株)製No.5C)で濾過した後、純水で繰り返し洗浄して、ケーキ状物質を得た。
【0078】
工程(f)
前記工程(e)で得られたケーキ状物質を、110℃の温度で5時間乾燥した。次いで、この乾燥粉体をジューサーミキサー(日立製作所(株)製)にかけて凝集物を解砕して、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2A(以下、「実施例乾燥粉体2A」という)を得た。
このようにして得られた実施例乾燥粉体2Aについて、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
さらに、この実施例乾燥粉体2Aについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。また、実施例乾燥粉体2Aについて、炭素硫黄分析装置(HORIBA社製:EMIA−320V)を使用して、炭素含有量を測定したところ、検出限界(100ppm)以下であった。
【0079】
焼成工程
前記工程(f)で得られた実施例乾燥粉体2Aを、450℃の温度で3時間焼成した。これにより、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3A(以下、「実施例焼成粉体3A」という)を得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体3Aについて、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率を上記の測定方法でそれぞれ測定した。その結果を表4に示す。
【0080】
さらに、この実施例焼成粉体3Aについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。この時、撮られた電子顕微鏡写真(SEM写真)を、図3(倍率3000倍)および図4(倍率10000倍)に示す。
また、前記多孔質シリカ系粒子の焼成粉体の断面を100000倍の透過型電子顕微鏡で観察したところ、該粒子の粒界に小粒子などの異物は殆ど観察されなかった。さらに、この時、撮られた電子顕微鏡写真(TEM写真)を用いて、該粒子の外接円と内接円との差で規定される表面粗さ値を求めたところ、10nm以下であった。この電子顕微鏡写真(TEM写真)を図11に示す。
【0081】
[実施例2〜5]
実施例1で使用したシリカゾルの代わりに、表1に示す触媒化成工業(株)製や日本アエロジル(株)製のシリカ系微粒子を含むシリカ系微粒子分散液を用いると共に、必要に応じて一部の噴霧乾燥条件を変更して、実施例1の場合と同様に、これらのシリカゾルを噴霧乾燥して、表1に示す多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1B〜1Eを得た。
次いで、表2に示す条件下で、実施例1の工程(b)〜(f)の操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2B〜2E(以下、「実施例乾燥粉体2B〜2E」という)を得た。
【0082】
このようにして得られた実施例乾燥粉体2B〜2Eについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
さらに、この実施例乾燥粉体2B〜2Eについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
【0083】
次に、得られた実施例乾燥粉体2B〜2Eを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3B〜3E(以下、「実施例焼成粉体3B〜3E」という)を得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体3B〜3Eについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表4に示す。
さらに、この実施例焼成粉体3B〜3Eについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
【0084】
[実施例6〜7]
実施例5で使用したシリカ系微粒子(SiO2含有量100重量%)を含むシリカ系微粒子分散液と、酸性珪酸水溶液(SiO2換算基準でシリカ成分を5重量%を含む)をそれぞれ表1に示す重量比で混合し、さらに1時間攪拌して得られた混合分散液を、スプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供して、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件下で噴霧乾燥を行い、表1に示す多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1F〜1Gを得た。
次いで、実施例1の場合と同様な条件下で、実施例1に示す工程(b)〜(f)の操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2F〜2G(以下、「実施例乾燥粉体2F〜2G」という)を得た。
【0085】
このようにして得られた実施例乾燥粉体2F〜2Gについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
さらに、この実施例乾燥粉体2F〜2Gについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
【0086】
次に、得られた実施例乾燥粉体2F〜2Gを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3F〜3G(以下、「実施例焼成粉体3F〜3G」という)を得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体3F〜3Gについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表4に示す。
さらに、この実施例焼成粉体3F〜3Gについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍 率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
なお、以下の表1〜表4には、比較を容易にするため、実施例1で得られた測定結果並びに操作条件も併せて記載する。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
[実施例8〜10および比較例1〜5]
実施例7の工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1G240gに純水2160ccを加えると共に、表5に示す性状の分散液を調製した。さらに、表5に示す条件下で攪拌処理して、固形分濃度10重量%の分散液(1)を調製した。
なお、前記分散液のpH調整に際しては、NH3濃度を適宜調整したアンモニア水を用いて行った。
