製造工程及び物流工程における工程管理システム
【課題】情報表示部材を再利用して用いる製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、情報表示部材の汚損を極力抑えることができ、かつ再利用の際に使用状況に応じた適切な選別を行いうる構成を提供する。
【解決手段】工程管理システム1は、所定工程終了後に、情報表示部材10の可視情報(文字情報、図形情報等)を消去すると共にRFIDタグ11のデータの一部を消去し、当該情報表示部材10を再利用して用いるシステムとして構成されている。このシステムは、情報表示部材10の使用履歴情報をRFIDタグ11に書き込む構成をなすと共に、情報表示部材10を再利用する際に所定条件下で情報表示部材10を洗浄する構成をなしており、更に、情報表示部材10を再利用する際に、使用履歴情報に基づいて所定の選別処理(洗浄対象か否かの選別処理等)を行うように構成されている。
【解決手段】工程管理システム1は、所定工程終了後に、情報表示部材10の可視情報(文字情報、図形情報等)を消去すると共にRFIDタグ11のデータの一部を消去し、当該情報表示部材10を再利用して用いるシステムとして構成されている。このシステムは、情報表示部材10の使用履歴情報をRFIDタグ11に書き込む構成をなすと共に、情報表示部材10を再利用する際に所定条件下で情報表示部材10を洗浄する構成をなしており、更に、情報表示部材10を再利用する際に、使用履歴情報に基づいて所定の選別処理(洗浄対象か否かの選別処理等)を行うように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程及び物流工程における工程管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、「リライトシート」と称されるシート状の情報表示部材を用いて工程を管理するシステムが提供されている。この種のシステムでは、リライトシート表面に工程情報等を記載したものを発行し、箱や商品等に取り付けるように用いている。また、リライトシート内部に記憶媒体が内蔵されるものもあり、このようなリライトシートでは、各工程の進行に伴って、工程実績等が当該記憶媒体に記憶されるようになっている。また、リライトシート表面に記載される工程情報や記憶媒体に記憶される工程実績等のデータは、各工程や入出荷の際の照合などで利用されている。
【特許文献1】特開2004−295402公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような情報表示部材を用いた工程管理システムでは、コスト面、環境面等への配慮から情報表示部材の再利用化が望まれている。即ち、情報表示部材を一連の工程に使用し終わったとしても、シート表面に記載された文字情報や記憶媒体に記憶されたデータを消去すれば新たなリライトシートとして用いることができるため、現在ではこのような情報表示部材の再利用を不具合なく好適に行いうるシステムが望まれる。
【0004】
このような課題に関し、情報表示部材の表示領域や記憶領域の書き換えを行おうとする技術として例えば特許文献1のようなものが提供されている。この特許文献1の技術(即ち、表示領域や記憶領域を書き換える技術)を利用すれば、一連の工程で使用し終わった情報表示部材を新たなリライトシートとして再利用することも可能となる。
【0005】
しかしながら、情報表示部材を再利用する場合、それに伴う新たな問題を解決する必要がある。即ち、情報表示部材を何度も使用する場合、その再利用の繰り返しにより情報表示部材に汚損等の不具合が生じる懸念があり、このような汚損等の不具合があまりに進行すると、リライトシートとしての使用に支障を来たす虞がある。従って、情報表示部材を再利用するように工程管理システムを構築する場合、情報表示部材の汚損を極力抑えうる構成、及び情報表示部材がどの程度再利用されたかを把握しうる構成が望まれる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、情報表示部材を再利用して用いる工程管理システムにおいて、情報表示部材の汚損を極力抑えることができ、かつ再利用の際に使用状況に応じた適切な選別を行いうる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、データが書き換え可能に記憶される記憶手段と、可視情報が書き換え可能に印字される印字部とを、備えた情報表示部材と、前記情報表示部材の前記印字部に対し、工程管理に関する前記可視情報を印字することで前記情報表示部材を発行する発行手段と、前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、工程管理に関する管理データを書き込む管理データ書込手段と、前記管理データ書込手段により前記記憶手段に書き込まれた前記管理データを読み取る読取手段と、前記印字部に印字された前記可視情報を消去する可視情報消去手段と、前記記憶手段に記憶された前記データを消去するデータ消去手段と、を備え、所定工程終了後に、前記可視情報消去手段により前記可視情報を消去すると共に前記データ消去手段により前記データを消去し、前記情報表示部材を再利用して用いる製造工程及び物流工程における工程管理システムであって、前記情報表示部材を再利用する際に、所定条件下で前記情報表示部材を洗浄する洗浄手段と、前記情報表示部材の使用履歴情報を前記記憶手段に書き込む使用履歴情報書込手段と、を備え、前記データ消去手段は、前記使用履歴情報を除いた前記管理データを消去する構成をなしており、更に、少なくとも前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際の所定の選別処理を行う選別手段が設けられていることを特徴とする。
本発明の「使用履歴情報」は、情報表示部材が使用された履歴に関する情報であり、情報表示部材の発行回数の情報や洗浄回数の情報のみならず、情報表示部材に対して何らかの検査がされるときの検査回数の情報や、検査結果の情報、或いは情報表示部材に生じる何らかの不具合の発生回数の情報、発生内容の情報なども含むものである。
また、「所定の選別処理」は、情報表示部材を洗浄対象とするか否かの選別処理や、廃棄対象とするか否かの選別処理のみならず、情報表示部材に対して何らかの検査を行うか否かの選別処理や、情報表示部材に対して何らかの情報を記録するか否かの選別処理なども含む概念である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の発行回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の洗浄回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際に当該情報表示部材を前記洗浄手段による洗浄対象とするか否かの選別を行う洗浄対象選別手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記洗浄対象選別手段は、前記洗浄手段による前記情報表示部材の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段を備え、前記洗浄間隔設定手段は、前記情報表示部材の発行回数に応じて前記洗浄間隔を変化させる構成をなしており、前記洗浄間隔設定手段により設定される前記洗浄間隔と、前記使用履歴情報と、に基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記情報表示部材を廃棄するか否かの選別を、前記使用履歴情報に基づいて行う廃棄対象選別手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に前記情報表示部材を使用禁止とする処理を行う使用禁止手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発する警報手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の製造メーカーを示す主体情報を含み、前記選別手段は、前記主体情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の型番情報を含み、前記選別手段は、前記型番情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記情報表示部材の再利用に先立ち、前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、前記情報表示部材の再利用が行われる使用メーカにおいて選別の基準として用いられる選別基準情報を書き込む選別基準情報書込手段を備え、前記選別手段は、前記情報表示部材の再利用が行われる前記使用メーカについての前記選別基準情報を前記記憶手段にて確認すると共に、その確認した前記選別基準情報と、前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、情報表示部材を再利用する際に、所定条件下で洗浄手段により情報表示部材を洗浄するようにしているため、再利用に伴う汚損を極力抑えることができる。更に、情報表示部材の使用履歴情報を記憶手段に書き込む使用履歴情報書込手段が設けられており、再利用の際には、その書き込まれる使用履歴情報に基づいて所定の選別処理を行うようにしている。従って、情報表示部材を再利用する際に使用履歴に応じた適切な選別を行うことができ、使用履歴を考慮しながら情報表示部材を有効利用できるようになる。
【0019】
請求項2の発明では、情報表示部材の発行回数を使用履歴情報として書き込むようにしている。情報表示部材の発行回数(即ち、使用回数)は、汚損や劣化と極めて関連性が大きいため、再利用の際に発行回数を選別の指標として用いれば、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0020】
請求項3の発明では、情報表示部材の洗浄回数を使用履歴情報として書き込むようにしている。情報表示部材は、洗浄が繰り返されると、洗浄に伴う汚損や劣化が徐々に蓄積されるため、再利用の際に洗浄回数を選別の指標として用いれば、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0021】
請求項4の発明では、情報表示部材を再利用する際に、当該情報表示部材を洗浄対象とするか否かの選別を使用履歴情報に基づいて行うようにしている。このようにすると、再利用されようとする情報表示部材毎に洗浄を行うか否か具体的に判断でき、各情報表示部材について使用履歴を考慮した適切な洗浄が可能となる。
【0022】
請求項5の発明では、情報表示部材の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段が設けられ、更に、情報表示部材の発行回数に応じて洗浄間隔を変化させている。このようにすると発行回数に応じた洗浄間隔を設定でき、その洗浄間隔と使用履歴情報とに基づいてより適切な時期に洗浄を行うことができるようになる。
【0023】
請求項6の発明では、情報表示部材を廃棄するか否かの選別を使用履歴情報に基づいて行うようにしている。このようにすると、情報表示部材が廃棄すべき程度に使用されたか否かを使用履歴に基づいて良好に判断でき、廃棄対象を適切に選別できるようになる。
【0024】
請求項7の発明では、使用履歴情報が読取不能の場合に情報表示部材を使用禁止とする処理を行うようにしている。このようにすると、不具合が生じやすい動作不良の情報表示部材が混在し難くなり、システムをより円滑に稼動できるようになる。
【0025】
請求項8の発明では、使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発するようにしている。このようにすると、情報表示部材の動作不良を作業者が迅速に把握できるようになり、より一層円滑なシステムを構築できる。
【0026】
請求項9の発明では、記憶手段に記憶される固有情報として、情報表示部材の製造メーカーを示す主体情報が含まれており、主体情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにしている。このようにすると、使用履歴だけでなく情報表示部材を製造したメーカをも考慮して選別処理を行うことができる。
【0027】
請求項10の発明では、記憶手段に記憶される固有情報として、情報表示部材の型番情報が含まれており、型番情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにしている。このようにすると、使用履歴だけでなく、情報表示部材の具体的な型番をも考慮して選別処理を行うことができる。
【0028】
請求項11の発明では、情報表示部材の再利用に先立ち、当該情報表示部材の再利用が行われる使用メーカで用いられる選別基準情報を書き込むようにしている。そして、再利用の際には、当該再利用が行われる使用メーカの選別基準情報と、使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにしている。このようにすると、再利用を行おうとする使用メーカが独自の基準を用いることができるようになり、各使用メーカは、使用履歴を考慮しつつ自社の基準に基づいて選別を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の工程管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る工程管理システムを概略的に説明する説明図である。図2は、図1の工程管理システムにおける再利用システム及び発行システムを概略的に例示するブロック図である。図3は、図1の工程管理システムに用いる情報表示部材を概略的に例示する説明図であり、(a)は可視情報が書き込まれた状態を示す図であり、(b)は可視情報が消去された状態を示す図である。図4は、図3の情報表示部材内に配される記憶手段のデータ構成を概略的に説明する説明図である。図5は、図1の工程管理システムを用いたときの後工程の流れを概略的に例示するフローチャートである。
【0030】
図1に示す工程管理システム1は、「リライトシート」とも称される情報表示部材10を用いて各種工程を管理する管理システムとして構成されており、情報表示部材10に文字情報や図形情報等の可視情報を記録して発行する発行システム30と、各工程に設けられた読取装置や書込装置(図1では、RFIDリーダライタ41、42、43や二次元コードリーダ51、52、53を例示)と、各工程終了後に、回収された情報表示部材10を再利用可能とする処理を行う再利用システム20とを備えている。
【0031】
図1の工程管理システム1で用いる情報表示部材10は、例えば図3(a)のような構成をなすものであり、この例では、シート状に構成されるシート材12と、データを記憶するRFIDタグ11とを備えた構成をなしている。
【0032】
シート材12は、例えば樹脂材料などによって構成されており、少なくとも一方面側に図3(a)のような各種工程情報を記載できるようになっている。このシート材12は、光や熱を利用した公知の書き換え技術により、文字や図形などの記載、或いは記載内容の消去を行いうるように構成されている。なお、本実施形態では、シート材12の一方側の表面部(一方側の表面を構成する部分)が「印字部」の一例に相当しており、可視情報が書き換え可能に印字される部分として機能している。
【0033】
RFIDタグ11は、公知のRFID(Radio Frequency Identification)タグとして構成されており、例えばICチップとアンテナ等を備えた公知構成をなし、後述するRFIDリーダライタ23、35による無線通信によって外部から情報を読み書きし得る構成をなしている。図3(a)の例では、RFIDタグ11が、シート材12の内部に埋め込まれた構成をなしており、図1に示す発行工程、再利用化工程、或いはその他の工程においてRFIDリーダライタにより非接触方式にてデータの読み取り、書き込み、消去等が行われるようになっている。なお、本実施形態では、RFIDタグ11が「記憶手段」の一例に相当しており、データが書き換え可能に記憶される部分として機能している。
【0034】
発行システム30は、図2に示すように、印刷装置31、情報処理装置33、RFIDリーダライタ35を備えた構成をなしており、情報表示部材10に工程情報を付して当該情報表示部材10を発行(即ち、工程を管理するための管理プレートとして発行)するシステムとして構成されている。
【0035】
印刷装置31は、例えば感熱方式のプリンタとして構成されるものであり、情報表示部材10を構成するシート材12の表面部(印字部)に対し、当該情報表示部材10を用いようとする各種工程についての管理情報を可視情報(文字情報や図形情報など)として印字するように機能する。
【0036】
情報処理装置33は、CPU、記憶媒体(ROM、RAM,HDD等)、通信手段を備えたコンピュータとして構成されており、各種情報処理を行いうるものである。なお、本実施形態では、システム全体を統括するサーバ3が設けられており、情報処理装置33とサーバ3とがLAN等の公知の通信手段により通信可能とされている。
なお、本実施形態では、印刷装置31と情報処理装置33とによって「発行手段」が構成されており、シート材12の表面部に文字情報や図形情報等の可視情報を印字し、情報表示部材10を発行するように機能する。具体的には、情報処理装置33から印刷装置31に対して印刷指令及び印刷すべき情報(工程情報等のデータ)が与えられ、それを受けた印刷装置31により、情報表示部材10の表面部(印字部)に対して工程情報等が印刷されるようになっている。
