説明

被記録材の排出方法及び被記録材の搬出装置

【課題】排紙されたロール紙とカット紙を混在させて積載することを可能にし、排紙された被記録材を取り扱うときの利便性を向上する。
【解決手段】ロール紙の撓みを矯正するステップと、用紙を積載せずに収容するバスケット又は用紙を積載して収容する排紙トレイに選択的に用紙を排出するステップとを有し、記録装置によって記録された用紙を排出するための用紙の排出方法であって、カット紙及び撓みが矯正されたロール紙を排紙トレイに排出し、撓みが矯正されていないロール紙をバスケットに排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカット紙、ロール紙等の被記録材の排出先を、被記録材を積載させずに収容するバスケット等の第1収容部又は被記録材を積載させて収容するトレイ等の第2収容部に選択的に排出するための被記録材の排出方法及び被記録材の排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被記録材として用紙である、ロール紙とカット紙とを併用する記録装置では、ロール紙を排出させるための排出路と、カット紙を排出させるための排出路とを切り替える技術が可能にされている(特許文献1参照)。
【0003】
また、モード切り替えを行うことによって可動されるペーパガイドに沿って、ステープルモード時には用紙の後端が下方向にカールされた状態でステープルトレイに搬送される構成が開示されている(特許文献2参照)。ノンステープルモード時には、用紙の前端が上方向にカールされた状態のままで、トレイに排紙される。
【0004】
また、ロール紙の前端部のカールの高さ、つまりカール量の大きさに応じて、通常搬送路又はカール矯正用搬送路のいずれかに用紙の進路を振り分ける技術が可能にされている。(特許文献3参照。)
【特許文献1】特開平05−077998号公報
【特許文献2】特開平08−026563号公報
【特許文献3】特開平05−070008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術は、以下のような問題点が存在する。
【0006】
特許文献1に開示された技術では、ロール紙とカット紙の排出路を切り替える機械的な構成を主眼としており、カット紙とロール紙とを混在させた状態で排出トレイに積載する排出処理については考慮されていない。従来の記録装置では、ロール紙とカット紙がそれぞれ異なる排出先に排出され、特にロール紙はバスケット等に積載させずに収納されるので、排出された用紙の取り扱い時の利便性が乏しい。
【0007】
また、記録装置では、用紙の縁無し記録で不要になった用紙の前端、後端部分、トリミングカットで不要になった用紙の前端部分を切断することで、カット屑が発生する。加えて、ロール紙が用いられる記録装置では、ロール紙の巻き癖等の撓み(カール)を矯正する(以下、デカールと称する)際にロール紙の前端部を切断する場合があり、カット屑が発生することがある。このようなカット屑を含めた不要な用紙を排出するための排出処理に関しては、上述した特許文献では一切考慮されていない。また、上述した従来の技術では、用紙のカール量、用紙の外形寸法(サイズ)、用紙の仕様に応じて、用紙の排出先を切り替えるという点についても何ら考慮されていない。
【0008】
また、記録装置では、記録後の用紙のインクが乾燥し難いために用紙を切断後に落下させたくない用紙(以下、イジェクトカット紙と称する)や、記録装置が備えるカッタで切断することができない用紙(以下、ユーザカット紙と称する)が用いられることがある。上述した従来の技術では、このようなイジェクトカット紙やユーザカット紙等を切断するときの操作性について考慮されておらず、操作性が乏しいという問題がある。また、ユーザによる操作によって所望の方向に被記録材を任意の搬送量だけ搬送する場合(以下、マニュアルフィードと称する)の操作性に対する考慮が欠けている。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑み、第2収容部にロール状の被記録材及びシート状の被記録材を混在させて積載することを可能する。これによって、本発明は、排出された被記録材を取り扱うときの利便性(操作性)を向上することができる被記録材の排出方法、及び被記録材の排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明に係る被記録材の排出方法は、ロール状の被記録材の撓みを矯正するステップと、被記録材を積載せずに収容する第1収容部又は被記録材を積載して収容する第2収容部に選択的に被記録材を排出するステップと、を有し、記録手段によって記録された被記録材を排出するための被記録材の排出方法であって、
