説明

被洗浄物の洗浄装置

【課題】被洗浄物の洗浄機構に加熱源として蒸気を供給する燃料ボイラーと、この燃料ボイラーの蒸気を用いて発電を行う蒸気発電機とからなり、蒸気発電機により発電した電力を、洗浄機構を駆動する少なくとも一部の電力として使用する。そのため、予期せぬ停電等が発生した場合も、蒸気発電機により発電した電力を使用して、洗浄作業を継続したり、洗浄作業を安全に停止させるための処置を行う事が可能となる。
【解決手段】被洗浄物の洗浄機構6に加熱源として蒸気を供給する燃料ボイラー1と、この燃料ボイラー1の蒸気を用いて発電を行う蒸気発電機5とからなり、蒸気発電機5により発電した電力を、洗浄機構6を駆動する少なくとも一部の電力として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、機械部品、医療機器等の被洗浄物を洗浄するための洗浄装置に係るもので外部電力を必要としないか、外部電力の使用を減少させる事を可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品、機械部品、医療機器等の被洗浄物を液洗浄したり蒸気洗浄したり、また真空乾燥したりする、様々な洗浄工程に於いて広く電力が使用されている。その従来例は当業者に於いて自明の事項であって例示するまでもないが、例えば特許文献1に於いては、真空ポンプ、超音波振動子、バルブの開閉、その他の多くの部分で電力が使用されている。そして、電力の供給が停止されれば装置の作動は停止するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−99148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示す如き洗浄装置においては、停電により電気の供給が停止されれば装置の作動は直ちに停止し、洗浄作業は停止されたり、洗浄作業を行う事が出来ないものとなる。そのため、洗浄の作業性能を著しく低下するものになるとともに予測し得ない停電によって、溶剤蒸気の流出等の安全性にも問題が発生する虞が生じる。
【0005】
そこで本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、被洗浄物の洗浄装置に於いて予測し得ない停電によっても進行中の洗浄作業を継続させたり、少なくとも安全に装置を停止させるための処置を余裕を持って実現させる事を可能にしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は上述の如き課題を解決するため、被洗浄物の洗浄機構に加熱源として蒸気を供給する燃料ボイラーと、この燃料ボイラーの蒸気を用いて発電を行う蒸気発電機とからなるものである。そして、蒸気発電機により発電した電力を、洗浄機構を駆動する少なくとも一部の電力として使用するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く構成したものであって、被洗浄物の洗浄機構に加熱源として蒸気を供給する燃料ボイラーと、この燃料ボイラーの蒸気を用いて発電を行う蒸気発電機とからなるものであるから、蒸気発電機により発電した電力を、洗浄機構を駆動する少なくとも一部の電力として使用することにより、予期せぬ停電等が発生した場合も、蒸気発電機により発電した電力を使用して、洗浄作業を継続したり、洗浄作業を安全に停止させるための処置を行う事が可能となる。また、停電が予測される場合には、洗浄作業の中でも電力使用量の少ない作業のみを行う事も可能となる。もちろん、燃料ボイラーや蒸気発電機の能力を大きなものとすれば、被洗浄物の洗浄機構に十分な電力とカロリーを供給し、予期せぬ停電等が発生した場合も、洗浄作業を通常通りに行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1を示す概念図。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施例1を図1において説明すると、(1)は燃料ボイラーで、石油、重油、ガス等の燃料を使用して水を蒸気に変換するもので、電気を使用せずに蒸気の発生を可能とするものであるが、センサー等の制御部(2)については小電力を使用し、停電時にバッテリ作動が可能なものであれば勿論使用可能である。この燃料ボイラー(1)は、各々レギュレータ(3)(4)を介して蒸気発電機(5)及び洗浄機構(6)の蒸気発生槽(7)に接続している。
