説明

補償バネを有するジョイスティック、並びに対応する製造方法及びコントローラ

【課題】改良された精度、感触をもたらすジョイスティックを提供する。
【解決手段】ベースに対して少なくとも2つの軸の周りに回転動作可能に構成されるスティック12と、前記ベースと前記スティック12に作用する可動要素との間に取り付けられており、かつ前記スティック12を中立位置に復帰可能とする構成である第1の復帰手段とを備えているジョイスティックにおいて、補償手段を備えており、該補償手段は、前記ベースと前記可動要素との間に取り付けられており、少なくとも前記スティック12が前記中立位置の近傍に位置しているときに、前記第1の復帰手段によって加えられた力を少なくとも部分的に補償する力を、前記可動要素に加えるように構成されていることを特徴とする、ジョイスティック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、マイクロコンピュータ及びゲームコンソールの双方向娯楽活動用の機器及び付属品の分野に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、ジョイスティック及びジョイスティックの使用に関わる付属品に関する。「ジョイスティック」という用語は、「コントロールスティック」として知られている装置、さらには「ミニスティック」と呼ばれることもある縮小された大きさを有する同様の装置であって、例えば、コントローラに搭載可能になっている同様の装置も含んでいる。
【背景技術】
【0003】
ジョイスティックは、数十年にわたって知られている。概略的には、ジョイスティックは、ベースを備えており、このベースにスティックが取り付けられている。スティックは、該スティックが待機位置にあるときに、ベースと平行の面を画成すると共にスティックによって画成された軸zneutralと直交する2つの方向x,yに動作することが可能になっている。
【0004】
動作を検出及び測定する手段が、ベース内に設けられている。従って、ユーザによってスティックに加えられた動作が検出され、一般的には、この後、デジタル信号に変換され、有線又は無線によって、コンピュータ又はゲームコンソールのようなデータを処理するための装置に伝達され、これによって、該データ処理装置が、用いられるソフトウエアに従って、スティックのこれらの動作を認識することになる。
【0005】
動作を検出するためのいくつかの技術が提案されてきている。具体的には、当初、軸x,yに沿って十字の形状に分配された4つの接点が用いられていた。現在では、例えば、接触することなく位置の検出を可能にするポテンシオメータ又はホール効果センサに基づいて、ベースに対するスティックをさらに正確に定めることができるいくつかの技術が用いられている。
【0006】
ジョイスティックは、どのような力も加えられない中心位置又は中立位置にスティックを復帰させるように構成された復帰手段を備えている。この復帰手段は、特に、スティックと一体の部品に作用してベース内において移動可能に構成されたコイルバネを含んでいる。このようなバネの異なる取付け代替例が、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に示されている。
【0007】
一般的に、バネとバネが押し付ける部品とのアセンブリは、コントローラが、プレーヤーによって、特にバネの(中立軸、軸zn、又はnneutralと呼ばれる)中立位置におけるスティックの軸に対して最大傾斜の位置に移動したとき、過度に大きくなく十分な抵抗をもたらすように、規定されている。他の重要な態様は、スティックが解放されたときに、バネは、中立位置の近くでの不正確さ又はこの位置の近くでの跳ね返り効果を生じることなく、中立位置への迅速かつ正確な復帰を保証しなければならないということにある。
【0008】
これらの要求を満たすために、バネは、十分に高い張力を有していなければならない。しかし、このような高張力は、特に、ユーザが(待機位置とも呼ばれる)中立位置の近傍において小さい動作を行うことを望むときにユーザによって行われる操作について、精度の問題及び/又は感触の問題を引き起こすことがある。実際、この領域では、バネによって加えられる力が大きく感じられ、場合によっては、スティックの操作を妨げることがある。しかし、バネによって加えられる力を減少させることはできない。何故なら、このようなバネの力は、スティックが大きく傾斜したとき、該スティックを効果的に中立位置に復帰させるために必要だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005012883号明細書
