説明

複合積層型電子部品

【課題】 バリスタ素子部とインダクタ素子部とを、クラックの発生等が生じることなく確実に接合・一体化させることができ、部品のコンパクト化が図れる複合積層型電子部品を提供する。
【解決手段】 バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部(10)と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部(20)と、これらの双方の素子部を接合するために介在される接合中間層(50)とを有し、フェライト層は、Ni−Zn系の磁性フェライトであり、バリスタ層は、その主成分がZnOからなり、接合中間層は、組成の異なる第1番目から第N番目までのN層(Nは2以上の整数)の接合膜を積層することにより構成されており、その接合中間層の中でインダクタ素子部のフェライト層に接する第1番目の接合膜はZn系フェライトから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部と、これらの双方のブロックを接合するために介在される接合中間層とを有する複合積層型電子部品に関し、特に、2つの素子部をクラックの発生等が生じることなく確実に接合・一体化させることができる複合積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ機器等では、機器自らノイズを発生させないように、また、外部から機器内にノイズを侵入させないように、回路基板の入出力部や回路途中にフェライトチップやコンデンサチップやバリスタ等が組み込まれている。
【0003】
しかしながら、積層型バリスタ、インダクタ(フェライトチップ)、コンデンサチップ等の多くの部品を回路基板に付加すると、これらの部品が基板面積を多く占有してしまい、実装スペースが拡大してしまうという問題がある。また、部品点数が増えることによりコストアップの問題が生じてしまう。
【0004】
このような問題に対して各素子チップを互いに接合させた状態で一体化焼結させて複合部品をつくり、部品のコンパクト化、実装スペースの削減化等を図る試みがなされている。
【0005】
特に、一体化焼結が困難とされているバリスタとインダクタ(フェライトチップ)の一体化に関する先行技術として、例えば、特開平7−220906号公報には、層はがれやデラミネ−ションやクラックを抑制した複合機能素子を提供することを目的とし、バリスタ特性を有する半導体磁器と、磁性材料磁器を接合して一体成形する場合において、半導体磁器と磁性材料磁器の双方にBi23およびガラス組成物を添加する旨の提案がなされている。しかしながら、この提案においても依然として半導体磁器と磁性体磁器の界面での接合面にクラックが生じやすい傾向があり、さらには、製品化に十分なだけの接合力を得ることは極めて困難といえる。
【0006】
また、特開平7−22210号公報には、バリスタ特性を備える半導体磁器とFe−Ni−Zn系材料を主成分とする磁性体磁器とを積層して一体成形する場合において、半導体磁器と磁性体磁器の双方にBiを添加するように構成する旨の提案がなされている。しかしながら、この提案においても、上記の先行技術と同様に、半導体磁器と磁性体磁器の界面での接合面にはクラックが生じやすく、さらには、製品化に十分なだけの接合力を得ることは極めて困難といえる。
【0007】
また、特開平9−283339号公報には、インダクタブロックとバリスタブロックとの間に、磁性体組成物およびバリスタ組成物の混合物からなる中間層を設ける旨の提案がなされている。しかしながら、単に混合物からなる中間層を設けることのみでは、磁性体組成物側へのクラックの発生を避けることは難しい。さらに、中間層の厚さを極力薄くして素子全体のコンパクト化を図ることも困難であるといえる。
【0008】
【特許文献1】特開平7−220906号公報
【特許文献2】特開平7−22210号公報
【特許文献3】特開平9−283339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部とをクラックの発生がなく、確実に接合・一体化させることができ、部品のコンパクト化が図れる複合積層型電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決すべき本願発明は以下の過程を経て創設された。
すなわち、本出願に係る発明者らが、インダクタ素子部の素地の主要部をなすNi−Zn系の磁性フェライト層と、バリスタ素子部の素地の主要部をなすバリスタ層とを、これらの混合層からなる中間層を介して焼成・一体化を図ろうとする実験をずっと試みてきた。つまり、中間層の組成割合を種々変え、中間層の厚さを種々変えて実験を試みてきた。しかしながら、ある程度実用化可能な中間層厚さに設定した場合(例えば、300μm以下の厚さ)、接合界面(特に、フェライト層側)におけるクラックの発生を完全になくすることは極めて困難であった。その原因を界面の電顕写真により分析したところ、中間層とフェライト層との接合面にNiの偏析が原因として考えられるようなポアが生じていることが確認された。つまり、接合面にNiが偏析して、この箇所が焼結不足となりポアが生じたのではないかと推測した。
