説明

表面形状転写樹脂シートの製造方法

【課題】転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できると共に製造効率の良い表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供する。
【解決手段】この発明の製造方法は、樹脂をダイ8から連続的に押し出して連続樹脂シート2を得る押出工程と、連続樹脂シート2を第一押圧ロール11と第二押圧ロール12とで挟み込む第一押圧工程と、第一押圧工程の後に連続樹脂シート2を第二押圧ロール12に密着させた状態で搬送する搬送工程と、搬送工程の後に連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13とで挟み込む第二押圧工程とを含み、第二押圧ロール12及び第三押圧ロール13のうちの少なくともいずれか一方の押圧ロールは、その表面に転写型を備え、第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力で連続樹脂シート2を挟み込むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂シートの表面に凹凸形状を高い転写率で転写形成することのできる表面形状転写樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に凹凸形状を有する樹脂シートの製造方法としては、樹脂を押出機のダイから押し出して得られる連続樹脂シートに押圧ロールの表面の転写型の形状を転写する方法が公知である(特許文献1、2参照)。即ち、ダイから連続的に押し出された連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとの間に挟み込んだ後、第二押圧ロールに密着させた状態で搬送し、次いで第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に挟み込む。ここで、特許文献1では第二押圧ロールの表面に転写型が設けられており、第一押圧ロールと第二押圧ロールとの間に挟み込んだ際に連続樹脂シートの表面に転写型の凹凸形状が転写され、一方特許文献2では第三押圧ロールの表面に転写型が設けられており、第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に挟み込んだ際に連続樹脂シートの表面に転写型の凹凸形状が転写され、このようにして表面形状転写樹脂シートが製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−11328号公報(段落0007、図1、図2等)
【特許文献2】特開2009−220555号公報(請求項1、図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の製造方法では、各押圧ロールを単に所定位置に保持するのに必要な程度の作動油圧圧力の制御を行いながら転写を行っていたから、例えば
1)転写型の形状が微細な場合
2)転写型の凹溝のピッチ間隔に対する凹溝の深さの比が大きい場合
3)連続樹脂シートの両面に凹凸形状を転写する場合
のうちの少なくとも1つの条件に該当すると、樹脂シートの表面に凹凸形状を高い転写率で転写することは困難であった。このように十分に高い転写率が得られない場合には、得られた表面形状転写樹脂シートを例えば光拡散板等の光学シートとして用いる場合には所望の優れた光学性能が得られ難いという問題があった。
【0005】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できると共に製造効率の良い表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを得る押し出し工程と、
前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程と、
前記第一押圧工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させた状態で搬送する搬送工程と、
前記搬送工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールと第三押圧ロールとで挟み込む第二押圧工程とを含み、
前記第二押圧ロール及び前記第三押圧ロールのうちの少なくともいずれか一方の押圧ロールは、その表面に転写型を備え、
前記第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力で前記連続樹脂シートを挟み込むことを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0008】
[2]前記第三押圧ロールの表面に前記転写型を備える前項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0009】
[3]前記第二押圧ロールの表面及び前記第三押圧ロールの表面に前記転写型を備える前項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0010】
[4]前記転写型は複数の凹溝を備え、前記凹溝のピッチ間隔(P)に対する前記凹溝の深さ(D)の比(D/P)が1.0以上である前項1〜3のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0011】