【特許文献2】米国特許第5,891,462号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/026959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特に、その目的として、先行技術のこれらの欠点を解消することを意図している。
【0011】
さらに詳細には、本発明の目的は、改良された使用時の精度及び感触をもたらすジョイスティックを提供することにある。
【0012】
従って、少なくとも1つの実施形態によれば、本発明の目的は、特に、ジョイスティックが中立位置の近傍に位置しているときに、ジョイスティックのスティックに、正確、快適、かつ人間工学的に作用することを可能とする、このようなジョイスティックを提供することにある。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明の他の目的は、妨げが比較的低減されたこのようなジョイスティックを提供することにある。
【0014】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、さらに他の目的は、先行技術に対して、組立が容易で、及び/又は限られた数の部品を用いて組み立てるように構成されている、このようなジョイスティックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的及び以下に記載されることになる他の目的は、ベースに対して少なくとも2つの軸の周りに回転動作可能に構成されるスティックと、前記ベースと前記スティックに作用する可動要素との間に取り付けられており、かつ前記スティックを中立位置に復帰可能とする構成である第1の復帰手段とを備えているジョイスティックを用いることによって、達成されることになる。
【0016】
本発明によれば、前記ジョイスティックは、補償手段をさらに備えており、前記補償手段は、前記ベースと前記可動要素との間に取り付けられており、少なくとも前記スティックが前記中立位置の近傍に位置しているときに、前記第1の復帰手段によって加えられた力を少なくとも部分的に補償する力を、前記可動要素に加えるように構成されている。
【0017】
これらの補償手段は、その構成によって、全体的又は部分的な補償を確実なものとすることができ、これによって、特にスティックが中立位置に近い領域にあるとき、第1の復帰手段によってスティックに加えられた力を制限することができ、さらには打ち消すことができる。従って、ユーザは、この領域において、スティックに精細かつ正確に作用することができる。その結果、このジョイスティックは、第1の復帰手段の有効性を損なうことなく、ユーザに良好な感触をもたらすことになる。
【0018】
特定の実施形態によれば、前記補償手段は、第2の復帰手段を備えており、前記第2の復帰手段は、前記ベースと前記可動要素との間に取り付けられており、前記第1の復帰手段によって加えられた力を部分的に補償する力を、前記可動要素に加えるように構成されている。
【0019】
この手法は、実施することが比較的簡単であり、実用上有効である。特に、前記第2の復帰手段は、少なくとも1つの補助コイルバネを備えることができる。
【0020】
従って、前記可動要素が、前記スティックの中立軸と平行に移動可能に構成され、かつ前記スティックと一体の部品に作用するように構成される可動支持体であるとき、かつ前記可動要素が、前記スティックの前記中立軸と平行の支柱に取り付けられているとき、前記支柱の各々が、前記支柱の各々に補助コイルバネを支持することができる。
【0021】
その結果、組立が極めて簡単であり、第2のバネは、支柱に簡単にネジ締めされる構成となっている。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、前記ジョイスティックは、実質的に同一の半径を有する2つのボール・ソケット継手要素、すなわち、ヘッド及び小カップを有する少なくとも1つのボール・ソケット継手を備えており、これらの要素の1つは、これらの要素の他の1つの中心の周りに回転可能に構成されており、前記ボール・ソケット継手要素の第1のボール・ソケット継手要素は、前記ベースに対して取付けられており、内部空間を有しており、前記ボール・ソケット継手要素の第2のボール・ソケット継手要素は、前記スティックと一体であり、前記可動要素に接触している。
【0023】
特に、 前記スティックは、前記内部空間内に入り込んでいる延長部を有することができ、前記スティックの前記延長部の下端は、前記内部空間内において移動するように構成されており、ホール効果によって動作を検出するためのユニットの少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つの磁石を支持している。