【0011】
そこで、本出願に係る発明者らは、接合面へNiの偏析を極力防止できる方策を種々検討した結果、中間層を2層以上の接合膜とし、かつ、インダクタ素子部の素地の主要部をなすNi−Zn系の磁性フェライト層と接する第1番目の接合膜をZn系フェライトから構成することによって、焼成後のポアの発生が無くなり、クラックの発生が見られなくなったことを見出し本発明に想到したものである。
【0012】
すなわち、本発明は、バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部と、これらの双方の素子部を接合するために介在される接合中間層とを有する複合積層型電子部品であって、前記フェライト層は、Ni−Zn系の磁性フェライトであり、前記バリスタ層は、その主成分がZnOからなり、前記接合中間層は、組成の異なる第1番目から第N番目までのN層(Nは2以上の整数)の接合膜を積層することにより構成されており、前記インダクタ素子部の主要部を構成するフェライト層に接する第1番目の接合膜がZn系フェライトから構成される。
【0013】
また、本発明の好ましい態様として、前記接合中間層を構成する第2番目から第N番目までの各接合膜は、それぞれ、前記インダクタ素子部のフェライト層または第1番目の接合膜を構成する組成成分と、ZnOとを所定の割合で混合することにより構成される。
【0014】
また、本発明の好ましい態様として、前記接合中間層を構成する第2番目から第N番目までの各接合膜は、それぞれ、K,Na,またはLiが含有されてなるように構成される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様として、前記Ni−Zn系の磁性フェライトは、ZnまたはFeの一部をCu,Mg,Mnの少なくとも1種で置換された組成を含むように構成される。
【0016】
また、本発明の好ましい態様として、前記第1番目の接合膜であるZn系フェライトは、ZnまたはFeの一部をNi,Mg,Mn,Cuの少なくとも1種で置換された組成を含むように構成される。
【0017】
また、本発明の好ましい態様として、前記Ni−Zn系の磁性フェライトは、酸化鉄がFe23換算で40〜50モル%、酸化ニッケルがNiO換算で10〜50モル%、酸化亜鉛がZnO換算で1〜35モル%含有されており、前記バリスタ層は、その主成分であるZnOが95〜98モル%含有されてなるように構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の複合積層型電子部品は、バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部と、これらの双方の素子部を接合するために介在される接合中間層とを有し、前記インダクタ素子部の主要部を構成するフェライト層は、Ni−Zn系の磁性フェライトであり、バリスタ層は、その主成分がZnOからなり、接合中間層は、組成の異なる第1番目から第N番目までのN層(Nは2以上の整数)の接合膜を積層することにより構成されており、その接合中間層の中でインダクタ素子部のフェライト層に接する第1番目の接合膜はZn系フェライトから構成されているので、双方の素子部をクラック発生させることなく確実に接合・一体化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部と、これらの双方の素子部を接合するために介在される接合中間層とを有する複合積層型電子部品に関するものであり、本発明の要部は、従来より接合が困難とされていた上記の双方の素子部の接合を確実に行なえるようにした接合中間層の仕様の設定にある。
【0020】
本発明の要部である接合中間層の仕様設定の説明をする前に、複合積層型電子部品の一例の全体構成の説明を図1〜図2を参照しつつ説明する。なお、図示例はあくまでもバリスタ素子部とインダクタ素子部を接合する状態を模式的に示すためのものであり、これにチップコンデンサ等をさらに積層付加するようにモディファイした部品としてもよい。
【0021】
図1は、複合積層型電子部品を示す斜視図である。図2は、複合積層型電子部品の積層構造を分かりやすく説明するための積層体の分解斜視図である。
【0022】
複合積層型電子部品100は、図1に示されるように、略直方体形状の積層体1を備えており、積層体1により積層型電子部品100の本体が構成される。積層体1は、それぞれ対向する一対の側面9a,9bと、一対の側面9c,9dと、一対の上面9e及び底面9fとを有し、これらの各面9a〜9fにより略直方体形状を呈している。なお、底面9fは、複合積層型電子部品100が外部基板に実装されたときに、当該外部基板に対向する面である。
【0023】
