説明

複合機及び複合機の遠隔操作方法

【課題】 ユーザが電子メールを使って事前に且つ遠隔からウォームアップ開始を指示することができ、円滑な作業環境を実現すること。
【解決手段】 複合機100の電子メールアドレスであって当該複合機100に対してウォームアップを要求するコマンドとなるコマンドメールアドレスを宛先アドレスに設定したコマンドメールをユーザ端末501から送信する。複合機100は前記コマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスとして持つので、前記コマンドメールを受信する。そして、複合機100が当該コマンドメールアドレスからウォームアップの要求を認識してウォームアップを開始する。複合機100はコマンドメールによりウォームアップ処理を要求された場合はコピー可能時刻を計算してユーザ端末501へ返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機能を含む複数の機能を搭載した複合機及び複合機の遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー、スキャナ−、FAX等の機能を1台の装置に集約化した複合機が知られている。搭載する機能によって複合機のタイプも異なるが、ここでは未定着画像を熱溶融にて記録媒体に定着させる定着装置を備えた複合機を対象に説明する。
【0003】
待機時の消費電力を低減する目的で、待機期間中は定着装置のヒーター温度を下げておく省エネモードといわれる機能を搭載した複合機が増えている。
【0004】
省エネモード搭載の複合機は、原稿読取台に原稿が設置されたことを検知し又は操作パネルが操作されたことを検知してからウォームアップを開始する(例えば特許文献1参照)。すなわち、ユーザが複合機に対して直接何らかの操作を行ってからウォームアップを開始していた。ウォームアップ開始から所要温度に至るまでの時間(ウォームアップ時間)は、機種により異なるがカラー対応機種の場合は数分程度の時間を要している。
【特許文献1】特開平10−315535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザが複合機に対して直接操作を行ってからウォームアップに数分もの時間を要したのでは、円滑な作業の妨げとなる問題があった。
【0006】
本発明は以上のような実情に鑑みてなされたもので、ユーザが電子メールを使って事前に且つ遠隔からウォームアップ開始を指示することができ、円滑な作業環境を実現する複合機及び複合機の遠隔操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複合機の電子メールアドレスであって当該複合機に対してウォームアップを要求するコマンドとなるコマンドメールアドレスを宛先アドレスに設定したコマンドメールをユーザ端末から送信する。複合機は前記コマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスとして持つので、前記コマンドメールを受信する。そして、複合機が当該コマンドメールアドレスからウォームアップの要求を認識してウォームアップを開始するものとした。複合機はコマンドメールによりウォームアップ処理を要求された場合はコピー可能時刻を計算してユーザ端末へ返信することが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが電子メールを使って事前に且つ遠隔からウォームアップ開始を指示することができ、円滑な作業環境を実現する複合機及び複合機の遠隔操作方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1の態様は、少なくともコピー機能を有する複合機であって、ウォームアップ処理を要求するコマンドであるコマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスの一つとしてとして持ち、自己の電子メールアドレスを宛先アドレスとした電子メールをネットワーク経由で受信する電子メール通信手段と、受信電子メールの宛先アドレスに設定されたコマンドメールアドレスから要求された処理内容を判別する処理判別手段と、判別した処理を実行する処理実行手段と、を具備する複合機である。
【0010】
