説明

製函機の不良品除去装置及び製函機

【課題】製函機の不良品除去装置及び製函機において、不良品のシート材を適正に除去可能であると共に、作業効率の向上を可能とする。
【解決手段】段ボール箱Bの製造ラインを搬送される段ボールシートSに対して所定の検査を行って良否判定を行う良否判定装置101と、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された段ボールシートSを製造ラインから除去する不良品除去部51と、良否判定装置101により不良品と判定された段ボールシートSに対して不良品除去部51を作動する選別装置102とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平状の段ボール箱を製造する作業中に不良品を検出して除去する製函機の不良品除去装置及び製函機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な製函機は、シート材(例えば、段ボールシート)を加工することで箱体(段ボール箱)を製造するものであり、給紙部、印刷部、排紙部、ダイカット部、フォルディング部、カウンタエゼクタ部とから構成されている。給紙部は、テーブル上に積み重ねられた段ボールシートを、一枚ずつ送り出して一定の速度で印刷部に送るものである。印刷部は、印刷ユニットを有し、段ボールシートに印刷を行うものである。排紙部は、印刷された段ボールシートに、折り線となる罫線を形成すると共に、フラップをなす溝や接合用の糊代片の加工を施すものである。ダイカット部は、罫線、溝、糊代片が形成された段ボールシートに、手穴用の穴開け加工を施すものである。フォルディング部は、罫線、溝、糊代片、手穴が加工された段ボールシートを移動しながら、糊代片に糊を塗布して罫線に沿って折り畳み、糊代片を接合することで扁平状の段ボール箱を製造するものである。そして、カウンタエゼクタ部は、段ボールシートが折り畳まれて糊付けされた段ボール箱を積み重ね、所定数のバッチに仕分けして排出するものである。
【0003】
ところで、このような製函機により製造された段ボール箱は、その製造作業中に不良品が発生することがある。この不良内容としては、例えば、給紙部での給紙不良、印刷部での印刷不良、排紙部での溝切り位置不良、ダイカット部での打ち抜き位置不良、フォルディング部での糊付け位置不良や接合位置不良がある。そこで、従来、この各種の不良を検出し、不良と判定された段ボールシートやダンボール箱を、段ボール箱の製造ラインから除去する技術が提案され、例えば、下記特許文献に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された箱体の積み重ね装置は、ブランクを搬送しつつ両端のパネルの折曲げと接着とを行なって扁平な箱体を形成するフォルダグルアの下流側に、そのフォルダグルアから搬出される箱体を設定数積み重ねて下流側に搬送するストック部を設けて構成され、フォルダグルアとストック部の間に不良箱体除去装置を設け、制御部に入力される不良信号に基づいて不良箱体除去装置を作動させ、不良箱体を製造ラインから取り除くようにしたものである。また、特許文献2に記載された製函機の不良品除去装置は、フォルディング部とカウンタエゼクタ部との間に不良品除去部を配設すると共に、接合不良であると判定された段ボール箱を排出する選別手段を設け、カウンタエゼクタ部で所定数のバッチに仕分けされた中から不良品の段ボール箱を抜き出すようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−069034号公報
【特許文献2】特開2009−078462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した各特許文献に記載された製函機では、フォルダグルア(フォルディング部)とストック部(カウンタエゼクタ部)との間に不良箱体除去装置(不良品除去部)を配設し、ここから不良品となった段ボール箱を抜き出すようにしている。この場合、不良品の段ボール箱は、搬送ベルトの移動動作などにより、良品の段ボール箱を搬送するラインから外されるようになっている。ところが、この除去する不良品の段ボール箱は、既に、折り畳まれて糊で接合されており、形状が複雑となって扱いにくく、良品段ボール箱の搬送ラインから除去しにくいという問題がある。また、給紙不良、印刷不良、溝切り位置不良などが発生した段ボールであっても、糊付けをした後に折り畳んで接合してから、不良品の段ボール箱と判定して搬送ラインから除去することとなり、無駄な作業が増加して作業効率が良くないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、不良品のシート材を適正に除去可能であると共に、作業効率の向上を可能とする製函機の不良品除去装置及び製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の製函機の不良品除去装置は、シート材を加工して箱体を製造する製造ラインから不良品のシート材を除去する製函機の不良品除去装置であって、前記製造ラインを搬送される前記シート材に対する所定の検査結果に基づいて該シート材の良否判定を行う良否判定手段と、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された前記シート材を折り畳む前に前記製造ラインから除去する除去手段と、前記良否判定手段により不良品と判定された前記シート材に対して前記除去手段を作動する選別手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、良否判定手段は、製造ラインを搬送されるシート材の良否判定を行い、選別手段は、この良否判定手段により不良品と判定されたシート材に対して除去手段を作動すると、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施されたシート材が折り畳まれる前に製造ラインから除去されることとなる。この場合、折り畳む前の形状が簡素なシート材の状態で不良品を製造ラインから除去することとなり、不良品除去作業を適正に行うことができると共に、不良品のシート材を折り畳むことなく除去することとなり、無駄な作業をなくして作業効率を向上することができる。
【0010】
本発明の不良品除去装置では、前記除去手段は、前記シート材の接着部分に対する接着処理を行う前の該シート材を前記製造ラインから除去することを特徴としている。
【0011】
従って、除去手段によりシート材の接着部分に対して接着処理がなされる前に不良品のシート材が製造ラインから除去されるため、接着部分に付着した接着剤が除去手段の作動に悪影響を与えることがなく、作業性を向上することができる。
【0012】
本発明の不良品除去装置では、前記除去手段は、シート材の接着部分に対する接着処理を行った後、折り畳み前のシート材を前記製造ラインから除去することを特徴としている。
【0013】
従って、除去手段によりシート材の接着部分に対して接着処理がなされた後に、折り畳み前のシート材が製造ラインから除去されるため、シート材の接着材の付着に対して不良検査を行うことができ、製品品質を向上することができる。
【0014】