【0024】
従って、ヘッド又は小カップのいずれかは、開口を有しており、この開口内に、前記スティックの延長部が入り込むように構成されている。「ヘッド」及び「小カップ」(これらの用語は、例えば、人工器官の分野において用いられているものとの類推によって用いられている)は、ボール・ソケット継手を画成している。しかし、ボール・ソケット継手では、ヘッドが、ヘッドの内側においてスティックの延長部の移動を可能とするように、開いているか、又は小カップが、小カップの内側においてスティックの延長部の移動を可能とするように、開いている。
【0025】
換言すると、前記ジョイスティックは、実質的に同一の半径を有する2つのボール・ソケット継手要素、すなわち、ヘッド及び小カップを有する少なくとも1つのボール・ソケット継手を備えており、これらの要素の1つは、これらの要素の他の1つの中心の周りに回転可能に構成されており、前記ボール・ソケット継手要素の第1のボール・ソケット継手要素は、前記ベースに対して取付けられており、内部空間を有しており、前記ボール・ソケット継手要素の第2のボール・ソケット継手要素は、前記スティックと一体となっている。さらに、前記スティックの延長部は、前記内部空間内に入り込んでおり、前記スティックの前記延長部の下端は、前記内部空間内で移動するように構成されており、ホール効果によって動作を検出するためのユニットの少なくとも1つのセンサ及び/又は少なくとも1つの磁石を支持している。
【0026】
従って、内部空間は、自由空間であり、この自由空間の内側において、スティックの下端が移動するように構成されている。自由空間は、ボール・ソケット継手の輪郭、特に、ヘッドの輪郭によって画成された球によって内接している(換言すれば、スティックの下端は、ボール・ソケット継手の下方ではなく該継手の内側の自由領域内において移動するように構成されている)。
【0027】
スティックの下端及び該下端が支持している1つ(又は複数の)検出要素は、大きな移動を可能とするために、待機状態では、この球の中心(従って、ヘッドの中心)に実質的に配置されることが可能になっている。ベースに対して取付けられた1つ(又は複数の)相補的な要素も、ボール・ソケット継手の内側に収容することができる。
【0028】
この構造は、単純かつ小型のアセンブリを可能とすると共に、移動の有効な測定、例えば、もし検出がホール効果によって行われるなら、磁場の効果的な測定を可能とするものである。
【0029】
特定の実施形態によれば。ジョイスティックは、前記内部空間内において2つの軸受に回転可能に取り付けられており、かつ前記延長部と協働するように構成されている転向部を備えている。
【0030】
この手法によって、スティックの端のこの移動の効果的な制御をもたらすことが可能になる。
【0031】
本発明は、前述したようなジョイスティックを製造する方法にさらに関している。このような方法は、特に、以下のステップ、すなわち、
− 前記ベースの下部を設けるステップと、
− 前記第1の復帰手段又は前記補償手段を設置するステップと、
− 前記可動要素を設置するステップと、
− 前記補償手段又は前記第1の復帰手段を設置するステップと、
− 前記ベースの上部に関連して、かつ前記下部への前記ベースの取付けに関連して、前記ベースを閉鎖するステップと
を含んでいる。
【0032】
また、本発明は、前述したような少なくとも1つのジョイスティックを備えているゲームコントローラ、及びさらに一般的な同様の付属品に関する。
【0033】
本発明の他の特性及び他の利点は、非制限的な簡単な例としてもたらされている本発明の好ましい実施形態及び添付の図面の以下の説明を読めば、さらに明瞭になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態による本発明のジョイスティックモジュールの例を示す図である。
【図2】図1のモジュールの軸x及び軸yのそれぞれに沿った2つの断面図である。
【図3】図1のモジュールの軸x及び軸yのそれぞれに沿った2つの断面図である。
【図4】図2及び図3に見られる転向部の斜視図である。
【図5】種々の復帰手段を識別するために、横壁が省略されている図1〜図3のジョイスティックを示す図である。
【図6】図1〜図4に示されているようなモジュールの組立における主なステップを図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
従って、本発明は、製造が比較的簡単であり、特に中立位置の近傍において、高精度を有し、かつユーザに良好な感触をもたらす、新規のジョイスティクに関する。
【0036】
以下に述べる実施形態は、ホール効果式ジョイスティックに関する。しかし、他の形式のジョイスティックであっても、本発明の解決を有利に果たすことができることは、明らかである。