【0037】
RFIDリーダライタ35は、RFIDタグ11に対する情報の書き込み、及びRFIDタグ11に記憶される情報の読み取りを行いうる公知のRFIDリーダライタとして構成されている。本実施形態では、情報処理装置33からRFIDリーダライタ35に対して書込指令及び書き込むべきデータ(工程情報等のデータ)が与えられ、それを受けたRFIDリーダライタ35により、RFIDタグ11に対して工程情報等が書き込まれるようになっている。なお、本実施形態では、RFIDリーダライタ35が「管理データ書込手段」の一例に相当し、情報表示部材10のRFIDタグ11に対し、工程管理に関する管理データ(工程情報等)を書き込むように機能する。
【0038】
再利用システム20は、図2に示すように、情報処理装置21、RFIDリーダライタ23、消去装置25、洗浄装置27を備えた構成をなしている。
情報処理装置21は、CPU、記憶媒体(ROM、RAM,HDD等)、通信手段を備えたコンピュータとして構成され、各種情報処理を行うように機能する。この情報処理装置21も、LAN等の公知の通信手段によりサーバ3と通信し得る構成をなしている。
【0039】
RFIDリーダライタ23は、上述のRFIDリーダライタ35と同様の構成、即ち、RFIDタグ11に対する情報の書き込み、及びRFIDタグ11に記憶される情報の読み取りを行いうる公知のRFIDリーダライタとして構成されている。再利用システム20では、情報処理装置21からRFIDリーダライタ23に対して消去指令、書込指令、及び書き込むべきデータなどが与えられ、それを受けたRFIDリーダライタ23により、RFIDタグ11のデータ消去やデータ書込みが行われるようになっている。
なお、RFIDリーダライタ23及び情報処理装置21は「データ消去手段」の一例に相当しRFIDタグ11に記憶されたデータを消去するように機能する。
【0040】
消去装置25は、シート材12の表面部(印字部)に記載された文字情報や図形情報などの可視情報を消去する装置であり、本実施形態では、印刷装置31での書き込みに対応した方式(例えば、印刷装置31が熱を用いた公知の書き込み方式であれば、それに対応する、熱を用いた公知の消去方式)で消去を行うようになっている。
【0041】
洗浄装置27は、情報表示部材10を洗浄する装置である。この洗浄装置27の構成は様々に考えられるが、情報表示部材10の表面の汚れを落とすことのできる構成であればいずれも採用できる。例えば、水や薬剤等の液体を情報表示部材10の表面に与える構成であってもよく、布や樹脂などの軟質部材を情報表示部材10の表面に接触させて汚れを拭い取ったり、擦り取ったりする構成であってもよい。
【0042】
また、図1の例では、一連の工程として、工程A,工程B、最終工程などが例示されており、これらの工程においてRFIDリーダライタ41、42、43や二次元コードリーダ51、52、53が設けられている。RFIDリーダライタ41、42、43は、上述のRFIDリーダライタ23、35と同様の公知構成となっている。また、二次元コードリーダ51、52、53は、情報表示部材10に付された二次元コードを読み取りうる公知の二次元コードリーダとして構成されている。なお、図1では、全ての工程にRFIDリーダライタ及び二次元コードリーダを配置した構成を例示したが、これはあくまで一例であり、情報表示部材10が利用される一連の工程のいずれかにおいてRFIDリーダライタや二次元コードリーダを設けないようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明に係る工程管理システム1を用いて行われる工程の流れについて説明する。
まず、発行システム30によって情報表示部材10が発行(一連の工程を管理する管理プレートとして発行)される。この発行システム30ではRFIDリーダライタ35により各種管理データがRFIDタグ11に書き込まれる。RFIDタグ11に書き込まれる管理データは、一連の工程で用いられる情報であればよく、例えば、各工程毎の、工程名、工程番号、工程内容などの情報を記憶しておくことができる。また、当該情報表示部材10が用いられる部品の名称や部品番号、その部品の利用対象となる製品の名称や製品番号、或いは、当該情報表示部材10が利用される工場名、対象部品が出荷される工場名などを記憶しておくことができる。また、工程管理に関する可視情報(文字情報や図形情報)を印刷装置31により情報表示部材10の印字部に印刷する。工程管理に関する文字情報としては、例えば、当該情報表示部材10が用いられる部品の名称や部品番号、その部品の利用対象となる製品の名称や製品番号、或いは、当該情報表示部材10が利用される工場名、対象部品が出荷される工場名などが挙げられ、図形情報としては、例えばこれらの情報或いはRFIDタグ11に記憶される管理データの一部をコード化したバーコードや二次元コードなどが挙げられる。
【0044】
このように発行された情報表示部材10は、例えば部品を収容する箱(通箱15)に付される。なお、情報表示部材10を通箱15に付す工程は、ロボットによって自動的に行ってもよく、人為的作業によって行ってもよい。通箱15に取り付けられた情報表示部材10は、各工程(図1に示す工程A、B、最終工程等)で読み取り或いは書き込みが行われ、様々に利用されることとなる。
なお、RFIDリーダライタ41、42、43は、「読取手段」の一例に相当し、RFIDタグ11(記憶手段)に書き込まれた管理データを読み取るように機能する。また、これらRFIDリーダライタ41、42、43によって何らかの管理データが書き込まれる場合、これらRFIDリーダライタ41、42、43は、「管理データ書込手段」としても機能することとなる。
【0045】
そして、情報表示部材10が利用される最終工程(例えば部品の出荷工程等)が終了した後には、通箱15から情報表示部材10が取り外される。この取り外し工程は、ロボットなどによって自動的に行ってもよく、人為的作業によって行ってもよい。このように取り外された情報表示部材10は、その都度或いはまとめて再利用化工程に運ばれる。
【0046】
再利用化工程は、例えば図5のような流れで行われる。まず、回収された情報表示部材10のエラーをチェックする工程を行う(S1)。この工程は、情報処理装置21とRFIDリーダライタ23とによって行われるものであり、回収された情報表示部材10に再利用の弊害となる不具合が存在するか否かを確認する処理が行われる。エラーチェックの方法としては情報表示部材10に生じた不具合を確認する様々な方法が考えられるが、ここでは、RFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11の読み取りを試み、RFIDタグ11内のデータを正常に読み取ることができるか否かを確認することで、情報表示部材10が正常であるか否かを確認している。RFIDタグ11のデータ構成は、例えば図4のような構成となっており、S1では、RFIDタグ11固有のID情報及び使用履歴情報(使用回数データや洗浄回数データ等:後述)を読み取り可能か否かを確認し、いずれかの情報を読み取ることができない場合にエラーと判断している。
【0047】
S1の工程で情報表示部材10にエラーが確認された場合には、S2の判断でYesに進み、S5の洗浄工程を行う。一方、S1の工程で情報表示部材10にエラーが確認されなかった場合には、S2の判断でNoに進み、当該情報表示部材10が洗浄対象であるか否かを確認する工程を行う(S3)。この工程は、情報処理装置21とRFIDリーダライタ23とによって行われるものであり、これらによって情報表示部材10が洗浄対象に該当するか否かを判断している。具体的には、洗浄工程が行われてから決められた回数以上使用されたもの(即ち、決められた回数以上発行されたもの)を洗浄対象としており、S3では、情報表示部材10がこのような洗浄対象に該当するか否かを確認している。
【0048】
S3の工程では、具体的には図6のような洗浄対象選別処理が行われる。この洗浄対象選別処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての洗浄後の使用回数を読み取る処理が行われる(S101)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、洗浄後に使用された回数のデータ(洗浄後使用回数データ)が記憶されており、S101ではこの洗浄後使用回数データを読み取ることで、情報表示部材10の洗浄後使用回数を把握する。さらに、予め記憶されている閾値(洗浄後使用回数の比較対象となる閾値)を読み取り(S102)、S101で確認された洗浄後使用回数が閾値に達したか否かを判断する(S103)。なお、洗浄後使用回数の比較対象となる閾値は、予め情報処理装置21に記憶しておいてもよく、固有情報としてRFIDタグ11に記憶しておいてもよい。洗浄後の使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を洗浄対象に設定する(S104)。一方、洗浄後の使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非洗浄対象とする(S105)。洗浄対象とするか否かの設定データは情報表示部材10のRFIDタグ11に一旦記憶してもよく、情報処理装置21に記憶しておいてもよい。
【0049】
S2にてエラーと判断される場合、或いはS4にて洗浄対象と判断される場合には洗浄工程を行う(S5)。この洗浄工程は、洗浄装置27及び情報処理装置21によって行われる工程であり、まず、洗浄装置27によって情報表示部材10の洗浄が行われる。そして、洗浄後には、洗浄後使用回数をリセットする処理、及び洗浄回数を更新する処理も併せて行われる。具体的には、洗浄後使用回数を0とする新たな洗浄後使用回数データ、及び洗浄回数を1加算した新たな洗浄回数データを生成し、RFIDタグ11に記憶されるこれらの内容を更新する。
【0050】
一方、S4にて洗浄対象と判断されない場合(即ち、洗浄後使用回数が閾値に達していない場合)には、当該情報表示部材10に対する洗浄を行わずS8の工程に進むこととなる。
なお、本実施形態では、情報処理装置21及び洗浄装置27が「洗浄手段」の一例に相当し、情報表示部材10を再利用する際に、所定条件下で情報表示部材10を洗浄するように機能する。
また、情報処理装置21は、「選別手段」の一例に相当し、情報表示部材10を再利用する際の所定の選別を、使用履歴情報に基づいて行うように機能する。より具体的には、「洗浄対象選別手段」の一例に相当し、当該情報表示部材10を洗浄対象とするか否かの選別を、洗浄後使用回数データに基づいて行うように機能する。
【0051】
S5の洗浄工程が終了した後には、情報表示部材10が廃棄対象となるか否かの確認を行う(S6)。この確認工程では、情報表示部材10がエラーメディアであるか否か、及び情報表示部材10の通算使用回数が決められた閾値に達したか否かを確認し、いずれかに該当するものを廃棄対象としている。
【0052】
S6の工程では、具体的には図7のような廃棄対象選別処理が行われる。
この廃棄対象選別処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての固有情報、使用履歴情報を確認する処理を行う(S110)。図4のように、RFIDタグ11には、固有情報としてIDデータ、製造メーカデータ、型番データなどが記憶されており、S110ではこれらの固有情報のいずれか(例えばIDデータ)或いは全てを正常に読み取ることができるか否かを確認する。また、使用履歴情報として、洗浄後使用回数データ、通算使用回数データ、洗浄回数データが記憶されており、これらのいずれか(例えば通算使用回数データ)或いは全てを正常に読み取ることができるか否かを確認する。S110にて固有情報及び使用履歴情報が正常に確認された場合には、S111にてYesに進み、RFIDタグ11に記憶される通算使用回数データに基づいて当該情報表示部材10の通算使用回数が閾値(通算使用回数の比較対象となる閾値)に達したか否かを判断する(S112)。なお、通算使用回数の比較対象となる閾値は、予め情報処理装置21に記憶しておいてもよく、固有情報としてRFIDタグ11に記憶しておいてもよい。通算使用回数が閾値に達していない場合にはS112にてNoに進み、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S113)。
【0053】
S111にてNoに進む場合(固有情報、使用履歴情報が確認されない場合)、或いはS112にてYesに進む場合(通算使用回数が閾値に達した場合)には、情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S114)。廃棄対象とするか否かの設定データは情報表示部材10のRFIDタグ11に一旦記憶してもよく、情報処理装置21に記憶しておいてもよい。
【0054】
S6にて情報表示部材10が廃棄対象に設定される場合、S7にてYesに進み、廃棄工程を行う(S11)。S11の廃棄工程は、情報表示部材10を廃棄するための何らかの処置を行うものであればよく、情報表示部材10を所定の廃棄スペースに回収するような工程であってもよく、情報表示部材10を裁断したり所定の廃棄マークを付する工程であってもよい。
なお、本実施形態では、情報処理装置21が「廃棄対象選別手段」の一例に相当し、使用履歴情報(具体的には通算使用回数データ)に基づいて情報表示部材10を廃棄するか否かの選別を行うように機能する。
【0055】
S7で廃棄対象でないと判断される場合、或いはS4で洗浄対象でないと判断される場合、情報表示部材10に記載された可視情報(文字情報や図形情報)の消去を行う(S8)。この工程は、情報処理装置21及び消去装置25によって行われるものであり、情報処理装置21からの指令を受けた消去装置に25により、シート材12の表面部(印字部)に記載された文字情報や図形情報が消去される。
なお、本実施形態では、消去装置25及び情報処理装置21が「可視情報消去手段」の一例に相当する。
【0056】
また、管理データの消去も行われる(S9)。この工程は、情報処理装置21及びRFIDリーダライタ23によって行われるものであり、情報処理装置21からの指令を受けたRFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11に記憶されている管理データが削除される。なお、S9の工程では管理データが選択的に削除され、ID情報、製造メーカデータ、型番データ等の固有情報や、洗浄後使用回数データ、通算使用回数データ、洗浄回数データ等の使用履歴情報は消去されずに残存する。
なお、本実施形態では、RFIDリーダライタ23及び情報処理装置21が「データ消去手段」の一例に相当し、RFIDタグ11(記憶手段)に記憶されたデータの一部(具体的には、通算使用回数データ、洗浄後使用回数データ、洗浄回数データ等の使用履歴情報を除いた管理データ)を消去するように機能する。
【0057】
このように、本実施形態に係る工程管理システム1では、一連の工程終了後に、シート材12の表面部(印字部)に記載された可視情報(文字情報や図形情報)を消去すると共に、RFIDタグ11に記憶された管理データを消去しているため、前回の工程管理情報を残存させることなく情報表示部材10を再利用できるようになっている。
【0058】
その後、使用回数の更新が行われる(S10)。この工程は、情報処理装置21及びRFIDリーダライタ23によって行われるものであり、情報処理装置21からの指令を受けたRFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11に記憶される通算使用回数データの書き換えが行われる。具体的には、更新前の通算使用回数に1加算した新たな通算使用回数データが生成され、このデータがRFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11に書き込まれることとなる。
なお、本実施形態では、RFIDリーダライタ23及び情報処理装置21が「使用履歴情報書込手段」の一例に相当し、情報表示部材10の使用履歴情報をRFIDタグ11(記憶手段)に書き込むように機能する。具体的には、情報表示部材10の通算使用回数(即ち、発行回数)や洗浄後使用回数を「使用履歴情報」としてRFIDタグ11に書き込んでいる。
【0059】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る工程管理システム1では、情報表示部材10を再利用する際に、所定条件下で情報表示部材10を洗浄しているため、再利用に伴う汚損を極力抑えることができる。更に、情報表示部材10の使用履歴情報をRFIDタグ11に書き込むように構成されており、再利用の際には、その書き込まれる使用履歴情報に基づいて所定の選別処理を行うようにしている。従って、情報表示部材10を再利用する際に使用履歴に応じた適切な選別を行うことができ、使用履歴を考慮しながら情報表示部材10を有効利用できるようになる。
【0060】
また、「使用履歴情報」として、情報表示部材10の使用回数(即ち、発行回数)を書き込むようにしている。情報表示部材10の使用回数(発行回数)は、情報表示部材10に生じる汚損や劣化と極めて関連性が大きいため、情報表示部材10の使用回数を再利用の際の選別指標として用いれば、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0061】
