説明

装置

【課題】異なる視点から表示装置を観察することによって、各視点によって異なる画像を
観察することができる装置において、異なる画像間におけるクロストークを制御する。
【解決手段】異なる画像を同時に表示する表示装置、異なる画像間に位置するように非表
示領域を形成する液晶表示装置と、レンチキュラーレンズまたはパララックスバリアとを
有する構成により、異なる画像同士のクロストークを減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する発明は、各種情報を表示する表示装置に関する。特に複数の観察者
によりそれぞれ異なる画像を認識することができる表示装置に関する。例えば、同一の画
面において表示される複数の画像を複数の観察者により、それぞれ独立に見ることができ
る表示装置に関する。また、複数の画像が同時に表示されている中から特定の情報のみを
選択的に認識する装置に関する。また、特定の情報のみを選択的に見ることができる装置
に関する。またそのようは表示方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、同一の画面上に異なる画像を表示する技術が知られている。例えば、一つの
画面を分割して、複数のテレビ番組を同時に表示する方法や、一つの画面上に複数の画像
を重ねて表示する方法が知られている。
【0003】
前者の方法は、個々の画像が独立して表示されるので、比較的容易に同時に多数の番組
や画像を見ることができる。しかし、後者の方法は、複数の画像が重なってしまうので、
非常に見にくいものとなってしまう問題がある。
【0004】
またどちらの方法においても複数の画像が同時に表示されてしまうので、見る側の方で
見る対象を選択しなければならない。
【0005】
このことは、複数の異なる画面を複数人で同時に見ようとする場合に問題となる。例え
ば、Aという観察者には見えて、Bという観察者には見えない画像を表示するような場合
には、上述の方法は利用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書で開示する発明は、同一の画面上に表示される異なる画像を複数の観察者が独
立に見ることができる構成を提供することを課題とする。即ち、同一の画面上に表示され
た画像を別々に選択して見ることができる構成に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する発明の一つは、図1にその具体的な例を示すように、
複数の観察者のそれぞれが異なる画像を見ることができる表示装置であって、
同一の画面上に異なる複数の画像を表示する手段11と、
前記複数の画像を観察者毎に選択する手段13と14と、
を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成は表示装置11に表示される時分割された2つの画像を光学シャッターを備え
た眼鏡13と14でもって見ることにより、所定の画像だけを選択的に見ることができる
ものである。
【0009】
図1には、2つの画像を個別に見る場合の例が示されているが、時分割をさらに多くす
れば、さらに多くの画像を個別に見ることができる。図1に示す構成は、13または14
で示される眼鏡のシャッターのタイミングを変えることで、所望の画像を見ることができ
る。また、複数人で同一のタイミングを有するシャッターを用いれば、同一の画像を複数
人で同時に見ることができる。
【0010】
他の発明の構成は、図1にその具体的な例を示すように、
複数の観察者のそれぞれが異なる画像を見ることができる表示装置であって、
同一の画面上に異なる複数の画像を時間的に分割して表示する手段11と、
光学シャッターを備えた手段13及び/または14と、
を有し、
前記光学シャッターを備えた手段13及び/または14において、前記分割タイミング
に合わせて前記光学シャッターを開閉させ前記時間的に分割された画像の一つを選択的に
透過させることを特徴とする。
【0011】
上記構成においては、光学シャッターを備えた手段である眼鏡(例えば13で示される
)を適時選択することにより、必要とする画像のみを選択的に認識することができる。例
えば、複数人で同じ画面を見ている状態において、特定の人だけが特定の画像を見たり、
特定の人だけが特定の画像を見ることができない状態を実現することができる。
【0012】
他の発明の構成は、図3にその具体的な例を示すように、
複数の観察者のそれぞれが異なる画像を見ることができる表示装置であって、
同一の画面上に異なる複数の画像を時間的に分割して表示する手段(図ではCRT)と

前記分割された画像の少なくとも一つに異なる偏光状態を与える手段(図では偏光板と
πセルと1/4波長板とで構成される手段又はπセルで構成される手段)と、
を有していることを特徴とする。
【0013】
上記構成は、複数(2つ以上であってもよい)の画像を時分割して表示し、その画像の
一つに対して特定の偏光状態を与え、その偏光状態を選択的に透過するフィルターを用い
ることによって、先の画像の一つを選択的に認識する装置である。
【0014】
例えば図3に示す構成においては、CRTからの時分割された2つの像は偏光板と1/
4波長板によって左回り偏光または右回り偏光になっている。そこでπセルを用いてさら
に時分割された特定の画像に対して特定の偏光状態を与え、その偏光状態を右回り円偏光
状態とする。ここで、右回り円偏光眼鏡と左回り円偏光眼鏡とを用いることによって、2
つの画像を選択的に見ることができる。
【0015】
他の発明の構成は、図5にその具体的な構成を示すように、
複数の観察者のそれぞれが異なる画像を見ることができる表示装置であって、
同一の画面505上に異なる偏光状態を有する2つの画像を表示する手段501と50
2と、
前記異なる偏光状態の画像を前記複数の観察者に対応させてそれぞれ選択的に透過する
手段506と507と、
を有していることを特徴とする。
【0016】
図5に示す構成は、投影装置(例えば液晶プロジェクター)501と502とから投影
される2つの画像をそれぞれ異なる偏光方向を有した偏光板503と504を介して画面
(スクリーン)505上に投影する。そして、それを偏光板503と同じ偏光方向を有し
た偏光板を備えた眼鏡506と偏光板504と同じ偏光方向を有した偏光板を備えた眼鏡
507とで見る。すると眼鏡506を通しては501から投影される表示を選択的に見る
ことができる。また、眼鏡507を通しては502から投影される表示を選択的に見るこ
とができる。
【0017】
このように、眼鏡506を掛けた人と眼鏡507を掛けた人とは、異なる画像を独立に
見ることができる。
【0018】
他の発明の構成は、図8〜図10にその原理を示すように、
