説明

補体因子Hの危険である改変体をもつ患者における年齢による斑状変性の予防および処置のためのC3コンバターゼインヒビター

本発明は、先行技術の欠点を、Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体を有する結果としてAMDを有するか、またはAMDを発症するリスクにある人を処置するための方法を提供することにより克服する。本発明の方法によれば、患者は、Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体を有するとして同定される。本発明は、AMDを発症するリスクにある患者を、Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体の存在を同定することにより同定するための方法を提供する。本発明は、Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体を有する結果としてAMDを有するか、またはAMDを発症するリスクにある人を処置するための方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本出願は、2005年12月22日に出願された米国出願番号第60/753,135号への優先権を主張している。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、眼科疾患の予防および処置の分野に関する。より詳細には、本発明は、C3の転換および活性化を阻害する薬剤を投与することにより、Y402H、または補体因子H(CFH)のその他の危険である改変体を有する患者におけるAMDの予防および処置に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
年齢による斑状変性(AMD)は、高鋭敏視力の原因であり、そして高齢者における不可逆的視力損失の主要な原因である網膜の斑または中央領域に影響する衰弱性の失明病である。遺伝的および環境因子の両方が、AMDの発症で役割を演じることが知られている。例えば、喫煙、脂質摂取および年齢は、AMDの発症に対する公知のリスク因子である。AMDの2つの形態、乾燥AMDおよび湿潤AMDは、米国で11百万を超える個体に影響を与えている。乾燥AMDは、AMD患者の80%に生じ、そして網膜色素上皮(RPE)の下のブルーフ膜中の細胞残渣(ドルーゼン)、RPE色素沈着における不規則性、または地図状萎縮によって特徴付けられる。AMD患者の残りの20%で生じる湿潤AMDは、脈絡膜新生血管および/またはRPEの離脱によって特徴付けられる。AMD患者の眼における細胞外マトリックス異常もまた関係している。
【0004】
年齢による乾燥斑状変性の診断は、RPEの下の、そして疾患の初期ステージで観察されるドルーゼンの存在によって規定される。ドルーゼンは、タンパク質、脂質、および細胞残渣を含む小さな黄色の細胞外堆積物である。ドルーゼンの主要成分は、補体タンパク質である。ドルーゼンは、後極中の顕著な色素変化および色素の蓄積と合流している。RPEは、しばしば、下にある脈絡膜叢のより容易な可視化をともなう萎縮症として現れる。乾燥AMDの進行したステージでは、萎縮症のこれらの病巣島は合体し、そして重篤に影響された視覚をともなう萎縮症の大きなゾーンを形成する。湿潤AMDは、脈絡膜新血管形成の存在によって規定され、そしてRPE上昇、滲出液、または網膜下流体を含み得る。
【0005】
現在、AMDの影響を逆行する処置はないが、年齢による眼疾患研究(AREDS)は、食餌抗酸化剤サプリメントがAMDの進行を低減し得ることを示した。[AREDSレポートNo.8(2001)]。レーザー光凝固、光動力学療法、Macugen(登録商標)およびLucentis(登録商標)は、湿潤AMDのための利用可能な認可された処置である。Macugen(登録商標)は、6週間毎の硝子体内注入を経由して投与され、その一方、Lucentis(登録商標)は、月に一度の硝子体内注入を経由して投与される。Macugen(登録商標)中の活性成分ペガプタニブナトリウムは、オリゴヌクレオチドの共有結合複合体であり、これは血管内皮成長因子(VEGF)のアンタゴニストである。Lucentis(登録商標)中の活性成分ラニビズマブは、VEGFを結合する抗体フラグメントである。VEGFは、眼内障害に付随する新血管形成の鍵となるメディエーターであることが示されている(Ferraraら、1997)。眼流体中のVEGFの濃度は、糖尿病およびその他の虚血関連網膜症をもつ患者における血管の活性増殖の存在と高度に関連している(Aielloら、1994)。その他の研究は、AMDによって影響された患者における脈絡膜新血管膜中のVEGFの局在化を示した(Lopezら、1996)。
【0006】
多くの研究グループが、AMDの発症に付随し、そしてその原因となる遺伝子を集中的にサーチしている。単一ヌクレオチド多形(SNP)遺伝子型決定は、疾患関連遺伝子を迅速に同定することで大きな保証を提供する(Hirschhorn & Daly、2005;Hindsら、2005)。Science ExpressおよびPNAS(3月−5月、2005)で公開された報告は、AMDを発症することで高められたリスクの原因となる補体因子H遺伝子(CFH)中の単一多形を同定するためのSNP遺伝子型決定の使用を記載している。CFH中の単一アミノ酸変化(Y402H)は、AMDの40〜50%の原因であることが報告されている。
【0007】
