説明

複数クロック間位相調整装置

【課題】従来の非同期データ受け渡しでは、送り側の信号変化周期を受け側の動作クロックの2倍以上にしておく必要があった。
ここで本発明では、この制限なく、非同期データの受け渡しを可能にすることを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するために本発明では、非同期の関係にある2つのクロックから位相差量をパルス幅で抽出し、これを制御カウンタのクロックとして使用し、徐々にパルス幅が大きくなってカウンタが動作すると、遅延量制御部によって、一方のクロックの遅延量を制御し、一方のクロックが他方のクロックに追従する装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期式ディジタルシステムや携帯電話システムにおいて、同期の取れていない複数の基準クロック間の位相調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のディジタル同期システムでは、基準クロックを複数存在させ、システム内部の各々の回路を適した周波数で動作させることで、ローパワー化やノイズの抑圧が試みられている。
【0003】
このとき、異なる基準クロック間の通信では、非同期信号として扱わなくてはならない課題が生じるが、従来、非同期受け渡しの技術としては、送り側の信号変化周期を受け側クロック周期の2倍以上にする等の非同期対策を行っている。(例えば、非特許文献1参照。)
【非特許文献1】Mike Stein、”複数クロックの混在回路で信号同期を取る”、[online]、Design Feature 2003年11月号、[平成18年6月7日検索]、インターネット、<URL:http://www.ednjapan.com/content/issue/2003/11/feature/feature02.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、図1を用いて、非同期信号を対策無しで受け渡そうとした場合に生じる不都合を説明する。図1は本発明の従来の非同期データ受け渡しの課題を示すブロック図、タイムチャート、対策技術を示した図である。
【0005】
図1(a)において、CLK1とCLK2とは周波数も異なり、かつ、CLK1とCLK2との間の位相には、何の関係も無いものとする。このとき、フリップフロップ102のデータ入力端子Dの信号変化と、CLK2の立ち上がりエッジとが、ほぼ同時刻に起こった場合、図1(b)に示す通り、フリップフロップ102の出力Qは、メタステーブル状態という発振(または中間電位出力)を発生してしまう。このようなことが発生すると、フリップフロップ102の後段のデータを破壊してしまう可能性がある。
【0006】
この発振に対して、非同期間の信号の受け渡しにおいては、図2に示す構成を採るのが一般的である。図2に示すように、フリップフロップ102の後段に同じCLK2で動作するフリップフロップ103を設け、かつ、クロックCLK2の周波数をクロックCLK1の周波数より2倍以上大きくする。図2は従来の非同期データ受け渡しの対策技術を示すブロック図である。
【0007】
図1(b)に示した通り、フリップフロップ102のメタステーブル状態の時間は限られているため、上述のような構成をとることで、フリップフロップ203の出力は安定的に値が確定する。
【0008】
以上が、非同期信号を受け渡す場合の一般的な手法であるが、このような従来の技術では、次のような事情が残っていた。すなわち、(1)送り側の信号変化周期を受信側の動作周波数より2倍以上大きくする必要がある。(2)送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数より2倍以上大きくない場合には、送信側の送信部に、データバッファが必要になる。これは、受信側の動作周波数より2倍以上大きい周期で送信していく間、送信周期より短い間隔で送信部から送られてくるデータは、一時的にデータバッファに蓄積し、順次送信していくためである。
【0009】
つまり、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数より2倍以上大きくない場合、一度に送信するデータサイズが大きいほど、データバッファには大きい容量を必要とする。また、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数より2倍以上大きくない場合、常に連続するデータでは受け渡すことはできないという事情がある。
【0010】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数の2倍以下の場合でも、非同期信号を受け渡すことができる複数クロック間位相調整装置および携帯電話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の複数クロック間位相調整装置は、複数のクロック間において使用する複数クロック間位相調整装置であって、第1のクロックおよび第2のクロックに基づいて前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの間の位相差を検出し、前記位相差の量をパルス幅で出力し、かつ、前記第1のクロックと前記第2のクロックとのどちらが進んでいるのか遅れているのかを示す基準前後情報を出力する位相差検出部と、前記位相差量のパルスを位相差量クロックとして動作し、かつ、前記基準前後情報に基づいて前記位相差量をカウントアップまたはカウントダウンを遅延量制御カウンタと、前記遅延量制御カウンタの値に基づいて、前記第1のクロックの遅延量を制御する遅延量制御部と、を有する構成としている。
【0012】
この構成により、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数の2倍以下の場合でも、非同期信号を受け渡すことができる。例えば、送り側のクロックの位相と、受け側のクロックの位相が、完全に一致していなくても、一定の関係が保てていれば、信号を受け渡すことができるため、これにより、お互い周波数も位相も異なる非同期クロック間において、信号の受け渡しが可能になる。