本発明の不良品除去装置では、前記良否判定手段は、シート材に対して、給紙不良、印刷不良、溝切り位置不良、打ち抜き位置不良、接着剤付着不良のうちの少なくとも一つの判定を行うことを特徴としている。
【0015】
従って、ほとんどのシート材の不良を検出することができ、製品品質を向上することができる。
【0016】
また、本発明の製函機は、シート材を供給する給紙部と、前記シート材に対して印刷を行う印刷部と、前記シート材に対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う排紙部と、前記シート材を折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルディング部と、前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部と、前記シート材に対する所定の検査結果に基づいて前記シート材の良否判定を行う良否判定手段と、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施されたシート材を折り畳む前に製造ラインから除去する除去手段と、前記良否判定手段により不良品と判定されたシート材に対して前記除去手段を作動する選別手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
従って、給紙部からのシート材に対して、印刷部で印刷が行われ、排紙部で罫線加工と溝切り加工が行われ、フォルディング部で折り畳んで端部が接合されて箱体が形成され、カウンタエゼクタ部で箱体が計数されながら積み上げるとき、良否判定手段により不良品と判定されたシート材は、フォルディング部に搬送せずに除去手段により除去されることとなる。この場合、折り畳む前の形状が簡素なシート材の状態で不良品を製造ラインから除去することとなり、不良品除去作業を適正に行うことができると共に、不良品のシート材を折り畳むことなく除去することとなり、無駄な作業をなくして作業効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の不良品除去装置及び製函機によれば、不良品と判定されたシート材を罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された後に製造ラインから除去するので、不良品のシート材を適正に除去することができると共に、作業効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る製函機を表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1の製函機に適用される不良品除去装置を表す概略構成図である。
【図3】図3は、加工前の段ボールシートの斜視図である。
【図4】図4は、罫線加工及び溝切加工後の段ボールシートの斜視図である。
【図5】図5は、折り畳み途中の状態を表す段ボールシートの斜視図である。
【図6】図6は、折り畳み接合された段ボール箱の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施例2に係る製函機の不良品除去装置を表す概略構成図である。
【図8】図8は、本発明の実施例3に係る製函機の不良品除去装置を表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る製函機の不良品除去装置及び製函機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る製函機を表す概略構成図、図2は、実施例1の製函機に適用される不良品除去装置を表す概略構成図、図3は、加工前の段ボールシートの斜視図、図4は、罫線加工及び溝切加工後の段ボールシートの斜視図、図5は、折り畳み途中の状態を表す段ボールシートの斜視図、図6は、折り畳み接合された段ボール箱の斜視図である。
【0022】
実施例1の製函機は、図1に示すように、段ボールシート(シート材)Sを加工することで段ボール箱(箱体)Bを製造するものである。この製函機は、段ボールシートS及び段ボール箱Bを搬送する方向Dに直線状をなして配置された給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、不良品除去部(不良品除去装置)51、フォルディング部61、カウンタエゼクタ部71とから構成されている。
【0023】
給紙部11は、段ボールシートSを一枚ずつ送り出して一定の速度で印刷部21に送るものである。この給紙部11は、テーブル12と、前当て13と、供給ローラ14と、吸引装置15と、フィードロール16とを有している。テーブル12は、多数枚の段ボールシートSを積み重ねて載置可能であると共に、昇降可能に支持されている。前当て13は、テーブル12上に積み重ねられた段ボールシートSの前端位置を位置決めすることができ、下端部とテーブル12との間に1枚の段ボールシートSが通過可能な隙間が確保されている。供給ローラ14は、テーブル12に対応して段ボールシートSの搬送方向Dに複数配置されてなり、テーブル12が下降したときに、積み重ねられた多数枚の段ボールシートSのうちの最下位置にあるテーブル12を前方に送り出すことができる。吸引装置15は、積み重ねられた段ボールシートSを下方、つまり、テーブル12や供給ローラ14側に吸引するものである。フィードロール16は、供給ローラ14により送り出された段ボールシートSを印刷部21に供給することができる。
【0024】
印刷部21は、段ボールシートSの表面に多色刷り(本実施例では、4色刷り)を行うものである。この印刷部21は、4つの印刷ユニット21A,21B,21C,21Dが直列をなして配置され、段ボールシートSの表面に4つのインキ色を使用して印刷を行うことができる。各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、ほぼ同様に構成され、印刷シリンダ22、インキ供給ロール(アニロックスロール)23、インキチャンバ24、受ロール25を有している。印刷シリンダ22は、その外周部に印版26が取付けられ、回転可能に設けられている。インキ供給ロール23は、印刷シリンダ22の近傍にて印版26に対接するように配置され、回転可能に設けられている。インキチャンバ24は、インキを蓄えるものであり、インキ供給ロール23の近傍に設けられている。受ロール25は、印刷シリンダ22との間で段ボールシートSを挟持することで、所定の印圧を付与しながら搬送するものであり、印刷シリンダ22の下方に対向して回転可能に設けられている。なお、図示しないが、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、その前後に上下一対の送りロールが設けられている。
【0025】