Edwardsの研究(非特許文献1)は、UT Southwestern、Boston University and Sequenomの科学者を含めた。彼らは、最初、24のSNPを用い、そして2つの事例の制御された集団(第1の集団では224のAMDおよび134のコントロール;第2では176の事例および68のコントロール)で、次にさらなるSNPで領域をさらに洗練した。彼らは、補体因子H中に1コピーのY402H SNPをもつ個体は、AMDを発症する2.7倍の増加したリスクを有したことを報告している。この単一SNPは、それら集団におけるAMDの50%の原因であるようである。
【0008】
Hainesの研究(非特許文献2)は、Vanderbilt UniversityおよびDuke Universityで行われた共同研究であった。Edwardsの研究に類似して、Hainesおよび同僚は、ARMD1遺伝子座を横切って彼らの2つのAMD集団をSNP遺伝子型決定した。彼らの集団は、182のAMDファミリー、および495のAMD患者の事例コントロール集団、および185のコントロールから構成された。彼らは、最初、44のSNPを用い、ARMD1遺伝子座を横切ってスクリーニングし、次いで、さらなるSNPを用いて彼らのサーチを洗練した。彼らの全体のAMD集団において、彼らは、CFH中のY402H SNPのヘテロ接合型(1コピーを保持する)患者がAMDに対する2.45高められたリスクを有し、その一方、(このSNPの両方のコピーを有する)ホモ接合型の個体は、3.33倍のリスクを有したことを見出した。このリクスは、新血管(湿潤)AMDをもつような患者についてなおより高かった(ヘテロ接合型では3.45、そしてホモ接合型では5.57)。彼らは、このSNPが彼らの集団におけるAMDの43%の原因であると推定している。
【0009】
Kleinの研究(非特許文献3)は、Rockefeller University、Yale University、The National Eye Institute(NEI)、およびEMMES Corporationにおける科学者を含めた。先の2つの研究とは異なり、Kleinグループは、>116,000のSNPを用い、96のAMD患者および50のコントロールのゲノム広さのSNP遺伝子型スクリーニングを実施した。この研究におけるすべての個体は、AREDS研究集団から臨床的に良好に規定されていた。Kleinグループは、AMP感受性遺伝子座を染色体1qに独立にマップし(ARMD1と同じ領域)、そしてリスク対立遺伝子座としてCFH中のY402H SNPを同定した。この対立遺伝子座の1コピーを保持する(ヘテロ接合型)個体は、4.6倍高められたリスクを有し、その一方、両方の染色体上にこのSNPを保持する(ホモ接合型)個体は、AMDの7.4倍高められたリスクを有した。
【0010】
Hagemanの研究(非特許文献4)は、University of IowaおよびColumbia Universityからの患者を含めた。彼らは、彼らのCFHの分析を、ドルーゼンの形成における補体を同定した彼らの先の研究、および染色体遺伝子座1q25−32を同定した先の連鎖分析研究に基づいて行った。Hagemanグループは、CFH遺伝子内のSNPについて900のAMD患者および400の一致したコントロールを分析した。先の刊行物中で同定されたY402H改変体に加え、Hagemanらは、I62V、介在配列1、2、6、および10、A307A、およびA473Aのようなその他のAMDリスク改変体を同定した。
【0011】
Edwards、Haines、Klein、およびHagemanの知見の確認は、Conleyら(2005)、Zareparsiら(2005)およびSouiedら(2005)による少なくとも3つのフォローアップ研究で見出され得る。Conleyら(2005)は、120の罹患していない非関連コントロールに対し、796の家族性および散発性AMD事例において、AMD患者とY402H改変体に有意な関連を同定した。Zareparsiら(2005)は、エクソン9(Y402H)におけるT>C置換が、彼らの単一の中心研究集団においてAMDと関連していたことを見出した。Souiedら(2005)は、北アメリカ集団におけるAMDと関連するY402H多形の当初の知見を、欧州(フランス)AMD集団に拡張した。Souiedらは、60の散発性および81の家族性AMD事例を調査し、そして91の健常コントロールに対し、Y402H多形のAMDとの有意な関連を見出した。従って、AMDとのY402多形の関連は、再現性があり、そして一般化された知見であるようである。
【非特許文献1】Edwards,A.O.,Ritter,R.,3rd,Abel,K.J.,Manning,A.,Panhuysen,C,Farrer,L.A.,Haines,J.L.,Hauser,M.A.,Schmidt,S.,Scott,W.K.,et al.(2005).Complement factor H polymorphism and age−related macular degeneration Complement factor H variant increases the risk of age−related macular degeneration Strong association of the Y402H variant in complement factor H at Iq32 with susceptibility to age−related macular degeneration.Science 308,421−424
