説明

製造システム

【課題】 生産効率が向上された物品製造システムを実現する。
【解決手段】 複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、物品IDとともに製造用IDが入力されるとこれらに対応して格納されているデータを返送する生産制御部を、具備し、複数の作業台は、RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、製造用IDを格納するID記憶部と、データに応じた出力動作を実行する出力部と、読取器により読み取られた物品IDが入力されると記憶部に格納されている製造用IDを読み出して物品IDとともに前記生産制御部へ送出し、その後、生産制御部より送られてきたデータによる出力動作を出力部に実行させる作業台制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の工程から物品を製造する製造システムに関し、特に、複数のラインでそれぞれ異なる仕様の物品を製造する製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のラインでそれぞれ異なる仕様の物品、例えばコンピュータなどの小型電子機器を製造する場合には、各製造ラインで製造される物品の仕様を示す生産指示書を用いて製造が行なわれていた。
【0003】
図7および図8は従来のコンピュータの製造システムの構成を示すブロック図、図8は製造ラインで行なわれる製造工程の一例を示す図、図10は製造工程を実施する作業台の構成を示すブロック図である。
【0004】
生産指示データベース1001は複数の製造ラインのそれぞれで製造される各コンピュータについて、製造するための生産指示書、銘板、保証書および梱包する箱に貼付する箱ラベルのデータを格納している。各種コンピュータを製造する際、制御装置1008は生産指示データベース1001から製造するコンピュータに関する生産指示書、銘板、保証書および梱包する箱に貼付する箱ラベルのデータを読み出して印刷装置1002へ出力し、印刷装置1002は生産指示書1003、銘板1004、保証書1005および箱ラベル1006を印刷する。
【0005】
生産指示書1003、銘板1004、保証書1005および箱ラベル1006は製造する電子機器ごとに印刷され、各印刷物は製造する対象が同じ生産指示書1003、銘板1004、保証書1005および箱ラベル1006ごとにピックアップされて指示書群1007とされ、対応する製造ライン11011〜1101nにセットされる。セットされた指示書群1007は各製造工程を実施する製造ラインの作業台を移動する。各工程において作業者は生産指示書1003により行う作業内容を確認し、また、行なった作業を確認するために作業者が生産指示書1003のチェック項目に記入する。
【0006】
製造ライン11011〜1101nで行なわれる製造工程は製造するコンピュータの種類によって異なる。図8に示される例では指示書群が人手によりセットされた後(ステップ1201)に、2つの組立工程(ステップ1202,1203)と3つのテスト工程(ステップ1204〜1206)が行なわれた後に、箱詰めする梱包工程(ステップ1207)、梱包された箱を所定数に纏めるパレタイズ工程(ステップ1208)、出荷工程(ステップ1209)が行なわれる。
【0007】
各種工程は工程ごとに異なる作業台で行なわれ、指示書群1007に含まれる生産指示書1003の内容に従って行なわれる。図10に示すように各作業台13011〜1301nには、制御装置1008と接続するバーコード読取器13021〜1302nが設けられている。
【0008】
各バーコード読取器13021〜1302nは、製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツに貼付されているバーコードや梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツに貼付されているバーコードを読み取るために設けられている。
【0009】
上記の生産指示書1003および銘板1004にも型番やシリアル番号を示すバーコードが付設されており、これらの内容は各工程にて読み取られた各パーツのバーコードの内容とともに制御装置1008に送出される。各バーコードの内容は生産指示データベース1001に格納され、出荷されたコンピュータに組み込まれたパーツや同梱されたパーツの確認を行なうことが可能とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来技術では、指示書群1007の印刷は例えば夜間などに一括して行なわれるが、これらのうち、製造する対象が同じ生産指示書1003、銘板1004、保証書1005および箱ラベル1006をピックアップする作業やピックアップした指示書群1007を対応する製造ラインにセットする作業に時間がかかり、手間を要するという問題点がある。
【0011】
また、これらの作業は人手によるものであるために、指示書群1007を構成する生産指示書1003、銘板1004、保証書1005および箱ラベル1006に欠落や重複が生じる危険性があり、さらに製造工程ごとに指示書群1007が移動する構成とされているので、紛失する危険性もある。
【0012】
また、生産指示書1003、銘板1004やパーツに貼付されているバーコードの読取にも手間がかかるという問題点がある。