レンチキュラーレンズまたはパララックスバリアを用いて視点によって異なる画像を表
示する装置であって、
異なる画像を構成する表示データと表示データとの間に表示が行われない非表示領域ま
たは所定の背景色の表示を行う領域を配置することを特徴とする。
【0019】
上記構成において、表示データは、画素または画像を構成する最小単位の表示として定
義される。
【0020】
他の発明の構成は、図2にその動作タイミングを示すように、
時分割された複数の画像が表示された画面を前記時分割のタイミングに合わせたタイミ
ングで間欠的に見ることにより、前記複数の画像の一つを選択的に認識することを特徴と
する。
【0021】
即ち、図2に示すようにA0,1 ・・・で構成されるAの画像とB0,1 ・・・で構成
されるBの画像とを時分割表示した状態において、光学シャターによって、一方の観察者
にはA0,1 ・・・で構成されるAの画像を認識させ、他方の観察者にはB0,1 ・・・
で構成されるBの画像を認識させる。
【0022】
間欠的に見る手段としては、できるだけ応答速度の速い光学的なシャッターを利用する
ことが好ましい。また、連続的な画像として認識を行わせるために、間欠的に見るタイミ
ングの設定に際しては残像が残っている時間を考慮する必要がある。また、異なる画像の
クロストークを減らすためにどの画像も見えない時間を設けることが好ましい。即ち、複
数の光学シャッターが全て閉となっている時間を設けることが好ましい。
【0023】
他の発明の構成は、図5にその具体的な例を示すように、
偏光状態の異なる複数の画像が表示された画面505を偏光状態のそれぞれ異なる複数
の偏光フィルタ507と506を介して見ることにより、前記複数の画像を個別に認識す
ることを特徴とする。
【0024】
図5に示す構成においては、偏光フィルタとして眼鏡タイプのものを利用している。し
かし他の構成として、図12の1203や1204で示すように目の前に偏光フィルタを
スクリーンのようにして配置する構成を採用してもよい。
【0025】
他の発明の構成は、図5にその具体的な例を示すように、
所定の偏光状態を有する画像を含む複数の画像が表示された画面505を前記所定の偏
光状態を選択的に透過するフィルター506または507を介して見ることにより、前記
所定の偏光状態を有する画像のみを選択的に認識することを特徴とする。
【0026】
(作用)
時間的に分割して異なる画像を同一の画面上に表示させ、光学的なシャッターを利用し
てこの異なる画像を適時選択することにより、複数の観察者のそれぞれにおいて異なる画
像を選択することができる。そして、複数の観察者によって異なる画像を同時に見ること
ができる。また複数の画像を時間的に偏光状態を変えて分割して表示し、それぞれ特定の
偏光状態を透過するフィルターを介して観察することにより、それぞれの画像を選択的に
見ることができる。
【0027】
また、偏光状態が異なる2つの画像を同一の画面上に表示させ、この画像をそれぞれ異
なる偏光状態を選択的に透過する光学手段を利用して見ることによって、観察者によって
異なる画像を見ることができる。即ち、同一の画面上に表示される画像を複数の観察者に
よって同時に独立に見ることができる。
【0028】
また、レンチキュラースクリーンを用いて複数の画像を分離して表示することによって
、複数の観察者によって異なる画像を独立に見ることができる。
【0029】
また、パララックスバリアを用いて複数の画像を分離して表示することによって、複数
の観察者によって異なる画像を独立に見ることができる。
【0030】
このように同一の画面に複数の画像を同時に表示させ、それらの画像を
・時間的に分割した方法
・偏光状態を利用した方法
・レンチキュラースクリーンやパララックスバリアを用いた方法
を用いることによって分離して独立に見ることができる。
【0031】
このことを利用することで、同一の画面上に複数の観察者のそれぞれにとって、異なる
画像を表示することが可能となる。
【0032】
また以上のような構成は、複数の観察者の中の特定の人だけに情報を提供することに利
用することもできる。このような構成は、各種情報表示手段、遊戯装置、教育や学習を行
う装置等に利用することができる。すなわち、見る人によって異なる画像を見ることがで
きることを利用して、各種情報や画像を複数の観察者に対して選択的に提供する用途に利
用することができる。
【発明の効果】
【0033】
表示タイミングの違い、偏光状態の違い、視点の位置の違いを利用して、同一の画面に
表示された複数の画像をそれぞれ独立に見ることができる。このような構成は、同一の画
面を利用して同時に複数の情報提供を行う手段、特定の人や方向に選択的に情報を提供す
る手段、遊戯装置、複数の画像情報を複数人で独立に見る手段、等々に利用することがで
きる。
【0034】
即ち、従来は画像が表示される表示画面が複数必要であった方法において、表示画面を
一つとすることができる。そしてこのことにより、表示画面を大面積化することができ、
また全体の構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】時分割表示を利用して同時に複数人で異なる画像を見ることができる表示装置の概要を示す図。
【図2】図1に示す構成を動作させる際における動作タイミングチャートの例を示す図。
【図3】時分割表示により偏光状態を変えることにより、同時に複数人で異なる画像を見ることができる表示装置の概要を示す図。
【図4】図3に示す構成を動作させる際における動作タイミングチャートの例を示す図。
【図5】偏光状態の違いを利用して同時に複数人で異なる画像を見ることができる表示装置の概要を示す図。
【図6】図5に示す構成を動作させる際における動作タイミングチャートの例を示す図。
【図7】図5に示す構成の電気的な構成を示すブロック図。
【図8】レンチキュラーレンズを用いて、同時に複数人で異なる画像を見る場合の原理図。
【図9】レンチキュラーレンズを用いて複数の画像の表示を行う場合の例を示す図。
【図10】パララックスバリアを用いて複数の画像の表示を行う場合の例を示す図。
【図11】レンチキュラーレンズまたはパララックスバリアを用いて複数の画像の表示を行う構成の概略を示す図。
【図12】異なる偏光状態を利用して複数の画像の表示を行う構成の概略を示す図。
【図13】図12に示す装置を利用した遊戯装置の画面に表示される画像の例を示す図。
【図14】画像を形成するための集積化されたアクティブマトリクス型の液晶パネルの概略の構成を示す。
【図15】図14に示す液晶パネルを用いた投影型の表示装置の概略の構成を示す図。
【実施例1】
【0036】
本実施例は、複数の画像を時間的に分割して同一画面上に表示し、光学シャッターを用
いてその中の一つを選択して見ることにより、複数の観察者によって独立に異なる画像を