次いで、実施例1の場合と同様な条件下で、実施例1に示す工程(c)〜(f)の操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2H〜2J(以下、「実施例乾燥粉体2H〜2J」という)および多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2a〜2e(以下、「比較例乾燥粉体2a〜2e」という)を得た。
【0092】
このようにして得られた実施例乾燥粉体2H〜2Jおよび比較例乾燥粉体2a〜2eについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表6に示す。
さらに、この実施例乾燥粉体2H〜2Jについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
一方、前記比較例乾燥粉体2a〜2eについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。
【0093】
次に、得られた実施例乾燥粉体2H〜2Jおよび比較例乾燥粉体2a〜2eを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3H〜3J(以下、「実施例焼成粉体3H〜3J」という)および多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3a〜3e(以下、「比較例焼成粉体3a〜3e」という)を得た。
このようにして得られた実施例焼成粉体3H〜3Jおよび比較例焼成粉体3a〜3eについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表7に示す。
さらに、この実施例焼成粉体3H〜3Jについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍 率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
一方、前記比較例焼成粉体3a〜3eについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。
【0094】
【表5】

【0095】
【表6】

【0096】
【表7】

【0097】
[比較例6]
実施例1の工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体1Aを、セパレータ方式の乾式分級装置(ホソカワミクロン(株)製、TTSP)を用いて、15μmを超えた粒子径の粒子が分離されるような条件下で乾式分級を行い、多孔質シリカ系粒子の乾式分級乾燥粉体(以下、「比較例乾燥粉体1f」を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体1fについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表8に示す。
次いで、この比較例焼成粉体1f240gに純水2160ccを加え、さらにこれにアンモニア水を加えてpH8とした後、140rpmの回転速度で1時間攪拌して、固形分濃度10重量%の分散液を調製した。この分散液中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−35mVであった。
【0098】
次に、この分散液を、実施例1に示す工程(c)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2f(以下、「比較例乾燥粉体2f」という)を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2fについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
さらに、この比較例乾燥粉体2fについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。
【0099】
次に、得られた比較例乾燥粉体2fを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3f(以下、「比較例焼成粉体3f」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3fについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
【0100】
さらに、この比較例焼成粉体3fについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。また、10000倍の倍率で撮った写真では、粒子表面に小粒子以外の付着物(衝突や摩耗などによって粒子表面に生じた異物の付着物)が認められた。この時、撮られた電子顕微鏡写真(SEM写真)を、図5(倍率3000倍)および図6(倍率10000倍)に示す。
また、前記多孔質シリカ系粒子の焼成粉体の断面を100000倍の透過型電子顕微鏡で観察したところ、該粒子の粒界に小粒子などの異物が観察された。さらに、この時、撮られた電子顕微鏡写真(TEM写真)を用いて、該粒子の外接円と内接円との差で規定される表面粗さ値を求めたところ、130nmであった。この電子顕微鏡写真(TEM写真)を図12に示す。
【0101】
[比較例7]
市販の多孔質シリカ系粒子の焼成粉体1h(触媒化成工業(株)製、シリカマイクロビード P-1500)について、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表8に示す。
次いで、この比較例焼成粉体1h240gに純水2160ccを加え、さらにこれにアンモニア水を加えてpH8とした後、140rpmの回転速度で1時間攪拌して、固形分濃度10重量%の分散液を調製した。この分散液中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−35mVであった。
次に、この分散液を、実施例1に示す工程(c)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、事前に焼成された多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2h(以下、「比較例乾燥粉体2h」という)を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2hについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
【0102】
次に、得られた比較例乾燥粉体2hを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3h(以下、「比較例焼成粉体3h」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3hについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