【0013】
さらに、上述した紛失の事態を避けるために、指示書群1007を1つの製造ラインから他の製造ラインへ移動させることは行なわれていなかった。このため、指示書群1007を構成する生産指示書1003は1つの製造ラインの製造進捗状況を把握することのみに用いられていた。各製造ライン毎の製造速度には差が生じることがあるが、製造工程を指示する生産指示書1003が製造ライン間を移動しないことから、各製造ラインの製造速度差を調整することができず、効率のよい生産を行なうことができなかった。
【0014】
本発明は上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、生産効率が向上された製造システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の製造システムは、製造する物品を示す物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDとともに製造用IDが入力されるとこれらに対応して格納されているデータを返送する生産制御部を、具備し、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
前記製造用IDを格納するID記憶部と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記記憶部に格納されている製造用IDを読み出して前記物品IDとともに前記生産制御部へ送出し、その後、前記生産制御部より送られてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の他の形態による製造システムは、複数の作業台と、生産制御部とからなり、製造する物品を示す物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記生産制御部へ送出し、その後、返送されてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有し、
前記生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDが送られてくると送られてきたケーブルのIDにより製造用IDを特定し、これらに対応して格納されているデータを前記作業台制御部へ返送することを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに他の形態による製造システムは、複数の作業台と、生産制御部とからなり、製造する物品を示す物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記生産制御部へ送出し、その後、返送されてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有し、
前記生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDが送られてくると送られてきたポートのIDにより製造用IDを特定し、これらに対応して格納されているデータを前記作業台制御部へ返送することを特徴とする製造システム。
【0018】
上記のいずれにおいても、生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して作業手順を格納し、出力部は前記作業手順を表示することとしてもよい。
【0019】
また、生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して作業で必要とされる印刷物を印刷するためのデータを格納し、出力部は前記印刷物を印刷することとしてもよい。
【0020】
また、読取器は製造する物品に組み込まれるパーツに付設されているRFIDに格納されているパーツIDを読み取り、
作業台制御部は製造用IDおよび前記物品IDとともに前記パーツIDを生産制御部へ送出し、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して前記パーツIDを蓄積することとしてもよい。
【0021】
また、作業台に設けられた製造する物品に組み込まれるパーツに付設されているバーコードのデータを読み取るバーコード読取器を有し、
作業台制御部は製造用IDおよび前記物品IDとともに前記バーコードのデータを生産制御部へ送出し、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して前記バーコードのデータを蓄積することとしてもよい
また、RFIDは生産制御部により作製されることとしてもよい。
【0022】
また、RFIDはリサイクル可能に構成され、生産制御部はリサイクルにより作製された回数が予め定められた回数以下のときにRFIDを作製することとしてもよい。
【0023】
また、生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納する生産指示データベースと、前記物品IDとともに製造用IDが入力されるとこれらに対応して前記生産指示データベースに格納されているデータを返送する制御装置と、該制御装置の指示に応じてRFIDを作製するRFIDプリント装置から構成され、
前記制御装置およびRFIDプリント装置は、複数の作業台を含んで構成される複数の製造ラインのそれぞれについて設けられることとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