また、情報表示部材10を再利用する際に、当該情報表示部材10を洗浄対象とするか否かの選別を使用履歴情報(具体的には、洗浄後使用回数)に基づいて行うようにしている。このようにすると、再利用されようとする情報表示部材毎に洗浄を行うか否か具体的に判断でき、各情報表示部材10について使用履歴を考慮した適切な洗浄が可能となる。
【0062】
また、情報表示部材10を廃棄するか否かの選別を使用履歴情報(具体的には通算使用回数)に基づいて行うようにしている。このようにすると、情報表示部材10が廃棄すべき程度に使用されたか否かを使用履歴に基づいて良好に判断でき、廃棄対象を適切に選別できるようになる。
【0063】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態は、図5で示した洗浄対象の確認工程(S3)の具体的内容を図6に代えて図8のようにした点のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって異なる内容について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一である図1〜図5、図7等については適宜これらを参照し詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態では、図8のように洗浄対象選別処理が行われる。この処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての洗浄後の使用回数を読み取る処理が行われる(S201)。このS201の処理は、図6のS101と同様である。さらに、情報表示部材10の通算使用回数を読み取る処理が行われる(S202)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、通算使用回数データが記憶されており、S202ではこの通算使用回数データを読み取ることで、情報表示部材10の通算使用回数を把握する。さらに、通算使用回数に応じた閾値(洗浄後使用回数の比較対象となる閾値)を読み取る(S203)。本実施形態では、図9のように、洗浄後使用回数の比較対象となる閾値Xが通算使用回数Rと対応付けられて情報処理装置21のメモリ(ROMやHDD等:図示略)記憶されており、S203では、S202で取得した通算使用回数に対応する閾値を読み取る。なお、閾値Xは、通算使用回数が大きくなるほど、小さな値となるように設定されている(即ちX1>X2>X3>X4>X5)。
【0065】
そして、S201で確認された洗浄後使用回数がS203で取得された閾値に達したか否かを判断する(S204)。洗浄後の使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を洗浄対象に設定する(S205)。一方、洗浄後の使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非洗浄対象とする(S206)。
【0066】
なお、本実施形態でも、情報処理装置21が「選別手段」「洗浄対象選別手段」の一例に相当する。また、情報処理装置21は、「洗浄間隔設定手段」の一例に相当し、情報表示部材10の洗浄間隔を設定すると共に、情報表示部材10の発行回数(詳しくは通算使用回数)に応じて洗浄間隔を変化させるように機能している。
【0067】
本実施形態では、情報表示部材10の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段が設けられ、情報表示部材10の発行回数(詳しくは通算使用回数)に応じて洗浄間隔を変化させているため、発行回数に応じた洗浄間隔を設定でき、その洗浄間隔と使用履歴情報とに基づいてより適切な時期に洗浄を行うことができるようになる。
【0068】
特に本実施形態では、通算使用回数が多くなるほど閾値が小さな値に設定されるようになっているため、使用が進むにつれて洗浄がより頻繁に行われるようになる。このようにすると、汚れの残存が目立ちにくい初期段階(通算使用回数が少ない段階)については洗浄間隔を大きくして劣化を抑えることができ、汚れの残存が目立ちやすい中期や後期(通算使用回数が多い段階)については頻繁に洗浄を行うことで汚れを効果的に抑えることができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。第3実施形態は、図5で示した確認工程(S3あ或いはS6)の具体的内容を変更した点のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と異なる点について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一である点については詳細な説明は省略する。
【0070】
まず、図10を参照して本実施形態の一例を説明する。この例では、図5で示した廃棄対象確認工程(S6)を、図7に代えて図10のようにした点が第1実施形態と異なり、それ以外の図1〜図6については第1実施形態と同一である。
【0071】
本実施形態に係る廃棄対象選別処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての通算使用回数を読み取る処理が行われる(S301)。このS301では、RFIDタグ11に記憶される通算使用回数データ(図4)が確認され、情報表示部材10の現在の通算使用回数が取得される。さらに、情報表示部材10の製造メーカを読み取る処理が行われる(S302)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、当該情報表示部材10の製造メーカ名を特定しうる製造メーカデータが記憶されており、S302ではこの製造メーカデータを読み取ることで、再利用されようとする情報表示部材10の製造メーカを把握する。さらに、製造メーカに対応する閾値(廃棄対象か否かを判断する基準となる閾値)を読み取る(S303)。本実施形態では、例えば図12(a)のように、通算使用回数の比較対象となる閾値Yが製造メーカと対応付けられて情報処理装置21のメモリ(ROMやHDD等:図示略)に記憶されており、S303では、S302で取得した製造メーカに対応する閾値を読み取る。例えば、再利用されようとする情報表示部材10の製造メーカが製造メーカAであれば、それに対応する閾値Y1が読み出される。
【0072】
そして、S301で取得された通算使用回数が、S303で取得された閾値に達したか否かを判断する(S304)。通算使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S305)。一方、通算使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S306)。
なお、本実施形態でも、情報処理装置21が「選別手段」「廃棄対象選別手段」の一例に相当し、製造メーカの主体情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うように機能している。
【0073】
本実施形態のように、再利用されようとする情報表示部材10を製造した製造メーカの主体情報と、使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにすると、使用履歴だけでなく情報表示部材10を製造したメーカをも考慮して選別処理を行うことができる。例えば、汚損しにくいメーカの情報表示部材については、通算使用回数を多く設定(即ち閾値を大きく設定)し、汚損しやすいメーカのものについては通算使用回数を少なく設定(即ち、閾値を小さく設定)するといったことが可能となる。或いは、耐久性の低い製品を提供するメーカの情報表示部材については通算使用回数を少なく設定(閾値を小さく設定)し、耐久性の高い製品を提供するメーカの情報表示部材については通算使用回数を多く設定(閾値を大きく設定)するといったことも可能となる。
【0074】
また、図11のようにしてもよい。この例では、図5で示した洗浄対象確認工程(S3)を、図6に代えて図11のようにした点が第1実施形態と異なり、それ以外の図1〜図5、図7については第1実施形態と同一である。
【0075】
図11の処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての洗浄後の使用回数を読み取る処理が行われる(S311)。このS311の処理は、図6のS101と同様である。さらに、情報表示部材10の型番データを読み取る処理が行われる(S312)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、当該情報表示部材10の型番を特定しうる型番データが記憶されており、S312ではこの型番データを読み取ることで、情報表示部材10の型番を把握する。さらに、その取得された型番に対応する閾値(洗浄対象か否かを判断する基準となる閾値)を読み取る(S313)。この場合、図12(b)のように、型番と閾値Z(型番毎の、洗浄対象か否かを判断する基準となる閾値)とを対応付けて情報処理装置21のメモリ(ROMやHDD等:図示略)に記憶しておけばよく、S313では、S312で取得した型番に対応する閾値を読み取る。例えば、再利用されようとする情報表示部材10の型番が型番Aであれば、それに対応する閾値Z1が読み出される。
【0076】
そして、S311で確認された洗浄後使用回数がS313で取得された閾値に達したか否かを判断する(S314)。洗浄後使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を洗浄対象に設定する(S315)。一方、洗浄後使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非洗浄対象とする(S316)。
なお、この例では、情報処理装置21が「選別手段」「洗浄対象選別手段」の一例に相当し、情報表示部材10の型番情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うように機能する。
【0077】
図11のように、再利用されようとする情報表示部材10の型番情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにすると、使用履歴だけでなく情報表示部材10の型番をも考慮して選別処理を行うことができる。例えば、汚れが蓄積しにくい型番については、洗浄間隔を長く設定(即ち閾値を大きく設定)し、汚れが蓄積しやすい型番については洗浄間隔を短く設定(即ち、閾値を小さく設定)するといったことが可能となる。或いは、耐久性の低い型番については洗浄間隔を長く設定(閾値を大きく設定)し、耐久性の高い型番については洗浄間隔を短く設定(閾値を小さく設定)するといったことも可能となる。
【0078】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。第4実施形態は、図5で示した廃棄対象の確認工程(S6)の具体的内容を図7に代えて図13のようにした点のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって異なる内容について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一である図1〜図6等については適宜これらを参照し詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施形態では、図13のように廃棄対象選別処理を行っている。この廃棄対象選別処理でも、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての固有情報、使用履歴情報を確認する処理を行う(S401)。なお、S401の処理は、S110と同様である。そして、S401にて固有情報及び使用履歴情報が正常に確認された場合には、S402にてYesに進み、情報表示部材10の型番に対応する閾値(廃棄するか否か基準となる閾値)を読み取る。この場合、図12(b)と同様のデータ構成で閾値を設定すればよく、例えば型番Aについては閾値M1とし、型番Bについては閾値M1とするといった設定が可能となる。
【0080】
そして、情報表示部材10の通算使用回数がS403で取得した閾値に達したか否かを判断する(S404)。通算使用回数は、図4の通算使用回数データによって把握されるものであり、この通算使用回数がS403で取得された閾値に達していない場合にはS404にてNoに進み、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S405)。一方、S402にてNoに進む場合(固有情報、使用履歴情報が正常に確認されない場合)、或いはS404にてYesに進む場合(通算使用回数が閾値に達した場合)には、情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S406)。廃棄対象とするか否かの設定データは情報表示部材10のRFIDタグ11に一旦記憶してもよく、情報処理装置21に記憶しておいてもよい。
【0081】
図13のように、再利用されようとする情報表示部材10の型番情報と使用履歴情報とに基づいて廃棄対象の選別処理を行うようにすると、情報表示部材10の型番を考慮して廃棄対象を選別できるようになる。例えば、劣化しやすい型番については閾値を低く設定して早い段階で廃棄するようにし、劣化しにくい型番については閾値を高く設定して比較的多く使用してから廃棄するといったことが可能となる。
【0082】
なお、図13の例では、型番に対応させて廃棄の基準となる閾値を設定したが、情報表示部材10を製造した製造メーカに対応させて廃棄の基準となる閾値を設定してもよい。この場合、図12(a)と同様のデータ構成で閾値を設定すればよく、例えば製造メーカAについては閾値N1とし、製造メーカBについては閾値N2とするといった設定が可能となる。このようにすると、例えば、劣化しやすい製品を提供する製造メーカについては閾値を低く設定して早い段階で廃棄するようにし、劣化しにくい製品を提供する製造メーカについては閾値を高く設定して比較的多く使用してから廃棄するといったことが可能となる。
【0083】
[第5実施形態]
次に第5実施形態について説明する。本実施形態は再利用化工程のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。再利用化工程については、図5で行われた各工程の順序を変更した点、及び使用禁止工程を設けた点が図5と異なり、それ以外は図5と同様である。
【0084】
本実施形態の再利用化工程では、まず、可視情報(文字情報や図形情報)の消去工程(S501)及び管理データの消去工程(S502)が行われる。S501の工程は、図5のS8と同様であり、この工程により情報表示部材10の表面部(印字部)に記載された文字情報や図形情報が消去される。また、S502の工程は、S9と同様であり、この工程によりRFIDタグ11に記憶された管理データが消去される。
【0085】
また、S1(図5)と同様のエラーチェックが行われる(S503)。S503でエラーが確認されなければS504にてNoに進み、洗浄対象の確認工程が行われる(S505)。S505の工程は、図5のS3と同様であり、図6のように行ってもよく、図8、図10、或いは図11のように行ってもよい。この洗浄対象の確認工程(S505)で洗浄対象に設定されなかった場合、S506にてNoに進み、当該情報表示部材10を再利用する。
【0086】
一方、S504にてYesに進む場合(S503にてエラーが確認された場合)、或いはS506にてYesに進む場合(S505にて洗浄対象と設定された場合)、洗浄工程を行う(S507)。S507の洗浄工程は、図5のS5と同様である。その後、使用回数の更新を行う(S508)。S508の工程は、図5のS10と同様であり、通算使用回数データが更新される。さらに、S6(図5)と同様の廃棄対象確認工程を行う(S509)。なお、廃棄対象選別処理は、図7のような方法でもよく、図13のような方法でもよい。情報表示部材10が廃棄対象ではない場合にはS510にてNoに進み、当該再利用化工程を終了して情報表示部材10を再利用する。
【0087】
一方、S510にて廃棄対象と判断される場合には、S511に進み、使用禁止工程を行う。この使用禁止工程は、情報表示部材10を使用禁止とするための何らかの処置を行う工程であり、例えば、情報表示部材10の表面部(印字部)に使用禁止の旨のマークや文字を記載するといった例が挙げられる。このようにすると、情報表示部材10が使用禁止すべきものか否かを目視で容易に確認できるようになり、このようなメディアが誤って再利用されることを効果的に防止できる。
【0088】
或いは、RFIDタグ11に使用禁止である旨のデータ(使用禁止データ)を記憶する方法でもよい。この場合、S503のエラー確認工程において使用禁止データが記憶されているものもエラーメディアと判断するようにしたり、発行システム30(図1、図2)において使用禁止データが記憶された情報表示部材10を発行しないようにすれば一旦廃棄対象と判断された混在することがなくなる。
【0089】
また、S509にて廃棄対象に設定される場合(例えば使用履歴情報が読取不能の場合)に所定の警報を発するようにしてもよい。このようにすれば、情報表示部材10の動作不良を作業者が迅速に把握できるようになり、より一層円滑なシステムを構築できる。
【0090】