シート状の被記録材及び撓みが矯正されたロール状の被記録材を第2収容部に排出し、撓みが矯正されていないロール状の被記録材を第1収容部に排出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シート状の被記録材及び撓みが矯正されたロール状の被記録材を第2収容部に積載して排出することで、第2収容部にシート状の被記録材とロール状の被記録材とを混在させて積載することが可能になる。このため、本発明によれば、排出された被記録材を取り扱うときの利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態の記録装置は、ロール状の被記録材としてのロール紙と、シート状の被記録材としてのカット紙とが用いられ、これらロール紙及びカット紙に記録を行って排紙する構成にされている。
【0014】
図1は、本実施形態の記録装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、記録装置13は、制御手段及び判断手段としてのCPU1と、LCD(液晶ディスプレイ)等を有する表示部2、スイッチやキー等が配置された入力部3を備えている。なお、本実施形態では、表示部2と入力部3を含めてパネルと称する。
【0015】
また、この記録装置13は、インクを吐出して記録を行う複数の記録ヘッド、記録ヘッドが装着されるキャリッジ、このキャリッジを駆動するためのモータを有して構成される記録部4を備えている。また、記録装置13は、インクを収容するインクタンク及びインクを各記録ヘッドに供給するチューブやモータ等で構成される供給/回復部5を備えている。
【0016】
また、記録装置13は、ロール紙が給紙されるロール給紙口、カット紙が給紙されるカセット給紙口、手差し給紙口、用紙を搬送する搬送ローラ、搬送ローラを駆動する搬送モータ、用紙搬送部6を備えている。
【0017】
また、記録装置13は、書き換えの発生頻度が比較的低いモジュールを格納するROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等のメモリ7、主にメモリ7に格納されているプログラムの作業領域や変数等に使用されるRAM(Random Access Memory)等のメモリ8を備えている。また、記録装置13は、電源オフ状態においても値を保持したい変数を格納するために使用するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等のメモリ9(いわゆるNVRAM(不揮発性RAM))を備えている。また、記録装置13は、USB(Universal Serial Bus)やネットワーク等のホストインタフェース10、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ11を備えている。
【0018】
メモリ7に格納されているファームウェアは、記録装置13を制御するためのプログラムであり、図5及び図6に示すフローチャートにおける各処理を含んでいる。メモリ8が有する受信バッファには、ホストコンピュータ11からホストインタフェース10を通して受信したジョブ(記録データ)等が格納される。同様に、メモリ8が有するプリントバッファには、受信バッファから読み込んだラスタデータを展開(圧縮されている場合)して格納する。なお、受信バッファ及びプリントバッファについては、本実施形態において特に重要ではないため、詳細な説明を省く。
【0019】
図2は、実施形態のプリンタを示す斜視図である。図2に示すように、プリンタは、上述した記録装置13と、この記録装置13によって記録された用紙を排出する排出装置20を備えている。排出装置20は、図2に示すように、ロール紙やカット屑等が排紙されて用紙を積載せずに収容する第1収容部としてのバスケット12を備えている。
【0020】
図3及び図4は、実施形態の排出装置の構成を示す断面図である。図3及び図4に示すように、排出装置20は、カット紙及び、巻き癖による撓みが矯正された(デカールされた)ロール紙が排紙される第2収容部としての排紙トレイ14を備えている。また、排出装置20は、ロール紙を切断するためのカッタユニット15と、バスケット12に向かう搬送路であるバスケットパス16とを備えている。図3におけるバスケットパス16の下流側には、図2に示したバスケット12が配置されて構成されている(不図示)。
【0021】
また、図示しないが、排出装置20は、ロール紙の巻き癖による撓みを矯正するための撓み矯正手段としてのデカール用ローラ機構を備えている。