見ることができる構成に関する。
【0037】
図1に本実施例の構成の概略を示す。図1に示す構成は、ディスプレイ11の画面に時
分割表示される画像を液晶シャッターを備えた眼鏡13と14を用いて見ることにより、
それぞれの眼鏡を使用した観察者がそれぞれ異なる画像を見ることができる構成に関する

【0038】
図2に図1に示す構成を動作させる場合に利用される動作タイミングチャートを示す。
図2に示されるように表示画面である画面11には、1フレームおきにAの画像とBの画
像が交互に表示される。
【0039】
あるレベル以上の画質を維持するためには、1フレームの時間を1/60(s) 以下とす
ることが好ましい。
【0040】
この画面を直接見たのでは、Aの画像とBの画像とが重なりあって見えてしまう。そこ
で、図1に示す構成においては、表示タイミングに合わせて透過−非透過が選択される液
晶シャッターを備えた眼鏡13と14を用いることにより、それぞれの眼鏡を掛けている
観察者において、Aの画像とBの画像とが分離して見えるようにする。なお、各眼鏡の液
晶シャッターは制御装置12によって画面の表示状況に合わせて適時制御される。また図
2ではそうなっていないが、シャッターの開閉時間は1フレームの表示時間よりも短い方
が好ましい。
【0041】
図2に示すように、A0 の表示が行われている時にはA眼鏡13の液晶シャッターが開
となり、A眼鏡を掛けた人にはA0 の表示が見える。またこの時B眼鏡14の液晶シャッ
ターは閉の状態になるので、B眼鏡を掛けた人にはA0 の表示は見えない。
【0042】
逆に次のフレームのB0 の表示が行われている時にはB眼鏡14の液晶シャッターが開
となり、B眼鏡を掛けた人にはB0 の表示が見える。またこの時A眼鏡13の液晶シャッ
ターは閉の状態になるので、A眼鏡を掛けた人にはB0 の表示は見えない。
【0043】
このようにして交互にAとBの表示を行い、そのつどA眼鏡とB眼鏡の液晶シャッター
を開と閉に交互に切り換える。こうすると、A眼鏡13を掛けた人にはA0,1,2,3
・・・・で示される画像が選択的に見え、B眼鏡14を掛けた人にはB0,1,2,3
・・・で示される画像が選択的に見える状況とすることができる。
【0044】
こうして同じ画面11を見ていながら、眼鏡A13を掛けた人と眼鏡B14とを掛けた
人とで異なる画像を見ることができる。
【実施例2】
【0045】
本実施例は、時分割で偏光状態が右回り円偏光の画像と左回り円偏光の画像とを切り換
えて表示し、その画像を右回り円偏光を透過する眼鏡(右回り円偏光眼鏡)と左回り円偏
光を透過する眼鏡(左回り円偏光眼鏡)とで見ることによって、右回り円偏光眼鏡では右
回り円偏光の画像を選択的に認識し、左回り円偏光眼鏡では左回り円偏光の画像を選択的
に認識することを特徴とする。
【0046】
図3に本実施例に示す構成の具体的な構成の一例を示す。図3に示す構成においては、
CRTで形成される画像を図4に示すように時分割表示する。図4に示すタイミングにお
いては、1/60秒の間に表示される1フレームの表示が交互に行われる。なお、1フレ
ームの長さは1/60秒以下とすることが高画質を維持するためには好ましい。
【0047】
このCRT上の表示タイミングに同期させてπセルを動作させる。πセルは、素子ドラ
イバーによって駆動され、ドライバー出力がONの状態で入射した直線偏光光を直接透過
させる。またドライバー出力がOFFの状態で透過光の偏光状態を90°回転させる。こ
の偏光状態を90°回転させる作用は、液晶の旋光性を利用することで得ることができる

【0048】
πセルを透過する透過光は、πセルがONまたはOFFの状態に従って、互いに90°
異なる直線偏光状態を有している。そしてこのπセルを透過した光を1/4波長板を透過
させることにより、それぞれ右回り円偏光状態を有する光と左回り円偏光状態を有する光
とに分けることができる。
【0049】
本実施例の場合は、πセルがOFFの状態で右回り円偏光の透過光が生成され、πセル
がONの状態で左回り円偏光の透過光が生成される状態とする。即ち、1/4波長板を透
過する光は、πセルのON/OFFに従って、右回り円偏光の光と左回り円偏光の光とな
る。
【0050】
この右回り円偏光の光と左回り円偏光の光とは、時分割表示によって、1/60秒毎に交互
に映し出される。図3に示す構成においては、1/4波長板に右回り円偏光の光と左回り
円偏光の光とが交互に映し出されることになる。
【0051】
この映し出された画像を右回り円偏光眼鏡と左回り円偏光眼鏡とで見ると、右回り円偏
光の光は右回り円偏光眼鏡で選択的に見ることができる。また、左回り円偏光眼鏡は左回
り円偏光眼鏡で選択的に見ることができる。
【0052】
即ち、図4に示すように右回り円偏光眼鏡を掛けた人には、A0,1,2 ・・・・のフ
レームのみが見えて、Aの画像が選択的に見える状態となる。また、左回り円偏光眼鏡を
掛けた人には、B0,1,2 ・・・・のフレームのみが見えて、Bの画像が選択的に見え
る状態となる。
【0053】
本実施例に示す構成においては、図1に示す構成のように特殊な素子を備えた眼鏡を利
用する必要がないので、画像を見る人の負担を低いものとできる。また画像を見る状況の
自由度を高くすることができる。
【実施例3】
【0054】
本実施例は、偏光状態の異なる2つの画像を合成して投影し、この投影像をそれぞれの
偏光光を選択的に透過させる眼鏡を用いて見ることにより、2つの画像をそれぞれの眼鏡
を掛けた人によって選択的に見ることを特徴とする。
【0055】
図5に本実施例で示す構成の概略を示す。図5に示すのは2つの液晶プロジェクター5
01と502によってそれぞれ異なる画像を画面であるスクリーン505上に重ねて投影
し、その投影像を偏光眼鏡506と507とでもって見る構成である。
【0056】
液晶プロジェクター501から投影される画像は、偏光板503を介してスクリーン5
05に投影される。偏光板503は垂直方向に偏光方向を有する直線偏光を透過させる機
能を有している。従って、スクリーン505にプロジェクター501から投影される画像
は、垂直方向の直線偏光を有している。
【0057】
一方、液晶プロジェクター502から投影される画像は、偏光板504を介してスクリ
ーン505に投影される。偏光板504は水平方向に偏光方向を有する直線偏光を透過さ
せる機能を有している。従って、スクリーン505にプロジェクター502から投影され
る画像は、水平方向の直線偏光を有している。
【0058】
また偏光眼鏡506は垂直方向の直線偏光を透過させる機能を有している。また、偏光
眼鏡507は水平方向の直線偏光を透過させる機能を有している。
【0059】
従って、眼鏡506を介してスクリーンを見ることによって、プロジェクター501か
らスクリーン505に投影された画像を選択的に見ることができる。即ち、プロジェクタ
