説明

製造ライン設定変更システム

【課題】多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインに用いられ、品種が変更になった場合に、振分けを行う搬送装置の振分け設定と、処理装置のレシピと、を自動変更することを可能とする製造ライン設定変更システムを提供する。
【解決手段】データ管理用データベースと、ライン内管理システムと、を備え、データ管理用データベースは、予め用意された品種情報管理テーブルと、基板が収納されたカセット情報管理テーブルと、を有し、ライン内管理システムは、製造ライン内に設けられた装置及びデータ管理用データベースとの通信機能を有し、更に、搬送装置の振分け設定の変更指示と、処理装置のレシピ設定の変更指示を行うことを特徴とする製造ライン設定変更システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に用いられるカラーフィルタガラス基板(以下、基板)を製造するカラーフィルタ製造ラインの搬送装置の搬送振分けや処理装置のレシピの設定を品種に応じて自動的に変更するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1にカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板の一例を断面で示す。カラーフィルタ1は、ガラス基板2上にブラックマトリックス(以下、BM)3、レッドRの着色画素(以下、R画素)4−1、グリーンGの着色画素(以下、G画素)4−2、ブルーBの着色画素(以下、B画素)4−3、透明電極5、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)6、バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下、VA)7が順次形成されたものである。
【0003】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法を用いることが知られているが、図2は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。カラーフィルタは、先ず、ガラス基板上にBMを形成処理する工程(C1)、ガラス基板を洗浄処理する工程(C2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C4)、露光処理する工程(C5)、現像処理する工程(C6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)、透明電極を成膜処理する工程(C8)、PS、VAを形成処理する工程(C9)がこの順に行われ製造される。
【0004】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、カラーフィルタ用ガラス基板を洗浄処理する工程(C2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C7)間ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色フォトレジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0005】
図3は、一般的なカラーフィルタ製造ラインの工程の一例を示す図である。図3は1色の画素を形成する場合の製造ラインの工程を示すものである。カラーフィルタが製造される場合には先ず、基板が収納されているカセットが、ストッカー装置10からストッカー装置内の搬送路を介してローダ(LD)11に搬送される。次に基板が該ローダ11によって製造ラインに投入される。その後コンベア12、16、18やロボット13、20、22によって、プロセス処理装置15、17、21や検査装置14、19に搬送され、プロセス処理や検査が行われる。その後アンローダ(ULD)23によってカセットに回収される。カセットに回収された基板はストッカー内の搬送路を介して再びストッカー10に搬送され保管されるか、又は次の色の画素を形成するラインに直接搬送される。基板がラインに直接搬送される場合には、上記のようにカセットに回収されてラインに直接搬送されても良く、またカセットに回収されずに1枚毎ラインに直接搬送されても良い。ここで言うプロセス処理15、17、21は、例えば塗布装置やオーブンや露光装置や現像装置といった装置であって、検査装置14、19は外観検査装置や異物検査装置といった検査装置である。
