複数のアンテナモ−ドをサポ−トする動的に調整可能なアンテナ
【解決手段】無線通信回路を含む電子デバイスが提供される。無線通信回路は、調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を含む。調整可能アンテナは、導電性電子デバイス筐体構造のような導電性アンテナ構造を含む。それぞれ異なる通信帯域において2つ以上の異なるアンテナモ−ドで動作するようにアンテナを構成するために、スイッチや共振回路などの電気素子が使用される。スイッチを制御するために制御回路が使用される。アンテナは、1つの動作モ−ドで逆F形アンテナとして動作し、第2の動作モ−ドでスロットアンテナとして動作するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子デバイスに関し、特に電子デバイスの無線通信回路とアンテナとに関する。
【背景技術】
【0002】
ポ−タブルコンピュ−タや携帯電話などの電子デバイスは、無線通信能力を備えている場合が多い。例えば、電子デバイスは、携帯電話回路やWiMax(IEEE802.16)回路のような長距離無線通信回路を使用する。更に、電子デバイスは、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)回路やBluetooth(登録商標)回路のような短距離無線通信回路を使用する。
【0003】
無線電子デバイスでアンテナ構造を実現するのは難しい。例えば、ポ−タブル電子デバイスの大きさは多くの場合に制限されるので、アンテナ構造を実現するために利用可能なスペ−スの広さも制限される。ポ−タブル電子デバイスの中には、導電性筐体構造、ディスプレイ構造、プリント回路基板のような導電性構造を含むものがある。種々の通信帯域に適応できるアンテナを提供することが望まれることは多いが、スペ−スが限られ、アンテナ構造が導電性構造の付近に配置されるような環境で、これを実現するのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、無線電子デバイスの改良されたアンテナ構造を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線通信回路を含む電子デバイスが提供される。無線通信回路は、調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を含む。無線周波数トランシ−バ回路は、調整可能アンテナを介して無線周波数信号を送受信するために使用される。
【0006】
異なるアンテナモ−ドの動作をサポ−トするようにアンテナに対して動的調整を実行するために、電子デバイスの制御回路が使用される。例えば、制御回路は、どの通信帯域が無線周波数トランシ−バ回路により使用されているかに応じてアンテナを同調するようにアンテナのスイッチを選択的に開閉するために使用される。必要に応じて、受動回路を使用してアンテナ同調構造が実現されてもよい。例えば、調整可能アンテナは、動作周波数の変化に応じてインピ−ダンスを変化させることにより、異なる動作周波数においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドをサポ−トするようにアンテナを再構成する共振回路などの受信回路を含む。
【0007】
調整可能アンテナは、導電性電子デバイス筐体構造などの導電性アンテナ構造を含む。導電性アンテナ構造は、周囲導電性の筐体部材、内部筐体構造、コネクタ、ディスプレイ、スピ−カ、マイクなどの電気素子の導電性部分、プリント回路基板の一部、又は他の導電性構造を含む。調整可能アンテナが異なるアンテナモ−ドでそれぞれ異なるタイプのアンテナとして動作するように調整可能アンテナの導電性構造を構成するために、スイッチや共振回路などの電気素子が使用される。
【0008】
本発明の更なる特徴、性質及び種々の利点は、添付の図面及び以下の好適な実施形態の詳細な説明から更に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナ構造を有する無線通信回路を含む例示的な電子デバイスを示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナ構造を備えるタイプの電子デバイスを含むシステムを示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナに結合された電子デバイスにおける記憶処理回路を示す回路図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る導電性アンテナ構造を相互接続するように周囲導電性の筐体部材の誘電体で充填された間隙を架橋するために共振回路又はスイッチなどの電気素子がどのように使用されるかを示す電子デバイスの内部の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナが異なる無線周波数帯域においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作するように調整可能アンテナを調整するために制御回路により開閉される種類の例示的なスイッチを示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナが異なる無線周波数帯域においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作するように、調整可能アンテナで使用される場合に異なる動作周波数でそれぞれ異なるインピ−ダンスを示す種類の例示的な共振回路を示す回路図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナで使用される場合に図6に示される種類の共振回路が異なる動作周波数でそれぞれ異なるインピ−ダンスを示すように、共振回路のインピ−ダンスが周波数の関数としてどのように変化するかを示す特性図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナの一部を形成するために使用される種類の例示的な逆F形アンテナを示す図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナの一部を形成するために使用される種類の別の例示的な逆F形アンテナを示す図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナの一部を形成するために使用される種類の例示的なスロットアンテナを示す図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る導電性アンテナ構造と、調整可能アンテナを低周波数では逆F形アンテナとして動作させ、高周波数ではスロットアンテナとして動作させる能動的に制御されるスイッチ又は受動共振回路のような周波数従属インピ−ダンスを有する電子素子とを有する例示的な調整可能アンテナを示す図である。
【図12】図12は、図11に示される種類の調整可能アンテナが第1の(低い)周波数を中心とする第1の通信帯域で動作するためにどのように構成され、第2の(高い)動作周波数を中心とする第2の通信帯域で動作するためにどのように構成されるかを示す特性図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係る逆F形アンテナ動作モ−ドと、スロットアンテナ動作モ−ドとを有する調整可能アンテナのようなアンテナを含む例示的な電子デバイスを示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係る図13に示される種類の調整可能アンテナを使用して適応可能な例示的な通信帯域を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電子デバイスは無線通信回路を備える。無線通信回路は調整可能アンテナ構造を含む。調整可能アンテナ構造は、1つ以上の調整可能アンテナを実現するために使用される。調整可能アンテナ構造は、適切などのような電子機器においても使用される。本明細書において、ポ−タブル電子デバイスのような電子デバイスにおける調整可能アンテナの使用が例示的な一例として説明される場合がある。必要に応じて、他の電子機器で調整可能アンテナ構造は実現される。
【0011】
調整可能アンテナ構造は、スイッチのような能動的に構成される素子を使用して調整される。この種の構成の場合、電子デバイス内の制御回路は、望ましい動作モ−ドに応じて制御信号を発行する。例えば、電子デバイス内のベ−スバンドプロセッサ、マイクロプロセッサ又は他の制御回路が第1の周波数範囲で無線信号を処理可能なモ−ドにデバイスを設定したい場合、制御回路は、1つ以上のスイッチを第1の状態に設定する制御コマンドを発行する。第2の周波数範囲で無線信号を送受信したい場合、制御回路は、1つ以上のスイッチを第2の状態に設定する制御コマンドを発行する。スイッチの状態は、互いに電気的に接続される導電性アンテナ構造の部分を判定し、それに応じて、種々の周波数範囲においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作するように導電性アンテナ構造を構成する。必要に応じて、周波数従属インピ−ダンスを示す回路を使用して電子デバイスのアンテナ構造の一部又はすべてが構成される。周波数従属インピ−ダンス回路は、共振回路又はフィルタ回路と呼ばれる場合もあり、アンテナ構造を形成する1つ以上の導電性構造の間に結合される。ある周波数で動作する場合、共振回路は、相対的に低いインピ−ダンスを示し、ある特定のアンテナ構造を互いに結合する。他の周波数で動作する場合、共振回路は、相対的に高いインピ−ダンスを示し、それらのアンテナ構造を電気的に分離する。共振回路が高いインピ−ダンスを示す動作周波数と、低いインピ−ダンスを示す動作周波数とは、所望の種々の通信帯域において調整可能アンテナをそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作させるように設定される。
【0012】
上記の構成の組み合わせも使用される。例えば、能動的に調整されるスイッチと、受動的に調整される共振回路とを含むアンテナ構造が形成される。異なる動作周波数で、共振回路がそれぞれ異なるインピ−ダンスを示すことにより、導電性アンテナ構造は、選択的に接続、遮断される。同時に、制御回路は、導電性アンテナ構造を選択的に互いに接続、遮断するスイッチに対して制御信号を発生するために使用される。従って、電子デバイス10のアンテナ構造は、受動的アンテナ調整(例えば、導電性アンテナ構造の中に周波数従属インピ−ダンス回路を含めることによってアンテナに対して実行される周波数従属調整)を使用し且つ/又は導電性アンテナ構造の間に結合されたスイッチング回路に対する能動的調整を使用することにより、所望の一連の周波数帯域に適応するように調整される。
【0013】
共振回路及び/又は能動的に制御されるスイッチング回路を使用して互いに結合される導電性アンテナ構造から形成されたアンテナを備える種類の例示的な電子デバイスが図1に示される。電子デバイス10は、ポ−タブル電子デバイス又は他の適切な電子デバイスである。例えば、電子デバイス10は、ラップトップコンピュ−タ、タブレットコンピュ−タ、それより多少小型の腕時計型デバイス、ペンダント型デバイス、ヘッドホン型デバイス、イヤホン型デバイスのようなデバイス、又は他のウェアラブルデバイス又は小型デバイス、携帯電話、メディアプレイヤ−、デスクトップコンピュ−タなどの大型デバイス、コンピュ−タモニタに一体に組み込まれたコンピュ−タ、あるいは他の電子デバイスである。
【0014】
電子デバイス10は筐体12のような筐体を含む。筐体12は、ケ−スと呼ばれる場合もあり、プラスチック、ガラス、セラミック、複合繊維材料、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなど)、他の適切な材料、又はそれらの材料の組み合わせから形成される。状況によっては、筐体12の一部は、誘電体又は他の低導電率材料から形成される。また、筐体12又は筐体12を構成する構造の少なくとも一部が金属要素から形成される場合もある。
【0015】
電子デバイス10は、必要に応じてディスプレイ14のようなディスプレイを有する。ディスプレイ14は、例えば容量性タッチ電極を含むタッチスクリ−ン又は他の種類のタッチセンサ技術(例えば、音響タッチセンサ技術、光利用タッチセンサ技術、圧力センサ利用タッチセンサ技術、抵抗タッチセンサ技術など)を使用して形成されたタッチセンサを含むタッチスクリ−ンである。ディスプレイ14は、発光ダイオ−ド(LED)、有機LED(OLED)、プラズマセル、電子インク要素、液晶ディスプレイ(LCD)素子、又は他の適切な画素構造から形成された画素を含む。カバ−ガラスの層などのカバ−層がディスプレイ14の表面を被覆する。ディスプレイ14の周囲領域20Iのような部分は不活性であり、画素構造を含まない。矩形の中央部分20A(破線20により境界を規定される)のようなディスプレイ14の部分は、ディスプレイ14の活性部分に相当する。ディスプレイの活性領域20Aにおいて、ユ−ザに対して画像を表示するために画素のアレイが使用される。
【0016】
ディスプレイ14を被覆するカバ−ガラス層は、ボタン16に対応する円形開口部と、スピ−カポ−ト開口部18(例えば、ユ−ザのイヤホンに対応する)のようなスピ−カポ−ト開口部などの複数の開口部を有する。電子デバイス10は、他の開口部(例えば、音量ボタン、ベル音ボタン、スリ−プボタン又は他のボタンを受け入れるためのディスプレイ14及び/又は筐体12の開口部、オ−ディオジャック用開口部、デ−タポ−トコネクタ、取り出し可能媒体を差し込むためのスロットなど)を更に有する。
【0017】
筐体12は、周囲導電性の筐体部材17のような周囲導電性部材を含む。周囲導電性筐体部材17は、ディスプレイ14の周囲の一部又は周囲全体に沿って筐体12の上縁部を取り囲むベゼルである。例えば、導電性筐体部材17の一部又は全体は、電子デバイス10の側壁を形成する。この側壁は、ディスプレイ14の面に対して垂直な垂直面を有するか、又はディスプレイ14の平坦な面に関して垂直ではなく、ある角度を成す湾曲面又は平坦な面である。本明細書において一例として説明される場合もある適切な構成の1つでは、周囲導電性筐体部材17は、矩形のディスプレイ14の周囲全体をほぼ取り囲む帯状の金属部材から形成される。電子デバイス10の周囲導電性の筐体部材17と、他の導電性構造とは、金属などの導電性材料から形成される。例えば、周囲導電性の筐体部材17は、アルミニウム又はステンレス鋼(例として)などの金属から形成される。
【0018】
図1に示されるように、周囲導電性筐体部材17は、誘電体で充填された1つ以上の間隙19(例えば、間隙19−1、19−2、19−3、19−4)を必要に応じて含む。間隙19は、空気、プラスチック、セラミック、ガラス又は他の誘電体材料などの誘電体で充填される。周囲導電性筐体部材17の中に1つ以上の間隙19が存在する構成の場合、周囲導電性筐体部材17は、各セグメントに分割される。例えば、周囲導電性筐体部材17は、間隙19−1と間隙19−2との間に位置する第1のセグメントと、間隙19−2と間隙19−3との間に位置する第2のセグメントと、間隙19−3と間隙19−4との間に位置する第3のセグメントと、間隙19−4と間隙19−1との間に位置する第4のセグメントとに分割される。誘電体で充填された間隙を5つ以上含む構成の場合、周囲導電性筐体部材17は、更に多くの導電性セグメントに分割される。間隙19が3つ以下の構成の場合、周囲導電性筐体部材17は、更に少ない数のセグメント(例えば、3つ以下のセグメント、2つ以下のセグメント又は1つの間隙により分割される1つのセグメント)に分割される。必要に応じて、周囲導電性筐体部材17に化粧間隙(すなわち、部材17の表面部分に沿って多少の誘電体を含むが、部材17全体に沿って延在しているのではなく、従って部材17の各部分を電気的に分離していない構造)が含まれる(例えば、図2の間隙19により示される場所のうち1つ以上)。
【0019】
電子デバイス10の導電性アンテナ構造(すなわち、デバイス10の1つ以上のアンテナを形成しているといわれる場合もある導電性構造)は、周囲導電性筐体部材17の1つ以上の部分のような筐体12の導電性部分から形成されるか、内部導電性フレ−ム部材などの1つ以上の内部導電性筐体構造及び/又はパタ−ニングされた導電性薄板構造と、関連する導電性素子などの導電性平面構造(ミッドプレ−ト部材又はミッドプレ−ト構造を形成するといわれる場合もある)から形成されるか、剛性プリント回路基板上の金属トレ−スなどの導電性トレ−スから形成されるか、可撓性プリント回路基板(すなわち、ポリイミドシ−トなどの可撓性ポリマ−シ−トの上のパタ−ニングされた金属トレ−スから形成された「フレックス回路」)上の金属トレ−スなどの導電性トレ−スから形成されるか、プラスチック支持体上の導電性トレ−ス(例えば、成形プラスチック支持体上の金属トレ−ス)から形成されるか、ワイヤから形成されるか、パタ−ニングされた金属箔から形成されるか、他の基板上の導電性構造から形成されるか、他のパタ−ニングされた金属部材から形成されるか、電気素子(例えば、スイッチ、ディスプレイ素子、コネクタ素子、マイク、スピ−カ、カメラ、無線周波数遮蔽カン、集積回路又は他の電気素子)の導電性部分から形成されるか、他の適切な導電性構造から形成されるか、あるいは1つ以上のそのような導電性構造の組み合わせから形成される。場合によっては本明細書において例として説明される電子デバイス10のいくつかの例示的な構成において、アンテナ構造を形成する導電性構造のうち少なくともいくつかの構造は、導電性周囲筐体部材17の一部のような導電性筐体構造を含み、アンテナ構造を形成する導電性構造のうちいくつかの構造は、導電性筐体ミッドプレ−ト部材などの接地平面構造と、プリント回路基板接地構造と、他の導電性構造(例えば、コネクタ、マイク、スピ−カ、ディスプレイ、カメラなどの電子素子の導電性部分)とを含む。
【0020】