【0013】
また、本発明の第2の複数クロック間位相調整装置は、前記第1のクロックから第1の基準信号を生成する第1の基準信号生成器と、前記第2のクロックから第2の基準信号を生成する第2の基準信号生成器とを有し、前記位相差検出部が、前記第1の基準信号および前記第2の基準信号の間の位相差を検出し、前記位相差の量をパルス幅で出力し、かつ、前記第1のクロックと前記第2のクロックとのどちらが進んでいるのか遅れているのかを示す基準前後情報を出力する構成としている。
【0014】
この構成により、クロックに基づく基準パルスを生成することができ、例えば基準信号をクロックの1000回トグルに1回出力することにより、消費電力を低減することが可能となる。
【0015】
また、本発明の第3の複数クロック間位相調整装置は、前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの周波数差がプロセスばらつき及びノイズ成分の誤差分のみである構成としている。
【0016】
この構成により、第1および第2のクロックの周波数差は微細なものとなるため、基準信号生成器による基準信号の生成を相応に間引くことが可能となる。
【0017】
また、本発明の第4の複数クロック間位相調整装置は、前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの周波数が同程度であり、前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの周波数差が、前記第1のクロックの幅または前記第2のクロックの幅の4分の1以下である構成としている。
【0018】
この構成により、2つのクロックの周波数が異なるが近いものである場合には、たとえ2クロック間でバラツキ誤差を含むとしても、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0019】
また、本発明の第5の複数クロック間位相調整装置は、前記第2のクロックの周波数が前記第1のクロックの周波数のほぼ整数倍であり、前記第2のクロックの周波数を前記整数分の1に分周する分周器を有し、前記第2の基準信号生成器が、前記分周器による分周後のクロック出力を入力する構成としている。
【0020】
この構成により、2つのクロックの周波数が大きく異なるが一方の周波数が他方の周波数の整数倍程度の関係にある場合には、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0021】
また、本発明の第6の複数クロック間位相調整装置は、前記第2のクロックの周波数が前記第1のクロックの周波数のほぼ整数倍であり、前記第2の基準信号生成器が、前記第2の基準信号のパルス幅を前記整数倍に補正する構成としている。
【0022】
この構成により、2つのクロックの周波数が大きくことなるが一方の周波数が他方の周波数の整数倍程度の関係にある場合には、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0023】
また、本発明の第7の複数クロック間位相調整装置は、前記遅延量制御カウンタのクロック入力前段にシュミットを有する構成としている。
【0024】
この構成により、シュミット通過できるパルス幅を、第1のクロックが第2のクロックに追従制御する基準幅にすることで、位相差検出部の出力パルスの幅がシュミットを通過するほどの幅になったときは、遅延量制御カウンタを構成する全てのCMOSトランジスタにとって、安定的に動作できる信号が確保されているので、短いパルス幅による、遅延量制御カウンタの誤動作を回避することができる。
【0025】
また、本発明の第8の複数クロック間位相調整装置は、非同期回路間のフリップフロップの信号の受け渡しに利用され、前記非同期回路に接続される構成としている。
【0026】
この構成により、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数の2倍以下の場合でも、非同期信号を受け渡すことができる。
【0027】
また、本発明の第9の複数クロック間位相調整装置は、PLLのリファレンスクロックと前記PLLの出力クロックとの間の位相を補償する構成としている。
【0028】
この構成により、PLLの前段領域と後段領域とは同期状態となり、データの受け渡しを自由に行うことが可能である。
【0029】
また、本発明の第10の複数クロック間位相調整装置は、システムLSIの内部のクロックと前記システムLSIの外部の同期メモリ内のクロックとの間の位相を補償し、前記システムLSIから前記同期メモリに同期クロックを供給することなく前記基準信号生成器の出力のみ前記同期メモリへ受け渡すことで、前記システムLSIと前記同期メモリとの間で同期アクセスを行う構成としている。
【0030】
この構成により、同期クロックをシステムLSIから同期メモリへ供給することなく同期アクセスを行うことが可能となり、したがって従来その供給のために発生していた大きな消費電流を抑制することができる。
【0031】
また、本発明の第11の複数クロック間位相調整装置は、前記システムLSI側がスリープ状態に入るときに、前記同期メモリにもスリープを指示する構成としている。
【0032】
この構成により、例えば同期メモリ内のPLLを常に動作させることがないため、消費電力を低減することができる。
【0033】
また、本発明の第12の複数クロック間位相調整装置は、前記位相差検出部が、前記第1のクロックおよび前記第2のクロックにおける全クロックで位相比較を行う構成としている。
【0034】
この構成により、基準信号生成器を有さずに、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0035】
