説明

被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置

【課題】被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置において、被印刷媒体の高精度な搬送を可能とする。
【解決手段】循環可能なベルト部材により印刷シートSの下面を支持して第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構201と、第1搬送機構201により印刷シートSの搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間Bが形成されるように配置されると共に印刷シートSを爪機構202により保持して第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構203と、併走区間Bで開放状態にある爪機構202を所定の把持位置で閉止すると共に併走区間Bが終了した第2搬送機構203における第2搬送区間Cの所定の解除位置で爪機構202を開放する爪開閉機構204とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷済の印刷物を搬送する被印刷物の搬送装置、並びに、この被印刷物の搬送装置を有する電子写真印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂及び顔料等により構成されたトナーがキャリア内に分散された液体トナーを用いて、感光体に形成された静電潜像に現像し、中間転写体に一次転写し、更に液体トナーを被印刷物の表面に転写し、転写された液体トナー中のトナーを被印刷物に定着させることにより印刷を行う電子写真印刷装置が提案されている。
【0003】
このような電子写真印刷装置では、最終的に、印刷済の被印刷物を排紙台上に精度良く積み上げる必要がある。しかし、電子写真印刷装置で使用される搬送装置は、ローラ搬送式やベルト搬送式が一般的であり、このような搬送装置では被印刷物を高精度に搬送することが困難であり、結果として、印刷済の被印刷物を排紙台上に精度良く積み上げることができない。そこで、例えば、排紙台へ被印刷物を搬送する搬送装置として、チェーングリッパ方式のものを適用することが考えられる。
【0004】
このような被印刷物の搬送装置として、例えば、下記特許文献1、2に記載されたものがある。この特許文献1に記載された装置は、水平方向に通常コンベヤと供給コンベヤを配置すると共に、鉛直方向に把持チェーンを配置し、新聞紙を通常コンベヤから供給コンベヤへ搬送し、把持部材が作動される前に新聞紙の前端縁を通過中の把持部材の中に突き入れるように供給コンベヤを増速するものである。また、特許文献2に記載された装置は、ベルト搬送装置とチェーングリッパ搬送装置とを水平方向に配置し、ベルト搬送装置により搬送された用紙を、チェーングリッパ搬送装置の開閉爪が閉じることで把持を行って搬送するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平09−500602号公報
【特許文献2】特開2003−054828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1では、供給コンベヤを増速することで、新聞紙の前端縁を開放状態にある把持部材の中に突き入れて受け渡すようにしている。この場合、増速した供給コンベヤにより前進した新聞紙は、前端縁が出口ローラにガイドされずに自由状態にあることから、特に、新聞紙の剛性が低いときには、この新聞紙の前端縁を適正に把持部材の中に突き入れることが難しく、高精度な新聞紙の搬送が困難となってしまう。また、特許文献2では、ベルト搬送装置の下流端とチェーングリッパ搬送装置の上流端との接点で用紙を受け渡していることから、ベルト搬送装置による用紙の搬送にずれが生じたときには、この用紙を適正にチェーングリッパ搬送装置の開閉爪に受け渡すことができず、高精度な用紙の搬送が困難となってしまう。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、被印刷媒体の高精度な搬送を可能とする被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の被印刷物の搬送装置は、循環可能なベルト部材により印刷済の被印刷物の下面を支持して第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構と、該第1搬送機構より前記被印刷物の搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間が形成されるように配置されると共に該被印刷物を爪機構により保持して前記第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構と、前記併走区間で開放状態にある前記爪機構を所定の把持位置で閉止すると共に前記併走区間が終了した前記第2搬送機構における搬送区間の所定の解除位置で前記爪機構を開放する爪開閉機構と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、被印刷物がベルト部材により搬送する第1搬送機構から爪機構により保持して搬送する第2搬送機構に受け渡されるとき、この第1搬送機構と第2搬送機構は、互いに水平搬送であり、且つ、所定の距離だけ併走区間が形成されると共に第1搬送機構より第2搬送機構の方が低速であることから、第1搬送機構に支持された被印刷物は、この併走区間内で、第2搬送機構の爪機構に追い付き、その後、爪開閉機構により爪機構が作動して被印刷物を把持することとなり、被印刷物の種類に拘わらず、また、第1搬送機構による被印刷物の搬送ずれが生じても、被印刷物の適正な搬送を行うことができ、被印刷媒体の高精度な搬送を可能とすることができる。
【0010】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記爪開閉機構は、前記併走区間における下流端位置で前記爪機構を閉止することを特徴としている。
【0011】
従って、第1搬送機構に支持された被印刷物に搬送遅れが生じても、この被印刷物は、遅くとも併走区間の下流端位置までに第2搬送機構の爪機構に追い付き、その後、爪開閉機構により爪機構が作動して被印刷物を把持することができ、被印刷物の適正な受渡しを行うことができる。
【0012】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記第1速度と前記第2速度との速度差は、前記第1搬送機構が支持した前記被印刷物を前記併走区間で前記爪機構が保持可能な位置まで接近させる速度差であることを特徴としている。
【0013】
従って、第1搬送機構の搬送速度より第2搬送機構の搬送速度の方が低速とし、且つ、その速度差を適正な速度差とすることで、第1搬送機構が支持した被印刷物を併走区間で第2搬送機構に適正に受け渡すことができる。
【0014】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記第1搬送機構は、前記被印刷物の搬送区間の前部及び後部に配置されて周方向に沿う溝部が軸方向に所定間隔で複数形成された前後一対の支持ローラと、前記ベルト部材として円形断面をなして前記前後一対の支持ローラにおける各溝部に嵌合する複数の丸ベルトとを有することを特徴としている。
【0015】
従って、前後一対の支持ローラの各溝部に丸ベルトをそれぞれ嵌合して第1搬送機構を構成することで、被印刷物に対する接触面積を低減して被印刷物の損傷を防止することができると共に、支持ローラと丸ベルトとの滑りを低減して被印刷物の高精度な搬送を可能とすることができる。
【0016】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記複数の丸ベルトの上方に対向して配置されるガイド部材を有して前記第1搬送機構より下面が支持された前記被印刷物の上面を支持可能な上ガイド装置を設けることを特徴としている。
【0017】
従って、被印刷物に対して、下方から第1搬送機構により支持されると共に、上方から上ガイド装置により支持されることで、被印刷物を高精度に搬送することができる。