【0022】
図3は、用紙を排紙トレイ14に排紙する状態を示す断面図であり、図4は、用紙をバスケット12に排紙する状態を示す断面図である。排紙トレイ14はモータ等(不図示)で駆動されるように構成されており、排紙トレイ14の一端部側を上昇させたときに図4に示した状態になり、排紙トレイ14の一端部側を下降させたときに図3に示した状態になる。
【0023】
本実施形態では、用紙の排紙処理において次のように動作を行う。用紙がカット紙である場合には排紙トレイ14に排紙する。また、撓みが矯正されたデカール済みのロール紙である場合には、排紙トレイ14に排紙される。なお、排出装置20は、記録装置13側のCPU1によって、カット紙及びデカールされたロール紙を排紙トレイ14に排出し、デカールされていないロール紙をバスケット12に排出するように切り替えられる。なお、本実施形態では、記録装置13側のCPU1によって排出先を切り替える制御が行われるが、排出装置20が、排出先を切り替える制御回路部を備える構成にされてもよいのは勿論である。
【0024】
また、搬送経路上で用紙が詰まる搬送不良、いわゆるジャムが発生した場合であっても、用紙を搬送可能である場合には、この用紙をバスケット12に排紙する。また、用紙が排紙トレイ14に積載させることが可能なカール量、用紙の外形寸法(サイズ)、用紙の仕様(用紙タイプ)であると判断された場合には、排紙トレイ14に排紙する。なお、用紙の外形寸法とは、例えばA4等の定型サイズの種別、又は、用紙の主走査方向及び副走査方向の長さを指している。用紙の仕様とは、例えば普通紙やコート等の用紙の種類を指している。
【0025】
また、本実施形態のプリンタでは、記録された用紙のインクが乾燥し難いときに用紙の一端側をユーザが保持した状態で、ユーザによる操作に従って切断する、いわゆるイジェクトカットを行うことが可能にされている。また、本実施形態では、記録装置が備えるカッタユニットで切断できない用紙を用いたときにユーザによって手動で切断する、いわゆるユーザカットを行うことが可能にされている。このようなイジェクトカット及びユーザカットを行う場合には、用紙(イジェクトカット紙、ユーザカット紙)を排紙トレイ14に排紙する。また、ロール紙のデカールを行ったとき発生したカット屑、及び、上述以外のロール紙は、バスケット12に排紙する。
【0026】
さらに、本実施形態のプリンタでは、ユーザによる操作によって任意の搬送量だけ用紙を搬送する、いわゆるマニュアルフィードを行うことが可能にされている。このようなマニュアルフィードを行う場合には、用紙を排紙トレイ14に排紙するように動作する。
【0027】
以下、これらの各場合における排紙処理について、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
まず、用紙の排紙処理について、図5を参照して説明する。なお、用紙の排紙処理とは、記録後に行われる排紙処理だけではなく、マニュアルフィードを含む排紙方向に用紙を搬送する処理全般を指している。
【0029】
図5に示すように、ステップS5−1では、排紙する対象である用紙が、カット紙であるかロール紙であるかを判断する。この判断方法としては、例えば、表示部2及び入力部3を用いてカット紙の給紙又はロール紙の給紙が実行されるように構成し、給紙の指示に基づいて、判断手段としてのCPU1によって判断する方法等が挙げられる。用紙がカット紙である場合には、ステップS5−2に移行し、ロール紙である場合にはステップS5−9に移行する。
【0030】
ステップS5−2では、用紙にジャムが発生したか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、記録部4のキャリッジに光学センサが設けられ、キャリッジの底面と用紙の上面との間の距離を検知して判断する方法等が考えられる。用紙にジャムが発生した場合には、ステップS5−5に移行し、ジャムが発生していない場合にはステップS5−3に移行する。
【0031】
ステップS5−3では、ジャムが発生していない場合に、用紙を排紙トレイ14に排紙するために、排紙トレイ14の一端部側を下降させる。排紙トレイ14は、制御手段としてのCPU1によって駆動制御され、図3に示すように、載置面が水平にされた状態にされる。なお、排紙トレイ14が既に図3に示した状態にされている場合には、排紙トレイ14を下降させる必要はないことは勿論であり、ステップS5−3が行われない。そして、ステップS5−4では、用紙を排紙トレイ14に排紙する。
【0032】
以上のように、用紙としてカット紙を排紙する場合には、用紙を排紙トレイ14に排紙することが可能になる。