【非特許文献2】Haines,J.L.,Hauser,M.A.,Schmidt,S.,Scott,W.K.,Olson,L.M.,Gallins,P.,Spencer,K.L.,Kwan,S.Y.,Noureddine,M.,Gilbert,J.R.,et al(2005).Complement factor H variant increases the risk of age−related macular degeneration.Science 308,419−421
【非特許文献3】Klein,R.J.,Zeiss,C,Chew,E.Y.,Tsai,J.Y.,Sackler,R.S.,Haynes,C,Henning,A.K.,SanGiovanni,J.P.,Mane,S.M.,Maync,S.T.,et al.(2005).Complement factor H polymorphism in age−related macular degeneration.Science 308,385−389
【非特許文献4】Hageman,G.S.,Anderson,D.H.,Johnson,L.V.,Hancox,L.S.,Taiber,A.J.,Hardisty,L.L,Hageman,J.L.,Stockman,H.A.,Borchardt,J.D.,Gehrs,K.M.,et al(2005).A common haplotype in the complement regulatory gene factor H(HF1/CFH) predisposes individuals to age−related macular degeneration.Proc Natl Acad Sci U S A 102,7227−7232
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
先に記載される研究のいずれも、Y402H多形の存在に起因して、AMDを発症するか、または乾燥AMDから湿潤AMDに進行するリスクにあると同定されるような患者のための処置養生法を提案していない。必要なのは、AMDを発症するリスクにある患者を同定し、そしてこれら患者のための予防的処置養生法を提供する方法である。また必要なのは、既にAMDと診断され、そしてY402H多形または補体ファミリー遺伝子にその他の危険である改変体を所有することが見出されているような患者における視力損失を阻害するか、または視覚鋭敏を改善する処置養生法である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、先行技術のこれらおよびその他の欠点を、Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体を有する結果としてAMDを有するか、またはAMDを発症するリスクにある人を処置するための方法を提供することにより克服する。本発明の方法によれば、患者は、Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体を有するとして同定される。Y402H多形または補体因子H遺伝子中のその他の危険である改変体の同定は、上記患者から頬スワブによるか、または血液サンプルのような組織を得ることにより達成され得る。上記補体因子H遺伝子は、当業者にとって慣用的である手段によって組織から単離される。患者から単離された遺伝子の配列は、Y402H多形が、この患者からとられた組織サンプル中に存在するか否かを決定するために、このY402H多形を含まない補体因子H遺伝子(「正常補体因子H遺伝子」または「野生型補体因子H遺伝子」ともまた称される)と比較される。患者が、Y402H多形を所有すると同定される場合、C3−コンバターゼインヒビターを含む組成物が患者に投与され、患者において、年齢による斑状変性(AMD)と関連する視覚鋭敏さの損失を阻害するか、またはAMDの発症を防ぐ。それ故、本発明の方法は、以下の工程を包含する:
a)該患者において、
i)この患者から組織サンプルを得ること;および
ii)このサンプルを、上記Y402H多形またはその他の危険である改変体の存在についてアッセイすることであって、ここで、上記Y402H多形またはその他の危険である改変体の存在が、AMDの発症および乾燥AMDの湿潤AMDへの進行の増加したリスクを示すことによって、上記Y402H多形またはその他の危険である改変体を同定する工程;
b)上記工程(a)において、上記Y402H多形またはその他の危険である改変体を所有するとして同定された患者に、治療的に有効な量のC3−コンバターゼインヒビターを含む組成物を投与する工程。
【0014】
本発明の組成物中に存在するC3−コンバターゼインヒビターの量は、代表的には、0.01〜10重量%である。本発明の方法の好ましい局面では、上記C3−コンバターゼインヒビターは、コンプスタチンである。
【0015】
本発明の組成物は、局所眼送達の任意の公知の手段によって送達され得るが、上記組成物の投与の好ましい方法は、局所眼投与、強膜近傍投与、硝子体注入、テノン嚢下投与によるか、または硝子体内または経強膜いずれかのインプラントによる。好ましくは、本発明の組成物は、後強膜近傍投与によるか、または硝子体内に移植された持続送達デバイスにより投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