また、複合積層型電子部品100は、積層体1の側面9a上に形成された入力端子(第1の端子電極)3と、側面9b上に形成された出力端子(第2の端子電極)5と、側面9c,9d上に形成された一対のグランド端子(第3の端子電極)7とを備えている。入力端子3は、側面9aの全面を覆い、更にその一部が各面9c〜9f上に回りこんで形成されている。出力端子5は、側面9bの全面を覆い、更にその一部が各面9c〜9f上に回り込んで形成されている。各グランド端子7は、積層体1の積層方向に帯状に伸びると共に、更にその両端部が上面9e及び底面9fに回り込んで形成されている。
【0024】
本発明における複合積層型電子部品100は、図2に示されるように積層体1の構成部材としてバリスタ素子部10と、インダクタ素子部20とを有している。
【0025】
〔バリスタ素子部10についての説明〕
まず、バリスタ素子部10の構成について説明する。バリスタ素子部10は、いわゆる内部電極であるホット電極B1、グランド電極B2及びそれらの導出部B1a,B2aがそれぞれ形成されたバリスタ用グリーンシートA2,A3を含む複数(本第1実施形態では4枚)のバリスタ用グリーンシートA1〜A4が積層されることにより構成される。ホット電極B1は信号用のバリスタ電極であり、グランド電極B2は接地用のバリスタ電極である。
【0026】
実際の複合積層型電子部品100は、バリスタ用グリーンシートA1〜A4間の境界が視認できない程度に一体化されている。バリスタ用グリーンシートA1〜A4は、焼成されることによりバリスタ層として機能する。
【0027】
バリスタ用グリーンシートA1〜A4は、例えばZnO、Co34、Pr611、CaCO3、SiO2の混合紛を原料としたスラリーをドクターブレード法によってフィルム上に塗布することで形成される。このバリスタ用グリーンシートA1〜A4の組成により、印加される電圧に対して抵抗値が非直線的に変化する電圧非直線性が発現することとなる。また、バリスタ用グリーンシートA1〜A4の厚みは、例えば30μm程度である。なお、バリスタ用グリーンシートA1〜A4の組成については後に詳述する。
【0028】
バリスタ用グリーンシートと電極との関係についてさらに詳述する。バリスタ用グリーンシートA2の表面には、ホット電極B1及び導出部B1aがそれぞれ形成されており、ホット電極B1は、バリスタ用グリーンシートA2よりも一回り小さな略長方形状を呈している。ホット電極B1には、一方の短辺の中央部に導出部B1aが一体的に形成されている。ホット電極B1の導出部B1aは、略矩形状を呈しており、バリスタ用グリーンシートA2の縁に引き出され、その端部がバリスタ用グリーンシートA2の端面に露出している。このため、ホット電極B1の導出部B1aは、入力端子3に電気的に接続される。
【0029】
バリスタ用グリーンシートA3の表面には、グランド電極B2及び導出部B2aがそれぞれ形成されている。グランド電極B2は、バリスタ用グリーンシートA3よりも一回り小さな略長方形状を呈している。グランド電極B2には、両短辺の中央部に一対の導出部B2aがそれぞれ一体的に形成されている。グランド電極B2の導出部B2aは、略矩形状を呈しており、バリスタ用グリーンシートA3の縁に引き出され、その端部がバリスタ用グリーンシートA3の端面に露出している。このため、グランド電極B2の導出部B2aは、各グランド端子7にそれぞれ接続されることとなる。
【0030】
以上のように、各バリスタ用グリーンシートA1〜A4が積層され、ホット電極B1とグランド電極B2とがバリスタ用グリーンシートA2を挟むことで、バリスタVが構成される。なお、ホット電極B1、グランド電極B2及び各導出部B1a,B2aは、それぞれ例えば、Pdを主成分とするペーストをバリスタ用グリーンシートA2,A3にスクリーン印刷することにより形成される。ホット電極B1、グランド電極B2及び導出部B1a,B2aの厚みは、例えば5μm程度に設定される。
【0031】
〔インダクタ素子部20についての説明〕
次いで、インダクタ素子部20の一つの構成例について説明する。インダクタ素子部20は、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部と、内部導体である導体パターンB3〜B13を備えるインダクタ用グリーンシートA6〜A11を含む複数(本第1実施形態では7枚)のインダクタ用グリーンシート(フェライト層)A5〜A12が積層されることにより構成される。実際の複合積層型電子部品100は、インダクタ用グリーンシートA5〜A12間の境界が視認できない程度に一体化されている。インダクタ用グリーンシートA5〜A12は、焼成されることにより絶縁層として機能する。
【0032】
インダクタ用グリーンシートA5〜A12は、電気絶縁性を有する絶縁体である。
【0033】
本発明におけるインダクタ用グリーンシートA5〜A12は、Ni−Zn系の磁性フェライトを原料としたスラリーをドクターブレード法によりフィルム上に塗布することで形成される。インダクタ用グリーンシートA5〜A12の厚みは、例えば20μm程度とされる。
【0034】