【0018】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記第2搬送機構は、前記被印刷物の搬送区間の前部及び後部に配置された前後一対のスプロケットと、該前後一対のスプロケットに掛け回された無端のチェーンと、該チェーンの長手方向に一定間隔で装着された複数の前記爪機構とを有し、該爪機構は、前記チェーンに固定されて前記被印刷物の先端が当接して位置決め可能な位置決め部及び前記被印刷物の先端を前記位置決め部に導くガイド部が形成された爪座と、前記チェーンに移動自在に装着されて前記被印刷物の先端を前記爪座との間で把持可能な爪部材と、該爪部材が前記被印刷物の先端を把持する方向に付勢される付勢部材とを有することを特徴としている。
【0019】
従って、第1搬送機構に支持された被印刷物は、前端が爪座のガイド部に導かれながら位置決め部に当接して位置決めされた後、爪部材が作動して爪座との間で把持されることとなり、爪機構は、適正に被印刷物を把持することができる。
【0020】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記爪機構は、前記被印刷物の幅方向に複数設けられ、前記第1搬送機構における前記ベルト部材と干渉しないように前記被印刷物の幅方向にずれて配置されることを特徴としている。
【0021】
従って、第1搬送機構におけるベルト部材と第2搬送機構における爪機構との接触を防止することができると共に、各搬送機構による被印刷物の高精度な搬送を可能とすることができる。
【0022】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記併走区間が終了した前記第2搬送機構における搬送区間に対応して該第2搬送機構より支持された前記被印刷物の下面を支持可能な下ガイド装置を設けることを特徴としている。
【0023】
従って、被印刷物は、第2搬送機構により前端部が支持されると共に、下ガイド装置により下面が支持されることとなり、被印刷物を高精度に搬送することができる。
【0024】
本発明の被印刷物の搬送装置では、前記第1搬送機構より前記被印刷物の搬送方向における上流側に前記被印刷物を挟持して搬送可能な上下一対の搬送ローラが設けられ、該搬送ローラから前記併走区間までの距離が前記被印刷物における搬送方向の長さより長く設定されることを特徴としている。
【0025】
従って、被印刷物が搬送ローラから第1搬送機構に送られるとき、この被印刷物は搬送ローラによる拘束が解除されることとなり、第1搬送機構と第2搬送機構との間に搬送速度の変化があっても、被印刷物を適正に搬送することができる。また、搬送ローラから併走区間までの距離は、被印刷物の長さより長い距離に設定されているため、搬送される被印刷物の先端が第2搬送機構の爪に接触して被印刷物の搬送速度が変更した場合でも、搬送される被印刷物がベルト部材上を摺動することでその速度差を吸収することができる。
【0026】
また、本発明の電子写真印刷装置は、被印刷物を1枚ずつ供給可能な給紙装置と、該給紙装置から供給された前記被印刷物に対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写する印刷装置と、前記被印刷物に転写されたトナー画像を加熱して定着させる定着装置と、該定着装置によりトナー画像が定着された前記被印刷物を搬送する搬送装置と、該搬送装置により搬送された前記被印刷物を所定位置に積み上げる排紙装置と、を備える電子写真印刷装置において、前記搬送装置は、循環可能なベルト部材により印刷済の被印刷物の下面を支持して第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構と、該第1搬送機構より前記被印刷物の搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間が形成されるように配置されると共に該被印刷物を爪機構により保持して前記第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構と、前記併走区間で開放状態にある前記爪機構を所定の把持位置で閉止すると共に前記併走区間が終了した前記第2搬送機構における搬送区間の所定の解除位置で前記爪機構を開放する爪開閉機構と、を有することを特徴とするものである。
【0027】
従って、液体トナー画像が印刷され、且つ、定着された後の被印刷物は、搬送装置により排紙装置の所定位置に積み上げられるが、このとき、搬送装置にて、第1搬送機構に支持された被印刷物は、併走区間内で、第2搬送機構の爪機構に追い付き、その後、爪開閉機構により爪機構が作動して被印刷物を把持することとなり、被印刷物の種類に拘わらず、また、第1搬送機構による被印刷物の搬送ずれが生じても、被印刷物の適正な搬送を行うことができ、被印刷媒体の高精度な搬送を可能とすることができ、その結果、印刷品質の向上を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置によれば、第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構と第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構とを併走区間をもって配置し、この併走区間で爪機構が被印刷物を把持可能とするので、被印刷媒体の高精度な搬送を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る被印刷物の搬送装置が適用された電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図2】図2は、本実施例の電子写真印刷装置における現像ユニットを表す概略図である。
【図3】図3は、本実施例の搬送装置における第1、第2搬送機構を表す概略図である。
【図4】図4は、本実施例の搬送装置における第1搬送機構及び上ガイド装置を表す斜視図である。
【図5】図5は、本実施例の搬送装置における第2搬送機構の爪機構を表す斜視図である。
【図6】図6は、本実施例の搬送装置における第2搬送機構の爪機構を表す側面図である。
【図7−1】図7−1は、本実施例の搬送装置の作動を表す説明図である。
【図7−2】図7−2は、本実施例の搬送装置の作動を表す説明図である。
【図7−3】図7−3は、本実施例の搬送装置の作動を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例】
【0031】
図1は、本発明の一実施例に係る被印刷物の搬送装置が適用された電子写真印刷装置の概略構成図、図2は、本実施例の電子写真印刷装置における現像ユニットを表す概略図、図3は、本実施例の搬送装置における第1、第2搬送機構を表す概略図、図4は、本実施例の搬送装置における第1搬送機構及び上ガイド装置を表す斜視図、図5は、本実施例の搬送装置における第2搬送機構の爪機構を表す斜視図、図6は、本実施例の搬送装置における第2搬送機構の爪機構を表す側面図、図7−1から図7−3は、本実施例の搬送装置の作動を表す説明図である。
【0032】
本実施例において、図1に示すように、電子写真印刷装置10は、液体現像電子写真方式の両面及び片面印刷機であって、給紙装置11、印刷装置12、定着装置13、搬送装置(被印刷物の搬送装置)14、排紙装置15とから構成されている。
【0033】
給紙装置11は、上下一対の給紙ユニット11a,11bを有しており、この各給紙ユニット11a,11bは、それぞれ給紙台21a,21bと、給紙機構としてのセパレータ装置22a,22bとを有している。給紙台21a,21bは、印刷シート(被印刷物)Sを上下に積み重ねて載置するものであり、セパレータ装置22a,22bは、給紙台21a,21b上に積み重ねられた多数の印刷シートSを上から順に1枚ずつ吸着して前方へ送り出すものである。この場合、給紙台21a,21bは、セパレータ装置22a,22bが印刷シートSとほぼ一定の高さの位置関係を維持できるように、印刷シートSの供給に対応して上下に移動可能となっている。
【0034】
印刷装置12は、K(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)のプロセスカラー印刷を行うことが可能となっている。この場合、印刷装置12は、給紙装置11から供給された印刷シートSに対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写するものである。即ち、この印刷装置12は、バックアップローラ31と、中間転写体32と、各色に対応した4つの現像ユニット33,34,35,36とを有している。なお、現像ユニット36に隣接してクリーニングユニット37が設けられている。
【0035】