アンテナは、電子デバイス10の縁部に沿って配置されるか、延出する部材又は取り付け可能な構造としてデバイス10の背面又は正面に配置されるか、あるいはデバイス10の他の場所に配置される。場合によっては本明細書において一例として説明される1つの適切な構造の場合、電子デバイス10は、筐体12の下端部24に1つ以上のアンテナを備え、筐体12の上端部22に1つ以上のアンテナを備える。デバイス10の両端部(すなわち、デバイス10が図1に示される種類の細長い矩形の形状を有する場合、ディスプレイ14とデバイス10の狭いほうの端部領域)にアンテナを配置することにより、ディスプレイ14の導電性部分(例えば、ディスプレイ14の活性領域20Aにある画素アレイとドライバ回路)と関連する接地構造から適切な距離をおいてそれらのアンテナを形成できる。
【0021】
必要に応じて、第1の携帯電話アンテナ(第1の携帯電話アンテナ構造)は、領域24に配置され、第2の携帯電話アンテナ(第2の携帯電話アンテナ構造)は、領域22に配置される。全地球測位システム信号などの衛星ナビゲ−ション信号、あるいはIEEE802.11(WiFi(登録商標)信号)又はBluetooth(登録商標)信号などの無線ロ−カルエリアネットワ−ク信号を処理するアンテナ構造も、領域22及び/又は領域24に設けられる(独立した追加アンテナとしてあるいは第1の携帯電話アンテナ及び第2の携帯電話アンテナの一部として)。更に、WiMax(IEEE802.16)信号を処理するために、領域22及び/又は領域24にアンテナ構造が設けられる。
【0022】
領域22、24において、導電性筐体構造と、プリント回路基板と、電子デバイス10を構成する他の導電性電気素子との間に、開口部が形成される。それらの開口部は、空気、プラスチック又は他の誘電体で充填される。導電性筐体構造と他の導電性構造は、電子デバイス10のアンテナに対して接地平面として機能する。領域22、24の開口部は、開スロットアンテナ又は閉スロットアンテナのスロットとして機能するか、ル−プアンテナにおいて導電性材料経路により取り囲まれた中央誘電体領域として機能するか、ストリップアンテナ共振素子などのアンテナ共振素子又は導電性周囲筐体部材17の一部から形成された逆F形アンテナ共振素子などの逆F形アンテナ共振素子を接地平面から分離する空間として機能するか、それらの機能のうち2つ以上の機能を果たすか(例えば、異なる周波数でそれぞれ異なる構成で動作するように構成されたアンテナ構造の場合)、あるいは領域22、24に形成されたアンテナ構造の一部として機能する。
【0023】
領域22と領域24に形成されるアンテナは同一である(すなわち、それぞれ同一の携帯電話帯域群又は他の関心通信帯域群に適用されるアンテナが領域22と領域24に形成される)。レイアウト上の制約又は他の設計上の制約があるため、同一のアンテナを使用することが望ましくない場合もある。異なる設計を使用して領域22及び領域24におけるアンテナを実現することが望ましい。例えば、領域22のアンテナと領域24のアンテナとは、異なる種類のアンテナを使用して実現され、異なる利得を示す設計を使用して実現され、電子デバイス10の一端部は固定アンテナを収納するが、デバイス10の他端部は調整可能アンテナを収納するように実現され且つ/又は異なる周波数範囲に適応する設計を使用して実現される。
【0024】
電子デバイス10は何らかの適切な数のアンテナを使用する。例えば、デバイス10は1つのアンテナを有するか、2つ以上のアンテナを有するか、3つ以上のアンテナを有するか、4つ以上のアンテナを有するか、又は5つ以上のアンテナを有する。例えば、電子デバイス10は、少なくとも領域22に携帯電話アンテナなどの第1のアンテナを含み、領域24に携帯電話アンテナなどの第2のアンテナを含む。領域22及び/又は24、あるいは電子デバイス10の他の適切な部分に、別のアンテナ(例えば、ロ−カルエリアネットワ−クアンテナ、衛星ナビゲ−ションアンテナなど)が形成される。
【0025】
電子デバイス10が動作するシステムの概略図を図2に示す。図2に示されるように、システム11は、基地局21のような無線ネットワ−ク機器を含む。基地局21のような基地局は、携帯電話ネットワ−ク又は他の無線ネットワ−ク機器と関連する。電子デバイス10は、無線リンク23(例えば、携帯電話リンク又は他の無線通信リンク)を介して基地局21と通信する。
【0026】
電子デバイス10は記憶処理回路28のような制御回路を含む。記憶処理回路28は、ハ−ドディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又は固体素子ドライブを形成するように構成された他の電気的プログラム可能読み取り専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、スタティックランダムアクセスメモリ又はダイナミックランダムアクセスメモリ)などの記憶装置を含む。記憶処理回路28の処理回路と、無線通信回路34の制御回路などの他の制御回路は、電子デバイス10の動作を制御するために使用される。この処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントロ−ラ、デジタル信号プロセッサ、ベ−スバンドプロセッサ、電力管理装置、オ−ディオコ−デックチップ、特定用途向け集積回路などに基づく。
【0027】
記憶処理回路28は、インタ−ネット閲覧アプリケ−ション、VoIP(Voice over Internet Protocol)電話アプリケ−ション、Eメ−ルアプリケ−ション、メディア再生アプリケ−ション、オペレ−ティングシステム機能などの電子デバイス10のソフトウェアを実行するために使用される。基地局21のような外部機器との対話をサポ−トするために、通信プロトコルの実現に記憶処理回路28が使用される。記憶処理回路28を使用して実現される通信プロトコルには、インタ−ネットプロトコル、無線ロ−カルエリアネットワ−クプロトコル(例えば、WiFi(登録商標)と呼ばれる場合もあるIEEE802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)プロトコルなどの他の短距離無線通信リンクに対応するプロトコル、IEEE802.16(WiMax)プロトコル、LTE(Long Term Evolution)プロトコルなどの携帯電話プロトコル、汎ヨ−ロッパデジタル移動通信システム(GSM(登録商標))プロトコル、符号分割多元接続(CDMA)プロトコル、ユニバ−サル移動通信システム(UMTS)プロトコルなどがある。
【0028】
記憶処理回路28は、電子デバイス10の制御アルゴリズムを実現するように構成される。この制御アルゴリズムは、無線周波数スイッチング回路と、トランシ−バ回路と、他のデバイス資源とを制御するために使用される。更に、制御アルゴリズムは、送信機と受信機とをアクティブ化及び非アクティブ化するため、送信機と受信機を所望の周波数に同調するため、測定されたデバイスの動作パラメ−タを所定の基準と比較するため、アンテナ構造においてスイッチング回路を調整するためなどにも使用される。
【0029】
いくつかの例では、記憶処理回路28は、センサ信号と受信信号(例えば、受信されるパイロット信号、受信されるペ−ジング信号、受信される音声通話トラフィック、受信される制御チャネル信号、受信されるデ−タトラフィックなど)との品質を反映する信号を収集するために使用される。電子デバイス10において実行される信号品質の測定の例は、ビット誤り率の測定、信号対雑音比の測定、入力無線信号と関連する電力量の測定、受信信号強度指標(RSSI)情報に基づくチャネル品質の測定(RSSI測定)、希望波受信電力(RSCP)情報に基づくチャネル品質の測定(RSCP測定)、基準記号受信電力(RSRP測定)、信号対干渉比(SINR)情報と信号対雑音比(SNR)情報に基づくチャネル品質の測定(SINR測定と、SNR測定)、Ec/lo又はEc/Noデ−タなどの信号品質デ−タに基づくチャネル品質の測定(Ec/lo測定と、Ec/No測定)などである。この情報と他のデ−タとは、電子デバイス10の無線回路をどのように構成するかを制御するために使用されると共に、その他の面でデバイス10を制御し、構成するために使用される。例えば、信号品質情報と、基地局21から受信された情報と、他の情報とは、電子デバイス10の無線信号を処理する場合にどの通信帯域が使用されるべきかを判定するために使用される。電子デバイス10は種々の周波数で通信するので、デバイス10のアンテナ構造は適切な通信帯域に適応するように使用される。例えば、電子デバイス10のアンテナ構造の構成が周波数の関数として変化するように、アンテナ構造の共振回路は種々の周波数でそれぞれ異なるインピ−ダンスを示し且つ/又は1つ以上のスイッチを調整することにより、所望の通信帯域に適応するように動的にアンテナ構造を構成するために、デバイス10の制御回路が制御信号を発生する。
【0030】
入出力回路30は、電子デバイス10にデ−タを供給し、デバイス10から外部装置にデ−タを供給するために使用される。入出力回路30は入出力デバイス32を含む。入出力デバイス32は、タッチスクリ−ン、ボタン、ジョイスティック、クリックホイ−ル、スクロ−リングホイ−ル、タッチパッド、キ−パッド、キ−ボ−ド、マイク、スピ−カ、ト−ンジェネレ−タ、バイブレ−タ、カメラ、センサ、発光ダイオ−ド、他の状態指示器、デ−タポ−トなどを含む。ユ−ザは、入出力デバイス32を介してコマンドを供給することにより電子デバイス10の動作を制御できると共に、入出力デバイス32の出力資源を使用してデバイス10から状態情報と他の出力を受信する。
【0031】
無線通信回路34は、1つ以上の集積回路と、電力増幅器回路と、低雑音入力増幅器と、受動RF素子と、1つ以上のアンテナと、RF無線信号を処理する他の回路とから形成された無線周波数(RF)トランシ−バ回路を含む。
【0032】
無線通信回路34は、全地球測位システム(GPS)受信機回路35(例えば、1,575MHzで衛星ナビゲ−ションシステム信号を受信する)のような衛星ナビゲ−ションシステム受信機回路を含む。トランシ−バ回路36は、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)に対応する2.4GHz帯域と、5GHz帯域とを処理し、2.4GHz Bluetooth(登録商標)通信帯域を処理する。無線通信回路34は、700MHz、850MHz、900MHz、1,800MHz、1,900MHz、2,100MHz、2,300MHzと、他の関心携帯電話帯域などの携帯電話帯域で無線通信を処理する携帯電話トランシ−バ回路38を使用する。無線通信回路34は、必要に応じて他の短距離無線リンクと、長距離無線リンクとに対応する回路(例えば、WiMax回路など)を含む。無線通信回路34は、例えば、無線信号、テレビジョン信号、ペ−ジング信号などを受信する無線回路を含む。WiFi(登録商標)リンク、Bluetooth(登録商標)リンク及び他の短距離無線リンクの場合、無線信号は、数十フィ−ト又は数百フィ−トの距離にわたりデ−タを搬送するために通常使用される。携帯電話リンク及び他の長距離リンクの場合、無線信号は、数千フィ−ト又は数千マイルの距離にわたりデ−タを搬送するために通常使用される。
【0033】
無線通信回路34はアンテナ40を含む。アンテナ40は、受信機35、トランシ−バ36及びトランシ−バ38などのトランシ−バ回路に伝送線37を使用して結合される。伝送線37は、同軸ケ−ブル、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線及び/又は他の伝送線構造を含む。伝送線の中に整合回路が挿入される(例えば、伝送線のインピ−ダンスをトランシ−バ回路のインピ−ダンス及び/又はアンテナのインピ−ダンスと整合するために)。アンテナ40は、何らかの適切な種類のアンテナを使用して形成される。例えば、アンテナ40は、ル−プアンテナ構造、パッチアンテナ構造、逆F形アンテナ構造、閉ル−プスロットアンテナ構造、開ル−プスロットアンテナ構造、平面逆F形アンテナ構造、ヘリカルアンテナ構造、ストリップアンテナ、モノポ−ル、ダイポ−ル、それらの設計の混成構造などから形成された共振素子を有するアンテナを含む。異なる帯域及び異なる帯域の組み合わせに対して、それぞれ異なる種類のアンテナが使用される。例えば、ロ−カル無線リンクアンテナ(例えば、WiFi(登録商標)トラフィック又は他の無線ロ−カルエリアネットワ−クトラフィックを処理するためのアンテナ)を形成するために1つの種類のアンテナが使用され、遠隔無線リンクアンテナ(例えば、音声通話とデ−タセッションなどのセルラネットワ−クトラフィックを処理するためのアンテナ)を形成するために1つ以上の他の種類のアンテナが使用される。図1に関連して説明したように、電子デバイス10の領域24に1つの携帯電話アンテナがあり、デバイス10の領域22に別の携帯電話アンテナがある。それらのアンテナは、固定アンテナ又は調整可能アンテナ(例えば、周波数の関数としてインピ−ダンスを変化させる共振回路を使用し且つ/又はアンテナ性能を調整するために開閉可能な1つ以上のスイッチを使用する)である。
【0034】
図3に示されるように、アンテナ構造40(例えば、領域22及び/又は領域24の携帯電話アンテナ又は他の適切なアンテナ構造)は、1つ以上の電気素子42を含む。電気素子42は、共振回路のように高周波数と低周波数とでインピ−ダンスを変化させる受動回路及び/又は動的に調整可能な素子(スイッチ)である。電気素子42は、導電性アンテナ構造48の各部分の間に経路46のような経路を使用して結合される。アンテナ構造48は、プラスチック支持体、可撓性プリント回路基板、剛性プリント回路基板、パタ−ニングされた金属箔、導電性筐体構造(例えば、図1の導電性周囲筐体部材17の全体又は一部)のような導電性デバイス構造、ワイヤ、伝送線構造又は他の導電性構造などの基板上のパタ−ニングされた金属トレ−スを含む。
【0035】
記憶処理回路28などの制御回路から、経路44を使用して電気素子42に任意に制御信号が供給される。経路44及び46は、プラスチック支持体、可撓性プリント回路基板、剛性プリント回路基板、パタ−ニングされた金属箔、導電性筐体構造(例えば、図1の導電性周囲筐体部材17の全体又は一部)のような導電性デバイス構造、ワイヤ、伝送線構造又は他の導電性構造などの基板上のパタ−ニングされたトレ−スから形成される。経路44、46及び/又は電気素子42は、アンテナ構造と呼ばれる場合もあり、アンテナ構造40を形成するためにアンテナ構造48と共に使用される。アンテナ構造40(アンテナ40又は調整可能アンテナ40と呼ばれる場合もある)は、無線回路34の無線周波数トランシ−バ回路に伝送線37を使用して結合される。伝送線37は、同軸ケ−ブル、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線又は他の適切な伝送線などの伝送線構造から形成される。必要に応じて、無線周波数トランシ−バ回路とアンテナ40との間の経路に、フィルタと、インピ−ダンス整合回路と、スイッチと、他の回路とが挿入される。電子デバイス10には、アンテナ40のようなアンテナが1つ以上存在する。例えば、筐体12の領域22に図3のアンテナ40のような第1のアンテナがあり、筐体の領域24に図3のアンテナ40又は固定アンテナのような第2のアンテナがある(一例として)。
【0036】
関心動作周波数に適応するようにアンテナ構造40を構成するために、電気素子42のような1つ以上の電気素子が使用される。素子42は、受動回路(すなわち、共振回路)及び/又はスイッチを使用して実現される。スイッチを使用して実現される場合、記憶処理回路28のような電子デバイス10の制御回路(例えば、ベ−スバンドプロセッサ又は他のプロセッサ)は、経路44を介してスイッチに制御コマンドを送出するために使用される。制御回路は、例えば、第1の動作モ−ドで1つ以上のスイッチ42を開成及び/又は閉成するために1つ以上の制御信号を含む第1の制御信号群を発行し、第2の動作モ−ドで1つ以上のスイッチ42を開成及び/又は閉成するために1つ以上の制御信号を含む第2の制御信号群を発行し、任意の別の動作モ−ドをサポ−トするようにスイッチ42を所望の状態に設定するために更に別の制御信号群を発行する。第1の動作モ−ドに合わせて構成された場合、アンテナ構造40は、第1の周波数群(例えば、第1組の携帯電話通信帯域又は他の所望の周波数範囲)に適応する。第2の動作モ−ドに合わせて構成された場合、アンテナ構造40は第2の周波数群に適応する。更に別の動作周波数群には、スイッチ42を任意の別の動作モ−ドに合わせて構成することにより適応する。
【0037】
受動回路(すなわち、スイッチを含まない共振回路)を使用して電気素子42を実現する場合、素子42は、周波数従属インピ−ダンスによってアンテナ構造40を再構成する。種々の周波数に適応するアンテナ40を構成するために、必要に応じて、スイッチに基づく素子42と受動(スイッチングを含まない)回路に基づく素子42との組み合わせが使用される。アンテナ40は動作中に構成を変えることができるので、固定(スイッチングを含まず、周波数に従属しない)アンテナ構造を使用する場合に可能であると考えられる範囲より広い範囲の動作周波数に適応できる。これにより、電子デバイス10の相対的に狭い領域内でアンテナ40を実現でき、また導電性デバイス構造の付近で(例えば、周囲導電性の筐体部材17、デバイス10の接地平面構造又は他の導電性構造に隣接して)アンテナ40を実現できる。更に、アンテナ40は、筐体部材17又は他の導電性デバイス構造(例えば、接地平面構造、電気素子など)の一部を使用して形成される。
【0038】
図4は、図1の電子デバイス10のような例示的なデバイスの内部の一部分を示す斜視図である。図4に示されるように、周囲導電性の筐体部材17は、誘電体で充填された領域78により接地構造から分離される。領域78は、空気、プラスチック、ガラス、セラミック又は他の誘電体を含む。図4の例では、領域78の輪郭は、筐体部材17の内側形状と、接地平面Gの反対側の縁部とから形成されるように示されているが、領域78の形状を規定するために何らかの適切な導電性構造が使用される。例えば、筐体部材17及び/又は接地平面Gに接続された電気素子の部分及び/又は筐体部材17及び/又は接地平面Gに隣接してデバイス筐体に装着された電気素子の部分のような導電性構造は、領域78を取り囲む導電性材料の大きさと形状を効果的に変化させ、それにより、領域78の内周形状を規定するために使用される。
【0039】
