説明

補修装置および補修方法

【課題】人手を介さずに容易に肉盛溶接する補修装置を提供する。
【解決手段】この補修装置は、材料供給部と、レーザスポット光を照射するレーザ装置と、レーザスポット光または補修部位を移動させる移動部と、補修部位の溶接幅と補修部位の溶接条件との対応データを記憶する記憶部と、補修部位の溶接位置を撮像する撮像部と、ライン状の光を照射する光照射部と、撮像された画像に基づいて溶接幅を算出する溶接幅算出部と、溶接幅に基づいて記憶された溶接条件データを検索する検索部と、溶接条件データに基づいて材料供給部などを制御する対応制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、火力発電用ガスタービンのガスタービン高温部品の熱処理および補修を行う補修装置および補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン高温部品としては、たとえばガスタービン動翼の動翼表面、動翼プラットホームおよび動翼チップ部などがある。このガスタービン動翼は、900℃を超える燃焼ガス中にて使用されるとともに、起動および停止の回数も多い。このため、ガスタービン動翼は長時間使用されると、動翼表面上に疲労による亀裂が発生したり、動翼表面、動翼プラットホームおよび動翼チップ部に蒸気による酸化や腐食といった損傷などが発生することがある。しかしながら、これらのガスタービン高温部品は、高価であるため、一定間隔の使用でその亀裂や損傷の点検および補修がなされて、繰り返し使用されている。
【0003】
近年、ガスタービン高温部品の補修では、レーザおよびガスタービン高温部品を固定するモーションシステムを、制御システムで制御しながら加熱されたガスタービン高温部品を溶接するものが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平9−506039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した先行技術には、たとえば動翼チップ部の先端縁部であるチップスキーラ部(補修部位)は、この補修部位の状態変化などによって肉盛溶接する溶接条件がそれぞれ異なってしまう。このため、溶接割れが発生しないように人手によって溶接条件を変化させて補修する必要があるが、この溶接条件を変化させる補修には熟練を要するという問題がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、人手を介さずに補修部位を肉盛溶接することのできる補修装置および補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明の補修装置は、加熱されたガスタービン翼の補修部位に補修材料を供給する材料供給部と、前記補修部位にレーザスポット光を照射して、前記供給された補修材料を溶解して前記補修部位を肉盛補修するレーザ装置と、前記レーザスポット光と前記補修部位とを相対的に移動させる移動部と、前記補修部位の溶接幅と前記補修部位の溶接条件との対応関係を示す対応データを記憶する記憶部と、前記レーザスポット光による前記補修部位の溶接位置を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像範囲内の前記補修部位にライン状の光を照射する光照射部と、前記照射されたライン状の光を用いて撮像された画像に基づいて、前記補修部位の溶接幅を算出する溶接幅算出部と、前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記記憶部に記憶された対応データから対応する溶接条件のデータを検索する検索部と、前記検索された溶接条件のデータに基づいて、前記材料供給部および前記レーザ装置を制御する対応制御部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の補修方法は、レーザ装置のレーザスポット光が加熱されたガスタービン翼の補修部位に照射されて、材料供給部から前記補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修するように、移動部が前記レーザスポット光と前記補修部位とを相対的に移動させる移動ステップと、撮像部が前記レーザ装置による補修部位の溶接位置を撮像する撮像ステップと、光照射部が前記撮像部の撮像範囲内の前記補修部位にライン状の光を照射する照射ステップと、溶接幅算出部が前記照射されたライン状の光を用いて撮像された画像に基づいて、前記補修部位の溶接幅を算出する算出ステップと、検索部が前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記補修部位の溶接幅と前記補修部位の溶接条件との対応関係を示す対応データを記憶する記憶部から対応関係にある前記溶接条件のデータを検索する検索ステップと、対応制御部が前記検索された対応データに基づいて、前記材料供給部および前記レーザ装置を制御する条件制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人手を介さずに補修部位を容易に肉盛溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の補修装置の構成を示す図である。
【図2】被溶接材先端の一部を拡大した上面図である。
【図3】チップスキーラ部の概略上面図である。
【図4】実施の形態における動翼チップ部の概略斜視図である。
【図5】図1に示した解析装置の構成を示すブロック図である。