排紙部31は、段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に溝切り加工を施すものである。この排紙部31は、第1罫線ロール32と、第2罫線ロール33と、スリッタナイフ34及びスロッタナイフ35を有している。第1罫線ロール32は、円形状に形成され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施例では、4個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能となっている。第2罫線ロール33は、円形状に形成され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施例では、4個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能となっている。この場合、第1罫線ロール32は、段ボールシートSの表面(上面)に罫線加工を施すものであり、第2罫線ロール33は、第1罫線ロール32と同様に、段ボールシートSの表面(上面)に罫線加工を施すものであり、各罫線ロール32,33に対向する下方位置及び上方位置に、受ロール36,37が同期して回転可能に設けられている。
【0026】
スリッタナイフ34とスロッタナイフ35は、円形状に形成され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施例では、5個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能となっている。スリッタナイフ34は、1個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の端部に対応して設けられており、この段ボールシートSにおける幅方向の端部を切断することができる。一方、スロッタナイフ35は、4個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の所定の位置に対応して設けられており、この段ボールシートSにおける所定の位置に溝切り加工を行うことができる。この場合、スリッタナイフ34及びスロッタナイフ35は、対向する下方位置に受ロール38が同期して回転可能に設けられている。
【0027】
ダイカット部41は、段ボールシートSに対して、手穴用の穴開け加工を施すものである。このダイカット部41は、上下一対の送り駒42と、アンビルシリンダ43及びナイフシリンダ44を有している。送り駒42は、段ボールシートSを上下から挟持して搬送するものであり、回転可能に設けられている。アンビルシリンダ43及びナイフシリンダ44は、それぞれ円形状に形成され、図示しない駆動装置により同期して回転可能となっている。この場合、アンビルシリンダ43は、外周部にアンビルが形成される一方、ナイフシリンダ44は、外周部における所定の位置にナイフ及びダイが形成されている。
【0028】
不良品除去部51は、給紙部11から供給され、印刷部21で印刷が施され、排紙部31で罫線加工及び溝切り加工が施され、ダイカット部41で穴開け加工が施されたた段ボールシートSに対して、この段ボールシートSが不良品であったときに、段ボールシートS(段ボール箱B)の製造ラインから除去するものである。この不良品除去部51は、詳細を後述するが、本発明の不良品除去装置の一部として構成され、制御装置100によりその作動が制御可能となっている。
【0029】
フォルディング部61は、段ボールシートSを搬送方向Dに移動させながら折り畳み、幅方向の両端部を接合して扁平状の段ボール箱Bを形成するものである。このフォルディング部61は、上搬送ベルト62と、下搬送ベルト63,64と、成形装置65とを有している。上搬送ベルト62及び下搬送ベルト63,64は、段ボールシートS及び段ボール箱Bを上下から挟持して搬送するものである。成形装置65は、左右一対の成形ベルトを有し、この成形ベルトにより段ボールシートSにおける幅方向の各端部を下方に折り曲げながら折り畳むものである。また、フォルディング部61として、ダイカット部41と不良品除去部51との間に、糊付装置66が設けられている。この糊付装置66は、グルーガンを有し、所定のタイミングで糊を吐出することで、段ボールシートSにおける所定の位置に糊付けを行うことができる。
【0030】
カウンタエゼクタ部71は、段ボール箱Bを計数しながら積み重ねた後、所定数のバッチに仕分けした後、排出するものである。このカウンタエゼクタ部71は、ホッパ装置72を有している。このホッパ装置72は、段ボール箱Bが積み重ねられる昇降自在なエレベータ73を有し、このエレベータ73には、整形手段としての図示しない前当板と整角板とが設けられている。なお、ホッパ装置72の下方に、搬出コンベア74が設けられている。
【0031】
ここで、上述した実施例1の製函機にて、段ボールシートSから段ボール箱Bを製造する動作を、図1、図3乃至図6に基づいて説明する。
【0032】
実施例1の製函機にて、段ボールシートSは、図3に示すように、表ライナ301と裏ライナ302との間に波形を成す中芯303が糊付けされて形成されたものである。この段ボールシートSは、製函機の前工程にて、2つの折り線311,312が形成されている。この折り線311,312は、製函機にて製造された段ボール箱Bを、後に組み立てる際にフラップを折るためのものである。このような段ボールシートSは、図1に示すように、給紙部11のテーブル12上に積み重ねられる。
【0033】
給紙部11にて、テーブル12上に積み重ねられている多数枚の段ボールシートSは、まず、前当て13により位置決めされ、次に、テーブル12が下降することで、複数の供給ローラ14により最下位置にある段ボールシートSが送り出される。すると、この段ボールシートSは、一対のフィードロール16により所定の一定側で、印刷部21に供給される。
【0034】
印刷部21にて、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dでは、インキ供給ロール23の表面にインキチャンバ24からインキが供給されており、印刷シリンダ22及びインキ供給ロール23が回転すると、インキ供給ロール23の表面のインキが印版26に転移される。そして、印刷シリンダ22と受ロール25との間に段ボールシートSが搬送されると、この段ボールシートSが印版26と受ロール25とにより挟持され、この段ボールシートSに印圧が付与されることでその表面に印刷が施される。印刷された段ボールシートSは、送りロールにより排紙部31に搬送される。
【0035】
排紙部31にて、まず、段ボールシートSが第1罫線ロール32を通過するとき、図4に示すように、段ボールシートSの表面側、つまり、表ライナ301側に罫線321,322,323,324,325,326が形成される。また、段ボールシートSが第2罫線ロール33を通過するとき、第1罫線ロール32と同様に、段ボールシートSの表面側、つまり、表ライナ301側に罫線322,323,324,325が再形成される。次に、この罫線322,323,324,325が形成された段ボールシートSがスリッタナイフ34を通過するとき、段ボールシートSにおける端部が切断位置321の位置で切断される。なお、端部326位置は段ボールシート材のままで切断はされない。また、段ボールシートSがスロッタナイフ35を通過するとき、罫線322,323,324,325に位置に溝331,332,333と糊代片334が形成される。そして、罫線322,323,324,325の位置に溝331,332,333と糊代片334が形成された段ボールシートSは、ダイカット部41に搬送される。
【0036】
