説明

複合機および複合機における印刷方法

【課題】 複合機において、FAX受信データのセキュリティを確保し、FAX受信データに対応した任意の印刷条件で、FAX受信データを印刷する手段および方法を提供する。
【解決手段】 FAX機能と、ユーザからの入力を受け付ける入力手段を備えた複合機であって、前記FAX機能により受信したイメージデータ(FAX受信データ)を記憶する記憶手段と、前記入力手段を介してユーザ指示を受け付け、当該指示に基づき、前記記憶手段に記憶したFAX受信データをプリンタ機構で印刷する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶したFAX受信データに対応してユーザが前記入力手段より入力する印刷条件を受け付け、当該印刷条件で前記記憶手段に記憶したFAX受信データの印刷を行なうことを特徴とする複合機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はFAX機能を有する複合機に係り、特にFAX受信データの印刷を行なう複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読み取り機構と印刷機構を持ち、読み込んだ画像データを、自らの印刷機構により印刷する複合機が知られている。また、複合機の一部には、FAX機能を持ち画像データの送受信が可能なものがある。
【0003】
特許文献1には、FAX機能をもつデジタル複合機において、受信した画像データをメモリに蓄積し、印刷後にユーザ操作により蓄積画像を選択的に消去する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−270176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ユーザが任意の印刷条件でFAX受信データを適宜印刷する手段および方法、さらにはFAX受信データのセキュリティを確保する手段および方法については考慮されていない。
【0006】
従来のファクシミリ機能では、複数の受信者のFAX受信データが同一排紙トレイに受信順に逐次排出されるため、FAX受信データの混在が生じ易く、FAX受信データの機密保持という点では難点があり、その可能性は、複数のユーザが、プリンタおよびFAX機として共同使用するネットワーク対応複合機において、なお高かった。
【0007】
また、FAX受信データの印刷条件は固定されているのが一般的で、プリンタのように印刷データの内容に応じて、任意に、カラー/モノクロ印刷を切り替えたり、印字品質のきれい/普通を切り替える等のように、印刷条件を自在に変えるものはなかった。
【0008】
本発明は、FAX機能を有する複合機において、上記課題を解決し、FAX受信データに対応してユーザが任意に設定可能な印刷条件で、FAX受信データを印刷する手段および方法、さらにはFAX受信データのセキュリティを保守する手段および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明によれば、
FAX機能と、ユーザからの入力を受け付ける入力手段を備えた複合機であって、
前記FAX機能により受信したイメージデータ(FAX受信データ)を記憶する記憶手段と、
前記入力手段を介してユーザ指示を受け付け、当該指示に基づき、前記記憶手段に記憶したFAX受信データをプリンタ機構で印刷する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶したFAX受信データに対応してユーザが前記入力手段より入力する印刷条件を受け付け、当該印刷条件で前記記憶手段に記憶したFAX受信データの印刷を行なうこと
を特徴とする複合機が提供可能となる。
【0010】
また、前記の複合機であって、
前記制御手段は、前記FAX受信データに対応した通信に関する情報から成る付帯データを、当該FAX受信データに関連付けて前記記憶手段に記憶すること
を特徴とする複合機が提供可能となる。
【0011】
また、前記の複合機であって、
前記FAX受信データに対応した付帯データを表示する表示手段を備え、
前記制御手段は、前記付帯データを選択可能な状態で表示させ、前記入力手段を介して当該選択を受け付けると、前記付帯データに対応する前記FAX受信データを、前記プリンタ機構で印刷させること