[5]前記第一押圧ロールと前記第二押圧ロールの相互離間間隔を、前記第二押圧ロールと前記第三押圧ロールの相互離間間隔よりも大きく設定することにより、前記第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を得る前項1〜4のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0012】
[6]前記樹脂として結晶性樹脂を用いる前項1〜5のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【0013】
[7]前記結晶性樹脂がプロピレン樹脂である前項6に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明では、連続樹脂シートを第二押圧ロールと第三押圧ロールとで挟み込む第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力で挟み込むから、第二押圧ロール及び/又は第三押圧ロールの表面に設けられた転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できると共に、製造効率も良好である。
【0015】
[2]の発明では、第三押圧ロールの表面に転写型が設けられているから、押圧ロールの表面の転写型の凹凸形状をより高い転写率で転写できる。
【0016】
[3]の発明では、第二押圧ロールの表面及び第三押圧ロールの表面の両方に転写型を備えており、この場合従来では転写型の凹凸形状を高い転写率で転写することは困難であったが、本製造方法によれば、このような構成においても転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できる。
【0017】
[4]の発明では、転写型の凹凸形状がD/P≧1.0の関係式が成立する深い形状を備えたものであるが、このような場合においても転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できる。
【0018】
[5]の発明では、第一押圧ロールと第二押圧ロールの相互離間間隔を、第二押圧ロールと第三押圧ロールの相互離間間隔よりも大きく設定することにより、第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を得るものであり、特段の構成を設けることによって5MPa以上のロール間押圧圧力を得るものではないから、コストの増大を伴うことなく良好な製造効率で表面形状転写樹脂シートを製造できる。
【0019】
[6]の発明では、樹脂として結晶性樹脂を用いるから、転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できる。
【0020】
[7]の発明では、結晶性樹脂がプロピレン樹脂であるから、転写型の凹凸形状をより高い転写率で転写できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の製造方法で用いる製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】第二押圧ロールの表面の転写型の拡大断面図(ロールの回転中心軸を含む平面で切断した断面図)である。
【図3】第三押圧ロールの表面の転写型の拡大断面図(ロールの回転中心軸を含む平面で切断した断面図)である。
【図4】この発明の製造方法で製造された表面形状転写樹脂シートの一実施形態を示す断面図(図1におけるV−V線の断面図)である。
【図5】この発明の製造方法で用いる製造装置の他の例を示す概略図である。
【図6】(a)(b)いずれも転写型の変形例を示す拡大断面図(ロールの回転中心軸を含む平面で切断した断面図)である。
【図7】この発明の製造方法で製造された表面形状転写樹脂シートの他の実施形態を示す断面図(図5におけるW−W線の断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明に係る表面形状転写樹脂シート1の製造方法について図面を参照しつつ説明する。図1に本製造方法で用いる製造装置の一例を示す。この製造装置は、ダイ8を備えた押出機7と、該押出機7の押出方向の前方位置において上下に並んで配置された第一押圧ロール11、第二押圧ロール12、第三押圧ロール13とを備える。前記第一押圧ロール11の直下位置に前記第二押圧ロール12が配置され、該第二押圧ロール12の直下位置に前記第三押圧ロール13が配置されている。前記第一押圧ロール11の外周面は鏡面に形成されている。前記第二押圧ロール12の外周面には複数の凹溝22aが形成されている、即ち前記第二押圧ロール12は、その表面に転写型22を備えている。また、前記第三押圧ロール13の外周面にも複数の凹溝23aが形成されている、即ち前記第三押圧ロール13は、その表面に転写型23を備えている。
【0023】
前記第二押圧ロール12の表面に設けられた転写型22の拡大断面図(第二押圧ロールの回転中心軸を含む平面で切断した拡大断面図)を図2に示す。このように前記第二押圧ロール12の表面には断面形状が略V字状の凹溝(溝の傾斜面が外に膨らむ曲面状である)22aがロール12の回転方向に沿って多数本形成されている。前記転写型22の凹溝22aは、前記押出機7のダイ8から連続的に押し出されてきた連続樹脂シート2の表面(図1で下面)に接触してこの接触した表面に断面形状が略V字状(傾斜面が外に膨らむ曲面状である)の突条部32を形成せしめる。
【0024】