インダクタ用グリーンシートA6の表面には、各導体パターンB3,B8が互いに所定の間隔を有した状態でインダクタ用グリーンシートA6の長手方向に並設されている。各導体パターンB3,B8は、互いに電気的に絶縁されている。各導体パターンB3,B8は、それぞれコイル形成の略1/2ターンに相当し、略L字状に形成されている。各導体パターンB3,B8の一端には、導出部B3a,B8aがそれぞれ一体的に形成されている。各導体パターンB3,B8の導出部B3a,B8aは、インダクタ用グリーンシートA6の縁にそれぞれ引き出され、各端部がインダクタ用グリーンシートA6の端面にそれぞれ露出している。このため、導出部B3aは入力端子3と電気的に接続され,導出部B8aは出力端子5と電気的に接続されることとなる。
【0035】
各導体パターンB3,B8の他端は、インダクタ用グリーンシートA6を厚み方向に貫通して形成されたスルーホール電極C1,C6と電気的に接続されている。このため、各導体パターンB3,B8は、積層体1が積層された状態で、スルーホール電極C1,C6を介して対応する各導体パターンB4,B9の一端とそれぞれ電気的に接続される。
【0036】
インダクタ用グリーンシートA7の表面には、各導体パターンB4,B9が互いに所定の間隔を有した状態でインダクタ用グリーンシートA7の長手方向に並設されている。各導体パターンB4,B9は、互いに電気的に絶縁されている。各導体パターンB4,B9は、それぞれコイル形成の略3/4ターンに相当し、略U字状に形成されている。
【0037】
各導体パターンB4,B9の一端には、積層体1が積層された状態で各スルーホール電極C1,C6と電気的に接続される領域がそれぞれ含まれている。各導体パターンB4,B9の他端は、インダクタ用グリーンシートA7を厚み方向に貫通して形成された各スルーホール電極C2,C7とそれぞれ電気的に接続されている。このため、各導体パターンB4,B9は、積層体1が積層された状態で、各スルーホール電極C2,C7を介して対応する各導体パターンB5,B10の一端とそれぞれ電気的に接続される。
【0038】
インダクタ用グリーンシートA8の表面には、各導体パターンB5,B10が互いに所定の間隔を有した状態でインダクタ用グリーンシートA8の長手方向に並設されている。各導体パターンB5,B10は、互いに電気的に絶縁されている。各導体パターンB5,B10は、それぞれコイル形成の略3/4ターンに相当し、略C字状に形成されている。各導体パターンB5,B10の一端には、積層体1が積層された状態で各スルーホール電極C2,C7と電気的に接続される領域がそれぞれ含まれている。各導体パターンB5,B10の他端は、インダクタ用グリーンシートA8を厚み方向に貫通して形成された各スルーホール電極C3,C8とそれぞれ電気的に接続されている。このため、各導体パターンB5,B10は、積層体1が積層された状態で、各スルーホール電極C3,C8を介して対応する各導体パターンB6,B11の一端とそれぞれ電気的に接続される。
【0039】
インダクタ用グリーンシートA9の表面には、各導体パターンB6,B11が互いに所定の間隔を有した状態でインダクタ用グリーンシートA9の長手方向に並設されている。各導体パターンB6,B11は、互いに電気的に絶縁されている。各導体パターンB6,B11は、それぞれコイル形成の略3/4ターンに相当し、略U字状に形成されている。各導体パターンB6,B11の一端には、積層体1が積層された状態で各スルーホール電極C3,C8と電気的に接続される領域がそれぞれ含まれている。各導体パターンB6,B11の他端は、インダクタ用グリーンシートA9を厚み方向に貫通して形成された各スルーホール電極C4,C9とそれぞれ電気的に接続されている。このため、各導体パターンB6,B11は、積層体1が積層された状態で、各スルーホール電極C4,C9を介して対応する各導体パターンB7,B12の一端とそれぞれ電気的に接続される。
【0040】
インダクタ用グリーンシートA10の表面には、各導体パターンB7,B12が互いに所定の間隔を有した状態でインダクタ用グリーンシートA10の長手方向に並設されている。各導体パターンB7,B12は、互いに電気的に絶縁されている。各導体パターンB7,B12は、それぞれコイル形成の略1/2ターンに相当し、略C字状に形成されている。各導体パターンB7,B12の一端には、積層体1が積層された状態で各スルーホール電極C4,C9と電気的に接続される領域がそれぞれ含まれている。各導体パターンB7,B12の他端は、インダクタ用グリーンシートA10を厚み方向に貫通して形成された各スルーホール電極C5,C10とそれぞれ電気的に接続されている。このため、各導体パターンB7,B12は、積層体1が積層された状態で、各スルーホール電極C5,C10を介して対応する導体パターンB13の各端部とそれぞれ電気的に接続される。
【0041】
以上のように、各インダクタ用グリーンシートA5〜A11が積層され、各導体パターンB3〜B7が各スルーホール電極C1〜C4を介して相互に電気的に接続されることにより、1つのコイルが構成されることとなる。また、各導体パターンB8〜B12が各スルーホール電極C6〜C9を介して相互に電気的に接続されることにより、もう1つのコイルが構成されることとなる。