このように構成された複合機によれば、コマンドメールの宛先アドレスをコマンドとして複合機にウォームアップ処理を要求できるようにしたので、ユーザが電子メールを使って事前に且つ遠隔からウォームアップ開始を指示することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様の複合機において、前記電子メール通信手段は、ウォームアップ処理を要求するコマンドメールアドレスの他に、電源OFF処理を要求するコマンドであるコマンドメールアドレス及び又は複合機の状態取得処理を要求するコマンドであるコマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスとして持ち、これらのコマンドメールアドレスを宛先としたコマンドメールを受信するものとした。
【0012】
これにより、コマンドメールアドレスにより複合機に対して電子メールで電源OFF処理及び又は複合機の状態取得処理を要求することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の複合機において、前記処理判別手段が受信電子メールの宛先アドレスからウォームアップ処理を判別した場合、コピー可能時刻を記述した処理結果返信メールを作成して、前記電子メール通信手段から当該電子メールの送信元アドレスへ送信するものとした。
【0014】
これにより、ユーザはコマンドメールを発信した送信元アドレスにて、コピー可能時刻を記述した処理結果返信メールを受けることができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様の複合機において、前記処理判別手段が受信電子メールの宛先アドレスから電源OFF処理を判別した場合、電源OFF処理結果を記述した処理結果返信メールを作成して、前記電子メール通信手段から当該電子メールの送信元アドレスへ送信するものとした。
【0016】
これにより、ユーザはコマンドメールを発信した送信元アドレスにて、電源OFF処理結果を記述した処理結果返信メールを受けることができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様の複合機において、前記処理判別手段が受信電子メールの宛先アドレスから状態取得処理を判別した場合、状態取得結果並びに次処理として実行可能な処理を要求するコマンドメールアドレスを記述した処理結果返信メールを作成して、前記電子メール通信手段から当該電子メールの送信元アドレスへ送信するものとした。
【0018】
これにより、ユーザはコマンドメールを発信した送信元アドレスにて、状態取得結果並びに次処理として実行可能な処理を要求するコマンドメールアドレスを記述した処理結果返信メールを受けることができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、ユーザ端末において複合機に対してウォームアップを要求するコマンドとなるコマンドメールアドレスを宛先アドレスに設定したコマンドメールを送信し、前記コマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスの一つとして持つ前記複合機が前記コマンドメールを受信し、前記複合機において当該コマンドメールアドレスからウォームアップの要求を認識して、ウォームアップ処理を実行することを特徴とする複合機の遠隔操作方法である。
【0020】
本発明の第7の態様は、第6の態様の複合機の遠隔操作方法において、前記複合機はコマンドメールアドレスからウォームアップの要求を認識した場合、コピー可能時刻を計算し、コピー可能時刻を記述した処理結果返信メールを作成し、前記コマンドメールの送信元アドレスへ送信するものとした。
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について具体的に説明する。図1は本実施の形態のシステム構成図である。複合機100が接続されるLAN10上にパーソナルコンピュータ等で構成されるユーザ端末501、502、管理者端末503、メールサーバ504が接続された状態を示している。
【0022】
図2は、複合機100の機能ブロック図である。同図に示す複合機100は、本複合機100全体を制御する中央処理装置101と、ユーザによる操作を受け付ける一方、ユーザに対して情報を提示するための操作パネル201と、記録紙に対して画像形成を行う画像形成部301と、原稿の読み取りを行う原稿読取部401とを有し、電源410より上記各部に電源を供給する。電源410は図示していない電源制御ユニットによりON/OFF制御される。
【0023】
上記原稿読取部401は、原稿(即ち、読取対象物)を走査して画像データを出力する原稿走査部402と、挿入トレイにセットされた原稿を1部ずつ自動で走査位置まで搬送し、走査完了後の原稿を排紙トレイに排出する自動原稿送り部403とを有する。
【0024】