前記第三押圧ロール13の表面に設けられた転写型23の拡大断面図(第三押圧ロールの回転中心軸を含む平面で切断した拡大断面図)を図3に示す。このように前記第三押圧ロール13の表面には断面形状が略半円形状の凹溝(略半円凹溝)23aがロール13の回転方向に沿って多数本形成されている。前記転写型23の凹溝23aは、前記第二押圧ロール12に密着した状態で搬送されてきた連続樹脂シート2の表面(図1で下面)に接触してこの接触した表面に断面形状が略半円形状の突条部33を形成せしめる。
【0025】
上記製造装置を用いて表面形状転写樹脂シート1を次のようにして製造する。
【0026】
[押し出し工程]
樹脂を加熱溶融状態でダイ8から連続的に押し出して連続樹脂シート2を得る(図1参照)。
【0027】
前記樹脂を加熱溶融状態で連続的に押し出すためのダイ8としては、通常の押出成形法に用いられるのと同様の金属製のTダイ等が用いられる。ダイ8から樹脂を加熱溶融状態で押し出すには、通常の押出成形法と同様に、押出機7が用いられる。押出機7は、一軸押出機であっても良いし、二軸押出機であっても良い。樹脂は押出機7内で加熱され、溶融された状態でダイ8に送られ、押し出される。ダイ8から押し出された樹脂は、連続的にシート状となって押し出され、連続樹脂シート2となる。
【0028】
前記連続樹脂シート2は、単層でも良いし2以上の複層としても良い。連続樹脂シート2が単層の場合は、ダイ8から樹脂を加熱溶融状態で押し出す際にダイ8に1種の樹脂を供給し押し出しをすれば良く、2以上の複層の場合は、2種以上の樹脂をダイに供給し、積層した状態で共押し出しすれば良い。なお、2種以上の樹脂を積層した状態で共押し出しをするには、例えば、公知の2種3層分配型フィードブロックまたはマルチマニホールドダイを用い、これを経由してダイ8に樹脂を供給すれば良い。
【0029】
前記連続樹脂シート2の厚さは、得られる表面形状転写樹脂シート1の用途に応じて適宜調整すれば良く、例えば光拡散板として用いる場合は連続樹脂シート2の厚さを0.1〜3.0mmの範囲に設定するのが好ましく、中でも0.5〜3.0mmの範囲に設定するのがより好ましい。
【0030】
前記樹脂としては、特に限定されるものではないが、通常は、加熱されることにより溶融状態となる熱可塑性樹脂が用いられる。前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。中でも、前記樹脂としては結晶性樹脂を用いるのが、転写型の凹凸形状を高い転写率で転写できる点で、好ましい。さらに、前記結晶性樹脂の中でもプロピレン樹脂を用いるのが特に好ましい。なお、本発明の製造方法に適用できる範囲で、加熱されることにより硬化する熱硬化性樹脂を用いることもできる。
【0031】
前記樹脂に、光拡散剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤等の添加剤などが添加されていても良い。
【0032】
前記光拡散剤は、無機系光拡散剤であっても良いし、有機系光拡散剤であっても良い。前記無機系光拡散剤としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、無機ガラス、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機化合物の粒子が挙げられる。前記無機系光拡散剤は、脂肪酸等の表面処理剤により表面処理されていても良い。
【0033】
また、前記有機系光拡散剤としては、特に限定されるものではないが、例えばスチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機化合物粒子が挙げられる。
【0034】
前記光拡散剤を添加する場合、添加される光拡散剤の屈折率と樹脂の屈折率との差の絶対値は、光拡散効果の十分な確保の観点から、通常0.02以上であり、得られる表面形状転写樹脂シートの光透過性の十分な確保の観点から、通常は0.13以下である。このように樹脂に光拡散剤を添加した場合、得られる表面形状転写樹脂シート1は、例えば光拡散板として使用できる。
【0035】
[第一押圧工程]
次に、図1に示すように、前記押出機7の押出方向の前方位置に配置された第一押圧ロール11と第二押圧ロール12との間に前記連続樹脂シート2を挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧する。この時、前記第二押圧ロール12の表面に転写型22が設けられているから、前記連続樹脂シート2の一方の表面に、断面形状が略V字状(傾斜面が外に膨らむ曲面状である)の突条部32が転写される(図4参照)。前記突条部32は、前記連続樹脂シート2の搬送方向(押出方向)に沿って延設される。
【0036】
前記第一押圧ロール11及び前記第二押圧ロール12としては、通常は、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属材で構成された金属製ロールが用いられ、その直径は通常100〜500mmである。前記第一押圧ロール11及び/又は前記第二押圧ロール12として金属製ロールを用いる場合、その表面は、例えばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理が施されていても良い。
【0037】
[搬送工程]
次に、前記第一押圧工程を経た連続樹脂シート2を前記第二押圧ロール12の外周面に密着させた状態で搬送する(図1参照)。この搬送工程で、前記連続樹脂シート2は、第二押圧ロール12の回転に従動して搬送される。
【0038】