バックアップローラ31と中間転写体32は、同じ外径(周長)を有するローラであり、対接した状態で矢印方向に同期駆動可能となっており、この対接部分に所定の圧力に設定されたニップ部(転写位置)が設定されている。このバックアップローラ31は、外周部に周方向に等間隔でグリッパ31aが設けられている。このグリッパ31aは、給紙装置11から供給された印刷シートSの先端部を把持することができ、バックアップローラ31が回転することで、把持した印刷シートSをニップ部に導くことができる。一方、中間転写体32は、外周面に、例えば、ウレタン系導電性ゴムからなるブランケットが装着されて構成されており、例えば、−200〜−300V程度のバイアス電圧が印加されている。
【0036】
バックアップローラ31は、中間転写体32に対して、上述したニップ部にて、所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設されている。そのため、印刷シートSは、バックアップローラ31により搬送されるとき、中間転写体32との間に形成されたニップ部を通過するとき、所定のニップ圧が付与される。また、バックアップローラ31は、例えば、−800V程度の転写バイアスが印加されている。そのため、バックアップローラ31のバイアス電圧(約−800V)と、中間転写体32のバイアス電圧(−200〜−300V)との差により、後述する液体トナーTをバックアップローラ31側へ吸引する力を与え、中間転写体32から印刷シートSへの液体トナーTの静電転写を促進することができる。
【0037】
各現像ユニット33,34,35,36は、中間転写体32の周囲にその回転方向に沿って並設されており、使用する液体トナーの色が異なるだけで、その構成は同様のものとなっている。そのため、以下では、現像ユニット33について詳細に説明する。
【0038】
現像ユニット33は、図2に示すように、図示しない制御装置から送信された画像データに基づいて、感光ドラム41上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対応する位置に液体トナーを供給し、感光ドラム41に形成された液体トナーの画像を中間転写体32に転写するものである。
【0039】
ここで、液体トナーは、熱可塑性素材と色素(顔料あるいは染料)とにより形成される粒子状のトナーが液体状のキャリア中に分散されて配合されたものであり、ここでは、キャリアとして、石油系の溶剤(例えば、非極性、パラフィン系溶剤として、ミネラルオイルなど)に、平均粒径1〜2μm程度の粒子状のトナーが重量比で10〜40パーセント程度含有されたものを液体トナーとして用いている。
【0040】
この現像ユニット33は、感光ドラム(感光体)41、クリーニングユニット42、除電器43、帯電装置44、露光装置45、現像装置46を有して構成されている。感光ドラム41は、周面にアモルファスシリコン(a−Si)や感光性ポリマー等の感光剤を含んで形成された感光層が形成されている。この感光ドラム41は、中間転写体32との間でニップ部をもって対接しており、感光ドラム41上の液体トナーを中間転写体32側に転写可能となっている。
【0041】
感光ドラム41は、その周囲にこの感光ドラム41の回転方向に沿ってその上流側から、クリーニングユニット42、除電器43、帯電装置44、露光装置45、現像装置46がそれぞれ順に感光ドラム41の表面に形成される感光層に対向して配設されている。
【0042】
クリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを有して構成されており、感光ドラム41の周面に残存している液体トナーを除去して図示しないトナー回収路に排出することができる。即ち、クリーニングブレード42aは、弾性材料で形成された矩形状の板体であり、先端部が感光ドラム41の周面に接触するように支持されており、感光ドラム41の周面の液体トナーを掻き取ることができる。
【0043】
除電器43は、感光ドラム41の感光層に残留する電荷を消去する機能を有している。帯電装置44は、コロトロン型あるいはスコロトロン型等の非接触型放電方式の帯電器が、感光ドラム41の周方向に沿って複数配設されて構成されており、感光ドラム41の感光層を一様に、例えば、500V程度に帯電させる機能を有している。
【0044】
露光装置45は、感光ドラム41の軸方向に沿って発光体(例えば、LED)を棒状に配列した発光装置(LEDアレイ)により構成されており、制御装置から送られてくる画像データに基づいて、各LEDを発光させるようになっている。即ち、帯電装置44により一様に帯電されている感光ドラム41の感光層の表面に露光装置45からの光が照射されることで、光の照射部分では感光層の帯電が解除され、感光層に画像データに基づいた静電潜像を形成することができる。なお、発光装置としては、LEDアレイの代わりに、画像データに基づいて半導体レーザー等を走査して静電潜像を形成するように構成してもよい。
【0045】
現像装置46は、トナー貯留部51、アニロックスローラ52、均しローラ53、現像ローラ54、トナー帯電器55、トナー回収ユニット56,57を有して構成されており、感光ドラム41の静電潜像が形成された部分に液体トナーを転写可能となっている。
【0046】
トナー貯留部51には、液体トナーが貯留されており、アニロックスローラ52の一部が液体トナーに浸されるように、液体トナーが供給、排出可能となっている。このアニロックスローラ52は、金属製のローラであって、その周面に液体トナーを所望の膜厚で供給するのに適した凹部(セル)が全面にわたって形成されている。このアニロックスローラ52は、感光ドラム41と同方向に回転駆動可能である。
【0047】
均しローラ53は、ウレタンゴムで形成されており、アニロックスローラ52と現像ローラ54との間に配設され、周面がこのアニロックスローラ52及び現像ローラ54に接している。また、均しローラ53は、アニロックスローラ52との接点において互いの周面が同じ方向に進む向きに回転可能となっている。
【0048】
現像ローラ54は、導電性ゴムで形成されており、感光ドラム41と接してニップ部を形成するように配設されている。また、現像ローラ54は、感光ドラム41との間にニップ部が形成されており、感光ドラム41の周面と現像ローラ54の周面とが同じ方向に進む向きに回転可能となっている。更に、現像ローラ54は、周面の速度が感光ドラム41の周面の速度と同じ速度に設定されている。また、トナー帯電器55は、現像ローラ54の周面を一様に帯電させる機能を有している。
【0049】
このように導電性を有する現像ローラ54と感光ドラム41とがニップ部で接することにより、現像ローラ54の周面から感光ドラム41の静電潜像が形成された部分へ帯電したトナーを含む液体トナーが転写され、現像が行われる。
【0050】
そして、現像された感光ドラム41の周面上の液体トナーは、ニップ部にて中間転写体32に転写され、この中間転写体32の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層(トナー画像)を形成することができる。
【0051】
トナー回収ユニット56は、現像ローラ54の周面に残留した液体トナーを除去して回収することができる。また、トナー回収ユニット57は、均しローラ53の周面に残留した液体トナーを除去して回収することができる。このトナー回収ユニット56,57は、両者はほぼ同様の構成をなし、均しローラ53、現像ローラ54から剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送して図示しないトナータンクに回収するものである。
【0052】
なお、図1に戻り、クリーニングユニット37は、中間転写体32の周面に残存している液体トナーを除去して回収することができる。
【0053】
定着装置13は、印刷シートSに転写されたトナー画像を加熱することで、印刷シートSの上面に転写された液体トナー層(トナー画像)を加熱して定着することができる。
【0054】
ところで、上述した給紙装置11と印刷装置12との間には、印刷シートSの第1シート搬送経路S1が設けられている。この第1シート搬送経路S1は、基端部側が2つに分岐して各給紙ユニット11a,11bに接続されており、先端部側がバックアップローラ31と中間転写体32とのニップ部に接続されている。そして、第1シート搬送経路S1は、給紙装置11から印刷装置12までの間に、駆動可能な上下一対の搬送ローラ71が所定間隔で複数設けられている。この場合、各搬送ローラ71の間隔は、印刷シートSにおける搬送方向の長さより短い間隔であり、少なくとも2組の搬送ローラ71が印刷シートSを保持して搬送可能となっている。