ー502からの画像を見ずにプロジェクター501からの画像を見ることができる。
【0060】
また、眼鏡507を介してスクリーンを見ることによって、プロジェクター502から
スクリーン505に投影された画像を選択的に見ることができる。即ち、プロジェクター
501からの画像を見ずにプロジェクター502からの画像を見ることができる。
【0061】
即ち、眼鏡506は垂直方向の直線偏光を透過させるが、水平方向の直線偏光は透過さ
せない機能を有しているので、501から投影された画像は見ることができるが、502
から投影された画像は見ることができない。
【0062】
一方、眼鏡507は水平方向の直線偏光を透過させるが、垂直方向の直線偏光は透過さ
せない機能を有しているので、502から投影された画像は見ることができるが、501
から投影された画像は見ることができない。
【0063】
このようにして、眼鏡506を掛けた人と眼鏡507を掛けた人とは、それぞれ異なる
画像を見ることができる。
【0064】
図6に図5に示す構成を動作させるためのタイミングチャートを示す。図6において、
プロジェクター501から投影される画像の1フレームはAi(iは0を含む自然数)で
示される。また、プロジェクター502から投影される画像の1フレームはBj(jは0
を含む自然数)で示される。
【0065】
一般的な画質を維持するためには、一つのフレームの長さを1/30(s) 以下とするこ
とが好ましい。
【0066】
2つの画像のフレームは同時に重ね合わせられて投影される。そして2つのプロジェク
ターから投影された2つの画像をA眼鏡観察者とB眼鏡観察者とで個別なものとして観察
することができる。
【0067】
図7に図5に示す構成のブロック図を示す。図5に示すように、本実施例に示す構成は
、何も特別な画像ではなく、通常のTV画像やビデオ画像を利用することができる。
【実施例4】
【0068】
本実施例はレンチキュラーレンズ(レンチキュラースクリーン)を用いて複数の観察者
が同時に異なる画像を見る構成に関する。図8に本実施例の原理図を示す。レンチキュラ
ーレンズを用いると、視点を異ならせることにより、異なる画像を見ることができる。
【0069】
例えば、a' の視点からはスクリーンのa点に結像した画像を認識できるが、他の画像
は認識できない。(当然クロストークは存在するので完全に見えないわけではない)
【0070】
図に示す構成において、例えばa,b にAの表示データを与え、c,d にBの表示データを
与え、e,f にCの表示データを与え、g,h にDの表示データを与えることにより、異なる
視点の位置で異なる4つの画像を見ることができる。なおここでいうaやbというのは、
特定の領域または画素のことをいう。
【0071】
また、a,b,c,d にAの表示データを与え、d,e,f,g にBの表示データを与えることによ
って、異なる視点で異なる2つの画像を見ることができる。
【0072】
本実施例のレンチキュラーレンズを用いた方法は、視点の位置によって異なる画像を認
識させるものである。従って、視点の位置を移動してしまうことで他の画像が見えてしま
うという問題がある。また、例えばaとbの点に表示される画像を完全に分離することは
困難であるという問題もある。
【0073】
この問題を緩和させるためには、近傍の画像点(どこか一点に着目した点)に同一の画
像データを与え、多少の視点のズレがあっても異なる画像が観察されないようにし、また
広い範囲で同一の画像が見えるようにすればよい。ただし、多くの画素に同一の画像デー
タを与えると、画像の分解能が低下するので、注意が必要である。
【0074】
具体的には、図8に示すような状態において、a〜cには画像Aの表示データを与え、
e〜gには画像Bの表示データを与える。このようにすると、スクリーンに向かって右側
では画像Aの表示データを選択的に見ることができる。即ち、画像Bの表示データを見ず
に画像Aの表示データを選択的に見ることができる。
【0075】
一方、スクリーンに向かって左側では画像Bの表示データを選択的に見ることができる
。即ち、画像Aの表示データを見ずに画像Bの表示データを選択的に見ることができる。
【0076】
そして、左右に視点をずらしても上記の見え方を維持することができる。即ち、その選
択性な見え方を維持することができる。
【実施例5】
【0077】
実施例4に示した方法は、異なる視点からスクリーンを見ることによって、異なる画像
を見ることができ、そのことを利用して、複数人で異なる画像を同時に見ることができる
ものである。
【0078】
ここでa〜cには画像Aの表示データを与え、e〜gには画像Bの表示データを与えた
場合を考える。この場合、視点d’とe’とでは、異なる画像が見えなければならない。
しかし、実際には視点d’とe’とでは画像が重なったり不鮮明になったりしてしまう。
【0079】
具体的には、画像Aと画像Bとが同時に見えてしまったり、ちょっとした視点の移動で
画像Aと画像Bとが同時にまたは片方づつ見えたり見えなかったりしてしまう。即ち、画
像Aと画像Bとのクロストークが生じてしまう。
【0080】
このような現象を抑制するために本実施例では以下に示すような構成を採用する。即ち
、図8に示すような状態において、画像点cとeの間のd点に黒あるいは白あるいは適当
な背景色を画像データとして与え、画像が表示されない領域(非表示領域)を設けるので
ある。このようにすると、画像Aと画像Bとのクロストークを低減させることができる。
【0081】
この画像が表示がされない領域(非表示領域)を設けることによって、異なる画像のク
ロストークを抑制する方法の具体的な例を図9に示す。図9に示すのは、LCD(液晶電
界光学装置)を利用して、上記の構成を実現する例である。
【0082】
表示が白黒であるならば非表示領域は白または黒とする。また表示がカラーであるなら
ば、白または黒の他に適当な背景色を選択することができる。
【0083】
図において、斜線で示されるのが、非表示領域であって、黒または白または適当な背景
色の表示が行われる領域である。
【0084】
(A)に示すのは、比較のために示すもので、画像Aと画像Bとでクロストークの発生
してしまう構成である。なお、AやB等で示される領域は一つの画素であってもよいし、
複数の画素からなる領域であってもよい。
【0085】
(B)は、斜線で示される非表示領域を意図的にLCDの所定の領域において形成する
ことによって、AとBとの画素データ同士がクロストークしてしまうことを抑制する構成
である。
【0086】
(C)は、(B)に示す構成をさらに発展させたもので、A〜Cで示される画素データ
間のクロストークを抑制する構成である。この場合もそれぞれの画素データ間に非表示領
域を形成することで、それぞれのデータ間のクロストークを減少させることができる。