前記連続樹脂シートは、前記第一押圧工程及びこの搬送工程において、押圧ロール11、12に接することによる冷却や、外気との接触による冷却によって、ダイ8から押し出された加熱溶融状態よりも温度が低下する。このように押出直後の加熱溶融状態よりも温度が低下した状態で連続樹脂シート2は搬送され、次の第二押圧工程に供給される。なお、第一、第二押圧ロール11、12は、温度調節機能を備え、所望の温度に調節可能であることが望ましい。
【0039】
[第二押圧工程]
次いで、前記搬送工程を経た連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13との間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧する。この時、前記第三押圧ロール13の表面に転写型23が設けられているから、前記連続樹脂シート2の他方の表面に、断面形状が略半円形状の突条部33が転写される(図4参照)。前記突条部33は、前記連続樹脂シート2の搬送方向(押出方向)に沿って延設される。
【0040】
前記第三押圧ロール13としては、通常は、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属材で構成された金属製ロールが用いられ、その直径は通常100〜500mmである。前記第三押圧ロール13として金属製ロールを用いる場合、その表面は、例えばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理が施されていても良い。前記第三押圧ロール13は、温度調節機能を備え、所望の温度に調節可能なものであるのが望ましい。
【0041】
この第二押圧工程において、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13とで連続樹脂シート2を5MPa以上のロール間押圧圧力で挟圧する。例えば、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔よりも大きく設定することにより、5MPa以上のロール間押圧圧力に制御することができる。このように第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力で挟圧することによって、第二押圧ロール12及び第三押圧ロール13の表面に設けられた各転写型22、23の凹凸形状を高い転写率で転写することができる。中でも、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13とで連続樹脂シート2を5〜50MPaのロール間押圧圧力で挟圧するのが好ましい。
【0042】
前記第二押圧工程の後、連続樹脂シート2を第三押圧ロール13の表面に密着させた状態で搬送する、即ち連続樹脂シート2を第三押圧ロール13の回転に従動して搬送する。この後、通常は、さらに冷却を行って、一方の面に転写型22の凹凸形状が高い転写率で転写されると共に他方の面に転写型23の凹凸形状が高い転写率で転写された表面形状転写樹脂シート1(図4参照)を得る。
【0043】
本製造方法によれば、前記転写型の凹凸形状の凹溝の深さを「D」とし、凹溝のピッチ間隔を「P」としたとき、前記転写型の凹凸形状がD/P≧1.0の関係式が成立するような深い形状を備えたものである場合においても、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写された表面形状転写樹脂シート1を製造することができる。
【0044】
このようにして得られた表面形状転写樹脂シート1は、通常、枚葉に切断されて、例えば液晶表示装置を構成するプリズムシート等として用いられる。また、樹脂として光拡散剤が添加されたものを用いた場合には、光拡散板として好適に用いることができる。
【0045】
本製造方法において、前記転写型22、23における凹溝22a、23aのピッチ間隔Pは、転写型の作製が容易であることから通常10μm以上、好ましくは50μm以上に設定され、より好ましくは70〜500μmに設定される。前記転写型22、23における凹溝22a、23aの溝深さDは、通常、3〜500μmの範囲に設定される。前記転写型22、23において、隣り合う凹溝は、通常、間隔dをあけて平行状に設けられる(図2、3参照)。これら凹溝22a、23aのピッチ間隔P、溝深さDは、1つの転写型全体で必ずしも一定である必要はなく、隣り合う凹溝間で異なる構成であっても良い。
【0046】
前記間隔dは、得られる表面形状転写樹脂シートの用途により任意に設定すれば良いが、間隔dは、通常は、10μm以下に設定される。なお、前記間隔dが設けられていない(即ちd=0である)構成であっても良い。
【0047】
前記転写型22、23の断面形状としては、図2に示す略V字凹溝、図3に示す略半円凹溝の他、例えば略V字凹溝を一部に含む断面形状等を例示できるが、特にこのような断面形状に限定されるものではない。
【0048】
前記略V字凹溝22aの頂角θは、通常、160°以下であり、作製が容易である点で通常、40°以上に設定される(図2参照)。
【0049】
前記略半円凹溝23aとしては、例えば、円柱体をその中心軸線に平行であって、該中心軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であっても良いし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であっても良い。また、上記略半円凹溝が反転した略半円凹溝を備えた形状、楕円弧状以外の曲線からなる形状を採用した場合も本願の特許請求の範囲に含むものとする。また、前記略半円凹溝23aとしては、例えば図6(a)に示す断面形状を有した凹溝23aであっても良いし、図6(b)に示すような曲線の断面形状を有した凹溝23aであっても良い。前記「略半円凹溝」とは、このような略半円形状の断面の凹溝をも含むものとする。