【0055】
また、定着装置13と排紙装置15との間には、印刷シートSの第2シート搬送経路S2が設けられており、この第2シート搬送経路S2に搬送装置14が設けられている。この第2シート搬送経路S2は、基端部側が定着装置13に接続され、先端部側が搬送装置14を介して排紙装置15に接続されている。そして、第2シート搬送経路S2は、定着装置13から排紙装置15までの間に、駆動可能な上下一対の搬送ローラ81が所定間隔で複数設けられている。この場合、各搬送ローラ81の間隔は、各搬送ローラ71と同様に、印刷シートSにおける搬送方向の長さより短い間隔であり、少なくとも2組の搬送ローラ81が印刷シートSを保持して搬送可能となっている。
【0056】
この第1シート搬送経路S1と第2シート搬送経路S2における搬送装置14の手前との間には、印刷シートSの表裏を反転させる反転装置91が設けられている。この反転装置91は、スイッチ機構92と、シート切替経路93と、搬送ローラ94と、シート反転経路95と、スイッチバックローラ96と、シート戻し経路97と、搬送ローラ98とを有している。この反転装置91は、両面印刷時に使用するものである。
【0057】
スイッチ機構92は、第1シート搬送経路S1を搬送される印刷シートSを搬送装置14またはシート切替経路93へ切替搬送するものであり、搬送ローラ94はシート切替経路93に供給された印刷シートSをシート反転経路95に供給することができる。このシート反転経路95は、印刷シートSを反転させるものであり、スイッチバックローラ96は、正転及び逆転可能であり、シート切替経路93に供給された印刷シートSをシート反転経路95に導き、その後、シート戻し経路97に供給することができる。このシート戻し経路97に供給された印刷シートSは、搬送ローラ98により第1シート搬送経路S1に戻されて再び印刷装置12に供給される。
【0058】
搬送装置14は、第2シート搬送経路S2を搬送中の印刷済の印刷シートSを排紙装置15まで搬送するものであり、循環可能なベルト部材により印刷シートSの下面を支持して第1速度V1で水平搬送可能な第1搬送機構201と、この第1搬送機構201より印刷シートSの搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間が形成されるように配置されると共に印刷シートSを爪機構202により保持して第1速度V1より低速である第2速度V2で水平搬送可能な第2搬送機構203と、この併走区間で開放状態にある爪機構202を所定の把持位置で閉止すると共に併走区間が終了した第2搬送機構203における搬送区間の所定の解除位置で爪機構202を開放する爪開閉機構204とから構成されている。この場合、給紙装置11から搬送装置14の第1搬送機構201までの搬送速度はほぼ一定とし、第2搬送機構203の搬送速度を低速としている。
【0059】
排紙装置15は、排紙台101と、前後方向位置調整部材102,103と、左右方向位置調整部材104とを有している。即ち、印刷済の印刷シートSが第2シート搬送経路S2に沿って搬送されるとき、搬送装置14は、保持した印刷シートSを排紙装置15の上方で解除して排紙する。このとき、前方向位置調整部材102が作動して印刷シートSの前方位置を位置決めすると共に、後方向位置調整部材103が印刷シートSの後方位置を位置決めする。また、左右方向位置調整部材104が印刷シートSの左右位置を位置決めする。
【0060】
ここで、上述した搬送装置14について詳細に説明する。この搬送装置14は、上述したように、第1搬送機構201と、第2搬送機構203と、爪開閉機構204とを有している。従って、印刷シートSは、上下一対の搬送ローラ81から第1搬送機構201に移送され、この第1搬送機構201から第2搬送機構203に移送され、この第2搬送機構203から排紙装置15に移送される。このとき、印刷シートSは、第1搬送機構201から第2搬送機構203に移送されるときに減速され、減速された速度で排紙装置15に排紙される。
【0061】
この爪開閉機構204は、第1搬送機構201と第2搬送機構203とが上下に重なる併走区間にて、開放状態にある爪機構202を所定の把持位置で閉止する第1カム205を有すると共に、併走区間が終了した第2搬送機構203における搬送区間の所定の解除位置で爪機構202を開放する第2カム206を有している。この場合、爪開閉機構204は、併走区間における下流端位置で爪機構202を閉止する。また、第1搬送機構201は、保持した印刷シートSを第1速度V1で搬送可能であり、第2搬送機構203は、把持した印刷シートSを第2速度V2で搬送可能であり、第1速度V1に対して第2速度V2が低速となっている。この第1速度V1と第2速度V2との速度差は、第1搬送機構201が支持した印刷シートSを併走区間で第2搬送機構203の爪機構202が保持可能な位置まで接近させる速度差に設定されており、約5%〜30%程度が望ましい。この場合、速度差が5%の場合は、第1搬送機構201に到達するまでに印刷シートSの遅れがほとんどないときであり、速度差が30%の場合は、搬送される印刷シートSに強いコシがあるときである。
【0062】
第1搬送機構201において、図3及び図4に示すように、支持フレーム211は、左右に位置して印刷シートSの搬送方向に沿った左右一対の側壁部212と、この左右側壁部212を連結する板状をなす支持板213とを有している。この支持フレーム211は、印刷シートSの搬送方向における上流側に、印刷シートSの幅方向に沿った駆動ローラ(前部支持ローラ)214が回転自在に支持され、駆動モータ215により駆動回転可能となっている。また、支持フレーム211は、印刷シートSの搬送方向における下流側に、印刷シートSの幅方向に沿った支持ローラ(後部支持ローラ)216が回転自在に支持されると共に、駆動ローラ214と支持ローラ216との間で、左右側壁部212の近接した位置に左右一対の支持ローラ217が回転自在に支持されている。
【0063】
各ローラ214,216,217は、周方向全周に沿う溝部が軸方向に所定間隔で複数形成されており、複数の無端の丸ベルト218が各ローラ214,216間に掛け回され、各溝部に嵌合している。また、複数の無端の丸ベルト219が各ローラ214,217間に掛け回され、各溝部に嵌合している。各丸ベルト218,219は、搬送ベルトとして機能し、円形断面をなして弾性体(例えば、ゴムなど)により構成され、所定の張力をもって各ローラ214,216,217間に掛け回されている。この場合、短尺の各丸ベルト219は、支持フレーム211における左右側壁部212側に配置され、長尺の各丸ベルト218は、この短尺の各丸ベルト219間に配置されている。そして、各丸ベルト218,218は、支持フレーム211における支持板213に対して、印刷シートSの幅方向に所定間隔、望ましくは等間隔で配置され、支持フレーム211における支持板213の上下を配索するように配置されている。
【0064】
また、第1搬送機構201の上方に、この第1搬送機構201により下面が支持された印刷シートSの上面を支持可能な上ガイド装置221が設けられている。この上ガイド装置221は、印刷シートSの幅方向に沿って配置された複数(本実施例では、2個)の支持ロッド222と、この各支持ロッド222の下部に連結部材223を介して固定された複数のガイド部材224とを有している。この複数のガイド部材224は、一端部が搬送ローラ81の下流側に位置し、他端部が後述する連結軸234の中心位置まで延出されている。
【0065】
支持フレーム211は、左右の側壁部212に左右一対の取付ブラケット225が刷シートSの搬送方向に所定間隔をあけて固定されており、各支持ロッド222は、左右端部がこの取付ブラケット225に固定されている。複数のガイド部材224は、印刷シートSの搬送方向に沿って長い棒状をなし、各支持ロッド222の下面に複数の連結部材223を介して固定されている。このガイド部材224は、支持ロッド222から連結部材223をもって下方に垂下されており、下面が第1搬送機構201における各丸ベルト218,219の上面に所定隙間をもって上下に対向している。この場合、各支持ロッド222は、駆動ローラ214と支持ローラ217の間に配設されており、各ガイド部材224は、入口側の端部が若干上方に向って傾斜している。
【0066】