【0037】
従って、以下の記載は、モジュールの形態にある本発明の機械的システムの例に関するものであり、該モジュールは、例えば、ベースとハンドルの人間工学的なカバーとを用いる「ジョイスティック」の場合におけるように、外部設計要素を用いて仕上げるようになっていてもよい。このベース及びこのハンドルは、種々の補助的な要素、例えば、インターフェイス手段(ボタン、アクチュエータ、ポテンシオメータ等)、信号を処理し、かつ伝達する手段、情報を復元するための手段(計器、振動器、フォースフィードバック機能等)、安定化要素等を有することができる。
【0038】
本発明によるこのようなモジュール、妥当な場合には、いくつかの同じように作製されたモジュールが、1つのゲームコントローラに設置されてもよい。
【0039】
特許請求の範囲は、以下に述べるようなモジュール、及び1つ又はいくつかのモジュールを組み入れているジョイスティック、コントローラ、又は他の同様の付属品に関する。
【0040】
図1は、このようなモジュールを模式的に示している。このモジュールは、ベース又はベース要素11を備えている。ベース11は、下側蓋体(lowere capsule)111、上側蓋体(upper capsule)112、及び横壁113から形成されている。これらの蓋体は、例えば、ステンレス鋼から作製されている。
【0041】
スティック12は、xy面において、ベース11に対して移動可能に構成されている。このために、開口13が上側蓋体112に配置されている。
【0042】
以下、軸zは、スティック12によって画成されている軸を指すものとする。この軸は、待機位置又は中立位置にあるとき、zn又はzneutralと呼ばれる。この軸znは、xy面と直交している。
【0043】
2つの垂直軸x,yに沿った断面にそれぞれ対応している図2及び図3の断面図に示されているように、このモジュールは、取付ヘッド21を備えており、このヘッド21を小カップ22が押し付けている。このヘッド21及びこの小カップ22は、ボール・ソケット継手を形成しており、小カップは、ヘッドの中心の周りに回転可能に構成されている。
【0044】
ヘッド21は、下側蓋体111に対する接続領域211及び(例えば、円筒状の)連結領域217を有する(例えば、テフロン(Tefron、登録商標)加工されたポリオキシメチレン(POM)から作製された)部品である。連結領域217は、正確に言えば、ヘッド(すなわち、小カップが押し付けている部分的な球面)と接続領域211との間に延在している。
【0045】
下側蓋体111に対する接続領域211の取付けは、例えば、ネジ23を用いて行われるようになっている。この取付けは、例えば、接着によって行われてもよいし、さらに、下側蓋体111に対する直接成形又はオーバーモールド成形によって行われてもよい。
【0046】
小カップ又はドーム22は、ユーザによってこのスティックに加えられる回転の形態にある移動を制御するために、スティック12に取り付けられている。
【0047】
延長部25が、小カップ22の内側において軸zに沿って延在するために、スティック12の延長線上に形成されている。
【0048】
スティック12、小カップ22、及び延長部25によって形成される部品は、同一部分に成形又はオーバーモールド成形することによって、形成することができる。スティック及びその延長部は、中空とすることができ、これによって、特に電線を通過させることができる。
【0049】
この部品は、特に、ポリアミド(例えば、PA45%CFV)から作製することができる。
【0050】
従って、ヘッド21は、その上部にテーパ付き球形状を有しており、この球形状は、拡がった開口213を有している。この開口213の内側に、延長部25が入り込むことができる。この開口213の寸法及び縁は、有利には、スティック12の過度な傾斜位置において、延長部25に対するストッパとして機能するように適合されているとよい。
【0051】
ヘッド21の開口213に、実質的に円筒状の領域212が延在しており、この領域212の内側において、延長部25の端251が移動するように構成されている。端251は、磁石26を備えている。開口213及び円筒領域212は、ボール・ソケット継手の内部空間(ここでは、ヘッドの内部空間)を画成している。この内部空間に、延長部25が入り込んでおり、具体的には、その端251、従って、磁石26が、この内部空間内において移動することになる。従って、この磁石26の移動がヘッド21の内側において行われること、特に、ヘッド21が仮想的に球状に拡張されているとした場合、内部空間212は、ヘッド21の表面によって画成されたその仮想球に内接していることに留意されたい。