補体因子H(CFH)中の単一ヌクレオチド多形(SNP)が、AMDの寄与危険度のほぼ50%を占めることが最近報告された(Edwardsら、2005;Hainesら、2005;Kleinら、2005;Hagemanら、2005)。CFHの正常な機能は、過剰な補体活性化を防ぐようである。補体系は、外来病原体に対する身体の抗体応答を補足および増幅し、そして3つの経路:古典的、MB−レクチン、および代替からなる(図1)。任意の補体カスケードの活性化は、C3−コンバターゼ複合体形成を生じる。それ故、C3−コンバターゼは、補体活性化の中心メディエーターである。C3−コンバターゼは、C3をその活性C3b形態に転換する。古典的/レクチン経路はC3−コンバターゼC4b2bを生成し、その一方、代替経路は、C3−コンバターゼC3bBbを生成する。CFHは多官能性であり、そしてC3bを結合し、C3b分解を加速し、そしてC3bを不活性化する因子Iのためのコファクターとして作用し得る。3つの最近の研究で同定されたY402H SNPは、C反応性プロテイン(CRP)およびヘパリンへの結合を担う領域であるCFHタンパク質のS7ドメイン中にある。CRPおよびヘパリンに結合したCFHは、補体タンパク質C3bに対するCFHの親和性を増加する。この相互作用の改変は、Y402H多形とともに生じ得、C3bに対する減少した親和性および補体カスケードのチェックされない活性化を生じる。
【0017】
本発明は、AMDの予防および処置に関し、C3−コンバターゼインヒビターを用いてC3の転換および活性化を阻害することによる。C3−コンバターゼインヒビター療法の標的患者集団は、遺伝子スクリーニングすること、例えば、頬スワブまたは血液分析を用いること、およびY402H SNPまたはその他の危険である改変体について遺伝子型決定することにより同定され得る。ゲノムDNAは、QIAamp DNA Blood Maxi Kits(Qiagen、Valencia、CA)を用いて末梢血白血球から単離され得る。DNA多形は、Applied Biosystems SNP Assays−On−Demand定量的PCRを用いる一本鎖構造多形(SSCP)により、または増幅されたDNAの直接スクリーニングにより検出され得る。CFH遺伝子中の多形を検出するその他の手段は、当業者にとって慣用的である。
【0018】
本発明のC3−コンバターゼインヒビターは、全身的または局所的いずれかで投与され得る。全身投与は:経口、経皮、真皮下、腹腔内、皮下、経鼻、舌下、または直腸を含む。最も好ましい投与の全身経路は経口である。眼投与のための局所投与は:局所、硝子体内、眼周囲、経強膜、球後、強膜近傍、テノン嚢下、または眼内デバイス経由を含む。局所送達の好ましい方法は、後強膜近傍投与による斑への経強膜送達;硝子体内注入経由;または米国特許第6,413,245b1に記載されるようなカニューレ経由を含む。あるいは、上記インヒビターは、硝子体内または経強膜的に移植された持続送達デバイスを経由して、または局所的眼送達のその他の公知の手段により送達され得る。
【0019】
本発明はまた、C3−コンバターゼインヒビターおよびアナログを含む組成物、およびそれらの使用のための方法に関する。本発明の方法によれば、本発明の1つ以上の化合物、および全身または局所投与のための薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物が、その必要のある哺乳動物に投与される。本発明の方法における使用のための好ましい組成物は、コンプスタチン、ロスマリニン酸、またはMLN2222(CAB−2としてもまた知られる)のようなC3−コンバターゼインヒビターを含む。この組成物は、所望の特定の投与の経路のために当該技術分野で公知の方法に従って処方される。
【0020】
本発明の方法によれば、1つ以上のC3−コンバターゼインヒビター、および全身または局所投与のための薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物は、その必要のある哺乳動物に投与される。
【0021】
本発明に従って投与される組成物は、薬学的に有効な量の1つ以上のC3−コンバターゼインヒビターを含む。本明細書で用いられるとき、「薬学的に有効な量」は、AMDおよび/またはAMDに付随する視覚鋭敏さの損失を低減するかもしくは防ぐに十分である量である。一般に、AMDの処置のために全身に投与されることが意図される組成物には、C3−コンバターゼインヒビターの総量は、約0.01〜100mg/kgである。局所投与には、組成物中のC3−コンバターゼインヒビターの好ましい濃度は、0.0001%〜30%w/vである。
【0022】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含められる。実施例中に開示される技法は、本発明の実施においてより良く機能することが本発明者によって発見された代表的な技法に従い、そしてそれ故、その実施のための好ましいモードを構成すると考えられ得ることが当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示を考慮して、多くの変更が開示されている特定の実施形態でなされ得、そしてなお、本発明の思想および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることを認識すべきである。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
コンプスタチンの構造:
【0024】
【化1】