【0006】
図4は上記1色の画素を形成するカラーフィルタ製造ラインの一例を更に詳しく示した図である。図4に示される製造ライン31はある特定の1色(例えばR画素)の着色パターンを形成するためのもので、ストッカー装置32と、ストッカー装置からラインに基板を投入するLD33と、搬送装置41〜49と、洗浄装置34と、塗布装置35と、露光装置36と、現像装置37と、ベーク装置38と、基板を回収しストッカー装置に搬出するULD39とを備えている。また、塗布装置35の後には着色フォトレジストの膜厚や塗布ムラを検査する検査装置50が設けられている。上記各工程の処理を行う装置や検査装置は搬送装置(1)41から搬送装置(7)47によって接続されている。搬送装置(7)47の下流には搬送装置(8−1)48があって基板は次の着色画素(例えば、G画素)を形成するために直接、次ラインの搬送装置41に搬送されるか、または一時的にストッカー装置32に保管されるためULD39によって回収される。R画素、G画素、B画素の3色の画素が形成された後の工程には、外観を検査する検査装置51や搬送装置(8−2)49や、ULD39が設けられている。ULD39によって回収された基板はストッカー装置32に搬出され、保管される。
【0007】
カラーフィルタ基板は一般的にBM、R画素、G画素、B画素の複数の色で構成されているため、一般的にはカラーフィルタ製造ラインは図4のような構成のラインが工程色分存在する。カラーフィルタは、構成するレジスト色や基板のパターンには様々な種類がある。これを品種と呼んでいる。また、カラーフィルタを構成する色が同じでも塗布する順番が異なる場合もある。基本的に生産は、品種毎に行われている。
【0008】
基板の様々な処理を行う処理装置は、あらかじめ設定されたパラメータ(例えばオーブンの温度など)で処理を行っている。品種が変更される場合には、その品種に応じたパラメータに変更する必要があり、これらのパラメータは多岐にわたるため、全てのパラメータを一つずつ変更するには多大な労力を要するため、これら変更するパラメータを纏めたもの(以下、レシピと呼称)を予め用意しておき、処理装置のレシピを変更することにより一括で必要なパラメータ設定に変更することが一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−109968号公報
【特許文献2】特開2009−7331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図4は1色の画素を形成するカラーフィルタ製造ラインを示した図であるが、装置の高性能化により、近年では一つの装置で複数色の工程の基板を処理できる多色混在型カラーフィルタ製造ラインが用いられている。この多色混在型カラーフィルタ製造ラインでは、振分けや合流が多数あり装置数が多く複雑であり且つ多色処理が同時に混在するラインではあるが、多くの工程の基板を同時にラインに投入することができるため、図4に示す構成のラインで処理する場合に比べて、必要なトータル装置数やスペース等が少なくてすむ利点がある。
【0011】
一般的に、上記多色処理が同時に混在するラインでは、ライン内の基板はライン内に投入される際に、一枚単位で基板に対して必要な基板情報というものを紐付ける。この基板情報の中には、現在の処理工程(ここでいう処理工程とは、例えばR画素形成工程やG画素形成工程やB画素形成工程を指す)情報や、どの検査機に投入するかといった情報が含まれる。基板がライン内(装置間)を移動する際も、この情報は引き継いでおり、ライン内を抜けるまでこれらの情報は保持される。多色処理が混在するラインでは、複数の工程の基板が同時に存在するため、特定のプロセス装置や検査装置に基板を投入するために、基板に持たせてあるキーとなる情報(例:処理工程情報など)を使って搬送装置によって基板の振分け・合流(以下振分けと呼ぶ)が行われる。振分けを行う搬送装置は、あらかじめ基板の持つキーとなる基板情報に応じて基板を受け渡す下流装置を設定しておき、基板を受け取った際に、この情報を確認し設定通りに下流装置に基板を受け渡す。これを行うことで、特定の装置に投入するための振分けを行うことができる。
【0012】