また、本発明の第1の携帯電話システムは、2クロック間位相調整装置を有する構成としている。
【0036】
この構成により、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数の2倍以下の場合でも、非同期信号を受け渡すことができる携帯電話システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数より2倍以下の場合でも、非同期信号を受け渡すことを可能となる。
また、延量制御カウンタが頻繁にカウント動作するような2つのクロックの関係で無い限り、例えば、30MHzと64MHzのような全く異なる周波数でも、一方の基準信号生成器の基準信号イネーブルの取り出し回数を変更し、位相検出部内でのパルスの生成方法を変更することで、本発明は適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。
尚、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素、もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【0039】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態における2クロック間位相調整装置300について説明する。
【0040】
図3は本発明の第1の実施形態における2クロック間位相調整装置300のブロック図を示している。2クロック間位相調整装置300は、PLL301、PLL302、基準信号生成器303、基準信号生成器304、位相差検出部307、カウンタ311、遅延量セレクタ312、遅延バッファ313を有する。尚、2クロック間位相調整装置300は複数クロック間位相調整装置の一例である。
【0041】
PLL301とPLL302は、本実施形態においては同じ周波数のクロック生成を設計ターゲットに設計されたものであるが、実際のPLLではプロセスバラツキ等の誤差を含んでいるため、2つのPLLの出力クロック周波数は完全には一致せず、数ppm程度の周波数差が発生している。
【0042】
ここで、PLL301のクロックCLK1から基準信号生成器303で、歯抜け式で基準パルス305を取り出す。また、PLL302のクロックCLK1'からも、基準信号生成器304で、歯抜け式で基準パルス306を取り出す。
【0043】
このとき、基準信号生成器303と基準信号生成器304との基準パルスを取り出すためのイネーブル信号E1、E2は、それぞれCLK1、CLK1'で動作するカウンタの、同じカウント値で発生するものとする。ここでは、例えば基準パルス305は、CLK1の1000回トグルに1回のパルス、例えば基準パルス306も、CLK1の1000回トグルに1回のパルスとする。
【0044】
次に、基準パルス305と基準パルス306とを元に、位相差検出部307により、図3(b)のように、2つのクロックの位相のずれ分をカウンタクロック309のパルスとして取り出す。かつ、基準パルス306に対し、基準パルス306が進んでいるのか遅れているのかの情報を示す基準前後情報310を取り出す。
【0045】
カウンタクロック309を遅延量制御カウンタ311のクロック端子に入力し、基準前後情報310を遅延量制御カウンタ311内のカウントアップ/カウントダウンセレクタに入力する。
【0046】
ここで、CLK1とCLK1'の位相差が小さい場合は、位相差検出部307の出力パルスであるカウンタクロック309の幅が、遅延量制御カウンタ311を構成するフリップフロップのクロックとしては足りず、遅延量制御カウンタ311はカウント動作されない。
【0047】
しかし、CLK1とCLK1'の周波数のわずかな誤差により、図3(b)のように、カウンタクロック309の幅は徐々に大きくなる。
【0048】
そして、カウンタクロック309の幅が、遅延量制御カウンタ311を構成するフリップフロップのクロックとして足りるだけの幅に達すると、遅延量制御カウンタ311はカウント動作する。このとき、遅延量制御カウンタ311は、基準前後情報310を元に、カウントアップ、またはカウントダウンする。
【0049】
遅延量制御カウンタ311のカウントアップまたはカウントダウン信号は、遅延量セレクタ312のセレクト端子に入力し、図3(a)のような構成で、遅延量制御カウンタ311の値応じて、CLK1の遅延量を変更する。
【0050】
ここで、遅延バッファ313の1段あたりの遅延量は、遅延量制御カウンタ311がクロックと認識するカウンタクロック309の幅とほぼ同等の値に予めしておく。このようにすることで、図3(b)のCLK1の位相が遅延バッファ313の1段分、換言するとCLK1'との間で生じていた位相差分、CLK1が遅延、または前倒しするので、CLK1とCLK1'との間の位相差は補正される。これを繰り返すことで、CLK1の位相は常にCLK1'位相に追従するため、最大でも、遅延量制御カウンタ311がクロックと認識するパルス幅以上の位相差は生じない。
【0051】
このようなCLK1とCLK1'をフリップフロップ間の受け渡しに適用すれば、お互い周波数も位相も異なる非同期クロック間において、信号の受け渡しが可能になる。
【0052】
尚、基準信号生成器303および304のイネーブル信号E1、E2の周期について、換言すると、何クロックおきに基準パルス305および306を取り出すかであるが、取り出したパルスの間隔で、位相差検出されることになるので、本実施形態のように、設計ターゲットは同じ周波数で、プロセスバラツキの誤差分のみの位相差を補正する場合では、周波数誤差は数百万分の1と思われるため、基準パルスの取り出しは、相応に間引くことができる。
【0053】