【0042】
インダクタ用グリーンシートA11の表面には、導体パターンB13がインダクタ用グリーンシートA11の長手方向に伸びて、略I字状に形成されている。導体パターンB13の両端に対応する位置には、積層体1が積層された状態で各スルーホール電極C5,C10と電気的に接続される領域がそれぞれ含まれている。これにより、2つのコイルが直列に電気的に接続される。
【0043】
なお、導体パターンB3〜B13及びスルーホール電極C1〜C11は、それぞれ例えば、Pdを主成分とするペーストをインダクタ用グリーンシートA6〜A11にスクリーン印刷することによって形成される。導体パターンB3〜B13の厚みは、例えば14μm程度とされる。
【0044】
接合中間層についての説明
バリスタ素子部10と、インダクタ素子部20との間には、これらの素子部を接合させるための接合中間層50が介在される。
【0045】
本発明における接合中間層50は、組成の異なる第1番目から第N番目までのN層の接合膜を積層することにより構成される(図2の例では3層の接合層A20〜A22が例示されている)。そして、本発明における接合中間層50を構成するN層の接合膜には、インダクタ素子部20およびバリスタ素子部10との間において以下のような設定が行われる。
【0046】
すなわち、インダクタ素子部20のいわゆる素地の主要部をなすフェライト層は、Ni−Zn系の磁性フェライトから構成されており、このNi−Zn系の磁性フェライト層に接する第1番目の接合膜は、Zn系フェライトから構成される。
【0047】
このZn系フェライトからなる第1番目の接合膜を設けることにより、接合面にNiが偏析して、この箇所が焼結不足となり焼成後のポアの発生を防止できる。その結果、接合面でのクラックの発生を防ぐことができる。
【0048】
このような第1番目の接合膜の厚さは、5〜200μm、好ましくは、30〜120μmとされる。この値が、200μmを超えると、素子が厚くなり過ぎるという不都合が生じる傾向があり、また、この値が、5μm未満であると焼成後のポアの発生の防止およびそれに基づく接合面でのクラックの発生を防止できなくなるという不都合が生じる傾向がある。
【0049】
また、本発明におけるZn系フェライトからなる第1番目の接合膜は、ZnまたはFeの一部をNi,Mg,Mn,Cuの少なくとも1種で置換した組成を含むことができる。Ni,Mg,Mn,Cuの置換は15モル%以内とされる。さらに、添加成分として、SiO2、CaCO3,ZrO2,SnO2,TiO2,MoO3,Bi23,WO3,CoO等を1wt%程度含有していてもよい。
【0050】
また、接合中間層を構成する第2番目から第N番目までの各接合膜は、それぞれ、インダクタ素子部のフェライト層または第1番目の接合膜を構成する組成成分と、ZnO(バリスタ層を構成する組成成分とすることもできる)を所定の割合で混合することにより構成するようにすることが望ましい。その際、フェライト層により近い位置に配置される接合膜は、より多くのフェライト層組成成分を含み、反対に、バリスタ層より近い位置に配置される接合膜は、より多くのバリスタ層組成成分を含むように配合するのがよい。
【0051】
一般的に、インダクタ素子部のフェライト層の線膨張率が最も大きいために、バリスタ素子部のバリスタ層に向かうにつれて、徐々に、線膨張率が低下するように各接合膜の配合を調整することが望ましいのである。より具体的には、第1番目の接合膜を除く、N−1箇所の接合界面を構成する隣接する接合膜同士の相互の線膨張率の差を2(ppm/K)以内(特に、好ましくは1(ppm/K)以内)、バリスタ素子部10の素地の主要部をなすバリスタ層と、これに接する第N番目の接合膜との相互の線膨張率の差が2(ppm/K)以内(特に、好ましくは1(ppm/K)以内)となるように構成することが望ましい。
【0052】
Nは2以上の整数であり、好ましくは、N=2〜5、より好ましくはN=2〜4、さらに好ましくはN=3〜4とされる。Nの上限に特に制限はないが、Nが多くなるにつれて準備しておかなければならない接合膜の配合組成数が増えるので、製造コストの上昇にも繋がる。
【0053】
このような接合膜の集合体から構成される接合中間層50の総和厚さは、300μm以下、好ましくは、270μm以下、さらには、120〜270μmとされる。この値が300μmを超えると、素子が厚くなり過ぎるという不都合が生じる傾向にある。
【0054】
以下、接合中間層50を構成する接合膜の数Nを具体的な数に限定して説明する。
【0055】
例えば、N=4の場合には、図3に示されるような接合膜の積層構成とされる。すなわち、図3に示されるように接合中間層50は、組成の異なる第1番目から第4番目までの4層の接合膜51,52,53,54を積層することにより構成される。それらの総和厚さは300μm以下とすることが望ましい。
【0056】