多色処理混在型のライン構成では、搬送装置によって基板の基板情報(例:処理工程)に応じて通過するルートの振分けを行う(受け渡す下流の装置を変更する)。そのため、あらかじめ装置に振分け設定(受渡先の下流装置設定)をしておく必要があるが、この設定を現在はオペレータによる人の手で行っている。また、処理装置も同様で、品種が異なり処理装置のレシピを変更する必要がある場合も、搬送装置と同じようにオペレータによって行われている。また、これらの変更タイミングは、品種が変更となるタイミングで設定変更を行う必要があるため、設定変更忘れや変更間違いなどのミスが発生する可能性がある。設定ミスで基板が誤ったルートに流れた場合は、異なる処理を行ってしまったり、正常のルートに戻すためにイレギュラーな操作(例:基板をもとの振分け位置までバックさせる等)を行うこととなり、基板のロスやイレギュラー操作中に他の基板の流動を妨げることによる生産のロスが発生するという問題がある。処理装置のレシピ変更を間違った場合は、処理に影響がでて、設定処理装置のレシピによっては、不良基板の発生原因となる。
【0013】
そこで本発明は上記問題に鑑みて多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインにおいて、品種が変更になった場合に、振分けを行う搬送装置の振分け設定と、処理装置のレシピと、を自動変更することを可能とする製造ライン設定変更システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで本発明の請求項1に係る発明は、カラーフィルタガラス基板の多色処理混在型製造ラインに用いられ、製造される品種が変更される際に、カラーフィルタ製造ライン内の搬送装置の振分けと、処理装置のレシピと、を品種に応じて設定変更するシステムであって、
データ管理用データベースと、ライン内管理システムと、を備え、
データ管理用データベースは、
予め用意された品種情報管理テーブルと、基板が収納されたカセット情報管理テーブルと、を有し、
ライン内管理システムは、
製造ライン内に設けられた装置及びデータ管理用データベースとの通信機能を有し、更に、
ライン内にある基板情報と基板の位置情報と、を管理する機能と、
ライン内の装置を複数のゾーンに分け、該ゾーン内の装置情報を管理する機能と、
現在のライン内にある品種の処理工程情報と処理ルート情報とを管理する機能と
搬送装置の振分け情報と処理装置のレシピ情報とを管理する機能と、
現在の搬送装置の振分け設定情報と現在の処理装置のレシピ設定情報とを管理する機能と、
搬送装置の振分け設定と処理装置のレシピ設定の変更指示機能と、を有し、
品種を変更する際に、
前記ライン内にある基板情報と基板の位置情報と、
前記ゾーン内の装置情報と、
前記現在のライン内にある品種の処理工程情報と処理ルート情報と、
前記搬送装置の振分け情報と処理装置のレシピ情報と、
前記現在の搬送装置の振分け設定情報と処理装置のレシピ設定情報と、に基づいて、
前記搬送装置の振分け設定の変更指示と、処理装置のレシピ設定の変更指示を行うことを特徴とする製造ライン設定変更システムである。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、ライン内管理システムは、搬送装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を前記複数のゾーン毎に行うことを特徴とする請求項1に記
載の製造ライン設定変更システムである。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、ライン内管理システムは、処理装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を行う場合、品種変更する品種に応じた振分け設定と処理装置のレシピ設定とが、現在のゾーン内の装置の振分け設定とレシピ設定に一致した場合には、搬送装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を行わずにゾーン内へ基板投入指示を行い、一致しない場合は投入ゾーンの直前の装置に対して基板の払い出し停止指示を行い、搬送装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を行った後にゾーン内へ基板投入指示を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の製造ライン設定変更システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製造ライン設定変更システムによれば、多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインで、品種が変更となった場合に品種に応じた設定に自動で変更することが可能となる。