【0050】
前記転写型22、23の作製方法としては、ステンレス鋼、鉄鋼等からなる転写ロールの表面に、例えばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理を施した後に、そのメッキ面に対してダイヤモンドバイトや金属砥石等を用いた除去加工、レーザー加工、又はケミカルエッチングを行なう方法等が挙げられるが、これらの手法に特に限定されるものではない。
【0051】
また、前記転写ロール12、13の表面は、前記転写型22、23を形成した後に、例えば表面形状の精度を損なわないレベルで、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキ等のメッキ処理が施されていても良い。
【0052】
なお、この発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記第一、第二、第三押圧ロール11、12、13以外に他のロールを設けた構成の製造装置を用いて製造しても良い。前記他のロールとしては、例えば、連続樹脂シート2を第一押圧ロール11に搬送するためのガイドロール(タッチロール)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12に密着させておくためのタッチロール等が挙げられる。
【0053】
また、上記実施形態では、転写型は、第二押圧ロール12及び第三押圧ロール13の両方に設けられていた(図1参照)が、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば第二押圧ロール12のみに転写型22が設けられた構成であっても良いし、第三押圧ロール13のみに転写型23が設けられた構成(図5参照)であっても良い。
【0054】
なお、この発明に係る表面形状転写樹脂シートの製造方法は、上記例示の実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0055】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0056】
(製造装置A)
図1に示す構成からなる製造装置Aを準備した。この製造装置Aは、ダイ8を備えた押出機7と、第一押圧ロール11と、第二押圧ロール12と、第三押圧ロール13とを備える。第一押圧ロール11の表面は鏡面である。
【0057】
上記製造装置Aの第二押圧ロール12の表面の転写型22において、凹溝22aのピッチ間隔Pは100μm、凹溝22aの深さDは146.3μm、D/P=1.46、間隔dは4.7μm、角度θは74°である(図2参照)。
【0058】
また、上記製造装置Aの第三押圧ロール13の表面の転写型23において、凹溝23aのピッチ間隔Pは400μm、凹溝23aの深さDは220μm、D/P=0.55、間隔dは4.6μmである(図3参照)。
【0059】
(製造装置B)
図5に示す構成からなる製造装置Bを準備した。この製造装置Bは、ダイ8を備えた押出機7と、第一押圧ロール11と、第二押圧ロール12と、第三押圧ロール13とを備える。第一押圧ロール11の表面及び第二押圧ロール12の表面は鏡面である。第三押圧ロール13の表面の転写型23の断面図(ロールの回転中心軸を含む平面で切断した断面図)を図6(a)に示す。
【0060】
上記製造装置Bの第三押圧ロール13の表面の転写型23において、凹溝23aのピッチ間隔Pは353μm、凹溝23aの深さDは223.7μm、D/P=0.63、間隔dは2.0μmである(図6(a)参照)。
【0061】
<実施例1>
プロピレン−エチレンランダム共重合樹脂(住友化学社製「D101」、プロピレン単位含有率99質量%)(結晶性樹脂)88質量部、環状脂肪族カルボン酸金属塩系造核剤(Milliken社製「ハイパーフォームEXP20」)2.0質量部、シーソーブ703(シプロ化成社製)3.0質量部、キマソーブ119(チバジャパン社製)5.0質量部、スミライザーGP(住友化学社製)2.0質量部をハンドブレンドした後、スクリュー径30mmの造粒機にて190〜230℃で溶融混練して、マスターバッチペレットを得た。
【0062】
プロピレン−エチレンランダム共重合樹脂(住友化学社製「D101」)95質量部、上記マスターバッチペレット5質量部をハンドドライブレンドした後、上記製造装置Aのスクリュー径40mmの押出機7にて190〜240℃で溶融混練した後、幅250mmのマルチマニホールドダイ8を経由させてダイ温度250℃でシート状に押し出して連続樹脂シート2を得た(押し出し工程)。
【0063】
次いで、図1に示すように、この連続樹脂シート2を上記製造装置Aの第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の間に挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧した後(第一押圧工程)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12の外周面に密着させた状態で搬送し(搬送工程)、次いで連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧した後(第二押圧工程)、冷却ロールで冷却することによって、厚さ(S)1.5mmの表面形状転写樹脂シート1を得た(図4参照)。
【0064】