上記画像形成部301は、カラー画像を形成可能に構成されている。CPU303にシステムバス302を介して接続されているROM304及びRAM305を有し、ROM304は、CPU303の動作プログラムを格納するための格納領域として用いられ、RAM305は、CPU303のワークエリア等を確保するための格納領域として用いられる。また、記録紙が収納されている用紙収納部306と、用紙収納部306の用紙トレイを上昇/下降させる用紙トレイリフト部307と、用紙収納部306内の記録紙を画像記録に必要な工程へ搬送する用紙搬送部308と、用紙搬送部308を通して用紙収納部306から取り出された記録紙に画像を記録する画像記録部309と、画像記録部309によって記録された画像を記録紙に定着させる定着部310を有する。定着部310は、CPU102から指示を受けたCPU303の制御下でヒータ部を所要温度に上昇させるウォームアップを実行する。
【0025】
上記中央処理装置101においては、システムバス105を介してCPU102にROM103及びRAM104が接続されている。ROM103は、CPU102の動作プログラムを格納するための格納領域として用いられ、RAM104は、CPU102のワークエリア等を確保するための格納領域として用いられる。特に、CPU102は動作プログラムの一つである電子メールソフトウエアにより電子メール通信手段としての電子メール通信機能を備えている。そして、複合機100自体の電子メールアドレスとして1つ又は複数のコマンドメールアドレスを持ち、メールサーバ504から当該コマンドメールアドレスを宛先アドレスとした電子メール(コマンドメール)を受信するように設定されているものとする。CPU102は、処理判別手段及び処理実行手段として機能し、受信したコマンドメールのコマンドメールアドレスに対応した処理内容を判別して、ウォームアップ処理、電源OFF処理、状態取得処理を含む各種処理を実行する。さらに、ROM103は、プログラマブルROMで構成し、コマンドメールリスト、登録メンバーリスト、次処理リスト等のデータを格納及び更新できるようにしている。
【0026】
また、システムバス105に画像読取インタフェース(I/F)106、画像加工部107、コーデック108及び画像形成インタフェース(I/F)109が接続されている。画像読取インタフェース(I/F)106は、上記原稿読取部401とシステムバス105とを接続し、読み込んだ画像データを編集する部分である。画像加工部107は、画像データを拡大・縮小し、又は任意の角度に回転させる画像処理回路である。コーデック108は、画像データにエンコード/デコード処理を施す部分である。画像形成インタフェース(I/F)109は、記録画像の画像データを中央処理装置101から画像形成部301へ伝送する部分である。
【0027】
これらの画像読取インタフェース(I/F)106、画像加工部107、コーデック108及び画像形成インタフェース(I/F)109にローカルバス110を介して画像メモリ111及び画像蓄積メモリ112が接続されている。画像メモリ111には画像読取部106で読み取られた画像データが格納され、画像蓄積メモリ112にはコーデック108でエンコード処理が施された画像データが格納される。ローカルバス110でこれらの各デバイスを接続したのは、各デバイス間のデータ転送を高速化するためである。更に、システムバス105にLANインタフェース(I/F)113が接続されている。LANインタフェース(I/F)113は、ユーザ端末501、502、メールサーバ504等のLAN内外の通信装置から複合機100を宛先とした送信データの取り込みを行うと共にLAN内外の通信装置に対して複合機100が送信する送信データの送出を行う。
【0028】
図1に示すメールサーバ504は、複合機100が持つコマンドメールアドレスが宛先アドレスに設定されている電子メールを最終的にスプールするメールサーバである。メールサーバ504は、メールボックスにスプールしているコマンドメール及び他の電子メールを複合機100からの要求に応じて複合機100へ転送する。また、複合機100から送信される電子メールはメールサーバ504から他のメールサーバ経由又はダイレクトに送信先へ転送される。なお、複合機100がメールサーバ504の機能を搭載するように構成することもできる。
【0029】
本実施の形態は、図3に示すように、複合機100に対するコマンドとなるコマンドメールアドレスと、コマンドの実行内容である処理内容とを対応させておき、コマンドメール(コマンドメールアドレスを宛先アドレスに設定した電子メールのこと)を受信したら、当該コマンドメールの宛先アドレス(コマンドメールアドレス)に対応した処理内容を実行するように構成している。
【0030】