上記のように構成される本発明においては、RFIDが作業台の読取器に読み取られると、生産制御部からその作業台で行われる作業に関するデータが送出され、出力部により該データによる出力がなされる。出力内容は様々なものが挙げられるが、RFIDが作業台に到達してからの出力となるため、従来の指示書群のように欠落、重複、紛失が生じる危険性もなくなる。
【0025】
さらに、紛失が生じる危険性がないために、RFIDを各製造ライン間を移動させることが可能となる。このため、製造の遅い製造ラインで製造されていた物品を製造の早い製造ラインで製造するように変更することが作業工程単位で行なうことが可能となる。これにより、各製造ラインの製造速度差を調整し、効率のよい生産を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0027】
本発明は、ICタグ、非接触データキャリア、無線ICタグ、非接触IC、非接触ICラベル、非接触ICタグなどと呼称されるRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)を用いるものである。以下の実施例では、RFIDは、無線等の非接触の通信媒体を用いてデータ交信を行い、固体識別符号などの情報を記録するメモリ付き集積回路を示す。
【0028】
本実施例は製造するコンピュータを示すRFIDを用いて製造を行なうものであり、図1は本発明によるコンピュータの製造システムの要部構成を示すブロック図、図2は製造ライン(不図示)で行なわれる製造工程の一例を示す図、図3は製造ラインにて製造工程を実施する作業台の構成を示すブロック図、図4は本実施例で作製されて使用されるRFID103を示す平面図、図5はRFID103に格納される情報内容を示す図である。
【0029】
生産指示データベース101は複数の製造ラインのそれぞれで製造される各コンピュータについて、製造する物品を示すID番号、納期、受注番号、型番、号機番号および構成コードなどの事項や、各コンピュータを製造する際の各製造工程毎の作業手順を格納している。これらの格納内容は、各製造ラインごとに、所定の単位時間、例えば1日に生産する各コンピュータの情報である。
【0030】
製造するコンピュータを示すRFIDを作製する場合、制御装置104が生産指示データベース101からRFIDを作成するのに必要となる上記の各事項を読み出してRFIDプリント装置102へ送出し、RFIDプリント装置102は該情報に応じてRFID103を作製する。
【0031】
RFID103の表面には、ID番号、納期、受注番号、型番、シリアルナンバーおよび構成コードが印刷されている。また、RFID103への繰り返し印刷によってRFID103に反りが生じたりするのでRFID103のリサイクル回数は制限される。そこで、RFID103の表面には、RFID103の発行回数およびリサイクル可能な回数(残度数)も印刷されている。これらの情報を印刷するのは、現在製造している製品に関する主な事項を作業者が目視で確認できるようにするためである。さらに、RFID103の表面には、二次元コード402が印刷されている。二次元コード402は、受注番号、型番、シリアルナンバー、構成コードなどの事項を示す。二次元コード402は、製品のテスト工程における、BIOSなどの基本情報を記憶部に書き込むDMI書き込み時に必要な内容を読み込むために活用される。RFID103に内蔵されたICチップには、製品のID番号とRFID103のリサイクル回数が格納されている。ICチップへの情報の書き込みは、不図示の書き込み装置によって行われる。
【0032】
読み取られるRFID103のチップ内情報としては、製造するコンピュータを示すID番号とリサイクル回数とされている。
【0033】
作製されたRFID103は、対応するコンピュータを製造する製造ラインに人手または自動でセットされる。図2に示される製造工程の例では、RFID103がセットされた後(ステップ201)に、2つの組立工程(ステップ202,203)と3つのテスト工程(ステップ204〜206)が行なわれた後に、箱詰めする梱包工程(ステップ207)、梱包された箱を所定数に纏めるパレタイズ工程(ステップ208)、出荷工程(ステップ209)が行なわれる。
【0034】
各種工程は工程ごとに異なる作業台で行なわれ、RFID103が各作業台を移動するごとに各作業台に応じた作業が行なわれる。
【0035】
図3に示すように各作業台3011〜301nには、図1に示した制御装置104と接続する制御部3041〜304n、各作業台に固有のIDを格納するID記憶部3021〜302n、CRT、LCD等の表示部およびプリンタなどの印刷部から構成され、制御部3041〜304nの制御により表示および印刷を行なう出力表示部3031〜303n、RFIDを読み取るためのRFID読取器3051〜305nが設けられている。
【0036】
次に、本実施例の作業形態について説明する。
【0037】
本実施例では、RFID103に示されるコンピュータを製造するものであるが、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツにもRFIDを取り付け、これらのIDをRFにより読み取って製造を行なうものである。
【0038】