ダイカット部41にて、段ボールシートSがアンビルシリンダ43とナイフシリンダ44との間を通過するとき、手穴341,342が形成される。そして、手穴341,342が形成された段ボールシートSは、図1に示すように、糊付装置66により糊代片334により糊が塗布されてから、不良品除去部51に搬送される。
【0037】
不良品除去部51にて、給紙部11から供給され、印刷部21で印刷が施され、排紙部31で罫線加工及び溝切り加工が施され、ダイカット部41で穴開け加工が施されたた段ボールシートSは、各箇所で不良品の判定が行われ、この段ボールシートSが不良品であったときには、不良品の段ボールシートSを製造ラインから除去する。
【0038】
フォルディング部61にて、段ボールシートSは、上搬送ベルト62及び下搬送ベルト63,64により搬送方向Dに移動されながら、成形装置65により、図5に示すように、罫線322,324を基点として下方に折り畳まれる。この折り畳みが180度近くまで進むと折り畳み力が強くなり、糊代片334とこの糊代片334に重なる段ボールシートSの端部とが押えられて互いに密着され、段ボールシートSの両端部が接合され、図6に示すように、段ボール箱Bとなる。このとき、段ボール箱Bは、接合箇所において2つの隙間351が形成される。そして、この段ボール箱Bは、図1に示すように、カウンタエゼクタ部71に搬送される。
【0039】
カウンタエゼクタ部71にて、良品と検出された段ボール箱Bは、ホッパ装置72に送られる。このホッパ装置72に送られた段ボール箱Bは、搬送方向Dの先端部が前当板に当たり、整角板により整形された状態でエレベータ73上に積み重ねられる。そして、所定数の段ボール箱Bがエレベータ73上に積み重ねられると、このエレベータ73が下降し、所定数の段ボール箱Bが1バッチとなって搬出コンベア74により排出され、製函機の後行程に送られる。
【0040】
以下、上述した実施例1の製函機に用いられている不良品除去装置について詳細に説明する。実施例1の不良品除去装置は、段ボールシートSを加工して段ボール箱Bを製造する製造ラインから不良品の段ボールシートSを除去するものである。この不良品除去装置は、良否判定装置101と、除去手段としての不良品除去部51と、選別手段としての選別装置102とを有し、本実施例にて、制御装置100は、良否判定装置101と選別装置102とを有している。
【0041】
良否判定装置101は、製造ラインを搬送される段ボールシートSに対して、例えば、位置不良等の品質不良を検出装置の検査結果に基づいてこの段ボールシートSの良否判定を行うものである。この場合、良否判定装置101は、段ボールシートSに対して、給紙部11での給紙不良、印刷部21での印刷不良、排紙部31での溝切り位置不良、ダイカット部41での打ち抜き位置不良、糊付装置66での糊付け不良を判定するものであるが、各判定のうちの必要とされる少なくとも一つの判定を行うようにしてもよい。また、この良否判定装置101は、フォルディング部61によって折り畳まれた後の段ボールシートSに対しては、接合位置不良の判定を行わない。なお、検出装置は位置センサ、画像センサ、静電容量式センサ等の品質不良を検査するものである。
【0042】
即ち、製造ラインにて、給紙部11における段ボールシートSの送り出し側には、搬送される段ボールシートSの位置を検出する位置センサ111が設けられている。この位置センサ111は、例えば、段ボールシートSの幅方向の両側に配置される左右一対の光電管であり、搬送される段ボールシートSの水平方向における傾きを検出する。この位置センサ111の検出結果は、制御装置100に出力され、良否判定装置101は、段ボールシートSの水平方向における傾きと予め設定されて基準値とを比較することで、この給紙部11での段ボールシートSの給紙不良を判定する。
【0043】
製造ラインにて、印刷部21における段ボールシートSの送り出し側には、搬送される段ボールシートSに印刷された画像を検出する画像センサ112が設けられている。この画像センサ112は、例えば、段ボールシートSの上方に配置されるカメラ及び画像処理装置であり、搬送される段ボールシートSに印刷された画像の位置、濃度(濃淡)、かすれを検出する。この画像センサ112の検出結果は、制御装置100に出力され、良否判定装置101は、段ボールシートSに印刷された画像の位置、濃度、かすれと予め設定されて基準値とを比較することで、この印刷部21での段ボールシートSの印刷不良を判定する。
【0044】
製造ラインにて、排紙部31には、供給された段ボールシートSの搬送位置を検出する位置センサとして上述した位置センサ111が兼用される。この場合、制御装置100は、給紙部11から排紙部31までの搬送距離(搬送時間)を考慮して段ボールシートSの搬送位置を算出する。また、排紙部31を構成する第1罫線ロール32、第2罫線ロール33、スリッタナイフ34及びスロッタナイフ35は、排紙部用駆動装置114により駆動可能であり、この排紙部用駆動装置114は、制御装置100により駆動制御可能となっている。従って、良否判定装置101は、段ボールシートSの搬送位置と、排紙部用駆動装置114によるスリッタナイフ34及びスロッタナイフ35の回転位相とを比較することで、この排紙部31での溝切り位置不良を判定する。
【0045】
製造ラインにて、ダイカット部41は、供給された段ボールシートSの搬送位置を検出する位置センサとして上述した位置センサ111が兼用される。この場合、制御装置100は、給紙部11からダイカット部41までの搬送距離(搬送時間)を考慮して段ボールシートSの搬送位置を算出する。また、ダイカット部41を構成するアンビルシリンダ43及びナイフシリンダ44は、ダイカット部用駆動装置116により駆動可能であり、この駆動装置116は、制御装置100により駆動制御可能となっている。従って、良否判定装置101は、段ボールシートSの搬送位置と、ダイカット部用駆動装置116によるアンビルシリンダ43及びナイフシリンダ44の回転位相とを比較することで、このダイカット部41での打ち抜き位置不良を判定する。
【0046】
製造ラインにて、糊付装置66の下流側には、搬送される段ボールシートSに塗布された糊の位置や量を検出する静電容量式センサ117が設けられている。この静電容量式センサ117は、搬送される段ボールシートSに塗布された糊の位置や量を分布として検出する。この静電容量式センサ117の検出結果は、制御装置100に出力され、良否判定装置101は、段ボールシートSに塗布された糊の位置や量と予め設定されて基準値とを比較することで、この糊付装置66での段ボールシートSの糊付け不良を判定する。
【0047】
なお、糊付装置66により所定の位置に糊が塗布された段ボールシートSは、フォルディング部61にて、折り畳まれてから両端部が接合されることで段ボール箱Bとなり、カウンタエゼクタ部71にて、この段ボール箱Bが順次積み重ねられていく。この場合、フォルディング部61が段ボールシートSの端部を折り畳んで密着させただけでは、糊が乾燥しておらず、フォルディング部61からカウンタエゼクタ部71に送られるときに、この段ボールシートSにおける端部同士の密着位置がずれるおそれがある。
【0048】