【0087】
(B)や(C)に示す方法は、LCD(液晶表示装置)を利用するので、非表示領域を
任意に形成することができるという特徴を有している。即ち、非表示領域を任意の場所に
任意の範囲でもって形成することができることで、例えばAとBという画像データを表示
する場合と、A〜Cという画像データを表示する場合とを適時選択することができる。
【0088】
また、クロストークの度合いを変化させることもできる。例えば、非表示領域の面積を
変化させることで、Aという画像データとBという画像データとが混ざり合って表示され
る度合い(視点によってはそのように見えてしまう)を制御することができる。
【0089】
また、非表示領域を適当に設定することで、視点によって、Aという画像と、AとBと
の画像が重なりあった画像と、Bという画像とをそれぞれ独立に見ることができる。即ち
、画像データとしては2つしかないのに、独立に見ることができる画像を3つとすること
ができる。そしてそれらの画像の見える位置や範囲をLCDを利用することによって設定
(調整)することができる。
【0090】
また上記(B)や(C)に示す構成において、非表示領域を形成するのにBM(ブラッ
クマトリクス)のような物理的な光学遮蔽手段を利用してもよい。ただしこの場合は、非
表示領域が形成される位置が固定され動かすことができないという不便さがある。
【0091】
(D)に示すのは、画像形成用のLCDとは別に非表示領域を選択するための光学シャ
ッターをシャッター用LCDでもって構成する例である。このような構成とすると、シャ
ッター用LCDのみによって非表示領域を形成することもできるし、シャッター用LCD
と画像用LCDとを組み合わせて非表示領域を形成することもできるので、動作の自由度
を大きくすることができる。
【0092】
本実施例に示す表示の方法としては、以上説明したようなLCDを用いて直接画像の形
成を行う方法をまず挙げることができる。その他の表示手段としては、投射型の液晶表示
装置を挙げることができる。また、複数の投影型の表示装置を用い、それらからの画像を
重ねる方法を利用してもよい。
【0093】
図9(B)〜(D)に示すような動作を行わせることによって、同時に表示される異な
る画像同士のクロストークを減少させることができる。
【0094】
また逆に異なる画像同士のクロストークを制御することにより、視点により、2つの像
が重なったものを意図的にまたその位置を制御して表示することができる。
【実施例6】
【0095】
本実施例は、パララックスバリアを用いることによって、異なる視点から見た場合に表
示面上に複数の異なる画像を見えるようにした例に関する。
【0096】
この方式は、図10に示すように所定の間隔で形成したスリット状のアパーチャルグリ
ル(パララックスバリア)を設け、このスリットを介して表示面を見ることによって、視
点の位置により異なる像を見ることができる構成に関する。
【0097】
例えば図10に示す構成において、a,b には画像Aの表示データを与え、d,e には画像
Bの表示データを与える。このようにすることでa’b’の視点でAの画像を選択的に見
ることができ、d’e’の視点でBの画像を選択的に見ることができる。
【0098】
本実施例の構成を採用した場合も視点の位置によっては、異なる画像同士のクロストー
クが発生してしまう。そこで、実施例5に示したような工夫を施すことは有効なこととな
る。
【0099】
またパララックスバリアとして、液晶を利用した光学シャッターを用いることも有用で
ある。この場合、スリットの幅や位置や間隔を適時設定することができるので、表示する
画像の数や視点の位置を調整することが容易となる。特に視点の位置を制御できることは
その応用上有用なこととなる。
【実施例7】
【0100】
本実施例は、実施例4に示した構成(図8に示す構成)を利用した遊技装置に関する。
図8に示す遊技装置は、画面(画像の表示面)を見る位置(視点)によって、異なる画像
を見ることができるものである。
【0101】
そこで本実施例においては、二人で行う対戦型の格闘ゲームに本明細書で開示する発明
を利用する例を示す。図11に表示面と二人の遊戯者との位置関係を示す。
【0102】
二人の遊戯者1101と1102とは、液晶プロジェクター1104から投影される画
像が表示されるスクリーン1103を同時に異なる角度から見ることになる。スクリーン
は1103は、実施例4(図8参照)に示すようにレンチキュラーレンズ(レンチキュラ
ースクリーン)となっている。
【0103】
そして、遊戯者1101と1102とで異なる画像を見ることができる構成となってい
る。スクリーン1103は許される限り大面積なものとすることが遊戯効果を高めるため
には好ましい。また遊戯者1101の視点からの画像と遊戯者1102の視点からの画像
とのクロスートークが生じないように表示の仕方と二人の遊戯者との位置関係を決めるこ
とが重要となる。
【0104】
図12に図11に示す構成とは異なる原理により、図11に示す構成と同様の効果を得
ることができる構成を示す。図12に示すのは、異なる偏光状態を有する2つの画像をス
クリーン1205上に重ねて投影し、その像をそれぞれの偏光状態を透過するフィルター
1203と1204を用いて、分離することにより、遊戯者1201と1202とで異な
る画像を見るものである。
【0105】
図12に示す構成の詳細を以下に説明する。図12に示す構成においては、液晶プロジ
ェクター1208で遊戯者1201に見せるための画像を形成し、液晶プロジェクター1
209で遊戯者1202に見せるための画像を形成する。そして、それらの画像を垂直方
向に直線偏光した光を透過する偏光板1206と水平方向に直線偏光した光を透過する偏
光板1207に透過させ、スクリーン1205上に重ねて投影する。なお、スクリーン1
205は普通の投影型の表示装置に利用されるものを用いればよい。
【0106】
遊戯者1201は、スクリーン1205上に重ねて投影された画像を垂直方向に直線偏
光した光を透過する偏光板1203を介して見る。一方、遊戯者1202は、スクリーン
1205上に重ねて投影された画像を水平方向に直線偏光した光を透過する偏光板120
4を介して見る。
【0107】
この結果、遊戯者1201は液晶プロジェクター1208から投影される画像のみを選
択的に見ることになる。一方、遊戯者1202は液晶プロジェクター1209から投影さ
れる画像のみを選択的に見ることになる。このようにして二人の遊戯者は、同一の画面を
見ていながら、それぞれ異なる画像を見ることができる。
【0108】
図13に図11や図12に示すような遊戯装置を利用した場合に、それぞれの遊戯者か
ら見える画像の一例を示す。図13に示すのは、格闘技を題材にした遊戯内容を示すもの