を特徴とする複合機が提供可能となる。
【0012】
また、前記の複合機であって、
前記制御手段は、前記入力手段から設定させる印刷条件を、あらかじめ設定させる印刷条件と印刷時に設定させる印刷条件との、2つに層別して、ユーザに設定させること
を特徴とする複合機が提供可能となる。
【0013】
また、前記の複合機であって、
前記制御手段は、前記入力手段から入力される、ユーザを特定する識別子を認証する識別子認証手段を備え、
前記入力手段を介してユーザからの印刷指示を受け付けた時、当該識別子認証手段により前記入力される識別子の認証を実施し、当該識別子が認証されると、前記第1の記憶手段に記憶したFAX受信データの印刷を実行すること
を特徴とする複合機が提供可能となる。
【0014】
また、複合機で実行されるFAX受信データ印刷制御プログラムであって、
受信したFAX受信データを前記記憶手段に記憶し、前記入力手段を介してユーザ指示を受け付け、当該指示に基づき、前記記憶手段に記憶したFAX受信データをプリンタ機構で印刷させる制御手段として機能し、
前記制御手段が、前記記憶手段に記憶したFAX受信データに対応してユーザが前記入力手段より入力する印刷条件を受け付け、当該印刷条件で前記記憶手段に記憶したFAX受信データの印刷を行なうこと
を特徴とするFAX受信データ印刷制御プログラムが提供可能となる。
【0015】
また、複合機で実行されるFAX受信データ印刷方法であって、
前記制御手段が、
FAX受信データを前記記憶手段に記憶するステップと、
前記入力手段からのユーザ指示を受け付け、当該指示に基づき、前記記憶手段に記憶したFAX受信データを、前記プリンタ機構で印刷させるステップと、
前記FAX受信データに対応してユーザが前記入力手段より入力する印刷条件を受け付け、当該印刷条件で前記FAX受信データの印刷を行なうステップと、
から構成されること
を特徴とするFAX受信データ印刷制御方法が提供可能となる。
【0016】
また、ファクシミリ機能を備える印刷装置であって、
前記ファクシミリ機能により受信したイメージデータを記憶する記憶手段と、
ユーザの指示に基づいて、前記記憶手段に記憶したイメージデータを印刷対象として設定する印刷対象設定手段と、
印刷対象となったイメージデータの印刷に適用する印刷条件をユーザから受け付ける印刷条件受け付け手段と、
前記受け付けた印刷条件で、前記印刷対象となったイメージデータを印刷する印刷手段とを備えることを特徴とする印刷装置が提供可能となる。
【0017】
本発明によれば、複合機において、それぞれのFAX受信データに対応してユーザが設定した、任意の印刷条件で印刷が可能となる。
【0018】
また、ユーザの指示により、FAX受信データのプリントアウトが行なわれるので、プリントアウトされたFAX受信データの混在を防止でき、情報セキュリティが確保できる。
【0019】
また、本発明によれば、FAX受信データに対応した通信に関する情報(送信元情報、受信日時、あて先(受信元)等)に基づき、プリントアウトするFAX受信データを決定できるので、不要なプリントアウトを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明を適用した複合機のハードウェア構成の概要とそのネットワーク接続の概要を説明するためのブロック図である。
【0022】
本図に示すように、本発明による複合機30は、コンピュータ10(10A、10B、10C、・・・)と、ネットワーク50を介して接続したり、ローカル対応で接続したり、表示装置41・入力装置42と接続するためのインタフェース部310、FAX受信データ印刷制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、印刷/FAXデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、CPUを制御するための各種データ、各種プログラム等があらかじめ不揮発的に記憶されているROM(Read Only Memory)等から構成される制御部320、コンピュータ10から送信される印刷データやFAX受信データをプリントアウトする印刷機構部330、データのFAX送受信を実行するFAX機能部340を備えて構成される。
【0023】