従って、一対の搬送ローラ81により印刷シートSが搬送されると、この印刷シートSは、第1搬送機構201と上ガイド装置221との間に案内される。このとき、印刷シートSは、下面が第1搬送機構201における各丸ベルト218,219に支持され、上面が上ガイド部材221における各ガイド部材224により支持されることとなり、印刷シートSが変形することなく適正に第1速度V1で搬送することができる。
【0067】
第2搬送機構203は、図1に示すように、印刷シートSの搬送区間の前部及び後部に配置された前後一対のスプロケット231,232と、この前後一対のスプロケット231,232に掛け回された無端のチェーン233と、このチェーン233の長手方向に一定間隔で装着された複数(本実施例では、5個)の爪機構202とを有している。この場合、スプロケット231,232及びチェーン233は、搬送される印刷シートSの両側に左右対称に配置されており、左右の各スプロケット231,232同士が連結軸234,235により連結され、前部のスプロケット231における連結軸234の軸端部の図示しない駆動モータが連結されている。
【0068】
各爪機構202は、同様の構成をなし、図3、図5及び図6に示すように、チェーン233に固定されて印刷シートSの先端が当接して位置決め可能な位置決め部が形成された爪座241と、チェーン233に移動自在に装着されて印刷シートSの先端を爪座241との間で把持可能な爪部材242と、爪部材242が印刷シートSの先端を把持する方向に付勢されるねじりコイルばね(付勢部材)243とを有している。
【0069】
即ち、印刷シートSが搬送される搬送経路の両側には、左右一対のチェーン233が配索されており、この各チェーン233には、支持ブロック251,252が固定されている。左右の支持ブロック251,252は、印刷シートSの幅方向に沿った連結軸253の各端部が固定されると共に、印刷シートSの幅方向に沿った回動軸254の各端部が回動自在に支持されている。この場合、各チェーン233の移動方向の前方側に回動軸254が位置し、後方側に連結軸253が位置しており、連結軸253及び回動軸254は、その長手方向の中間部にて、支持部材255により両者の位置がずれないように支持されている。そして、この連結軸253と回動軸254は、平行をなして配置され、軸方向に沿って所定間隔をもって爪座241と爪部材242とねじりコイルばね243からなるユニットが複数(本実施例では、6個)装着されている。
【0070】
爪座241は、連結軸253に外周部に嵌合し、固定ボルト256により連結軸253に固定されている。そして、この爪座241は、印刷シートSの搬送経路側に突出する第1突出部241aが形成され、この第1突出部241aに印刷シートSの先端が当接して位置決め可能な位置決め部241bが形成されている。また、爪座241は、印刷シートSの搬送経路から印刷シートSの搬送方向の上流側に延びる第2突出部241cが形成され、この第2突出部241cに印刷シートSの先端をガイドして位置決め部241bに導くガイド部241dが形成されている。
【0071】
爪部材242は、回動軸254の外周部に嵌合し、固定ボルト257により回動軸254に固定されている。そして、把持プレート258は、弾性変形可能な板材であり、基端部が固定ボルト257により爪部材242と一体に回動軸254に固定されており、先端部が印刷シートSの搬送経路側に向い、且つ、チェーン233の移動方向の上流側に向って傾斜して配置されている。この把持プレート258は、先端部が爪部材242よりも前方に突出しており、ばね259によりこの先端部が爪部材242に密着する側に付勢支持されている。この場合、爪座241における位置決め部241b(第1突出部241a)は、ガイド部241d(第2突出部241c)におけるシートSの幅方向の一部にずれて設けられている。一方、爪部材242における把持プレート258は、ガイド部241dに対応して設けられているものの、位置決め部241b(第1突出部241a)とは幅方向にずれており、両者が干渉することはない。
【0072】
爪部材242は、回動軸254と共に回動自在であり、把持プレート258の先端部が爪座241の第2突出部241cに当接可能となっている。この場合、爪部材242の把持プレート258は、爪座241の第1突出部241aと印刷シートSの幅方向にずれて設けられ、第2突出部241cと印刷シートSの幅方向に対して同位置に設けられている。ねじりコイルばね243は、回動軸254に巻き付けられて装着され、一端部が連結軸253に係止され、他端部が爪部材242に係止している。そのため、爪部材242は、ねじりコイルばね243の付勢力により、把持プレート258の先端部が爪座241の第2突出部241cに当接する方向、つまり、印刷シートSの先端部を把持する方向に付勢支持されている。
【0073】
また、回動軸254は、一方の軸端部が支持ブロック251を貫通しており、この端部に支持アーム260の一端部が固定されている。この支持アーム260は、この回動軸254からチェーン233の移動方向の上流側に向って延出し、先端部にカムローラ261が回動自在に装着されている。一方、図1に示すように、第2搬送機構203を構成する前部のスプロケット231における連結軸234の近傍に位置して第1カム205が配置され、後部のスプロケット232における連結軸235の近傍に位置して第2カム206が配置されている。第1カム205は、外周面に爪開放カム面205aと爪閉止カム面205bが形成され、第2カム206は、外周面に爪開放カム面206aと爪閉止カム面206bが形成されている。
【0074】
爪機構202に装着されたカムローラ261は、第1カム205の爪開放カム面205a、爪閉止カム面205bにガイドされることで、回動軸254を回動して爪部材242を回動し、爪機構202を開閉することができる。また、爪機構202に装着されたカムローラ261は、第2カム206の爪閉止カム面206a、爪開放カム面206bにガイドされることで、回動軸254を回動して爪部材242を回動し、爪機構202を開閉することができる。
【0075】
この場合、第1カム205、第2カム206、カムローラ261などにより爪開閉機構204が構成される。
【0076】
従って、第1搬送機構201により印刷シートSが搬送されると、この印刷シートSは、第1搬送機構201と第2搬送機構203との間に案内される。このとき、印刷シートSは、第1搬送機構201により第1速度V1で搬送されており、一方、第2搬送機構203は、第1速度V1より遅い第2速度V2で作動していることから、印刷シートSは、第2搬送機構203における爪機構202に追い付き、この爪機構202は印刷シートSを把持し、第2速度V2で印刷シートSを搬送することができる。
【0077】
なお、本実施例にて、搬送装置14は、まず、第1搬送機構201が第1速度V1で印刷シートSを搬送し、次に、第2搬送機構203が第1速度V1より遅い第2速度V2で印刷シートSを搬送することから、第1搬送機構201の下流側の上方に第2搬送機構203の上流側が重なる併走区間が設定されている。この場合、第1搬送機構201における丸ベルト218,219と、第2搬送機構203における爪機構202とが干渉しないように、丸ベルト218,219と爪機構202は、印刷シートSの幅方向にずれて配置されている。また、第2搬送機構203にて、チェーン233の移動により爪機構202が印刷シートSを把持して搬送経路に沿って移動するとき、爪機構202の爪部材242は、上下に開閉することから、第1搬送機構201における支持フレーム211の支持板213には、爪部材242の開放位置に対応して複数のスリット226が形成されている。
【0078】
また、図1及び図3に示すように、第2搬送機構203の下方に、この第2搬送機構203により先端部が支持された印刷シートSの下面を支持可能な下ガイド装置271が設けられている。この下ガイド装置271は、支持プレートであって、併走区間Bが終了した第2搬送機構203における搬送区間に対応して配置されている。
【0079】
以下、このように構成された本実施例の電子写真印刷装置10による印刷作業について説明する。
【0080】
本実施例の電子写真印刷装置10において、図1に示すように、給紙装置11では、2つの給紙ユニット11a,11bのうちの一方が作動し、印刷シートSを1枚ずつ送り出す。この給紙装置11から送り出された印刷シートSは、第1シート搬送経路S1にて、複数の搬送ローラ71により印刷装置12まで搬送される。印刷装置12にて、バックアップローラ31は、グリッパ31aの開放状態で印刷シートSの先端部を受け入れ、このグリッパ31aを閉止することで印刷シートSの先端部を把持し、回転することで保持した印刷シートSを搬送する。
【0081】