インダクタ素子部20を構成するフェライト層A5は、Ni−Zn系の磁性フェライトから構成され、これに接する第1番目の接合膜51は、Zn系フェライトから構成される。この第1番目の接合膜51と接する第2番目の接合膜52は、インダクタ素子部のフェライト層を構成する組成成分と、ZnO(バリスタ層を構成する組成成分としてもよい)とを例えば75:25(wt比)の割合で混合することにより構成される。
【0057】
この第2番目の接合膜52と接する第3番目の接合膜53は、インダクタ素子部のフェライト層を構成する組成成分と、バリスタ層を構成する組成成分とを例えば50:50(wt比)の割合で混合することにより構成される。この第3番目の接合膜53と接する第4番目の接合膜54は、インダクタ素子部のフェライト層を構成する組成成分と、バリスタ層を構成する組成成分とを例えば25:75(wt比)の割合で混合することにより構成される。第4番目の接合膜54は、その片面がバリスタ層A4と接している。
【0058】
さらに、バリスタ層組成成分とフェライト層組成成分とを混合して形成された接合膜には、K,Na,またはLiを添加することが望ましい。バリスタ層組成成分とフェライト層組成成分との混合により低下した抵抗を上げるためである。
【0059】
インダクタ素子部のフェライト層の組成についての説明
本発明のインダクタ素子部のフェライト層は、上述したようにNi−Zn系の磁性フェライトから構成される。本発明におけるNi−Zn系の磁性フェライトは、酸化鉄がFe23換算で40〜50モル%、酸化ニッケルがNiO換算で10〜50モル%、酸化亜鉛がZnO換算で1〜35モル%含有されている。
【0060】
本発明で使用されるNi−Zn系フェライトは、ZnやFeの一部をCu,Mg,Mnの少なくとも1種で置換した組成としてもよく、このような組成範囲をも本発明の範囲内に含むものである。Cu,Mg,Mnの置換は5モル%以内とされる。
【0061】
さらに、添加成分として、SiO2、CaCO3,ZrO2,SnO2,TiO2,MoO3,Bi23,WO3,CoO等を1wt%程度含有していてもよい。
【0062】
バリスタ素子部のバリスタ層の組成についての説明
バリスタ層は、その主成分であるZnOが、95モル%以上、特に95〜98モル%含有される。さらに、Co,Pr等が副成分として含有される。
【0063】
次に、図1および図2に示される複合積層型電子部品100作製方法について説明する。まず、バリスタ用グリーンシートA1〜A4、インダクタ用グリーンシートA5〜A12、および接合中間層としての各接合膜グリーンシートA20〜A22を用意する。
【0064】
次に、各インダクタ用グリーンシートA6〜A11の所定の位置、すなわちスルーホール電極C1〜C10を形成する予定位置に、レーザー加工等によってスルーホールを形成する。
【0065】
次に、バリスタ用グリーンシートA2,A3にそれぞれホット電極B1、グランド電極B2及び導出部B1a,B2aを形成する。また、インダクタ用グリーンシートA6〜A11にそれぞれ導体パターンB3〜B13及び導出部B3a,B8aを形成する。さらに、各スルーホール電極C1〜C10形成する。
【0066】
次に、各バリスタ用グリーンシートA1〜A4、各インダクタ用グリーンシートA5〜A12、及び接合中間層としての各接合膜グリーンシートA20〜A22を、図2に示された順序にて積層して圧着し、チップ単位に切断した後に所定温度(例えば、1100〜1200℃)にて焼成する。
【0067】
これにより、各グリーンシート間の境界が視認できない程度に一体化され、積層体1が形成されることとなる。
【0068】
次に、この積層体1に入力端子3、出力端子5及びグランド端子7を形成する。これにより、積層型電子部品E1が形成されることとなる。入力端子3、出力端子5及びグランド端子7は、積層体1の側面9a〜9dに銀を主成分とする電極ペーストをそれぞれ転写した後に所定温度(例えば、600〜700℃)にて焼き付け、更に電気めっきを施すことにより、形成される。電気めっきには、NiとSn、CuとNiとSn、NiとAu、NiとPdとAu、NiとPbとAg、又はNiとAg等を用いることができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の具体的実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0070】
[実験例1]
〔インダクタ素子部のNi−Zn系磁性フェライト層の形成材料の作製〕
Fe23が49モル%、NiOが34モル%、CuOが2モル%、ZnOが15モル%となるように秤量した。この秤量物に純水を加えてボールミルで24時間混合してスラリーを形成した。
【0071】
このスラリーをろ過、乾燥させて造粒した後、900℃の温度で2時間仮焼きした。
【0072】
次いで、仮焼き物に純水を加えてさらに微粉砕した。
【0073】
次いで、得られた微粉末をろ過、乾燥させた後、有機バインダーとともに溶媒中に分散させてスラリーを形成した。
【0074】
この後、このスラリーからドクターブレード法により厚さ30μmのフェライトシートを作製した。
【0075】