RFID103は、各作業台3011〜301nを移動するが、移動が行なわれるごとに各作業台3011〜301nのRFID読取器3051〜305nによりID番号が読み取られ、各制御部3041〜304nへ送出される。各制御部3041〜304nはRFID103のID番号が送られてくるとID記憶部3021〜302nに格納されている各作業台に固有のIDを読み出してRFID103のID番号とともに制御装置104へ送出する。このとき、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツがある場合にはRFID読取器3051〜305nはこれらのIDをRFにより読み取って各制御部3041〜304nへ送出し、各制御部3041〜304nは各パーツのIDをRFID103のID番号、ID記憶部3021〜302nに格納されている各作業台に固有のIDとともに制御装置104へ送出する。
【0039】
上述したように、生産指示データベース101は複数の製造ラインのそれぞれで製造される各コンピュータについて、ID番号、納期、受注番号、型番、号機番号および構成コードなどの事項や、各コンピュータを製造する際の各製造工程毎の作業手順を蓄積するものであり、各コンピュータを製造する際の各製造工程毎の作業手順についてはRFID103のID番号と各作業台に固有のIDに対応して格納している。
【0040】
制御装置104は、RFID103のID番号と各作業台に固有のIDとが送られてくると、RFID103のID番号と各作業台に固有のIDに対応して生産指示データベース101に格納されている作業手順を読み出して、これらを送出した各制御部3041〜304nに返送する。
【0041】
また、その作業内容が組立工程における銘板の貼付作業、梱包工程における保証書の同梱作業、パレタイズ工程における箱ラベルの貼付作業を行うものである場合には、制御装置104は生産指示データベース101に格納されている銘板、保証書、箱ラベルを印刷するためのデータを読み出して各制御部へ送出する。
【0042】
また、その作業工程が各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツを使用する工程であり、これらのIDが送られてきた場合には、制御装置104は生産指示データベース101のRFID103のID番号に対応して各パーツのIDを蓄積させる。これにより制御装置104は各製造ラインにおける製造の進捗状況を把握する。
【0043】
各制御部3041〜304nは作業手順が送られてくると、作業手順を各出力表示部3031〜303nに表示させる。また、このとき、銘板、保証書、箱ラベルを印刷するためのデータも送られてきている場合にはこれらの印刷を各出力表示部3031〜303nに行なわせる。
【0044】
作業者は各出力表示部3031〜303nに表示されている作業内容に基いて作業を行い、また、銘板、保証書、箱ラベルを使用する工程である場合には、出力表示部により印刷された銘板、保証書、箱ラベルを使用して作業を行なう。
【0045】
出荷工程209の前、または出荷工程209のときにRFID103は回収され、次に製造を行なうコンピュータのためのRFIDとして再利用される。このとき、制御装置104は、チップ内情報として格納されているリサイクル回数が予め定められている回数、例えば200回を超えているかを確認し、超えている場合には作製することなく廃棄対象とする。リサイクル回数が予め定められている回数の範囲内である場合にはあらたな製造対象のコンピュータのデータを格納する。このとき、表面に印刷されている表面情報、2次元コードは消去してあらたに書き換える。
【0046】
上述した実施例では各作業台のそれぞれが出力表示部を備えるものとして説明した。この出力表示部の構成は各作業台の作業内容によって異なるものであり、作業によっては表示部のみの構成であってもよい。図6はこのような構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施例ではノート型PCの組立ラインを例に挙げて説明する。組立ラインは、RFIDを利用して、製造される個々の製品の管理を行うもので、大きく分けて、この組立ラインの各工程を管理するライン管理装置10と、作業者が各工程の作業を実際に行う作業エリア15と、各種ラベルや保証書を印刷する複数のプリンタ13a〜13dとを有する。なお、図6では1つの組立ラインのみを示しているが、同様の構成を有する一つまたは複数の組立ラインが、図示した組立ラインに並設されている。各組立ラインで製造される製品の機種は同一であることもあるし、異なることもある。
【0048】
ライン管理装置10は、ライン制御部11と、生産指示データベース12とを有する。生産指示データベース12は、この組立ラインで製造される各製品について、ID番号、納期、受注番号、型番、シリアルナンバーおよび構成コードなどといった事項や、各製品を製造する際の工程毎の作業手順を格納している。これらのデータはRFID20の作製に利用される。ライン制御部11は、RFID20の作製に必要なデータを生産指示データベース12から読み出し、読み出したデータをプリンタ13aに送出する。プリンタ13aは、ライン制御部11から送出されたデータに応じてRFID20を作製する。
【0049】