接地平面Gの導電性構造は、板金構造(例えば、任意に特徴形状が打ち抜きによって形成され、筐体部材17の左側部分と右側部分との間に溶接された平坦な一体形ミッドプレ−ト部材又はマルチパ−トミッドプレ−ト部材)から形成されるか、プリント回路基板トレ−スから形成されるか、筐体フレ−ム部材から形成されるか、導電性ディスプレイ構造から形成されるか、部分17Gのような周囲導電性の筐体部材17と関連する導電性構造から形成されるか、接地平面Gに結合された電子素子の導電性材料から形成されるか、又は他の導電性構造から形成される。
【0040】
図4の導電性筐体部材17の間隙19−1のような各導電性アンテナ構造の間の誘電体間隙は、プラスチック又は他の誘電体材料によって充填される。電気素子42は、経路46を使用して間隙19−1を架橋するために筐体部材17(又は他の導電性アンテナ構造)の各部分の間に結合される。素子42は、溶接部、ばね、ねじ、はんだ、導電性線路又は他の適切な装着構造を含む経路46を使用してアンテナ40の構造内部に結合される。経路44は、電気素子42に制御信号を印加するために使用される(例えば、スイッチを使用して素子42が実現されている場合)。必要に応じて、経路44は省略される(例えば、共振回路を使用して素子42が実現されている場合)。
【0041】
誘電体で充填された領域(アンテナ開口部)78は、プラスチック(例えば、接地平面Gのパタ−ニングされた板金構造を覆うようにインサ−ト成形されたプラスチック)、空気、ガラス、セラミック又は他の誘電体材料で充填される。アンテナ40には、図4の電気素子42のような1つ以上の素子がある(例えば、図3を参照)。
【0042】
スイッチを利用する場合の電気素子42の例示的な構成の回路図を図5に示す。図5に示されるように、電気素子(スイッチ)42は、制御入力端子44に供給される制御信号に応答する。スイッチ42は、ダイオ−ド系スイッチ、トランジスタスイッチ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)スイッチなどの2端子デバイス又は3端子デバイスとして実現される。2端子構成の場合、制御経路44は省略される。3端子構成の場合、経路44は、デジタル(ハイ/ロ−)制御信号などの信号をスイッチ42に供給するために使用される。図5のスイッチ42は、端子50、52が互いに隔離される開成位置、又は端子50、52が互いに電気的に接続される閉成位置(すなわち、端子50、52が互いに短絡される位置)のいずれかに設定される。
【0043】
図6に示されるように、電気素子42は、共振回路を使用して実現される。共振回路は、抵抗器、インダクタ、コンデンサなどの電気素子を含む。図6の例示的な構成の場合、電気素子42は、インダクタ54とコンデンサ56のような並列に接続された素子を有する。これは単なる例である。電気素子42を形成するための共振回路は、1つ以上の直列に接続された抵抗器、コンデンサ及び/又はインダクタ、1つ以上の並列に接続された抵抗器、コンデンサ又はインダクタ、あるいは周波数の関数として変化するインピ−ダンス値を示す電気素子から成る他の何らかの適切な回路を使用して形成される。一例として、共振回路42の素子は、共振回路42が1つの動作帯域(例えば、低周波数通信帯域)で別の動作帯域(例えば、高周波数通信帯域)におけるインピ−ダンスの少なくとも10倍のインピ−ダンスを示すように選択される。
【0044】
図6の共振回路42のような共振回路のインピ−ダンスZを動作周波数fの関数として示す特性図が図7に示される。図7の線58により示されるように、共振回路のインピ−ダンスは、周波数fbのような高い周波数では相対的に低く、(本例では)回路の共振周波数と等しいか又はそれに近い周波数faのような低い周波数では相対的に高い。共振回路のインピ−ダンスZは周波数に従属する挙動を示すので、図6の素子42のように共振回路を利用する素子は、アンテナ動作のいくつかの周波数(例えば、周波数fbに近い1つ以上の周波数帯域)で短絡(又はほぼ短絡の状態)を形成するために使用され、アンテナ動作の他の周波数(例えば、周波数faに近い1つ以上の周波数帯域)では開回路(又はほぼ開回路の状態)を形成するために使用される。素子42のような共振回路を利用する素子の開閉挙動は、アンテナ40において図5の素子42のようなスイッチを利用する素子の開閉挙動を使用する代わりに又はそれに加えて、周波数に従属するアンテナ40のアンテナ構成の変化を実現するために使用される。
【0045】
アンテナ40は、パッチアンテナ、逆F形アンテナ、平面逆F形アンテナ、開スロットアンテナ又は閉スロットアンテナ、モノポ−ルアンテナ、ダイポ−ルアンテナ、コイルアンテナ、L形アンテナ、あるいは他の適切なアンテナを実現するための構造のような何らかの適切な種類のアンテナ構造に基づく。
【0046】
例示的な逆F形アンテナを図8に示す。図8に示されるように、逆F形アンテナ60は、アンテナ共振素子REのようなアンテナ共振素子を含む。アンテナ共振素子REは、誘電体で充填された開口部78により接地平面Gのような接地平面から分離された分枝66のような主導電性分枝を有する。この分枝66を形成する導電性部分は、共振素子REの短絡分枝64を使用して接地点62に電気的に結合される。アンテナ60は、アンテナ給電分枝68におけるアンテナ給電を使用して給電される。アンテナ給電は、正アンテナ給電端子70と、接地アンテナ給電端子72のようなアンテナ給電端子とを含む。
【0047】
逆F形アンテナ60に使用される別の例示的な構成が図9に示される。図9の構成において、短絡分枝64と給電分枝68の位置は、図8に示される逆F形アンテナ構成におけるそれらの分枝の位置とは逆になっている。
【0048】
アンテナ40を形成するために、図8及び図9のアンテナ構造のような1つ以上の逆F形アンテナ構成を形成するアンテナ構造が使用される。
【0049】
必要に応じて、複数のアンテナと関連するアンテナの設計を組み込んだ設計を使用してアンテナ40が形成される。例えば、アンテナ40は、1つ以上の電気素子42(例えば、1つ以上のスイッチ及び/又は共振回路)を使用して一体に結合された第1の設計の第1のアンテナと、第2の設計の第2のアンテナとから形成される。第1のアンテナの設計及び第2のアンテナの設計は、パッチアンテナの設計、モノポ−ルの設計、ダイポ−ルの設計、逆F形の設計、平面逆F形の設計、開スロットの設計、閉スロットアンテナの設計、ル−プアンテナの設計又は他の適切なアンテナの設計などのアンテナの設計から選択される。
【0050】
例示的な一例として、アンテナ40は、少なくとも1つの逆F形アンテナなどの第1のアンテナと、少なくとも1つのスロットアンテナなどの第2のアンテナとから形成される。
【0051】
例示的なスロットアンテナが図10に示される。図10に示されるように、スロットアンテナ74は、誘電体開口部78のような誘電体開口部を備えた構造76のような導電性構造を含む。図10の開口部78のような開口部は、スロットと呼ばれる場合もある。図10の構成において、導体76の各部分は周囲を完全に取り囲まれており、開口部78を封入しているので、開口部78は閉スロットである。導体76のような導電性材料に、開スロットアンテナも形成される(例えば、開口部78が導体76を貫通して突出するように、導体76の右側端部又は左側端部に開口部を形成することにより)。
【0052】
スロットアンテナ74のアンテナ給電は、正アンテナ給電端子70と、接地アンテナ給電端子72とを使用して形成される。
【0053】
アンテナの周波数応答は、そのアンテナの導電性構造の大きさと形状に関連する。図8及び図9に示される種類の逆F形アンテナは、アンテナ共振素子REの主共振素子分枝66の長さLが4分の1波長と等しい場合に周波数のピ−ク(ピ−ク応答)を示す。図10に示される種類のスロットアンテナは、スロット周囲Pが1波長と等しい場合に応答ピ−クを示す。
【0054】
スロットアンテナではこのような挙動が示されるため、所定の動作周波数に対して、スロットアンテナは逆F形アンテナより小型になる。スロット長さSL>>スロット幅SWである典型的なスロットの場合、スロットアンテナの長さは、同一の周波数の信号を処理するように構成された逆F形アンテナの長さの約半分になる。従って、逆F形アンテナの長さLとスロット長さSLとが等しい場合、スロットアンテナは、逆F形アンテナの周波数の約2倍の周波数で信号を処理可能である。
【0055】
逆F形アンテナ及びスロットアンテナの上記の属性を利用して、逆F形アンテナ部分とスロットアンテナ部分との双方を有する多帯域アンテナを形成できる。この場合、アンテナの逆F形アンテナ部分は、所定の周波数で低帯域信号を送受信するために使用され、アンテナのスロットアンテナ部分は、所定の周波数の約2倍の周波数(又は他の適切な高周波数)で高帯域信号を送受信するために使用される。スイッチ及び/又は共振回路などの素子42は、多帯域アンテナの逆F形アンテナ部分とスロットアンテナ部分を形成する導電性アンテナ構造を結合するために使用される。アンテナに含まれる素子42の数は、所望のあらゆる周波数帯域でアンテナの動作を確保するように選択される。例えば、1つの低帯域と1つの高帯域とでアンテナが動作されるべき場合、低帯域(逆F形)動作状態と高帯域(スロット)動作状態との間でアンテナを遷移させるために1つの素子42があれば十分である。更に多くの関心通信帯域(例えば、複数の逆F形アンテナモ−ド及び/又は複数のスロットアンテナモ−ド)に対応するためにアンテナが使用される例では、更に多くの素子42が使用される。
【0056】
逆F形(例えば、平面逆F形又は非平面逆F形)アンテナ部分と、スロットアンテナ部分とを含むアンテナ40の例示的な構成が図11に示される。アンテナ40は、構造84(例えば、接地平面構造)のような導電性構造と、分枝86のような主分枝とを含む。分枝86は、その長さの少なくとも一部で導電性構造84と平行に延び、誘電体で充填された領域78により導電性構造84から分離される。アンテナ40の短絡分枝(セグメント)64は、分枝(セグメント)86と導電性構造(セグメント)84との間に電気的に接続される。給電分枝(セグメント)68は、開口部78を架橋する。アンテナセグメント82は、開口部78の短絡経路64とは反対側の端部に形成される。素子42は、高周波数で低いインピ−ダンスを示し、低周波数で高いインピ−ダンスを示す共振回路を使用して、又はデバイス制御回路から経路44を介して制御信号を受信するスイッチなどのスイッチを使用して実現される。
【0057】
セグメント64、68、86、84、82などのアンテナ40の導電性構造(経路)は、逆F形アンテナとスロットアンテナの双方を形成するために使用される。アンテナ40の逆F形特性は、低帯域動作周波数(すなわち、セグメント86の長さがほぼ4分の1波長である周波数)で利用される。この動作周波数範囲では、電子デバイス10の制御回路は、開口部78の右側端部で開回路を形成する(図11のアンテナ40を逆F形アンテナ動作モ−ドに設定する)ために能動的にスイッチ42を開成するか、又は共振回路素子42の高インピ−ダンス特性が開回路を形成する。スロットアンテナ特性は、高帯域動作周波数(すなわち、開口部(スロット)78の周囲がほぼ1波長と等しい周波数)で利用される。この動作周波数範囲では、電子デバイス10の制御回路が能動的に閉成されるので、経路46及び素子42は、経路86及び経路84を電気的に接続する短絡状態にセグメント82を変換するか、あるいは共振回路の形をとる素子42は、経路46を結合し且つセグメント82により経路86を経路84に電気的に接続させる低インピ−ダンス(短絡)素子を形成する。
【0058】
図12は、図11のアンテナ40のようなアンテナのアンテナ性能(定在波比SWR)を動作周波数fの関数として示す特性図である。図12に示されるように、アンテナ40は、周波数faを中心とする通信帯域では低帯域周波数応答を示し、周波数fbを中心とする通信帯域では高周波数応答を示す。周波数faで与えられる有効範囲は、アンテナ40のスロットアンテナ特性を使用してサポ−トされる。図11の素子42がスイッチを使用して実現される場合、電子デバイス10の制御回路は、fb通信帯域で無線信号を処理するためにデバイス10が使用されるたびにスイッチを閉成し、fa通信帯域で無線信号を処理するためにデバイス10が使用されるたびにスイッチを開成する。図11の素子42が共振回路を使用して実現される場合、共振回路の回路素子の値は、周波数faを中心とする帯域の周波数で高いインピ−ダンスを示し、周波数fbを中心とする通信帯域と関連する周波数では低いインピ−ダンスを示すように選択される。
【0059】
図13に示されるように、電子デバイス10は、領域24にある下部アンテナのような第1のアンテナと、領域22にある上部アンテナとを含む複数のアンテナを有する(一例として)。領域24のアンテナは、接地平面Gのいくつかの部分と、筐体部材セグメント17−2の下方部分のような周囲導電性の筐体部材17とから形成されるル−プアンテナである。領域24のアンテナは、伝送線37−2を使用して給電される。領域22のアンテナ40は、周囲導電性の筐体部材セグメント17−1の各部分のような導電性構造と、導電性経路68と、導電性経路64と、任意に形成される導電性経路92とを含む。導電性経路68は、アンテナ40のアンテナ給電分枝を形成する。伝送線37−1は、正アンテナ給電端子70に結合された正導体と、アンテナ接地端子72に結合された接地導体とを有する。
【0060】
アンテナ40は、1つ以上の逆F形アンテナとして機能する導電性構造を含む。例えば、周囲導電性の筐体部材17−1の部分LB1は、第1の逆F形アンテナの主アンテナ共振素子分枝として機能し、給電経路68は、第1の逆F形アンテナの給電分枝として機能し、経路64は、第1の逆F形アンテナの短絡分枝として機能する。周囲導電性の筐体部材17−1の部分LB2は、第2の逆F形アンテナの主アンテナ共振素子分枝として機能し、給電経路68は、第2の逆F形アンテナの給電分枝として機能し、経路64は、第2の逆F形アンテナの短絡分枝として機能する。分枝LB1が分枝LB2より長い構成において、第1の逆F形アンテナは第1の通信帯域(例えば、第1の低帯域)で共振し、第2の逆F形アンテナは第2の通信帯域(例えば、第2の低帯域)で共振する。第2の通信帯域は第1の通信帯域より高い周波数に適応する。
【0061】
アンテナ40の構造は、周波数従属インピ−ダンスを示す共振回路のような素子42及び/又は電子デバイス10の制御回路からの制御信号の印加によって制御されるスイッチのような素子42を含む。素子42の状態は、異なる動作モ−ドでそれぞれ異なる種類のアンテナとして動作するようにアンテナ40の構造を構成するために使用される。例えば、第1の周波数範囲(すなわち、低周波数範囲)において、素子42のうち1つ以上は開回路を形成する(すなわち、1つ以上の共振回路素子のインピ−ダンスは高く且つ/又は1つ以上のスイッチ形素子は開成状態に設定されているため)。第2の周波数範囲(すなわち、高周波数範囲)において、素子42のうち1つ以上は閉成回路を形成する(すなわち、1つ以上の共振回路素子のインピ−ダンスは低く且つ/又は1つ以上のスイッチ形素子は閉成状態に設定されているため)。
【0062】
図13のアンテナ40のようなアンテナは、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上の素子42を有し、1つ以上の逆F形アンテナと1つ以上のスロットアンテナの特性を示す。
【0063】
一例として、素子42−1、42−2、42−4が開成し、素子42−3は閉成しているアンテナ40(又は短絡経路64に介在する素子42がない構成を使用するアンテナ40)の構成を考える。この構成において、周囲導電性の筐体部材の間隙19−1、19−2は、周囲導電性の筐体部材17で開回路を形成し、周囲導電性の筐体部材セグメント17−1をセグメント17−2、17−3から電気的に分離する。接地平面構造Gの上部は、誘電体で充填された開口部78により部材17−1から分離される。従って、ア−ムLB1は、アンテナ40の第1の逆F形アンテナの主分枝を形成し、ア−ムLB2は、第2の逆F形アンテナの主分枝を形成する。アンテナ40の第1の逆F形アンテナ部分と第2の逆F形アンテナ部分は、異なる通信帯域のアンテナ有効範囲にそれぞれ寄与する。
【0064】
アンテナ40は、種々の動作周波数においてスロットアンテナ動作モ−ドで動作する。一例として、素子42−1が閉成し(低インピ−ダンスを示す)、ブリッジ間隙19−1と、素子42−4と、ブリッジ間隙19−2と、素子42−3とが開成している(高インピ−ダンスを示す)構成の例を考える。必要に応じて、オプションの経路92が省略されるか、又は素子42−2は開成状態に設定される(又は素子42−2が高インピ−ダンスを示す周波数で動作される)。この動作モ−ドで、内周HB1を有するスロットアンテナが形成される。
【0065】
第2のスロットアンテナ動作モ−ドにおいて、素子42−1及び素子42−3は閉成される(低インピ−ダンス状態)。素子42−2は、開成しているか又はアンテナの動作周波数によって高インピ−ダンス状態で動作している。(必要に応じて、経路92は同様にアンテナ40から省略される。)この第2のスロットアンテナ動作モ−ドにおいて、アンテナ40は、内周HB2を有するスロットアンテナとして機能する。周囲HB2の大きさは、周囲HB1の大きさより小さいので、第2のスロットアンテナ動作モ−ドのアンテナ40は、第1のスロットアンテナ動作モ−ドの場合より高い周波数帯域で共振する。
【0066】
更に高い周波数帯域でアンテナ40を動作させたい場合、スイッチ42−2が閉成され(能動的に又は高周波数でアンテナ40を動作させることによって受動的に)、それにより、内周HB3を有する第3のスロットが形成される。内周HB3の大きさは内周HB2の大きさより小さいので、第3のスロットは、第2のスロットより高い周波数帯域で共振する。
【0067】
必要に応じて、図13に示される種類のアンテナは、更に多くの動作モ−ドを示す(例えば、開口部78と重なり合う介在素子42を有する追加の導電性経路を追加することにより、あるいは1つ以上の追加の素子42を使用してアンテナ40の導電性構造を相互接続することにより)。図13に示される一般的な種類のアンテナは、導電性経路のうち1つ以上を取り除くことにより更に簡単な構造になる。例えば、導電性経路92が省略される。経路64に任意に配置される素子42−3が省略される。電子デバイス10で使用されるアンテナ有効範囲の帯域数と素子42の数は、デバイス10の設計が過剰に高価に又は複雑にならないようにしつつ、所望の関心通信帯域に適応できるように選択される。
【0068】