コンプスタチンの直線状アミノ酸配列:
【0025】
【化2】

(Furlongら、2000;Morikisら、1998)
(実施例2)
ロスマリニン酸の構造:
【0026】
【化3】

(Sahuら、1999)
(実施例3)
Millenium phamaceuticalsからのMLN2222(以前は、CAB−2)
構造は未知。
【0027】
(実施例4)
この実施例は、本発明のC3−コンバターゼインヒビターを含む硝子体内眼科投与のための代表的な薬学的処方物の組成を示す。
【0028】
【表1】

(実施例5)
この実施例は、後強膜近傍および眼周囲投与のための、本発明のC3−コンバターゼインヒビターを含む代表的な薬学的処方物の組成を示す。
【0029】
【表2−1】

【0030】
【表2−2】

本明細書に開示され、そして請求項に記載されるすべての組成物および/または方法は、本開示を考慮して過度の実験なくして作製および実施され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態の観点から記載されているけれども、本発明の概念、思想および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される組成物および/または方法に、ならびに方法のステップまたはステップの順序において、改変が適用され得ることは当業者に明らかである。より詳細には、化学的および構造的の両方で関連する特定の薬剤が、本明細書中に記載される薬剤を置換し得ることは明らかである。当業者に明らかであるすべてのこのような置換および改変は、添付の請求項によって規定されるような本発明の思想、範囲および概念内にあるとみなされる。
【0031】
(参考文献)
以下の参考文献は、それらが本明細書中に提示されるものに例示の手順またはその他の詳細な補足物を提供する範囲まで、参考として本明細書中に詳細に援用される。
【0032】
(米国特許)
6,413,245b1
米国特許出願第20030207309号
(本)
(その他の刊行物)
【0033】
【数1】

【0034】
【数2】

【図面の簡単な説明】
【0035】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに示すために含められる。本発明は、本明細書中に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこの図面を参照することによってより良好に理解され得る。
【図1】図1は、補体系の概要を提供し、古典的なMB−レクチン、および代替経路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Y402H多形またはその他の危険である改変体の存在に起因してAMDを有するかまたはAMDを発症するリスクにある患者における年齢による斑状変性(AMD)に関連する視覚鋭敏さの損失を阻害する方法であって:
a)該患者において、
i)該患者から組織サンプルを得ること;および
ii)該サンプルを、該Y402H多形またはその他の危険である改変体の存在についてアッセイすることであって、ここで、該Y402H多形またはその他の危険である改変体の存在が、AMDの発症および乾燥AMDの湿潤AMDへの進行の増加したリスクを示すことによって、該Y402H多形またはその他の危険である改変体を同定する工程;
b)上記工程(a)において、該Y402H多形またはその他の危険である改変体を所有するとして同定された患者に、治療的に有効な量のC3−コンバターゼインヒビターを含む組成物を投与する工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記C3−コンバターゼインヒビターが、コンプスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記C3−コンバターゼインヒビターが、ロスマリニン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記C3−コンバターゼインヒビターが、補体活性化ブロッカー−2(CAB−2)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物中のC3−コンバターゼインヒビターの量が、0.01〜10重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、経口投与、局所眼投与、硝子体注入、眼周囲注入、強膜近傍投与、球後投与、テノン嚢下投与、経強膜、および眼内デバイス経由からなる群から選択される方法を経由して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、後強膜近接投与によって投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、ガラス体内に移植された持続送達デバイスにより投与される、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−521506(P2009−521506A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547771(P2008−547771)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/062485
【国際公開番号】WO2007/076437
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】