【図6】スポット径とレーザ出力との対応関係のデータベースを示す図である。
【図7】溶接幅とスポット径との対応関係のデータベースを示す図である。
【図8】スポット径と粉末供給量との対応関係のデータベースを示す図である。
【図9】補修装置による補修動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】溶接試験を行った被溶接材の組成を質量百分率[wt%]で示した図である。
【図11】この実施の形態の補修装置による溶接試験結果を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態2の補修装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3の補修装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態4の補修装置の構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態5の補修装置の構成を示す図である。
【図16】図15に示した解析装置の構成を示すブロック図である。
【図17】溶接幅とスポット光の速度との対応関係のデータベースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態の補修装置10の構成を示す図である。図2は、被溶接材先端(動翼チップ部1のチップスキーラ部1a)の一部を拡大した上面図である。
【0012】
図1に示すように、補修装置10は、台座2に固定された動翼チップ部(被溶接材)1のチップスキーラ部(補修部位)1aのたとえば多層溶接を行う。この補修装置10は、溶接ロボット11、この溶接ロボット11のアーム11a先端にそれぞれ保持されたCCD(Charge Coupled Device)カメラ12、光照射部13、粉末供給ヘッド14および溶接ヘッド15と、を備える。
【0013】
また、この補修装置10は、溶接ロボット11を駆動制御するロボット制御部16と、粉末供給ヘッド14に粉末状の補修材料(以下、「粉末材料」という)を供給する粉末供給部17と、溶接ヘッド15にレーザ光を出力する発振器18と、スポット光のスポット径を制御するスポット径制御部19と、CCDカメラ12、光照射部13、ロボット制御部16、粉末供給部17、発振器18およびスポット径制御部19と電気的に接続される解析装置20と、を備える。
【0014】
溶接ロボット11は、多関節のアーム11aを備え、ロボット制御部16からの駆動制御によってこのアーム11aを三次元方向に移動する。
CCDカメラ12は、溶接ロボット11のアーム11a先端に固定されて保持され、このアーム11aの移動に伴って三次元方向に移動する。このCCDカメラ12は、溶接ヘッド15からのレーザスポット光(以下、単に「スポット光」という)が照射されるチップスキーラ部1aの溶接位置を撮像している。すなわち、このCCDカメラ12は、スポット光による補修部位の溶接位置を含む領域を撮像する撮像部として機能する。
【0015】
光照射部13は、CCDカメラ12などとともにアーム11a先端に固定されて保持され、このアーム11aの移動に伴って三次元方向に移動する。この光照射部13は、CCDカメラ12の撮像範囲内のチップスキーラ部1a(溶接位置を含む)の表面に、図2に示すようなチップスキーラ部1aを横切る1本の直線からなるライン状の光Lを照射する。この光照射部13は、たとえば従来から使用されているレーザ発生装置を利用して、たとえばコリメートされたレーザ光を、スリットを介してチップスキーラ部1aに照射することで、ライン状の光Lを生成するライン発生器である。すなわち、この光照射部13は、撮像部の撮像範囲内の補修部位にこの補修部位を横切るライン状の光を照射する機能を有する。
【0016】
粉末供給ヘッド14は、粉末供給部17から供給される粉末材料をチップスキーラ部1aの溶接位置に噴出している。この粉末供給ヘッド14は、溶接ヘッド15下方のアーム11a先端に固定されて保持され、このアーム11aの移動に伴って三次元方向に移動する。
【0017】
溶接ヘッド15は、CCDカメラ12などとともにアーム11a先端に固定されて保持され、このアーム11aの移動に伴って三次元方向に移動する。この溶接ヘッド15は、光ファイバ21を介して発振器18と接続されており、この発振器18とともにレーザ装置を構成している。
【0018】
溶接ヘッド15は、図示しないレンズを含む光学系を有し、スポット径制御部19の移動制御によってレンズの位置を移動させて、発振器18から出力されるレーザ光を所定のスポット径のスポット光に生成し、この生成したスポット光をチップスキーラ部1aの溶接位置に照射している。このスポット光の照射により、チップスキーラ部1aに供給された粉末材料を溶解して、たとえば図2に示すように、このチップスキーラ部1aをハーフオーバーラップによる2点鎖線で示す肉盛Mで補修することができる。なお、この実施の形態では、たとえば3盛のハーフオーバーラップによる補修の場合を示している。
【0019】
ロボット制御部16は、たとえばロボットティーチングやオフラインティーチングシステムによって作成された補修プログラムで溶接ロボット11を動作制御する。このロボット制御部16は、解析装置20から入力する溶接幅を含む各種情報または予め設定された情報から補修を行うチップスキーラ部1aの位置や補修の必要な高さなどを認識することも可能である。
【0020】