〔バリスタ素子部のバリスタ層形成材料の作製〕
主成分であるZnOが97モル%、Co34が1モル%、Pr611が1モル%、CaCO3が0.5モル%、およびSiO2が0.5モル%となるように秤量した。この秤量物を有機バインダーとともに溶媒中に分散させてスラリーを形成した。
【0076】
この後、このスラリーからドクターブレード法により厚さ30μmのバリスタ用グリーンシートを作製した。
【0077】
〔接合中間層を構成する接合膜の作製〕
表1に示されるごとく配合組成の異なる9種の接合膜CM0*、CM1*、CM2*、CM3*、CM4、CM5、CM6、CM7およびCM8を作製した。
【0078】
接合膜CM0*(Cu−Zn―Niフェライト)の作製)
Fe23が49モル%、CuOが2モル%、ZnOが39モル%、NiOが10モル%となるように秤量した。この秤量物に純水を加えてボールミルで24時間混合してスラリーを形成した。
【0079】
このスラリーを乾燥させて、900℃の温度で2時間仮焼きした。
【0080】
次いで、仮焼き物に純水を加えてさらに微粉砕した。
【0081】
次いで、得られた微粉末を乾燥させた後、有機バインダーとともに溶媒中に分散させてスラリーを形成した。
【0082】
この後、このスラリーからドクターブレード法により厚さ30μmの接合膜CM0*フェライトシートを作製した。
【0083】
接合膜CM1*(Znフェライト)の作製)
Fe23が49モル%、ZnOが51モル%となるように秤量した。この秤量物に純水を加えてボールミルで24時間混合してスラリーを形成した。
【0084】
このスラリーを乾燥させた後、900℃の温度で2時間仮焼きした。
【0085】
次いで、仮焼き物に純水を加えて微粉砕した。
【0086】
次いで、得られた微粉末を乾燥させた後、有機バインダーとともに溶媒中に分散させてスラリーを形成した。
【0087】
この後、このスラリーからドクターブレード法により厚さ30μmの接合膜CM1*フェライトシートを作製した。
【0088】
接合膜CM2*(Cu−Zn―Mnフェライト)の作製)
Fe23が47モル%、CuOが2モル%、ZnOが49モル%、Mn23が2モル%となるように秤量した。この秤量物に純水を加えてボールミルで24時間混合してスラリーを形成した。
【0089】
このスラリーを乾燥させて、900℃の温度で2時間仮焼きした。
【0090】
次いで、仮焼き物に純水を加えてさらに微粉砕した。
【0091】
次いで、得られた微粉末を乾燥させた後、有機バインダーとともに溶媒中に分散させてスラリーを形成した。
【0092】
この後、このスラリーからドクターブレード法により厚さ30μmの接合膜CM2*フェライトシートを作製した。
【0093】
接合膜CM3*(Cu−Zn―Mgフェライト)の作製)
Fe23が49モル%、CuOが2モル%、ZnOが39モル%、MgOが10モル%となるように秤量した。この秤量物に純水を加えてボールミルで24時間混合してスラリーを形成した。
【0094】
このスラリーを乾燥させて造粒した後、900℃の温度で2時間仮焼きした。
【0095】
次いで、仮焼き物に純水を加えてさらに微粉砕した。
【0096】
次いで、得られた微粉末をろ過、乾燥させた後、有機バインダーとともに溶媒中に分散させてスラリーを形成した。
【0097】
この後、このスラリーからドクターブレード法により厚さ30μmの接合膜CM3*フェライトシートを作製した。
【0098】
接合膜CM4〜CM8の作製)
表1に示されるようにバリスタ素子部のバリスタ層を構成する組成(表1中、Varisterと表示)、およびインダクタ素子部のフェライト層を構成する組成(表1中、Ferriteと表示)とを混合して、配合組成の異なる5種のCM4、CM5、CM6、CM7およびCM8からなる接合膜グリーンシートを作製した。接合膜グリーンシートの厚さは30μmのものを準備した。
【0099】
【表1】

【0100】
上記表1に示される9種の接合膜を種々組み合わせて下記表2に示されるごとく種々の厚さおよび組成構成からなる接合中間層を用いて、フェライト層およびバリスタ層の接合実験を行った。
【0101】
すなわち、上記組成からなる厚さ30μmのインダクタ素子部形成用のフェライト層を7枚、表2に示される接合中間層、および上記組成からなる厚さ30μmのバリスタ素子部形成用のバリスタ層を7枚積層し、積層方向に100MPaの圧力を加えて圧着し、積層体を形成した。次いで、この積層体を所定の寸法にカットした後、このものを1150℃で1時間焼成して焼結体サンプルを作製した。
【0102】
このような要領で作製した焼結体サンプルについて、下記の要領で、接合界面におけるクラック発生の有無を確認した。
【0103】
クラック発生の有無の確認方法
サンプルを研磨、内部断面を光学顕微鏡で観察し、クラックのあるサンプル数をカウントしてクラック発生数とした。
【0104】