一方、中間転写体32では、各現像ユニット33〜36により、印刷シートSの第1面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム41の周面に、対応するK(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)の各色の液体トナーが転写され、感光ドラム41上に画像が現像され、この感光ドラム41の周面に転写された液体トナーが中間転写体32に転写される。そして、バックアップローラ31に保持された印刷シートSが中間転写体32とのニップ部に至ると、ここで、中間転写体32の周面から印刷シートSにおける中間転写体32と接する側の面(第1面)に対して液体トナー(トナー画像)が転写される。
【0082】
そして、第1面に液体トナーが転写された印刷シートSは、定着装置13に搬送され、印刷シートSの上面(第1面)が加熱されることで、この第1面に転写されている液体トナー層(トナー画像)が定着される。
【0083】
第1面に液体トナーが定着された印刷シートSは、第2シート搬送経路S2にて、複数の搬送ローラ81により搬送される。そして、反転装置91により表裏が反転され、第1シート搬送経路S1により再び印刷装置12に搬送される。
【0084】
再び、印刷装置12に搬送された印刷シートSは、前述と同様に、バックアップローラ31のグリッパ31aにより先端部が把持され、このバックアップローラ31により搬送される。中間転写体32では、各現像ユニット33〜36により、印刷シートSの第2面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム41の周面に、対応するK(墨)、C(藍)、M(紅)、Y(黄)の各色の液体トナーが転写され、感光ドラム41上に画像が現像され、この感光ドラム41の周面に転写された液体トナーが中間転写体32に転写される。そして、バックアップローラ31に保持された印刷シートSが中間転写体32とのニップ部に至ると、ここで、中間転写体32の周面から印刷シートSにおける中間転写体32と接する側の面(第2面)に対して液体トナー(トナー画像)が転写される。
【0085】
そして、第2面に液体トナーが転写された印刷シートSは、定着装置13に搬送され、印刷シートSの上面(第2面)が加熱されることで、この第2面に転写されている液体トナー層(トナー画像)が定着される。
【0086】
第1面及び第2面に液体トナーが定着された印刷シートSは、第2シート搬送経路S2にて、複数の搬送ローラ81により搬送装置14まで搬送され、この搬送装置14により排紙装置15まで伝送され、この排紙装置15により排紙される。
【0087】
ここで、この搬送装置14による印刷シートSの搬送作業について詳細に説明する。
【0088】
印刷シートSは、搬送ローラ81により搬送装置14における第1搬送機構201に供給され、第1搬送機構201から第2搬送機構203に受け渡される。この搬送装置14では、第1搬送機構201と第2搬送機構203とが一部で重なり、同期して作動すると共に第1搬送機構201より第2搬送機構203の方が低速となっている。即ち、図7−1に示すように、印刷シートSが第1搬送機構201に支持され、且つ、第2搬送機構203の爪機構202に接触せずに搬送される第1搬送区間Aと、印刷シートSが第1搬送機構201に支持され、且つ、第2搬送機構203の爪機構202により把持可能な併走区間Bと、印刷シートSが第1搬送機構201による支持から離れ、且つ、第2搬送機構203の爪機構202により把持されて搬送される第2搬送区間Cとを有している。
【0089】
なお、印刷シートSが搬送ローラ81に支持されて第1搬送機構201に供給されるとき、第1搬送区間Aの長さが印刷シートSにおける搬送方向の長さより長くなるように設定されている。即ち、印刷シートSの全体が第1搬送機構201により第1搬送区間Aを搬送されるとき、搬送ローラ81による拘束が解除されるようになっている。
【0090】
また、図7−2及び図7−3に示すように、併走区間Bは、第1搬送機構201における複数の丸ベルト218,219の移動に同期して第2搬送機構203の爪機構202が開放状態で移動する併走爪開放区間B1と、第1搬送機構201における複数の丸ベルト218,219の移動に同期して第2搬送機構203の爪機構202が閉止しながら移動する併走爪閉止動作区間B2とから構成されている。
【0091】
従って、図7−1に示すように、第1搬送機構201は、搬送ローラ81から供給された印刷シートSの下面を支持しながら搬送する。このとき、第2搬送機構203の爪機構202は、第1搬送機構201より低速で循環移動しており、まず、第1搬送区間Aにて、第1搬送機構201に支持された印刷シートSの前端部が、第2搬送機構203の爪機構202に接近する。続いて、図7−2に示すように、併走区間Bにおける併走爪開放区間B1にて、第1搬送機構201に支持された印刷シートSの前端部が、第2搬送機構203の爪機構202に追い付くことができる。
【0092】
即ち、図6に示すように、第1搬送機構201に支持された印刷シートSが第2搬送機構203の爪機構202に追い付くとき、爪機構202が開放状態にある。そのため、印刷シートSは、前端が爪機構202における爪座241に当接する。ここで、印刷シートSは、前端部がガイド部241dに導かれながら前端が位置決め部241bに当接して位置決めがなされる。この場合、第1搬送機構201の第1速度V1が第2搬送機構203の第2速度V2より高速であることから、第1搬送機構201に支持された印刷シートSが第2搬送機構203の爪機構202に追い付くことができる。そして、印刷シートSが第2搬送機構203の爪機構202に追い付いた後、この印刷シートSは、前端が爪機構202における爪座241の位置決め部241bに当接していることから、搬送速度が第2速度V2となり、第1搬送機構201との間でスリップが生ずるが、第1搬送機構201と上ガイド装置221(図3参照)との間に所定隙間が設けられていることから、印刷シートSに傷などが発生することはない。
【0093】
ここで、第1搬送機構201と第2搬送機構203との間に併走爪開放区間B1が設けられていることから、第1搬送機構201に支持された印刷シートSが、搬送遅れにより搬送方向の位置がずれていたとしても、この併走爪開放区間B1内におけるいずれかの位置で、印刷シートS前端部が第2搬送機構203の爪機構202に追い付くことができる。
【0094】
その後、図7−3に示すように、併走区間Bにおける併走爪閉止動作区間B2にて、第2搬送機構203の爪機構202に追い付き、前端が爪機構202における爪座241に当接している印刷シートSは、爪機構202における爪部材242が作動することで、把持される。即ち、図6及び図7−2に示すように、爪機構202が併走爪開放区間B1に位置しているとき、カムローラ261が第1カム205の爪開放カム面205aにあることから、爪部材242は、ねじりコイルばね243の付勢力に抗して爪座241から離間した開放位置に停止している。そして、図6及び図7−3に示すように、爪機構202が併走爪閉止作動区間B2に至ると、カムローラ261が第1カム205の爪閉止カム面205bに移動することから、爪部材242は、ねじりコイルばね243の付勢力により爪座241に接近して閉止位置に移動する。そのため、印刷シートSは、先端部が爪機構202に把持される。その後、爪機構202が併走爪閉止作動区間B2から外れて第2搬送区間Cに移動しても、爪部材242は、ねじりコイルばね243の付勢力により閉止位置に維持されるため、印刷シートSは、継続して爪機構202に把持される。
【0095】
このようにして印刷シートSは、併走爪閉止作動区間B2にて、爪機構202により把持されることとなり、ここで、第1搬送機構201から第2搬送機構203に受け渡される。第2搬送機構203が支持した印刷シートSは、図1に示すように、爪機構202が第2カム206に移動したときに、前述とは逆の作動により爪機構202から解除され、排紙装置15に搬送される。即ち、図1及び図6に示すように、爪機構202のカムローラ261が第2カム206の爪開放カム面206aに至ると、爪部材242は、ねじりコイルばね243の付勢力に抗して爪座241から離間した開放位置に移動する。そのため、印刷シートSは、爪機構202による把持から解除され、下ガイド装置271により排紙装置15まで搬送される。
【0096】
一方、爪機構202は、カムローラ261が第2カム206の爪閉止カム面206bに移動することから、爪部材242はこの開放状態が維持される。なお、爪機構202は、第2カム206から離脱すると、閉止状態となるが、再び第1カム205の爪開放カム面205aに至ると、開放することとなる。