図14は、アンテナ性能(定在波比、すなわち、SWR)を動作周波数fの関数として示す特性図(曲線90)である。図14の例において、図13のアンテナ40のようなアンテナは、5つの周波数帯域(すなわち、f1、f2、f3、f4、f5)を中心とする通信帯域)で共振ピ−クを示している。周波数f1の通信帯域は、例えば第1の低帯域であり、主アンテナ分枝LB1により形成される第1の逆F形アンテナが活動中であるモ−ドにおけるアンテナ40の動作に対応する。周波数f2の通信帯域は、例えば第2の低帯域であり、主アンテナ分枝LB2により形成される第2の逆F形アンテナが活動中であるモ−ドにおけるアンテナ40の動作に対応する。周波数f3を中心とする通信帯域に適応する場合、アンテナ40は、スロット周囲HB1と関連する第1のスロットアンテナが活動中であるモ−ドで動作している。周波数f2を中心とする通信帯域に適応する場合、アンテナ40は、スロット周囲HB2と関連する第2のスロットアンテナが活動中であるモ−ドで動作している。スロット周囲HB3と関連する第3のスロットアンテナが活動中であるモ−ドでアンテナ40が動作する場合、周波数f3と関連する通信帯域に適応する。
【0069】
2つの逆F形アンテナ動作モ−ド及び3つのスロットアンテナモ−ドがアンテナ40の導電性構造と素子42とによりサポ−トされる上記の例は、単なる例示である。必要に応じて、アンテナ40において更に少ない数のモ−ド又は更に多い数のモ−ドがサポ−トされる。更に、アンテナ40のアンテナスロットの周囲と、アンテナ共振素子の主分枝の長さとを適切に選択することにより、有効範囲の周波数は調整される。異なる動作周波数で低インピ−ダンス経路と高インピ−ダンス経路を形成するために共振素子のような受動素子が使用され且つ/又はスイッチを利用する素子が電子デバイス10の制御回路により能動的に適宜開閉される(すなわち、デバイスの動作中に適応すべき周波数範囲に応じてアンテナ40を所望のアンテナモ−ドに能動的に設定するために)。
【0070】
一実施形態によれば、アンテナ構造であって、導電性アンテナ構造と、周波数従属インピ−ダンスを有し、導電性アンテナ構造の各部分の間に結合された1つ以上の電気素子とを含み、第1の通信帯域ではアンテナ構造が第1の通信帯域に適応する第1のアンテナモ−ドで動作可能なように少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示し、第2の通信帯域ではアンテナ構造が第2の通信帯域に適応する第2のアンテナモ−ドで動作可能なように少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスより高い第2のインピ−ダンスを示すように、導電性アンテナ構造と、少なくとも1つの電気素子とは構成され、第2のアンテナモ−ドは第1のアンテナモ−ドとは異なるアンテナ構造が提供される。
【0071】
別の実施形態によれば、第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と、少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成される。
【0072】
別の実施形態によれば、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成される。
【0073】
別の実施形態によれば、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成される。
【0074】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は共振回路を含む。
【0075】
別の実施形態によれば、導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、電気素子は、周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋する。
【0076】
別の実施形態によれば、第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成され、第1のインピ−ダンスは第2のインピ−ダンスより低い。
【0077】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は、第1のアンテナモ−ドで閉成され、第2のアンテナモ−ドで開成しているスイッチを含む。
【0078】
別の実施形態によれば、導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、少なくとも1つの電気素子は、周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋する。
【0079】
別の実施形態によれば、第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造とスイッチとは、スイッチが開成している場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造とスイッチとは、スイッチが閉成された場合にスロットアンテナを形成するように構成される。
【0080】
一実施形態によれば、電子デバイスであって、無線周波数信号を送受信する無線周波数トランシ−バ回路と、無線周波数トランシ−バ回路に結合されたアンテナ構造と、アンテナ構造に結合された少なくとも1つの電気素子とを含み、アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、電気素子が第1のインピ−ダンスを示す第1の動作周波数ではスロットアンテナモ−ドとして動作するように構成され、電気素子が第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す第2の動作周波数では逆F形アンテナモ−ドで動作するように構成される電子デバイスが提供される。
【0081】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子はスイッチを含む。
【0082】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、制御回路を更に備え、制御回路は、無線周波数トランシ−バ回路が第1の周波数で動作されている間はスイッチを閉成するように構成され、無線周波数トランシ−バ回路が第2の周波数で動作されている間はスイッチを開成するように構成される。
【0083】
別の実施形態によれば、第1の周波数は第2の周波数より高く、無線周波数トランシ−バ回路は携帯電話トランシ−バを含む。
【0084】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、無線周波数トランシ−バ回路が内部に実装された筐体を更に備え、筐体は少なくとも1つの周囲導電性の筐体部材を含み、アンテナ構造のうち少なくともいくつかは、周囲導電性の筐体部材の少なくとも一部から形成される。
【0085】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、逆F形アンテナの接地平面の少なくとも一部を形成する導電性内部構造を更に備え、逆F形アンテナは、少なくとも一部が周囲導電性の筐体部材から形成された主アンテナ共振素子分枝を含み、スイッチは、スイッチが閉成された場合に導電性内部構造と主アンテナ共振素子分枝との間に電気経路を形成する。
【0086】
一実施形態によれば、電子デバイスにおいて、導電性アンテナ構造と、少なくとも1つの電気素子とを含む調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を使用して無線周波数信号を送受信する方法であって、第1の通信帯域で少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す間に、調整可能アンテナがスロットアンテナモ−ドで動作するように、第1の通信帯域において無線周波数トランシ−バ回路と、調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することと、第2の通信帯域で少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す間に、調整可能アンテナが逆F形アンテナモ−ドで動作するように、第2の通信帯域において無線周波数トランシ−バ回路と調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することとを含む方法が提供される。
【0087】
別の実施形態によれば、電子デバイスは制御回路を含み、少なくとも1つの電気素子は、制御回路に結合されたスイッチを備え、方法は、第2の通信帯域で無線周波数信号を送受信する場合は制御回路によってスイッチを開成することと、第1の通信帯域で無線周波数信号を送受信する場合は制御回路によってスイッチを閉成することとを更に含む。
【0088】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを含み、方法は、スイッチのうち1つが開成し、スイッチのうち1つが閉成された場合は制御回路によってアンテナを少なくとも第1の状態に設定し、スイッチのうち少なくとも2つが開成している場合は制御回路によってアンテナを少なくとも第2の状態に設定することを含む。
【0089】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを含み、方法は、アンテナをスロットアンテナモ−ドに設定するようにスイッチを制御することと、アンテナを追加スロットアンテナモ−ドに設定するようにスイッチを制御することとを含む。
【0090】
以上の説明は、単に本発明の原理を例示しているにすぎず、本発明の範囲と精神から逸脱することなく当業者は種々の変形を実行可能である。上記の実施形態は、個別に実現されるか又は何らかの組み合わせで実現される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子デバイスに関し、特に電子デバイスの無線通信回路とアンテナとに関する。
【背景技術】
【0002】
ポ−タブルコンピュ−タや携帯電話などの電子デバイスは、無線通信能力を備えている場合が多い。例えば、電子デバイスは、携帯電話回路やWiMax(IEEE802.16)回路のような長距離無線通信回路を使用する。更に、電子デバイスは、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)回路やBluetooth(登録商標)回路のような短距離無線通信回路を使用する。
【0003】
無線電子デバイスでアンテナ構造を実現するのは難しい。例えば、ポ−タブル電子デバイスの大きさは多くの場合に制限されるので、アンテナ構造を実現するために利用可能なスペ−スの広さも制限される。ポ−タブル電子デバイスの中には、導電性筐体構造、ディスプレイ構造、プリント回路基板のような導電性構造を含むものがある。種々の通信帯域に適応できるアンテナを提供することが望まれることは多いが、スペ−スが限られ、アンテナ構造が導電性構造の付近に配置されるような環境で、これを実現するのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、無線電子デバイスの改良されたアンテナ構造を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線通信回路を含む電子デバイスが提供される。無線通信回路は、調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を含む。無線周波数トランシ−バ回路は、調整可能アンテナを介して無線周波数信号を送受信するために使用される。
【0006】
異なるアンテナモ−ドの動作をサポ−トするようにアンテナに対して動的調整を実行するために、電子デバイスの制御回路が使用される。例えば、制御回路は、どの通信帯域が無線周波数トランシ−バ回路により使用されているかに応じてアンテナを同調するようにアンテナのスイッチを選択的に開閉するために使用される。必要に応じて、受動回路を使用してアンテナ同調構造が実現されてもよい。例えば、調整可能アンテナは、動作周波数の変化に応じてインピ−ダンスを変化させることにより、異なる動作周波数においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドをサポ−トするようにアンテナを再構成する共振回路などの受信回路を含む。
【0007】
調整可能アンテナは、導電性電子デバイス筐体構造などの導電性アンテナ構造を含む。導電性アンテナ構造は、周囲導電性の筐体部材、内部筐体構造、コネクタ、ディスプレイ、スピ−カ、マイクなどの電気素子の導電性部分、プリント回路基板の一部、又は他の導電性構造を含む。調整可能アンテナが異なるアンテナモ−ドでそれぞれ異なるタイプのアンテナとして動作するように調整可能アンテナの導電性構造を構成するために、スイッチや共振回路などの電気素子が使用される。
【0008】
本発明の更なる特徴、性質及び種々の利点は、添付の図面及び以下の好適な実施形態の詳細な説明から更に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナ構造を有する無線通信回路を含む例示的な電子デバイスを示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナ構造を備えるタイプの電子デバイスを含むシステムを示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナに結合された電子デバイスにおける記憶処理回路を示す回路図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る導電性アンテナ構造を相互接続するように周囲導電性の筐体部材の誘電体で充填された間隙を架橋するために共振回路又はスイッチなどの電気素子がどのように使用されるかを示す電子デバイスの内部の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナが異なる無線周波数帯域においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作するように調整可能アンテナを調整するために制御回路により開閉される種類の例示的なスイッチを示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナが異なる無線周波数帯域においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作するように、調整可能アンテナで使用される場合に異なる動作周波数でそれぞれ異なるインピ−ダンスを示す種類の例示的な共振回路を示す回路図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナで使用される場合に図6に示される種類の共振回路が異なる動作周波数でそれぞれ異なるインピ−ダンスを示すように、共振回路のインピ−ダンスが周波数の関数としてどのように変化するかを示す特性図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナの一部を形成するために使用される種類の例示的な逆F形アンテナを示す図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナの一部を形成するために使用される種類の別の例示的な逆F形アンテナを示す図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る調整可能アンテナの一部を形成するために使用される種類の例示的なスロットアンテナを示す図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る導電性アンテナ構造と、調整可能アンテナを低周波数では逆F形アンテナとして動作させ、高周波数ではスロットアンテナとして動作させる能動的に制御されるスイッチ又は受動共振回路のような周波数従属インピ−ダンスを有する電子素子とを有する例示的な調整可能アンテナを示す図である。
【図12】図12は、図11に示される種類の調整可能アンテナが第1の(低い)周波数を中心とする第1の通信帯域で動作するためにどのように構成され、第2の(高い)動作周波数を中心とする第2の通信帯域で動作するためにどのように構成されるかを示す特性図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係る逆F形アンテナ動作モ−ドと、スロットアンテナ動作モ−ドとを有する調整可能アンテナのようなアンテナを含む例示的な電子デバイスを示す平面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係る図13に示される種類の調整可能アンテナを使用して適応可能な例示的な通信帯域を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電子デバイスは無線通信回路を備える。無線通信回路は調整可能アンテナ構造を含む。調整可能アンテナ構造は、1つ以上の調整可能アンテナを実現するために使用される。調整可能アンテナ構造は、適切などのような電子機器においても使用される。本明細書において、ポ−タブル電子デバイスのような電子デバイスにおける調整可能アンテナの使用が例示的な一例として説明される場合がある。必要に応じて、他の電子機器で調整可能アンテナ構造は実現される。
【0011】
調整可能アンテナ構造は、スイッチのような能動的に構成される素子を使用して調整される。この種の構成の場合、電子デバイス内の制御回路は、望ましい動作モ−ドに応じて制御信号を発行する。例えば、電子デバイス内のベ−スバンドプロセッサ、マイクロプロセッサ又は他の制御回路が第1の周波数範囲で無線信号を処理可能なモ−ドにデバイスを設定したい場合、制御回路は、1つ以上のスイッチを第1の状態に設定する制御コマンドを発行する。第2の周波数範囲で無線信号を送受信したい場合、制御回路は、1つ以上のスイッチを第2の状態に設定する制御コマンドを発行する。スイッチの状態は、互いに電気的に接続される導電性アンテナ構造の部分を判定し、それに応じて、種々の周波数範囲においてそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作するように導電性アンテナ構造を構成する。必要に応じて、周波数従属インピ−ダンスを示す回路を使用して電子デバイスのアンテナ構造の一部又はすべてが構成される。周波数従属インピ−ダンス回路は、共振回路又はフィルタ回路と呼ばれる場合もあり、アンテナ構造を形成する1つ以上の導電性構造の間に結合される。ある周波数で動作する場合、共振回路は、相対的に低いインピ−ダンスを示し、ある特定のアンテナ構造を互いに結合する。他の周波数で動作する場合、共振回路は、相対的に高いインピ−ダンスを示し、それらのアンテナ構造を電気的に分離する。共振回路が高いインピ−ダンスを示す動作周波数と、低いインピ−ダンスを示す動作周波数とは、所望の種々の通信帯域において調整可能アンテナをそれぞれ異なるアンテナモ−ドで動作させるように設定される。