さらに、この比較例焼成粉体3hについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、比較例6で得られた比較例焼成粉体3fと同様に、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。また、10000倍の倍率で撮った写真では、小粒子以外の付着物(衝突や摩耗などによって粒子表面に生じた異物の付着物)が認められた。この時、撮られた電子顕微鏡写真(SEM写真)を、図7(倍率3000倍)および図8(倍率10000倍)に示す。
【0103】
[比較例8]
比較例7で使用した、市販の多孔質シリカ系粒子の焼成粉体1h(触媒化成工業(株)製、シリカマイクロビード P-1500)240gに純水2160ccを加えた後、これを超音波洗浄装置(SND社製、US-3、38kHz)に供して10分間処理し、該粉体の分散と表面洗浄を行って、固形分濃度10重量%の分散液を調製した。この分散液中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−33mVであった。(なお、前記洗浄処理は、超音波洗浄装置の処理容量が少なすぎたため、6回に別けて行った。)
次いで、この分散液を、実施例1に示す工程(c)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行った。ただし、実施例1の場合とは異なり、この操作を6回、繰り返して行った。
次に、得られた沈殿物(一部の沈殿液を含む)に純水を加えて600ccとした後、1時間攪拌した。
さらに、実施例1に示す工程(d)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、事前に焼成された多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2i(以下、「比較例乾燥粉体2i」という)を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2iについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
【0104】
次に、得られた比較例乾燥粉体2iを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3i(以下、「比較例焼成粉体3i」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3iについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
さらに、この比較例焼成粉体3iについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、比較例6で得られた比較例焼成粉体3fほどではないが、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が観察された。さらに、球状粒子が割れて生じた非球状粒子が一部、観測された。また、10000倍の倍率で撮った写真では、粒子表面に小粒子以外の付着物が認められた。この時、撮られた電子顕微鏡写真(SEM写真)を、図9(倍率3000倍)および図10(倍率10000倍)に示す。
【0105】
[比較例9]
比較例6で得られた、多孔質シリカ系粒子の乾式分級乾燥粉体、すなわち比較例乾燥粉体1f240gに純水2160ccを加えた後、これを6つに分割して、それぞれを超音波洗浄装置(SND社製、US-3、38kHz)に供して10分間処理し、該粉体の分散と表面洗浄を行って、固形分濃度10重量%の分散液を調製した。この分散液中に含まれる粒子のゼーター電位を測定したところ、−33mVであった。(なお、前記洗浄処理は、超音波洗浄装置の処理容量が少なすぎたため、6回に別けて行った。)
次いで、この分散液を、比較例8に示す工程(c)〜(f)に供して、比較例8の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2j(以下、「比較例乾燥粉体2j」という)を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2jについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
【0106】
次に、得られた比較例乾燥粉体2jを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3j(以下、「比較例焼成粉体3j」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3jについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
さらに、この比較例焼成粉体3jについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物は観察されなかったが、球状粒子が割れて生じた非球状粒子が数多く観測された。
【0107】
[比較例10]
実施例4の工程(c)で分離・除去された、主として0.5μm以下の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を、実施例1に示す工程(e)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2k(以下、「比較例乾燥粉体2k」という)を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2kについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
さらに、この比較例乾燥粉体2kについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
【0108】
次に、得られた比較例乾燥粉体2kを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3k(以下、「比較例焼成粉体3k」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3kについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
さらに、この比較例焼成粉体3kについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。しかし、得られた比較例焼成粉体2kの平均粒子径は、0.3μmであった。
なお、この比較例焼成粉体2kは、以下に記載する比較例に使用するために、調製されたものである。
【0109】
[比較例11]