また、印刷/FAXデータを記憶する記憶手段として、前記RAMと共に、あるいはRAMに替えてハードディスクやメモリーカード等の不揮発性の記憶装置を使用することもできる。
【0024】
前述のFAX受信データ印刷制御プログラムは、通常複合機30の供給メーカによって各機種に対応して開発され、製造時に前述の内蔵ROMに組込まれて、製品出荷される。
【0025】
インタフェース部310は、ネットワーク50やローカルインターフェースを介してコンピュータ10と送受信するプリンタ/FAXデータや、付設された入力装置42からの入力データを各機能部に受け渡したり、FAX受信状況またはFAX受信データ記憶状況や入力装置42から入力される情報を表示装置41へ渡し、表示装置41で表示を実行する機能を司る。
【0026】
制御部320は、詳細を後述するように、インタフェース部310、印刷機構部330、FAX機能部340を統合的に管理、制御する。
【0027】
印刷機構部330は、例えば、レーザ方式の印字機構を備えたページプリンタとすることができる。レーザ方式のページプリンタは、筐体内にトナーを収容したトナーカートリッジを備え、このトナーを印刷用紙等の印刷媒体に転写することで印刷を行なう。なお、プリンタ10は、カラーレーザプリンタ、モノクロレーザプリンタのいずれであっても良い。また、レーザ方式に替え、例えば、インクジェット方式のプリンタであっても良い。
【0028】
FAX機能部340は、画像データを読取るスキャナ機構を備えて構成されても良く、コンピュータ10から送られてくるデータや付設されたスキャナ機構で読取った画像データをファクシミリプロトコルに従って送信し、送られてきたFAXデータを受信する。
【0029】
本発明による複合機30は、インタフェース部310により、アプリケーションソフトウェアによる各種処理やその各種処理結果の印刷処理等を行なう複数台のコンピュータ10(10A、10B、10C、・・・)とコンピュータネットワークを介して接続される。もちろん、本発明による複合機は、コンピュータ10とローカル対応で接続され、使用されても構わない。
【0030】
ここで、コンピュータ10は、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用的な情報処理装置であって、各種プログラムを実行するCPU、データおよびプログラム等を一時的に記憶するRAM、コンピュータ10を制御するための各種データ、各種プログラム等があらかじめ不揮発的に記憶されているROM等から構成される制御部110、表示装置21・入力装置22やコンピュータネットワーク50等と接続するためのインタフェース部120、CD−ROM等の記録媒体にアクセスするためのメディアドライブ装置130およびハードディスク等の補助記憶装置140を備えて構成される。もちろん、コンピュータ10の構成はこれに限られない。
【0031】
図2は、本発明を適用した複合機の制御部320の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【0032】
制御部320の機能は、印刷機構部330の動作を制御する印刷制御部32A、FAX機能部340の動作を制御するFAX制御部32B、ROM・RAMの動作管理を行なうメモリ管理部32C、識別子記憶部324に記憶されたユーザ識別子に基づき、ユーザを特定する識別子を認証する識別子認証部32Dを備えて構成される。ここで、識別子記憶部324は、不揮発性の記憶装置で構成されるのが好ましい。
【0033】
CPUは、ROMにあらかじめ記憶されている前述のFAX受信データ印刷制御プログラムに従って、印刷制御部32A、FAX制御部32B、メモリ管理部32C、識別子認証部32Dを含む複合機全体の動作を管理し、特にインタフェース部310を通して入ってくる各種印刷データやFAX送受信データのRAMへの記憶管理やプリンタ/FAX機能へのデータ転送およびその機能の実施順序などを制御して、後述する機能を実現する。
【0034】
印刷制御部32Aは、CPUの指示に基づき、印刷機構部330の動作を制御し、コンピュータ10から送信される印刷データやFAX受信データをプリントアウトする。
【0035】
FAX制御部32Bは、CPUの指示に基づき、FAX機能部340の動作を制御し、データのFAX送受信を実施する。
【0036】