本実施形態では、情報処理装置21が「確認手段」に相当し、使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行うように機能する。また、情報処理装置21及び図示しない印刷装置(或いはRFIDリーダライタ)が「使用禁止手段」の一例に相当し、使用履歴情報が読取不能の場合に情報表示部材10を使用禁止とするように機能する。また、情報処理装置21及び図示しない表示部やブザー等が「警報手段」の一例に相当し、使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発するように機能する。
【0091】
本実施形態では、使用履歴情報が読取不能の場合に使用禁止工程を行うようにしているため、不具合が生じやすい動作不良の情報表示部材が混在し難くなり、システムをより円滑に稼動できるようになる。
【0092】
[第6実施形態]
次に第6実施形態について説明する。本実施形態は、RFIDタグ11内のデータ構成、及び洗浄対象確認処理の具体的内容が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、洗浄対象確認処理の基本的な流れは図6と同様であるため、当該処理については図6を参照して説明する。また、RFIDタグ11のデータ構成は、使用メーカが独自に設定する洗浄用閾値データが設けられている点が図4と異なるが、それ以外のデータ構成は図4と同様である。また、それら以外については図1、図2、図3、図5、図7と同一である。
【0093】
本実施形態では、情報表示部材10の再利用に先立ち、情報表示部材10のRFIDタグ11に対し、情報表示部材10の再利用が行われる使用メーカにおいて選別の基準として用いられる選別基準情報を書き込むようにしている。なお、本実施形態では、情報処理装置33及びRFIDリーダライタ35が「選別基準情報書込手段」の一例に相当している。
【0094】
具体的には、情報処理措置33が、情報表示部材10を発行する際に、初回の発行であるか否かを確認する処理を行う。なお、初回の発行であるか否かの確認は、通算使用回数データを確認することで行ってもよく、洗浄用閾値のデータが既に記憶されているか否かを確認することで行ってもよい。そして、初回の発行である場合には、当該工程管理システム1を使用するメーカ(即ち、当該情報処理装置33が設置されるメーカ)が独自に設定する洗浄用閾値のデータを記憶する処理を行う。この洗浄用閾値のデータは予め情報処理装置33に記憶されていてもよく、初回の発行の際にオペレータ等によって入力されるものであってもよい。なお、ここでは、当該工程管理システム1を使用するメーカが独自に設定する洗浄用閾値が「選別基準情報」の一例に相当する。
【0095】
このように情報表示部材10が構成され、かつ、洗浄用閾値(選別基準情報)の書き込み処理が行われることを前提として以下のような洗浄対象確認処理がなされる。
まず、図6のS101のように、洗浄後使用回数が読み取られる。このS101の処理は第1実施形態で説明した通りである。その後、閾値の読み取り処理が行われる(S102)。この閾値の読み取り処理は、第1実施形態と若干異なり、現在行われている再利用化工程に先立って書き込まれた上述の閾値(即ち、当該工程管理システム1を使用するメーカが独自に設定し、RFID11に記憶された洗浄用閾値)が読み取られる。そして、そのS102で読み取られた洗浄用閾値(当該使用メーカ独自の閾値)と、S101で読み取った洗浄後使用回数とを比較し(S103)、洗浄後使用回数がその洗浄用閾値(使用メーカ独自の閾値)に達していれば洗浄対象に設定し(S104)、達していなければ非洗浄対象とする(S105)。なお、S104、S105は第1実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態でも、情報処理装置21が「選別手段」「洗浄対象選別手段」の一例に相当し、情報表示部材10の再利用が行われる使用メーカについての洗浄用閾値(選別基準情報)をRFIDタグ11にて確認すると共に、その確認した洗浄用閾値と、上述の洗浄後使用回数(使用履歴情報)とに基づいて選別処理を行うように機能する。
【0097】
本実施形態の構成によれば、情報表示部材10の再利用に先立ち、当該情報表示部材10の再利用が行われる使用メーカで用いられる洗浄用閾値(選別基準情報)を書き込むようにしている。そして、再利用の際には、当該再利用が行われる使用メーカの洗浄用閾値(選別基準情報)と、洗浄後使用回数(使用履歴情報)とに基づいて洗浄対処の選別処理を行うようにしている。このようにすると、再利用を行おうとする使用メーカが、洗浄対象の選別の際に、独自の洗浄基準を用いることができるようになり、使用メーカは、使用履歴を考慮しつつ自社の洗浄基準に基づいて選別を行うことができるようになる。
【0098】
なお、上述の内容では、洗浄対象確認処理を第1実施形態と異なるようにした例を示したが、廃棄対象確認処理を以下のように変更してもよい。
この例では、RFIDタグ11内のデータ構成、及び廃棄対象確認処理の具体的内容が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、廃棄対象確認処理の基本的な流れは図7と同様であるため、当該処理については図7を参照して説明する。また、RFIDタグ11のデータ構成は、使用メーカが独自に設定する廃棄用閾値データが記憶可能となっている点が図4と異なるが、それ以外のデータ構成は図4と同様である。また、それら以外については図1、図2、図3、図5、図7と同一である。なお、この例でも、情報処理装置33及びRFIDリーダライタ35が「選別基準情報書込手段」の一例に相当している。
【0099】
本例でも、情報処理措置33が、情報表示部材10を発行する際に、初回の発行であるか否かを確認する処理を行う。なお、初回の発行であるか否かの確認は、通算使用回数データを確認することで行ってもよく、洗浄用閾値のデータが既に記憶されているか否かを確認することで行ってもよい。そして、初回の発行である場合には、当該工程管理システム1を使用するメーカ(即ち、当該情報処理装置33が設置されるメーカ)が独自に設定する廃棄用閾値のデータを記憶する処理を行う。この廃棄用閾値のデータは予め情報処理装置33に記憶されていてもよく、初回の発行の際にオペレータ等によって入力されるものであってもよい。なお、本例では、当該工程管理システム1を使用するメーカが独自に設定する廃棄用閾値が「選別基準情報」の一例に相当する。
【0100】
この例では、基本的には図7のような流れで廃棄対象選別処理が行われる。まず、再利用されようとする情報表示部材10についての固有情報、使用履歴情報を確認する処理を行う(S110)。このS110については第1実施形態と同様である。その後、第1実施形態と同様の判断処理(S111)が行われる。
【0101】
S111にてYesに進む場合には、情報表示部材10の通算使用回数が閾値に達したか否かを判断する処理が行われる(S112)。この処理の具体的内容は第1実施形態と若干異なり、上述の廃棄用閾値(使用メーカが独自に設定する、通算使用回数の比較対象となる閾値)のデータと、通算使用回数のデータとをRFIDタグ11から読み出すと共に、これらデータに基づいて、情報表示部材10の通算使用回数が廃棄用閾値に達したか否かを判断する。通算使用回数が上述の廃棄用閾値に達していない場合にはS112にてNoに進み、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S113)。S111にてNoに進む場合(固有情報、使用履歴情報が確認されない場合)、或いはS112にてYesに進む場合(通算使用回数が廃棄用閾値に達した場合)には、情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S114)。なお、S113、S114の処理は第1実施形態と同様である。
【0102】
この例では、再利用を行おうとする使用メーカが、廃棄対象の選別の際に、独自の基準を用いることができるようになり、使用メーカは、使用履歴を考慮しつつ自社の廃棄基準に基づいて選別を行うことができるようになる。
【0103】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0104】
上記実施形態では、選別の指標となる使用履歴情報として情報表示部材10の使用回数(発行回数)を用いているが、使用履歴情報として情報表示部材10の洗浄回数を用いてもよい。例えば、図7の処理では、通算使用回数が閾値に達した場合に廃棄対象とする選別を行っているが、洗浄回数がある閾値に達した場合に廃棄対象とするような選別を行ってもよい。このように再利用の際に洗浄回数を選別の指標として用いても、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0105】
第1実施形態では、使用履歴情報が読み取り不能の場合、そのまま廃棄処理を行うようにしているが、第5実施形態のように廃棄処理の前段階で使用禁止工程を行うようにしてもよい。また、このような場合に警報を行うようにしてもよい。
【0106】
上記実施形態では、使用履歴情報として、「通算使用回数」「洗浄後使用回数」「洗浄回数」などを用いたが、これらの例に限られない。例えば、情報表示部材10に対して何らかの不具合が生じた場合に、その発生回数や発生内容を不具合データとしてRFIDタグ11に記憶するように構成し、この不具合データを使用履歴情報として扱うようにしてもよい。この場合、例えば図7の廃棄対象選別処理のS112において不具合回数が閾値に達したか否かを判断し、達した場合にS114で廃棄対象に設定するようにしてもよい。
【0107】
上記実施形態では、「所定の選別処理」として、情報表示部材10を洗浄対象とするか否かの選別処理や、廃棄対象とするか否かの選別処理を例示したが、これらの例に限られない。例えば、情報表示部材に対して何らかの検査を行うか否かの選別処理や、情報表示部材に対して何らかの情報を記録するか否かの選別処理などを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、第1実施形態に係る工程管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の工程管理システムにおける再利用システム及び発行システムを概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の工程管理システムに用いる情報表示部材を概略的に例示する説明図であり、(a)は文字情報や図形情報が書き込まれた状態を示す図であり、(b)は文字情報や図形情報が消去された状態を示す図である。
【図4】図4は、図3の情報表示部材内に配される記憶手段のデータ構成を概念的に説明する説明図である。
【図5】図5は、図1の工程管理システムを用いて行われる再利用化工程の流れを概略的に説明する説明図である。
【図6】図6は、洗浄対象の確認工程で行われる洗浄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである
【図7】図7は、廃棄対象の確認工程で行われる廃棄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、第2実施形態の工程管理システムで行われる洗浄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、通算使用回数と対応付けて閾値を定める対応データを概念的に例示する説明図である。
【図10】図10は、第3実施形態の工程管理システムで行われる洗浄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、第3実施形態の別例を示すフローチャートである。
【図12】図12(a)は、製造メーカと対応付けて閾値を定めるデータ構成を概念的に例示する説明図であり、図12(b)は、型番と対応付けて閾値を定めるデータ構成を概念的に例示する説明図である。
【図13】図13は、第4実施形態の工程管理システムで行われる廃棄対象選別処理を例示するフローチャートである。
【図14】図14は、第5実施形態の工程管理システムで行われる再利用化工程の流れを概略的に例示する説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1…工程管理システム
10…情報表示部材
11…RFIDタグ(記憶手段)
21…情報処理装置(データ消去手段、可視情報消去手段、洗浄手段、使用履歴情報書込手段、選別手段、洗浄対象選別手段、廃棄対象選別手段)
23…RFIDリーダライタ(データ消去手段、使用履歴情報書込手段)
25…消去装置(可視情報消去手段)
27…洗浄装置(洗浄手段)
31…印刷装置(発行手段)
33…情報処理装置(発行手段、管理データ書込手段、選別基準情報書込手段)
35…RFIDリーダライタ(管理データ書込手段、選別基準情報書込手段)
41,42,43…RFIDリーダライタ(読取手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程及び物流工程における工程管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、「リライトシート」と称されるシート状の情報表示部材を用いて工程を管理するシステムが提供されている。この種のシステムでは、リライトシート表面に工程情報等を記載したものを発行し、箱や商品等に取り付けるように用いている。また、リライトシート内部に記憶媒体が内蔵されるものもあり、このようなリライトシートでは、各工程の進行に伴って、工程実績等が当該記憶媒体に記憶されるようになっている。また、リライトシート表面に記載される工程情報や記憶媒体に記憶される工程実績等のデータは、各工程や入出荷の際の照合などで利用されている。
【特許文献1】特開2004−295402公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような情報表示部材を用いた工程管理システムでは、コスト面、環境面等への配慮から情報表示部材の再利用化が望まれている。即ち、情報表示部材を一連の工程に使用し終わったとしても、シート表面に記載された文字情報や記憶媒体に記憶されたデータを消去すれば新たなリライトシートとして用いることができるため、現在ではこのような情報表示部材の再利用を不具合なく好適に行いうるシステムが望まれる。
【0004】
このような課題に関し、情報表示部材の表示領域や記憶領域の書き換えを行おうとする技術として例えば特許文献1のようなものが提供されている。この特許文献1の技術(即ち、表示領域や記憶領域を書き換える技術)を利用すれば、一連の工程で使用し終わった情報表示部材を新たなリライトシートとして再利用することも可能となる。
【0005】
しかしながら、情報表示部材を再利用する場合、それに伴う新たな問題を解決する必要がある。即ち、情報表示部材を何度も使用する場合、その再利用の繰り返しにより情報表示部材に汚損等の不具合が生じる懸念があり、このような汚損等の不具合があまりに進行すると、リライトシートとしての使用に支障を来たす虞がある。従って、情報表示部材を再利用するように工程管理システムを構築する場合、情報表示部材の汚損を極力抑えうる構成、及び情報表示部材がどの程度再利用されたかを把握しうる構成が望まれる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、情報表示部材を再利用して用いる工程管理システムにおいて、情報表示部材の汚損を極力抑えることができ、かつ再利用の際に使用状況に応じた適切な選別を行いうる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、データが書き換え可能に記憶される記憶手段と、可視情報が書き換え可能に印字される印字部とを、備えた情報表示部材と、前記情報表示部材の前記印字部に対し、工程管理に関する前記可視情報を印字することで前記情報表示部材を発行する発行手段と、前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、工程管理に関する管理データを書き込む管理データ書込手段と、前記管理データ書込手段により前記記憶手段に書き込まれた前記管理データを読み取る読取手段と、前記印字部に印字された前記可視情報を消去する可視情報消去手段と、前記記憶手段に記憶された前記データを消去するデータ消去手段と、を備え、所定工程終了後に、前記可視情報消去手段により前記可視情報を消去すると共に前記データ消去手段により前記データを消去し、前記情報表示部材を再利用して用いる製造工程及び物流工程における工程管理システムであって、前記情報表示部材を再利用する際に、所定条件下で前記情報表示部材を洗浄する洗浄手段と、前記情報表示部材の使用履歴情報を前記記憶手段に書き込む使用履歴情報書込手段と、を備え、前記データ消去手段は、前記使用履歴情報を除いた前記管理データを消去する構成をなしており、更に、少なくとも前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際の所定の選別処理を行う選別手段が設けられていることを特徴とする。
本発明の「使用履歴情報」は、情報表示部材が使用された履歴に関する情報であり、情報表示部材の発行回数の情報や洗浄回数の情報のみならず、情報表示部材に対して何らかの検査がされるときの検査回数の情報や、検査結果の情報、或いは情報表示部材に生じる何らかの不具合の発生回数の情報、発生内容の情報なども含むものである。