このように、ユーザはユーザ端末501、502や携帯端末(図示していない)から電子メールであるコマンドメールを使って、複合機100に処理を要求することができるようにしている。
【0031】
本実施例では、複合機100に対して遠隔からの処理要求を許可するユーザを制限する登録メンバーリストを定めている。図4に登録メンバーリストの一例を示す。登録メンバーリストには、ユーザがコマンドメールを発信する際に送信元アドレスとして使用するメールアドレスを登録する。
【0032】
これにより、コマンドメールに設定される送信元アドレスをチェックすることにより許可されたユーザか否か判断することができる。図3のコマンドメールリスト及び図4の登録メンバーリストはROM103に記憶しておくものとする。
【0033】
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について具体的に説明する。
【0034】
図5はユーザ端末501から複合機100に対してコマンドメールにて所望の処理を要求した場合の処理の流れを示している。ユーザはユーザ端末501上で起動したメーラを用いてコマンドメールを送信する。例えば、複合機100の定着部310を事前にウォームアップさせたい場合は、宛先アドレスとして[to:フィールド]にrainbow.warmup@jp.abcd.comを設定したコマンドメールを生成して送信する。なお、「rainbow」は複合機100の名称として任意に選んだ文字列である。このコマンドメールは宛先アドレス(コマンドメールアドレス)に従ってメールサーバ504へ転送され、そこから複合機100へ転送される。
【0035】
複合機100のCPU102は、コマンドメールを受信すると、当該受信メールの送信元情報からユーザ認証を行う。ユーザ認証に失敗した場合は、コマンドメールの送信元に対してエラーメールを返信する。ユーザ認証に成功した場合は、コマンドメールの種別を判別して、要求されている処理内容を認識する。今回のケースではウォームアップが要求されているのでウォームアップ処理を実行する。その他にも状態取得や電源OFF処理などをコマンドメールで要求可能になっている。処理が完了した場合(指示の完了でも良い)、その処理結果を含んだ処理結果メールを生成して送信する。
【0036】
以上のようにして、ユーザは自己の端末上でコマンドメールの宛先アドレス(コマンドメールアドレス)を選択するだけで、他は特別な入力を行うことなく(サブジェクト部やテキスト部にコマンドを手入力することなく)、複合機100に所望の処理を要求することができる。しかも、処理結果をコマンドメールの送信元アドレスに対して送信してもらうことができる。
【0037】
次に、複合機100におけるコマンドメール受信時の具体的な動作について説明する。
【0038】
図6はコマンドメール受信時のフロー図である。今、複合機100のCPU102がメールサーバ504からコマンドメールを受信したものとする。CPU102は、受信コマンドメールのメールヘッダの[from:フィールド]から発信元メールアドレスを取り出し(S101)、図4に示す登録メンバーリストをROM103から呼び出す処理を実行する(S102)。呼び出した登録メンバーリストに送信元メールアドレスが登録されているか否かチェックする(S103)。ユーザ登録を確認できない場合はユーザ認証失敗となり、コマンドメールの送信元メールアドレスを宛先アドレスにしてエラーメールを返信する(S104)。
【0039】
一方、ユーザ認証が成功した場合は、図3に示すコマンドメールリストをROM103から読み出し(S105)、今回受信したコマンドメールのコマンドメールアドレスに対応した処理内容をコマンドメールリストから取得する(S106)。CPU102は、コマンドメールアドレス=rainbow.warmup@jp.abcd.comのときは「ウォームアップ」、コマンドメールアドレス=rainbow.off@jp.abcd.comのときは「電源OFF」、コマンドメールアドレス=rainbow.status@jp.abcd.comのときは「状態取得」が要求されたと認識する(S106)。コマンドメールアドレスは、図3に例示したものに限定されるものではなく、任意に追加、削除、変更可能である。
【0040】
受信コマンドメールのコマンドメールアドレスが「ウォームアップ」を要求している場合は、中央処理装置101のCPU102から画像形成部301のCPU303に対してウォームアップ開始の指示を出す(S107)。また、受信コマンドメールのコマンドメールアドレスが「電源OFF」を要求している場合は、中央処理装置101のCPU102から電源410に電源OFFの指示を出す(S108)。また、受信コマンドメールのコマンドメールアドレスが「状態取得」を要求している場合は、中央処理装置101のCPU102は電源410、定着部310の状態を監視している各監視部から状態情報を取得して通知する(S109)。