その結果、オペレータによる変更が不要となり、変更忘れや変更ミスによる不良品の発生を抑制することが出来、更に製造ラインの稼働率を向上することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】カラーフィルタ基板の一例を断面で示す図。
【図2】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ層の製造工程を示すフロー図。
【図3】一般的なカラーフィルタ製造ラインの工程の一例を示す図。
【図4】1色の画素を形成するカラーフィルタ製造ラインの一例を詳しく示した図。
【図5】本発明の製造ライン設定変更システムが適用される多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインの一例を示す図。
【図6】本発明の製造ライン設定変更システムの概略構成を示す図。
【図7】本発明に係るライン内の装置をゾーン分けした一例を示す図。
【図8】基板の品種の切り替わり時に行われる搬送装置の振り分けや処理装置のレシピ変更を行う場合の全体の処理フローを示す図。
【図9】本発明に係る品種情報を取得するフローを示す図である。
【図10】本発明に係る製造ライン設定変更システムにおける品種の変更があった場合の設定変更処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の製造ライン設定変更システムを実施するための形態を説明する。
【0020】
図5は、本発明の製造ライン設定変更システムが適用される多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインの一例を示す。図5に示される多色混在型のカラーフィルタ製造ライン61では、先ず1色目の着色画素形成のために、ストッカー装置62に保管されていた基板は、LD63でラインに投入された後、搬送装置→洗浄装置→搬送装置→塗布装置→搬送装置→検査装置→搬送装置→露光装置→搬送装置→現像装置→搬送装置→ベーク装置→搬送装置→搬送装置の一連の工程を経て、更に次の2色目の着色画素形成のために再び最上流工程の搬送装置に送られ前記一連の工程を経て、更に3色目の着色画素形成が行われた後、検査装置→搬送装置を経て、最終的にULD69によって回収された後に、ストッカー装置62に搬送され保管される。また、基板は搬送途中で抜取検査のために適宜抜取られる。
【0021】
LD63はカセットに収納されている基板をライン内に投入する設備であって、ストッカー装置62のカセット置き場に保管されている基板をライン内に投入する場合、ストッ
カー装置62から基板を収納しているカセットがLD63に運ばれる。カセットを受け取ったLD63はカセットの内の基板をライン内に投入する。
【0022】
ULD69は、ライン内の基板を回収する設備であって、ULD69には空カセットが置いてあり、ライン内の処理が終った基板をカセットに回収する。基板に回収されたカセットはULD69からストッカー装置62に払い出される。
【0023】
搬送装置71a、71b、72a、72bと搬送装置73〜79はライン内の基板を搬送する装置であって、このうち搬送装置73〜77は下流の基板受け渡し先が複数あり、これらの搬送装置は、予め品種毎に振分ける設定情報を持っており、設定情報に従って基板を振分け搬送する。
【0024】
処理装置は基板を設定されたレシピに基づいて処理を施す装置であって、洗浄装置64a、64bや塗布装置65a、65bや露光装置66a、66bや現像装置67a、67bやベーク装置68a、68bを指す。これらの処理装置は、予め品種毎に用意されるレシピ情報を紐付けている。
【0025】
検査装置80a、80bは塗布された塗布膜の膜厚や塗布ムラを検査するもので、また検査装置81は外観検査を行う検査装置である。
【0026】