である。図13に示すように、それぞれの遊戯者は自分の操作するキャラクターと対戦す
る相手の操作するキャラクターが見える状態となる。
【0109】
このような構成は、対戦する遊戯者のそれぞれが異なる画像を同時に見ることができる
から可能となる顕著な特徴であるといえる。
【0110】
図11や図12に示すような構成とした場合、表示する画面を一つとすることができる
ので、構成を簡略化することができる。また異なる画面を配置する場合に比較して画面サ
イズを大きくすることができる。
【0111】
本実施例では二人で対戦型の遊戯を行う例を示した。しかし、教育用あるいは学習用に
この構成を利用することができる。また一つの画面でもって、異なる番組を見たりするこ
とに利用することもできる。また、公共施設等において、異なる表示を同一の画面に表示
する場合に利用することができる。
【実施例8】
【0112】
本実施例は、本明細書で開示する発明や実施例に利用できる画像を形成するための装置
を示す。画像を形成するための装置としては、CRTや液晶表示装置(LCD)が一般的
である。特にLCDは、小型軽量でまた薄型化することができるので、今後ますます表示
装置として利用されていくと考えられる。
【0113】
LCDとしては、同一のガラス基板や石英基板上にアクティブマトリクス領域と周辺駆
動回路領域とを一体化した周辺駆動回路一体型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置
が、その小型軽量薄膜化、作製コストの低さ、といった点から有用である。
【0114】
ここで上記の構成をカラー表示が可能な投影型の液晶表示装置に応用する場合を考える
。カラー表示の可能な投影型の液晶表示装置においては、明るい画面を得るためにアクテ
ィブマトリクス領域をRGBのそれぞれに対応させて用意することが行われる。この場合
、同一のガラス基板や石英基板上にRGBのアクティブマトリクス領域とそのアクティブ
マトリクス領域を駆動するための周辺駆動回路とを集積化する必要がある。
【0115】
一般に一つのアクティブマトリクス領域に対して駆動回路は水平走査駆動回路と垂直走
査駆動回路とが必要とされる。従って、上記のような集積化構成を採用した場合、駆動回
路を6ヶ所の領域において形成しなければならない。
【0116】
周辺駆動回路は、高い集積度を有しているので、同一基板上に多数の周辺駆動回路を作
製することは、それだけ歩留りの低下を招くことになる。
【0117】
そこで本実施例で示すアクティブマトリクス型の液晶パネルは、同一の基板上に複数の
アクティブマトリクス領域を配置した構成において、水平走査制御回路および/または垂
直走査制御回路を複数のアクティブマトリクス領域に対して共通に配置した構成とするこ
とを特徴とする。
【0118】
図14に本実施例の集積化されたアクティブマトリクス型の液晶パネルの概略の構成を
示す。図14に示す構成は、
MおよびNを2以上の自然数として、
基板上に、
M×N個の画像を形成するためのアクティブマトリクス領域と、
M+N個の周辺回路領域と、
が配置された構成を有し、
前記M個の周辺回路のそれぞれは、N個のアクティブマトリクス領域の水平走査制御を
同時に行い、
前記N個の周辺回路のそれぞれは、M個のアクティブマトリクス領域の垂直走査制御を
同時に行うことを特徴とする。
【0119】
図14には、上記構成においてM=2、N=3の場合が示されている。図14には、(
M=2)×(N=3)個配置されたアクティブマトリクス領域103、104、105、
106、107、108が示されている。
【0120】
また、これらアクティブマトリクス回路を駆動するための周辺回路領域として、2+3
個の周辺回路101、102、109、110、111が配置されている。この周辺回路
の中で101と102が水平走査制御回路である。また109、110、111が垂直走
査制御回路である。
【0121】
図14に示す構成においては、水平走査制御回路101と102がそれぞれアクティブ
マトリクス回路103と104と105、さらには106と107と108の水平走査制
御を同時に行う構成となっている。
【0122】
即ち、周辺回路101がアクティブマトリクス領域103と104と105の水平走査
制御を同時に行う構成となっている。また周辺回路102がアクティブマトリクス領域1
06と107と108の水平走査制御を同時に行う構成となっている。
【0123】
また、周辺回路109と110と111がそれぞれアクティブマトリクス領域103と
106、さらには104と107、さらには105と108の垂直走査制御を同時に行う
構成となっている。
【0124】
即ち、周辺回路109がアクティブマトリクス領域103と106の垂直走査制御を同
時に行う構成となっている。また周辺回路110がアクティブマトリクス領域104と1
07の垂直走査制御を同時に行う構成となっている。また周辺回路111がアクティブマ
トリクス領域105と108の垂直走査制御を同時に行う構成となっている。
【0125】
図14に示す構成は、RGBのカラー画像を得るために、N=3の構成となっている。
しかしM=N=2(即ち2×2)としてもよい。またM=2、N=1とするのでもよい。
またM=1、N=2としてもよい。この場合は、各アクティブマトリクス領域でRGBの
カラーフィルタを利用してカラー像を得る構成にするか、モノクロ像を得る構成とすれば
よい。
【0126】
図14に示すように一般にM×N個のアクティブマトクス領域はマトリクス状に配置さ
れる。
【0127】
また、アクティブマトリクス領域には画素がマトリクス状に配置されており、 前記画
素には、少なくとも一つの薄膜トランジスタが配置されており、
前記薄膜トランジスタのソースに加わる信号はM個の周辺回路のそれぞれでもって行わ
れる水平走査制御によって制御され、
前記薄膜トランジスタのゲイトに加わる信号はN個の周辺回路のそれぞれでもって行わ
れる垂直走査制御によって制御される。
【0128】
上記構成における画素としては、例えば図14に示す(0,0),(1,0),・・・(m,0) の番地
で示される領域を挙げることができる。図14に示す構成においては、この各画素に薄膜
トランジスタが一つづつ配置された構成となっている。
【0129】
なお、各画素に配置される薄膜トランジスタの数は1つのみに限定されるのではない。
その配置方法としては、複数個を直列に接続することや、MOS容量と組み合わせて配置
するのでもよい。また、同一チャネル型の組み合わせのみではく、異なるチャネル型を組
み合わせるのでもよい。
【0130】
なお、図14に示すような構成は、液晶パネルを光が透過する必要があるので、基板と
して透光性を有する材料を用いる必要がある。具体的には、ガラス基板や石英基板を利用
する必要がある。
【0131】