メモリ管理部32Cは、ROMからFAX受信データ印刷制御プログラムを読み出しCPUに伝える機能、および、CPUの指示に基づき、コンピュータ10から送信される印刷データや、FAX送受信データ、あるいはそのFAX受信データに対応した通信に関する情報から成る付帯データを含んで構成されるFAX受信データ情報、および印刷条件をRAMに記憶する機能を司る。
【0037】
識別子認証部32Dは、制御部320がユーザからの印刷指示を受け付けた時、識別子記憶部324に記憶されているユーザ識別子と、入力装置42から入力される識別子を比較し、両者が一致した時に入力された識別子を認証して、ユーザを特定し、以降の印刷処理を許可する。
【0038】
なお、ユーザ識別子は、あらかじめ、管理者が識別子記憶部324に記憶させてあり、容易にユーザが変更できないようになっている。
【0039】
以下、本実施形態の処理について、図3、図4、図5のフローに基づき、他の図を参照して説明する。
【0040】
図3は、本発明による複合機の特にFAX機能の処理の流れを示したフロー図であり、図4、図5は、図3の破線部の処理の詳細を示したフロー図である。
【0041】
図3のステップS101では、付設された入力装置42を使用してユーザが設定する基本印刷条件を受付け、メモリ管理部32Cによってその印刷条件をRAM323のあらかじめ定められた領域に記憶する。
【0042】
本発明による複合機は、印刷条件設定が2段階に分けて実施でき、1つは下記に説明する基本印刷条件であり、他方は図4ステップS1088で後述する、印刷時にFAX受信データに対応してユーザが設定する印刷条件である。
【0043】
もちろん、印刷条件設定が2段階に分けて実施できることは、本発明の必須事項ではないが、2段階に分けることによって、ユーザにとってより使い勝手の良い複合機が提供可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、2つのFAX設定モードがあり、1つはFAX受信時に自動印刷を実行する自動モードであり、他方はFAX受信時に自動印刷を実行せず、ユーザの指示に基づいて印刷を実行するパーソナルモードである。
【0045】
ここで、基本印刷条件とは、本実施形態においては、FAX受信時の自動印刷の実行有無(FAX設定モードの決定)、FAX受信データの印刷後の自動データ消去可否、自動モード時の印字品質の設定やカラー/モノクロ設定等の自動印刷条件や、後述のFAX受信データに対応してユーザが設定する印刷条件の初期設定値を言う。
【0046】
基本印刷条件が設定された後、本発明による複合機は、FAXデータ受信待機する(S102)。
【0047】
FAX機能部340でFAXデータを受信すると、制御部320は、ステップS101で設定された基本印刷条件のFAX設定モードの確認を実行する(S103)。
【0048】
FAX設定モードが、FAX受信時の自動印刷の実行有(自動モード)に設定されていた場合は、制御部320は、受信したFAX受信データを即座に自動印刷して印刷紙排紙トレイに排出する(S104)。また、図示はしないが、例えば、FAX受信データの印刷後の自動データ消去等の設定条件に基づき、設定された処理を実行し、FAX受信待ち(S102)状態となる。
【0049】
この処理は、従来のファクシミリ装置と同様であり、ユーザは、そのような機能も選択が可能となる。
【0050】
一方、FAX設定モードが、FAX受信時の自動印刷の実行無(パーソナルモード)に設定されていた場合は、制御部320は、FAX受信データをRAM323のあらかじめ定められた領域に記憶し(S105)、インタフェース部310を介して、FAX受信データの存在をLCDやLEDで構成された表示装置41に表示し(S106)、ユーザに告知する。もちろん、表示装置41の構成は、LCDやLEDに限られない。
【0051】
図7は、RAM323に記憶されるFAX受信データ情報を例示したもので、本実施形態では、FAX受信データと共に、そのFAX受信データに対応した受信日時、受信先、送信元のデータを含んで、FAX受信データの1レコードとして構成され、RAM323の所定の領域に記憶される。
【0052】