図5に示されるカラーフィルタ製造ラインは、各処理に対して2つの処理装置が設けられた場合の多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインの例を示したものである。この多色処理混在型のカラーフィルタ製造ラインでは、LD63によって搬送装置(1−1)71aまたは搬送装置(1−2)71bに振分け投入され、搬送装置(3)73によって検査装置(1−1)80aまたは検査装置(1−2)80bに振分け搬送される。同じように、搬送装置(4)74によって露光装置(1)66aまたは露光装置(2)66bに振分け搬送される。搬送装置(5)75によって現像装置(1)67aまたは現像装置(2)67bに振分け搬送される。搬送装置(6)76によってベーク装置(1)68aまたはベーク装置(2)67bに振分け搬送される。また、搬送装置(7)77によって搬送装置(8−1)78または検査装置(2)81に振分け搬送される。
【0027】
図6は本発明の製造ライン設定変更システムの概略構成を示す図である。製造ライン設定変更システムは、データ管理用DB91と、ライン内管理システム92と、を有している。
【0028】
データ管理用DB91は予め用意された品種毎の処理工程や処理ルート(処理工程順番)の情報を含むテーブルを有する。ライン内管理システム92は、製造ライン内に設けられた処理装置及びデータ管理用データベースとの通信機能と、後で述べる、ライン内の装置を複数のゾーンに分け、該ゾーン内の装置情報を管理する機能と、現在のライン内にある品種の処理工程情報と処理ルート情報と、を管理する機能と、搬送装置の振分け情報と処理装置のレシピ情報と、を管理する機能と、現在の搬送装置の振分け設定情報と現在の処理装置のレシピ設定情報と、を管理する機能と、搬送装置の振分け設定と処理装置のレシピ設定の変更指示機能と、を有している。
【0029】
上記ライン内管理システム92は、各装置を備えたライン装置部96内の各装置と、EtherNet(登録商標)、CCLink、光ケーブル等によってネットワークが構築され、相互に通信が可能な通信機能を有している。製造ラインを構成するライン装置部96の各装置は現在、自装置内にある現在の基板の情報をライン内管理システム92に報告する(矢印93)。また、ライン内管理システム92は各装置に対して基板の品種が変更になった場合の振分け設定変更や処理装置のレシピ設定変更を通知する(矢印94)。また、ライン内管理システム92とデータ管理用DB91の間では品種毎の処理工程情報や処理工程ルートの情報のやり取りを行う(矢印95)。
【0030】
データ管理用DB91は、予め用意された品種毎の処理工程や処理工程順番(以下、処理ルート)の情報を含む、品種情報管理テーブルとカセット情報管理テーブルと、で構成されている。
【0031】
品種情報管理テーブルの一例を表1に示す。品種情報管理テーブルは品種毎の処理工程(ここでいう処理工程とは、例えば、R画素形成工程やG画素形成工程やB画素形成工程を指す)や、処理ルート(ここでいう処理ルートとは1〜n番目の処理工程を指す)を管理するテーブルである。品種情報管理テーブルはライン内管理システムと相互に通信が可能で、ライン内管理システムより品種の問い合わせが有った場合に、その品種の情報をライン内管理システムに通知する。
【0032】
【表1】

【0033】
カセット情報管理テーブルの一例を表2に示す。カセット情報管理テーブルは、カセット内にある基板の品種情報や次に処理する工程情報やカセット内にある基板数やカセットの各段に収納されている基板コード情報を管理するテーブルであって、カセットがLDに設置された際に、ネットワークを介して、LDから報告されるカセット情報をライン内管理システムに通知する。
【0034】
【表2】

【0035】
ライン内管理システムについて説明する。ライン内管理システムは、次に示す情報を管理する機能を有している。即ち、
(1)品種毎にライン内にある基板の情報を管理する。
(2)ライン内の基板の現在の位置を管理する。
(3)ライン内の装置を部分分けした群(以下、ゾーン)を管理する。
(4)現在、ライン内にある品種の処理工程と処理ルートを管理する。
(5)装置の設定情報(振分け設定情報、レシピ設定情報)を管理する。
(6)現在の搬送装置の振分け設定や処理装置のレシピ設定の情報を管理する。
また、振分け設定やレシピ設定の変更指示、基板払い出し停止指示を、インターフェイスを介して装置に出力する。
【0036】