また、「所定の選別処理」は、情報表示部材を洗浄対象とするか否かの選別処理や、廃棄対象とするか否かの選別処理のみならず、情報表示部材に対して何らかの検査を行うか否かの選別処理や、情報表示部材に対して何らかの情報を記録するか否かの選別処理なども含む概念である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の発行回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の洗浄回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際に当該情報表示部材を前記洗浄手段による洗浄対象とするか否かの選別を行う洗浄対象選別手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記洗浄対象選別手段は、前記洗浄手段による前記情報表示部材の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段を備え、前記洗浄間隔設定手段は、前記情報表示部材の発行回数に応じて前記洗浄間隔を変化させる構成をなしており、前記洗浄間隔設定手段により設定される前記洗浄間隔と、前記使用履歴情報と、に基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記情報表示部材を廃棄するか否かの選別を、前記使用履歴情報に基づいて行う廃棄対象選別手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に前記情報表示部材を使用禁止とする処理を行う使用禁止手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発する警報手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の製造メーカーを示す主体情報を含み、前記選別手段は、前記主体情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の型番情報を含み、前記選別手段は、前記型番情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システムにおいて、前記情報表示部材の再利用に先立ち、前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、前記情報表示部材の再利用が行われる使用メーカにおいて選別の基準として用いられる選別基準情報を書き込む選別基準情報書込手段を備え、前記選別手段は、前記情報表示部材の再利用が行われる前記使用メーカについての前記選別基準情報を前記記憶手段にて確認すると共に、その確認した前記選別基準情報と、前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、情報表示部材を再利用する際に、所定条件下で洗浄手段により情報表示部材を洗浄するようにしているため、再利用に伴う汚損を極力抑えることができる。更に、情報表示部材の使用履歴情報を記憶手段に書き込む使用履歴情報書込手段が設けられており、再利用の際には、その書き込まれる使用履歴情報に基づいて所定の選別処理を行うようにしている。従って、情報表示部材を再利用する際に使用履歴に応じた適切な選別を行うことができ、使用履歴を考慮しながら情報表示部材を有効利用できるようになる。
【0019】
請求項2の発明では、情報表示部材の発行回数を使用履歴情報として書き込むようにしている。情報表示部材の発行回数(即ち、使用回数)は、汚損や劣化と極めて関連性が大きいため、再利用の際に発行回数を選別の指標として用いれば、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0020】
請求項3の発明では、情報表示部材の洗浄回数を使用履歴情報として書き込むようにしている。情報表示部材は、洗浄が繰り返されると、洗浄に伴う汚損や劣化が徐々に蓄積されるため、再利用の際に洗浄回数を選別の指標として用いれば、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0021】
請求項4の発明では、情報表示部材を再利用する際に、当該情報表示部材を洗浄対象とするか否かの選別を使用履歴情報に基づいて行うようにしている。このようにすると、再利用されようとする情報表示部材毎に洗浄を行うか否か具体的に判断でき、各情報表示部材について使用履歴を考慮した適切な洗浄が可能となる。
【0022】
請求項5の発明では、情報表示部材の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段が設けられ、更に、情報表示部材の発行回数に応じて洗浄間隔を変化させている。このようにすると発行回数に応じた洗浄間隔を設定でき、その洗浄間隔と使用履歴情報とに基づいてより適切な時期に洗浄を行うことができるようになる。
【0023】
請求項6の発明では、情報表示部材を廃棄するか否かの選別を使用履歴情報に基づいて行うようにしている。このようにすると、情報表示部材が廃棄すべき程度に使用されたか否かを使用履歴に基づいて良好に判断でき、廃棄対象を適切に選別できるようになる。
【0024】
請求項7の発明では、使用履歴情報が読取不能の場合に情報表示部材を使用禁止とする処理を行うようにしている。このようにすると、不具合が生じやすい動作不良の情報表示部材が混在し難くなり、システムをより円滑に稼動できるようになる。
【0025】
請求項8の発明では、使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発するようにしている。このようにすると、情報表示部材の動作不良を作業者が迅速に把握できるようになり、より一層円滑なシステムを構築できる。
【0026】
請求項9の発明では、記憶手段に記憶される固有情報として、情報表示部材の製造メーカーを示す主体情報が含まれており、主体情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにしている。このようにすると、使用履歴だけでなく情報表示部材を製造したメーカをも考慮して選別処理を行うことができる。
【0027】
請求項10の発明では、記憶手段に記憶される固有情報として、情報表示部材の型番情報が含まれており、型番情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにしている。このようにすると、使用履歴だけでなく、情報表示部材の具体的な型番をも考慮して選別処理を行うことができる。
【0028】
請求項11の発明では、情報表示部材の再利用に先立ち、当該情報表示部材の再利用が行われる使用メーカで用いられる選別基準情報を書き込むようにしている。そして、再利用の際には、当該再利用が行われる使用メーカの選別基準情報と、使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにしている。このようにすると、再利用を行おうとする使用メーカが独自の基準を用いることができるようになり、各使用メーカは、使用履歴を考慮しつつ自社の基準に基づいて選別を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の工程管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る工程管理システムを概略的に説明する説明図である。図2は、図1の工程管理システムにおける再利用システム及び発行システムを概略的に例示するブロック図である。図3は、図1の工程管理システムに用いる情報表示部材を概略的に例示する説明図であり、(a)は可視情報が書き込まれた状態を示す図であり、(b)は可視情報が消去された状態を示す図である。図4は、図3の情報表示部材内に配される記憶手段のデータ構成を概略的に説明する説明図である。図5は、図1の工程管理システムを用いたときの後工程の流れを概略的に例示するフローチャートである。
【0030】
図1に示す工程管理システム1は、「リライトシート」とも称される情報表示部材10を用いて各種工程を管理する管理システムとして構成されており、情報表示部材10に文字情報や図形情報等の可視情報を記録して発行する発行システム30と、各工程に設けられた読取装置や書込装置(図1では、RFIDリーダライタ41、42、43や二次元コードリーダ51、52、53を例示)と、各工程終了後に、回収された情報表示部材10を再利用可能とする処理を行う再利用システム20とを備えている。
【0031】
図1の工程管理システム1で用いる情報表示部材10は、例えば図3(a)のような構成をなすものであり、この例では、シート状に構成されるシート材12と、データを記憶するRFIDタグ11とを備えた構成をなしている。
【0032】
シート材12は、例えば樹脂材料などによって構成されており、少なくとも一方面側に図3(a)のような各種工程情報を記載できるようになっている。このシート材12は、光や熱を利用した公知の書き換え技術により、文字や図形などの記載、或いは記載内容の消去を行いうるように構成されている。なお、本実施形態では、シート材12の一方側の表面部(一方側の表面を構成する部分)が「印字部」の一例に相当しており、可視情報が書き換え可能に印字される部分として機能している。
【0033】
RFIDタグ11は、公知のRFID(Radio Frequency Identification)タグとして構成されており、例えばICチップとアンテナ等を備えた公知構成をなし、後述するRFIDリーダライタ23、35による無線通信によって外部から情報を読み書きし得る構成をなしている。図3(a)の例では、RFIDタグ11が、シート材12の内部に埋め込まれた構成をなしており、図1に示す発行工程、再利用化工程、或いはその他の工程においてRFIDリーダライタにより非接触方式にてデータの読み取り、書き込み、消去等が行われるようになっている。なお、本実施形態では、RFIDタグ11が「記憶手段」の一例に相当しており、データが書き換え可能に記憶される部分として機能している。
【0034】
発行システム30は、図2に示すように、印刷装置31、情報処理装置33、RFIDリーダライタ35を備えた構成をなしており、情報表示部材10に工程情報を付して当該情報表示部材10を発行(即ち、工程を管理するための管理プレートとして発行)するシステムとして構成されている。
【0035】
印刷装置31は、例えば感熱方式のプリンタとして構成されるものであり、情報表示部材10を構成するシート材12の表面部(印字部)に対し、当該情報表示部材10を用いようとする各種工程についての管理情報を可視情報(文字情報や図形情報など)として印字するように機能する。
【0036】
情報処理装置33は、CPU、記憶媒体(ROM、RAM,HDD等)、通信手段を備えたコンピュータとして構成されており、各種情報処理を行いうるものである。なお、本実施形態では、システム全体を統括するサーバ3が設けられており、情報処理装置33とサーバ3とがLAN等の公知の通信手段により通信可能とされている。
なお、本実施形態では、印刷装置31と情報処理装置33とによって「発行手段」が構成されており、シート材12の表面部に文字情報や図形情報等の可視情報を印字し、情報表示部材10を発行するように機能する。具体的には、情報処理装置33から印刷装置31に対して印刷指令及び印刷すべき情報(工程情報等のデータ)が与えられ、それを受けた印刷装置31により、情報表示部材10の表面部(印字部)に対して工程情報等が印刷されるようになっている。
【0037】
RFIDリーダライタ35は、RFIDタグ11に対する情報の書き込み、及びRFIDタグ11に記憶される情報の読み取りを行いうる公知のRFIDリーダライタとして構成されている。本実施形態では、情報処理装置33からRFIDリーダライタ35に対して書込指令及び書き込むべきデータ(工程情報等のデータ)が与えられ、それを受けたRFIDリーダライタ35により、RFIDタグ11に対して工程情報等が書き込まれるようになっている。なお、本実施形態では、RFIDリーダライタ35が「管理データ書込手段」の一例に相当し、情報表示部材10のRFIDタグ11に対し、工程管理に関する管理データ(工程情報等)を書き込むように機能する。
【0038】
再利用システム20は、図2に示すように、情報処理装置21、RFIDリーダライタ23、消去装置25、洗浄装置27を備えた構成をなしている。
情報処理装置21は、CPU、記憶媒体(ROM、RAM,HDD等)、通信手段を備えたコンピュータとして構成され、各種情報処理を行うように機能する。この情報処理装置21も、LAN等の公知の通信手段によりサーバ3と通信し得る構成をなしている。
【0039】
RFIDリーダライタ23は、上述のRFIDリーダライタ35と同様の構成、即ち、RFIDタグ11に対する情報の書き込み、及びRFIDタグ11に記憶される情報の読み取りを行いうる公知のRFIDリーダライタとして構成されている。再利用システム20では、情報処理装置21からRFIDリーダライタ23に対して消去指令、書込指令、及び書き込むべきデータなどが与えられ、それを受けたRFIDリーダライタ23により、RFIDタグ11のデータ消去やデータ書込みが行われるようになっている。
なお、RFIDリーダライタ23及び情報処理装置21は「データ消去手段」の一例に相当しRFIDタグ11に記憶されたデータを消去するように機能する。
【0040】
消去装置25は、シート材12の表面部(印字部)に記載された文字情報や図形情報などの可視情報を消去する装置であり、本実施形態では、印刷装置31での書き込みに対応した方式(例えば、印刷装置31が熱を用いた公知の書き込み方式であれば、それに対応する、熱を用いた公知の消去方式)で消去を行うようになっている。
【0041】
洗浄装置27は、情報表示部材10を洗浄する装置である。この洗浄装置27の構成は様々に考えられるが、情報表示部材10の表面の汚れを落とすことのできる構成であればいずれも採用できる。例えば、水や薬剤等の液体を情報表示部材10の表面に与える構成であってもよく、布や樹脂などの軟質部材を情報表示部材10の表面に接触させて汚れを拭い取ったり、擦り取ったりする構成であってもよい。
【0042】
また、図1の例では、一連の工程として、工程A,工程B、最終工程などが例示されており、これらの工程においてRFIDリーダライタ41、42、43や二次元コードリーダ51、52、53が設けられている。RFIDリーダライタ41、42、43は、上述のRFIDリーダライタ23、35と同様の公知構成となっている。また、二次元コードリーダ51、52、53は、情報表示部材10に付された二次元コードを読み取りうる公知の二次元コードリーダとして構成されている。なお、図1では、全ての工程にRFIDリーダライタ及び二次元コードリーダを配置した構成を例示したが、これはあくまで一例であり、情報表示部材10が利用される一連の工程のいずれかにおいてRFIDリーダライタや二次元コードリーダを設けないようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明に係る工程管理システム1を用いて行われる工程の流れについて説明する。
まず、発行システム30によって情報表示部材10が発行(一連の工程を管理する管理プレートとして発行)される。この発行システム30ではRFIDリーダライタ35により各種管理データがRFIDタグ11に書き込まれる。RFIDタグ11に書き込まれる管理データは、一連の工程で用いられる情報であればよく、例えば、各工程毎の、工程名、工程番号、工程内容などの情報を記憶しておくことができる。また、当該情報表示部材10が用いられる部品の名称や部品番号、その部品の利用対象となる製品の名称や製品番号、或いは、当該情報表示部材10が利用される工場名、対象部品が出荷される工場名などを記憶しておくことができる。また、工程管理に関する可視情報(文字情報や図形情報)を印刷装置31により情報表示部材10の印字部に印刷する。工程管理に関する文字情報としては、例えば、当該情報表示部材10が用いられる部品の名称や部品番号、その部品の利用対象となる製品の名称や製品番号、或いは、当該情報表示部材10が利用される工場名、対象部品が出荷される工場名などが挙げられ、図形情報としては、例えばこれらの情報或いはRFIDタグ11に記憶される管理データの一部をコード化したバーコードや二次元コードなどが挙げられる。
【0044】
このように発行された情報表示部材10は、例えば部品を収容する箱(通箱15)に付される。なお、情報表示部材10を通箱15に付す工程は、ロボットによって自動的に行ってもよく、人為的作業によって行ってもよい。通箱15に取り付けられた情報表示部材10は、各工程(図1に示す工程A、B、最終工程等)で読み取り或いは書き込みが行われ、様々に利用されることとなる。
なお、RFIDリーダライタ41、42、43は、「読取手段」の一例に相当し、RFIDタグ11(記憶手段)に書き込まれた管理データを読み取るように機能する。また、これらRFIDリーダライタ41、42、43によって何らかの管理データが書き込まれる場合、これらRFIDリーダライタ41、42、43は、「管理データ書込手段」としても機能することとなる。
【0045】
そして、情報表示部材10が利用される最終工程(例えば部品の出荷工程等)が終了した後には、通箱15から情報表示部材10が取り外される。この取り外し工程は、ロボットなどによって自動的に行ってもよく、人為的作業によって行ってもよい。このように取り外された情報表示部材10は、その都度或いはまとめて再利用化工程に運ばれる。