そのため、フォルディング部61により段ボールシートSが折り畳まれて製造された段ボール箱Bは、良品であるとも、不良品であるとも判定することができない。例えば、位置センサにより段ボール箱Bにおける接合位置を検出し、この接合位置を基準値と比較することで接合不良を判定した場合、接合が良好であると判定されたとしても、カウンタエゼクタ部71に送られるときに接合位置がずれて不良となるおそれがある。また、逆に段ボール箱Bの接合が不良であると判定されたとしても、カウンタエゼクタ部71のホッパ装置72に積重ねられ、エレベータ73に設置されている整形手段の前当板と整角板により接合位置不良が矯正され良好となる場合がある。
【0049】
従って、本実施例では、フォルディング部61により折り畳まれてから両端部が接合されることで段ボール箱Bに対して、接合位置不良の判定を行わない。そのため、以下に説明する不良品除去部51を、フォルディング部61より段ボールシートSの搬送方向Dの上流側に配置し、接合不良を含まない不良品の段ボールシートSをフォルディング部61により折り畳まれる前に除去している。
【0050】
不良品除去部51は、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施され、折り畳まれる前の段ボールシートSを製造ラインから除去するものである。図2に示すように、搬送ベルト121は、無端ベルトであって、駆動ローラ122及び複数の支持ローラ123に掛け回されて上面に段ボールシートSを支持して搬送可能となっている。この搬送ベルト121より上流側には、上下一対のガイドローラ124が配置されており、このガイドローラ124と搬送ベルト121との間に糊付装置66及び静電容量式センサ117が配置されている。本実施例にて、糊付装置66は、グルーガン125と支持台126とを有し、グルーガン125を制御することで、段ボールシートSの糊代片334に糊を吐出することができる。この場合、糊付装置66をグルーガン125により構成せず、糊付ロールにより構成してもよい。
【0051】
搬送ベルト121は、ほぼ水平(本実施例では、若干上り傾斜した)な搬送部121aと、この搬送部121aから下り傾斜した排出部121bを有しており、排出部121bの下流側にフォルディング部61における上搬送ベルト62及び下搬送ベルト63が配置されている。この場合、搬送ベルト121における搬送部121aとフォルディング部61における各搬送ベルト62,63とは、ほぼ一直線上に配置され、段ボールシートSを不良品除去部51からフォルディング部61に搬送可能となっている。
【0052】
搬送ベルト121は、排出部121bの下方に位置して排出ベルト127及び不良品収容ケース128が配置されている。この排出ベルト127は、下り傾斜するように配置され、基端部が排出部121bの下方で上下方向に重なるように位置し、先端部が不良品収容ケース128の上方に位置している。また、搬送ベルト121は、排出部121bの上方に位置してリジェクトローラ129が配置され、支持レバー130により上下に移動自在に支持され、この支持レバー130は、駆動装置131により揺動可能となっている。
【0053】
従って、駆動装置131により支持レバー130を介してリジェクトローラ129が図2にて実線で表す上昇位置にあるとき、段ボールシートSを、搬送ベルト121によりフォルディング部61に搬送することができる。一方、駆動装置131により支持レバー130を介してリジェクトローラ129が図2にて二点鎖線で表す下降位置にあるとき、段ボールシートSは、このリジェクトローラ129により前端部が下方に押し下げられ、排出ベルト127により不良品収容ケース128に排出することができる。
【0054】
選別装置102は、良否判定装置101により不良品と判定された段ボールシートSに対して不良品除去部51を作動するものである。即ち、良否判定装置101により実行された各種の検査結果に基づいて少なくとも一つの検査項目で不良と判定された段ボールシートSが、不良品除去部51に到達したとき、選別装置102は、この不良品除去部51を作動し、不良品と判定された段ボールシートSを製造ラインから除去して不良品収容ケース128に排出する。即ち、選別装置102は、駆動装置131により支持レバー130を介してリジェクトローラ129を作動し、不良品の段ボールシートSを製造ラインから除去する。
【0055】
この場合、不良品除去部51は、糊付装置66より下流側に配置されており、この糊付装置66により段ボールシートSの糊代片334に対して糊付け作業を行った後に、段ボールシートSの糊付け不良を判定する。そして、不良品除去部51は、不良品の段ボールシートSをフォルディング部61により折り畳まれる前に製造ラインから除去する。
【0056】
ここで、上述した実施例1の不良品除去装置の作動を説明する。
【0057】
実施例1の不良品除去装置にて、図1及び図2に示すように、給紙部11が段ボールシートSを1枚ずつ印刷部21に供給するとき、位置センサ111は、この段ボールシートSの位置を検出し、検出結果を制御装置100に出力している。そして、良否判定装置101は、検出結果から算出された段ボールシートSの水平方向における傾きと基準値とを比較することで、段ボールシートSの給紙不良を判定する。即ち、良否判定装置101は、搬送される段ボールシートSの傾きが基準値から設定される基準領域内になければ、給紙不良と判定する。
【0058】
続いて、印刷部21が印刷済の段ボールシートSを排紙部31に供給するとき、画像センサ112は、この段ボールシートSに印刷された画像を検出し、検出結果を制御装置100に出力している。そして、良否判定装置101は、検出結果から画像の位置、濃度(濃淡)、かすれを基準値と比較することで、段ボールシートSの印刷不良を判定する。即ち、良否判定装置101は、搬送される段ボールシートSの画像の位置や濃度が基準値から設定される基準領域内になければ、段ボールシートSの印刷不良と判定する。
【0059】
排紙部31にて、位置センサ111は、段ボールシートSの搬送位置を検出し、検出結果を制御装置100に出力している。また、排紙部用駆動装置114は、各ナイフ34,35を駆動回転可能であり、その回転位相が制御装置100に出力されている。そして、良否判定装置101は、段ボールシートSの搬送位置と各ナイフ34,35の回転位相とを比較することで、段ボールシートSの溝切り位置不良を判定する。即ち、良否判定装置101は、段ボールシートSの搬送位置に対して、各ナイフ34,35の回転位相から設定される加工位置が適正位置になければ、段ボールシートSの溝切り位置不良と判定する。
【0060】
ダイカット部41にて、位置センサ111は、段ボールシートSの搬送位置を検出し、検出結果を制御装置100に出力している。また、ダイカット部用駆動装置116は、各シリンダ43,44を駆動回転可能であり、その回転位相が制御装置100に出力されている。そして、良否判定装置101は、段ボールシートSの搬送位置と各シリンダ43,44の回転位相とを比較することで、段ボールシートSの打ち抜き位置不良を判定する。即ち、良否判定装置101は、段ボールシートSの搬送位置に対して、各シリンダ43,44の回転位相から設定される加工位置が適正位置になければ、段ボールシートSの打ち抜き位置不良と判定する。
【0061】