上記ライン内管理システムが有する管理機能の内容を説明する。上記管理機能の(1)及び(2)の項目を指すライン内基板情報管理のテーブル例を表3に示す。ライン内基板情報管理テーブルは、ライン内にある基板すべての基板コードと、現在処理されている基板の工程情報を示す処理工程と、基板の品種と、基板が存在する装置を示す現在位置装置IDと、現在装置位置から求めたゾーンNo.情報を示す現在ゾーン位置情報を含んでいる。
【0037】
【表3】

【0038】
図7にライン内の装置をゾーン分けした一例を示す。図7に示される製造ラインのゾーン分けの例では、ゾーン1〜ゾーン5の5つのゾーンに分けられている。
【0039】
上記機能の(3)の項目を指すゾーン状態情報管理テーブルの例を表4に示す。ゾーン状態情報管理テーブルは、ライン内に属する装置のゾーン分けを示すテーブルであって、どの装置がどのゾーンに属しているかを管理するテーブルである。即ち、ゾーン状態情報
管理テーブルはゾーン分けしたゾーンNo.毎にそのゾーンに属する全ての装置IDの情報が含まれる。
【0040】
【表4】

【0041】
上記機能の(4)の項目を指す品種情報管理テーブルは、表1に示す品種情報管理テーブルを指すものであって品種毎の処理工程や、処理ルートを管理するテーブルである。
【0042】
上記機能の(5)の項目を指す設定情報管理テーブルの例を表5に示す。設定情報管理テーブルは、品種毎に工程処理フローが用意されており、基板の品種と、処理工程と、レシピ設定を示すレシピ番号情報と、振分け装置の振分け設定情報と、が含まれる。設定情報は、品種の工程毎に管理されるものであり、レシピ情報と、ライン内にある振分け該当装置すべての振分け設定を管理している。これらの情報は予め用意される。また、品種毎のレシピ情報は、1品種1処理工程につき1つであるものとする。
【0043】
【表5】

【0044】
上記機能の(6)の項目を指す振分け設定や、レシピ設定情報を管理する現在設定情報管理テーブルの例を表6(現在設定されている情報を示す振分け設定情報管理テーブル)及び表7(現在設定されている情報を示すレシピ設定情報管理テーブル)に示す。表6に示される振分け設定情報管理テーブルは、現在の該当装置全てに対する振分け設定情報を含んでいる。
【0045】
【表6】

【0046】
表7に示されるレシピ設定情報テーブルは、現在の該当装置全てに対するレシピ設定情報を含んでいる。
【0047】
このように振分け設定情報とレシピ設定情報は、別々に管理される。
【0048】
【表7】

【0049】
ライン内管理システムはライン内装置に対して基板の払い出しを停止させる払い出し停止機能や、振分け設定を変更する機能や、レシピ設定を変更する機能を有し、払い出し停止や振分け設定変更やレシピ設定変更を行う場合には、ライン内管理システムはこれらの指示を任意のタイミングで通知でき、また、ライン内装置も信号を受信した場合は、これに対応して指示された動作を行うことが出来る。即ち、払い出し停止の指示信号を受信した場合には、装置は自装置内にある基板を次の処理装置に移動させない。振分け設定変更を受信した場合には、装置は指示された振分け設定に変更する。レシピ設定変更を受信した場合には、装置は指示されたレシピ設定に変更する。
【0050】
基板の品種の切り替わり時に行われる搬送装置の振り分けや処理装置のレシピ変更を行う場合の処理フローを説明する。図8は全体の処理フローを示す図である。開始(S1)後、LDにカセットが設置されると(S2)、ライン内管理システムはカセット内にある基板の基板コードや、後で述べる品種情報、品種処理フローの情報を取得する(S3)。この時、取得した基板コードの情報や処理工程の情報を紐付けしてLDから基板は投入される。基板がライン内へ投入される前にライン内管理システムは品種の処理工程に応じてライン内の振分け装置に対する振分け設定変更、処理装置のレシピ設定変更が必要な品種の場合は設定変更処理を行う(S4)。設定が変更された後、LDよりライン内に基板が投入される(S5)。投入された基板は、処理が行われた後、その基板の処理フローに基
づいて、次の工程処理に進みライン内を循環するか、またはULDに回収するかの判定が行われる(S6)。この場合、全ての工程が終わっていない(例えば、R画素のパターン形成処理は終わっているが、G画素、B画素の処理が終わっていない場合)には((S6)のNO)、基板の処理工程は次工程に変更され(S7)、再度、ステップ(S4)に移行し、ライン内循環となり、次の工程の処理が行われる。一方、全ての処理工程が終わった場合には((S6)のYES)、基板はULDのカセットに回収され、処理フローは終了(S8)する。
【0051】