なお、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔よりも大きく設定し、第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を確保できるようにした。
【0065】
<比較例1>
各押圧ロールを単に所定位置に保持するのに必要な程度の作動油圧圧力とするべく作動油圧圧力を降圧すると共に、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔と同一に設定した以外は、実質的に実施例1と同様にして表面形状転写樹脂シートを得た。
【0066】
なお、実施例1と比較例1について、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間で挟圧する際のロール間押圧圧力は、後述するロール間押圧圧力測定法に基づいて測定した。その結果、実施例1でのロール間押圧圧力は10MPaであり、比較例1でのロール間押圧圧力は3MPaであった。
【0067】
次に、上記のようにして得られた各表面形状転写樹脂シートにおける転写率を下記転写率評価法Aに基づいて評価した。その評価結果を表1に示す。
【0068】
<転写率評価法A>
(第二押圧ロールの転写型による転写の転写率)
得られた表面形状転写樹脂シートの突条部32の高さを「H2」とし(図4参照)、転写型の凹溝22aの深さを「D」としたとき(図2参照)、
転写率(%)=(H2/D)×100 …(1)
転写率は上記式(1)で求められる。
(第三押圧ロールの転写型による転写の転写率)
得られた表面形状転写樹脂シートの突条部33の高さを「H3」とし(図4参照)、転写型の凹溝23aの深さを「D」としたとき(図3参照)、
転写率(%)=(H3/D)×100 …(2)
転写率は上記式(2)で求められる。
【0069】
表1から明らかように、この発明の製造方法で製造された実施例1の表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されていた。また、第二押圧ロールは、D/Pが1.46であり、深い凹凸形状を備えた転写型を備えたものであるが、このような深い凹凸形状も99.2%という高い転写率で転写することができた。更に、実施例1では、シートの両面に転写を行っているが、このように両面に転写を行っているにもかかわらず、第二押圧ロールによる転写面で99.2%、第三押圧ロールによる転写面で100.0%という高い転写率で転写することができた。
【0070】
これに対し、第二押圧ロールと第三押圧ロール間の押圧圧力が3MPaであった比較例1では、第二押圧ロールによる転写面では、転写率が57.3%であり、転写率は低かった。
【0071】
【表1】

【0072】
<実施例2>
ポリカーボネート樹脂(住友ダウ社製「カリバー200−30」)を、上記製造装置Bのスクリュー径40mmの押出機7にて220〜255℃で溶融混練した後、幅250mmのマルチマニホールドダイ8を経由させてダイ温度255℃でシート状に押し出して連続樹脂シート2を得た(押し出し工程)。
【0073】
次いで、図5に示すように、この連続樹脂シート2を上記製造装置Bの第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の間に挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧した後(第一押圧工程)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12の外周面に密着させた状態で搬送し(搬送工程)、次いで連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧した後(第二押圧工程)、冷却ロールで冷却することによって、厚さ(S)1.5mmの表面形状転写樹脂シート1を得た(図7参照)。
【0074】
なお、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔よりも大きく設定し、第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を確保できるようにした。
【0075】
<比較例2、3>
各押圧ロールを単に所定位置に保持するのに必要な程度の作動油圧圧力とするべく作動油圧圧力を降圧すると共に、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔と同一に設定した以外は、実質的に実施例2と同様にして表面形状転写樹脂シートを得た。
【0076】
なお、実施例2と比較例2、3について、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間で挟圧する際のロール間押圧圧力は、後述するロール間押圧圧力測定法に基づいて測定した。その結果、実施例2でのロール間押圧圧力は9.8MPaであり、比較例2でのロール間押圧圧力は1.0MPaであり、比較例3でのロール間押圧圧力は2.8MPaあった。
【0077】
次に、上記のようにして得られた各表面形状転写樹脂シート(実施例2、比較例2、3)における転写率を下記転写率評価法Bに基づいて評価した。その評価結果を表2に示す。
【0078】
<転写率評価法B>
(第三押圧ロールの転写型による転写の転写率)
得られた表面形状転写樹脂シートの突条部34の高さを「H4」とし(図7参照)、転写型の凹溝23aの深さを「D」としたとき(図6(a)参照)、
転写率(%)=(H4/D)×100 …(3)