このような本発明の第1の実施形態における2クロック間位相調整装置300は、複数のクロック間において使用する2クロック間位相調整装置300であって、第1のクロックおよび第2のクロックに基づいて第1のクロックおよび第2のクロックの間の位相差を検出し、位相差の量をパルス幅で出力し、かつ、第1のクロックと第2のクロックとのどちらが進んでいるのか遅れているのかを示す基準前後情報を出力する位相差検出部307と、位相差量のパルスを位相差量クロックとして動作し、かつ、基準前後情報に基づいて位相差量をカウントアップまたはカウントダウンを遅延量制御カウンタ311と、遅延量制御カウンタ311の値に基づいて、第1のクロックの遅延量を制御する遅延量制御部と、を有する構成とすることで、送り側の信号変化周期が受信側の動作周波数の2倍以下の場合でも、非同期信号を受け渡すことができる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における2クロック間位相調整装置400について説明する。第1の実施形態で説明した図3(a)と重複する部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
本実施形態における2クロック間位相調整装置400は、第1の実施形態における2クロック間位相調整装置300の遅延量制御カウンタ311のクロック端子の手前、若しくは、カウンタ311を構成するフリップフロップ内部のクロック入力の初段に、シュミット回路401を設けた構成である。尚、シュミット回路401はシュミットの一例である。
【0056】
ここで、CLK1の遅延制御用バッファ402の遅延量は、シュミット回路401を通過するパルス幅にしておく。
【0057】
このようにすることで、位相差検出部403の出力パルスであるカウンタクロック404の幅が、シュミット回路401を通過するほどの幅になったときは、遅延量制御カウンタ405を構成するフリップフロップ内の全てのCMOSトランジスタにとって、安定的に動作できるクロックパルスが確保されているので、短いパルス幅による、遅延量制御カウンタ405の誤動作を回避することができる。
【0058】
このような本発明の第2の実施形態における2クロック間位相調整装置400によれば、遅延量制御カウンタ405のクロック入力前段、または遅延量制御カウンタ405を構成するフリップフロップのクロック入力初段にシュミット回路401を有する構成とすることで、シュミット通過できるパルス幅を、第1のクロックが第2のクロックに追従制御する基準幅にすることで、位相差検出部403の出力パルスの幅がシュミット回路401を通過するほどの幅になったときは、遅延量制御カウンタ405を構成する全てのCMOSトランジスタにとって、安定的に動作できる信号が確保されているので、短いパルス幅による、遅延量制御カウンタ405の誤動作を回避することができる。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における2クロック間位相調整装置について説明する。本実施形態の構成については、2クロック間位相調整装置300や400とほぼ同一であり、ここでは図面を用いた説明を省略する。尚、基準信号生成器304および305を用いない点は異なっている。
【0060】
本実施形態におけるCLK1,CLK2は、設計ターゲットとしても異なる2つの周波数のクロックであって、周波数の値が近い場合を想定している。ここでは仮に、30MHzと32MHzで説明する。
【0061】
図5に示す通り、30MHzと32MHzでは、理想状態において、30MHzの16クロック分で、32MHzと約1クロック分位相差が生じる。図5は本発明の第3の実施形態におけるクロックに関するタイムチャートである。
【0062】
ここで、信号受渡しを行うフリップフロップ間において、クロックスキューが、クロックの4分の1程度以下であれば、およそ設計可能な範囲であるので、例えば、本実施形態であれば、基準信号生成器303、304によるサンプリングは行わず、全クロックで位相差比較を行うことで、フリップフロップでの信号受渡しが可能な範囲内に、CLK1は、CLK2に追従し続けることができる。
【0063】
また上述では、理想状態の30MHzと32MHzで説明したが、ここに、各々非理想効果分のバラツキを持ったとしても、その量は数ppm程度であるため、上記の構成であれば、バラツキ誤差分を含めて、CLK1は、CLK2に追従することができる。
【0064】
尚、上記では、30MHzと32MHzで説明したが、例えば、30MHzと30.72MHz程度の差であれば、30MHzの50クロック分で、30.72MHzと約1クロック分位相差を生じる程度なので、各々のクロックから、基準信号生成器303、304で10クロックに1パルス程度、サンプリングして位相比較することで、非同期受け渡しが可能な範囲で、CLK1はCLK2に追従することができる。
【0065】
また、上記で説明に使用した周波数は、周波数の近い2つのクロックの例であり、本発明の範囲を制限するものではない。例えば、70kHzと71kHz等でも可能である。
【0066】
このような本発明の第3の実施形態における2クロック間位相調整装置によれば、第1のクロックおよび第2のクロックの周波数が同程度であり、第1のクロックおよび第2のクロックの周波数差が、第1のクロックの幅または前記第2のクロックの幅の4分の1以下である構成とすることで、2つのクロックの周波数が異なるが近いものである場合には、たとえ2クロック間でバラツキ誤差を含むとしても、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態における2クロック間位相調整装置600について説明する。図6は本発明の第4の実施形態における2クロック間位相調整装置600のブロック図である。第1の実施形態で説明した図3(a)と重複する部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
本実施形態におけるCLK1、CLK2は、設計ターゲットとしても異なる2つの周波数のクロックであって、かつ、周波数が全く異なる場合である。
【0069】
しかしながら、CLK1とCLK2との間には、おおよそ整数倍程度の関係にある場合とする。例えば、30MHzと61.44MHzとする。