ロボット制御部16は、補修情報を記憶している。この補修情報には、たとえば予め計測されたチップスキーラ部1aの形状、このチップスキーラ部1aの補修面を移動するスポット光の経路情報が含まれる。また、この補修情報には、補修される一回の肉盛の長さ、厚さ、幅などの肉盛情報も含まれる。なお、スポット径とレーザ出力は、肉盛の幅や厚さと比例関係にある。
【0021】
図3は、チップスキーラ部の概略上面図である。図3に示すように、経路情報は、チップスキーラ部1aの補修面を、たとえば等間隔にプロットしたx,y,z方向の三次元の座標位置情報P0〜P17を有する。ここで、座標位置情報P0〜P17はたとえば(x0,y0,z0)〜(x17,y17,z17)で表され、スポット光が移動する経路の構築を可能にする。また、座標位置情報P0は、スポット光の照射開始位置、照射終了位置に設定される。Sは、溶接ヘッド15の移動速度である。
【0022】
図4は、この実施の形態における動翼チップ部1の概略斜視図である。図4に示すように、経路情報は、この他に溶接ヘッド15の移動速度S(図3参照)、溶接ヘッド15のスポット光S1の長さHの情報を有する。この実施の形態では、溶接ヘッド15の移動速度Sは一定である。
【0023】
ロボット制御部16は、経路情報および補修プログラムに基づいて、溶接ロボット11(たとえばアーム11a)を駆動制御する。すなわち、ロボット制御部16は、チップスキーラ部1aの座標位置情報P0〜P17、移動速度Sなどの補修情報に基づいて、スポット光S1の現在位置を認識し、このスポット光S1を一定の移動速度Sで、この経路に沿ってP0→P1→P3→…→P16→P17→P0と移動させるように、溶接ヘッド15を移動制御する。なお、この座標位置情報間は、補修プログラムによって予め経路が補完されており、これによりロボット制御部16は、チップスキーラ部1aの補修面におけるスポット光S1の現在位置を常時認識することができる。
【0024】
さらに、ロボット制御部16は、座標位置情報P0〜P17、長さHの情報などの補修情報に基づいて、チップスキーラ部1aの補修面からの溶接ヘッド15の高さを調整することができる。すなわち、溶接ヘッド15は、チップスキーラ部1a上に配置され、このチップスキーラ部1aは摩耗などによって表面が凹凸に変形している。
【0025】
一方、スポット光S1の長さHは、常に一定に設定されている。また、ロボット制御部16は、照射するスポット光S1の光軸を鉛直にし、経路に沿ってスポット光S1を移動させるように、溶接ヘッド15を移動制御する。
【0026】
そこで、ロボット制御部16は、座標位置情報に基づいて認識されたチップスキーラ部1aにおけるスポット光S1の現在位置を認識し、この現在位置の座標のうちのy値に、スポット光S1の長さHを加えた値が、溶接ヘッド15の位置(スポット光S1の出射位置)になるように、溶接ヘッド15を移動制御する。
【0027】
この駆動制御により、溶接ヘッド15は、溶接開始位置(座標位置P0)からチップスキーラ部1aの補修面に対して、常に一定の長さで光軸が鉛直のスポット光S1を照射するとともに、スポット光S1を上記経路に沿って移動させることができる。この結果、このスポット光S1によってチップスキーラ部1aの補修面を局所的に加熱することができる。このロボット制御部16は、加熱されたガスタービン翼の補修部位に照射されてこの補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修するレーザのスポット光と補修部位とを相対的に移動させる移動部として機能する。
【0028】
粉末供給部17は、粉末供給ヘッド14に所定量の粉末材料を供給する機能を有する。この粉末供給部17には、解析装置20から粉末供給量のデータが入力されており、粉末供給部17はこの入力された粉末供給量に基づいて粉末材料を粉末供給ヘッド14に供給している。すなわち、この粉末供給部17は、検索された溶接条件のデータに基づいて、粉末材料の供給量を制御する対応制御部として機能する。
【0029】
発振器18は、レーザ発振によるレーザ光を溶接ヘッド15に出射する機能を有する。この発振器18には、解析装置20からレーザ出力のデータが入力されており、発振器18はこの入力されたレーザ出力に基づいてレーザ発振を行ってレーザ光を溶接ヘッド15に出射している。すなわち、この発振器18は、検索された溶接条件のデータに基づいて、レーザ出力を制御する対応制御部として機能する。
【0030】
スポット径制御部19は、溶接ヘッド15の図示しない光学系のレンズ位置を移動制御して、溶接ヘッドから出射されるスポット光のスポット径を変更させる機能を有する。このスポット径制御部19には、解析装置20からスポット径のデータが入力されており、スポット径制御部19はこの入力されたスポット径に対応したレンズ位置に光学系のレンズを移動制御している。すなわち、このスポット径制御部19は、検索された溶接条件のデータに基づいて、スポット光のスポット径を制御する対応制御部として機能する。
【0031】
図5は、図1に示した解析装置20の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、解析装置20は、肉盛データベース(以下、「肉盛DB」という)31と、データ入力制御部32と、溶接幅算出部33と、スポット径検索部34と、レーザ出力検索部35と、粉末供給量検索部36と、データ出力制御部37と、ライン制御部38と、表示制御部39とを備える。
【0032】
図6は、溶接幅とスポット径との対応関係のデータベースを示す図である。図7は、スポット径とレーザ出力との対応関係のデータベースを示す図である。図8は、スポット径と粉末供給量との対応関係のデータベースを示す図である。
【0033】