転写率は上記式(3)で求められる。
【0079】
表2から明らかように、この発明の製造方法で製造された実施例2の表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されていた。
【0080】
これに対し、第二押圧ロールと第三押圧ロール間の押圧圧力が1.0MPaであった比較例2では、第三押圧ロールによる転写の転写率が3.9%であり、転写率は低かった。また、第二押圧ロールと第三押圧ロール間の押圧圧力が2.8MPaであった比較例3では、第三押圧ロールによる転写の転写率が53.5%であり、転写率は低かった。
【0081】
【表2】

【0082】
<実施例3>
アクリル系樹脂(住友化学社製「スミペックスEXN」)を、上記製造装置Bのスクリュー径40mmの押出機7にて200〜245℃で溶融混練した後、幅250mmのマルチマニホールドダイ8を経由させてダイ温度235℃でシート状に押し出して連続樹脂シート2を得た(押し出し工程)。
【0083】
次いで、図5に示すように、この連続樹脂シート2を上記製造装置Bの第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の間に挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧した後(第一押圧工程)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12の外周面に密着させた状態で搬送し(搬送工程)、次いで連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧した後(第二押圧工程)、冷却ロールで冷却することによって、厚さ(S)1.5mmの表面形状転写樹脂シート1を得た(図7参照)。
【0084】
なお、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔よりも大きく設定し、第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を確保できるようにした。
【0085】
<比較例4>
各押圧ロールを単に所定位置に保持するのに必要な程度の作動油圧圧力とするべく作動油圧圧力を降圧すると共に、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔と同一に設定した以外は、実質的に実施例3と同様にして表面形状転写樹脂シートを得た。
【0086】
なお、実施例3と比較例4について、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間で挟圧する際のロール間押圧圧力は、後述するロール間押圧圧力測定法に基づいて測定した。その結果、実施例3でのロール間押圧圧力は9.8MPaであり、比較例4でのロール間押圧圧力は2.0MPaであった。
【0087】
次に、上記のようにして得られた各表面形状転写樹脂シート(実施例3、比較例4)における転写率を、前述した転写率評価法Bに基づいて評価した。その評価結果を表3に示す。
【0088】
表3から明らかように、この発明の製造方法で製造された実施例3の表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されていた。
【0089】
これに対し、第二押圧ロールと第三押圧ロール間の押圧圧力が2.0MPaであった比較例4では、第三押圧ロールによる転写の転写率が0%であり、転写を行うことができなかった。
【0090】
【表3】

【0091】
<実施例4>
スチレン系樹脂(東洋スチレン社製「HRM−40」)を、上記製造装置Bのスクリュー径40mmの押出機7にて200〜240℃で溶融混練した後、幅250mmのマルチマニホールドダイ8を経由させてダイ温度240℃でシート状に押し出して連続樹脂シート1を得た(押し出し工程)。
【0092】
次いで、図5に示すように、この連続樹脂シート2を上記製造装置Bの第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の間に挿通せしめて両押圧ロール11、12で連続樹脂シート2を挟圧した後(第一押圧工程)、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12の外周面に密着させた状態で搬送し(搬送工程)、次いで連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間に挿通せしめて両押圧ロール12、13で連続樹脂シート2を挟圧した後(第二押圧工程)、冷却ロールで冷却することによって、厚さ(S)1.5mmの表面形状転写樹脂シート1を得た(図7参照)。
【0093】
なお、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔よりも大きく設定し、第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を確保できるようにした。
【0094】
<比較例5>
各押圧ロールを単に所定位置に保持するのに必要な程度の作動油圧圧力とするべく作動油圧圧力を降圧すると共に、第一押圧ロール11と第二押圧ロール12の相互離間間隔を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の相互離間間隔と同一に設定した以外は、実質的に実施例4と同様にして表面形状転写樹脂シートを得た。
【0095】