【0046】
再利用化工程は、例えば図5のような流れで行われる。まず、回収された情報表示部材10のエラーをチェックする工程を行う(S1)。この工程は、情報処理装置21とRFIDリーダライタ23とによって行われるものであり、回収された情報表示部材10に再利用の弊害となる不具合が存在するか否かを確認する処理が行われる。エラーチェックの方法としては情報表示部材10に生じた不具合を確認する様々な方法が考えられるが、ここでは、RFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11の読み取りを試み、RFIDタグ11内のデータを正常に読み取ることができるか否かを確認することで、情報表示部材10が正常であるか否かを確認している。RFIDタグ11のデータ構成は、例えば図4のような構成となっており、S1では、RFIDタグ11固有のID情報及び使用履歴情報(使用回数データや洗浄回数データ等:後述)を読み取り可能か否かを確認し、いずれかの情報を読み取ることができない場合にエラーと判断している。
【0047】
S1の工程で情報表示部材10にエラーが確認された場合には、S2の判断でYesに進み、S5の洗浄工程を行う。一方、S1の工程で情報表示部材10にエラーが確認されなかった場合には、S2の判断でNoに進み、当該情報表示部材10が洗浄対象であるか否かを確認する工程を行う(S3)。この工程は、情報処理装置21とRFIDリーダライタ23とによって行われるものであり、これらによって情報表示部材10が洗浄対象に該当するか否かを判断している。具体的には、洗浄工程が行われてから決められた回数以上使用されたもの(即ち、決められた回数以上発行されたもの)を洗浄対象としており、S3では、情報表示部材10がこのような洗浄対象に該当するか否かを確認している。
【0048】
S3の工程では、具体的には図6のような洗浄対象選別処理が行われる。この洗浄対象選別処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての洗浄後の使用回数を読み取る処理が行われる(S101)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、洗浄後に使用された回数のデータ(洗浄後使用回数データ)が記憶されており、S101ではこの洗浄後使用回数データを読み取ることで、情報表示部材10の洗浄後使用回数を把握する。さらに、予め記憶されている閾値(洗浄後使用回数の比較対象となる閾値)を読み取り(S102)、S101で確認された洗浄後使用回数が閾値に達したか否かを判断する(S103)。なお、洗浄後使用回数の比較対象となる閾値は、予め情報処理装置21に記憶しておいてもよく、固有情報としてRFIDタグ11に記憶しておいてもよい。洗浄後の使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を洗浄対象に設定する(S104)。一方、洗浄後の使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非洗浄対象とする(S105)。洗浄対象とするか否かの設定データは情報表示部材10のRFIDタグ11に一旦記憶してもよく、情報処理装置21に記憶しておいてもよい。
【0049】
S2にてエラーと判断される場合、或いはS4にて洗浄対象と判断される場合には洗浄工程を行う(S5)。この洗浄工程は、洗浄装置27及び情報処理装置21によって行われる工程であり、まず、洗浄装置27によって情報表示部材10の洗浄が行われる。そして、洗浄後には、洗浄後使用回数をリセットする処理、及び洗浄回数を更新する処理も併せて行われる。具体的には、洗浄後使用回数を0とする新たな洗浄後使用回数データ、及び洗浄回数を1加算した新たな洗浄回数データを生成し、RFIDタグ11に記憶されるこれらの内容を更新する。
【0050】
一方、S4にて洗浄対象と判断されない場合(即ち、洗浄後使用回数が閾値に達していない場合)には、当該情報表示部材10に対する洗浄を行わずS8の工程に進むこととなる。
なお、本実施形態では、情報処理装置21及び洗浄装置27が「洗浄手段」の一例に相当し、情報表示部材10を再利用する際に、所定条件下で情報表示部材10を洗浄するように機能する。
また、情報処理装置21は、「選別手段」の一例に相当し、情報表示部材10を再利用する際の所定の選別を、使用履歴情報に基づいて行うように機能する。より具体的には、「洗浄対象選別手段」の一例に相当し、当該情報表示部材10を洗浄対象とするか否かの選別を、洗浄後使用回数データに基づいて行うように機能する。
【0051】
S5の洗浄工程が終了した後には、情報表示部材10が廃棄対象となるか否かの確認を行う(S6)。この確認工程では、情報表示部材10がエラーメディアであるか否か、及び情報表示部材10の通算使用回数が決められた閾値に達したか否かを確認し、いずれかに該当するものを廃棄対象としている。
【0052】
S6の工程では、具体的には図7のような廃棄対象選別処理が行われる。
この廃棄対象選別処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての固有情報、使用履歴情報を確認する処理を行う(S110)。図4のように、RFIDタグ11には、固有情報としてIDデータ、製造メーカデータ、型番データなどが記憶されており、S110ではこれらの固有情報のいずれか(例えばIDデータ)或いは全てを正常に読み取ることができるか否かを確認する。また、使用履歴情報として、洗浄後使用回数データ、通算使用回数データ、洗浄回数データが記憶されており、これらのいずれか(例えば通算使用回数データ)或いは全てを正常に読み取ることができるか否かを確認する。S110にて固有情報及び使用履歴情報が正常に確認された場合には、S111にてYesに進み、RFIDタグ11に記憶される通算使用回数データに基づいて当該情報表示部材10の通算使用回数が閾値(通算使用回数の比較対象となる閾値)に達したか否かを判断する(S112)。なお、通算使用回数の比較対象となる閾値は、予め情報処理装置21に記憶しておいてもよく、固有情報としてRFIDタグ11に記憶しておいてもよい。通算使用回数が閾値に達していない場合にはS112にてNoに進み、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S113)。
【0053】
S111にてNoに進む場合(固有情報、使用履歴情報が確認されない場合)、或いはS112にてYesに進む場合(通算使用回数が閾値に達した場合)には、情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S114)。廃棄対象とするか否かの設定データは情報表示部材10のRFIDタグ11に一旦記憶してもよく、情報処理装置21に記憶しておいてもよい。
【0054】
S6にて情報表示部材10が廃棄対象に設定される場合、S7にてYesに進み、廃棄工程を行う(S11)。S11の廃棄工程は、情報表示部材10を廃棄するための何らかの処置を行うものであればよく、情報表示部材10を所定の廃棄スペースに回収するような工程であってもよく、情報表示部材10を裁断したり所定の廃棄マークを付する工程であってもよい。
なお、本実施形態では、情報処理装置21が「廃棄対象選別手段」の一例に相当し、使用履歴情報(具体的には通算使用回数データ)に基づいて情報表示部材10を廃棄するか否かの選別を行うように機能する。
【0055】
S7で廃棄対象でないと判断される場合、或いはS4で洗浄対象でないと判断される場合、情報表示部材10に記載された可視情報(文字情報や図形情報)の消去を行う(S8)。この工程は、情報処理装置21及び消去装置25によって行われるものであり、情報処理装置21からの指令を受けた消去装置に25により、シート材12の表面部(印字部)に記載された文字情報や図形情報が消去される。
なお、本実施形態では、消去装置25及び情報処理装置21が「可視情報消去手段」の一例に相当する。
【0056】
また、管理データの消去も行われる(S9)。この工程は、情報処理装置21及びRFIDリーダライタ23によって行われるものであり、情報処理装置21からの指令を受けたRFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11に記憶されている管理データが削除される。なお、S9の工程では管理データが選択的に削除され、ID情報、製造メーカデータ、型番データ等の固有情報や、洗浄後使用回数データ、通算使用回数データ、洗浄回数データ等の使用履歴情報は消去されずに残存する。
なお、本実施形態では、RFIDリーダライタ23及び情報処理装置21が「データ消去手段」の一例に相当し、RFIDタグ11(記憶手段)に記憶されたデータの一部(具体的には、通算使用回数データ、洗浄後使用回数データ、洗浄回数データ等の使用履歴情報を除いた管理データ)を消去するように機能する。
【0057】
このように、本実施形態に係る工程管理システム1では、一連の工程終了後に、シート材12の表面部(印字部)に記載された可視情報(文字情報や図形情報)を消去すると共に、RFIDタグ11に記憶された管理データを消去しているため、前回の工程管理情報を残存させることなく情報表示部材10を再利用できるようになっている。
【0058】
その後、使用回数の更新が行われる(S10)。この工程は、情報処理装置21及びRFIDリーダライタ23によって行われるものであり、情報処理装置21からの指令を受けたRFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11に記憶される通算使用回数データの書き換えが行われる。具体的には、更新前の通算使用回数に1加算した新たな通算使用回数データが生成され、このデータがRFIDリーダライタ23によってRFIDタグ11に書き込まれることとなる。
なお、本実施形態では、RFIDリーダライタ23及び情報処理装置21が「使用履歴情報書込手段」の一例に相当し、情報表示部材10の使用履歴情報をRFIDタグ11(記憶手段)に書き込むように機能する。具体的には、情報表示部材10の通算使用回数(即ち、発行回数)や洗浄後使用回数を「使用履歴情報」としてRFIDタグ11に書き込んでいる。
【0059】
本実施形態の構成によれば、例えば以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る工程管理システム1では、情報表示部材10を再利用する際に、所定条件下で情報表示部材10を洗浄しているため、再利用に伴う汚損を極力抑えることができる。更に、情報表示部材10の使用履歴情報をRFIDタグ11に書き込むように構成されており、再利用の際には、その書き込まれる使用履歴情報に基づいて所定の選別処理を行うようにしている。従って、情報表示部材10を再利用する際に使用履歴に応じた適切な選別を行うことができ、使用履歴を考慮しながら情報表示部材10を有効利用できるようになる。
【0060】
また、「使用履歴情報」として、情報表示部材10の使用回数(即ち、発行回数)を書き込むようにしている。情報表示部材10の使用回数(発行回数)は、情報表示部材10に生じる汚損や劣化と極めて関連性が大きいため、情報表示部材10の使用回数を再利用の際の選別指標として用いれば、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0061】
また、情報表示部材10を再利用する際に、当該情報表示部材10を洗浄対象とするか否かの選別を使用履歴情報(具体的には、洗浄後使用回数)に基づいて行うようにしている。このようにすると、再利用されようとする情報表示部材毎に洗浄を行うか否か具体的に判断でき、各情報表示部材10について使用履歴を考慮した適切な洗浄が可能となる。
【0062】
また、情報表示部材10を廃棄するか否かの選別を使用履歴情報(具体的には通算使用回数)に基づいて行うようにしている。このようにすると、情報表示部材10が廃棄すべき程度に使用されたか否かを使用履歴に基づいて良好に判断でき、廃棄対象を適切に選別できるようになる。
【0063】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態は、図5で示した洗浄対象の確認工程(S3)の具体的内容を図6に代えて図8のようにした点のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって異なる内容について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一である図1〜図5、図7等については適宜これらを参照し詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態では、図8のように洗浄対象選別処理が行われる。この処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての洗浄後の使用回数を読み取る処理が行われる(S201)。このS201の処理は、図6のS101と同様である。さらに、情報表示部材10の通算使用回数を読み取る処理が行われる(S202)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、通算使用回数データが記憶されており、S202ではこの通算使用回数データを読み取ることで、情報表示部材10の通算使用回数を把握する。さらに、通算使用回数に応じた閾値(洗浄後使用回数の比較対象となる閾値)を読み取る(S203)。本実施形態では、図9のように、洗浄後使用回数の比較対象となる閾値Xが通算使用回数Rと対応付けられて情報処理装置21のメモリ(ROMやHDD等:図示略)記憶されており、S203では、S202で取得した通算使用回数に対応する閾値を読み取る。なお、閾値Xは、通算使用回数が大きくなるほど、小さな値となるように設定されている(即ちX1>X2>X3>X4>X5)。
【0065】
そして、S201で確認された洗浄後使用回数がS203で取得された閾値に達したか否かを判断する(S204)。洗浄後の使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を洗浄対象に設定する(S205)。一方、洗浄後の使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非洗浄対象とする(S206)。
【0066】
なお、本実施形態でも、情報処理装置21が「選別手段」「洗浄対象選別手段」の一例に相当する。また、情報処理装置21は、「洗浄間隔設定手段」の一例に相当し、情報表示部材10の洗浄間隔を設定すると共に、情報表示部材10の発行回数(詳しくは通算使用回数)に応じて洗浄間隔を変化させるように機能している。
【0067】
本実施形態では、情報表示部材10の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段が設けられ、情報表示部材10の発行回数(詳しくは通算使用回数)に応じて洗浄間隔を変化させているため、発行回数に応じた洗浄間隔を設定でき、その洗浄間隔と使用履歴情報とに基づいてより適切な時期に洗浄を行うことができるようになる。
【0068】
特に本実施形態では、通算使用回数が多くなるほど閾値が小さな値に設定されるようになっているため、使用が進むにつれて洗浄がより頻繁に行われるようになる。このようにすると、汚れの残存が目立ちにくい初期段階(通算使用回数が少ない段階)については洗浄間隔を大きくして劣化を抑えることができ、汚れの残存が目立ちやすい中期や後期(通算使用回数が多い段階)については頻繁に洗浄を行うことで汚れを効果的に抑えることができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。第3実施形態は、図5で示した確認工程(S3あ或いはS6)の具体的内容を変更した点のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と異なる点について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一である点については詳細な説明は省略する。
【0070】
まず、図10を参照して本実施形態の一例を説明する。この例では、図5で示した廃棄対象確認工程(S6)を、図7に代えて図10のようにした点が第1実施形態と異なり、それ以外の図1〜図6については第1実施形態と同一である。
【0071】
本実施形態に係る廃棄対象選別処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての通算使用回数を読み取る処理が行われる(S301)。このS301では、RFIDタグ11に記憶される通算使用回数データ(図4)が確認され、情報表示部材10の現在の通算使用回数が取得される。さらに、情報表示部材10の製造メーカを読み取る処理が行われる(S302)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、当該情報表示部材10の製造メーカ名を特定しうる製造メーカデータが記憶されており、S302ではこの製造メーカデータを読み取ることで、再利用されようとする情報表示部材10の製造メーカを把握する。さらに、製造メーカに対応する閾値(廃棄対象か否かを判断する基準となる閾値)を読み取る(S303)。本実施形態では、例えば図12(a)のように、通算使用回数の比較対象となる閾値Yが製造メーカと対応付けられて情報処理装置21のメモリ(ROMやHDD等:図示略)に記憶されており、S303では、S302で取得した製造メーカに対応する閾値を読み取る。例えば、再利用されようとする情報表示部材10の製造メーカが製造メーカAであれば、それに対応する閾値Y1が読み出される。