図6に示すように、肉盛DB31は、溶接ヘッド15からのスポット光が照射されるチップスキーラ部1aの溶接位置での溶接幅と、溶接ヘッド15から出射されるスポット光のスポット径との対応関係を実験等で予め求め、この対応関係をデータベース(以下、「対応データ」という)として記憶している。このDBでは、溶接幅とスポット径とは、比例関係にあり、この溶接幅が大きくなると、このスポット径は直線的(右上がりの直線)に大きくなる。
【0034】
また、図7に示すように、肉盛DB31は、上述したスポット光のスポット径と、発振器18から発振されるレーザ光のレーザ出力との対応関係を実験等で予め求め、この対応関係を対応データとして記憶している。このDBでは、スポット径とレーザ出力とは、このスポット径が大きくなると、レーザ出力は二次曲線的(右上がりの曲線)に大きくなる。
【0035】
さらに、図8に示すように、肉盛DB31は、上述したスポット光のスポット径と、粉末供給部17から供給される粉末材料の粉末供給量との対応関係を実験等で予め求め、この対応関係を対応データとして記憶している。このDBでは、スポット径と粉末供給量とは、このスポット径が大きくなると、粉末供給量は二次曲線的(右上がりの曲線)に大きくなる。この肉盛DB31は、補修部位の溶接幅と前記補修部位の溶接条件との対応関係を示す対応データを記憶する記憶部として機能する。
【0036】
データ入力制御部32は、CCDカメラ12からこの光照射部13からの光Lを含むチップスキーラ部1aの溶接位置の画像を取り込むとともに、キーボードやマウスなどからの入力データを取り込む。
【0037】
溶接幅算出部33は、データ入力制御部32によって取り込まれた画像からライン状の光Lを検出し、このライン状の光Lの輝度の差(チップスキーラ部1aの補修面でのライン状の光Lの輝度と、このチップスキーラ部1aの補修面から外れたライン状の光Lの輝度)の中間を二値化の基準の閾値とする。そして、この中間の輝度に基づいてライン状の光Lの画像を二値化処理して明と暗の部分を求め、求めた明の部分を溶接幅として算出するものである。すなわち、この溶接幅算出部33は、照射されたライン状の光Lを用いて撮像された画像に基づいて、補修部位の溶接幅を算出する機能を有する。
【0038】
スポット径検索部34は、溶接幅算出部33で算出された溶接幅のデータに基づいて、肉盛DB31の図6に示したDBから対応関係にあるスポット径の対応データを検索するものである。このスポット径検索部34は、算出された補修部位の溶接幅に基づいて、記憶部DB31に記憶された対応データから対応関係にあるスポット径のデータを検索する検索部として機能する。
【0039】
レーザ出力検索部35は、スポット径検索部34で検索されたスポット径の対応データに基づいて、肉盛DB31の図7に示したDBから対応関係にあるレーザ出力の対応データを検索するものである。すなわち、この実施の形態の補修装置10は、算出された溶接幅に対して、レーザ出力を変更して、補修部位に照射するスポット光の強さを変化させることで、溶解される粉末材料の量を変えてチップスキーラ部1aを肉盛溶接するものである。このレーザ出力検索部35は、算出された補修部位の溶接幅に基づいて、記憶部DB31に記憶された対応データから対応関係にあるレーザ出力のデータを検索する検索部として機能する。
【0040】
粉末供給量検索部36は、スポット径検索部34で検索されたスポット径の対応データに基づいて、肉盛DB31の図8に示したDBから対応関係にある粉末供給量の対応データを検索するものである。この粉末供給量検索部36は、算出された補修部位の溶接幅に基づいて、記憶部DB31に記憶された対応データから対応関係にある補修材料の粉末供給量のデータを検索する検索部として機能する。
【0041】
データ出力制御部37は、溶接幅算出部33で算出された溶接幅のデータをロボット制御部16に出力制御する。また、データ出力制御部37は、スポット径検索部34で検索されたスポット径の対応データをスポット径制御部19に出力制御する。また、データ出力制御部37は、レーザ出力検索部35で検索されたレーザ出力の対応データを発振器18に出力制御する。さらに、データ出力制御部37は、粉末供給量検索部36で検索された粉末供給量の対応データを粉末供給部17に出力制御する。
【0042】
ライン制御部38は、光照射部13を動作制御してこの光照射部13からライン状の光Lを、CCDカメラ12の撮像範囲内のチップスキーラ部1aの溶接位置に照射させる。すなわち、このライン制御部38は、光照射部13をオン、オフ制御する機能を有する。
【0043】
(補修装置の動作)
以下、図9を参照してこの補修装置10の補修動作を説明する。
図9は、補修装置10による補修動作を説明するためのフローチャートである。なお、この補修装置10による補修を行う際には、チップスキーラ部1aは、予め所定の予熱温度で熱処理されているものとする。
【0044】
図9に示すように、この補修装置10では、起動されると、ハーフオーバーラップによる溶接を開始させる(ステップS101)。ここでは、ロボット制御部16が、溶接ヘッド15の位置座標を予め設定した零地点に到るように、アーム11aを前方(溶接ヘッド15がチップスキーラ部1aに近づく方向)に移動させ、その零地点から溶接開始位置の座標に移動させる。溶接ヘッド15が溶接開始位置に移動したら、この溶接ヘッド15の高さを調整する。
【0045】