【0041】
図7は図6のS107で実施されるウォームアップ処理の具体的なフロー図である。CPU102は、ウォームアップ処理を開始すると、ウォームアップ時間の問い合わせを行う(S201)。ウォームアップ時間監視部は後述するフロー図にしたがって現時点からのウォームアップ完了までの時間を常に監視していて、問い合わせを受け取るとウォームアップ完了までの時間(所要時間0の場合はウォームアップ済みを意味する)を返す。
【0042】
CPU102は、問い合わせ結果としてウォームアップ完了までの時間を受け取ったときは、ウォームアップ必要と判断して(S202)、画像形成部301のCPU303に対してウォームアップ開始の命令を出す(S203)。定着部310は、CPU102からウォームアップ開始の命令を受けたCPU303により定着部310のヒータ部を所定温度(記録可能温度)まで昇温させる制御を実施する(S204)。
【0043】
一方、CPU102はウォームアップ処理の結果を含んだ処理結果メールを生成する(S205)。具体的には、ウォームアップ開始時刻及びウォームアップ終了時刻をテキスト部に記述し、サブジェクト部に「ウォームアップコマンドメール返信」を記述し、メールヘッダの[to:フィールド]に、当該コマンドメールの送信元アドレスとして設定してあったメールアドレスを設定する。このような処理結果返信メールをコマンドメール送信者へ返信する(S206)。
【0044】
なお、上記S202の判断においてウォームアップ済みの回答を受け取った場合、ウォームアップされていたことを示す処理結果返信メールを作成する(S207)。具体的には、テキスト部に「ウォームアップされています」と記述し、サブジェクト部に「ウォームアップコマンドメール返信」を記述し、メールヘッダの[to:フィールド]に、当該コマンドメールの送信元アドレスとして設定してあったメールアドレスを設定する。このような処理結果返信メールをコマンドメール送信者へ返信する(S206)。
【0045】
このように、ユーザが複合機100でコピーを取りたいときは、事前にウォームアップ処理のコマンドメールアドレスにコマンドメールを送信することで、処理結果返信メールを受けとることができ、ウォームアップが完了しているか否か知ることができると共に、ウォームアップが完了していない場合はコピー可能時間を知ることができる。
【0046】
図8にウォームアップ時間監視のためのフロー図を示す。定期的にモード確認を実行する(S301)。モード監視部は、現在の定着部310の状態を「ヒートモード」、「クールモード」、「クーリングモード」のいずれに該当するか常に関している。ここで、「ヒートモード」はウォームアップが完了している状態であり、ウォームアップ時間の必要は無い。「クールモード」はヒータ部の温度が最低温度まで低下した状態であり、この状態でのウォームアップ時間は最大60秒かかるものとする。「クーリングモード」は「ヒートモード」から「クールモード」への移行期間であり、逐次ウォームアップ所要時間が変化する。
【0047】
S301で現在のモードを確認したら、「クーリングモード」であるか否か判断する(S302)。クーリングモード以外の場合は、「ヒートモード」又は「クールモード」であるのでウォームアップ所要時間は決まっている。よって、問い合わせが有るか否か判断し(S303)、問い合わせが来ていれば「ヒートモード」ならば0秒、「クールモード」ならば60秒をウォームアップ所要時間として返す(S304)。
【0048】
一方、「ヒートモード」から「クーリングモード」に移行した場合、本例ではウォームアップ最大所要時間を60秒、5秒経過毎にウォームアップ所要時間を1秒とする設定を行っておき、経過時間を「x」秒、経過時間に応じたウォームアップ所要時間を「y」秒としてウォームアップ所要時間「y」の計算を行う(S305)。先ず、経過時間「x」=0、ウォームアップ所要時間「y」=0とする(S306)。5秒経過するたびにウォームアップ所要時間「y」を1秒増やす(S307、S308)。そして、ウォームアップ所要時間「y」がウォームアップ最大所要時間(60秒)に到達したか否か判断し(S309)、ウォームアップ最大所要時間(60秒)に到達した場合は「クーリングモード」から「クールモード」に変化させる(S310)。一方、ウォームアップ最大所要時間(60秒)に到達していなければ、問い合わせがあるか否か判断し(S311)、問い合わせが有った場合はその時のウォームアップ所要時間「y」を返す(S312)。