【0033】
ジャムが発生した場合、ステップS5−5では、ジャムが発生した用紙を排紙方向に搬送可能であるか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、ゆっくりとLF搬送ローラを、用紙の排紙方向へ回転させて、LF搬送ローラの回転量を用いて判断する方法が考えられる。また、この判断方法としては、ステップS5−2で光学センサを用いて検知したキャリッジの底面と用紙の上面との間の距離を用いて判断する方法が考えられる。用紙を搬送可能な場合には、ステップS5−7に移行し、用紙を搬送不可能な場合にはステップS5−6に移行する。
【0034】
ステップS5−6では、ジャムを回復するためのジャム処理を行う。ステップS5−5において、用紙を搬送不可能であると判断された場合に、例えば、ユーザに用紙を取り除く操作を行わせるためのメッセージを表示部2に表示する。表示部2のメッセージを確認したユーザが、ジャムを発生した用紙を取り除くことで、ジャム処理が終了する。
【0035】
ステップS5−7では、用紙をバスケット12に排紙するために、排紙トレイ14の一端部側を上昇させる。排紙トレイ14は、図4に示すように、一端部側が上昇されて、用紙をバスケット12に排紙するための経路から退いた状態にされる。なお、排紙トレイ14が既に図4に示した状態に移動されている場合には、排紙トレイ14を上昇させる必要はないことは勿論であり、ステップS5−7が行われない。
【0036】
そして、ステップS5−8では、用紙をバスケット12に排紙する。すなわち、用紙にジャムが発生し、かつ、その用紙の搬送が可能な場合には、用紙をバスケット12に排紙することも可能にされている。なお、本実施形態では、用紙としてカット紙を用いたときにおけるジャムに関して説明したが、ロール紙等についても同様に処理することができることは言うまでも無い。
【0037】
ステップS5−9では、排紙する用紙が、カット屑であるか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、用紙のデカールを行う際に不要になった用紙の搬送方向の前端部分に対するカットの指示があるか否かに基づいて判断することが考えられる。ロール紙の前端部は、カール量が比較的大きいので、この前端部のデカールを行わずに切断することがあり、この切断によってカット屑が発生する。また同様に、この判断方法としては、例えば、用紙の縁無し記録で不要になった用紙の前端、後端部分、トリミングカットで不要になった用紙の前端部分等に対するカットの指示があるか否か等に基づいて判断することが考えられる。用紙がカット屑であると判断された場合には、ステップS5−10に移行し、用紙がカット屑ではないと判断された場合には、ステップS5−13に移行する。
【0038】
ステップS5−10では、カット屑をバスケット12に排紙するために、排紙トレイ14の一端部が上昇されて、排紙トレイ14が、用紙をバスケット12に排紙するための経路から退いた状態にされる。ステップS5−11では、カッタユニット15を使用して、カット屑を細かく切断する。そして、ステップS5−12では、切断されたカット屑をバスケット12に排紙する。
【0039】
以上のように、ロール紙を使用した場合に発生したカット屑をバスケット12に排紙することが可能にされている。
【0040】
ステップS5−13では、排紙する用紙の切断方法がイジェクトカットであるか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、用紙の種類や仕様毎にメモリ9に保存されている判断方法テーブル(不図示)を使用して判断するか、ホストコンピュータからの制御信号等で指定された切断方法を使用して判断する方法等が考えられる。イジェクトカットである場合には、ステップS5−23に移行し、イジェクトカットでは無い場合にはステップS5−14に移行する。
【0041】
ステップS5−23では、用紙を排紙トレイ14に排紙するために、排紙トレイ14の一端部側が下降される。これは、イジェクトカット処理時に、ユーザが用紙を手で保持し易いようにするためである。
【0042】
ステップS5−24では、イジェクトカット処理を行う。このイジェクトカット処理としては、例えば、用紙の切断位置をカッタユニット15まで搬送し、ユーザが手で用紙を保持しながら入力部3の所定のキーを押す旨のメッセージを表示部2に表示する構成等を採ることが挙げられる。このイジェクトカット処理では、ユーザが所定のキーを押して操作することで、ユーザによって保持された用紙がカッタユニット15によって切断される。そして、ステップS5−4では、イジェクトカットを行って切断された用紙を排紙トレイ14に排紙する。