次に、解析装置20(ライン制御部38)が、光照射部13を動作制御してこの光照射部13からライン状の光Lを、CCDカメラ12の撮像範囲内のチップスキーラ部1aの溶接位置(被溶接部)にこのチップスキーラ部1aを横切るように照射させる(ステップS102)。そして、解析装置20(データ入力制御部32)は、CCDカメラ12が撮影したライン状の光Lを含むチップスキーラ部1aの溶接位置の画像を取り込む(ステップS103)。
【0046】
解析装置20(溶接幅算出部33)は、取り込んだ画像を二値化処理してライン状の光Lを検出し、このライン状の光Lの輝度の差に基づいて溶接幅を算出する(ステップS104)。次に、解析装置20(スポット径検索部34、レーザ出力検索部35および粉末供給量検索部36)は、算出した溶接幅と、肉盛DB31内のDBとから、該当するスポット径、レーザ出力および粉末供給量の対応データをそれぞれ検索する(ステップS105)。
【0047】
次に、解析装置20(データ出力制御部37)は、算出した溶接幅、検索したスポット径、レーザ出力、粉末供給量の各データを、ロボット制御部16、スポット径制御部19、発振器18、粉末供給部17に、それぞれ出力制御する。これによって、ロボット制御部16、スポット径制御部19、発振器18および粉末供給部17は、セットされている各データを変更でき、この変更されたデータに基づいて溶接を行う(ステップS106)。
【0048】
なお、この実施の形態に係るロボット制御部16では、溶接の肉盛数(オーバーラップの最終肉盛数)を一定に設定しているが、たとえば取り込んだ溶接幅のデータに基づいて、この溶接の肉盛数を変更することも可能である。
【0049】
そして、解析装置20(ロボット制御部16)は、この設定された溶接の肉盛数に基づいて、連続的に溶接ロボット11を移動制御しつつ、肉盛溶接を行う(ステップS107)。次に、設定された肉盛数の溶接が終了したか判断する(ステップS108)。
【0050】
ここで、設定された肉盛数の溶接が終了していない場合(ステップS108のNoの場合)、ステップS107に戻って肉盛溶接を続行する。また、設定された肉盛数の溶接が終了した場合(ステップS108のYesの場合)、ステップS101に戻って、溶接ヘッド15を次の溶接開始位置に移動させて溶接を開始させる。
【0051】
図10は、溶接試験を行った被溶接材の組成を質量百分率[wt%]で示した図である。図11は、この実施の形態の補修装置10による溶接試験結果を示した図である。
図10に示すように、溶接試験を行った被溶接材は、炭素(C)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)の合金組成からなる。
【0052】
この補修装置10において、発振器18はランプ励起2kWのYAGレーザ、溶接ヘッド15は同軸型粉末溶接ヘッドを用いて、上記組成の被溶接材の先端に対して肉盛溶接を行った。この溶接試験では、被溶接材の先端の溶接位置の溶接幅を1.7[mm]、2.6[mm]、3.2[mm]に変化させ、これに対応するスポット径を2[mm]、3[mm]、4[mm]とし、この時のそれぞれのレーザ出力を400[W]、600[W]、600[W]とした。
【0053】
このような溶接試験による結果は、図11に示すように、上記溶接幅が、1.7[mm]、2.6[mm]、3.2[mm]に変化しても、それぞれの肉盛高さは、0.76[mm]、0.87[mm]、0.83[mm]とほぼ均一になり、また溶接割れもないことが確認された。
【0054】
このように、この実施の形態の補修装置によれば、補修部位の溶接幅が変化しても、スポット径、レーザ出力などの溶接条件を肉盛DB31の対応データに基づいて変化させるので、人手を介さずに容易に補修部位を肉盛溶接することができる。
【0055】
また、この実施の形態の補修装置によれば、図11に示すような良好な溶接結果を得ることができるので、溶接割れのない肉盛溶接を可能とするとともに、均一な肉盛高さで肉盛溶接することができる。
【0056】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2の補修装置10の構成を示す図である。
【0057】
図12において、図1に示した補修装置10と異なる点は、溶接ロボット11に代えて、数値制御加工機(以下、「NC加工機」という)22を用いることである。このNC加工機22は、ブーム22aを備え、このブーム22aの先端にCCDカメラ12、光照射部13、粉末供給ヘッド14および溶接ヘッド15をそれぞれ保持している。このNC加工機22は、NC制御部23からの駆動制御によって、ブーム22aを三次元方向に移動する。
【0058】
NC制御部23は、補修情報および数値制御プログラム(補修プログラム)を記憶している。この補修情報は、実施の形態1と同様の経路情報および肉盛情報が含まれている。NC制御部23は、経路情報および補修プログラムに基づいて、NC加工機22(たとえばブーム22a)を実施の形態1と同様に駆動制御する。
【0059】
すなわち、NC制御部23は、この経路情報によって構築された経路に沿って、溶接ヘッド15からのスポット光が移動するように、NC加工機22を駆動制御する。つまり、NC制御部23は、図3に示したチップスキーラ部1aの座標位置情報P0〜P17、移動速度Sなどの補修情報に基づいて、スポット光S1の現在位置を認識し、このスポット光S1を一定の移動速度Sで、この経路に沿ってP0→P1→P3→…→P16→P17→P0と移動させるように、溶接ヘッド15を移動制御する。なお、この座標位置情報間は、補修プログラムによって予め経路が補完されており、これによりNC制御部23は、チップスキーラ部1aの補修面におけるスポット光S1の現在位置を常時認識することができる。
【0060】