ここで、61.44MHzは30.72MHzの2倍であるので、CLK2を分周器601で2分周した後の信号を、第3の実施形態におけるCLK1’として扱うことで、後は、第3の実施形態と同様に、30MHzと61.44MHz間で、クロック位相を補償することができる。
【0070】
尚、上記で説明に使用した周波数と分周器601の分周数は、おおよそ整数倍程度の関係にある2つのクロックの例であり、本発明の範囲を制限するものではない。例えば、2つのクロックの周波数の間の関係がおおよそ3倍の関係にあるときは、分周器601は3倍大きな一方の周波数を3分の1に分周する。
【0071】
このような本発明の第4の実施形態における2クロック間位相調整装置600は、第2のクロックの周波数が第1のクロックの周波数のほぼ整数倍であり、第2のクロックの周波数を整数分の1に分周する分周器601を有し、第2の基準信号生成器304が、分周器601による分周後のクロック出力を入力する構成とすることで、2つのクロックの周波数が大きく異なるが一方の周波数が他方の周波数の整数倍程度の関係にある場合には、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0072】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態における2クロック間位相調整装置について説明する。本実施形態の構成については、本発明の第1の実施形態における2クロック間位相調整装置100などと同一であり、ここでは図面を用いた説明を省略する。
【0073】
第5の実施形態では、第4の実施形態と同じCLK1、CLK2の条件における、第4の実施形態とは異なる構成での位相追従装置を示す。
【0074】
第3の実施形態における30MHzと30.72MHzの場合では、基準信号生成器303と304において、CLK1、CLK2共に、10トグルに1回パルスをサンプリングしたところ、本実施形態では、CLK1は、10トグルに1回のパルスをサンプリングをし、CLK2に関しては、2倍の20トグルに1回のパルスをサンプリングする。そして、CLK2からサンプリングしたパルス幅を2倍にすることで、後は、第3の実施形態と同様の構成で、30MHzと61.44MHz間のクロック位相を補償することができる。
【0075】
このような本発明の第5の実施形態における2クロック間位相調整装置によれば、第2のクロックの周波数が第1のクロックの周波数のほぼ整数倍であり、第2の基準信号生成器304が、第2の基準信号のパルス幅を整数倍に補正する構成とすることで、2つのクロックの周波数が大きく異なるが一方の周波数が他方の周波数の整数倍程度の関係にある場合には、非同期信号の受け渡しが可能となる。
【0076】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態における2クロック間位相調整装置700について説明する。
【0077】
第1ないし第5の実施形態においては、説明のため、PLLを図中に用い、PLL出力の直後のクロックを用いて説明したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明は、図7に示す通り、第3ないし第5の実施形態で説明した、追従可能なクロック間であれば、システム中の何処のクロック間でも、適用可能である。尚、図7は本発明の第6の実施形態における2クロック間位相調整装置700のブロック図である。第2の実施形態で説明した図4と重複する部分には同一の符号を付し、説明を省略するが、構成はこれに限られない。
【0078】
上記のように適用可能であるため、第1の実施形態では、PLL301とPLL302のリファレンスクロックにおいては、広義の意味で個別に設けたが、図8に示す通り、PLL301とPLL302の間のバラツキを抑制する目的で、リファレンスクロックREF1とREF2を共通のREFにすることは何ら問題ない。尚、図8は本発明の第6の実施形態における2クロック間位相調整装置800のブロック図である。第2の実施形態で説明した図4と重複する部分には同一の符号を付し、説明を省略するが、構成はこれに限られない。
【0079】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態における2クロック間位相調整装置1000について説明する。
【0080】
本実施形態は、PLLのリファレンスクロックとPLLの出力クロックとの位相補償にも使用できる。図9に示す、一般的なPLLの構成では、ローパスフィルタ901による遅延により、通常、リファレンスクロックのエッジと、出力クロックのエッジは揃っていない。図9は一般的なPLLの内部構成を示したブロック図である。
【0081】
ここで、図10のように、リファレンスクロックと出力クロックとの間で、本発明を適用することで、リファレンスクロックのエッジと、出力クロックのエッジを揃えることができる。尚、図10は本発明の第7の実施形態における2クロック間位相調整装置1000のブロック図である。第2の実施形態で説明した図4と重複する部分には同一の符号を付し、説明を省略するが、構成はこれに限られない。
【0082】
これにより、従来、リファレンスクロックで動作する領域と、PLL出力で動作する領域との間では、原則、データの受渡しはできず、受け渡す場合は、リファレンスクロック側の周期がPLL301出力側の動作周波数の2倍以上でなければならないという制限があったが、本実施形態により、PLL301前段の領域と、PLL301後段の領域は、同期状態となり、データの受け渡しが自由に行えるようになる。
【0083】
また、例えば、動作モードに応じて、PLL301が停止して、PLL301後段回路を、リファレンスクロック周波数で動作させたい場合も、従来は、リファレンスクロックの位相と、出力クロックの位相との関係は、何も補償されていなかったので、突然に、クロックを切り替えることはできなかったが、本発明の適用により、リファレンスクロックの位相と、出力クロックの位相との間に、一定の位相関係が成立しているので、PLL301停止に伴い、PLL301後段領域の動作クロックを、リファレンスクロックに突然に、切り替えることができる。