【0043】
以上のように、イジェクトカットを行った場合には、用紙を排紙トレイ14に排紙することが可能にされている。
【0044】
ステップS5−14では、排紙する用紙の切断方法がユーザカットであるか否かを判断する。この判断方法としては、上述したステップS5−13におけるイジェクトカット処理のときと同様である。ユーザカットである場合には、ステップS5−15に移行し、ユーザカットでは無い場合にはステップS5−17に移行する。
【0045】
ステップS5−15では、用紙を排紙トレイ14に排紙するために、排紙トレイ14の一端部を下降させる。このように排紙トレイ14を下降させるのは、ユーザカット処理時に、ユーザが手で用紙を保持し易いようにするためである。
【0046】
ステップS5−16では、ユーザカット処理を行う。このユーザカット処理の内容としては、例えば、ユーザが用紙をハサミ等で切断し易い位置まで任意の搬送量だけ搬送し、ハサミ等を用いて用紙の任意の位置を切断した後に入力部3の所定のキーを押す旨のメッセージを表示部2に表示する構成が挙げられる。このユーザカット処理は、ユーザが所定のキーを押して操作することで終了する。
【0047】
そして、ステップS5−4では、ユーザカットを行って切断された用紙を排紙トレイ14に排紙する。ただし、ユーザカットを行う場合、ユーザがハサミ等で用紙の切断を行っているので、排出装置20としての後処理等が不要であれば、ユーザの作業を妨げないように特に何も処理を行う必要は無い。以上のように、ユーザカットを行う場合には、用紙を排紙トレイ14に排紙することが可能にされている。
【0048】
ステップS5−17では、用紙がデカール済みであるか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、用紙のデカールを行った後に、メモリ9に保存されている、デカール済みのときに実行する処理プログラム(不図示)を使用して判断する方法等が考えられる。用紙がデカール済みである場合にはステップS5−21に移行し、用紙のデカールを行っていない場合にはステップS5−18に移行する。
【0049】
ステップS5−18では、用紙が排紙トレイ14に積載するのに適したカール量であるか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、ステップS5−2で用いた光学センサによって、キャリッジの底面と用紙の上面との間の距離を、用紙の搬送方向における複数箇所で検知し、その差が所定の閾値を超えたか否かによって判断する方法等が考えられる。用紙が排紙トレイ14上に積載するのに適したカール量である場合には、ステップS5−21に移行し、用紙のカール量が積載するのに適していない場合には、ステップS5−19に移行する。
【0050】
ステップS5−19では、用紙が排紙トレイ14に積載するのに適した用紙サイズであるか否かを判断する。この判断方法としては、例えば、ホストコンピュータからの制御信号等で指定された用紙サイズを使用して判断する方法等が考えられる。排紙トレイ14に積載するのに適した用紙サイズである場合には、ステップS5−21に移行し、適していない場合にはステップS5−20に移行する。
【0051】
ステップS5−20では、用紙が排紙トレイ14に積載するのに適した用紙タイプであるか否かを判断している。この判断方法としては、例えば、ホストコンピュータから制御信号等で指定された用紙タイプを使用して判断する方法等が考えられる。排紙トレイ14に積載するのに適した用紙タイプである場合にはステップS5−21に移行し、適していない場合にはステップS5−10に移行する。
【0052】
ステップS5−10からステップS5−12までにおける処理内容は上述した通りである。以上のように、ステップS5−17からステップS5−20以外のロール紙をバスケット12に排紙することが可能になる。
【0053】
ステップS5−21では、デカール済みのロール紙、又は、カール量、用紙サイズ、用紙タイプが排紙トレイ14に積載するのに適したロール紙を排紙トレイ14に排紙するために、排紙トレイ14の一端部側を下降させる。
【0054】
ステップS5−22では、ロール紙を切断する。ステップS5−4では、切断されたロール紙を排紙トレイ14に排紙する。
【0055】
以上で、デカール済みのロール紙、又は、カール量、用紙サイズ、用紙タイプが排紙トレイ14に積載するのに適したであると判断されたロール紙を排紙トレイ14に排紙することが可能になる。
【0056】