【0012】
上記の構成の組み合わせも使用される。例えば、能動的に調整されるスイッチと、受動的に調整される共振回路とを含むアンテナ構造が形成される。異なる動作周波数で、共振回路がそれぞれ異なるインピ−ダンスを示すことにより、導電性アンテナ構造は、選択的に接続、遮断される。同時に、制御回路は、導電性アンテナ構造を選択的に互いに接続、遮断するスイッチに対して制御信号を発生するために使用される。従って、電子デバイス10のアンテナ構造は、受動的アンテナ調整(例えば、導電性アンテナ構造の中に周波数従属インピ−ダンス回路を含めることによってアンテナに対して実行される周波数従属調整)を使用し且つ/又は導電性アンテナ構造の間に結合されたスイッチング回路に対する能動的調整を使用することにより、所望の一連の周波数帯域に適応するように調整される。
【0013】
共振回路及び/又は能動的に制御されるスイッチング回路を使用して互いに結合される導電性アンテナ構造から形成されたアンテナを備える種類の例示的な電子デバイスが図1に示される。電子デバイス10は、ポ−タブル電子デバイス又は他の適切な電子デバイスである。例えば、電子デバイス10は、ラップトップコンピュ−タ、タブレットコンピュ−タ、それより多少小型の腕時計型デバイス、ペンダント型デバイス、ヘッドホン型デバイス、イヤホン型デバイスのようなデバイス、又は他のウェアラブルデバイス又は小型デバイス、携帯電話、メディアプレイヤ−、デスクトップコンピュ−タなどの大型デバイス、コンピュ−タモニタに一体に組み込まれたコンピュ−タ、あるいは他の電子デバイスである。
【0014】
電子デバイス10は筐体12のような筐体を含む。筐体12は、ケ−スと呼ばれる場合もあり、プラスチック、ガラス、セラミック、複合繊維材料、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなど)、他の適切な材料、又はそれらの材料の組み合わせから形成される。状況によっては、筐体12の一部は、誘電体又は他の低導電率材料から形成される。また、筐体12又は筐体12を構成する構造の少なくとも一部が金属要素から形成される場合もある。
【0015】
電子デバイス10は、必要に応じてディスプレイ14のようなディスプレイを有する。ディスプレイ14は、例えば容量性タッチ電極を含むタッチスクリ−ン又は他の種類のタッチセンサ技術(例えば、音響タッチセンサ技術、光利用タッチセンサ技術、圧力センサ利用タッチセンサ技術、抵抗タッチセンサ技術など)を使用して形成されたタッチセンサを含むタッチスクリ−ンである。ディスプレイ14は、発光ダイオ−ド(LED)、有機LED(OLED)、プラズマセル、電子インク要素、液晶ディスプレイ(LCD)素子、又は他の適切な画素構造から形成された画素を含む。カバ−ガラスの層などのカバ−層がディスプレイ14の表面を被覆する。ディスプレイ14の周囲領域20Iのような部分は不活性であり、画素構造を含まない。矩形の中央部分20A(破線20により境界を規定される)のようなディスプレイ14の部分は、ディスプレイ14の活性部分に相当する。ディスプレイの活性領域20Aにおいて、ユ−ザに対して画像を表示するために画素のアレイが使用される。
【0016】
ディスプレイ14を被覆するカバ−ガラス層は、ボタン16に対応する円形開口部と、スピ−カポ−ト開口部18(例えば、ユ−ザのイヤホンに対応する)のようなスピ−カポ−ト開口部などの複数の開口部を有する。電子デバイス10は、他の開口部(例えば、音量ボタン、ベル音ボタン、スリ−プボタン又は他のボタンを受け入れるためのディスプレイ14及び/又は筐体12の開口部、オ−ディオジャック用開口部、デ−タポ−トコネクタ、取り出し可能媒体を差し込むためのスロットなど)を更に有する。
【0017】
筐体12は、周囲導電性の筐体部材17のような周囲導電性部材を含む。周囲導電性筐体部材17は、ディスプレイ14の周囲の一部又は周囲全体に沿って筐体12の上縁部を取り囲むベゼルである。例えば、導電性筐体部材17の一部又は全体は、電子デバイス10の側壁を形成する。この側壁は、ディスプレイ14の面に対して垂直な垂直面を有するか、又はディスプレイ14の平坦な面に関して垂直ではなく、ある角度を成す湾曲面又は平坦な面である。本明細書において一例として説明される場合もある適切な構成の1つでは、周囲導電性筐体部材17は、矩形のディスプレイ14の周囲全体をほぼ取り囲む帯状の金属部材から形成される。電子デバイス10の周囲導電性の筐体部材17と、他の導電性構造とは、金属などの導電性材料から形成される。例えば、周囲導電性の筐体部材17は、アルミニウム又はステンレス鋼(例として)などの金属から形成される。
【0018】
図1に示されるように、周囲導電性筐体部材17は、誘電体で充填された1つ以上の間隙19(例えば、間隙19−1、19−2、19−3、19−4)を必要に応じて含む。間隙19は、空気、プラスチック、セラミック、ガラス又は他の誘電体材料などの誘電体で充填される。周囲導電性筐体部材17の中に1つ以上の間隙19が存在する構成の場合、周囲導電性筐体部材17は、各セグメントに分割される。例えば、周囲導電性筐体部材17は、間隙19−1と間隙19−2との間に位置する第1のセグメントと、間隙19−2と間隙19−3との間に位置する第2のセグメントと、間隙19−3と間隙19−4との間に位置する第3のセグメントと、間隙19−4と間隙19−1との間に位置する第4のセグメントとに分割される。誘電体で充填された間隙を5つ以上含む構成の場合、周囲導電性筐体部材17は、更に多くの導電性セグメントに分割される。間隙19が3つ以下の構成の場合、周囲導電性筐体部材17は、更に少ない数のセグメント(例えば、3つ以下のセグメント、2つ以下のセグメント又は1つの間隙により分割される1つのセグメント)に分割される。必要に応じて、周囲導電性筐体部材17に化粧間隙(すなわち、部材17の表面部分に沿って多少の誘電体を含むが、部材17全体に沿って延在しているのではなく、従って部材17の各部分を電気的に分離していない構造)が含まれる(例えば、図2の間隙19により示される場所のうち1つ以上)。
【0019】
電子デバイス10の導電性アンテナ構造(すなわち、デバイス10の1つ以上のアンテナを形成しているといわれる場合もある導電性構造)は、周囲導電性筐体部材17の1つ以上の部分のような筐体12の導電性部分から形成されるか、内部導電性フレ−ム部材などの1つ以上の内部導電性筐体構造及び/又はパタ−ニングされた導電性薄板構造と、関連する導電性素子などの導電性平面構造(ミッドプレ−ト部材又はミッドプレ−ト構造を形成するといわれる場合もある)から形成されるか、剛性プリント回路基板上の金属トレ−スなどの導電性トレ−スから形成されるか、可撓性プリント回路基板(すなわち、ポリイミドシ−トなどの可撓性ポリマ−シ−トの上のパタ−ニングされた金属トレ−スから形成された「フレックス回路」)上の金属トレ−スなどの導電性トレ−スから形成されるか、プラスチック支持体上の導電性トレ−ス(例えば、成形プラスチック支持体上の金属トレ−ス)から形成されるか、ワイヤから形成されるか、パタ−ニングされた金属箔から形成されるか、他の基板上の導電性構造から形成されるか、他のパタ−ニングされた金属部材から形成されるか、電気素子(例えば、スイッチ、ディスプレイ素子、コネクタ素子、マイク、スピ−カ、カメラ、無線周波数遮蔽カン、集積回路又は他の電気素子)の導電性部分から形成されるか、他の適切な導電性構造から形成されるか、あるいは1つ以上のそのような導電性構造の組み合わせから形成される。場合によっては本明細書において例として説明される電子デバイス10のいくつかの例示的な構成において、アンテナ構造を形成する導電性構造のうち少なくともいくつかの構造は、導電性周囲筐体部材17の一部のような導電性筐体構造を含み、アンテナ構造を形成する導電性構造のうちいくつかの構造は、導電性筐体ミッドプレ−ト部材などの接地平面構造と、プリント回路基板接地構造と、他の導電性構造(例えば、コネクタ、マイク、スピ−カ、ディスプレイ、カメラなどの電子素子の導電性部分)とを含む。
【0020】
アンテナは、電子デバイス10の縁部に沿って配置されるか、延出する部材又は取り付け可能な構造としてデバイス10の背面又は正面に配置されるか、あるいはデバイス10の他の場所に配置される。場合によっては本明細書において一例として説明される1つの適切な構造の場合、電子デバイス10は、筐体12の下端部24に1つ以上のアンテナを備え、筐体12の上端部22に1つ以上のアンテナを備える。デバイス10の両端部(すなわち、デバイス10が図1に示される種類の細長い矩形の形状を有する場合、ディスプレイ14とデバイス10の狭いほうの端部領域)にアンテナを配置することにより、ディスプレイ14の導電性部分(例えば、ディスプレイ14の活性領域20Aにある画素アレイとドライバ回路)と関連する接地構造から適切な距離をおいてそれらのアンテナを形成できる。
【0021】
必要に応じて、第1の携帯電話アンテナ(第1の携帯電話アンテナ構造)は、領域24に配置され、第2の携帯電話アンテナ(第2の携帯電話アンテナ構造)は、領域22に配置される。全地球測位システム信号などの衛星ナビゲ−ション信号、あるいはIEEE802.11(WiFi(登録商標)信号)又はBluetooth(登録商標)信号などの無線ロ−カルエリアネットワ−ク信号を処理するアンテナ構造も、領域22及び/又は領域24に設けられる(独立した追加アンテナとしてあるいは第1の携帯電話アンテナ及び第2の携帯電話アンテナの一部として)。更に、WiMax(IEEE802.16)信号を処理するために、領域22及び/又は領域24にアンテナ構造が設けられる。
【0022】
領域22、24において、導電性筐体構造と、プリント回路基板と、電子デバイス10を構成する他の導電性電気素子との間に、開口部が形成される。それらの開口部は、空気、プラスチック又は他の誘電体で充填される。導電性筐体構造と他の導電性構造は、電子デバイス10のアンテナに対して接地平面として機能する。領域22、24の開口部は、開スロットアンテナ又は閉スロットアンテナのスロットとして機能するか、ル−プアンテナにおいて導電性材料経路により取り囲まれた中央誘電体領域として機能するか、ストリップアンテナ共振素子などのアンテナ共振素子又は導電性周囲筐体部材17の一部から形成された逆F形アンテナ共振素子などの逆F形アンテナ共振素子を接地平面から分離する空間として機能するか、それらの機能のうち2つ以上の機能を果たすか(例えば、異なる周波数でそれぞれ異なる構成で動作するように構成されたアンテナ構造の場合)、あるいは領域22、24に形成されたアンテナ構造の一部として機能する。
【0023】
領域22と領域24に形成されるアンテナは同一である(すなわち、それぞれ同一の携帯電話帯域群又は他の関心通信帯域群に適用されるアンテナが領域22と領域24に形成される)。レイアウト上の制約又は他の設計上の制約があるため、同一のアンテナを使用することが望ましくない場合もある。異なる設計を使用して領域22及び領域24におけるアンテナを実現することが望ましい。例えば、領域22のアンテナと領域24のアンテナとは、異なる種類のアンテナを使用して実現され、異なる利得を示す設計を使用して実現され、電子デバイス10の一端部は固定アンテナを収納するが、デバイス10の他端部は調整可能アンテナを収納するように実現され且つ/又は異なる周波数範囲に適応する設計を使用して実現される。
【0024】
電子デバイス10は何らかの適切な数のアンテナを使用する。例えば、デバイス10は1つのアンテナを有するか、2つ以上のアンテナを有するか、3つ以上のアンテナを有するか、4つ以上のアンテナを有するか、又は5つ以上のアンテナを有する。例えば、電子デバイス10は、少なくとも領域22に携帯電話アンテナなどの第1のアンテナを含み、領域24に携帯電話アンテナなどの第2のアンテナを含む。領域22及び/又は24、あるいは電子デバイス10の他の適切な部分に、別のアンテナ(例えば、ロ−カルエリアネットワ−クアンテナ、衛星ナビゲ−ションアンテナなど)が形成される。
【0025】
電子デバイス10が動作するシステムの概略図を図2に示す。図2に示されるように、システム11は、基地局21のような無線ネットワ−ク機器を含む。基地局21のような基地局は、携帯電話ネットワ−ク又は他の無線ネットワ−ク機器と関連する。電子デバイス10は、無線リンク23(例えば、携帯電話リンク又は他の無線通信リンク)を介して基地局21と通信する。
【0026】
電子デバイス10は記憶処理回路28のような制御回路を含む。記憶処理回路28は、ハ−ドディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又は固体素子ドライブを形成するように構成された他の電気的プログラム可能読み取り専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、スタティックランダムアクセスメモリ又はダイナミックランダムアクセスメモリ)などの記憶装置を含む。記憶処理回路28の処理回路と、無線通信回路34の制御回路などの他の制御回路は、電子デバイス10の動作を制御するために使用される。この処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントロ−ラ、デジタル信号プロセッサ、ベ−スバンドプロセッサ、電力管理装置、オ−ディオコ−デックチップ、特定用途向け集積回路などに基づく。
【0027】
記憶処理回路28は、インタ−ネット閲覧アプリケ−ション、VoIP(Voice over Internet Protocol)電話アプリケ−ション、Eメ−ルアプリケ−ション、メディア再生アプリケ−ション、オペレ−ティングシステム機能などの電子デバイス10のソフトウェアを実行するために使用される。基地局21のような外部機器との対話をサポ−トするために、通信プロトコルの実現に記憶処理回路28が使用される。記憶処理回路28を使用して実現される通信プロトコルには、インタ−ネットプロトコル、無線ロ−カルエリアネットワ−クプロトコル(例えば、WiFi(登録商標)と呼ばれる場合もあるIEEE802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)プロトコルなどの他の短距離無線通信リンクに対応するプロトコル、IEEE802.16(WiMax)プロトコル、LTE(Long Term Evolution)プロトコルなどの携帯電話プロトコル、汎ヨ−ロッパデジタル移動通信システム(GSM(登録商標))プロトコル、符号分割多元接続(CDMA)プロトコル、ユニバ−サル移動通信システム(UMTS)プロトコルなどがある。
【0028】
記憶処理回路28は、電子デバイス10の制御アルゴリズムを実現するように構成される。この制御アルゴリズムは、無線周波数スイッチング回路と、トランシ−バ回路と、他のデバイス資源とを制御するために使用される。更に、制御アルゴリズムは、送信機と受信機とをアクティブ化及び非アクティブ化するため、送信機と受信機を所望の周波数に同調するため、測定されたデバイスの動作パラメ−タを所定の基準と比較するため、アンテナ構造においてスイッチング回路を調整するためなどにも使用される。
【0029】
いくつかの例では、記憶処理回路28は、センサ信号と受信信号(例えば、受信されるパイロット信号、受信されるペ−ジング信号、受信される音声通話トラフィック、受信される制御チャネル信号、受信されるデ−タトラフィックなど)との品質を反映する信号を収集するために使用される。電子デバイス10において実行される信号品質の測定の例は、ビット誤り率の測定、信号対雑音比の測定、入力無線信号と関連する電力量の測定、受信信号強度指標(RSSI)情報に基づくチャネル品質の測定(RSSI測定)、希望波受信電力(RSCP)情報に基づくチャネル品質の測定(RSCP測定)、基準記号受信電力(RSRP測定)、信号対干渉比(SINR)情報と信号対雑音比(SNR)情報に基づくチャネル品質の測定(SINR測定と、SNR測定)、Ec/lo又はEc/Noデ−タなどの信号品質デ−タに基づくチャネル品質の測定(Ec/lo測定と、Ec/No測定)などである。この情報と他のデ−タとは、電子デバイス10の無線回路をどのように構成するかを制御するために使用されると共に、その他の面でデバイス10を制御し、構成するために使用される。例えば、信号品質情報と、基地局21から受信された情報と、他の情報とは、電子デバイス10の無線信号を処理する場合にどの通信帯域が使用されるべきかを判定するために使用される。電子デバイス10は種々の周波数で通信するので、デバイス10のアンテナ構造は適切な通信帯域に適応するように使用される。例えば、電子デバイス10のアンテナ構造の構成が周波数の関数として変化するように、アンテナ構造の共振回路は種々の周波数でそれぞれ異なるインピ−ダンスを示し且つ/又は1つ以上のスイッチを調整することにより、所望の通信帯域に適応するように動的にアンテナ構造を構成するために、デバイス10の制御回路が制御信号を発生する。
【0030】
入出力回路30は、電子デバイス10にデ−タを供給し、デバイス10から外部装置にデ−タを供給するために使用される。入出力回路30は入出力デバイス32を含む。入出力デバイス32は、タッチスクリ−ン、ボタン、ジョイスティック、クリックホイ−ル、スクロ−リングホイ−ル、タッチパッド、キ−パッド、キ−ボ−ド、マイク、スピ−カ、ト−ンジェネレ−タ、バイブレ−タ、カメラ、センサ、発光ダイオ−ド、他の状態指示器、デ−タポ−トなどを含む。ユ−ザは、入出力デバイス32を介してコマンドを供給することにより電子デバイス10の動作を制御できると共に、入出力デバイス32の出力資源を使用してデバイス10から状態情報と他の出力を受信する。
【0031】