【0097】
このように本実施例の被印刷物の搬送装置にあっては、循環可能なベルト部材により印刷シートSの下面を支持して第1速度V1で水平搬送可能な第1搬送機構201と、この第1搬送機構201により印刷シートSの搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間Bが形成されるように配置されると共に印刷シートSを爪機構202により保持して第1速度V1より低速である第2速度V2で水平搬送可能な第2搬送機構203と、併走区間Bで開放状態にある爪機構202を所定の把持位置で閉止すると共に併走区間Bが終了した第2搬送機構203における第2搬送区間Cの所定の解除位置で爪機構202を開放する爪開閉機構204とを設けている。
【0098】
従って、印刷シートSが第1搬送機構201から第2搬送機構203に受け渡されるとき、この第1搬送機構201と第2搬送機構203は、互いに水平搬送であり、且つ、所定の距離だけ重なる併走区間Bが形成されると共に第1搬送機構201より第2搬送機構203の方が低速であることから、第1搬送機構201に支持された印刷シートSは、この併走区間B内で、第2搬送機構203の爪機構202に追い付き、その後、爪開閉機構204により爪機構202が作動して印刷シートSを把持することとなる。そのため、印刷シートSの種類(剛性など)に拘わらず、また、第1搬送機構201による印刷シートSの搬送ずれが生じても、印刷シートSの適正な搬送を行うことができ、印刷シートSの高精度な搬送を可能とすることができる。
【0099】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では爪開閉機構204は、併走区間Bにおける下流端位置で爪機構202を閉止している。従って、第1搬送機構201に支持された印刷シートSに搬送遅れが生じても、この印刷シートSは、遅くとも併走区間Bの下流端位置までに第2搬送機構203の爪機構202に追い付き、その後、爪開閉機構204により爪機構202が作動して印刷シートSを把持することができ、印刷シートSの適正な受渡しを行うことができる。
【0100】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、第1速度V1と第2速度V2との速度差を、第1搬送機構201が支持した印刷シートSを併走区間Bで爪機構202が保持可能な位置まで接近させる速度差としている。第1搬送機構201の搬送速度より第2搬送機構203の搬送速度の方が低速であり、且つ、その速度差が適正な速度差とあることで、第1搬送機構201が支持した印刷シートSを併走区間Bで第2搬送機構203に適正に受け渡すことができる。
【0101】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、第1搬送機構201は、印刷シートSの第1搬送区間Aの前部及び後部に配置されて周方向に沿う溝部が軸方向に所定間隔で複数形成された前後一対の支持ローラ214,216,217と、円形断面をなして前後一対の支持ローラ214,216,217における各溝部に嵌合する複数の丸ベルト218,219とを有している。従って、前後一対の支持ローラ214,216,217の各溝部に丸ベルト218,219をそれぞれ嵌合して第1搬送機構201を構成することで、印刷シートSに対する接触面積を低減して印刷シートSの損傷を防止することができると共に、丸ベルト218,219が支持ローラ214,216,217の溝に嵌合することで、幅方向のずれを防止することができると共に、支持ローラ214,216,217と丸ベルト218,219の支持面積を増加して長手方向の滑りを防止することで、印刷シートSの高精度な搬送を可能とすることができる。
【0102】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、複数の丸ベルト218,219の上方に対向して配置されるガイド部材224を有して第1搬送機構201より下面が支持された印刷シートSの上面を支持可能な上ガイド装置221を設けている。従って、印刷シートSに対して、下方から第1搬送機構201により支持されると共に、上方から上ガイド装置221により支持されることで、印刷シートSを高精度に搬送することができる。
【0103】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、第2搬送機構203は、印刷シートSの搬送区間の前部及び後部に配置された前後一対のスプロケット231,232と、前後一対のスプロケット231,232に掛け回された無端のチェーン233と、チェーン233の長手方向に一定間隔で装着された複数の爪機構202とを有し、爪機構202は、チェーン233に固定されて印刷シートSの先端が当接して位置決め可能な位置決め部241b及び印刷シートSの先端を位置決め部241bに導くガイド部241dが形成された爪座241と、チェーン233に移動自在に装着されて印刷シートSの先端を爪座241との間で把持可能な爪部材242と、爪部材242を印刷シートSの先端を把持する方向に付勢するねじりコイルばね243とを有している。従って、第1搬送機構201に支持された印刷シートSは、前端が爪座241のガイド部241dに導かれながら位置決め部241bに当接して位置決めされた後、爪部材242が作動して爪座241との間で把持されることとなり、爪機構202は、適正に印刷シートSを把持することができる。
【0104】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、爪機構202は、印刷シートSの幅方向に複数設けられ、第1搬送機構201におけるベルト部材と干渉しないように印刷シートSの幅方向にずれて配置されている。従って、第1搬送機構201におけるベルト部材と第2搬送機構203における爪機構202との接触を防止することができると共に、各搬送機構201,203による印刷シートSの高精度な搬送を可能とすることができる。
【0105】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、併走区間Bが終了した第2搬送機構203における第2搬送区間Cに対応して第2搬送機構203より支持された印刷シートSの下面を支持可能な下ガイド装置271を設けている。従って、印刷シートSは、第2搬送機構203により前端部が支持されると共に、下ガイド装置271により下面が支持されることとなり、印刷シートSを高精度に搬送することができる。
【0106】
また、本実施例の被印刷物の搬送装置では、第1搬送機構201より印刷シートSの搬送方向における上流側に印刷シートSを挟持して搬送可能な上下一対の搬送ローラ81を設け、この搬送ローラ81から併走区間Bまでの距離、つまり、第1搬送区間Aが印刷シートSにおける搬送方向の長さより長く設定されている。従って、印刷シートSが搬送ローラ81から第1搬送機構201に送られるとき、この印刷シートSは搬送ローラ81による拘束が解除されることとなり、第1搬送機構201と第2搬送機構203との間に搬送速度の変化があっても、印刷シートSを適正に搬送することができる。また、搬送ローラ81から併走区間までの距離は、印刷シートSの長さより長い距離に設定されているため、搬送される印刷シートSの先端が第2搬送機構203の爪部材242に接触して印刷シートSの搬送速度が変更した場合でも、搬送される印刷シートSが丸ベルト218,219上を摺動することでその速度差を吸収することができる。
【0107】
また、本実施例の電子写真印刷装置10にあっては、給紙装置11と、印刷装置12と、定着装置13と、トナー画像が定着された印刷シートSを搬送する搬送装置14と、排紙装置15とを備えて構成し、搬送装置14として、循環可能なベルト部材により印刷シートSの下面を支持して第1速度V1で水平搬送可能な第1搬送機構201と、この第1搬送機構201により印刷シートSの搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間Bが形成されるように配置されると共に印刷シートSを爪機構202により保持して第1速度V1より低速である第2速度V2で水平搬送可能な第2搬送機構203と、併走区間Bで開放状態にある爪機構202を所定の把持位置で閉止すると共に併走区間Bが終了した第2搬送機構203における第2搬送区間Cの所定の解除位置で爪機構202を開放する爪開閉機構204とを設けている。