糊付装置66により段ボールシートSの糊代片334に糊が塗布されると、静電容量式センサ117は、この段ボールシートSに塗布された糊の静電容量(含水量)から糊付位置や量を検出し、検出結果を制御装置100に出力している。そして、良否判定装置101は、検出結果から糊付位置や量を基準値と比較することで、段ボールシートSの糊付け不良を判定する。即ち、良否判定装置101は、搬送される段ボールシートSの糊付位置や量が基準値から設定される基準領域内になければ、段ボールシートSの糊付け不良と判定する。
【0062】
制御装置100は、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、糊付装置66で段ボールシートSの良否判定結果を記憶しており、不良と判定された段ボールシートSが不良品除去部51に搬送されたとき、選別装置102は、この不良品除去部51を作動して不良品の段ボールシートSを製造ラインから除去する。
【0063】
即ち、制御装置100(選別装置102)は、不良品除去部51にて、通常、駆動装置131によりリジェクトローラ129を上昇位置に停止しており、良品と判定された段ボールシートSが搬送されてきたときに、この良品の段ボールシートSは、搬送ベルト121からフォルディング部61の上下の搬送ベルト62,63の間に移送される。
【0064】
一方、制御装置100(選別装置102)は、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、糊付装置66で不良と判定された段ボールシートSが不良品除去部51に到達したとき、駆動装置131によりリジェクトローラ129を下降位置に移動することで、搬送ベルト121上を移動中の段ボールシートSは、リジェクトローラ129により前端部が下方に押し下げられ、排出ベルト127へ転送される。そのため、不良品の段ボールシートSは、搬送ベルト121からフォルディング部61に移送されず、搬送ベルト121から排出ベルト127を介して不良品収容ケース128に排出される。
【0065】
このように実施例1の製函機の不良品除去装置にあっては、段ボール箱Bの製造ラインを搬送される段ボールシートSに対して所定の検査を行って良否判定を行う良否判定装置101と、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された段ボールシートSを製造ラインから除去する不良品除去部51と、良否判定装置101により不良品と判定された段ボールシートSに対して不良品除去部51を作動する選別装置102とを設けている。
【0066】
従って、良否判定装置101は、段ボールシートSの検査を行ってその良否判定を行い、選別装置102は、この良否判定装置101により不良品と判定された段ボールシートSに対して不良品除去部51を作動すると、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施されるものの、不良品である段ボールシートSが製造ラインから除去されることとなる。この場合、良否判定装置101は、折り畳み後の段ボールシートSに対して接合位置不良の判定を行わない。
【0067】
この場合、段ボールシートSは、フォルディング部61で折り畳む前のものであり、その形状が簡素な平板形状であることから、簡素な形状をなす不良品の段ボールシートSを製造ラインから除去することとなり、不良品除去作業を適正に行うことができる。つまり、フォルディング部61で折り畳まれた段ボール箱Bは、2つ折りにされて接合されることで、厚さが段ボールシートSの2倍以上になると共に、表裏に多くの隙間が存在しており、製造ラインから除去するとき、搬送不良が発生するおそれがある。また、フォルディング部61で折り畳む前に、不良品の段ボールシートSを製造ラインから除去することで、既に不良品である段ボールシートSをこのフォルディング部61で折り畳むことなく除去することとなり、無駄な作業をなくして作業効率を向上することができる。
【0068】
また、実施例1の製函機の不良品除去装置では、不良品除去部51が糊付装置66により糊代片334に対して糊付け作業を行った後、折り畳み前の段ボールシートSを製造ラインから除去している。従って、糊代片334に糊付けされて折り畳み前の段ボールシートSを製造ラインから除去するため、段ボールシートSの糊付け不良検査を行うことが可能となり、製品品質を向上することができる。
【0069】
また、実施例1の製函機の不良品除去装置では、良否判定装置101が段ボールシートSに対して、給紙不良、印刷不良、溝切り位置不良、打ち抜き位置不良、糊付け不良のうちの少なくとも一つの判定を行うようにしている。従って、ほとんどの段ボールシートSの不良を検出することができ、製品品質を向上することができる。
【0070】
また、実施例1の製函機の不良品除去装置では、良否判定装置101が折り畳み後の段ボールシートSに対して接合位置不良の判定を行わないようにしている。従って、段ボールシートSにおける接合位置不良は、折り畳み後の搬送工程で変動することから、ここでの接合位置不良の判定を行わないことで、不要な作業をなくして作業性を向上することができる。
【0071】
また、実施例1の製函機の不良品除去装置では、不良品除去部51として、上面に段ボールシートSを支持して搬送可能な搬送ベルト121と、搬送ベルト121の下方に配置される排出ベルト127及び不良品収容ケース128と、駆動装置131により揺動可能なリジェクトローラ129とを設けている。従って、不良品と判定された段ボールシートSが不良品除去部51にきたら、駆動装置131によりリジェクトローラ129を下降させることで、搬送ベルト121上の段ボールシートSを下方に押し下げ、排出ベルト127を介して不良品収容ケース128に排出することができ、簡単な構成で、製造ライン上にある不良品の段ボールシートSを容易に除去することができる。また、不良品除去部51の搬送ベルト121は段ボールシートSの下面を支持し、フォルディング部61または不良品収容ケース128に搬送することができ、糊付けされた段ボールシートSの上面に接触することなく、適正に段ボールシートSを搬送することができる。
【0072】
また、実施例1の製函機にあっては、給紙部11と、印刷部21と、排紙部31と、ダイカット部41と、フォルディング部61と、カウンタエゼクタ部71と、更に、ダイカット部41とフォルディング部61との間で不良品の段ボールシートSをフォルディング部61に搬送せずに除去する不良品除去装置とを設けている。
【0073】
従って、給紙部11からの段ボールシートSに対して、印刷部21で印刷が行われ、排紙部31で罫線加工と溝切り加工が行われ、ダイカット部41で穴開け加工が行われ、フォルディング部61で折り畳んで端部が接合されて段ボール箱Bが形成され、カウンタエゼクタ部71で段ボール箱Bが計数されながら積み上げるとき、不良品除去装置により不良品と判定された段ボールシートSは、フォルディング部61に搬送せずに除去することとなる。その結果、不良品除去作業を適正に行うことができると共に、不良品の段ボールシートSを折り畳むことなく除去することとなり、無駄な作業をなくして作業効率を向上することができる。
【実施例2】
【0074】