【0052】
領域212の底に、ホール効果センサ27が取り付けられている。ホール効果センサ27は、Melexis(登録商標)社によって提示されているような三軸センサである。
【0053】
従って、この実施形態によれば、ホール効果によって測定するためのユニット(磁石26及びセンサ27)は、ボール・ソケット継手の内側、すなわち、ヘッド21の表面によって画成された球の内側に収容されている。
【0054】
このホール効果センサ27は、ヘッド21に一体化されている印刷回路28又はPCB(プリント基板)に取り付けられている。三軸センサ又は3Dセンサの存在によって、極めて良好な精度を得ることが可能である。
【0055】
有利な実施形態によれば、下側蓋体111からこの印刷回路28の下方に延在している空間は、自由空間24である。この自由空間24は、特に、センサ27を調整及び較正するために及び/又はケーブルを通過させるためにアクセスすることが可能になっている。空間24を閉鎖するために、部品29(例えば、ネジ又はカバー)がこの空間24内に加えられてもよい。
【0056】
スティック12が自転するのを防ぐために、転向要素(tipping element)210が設けられてもよい。この転向要素210は、スティック12が所望の方向に転向するのを可能にしながら、軸zの周りに自転しないようにするものである。磁石26の高さの変動を阻止するのにも役立つこの転向要素210の例が、図4にさらに詳細に示されている。
【0057】
一方、転向要素210は、ヘッド21内に形成された2つの円開口41,42を備えており、これらの開口41,42は、2つの軸受31,32と協働することが可能になっている。これらの軸受は、(もし軸受が軸yに沿って延在していると見なされる場合)、方向xに転向することを可能とするものである。
【0058】
この軸yに沿って、転向部(tipping part)210は、矩形開口43をさらに備えており、この矩形開口43の内側において、延長部25が、軸yに沿って移動することができるようになっている。
【0059】
従って、この転向部210によって、スティック12をその軸zの周りに自転させることなく、2つの軸x,yに沿ったスティック12の転向、従って、面(x,y)におけるスティック12の転向を制御することができる。
【0060】
この部品は、特に、ポリアミド(例えば、PA45%CFV)から作製することができる。
【0061】
もちろん、この転向部は、例えば、カルダン継手の形態にある同じように2つの回転の自由度を可能とするかなり異なっている方法によって、行われてもよい。カルダン継手では、分岐部の一方が取付けられた球状ヘッドに取付けられ、他方がスティックの延長部に取付けられることになる。
【0062】
磁石26が、例えば、埋設によって、延長部の端251に配置されているという事実によって、どのような機械的な仲介を設けることなく、スティックの動作の直接的な伝達を行なうことができる。
【0063】
それ自体が知られているセンサ27によって行われるこの磁石の位置決めの演算の詳細については、説明しないことにする。商業的に入手可能なセンサであればよいセンサ27は、この位置を表すデジタル信号を送達するようになっている。
【0064】
どのような機械的な仲介を設けることなく、磁石26とセンサ27との間の測定が直接的になされるここに提案されている構造は、高精度を得ることを可能とし、特に、スティック12の位置にかかわらず、わずかな移動を考慮に入れることを可能とすることを理解されたい。これによって、例えば、ゲームによって現れることがある、いわゆる、演算の「死角(dead)」領域の存在を解消することができる。
【0065】
本明細書では予圧縮されたコイルバネ214の形態にある第1の復帰手段によって、スティック12によって与えられる最小の移動であっても、スティック12を(軸zに沿った)その中立位置に自動的に復帰させることができる。
【0066】
バネ214は、以下では(例えば、テフロン(Teflon、登録商標)加工されたポリオキシメチレン(POM)から作製された)可動支持体215と呼ばれるバネ支持体に作用するようになっている。可動支持体215は、例えば、特にステンレス鋼から作製することができる4つの支柱216を用いて、軸zに沿ってモジュール内で平行移動して案内されるようになっている。バネは、これらの4つの支柱に沿って配置されており、上側蓋体112によって圧縮されている。バネは、可動支持体の下縁2151に作用し、この可動支持体を下方に押す傾向にある。
【0067】
可動支持体215は、上縁又は肩2152をさらに有している。肩2152は、(小カップの内側と反対の)外部に向かって延在している小カップの縁221を押し付けるようになっている。小カップの縁221及び/又は可動支持体の肩2152は、互いに協働するように適合された形状及び表面を有することができ、スティックをその中立位置に復帰させるように構成されている。