上記のように作製されたRFID20は、作業エリア15の最初の工程に、作業者によって、または自動で置かれる。本実施形態では、作業エリア15では、2つの組立工程UA1,UA2、および3つの検査工程UT1〜UT3を経て、梱包工程Pまでの作業が行われる。組立工程UA1,UA2では、作業エリア15に投入された、液晶ディスプレイユニット、キーボードユニット、電源ユニット、および光学ディスクドライブユニットなどの各種ユニットが組み付けられる。検査工程UT1〜UT3では、各種ユニットが組み付けられた製品の動作テストや外観検査が行われる。検査工程UT1〜UT3の検査で合格した製品は、次に、梱包工程Pへ行き、バッテリーやACアダプタ、その他の付属品とともに梱包箱に梱包される。
【0050】
作業エリア15では、各製品25(正確には、検査工程まで終了していないものは半完成品であるが、説明の簡略化のため、半完成品も含めて製品という。)は、RFID20とともに、作業台に沿って移動可能に設けられた作業用パレット18の上に載せられる。作業台は、組立工程UA1,UA2、検査工程UT1〜UT3および梱包工程Pを連続して繋ぐものであり、作業用パレット18は、これら各工程間を順次移動可能に設けられている。製品25はRFID20とともに、作業用パレット18に載せられたまま、組立工程UA1,UA2から検査工程UT1〜UT3を経て梱包工程Pへと、順番に移動する。
【0051】
各組立工程UA1,UA2、最終の検査工程UT3および梱包工程Pの作業位置にはそれぞれ、各工程での作業内容を管理する工程管理装置30が設置されている。最終の検査工程UT3の作業位置にはさらに、その工程管理装置30からの指令に基づいて、製品に貼付する銘板を印刷するプリンタ13bが設置されている。梱包工程Pの作業位置にも同様に、保証書を印刷するプリンタ13cおよび箱ラベルを印刷するプリンタ13dが設置されている。
【0052】
工程管理装置30は、図3に示した制御部3041〜304n、ID記憶部3021〜302n、RFID読取器3051〜305nとともに出力表示部3031〜303nが設けられたものである。本実施例の出力表示部3031〜303nは、CRT、LCD等の表示部のみで構成され、印刷が必要な場合には印刷が必要な作業工程の箇所に別途設けられているプリンタ13a〜13cを用いて行なうように構成されている。
【0053】
RFID20は、製品と一緒に作業用パレット18上に載せられて各工程へ移動するが、工程管理装置30が設置された工程へ移動すると、RFID読取器によってRFID20からID番号が読み出され、制御部へ送出される。制御部は、ID番号が送られてくると、ID記憶部に格納されている、その工程に固有のIDを読み出して、RFID20のID番号をライン制御部11へ送出する。
【0054】
なお、製品に組み込まれる各ユニットや、製品と同梱される付属品にも、固有のIDを付したIDタグが取り付けられていてもよく、この場合は、読み出し装置34は、これらのユニットや付属品のIDも読み出して工程制御部33へ送出する。制御部は、各ユニット等のIDをRFID20のID番号、ID記憶部に格納されているIDとともにライン制御部11へ送出する。製品に組み込まれる各ユニット等に取り付けられるRFIDは、作業用パレット18上に置かれるRFID20とは異なり、リサイクルする必要はないので、簡易なタイプのRFIDを用いるのが好ましい。
【0055】
上述したように、生産指示データベース12は組立ラインで製造される製品について、ID番号、納期、受注番号、型番、シリアルナンバーおよび構成コードなどの事項や、製品を製造する際の各工程毎の作業手順を格納するものであり、製品25を製造する際の各工程毎の作業手順については、RFID20のID番号と各工程に固有のIDに対応して格納している。
【0056】
ライン制御部11は、RFID20のID番号と各工程に固有のIDとが工程管理装置30の制御部から送られてくると、これらに対応して、生産指示データベース12に格納されている作業手順を読み出し、これらを送出した制御部に返送する。また、その作業内容が、銘板の貼付作業、保証書の同梱作業、箱ラベルの貼付作業を含むものである場合には、ライン制御部11は生産指示データベース12に格納されている、銘板、保証書、箱ラベルを印刷するためのデータを読み出して、制御部へ送出する。また、その作業内容が、製品に組み込まれるユニットを使用し、あるいは同梱される付属品を使用するものであり、これらのIDが送られてきた場合には、ライン制御部11は生産指示データベース12のRFID20のID番号に対応して各ユニットや付属品のIDを蓄積させる。
【0057】
ライン制御部11は、作業手順が送られてくると、作業手順を表示部に表示させる。またこのとき、銘板、保証書、箱ラベルを印刷するためのデータも送られてきている場合には、これらの印刷をプリンタ13a〜13dに行わせる。
【0058】
作業者は、表示部に表示されている作業手順に基づいて所定の作業を行い、また、銘板、保証書、箱ラベルを使用する工程である場合には、プリンタ13b〜13dにより印刷された銘板、保証書、箱ラベルを使用して作業を行う。
【0059】
梱包工程Pまで終了し、箱内に梱包された製品は、出荷のためにパレット18に積載される。また、RFID20はこの段階で回収され、出荷の履歴管理のために読み込みされた後、リサイクルされる。このとき、ライン制御部11は、RFID20のチップ内情報として格納されているリサイクル回数が予め定められている回数、例えば200回を超えているかを確認し、超えている場合はリサイクルせず廃棄対象とする。リサイクル回数が予め定められている回数の範囲内である場合には、新たな製造対象の製品25のデータを格納する。また、RFID20の表面に印刷されている各事項および二次元コードは、プリンタ13aで消去され、新たに書き換えられる。