次に、用紙を任意の搬送量だけ搬送するマニュアルフィード処理について、図6を参照して説明する。マニュアルフィードを行う場合は、例えば、表示部2及び入力部3を用いて、表示部2に表示されたメニュー等でユーザが操作することで、操作に応じて行う方法等が挙げられる。なお、図6は、マニュアルフィードを行う場合における処理を示すフローチャートである。
【0057】
図6に示すように、ステップS6−1では、用紙のマニュアルフィードを行うために、排紙トレイ14の一端部側を下降させる。これは、マニュアルフィードされて排紙された用紙をユーザが手で保持する等の取り扱いの作業を行い易くするためである。
【0058】
ステップS6−2では、用紙を搬送する。用紙の搬送量は、ユーザが例えば入力部3の所定のキーを押している時間だけ搬送させる等が挙げられる。以上によって、ロール紙をマニュアルフィードした場合には、ロール紙がデカール済みでない場合であっても、ロール紙を排紙トレイ14に排紙することが可能になる。
【0059】
上述したように、カット紙、デカール済みのロール紙、排紙トレイに積載可能なカール量、用紙サイズ、用紙タイプであると判断されたロール紙は、排紙トレイ14に排紙される。カット屑、及び、上述した以外のロール紙、ジャムが発生した状態でも搬送可能であると判断された用紙は、バスケット12に排紙されて収容される。これらの処理により、排紙されたロール紙やカット紙を排紙トレイ14上に混在させて積載することが可能になる。イジェクトカット及びユーザカット、マニュアルフィードでは、用紙を排紙トレイ14に排紙することによって、排紙される用紙を取り扱い易くなり、用紙の排紙に関する操作性の向上を図ることが可能になる。
【0060】
上述したように、本実施形態によれば、カット紙及びデカールされたロール紙を排紙トレイに積載させて排紙し、デカールされていないロール紙をバスケット12に排紙することで、排紙トレイ14上にカット紙とロール紙とを混在させて積載することが可能になる。このため、本実施形態によれば、排紙された用紙を取り扱うときの利便性を向上することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、カット屑をバスケット12に排紙することによって、排紙トレイ14上に用紙が積載された状態をカット屑によって崩すことを防止することができる。また、本実施形態によれば、ジャムを発生した用紙が搬送可能な状態であると判断された場合にはバスケット12に排紙することによって、排紙トレイ14上に用紙が積載された状態を、ジャムによって歪んだ用紙によって崩すことを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、イジェクトカットを行う場合には排紙トレイ14に用紙を排紙することによって、イジェクトカット時にユーザが手で用紙を手で持ち易くすることができる。つまり、用紙がイジェクトカット紙である場合の操作性を向上することができる。また、本実施形態によれば、ユーザカットを行う場合には排紙トレイ14に用紙を排紙することによって、ユーザカット時にユーザがはさみ等を用いて用紙を切断し易くなる。つまり、用紙がユーザカット紙である場合の操作性を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、マニュアルフィードを行う場合に排紙トレイ14に用紙を排紙することによって、搬送された用紙にユーザが手を近づけて取り扱いする際の作業を行い易くなり、操作性を向上することができる。また、本実施形態によれば、ロール紙に生じているカール量に応じて選択的に排紙トレイ14又はバスケット12にロール紙を排紙することによって、排紙トレイ14上にカット紙とロール紙を混在させて積載することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、用紙のサイズを検出するステップを有し、用紙のサイズに応じて選択的に排紙トレイ14又はバスケット12に用紙を排紙することによって、排紙トレイにカット紙とロール紙を混在させて積載することが可能になる。また、本実施形態によれば、用紙の仕様を検出するステップを有し、用紙の仕様に応じて排紙トレイ14又はバスケット12に用紙を排紙することによって、排紙トレイ上にカット紙とロール紙を混在させて積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態における記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態のプリンタの一例を示す斜視図である。
【図3】実施形態における排出装置において、排紙トレイに用紙を排紙する状態を示す断面図である。