【0010】
そして、蒸気発電機(5)は燃料ボイラー(1)から供給される蒸気により発電した電力を洗浄機構(6)の制御盤(8)に供給するとともにバッテリー(10)を内蔵し、このバッテリー(10)を燃料ボイラー(1)の制御部(2)と接続し、通常時は勿論、停電時にも燃料ボイラー(1)の制御部(2)の作動を可能としている。また、蒸気発電機(5)は外部電力を使用しなくとも洗浄機構(6)を正常に作動させる事ができる発電能力を備える事が望ましい。しかし、このような能力を備えるためには蒸気発電機(5)及び燃料ボイラー(1)が大型化し、高価なものとなるため経済的には必ずしも好ましいものではない。
【0011】
そこで、本実施例では、蒸気発電機(5)により発電した電力を、洗浄機構(6)を駆動する少なくとも一部の電力として使用するものとし、不足する電力を外部電力で補充するものとした。そして、予期せぬ停電等が発生した場合も、蒸気発電機(5)により発電した電力を使用して、浸漬洗浄、蒸気洗浄、真空乾燥等の洗浄作業の一部のみを継続したり、洗浄作業を安全に停止させるための処置を行う事が可能となる。また、停電が予測される場合には、各種の洗浄作業の中でも電力使用量の少ない作業のみを行う事も可能となる。また、外部電力が供給され停電の虞がない場合は、外部電力のみで洗浄機構(6)を駆動し、燃料ボイラー(1)は洗浄機構(6)の熱源にのみ使用するものとしても良い。
【0012】
また、洗浄機構(6)は従来公知の一般的なものでも良いし、特殊なものであっても良いが、電力の使用を必須の要件とするものである。そして、蒸気発電機(5)から供給される電力を、洗浄機構(6)の制御盤(8)を介して洗浄槽(11)の駆動モータ(12)に供給する。この駆動モータ(12)は、洗浄槽(11)内に挿入した、被洗浄物を収納した洗浄籠(13)を回転する回転機構(14)を駆動し、被洗浄物と洗浄液(15)との接触を良好としている。また、洗浄槽(11)にはポンプ(16)を接続し、洗浄槽(11)内の洗浄液(15)を濾過器(17)を介して循環し洗浄液(15)の清浄度を保つ事ができるようにしている。また、洗浄機構(6)は、洗浄槽(11)に蒸気洗浄のための蒸気発生槽(7)を接続している。
【0013】
この蒸気発生槽(7)は内部に洗浄液(15)を充填するとともに洗浄液(15)を加熱し蒸気を発生させるための加熱コイル(18)を配置している。この加熱コイル(18)には燃料ボイラー(1)をレギュレータ(4)を介して接続し、燃料ボイラー(1)から過熱蒸気を供給する事により洗浄蒸気の発生を可能としている。この燃料ボイラー(1)からの過熱蒸気の供給によって発生した洗浄蒸気は、洗浄槽(11)に供給され、被洗浄物の蒸気洗浄を行う。この蒸気洗浄に於いては、洗浄液(15)をリザーブタンク(図示せず)等に事前に排出しておく事は当然である。
【0014】
また、上記の洗浄機構(6)は単に一実施例を示すものであって、洗浄目的に応じて任意のものを選択できるものであり、例えば洗浄槽(11)や蒸気発生槽(7)に減圧機構(図示せず)を接続し、被洗浄物の減圧蒸気洗浄、減圧乾燥等を行う事も勿論可能である。また、洗浄液(15)も洗浄目的に応じて任意のものを選択する事が可能であって、例えばフッ素系溶剤、シリコーン系溶剤、炭化水素系溶剤、テルペン系溶剤、HFE溶剤液、親水系溶剤、水等の一種または複数種から洗浄液(15)を形成しても良い。
【符号の説明】
【0015】
1 燃料ボイラー
5 蒸気発電機
6 洗浄機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物の洗浄機構に加熱源として蒸気を供給する燃料ボイラーと、この燃料ボイラーの蒸気を用いて発電を行う蒸気発電機とからなり、蒸気発電機により発電した電力を、洗浄機構を駆動する少なくとも一部の電力として使用する事を特徴とする被洗浄物の洗浄装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−217981(P2012−217981A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90065(P2011−90065)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390019884)ジャパン・フィールド株式会社 (28)
【Fターム(参考)】