【0049】
以上のようにして、常にウォームアップ所要時間「y」を監視することができ、図7のS201でCPU102から問い合わせがあれば即座にウォームアップ所要時間「y」を返すことができる。
【0050】
次に、図6のS108の電源OFF処理について、図9のフロー図を参照して具体的に説明する。CPU102は、受信コマンドメールの宛先アドレスであるコマンドメールアドレスから電源OFF処理が要求されていることを認識すると、現在の複合機100の状態から電源410をOFF可能か否か判断する(S401)。例えばコピー、プリントのジョブ予約が入っている場合又はジョブ実行中は電源OFFできないと判断する。この場合は、コマンドメールの送信者に対して複合機100の電源410をOFFすることができない旨の処理結果返信メールを送信する(S402)。コマンドメールの送信元アドレスを処理結果返信メールの宛先アドレスに設定し、サブジェクト部に「電源OFFコマンドメール返信」とのタイトルを記述し、テキスト部に「MFP(複合機の略称)は現在使用中です」といったメッセージを記述する。
【0051】
一方、S401の判断において電源OFF可能であると判断した場合は、電源410のON/OFFを制御する電源制御ユニット(図示していない)に対して電源OFF命令を発する(S403)。電源制御ユニットはCPU102からの電源OFF命令を受けて電源410をOFF制御する(S404)。なお、電源410が主電源と待機用の補助電源とで構成されている場合は、主電源側を断し、補助電源側は活かして置く。電源OFFした時間を保持して、電源OFF時間を記述した処理結果返信メールを作成する(S405)。具体的には、サブジェクト部には「電源OFFコマンドメール返信」のタイトルを記述し、テキスト部には「10:31に電源をOFFしました」といったメッセージを記述する。この処理結果返信メールを電源OFF処理の要求をするコマンドメールの送信者に返信する(S406)。
【0052】
以上のようにして、ユーザがユーザ端末501、501又は携帯端末等から電源OFF処理のコマンドメールアドレスを選択してコマンドメールを送信すれば、複合機100の電源をOFFできると共に、当該コマンドメールの返信メールとして電源OFF処理結果を送信元アドレスに受け取ることができる。
【0053】
次に、図6のS109の状態取得処理について、図10のフロー図を参照して具体的に説明する。CPU102は、受信コマンドメールの宛先アドレスであるコマンドメールアドレスから状態取得処理が要求されていることを認識すると、状態監視部に対して現在の複合機100の状態を問い合わせる(S501)。状態監視部は当該複合機100の現在の状態を常に監視している。例えば、電源410のON/OFF状態であるとかコピー動作、プリント動作等の複合機100の使用状態を監視している。そして、CPU102から問い合わせを受け取ると、現在の複合機100の状態をCPU102に返す。
【0054】
CPU102は、ROM103に格納している次処理リストを取得する(S502)。図11は次処理リストの一例を示す図である。ユーザは種々の目的の下に、複合機100の現在の状態を問い合わせるが、多くの場合は現在の状態を確認したら、次に希望する処理がある。そこで、本実施の形態では現在の状態に応じて次にできる処理のコマンドメールアドレスをユーザへ通知するように構成した。図11に示す例では、複合機100がON状態であれば、電源OFF処理とウォームアップ処理が次処理として選択可能である旨を示している。
【0055】
CPU102は、状態監視部から取得した現在の状態に対応した次処理及びそのコマンドメールアドレスを記述した処理結果返信メールを作成する(S503)。例えば、サブジェクト部には「状態取得コマンドメール返信」といったタイトルを記述し、テキスト部には次処理の内容と対応するコマンドメールアドレスとを記述する。
【0056】
このようにして作成した処理結果返信メールを当該コマンドメールの送信者(送信元アドレス)に対して返信する(S504)。
【0057】
以上のように、ユーザがユーザ端末501、501又は携帯端末等から状態取得処理のコマンドメールアドレスを選択してコマンドメールを送信すれば、複合機100の現在の状態を電子メールで通知されると共に、当該電子メールには次に選択可能な次処理の名称及び対応するコマンドメールアドレスが記述されているので、ユーザはさらに次の処理を要求するコマンドメールの送信に円滑に移行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、ユーザが電子メールを使って事前に且つ遠隔からウォームアップ開始を指示することができて円滑な作業環境を実現でき、複合機及び複合機の遠隔操作方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態のシステム構成図