【図4】実施形態における排出装置において、バスケットに用紙を排紙する状態を示す断面図である。
【図5】実施形態における排紙処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施形態におけるマニュアルフィードを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
12 バスケット(第1収容部)
13 記録装置
14 排紙トレイ(第2収容部)
15 カッタユニット
16 バスケットパス
20 排出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の被記録材の撓みを矯正するステップと、
被記録材を積載せずに収容する第1収容部又は被記録材を積載して収容する第2収容部に選択的に被記録材を排出するステップと、を有し、記録手段によって記録された被記録材を排出するための被記録材の排出方法であって、
シート状の被記録材及び撓みが矯正されたロール状の被記録材を前記第2収容部に排出し、撓みが矯正されていない前記ロール状の被記録材を前記第1収容部に排出することを特徴とする、被記録材の排出方法。
【請求項2】
前記ロール状の被記録材の撓みを矯正するときに該被記録材の端部を切断し、切断されたカット屑を前記第1収容部に排出するステップを有する、請求項1に記載の被記録材の排出方法。
【請求項3】
搬送経路で被記録材にジャムが発生したときに該被記録材を搬送可能であるか否か判断するステップを有し、前記被記録材が搬送可能な状態であると判断された場合には、前記被記録材を前記第1収容部に排出する、請求項1又は2に記載の被記録材の排出方法。
【請求項4】
記録された被記録材をユーザが手で保持した状態で被記録材を切断するイジェクトカットを行うステップを有し、該イジェクトカットを行う場合には前記被記録材を前記第2収容部に排出する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被記録材の排出方法。
【請求項5】
ユーザが被記録材を切断するユーザカットを行うための、記録された被記録材を所定の搬送量だけ搬送するステップを有し、該ユーザカットを行う場合には前記被記録材を前記第2収容部に排出する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の被記録材の排出方法。
【請求項6】
ユーザによる操作に応じて被記録材を搬送して前記第2収容部に排出するステップを有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の被記録材の排出方法。
【請求項7】
前記ロール状の被記録材のカール量を検出するステップを有し、被記録材のカール量に応じて選択的に前記第1収容部又は前記第2収容部に被記録材を排出する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の被記録材の排出方法。
【請求項8】
被記録材の外形寸法を検出するステップを有し、
前記被記録材の外形寸法に応じて選択的に前記第1収容部又は前記第2収容部に被記録材を排出する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の被記録材の排出方法。
【請求項9】
被記録材の仕様を検出するステップを有し、
前記被記録材の仕様に応じて選択的に前記第1収容部又は前記第2収容部に被記録材を排出する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の被記録材の排出方法。
【請求項10】
被記録材を搬送する搬送手段と、
被記録材が積載されずに収容される第1収容部と、
被記録材が積載されて収容される第2収容部と、
ロール状の被記録材の撓みを矯正する矯正手段と、
シート状の被記録材及び撓みが矯正された前記ロール状の被記録材である否かを判断する判断手段と、
前記シート状の被記録材及び撓みが矯正された前記ロール状の被記録材を前記第2収容部に排出し、撓みが矯正されていない前記ロール状の被記録材を前記第1収容部に排出するように切り替えるための制御手段と、
を備える、被記録材の排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−1113(P2010−1113A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160309(P2008−160309)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】