図14に示す構成の動作例について簡単に説明する。図14に示す構成においては、C
LKVで示される垂直走査制御回路の動作クロックによって109〜110で示される垂
直走査制御回路の動作が基本的に制御される。またCLKHで示される水平走査制御回路
の動作クロックによって、101と102で示される水平走査制御回路の動作が基本的に
制御される。
【0132】
以下においては、説明を簡単にするためアクティブマトリクス領域103における画像
の表示方法について説明する。なお、他のアクティブマトリクス領域の動作もアクティブ
マトリクス領域103に準ずる。
【0133】
まず、CLKV(垂直走査制御回路の動作クロック)の立ち上がりパルスが垂直走査制
御回路109のフリップフロップ回路202に入力することにより、VSTA(垂直走査
タイミングイネーブル信号)が打ち抜かれる。この時フリップフロップ回路202の出力
はH(論理レベルでhigh) レベルとなる。また垂直走査制御回路109の他のフリップフ
ロップ回路の出力レベルはLのままとなる。
【0134】
この結果、Y0 行で示されるゲイト信号線211がHレベルとなる。そして、(0,0),(1
,0),・・・・(m,0) 番地の薄膜トランジスタが全てON動作となる。
【0135】
この状態において、水平走査制御回路101のフリップフロップ回路201においてC
LKH(水平走査制御回路の動作クロック)によってHSTA(水平走査タイミングイネ
ーブル信号)が打ち抜かれ、X0 の点における信号レベルがHになる。この時、X1 以降
の点はL(論理レベルでLow)である。
【0136】
この結果、画像サンプリング信号線208を介してサンプリングホールド回路204に
Hの信号が入力し、Rの画像データ信号がサンプリングホールド回路204に取り込まれ
る。
【0137】
そして画像信号線209に画像データが流れる。即ち、(0,0),(0,1),(0,2) ・・・(0,n
) で示される番地の薄膜トランジスタのソースに画像データの信号が印加される。
【0138】
この状態においては、(0,0),(1,0),・・・・(m,0) 番地の薄膜トランジスタが全てON
状態であり、(0,0),(0,1),(0,2) ・・・(0,n) 番地の薄膜トランジスタのソースに画像デ
ータ信号が印加されている。従って、(0,0) 番地の画素において画像データの書込みが行
われる。
【0139】
この後次のCLKHのパルスの立ち上がりエッジによって、フリップフロップ回路20
1の出力はLレベルとなる。即ち、X0 の点はLレベルとなる。一方、206のフリップ
フロップ回路においては、このCLKHのパルスの立ち上がりエッジが入力することで、
その出力がHレベルに変化する。即ち、X1 の点はHレベルとなる。
【0140】
この結果、(1,0) 番地において情報の書込みが行われる。このようにして、CLKHの
動作クロックに従って、フリップフロップ回路Xm の出力が順次Hレベルにシフトしてい
く。そして、(m,0) 番地において順次画像情報の書込みが行われていく。
【0141】
0 行における情報の書込みの終了後、CLKV信号の立ち上がりエッジによって、フ
リップフロップ回路202の出力レベルがL、フリップフロップ回路203の出力レベル
がHとなる。この結果Y1 行の信号レベルがHとなる。
【0142】
そしてY1 行において、(0,1),(1,1),(2,1) ・・・(m,1) 番地に対して順次画像データ
情報が書き込まれていく。このようにして、(n,m) 番地までの情報の書込みが終了した時
点で1 フレームが終了する。
【0143】
以上の動作は、103以外の他のアクティブマトリクス領域においても同じタイミング
で行われていく。
【0144】
図14に示す集積化された液晶パネルを用いると、RGBでなるカラー画像を2つ同時
に得ることができる。勿論このカラー画像はそれぞれ異なる内容のものとすることができ
る。
【0145】
ここでは、6つのアクティブマトリクス領域を集積化する構成を示した。しかし、集積
化されるアクティブマトリクス領域の数をさらに多くすることも可能である。例えば、R
GB、R’G’B’、R,,,,,,と9領域のアクティブマトリクス領域を集積化した構
成とすることができる。
【0146】
この場合、図14に示す構成において、水平走査制御回路をさらに一つ増やすだけでよ
い。そしてこの場合はカラー画像を3組得ることができる。
【0147】
このように図14にその基本的な構成を示す集積化されたアクティブマトリクス型の液
晶パネルは、集積化するアクティブマトリクス領域を増やしていっても、周辺駆動回路を
それ程増やす必要がないという特徴を有する。
【0148】
具体的には、集積化するアクティブマトリクス領域の数をM×N個とすると、必要とさ
れる周辺駆動回路の数はM+N個でよいという特徴を有する。このことは、より集積化を
高めていった場合に非常に有用なこととなる。
【実施例9】
【0149】
本実施例は、図14に示した6個のアクティブマトリクス領域を集積化した液晶パネル
を利用した投影型の液晶表示装置を示す。図15に本実施例で示す投影型の液晶表示装置
の概要を示す。
【0150】
図15に示す表示装置は、本明細書で開示する他の実施例の構成に利用することができ
る。
【0151】
図15に示す構成において、第1の光源602からの光がミラー604で反射され、さ
らにダイクロイックミラー608、609、610でGBRに対応する波長領域の光に分
光される。そして、それらの各光は図14に示す集積化された液晶パネル611に入射す
る。
【0152】
液晶パネル611のRGBに対応する各画素領域で光学変調された光は、ミラー612
にGの像が反射され、ハーフミラー(半透過ミラー)613でBの像が反射され、ハーフ
ミラー(半透過ミラー)614でRの像が反射される。
【0153】
こうして合成されたカラー像は、光学系615を介し、さらにミラー617で反射され
スクリーン(投影面)618に投影される。光学系615には、拡大投影に必要なレンズ
が配置されている。また光学系615には、必要に応じて光の透過/非透過を選択的に行
う光学シャッターや所定の偏光状態を付与する手段が配置されている。
【0154】
一方、光源601からの光はミラー603で反射され、さらにダイクロイックミラー6
05、606、607でそれぞれG’B’R’に対応する光に分光される。そして、これ
らの光は液晶パネルにおいて、G’B’R’に対応する画像に光学変調される。
【0155】
そして光学変調されたR’G’B’に対応する光(計6射線)は図示しないミラー群で
合成され、さらに光学系615とミラー616を介して投影される。投影された画像はミ
ラー617で反射されて、スクリーン618に投影される。
【0156】
図15に示す構成で利用される集積化された液晶パネル611(図14参照)は、異な