【0072】
そして、S301で取得された通算使用回数が、S303で取得された閾値に達したか否かを判断する(S304)。通算使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S305)。一方、通算使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S306)。
なお、本実施形態でも、情報処理装置21が「選別手段」「廃棄対象選別手段」の一例に相当し、製造メーカの主体情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うように機能している。
【0073】
本実施形態のように、再利用されようとする情報表示部材10を製造した製造メーカの主体情報と、使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにすると、使用履歴だけでなく情報表示部材10を製造したメーカをも考慮して選別処理を行うことができる。例えば、汚損しにくいメーカの情報表示部材については、通算使用回数を多く設定(即ち閾値を大きく設定)し、汚損しやすいメーカのものについては通算使用回数を少なく設定(即ち、閾値を小さく設定)するといったことが可能となる。或いは、耐久性の低い製品を提供するメーカの情報表示部材については通算使用回数を少なく設定(閾値を小さく設定)し、耐久性の高い製品を提供するメーカの情報表示部材については通算使用回数を多く設定(閾値を大きく設定)するといったことも可能となる。
【0074】
また、図11のようにしてもよい。この例では、図5で示した洗浄対象確認工程(S3)を、図6に代えて図11のようにした点が第1実施形態と異なり、それ以外の図1〜図5、図7については第1実施形態と同一である。
【0075】
図11の処理では、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての洗浄後の使用回数を読み取る処理が行われる(S311)。このS311の処理は、図6のS101と同様である。さらに、情報表示部材10の型番データを読み取る処理が行われる(S312)。図4のように本実施形態で用いる情報表示部材10のRFIDタグ11には、当該情報表示部材10の型番を特定しうる型番データが記憶されており、S312ではこの型番データを読み取ることで、情報表示部材10の型番を把握する。さらに、その取得された型番に対応する閾値(洗浄対象か否かを判断する基準となる閾値)を読み取る(S313)。この場合、図12(b)のように、型番と閾値Z(型番毎の、洗浄対象か否かを判断する基準となる閾値)とを対応付けて情報処理装置21のメモリ(ROMやHDD等:図示略)に記憶しておけばよく、S313では、S312で取得した型番に対応する閾値を読み取る。例えば、再利用されようとする情報表示部材10の型番が型番Aであれば、それに対応する閾値Z1が読み出される。
【0076】
そして、S311で確認された洗浄後使用回数がS313で取得された閾値に達したか否かを判断する(S314)。洗浄後使用回数が閾値に達している場合には当該情報表示部材10を洗浄対象に設定する(S315)。一方、洗浄後使用回数が閾値に達していない場合には、当該情報表示部材10を非洗浄対象とする(S316)。
なお、この例では、情報処理装置21が「選別手段」「洗浄対象選別手段」の一例に相当し、情報表示部材10の型番情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うように機能する。
【0077】
図11のように、再利用されようとする情報表示部材10の型番情報と使用履歴情報とに基づいて選別処理を行うようにすると、使用履歴だけでなく情報表示部材10の型番をも考慮して選別処理を行うことができる。例えば、汚れが蓄積しにくい型番については、洗浄間隔を長く設定(即ち閾値を大きく設定)し、汚れが蓄積しやすい型番については洗浄間隔を短く設定(即ち、閾値を小さく設定)するといったことが可能となる。或いは、耐久性の低い型番については洗浄間隔を長く設定(閾値を大きく設定)し、耐久性の高い型番については洗浄間隔を短く設定(閾値を小さく設定)するといったことも可能となる。
【0078】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。第4実施形態は、図5で示した廃棄対象の確認工程(S6)の具体的内容を図7に代えて図13のようにした点のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって異なる内容について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一である図1〜図6等については適宜これらを参照し詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施形態では、図13のように廃棄対象選別処理を行っている。この廃棄対象選別処理でも、まず、再利用されようとする情報表示部材10についての固有情報、使用履歴情報を確認する処理を行う(S401)。なお、S401の処理は、S110と同様である。そして、S401にて固有情報及び使用履歴情報が正常に確認された場合には、S402にてYesに進み、情報表示部材10の型番に対応する閾値(廃棄するか否か基準となる閾値)を読み取る。この場合、図12(b)と同様のデータ構成で閾値を設定すればよく、例えば型番Aについては閾値M1とし、型番Bについては閾値M1とするといった設定が可能となる。
【0080】
そして、情報表示部材10の通算使用回数がS403で取得した閾値に達したか否かを判断する(S404)。通算使用回数は、図4の通算使用回数データによって把握されるものであり、この通算使用回数がS403で取得された閾値に達していない場合にはS404にてNoに進み、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S405)。一方、S402にてNoに進む場合(固有情報、使用履歴情報が正常に確認されない場合)、或いはS404にてYesに進む場合(通算使用回数が閾値に達した場合)には、情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S406)。廃棄対象とするか否かの設定データは情報表示部材10のRFIDタグ11に一旦記憶してもよく、情報処理装置21に記憶しておいてもよい。
【0081】
図13のように、再利用されようとする情報表示部材10の型番情報と使用履歴情報とに基づいて廃棄対象の選別処理を行うようにすると、情報表示部材10の型番を考慮して廃棄対象を選別できるようになる。例えば、劣化しやすい型番については閾値を低く設定して早い段階で廃棄するようにし、劣化しにくい型番については閾値を高く設定して比較的多く使用してから廃棄するといったことが可能となる。
【0082】
なお、図13の例では、型番に対応させて廃棄の基準となる閾値を設定したが、情報表示部材10を製造した製造メーカに対応させて廃棄の基準となる閾値を設定してもよい。この場合、図12(a)と同様のデータ構成で閾値を設定すればよく、例えば製造メーカAについては閾値N1とし、製造メーカBについては閾値N2とするといった設定が可能となる。このようにすると、例えば、劣化しやすい製品を提供する製造メーカについては閾値を低く設定して早い段階で廃棄するようにし、劣化しにくい製品を提供する製造メーカについては閾値を高く設定して比較的多く使用してから廃棄するといったことが可能となる。
【0083】
[第5実施形態]
次に第5実施形態について説明する。本実施形態は再利用化工程のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。再利用化工程については、図5で行われた各工程の順序を変更した点、及び使用禁止工程を設けた点が図5と異なり、それ以外は図5と同様である。
【0084】
本実施形態の再利用化工程では、まず、可視情報(文字情報や図形情報)の消去工程(S501)及び管理データの消去工程(S502)が行われる。S501の工程は、図5のS8と同様であり、この工程により情報表示部材10の表面部(印字部)に記載された文字情報や図形情報が消去される。また、S502の工程は、S9と同様であり、この工程によりRFIDタグ11に記憶された管理データが消去される。
【0085】
また、S1(図5)と同様のエラーチェックが行われる(S503)。S503でエラーが確認されなければS504にてNoに進み、洗浄対象の確認工程が行われる(S505)。S505の工程は、図5のS3と同様であり、図6のように行ってもよく、図8、図10、或いは図11のように行ってもよい。この洗浄対象の確認工程(S505)で洗浄対象に設定されなかった場合、S506にてNoに進み、当該情報表示部材10を再利用する。
【0086】
一方、S504にてYesに進む場合(S503にてエラーが確認された場合)、或いはS506にてYesに進む場合(S505にて洗浄対象と設定された場合)、洗浄工程を行う(S507)。S507の洗浄工程は、図5のS5と同様である。その後、使用回数の更新を行う(S508)。S508の工程は、図5のS10と同様であり、通算使用回数データが更新される。さらに、S6(図5)と同様の廃棄対象確認工程を行う(S509)。なお、廃棄対象選別処理は、図7のような方法でもよく、図13のような方法でもよい。情報表示部材10が廃棄対象ではない場合にはS510にてNoに進み、当該再利用化工程を終了して情報表示部材10を再利用する。
【0087】
一方、S510にて廃棄対象と判断される場合には、S511に進み、使用禁止工程を行う。この使用禁止工程は、情報表示部材10を使用禁止とするための何らかの処置を行う工程であり、例えば、情報表示部材10の表面部(印字部)に使用禁止の旨のマークや文字を記載するといった例が挙げられる。このようにすると、情報表示部材10が使用禁止すべきものか否かを目視で容易に確認できるようになり、このようなメディアが誤って再利用されることを効果的に防止できる。
【0088】
或いは、RFIDタグ11に使用禁止である旨のデータ(使用禁止データ)を記憶する方法でもよい。この場合、S503のエラー確認工程において使用禁止データが記憶されているものもエラーメディアと判断するようにしたり、発行システム30(図1、図2)において使用禁止データが記憶された情報表示部材10を発行しないようにすれば一旦廃棄対象と判断された混在することがなくなる。
【0089】
また、S509にて廃棄対象に設定される場合(例えば使用履歴情報が読取不能の場合)に所定の警報を発するようにしてもよい。このようにすれば、情報表示部材10の動作不良を作業者が迅速に把握できるようになり、より一層円滑なシステムを構築できる。
【0090】
本実施形態では、情報処理装置21が「確認手段」に相当し、使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行うように機能する。また、情報処理装置21及び図示しない印刷装置(或いはRFIDリーダライタ)が「使用禁止手段」の一例に相当し、使用履歴情報が読取不能の場合に情報表示部材10を使用禁止とするように機能する。また、情報処理装置21及び図示しない表示部やブザー等が「警報手段」の一例に相当し、使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発するように機能する。
【0091】
本実施形態では、使用履歴情報が読取不能の場合に使用禁止工程を行うようにしているため、不具合が生じやすい動作不良の情報表示部材が混在し難くなり、システムをより円滑に稼動できるようになる。
【0092】
[第6実施形態]
次に第6実施形態について説明する。本実施形態は、RFIDタグ11内のデータ構成、及び洗浄対象確認処理の具体的内容が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、洗浄対象確認処理の基本的な流れは図6と同様であるため、当該処理については図6を参照して説明する。また、RFIDタグ11のデータ構成は、使用メーカが独自に設定する洗浄用閾値データが設けられている点が図4と異なるが、それ以外のデータ構成は図4と同様である。また、それら以外については図1、図2、図3、図5、図7と同一である。
【0093】
本実施形態では、情報表示部材10の再利用に先立ち、情報表示部材10のRFIDタグ11に対し、情報表示部材10の再利用が行われる使用メーカにおいて選別の基準として用いられる選別基準情報を書き込むようにしている。なお、本実施形態では、情報処理装置33及びRFIDリーダライタ35が「選別基準情報書込手段」の一例に相当している。
【0094】
具体的には、情報処理措置33が、情報表示部材10を発行する際に、初回の発行であるか否かを確認する処理を行う。なお、初回の発行であるか否かの確認は、通算使用回数データを確認することで行ってもよく、洗浄用閾値のデータが既に記憶されているか否かを確認することで行ってもよい。そして、初回の発行である場合には、当該工程管理システム1を使用するメーカ(即ち、当該情報処理装置33が設置されるメーカ)が独自に設定する洗浄用閾値のデータを記憶する処理を行う。この洗浄用閾値のデータは予め情報処理装置33に記憶されていてもよく、初回の発行の際にオペレータ等によって入力されるものであってもよい。なお、ここでは、当該工程管理システム1を使用するメーカが独自に設定する洗浄用閾値が「選別基準情報」の一例に相当する。
【0095】
このように情報表示部材10が構成され、かつ、洗浄用閾値(選別基準情報)の書き込み処理が行われることを前提として以下のような洗浄対象確認処理がなされる。
まず、図6のS101のように、洗浄後使用回数が読み取られる。このS101の処理は第1実施形態で説明した通りである。その後、閾値の読み取り処理が行われる(S102)。この閾値の読み取り処理は、第1実施形態と若干異なり、現在行われている再利用化工程に先立って書き込まれた上述の閾値(即ち、当該工程管理システム1を使用するメーカが独自に設定し、RFID11に記憶された洗浄用閾値)が読み取られる。そして、そのS102で読み取られた洗浄用閾値(当該使用メーカ独自の閾値)と、S101で読み取った洗浄後使用回数とを比較し(S103)、洗浄後使用回数がその洗浄用閾値(使用メーカ独自の閾値)に達していれば洗浄対象に設定し(S104)、達していなければ非洗浄対象とする(S105)。なお、S104、S105は第1実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態でも、情報処理装置21が「選別手段」「洗浄対象選別手段」の一例に相当し、情報表示部材10の再利用が行われる使用メーカについての洗浄用閾値(選別基準情報)をRFIDタグ11にて確認すると共に、その確認した洗浄用閾値と、上述の洗浄後使用回数(使用履歴情報)とに基づいて選別処理を行うように機能する。
【0097】
本実施形態の構成によれば、情報表示部材10の再利用に先立ち、当該情報表示部材10の再利用が行われる使用メーカで用いられる洗浄用閾値(選別基準情報)を書き込むようにしている。そして、再利用の際には、当該再利用が行われる使用メーカの洗浄用閾値(選別基準情報)と、洗浄後使用回数(使用履歴情報)とに基づいて洗浄対処の選別処理を行うようにしている。このようにすると、再利用を行おうとする使用メーカが、洗浄対象の選別の際に、独自の洗浄基準を用いることができるようになり、使用メーカは、使用履歴を考慮しつつ自社の洗浄基準に基づいて選別を行うことができるようになる。
【0098】
なお、上述の内容では、洗浄対象確認処理を第1実施形態と異なるようにした例を示したが、廃棄対象確認処理を以下のように変更してもよい。
この例では、RFIDタグ11内のデータ構成、及び廃棄対象確認処理の具体的内容が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、廃棄対象確認処理の基本的な流れは図7と同様であるため、当該処理については図7を参照して説明する。また、RFIDタグ11のデータ構成は、使用メーカが独自に設定する廃棄用閾値データが記憶可能となっている点が図4と異なるが、それ以外のデータ構成は図4と同様である。また、それら以外については図1、図2、図3、図5、図7と同一である。なお、この例でも、情報処理装置33及びRFIDリーダライタ35が「選別基準情報書込手段」の一例に相当している。
【0099】
本例でも、情報処理措置33が、情報表示部材10を発行する際に、初回の発行であるか否かを確認する処理を行う。なお、初回の発行であるか否かの確認は、通算使用回数データを確認することで行ってもよく、洗浄用閾値のデータが既に記憶されているか否かを確認することで行ってもよい。そして、初回の発行である場合には、当該工程管理システム1を使用するメーカ(即ち、当該情報処理装置33が設置されるメーカ)が独自に設定する廃棄用閾値のデータを記憶する処理を行う。この廃棄用閾値のデータは予め情報処理装置33に記憶されていてもよく、初回の発行の際にオペレータ等によって入力されるものであってもよい。なお、本例では、当該工程管理システム1を使用するメーカが独自に設定する廃棄用閾値が「選別基準情報」の一例に相当する。