【0084】
また、PLL301復帰時における、PLL301後段回路の動作クロックの、リファレンスクロックからPLL301出力クロックへの切り替えも同様である。
【0085】
また、本発明は、2クロック間の位相調整で説明してきたが、2クロック間を調整できるということは、2クロック以上の複数のクロック間も調整することができることは言及するまでもない。
【0086】
例えば、図11のように、リファレンスクロックで動作する領域1101、PLL301の出力で動作する領域1102、PLL302で動作する領域1103がある。各々の間は非同期で、領域1101、領域1102、領域1103との間のデータの受け渡しには、データを送る領域の周期がデータを受け取る側の周期の2倍以上でなければならないという制限があった。図11は本発明の第7の実施形態における非同期領域が複数の場合を示した図である。
【0087】
そこで、図12のように、本発明を適用し、位相調整後のクロック(図においてはCLK1’)と、3つ目のクロック(図においてはCLK2)間を位相調整することにより、領域1201、領域1202、領域1203は同期状態となり、各々の領域間のデータ受渡しが自由に行うことができるようになる。図12は本発明の第7の実施形態における非同期領域が複数の場合に2クロック間位相調整装置を適用した場合を示した図である。
【0088】
図12においては2クロック間位相調整装置は符号1204、1205として2つ使用されており、2クロック間位相調整装置1204はCLK1およびリファレンスクロックを入力とし、CLK1’を出力としている。また、2クロック間位相調整装置1205はCLK1’およびCLK2を入力とし、CLK2’を出力としている。2クロック間位相調整装置1204、1205としては、例えば上記第1ないし第5の実施形態において説明した2クロック間位相調整装置が使用される。
【0089】
このような本発明の第7の実施形態における2クロック間位相調整装置1000によれば、PLL301のリファレンスクロックとPLL301の出力クロックとの間の位相を補償する構成とすることにより、PLL301の前段領域と後段領域とは同期状態となり、データの受け渡しを自由に行うことが可能である。
【0090】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態における2クロック間位相調整装置について説明する。
【0091】
システムLSI(SoC)1401と同期メモリ(外部メモリ)1402とのインターフェースに2クロック間位相調整装置を適用することで、外部の同期メモリ1402とのインターフェースを、同期クロック無しで、アクセスすることを可能にする。
【0092】
従来、図13に示すように、同期メモリ(外部メモリ)1302とのインターフェースには、システムLSI(SoC)1301から外部の同期メモリ1302へ同期クロックを供給することで同期タイミングを取っている。図13は一般的な外部同期メモリインターフェースの構成を示すブロック図である。
【0093】
しかしながら、外部端子の負荷容量は、LSI1301内部のトランジスタゲート負荷容量の千倍近くになっているので、システムLSI1301のクロック出力端子の消費電流は非常に大きいという事情がある。
【0094】
そこで、本発明を図14に示すような構成することで、システムLSI1401から外部の同期メモリ1402へ、クロックの数百〜数千パルスに1つ取り出した基準信号を渡すことで、システムLSI1401と外部の同期メモリ1402間で同期を取ることができる。これにより、システムLSI1401のクロック出力端子の消費電流を数百〜数千分の1に抑えることができる。
【0095】
例えば、同期クロックが60MHz程度である場合、システムLSI1401全体でも数十mAの動作電流の内、外部クロック出力端子だけで、1mA程度も消費している。これは、外部クロック出力が、LSI1401内部に比べ千倍程度大きい負荷容量に対し、60MHzで常にトグルするゆえで、
CMOSの消費電流が、I≒1/2×(負荷容量)×(電圧)×(周波数)
から求められることからも、同期クロックの外部出力が、非常に電流を消費する条件であることがわかる。
【0096】
一方、PLL1401aの消費電流は、仮に2000逓倍程度で60MHz生成するPLLでも、150μA程度で設計できるので、これにより、1mA程の電流を7分の1程度に低減することができる。
【0097】
尚、本実施形態において適用する2クロック間位相調整装置としては、例えば第1ないし第5の実施形態で説明した2クロック間位相調整装置が用いられる。具体的な構成の一例としては、例えば第1の実施形態で説明した2クロック間位相調整装置300を本実施形態に用いるとすると、図16に示すようにシステムLSI1401は、PLL301、基準信号生成器303、位相差検出部307、遅延制御カウンタ311、遅延量セレクタ312、遅延バッファ313を有し、同期メモリ1402は、PLL302、基準信号生成器304を有するような構成となる。図16は本発明の第7および第8の実施形態における2クロック間位相調整装置の具体的な構成の一例を示した図である。
【0098】
このような本発明の第8の実施形態における2クロック間位相調整装置によれば、システムLSI1401の内部のクロックとシステムLSI1401の外部の同期メモリ1402内のクロックとの間の位相を補償し、システムLSI1401から同期メモリ1402に同期クロックを供給することなく基準信号生成器の出力のみ同期メモリ1402へ受け渡すことで、システムLSI1401と同期メモリ1402との間で同期アクセスを行う構成とすることで、従来その供給のために発生していた大きな消費電流を抑制することができる。
【0099】
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態における2クロック間位相調整装置について説明する。