制御部320は、FAX受信データの存在を告知した後、新たなFAX受信やユーザのパネル操作(付設入力装置42の操作)などのイベント発生を待つ(S107)。この時、制御部320は、FAX受信データの存在の告知と共に、例えば、表示装置41に図6の画面(G107)を表示して、ユーザのパネル操作を促しても良い。
【0053】
ここで、新たなFAXデータを受信すると、ステップ103へ移行し上述の処理を再度実行する。
【0054】
一方、FAX受信データ処理のためのユーザのパネル操作が有ると、指定FAX受信データの印刷処理ステップ(S108)へ移行する。
【0055】
以下、図4、図5のフロー図に沿って、指定FAX受信データの印刷処理ステップ(S108)の処理を詳細説明する。
【0056】
ユーザのパネル操作が有って処理がステップS108に移行すると、ユーザ識別子(パスワードともいう)認証設定の確認ステップ(S1081)となり、複合機がFAX受信データを印刷するために、パスワードでユーザ認証を行なう機能を実施する設定となっているか否かを確認する。
【0057】
本設定は、前述の基本印刷条件の設定ステップ(S101)で行なわれても良いし、別にこの設定ステップを持つこともできる。あるいは、あらかじめ前述のFAX受信データ印刷制御プログラムに組込まれていても良い。
【0058】
パスワード認証設定が成されている場合は、パスワード認証ステップ(S1082)へ移行し、制御部320は、例えば、表示装置41に図6の画面(G1082)を表示して、ユーザにパスワード入力を促し、入力されたパスワードの認証を実施する。
【0059】
入力されたパスワードが正しくなければ、再度パスワード入力を促しても良いし、そのまま処理を終了しても良い。これにより、FAX受信データの印刷は、特定のユーザだけが可能となり、かつ、そのユーザが適宜印刷することができるため、FAX受信データの混在を防ぐことが容易となる。
【0060】
正しいパスワードが入力されるか、パスワード認証設定がされていない場合は、受信データ数確認ステップ(S1083)へ移行し、制御部320は、FAX受信データの件数を確認する。
【0061】
データ件数が複数の場合は、ステップS1084において、例えば、表示装置41に図6の画面(G1084)を表示して、ユーザが、印刷したいFAX受信データを選択させる。図6の画面(G1084)では、FAX受信データNo.2が選択されたことを例示しているが、選択状況をユーザに告知する手段として、本実施形態では、FAX受信データ番号を示す数字の「2」に網掛けをしている。
【0062】
本実施形態では、表示装置41に表示する内容として、送信元FAX番号、受信日時、あて先(受信元)といった、FAX受信データ対応の通信に関する情報を表示するが、表示内容はこれに限られない。
【0063】
以上のように、ユーザは、このFAX受信データ情報を確認して、印刷するFAX受信データを選択することができる。従って、FAX受信データの要/不要が判断可能で、不要なFAX受信データのプリントアウトを防止できる。
【0064】
FAX受信データが1件しかない場合、またはステップG1084で印刷対象が選択されると、印刷モード設定の確認ステップ(S1085)へ移行する。
【0065】
この印刷モード設定確認ステップS1085においては、制御部320は、初期設定印刷条件に基づく自動印刷を行なう自動モードに設定されているか、またはFAX受信データ対応で個別に詳細印刷条件を決める手動モードに設定されているか、を確認してそれぞれに対応した処理ステップへと移行する。
【0066】
印刷モードが自動モードに設定されている場合は、ステップS1086に移行し、基本印刷条件設定ステップ(S101)で定められた初期設定印刷条件を有効にし、印刷実行(S1089)する。または、送信元でFAXデータに印刷条件を付帯させていれば、その送信時規定印刷条件に初期設定印刷条件を変更し、印刷実行(S1089)する。
【0067】
一方、印刷モードが手動モードに設定されている場合、ステップS1087に移行し、例えば、表示装置41に図6の画面(G1087)を表示して、ユーザに、選択したFAX受信データを印刷するか再確認を促す。これにより、印刷不要なFAX受信データを印刷することなく、不要なプリントアウトを防止できる。
【0068】
ここで「印刷しない」が選択された場合は、印刷を実行せずにステップS108Aに移行し、「印刷する」が選択された場合は、FAX受信データ対応で個別に詳細印刷条件を決める詳細印刷条件設定ステップ(S1088)へ移行する。