【0068】
スティック12が一方向に傾斜したとき、小カップ22は、ヘッド21の周りに回転移動し、これによって、スティックに加えられた力の方向と反対の側に、その縁221を上方移動させることをまさに理解されたい。縁221は、肩2152に作用し、これによって、支柱216に沿って摺動する可動支持体215を持ち上げる傾向にある。
【0069】
バネ214は、この移動に反して作用する。従って、ユーザがスティックを離すや否や、バネ214は、可動支持体215をその待機位置に復帰させることになる。可動支持体215は、小カップ22に作用し、小カップ22を待機位置に戻し、これに応じて、スティック12を中立位置に復帰させることになる。
【0070】
肩2152と小カップの縁221との間の摩耗を制限するために、例えば、金属シート片が肩2152上にオーバーモールド成形されていてもよい。
【0071】
スティックの中立位置の近くにおいて、すなわち、スティックがこの中立位置に近い位置に配置されたときに、本発明によるジョイスティックのユーザに良好な感触をもたらすために、補償手段又は平衡手段がさらに設けられていてもよい。実際、この中立位置又は中心位置は、一般的に、高精度を必要とする。以下に具体的に述べるように、「補償手段」という語句は、主バネ214の力を全体的又は部分的に補償する手段を意味している。以下に述べる好ましい実施形態では、この補償は、部分的な補償とされており、具体的には、ジョイスティックは、中立位置の近くでより柔軟とされ、その一方、ユーザがスティックを離したとき、バネの合力が、スティックを中立位置に極めて効果的に復帰させるようになっている。
【0072】
記載されている実施形態によれば、ベース11、さらに詳細には、下側蓋体111と可動支持体215との間に配置された第2の復帰手段の形態にある、主バネ214(又は第1の復帰手段)によって加えられた力を補償する手段が、設けられている。
【0073】
これらの第2の復帰手段は、4つの支柱216に取り付けられた4つのコイルバネを備えている。これらのバネは、補助バネ231,231,231、231とも呼ばれている(この内、部番231,231,231が付された3つの補助バネが図5に示されており、部番231,231が付された2つの補助バネが図2に示されており、部番231,231が付された他の2つの補助バネが図3に示されている)。他の実施形態によれば、これは、下側蓋体111と可動支持体215との間に適切に配置された板バネ又はさらに一般的な弾性手段であってもよい。
【0074】
例えば、矢印72に沿ったボール・ソケット継手のヘッドの周りの回転によって、スティック12が傾斜したとき、可動支持体215は、矢印73に沿って、下側蓋体111から離れる方に移動することになる。この移動によって、主バネ214が圧縮されることになる。その結果、補助バネ231,231,231、231は、伸長し、殆どバネの影響力を有さなくなる。
【0075】
しかし、中心領域、すなわち、待機位置の近傍では、補助バネ231,231,231、231は、最大限に圧縮されており、主バネ214によって可動支持体に加えられた力を十分に又は部分的に補償する傾向にある。従って、互いに逆のこの主バネ214及び補助バネ231,231,231、231によって加えられるそれぞれの力の合力は、主バネのみの力に対して減少することになる。これによって、中心領域においてさらに一層柔軟な動作を可能とし、従って、ユーザに対して良好な感触をもたらすことができる。
【0076】
バネ(主バネ及び補助バネ)は、(比較的低い合力を前提とする)快適さと(十分な力の合力を前提とする)中立位置への正確かつ効率的な復帰との間に所望の妥協をもたらすように、選択されるようになっている。ユーザの良好な感触は、妥協の結果である。ユーザによっては、中心位置の近傍においてあまりにも柔軟なジョイスティックを必ずしも評価するとは限らず、従って、力の平衡又は疑似平衡が、必ずしも良好な妥協になるとは限らない。この良好な妥協は、例えば、多数のユーザからのフィードバックを考慮にいれて及び/又は飛行シミュレーション愛好試験者の反応に照らした一連の試験を介して、得られることになる。
【0077】
好ましい実施形態では、弾性円状片が、可動支持体215と小カップ22との間に配置されている。この円状片は、可動支持体215の肩2152の下に接着されており、縁221と協働するようになっている。この弾性円状片は、BUMPON(登録商標)片とすることができる。この弾性片は、可動支持体215を上方に押す機能を有している。ただし、この押上げ力は、補助バネ231によって作用する力よりは小さいものである。