【0060】
上記のように構成される各実施例においては、各作業台にてRFIDが読み取られるごとに作業手順が表示され、工程に応じて銘板や保証書、箱ラベルが印刷されるので、従来行なわれていた生産指示書、銘板、保証書および箱ラベルのピックアップ作業が必要なくなる。
【0061】
また、必要とされるときに各作業台に表示が行なわれたり、印刷が行なわれる、いわゆるオンデマンド型のシステムとなるので、生産指示書、銘板、保証書および箱ラベルの欠落や重複、紛失などが発生しないものとなる。
【0062】
また、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツについてもその内容がRFにて読み取られて生産指示データベースに101に製造するコンピュータのIDに対応して蓄積されるので、従来必要とされていたパーツに貼付されているバーコードの読取り作業が必要なくなる。
【0063】
なお、各組立工程や梱包工程で製造するコンピュータに組み込まれるLCDや電源などのパーツや、梱包時に同梱されるバッテリーやACアダプタなどのパーツがRFIDを使用せず、従来から使用されているバーコードが貼付されているものを使用する場合には、各作業台にバーコード読取器を設け、各作業台の制御部はRFID103のIDとともに各パーツのバーコードが示すデータを制御装置104へ送出し、制御装置104は生産指示データベース101のRFID103のID番号に対応して各パーツのバーコードが示すデータを蓄積させるものとしてもよい。
【0064】
さらに、制御装置104、生産指示データベース101およびRFIDプリント装置102は一般的なコンピュータシステムとして構成されるものであり、これらは1つの制御部として構成することとしてもよい。
【0065】
さらに、RFID103は制御装置104が生産指示データベース101からデータを読み出してRFIDプリント装置102により作成し、これを人手または自動で各製造ラインにセットすることとして説明したが、各製造ライン毎に制御装置およびRFIDプリント装置を設けることとし、製造ラインの生産進捗状況を把握する制御装置が、生産進捗状況に応じてRFIDを作製することとしてもよい。RFIDを作製するタイミングとしては、図2に示した組み立て工程202にてRFIDが読み込まれたときに、次のRFIDを作製することとしてもよい。また、生産進捗状況を把握する制御装置は、あらかじめ定められた生産終了時刻に製造が終了するように作製するRFIDを振り分けることとしてもよい。
【0066】
さらに、各作業台には各作業台に固有のIDを格納するID記憶部3021〜302nが設けられ、制御装置104は、各制御部3041〜304nからRFIDとともに送られてくる各作業台に固有のIDにより作業台を確認する構成を説明したが、制御装置104はRFIDを送ってくる各制御部3041〜304nからのケーブルのケーブルIDやポートIDを確認し、これにより作業台を認識するように構成してもよい。このような構成とすることにより各作業台にID記憶部を設けることや、各制御部3041〜304nがID記憶部からIDを読み出す動作を省略することができ、構成および動作を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明によるコンピュータの製造システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】製造ライン(不図示)で行なわれる製造工程の一例を示す図である。
【図3】製造ラインにて製造工程を実施する作業台の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施例で作製されて使用されるRFID103を示す平面図である。
【図5】RFID103に格納される情報内容を示す図である。
【図6】本発明によるコンピュータの製造システムの他の実施例の要部構成を示すブロック図である。
【図7】従来のコンピュータの製造システムの構成を示すブロック図である。
【図8】従来のコンピュータの製造システムの構成を示すブロック図である。
【図9】製造ラインで行なわれる製造工程の一例を示す図である。
【図10】製造工程を実施する作業台の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
101 生産指示データベース
102 RFIDプリント装置
103 RFID
104 制御装置
3011〜301n 作業台
3021〜302n ID記憶部
3031〜303n 出力表示部
3041〜304n 制御部
3051〜305n RFID読取器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造する物品を示す物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDとともに製造用IDが入力されるとこれらに対応して格納されているデータを返送する生産制御部を、具備し、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