【0069】
詳細印刷条件設定ステップ(S1088)においては、例えば、表示装置41に図6の画面(G1088)を表示して、制御部320は、ユーザに、これから印刷するFAX受信データに対する詳細印刷条件の入力を促す。本実施形態では、その印刷条件の1つとして、印刷を「カラーモード」で行なうか、「モノクロモード」で行なうかを、ユーザが決定して付設入力装置42から入力すると、制御部320は、その入力を受け付けて入力された印刷モードを、設定された印刷条件とする。同様に、他の印刷条件である、印字品質として「きれい」を選択するか「普通」を選択するか、あるいは用紙サイズとしてどのサイズを適用するか等をユーザに入力させ、設定された印刷条件とする。もちろん、この設定される印刷条件の項目は、本実施形態の例示に限られない。
【0070】
この詳細印刷条件の設定が終了すると、印刷実行ステップ(S1089)へ移行し、上記で設定された詳細印刷条件に基づき、印刷が実行される。
【0071】
これにより、ユーザは、プリンタで印刷する時のように、印刷データの内容等に応じて、カラー/モノクロ印刷を切り替えたり、印字品質のきれい/普通を切り替える等のように、任意に印刷条件を変えることができ、FAX受信データの内容に対応した印刷が可能となる。
【0072】
印刷実行(S1089)されると、保存されているFAX受信データ情報を自動消去する設定が成されているか、またはその設定は成されておらず手動でFAX受信データ情報を消去するか確認するステップ(S108A)へ移行する。
【0073】
本自動データ消去可否設定は、前述の基本印刷条件の設定ステップ(S101)で行なわれても良いし、別にこの設定ステップを持つこともできる。あるいは、あらかじめ前述のFAX受信データ印刷制御プログラムに組込まれていても良い。
【0074】
FAX受信データ情報を自動消去する設定が成されている場合は、保存データを消去し(S108C)、他の受信データの有無確認ステップ(S109)へ移行する。
【0075】
FAX受信データ情報を自動消去する設定が成されていない場合は、データ消去確認ステップ(S108B)へ移行し、例えば、表示装置41に図6の画面(G108B)を表示して、保存データを消去するか否か、再確認を促す。
【0076】
ここで「消去しない」が選択された場合は、データ消去を実行せずに、他の受信データの有無確認ステップ(S109)ステップに移行し、「消去する」が選択された場合は、保存データを消去し(S108C)、他の受信データの有無確認ステップ(S109)へ移行する。
【0077】
これにより、ユーザは、任意に、プリントアウト後もFAX受信データをRAM上に確保可能で、後日再印刷もできる。
【0078】
他の受信データの有無確認ステップ(S109)においては、他にFAX受信データがあるか否か確認して、他にFAX受信データがある場合は、図3のステップS107へ移行し、新たなFAX受信やユーザのパネル操作(付設入力装置42の操作)などのイベント発生を待つ。一方、他にFAX受信データがない場合は、図3のステップS102へ移行し、次のFAX受信待ち状態となり、一連のFAX機能処理を終了する。
【0079】
なお、本発明におけるFAX受信データ情報と基本印刷条件やFAX受信データに対応して設定された印刷条件は、1個のRAMの異なる領域に記憶されても良いし、同一の領域にFAX受信データ毎に記憶されても良い。また、RAMを複数個備え、個別に記憶されても構わない。
【0080】
本実施形態では、印刷/FAX受信データを記憶する記憶部として、RAMを例示して説明したが、ハードディスクやメモリーカード等の不揮発性の記憶装置を使用することもできる。
【0081】
以上のように、本発明によれば、複合機において、FAX受信データ個々に任意の印刷条件で印刷が可能となる。
【0082】
また、ユーザの指示により、FAX受信データのプリントアウトが行なわれるので、FAX受信データのプリントアウト紙が、他のプリントアウト紙へ混入してしまうことを防止でき、情報セキュリティが確保できる。
【0083】
また、FAX受信データに対応した通信に関する情報に基づき、プリントアウトするFAX受信データを決定できるので、不要なプリントアウトを防止できる。
【0084】