なお、焼結体サンプルはn=50とした。特に、クラックが発生する箇所は、接合中間層とインダクタ素子部形成用のフェライト層が接する箇所であり、かつフェライト層側で多く発生することが確認されている。また、本発明では、内部電極や内部導体、さらには外部電極が形成されていない状態での実験ではあるが接合箇所でのクラック発生の有無を確認するための実験としては、この方法で十分であることが完成品である複合積層型電子部品のとの相関実験で確認されている。
【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
表2に示される結果より本発明の効果は明らかである。
【0108】
[実験例2]
上記実験例1におけるインダクタ素子部のNi−Zn系磁性フェライト層の形成材料を以下のように変えた。
【0109】
すなわち、Fe23が47モル%、NiOが34モル%、CuOが2モル%、ZnOが15モル%、Mn23が2モル%となるように秤量した。それ以外は、上記実験例1と同様にしてNi−Zn系磁性フェライト層を作製し、上記実験例1と同様な実験を行ったところ、上記表2に示されるのと同様な実験結果が得られることが確認できた。
【0110】
[実験例3]
上記実験例1におけるインダクタ素子部のNi−Zn系磁性フェライト層の形成材料を以下のように変えた。
【0111】
すなわち、Fe23が49モル%、NiOが24モル%、CuOが2モル%、ZnOが15モル%、MgOが10モル%となるように秤量した。それ以外は、上記実験例1と同様にしてNi−Zn系磁性フェライト層を作製し、上記実験例1と同様な実験を行ったところ、上記表2に示されるのと同様な実験結果が得られることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の複合積層型電子部品は、幅広く各種の電気部品産業に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、複合積層型電子部品を示す斜視図である。
【図2】図2は、複合積層型電子部品の積層構造を分かりやすく説明するための積層体の分解斜視図である。
【図3】図3は、接合中間層を構成する接合膜の数Nを4として具体的な接合状態を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0114】
1…積層体
10…バリスタ素子部
20…インダクタ素子部
50…接合中間層
100…複合積層型電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリスタ層と内部電極を有するバリスタ素子部と、フェライト層と内部導体を有するインダクタ素子部と、これらの双方の素子部を接合するために介在される接合中間層とを有する複合積層型電子部品であって、
前記フェライト層は、Ni−Zn系の磁性フェライトであり、
前記バリスタ層は、その主成分がZnOからなり、
前記接合中間層は、組成の異なる第1番目から第N番目までのN層(Nは2以上の整数)の接合膜を積層することにより構成されており、前記インダクタ素子部の主要部を構成するフェライト層に接する第1番目の接合膜がZn系フェライトから構成されてなることを特徴とする複合積層型電子部品。
【請求項2】
前記接合中間層を構成する第2番目から第N番目までの各接合膜は、それぞれ、前記インダクタ素子部のフェライト層または第1番目の接合膜を構成する組成成分と、ZnOとを所定の割合で混合することにより構成されてなる請求項1に記載の複合積層型電子部品。
【請求項3】
前記接合中間層を構成する第2番目から第N番目までの各接合膜は、それぞれ、K,Na,またはLiが含有されてなる請求項2に記載の複合積層型電子部品。
【請求項4】
前記Ni−Zn系の磁性フェライトは、ZnまたはFeの一部をCu,Mg,Mnの少なくとも1種で置換された組成を含むものである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の複合積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1番目の接合膜であるZn系フェライトは、ZnまたはFeの一部をNi,Mg,Mn,Cuの少なくとも1種で置換された組成を含むものである請求項1ないし請求項4に記載の複合積層型電子部品。
【請求項6】
前記Ni−Zn系の磁性フェライトは、酸化鉄がFe23換算で40〜50モル%、酸化ニッケルがNiO換算で10〜50モル%、酸化亜鉛がZnO換算で1〜35モル%含有されており、
前記バリスタ層は、その主成分であるZnOが95〜98モル%含有されてなる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の複合積層型電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−216635(P2006−216635A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25945(P2005−25945)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】