実施例3の工程(d)で分離・除去された、主として30μm以上の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈殿物(一部の沈降液を含む)を、実施例1に示す工程(e)〜(f)に供して、実施例1の場合と同様な条件下で操作を行い、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体2n(以下、「比較例乾燥粉体2n」という)を得た。
このようにして得られた比較例乾燥粉体2nについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表9に示す。
さらに、この比較例乾燥粉体2nについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。
【0110】
次に、得られた比較例乾燥粉体2nを、実施例1の場合と同じ条件下で焼成して、多孔質シリカ系粒子の焼成粉体3n(以下、「比較例焼成粉体3n」という)を得た。
このようにして得られた比較例焼成粉体3nについて、実施例1の場合と同様に、平均粒子径、粒子変動係数、表面平滑度、表面粗さ、非真球率、比表面積、吸油量、細孔容積、圧縮強度、シリカ純度、乾燥減量率および強熱減量率をそれぞれ測定した。その結果を表10に示す。
さらに、この比較例焼成粉体3nについて、走査型電子顕微鏡を用いて、粒子表面の状態を3,000倍と10,000倍の倍率で観察したところ、いずれの倍率においても粒子表面に小粒子などの異物が殆ど観察されなかった。しかし、得られた比較例焼成粉体2nの平均粒子径は、34μmであった。
なお、この比較例焼成粉体2nは、以下に記載する比較例に使用するために、調製されたものである。
【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

【0113】
【表10】

【0114】
[実施例11および比較例12]
前記焼成粉体の官能テスト
実施例1〜10で得られた実施例焼成粉体3A〜3Jおよび比較例1〜11で得られた比較例焼成粉体3a〜3n(ただし、3g、3lおよび3mは欠番)を用いて、これらの粉体の感触を上記の試験法で評価した。その結果を表11に示す。
その結果、前記実施例焼成粉体は、化粧料の感触改良材として極めて優れているが、前記比較例焼成粉体は、該感触改良材して適していないことが分かった。
【0115】
【表11】

【0116】
[実施例12および比較例13]
パウダーファンデーションの調製
表12に示す配合比率(重量%)となるように、実施例1〜10で得られた実施例焼成粉体3A〜3Jおよび比較例1〜11で得られた比較例焼成粉体3a〜3n(ただし、3g、3lおよび3mは欠番)の成分(1)および(2)〜(9)をそれぞれミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、下記化粧料成分(10)〜(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
これにより、実施例焼成粉体3A〜3Jを配合した実施例化粧料A〜J、および比較例焼成粉体比較例焼成粉体3a〜3n(ただし、3g、3lおよび3mは欠番)を配合した比較例化粧料a〜nを得た。
【0117】
【表12】

【0118】
次いで、このようにして得られた実施例化粧料A〜J、および比較例化粧料a〜nの使用感(塗布中の感触と塗布後の感触)について、上記の試験法で評価した。その結果を表13に示す。
その結果、前記実施例化粧料は、その使用感が塗布中および塗布後においても非常に優れていることが分かった。しかし、前記比較例化粧料は、その使用感がよくないことが分かった。
【0119】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、実施例1の工程(a)(すなわち、噴霧乾燥工程)から得られた多孔質シリカ系粒子を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率3000倍の写真(SEM写真)である。
【図2】図2は、実施例1の工程(a)(すなわち、噴霧乾燥工程)から得られた多孔質シリカ系粒子を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率10000倍の写真(SEM写真)である。
【図3】図3は、実施例1の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率3000倍の写真(SEM写真)である。
【図4】図4は、実施例1の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率10000倍の写真(SEM写真)である。
【0121】
【図5】図5は、比較例6の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(乾式分級品を加工したもの)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率3000倍の写真(SEM写真)である。
【図6】図6は、比較例6の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(乾式分級品を加工したもの)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率10000倍の写真(SEM写真)である。
【図7】図7は、比較例7の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(市販品を加工したもの)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率3000倍の写真(SEM写真)である。
【図8】図8は、比較例7の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(市販品を加工したもの)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率10000倍の写真(SEM写真)である。
【0122】
【図9】図9は、比較例8の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(超音波洗浄装置を用いて焼成品を加工したもの)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率3000倍の写真(SEM写真)である。
【図10】図10は、比較例8の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(市販品を超音波洗浄装置を用いて加工したもの)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率10000倍の写真(SEM写真)である。
【図11】図11は、実施例1の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子を、透過型電子顕微鏡で撮った倍率100000倍の写真(TEM写真)である。