図7は、本発明の実施例2に係る製函機の不良品除去装置を表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例2に係る製函機の不良品除去装置において、図7に示すように、不良品除去部201は、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施され、折り畳まれる前の段ボールシートSを製造ラインから除去するものである。即ち、上搬送ベルト202は、無端の穴あきベルトであって、段ボールシートSの幅方向に所定間隔で複数設けられ、駆動ローラ203及び支持ローラ204に掛け回されている。この上搬送ベルト202は、支持ローラ203と駆動ローラ204に掛け回されて下側を稼動するベルトの上方に吸引装置205が配置されている。また、下搬送ベルト206は、無端ベルトであって、上搬送ベルト202の下方に対向するように、段ボールシートSの幅方向に所定間隔で複数設けられ、一対の支持ローラ207に掛け回されている。段ボールシートSは、上搬送ベルト202と下搬送ベルト206の間を吸引装置205に吸引されながら搬送可能となっている。なお、吸引装置205の下流側端部からフォルディング部61の入口側までの距離(間隔)Lは、製函機の最小通紙シート長の1/2以上とすることが望ましい。
【0076】
上搬送ベルト202は、ほぼ水平をなし、フォルディング部61における上搬送ベルト62及び下搬送ベルト63に連続するように配置されている。上搬送ベルト202とフォルディング部61における各搬送ベルト62,63とは、ほぼ一直線上に配置され、段ボールシートSを不良品除去部201からフォルディング部61に搬送可能となっている。
【0077】
上搬送ベルト202は、下流端部の下方に位置して排出ベルト127及び不良品収容ケース128が配置されている。また、下搬送ベルト206は、上搬送ベルト202より短く、上搬送ベルト202は、下流側の下方が開放され、排出ベルト127が対向している。この上搬送ベルト202は、下流側に位置してリジェクトレバー208が上下に回動自在に配置され、このリジェクトレバー208は、駆動装置209により上搬送ベルト202により下方に回動可能となっている。この場合、リジェクトレバー208は、複数の上搬送ベルト202の間の隙間に複数配置され、各上搬送ベルト202に干渉しないように配置されている。
【0078】
従って、駆動装置209によりリジェクトレバー208が図7にて実線で表す上昇位置にあるとき、段ボールシートSを、上搬送ベルト202の下面に吸引してフォルディング部61に搬送することができる。一方、駆動装置209によりリジェクトレバー208が図7にて二点鎖線で表す下降位置にあるとき、段ボールシートSは、このリジェクトレバー208により前端部が下方に押し下げられ、排出ベルト127により不良品収容ケース128に排出することができる。
【0079】
この場合、不良品除去部201は、糊付装置66より下流側に配置されており、この糊付装置66により段ボールシートSに糊付け作業を行った後に、段ボールシートSの糊付け不良を判定する。そして、不良品除去部201は、不良品の段ボールシートSをフォルディング部61により折り畳まれる前に製造ラインから除去する。
【0080】
このように構成された実施例2の不良品除去装置にて、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41(以上、図1参照)及び糊付装置66にて、段ボールシートSの不良判定が行われる。ここで、不良品と判定された段ボールシートSが不良品除去部201に到達したとき、駆動装置209によりリジェクトレバー208を下降位置に移動することで、上搬送ベルト202に吸引されて移動中の段ボールシートSは、リジェクトレバー208により前端部が下方に押し下げられ、上搬送ベルト202による吸引が解除されて排出ベルト127へ転送される。そのため、不良品の段ボールシートSは、上搬送ベルト202からフォルディング部61に移送されず、上搬送ベルト202から排出ベルト127を介して不良品収容ケース128に排出される。
【0081】
このように実施例2の製函機の不良品除去装置にあっては、糊付装置66とフォルディング部61との間に、罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された段ボールシートSを製造ラインから除去する不良品除去部201を設けている。従って、形状が簡素な平板形状である不良と判定された段ボールシートSを製造ラインから除去することとなり、不良品除去作業を適正に行うことができ、また、既に不良品である段ボールシートSをこのフォルディング部61で折り畳むことなく除去することとなり、無駄な作業をなくして作業効率を向上することができる。
【0082】
また、実施例2の製函機の不良品除去装置では、不良品除去部201として、下面で段ボールシートSを吸引支持して搬送可能な上搬送ベルト202と、上搬送ベルト202の下方に配置される排出ベルト127及び不良品収容ケース128と、駆動装置209により揺動可能なリジェクトレバー208とを設けている。従って、不良品と判定された段ボールシートSが不良品除去部201にきたら、駆動装置209によりリジェクトレバー208を下降させることで、上搬送ベルト202に吸引されている段ボールシートSを下方に押し下げ、排出ベルト127を介して不良品収容ケース128に排出することができ、簡単な構成で、製造ライン上にある不良品の段ボールシートSを容易に除去することができる。また、不良品除去部201の上搬送ベルト202は段ボールシートSを吸引して搬送することから、リジェクトレバー208を下降させるだけで、この段ボールシートSを容易に不良品収容ケース128に排出することができ、高精度な不良品の段ボールシートSの除去が可能となる。
【0083】
なお、本実施例の製函機は、複数サイズの段ボールシートSを搬送して段ボール箱Bを製造可能であり、段ボールシートSの幅の変動に対して、排紙部31、ダイカット部41、フォルディング部61(糊付装置66)、カウンタエゼクタ部71における各種機器の位置が調整可能となっている。そのため、実施例2の不良品除去部201を適用する場合、段ボールシートSにおける糊付位置(糊代片334の位置)と上搬送ベルト202の位置とが段ボールシートSの幅方向に一致しないように、事前に上搬送ベルト202の位置を調整することが望ましい。
【実施例3】
【0084】
図8は、本発明の実施例3に係る製函機の不良品除去装置を表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
実施例3に係る製函機の不良品除去装置において、図8に示すように、不良品除去部251は、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施され、糊付け及び折り畳まれる前の段ボールシートSを製造ラインから除去するものである。即ち、搬送ベルト121は、駆動ローラ122及び複数の支持ローラ123に掛け回されて上面に段ボールシートSを支持して搬送可能となっている。この搬送ベルト121より下流側には、フォルディング部61が配置されており、搬送ベルト121とフォルディング部61との間に糊付装置66が配置されている。
【0086】