無線通信回路34は、1つ以上の集積回路と、電力増幅器回路と、低雑音入力増幅器と、受動RF素子と、1つ以上のアンテナと、RF無線信号を処理する他の回路とから形成された無線周波数(RF)トランシ−バ回路を含む。
【0032】
無線通信回路34は、全地球測位システム(GPS)受信機回路35(例えば、1,575MHzで衛星ナビゲ−ションシステム信号を受信する)のような衛星ナビゲ−ションシステム受信機回路を含む。トランシ−バ回路36は、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)に対応する2.4GHz帯域と、5GHz帯域とを処理し、2.4GHz Bluetooth(登録商標)通信帯域を処理する。無線通信回路34は、700MHz、850MHz、900MHz、1,800MHz、1,900MHz、2,100MHz、2,300MHzと、他の関心携帯電話帯域などの携帯電話帯域で無線通信を処理する携帯電話トランシ−バ回路38を使用する。無線通信回路34は、必要に応じて他の短距離無線リンクと、長距離無線リンクとに対応する回路(例えば、WiMax回路など)を含む。無線通信回路34は、例えば、無線信号、テレビジョン信号、ペ−ジング信号などを受信する無線回路を含む。WiFi(登録商標)リンク、Bluetooth(登録商標)リンク及び他の短距離無線リンクの場合、無線信号は、数十フィ−ト又は数百フィ−トの距離にわたりデ−タを搬送するために通常使用される。携帯電話リンク及び他の長距離リンクの場合、無線信号は、数千フィ−ト又は数千マイルの距離にわたりデ−タを搬送するために通常使用される。
【0033】
無線通信回路34はアンテナ40を含む。アンテナ40は、受信機35、トランシ−バ36及びトランシ−バ38などのトランシ−バ回路に伝送線37を使用して結合される。伝送線37は、同軸ケ−ブル、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線及び/又は他の伝送線構造を含む。伝送線の中に整合回路が挿入される(例えば、伝送線のインピ−ダンスをトランシ−バ回路のインピ−ダンス及び/又はアンテナのインピ−ダンスと整合するために)。アンテナ40は、何らかの適切な種類のアンテナを使用して形成される。例えば、アンテナ40は、ル−プアンテナ構造、パッチアンテナ構造、逆F形アンテナ構造、閉ル−プスロットアンテナ構造、開ル−プスロットアンテナ構造、平面逆F形アンテナ構造、ヘリカルアンテナ構造、ストリップアンテナ、モノポ−ル、ダイポ−ル、それらの設計の混成構造などから形成された共振素子を有するアンテナを含む。異なる帯域及び異なる帯域の組み合わせに対して、それぞれ異なる種類のアンテナが使用される。例えば、ロ−カル無線リンクアンテナ(例えば、WiFi(登録商標)トラフィック又は他の無線ロ−カルエリアネットワ−クトラフィックを処理するためのアンテナ)を形成するために1つの種類のアンテナが使用され、遠隔無線リンクアンテナ(例えば、音声通話とデ−タセッションなどのセルラネットワ−クトラフィックを処理するためのアンテナ)を形成するために1つ以上の他の種類のアンテナが使用される。図1に関連して説明したように、電子デバイス10の領域24に1つの携帯電話アンテナがあり、デバイス10の領域22に別の携帯電話アンテナがある。それらのアンテナは、固定アンテナ又は調整可能アンテナ(例えば、周波数の関数としてインピ−ダンスを変化させる共振回路を使用し且つ/又はアンテナ性能を調整するために開閉可能な1つ以上のスイッチを使用する)である。
【0034】
図3に示されるように、アンテナ構造40(例えば、領域22及び/又は領域24の携帯電話アンテナ又は他の適切なアンテナ構造)は、1つ以上の電気素子42を含む。電気素子42は、共振回路のように高周波数と低周波数とでインピ−ダンスを変化させる受動回路及び/又は動的に調整可能な素子(スイッチ)である。電気素子42は、導電性アンテナ構造48の各部分の間に経路46のような経路を使用して結合される。アンテナ構造48は、プラスチック支持体、可撓性プリント回路基板、剛性プリント回路基板、パタ−ニングされた金属箔、導電性筐体構造(例えば、図1の導電性周囲筐体部材17の全体又は一部)のような導電性デバイス構造、ワイヤ、伝送線構造又は他の導電性構造などの基板上のパタ−ニングされた金属トレ−スを含む。
【0035】
記憶処理回路28などの制御回路から、経路44を使用して電気素子42に任意に制御信号が供給される。経路44及び46は、プラスチック支持体、可撓性プリント回路基板、剛性プリント回路基板、パタ−ニングされた金属箔、導電性筐体構造(例えば、図1の導電性周囲筐体部材17の全体又は一部)のような導電性デバイス構造、ワイヤ、伝送線構造又は他の導電性構造などの基板上のパタ−ニングされたトレ−スから形成される。経路44、46及び/又は電気素子42は、アンテナ構造と呼ばれる場合もあり、アンテナ構造40を形成するためにアンテナ構造48と共に使用される。アンテナ構造40(アンテナ40又は調整可能アンテナ40と呼ばれる場合もある)は、無線回路34の無線周波数トランシ−バ回路に伝送線37を使用して結合される。伝送線37は、同軸ケ−ブル、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線又は他の適切な伝送線などの伝送線構造から形成される。必要に応じて、無線周波数トランシ−バ回路とアンテナ40との間の経路に、フィルタと、インピ−ダンス整合回路と、スイッチと、他の回路とが挿入される。電子デバイス10には、アンテナ40のようなアンテナが1つ以上存在する。例えば、筐体12の領域22に図3のアンテナ40のような第1のアンテナがあり、筐体の領域24に図3のアンテナ40又は固定アンテナのような第2のアンテナがある(一例として)。
【0036】
関心動作周波数に適応するようにアンテナ構造40を構成するために、電気素子42のような1つ以上の電気素子が使用される。素子42は、受動回路(すなわち、共振回路)及び/又はスイッチを使用して実現される。スイッチを使用して実現される場合、記憶処理回路28のような電子デバイス10の制御回路(例えば、ベ−スバンドプロセッサ又は他のプロセッサ)は、経路44を介してスイッチに制御コマンドを送出するために使用される。制御回路は、例えば、第1の動作モ−ドで1つ以上のスイッチ42を開成及び/又は閉成するために1つ以上の制御信号を含む第1の制御信号群を発行し、第2の動作モ−ドで1つ以上のスイッチ42を開成及び/又は閉成するために1つ以上の制御信号を含む第2の制御信号群を発行し、任意の別の動作モ−ドをサポ−トするようにスイッチ42を所望の状態に設定するために更に別の制御信号群を発行する。第1の動作モ−ドに合わせて構成された場合、アンテナ構造40は、第1の周波数群(例えば、第1組の携帯電話通信帯域又は他の所望の周波数範囲)に適応する。第2の動作モ−ドに合わせて構成された場合、アンテナ構造40は第2の周波数群に適応する。更に別の動作周波数群には、スイッチ42を任意の別の動作モ−ドに合わせて構成することにより適応する。
【0037】
受動回路(すなわち、スイッチを含まない共振回路)を使用して電気素子42を実現する場合、素子42は、周波数従属インピ−ダンスによってアンテナ構造40を再構成する。種々の周波数に適応するアンテナ40を構成するために、必要に応じて、スイッチに基づく素子42と受動(スイッチングを含まない)回路に基づく素子42との組み合わせが使用される。アンテナ40は動作中に構成を変えることができるので、固定(スイッチングを含まず、周波数に従属しない)アンテナ構造を使用する場合に可能であると考えられる範囲より広い範囲の動作周波数に適応できる。これにより、電子デバイス10の相対的に狭い領域内でアンテナ40を実現でき、また導電性デバイス構造の付近で(例えば、周囲導電性の筐体部材17、デバイス10の接地平面構造又は他の導電性構造に隣接して)アンテナ40を実現できる。更に、アンテナ40は、筐体部材17又は他の導電性デバイス構造(例えば、接地平面構造、電気素子など)の一部を使用して形成される。
【0038】
図4は、図1の電子デバイス10のような例示的なデバイスの内部の一部分を示す斜視図である。図4に示されるように、周囲導電性の筐体部材17は、誘電体で充填された領域78により接地構造から分離される。領域78は、空気、プラスチック、ガラス、セラミック又は他の誘電体を含む。図4の例では、領域78の輪郭は、筐体部材17の内側形状と、接地平面Gの反対側の縁部とから形成されるように示されているが、領域78の形状を規定するために何らかの適切な導電性構造が使用される。例えば、筐体部材17及び/又は接地平面Gに接続された電気素子の部分及び/又は筐体部材17及び/又は接地平面Gに隣接してデバイス筐体に装着された電気素子の部分のような導電性構造は、領域78を取り囲む導電性材料の大きさと形状を効果的に変化させ、それにより、領域78の内周形状を規定するために使用される。
【0039】
接地平面Gの導電性構造は、板金構造(例えば、任意に特徴形状が打ち抜きによって形成され、筐体部材17の左側部分と右側部分との間に溶接された平坦な一体形ミッドプレ−ト部材又はマルチパ−トミッドプレ−ト部材)から形成されるか、プリント回路基板トレ−スから形成されるか、筐体フレ−ム部材から形成されるか、導電性ディスプレイ構造から形成されるか、部分17Gのような周囲導電性の筐体部材17と関連する導電性構造から形成されるか、接地平面Gに結合された電子素子の導電性材料から形成されるか、又は他の導電性構造から形成される。
【0040】
図4の導電性筐体部材17の間隙19−1のような各導電性アンテナ構造の間の誘電体間隙は、プラスチック又は他の誘電体材料によって充填される。電気素子42は、経路46を使用して間隙19−1を架橋するために筐体部材17(又は他の導電性アンテナ構造)の各部分の間に結合される。素子42は、溶接部、ばね、ねじ、はんだ、導電性線路又は他の適切な装着構造を含む経路46を使用してアンテナ40の構造内部に結合される。経路44は、電気素子42に制御信号を印加するために使用される(例えば、スイッチを使用して素子42が実現されている場合)。必要に応じて、経路44は省略される(例えば、共振回路を使用して素子42が実現されている場合)。
【0041】
誘電体で充填された領域(アンテナ開口部)78は、プラスチック(例えば、接地平面Gのパタ−ニングされた板金構造を覆うようにインサ−ト成形されたプラスチック)、空気、ガラス、セラミック又は他の誘電体材料で充填される。アンテナ40には、図4の電気素子42のような1つ以上の素子がある(例えば、図3を参照)。
【0042】
スイッチを利用する場合の電気素子42の例示的な構成の回路図を図5に示す。図5に示されるように、電気素子(スイッチ)42は、制御入力端子44に供給される制御信号に応答する。スイッチ42は、ダイオ−ド系スイッチ、トランジスタスイッチ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)スイッチなどの2端子デバイス又は3端子デバイスとして実現される。2端子構成の場合、制御経路44は省略される。3端子構成の場合、経路44は、デジタル(ハイ/ロ−)制御信号などの信号をスイッチ42に供給するために使用される。図5のスイッチ42は、端子50、52が互いに隔離される開成位置、又は端子50、52が互いに電気的に接続される閉成位置(すなわち、端子50、52が互いに短絡される位置)のいずれかに設定される。
【0043】
図6に示されるように、電気素子42は、共振回路を使用して実現される。共振回路は、抵抗器、インダクタ、コンデンサなどの電気素子を含む。図6の例示的な構成の場合、電気素子42は、インダクタ54とコンデンサ56のような並列に接続された素子を有する。これは単なる例である。電気素子42を形成するための共振回路は、1つ以上の直列に接続された抵抗器、コンデンサ及び/又はインダクタ、1つ以上の並列に接続された抵抗器、コンデンサ又はインダクタ、あるいは周波数の関数として変化するインピ−ダンス値を示す電気素子から成る他の何らかの適切な回路を使用して形成される。一例として、共振回路42の素子は、共振回路42が1つの動作帯域(例えば、低周波数通信帯域)で別の動作帯域(例えば、高周波数通信帯域)におけるインピ−ダンスの少なくとも10倍のインピ−ダンスを示すように選択される。
【0044】
図6の共振回路42のような共振回路のインピ−ダンスZを動作周波数fの関数として示す特性図が図7に示される。図7の線58により示されるように、共振回路のインピ−ダンスは、周波数fbのような高い周波数では相対的に低く、(本例では)回路の共振周波数と等しいか又はそれに近い周波数faのような低い周波数では相対的に高い。共振回路のインピ−ダンスZは周波数に従属する挙動を示すので、図6の素子42のように共振回路を利用する素子は、アンテナ動作のいくつかの周波数(例えば、周波数fbに近い1つ以上の周波数帯域)で短絡(又はほぼ短絡の状態)を形成するために使用され、アンテナ動作の他の周波数(例えば、周波数faに近い1つ以上の周波数帯域)では開回路(又はほぼ開回路の状態)を形成するために使用される。素子42のような共振回路を利用する素子の開閉挙動は、アンテナ40において図5の素子42のようなスイッチを利用する素子の開閉挙動を使用する代わりに又はそれに加えて、周波数に従属するアンテナ40のアンテナ構成の変化を実現するために使用される。
【0045】
アンテナ40は、パッチアンテナ、逆F形アンテナ、平面逆F形アンテナ、開スロットアンテナ又は閉スロットアンテナ、モノポ−ルアンテナ、ダイポ−ルアンテナ、コイルアンテナ、L形アンテナ、あるいは他の適切なアンテナを実現するための構造のような何らかの適切な種類のアンテナ構造に基づく。
【0046】
例示的な逆F形アンテナを図8に示す。図8に示されるように、逆F形アンテナ60は、アンテナ共振素子REのようなアンテナ共振素子を含む。アンテナ共振素子REは、誘電体で充填された開口部78により接地平面Gのような接地平面から分離された分枝66のような主導電性分枝を有する。この分枝66を形成する導電性部分は、共振素子REの短絡分枝64を使用して接地点62に電気的に結合される。アンテナ60は、アンテナ給電分枝68におけるアンテナ給電を使用して給電される。アンテナ給電は、正アンテナ給電端子70と、接地アンテナ給電端子72のようなアンテナ給電端子とを含む。
【0047】
逆F形アンテナ60に使用される別の例示的な構成が図9に示される。図9の構成において、短絡分枝64と給電分枝68の位置は、図8に示される逆F形アンテナ構成におけるそれらの分枝の位置とは逆になっている。
【0048】
アンテナ40を形成するために、図8及び図9のアンテナ構造のような1つ以上の逆F形アンテナ構成を形成するアンテナ構造が使用される。
【0049】
必要に応じて、複数のアンテナと関連するアンテナの設計を組み込んだ設計を使用してアンテナ40が形成される。例えば、アンテナ40は、1つ以上の電気素子42(例えば、1つ以上のスイッチ及び/又は共振回路)を使用して一体に結合された第1の設計の第1のアンテナと、第2の設計の第2のアンテナとから形成される。第1のアンテナの設計及び第2のアンテナの設計は、パッチアンテナの設計、モノポ−ルの設計、ダイポ−ルの設計、逆F形の設計、平面逆F形の設計、開スロットの設計、閉スロットアンテナの設計、ル−プアンテナの設計又は他の適切なアンテナの設計などのアンテナの設計から選択される。
【0050】
例示的な一例として、アンテナ40は、少なくとも1つの逆F形アンテナなどの第1のアンテナと、少なくとも1つのスロットアンテナなどの第2のアンテナとから形成される。
【0051】
例示的なスロットアンテナが図10に示される。図10に示されるように、スロットアンテナ74は、誘電体開口部78のような誘電体開口部を備えた構造76のような導電性構造を含む。図10の開口部78のような開口部は、スロットと呼ばれる場合もある。図10の構成において、導体76の各部分は周囲を完全に取り囲まれており、開口部78を封入しているので、開口部78は閉スロットである。導体76のような導電性材料に、開スロットアンテナも形成される(例えば、開口部78が導体76を貫通して突出するように、導体76の右側端部又は左側端部に開口部を形成することにより)。
【0052】
スロットアンテナ74のアンテナ給電は、正アンテナ給電端子70と、接地アンテナ給電端子72とを使用して形成される。
【0053】
アンテナの周波数応答は、そのアンテナの導電性構造の大きさと形状に関連する。図8及び図9に示される種類の逆F形アンテナは、アンテナ共振素子REの主共振素子分枝66の長さLが4分の1波長と等しい場合に周波数のピ−ク(ピ−ク応答)を示す。図10に示される種類のスロットアンテナは、スロット周囲Pが1波長と等しい場合に応答ピ−クを示す。
【0054】
スロットアンテナではこのような挙動が示されるため、所定の動作周波数に対して、スロットアンテナは逆F形アンテナより小型になる。スロット長さSL>>スロット幅SWである典型的なスロットの場合、スロットアンテナの長さは、同一の周波数の信号を処理するように構成された逆F形アンテナの長さの約半分になる。従って、逆F形アンテナの長さLとスロット長さSLとが等しい場合、スロットアンテナは、逆F形アンテナの周波数の約2倍の周波数で信号を処理可能である。
【0055】
逆F形アンテナ及びスロットアンテナの上記の属性を利用して、逆F形アンテナ部分とスロットアンテナ部分との双方を有する多帯域アンテナを形成できる。この場合、アンテナの逆F形アンテナ部分は、所定の周波数で低帯域信号を送受信するために使用され、アンテナのスロットアンテナ部分は、所定の周波数の約2倍の周波数(又は他の適切な高周波数)で高帯域信号を送受信するために使用される。スイッチ及び/又は共振回路などの素子42は、多帯域アンテナの逆F形アンテナ部分とスロットアンテナ部分を形成する導電性アンテナ構造を結合するために使用される。アンテナに含まれる素子42の数は、所望のあらゆる周波数帯域でアンテナの動作を確保するように選択される。例えば、1つの低帯域と1つの高帯域とでアンテナが動作されるべき場合、低帯域(逆F形)動作状態と高帯域(スロット)動作状態との間でアンテナを遷移させるために1つの素子42があれば十分である。更に多くの関心通信帯域(例えば、複数の逆F形アンテナモ−ド及び/又は複数のスロットアンテナモ−ド)に対応するためにアンテナが使用される例では、更に多くの素子42が使用される。
【0056】