【0108】
従って、搬送装置14にて、印刷済の印刷シートSは、第1搬送区間Aで第1搬送機構201に支持され、併走区間B内で第2搬送機構203の爪機構202に追い付き、その後、爪開閉機構204により爪機構202が作動して印刷シートSを把持することとなる。そのため、印刷シートSの種類(剛性など)に拘わらず、また、第1搬送機構201による印刷シートSの搬送ずれが生じても、印刷シートSの適正な搬送を行うことができ、印刷シートSの高精度な搬送を可能とすることができる。その結果、電子写真印刷装置10による印刷品質の向上を可能とすることができる。
【0109】
なお、上述した実施例では、第1搬送機構201より第2搬送機構203を低速とするために、給紙装置11から搬送装置14の第1搬送機構201までの搬送速度はほぼ一定とし、第2搬送機構203の搬送速度を低速としたが、給紙装置11から排紙装置15までの搬送速度はほぼ一定とし、第1搬送機構201の搬送速度のみを高速としてもよい。
【0110】
本実施例では、本発明の被印刷物の搬送装置を電子写真印刷装置に適用したが、これに限らず、枚葉印刷機などの印刷機に適用してもよい。また、被印刷物を印刷シートSとしたが、所定の大きさの紙、樹脂シートなであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明に係る被印刷物の搬送装置及び電子写真印刷装置は、第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構と第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構とを併走区間をもって配置し、この併走区間で爪機構が被印刷物を把持可能とすることで、被印刷媒体の高精度な搬送を可能とするものであり、いずれの種類の被印刷物の搬送装置、電子写真印刷装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0112】
10 電子写真印刷装置
11 給紙装置
12 印刷装置
13 定着装置
14 搬送装置(被印刷物の搬送装置)
15 排紙装置
31 バックアップローラ
32 中間転写体
33,34,35,36 現像ユニット
201 第1搬送機構
202 爪機構
203 第2搬送機構
204 爪開閉機構
205 第1カム
206 第2カム
214 駆動ローラ(前部支持ローラ)
216 支持ローラ(後部支持ローラ)
217 支持ローラ
218,219 丸ベルト(搬送ベルト)
221 上ガイド装置
224 ガイド部材
226 スリット
231,232 スプロケット
233 チェーン
241 爪座
241a 第1突出部
241b 位置決め部
241c 第2突出部
241d ガイド部
242 爪部材
243 ねじりコイルばね(付勢部材)
258 把持プレート
261 カムローラ
271 下ガイド装置
S 印刷シート(被印刷物)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環可能なベルト部材により印刷済の被印刷物の下面を支持して第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構と、
該第1搬送機構より前記被印刷物の搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間が形成されるように配置されると共に該被印刷物を爪機構により保持して前記第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構と、
前記併走区間で開放状態にある前記爪機構を所定の把持位置で閉止すると共に前記併走区間が終了した前記第2搬送機構における搬送区間の所定の解除位置で前記爪機構を開放する爪開閉機構と、
を備えることを特徴とする被印刷物の搬送装置。
【請求項2】
前記爪開閉機構は、前記併走区間における下流端位置で前記爪機構を閉止することを特徴とする請求項1に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項3】
前記第1速度と前記第2速度との速度差は、前記第1搬送機構が支持した前記被印刷物を前記併走区間で前記爪機構が保持可能な位置まで接近させる速度差であることを特徴とする請求項1または2に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送機構は、前記被印刷物の搬送区間の前部及び後部に配置されて周方向に沿う溝部が軸方向に所定間隔で複数形成された前後一対の支持ローラと、前記ベルト部材として円形断面をなして前記前後一対の支持ローラにおける各溝部に嵌合する複数の丸ベルトとを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項5】
前記複数の丸ベルトの上方に対向して配置されるガイド部材を有して前記第1搬送機構より下面が支持された前記被印刷物の上面を支持可能な上ガイド装置を設けることを特徴とする請求項4に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項6】
前記第2搬送機構は、前記被印刷物の搬送区間の前部及び後部に配置された前後一対のスプロケットと、該前後一対のスプロケットに掛け回された無端のチェーンと、該チェーンの長手方向に一定間隔で装着された複数の前記爪機構とを有し、該爪機構は、前記チェーンに固定されて前記被印刷物の先端が当接して位置決め可能な位置決め部及び前記被印刷物の先端を前記位置決め部に導くガイド部が形成された爪座と、前記チェーンに移動自在に装着されて前記被印刷物の先端を前記爪座との間で把持可能な爪部材と、該爪部材が前記被印刷物の先端を把持する方向に付勢される付勢部材とを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項7】
前記爪機構は、前記被印刷物の幅方向に複数設けられ、前記第1搬送機構における前記ベルト部材と干渉しないように前記被印刷物の幅方向にずれて配置されることを特徴とする請求項6に記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項8】
前記併走区間が終了した前記第2搬送機構における搬送区間に対応して該第2搬送機構より支持された前記被印刷物の下面を支持可能な下ガイド装置を設けることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項9】
前記第1搬送機構より前記被印刷物の搬送方向における上流側に前記被印刷物を挟持して搬送可能な上下一対の搬送ローラが設けられ、該搬送ローラから前記併走区間までの距離が前記被印刷物における搬送方向の長さより長く設定されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の被印刷物の搬送装置。
【請求項10】
被印刷物を1枚ずつ供給可能な給紙装置と、
該給紙装置から供給された前記被印刷物に対して液体トナーが感光体の静電潜像に転写されて現像したトナー画像を転写する印刷装置と、
前記被印刷物に転写されたトナー画像を加熱して定着させる定着装置と、
該定着装置によりトナー画像が定着された前記被印刷物を搬送する搬送装置と、
該搬送装置により搬送された前記被印刷物を所定位置に積み上げる排紙装置と、
を備える電子写真印刷装置において、
前記搬送装置は、
循環可能なベルト部材により印刷済の被印刷物の下面を支持して第1速度で水平搬送可能な第1搬送機構と、
該第1搬送機構より前記被印刷物の搬送方向における下流側に所定の距離だけ併走区間が形成されるように配置されると共に該被印刷物を爪機構により保持して前記第1速度より低速である第2速度で水平搬送可能な第2搬送機構と、
前記併走区間で開放状態にある前記爪機構を所定の把持位置で閉止すると共に前記併走区間が終了した前記第2搬送機構における搬送区間の所定の解除位置で前記爪機構を開放する爪開閉機構と、
を有することを特徴とする電子写真印刷装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図7−3】
image rotate


【公開番号】特開2012−140242(P2012−140242A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1285(P2011−1285)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】