【0100】
第9の実施形態は、第8の実施形態における次の事情を解決するものである。
システムLSI1401から外部の同期メモリ1402に同期クロックを供給する構成の場合は、外部の同期メモリ1402にアクセスを行う場合のみ、クロックを供給し、アクセスしない場合は停止できるが、本実施形態では、同期メモリ1402側のPLL1402bを停止すると、アクセス再開時に、大きなアクセスウエイトが必要となり、現実的ではないため、同期メモリ1402側のPLL1402bを常に動作させておく必要があるという事情がある。
【0101】
しかしながら、システムLSI1401側のPLL1401aも停止する条件下では、システムLSI1401側のPLL1401aが再起動すると同時に、メモリ1402側のPLL1402bも起動できれば良いので、メモリ1402側のPLL1402bも停止することができる。
【0102】
そこで、図15に示すように、第8の実施形態に加え、システムLSI(SoC)1501から同期メモリ(外部メモリ)1502に対し、例えばシステムLSI1501の有するCPU1503がSleep(スリープ)信号を出力することで、同期メモリ1502側のPLL1502bを停止することができる。図15は本発明の第9の実施形態におけるシステムLSIおよび外部同期メモリのブロック図である。
【0103】
本実施形態におけるSleep信号は、同期メモリ1502へのメモリアクセスをしないとき、PLL1502bを停止するように制御可能な信号である。このSleep信号は、例えば、携帯電話の待受動作時でアプリケーションのスリープ時などに使用される。
【0104】
これにより、例えばシステムの一例では、システムLSI1501側がアクティブである期間のうち、外部の同期メモリ1502へのアクセスが6割程度発生しているシステムがあるので、このような場合では、消費電流7分の1の削減効果が6割効果となり、合計で4分の1程度の消費電流削減効果を得ることができる。
【0105】
尚、本実施形態において適用する2クロック間位相調整装置としては、例えば第1ないし第5の実施形態で説明した2クロック間位相調整装置が用いられ、加えてSleep信号を送出する構成となっている。具体的な構成の一例としては、例えば第1の実施形態で説明した2クロック間位相調整装置300を本実施形態に用いるとすると、システムLSI1501は、PLL301、基準信号生成器303、位相差検出部307、遅延制御カウンタ311、遅延量セレクタ312、遅延バッファ313、CPU(不図示)を有し、同期メモリ1502は、PLL302、基準信号生成器304を有するような構成となる。
【0106】
このような本発明の第9の実施形態における2クロック間位相調整装置によれば、システムLSI1501側がスリープ状態に入る場合に、同期メモリ1502にもスリープを指示する構成とすることで、消費電流を大きく削減することができる。
【0107】
尚、ここまでの実施形態において述べてきた2クロック間位相調整装置は、例えば携帯電話システムへ適用させることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、ディジタル電子回路システムや携帯電話システム等において有用である。例えば、好適には非同期間のデータの受け渡しや、PLLのリファレンスとPLL出力間、システムLSIと外部同期式メモリ間インタフェースなどで利用可能であるが、これに限定はされない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】非同期データ受け渡しの課題を示すブロック図およびタイムチャートである。
【図2】従来の非同期データ受け渡しの対策技術を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における2ブロック間位相調整装置のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における2ブロック間位相調整装置のブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるクロックに関するタイムチャートである。
【図6】本発明の第4の実施形態における2ブロック間位相調整装置のブロック図である。
【図7】本発明の第6の実施形態における2ブロック間位相調整装置のブロック図である。
【図8】本発明の第6の実施形態における2ブロック間位相調整装置の変形例を示したブロック図である。
【図9】一般的なPLLの内部構成を説明するためのブロック図である。
【図10】本発明の第7の実施形態における2ブロック間位相調整装置のブロック図である。
【図11】本発明の第7の実施形態における非同期領域が複数の場合を示す概念図である。
【図12】本発明の第7の実施形態における非同期領域が複数の場合に、2クロック間位相調整装置を適用した状態を示す概念図である。
【図13】一般的な外部同期メモリインタフェースの構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第8の実施形態における外部同期メモリインタフェースに2クロック間位相調整装置を適用した状態を示すブロック図である。
【図15】本発明の第9の実施形態におけるシステムLSIおよび外部同期LSIのブロック図である。
【図16】本発明の第8および第9の実施形態における2クロック間位相調整装置の具体的な構成の一例を示した図
【符号の説明】
【0110】
101 送り側のフリップフロップ
102 受け側のフリップフロップ
103 メタステーブル対策のフリップフロップ
300 2クロック間位相調整装置
301 一方のPLL
302 他方のPLL
303 一方の基準信号生成器
304 他方の基準信号生成器
305 一方の基準信号
306 他方の基準信号
307 位相差検出部
309 カウンタクロック
310 基準前後情報
311 遅延量制御カウンタ
312 遅延量セレクタ
313 遅延バッファ
400 2クロック間位相調整装置
401 シュミット