さらに、NC制御部23は、座標位置情報P0〜P17、長さH(図4参照)の情報などの補修情報に基づいて、チップスキーラ部1aの補修面からの溶接ヘッド15の高さを調整することができる。すなわち、溶接ヘッド15は、チップスキーラ部1a上に配置され、このチップスキーラ部1aは摩耗などによって表面が凹凸に変形している。
【0061】
一方、スポット光S1の長さHは、常に一定に設定されている。また、NC制御部23は、照射するスポット光S1の光軸を鉛直にし、経路に沿ってスポット光S1を移動させるように、NC加工機22を移動制御する。
【0062】
そこで、NC制御部23は、座標位置情報に基づいて認識されたチップスキーラ部1aにおけるスポット光S1の現在位置を認識し、この現在位置の座標のうちの高さ方向のy値に、スポット光S1の長さHを加えた値が、溶接ヘッド15の位置(スポット光S1の出射位置)になるように、NC加工機22を移動制御する。
【0063】
この駆動制御により、溶接ヘッド15は、溶接開始位置(座標位置P0)からチップスキーラ部1aの補修面に対して、常に一定の長さで光軸が鉛直のスポット光を照射するとともに、スポット光S1を上記経路に沿って移動させることができる。この結果、このスポット光S1によってチップスキーラ部1aの補修面を局所的に加熱することができる。
【0064】
このように、この実施の形態の補修装置によれば、実施の形態1と同様に、被溶接材の溶接幅が変化しても、スポット径、レーザ出力などの溶接条件を肉盛DB31の対応データに基づいて変化させるので、人手を介さずに容易に補修部位を肉盛溶接することができる。
【0065】
また、この実施の形態の補修装置でも、実施の形態1と同様に、図11に示すような良好な溶接結果を得ることができるので、溶接割れのない肉盛溶接を可能とするとともに、均一な肉盛高さで肉盛溶接することができる。
【0066】
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3の補修装置10の構成を示す図である。
【0067】
図13において、図12の補修装置10と異なる点は、チップスキーラ部1aが載置されるステージ3を備え、ステージ3はNC制御部24からの駆動制御によって、三次元方向に移動する点である。この実施の形態では、NC制御部24の駆動制御の対象がステージ3に代わっており、NC制御部24は、経路情報および補修プログラムに基づいて、ステージ3を実施の形態2と同様に駆動制御する。
【0068】
この駆動制御により、溶接ヘッド15は、溶接開始位置からチップスキーラ部1aの補修面に対して、常に一定の長さH(図4参照)で光軸が鉛直のスポット光S1を照射するとともに、スポット光S1を上記経路に沿って移動させることができる。この結果、このスポット光S1によってチップスキーラ部1aの補修面を局所的に加熱することができる。
【0069】
このように、この実施の形態の補修装置によれば、実施の形態1,2と同様に、被溶接材の溶接幅が変化しても、スポット径、レーザ出力などの溶接条件を肉盛DB31の対応データに基づいて変化させるので、人手を介さずに容易に補修部位を肉盛溶接することができる。
【0070】
また、この実施の形態の補修装置でも、実施の形態1と同様に、図11に示すような良好な溶接結果を得ることができるので、溶接割れのない肉盛溶接を可能とするとともに、均一な肉盛高さで肉盛溶接することができる。
【0071】
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4の補修装置10の構成を示す図である。
【0072】
図14に示す補修装置10は、図12と図13の補修装置を合わせたもので、NC加工機22はNC制御部28からの駆動制御によって、ブーム22aを三次元方向に移動するとともに、ステージ3はNC制御部28からの駆動制御によって、三次元方向に移動するものである。NC制御部28は、経路情報および補修プログラムに基づいて、NC加工機22およびステージ3をそれぞれ駆動制御し、溶接ヘッド15が溶接開始位置からチップスキーラ部1aの補修面に対して、常に一定の長さで光軸が鉛直のスポット光を照射するとともに、スポット光を上記経路に沿って移動させることができる。
【0073】
このように、この実施の形態の補修装置によれば、実施の形態1,2と同様に、被溶接材の溶接幅が変化しても、これに対してスポット径、レーザ出力を変化させるので、溶接割れのない肉盛溶接を可能とするとともに、均一な肉盛高さで肉盛溶接することができる。
【0074】
また、この実施の形態では、NC加工機22の駆動とステージ3の駆動とに関連性を持たせ、たとえばブーム22aとステージ3を短時間に最小限に移動させることで、溶接ヘッド15が溶接開始位置からチップスキーラ部1aの補修面に対して、常に一定の長さで光軸が鉛直のスポット光を照射するとともに、スポット光を上記経路に沿って移動させることも可能である。
【0075】
図15は、本発明の実施の形態5の補修装置10の構成を示す図である。
図15において、図12の補修装置10と異なる点は、解析装置20からロボット制御部16へは、溶接幅とスポット光の移動速度とが入力されている。ロボット制御部16は、この入力されたスポット光の移動速度に基づいて、溶接ヘッド15の移動速度を制御する。
【0076】
図16は、図15に示した解析装置20の構成を示すブロック図である。図17は、溶接幅とスポット光の速度との対応関係のデータベースを示す図である。
【0077】
図16において、図5の解析装置の構成と異なる点は、レーザ出力検索部35に代えて、速度検索部40を備える点と、肉盛DB31に、スポット光のスポット径とレーザ光のレーザ出力との対応データ(図7参照)に代えて、溶接幅とスポット光の速度との対応データ(図17参照)を記憶させる点とである。