逆F形(例えば、平面逆F形又は非平面逆F形)アンテナ部分と、スロットアンテナ部分とを含むアンテナ40の例示的な構成が図11に示される。アンテナ40は、構造84(例えば、接地平面構造)のような導電性構造と、分枝86のような主分枝とを含む。分枝86は、その長さの少なくとも一部で導電性構造84と平行に延び、誘電体で充填された領域78により導電性構造84から分離される。アンテナ40の短絡分枝(セグメント)64は、分枝(セグメント)86と導電性構造(セグメント)84との間に電気的に接続される。給電分枝(セグメント)68は、開口部78を架橋する。アンテナセグメント82は、開口部78の短絡経路64とは反対側の端部に形成される。素子42は、高周波数で低いインピ−ダンスを示し、低周波数で高いインピ−ダンスを示す共振回路を使用して、又はデバイス制御回路から経路44を介して制御信号を受信するスイッチなどのスイッチを使用して実現される。
【0057】
セグメント64、68、86、84、82などのアンテナ40の導電性構造(経路)は、逆F形アンテナとスロットアンテナの双方を形成するために使用される。アンテナ40の逆F形特性は、低帯域動作周波数(すなわち、セグメント86の長さがほぼ4分の1波長である周波数)で利用される。この動作周波数範囲では、電子デバイス10の制御回路は、開口部78の右側端部で開回路を形成する(図11のアンテナ40を逆F形アンテナ動作モ−ドに設定する)ために能動的にスイッチ42を開成するか、又は共振回路素子42の高インピ−ダンス特性が開回路を形成する。スロットアンテナ特性は、高帯域動作周波数(すなわち、開口部(スロット)78の周囲がほぼ1波長と等しい周波数)で利用される。この動作周波数範囲では、電子デバイス10の制御回路が能動的に閉成されるので、経路46及び素子42は、経路86及び経路84を電気的に接続する短絡状態にセグメント82を変換するか、あるいは共振回路の形をとる素子42は、経路46を結合し且つセグメント82により経路86を経路84に電気的に接続させる低インピ−ダンス(短絡)素子を形成する。
【0058】
図12は、図11のアンテナ40のようなアンテナのアンテナ性能(定在波比SWR)を動作周波数fの関数として示す特性図である。図12に示されるように、アンテナ40は、周波数faを中心とする通信帯域では低帯域周波数応答を示し、周波数fbを中心とする通信帯域では高周波数応答を示す。周波数faで与えられる有効範囲は、アンテナ40のスロットアンテナ特性を使用してサポ−トされる。図11の素子42がスイッチを使用して実現される場合、電子デバイス10の制御回路は、fb通信帯域で無線信号を処理するためにデバイス10が使用されるたびにスイッチを閉成し、fa通信帯域で無線信号を処理するためにデバイス10が使用されるたびにスイッチを開成する。図11の素子42が共振回路を使用して実現される場合、共振回路の回路素子の値は、周波数faを中心とする帯域の周波数で高いインピ−ダンスを示し、周波数fbを中心とする通信帯域と関連する周波数では低いインピ−ダンスを示すように選択される。
【0059】
図13に示されるように、電子デバイス10は、領域24にある下部アンテナのような第1のアンテナと、領域22にある上部アンテナとを含む複数のアンテナを有する(一例として)。領域24のアンテナは、接地平面Gのいくつかの部分と、筐体部材セグメント17−2の下方部分のような周囲導電性の筐体部材17とから形成されるル−プアンテナである。領域24のアンテナは、伝送線37−2を使用して給電される。領域22のアンテナ40は、周囲導電性の筐体部材セグメント17−1の各部分のような導電性構造と、導電性経路68と、導電性経路64と、任意に形成される導電性経路92とを含む。導電性経路68は、アンテナ40のアンテナ給電分枝を形成する。伝送線37−1は、正アンテナ給電端子70に結合された正導体と、アンテナ接地端子72に結合された接地導体とを有する。
【0060】
アンテナ40は、1つ以上の逆F形アンテナとして機能する導電性構造を含む。例えば、周囲導電性の筐体部材17−1の部分LB1は、第1の逆F形アンテナの主アンテナ共振素子分枝として機能し、給電経路68は、第1の逆F形アンテナの給電分枝として機能し、経路64は、第1の逆F形アンテナの短絡分枝として機能する。周囲導電性の筐体部材17−1の部分LB2は、第2の逆F形アンテナの主アンテナ共振素子分枝として機能し、給電経路68は、第2の逆F形アンテナの給電分枝として機能し、経路64は、第2の逆F形アンテナの短絡分枝として機能する。分枝LB1が分枝LB2より長い構成において、第1の逆F形アンテナは第1の通信帯域(例えば、第1の低帯域)で共振し、第2の逆F形アンテナは第2の通信帯域(例えば、第2の低帯域)で共振する。第2の通信帯域は第1の通信帯域より高い周波数に適応する。
【0061】
アンテナ40の構造は、周波数従属インピ−ダンスを示す共振回路のような素子42及び/又は電子デバイス10の制御回路からの制御信号の印加によって制御されるスイッチのような素子42を含む。素子42の状態は、異なる動作モ−ドでそれぞれ異なる種類のアンテナとして動作するようにアンテナ40の構造を構成するために使用される。例えば、第1の周波数範囲(すなわち、低周波数範囲)において、素子42のうち1つ以上は開回路を形成する(すなわち、1つ以上の共振回路素子のインピ−ダンスは高く且つ/又は1つ以上のスイッチ形素子は開成状態に設定されているため)。第2の周波数範囲(すなわち、高周波数範囲)において、素子42のうち1つ以上は閉成回路を形成する(すなわち、1つ以上の共振回路素子のインピ−ダンスは低く且つ/又は1つ以上のスイッチ形素子は閉成状態に設定されているため)。
【0062】
図13のアンテナ40のようなアンテナは、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上の素子42を有し、1つ以上の逆F形アンテナと1つ以上のスロットアンテナの特性を示す。
【0063】
一例として、素子42−1、42−2、42−4が開成し、素子42−3は閉成しているアンテナ40(又は短絡経路64に介在する素子42がない構成を使用するアンテナ40)の構成を考える。この構成において、周囲導電性の筐体部材の間隙19−1、19−2は、周囲導電性の筐体部材17で開回路を形成し、周囲導電性の筐体部材セグメント17−1をセグメント17−2、17−3から電気的に分離する。接地平面構造Gの上部は、誘電体で充填された開口部78により部材17−1から分離される。従って、ア−ムLB1は、アンテナ40の第1の逆F形アンテナの主分枝を形成し、ア−ムLB2は、第2の逆F形アンテナの主分枝を形成する。アンテナ40の第1の逆F形アンテナ部分と第2の逆F形アンテナ部分は、異なる通信帯域のアンテナ有効範囲にそれぞれ寄与する。
【0064】
アンテナ40は、種々の動作周波数においてスロットアンテナ動作モ−ドで動作する。一例として、素子42−1が閉成し(低インピ−ダンスを示す)、ブリッジ間隙19−1と、素子42−4と、ブリッジ間隙19−2と、素子42−3とが開成している(高インピ−ダンスを示す)構成の例を考える。必要に応じて、オプションの経路92が省略されるか、又は素子42−2は開成状態に設定される(又は素子42−2が高インピ−ダンスを示す周波数で動作される)。この動作モ−ドで、内周HB1を有するスロットアンテナが形成される。
【0065】
第2のスロットアンテナ動作モ−ドにおいて、素子42−1及び素子42−3は閉成される(低インピ−ダンス状態)。素子42−2は、開成しているか又はアンテナの動作周波数によって高インピ−ダンス状態で動作している。(必要に応じて、経路92は同様にアンテナ40から省略される。)この第2のスロットアンテナ動作モ−ドにおいて、アンテナ40は、内周HB2を有するスロットアンテナとして機能する。周囲HB2の大きさは、周囲HB1の大きさより小さいので、第2のスロットアンテナ動作モ−ドのアンテナ40は、第1のスロットアンテナ動作モ−ドの場合より高い周波数帯域で共振する。
【0066】
更に高い周波数帯域でアンテナ40を動作させたい場合、スイッチ42−2が閉成され(能動的に又は高周波数でアンテナ40を動作させることによって受動的に)、それにより、内周HB3を有する第3のスロットが形成される。内周HB3の大きさは内周HB2の大きさより小さいので、第3のスロットは、第2のスロットより高い周波数帯域で共振する。
【0067】
必要に応じて、図13に示される種類のアンテナは、更に多くの動作モ−ドを示す(例えば、開口部78と重なり合う介在素子42を有する追加の導電性経路を追加することにより、あるいは1つ以上の追加の素子42を使用してアンテナ40の導電性構造を相互接続することにより)。図13に示される一般的な種類のアンテナは、導電性経路のうち1つ以上を取り除くことにより更に簡単な構造になる。例えば、導電性経路92が省略される。経路64に任意に配置される素子42−3が省略される。電子デバイス10で使用されるアンテナ有効範囲の帯域数と素子42の数は、デバイス10の設計が過剰に高価に又は複雑にならないようにしつつ、所望の関心通信帯域に適応できるように選択される。
【0068】
図14は、アンテナ性能(定在波比、すなわち、SWR)を動作周波数fの関数として示す特性図(曲線90)である。図14の例において、図13のアンテナ40のようなアンテナは、5つの周波数帯域(すなわち、f1、f2、f3、f4、f5)を中心とする通信帯域)で共振ピ−クを示している。周波数f1の通信帯域は、例えば第1の低帯域であり、主アンテナ分枝LB1により形成される第1の逆F形アンテナが活動中であるモ−ドにおけるアンテナ40の動作に対応する。周波数f2の通信帯域は、例えば第2の低帯域であり、主アンテナ分枝LB2により形成される第2の逆F形アンテナが活動中であるモ−ドにおけるアンテナ40の動作に対応する。周波数f3を中心とする通信帯域に適応する場合、アンテナ40は、スロット周囲HB1と関連する第1のスロットアンテナが活動中であるモ−ドで動作している。周波数f2を中心とする通信帯域に適応する場合、アンテナ40は、スロット周囲HB2と関連する第2のスロットアンテナが活動中であるモ−ドで動作している。スロット周囲HB3と関連する第3のスロットアンテナが活動中であるモ−ドでアンテナ40が動作する場合、周波数f3と関連する通信帯域に適応する。
【0069】
2つの逆F形アンテナ動作モ−ド及び3つのスロットアンテナモ−ドがアンテナ40の導電性構造と素子42とによりサポ−トされる上記の例は、単なる例示である。必要に応じて、アンテナ40において更に少ない数のモ−ド又は更に多い数のモ−ドがサポ−トされる。更に、アンテナ40のアンテナスロットの周囲と、アンテナ共振素子の主分枝の長さとを適切に選択することにより、有効範囲の周波数は調整される。異なる動作周波数で低インピ−ダンス経路と高インピ−ダンス経路を形成するために共振素子のような受動素子が使用され且つ/又はスイッチを利用する素子が電子デバイス10の制御回路により能動的に適宜開閉される(すなわち、デバイスの動作中に適応すべき周波数範囲に応じてアンテナ40を所望のアンテナモ−ドに能動的に設定するために)。
【0070】
一実施形態によれば、アンテナ構造であって、導電性アンテナ構造と、周波数従属インピ−ダンスを有し、導電性アンテナ構造の各部分の間に結合された1つ以上の電気素子とを含み、第1の通信帯域ではアンテナ構造が第1の通信帯域に適応する第1のアンテナモ−ドで動作可能なように少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示し、第2の通信帯域ではアンテナ構造が第2の通信帯域に適応する第2のアンテナモ−ドで動作可能なように少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスより高い第2のインピ−ダンスを示すように、導電性アンテナ構造と、少なくとも1つの電気素子とは構成され、第2のアンテナモ−ドは第1のアンテナモ−ドとは異なるアンテナ構造が提供される。
【0071】
別の実施形態によれば、第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と、少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成される。
【0072】
別の実施形態によれば、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成される。
【0073】
別の実施形態によれば、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成される。
【0074】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は共振回路を含む。
【0075】
別の実施形態によれば、導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、電気素子は、周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋する。
【0076】
別の実施形態によれば、第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成され、第1のインピ−ダンスは第2のインピ−ダンスより低い。
【0077】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は、第1のアンテナモ−ドで閉成され、第2のアンテナモ−ドで開成しているスイッチを含む。
【0078】
別の実施形態によれば、導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、少なくとも1つの電気素子は、周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋する。
【0079】
別の実施形態によれば、第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造とスイッチとは、スイッチが開成している場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドを含み、導電性アンテナ構造とスイッチとは、スイッチが閉成された場合にスロットアンテナを形成するように構成される。
【0080】
一実施形態によれば、電子デバイスであって、無線周波数信号を送受信する無線周波数トランシ−バ回路と、無線周波数トランシ−バ回路に結合されたアンテナ構造と、アンテナ構造に結合された少なくとも1つの電気素子とを含み、アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とは、電気素子が第1のインピ−ダンスを示す第1の動作周波数ではスロットアンテナモ−ドとして動作するように構成され、電気素子が第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す第2の動作周波数では逆F形アンテナモ−ドで動作するように構成される電子デバイスが提供される。
【0081】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子はスイッチを含む。
【0082】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、制御回路を更に備え、制御回路は、無線周波数トランシ−バ回路が第1の周波数で動作されている間はスイッチを閉成するように構成され、無線周波数トランシ−バ回路が第2の周波数で動作されている間はスイッチを開成するように構成される。
【0083】
別の実施形態によれば、第1の周波数は第2の周波数より高く、無線周波数トランシ−バ回路は携帯電話トランシ−バを含む。
【0084】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、無線周波数トランシ−バ回路が内部に実装された筐体を更に備え、筐体は少なくとも1つの周囲導電性の筐体部材を含み、アンテナ構造のうち少なくともいくつかは、周囲導電性の筐体部材の少なくとも一部から形成される。
【0085】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、逆F形アンテナの接地平面の少なくとも一部を形成する導電性内部構造を更に備え、逆F形アンテナは、少なくとも一部が周囲導電性の筐体部材から形成された主アンテナ共振素子分枝を含み、スイッチは、スイッチが閉成された場合に導電性内部構造と主アンテナ共振素子分枝との間に電気経路を形成する。
【0086】
一実施形態によれば、電子デバイスにおいて、導電性アンテナ構造と、少なくとも1つの電気素子とを含む調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を使用して無線周波数信号を送受信する方法であって、第1の通信帯域で少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す間に、調整可能アンテナがスロットアンテナモ−ドで動作するように、第1の通信帯域において無線周波数トランシ−バ回路と、調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することと、第2の通信帯域で少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す間に、調整可能アンテナが逆F形アンテナモ−ドで動作するように、第2の通信帯域において無線周波数トランシ−バ回路と調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することとを含む方法が提供される。
【0087】
別の実施形態によれば、電子デバイスは制御回路を含み、少なくとも1つの電気素子は、制御回路に結合されたスイッチを備え、方法は、第2の通信帯域で無線周波数信号を送受信する場合は制御回路によってスイッチを開成することと、第1の通信帯域で無線周波数信号を送受信する場合は制御回路によってスイッチを閉成することとを更に含む。
【0088】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを含み、方法は、スイッチのうち1つが開成し、スイッチのうち1つが閉成された場合は制御回路によってアンテナを少なくとも第1の状態に設定し、スイッチのうち少なくとも2つが開成している場合は制御回路によってアンテナを少なくとも第2の状態に設定することを含む。