402 遅延バッファ
403 位相差検出部
404 カウンタクロック
405 遅延量制御カウンタ
600 2クロック間位相調整装置
601 n分周器
700 2クロック間位相調整装置
800 2クロック間位相調整装置
901 ローパスフィルタ
1000 2クロック間位相調整装置
1101 リファレンスクロック動作領域
1102 CLK1出力動作領域
1103 CLK2出力動作領域
1201 リファレンスクロック動作領域
1202 CLK1’出力動作領域
1203 CLK2’出力動作領域
1204 2クロック間位相調整装置
1205 2クロック間位相調整装置
1301 SoC
1302 外部メモリ
1401 SoC
1401a PLL1
1402 外部メモリ
1402b PLL2
1501 SoC
1501a PLL1
1502 外部メモリ
1503 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクロック間において使用する複数クロック間位相調整装置であって、
第1のクロックおよび第2のクロックに基づいて前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの間の位相差を検出し、前記位相差の量をパルス幅で出力し、かつ、前記第1のクロックと前記第2のクロックとのどちらが進んでいるのか遅れているのかを示す基準前後情報を出力する位相差検出部と、
前記位相差量のパルスを位相差量クロックとして動作し、かつ、前記基準前後情報に基づいて前記位相差量をカウントアップまたはカウントダウンを遅延量制御カウンタと、
前記遅延量制御カウンタの値に基づいて、前記第1のクロックの遅延量を制御する遅延量制御部と、
を有する複数クロック間位相調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記第1のクロックから第1の基準信号を生成する第1の基準信号生成器と、
前記第2のクロックから第2の基準信号を生成する第2の基準信号生成器と
を有し、
前記位相差検出部は、
前記第1の基準信号および前記第2の基準信号の間の位相差を検出し、前記位相差の量をパルス幅で出力し、かつ、前記第1のクロックと前記第2のクロックとのどちらが進んでいるのか遅れているのかを示す基準前後情報を出力する複数クロック間位相調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの周波数差がプロセスばらつき及びノイズ成分の誤差分のみである複数クロック間位相調整装置。
【請求項4】
請求項2に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの周波数が同程度であり、前記第1のクロックおよび前記第2のクロックの周波数差が、前記第1のクロックの幅または前記第2のクロックの幅の4分の1以下である複数クロック間位相調整装置。
【請求項5】
請求項4に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記第2のクロックの周波数が前記第1のクロックの周波数のほぼ整数倍であり、
前記第2のクロックの周波数を前記整数分の1に分周する分周器を有し、
前記第2の基準信号生成器は、
前記分周器による分周後のクロック出力を入力する複数クロック間位相調整装置。
【請求項6】
請求項4に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記第2のクロックの周波数が前記第1のクロックの周波数のほぼ整数倍であり、
前記第2の基準信号生成器は、
前記第2の基準信号のパルス幅を前記整数倍に補正する複数クロック間位相調整装置。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記遅延量制御カウンタのクロック入力前段にシュミットを有する複数クロック間位相調整装置。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
非同期回路間のフリップフロップの信号の受け渡しに利用され、前記非同期回路に接続される複数クロック間位相調整装置。
【請求項9】
請求項1ないし7に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
PLLのリファレンスクロックと前記PLLの出力クロックとの間の位相を補償する複数クロック間位相調整装置。
【請求項10】
請求項2ないし7に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
システムLSIの内部のクロックと前記システムLSIの外部の同期メモリ内のクロックとの間の位相を補償し、前記システムLSIから前記同期メモリに同期クロックを供給することなく前記基準信号生成器の出力のみ前記同期メモリへ受け渡すことで、前記システムLSIと前記同期メモリとの間で同期アクセスを行う複数クロック間位相調整装置。
【請求項11】
請求項10に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記システムLSI側がスリープ状態に入る場合に、前記同期メモリにもスリープを指示する複数クロック間位相調整装置。
【請求項12】
請求項1に記載の複数クロック間位相調整装置であって、
前記位相差検出部は、
前記第1のクロックおよび前記第2のクロックにおける全クロックで位相比較を行う複数クロック間位相調整装置。
【請求項13】
請求項1ないし12に記載の複数クロック間位相調整装置を有する携帯電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−92359(P2008−92359A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272053(P2006−272053)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】