【0078】
このようなジョイスティックの組立は、特に先行技術に対して、比較的簡単である。図6は、主なステップを示す簡単なブロック図によって、組立方法の例を図式的に示している。
【0079】
従って、まず、この目的のために設けられたハウジング内において、ヘッド21上への(センサ27及び必要な電気ケーブルが予め溶接されている)PCB28の組立(51)が行われる。取付けは、例えば、クリップ留め及び/又は接着によって、行うことができる。電気ケーブルは、PCBの下の開空間内に配置されるようになっている。
【0080】
次いで、ヘッド21が、例えば、ネジ締めによって、下側蓋体111に取り付けられる(52)。下側蓋体に、特に横壁113及び支柱216を予め備え付けておくこともできる。
【0081】
次いで、小カップ22と(磁石26が、例えば、クリップ留め及び/又は接着によって取付けられている)延長部とを備えているスティック12が、小カップ22がヘッド21に被さるように、適所に設置される(53)。延長部の端は、予めヘッドの軸受に取り付けられた転向部210の矩形開口内に配置される。
【0082】
次いで、支柱215の適所への補助バネ231,231,231、231の設置(54)が行われ、次いで、(予め下側蓋体111上に、例えば、ネジ締めによって取り付けられている)支柱216の適所への可動支持体215の設置(55)が行われる。この可動支持体は、支柱に沿って自在に摺動することができる。この可動支持体の肩2152は、小カップの縁221に接触することになる。
【0083】
次いで、可動支持体215への主バネ214の追加(56)が行われ、その後、例えば、支柱にネジ締めされた上側蓋体112によるベースの閉鎖(57)が行われる。この動作によって、(上側蓋体と可動支持体との間の)バネ214の圧縮及び(可動支持体と下側蓋体との間の)補助バネ231,231,231、231の圧縮が同時に生じることになる。
【0084】
次いで、センサの調整及び較正を行うことができ、その後、このようにして得られたユニットに、用途に応じて必要とされる付加的な機能を追加することができる。
【0085】
本発明の他の実施形態によれば、主バネは、下側蓋体と可動支持体との間に圧縮状態で取り付けられてもよく、これによって、可動支持体は、上方に押されることになる。この場合、補助バネは、可動支持体を下方に押すように取り付けられることになる。
【0086】
本発明の他の代替的実施形態によれば、小カップとヘッドとを逆にすることが可能である。この場合、小カップは、ベースと一体の取付容器を画成し、スティックと一体のヘッドが、カップを押し付けることになる。磁石又はセンサを支持している延長部は、小カップの底に収容されたセンサ又は磁石と協働するために、小カップ内に入り込むようになっている。
【0087】
補助コイルバネは、いくつかの実施形態では、必ずしも、支柱216に取り付けられていなくてもよく、(さらに、支柱216が設けられていなくてもよい)。ハウジング又は適切な支持体が、ベース又はベースと一体の要素の内又は上に、及び/又は可動支持体の内又は上に画成されるようになっていてもよい。
【0088】
代替的な実施形態によれば、軸zneutralに対して中心に配置された単一の補助コイルバネが、例えば、支柱間に取り付けられていてもよい。この単一の補助バネは、主バネと同心になっているが、主バネよりも短くなっており、及び/又は主バネよりも低剛性を有している。
【0089】
さらに、板バネのような他の復帰手段が用いられてもよい。例えば、弾性プラスチック材料から作製された弾性要素が、可動支持体とベースとの間に配置されるようになっていてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、補償手段は、例えば、プレーヤーの期待及び/又はプレーヤーが用いるゲームに従って、プレーヤーがその補償手段を保留するか否かを可能にするために、又は補償手段を異なる力の補償手段と取り換えるために、可動性になっていてもよい。
【0091】
他の実施形態では、製造中に精細な調整及び平衡を可能とするために、及び/又はプレーヤーが期待又は要求に従ってジョイスティックの反応を調整するために、これらの補償手段は、調整可能になっていてもよい。従って、コイルバネの場合、可動部は、例えば、ネジ締めによって取り付けられ、これによって、各バネの圧縮の大きさを増減させることができるようになっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(11)に対して少なくとも2つの軸の周りに回転動作可能に構成されるスティック(12)と、