なお、実施例4と比較例5について、連続樹脂シート2を第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間で挟圧する際のロール間押圧圧力は、後述するロール間押圧圧力測定法に基づいて測定した。その結果、実施例4でのロール間押圧圧力は7.2MPaであり、比較例5でのロール間押圧圧力は2.8MPaあった。
【0096】
次に、上記のようにして得られた各表面形状転写樹脂シート(実施例4、比較例5)における転写率を、前述した転写率評価法Bに基づいて評価した。その評価結果を表4に示す。
【0097】
表4から明らかように、この発明の製造方法で製造された実施例4の表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されていた。
【0098】
これに対し、第二押圧ロールと第三押圧ロール間の押圧圧力が2.8MPaであった比較例5では、第三押圧ロールによる転写の転写率が53.6%であり、転写率は低かった。
【0099】
【表4】

【0100】
<ロール間押圧圧力測定法>
感圧紙(FUJIFILM社製の圧力測定フィルム、測定可能圧力範囲2.5〜10MPaのプレスケール低圧用ツーシートタイプ、測定可能圧力範囲10〜50MPaのプレスケール中圧用ツーシートタイプを用いる)を15cm×3cm幅の大きさに切り出したものを、連続運転中の製造装置A又は製造装置Bの第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間に連続樹脂シート2と共に挿通して挟圧させた後、これを回収した。
【0101】
回収された感圧紙の赤色濃度と、標準色見本チャートとを目視で比較し、圧力を加えた時の温度、湿度、加圧(持続・瞬間)の各条件により選択した標準チャートのカーブから圧力値(ロール間押圧圧力)を求める。この時、回収感圧紙の下側に白い紙を敷いて目視比較した。
【0102】
なお、第二押圧ロール12と第三押圧ロール13の間隔を広げて樹脂シートに殆ど圧力がかからない状態で感圧紙を挟み込んだところ、感圧紙は全く発色しないこと(即ち実質的に無圧力では発色しないこと)を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0103】
この発明の製造方法で製造された表面形状転写樹脂シートは、転写型の凹凸形状が高い転写率で転写されているから、例えばプリズムシート、光拡散板、光偏向構造板、導光板等の光学シートとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。中でも、液晶表示装置等の画像表示装置用の光学シートとして特に好適である。
【符号の説明】
【0104】
1…表面形状転写樹脂シート
2…連続樹脂シート
7…押出機
8…ダイ
11…第一押圧ロール
12…第二押圧ロール
13…第三押圧ロール
22…転写型(第二押圧ロール)
22a…凹溝
23…転写型(第三押圧ロール)
23a…凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを得る押し出し工程と、
前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程と、
前記第一押圧工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させた状態で搬送する搬送工程と、
前記搬送工程の後に、前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールと第三押圧ロールとで挟み込む第二押圧工程とを含み、
前記第二押圧ロール及び前記第三押圧ロールのうちの少なくともいずれか一方の押圧ロールは、その表面に転写型を備え、
前記第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力で前記連続樹脂シートを挟み込むことを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記第三押圧ロールの表面に前記転写型を備える請求項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記第二押圧ロールの表面及び前記第三押圧ロールの表面に前記転写型を備える請求項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記転写型は複数の凹溝を備え、前記凹溝のピッチ間隔に対する前記凹溝の深さの比が1.0以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記第一押圧ロールと前記第二押圧ロールの相互離間間隔を、前記第二押圧ロールと前記第三押圧ロールの相互離間間隔よりも大きく設定することにより、前記第二押圧工程において5MPa以上のロール間押圧圧力を得る請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂として結晶性樹脂を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項7】
前記結晶性樹脂がプロピレン樹脂である請求項6に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−104999(P2011−104999A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236340(P2010−236340)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】