本発明は、コンピュータネットワークに接続され、複数のユーザに共用され、逐次各ユーザからのプリントアウトが成されるような環境で使用される複合機において、特に有効になる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】複合機のハードウェア構成ブロック図。
【図2】複合機の制御部の機能ブロック図。
【図3】複合機の処理の流れを示すフロー図。
【図4】複合機の処理の詳細を示すフロー図。
【図5】複合機の処理の詳細を示す他のフロー図。
【図6】複合機の表示装置の表示例を示す図。
【図7】FAX受信データ情報の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0086】
10…コンピュータ、21…表示装置、22…入力装置、30…複合機、32A…印刷制御部、32B…FAX制御部、32C…メモリ管理部、32D…識別子認証部、41…付設表示装置、42…付設入力装置、60…FAX受信データ情報構成例、310…インタフェース部、320…制御部、321…CPU、322…ROM、323…RAM、324…識別子記憶部、330…印刷機構部、340…FAX機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ(以下、FAXという)機能と、ユーザからの入力を受け付ける入力手段を備えた複合機であって、
前記FAX機能により受信したイメージデータ(FAX受信データ)を記憶する記憶手段と、
前記入力手段を介してユーザ指示を受け付け、当該指示に基づき、前記記憶手段に記憶したFAX受信データをプリンタ機構で印刷する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶したFAX受信データに対応してユーザが前記入力手段より入力する印刷条件を受け付け、当該印刷条件で前記記憶手段に記憶したFAX受信データの印刷を行なうこと
を特徴とする複合機。
【請求項2】
請求項1に記載の複合機であって、
前記制御手段は、前記FAX受信データに対応した通信に関する情報から成る付帯データを、当該FAX受信データに関連付けて前記記憶手段に記憶すること
を特徴とする複合機。
【請求項3】
請求項2に記載の複合機であって、
前記FAX受信データに対応した付帯データを表示する表示手段を備え、
前記制御手段は、前記付帯データを選択可能な状態で表示させ、前記入力手段を介して当該選択を受け付けると、前記付帯データに対応する前記FAX受信データを、前記プリンタ機構で印刷させること
を特徴とする複合機。
【請求項4】
請求項1に記載の複合機であって、
前記制御手段は、前記入力手段から設定させる印刷条件を、あらかじめ設定させる印刷条件と印刷時に設定させる印刷条件との、2つに層別して、ユーザに設定させること
を特徴とする複合機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合機であって、
前記制御手段は、前記入力手段から入力される、ユーザを特定する識別子を認証する識別子認証手段を備え、
前記入力手段を介してユーザからの印刷指示を受け付けた時、当該識別子認証手段により前記入力される識別子の認証を実施し、当該識別子が認証されると、前記第1の記憶手段に記憶したFAX受信データの印刷を実行すること
を特徴とする複合機。
【請求項6】
複合機で実行されるFAX受信データ印刷方法であって、
前記制御手段が、
FAX受信データを前記記憶手段に記憶するステップと、
前記入力手段からのユーザ指示を受け付け、当該指示に基づき、前記記憶手段に記憶したFAX受信データを、前記プリンタ機構で印刷させるステップと、
前記FAX受信データに対応してユーザが前記入力手段より入力する印刷条件を受け付け、当該印刷条件で前記FAX受信データの印刷を行なうステップと、
から構成されること
を特徴とするFAX受信データ印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−191473(P2006−191473A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2860(P2005−2860)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】