【0089】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを含み、方法は、アンテナをスロットアンテナモ−ドに設定するようにスイッチを制御することと、アンテナを追加スロットアンテナモ−ドに設定するようにスイッチを制御することとを含む。
【0090】
以上の説明は、単に本発明の原理を例示しているにすぎず、本発明の範囲と精神から逸脱することなく当業者は種々の変形を実行可能である。上記の実施形態は、個別に実現されるか又は何らかの組み合わせで実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ構造であって、
導電性アンテナ構造と、
前記導電性アンテナ構造の各部分の間に結合された周波数従属インピ−ダンスを有する少なくとも1つの電気素子とを備え、
第1の通信帯域では前記アンテナ構造が前記第1の通信帯域に適応する第1のアンテナモ−ドで動作可能なように前記少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示し、第2の通信帯域では前記アンテナ構造が前記第2の通信帯域に適応する第2のアンテナモ−ドで動作可能であるように前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスより高い第2のインピ−ダンスを示すように、前記導電性アンテナ構造と、前記少なくとも1つの電気素子とは構成され、
前記第2のアンテナモ−ドは前記第1のアンテナモ−ドとは異なる、
ことを特徴とするアンテナ構造。
【請求項2】
前記第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項3】
前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項2記載のアンテナ構造。
【請求項4】
前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気素子は共振回路であることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項6】
前記導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、前記電気素子は、前記周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋することを特徴とする請求項5記載のアンテナ構造。
【請求項7】
前記第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成され、前記第1のインピ−ダンスは前記第2のインピ−ダンスより低いことを特徴とする請求項6記載のアンテナ構造。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気素子は、前記第1のアンテナモ−ドで閉成され、前記第2のアンテナモ−ドで開成しているスイッチであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項9】
前記導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、前記少なくとも1つの電気素子は、前記周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋することを特徴とする請求項8記載のアンテナ構造。
【請求項10】
前記第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記スイッチとは、前記スイッチが開成している場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記スイッチとは、前記スイッチが閉成された場合にスロットアンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項9記載のアンテナ構造。
【請求項11】
無線周波数信号を送受信する無線周波数トランシ−バ回路と、
前記無線周波数トランシ−バ回路に結合されたアンテナ構造と、
前記アンテナ構造に結合された少なくとも1つの電気素子とを備え、
前記アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記電気素子が第1のインピ−ダンスを示す第1の動作周波数ではスロットアンテナモ−ドで動作するように構成され、前記電気素子が前記第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す第2の動作周波数では逆F形アンテナモ−ドで動作するように構成されることを特徴とする電子デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電気素子はスイッチであることを特徴とする請求項11記載の電子デバイス。
【請求項13】
制御回路を更に備え、前記制御回路は、前記無線周波数トランシ−バ回路が前記第1の周波数で動作されている間は前記スイッチを閉成するように構成され、前記無線周波数トランシ−バ回路が前記第2の周波数で動作されている間は前記スイッチを開成するように構成されることを特徴とする請求項11記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記第1の周波数は前記第2の周波数より高く、前記無線周波数トランシ−バ回路は携帯電話トランシ−バを備えることを特徴とする請求項13記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記無線周波数トランシ−バ回路が内部に実装された筐体を更に備え、前記筐体は少なくとも1つの周囲導電性の筐体部材を含み、前記アンテナ構造のうち少なくともいくつかは、前記周囲導電性の筐体部材の少なくとも一部から形成されることを特徴とする請求項14記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記逆F形アンテナの接地平面の少なくとも一部を形成する導電性内部構造を更に備え、前記逆F形アンテナは、少なくとも一部が前記周囲導電性の筐体部材から形成された主アンテナ共振素子分枝を含み、前記スイッチは、前記スイッチが閉成された場合に前記導電性内部構造と前記主アンテナ共振素子分枝との間に電気経路を形成することを特徴とする請求項15記載の電子デバイス。
【請求項17】
電子デバイスにおいて、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とを含む調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を使用して無線周波数信号を送受信する方法であって、
第1の通信帯域で前記少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す間に、前記調整可能アンテナがスロットアンテナモ−ドで動作するように、前記第1の通信帯域において前記無線周波数トランシ−バ回路と前記調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することと、
第2の通信帯域で前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す間に、前記調整可能アンテナが逆F形アンテナモ−ドで動作するように、前記第2の通信帯域において前記無線周波数トランシ−バ回路と前記調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記電子デバイスは制御回路を備え、前記少なくとも1つの電気素子は、前記制御回路に結合されたスイッチを備え、前記方法は、
前記第2の通信帯域で前記無線周波数信号を送受信する場合は前記制御回路によって前記スイッチを開成し、前記第1の通信帯域で前記無線周波数信号を送受信する場合は前記制御回路によって前記スイッチを閉成することを更に備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記電子デバイスは制御回路を備え、前記少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを備え、前記方法は、
前記スイッチのうち1つが開成し、前記スイッチのうち1つが閉成している場合は、前記制御回路によって前記アンテナを少なくとも第1の状態に設定することと、
前記スイッチのうち少なくとも2つが開成している場合は、前記制御回路によって前記アンテナを少なくとも第2の状態に設定することとを備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記電子デバイスは制御回路を備え、前記少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを備え、前記方法は、
前記制御回路によって前記アンテナを前記スロットアンテナモ−ドに設定するように前記スイッチを制御し、前記制御回路によって前記アンテナを追加スロットアンテナモ−ドに設定するように前記スイッチを制御することを備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項1】
アンテナ構造であって、
導電性アンテナ構造と、
前記導電性アンテナ構造の各部分の間に結合された周波数従属インピ−ダンスを有する少なくとも1つの電気素子とを備え、
第1の通信帯域では前記アンテナ構造が前記第1の通信帯域に適応する第1のアンテナモ−ドで動作可能なように前記少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示し、第2の通信帯域では前記アンテナ構造が前記第2の通信帯域に適応する第2のアンテナモ−ドで動作可能であるように前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスより高い第2のインピ−ダンスを示すように、前記導電性アンテナ構造と、前記少なくとも1つの電気素子とは構成され、
前記第2のアンテナモ−ドは前記第1のアンテナモ−ドとは異なる、
ことを特徴とするアンテナ構造。
【請求項2】
前記第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項3】
前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項2記載のアンテナ構造。
【請求項4】
前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気素子は共振回路であることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項6】
前記導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、前記電気素子は、前記周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋することを特徴とする請求項5記載のアンテナ構造。
【請求項7】
前記第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第2のインピ−ダンスを示す場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスを示す場合にスロットアンテナを形成するように構成され、前記第1のインピ−ダンスは前記第2のインピ−ダンスより低いことを特徴とする請求項6記載のアンテナ構造。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気素子は、前記第1のアンテナモ−ドで閉成され、前記第2のアンテナモ−ドで開成しているスイッチであることを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造。
【請求項9】
前記導電性アンテナ構造は周囲導電性電子デバイス筐体構造を含み、前記少なくとも1つの電気素子は、前記周囲導電性電子デバイス筐体構造の間隙を架橋することを特徴とする請求項8記載のアンテナ構造。
【請求項10】
前記第2のアンテナモ−ドは逆F形アンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記スイッチとは、前記スイッチが開成している場合に逆F形アンテナを形成するように構成され、前記第1のアンテナモ−ドはスロットアンテナモ−ドであり、前記導電性アンテナ構造と前記スイッチとは、前記スイッチが閉成された場合にスロットアンテナを形成するように構成されることを特徴とする請求項9記載のアンテナ構造。
【請求項11】
無線周波数信号を送受信する無線周波数トランシ−バ回路と、
前記無線周波数トランシ−バ回路に結合されたアンテナ構造と、
前記アンテナ構造に結合された少なくとも1つの電気素子とを備え、
前記アンテナ構造と前記少なくとも1つの電気素子とは、前記電気素子が第1のインピ−ダンスを示す第1の動作周波数ではスロットアンテナモ−ドで動作するように構成され、前記電気素子が前記第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す第2の動作周波数では逆F形アンテナモ−ドで動作するように構成されることを特徴とする電子デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電気素子はスイッチであることを特徴とする請求項11記載の電子デバイス。
【請求項13】
制御回路を更に備え、前記制御回路は、前記無線周波数トランシ−バ回路が前記第1の周波数で動作されている間は前記スイッチを閉成するように構成され、前記無線周波数トランシ−バ回路が前記第2の周波数で動作されている間は前記スイッチを開成するように構成されることを特徴とする請求項11記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記第1の周波数は前記第2の周波数より高く、前記無線周波数トランシ−バ回路は携帯電話トランシ−バを備えることを特徴とする請求項13記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記無線周波数トランシ−バ回路が内部に実装された筐体を更に備え、前記筐体は少なくとも1つの周囲導電性の筐体部材を含み、前記アンテナ構造のうち少なくともいくつかは、前記周囲導電性の筐体部材の少なくとも一部から形成されることを特徴とする請求項14記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記逆F形アンテナの接地平面の少なくとも一部を形成する導電性内部構造を更に備え、前記逆F形アンテナは、少なくとも一部が前記周囲導電性の筐体部材から形成された主アンテナ共振素子分枝を含み、前記スイッチは、前記スイッチが閉成された場合に前記導電性内部構造と前記主アンテナ共振素子分枝との間に電気経路を形成することを特徴とする請求項15記載の電子デバイス。
【請求項17】
電子デバイスにおいて、導電性アンテナ構造と少なくとも1つの電気素子とを含む調整可能アンテナに結合された無線周波数トランシ−バ回路を使用して無線周波数信号を送受信する方法であって、
第1の通信帯域で前記少なくとも1つの電気素子が第1のインピ−ダンスを示す間に、前記調整可能アンテナがスロットアンテナモ−ドで動作するように、前記第1の通信帯域において前記無線周波数トランシ−バ回路と前記調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することと、
第2の通信帯域で前記少なくとも1つの電気素子が前記第1のインピ−ダンスより大きい第2のインピ−ダンスを示す間に、前記調整可能アンテナが逆F形アンテナモ−ドで動作するように、前記第2の通信帯域において前記無線周波数トランシ−バ回路と前記調整可能アンテナとによって無線周波数信号を送受信することと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記電子デバイスは制御回路を備え、前記少なくとも1つの電気素子は、前記制御回路に結合されたスイッチを備え、前記方法は、
前記第2の通信帯域で前記無線周波数信号を送受信する場合は前記制御回路によって前記スイッチを開成し、前記第1の通信帯域で前記無線周波数信号を送受信する場合は前記制御回路によって前記スイッチを閉成することを更に備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記電子デバイスは制御回路を備え、前記少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを備え、前記方法は、
前記スイッチのうち1つが開成し、前記スイッチのうち1つが閉成している場合は、前記制御回路によって前記アンテナを少なくとも第1の状態に設定することと、
前記スイッチのうち少なくとも2つが開成している場合は、前記制御回路によって前記アンテナを少なくとも第2の状態に設定することとを備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記電子デバイスは制御回路を備え、前記少なくとも1つの電気素子は複数のスイッチを備え、前記方法は、
前記制御回路によって前記アンテナを前記スロットアンテナモ−ドに設定するように前記スイッチを制御し、前記制御回路によって前記アンテナを追加スロットアンテナモ−ドに設定するように前記スイッチを制御することを備えることを特徴とする請求項17記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−249281(P2012−249281A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−112635(P2012−112635)
【出願日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−112635(P2012−112635)
【出願日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
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