【0078】
図17に示すように、肉盛DB31は、溶接幅とスポット光の速度との対応関係を実験等で予め求め、この対応関係をデータベース(以下、「対応データ」という)として記憶している。このDBでは、溶接幅とスポットの速度とは、反比例関係にあり、溶接幅が大きくなると、スポット光の速度は直線的(左上がりの直線)に小さくなる。
【0079】
速度検索部40は、溶接幅算出部33で算出された溶接幅のデータに基づいて、肉盛DB31の図17に示したDBから対応関係にあるスポット光の速度の対応データを検索するものである。すなわち、この実施の形態の補修装置は、算出された溶接幅に対して、レーザ出力を変更する代わりに、溶接ロボット11によるスポット光の移動速度を変更して、補修部位にスポット光が照射される時間を変化させることで、溶解される粉末材料の量を変えてチップスキーラ部1aを肉盛溶接するものである。
【0080】
データ出力制御部37は、溶接幅算出部33で算出された溶接幅のデータおよび速度検索部40で検索されたスポット光の速度の対応データをロボット制御部16に出力制御する。
【0081】
ロボット制御部16は、設定された溶接の肉盛数およびスポット光の速度に基づいて、連続的に溶接ロボット11を移動制御しつつ、肉盛溶接を行うことが可能となる。なお、この肉盛溶接では、レーザ出力は常に一定となっている。
【0082】
このように、この実施の形態の補修装置によれば、被溶接材の溶接幅が変化しても、スポット径、スポット径の速度などの溶接条件を肉盛DB31の対応データに基づいて変化させるので、人手を介さずに容易に補修部位を肉盛溶接することができる。
【0083】
また、この実施の形態の補修装置では、実施の形態1のレーザ出力の代わりにスポット径の速度を変更するので、この場合も実施の形態1と同様に、溶接割れのない肉盛溶接を可能とするとともに、均一な肉盛高さで肉盛溶接することが可能となる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。たとえば実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…動翼チップ部、1a…チップスキーラ部、2…台座、3…ステージ、10…補修装置、11…溶接ロボット、11a…アーム、12…カメラ、13…光照射部、14…粉末供給ヘッド、15…溶接ヘッド、16…ロボット制御部、17…粉末供給部、18…発振器、19…スポット径制御部、20…解析装置、21…光ファイバ、22…NC加工機、22a…ブーム、23,24,28…NC制御部、32…データ入力制御部、33…溶接幅算出部、34…スポット径検索部、35…レーザ出力検索部、36…粉末供給量検索部、37…データ出力制御部、38…ライン制御部、39…表示制御部、40…速度検索部、31…肉盛DB、P0〜P17…座標位置情報、S…移動速度、S1…スポット光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されたガスタービン翼の補修部位に補修材料を供給する材料供給部と、
前記補修部位にレーザスポット光を照射して、前記供給された補修材料を溶解して前記補修部位を肉盛補修するレーザ装置と、
前記レーザスポット光と前記補修部位とを相対的に移動させる移動部と、
前記補修部位の溶接幅と前記補修部位の溶接条件との対応関係を示す対応データを記憶する記憶部と、
前記レーザスポット光による前記補修部位の溶接位置を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像範囲内の前記補修部位にライン状の光を照射する光照射部と、
前記照射されたライン状の光を用いて撮像された画像に基づいて、前記補修部位の溶接幅を算出する溶接幅算出部と、
前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記記憶部に記憶された対応データから対応する溶接条件のデータを検索する検索部と、
前記検索された溶接条件のデータに基づいて、前記材料供給部および前記レーザ装置を制御する対応制御部と、
を具備することを特徴とする補修装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記補修部位の溶接幅と前記レーザスポット光のスポット径との対応関係を示す対応データと、前記レーザスポット光のスポット径と前記レーザの出力および前記補修部位に供給される前記補修材料の供給量との対応関係を示す対応データとをそれぞれ記憶し、
前記検索部は、前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記記憶された対応データから対応する前記レーザスポット光のスポット径、前記レーザの出力、前記補修材料の供給量のデータを前記溶接条件のデータとしてそれぞれ検索し、
前記対応制御部は、前記検索された溶接条件のデータに基づいて、前記レーザ装置から照射されるレーザスポット光のスポット径および前記レーザの出力、前記材料供給部から供給される補修材料の供給量を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の補修装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記補修部位の溶接幅と前記レーザスポット光のスポット径および前記レーザスポット光の移動速度との対応関係を示す対応データと、前記レーザスポット光のスポット径と前記補修部位に供給される前記補修材料の供給量との対応関係を示す対応データとをそれぞれ記憶し、