搬送ベルト121は、下方に排出ベルト127及び不良品収容ケース128が配置されている。また、搬送ベルト121は、上方にリジェクトローラ129が配置され、支持レバー130により上下に移動自在に支持され、この支持レバー130は、駆動装置131により揺動可能となっている。従って、駆動装置131により支持レバー130を介してリジェクトローラ129を下降すると、このリジェクトローラ129により段ボールシートSの前端部を押し下げ、排出ベルト127により不良品収容ケース128に排出することができる。
【0087】
この場合、不良品除去部251は、糊付装置66より上流側に配置されており、この糊付装置66により段ボールシートSに糊付け作業を行う前で、且つ、フォルディング部61により折り畳まれる前に、不良品と判定された段ボールシートSを製造ラインから除去する。
【0088】
このように構成された実施例3の不良品除去装置にて、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41(以上、図1参照)にて、段ボールシートSの不良判定が行われる。ここで、不良品と判定された段ボールシートSが不良品除去部251に到達したとき、駆動装置131によりリジェクトローラ129を下降位置に移動することで、搬送ベルト121上を移動中の段ボールシートSは、リジェクトローラ129により前端部が下方に押し下げられ、排出ベルト127へ転送される。そのため、不良品の段ボールシートSは、搬送ベルト121から糊付装置66に移送されず、搬送ベルト121から排出ベルト127を介して不良品収容ケース128に排出される。
【0089】
このように実施例3の製函機の不良品除去装置にあっては、ダイカット部41と糊付装置66との間に、罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された段ボールシートSを製造ラインから除去する不良品除去部251を設けている。従って、形状が簡素な平板形状である不良と判定された段ボールシートSを製造ラインから除去することとなり、不良品除去作業を適正に行うことができ、また、既に不良品である段ボールシートSを糊付装置66により糊付けを行ったり、フォルディング部61で折り畳んだりすることなく除去することとなり、無駄な作業をなくして作業効率を向上することができる。
【0090】
また、実施例3の製函機の不良品除去装置では、不良品除去部251は、段ボールシートSの糊代片334に対して糊付け作業を行う前に、不良判定された段ボールシートSを製造ラインから除去している。従って、糊代片334に付着した糊が不良品除去部251の作動に悪影響を与えることがなく、作業性を向上することができる。
【0091】
なお、上述した実施例では、製函機を、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、フォルディング部61と、カウンタエゼクタ部71並びに不良品除去部51,201,251により構成したが、段ボールシートSに手穴341,342が不要な場合には、ダイカット部41をなくして構成してもよい。また、上述した実施例では、シート材の接着部分に接着材を付着する装置として、段ボールシートSにおける所定の位置に糊付けを行う糊付装置66を適用したが、接着材としては、糊に限らず、例えば、両面接着テープを適用してもよい。
【0092】
また、上述した各実施例にて、良否判定装置101は、段ボールシートSに対して、給紙部11での給紙不良、印刷部21での印刷不良、排紙部31での溝切り位置不良、ダイカット部41での打ち抜き位置不良、糊付装置66での糊付け不良を検査するものとしたが、全ての検査を行う必要がないときは、複数の検査項目の中の一部だけの検査を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る製函機の不良品除去装置及び製函機は、罫線加工が施されると共に溝切り加工が施されたシート材を製造ラインから除去するようにすることで、不良品のシート材を適正に除去可能であると共に、作業効率の向上を可能とするものであり、いずれの製函機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
11 給紙部
21 印刷部
31 排紙部
41 ダイカット部
51,201,251 不良品除去部
61 フォルディング部
66 糊付装置
71 カウンタエゼクタ部
100 制御装置
101 良否判定装置(良否判定手段)
102 選別装置(選別手段)
B 段ボール箱(箱体)
S 段ボールシート(シート材)
D 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を加工して箱体を製造する製造ラインから不良品のシート材を除去する製函機の不良品除去装置であって、
前記製造ラインを搬送される前記シート材に対する所定の検査結果に基づいて該シート材の良否判定を行う良否判定手段と、
表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施された前記シート材を折り畳む前に前記製造ラインから除去する除去手段と、
前記良否判定手段により不良品と判定された前記シート材に対して前記除去手段を作動する選別手段と、
を備えることを特徴とする製函機の不良品除去装置。
【請求項2】
前記除去手段は、前記シート材の接着部分に対する接着処理を行う前の該シート材を前記製造ラインから除去することを特徴とする請求項1に記載の製函機の不良品除去装置。
【請求項3】
前記除去手段は、シート材の接着部分に対する接着処理を行った後、折り畳み前の該シート材を前記製造ラインから除去することを特徴とする請求項1に記載の製函機の不良品除去装置。
【請求項4】
前記良否判定手段は、前記シート材に対して、給紙不良、印刷不良、溝切り位置不良、打ち抜き位置不良、糊付け不良のうちの少なくとも一つの判定を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の製函機の不良品除去装置。
【請求項5】
シート材を供給する給紙部と、
前記シート材に対して印刷を行う印刷部と、
前記シート材に対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う排紙部と、
前記シート材を折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルディング部と、
前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部と、
前記シート材に対する所定の検査結果に基づいて前記シート材の良否判定を行う良否判定手段と、表面に罫線加工が施されると共に溝切り加工が施されたシート材を折り畳む前に製造ラインから除去する除去手段と、前記良否判定手段により不良品と判定されたシート材に対して前記除去手段を作動する選別手段と、
を備えることを特徴とする製函機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−76334(P2012−76334A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222718(P2010−222718)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】