上記品種情報を取得するフローを説明する。図9は品種情報を取得するフローを示す図である。ライン内管理システムは、品種の処理フロー情報を管理する。開始(U1)後、カセットが工程内のLDに設置されると(U2)、LDはカセットのタグ情報を読取りカセットIDをライン管理システムに報告する(U3)。ライン管理システムはデータ管理用DBと通信を行う(U4)。上記カセットID情報はストッカーにあるカセットがライン内のLDに設置された際に、カセットにあらかじめ取り付けられているRFID(Radio Frequency Identification)タグ情報から取得される。RFIDタグ情報にはカセットの名称を指すID情報が書き込まれている。ライン内管理システムはカセットID情報に基づいて、データ管理用DBの品種情報管理テーブル(表1)やカセット情報管理テーブル(表2)で管理しているカセット内の基板情報(1〜n段目基板コード)や品種情報(品種)、品種の処理工程情報(1〜n番目処理工程)を取得する(U5)。また、ライン内管理システムは、取得した上記基板コードや次に処理する処理工程情報をLDに通知する(U6)。LDはこの情報を基板に紐付けてライン内に基板を投入し(U7)、終了(U8)する。
【0052】
品種の変更があった場合の設定変更処理フローを図10を用いて説明する。開始(D1)後、LD部にカセットが設置されると(D2)、ライン内管理システムは、そのカセットに搭載されている基板の品種情報を品種情報管理テーブルから取得する(D3)。ライン内管理システムは、装置をゾーン毎に分けた情報をゾーン状態情報管理テーブルから取得し(D4)、更に今からゾーンに投入される(最初はLDから)基板の処理情報を確認し、ゾーン番号1〜ゾーン番号の最後(この場合のゾーン番号の最後は、図7に示されるようにゾーン番号5)までゾーン番号を1つずつ増やしながら(D5)、対象処理工程の現在のライン内の振分け装置の振分け設定、処理装置のレシピ設定を取得し(D6)、取得した品種の振分け設定、レシピ設定と、を比較を行う(D7)。比較情報が一致した場合には((D8)のYES)は、ゾーン内に基板を投入する(D9)。一方、不一致の場合((D8)のNO)は、ゾーン内への基板投入を行わないために投入ゾーンの直前のゾーンの終端装置に払い出し停止信号を通知する(D10)。その後、ライン管理システムはゾーン内の装置に存在する基板の情報を取得し(D11)、ゾーン内に同じ処理工程の基板がある場合は(D12のYES)、ゾーン内の基板がゾーンを抜けるまで待機し(D13)、再びステップ(D11)に移行する。ゾーン内に同じ処理工程の基板がない場合は((D12)のNO)、ライン内管理システムはゾーン内の装置に対して振分け設定とレシピ設定の変更指示を通知し(D14)、装置は変更実施したことを示す変更実施情報をライン管理システムに報告し(D15)、再びステップ(D7)に移行する。ステップ(D9)の後は、ゾーン番号を1つ増やし(D16)、ゾーンが最後のゾーンまで到達していない場合は((D17)のYES)、再び(D6)に移行する。一方最後のゾーンに達した場合は((D17)のNO)、終了する(D18)。ステップ(D17)でゾーン番号N<5としたのは、例示したゾーンが5であるためである。
【0053】
ゾーン内の装置の振分け設定とレシピ設定をゾーン単位で行うことによって、振分け設定とレシピ設定時の基板の流動の乱れを防ぐことが出来る。
【0054】
このようにして、品種が変更になった場合にはライン内の装置の振分けとレシピを予め
用意されていた設定に変更することができる。
【0055】
以上のように本発明による製造ライン設定変更システムによれば、製造する品種が変更される際に、ライン内の装置の振分けとレシピの変更を自動的に行うことが出来、その結果、オペレータによる変更負荷を無くすることが出来、また変更ミスによる不良品の発生を防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0056】
1・・・カラーフィルタ
2・・・ガラス基板
3・・・ブラックマトリックス
4−1・・・レッドRの着色画素
4−2・・・グリーンGの着色画素
4−3・・・ブルーBの着色画素
5・・・透明電極
6・・・フォトスペーサー
7・・・バーテイカルアライメント
10・・・ストッカー装置
11・・・ローダ(LD)
12,16,18・・・コンベア
13、20、22・・・ロボット
14、19・・・検査装置