前記製造用IDを格納するID記憶部と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記記憶部に格納されている製造用IDを読み出して前記物品IDとともに前記生産制御部へ送出し、その後、前記生産制御部より送られてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有することを特徴とする製造システム。
【請求項2】
複数の作業台と、生産制御部とからなり、製造する物品を示す物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記生産制御部へ送出し、その後、返送されてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有し、
前記生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDが送られてくると送られてきたケーブルのIDにより製造用IDを特定し、これらに対応して格納されているデータを前記作業台制御部へ返送することを特徴とする製造システム。
【請求項3】
複数の作業台と、生産制御部とからなり、製造する物品を示す物品IDが格納されたRFIDを用いて、複数の作業台にてそれぞれ異なる複数の製造工程を行うことにより物品を製造する製造システムであって、
前記複数の作業台は、
前記RFIDに格納されている物品IDを読み取るための読取器と、
データに応じた出力動作を実行する出力部と、
前記読取器により読み取られた物品IDが入力されると前記生産制御部へ送出し、その後、返送されてきたデータによる出力動作を前記出力部に実行させる作業台制御部と、を有し、
前記生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納し、前記物品IDが送られてくると送られてきたポートのIDにより製造用IDを特定し、これらに対応して格納されているデータを前記作業台制御部へ返送することを特徴とする製造システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造システムにおいて、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して作業手順を格納し、出力部は前記作業手順を表示することを特徴とする製造システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製造システムにおいて、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して作業で必要とされる印刷物を印刷するためのデータを格納し、出力部は前記印刷物を印刷することを特徴とする製造システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の製造システムにおいて、
読取器は製造する物品に組み込まれるパーツに付設されているRFIDに格納されているパーツIDを読み取り、
作業台制御部は製造用IDおよび前記物品IDとともに前記パーツIDを生産制御部へ送出し、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して前記パーツIDを蓄積することを特徴とする製造システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の製造システムにおいて、
作業台に設けられた製造する物品に組み込まれるパーツに付設されているバーコードのデータを読み取るバーコード読取器を有し、
作業台制御部は製造用IDおよび前記物品IDとともに前記バーコードのデータを生産制御部へ送出し、
生産制御部は前記製造用IDと前記物品IDとに対応して前記バーコードのデータを蓄積することを特徴とする製造システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の製造システムにおいて、
RFIDは生産制御部により作製されることを特徴とする製造システム。
【請求項9】
請求項8記載の製造システムにおいて、
RFIDはリサイクル可能に構成され、生産制御部はリサイクルにより作製された回数が予め定められた回数以下のときにRFIDを作製することを特徴とする製造システム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の製造システムにおいて、
生産制御部は、前記複数の作業台のそれぞれを示す製造用IDと前記物品IDとに対応して作業を行なうためのデータを格納する生産指示データベースと、前記物品IDとともに製造用IDが入力されるとこれらに対応して前記生産指示データベースに格納されているデータを返送する制御装置と、該制御装置の指示に応じてRFIDを作製するRFIDプリント装置から構成され、
前記制御装置およびRFIDプリント装置は、複数の作業台を含んで構成される複数の製造ラインのそれぞれについて設けられることを特徴とする製造システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−113903(P2006−113903A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302025(P2004−302025)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】