前記検索部は、前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記記憶された対応データから対応する前記レーザスポット光のスポット径、前記スポット光の移動速度、前記補修材料の供給量のデータを前記溶接条件のデータとしてそれぞれ検索し、
前記対応制御部は、前記検索された溶接条件のデータに基づいて、前記レーザ装置から照射されるレーザスポット光のスポット径および前記レーザスポット光の移動速度、前記材料供給部から供給される補修材料の供給量を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の補修装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記レーザ装置、前記撮像部および前記光照射部を移動可能に保持する移動保持部を有し、前記レーザスポット光が前記補修部位の予め設定された経路に沿って移動するように、前記移動保持部を移動させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補修装置。
【請求項5】
前記移動部は、前記補修部位を移動可能に保持する移動保持部を有し、前記スポット光が前記補修部位の予め設定された経路に沿って移動するように、前記移動保持部を移動させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補修装置。
【請求項6】
前記移動部は、溶接ロボットからなり、
前記移動保持部は、前記溶接ロボットが有する多関節のアームからなり、このアームの先端に前記レーザ、前記撮像部および前記光照射部を移動可能に保持させる
ことを特徴とする請求項4記載の補修装置。
【請求項7】
前記移動部は、数値制御加工機からなり、
前記移動保持部は、前記数値制御加工機が有する三次元方向に移動可能なブームからなり、このブームの先端に前記レーザ、前記撮像部および前記光照射部を移動可能に保持させる
ことを特徴とする請求項4記載の補修装置。
【請求項8】
レーザ装置のレーザスポット光が加熱されたガスタービン翼の補修部位に照射されて、材料供給部から前記補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修するように、移動部が前記レーザスポット光と前記補修部位とを相対的に移動させる移動ステップと、
撮像部が前記レーザ装置による補修部位の溶接位置を撮像する撮像ステップと、
光照射部が前記撮像部の撮像範囲内の前記補修部位にライン状の光を照射する照射ステップと、
溶接幅算出部が前記照射されたライン状の光を用いて撮像された画像に基づいて、前記補修部位の溶接幅を算出する算出ステップと、
検索部が前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記補修部位の溶接幅と前記補修部位の溶接条件との対応関係を示す対応データを記憶する記憶部から対応関係にある前記溶接条件のデータを検索する検索ステップと、
対応制御部が前記検索された対応データに基づいて、前記材料供給部および前記レーザ装置を制御する条件制御ステップと、
を含むことを特徴とする補修方法。
【請求項9】
前記記憶部が前記補修部位の溶接幅と前記レーザスポット光のスポット径との対応関係を示す対応データと、前記レーザスポット光のスポット径と前記レーザの出力および前記補修部位に供給される前記補修材料の供給量との対応関係を示す対応データとをそれぞれ記憶し、
前記検索ステップでは、前記検索部が前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記記憶部に記憶された対応データから対応関係にある前記レーザスポット光のスポット径、前記レーザの出力、前記補修材料の供給量のデータを前記溶接条件のデータとしてそれぞれ検索し、
前記条件制御ステップでは、前記対応制御部が前記検索された溶接条件のデータに基づいて、前記レーザ装置のレーザスポット光のスポット径および前記レーザの出力、前記材料供給部から供給される補修材料の供給量を制御する
ことを特徴とする請求項8記載の補修方法。
【請求項10】
前記記憶部が前記補修部位の溶接幅と前記レーザスポット光のスポット径および前記レーザスポット光の移動速度との対応関係を示す対応データと、前記レーザスポット光のスポット径と前記補修部位に供給される前記補修材料の供給量との対応関係を示す対応データとをそれぞれ記憶し、
前記検索ステップでは、前記検索部が前記算出された補修部位の溶接幅に基づいて、前記記憶された対応データから対応関係にある前記レーザスポット光のスポット径、前記レーザスポット光の移動速度、前記補修材料の供給量の対応データを前記溶接条件のデータとしてそれぞれ検索し、
前記条件制御ステップでは、前記対応制御部が前記検索された溶接条件のデータに基づいて、前記レーザ装置のレーザスポット光のスポット径およびスポット光の移動速度、前記材料供給部から供給される補修材料の供給量を制御する
ことを特徴とする請求項8記載の補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−206137(P2012−206137A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72843(P2011−72843)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】