【0100】
この例では、基本的には図7のような流れで廃棄対象選別処理が行われる。まず、再利用されようとする情報表示部材10についての固有情報、使用履歴情報を確認する処理を行う(S110)。このS110については第1実施形態と同様である。その後、第1実施形態と同様の判断処理(S111)が行われる。
【0101】
S111にてYesに進む場合には、情報表示部材10の通算使用回数が閾値に達したか否かを判断する処理が行われる(S112)。この処理の具体的内容は第1実施形態と若干異なり、上述の廃棄用閾値(使用メーカが独自に設定する、通算使用回数の比較対象となる閾値)のデータと、通算使用回数のデータとをRFIDタグ11から読み出すと共に、これらデータに基づいて、情報表示部材10の通算使用回数が廃棄用閾値に達したか否かを判断する。通算使用回数が上述の廃棄用閾値に達していない場合にはS112にてNoに進み、当該情報表示部材10を非廃棄対象とする(S113)。S111にてNoに進む場合(固有情報、使用履歴情報が確認されない場合)、或いはS112にてYesに進む場合(通算使用回数が廃棄用閾値に達した場合)には、情報表示部材10を廃棄対象に設定する(S114)。なお、S113、S114の処理は第1実施形態と同様である。
【0102】
この例では、再利用を行おうとする使用メーカが、廃棄対象の選別の際に、独自の基準を用いることができるようになり、使用メーカは、使用履歴を考慮しつつ自社の廃棄基準に基づいて選別を行うことができるようになる。
【0103】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0104】
上記実施形態では、選別の指標となる使用履歴情報として情報表示部材10の使用回数(発行回数)を用いているが、使用履歴情報として情報表示部材10の洗浄回数を用いてもよい。例えば、図7の処理では、通算使用回数が閾値に達した場合に廃棄対象とする選別を行っているが、洗浄回数がある閾値に達した場合に廃棄対象とするような選別を行ってもよい。このように再利用の際に洗浄回数を選別の指標として用いても、汚損や劣化状況を適切に考慮した選別が可能となる。
【0105】
第1実施形態では、使用履歴情報が読み取り不能の場合、そのまま廃棄処理を行うようにしているが、第5実施形態のように廃棄処理の前段階で使用禁止工程を行うようにしてもよい。また、このような場合に警報を行うようにしてもよい。
【0106】
上記実施形態では、使用履歴情報として、「通算使用回数」「洗浄後使用回数」「洗浄回数」などを用いたが、これらの例に限られない。例えば、情報表示部材10に対して何らかの不具合が生じた場合に、その発生回数や発生内容を不具合データとしてRFIDタグ11に記憶するように構成し、この不具合データを使用履歴情報として扱うようにしてもよい。この場合、例えば図7の廃棄対象選別処理のS112において不具合回数が閾値に達したか否かを判断し、達した場合にS114で廃棄対象に設定するようにしてもよい。
【0107】
上記実施形態では、「所定の選別処理」として、情報表示部材10を洗浄対象とするか否かの選別処理や、廃棄対象とするか否かの選別処理を例示したが、これらの例に限られない。例えば、情報表示部材に対して何らかの検査を行うか否かの選別処理や、情報表示部材に対して何らかの情報を記録するか否かの選別処理などを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、第1実施形態に係る工程管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の工程管理システムにおける再利用システム及び発行システムを概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の工程管理システムに用いる情報表示部材を概略的に例示する説明図であり、(a)は文字情報や図形情報が書き込まれた状態を示す図であり、(b)は文字情報や図形情報が消去された状態を示す図である。
【図4】図4は、図3の情報表示部材内に配される記憶手段のデータ構成を概念的に説明する説明図である。
【図5】図5は、図1の工程管理システムを用いて行われる再利用化工程の流れを概略的に説明する説明図である。
【図6】図6は、洗浄対象の確認工程で行われる洗浄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである
【図7】図7は、廃棄対象の確認工程で行われる廃棄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、第2実施形態の工程管理システムで行われる洗浄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、通算使用回数と対応付けて閾値を定める対応データを概念的に例示する説明図である。
【図10】図10は、第3実施形態の工程管理システムで行われる洗浄対象選別処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、第3実施形態の別例を示すフローチャートである。
【図12】図12(a)は、製造メーカと対応付けて閾値を定めるデータ構成を概念的に例示する説明図であり、図12(b)は、型番と対応付けて閾値を定めるデータ構成を概念的に例示する説明図である。
【図13】図13は、第4実施形態の工程管理システムで行われる廃棄対象選別処理を例示するフローチャートである。
【図14】図14は、第5実施形態の工程管理システムで行われる再利用化工程の流れを概略的に例示する説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1…工程管理システム
10…情報表示部材
11…RFIDタグ(記憶手段)
21…情報処理装置(データ消去手段、可視情報消去手段、洗浄手段、使用履歴情報書込手段、選別手段、洗浄対象選別手段、廃棄対象選別手段)
23…RFIDリーダライタ(データ消去手段、使用履歴情報書込手段)
25…消去装置(可視情報消去手段)
27…洗浄装置(洗浄手段)
31…印刷装置(発行手段)
33…情報処理装置(発行手段、管理データ書込手段、選別基準情報書込手段)
35…RFIDリーダライタ(管理データ書込手段、選別基準情報書込手段)
41,42,43…RFIDリーダライタ(読取手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが書き換え可能に記憶される記憶手段と、可視情報が書き換え可能に印字される印字部とを、備えた情報表示部材と、
前記情報表示部材の前記印字部に対し、工程管理に関する前記可視情報を印字することで前記情報表示部材を発行する発行手段と、
前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、工程管理に関する管理データを書き込む管理データ書込手段と、
前記管理データ書込手段により前記記憶手段に書き込まれた前記管理データを読み取る読取手段と、
前記印字部に印字された前記可視情報を消去する可視情報消去手段と、
前記記憶手段に記憶された前記データを消去するデータ消去手段と、
を備え、
所定工程終了後に、前記可視情報消去手段により前記可視情報を消去すると共に前記データ消去手段により前記データを消去し、前記情報表示部材を再利用して用いる工程管理システムであって、
前記情報表示部材を再利用する際に、所定条件下で前記情報表示部材を洗浄する洗浄手段と、
前記情報表示部材の使用履歴情報を前記記憶手段に書き込む使用履歴情報書込手段と、
を備え、
前記データ消去手段は、前記使用履歴情報を除いた前記管理データを消去する構成をなしており、
更に、少なくとも前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際の所定の選別処理を行う選別手段が設けられていることを特徴とする製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項2】
前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の発行回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする請求項1に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項3】
前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の洗浄回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項4】
前記選別手段は、前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際に当該情報表示部材を前記洗浄手段による洗浄対象とするか否かの選別を行う洗浄対象選別手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項5】
前記洗浄対象選別手段は、
前記洗浄手段による前記情報表示部材の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段を備え、前記洗浄間隔設定手段は、前記情報表示部材の発行回数に応じて前記洗浄間隔を変化させる構成をなしており、
前記洗浄間隔設定手段により設定される前記洗浄間隔と、前記使用履歴情報と、に基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項6】
前記選別手段は、前記情報表示部材を廃棄するか否かの選別を、前記使用履歴情報に基づいて行う廃棄対象選別手段を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項7】
前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に前記情報表示部材を使用禁止とする処理を行う使用禁止手段を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項8】
前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発する警報手段を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項9】
前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の製造メーカーを示す主体情報を含み、
前記選別手段は、前記主体情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項10】
前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の型番情報を含み、
前記選別手段は、前記型番情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項11】
前記情報表示部材の再利用に先立ち、前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、前記情報表示部材の再利用が行われる使用メーカにおいて選別の基準として用いられる選別基準情報を書き込む選別基準情報書込手段を備え、
前記選別手段は、前記情報表示部材の再利用が行われる前記使用メーカについての前記選別基準情報を前記記憶手段にて確認すると共に、その確認した前記選別基準情報と、前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項1】
データが書き換え可能に記憶される記憶手段と、可視情報が書き換え可能に印字される印字部とを、備えた情報表示部材と、
前記情報表示部材の前記印字部に対し、工程管理に関する前記可視情報を印字することで前記情報表示部材を発行する発行手段と、
前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、工程管理に関する管理データを書き込む管理データ書込手段と、
前記管理データ書込手段により前記記憶手段に書き込まれた前記管理データを読み取る読取手段と、
前記印字部に印字された前記可視情報を消去する可視情報消去手段と、
前記記憶手段に記憶された前記データを消去するデータ消去手段と、
を備え、
所定工程終了後に、前記可視情報消去手段により前記可視情報を消去すると共に前記データ消去手段により前記データを消去し、前記情報表示部材を再利用して用いる工程管理システムであって、
前記情報表示部材を再利用する際に、所定条件下で前記情報表示部材を洗浄する洗浄手段と、
前記情報表示部材の使用履歴情報を前記記憶手段に書き込む使用履歴情報書込手段と、
を備え、
前記データ消去手段は、前記使用履歴情報を除いた前記管理データを消去する構成をなしており、
更に、少なくとも前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際の所定の選別処理を行う選別手段が設けられていることを特徴とする製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項2】
前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の発行回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする請求項1に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項3】
前記使用履歴情報書込手段は、前記情報表示部材の洗浄回数を前記使用履歴情報として書き込むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項4】
前記選別手段は、前記使用履歴情報に基づき、前記情報表示部材を再利用する際に当該情報表示部材を前記洗浄手段による洗浄対象とするか否かの選別を行う洗浄対象選別手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項5】
前記洗浄対象選別手段は、
前記洗浄手段による前記情報表示部材の洗浄間隔を設定する洗浄間隔設定手段を備え、前記洗浄間隔設定手段は、前記情報表示部材の発行回数に応じて前記洗浄間隔を変化させる構成をなしており、
前記洗浄間隔設定手段により設定される前記洗浄間隔と、前記使用履歴情報と、に基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項6】
前記選別手段は、前記情報表示部材を廃棄するか否かの選別を、前記使用履歴情報に基づいて行う廃棄対象選別手段を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項7】
前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に前記情報表示部材を使用禁止とする処理を行う使用禁止手段を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項8】
前記選別手段は、前記使用履歴情報が読取可能か否かの確認を行う確認手段を備えると共に、前記使用履歴情報が読取不能の場合に警報を発する警報手段を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項9】
前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の製造メーカーを示す主体情報を含み、
前記選別手段は、前記主体情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項10】
前記記憶手段は、固有情報として前記情報表示部材の型番情報を含み、
前記選別手段は、前記型番情報と前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【請求項11】
前記情報表示部材の再利用に先立ち、前記情報表示部材の前記記憶手段に対し、前記情報表示部材の再利用が行われる使用メーカにおいて選別の基準として用いられる選別基準情報を書き込む選別基準情報書込手段を備え、
前記選別手段は、前記情報表示部材の再利用が行われる前記使用メーカについての前記選別基準情報を前記記憶手段にて確認すると共に、その確認した前記選別基準情報と、前記使用履歴情報とに基づいて前記選別処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の製造工程及び物流工程における工程管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−265868(P2009−265868A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113628(P2008−113628)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【出願人】(500352063)株式会社デンソーエスアイ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【出願人】(500352063)株式会社デンソーエスアイ (6)
【Fターム(参考)】
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