前記ベース(11)と前記スティック(12)に作用する可動要素との間に取り付けられており、かつ前記スティック(12)を中立位置に復帰可能とする構成である第1の復帰手段と
を備えるジョイスティックにおいて、
補償手段を備え、
該補償手段は、前記ベース(11)と前記可動要素との間に取り付けられており、少なくとも前記スティック(12)が前記中立位置の近傍に位置しているときに、前記第1の復帰手段によって加えられた力を少なくとも部分的に補償する力を、前記可動要素に加えるように構成されていることを特徴とする、ジョイスティック。
【請求項2】
前記補償手段が第2の復帰手段を備えており、
前記第2の復帰手段が、前記ベースと前記可動要素との間に取り付けられており、前記第1の復帰手段によって加えられた力を部分的に補償する力を、前記可動要素に加えるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のジョイスティック。
【請求項3】
前記第2の復帰手段が、少なくとも1つの補助コイルバネを備えていることを特徴とする、請求項2に記載のジョイスティック。
【請求項4】
前記可動要素は、前記スティック(12)の中立軸と平行に移動可能に構成され、かつ前記スティック(12)と一体の部品に作用するように構成される可動支持体となっていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジョイスティック。
【請求項5】
前記可動要素が、前記スティック(12)の前記中立軸と平行の支柱(216)に取り付けられており、
前記支柱の各々が、補助コイルバネを支持していることを特徴とする、請求項3又は4に記載のジョイスティック。
【請求項6】
前記ジョイスティックは、実質的に同一の半径を有する2つのボール・ソケット継手要素、すなわち、ヘッド(21)及び小カップ(22)を有する少なくとも1つのボール・ソケット継手を備えており、
前記要素の1つは、前記要素の他の1つの中心の周りに回転可能に構成されており、
前記ボール・ソケット継手要素のうち第1のボール・ソケット継手要素は、前記ベース(11)に対して取付けられており、内部空間を有しており、
前記ボール・ソケット継手要素のうち第2のボール・ソケット継手要素は、前記スティックと一体であり、前記可動要素に接触していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のジョイスティック。
【請求項7】
前記スティック(12)は、前記内部空間内に入り込んでいる延長部(25)を有しており、
前記スティックの前記延長部(25)の下端が、前記内部空間内で移動するように構成されており、ホール効果によって動作を検出するためのユニットの少なくとも1つのセンサ(27)及び/又は少なくとも1つの磁石(26)を支持していることを特徴とする、請求項6に記載のジョイスティック。
【請求項8】
前記内部空間内で2つの軸受(31,32)に回転可能に取り付けられており、かつ前記延長部(25)と協働するように構成される転向部(210)をさらに備えていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のジョイスティック。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のジョイスティックを製造する方法において、
− 前記ベースの下部を設けるステップと、
− 前記第1の復帰手段又は前記補償手段を設置するステップと、
− 前記可動要素を設置するステップと、
− 前記補償手段又は前記第1の復帰手段を設置するステップと、
− 前記ベースの上部に関連して、かつ前記下部への前記ベースの取付けに関連して、前記ベースを閉鎖するステップと
を含む方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのジョイスティックを備えていることを特徴とするゲームコントローラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−175630(P2011−175630A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−294155(P2010−294155)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(505355955)ギルモ コーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】GUILLEMOT CORPORATION
【住所又は居所原語表記】Place du Granier,BP 97143,F−35135 CHANTEPIE,FRANCE
【Fターム(参考)】