【図2】上記実施の形態における複合機の機能ブロック図
【図3】コマンドメールリストの一例を示す図
【図4】登録メンバーリストの一例を示す図
【図5】複合機とユーザ端末とにおける基本的な処理の流れを示すフロー図
【図6】複合機がコマンドメールを受信した場合の全体の処理の流れを示すフロー図
【図7】ウォームアップ処理開始から終了までの処理の流れを示すフロー図
【図8】ウォームアップ時間監視のフロー図
【図9】電源OFF処理の流れを示すフロー図
【図10】状態取得処理の流れを示すフロー図
【図11】次処理リストの一例を示す図
【符号の説明】
【0060】
100 複合機
501,502 ユーザ端末
504 メールサーバ
101 中央処理装置
102 CPU
103 ROM
104 RAM
201 操作パネル
301 画像形成部
310 定着部
401 原稿読取部
410 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコピー機能を有する複合機であって、ウォームアップ処理を要求するコマンドであるコマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスの一つとしてとして持ち、自己の電子メールアドレスを宛先アドレスとした電子メールをネットワーク経由で受信する電子メール通信手段と、受信電子メールの宛先アドレスに設定されたコマンドメールアドレスから要求された処理内容を判別する処理判別手段と、判別した処理を実行する処理実行手段と、を具備する複合機。
【請求項2】
前記電子メール通信手段は、ウォームアップ処理を要求するコマンドメールアドレスの他に、電源OFF処理を要求するコマンドであるコマンドメールアドレス及び又は複合機の状態取得処理を要求するコマンドであるコマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスとして持ち、これらのコマンドメールアドレスを宛先としたコマンドメールを受信することを特徴とする請求項1記載の複合機。
【請求項3】
前記処理判別手段が受信電子メールの宛先アドレスからウォームアップ処理を判別した場合、コピー可能時刻を記述した処理結果返信メールを作成して、前記電子メール通信手段から当該電子メールの送信元アドレスへ送信することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の複合機。
【請求項4】
前記処理判別手段が受信電子メールの宛先アドレスから電源OFF処理を判別した場合、電源OFF処理結果を記述した処理結果返信メールを作成して、前記電子メール通信手段から当該電子メールの送信元アドレスへ送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の複合機。
【請求項5】
前記処理判別手段が受信電子メールの宛先アドレスから状態取得処理を判別した場合、状態取得結果並びに次処理として実行可能な処理を要求するコマンドメールアドレスを記述した処理結果返信メールを作成して、前記電子メール通信手段から当該電子メールの送信元アドレスへ送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の複合機。
【請求項6】
ユーザ端末において複合機に対してウォームアップを要求するコマンドとなるコマンドメールアドレスを宛先アドレスに設定したコマンドメールを送信し、前記コマンドメールアドレスを自己の電子メールアドレスの一つとして持つ前記複合機が前記コマンドメールを受信し、前記複合機において当該コマンドメールアドレスからウォームアップの要求を認識して、ウォームアップ処理を実行することを特徴とする複合機の遠隔操作方法。
【請求項7】
前記複合機はコマンドメールアドレスからウォームアップの要求を認識した場合、コピー可能時刻を計算し、コピー可能時刻を記述した処理結果返信メールを作成し、前記コマンドメールの送信元アドレスへ送信することを特徴とする請求項6記載の複合機の遠隔操作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−5883(P2006−5883A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182993(P2004−182993)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】