【図12】図12は、比較例6の焼成工程から得られた多孔質シリカ系粒子(乾式分級品を加工したもの)を、透過型電子顕微鏡で撮った倍率100000倍の写真(TEM写真)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子であって、該粒子の全体表面を10000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子。
【請求項2】
前記多孔質シリカ系粒子の断面を100000倍の透過型電子顕微鏡で撮った写真(TEM写真)より、該粒子の粒界における外接円と内接円との差を測定し、その値を表面粗さ値としたとき、該粒子の表面粗さ値が20nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ系粒子。
【請求項3】
前記多孔質シリカ系粒子の非真球率が、5%以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子。
【請求項4】
前記多孔質シリカ系粒子の吸油量が、20〜300ml/100gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子。
【請求項5】
前記多孔質シリカ系粒子の細孔容積が、0.05〜3.0ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子。
【請求項6】
前記多孔質シリカ系粒子の粒子変動係数(CV値)が、5〜50%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子。
【請求項7】
前記多孔質シリカ系粒子のシリカ純度(SiO2含有量)が、96重量%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子。
【請求項8】
粒子の全体表面を10,000倍の走査型電子顕微鏡で撮った写真(SEM写真)にて観察したとき、その表面に異物の付着が殆ど認められない程度の表面平滑性を備えた、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の製造方法であって、
(a)シリカ系微粒子分散液、または該シリカ系微粒子分散液と酸性珪酸水溶液との混合水溶液をスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することにより、主として0.1〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を水中に入れて、該水中に含まれる前記多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が−15mV〜−70mVの範囲となるようなpH条件下で撹拌処理することにより、粒子表面に付着した異物を取り除いた多孔質シリカ系粒子の分散液を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも0.5μm未満の粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む上澄み液を分離・除去することにより、主として0.5〜50μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた分散液を湿式分級装置に供して、少なくとも30μmを超えた粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む沈降液または沈殿物を分離・除去することにより、主として0.5〜30μmの粒子径を有する多孔質シリカ系粒子を含む分散液を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた分散液を濾過して固形分を分離することにより、多孔質シリカ系粒子のケーキ状物質を得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られたケーキ状物質を乾燥して解砕することにより、平均粒子径が0.5〜30μmの範囲にある多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る工程
に処することを特徴とする多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項9】
前記工程(b)において前記多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を含むスラリーのpHが、5〜10の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項10】
前記工程(b)において前記水中に含まれる多孔質シリカ系粒子のゼーター電位が、−20mV〜−60mVの範囲にあることを特徴とする請求項8〜9に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項11】
前記工程(b)における撹拌操作を、10〜5000rpmの撹拌速度で3分間以上行うことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項12】
前記工程(c)にて使用される湿式分級装置が、遠心分離機、液体サイクロンまたは水簸(自然沈降装置)であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項13】
前記工程(d)にて使用される湿式分級装置が、遠心分離機、液体サイクロンまたは水簸(自然沈降装置)であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項14】
前記工程(f)における乾燥操作を、室温〜200℃の温度で1〜24時間、行うことを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項15】
前記工程(f)で得られた多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を、さらに200〜800℃の温度で1〜24時間、焼成することを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれかに記載の表面平滑性を備えた多孔質シリカ系粒子を配合してなる化粧料。
【請求項17】
前記化粧料が、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料またはサンスクーン化粧料であることを特徴とする請求項16に記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−137806(P2009−137806A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317754(P2007−317754)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】