15、17、21・・・プロセス処理装置
23・・・アンローダ(ULD)
31・・・製造ライン
32・・・ストッカー装置
33・・・LD
34・・・洗浄装置
35・・・塗布装置
36・・・露光装置
37・・・現像装置
38・・・ベーク装置
39・・・ULD
41〜47・・・搬送装置
48・・・搬送装置(8−1)
49・・・搬送装置(8−2)
50・・・検査装置
51・・・検査装置
61・・・カラーフィルタ製造ライン
62・・・ストッカー装置
63・・・LD
64a、64b・・・洗浄装置
65a、65b・・・塗布装置
66a、66b・・・露光装置
67a、67b・・・現像装置
68a、68b・・・ベーク装置
69・・・ULD
71a、71b、72a、72b、73〜79・・・搬送装置
80a、80b、81・・・検査装置
91・・・データ管理用DB
92・・・ライン内管理システム
93・・・ライン装置部の各装置が自装置内にある現在の基板の情報をライン内管理システムに報告する方向を示す矢印
94・・・ライン内管理システムが各装置に対して振分け設定変更や処理装置のレシピ設定変更を通知する方向を示す矢印
95・・・ライン内管理システムとデータ管理用DB間の情報のやり取りを行う方向を示す矢印
96・・・ライン装置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタガラス基板の多色処理混在型製造ラインに用いられ、製造される品種が変更される際に、カラーフィルタ製造ライン内の搬送装置の振分けと、処理装置のレシピと、を品種に応じて設定変更するシステムであって、
データ管理用データベースと、ライン内管理システムと、を備え、
データ管理用データベースは、
予め用意された品種情報管理テーブルと、基板が収納されたカセット情報管理テーブルと、を有し、
ライン内管理システムは、
製造ライン内に設けられた装置及びデータ管理用データベースとの通信機能を有し、更に、
ライン内にある基板情報と基板の位置情報と、を管理する機能と、
ライン内の装置を複数のゾーンに分け、該ゾーン内の装置情報を管理する機能と、
現在のライン内にある品種の処理工程情報と処理ルート情報とを管理する機能と
搬送装置の振分け情報と処理装置のレシピ情報とを管理する機能と、
現在の搬送装置の振分け設定情報と現在の処理装置のレシピ設定情報とを管理する機能と、
搬送装置の振分け設定と処理装置のレシピ設定の変更指示機能と、を有し、
品種を変更する際に、
前記ライン内にある基板情報と基板の位置情報と、
前記ゾーン内の装置情報と、
前記現在のライン内にある品種の処理工程情報と処理ルート情報と、
前記搬送装置の振分け情報と処理装置のレシピ情報と、
前記現在の搬送装置の振分け設定情報と処理装置のレシピ設定情報と、に基づいて、
前記搬送装置の振分け設定の変更指示と、処理装置のレシピ設定の変更指示を行うことを特徴とする製造ライン設定変更システム。
【請求項2】
ライン内管理システムは、搬送装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を前記複数のゾーン毎に行うことを特徴とする請求項1に記載の製造ライン設定変更システム。
【請求項3】
ライン内管理システムは、処理装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を行う場合、品種変更する品種に応じた振分け設定と処理装置のレシピ設定とが、現在のゾーン内の装置の振分け設定とレシピ設定に一致した場合には、搬送装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を行わずにゾーン内へ基板投入指示を行い、一致しない場合は投入ゾーンの直前の装置に対して基板の払い出し停止指示を行い、搬送装置の振分け設定変更と処理装置のレシピ設定変更を行った後にゾーン内へ基板投入指示を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の製造ライン設定変更システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−21055(P2013−21055A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151793(P2011−151793)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】