る2つのカラー像を形成することができる。従って、このことを利用してスクリーン61
8に2つの異なるカラー画像を同時に投影することできる。また表示タイミングを設定す
ることによって、2つの異なるカラー画像を時分割で表示することができる。
【0157】
図15に示す表示装置は、図1や図3、さらには図5や図8や図10、さらには図11
や図12に示す構成における画像形成手段に利用することができる。特に得られる画像を
カラー画像とすることができる。
【0158】
例えば、図14に示す集積化した液晶パネルを用いて図1や図3に示すような時分割表
示を行う場合には、図14のアクティブマトリクス領域103〜105で例えば図2のA
0,1,2 ・・・で示されるフレームを形成する。また図14のアクティブマトリクス領
域106〜108で例えば図2のB0,1,2 ・・・で示されるフレームを形成する。
【0159】
このようにすることは、各水平走査制御回路の動作周波数を下げることができ、回路の
信頼性を高める上で有用な構成となる。なお、上記のような時分割表示を図14に示す構
成で行わす場合には、CLKHとHSTAの信号の種類とその入力方法を図14に示す場
合とは異なるものとする必要がある。即ち、水平走査制御回路101で行われる1フレー
ムの形成と、水平走査制御回路102で行われる1フレームの形成とが交互に行われるよ
うに工夫する必要がある。
【0160】
また、図15に示す表示装置を図5に示すような2つの画像を合成して投影する構成に
利用する場合には、アクティブマトリクス領域103〜105で一方の画像(カラー画像
)を形成し、アクティブマトリクス領域106〜108で他方の画像(カラー画像)を形
成すればよい。そしてスクリーン618においてそれらの画像を合成すればよい。
【0161】
また図15に示す表示装置を図8に示すレンチキュラースクリーンや図10に示すパラ
ラックスバリアを用いた構成に利用する場合は、必要とする画像の数だけ103〜105
で示されるようなRGBの像を形成するアクティブマトリクス領域を図14に示すように
集積化し、各像を各アクティブマトリクス領域の組で形成すればよい。
【0162】
このような構成は、形成する像の数が増えても水平走査制御回路の負担が大きくならな
いという有意性がある。
【符号の説明】
【0163】
11 ディスプレイ
12 制御装置
13、14 光学シャッター付き眼鏡
501、502 液晶プロジェクター
503、504 偏光板
505 スクリーン
506、507 偏光眼鏡
1101、1102 観察者
1103 レンチキュラーレンズ
1104 液晶プロジェクター
1201、1202 観察者
1203、1204 偏光板
1205 スクリーン
1206、1207 偏光板
1208、1209 液晶プロジェクター
101、102 水平走査制御回路
103、104、105 RGBの像を光学変調するためのアクティブマトリクス
領域(画素領域)
106、107、108 R’G’B’の像を光学変調するためのアクティブマト
リクス領域(画素領域)
109、110、111 垂直走査制御回路
201、206 水平走査制御回路のフリップフロップ回路
202、203 垂直走査制御回路のフリップフロップ回路
204、205 サンプリングホールド回路
207、211 ゲイト信号線
208、210 画像サンプリング信号線
209 画像信号線
601、602 光源
603、604 ミラー
605、606、607 RGBの光を分光するためのダイクロイックミラー
608、609、610 RGBの光を分光するためのダイクロイックミラー
611 液晶パネル
612 ミラー
613、614 ハーフミラー
615、616 光学系
617 ミラー
618 スクリーン(投影面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を表示する第1画素領域と、前記第1の画像と異なる第2の画像を表示する第2画素領域とを有する表示装置と、
非透過領域である非表示領域と、透過領域とを形成する液晶表示装置と、
レンチキュラーレンズとを有し、
前記表示装置において、前記第1の画像と前記第2の画像とは同時に表示され、
前記第1の画像と前記第2の画像は、前記レンチキュラーレンズにより、観察者の各視点に分配されることを特徴とする装置。
【請求項2】
第1の画像を表示する第1画素領域と、前記第1の画像と異なる第2の画像を表示する第2画素領域とを有する表示装置と、
非透過領域である非表示領域と、透過領域とを形成する液晶表示装置と、
レンチキュラーレンズとを有し、
前記液晶表示装置は、前記表示装置と前記レンチキュラーレンズとの間に設けられ、
前記表示装置において、前記第1の画像と前記第2の画像とは同時に表示され、
前記第1の画像と前記第2の画像は、前記レンチキュラーレンズにより、観察者の各視点に分配されることを特徴とする装置。
【請求項3】
第1の画像を表示する第1画素領域と、前記第1の画像と異なる第2の画像を表示する第2画素領域とを有する表示装置と、
非透過領域である非表示領域と、透過領域とを形成する液晶表示装置と、
パララックスバリアとを有し、
前記表示装置において、前記第1の画像と前記第2の画像とは同時に表示され、
前記第1の画像と前記第2の画像は、前記パララックスバリアにより、観察者の各視点に分配されることを特徴とする装置。
【請求項4】
第1の画像を表示する第1画素領域と、前記第1の画像と異なる第2の画像を表示する第2画素領域とを有する表示装置と、
非透過領域である非表示領域と、透過領域とを形成する液晶表示装置と、
パララックスバリアとを有し、
前記液晶表示装置は、前記表示装置と前記パララックスバリアとの間に設けられ、
前記表示装置において、前記第1の画像と前記第2の画像とは同時に表示され、
前記第1の画像と前記第2の画像は、前記パララックスバリアにより、観察者の各視点に分配されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記非表示領域によって、前記第1の画像と前記第2の画像とのクロストークを減少させることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−37378(P2013−37378A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212074(P2012−212074)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2011−58644(P2011−58644)の分割
【原出願日】平成7年10月5日(1995.10.5)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】